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<title>競馬好き</title>
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<title>該当馬なし</title>
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<![CDATA[ みなさんあけましておめでとうございます。一昨日の東西の金杯で2020年の競馬もスタートしました。今年はどんなドラマがあるのか？始まったばかりですがワクワクが止まりません。<div><br></div><div>先日発表されたＪＲＡ賞の騎手部門で、ルメール騎手が騎手大賞と記載があったのですが、これは勘違いかミスなのでしょうか？そもそも騎手大賞は最多勝、最高勝率、最多獲得賞金の騎手三冠を獲らないと受賞できないはずで、昨年度の最高勝率は川田騎手なので騎手大賞は受賞できないはずです。ルメール騎手に授与するためにわざわざルールを捻じ曲げたのでしょうか？ただの勘違いであることを心から願っております。</div><div><br></div><div>藤田菜七子騎手が女性騎手では初となるＪＲＡ賞を受賞したのは明るいニュースですね。フェアプレー賞は競馬を知らない人からすれば地味な印象を持たれるでしょうが、この賞を受賞する騎手は馬を御す術に長けている証拠です。今年の藤田菜七子騎手の活躍がとても楽しみですね。明石家さんまさんの女性蔑視ともとれる発言に、見ているこちらがイラッとしましたが、まだまだそれだけ男社会だということなのでしょう。周りの好奇の視線や雑音に惑わされず、良績を挙げていただきたいものです。</div><div><br></div><div>2019年の年度代表馬はやはりリスグラシューとなり、また、各部門の最優秀馬も発表され、意外に思う馬が受賞してたりもしましたが概ね予想通りでした。</div><div><br></div><div>今回書きたいことは、このＪＲＡ賞が記者投票によって決まっているところです。投票によって決まることに文句があるわけではありません。問題にしたいのは「該当馬なし」に投票している記者がいるというところについてです。自分は毎年同じことを思っています。「該当馬なし」に投票した記者は今後投票権を剥奪すべきだと。該当馬なしという評価は馬だけでなく、関係者をも馬鹿にしているのではないかと思います。「該当馬なしに投票した俺ってカッコいい〜」とか思ってるのかは定かではありませんが、もしそんなふざけた考えをしているのなら、投票権を持ってほしくありません。それなら自分が好きな馬や馬券でお世話になった馬に投票している方が遥かに理屈に合うし納得もできます。もしかしたら自分が知らないだけで、好きな馬に投票したのにも関わらず、「該当馬なし」の扱いにされているのかもしれませんが、もしそうならばＪＲＡは即刻そういう発表の仕方はあらためてもらいたい。それは投票した記者を侮辱しています。しかし、もしも自分の考えが正しいのであれば、やはり「該当馬なし」に投票した記者は今後投票権を剥奪すべきだと思います。</div><div><br></div><div>もちろん、個人の見解、理念・思想、言い分はあるでしょう。ならばそれを明確にすべきだと思うのです。何の説明もなく「該当馬なし」の投票結果を見たら、命がけで走る競走馬たちや騎手の皆さん、故障のリスクを考えながらギリギリのところを見極める調教師を含む厩舎関係者の皆さん、愛情を持って生産・育成をしている牧場関係者の皆さん、愛馬に夢を乗せている馬主さんたちを侮辱していると思ってしまいます。例えば2017年の障害界でオジュウチョウサンがあれだけの大活躍をみせ、暮れの中山大障害でも圧巻のパフォーマンスを見せてくれていたというのに、最優秀障害馬部門でただ一人「該当馬なし」に投票した人は一年間何を観ていたのでしょう？障害レースは観ていなかったのでしょうか？そんな人が大切な一票を持っているという事実が悲しいです。こういう人は本当に投票権を剥奪してほしいです。<span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">投票権を持っている人達は今後投票する際はくれぐれも、軽々しく「該当馬なし」に投票する事がないようにしてもらいたいです。</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);"><br></span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">新年早々ただの愚痴になってしまい申し訳ありません。ただ、長年ずっとモヤモヤしていた事だったので書きました。次は明るい話題を書けたらいいなと思います。</span></div>
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<link>https://ameblo.jp/0901manayuki/entry-12565331285.html</link>
<pubDate>Tue, 07 Jan 2020 18:15:57 +0900</pubDate>
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<title>有馬記念のレース前後で感じた違和感</title>
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<![CDATA[ 今年の有馬記念も終了し、今年も終わりだなぁ、と思ってたら、来週のホープフルＳがラストであることに今更ながら違和感。来年のラストは有馬記念に戻るようですが、何がしたいのか度しがたく、相変わらずＪＲＡの迷走ぶりには辟易とさせられますね。<div><br></div><div>さて、今年の有馬記念は自分の中ではレース前から違和感がかなりありました。まず何と言ってもアーモンドアイが急遽参戦を表明したことです。正直自分は実に冷ややかな目をアーモンドアイに向けていました。なぜ有馬記念に使ったのか？使う必要性がどこにあるのか？さまざまな気持ちが湧き上がり、惨敗する未来がレース前から見えていました。「アーモンドアイは速く走れすぎてしまう馬」と言っている人がいましたが、それは正しくありません。正しくは「最後まで気持ちを緩めない真面目な馬」だと思います。そもそもアーモンドアイはディープインパクトのように他馬よりも圧倒的にスピードの上限値で勝る最強馬ではなく、あくまで600m戦限定での最強馬に過ぎず、消耗戦になりやすい有馬記念は明らかにアーモンドアイに不向きなレースです。まして、昨年のＪＣ以降左回りの広いコースでしか走っておらず、距離も2400m戦を２回走ってはいるものの、どちらも高速馬場600m戦のレースだったため参考外だし、そもそもドバイターフ参戦時に距離と馬場を理由に凱旋門賞には出走しない事を早々に表明しておきながら、今回の有馬記念には出走に踏み切った意図がまるでわかりません。発熱のアクシデント以降、調整も急仕上げ感は否めず仕上がり万全だとは到底思えなく、明るい材料が皆無の状態。どれだけ真面目な馬でも気持ちが切れる可能性があると思っていました。それでも勝てると踏んでいたのなら、関係者は他馬を舐めすぎなのではないかと憤りを感じました。</div><div><br></div><div>続いての違和感はアエロリットの参戦。ここまで１６戦中、2000mで２回走っただけ。マイル～1800mが主戦場の逃げ馬がなぜ引退レースに有馬記念なのか？明らかに距離が長いであろう2500m戦です。勝ちを放棄して引退記念で出走させたか、穿った見方をすればアーモンドアイのペースメーカー的な役割で出走させたのではと思ってしまいます。レースも実にチグハグな内容で、鞍上の津村騎手が半ば暴走に近い理解不能な大逃げを打って出た事で、レースは消耗戦の予想に反して高速戦の600m戦の展開になりました。もしも自分がアエロリットの出資者だったら津村騎手に暴言を吐いているところです。</div><div><br></div><div>最大の違和感はレース後のさまざまな的外れな言葉の数々。まず、「アーモンドアイが出走してくれたから有馬記念が盛り上がった」とか「アーモンドアイ出走してくれてありがとう」とか「負けたのは残念だけど感動した」とか「アーモンドアイが大敗した事を叩いている人達が日本の競馬の発展を遅らせている」といった声がありましたが、本当にそうでしょうか？アーモンドアイが凱旋門賞に出走していたか、もしくは最初から有馬記念に照準を合わせて万全な状態で出走していた上で大敗してしまったのであれば、そういう意見も理解できるのですが、今回のアーモンドアイの大敗は陣営の過信と周りの異常なまでの過大評価による、いわば負けるべくして負けたレースで、評価を下げる材料はあっても、再評価をする材料は皆無で同情の余地も感動もありません。むしろそういう意見が出ることに今の競馬ファンに対して疑問を持ってしまいます。自分は無敗馬、もしくは連勝してきている馬＝強い馬とは考えていません。無敗馬、連勝馬が大敗している場面は何度も見てきました。速いタイムで走破した馬＝強い馬とは考えていません。重賞に手が届かなかったレコードホルダーがいるのも知っています。反対に大敗歴がある馬＝弱い馬とも思いません。オグリキャップやトウカイテイオー、オルフェーヴルやキタサンブラックのように、二桁着順にもなったことがあるけれど強かった馬達は沢山います。しかし、オルフェーヴルが春の天皇賞で大敗した際、池添騎手は散々叩かれました。キタサンブラックが宝塚記念で大敗した際、武豊騎手は散々叩かれました。ではなぜ今回のアーモンドアイのルメール騎手は叩かれないのでしょうか？なぜルメール騎手は最善を尽くしました、ルメール騎手は必要以上にムチを使わなかった、ダメージを残さないような騎乗だったとなるのでしょう？なぜ日本人騎手が叩かれている時に、<span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">大敗した事を叩いている人達が日本の競馬の発展を遅らせていると発言する人は現れず、ルメール騎手が大敗した時には、大敗した事を叩いている人達が日本の競馬の発展を遅らせているとなるのでしょう？自分が大の外国人騎手嫌いを差し引いてもまるで理解ができないものでした。</span></div><div><br></div><div>続いての違和感はアエロリットの大逃げに対して津村騎手を称賛する声が多いこと。「勝つ為の騎乗」とか「アエロリットの持ち味を活かすにはあの乗り方しかない」とか「真っ向から自分の競馬で挑んだ姿に感動した」などなど。勘違いしてはいけないのは、<span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">この馬は勝つか大敗かの玉砕逃げやテレビ馬のタイプではありません。今までのレース振りからみても、サイレンススズカやダイワスカーレットと同じ差しタイプ(ハイペースで逃げて最後までバテずに上がりもしっかりまとめられる)の逃げ馬で自分のリズムで走れば強い馬です。では有馬記念の津村騎手はアエロリットのリズムで走らせることに成功していたか？答えは否でしょう。素人が見ても明らかなくらいオーバーペースでした。自分のリズムを保ってあのペースならば勇気のある騎乗と言えるし感動もできます。しかし津村騎手はスタンド前の時点で抑える事を放棄しているように見えました。無理に抑えてリズムを崩したくなかったから腹を括った、といえば聞こえはいいですが、ただただ無謀な大逃げをしただけにしか見えませんでした。勇気と無謀は違います。無謀なレースは呆れはすれど感動はありません。感動したと言う人達はどこを見て感動したというのでしょうか？</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);"><br></span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">来年のアーモンドアイとサートゥルナーリアは厳しい立場になると思われたます。アーモンドアイは高速馬場の600m戦限定の最強馬から脱却できるかがカギになるだろうし、サートゥルナーリアは小回り馬場の600m戦限定の最強から脱却できるかがカギでしょう。有馬記念を明るい材料で終われたのはワールドプレミアだけだと思います。今回プラス体重で挑んでいたにも関わらず腹回りは</span><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">まだまだ薄く、まだまだ馬体に成長の余地を残していることが窺える。未完の状態であの走りですから、来年以降しっかりと成長して、リスグラシューのように身が入ってドッシリとすればどれだけ強くなるのか。今から楽しみが止まりません。来年の主役はワールドプレミアかもしれませんね。</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;"><br></span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">最後に、リスグラシューがノーステッキで勝利した事に凄い凄いと騒いでる人達がいましたが、ムチを使用したらバテているとかムチを入れたら速く走れるとか、ムチに対して間違った思い込みや勘違いをしている人がそれだけ多数いるのでしょう。それ自体は別に良いと思います。競馬ゲームなどもありますから、そういう方面から競馬にハマられた方の中には、本来のムチの使用理由をよく知らずに実際の競馬を見ている方や馬券を購入している方もいらっしゃるでしょう。悲しいのは勘違いしたままの知識を他人にそのまま伝えてしまうことです。一部だけでも側面だけでも良いので、少し位は自分で調べてから発信するようになれば、日本競馬はもっと発展していくのではないかと思います。</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;"><br></span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">今回レース回顧にしなかった理由は、個人的にレースそのものよりも、レースの前後に違和感を感じることが多かったのでそちらをチョイスして書きました。次は何を書こうかな。</span></div>
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<link>https://ameblo.jp/0901manayuki/entry-12561595659.html</link>
<pubDate>Sun, 22 Dec 2019 23:18:18 +0900</pubDate>
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<title>レコードタイムの価値と必要性</title>
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<![CDATA[ 先月からなぜかログインできない症状に見舞われたためにブログを書くことができなかったのですが、久しぶりにログインすることができたのでまた書きたいことを書いていこうと思います。<div><br></div><div>2019年も残すところあと僅か、競馬開催日も後３日となりました。エリザベス女王杯から朝日杯までの間、Ｇ１以外にもさまざまな印象に残るレースがありました。個人的にはカペラＳで藤田菜七子騎手がコパノキッキング号でＪＲＡ史上初の女性騎手による重賞制覇を成し遂げられたことですね。</div><div><br></div><div>近年の競馬はとにかくタイムが早い傾向にあり、特に東京開催では２歳戦でもレコード決着、レコードに近いタイムでの決着になる場面が見られます。最近の競馬ファンの方達はとにかく勝ちタイムが速いレースを好み、レコード勝ちをした馬＝強い馬という認識をされている傾向にあると思われます。色々な意見はあるでしょうが、自分はハッキリ言って今の勝ちタイム信奉主義の傾向には大反対です。競馬はタイムを競う競技ではありません。一等賞を争う競技です。レコードタイムはただのオマケにすぎません。しかし、今のファンの方達は考え方が逆になっていると思われます。</div><div><br></div><div>日本の芝の改革に着手されだしたのは1995年からだと思われます。きっかけはＪＣに出走するために来日した海外馬の関係者が、芝が完全に枯れてしまっている東京開催最終日の馬場を見て言った「芝の馬場はどこにある？もしこれが芝だというなら、こんなダートみたいな馬場で走らせたくない。」という一言にショックを受けたかららしいのですが、真偽はわかりません。しかし、９４年までの馬場と９５年以降では芝生の状態が変わっているのは一目瞭然なのであながち嘘でもないのでしょう。</div><div><br></div><div>さて、芝生の改革に着手しだしてから日本馬の質はグンと上がったように思います。９５年といえばサンデーサイレンスの初年度産駒が春のクラシックを席巻した年でもありますが、この年以降、海外で活躍する馬がどんどんと現れています。勝つことはできなかったものの、ダンスパートナーが欧州でＧ１で好走、年末の香港カップ（当時は国際ＧⅡ）ではフジヤマケンザンが快勝。その後しばらくは海外で善戦はするものの勝ち星は挙げられない年が続きましたが、９８年にシーキングザパール、タイキシャトルが日本調教馬初となる欧州の短距離Ｇ１を制覇。９９年にエルコンドルパサーが欧州の中距離Ｇ１を勝ち、凱旋門賞で２着となり、日本馬のレベルは確実に上がっているのを実感できましたし、日本馬による凱旋門賞制覇は遠い話ではないとワクワクしたものです。</div><div><br></div><div>そんな日本馬の進化も、2009年辺りから雲行きが怪しくなってきます。2007年頃から日本の馬場はタイムが出やすい高速馬場の傾向が表面化、問題点として指摘されだしましたが何も対策をされませんでした。タラレバを言ってしまうと、この時点で何かしらの対策をしていれば日本の競馬はまた違ったものだったでしょう。しかしＪＲＡは高速馬場を改善するどころか、日本の高速馬場をどんどんと推進していきます。今の馬場になる前に時代を築いたオルフェーヴルとロードカナロア。短距離馬は高速馬場の影響はあまりないためロードカナロアは問題なかったでしょうが、オルフェーヴルは影響をモロに受けた可能性はあります。その意味ではオルフェーヴルはラッキーな存在だったと思います。ディープインパクトがこの世を去った今、日本の種牡馬のトップに君臨しているのが短距離馬のロードカナロアであることは偶然ではないでしょう。今の日本馬は進化はしていません。停滞もしていません。確実に退化していると思います。</div><div><br></div><div>２０１０年代から造園技術もどんどん向上していき、年間を通して馬場の内が伸びやすい、外が伸びやすいのいわゆる内外の馬場の悪さの差が生まれにくくなりました。さらに芝生ではな土壌のクッション性を上げることにより馬場が硬くしまり水捌けも上がり、かなりの雨が降らない限りは馬場が極端に悪化することは減り、芝生の状態も上がりました。その結果、内枠の馬が超有利になり外枠の馬はほぼノーチャンス。枠が決まった時点で勝負付けの半分以上が確定。タイムが出やすい高速馬場で行われるため、ハイペースになっても前の馬が残るケースが大半を占めるようになり、極端な追い込み馬は姿を消していきました。更にこの２年ほどは特に酷く、レースの距離は形だけの「600m戦」が横行し、勝ちタイムが速いだけで中身が無いレースが増えました。悪例を挙げればやはりアーモンドアイということになるでしょうか。「アーモンドアイは速く走れすぎてしまう馬」と言っている人がいましたが、ずいぶん的外れだなぁ、と思います。</div><div><br></div><div>勝ちタイムが速い、上がり３ハロンが速い馬がかなり増えたため、人々は「わかりやすさ」を指標にするのでしょう。速いタイムで勝つ、後続を引き離して勝つ等をすれば、確かに派手でわかりやすいし強さに直結させたがる気持ちも理解できます。しかし、それは本当の実力を測る物差しになり得ません。タイムはあくまで結果論、オマケにすぎません。参考材料になれど、実力とはほとんど関係ありません。</div><div><br></div><div>米国馬や欧州馬は硬い馬場を嫌がり、今年のＪＣは海外馬の参戦はゼロ。それを受けて競馬ファンは「これが日本の競馬なんだから、日本の馬場が嫌だと文句を言うならこなくていい。」や「日本競馬は独自の路線を進めばいい。」といった、的外れ且つ悲しい意見もありました。欧州の方々は凱旋門賞に挑戦してきている日本馬に対してそういう発言をしているのでしょうか？馬場が合わないというなら来なくてもいいと言っているのでしょうか？少なくとも自分は挑戦を称賛はすれど批判する人はほとんど聞いたことがありません。日本の競馬が世界の競馬界から冷笑されて孤立しているのは、勝ち馬を称えるのではなく、勝ちタイムを称え崇める風潮にあるからだと思います。</div><div><br></div><div>日本の馬場も欧州の馬場のような重い芝にしろとは思いません。しかし、競馬という競技のルールは変わらないのであれば、勝ちタイムはさほど重要ではなく、レコードタイムに必要性も意味もほとんど無いのですから、中央競馬場全場を札幌競馬場や函館競馬場と同じ洋芝にすれば良いと思います。ここ最近の高速タイムがガンガン出るレースを見慣れてしまった人達は、タイムが出ないことに物足りなさを感じるでしょう。しかし、結果的に今以上に競馬は面白くなります。近年のダービー馬に故障が多いのは何故なのか、アーモンドアイが東京競馬場で走った後に毎回フラフラに消耗するのは何故なのか。馬の負担を考えるのであれば、今の造園技術があるのであれば、全場を洋芝にすることは可能だと思います。そうなれば海外の馬も参戦しやすくなり、結果的に日本の競馬のレベルも上がると思います。</div><div><br></div><div>今回はこれで終了です。ログイン出来ない怪現象がなければコンスタントに書いていけたらと思います。</div>
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<link>https://ameblo.jp/0901manayuki/entry-12560467949.html</link>
<pubDate>Wed, 18 Dec 2019 01:08:39 +0900</pubDate>
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<title>エアグルーヴ・後編</title>
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<![CDATA[ 今週から年末まで７週連続で中央Ｇ１戦線が始まります。開幕戦となるのが牝馬たちによる女王決定戦、エリザベス女王杯です。一頭違う路線で活躍している牝馬がいるので、その馬抜きで女王決定戦というとなんとなく違和感を感じてしまいますが、出走するメンバーは間違いなく女王を冠しても問題ないレベルの牝馬たちなので、細かいことは置いておきましょう。<div><br></div><div>歴代のエリザベス女王杯の勝ち馬を見てみると、波乱もたびたび起こっていることがわかります。一番の波乱といえばやはり2009年でしょうか。女王を陥落させんとまさに革命が起きたかのような逃走劇は見事の一言でした。</div><div><br></div><div>さて、そのエリザベス女王杯の歴史の中の一つにエアグルーヴの唯一の汚点が存在します。いや、汚点という言い方をしてしまうと勝ち馬やその関係者、更にはエアグルーヴ陣営にも失礼な表現になってしまうのですが、それでも今現在のエアグルーヴの評価の低さを鑑みるに、このレースを「落としてしまった」ことがエアグルーヴの評価を下げている部分は大いにあると思われ、それを考えるとやはり汚点という表現以外の言葉が見つからないのです。</div><div><br></div><div>日本競馬史上でも最高クラスの実力を持ち、「女帝」とまで称されたエアグルーヴ。この馬ほど絶えず試練とアクシデントに見舞われ続け、決して順風満帆とは言えない競走生活を送りながら常に結果を求められ、且つ、それに応えてきた牝馬を私は知らない。最後の最後までアクシデントに見舞われ続けた悲運の名牝の現役最後の１年を書きたいと思います。</div><div><br></div><div>1997年の年度代表馬に選ばれたエアグルーヴは、まだお釣りが残っているということで1998年も現役続行させることを陣営が発表。その初戦に選ばれたのは伝統のＧⅡ戦、大阪杯。前年の有馬記念以来の約３ヵ月半ぶりのレース。９頭立てと少頭数ながらエアグルーヴ、メジロドーベル、イシノサンデー、エリモシックのＧ１馬が４頭と豪華メンバーが顔を揃えたが、人気はエアグルーヴが単勝1.2倍の支持を集めて一本被りに。レース内容も全く危なげの無い圧倒的なものだった。いつも通りの好発を決めスッと４番手に付けると、久しぶりのレースのためか前半は行きたがる素振りを見せるも、向正面で折り合いをつける。ファンドリリヴリアの淡々としたペースの中、常に前を射程圏に入れたまま脚を溜める。エアグルーヴのすぐ後ろをメジロドーベルがつけ、内から虎視眈々とマークをしている。勝負どころの第３コーナーで武豊騎手が馬場の良い外目からじわじわと進出を開始。それに合わせてメジロドーベルを含む後続勢もスピードを上げる。最終コーナーでエアグルーヴが大外から持ったままで先頭を窺うと、それを合図にしたかのようにイシノサンデーがスパートをかける。メジロドーベルは内を掬うべくイシノサンデーの進路をトレース。最後の直線に入ってイシノサンデーが先頭に立とうとするも、59キロの斤量が響いたのかジリジリとしか伸びない。伸びあぐねる皐月賞馬の背後から二頭のオークス馬が襲い掛かる。残り200mを切ってメジロドーベルが鋭い脚を見せ先頭を狙うも、それを許さないかのようにその外から更に凄い脚で一気に先頭に立ったエアグルーヴ。抜け出す際に気を抜かないように武豊騎手が左ムチを１発入れただけで、完全に抜け出した後は流すだけ。ほとんど馬なりのまま楽々とメジロドーベルに3/4馬身差をつけてゴール。エアグルーヴの５７キロに対しメジロドーベルは５６キロと、斤量差があったことを考えれば着差以上の完勝だった。</div><div><br></div><div>陣営が次走に予定していたのは宝塚記念の前哨戦となるＧⅡの鳴尾記念。大阪杯の完勝もあり、ここもあっさりとクリアして宝塚記念へ、という気持ちはあったと思う。しかし、ここでまたしても勝負の神様はエアグルーヴにソッポを向いてしまう。この年の夏場は雨が多く、鳴尾記念当日も多分にもれず大雨が降り続け、芝コースは走ると水しぶきがバシャバシャ立つくらいに水が浮いている不良馬場で行われた。１４頭立てと頭数こそ揃い、マチカネフクキタル、エルウェーウィンといったＧ１馬もいたが、相手となりそうなのは英国から参戦してきたアヌスミラビリス位しか見当たらず、斤量も前走と同じく５７キロながら、ファンは当然のようにエアグルーヴを一番人気に支持する。レースはエアグルーヴの隣の枠のトウカイタローが枠入りをかなり嫌がった為、長くゲート内で待たされたこともあり、スタートが心配されたが問題なく好発を決め、周りが前に行きたがっているのを見て無理にはいかせず、９番手の外目につける。トウカイタローが出ムチを入れてハナを主張するとファンドリリヴリア、サイレントハンターは無理に競らずに控えた為、すんなりと隊列は決まった。逃げ馬を見るようにアヌスミラビリスが４番手。見た目以上に悪い馬場のためか、各馬思うように追走が出来ず、エアグルーヴも上滑りする馬場に脚を取られていつもの行きっぷりが見られない。第３コーナーでは武豊騎手の手が動いていたほどである。第３コーナー途中で早々とトウカイタローが脱落、馬群は急激に固まると第４コーナー中間から楽な手応えでアヌスミラビリスが先頭へ。大外から押しながらではあるがエアグルーヴがようやく先頭集団に追いついて勝負は最後の直線へ。アヌスミラビリスにまず襲い掛かったのは道悪巧者のザフォリア。エアグルーヴも追い出しにかかるもいつもの加速が見られない。それでも不屈の精神力で残り200mで先頭に並びかける。しかし、そのすぐ後ろからスルスルと伏兵サンライズフラッグが脚を伸ばしてきており、アッと言う間にエアグルーヴを交わしてしまった。エアグルーヴも懸命に脚を伸ばしたものの２着を確保するのが精一杯で、３馬身前をサンライズフラッグは駆け抜けていった。結果は完敗。とはいえエアグルーヴ自身も、アヌスミラビリス以下１２頭には１馬身1/2差をつけており、今回の馬場状態は道悪適性がある馬達のレースだった中でキッチリと結果を出しており、マチカネフクキタルの５９キロと変わらない事実上のトップハンデの５７キロ(牝馬は牡馬と２キロのセックスアローワンスがあるため)だったこと、初めての不良馬場を考えれば、負けたことはショックではあるが悲観する内容ではなかった。ちなみに勝ったサンライズフラッグ自身はこのレース以降８戦し、３着が３回あるものの一度も勝つことなくターフを去っている。サンライズフラッグが見せた生涯一度の激走の前に破れた訳である。余談だが、何故かエアグルーヴは道悪に弱い印象を持っている人が多い。恐らくこの鳴尾記念の敗戦が原因だが、エアグルーヴ自身は重馬場以上の悪い馬場で走ったのはこの一戦のみであり、あそこまで馬場が悪ければよほどの巧者でないと厳しい中でサンライズフラッグ以外はキッチリと離しているのだから、道悪適性も充分にあっただろうと思われる。事実、一族にはルーラーシップをはじめとする道悪をこなす馬を輩出している。ただ単純に悪いタイミングが重なっただけなのである。</div><div><br></div><div>さて、鳴尾記念では想定外の敗戦は喫したものの、陣営は予定通り宝塚記念へ出走を表明。ファン投票でも堂々の一位に選ばれた。１３頭立てながらも好メンバーが顔を揃えたこのレース。しかし、ここでもエアグルーヴはアクシデントに見舞われる。調整中に筋肉痛を発症してしまい出走できるかどうかの状態にまでなってしまったのである。陣営の懸命なケアによりなんとか出走に漕ぎ着けたものの、絞り切れなかった馬体も含め仕上がりに不安がある部分は否めず、エアグルーヴは３番人気まで評価を落とす。エアグルーヴに代わって人気を集めたのが、年明けのバレンタインＳから４連勝中、うち重賞３連勝中の快速馬サイレンススズカ、重賞４連勝で前走、天皇賞・春を制したメジロブライトと、共に連勝中で勢いに乗っている２頭の５歳馬(現行では４歳)だった。中でもサイレンススズカは前走の金鯱賞で２着以下に1.8秒の大差をつける圧勝を収めたのが強いインパクトを与えたのだろう。大外枠からの発走に加え、右回りだとスムーズさを欠き、2200mはベスト距離ではなく、鞍上も武豊騎手から急遽乗り替わりになった南井克巳騎手と、少なからず不安材料はあったもののファンは一番人気に支持する。レースはスタート前からアクシデントが起きる。メジロブライトがゲートの中で暴れて立ち上がり、本来のスタート予定だった２番枠から、本来の大外枠のサイレンススズカより更に一頭分空けた大外枠(１５番枠)へと回される。馬体検査中に落ち着きを取り戻したとはいえ、体力を消耗していたのは明らかで、更にスタートでも出遅れてしまい、この時点でメジロブライトは脱落。好発を決めたエアグルーヴとサイレンススズカだが、この時点で既に差が見られる。スタート直後からスムーズに加速しハナに立ったサイレンススズカに対し、エアグルーヴの動きは重く、武豊騎手が促してようやく７番手を確保。サイレンススズカが快調に飛ばし、最初の1000mを58.6で通過。２番手のメジロドーベルとは大きく差を付けていく。快調に飛ばしていくサイレンススズカに対して、エアグルーヴは終始行きっぷりが悪く、向こう正面の時点で武豊騎手の手が動いていた。しかし、残り1000mを切った辺りで、南井騎手はサイレンススズカに息を入れる事を選択する。２ハロン目から５ハロン目までのラップが10.8-11.1-12.1-11.9の45.9に対し、６ハロン目から９ハロン目までのラップが12.1-12.5-12.4-12.8の49.8と、実に3.9の差を生んだ。後続が急激にラップが落ちた事に気付いたのは第４コーナー手前。２番手以下の１２頭がギュッとひと塊りになってから。慌ててサイレンススズカを追いかけ出す。残り500m付近で後方を走っていたメジロブライトが、先団を追走していたが急激に失速してしまったホウエイコスモスを捌ききれず躓いてしまい、最後方に下がるアクシデントが発生。メジロブライトにとっては勝負自体はスタート前から蚊帳の外だっだが、落馬しなかったのは不幸中の幸い。そのメジロブライトの前を追走していたエアグルーヴはやはり手応えが悪い。コーナーを回っている途中で武豊騎手がムチを抜いたほど。そんなエアグルーヴを尻目に、後続に２馬身程の差を付けてサイレンススズカが先頭のまま勝負は最後の直線へ。と、ここでもエアグルーヴは不運に見舞われる。前を走っていたミッドナイトベッドと捲って上がってきたサンライズフラッグが思いのほか伸びず、エアグルーヴの進路上で思いっきり壁になってしまい、追い出すタイミングがかなり遅れたのだ。なんとか体勢を立て直して追い出しにかかったのが残り約300m地点。この時点でサイレンススズカとは７馬身程の差。いざ追い出してみても伸びが悪い。このまま勝負ありかと思われた矢先、残り200mを切ってようやくエアグルーヴの闘志に火が付く。それまでの手応えが嘘のような加速を見せると、どんどん前との差を詰める。残り100m付近で脚が上がったサイレンススズカにステイゴールドが懸命に喰らいつき、このまま２頭で決まりかというゴール直前にエアグルーヴが猛追。しかし、最後までサイレンススズカが先頭を譲らないままゴール。3/4馬身差の２着のステイゴールドにクビ差まで迫ったところが無情のゴールだった。南井騎手が後続を一旦引き付ける逃げを選択したため、最後の粘りを生み、結果後続を完封した訳だが、もしエアグルーヴが万全の状態で出走していれば、もし最後の直線でスムーズに仕掛けられていれば、結果はまた違っていただろう。そんなタラレバを考えたくなるほど、エアグルーヴの末脚は強烈だった。こうして、消化不良のままエアグルーヴの競走生活最後の１年の前半は終了した。</div><div><br></div><div>秋シーズンへの仕切り直しとして陣営が選択したのは、昨年も勝利し連覇がかかる札幌記念。１２頭と頭数こそ揃ったものの、脅威となりうる相手はおらず、敵は５８キロとなったトップハンデの斤量と思われた。鳴尾記念でも述べたが、これは牡馬が６０キロを背負うのと同義であり、かなり厳しい斤量である。マイネルブリッジが５７キロ、牝馬のオレンジピールが５４キロ、残り９頭の牡馬が５６キロだったのだから、いくら相手がいないとはいえ、さすがのエアグルーヴも苦戦するのではと思われたが、単勝1.3倍の圧倒的な支持を集めた。体調が戻ったのか、好発を決めたエアグルーヴは促すこともなくスッと好位につける。最内からサイレントハンターがハナを主張して単騎逃げ。エアグルーヴは最初のコーナーで行きたがる素振りを見せたものの、すぐに落ち着き５番手へ。サイレントハンターがマイペースながら大逃げの形に持ち込み、後続を７馬身程離して第３コーナーを回る。それでも武豊騎手は慌てず残り600mを切った辺りで進出を開始。最終コーナーで２番手までポジションを上げて最後の直線へ。サイレントハンターとの差はまだ３馬身程あったが、一完歩毎に差を詰めてゆく。残り約150m辺りで先頭に立つと、後は引き離す一方。最後は悠々と流して３馬身差をつけての完勝。逃げたサイレントハンターが３着アラバンサに１馬身3/4差をつけたことで、そのサイレントハンターを楽々と突き放したエアグルーヴの強さがより際立つ一戦となった。並みの牡馬相手なら多少のハンデ差は関係ない堂々とした走りと、小細工なしで真っ向から力でねじ伏せる様はまさに女帝と呼ぶに相応しいものだった。けれども、この札幌記念の勝利がエアグルーヴにとって最後の勝利となる。早くから武豊騎手が秋の天皇賞ではサイレンススズカに騎乗する事が決まっており、武豊騎手とのコンビにこだわった陣営はエリザベス女王杯からジャパンカップへ進むことを表明。しかしこの選択がエアグルーヴの運命の歯車を微妙に、しかし確実にずらしてしまうこととなる。</div><div><br></div><div>1998年11月7日。エリザベス女王杯の一週前にあたるこの日、エアグルーヴ陣営にとって寝耳に水のような報せが届く。この日京都競馬場で行われた新馬戦で、アドマイヤベガに騎乗していた武豊騎手が直線で大きく斜行をしてしまい、１位入線をするも４着に降着、武豊騎手は６日間の騎乗停止処分となり、エリザベス女王杯はおろかジャパンカップさえも乗れなくなってしまったのだ。そのため、エリザベス女王杯とジャパンカップの鞍上には横山典弘騎手が指名されることになった。</div><div><br></div><div>直前で急遽鞍上が替わるというアクシデントがあり、更に最大目標がジャパンカップながら中１週のローテになることもあり、８割程の仕上げだったのだろう。馬体ももう一絞り出来そうな状態での出走となった。それでも札幌記念の圧勝劇に加え、今まで戦ってきた相手を考えれば、牝馬相手ならばまず負けないという至極まっとうな油断が陣営にはあったのだろう。しかし、その油断こそが慢心であったことをレース後に陣営は痛感することとなる。この年のエリザベス女王杯は三世代のオークス馬が顔を揃えたが、ファンはそれでもエアグルーヴは負けないだろうと単勝１倍台に支持する。スタートでいつも通りに好発を決め、スッと５番手につけたエアグルーヴ、やや立ち遅れ気味のスタート後、エアグルーヴだけをマークするかのようにメジロドーベルと吉田豊騎手がエアグルーヴの後ろ８番手辺りにつける。レースは逃げたナギサが第２コーナー辺りで極端にペースを落とした為、メジロドーベルが折り合いを欠いてしまい一気に３番手にまで上がってしまう展開に。最初の３ハロンが12.5-11.4-12.3の36.2に対し次の３ハロンが12.8-13.0-12.6の38.4と実に２秒以上ペースが落ちたのだから、掛かり癖のあるメジロドーベルにとっては最悪の展開、逆にエアグルーヴにとっては楽な展開となったように映った。しかし、ナギサ鞍上の安田富男騎手は極端にペースを落としすぎて早めに後続に来られて焦ったのか、第３コーナーで急激にペースを上げていく。次の３ハロンで12.5-11.9-11.4の35.8なのだからペース配分としてはもうめちゃくちゃなものである。ペースが急激に上がったことで落ち着きを取り戻したメジロドーベルの馬上で、吉田豊騎手は前半で使った脚を再び溜める為にギリギリまで内でジッとしていた。進路が無くなるのを嫌い安全策を選択した横山騎手がエアグルーヴを終始外でレースを進めたのとは対照的だった。そして最終コーナーを回ってエアグルーヴは外を回して最後の直線へ。と、ここで一つ誤算が生じる。エアグルーヴのすぐ隣の内側を走っていたケープリズバーンと接触したのか、最後の直線へ入る際に外側へ２頭分膨らんでしまった。このアクシデントも重なり、先頭のナギサとは５馬身程の差が生まれた。更に内でジッとしていたメジロドーベルにもコース取りの利を活かされて前に出られる展開へ。最後の直線でまず逃げ馬を捉えにかかったランフォザドリーム。インからメジロドーベル、更に最内を狙っていた的場騎手とエリモエクセルが伸びてきており前は４頭の先頭争いへ。エアグルーヴはようやく５番手まで上がってきた。残り約300m地点でナギサが急激に内側へヨレてしまいメジロドーベル、エリモエクセルの進路が狭くなる。メジロドーベルの吉田豊騎手は若干立ち上がる程度の被害で済んだものの、エリモエクセルはまともに進路が無くなり的場騎手が完全に立ち上がってブレーキをかけることになり、エリモエクセルが脱落。この間にエアグルーヴが４番手へ。しかし、重め残りの馬体重が響いているのか、札幌記念で見せたような爆発力が見られずジリジリとしか伸びて来ない。残り200mを切ってナギサが脱落。ランフォザドリームが先頭に立ったのも束の間、内で体勢を立て直したメジロドーベルが鋭く伸びてランフォザドリームを一瞬で抜き去ると、そのまま一気にゴールを駆け抜けた。エアグルーヴはランフォザドリームも捕まえることができずまさかの３着。このレースが最大目標の馬達と、このレースはあくまで通過点だった馬の明暗がくっきりと現れた結果だった。</div><div><br></div><div>もしもナギサが一貫性のあるペースで逃げていれば結果は大きく変わっていただろうし、乗り替わりの影響も少なからずあっただろう。レース後の横山騎手の「やっぱり(武)豊じゃないとダメなのかな。」という自虐的にも聞こえるコメントにもあるように、大事に乗りすぎたあまり消極的になってしまった部分はある。もっと言えば、太め残りで７割、８割の仕上がりでも勝てると信じていた陣営の慢心もあっただろう。牝馬相手ならば負けるはずがないと。しかし、現実は甘くなく、エアグルーヴは負けた。落としてはいけないレースを落としてしまった事実が重くのしかかり、その事実はエアグルーヴ陣営に少なからずショックを与える。骨折した秋華賞以来、本格化してからは初めて牝馬に負けたのだ。この不用意な敗戦がエアグルーヴの評価を下げる「汚点」となってしまっている。</div><div><br></div><div>エリザベス女王杯でまさかの敗戦を喫したエアグルーヴは予定通りジャパンカップに出走する。本番はこちらとばかりの仕上げを施され、馬体重もキッチリと絞ってきた。横山騎手も２回目の騎乗で、しかも今回は２番人気。圧倒的な支持を集めた前走ほどのプレッシャーは感じなかったのではないか。出走馬１５頭中６頭が海外から参戦してきており、大将格はブリーダーズカップターフの勝ち馬チーフベアハート。しかし、日本馬を脅かす存在とは見られず４番人気。一番人気に推されたのは、この年、武豊騎手に悲願のダービー制覇をプレゼントしたスペシャルウィーク。鞍上には岡部騎手を迎え万全の態勢。三番人気は前走の毎日王冠でサイレンススズカに子供扱いされたとはいえ、未だ底を見せていない能力に魅力を感じさせるエルコンドルパサー。日本の調教馬が上位人気を占める形となった。レースは逃げると目されたサイレントハンターがまさかの出遅れ。最内枠からいつも通りの好発を決めたエアグルーヴが先頭。外から掛かり気味にエルコンドルパサーが上がっていく。スペシャルウィークもその二頭を見るような形で好位グループへ。最初のコーナーに差し掛かるところで出遅れたサイレントハンターが外から猛然とハナに立っていき、エルコンドルパサーは３番手追走しスペシャルウィークがそのすぐ後ろ５番手へ。内ラチ沿いをエアグルーヴが６番手につける。サイレントハンターが大逃げの形を取るがペース自体は平均ペース。各馬道中は特に大きな動きもないまま淡々とレースは進む。サイレントハンターが３馬身程の差をつけて最終コーナーを回る。スペシャルウィークは大外を回り、最内にエアグルーヴ。そのエアグルーヴのすぐ前をエルコンドルパサーがリズム良く、気分良く走る。坂下でサイレントハンターをエルコンドルパサーが持ったままで交わし先頭へ。エアグルーヴが内から襲い掛かる。外からはダービー馬も迫ってくる。坂を登り切った辺りでエアグルーヴがエルコンドルパサーにクビ差まで迫ったところで、エルコンドルパサーの鞍上蛯名正義騎手が満を持して追い出すと、それに応えてエルコンドルパサーが力強く伸びる。ドンドン加速していくと必死に追いすがるエアグルーヴとスペシャルウィークを全く寄せ付けず、２馬身1/2の差をつけてゴール。エルコンドルパサーに突き放されて２着に敗れたエアグルーヴだが、堂々と真っ向勝負をした上でダービー馬スペシャルウィークはキッチリとねじ伏せて半馬身差ををつけているのだから大したものである。ただただエルコンドルパサーの強さが際立ったレースだったが、万全の状態であれば強いダービー馬が相手でも勝てるところを証明し、あらためてエアグルーヴの強さを見せつける結果にもなった。２年連続でジャパンカップで２着に敗れたものの、勝ったエルコンドルパサーが翌９９年に凱旋門賞で２着惜敗したことで、奇しくも２年連続凱旋門賞２着馬に敗れたということになり、さらに、翌９９年のジャパンカップを勝つのがスペシャルウィークなのだから、エアグルーヴの実力がどれほど高いレベルの馬だったのかを理解してもらえるだろう。９６年のファビラスラフインから３年連続でエアグルーヴ世代の牝馬が２着に敗れたということになり、いかにエアグルーヴの世代が強いのかが分かるかと思う。</div><div><br></div><div>エリザベス女王杯の失態をジャパンカップでも敗れた為に完全に払拭するには至らなかったが、あらためて実力は見せることはできた。エアグルーヴにとって最後の汚名返上のチャンスが、引退レースとなる有馬記念。鞍上は再び武豊騎手。エルコンドルパサーがいないここはしっかりと勝利を収めて、有終の美を飾りたいところ。この年の有馬記念は１６頭中Ｇ１馬が８頭。エルコンドルパサー、スペシャルウィークを欠いたとはいえ、なかなか豪華なメンバーが顔を揃えた。一番人気こそセイウンスカイに譲ったものの、ラストランに復活を期待するファンは多数いた。しかし、そんなファンの願いも虚しく、最後の最後までエアグルーヴは悲運に見舞われることになる。エアグルーヴにとって現役最後のスタートが切られる。いつも通りに好発を決めて、あとはいつも通りにレースをさせるだけだった。しかし、そこでアクシデントがエアグルーヴを襲う。スタート直後に落鉄をしてしまったのだ。かなり走りづらかったのだろう。最初のコーナーを回っている時もずっとガタガタするような走りになり、武豊騎手が無理に抑えたわけでもないのにポジションを下げて行く。正面スタンド前に来た時には引っかかったわけでもないのに、どこか力みを帯びた走りをしている。走りに集中しておらずリズムが悪い。不安はドンドン大きくなっていく。第３コーナー途中から武豊騎手の手が激しく動く。しかし前に進んでいかない。第４コーナー途中でムチが入る。それでも前に進んでいかない。最後の直線に入っても伸びが見られない。最後は流れこむようにゴール。掲示板を確保するのが精一杯で、勝ったグラスワンダーから約５馬身離れた５着で現役最後のレースを終えた。最後の最後で不完全燃焼のままターフを去ることになったエアグルーヴはどんな気持ちだったのだろう。落鉄が無ければ。そう思わざるを得ない。悲しい結果となってしまった。</div><div><br></div><div>充実期のエアグルーヴの姿には牝馬特有の可憐さは存在しなかった。牡馬顔負けの身体能力と強靭な精神力、相手に威圧感を与える勝負根性を持ち合わせた馬だった。その堂々とした姿にはどこか神々しさを感じさせ、その姿を見て人々はエアグルーヴを女王ではなく「女帝」と称したのだろう。誇り高きその走りは間違いなく日本競馬史上最強の牝馬であるとともに、日本競馬史上最高クラスの競走馬である。もしもエアグルーヴが何一つアクシデントも無く、順風満帆な競走生活を送れていれば、どれほどの快挙に彩られていたのだろう。しかし実際の競走生活は数々のアクシデントと悲運に彩られていた。それでもエアグルーヴはその運命と戦い続け勝ってきたのだ。快挙と偉業の裏にあるアクシデントと悲運がほとんど触れられずに、現在では競走成績だけで評価をされてしまっている。あまりにもエアグルーヴにとって失礼だと思う。これこそがエアグルーヴにとっては最大級の悲運なのかもしれない。現役引退後、エアグルーヴは繁殖牝馬としても優秀な産駒を多数世に送り出し、直仔だけでなく孫の世代にも優秀な馬を世に送り出していることから、名牝中の名牝として日本競馬史に名を残している。そして2013年４月23日。稀代の名牝は出産後の内出血により２０歳でこの世を去った。天国でのんびりと、かつてのライバル達と過ごしてもらいたいと思う。</div><div><br></div><div>凱旋門賞に出走していれば勝ち負けできたのではないかと思う馬が３頭いる。テイエムオペラオーとキングカメハメハ、そしてエアグルーヴ。特にエアグルーヴはかなりの確率で好勝負できたのではないかと思う。残念ながら、エアグルーヴ自身もその産駒も夢の舞台で出走することは叶わなかった。しかし今年、孫にあたるキセキが出走を果たした。結果は残念だったが、今後もエアグルーヴの血脈が凱旋門賞へ向かい続ければチャンスはあるのではないかと思う。そうして悲願が達成されたその時にこそ、まさしく日本が誇る血統が世界を制したと言えるのではないだろうかと思う。</div><div><br></div><div>それではこれでエアグルーヴのお話は終了。また好きな馬のことを書けたら良いなと思います。それではまた次回。</div><div><br></div><div><br></div><div><br></div><div><br></div><div><br></div>
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<link>https://ameblo.jp/0901manayuki/entry-12542527603.html</link>
<pubDate>Tue, 05 Nov 2019 13:38:55 +0900</pubDate>
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<title>ＪＢＣデー</title>
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<![CDATA[ 地方競馬の祭典とも言えるＪＢＣのＧ１、３レースが今年も行われましたが、大盛況ではあったものの残念なこともあったため、結果的には大成功とは言えないものになってしまいました。<div><br></div><div>昨年は中央の京都競馬場での開催で大変盛り上がり、その熱気をそのままに今年は浦和競馬場での開催。浦和競馬場のコースは小回りな上に大変トリッキーなコースで、枠順の影響もかなりの確率で出る競馬場です。中央馬には走りやすいコースの大井競馬場、川崎競馬場、盛岡競馬場とは異なり、そのコース形態ゆえに展開によっては地方馬の意地が見られるかもしれないというワクワク感もありました。</div><div><br></div><div>ＪＢＣ最初のレースは牝馬限定戦のＪＢＣレディスクラシック。1800m戦で催される事が通例ですが、浦和競馬場では1800mが無いため1400m戦となりました。そして、最初のこのレースで悲劇が起きます。揃ったスタートの後、二の脚を伸ばして２枠のタイセイラナキア号が前に。しかし、この時の馬上で矢野騎手の体勢は左側、つまり内側にかなり傾いており、必然的に馬は内にヨレる形に。（馬上の姿勢が気になった方はパトロールフィルムの写真を参考にしてもらえればわかると思います。隣の枠の武豊騎手と比べていただくとわかりやすいです。）最内を走っていた戸崎騎手騎乗のモンペルデュに接触して初めて矢野騎手は手綱を外へ引っ張るも時すでに遅し。進路を失ったモンペルデュはラチにぶつかるように転倒。戸崎騎手も激しくラチにぶつかる大惨事に。すぐに矢野騎手は振り返り事の重大さに萎縮したのか、まったくレースにならず大敗。戸崎騎手は右肘の開放骨折の疑いありという大怪我の情報もあり、怪我の程度が心配です。落馬時にラチに激突して騎手生命を絶たれた佐藤哲三氏の例もあるだけに不安はある。レースはその後アクシデントもなく、最後の直線ではヤマニンアンプリメが外から鋭く伸びて完勝。鞍上の武豊騎手は２年前の鬱憤を晴らすと共に、地方競馬Ｇ１完全制覇の大偉業を達成。スタート後の事故が無ければもっと大喜びできるのに、あの不用意な事故がレースだけでなく大記録までも霞ませてしまったのは残念の一言。</div><div><br></div><div>続いてのレースは芝のＧ１馬も出走してきたＪＢＣスプリント。今日の最大の歓声はこのレースに注がれていたような気がします。注目は何と言っても藤田菜七子騎手のＧ１制覇なるか。コパノキッキングはスタート後に躓いたものの、すぐに体勢を整えて番手を確保。元々二の脚は速くない馬な上に外枠で、更に内枠を引いたノブワイルドが逃げる事もあったため、スタート後の躓いたことは予想外ではあったものの想定外では無かったのだろう。藤田菜七子騎手は落ち着いていた。レースは武豊騎手騎乗のファンタジストがノブワイルドに楽逃げを許さないように執拗につつく展開。返し馬の時点でダート不向きを感じていたのか、あまり武豊騎手らしくない騎乗だった。600m通過した辺りの藤田菜七子騎手のアクションからして、コパノキッキングが予想外に早くハミを噛んだのだろう。思った以上に早めに前に取り付いていく。最後の直線入り口では早くも先頭。歴史的勝利まであと少し。しかしゴール直前でブルドッグボスにクビ差交わされ２レース続けての快挙達成は成らず。仕掛けはやや早かった印象はあるものの、３着以下はキッチリ３馬身離しており、今日は枠と御神本騎手に泣いただけだと思う。しかし、コパノキッキングのオーナーのコパ氏がレース前に表明した今年のカペラＳでコンビ解消のこともあり、リベンジの機会が失われたのは残念である。</div><div><br></div><div>正直なところ自分は御神本訓史騎手が嫌いだ。藤田菜七子騎手の快挙を阻んだからではない。この騎手の素行の悪さが嫌いなのである。2009年の事件や騎手免許剥奪のこともあり、かなり嫌いな騎手である。技術があるから好き勝手やっていいとはならないという事が理解できてないところが嫌いだ。ゴール後にわざわざ藤田菜七子騎手を指差していたのもモラルの低さを感じさせてイラッとした。しかし、こういう我の強い騎手だったからこそ、場の熱気に当てられずに冷静に勝ちに導けたのかと思うと悪くは言えない。嫌いではあるが技術の高い勝負師なのは知っている。御神本騎手は来なくていいが、こういうタイプの騎手がＪＲＡにもいたらとは思う。</div><div><br></div><div>最後を締めくくるのはＪＢＣクラシック。本来ならば１番盛り上がるはずなのだが、中央勢からの参戦メンバーも大将格不在な上に、ＪＢＣスプリントが2012年の凱旋門賞でオルフェーヴルがソレミアに交わされた時並みのガッカリ感に包まれた為、心なしか盛り上がりに欠けている中でのスタート。レース自体も面白味はあまりなく、ハナ差決着になり２着のオメガパヒュームの鞍上のデムーロ騎手が勝利を確信して得意げに飛行機ポーズをした時に２着確定したのがハイライトだった気がする。しかし勝ったチュウワウィザードとの脚色の違いは明らかで、デムーロ騎手が勝ったと思うのも無理はなく、川田騎手とデムーロ騎手の今の勢いの差が最後のハナ差分だったように思えた。</div><div><br></div><div>圧倒的な支持を集めたチュウワウィザードが勝って格好はついたものの、やはりルヴァンスレーヴやクリソベリル、ゴールドドリームと比べると格が落ちる印象は否めず、このレースが盛り上がりに欠けたのはそうしたメンツしか集まらなかったのが一番の原因か。インティはこちらに出走していれば武豊騎手が乗れたのに、何故わざわざ条件の厳しい昨日のみやこＳを選んだのか謎である。</div><div><br></div><div>今回はここまで。今回レース回顧としなかったのはレース映像が少なく、アングルも見づらいものばかりだった為、あまり細かくレースを見れなかったからです。なので贔屓目全開の内容となりました。それではまた次回。</div><div><br></div><div><br></div>
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<link>https://ameblo.jp/0901manayuki/entry-12542323999.html</link>
<pubDate>Mon, 04 Nov 2019 18:44:35 +0900</pubDate>
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<title>天皇賞回顧</title>
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<![CDATA[ 秋古馬三冠レースの開幕戦、天皇賞・秋が終了しました。このところ関東圏で大荒れの天候が続きましたが、無事開催できたのはなによりでした。<div><br></div><div>今年の天皇賞は女王アーモンドアイ対その他の馬という構図になり、相手の筆頭候補が３歳馬サートゥルナーリア、ついでダノンプレミアムというのが大方の見方だったようです。出走馬１６頭中１５頭が重賞勝ち、さらにその内Ｇ１馬が１０頭と、これだけ聞くとものすごい豪華メンバーに聞こえますが、実際のところアーモンドアイを脅かす程の馬は見当たらない寂しいメンバー構成でした。加えて今の東京競馬場の馬場は前目につけられないと勝負にも加われない、内が超有利な高速馬場。枠順を見た時からつまらないレースになる予感はしていました。そして結論から言うと、予感は当たりました。それも考えていた以上に悪い方に。</div><div><br></div><div>全馬揃ったスタートから予定通りにアエロリットがハナへ。アーモンドアイは第２コーナーでサートゥルナーリアに強引に前に入られたために少し立ち上がったが大事には至らず、７番手最内を手応え良く進む。スティッフェリオ、ドレッドノータスの鞍上が無理に競りかけるのを嫌ったのか消極的な騎乗をしたことにより、アエロリットはリズム良く自分のペースを刻む。ペース自体はこの馬にとってはやや遅めに映る前半1000mを59.0で通過。前に付けていないと勝負にならないため１６頭中１２頭が固まるという異常事態に。この時点で馬群から離れたユーキャンスマイル、マカヒキ、ケイアイノーテック、カデナの４頭は勝負圏外へ。第３コーナー途中でまずドレッドノータスが脱落。スティッフェリオも最終コーナーの時点で早々に手応えを失い、早めの競馬を心がけたダノンプレミアム、サートゥルナーリアが動く。アーモンドアイは馬群が固まったことと、思いのほかワンペースでレースが進んだ影響で馬群がバラけず、最内から動けないままコーナを回る。アエロリットはまだ手応えを残したまま最後の直線へ。外からダノンプレミアムが先頭に立たんと仕掛け、スミヨン騎手のサートゥルナーリアはギリギリまでアーモンドアイを内に閉じ込めつつ追い出しを開始。この時点でルメール騎手の選択肢は２つ。サートゥルナーリアがどくのを待つか最内を突くか。ルメール騎手が選択したのは後者。すると、まるでルメール騎手の仕掛けに呼応するかのようなタイミングで、アエロリットが手前を替えた際に外に膨らみ最内が開く。その一瞬を逃さず加速すると、後はアーモンドアイのワンマンショー。ダノンプレミアム以下に３馬身差をつけてゴール。</div><div><br></div><div>このレースはどう評価すれば良いのかよくわからない。というよりも、ここ２年の間に東京競馬場で行われたレースに対してどう評価をすれば良いのかわからない。昨年の天皇賞・秋も酷かったが今年は輪をかけて酷かったと思う。以前から日本の馬場問題はなんとかしてもらいたいと思っていたが、今回のレースを観て大至急案件だと思ったのは自分だけだろうか？競馬はタイムを競う陸上のトラック競技ではない。今の日本の競馬の主流は騎手の駆け引きもクソもない、上がり勝負の「600m戦」だが、自分が観たいのは「600m戦」のレースではない。2000mなら2000mの、2400mなら2400mのレースが観たいのだ。「600m戦」のレースに特化した馬が欧米で活躍できるはずはない。最近豪州のＧ１を勝った馬が出た事で世界にも通用すると勘違いしている人も多いが、ドバイ、香港、オーストラリアは比較的日本の馬場に通ずるものがあり走りやすい。逆に欧州では今年ディアドラが久しぶりに日本馬としてＧ１を勝ったが、牝馬限定戦、一線級不在でのもので、人気が無く舐められた状態でのものである。事実、一線級相手のチャンピオンＳでは３着善戦したものの内容は完敗だし、凱旋門賞での日本馬の惨状は記憶に新しい。凱旋門賞に勝ちたい、凱旋門賞は日本馬の悲願、と言いながら日本競馬が歩んでいるのは凱旋門賞に勝つためとは真逆の、タイム信奉主義のものになっている。ここ数年、日本のレースに海外の一線級が来日しない理由は何も開催日程だけが理由ではない。日本の馬場で走る価値を見出せないからだと思う。ＪＲＡは本気で馬場の改善に努めなければ、日本の競馬は世界から孤立する危険性がある。</div><div><br></div><div>今回のレース、アーモンドアイにとっては少なからず運に助けられている部分がある。最大の要因は１枠を引いた事だが、他にもサートゥルナーリアに寄られた事で想定よりも後ろになったものの、その後誰からも絡まれなかった事。ワンペースでレースが展開したため、終始最内を走り続けられた事。そして、アエロリットが最内一頭分外に膨れた事。先団につけていれば他馬にもっと絡まれ、あそこまで脚が溜まらなかっただろうし、最内をずっと走っていなければ、アエロリットが外に膨らまなければもっと際どかっただろうし、ひょっとしたら負けていたかもしれない。これらのいくつもの幸運が揃ったために圧勝したように見えているが、実際はそこまで楽なレースではなかった。</div><div>アーモンドアイを見ていると可哀想だと思う。アーモンドアイは近代日本競馬の「600m戦」特化型の完成形で、高速馬場で「上がり勝負の600m戦」であれば現役最強だろうし、その条件下であれば歴代で見てもこの馬に勝てるとすればディープインパクト、オルフェーヴル、ロードカナロア辺り、牝馬でとなるとエアグルーヴ位のものだろう。あくまで高速馬場での「上がり勝負の600m戦」でなら世界でも最強クラスだと思う。事実ドバイで完勝している。しかし、そんな条件付きの最強馬に凱旋門賞を期待されても、現実的には大敗は免れないだろうと思う。しかしファンは凱旋門賞を夢見る。勝手なものだ。恐らく次走はＪＣだろうし、よほどのことが無ければ勝つだろうし来年も現役続行をすると思う。そして今年と同じローテを選択するだろうし、それは絶対的に正しい判断だと思う。この馬に欧州の馬場は確実に合わない。しかしファンは納得しないだろう。レースで勝つのは当たり前。勝っても偉業とは言われない。他に強い馬やライバルが同時代にいれば違った競走生活だっただろう。それを考えると実に可哀想な馬だと思う。</div><div><br></div><div>ダノンプレミアムは安田記念の事故のダメージが心配されたが、万全の状態で出走してきた。陣営の懸命なケアを思うと頭が下がる。道中は終始アーモンドアイを見ながら進め、外目から強気に早め早めの競馬で２着に来たことは評価に値するしこの馬の実力を改めて感じたが、アーモンドアイから離されたところを見るに2000mが限界のように見える。今後はマイル路線を選択すれば大きいところを勝てそう。</div><div><br></div><div>アエロリットは自分のリズムで走れればあれくらいはできる馬で、他馬が競りかけてこなかった幸運も重なって実にこの馬らしいレースだったと思う。指示されたことだけを遂行することに定評のある戸崎騎手が上手く乗ったが、もう少し大胆に乗っていればと思うともったいないレースだったとも思う。良くも悪くも戸崎騎手らしいレースだった。ただ、2000mは守備範囲と証明できたのは大きいだろう。</div><div><br></div><div>ユーキャンスマイルの岩田騎手は最初から勝つつもりで騎乗していなかったのではないか？陣営が最大目標はＪＣと公言していたし、恐らくこの馬に2000mは若干短いというのもある。だからあまり無理はさせない競馬にしたのではないかと思っている。もし仮に勝つつもりであの戦法を取ったのならば、この馬を過大評価し過ぎと言わざるを得ない。確かに上がり最速だったとはいえ、アーモンドアイとコンマ１秒しか変わらないのだから交わせるはずもない。あの位置から２着争いにまで食い込んできたのは立派だが、道中脚を使わず直線勝負に徹した結果とも言えるので、ＪＣでは過信は禁物な気はする。</div><div><br></div><div>ワグネリアンは枠順に泣かされた部分を差し引いても、あまりにもアッサリと負けすぎ。枠順以外の敗因は100%福永騎手にあると断言できる。うるさい面を見せていたのは事実だが、好発を決めながら後方にわざわざ下げたのは理解に苦しむ。トップジョッキーと言われる立場の騎手が、自分の力で勝ちにいくことを放棄して、折り合いに専念する展開任せ運任せのレースを選択したのだから救えない。あれだけ消極的なレースをしながら際どい５着にきているのだから能力は高い。ダービーの時のような強気で積極的な騎乗をしていれば、勝てはしなかっただろうがこの馬が２着だっただろう。いや、この馬にデットーリ騎手やムーア騎手が乗っていれば勝てたかもしれない。それくらいこの馬のポテンシャルは福永騎手の手に余る。レース後の福永騎手の「本音を言えばもう一列前でレースしたかった。」というコメントに苛立ちを覚えたのは自分だけではないはず。この馬に再度大きいところを勝たせたいと思うのであれば、関係者はまず福永騎手を降ろすという英断をするべきではないだろうか？</div><div><br></div><div>サートゥルナーリアは見るからにカッカッとしており、こんなのでレースになるのか？と不安になったが、その不安の通りになってしまった。スミヨン騎手が腕力で押さえ込んでもああなのだから、日本人騎手ならば大惨事だっただろうと思う。色々な意味でスミヨン騎手で良かった。唯一アーモンドアイに勝つ為の競馬をしたが、古馬の壁を破れず。精神面での弱点が完全に露呈した形になり、改善しない限りは遠征競馬では苦戦を強いられそう。敵は他馬ではなく自分自身だろう。ゴールドシップみたいな馬だと言えば分かりやすいだろうか？掛かってもスピード能力があれば押し切れる可能性があるマイル路線が現状ではベストか。</div><div><br></div><div>最後にスティッフェリオ鞍上の丸山騎手とドレッドノータス鞍上の坂井騎手には苦言を呈したい。あの乗り方は勝つ為の乗り方だったのか？それともただ着を拾いに行った乗り方だったのか？もし勝つ気があったのであれば、アエロリットにあれだけ楽をさせたのは理解できないし、着を拾いに行ったとしたらなぜ前に付けたのか理解できない。社台グループから圧力でもかけられているのかと勘繰りたくなる消極的な騎乗が、今回のレースをつまらなくした要因でもある。ただこの姿勢は、中堅以下の日本人騎手がミスをすればすぐに乗り替わりの憂き目に遭う為に消極的になり、その結果さらにミスが続くという今の外国人騎手優遇のやり方が生んだ弊害によるものだろう。だからこそ、そんな今の現状を打破する為にも、彼らにはもっと伸び伸びと騎乗して一石を投じて欲しかった。もちろん彼らにも生活がある。今までに築いてきた信頼関係もある。勝手な事を言っているのは重々承知の上で、それでも大敗を恐れない積極的な騎乗をして欲しかった。</div><div><br></div><div>今回はここまで。レース回顧というか愚痴ばかりになったのは反省点ですね。それではまた次回。</div><div><br></div>
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<link>https://ameblo.jp/0901manayuki/entry-12539907520.html</link>
<pubDate>Sun, 27 Oct 2019 20:56:35 +0900</pubDate>
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<title>エアグルーヴ・中編</title>
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<![CDATA[ 今週は伝統の一戦、天皇賞・秋が開催されます。今年の出走予定馬は多士済々。目移りしそうな面子が揃った興味深い一戦となりそうですね。ファンの注目はやはりアーモンドアイでしょうか？日本ではウオッカ、ダイワスカーレットの世代以降、強い牝馬の時代は続いており、また、ザルカヴァやゼニヤッタ、トレヴやエネイブルなどなど、近年では欧米でも“強い牝馬”の傾向があり、その勢いはまだまだ収まる気配がありません。<div><br></div><div>さて、日本近代競馬における“強い牝馬”の歴史の礎となった馬、『女帝』エアグルーヴ。今回はそんなエアグルーヴの栄光と悲運の競争生活を前回からの続きとして書きたいと思います。</div><div><br></div><div>1997年6月22日。前年の秋華賞のレース中の骨折により休養を余儀なくされたエアグルーヴの約８ヵ月ぶりの復帰戦に選ばれたのは、創設間もない牝馬限定のＧⅢ、<span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">第２回マーメイドステークス。骨折休養明けにも関わらず、唯一のＧ１馬ということもあり、他馬より１キロ重い５６キロ、更に１３頭立てとはいえ大外からの発走と、流石に厳しいレースになると思われた。しかし、ファンが強いオークス馬の復活を期待していることは、単勝1.9倍の一番人気に支持されたことからも窺い知れた。そして、エアグルーヴはファンの期待以上のパフォーマンスを披露する。好スタートを決めた後、久々のレースという事もあり、行きたがる素振りは見せたもののすぐに落ち着き、平均ペースで淡々と流れるレースを中団の外目から追走。残り1000m付近から馬の行く気に任せ徐々にポジションを上げていき、手が動く馬が多い中で一頭だけ涼しげに進出し最終コーナーを回る時には中団から４番手まで来ていた。馬の脚元の負担を少しでも軽くしようと馬場の痛みが少ない場所を走らせた結果、武豊騎手にしては珍しく大外を回って最後の直線へ。直線に入っても武豊騎手はすぐに追い出さず、少しでも馬場の良いところを走らせるために更に外に。その時点で先頭を走るシングライクトークとは２馬身程の差があった。走らせるラインを決めて武豊騎手がゴーサインを出したのが残り300mを切った辺り。素早く反応したエアグルーヴはグングン加速していき、坂の途中で先頭に並ぶ。シングライクトークが予想外の粘りを見せるも、残り100mで抜き去ると武豊騎手はすぐに手綱を抑える。それでも悠々と3/4馬身差をつける完勝劇。昨秋に屈辱を味わった女王が、一回りも二回りも大きくなって再びターフへ戻って来た瞬間だった。</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);"><br></span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">陣営が次走に選んだのは、この年からＧⅡに格上げされた札幌記念だった。Ｇ１を２勝しているジェニュインが出走しており、他にも重賞勝ち馬が名を連ねる一戦となった。前走と同じ１３頭立てとはいえメンバー構成は前走の比ではなく、加えて牡馬混合戦。牝馬はエアグルーヴを含めて５頭。エアグルーヴが５５キロ、他４頭が５４キロとなり、ジェニュインは５９キロを背負っての出走となった。どんなレースを見せてくれるのか。そんな思いもあるのか、ファンはまたしても</span><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">単勝１倍台の一番人気に支持し、そしてエアグルーヴもまた、期待以上のパフォーマンスを披露する。いつも通りの好発を決め、他に行きたい馬がいると見るやスッと中団へ。平均ペースで流れる中エアグルーヴはしっかりと折り合いを付ける。すぐ後ろをジェニュインがぴったりマークしていることなど気にも留めず、第３コーナーから悠然と前へ進出。外をスルスルと上がっていき、先頭に並びかける勢いで最後の直線へ。残り250m付近からゴーサインを出されると一瞬のうちに加速。あっという間に先頭に躍り出ると、みるみるうちに後続を引き離し最後は悠々と流しながらゴールイン。直線勝負にかけていた同世代の牝馬エリモシック以下１２頭に２馬身半差をつける圧勝。この勝利を受けて、陣営は正式に天皇賞・秋へ出走することに決めたのである。</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;"><br></span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">1997年10月26日。この日行われた天皇賞を境に日本競馬は急激に変化していく。グレード制が導入された1984年以降、各路線が整備されレース形態も大幅に見直されたことにより、これまで軽視されていた短距離路線も安田記念、マイルＣＳ、スプリンターズＳ(1990年からＧ１昇格)と３つのＧ１が施行され、これまでタカラスチール、パッシングショット、ダイイチルビー、ニシノフラワー、シンコウラブリイ、ノースフライト、フラワーパークといった馬達が牡馬相手にＧ１を勝ってきた。ただ、短距離レースはスピードが優れていればまだ勝つことができたが、中距離以上のレースとなるとヒシアマゾンやダンスパートナーが牡馬相手に互角の戦いを繰り広げはしたもののＧ１を勝つまでには至らず、スピードと切れ味だけでは中距離以上は牝馬では牡馬相手には通用しないのが現実としてあり、牡馬と牝馬の力量差は斤量差２キロでは埋められない壁があった。ちなみに前年のＪＣ２着のファビラスラフインは勝ったシングスピールとは４キロ差の５３キロだった。このハンデがあってもハナ差とはいえ負けている。また1984年に天皇賞・秋の距離が2000mに短縮をされて以降、牝馬は勝ちはおろか連対すら果たせていない。その為、エアグルーヴ陣営が天皇賞に出走すると表明した際には周囲からは「挑戦」と言われ続け、その度に伊藤雄二調教師は「挑戦というつもりはありません」と力強く繰り返した。エアグルーヴが天皇賞に出走することは挑戦などではなく当然のことなのだと。</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;"><br></span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">この年の天皇賞・秋はエアグルーヴにとって幸運なことが２つあった。１つは、出走すれば難敵になるであろう馬がサクラローレル、マヤノトップガン、マーベラスサンデー、バブルガムフェローと４頭いたが、この内、サクラローレルは凱旋門賞を目指してフォワ賞(８着)に出走し、レース後に屈腱炎が判明しそのまま引退。マヤノトップガンは天皇賞・春を勝利後秋に備えて休養。しかし、秋シーズンを前にこちらも屈腱炎を発症し引退。マーベラスサンデーは宝塚記念を勝った後に骨折が判明。復帰戦は有馬記念と表明した為、相手はバブルガムフェローただ一頭に絞れたこと。もう１つは、主戦である武豊騎手が騎乗できたこと。主戦騎手が武豊騎手であるマーベラスサンデーが骨折をしていなければ恐らく天皇賞に出ていただろうし、もしそうなっていればエアグルーヴの鞍上は別の騎手になり、歴史は動いていなかったかもしれない。挫折を味わっても決して挫けなかったエアグルーヴに対して、神様が幸運をプレゼントしてくれたのかもしれない。</span><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">とはいえ、出走馬１６頭中で牝馬はエアグルーヴのみ。バブルガムフェロー以外の牡馬陣も、ジェニュインやロイヤルタッチ、ローゼンカバリーやサイレンススズカなど多士済々、重賞勝ち馬はエアグルーヴを含めて１３頭という好メンバーが揃っていた。人気は前年の天皇賞・秋の覇者で岡部騎手騎乗のバブルガムフェローが単勝１倍台の支持を集め、エアグルーヴは4.0倍の二番人気だった。戦前はいかにエアグルーヴといえど、バブルガムフェローには勝てないのではないかというのが大半の考えであった。</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;"><br></span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">そして運命のゲートは開く。全馬揃ったスタートの中、まずサイレンススズカが飛び出して後続を引き離して逃げる。バブルガムフェローは大きく離れた３番手で流れに乗り、エアグルーヴはバブルガムフェローを見る形で７番手の中団外目に控える。サイレンススズカがスピードを緩めず快調に飛ばしていき前半1000mが58.5という超ハイペースに。しかし、後続が大きく離れていたこともあり、２番手以下は平均ペースでレースは流れていく。「最後まで持つ訳がない」という考えが他の騎手の頭にあったのかも知れない。終始誰も捕まえに行くことはせず、隊列が変わらないまま最終コーナーを回る。最後の直線に向いてもサイレンススズカのリードは依然５馬身ほどあり、驚く事にサイレンススズカの脚は止まっていない。想定外の事に直面し若干の焦りもあったのかここで岡部騎手が動いた。直線を向いて間もなくバブルガムフェローが前を捉えにいく。その動きを武豊騎手は見逃していなかった。冷静に仕掛けのタイミングをはかり、仕掛けをワンテンポ遅らせて坂の手前でゴーサインを出す。この時点では内にいるバブルガムフェローとの差はまだ２馬身ほど。懸命に坂を駆け上がり、坂を登り切る手前で半馬身差まで縮める。そして、坂を登りきったその時、本当に一瞬のことだった。エアグルーヴが更に加速して、残り200m地点でバブルガムフェローの前に出た。徐々にではなく外から一気に、一息でかわしたのである。しかし、バブルガムフェローもそこからが強かった。エアグルーヴを差し返そうとギアを上げる。この時点ではまだサイレンススズカが先頭に立ってはいたが、すでにエアグルーヴとバブルガムフェローのマッチレースとなっていた。残り約150mから二頭による馬体を併せてのマッチレース。僅かにクビ差ほど前に出ているエアグルーヴを差し返そうとバブルガムフェローがスピードを上げれば、それをさせまいとエアグルーヴが更に脚を伸ばす。激しい追い比べはゴールまで続いたが、最後までクビ差は縮まることはなく、遂にエアグルーヴはバブルガムフェロー以下１５頭の牡馬を力でねじ伏せる事に成功した。ゴールの瞬間は鳥肌が立った。レースを観ていて鳥肌が立ったのは初めてだった。１７年ぶりの牝馬による天皇賞制覇。しかしそれだけではない。グレード制が導入された1984年以降、中距離以上の牡牝混合Ｇ１を勝利した初めての牝馬である。それも単純にスピードと切れ味だけではなく、絶対に抜かせまいとする強い精神力と勝負根性も見せつけての完勝であり、エアグルーヴは歴史の重い扉を文字通り自らの力でこじ開けてみせた。牡馬と牝馬の間に横たわっていた「性別による身体面の差」の壁が壊された瞬間だった。</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;"><br></span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">それにしてもこのレースはとてつもない。エアグルーヴとバブルガムフェローの差は僅かにクビ差だが、バブルガムフェローと３着馬ジェニュインとの差が実に５馬身。</span><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">レースのラスト３ハロンの通過タイムは12.4-12.0-11.6。併せ馬の効果かゴールに向かって加速している。しかも凄まじい勢いで。</span><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">いかにこの二頭の力が抜けていたか、そしていかにこの二頭が死力を尽くしていたのかが良く分かる。上がり３ハロンがエアグルーヴは34.7、バブルガムフェローが35.1。その次に速かったのが９着のユウトウセイな35.5なのだから、他の１４頭は蚊帳の外だった。バブルガムフェローがいなければエアグルーヴはあっさりと勝利していただろうし、エアグルーヴがいなければバブルガムフェローはあっさりと天皇賞・秋を連覇していたのだろう。伊藤雄二調教師がエアグルーヴを牝馬という枠組みから外して、「エアグルーヴにとってより相応しい舞台」で走らせる選択をしたからこそ、天皇賞史に残る名勝負が生まれたのだ。もしこの選択をしていなければ、今の強い牝馬の時代はもう少し遅れていたかもしれない。</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;"><br></span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">陣営が次走に選んだのはジャパンカップ。１４頭立てながら海外からは６頭出走してきており、中でも注目を集めたのは欧州から参戦してきた、前年度の優勝馬シングスピールと同世代の大物ピルサドスキー。ピルサドスキーはこれまでブリーダーズカップターフなどＧ１を５勝。この年の凱旋門賞をパントルセレブルに５馬身ぶっちぎられたとはいえ２着と、実力、実績を鑑みても実質世界No.2の大物である。それでも地の利を考慮されてか、人気はバブルガムフェローが一番人気、エアグルーヴが二番人気と天皇賞と同じ並びになり、ピルサドスキーは三番人気にとどまった。これはパドックで馬っ気を出していたのも含めてのものだったかもしれない。</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;"><br></span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">ローゼンカバリーと海外馬アスタラバドがスタートで立ち遅れたものの、他の１２頭は揃ったスタート。エアグルーヴもいつも通りの好発を決めた。明確な逃げ馬不在の中、ツクバシンフォニーが先手をとり、エアグルーヴは無理には下げず４番手を追走。バブルガムフェローがそのすぐ後ろをピッタリマークするように５番手と天皇賞とは逆の展開となった。ピルサドスキーは枠を活かしてインコースの９番手辺りで脚を溜める。逃げるツクバシンフォニーが作り出すペースは早くもなく遅くもない平均ペース。隊列はバラけずひとかたまり。最終コーナーまで各馬動きのないまま直線へ。ここでピルサドスキー鞍上のキネーン騎手が巧みなコーナーワークを見せる。コーナーを回り切る前に進路を最内からスムーズに外に出し、直線入り口で馬場の真ん中辺りから前を窺うエアグルーヴの内側へスッとつける。この時、武豊騎手は小さなミスをしてしまう。いや、ミスというにはあまりに小さな、相手が並の馬ならばミスとも呼べないほどの小さなミス。仕方のない部分もある。このレース、エアグルーヴの外側から半馬身差ほど後ろをずっとバブルガムフェローがついてきており、武豊騎手の視界にずっと入っていたために意識がそちらの方に向いてしまい、内にいるピルサドスキーの存在が意識の外にあったのだろう。結果、ピルサドスキーの位置を確認しないまま直線へ入ってしまった。３頭のうち、真っ先に仕掛けたのは岡部騎手のバブルガムフェロー。天皇賞の再現はさせないとばかりにエアグルーヴを捉えにいく。しかし、手綱を抑えたままのエアグルーヴの前に出ることができない。次いでキネーン騎手が仕掛ける。自分の進路上に２番手からズルズル後退してきたタイキフォーチュンを確認すると、一旦エアグルーヴの真後ろにつけてやり過ごし進路を再度内へ。内から前を捉えにいく。エアグルーヴの手綱はまだ動かない。武豊騎手はギリギリまで引きつけ、坂を登りきった辺りでゴーサイン。いつもどおりの加速をするとこの時点でバブルガムフェローを引き離す。後は栄光のゴールに向かうだけと思われたが、残り200mで内からピルサドスキーが襲いかかる。約150m地点で一瞬の切れ味を見せたピルサドスキーが半馬身ほど前に出る。万事休す。恐らくキネーン騎手も勝ちを確信したと思う。しかし、エアグルーヴはそこからもう一度差し返すために脚を伸ばす。一旦は半馬身ほど出られたがそこから一完歩ずつ差を詰める。クビ差まで迫り後もう少し。もう少しでかわせる。だが、そこまで迫ったところで無情のゴール。日本の牝馬によるジャパンカップ制覇は夢と消えた。</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;"><br></span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">とはいえ悲観する内容では全くなく、むしろエアグルーヴの凄まじさというか恐ろしさというか、とてつもないものを見せられたという感じだった。まず、負けた相手は世界No.2であるピルサドスキーだし、その上そんな相手に一旦は完全にかわされながら差し返しにいって再度伸びてくるという、牡馬であっても中々できることではない事をやってのけたのだから恐ろしい。また、ほんの１ヶ月前にギリギリのデッドヒートを繰り広げたバブルガムフェローを完全に子供扱いし、天皇賞の着差がクビ差だったのが、今回は１馬身1/4差まで広げたのだから凄まじい。もはやエアグルーヴに勝てる馬は、牡馬であってもトップクラスに相当する馬でなければ太刀打ちできない。そんなレベルの存在にまでエアグルーヴは成長していた。</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;"><br></span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">９７年の締めくくり、有馬記念はグランプリレースと呼ぶにふさわしい豪華な顔ぶれが揃った。天皇賞、ジャパンカップの激戦の疲労が抜けきらないということで直前になってバブルガムフェローが回避をしたものの、骨折休養明けながら予定通りこのレースに的を絞って万全の状態で出走してきたマーベラスサンデーを筆頭にＧ１馬が６頭。一番人気はデビューから全レース武豊騎手が手綱を取っているマーベラスサンデー。武豊騎手に代わりペリエ騎手が手綱を取ることになったエアグルーヴがそれに続く。</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;"><br></span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">この年の有馬記念のことを覚えている人は少ないと思う。その理由として、質の高いメンバーが揃ったのとは裏腹に、レース自体は世紀の凡戦になってしまったことが原因だと考えられる。競馬好きな人に歴代の有馬記念の勝ち馬を質問して、９７年の勝ち馬は？と質問してすんなりとシルクジャスティスと答えられる人は少ないと思う。なぜこのレースが世紀の凡戦となったのか？最大の原因が他ならぬシルクジャスティス自身にある。</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;"><br></span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">ローゼンカバリーがＪＣ同様に立ち遅れたが、それ以外の１５頭は揃ったスタート。予想通りカネツクロスが先手を奪い、エアグルーヴが中団、マーベラスサンデーが後方につける。スタートからの900mの通過タイムが54.1と平均ペースで進み縦長の展開へ。しかしこのレースは向正面に入る手前から異常なものになっていく。先頭を走るカネツクロスの的場騎手が極端にペースを落としすぎた為、第３コーナーを待たずに馬群が一気に固まる事態へと発展。どれくらいペースが変わったかというと、最初の900mが7.2-11.1-11.8-11.8-12.2に対し、次の1000mが12.8-13.5-12.6-11.9-12.4。タイムは63.2。仮定で前半を1000m、最初の１ハロンを13.0で通過したとしても59.9と、前半との差は実に３秒以上も出たのである。1700m通過時の11.9は、突然の極端なペースダウンに２番低下の馬が我慢しきれず、自分のペースで走る為に早々とカネツクロスを抜き去りに行ったことで起きたオーバーペースである。この時点で上がり勝負が見込めない消耗戦の展開へ。カネツクロスがズルズル後退していく中で変わって先頭に立ったのはタイキブリザード。このタイキブリザードを含めた好位グループが激しく手綱を動かしている中、エアグルーヴは内から楽な手応えのまま進出していく。外からメジロドーベル、更に大外からマーベラスサンデーが一気に前を捉えんと早めに上がっていき最終コーナーを回る。直線に向いてすぐにペリエ騎手が強気のスパート。それに応えたエアグルーヴがみるみるうちに加速し坂下で早くも先頭。そこへマーベラスサンデーが襲いかかる。バブルガムフェロー以上の強敵相手にあくまでも真っ向勝負を挑むエアグルーヴと、武豊騎手が相手はエアグルーヴただ一頭と決めて仕掛けたマーベラスサンデー。残り約200m付近から二頭の鍔迫り合いが始まる。坂を登りきってもエアグルーヴはまだ先頭を譲らない。しかし、残り100m付近でマーベラスサンデーも意地を見せグイッとひと伸びし遂にエアグルーヴを捉える。それでもエアグルーヴは離されずに食らいつく。二頭が死力を振り絞った有馬記念史上に残る名勝負となるはずだった。だがそうはならなかった。ゴールまであと１０ｍ程のところで流石の２頭もほんの少し脚色が鈍る。そのほんの少しの間隙を縫って二頭に出し抜けを食らわすようにシルクジャスティスが外から襲いかかり、ゴール前２ｍ付近で番狂わせを演じたのである。もしもマーベラスサンデーとエアグルーヴの追い比べのまま終わっていれば、９７年の有馬記念は有馬記念史上に残る名勝負として語られていただろう。しかし、シルクジャスティスが勝ってしまったが為に、有馬記念史上に残るはずの名勝負は世紀の凡戦に成り下がってしまったのだ。</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;"><br></span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">ここまでシルクジャスティスの事をさも悪役の様に書いてしまい、シルクジャスティス本馬や、オーナーさんを含む関係者の方々、ファンの方達には大変申し訳無いと思う。しかしながら恐らく、シルクジャスティスは名バイプレイヤータイプの馬で、Ｇ１では善戦止まりだが重賞戦線では長く活躍する馬だったのではないかと思う。それなのに、シルクジャスティスはこの有馬記念で激走した。まるで残りの競走生活の全てをこの一戦で全てを燃やし尽くすかのような激走を。事実、シルクジャスティスは有馬記念以降１１戦し、一度も勝つ事ができないままターフを去っている。ＧⅡで２着と３着が１回ずつあり、Ｇ１でも４着には来ていたものの、最後までこの有馬記念以上の走りを見せることはないまま引退していった。その結果、言い方は悪いが漁夫の利、棚ぼた的な感じで優勝した印象が強いため、シルクジャスティスの存在と共にこのレースの印象が薄くなってしまい、結果として世紀の凡戦となってしまったのではないかと思う。</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;"><br></span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">とはいえ、エアグルーヴのレース振りは一線級の牡馬と比べても何ら遜色なく、天皇賞、ジャパンカップと激しいレースを繰り広げながら、更に有馬記念に出走し秋古馬三冠レース皆勤と、牡馬顔負けのタフネス振りも見せつけた。天皇賞、ジャパンカップで同じく激走し、疲労が抜けず有馬記念を回避したバブルガムフェローとは対照的である。ジャパンカップと有馬記念は敗れたものの、どちらも紙一重の接戦を演じており、最早その実力を疑うものはおらず、エアグルーヴは1971年のトウメイ以来２６年振り、史上２頭目となる牝馬の年度代表馬となり、いつしか「女帝」と称されるようになっていた。陣営は９８年も現役続行を表明しファンを喜ばせた。</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;"><br></span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">こうして前年度の悪夢を自らの力で払拭して見せた女帝の輝かしい一年は終了した。この年のエアグルーヴの活躍が後の日本競馬の歴史を大きく変える礎となる。</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;"><br></span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">色々と書きたい事を書いたら想像以上に長くなってしまったため、今回はここまで。本当はもっと書いていたけどあまりに長かったので、削って削ってしたのにもかかわらずこの長さに。なので、エアグルーヴ・前編の最後に続きは後編へ、と書いてたのですが、ここまで書いたらエアグルーヴの引退まで書きたいので、急遽変更して今回は中編としました。それではこの続きは後編で。</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;"><br></span></div><div><br></div>
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<link>https://ameblo.jp/0901manayuki/entry-12538014842.html</link>
<pubDate>Mon, 21 Oct 2019 16:51:54 +0900</pubDate>
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<title>菊花賞回顧</title>
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<![CDATA[ 2019年のクラシック戦線も本日の菊花賞で終了しました。夏場にダービー馬のロジャーバローズが故障により引退。皐月賞馬サートゥルナーリアが距離適性を重視して天皇賞参戦を表明したためＧ１馬不在、更にダービー２着馬ダノンキングリーも別路線を選択したため、今年の菊花賞は確固たる主役不在の混戦模様となりました。<div><br></div><div>そんな中、一番人気に推されたのは皐月賞２着、ダービー３着、前哨戦の神戸新聞杯も２着とメンバーの中では実績上位のヴェロックス、やや離れた二番人気がニシノデイジー、三番人気がワールドプレミア。意外だったのが、四番人気から二桁倍率だったこと。馬券を購入している方たちの迷いがオッズからも見てとれました。</div><div><br></div><div>先週の秋華賞同様に前日に強い雨が降ったため、当日の馬場状態が一つのカギと思われていたが、これまた秋華賞同様に当日の好天と風のおかげで良馬場に回復。多少の重さはあるにせよパンパンでもないため、馬場状態によるハンデは無さそうに映った。</div><div><br></div><div>確固たる逃げ馬不在、逃げも選択肢にあるという馬がいない中、菊花賞のゲートは開いた。ゲートが開く直前にザダルがクビを上げ、それにつられたニシノデイジーがクビを上げ、態勢が整う前にゲートが開いたためニシノデイジーがやや立ち遅れ。前に行くために無駄に脚を使いたくないし、前に行くにしてもハミを噛まれたくないという葛藤もあったのか、ジリジリとしている間にどんどん前が閉じられ、戦前から前目に付けたいとコメントしていたルメール騎手の思惑とは裏腹に後方からの競馬を余儀なくされる。反対に抜群のスタートを決めたのはワールドプレミア。好発から枠を活かして後ろに下げる事もなく絶好のポジションを追走。ヴェロックスもスタートを決めてスッと促されスムーズに好位につける。</div><div><br></div><div>内枠からスタートを決めたユニコーンライオンがハナを切るかと思われたが、５枠の二頭も無理に抑えず前に行ったため、ユニコーンライオンの岩田騎手が抑え、代わって先頭に立ったのがデムーロ騎手のカウディーリョ。ヴァンケドミンゴの藤岡祐介騎手は２番手で落ち着く。デムーロ騎手も恐らくは逃げたかった訳ではなかったはずなので、当然ペースは上がらず最初の1000mが62.4のスローペースに。ヴェロックス、ワールドプレミアが行きたがる素振りを見せていたが何とか我慢をさせる。</div><div><br></div><div>スタート後に隊列が決まってから道中は一切動きがなく、隊列もほとんど変わらないまま2000mが通過し、通過タイムが2.05.3とかなりのスローペースに。業を煮やした後方グループが坂の下りから前を捉えに行ったところで初めてレースが動いた。まず動いたのはホウオウサーベル、更に外を回してタガノディアマンテ。その動きに呼応するようにヴェロックスが先頭を窺いに行く。馬群が一気に塊になり最終コーナーへ。この時点で各馬が外を回して行く中、ただ１人武豊騎手は仕掛けを一呼吸置いて、すぐ前を走っていたユニコーンライオンが脚を無くしていると判断するや、この馬をまず交わし再度ラチ沿いを確保した後そのまま一気に仕掛ける抜群のコーナーワークで、他馬とのワンテンポの差を一瞬で消し去る冷静なファインプレーを見せて最後の直線へ。</div><div><br></div><div>スローペースのお釣りが残っているカウディーリョが二枚腰を発揮し、早めに捕まえに来たヴェロックスにもまだ並ばせない。早めに外を回したホウオウサーベルは直線で早々に脚を無くし、タガノディアマンテも伸びきれない。ヴェロックスは反応が鈍くなかなか加速していかない。ニシノデイジーのルメール騎手が内を掬おうとするも、距離の影響なのか脚が上がってしまう。そんな中カウディーリョのすぐ後ろでコーナーを回り、ほとんど減速せずスムーズに外に出して加速したワールドプレミアが、伸びあぐねるヴェロックスを尻目に先頭を捉えにかかる。予想外の粘りを見せるカウディーリョに手こずるも残り200mの地点で振り切り、ヴェロックスも置き去りにし、最後に鋭く迫ったサトノルークスの猛追もクビ差凌ぎきったところが栄光のゴールだった。</div><div><br></div><div>近年の日本競馬の主流となっている最後の３ハロンだけの競馬、いわゆる“600m戦”となっている騎手の駆け引きもクソもないつまらないレースが多い中で、珍しく騎手の攻防が見えた面白いレースだったと思う。</div><div><br></div><div>ワールドプレミアは決して運だけで勝利した訳ではなく、春先から神戸新聞杯の間には見られなかった心身の成長が、神戸新聞杯から菊花賞の間に驚異的とも言えるレベルで成長した結果だと思われる。この馬にとっては春先から全休して秋に備えられたことがプラスに作用したのだろう。無理に使っていたらこの結果は無かったかもしれない。この馬は今後更に強くなる可能性はかなり高い。今回プラス１２キロが信じられない位に身体が薄く、まだ馬体重は増えそうだし気性がかなり幼い。それなのに走り方は、活躍するディープインパクト産駒特有の「首の使い方が上手く、グッと沈むように身体全体を限界まで収縮させる走り方」を既に見せている。２着のサトノルークスと比較すると良く分かると思う。今日は武豊騎手の技術と潜在能力だけで勝っただけで、この馬が完成したらどれだけ強くなるのか、楽しみが尽きない。ケガをしない事を強く願う。</div><div><br></div><div>サトノルークスは気楽に乗れたことが躍進の最大の理由だと思う。福永騎手は今回のように、人気はないけど良い馬に乗るとシレッと持ってくるのに、人気のある馬に乗るとアッサリと飛ばすという相変わらずよくわからない騎手である。枠が逆だったらこの馬が勝ったという人もいるようだけど、外枠だったからこそあそこまでスムーズな競馬ができた印象があるので、一概に枠順がどうとは言えないと思う。この馬は胸前の筋肉がまだつききってないので推進力が弱く、当分は極端な競馬しかできなさそうで善戦止まりが続きそうだが、身が入ってくれば大レースでも勝ち負けしそう。</div><div><br></div><div>ヴェロックスは直線に入ってからの川田騎手の追い方が馬上でガタガタした為にスムーズに加速できなかったことが結果的に致命傷になったと思う。川田騎手は腰を痛めているのだろうか？ここ最近の追い方は馬上でバランスを崩していることが多い。また人気を背負った時の慎重な騎乗もマイナスになっている。馬の仕上がりは良かっただけに実にもったいない。一度別の騎手を起用してみるのも手ではないだろうか。今のこの馬の印象は弱くは無いが強くも無く、明確な武器が無いのでバランスは良いが決してハイレベルでは無いという、実に中途半端な評価になってしまう。</div><div><br></div><div>ニシノデイジーはスタートの微妙な立ち遅れが最後まで響き、見せ場すら作れずに大敗。距離も長かったとはいえ、勝負を賭けてルメール騎手を起用してのこの結果。やはり菊花賞までは勝浦騎手でいってもらって、それでも結果が出なければやむなく乗り替わりということで良かったのでは？と思う。</div><div><br></div><div>今年の菊花賞は武豊騎手がまだまだ健在であることを見せてくれました。差すのではなく早めに先頭に立たせて押し切るという、トライアルとは違う乗り方を選択する判断力と、第４コーナーの目立たないけど実は超絶技巧なユタカマジックを炸裂させた面白いレースでした。さらに武豊騎手が昭和、平成、令和の３つの時代でＧ１を勝ち、菊花賞の最年少勝利記録と最年長勝利記録を保有する珍記録を樹立し、ディープインパクトの死んだ年にディープインパクト以来の菊花賞制覇をディープインパクト産駒で勝利し、父の故・武邦彦氏の誕生日にＧ１を勝利するという、話題にも事欠かないレースでしたね。</div><div><br></div><div>まだ書きたい事はありますが今回はここまで。来週の天皇賞も面白いレースになったら良いなぁ。</div><div><br></div><div><br></div>
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<link>https://ameblo.jp/0901manayuki/entry-12537656950.html</link>
<pubDate>Sun, 20 Oct 2019 16:35:35 +0900</pubDate>
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<title>秋華賞回顧</title>
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<![CDATA[ 今週は超大型台風が日本に来てしまい、各地に甚大なる被害を与えました。まず被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げるとともに、一刻も早い復興が進む事を願っております。<div><br></div><div>台風の影響を考慮して、東京開催は土日の開催を中止。この判断は絶対的に正しかった訳ですが、昨日の京都開催は予定通り行われました。結果的に無事に終われましたが、馬や騎手だけではなくファンの安全性も考慮するのであればやはり開催中止の英断を下して欲しかったところです。</div><div><br></div><div>本日の京都競馬場は昨日の悪天候が嘘のような快晴。台風の吹き戻しの影響か風は強く、結果的にこの風が芝のコンディションを急速に回復させることになった。朝の時点では重の発表だった芝コースは秋華賞の時には稍重にまで回復していた。芝生の長さが短めで乾きやすい状態だったとはいえ、あの風がなければあそこまでの回復はなかっただろうと思う。とはいえ、素軽さよりもパワーが必要な馬場であるようには映った。</div><div><br></div><div>今年の秋華賞は桜花賞馬もオークス馬も不在で混戦ムード。メイショウショウブの出走取消で１７頭立ての一戦となった。そんな中で一番人気に推されたのは唯一のＧ１ホースでローズＳ勝ち馬のダノンファンタジー。早くから川田騎手がこのレースに賭ける意気込みを隠さなかったのも手伝ったのだろうが、桜花賞、オークス共に力負けの印象が拭えず、両レースで先着を許した馬達との差は全く無い上に距離の不安が完全に払拭されておらず、そのため抜けた人気とはならず単勝10倍を切る馬が６頭とオッズにも混戦であることが現れていた。</div><div><br></div><div>混戦の雰囲気を払拭できないままレースはスタート。最内のダノンファンタジーが絶好のスタートを切るも無理には行かない構え。変わって真ん中からビーチサンバ、外からコントラチェックがきたため先に行かせて３番手へ。ビーチサンバが予想外にハナを主張し、ルメール騎手が必要以上に競ることを嫌い強引に２番手に抑えたため隊列はアッサリと決まった。ダノンファンタジーを見るように6、7番手をクロノジェネシス、カレンブーケドールが控え、人気の一角エスポワールは中断やや後ろ、シゲルピンクダイヤが後方待機という展開。</div><div><br></div><div>ビーチサンバのペースは12.3-10.7-11.6-11.8-11.9の前半58.3という、馬場状態を考えるとかなりのハイペースだった。毎度思うのだが、福永騎手は逃げるのが下手、というかペースを作るのが下手な騎手ではないだろうか？もしもあのペースを狙っていたのだとしたら意図が全く見えない。引き離す訳でもなく、番手に下がる事を覚悟してペースを落とすでもなく、レースを作る事なくただ先頭に立っていただけに見えたのは自分だけだろうか？レースはハイペースなのに比較的ひとかたまりとなり、前につけた馬、極端に後ろにいる馬には厳しい展開に。これは昨年の天皇賞・秋と似た展開である。</div><div><br></div><div>第３コーナーで真っ先に異変に気付いたシェーングランツの武豊騎手が外目を上がっていく。それを皮切りに各ジョッキーが動きを見せる。前が詰まるのを嫌った川田騎手が４コーナーを前に外へ出し、ビーチサンバを射程圏へ入れる。第３コーナー途中でレッドアネモスが手応えを失い後退。そのレッドアネモスが邪魔になりシゲルピンクダイヤは外へ出しそびれ、サトノダムゼルの内へ付けつつ上がるも、サトノダムゼルのデムーロ騎手が内へ寄りすぐ前を走っていたエスポワールのシュタルケ騎手が外へ出したため、和田騎手にしては珍しく馬をぶつけるラフプレーでサトノダムゼルを外へ弾き出す。この時点でサトノダムゼルは勝負あり。同じく外を回したエスポワールも全く伸びず９着。今日のペースと馬場では極端な外を回した馬はシゲルピンクダイヤ以外は軒並みダメだった。</div><div><br></div><div>最後の直線、２馬身ほどの差をつけてビーチサンバが先頭。しかしハイペースの代償は大きく、残り200mで脚が上がる。ダノンファンタジーはビーチサンバを捉えようと川田騎手が必死で追うも直線入り口で早々に脚が上がり伸びきれない。さらにクロノジェネシスに寄られた時にバランスを崩し万事休す。入着も逃して８着。</div><div><br></div><div>第４コーナーでダノンファンタジーの真後ろに付けていたクロノジェネシスが最終コーナーでゴチャつきツーテンポほど仕掛けが遅れた。しかし、結果的にそれがプラスになる。外に出した時には前がキレイに空いておりビクトリーロードが出来上がっていた。更に、直線入り口で前が開かなかった為に外に出してきたカレンブーケドールの進路を半ば強引に閉める事に成功する。タイミングが早ければ斜行、遅ければ入られていたという、まさに絶妙なタイミングだった。勝つ馬には幸運が舞い込むということを地でいった感じか。このファインプレーもあり、クロノジェネシスは春の鬱憤をまとめて晴らすかのようにカレンブーケドール以下１６頭に２馬身差をつけて戴冠を果たす。</div><div><br></div><div>オークスからのぶっつけ、２０キロ増の馬体重を嫌われたのか４番人気に甘んじたものの、太め感は全くなく、パッと見では大幅な体重増があるとは思えず、成長による馬体増であることは明らかであった。前半のペースからすると勝ちタイム自体は平凡なものになったが、それは馬場と福永騎手が演出した怪ペースによる、パワーが必要な消耗戦になったことが要因で、馬場もペースもクロノジェネシスに向いたのは間違いない。ただ、決して運だけで勝ったという訳ではなく、勝つべくして勝ったのは間違いない。最後の３ハロンは12.0-12.3-12.1と、最後にもう一度後続を突き放すひと伸びをしているのだ。今回の勝利は馬の確かな成長と、最後まで馬を信じた北村友一騎手が小さな幸運を味方につけた素敵な勝利だった。</div><div><br></div><div>２着に終わったカレンブーケドールは最後の直線でクロノジェネシスに閉められたとはいえ、全く追えていなかった訳ではなく、仮に閉められていなくても２馬身差が少し縮まるだけで逆転は無かっただろうと思う。そして、最後の100mの走り方が窮屈そうに見えるあたり、手綱が短いタイプの津村騎手の手は合わないのだろう。残酷な話だが、この馬が飛躍するためには手綱が長いタイプの騎手(ルメール騎手や武豊騎手)に乗り替わりが必要なのではないだろうか。</div><div><br></div><div>直線だけで３着に突っ込んできたシゲルピンクダイヤの脚は凄かったものの、今日のレース展開ではあれが限界だろう。しかし最終コーナー手前で他馬と接触しながらも走る気を失わなかったのは立派で、今後は得意な距離での飛躍を期待したい。恐らく1400〜1800m辺りだろうか。</div><div><br></div><div>ダノンファンタジーは最後の止まり方からして、やはり距離が長かった。体型からもこの馬の本質はスプリント戦だと思われるが、陣営は今後どの路線を選択するのだろうか。もしもエリザベス女王杯を選択するのであれば危険な人気馬になりそうだが…。</div><div><br></div><div>牝馬三冠レースの最終戦は、終わってみれば春に上位を賑わした馬が上位を占め、夏の上がり馬たちには厳しいものだった。とはいえ、あくまで現時点でのもの。実力差は詰まらないのか下剋上はあるのか。楽しみは尽きない。</div><div><br></div><div>来週の菊花賞が楽しみだなぁ、と思いつつ今回はここまでということでまた次回。</div>
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<link>https://ameblo.jp/0901manayuki/entry-12535353237.html</link>
<pubDate>Sun, 13 Oct 2019 16:59:09 +0900</pubDate>
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<title>エアグルーヴ・前編</title>
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<![CDATA[ 今週からまたＧ１ウィークが始まりますね。今週は３歳牝馬による最後の一冠を巡る争い、秋華賞が行われます。残念ながら今年は桜花賞馬もオークス馬も不在ということで少々寂しい気もしますが、最後の一冠を戴冠し世代の頂点に立つのはどの馬なのか？興味は尽きないですね。<div><br></div><div>さて、秋華賞といえば、1996年に新設された比較的新しいＧ１レースですが、数々の名勝負がこのレースの彩りを鮮やかにしてくれています。そんな秋華賞の２２回の歴史の中で、記念すべき第一回のメンバーの中に、それまでの日本の競馬ファンの悪しき風習を変えるキッカケとなり、更に日本近代競馬の『強い牝馬』の歴史の礎となる一頭の馬が出走していました。</div><div><br></div><div>エアグルーヴ。強靭な精神力と類い稀な身体能力を兼ね備えながら、数々のアクシデントに見舞われたが為に満足のいく成績を残すことができなかった悲劇の馬。しかし、どんなアクシデントが起きようとも挫けずに乗り越え、真っ向から牡馬を力で捩じ伏せ勝利する堂々とした走りに人々は魅了され、いつしか『女帝』と称されるようになっていました。『名牝中の名牝』、日本競馬の歴史の中でも屈指の名馬の一頭であるエアグルーヴについて、今回は書きたいと思います。</div><div><br></div><div>母は『日本競馬の血統の礎』と言っても過言ではないガーサントの血を脈々と繋いで来たオークス馬ダイナカール、父は欧州最強馬と謳われたダンシングブレーヴと同期生の遅咲きの凱旋門賞馬トニービン。その血統がいかに期待されていたのかは、かつての名伯楽・伊藤雄二氏が「ダイナカールの仔が産まれたらすぐに連絡をしてほしい。」と牧場関係者に頼み込み、産まれたばかりのエアグルーヴを２０分ほどずっと眺めていたという逸話からも窺い知れます。</div><div><br></div><div>エアグルーヴのデビューは1995年の７月の札幌。鞍上は武豊騎手。ここからこの馬のアクシデントに見舞われ続ける競走生活が始まる。1200m戦でスタートで出遅れ、道中で前の馬に寄られ微妙に減速、４角でゴチャつき前に取り付けないまま直線へ。強引に大外に出したものの1200mは距離が足りず、最後はとてつもない末脚を披露したもののマイネルランサムにクビ差及ばずまさかの２着に終わる。しかし返しの新馬戦（当時はデビューした月内であれば未勝利戦ではなく再度新馬戦に出走できた）では同じく武豊騎手を背に1200m戦ながら、好発を決めると後続を５馬身引き離しての楽々逃げ切り。単勝1.1倍の期待に応えた。因みにエアグルーヴは札幌で４度走っているが、唯一の負けがデビュー戦というのが実にこの馬らしいと思う。</div><div><br></div><div>返しの新馬戦の後、一旦休ませて約３ヶ月振りの出走となった東京競馬場1600mオープン戦のいちょうＳで、エアグルーヴの伝説の序章がスタートする。武豊騎手を背に１１頭立ての最内枠からのスタートで、発走後二完歩目で若干躓くも減速することなく好位につける。手応えよく４番手のインを追走するもペースが上がらず馬群はひとかたまりとなり、外に出したくても出せない状態で最後の直線へ。しかし武豊騎手は慌てず最後の直線の坂の途中で、逃げたラブシックガイが外にヨレた一瞬を逃さず内ラチ沿いから抜け出しを図る。鞍上のゴーサインに応えたエアグルーヴが瞬時に加速しラブシックガイに半馬身差まで詰め寄る。しかしここでアクシデントが起こる。ラブシックガイの鞍上の大塚騎手が内ラチからエアグルーヴが来ていたことに気づいていなかった為、セオリー通りに右鞭を振るってしまったのである。その際に馬の手前が変わってしまいラブシックガイが内側を急激に閉めてしまい、エアグルーヴの武豊騎手は馬上で立ち上がりブレーキをかける羽目になってしまい、残り200mを切った時点で前からおよそ３馬身ほど差のある４番手に後退。それでも武豊騎手はすぐに態勢を整えて再度加速を促すとエアグルーヴはそれに応え、残り100mでは先頭までまだ１馬身ほど差があったのだがグングン加速していき、逆に１馬身差をつけて先頭でゴール板を駆け抜けた。それにしても改めて何という馬なのだろうと思う。並の馬であれば走る気を失うであろうタイミングでのアクシデント、ましてや３歳牝馬(現行では２歳)であればそのまま馬群に沈んでもおかしくはないものだが、とんでもない精神力である。しかし武豊騎手はよほど腹に据えかねたのだろう。ゴール板を過ぎた後に３度、ラブシックガイの方を振り返っている。ゴーグル越しでも武豊騎手の怒りが伝わってきそうなアクションだった。</div><div><br></div><div>年末の大一番である阪神３歳牝馬Ｓ(現在は阪神ジュベナイルフィリーズ)では武豊騎手がイブキパーシヴに騎乗するためキネーン騎手が騎乗。このレースは非常に呆気ない形でエアグルーヴは２着に敗れる。好発から押し出される様にハナを切ったビワハイジに誰も競りかけることもなく、ビワハイジの角田騎手以外の全ての騎手が牽制しあってしまったのである。最後の直線でエアグルーヴが猛追するも前半の貯金が活きたビワハイジを捉えるまでには至らず、半馬身差まで詰め寄るのが精一杯の何とも勿体ない２着だった。</div><div><br></div><div>明けて９６年。エアグルーヴの初戦はチューリップ賞。鞍上はペリエ騎手。仕上がりも７割程に映る調教も相まって人気はビワハイジに譲る形に。しかし、エアグルーヴは想像を軽く超える走りを披露する。相手はビワハイジただ一頭と決めていたとはいえ、ビワハイジ以下１３頭を文字通り子供扱いする５馬身差をつけての大楽勝。桜花賞は半ば確定したものと思われた。ちなみにこの年の桜花賞前までは武豊騎手はエアグルーヴに乗りたいがイブキパーシヴも安易に断れないジレンマに板挟みになっていたのだが、イブキパーシヴを管理する橋口調教師は武豊騎手に「エアグルーヴに乗ってもいいよ」と声を掛けてくれたのだというが中々出来ることではない。有力な騎手をライバル馬に騎乗する事を容認したのだから、橋口調教師の懐の深さと人情味を感じるエピソードである。</div><div><br></div><div>懸案だった鞍上も武豊騎手に決まり、最終追い切りも済ませ調子も良い状態で、あとは桜花賞当日を迎えるだけとなったエアグルーヴに運命の神様は突然そっぽを向いてしまう。最終追い切りの翌日に発熱のアクシデントによりまさかの桜花賞出走回避。主演女優を失った桜花賞は一転混迷ムードに包まれ、結果はドラマチックな大荒れとなった。エアグルーヴの回避により繰り上がりで桜花賞の出走が叶ったファイトガリバーが、田原騎手の見事なエスコートに応え優勝しヒロインの座を射止めたのだ。もしもエアグルーヴが回避していなければひっそりと現役を引退していたかもしれない馬を急遽ヒロインに抜擢した脚本を用意するとは、もしかすると運命の神様はイタズラが好きなのかもしれない。なぜならばエアグルーヴのお陰でエアグルーヴの代わりに主役になるとはこの上ない皮肉なのだから。ちなみにこの年の牡馬クラシックにおける武豊騎手もイタズラに振り回された主演だろう。皐月賞前に騎乗予定のダンスインザダークが発熱により出走回避した際のインタビュー内での何気ない一言「僕も発熱しそう」は武豊騎手ならではブラックユーモアである。</div><div><br></div><div>エアグルーヴの体調が順調に回復した後に陣営はトライアルは使わずにオークスへ直行する事を発表。母娘２代でのオークス制覇へ万全を期していく。迎えたオークス当日、パドックへ姿を現したエアグルーヴは比喩でも何でもなく輝いていた。パドックで見た時からアクシデントでも無い限りは「この馬が勝つ」ということがわかった。アクシデントさえなければ。ゲートが開きいつも通りに好発を決めたエアグルーヴは無理には行かず、中団の外へ控える。発熱による桜花賞回避という事でチューリップ賞以来３ヶ月振りの実戦に加えて、初のスタンド前からの発走による大歓声と純然たる逃げ馬不在によるスローペースに前半は行きたがる素振りは見せたものの、終始外めを走らせる事で折り合いをつける。馬群はひとかたまりのまま淡々と進み、大欅を過ぎた辺りからエアグルーヴは外から徐々にポジションを上げ先団を射程圏に入れ最後の直線へ。武豊騎手のゴーサインにすぐさま反応し一気に前を飲み込むかに見えたが、ここでまさかのアクシデントが起きる。逃げたノースサンデーが残り400m辺りで大きく外側へ、更に大きく内側へ、最後にもう一度小さく外側へ蛇行してきたのである。その影響で馬場の内から真ん中にかけて馬同士の大きな玉突き衝突が発生。しかし、そんなアクシデントに対して武豊騎手は冷静に対処をする。あらかじめ外を走らせていた事で予想外の大きな事故の被害を最小限にとどめて、すぐに追撃の体制を整えるとエアグルーヴを再度加速させて、残り200m時点で先頭に躍り出る。そこへ最初から大外を回して直線勝負に掛けていた桜花賞馬ファイトガリバーが真の女王を目指して猛然と追い込んできた。交わす勢いで鋭く伸びて来たのだが、エアグルーヴはそこからもう一段加速する。結局ファイトガリバーに馬体を併せる事すら許さず悠々と１馬身半差をつけてゴール。クリフジ〜ヤマイチ母娘以来、実に４２年振り２組目となる母娘オークス制覇の瞬間だった。直線で大蛇行をしたノースサンデーは５着入線したものの１２着へ降着。ちなみに武豊騎手はこの馬にアネモネＳで騎乗し見事に勝利させ、桜花賞の出走権をプレゼントしている。その際にこの馬の気難しい一面を把握していたからこそ、オークスで冷静な対応ができたのだろうと思われる。</div><div><br></div><div>レース後には伊藤雄二調教師が凱旋門賞へのエントリーを済ませた事を表明した辺り、よほどの手ごたえを感じていたのは間違いなく、また、武豊騎手をして「これからもっともっと強くなる雰囲気がある」と言わしめるほど。あれだけのレースをしておきながらこの時点でまだ完成していないというのだから恐ろしい。今後どれだけの強さを見せてくれるのかという期待に胸が膨らむ春シーズンだった。結局、成長過程で無理をさせたくないという事で凱旋門賞への挑戦は実現しなかったが、この馬が凱旋門賞に出走していたらかなり面白かったと思う。エアグルーヴ自身も含め産駒も最後までその夢が叶わなかったのは残念の一言である。</div><div><br></div><div>さて、名実共に世代の頂点に立ったエアグルーヴ陣営は、有馬記念までのローテーションを考えて秋華賞はトライアルを使わずぶっつけで挑む事を表明。今でこそ当たり前になりつつあるぶっつけローテだが、当時はまだまだ否定的であった。しかし、陣営の自信を隠さない対応とエアグルーヴならという不思議な安心感が否定的な意見を消していた。調教も順調に消化し、５ヶ月振りの実戦でも不安を感じさせない仕上がりでエアグルーヴは秋華賞のパドックへ姿を現した。しかし、運命の神様はまたしてもエアグルーヴに試練を与えるのである。それも最悪に近い形で残酷な試練を。</div><div><br></div><div>パドックでエアグルーヴを待ち受けていたのは無数のカメラのフラッシュだった。フラッシュはエアグルーヴが周回している間ずっと尽きる事無く焚かれ続け、その結果エアグルーヴは今まで見せたことがない位にイレ込んでしまった。目を剥いて口を割り、激しく発汗し暴れている状態。人間で言えば恐怖によるパニック症状である。それでもフラッシュは収まらない。極度の怯えと興奮状態のまま本馬場入場し返し馬へ。武豊騎手が制御できないくらいの暴走気味に輪乗り場へ。そこで体力が尽きてしまったのだろう。ゲートに入る頃には完全に消耗し切っていた。スタートこそ好発を決めたものの、これまでのように放っておいても馬がポジションを取りに行くという事がなく、武豊騎手が意図的に控えた訳でも無いのに中団の位置へ。残り1000mの時点で武豊騎手の手が動き３コーナーの時には早くもムチが使用されていたが、それでも前に進んでいかない。最後の直線でも当然伸びは無く、生涯唯一の大敗となる１０着でゴール。消耗し切っていた状態で高速タイムでの追走がこたえたのだろう。レース後には骨折していたことも判明。陣営の目論みとは裏腹にエアグルーヴは戦線離脱を余儀なくされる。勝ったファビラスラフインがその後エリザベス女王杯ではなくＪＣに出走し、シングスピールのハナ差の２着となった事で一度は上り詰めた女王の座を追われる羽目になり、更にファビラスラフインはその年の有馬記念を最後に、借りを返せないままに引退してしまった。挫折と栄光を味わった春、そして失意と屈辱にまみれた秋と、エアグルーヴの輝かしいはずの３歳シーズンは結局たった３戦で終わってしまった。</div><div><br></div><div>このエアグルーヴのパドックの一件が大きな波紋を呼び、パドックでフラッシュ撮影をする事がどれだけ馬に悪影響であるかという事が認識され、この秋華賞がきっかけとなり、以降パドックでのフラッシュ撮影は全競馬場で禁止となる。しかし2019年現在でも一部の心無いファンがフラッシュ撮影をしているのを見かける。自分は大丈夫とは決して思わないでモラルを持った行動をお願いしたい。余談ではあるが、京都、阪神の競馬場では重賞レースのゴール前で外れ馬券や新聞を紙吹雪に見立てているのかわからないが頭上に投げるという、口の悪い言い方になるが馬鹿馬鹿しく非常に愚かしい習慣めいたものがある。それを見た馬が驚くのでやめてほしいという意見は度々あり、事実1997年の大阪杯では勝ったマーベラスサンデーが紙吹雪に驚きゴールの手前でバランスを崩す場面があった。結果的に落馬には至らず馬にもケガなどは無かったが、ケガが無かったから良いという話ではない。最悪の場合、人馬共に非常に悲しい結果に繋がる可能性はあるのだ。残念ながらこちらの件も未だに、まだまだ馬のこと、ひいては騎手のことなど考えない一部の心無い人間がやっているようだが、競馬が好きなのであれば自身の行動を鑑みてもらいたいと思います。競馬は目一杯楽しんでください。しかし、他人や馬に迷惑を掛ける行為は娯楽とは言いません。ただの迷惑行為です。自分さえ楽しければ良い、を自重できるファンが多い事を信じています。</div><div><br></div><div>かなり長くなったので今回はここまで。エアグルーヴ・後半はまた別の機会に書く予定です。</div><div><br></div>
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<pubDate>Wed, 09 Oct 2019 02:04:59 +0900</pubDate>
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