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<title>ゆとり大学５年生</title>
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<description>自分探しという名の現実逃避</description>
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<title>～入学前⑭～</title>
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<![CDATA[ <p>休日の家族や、若者で賑わうファミレスの席に通され、</p><br><p>席につくなり、初対面の女の子が、話始めた。</p><br><p>「ケンちゃんだよね？ツッチーから話は聞いてるよ。</p><br><p>私はミヨです。今年20歳で販売の仕事をしてます。よろしくね。」</p><br><p>正直、俺は初対面の人間を”ちゃん付け”で呼ぶような人間をあまり好きではない。</p><br><p>でも俺の本来の目的はそこではないので、俺はこう返した。</p><br><p>「よろしく。ところで、あなたが土屋から聞いた、コミュニティの管理人さんなの？」</p><br><p>すると、ミヨは</p><br><p>「違うよ。私じゃないんだけど、管理人はツカサくんって言ってすごい夢があって素敵な人だよ。</p><br><p>でも今日はちょっと仕事でこれないんだって。」</p><br><p>うん？と思った俺は、あのふざけた、いやあのコミュニティの管理人に会うことが目的だったために、</p><br><p>少し冷めた表情を見せてしまった。</p><br><p>そんな表情に気づいた土屋が、すぐ俺に、</p><br><p>「ケンちゃん！ミヨちゃんはツカサくんが世界一周中に、マレーシアで出会ってね．．．」</p><br><p>という話を２人の回想話を始めたが、もはや俺の耳には入って来ない。</p><br><p>２人の出会いやツカサとの出会いなど、興味のない過去の話ばかり。</p><br><p>俺はいつの間にか、この場所にいる意味すらを見失い、ただ無駄な時間と思ってしまっている自分の感情が、</p><br><p>全面的に表情に出ていることすらに気づいてはいなかった。</p><br><p>その時、ミヨの電話が鳴り．．．</p><br><p>「あっ！ツカサくんからだ！」</p><br><p>この電話が今後の俺の人生を大きく変えることになるとは、</p><br><p>ファミレスのテーブルで無気力で上の空だったこの時の俺には、想像も出来なかった。</p><br><br><br><br><p>そして、全てが始まった。</p>
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<pubDate>Thu, 19 Apr 2012 12:48:46 +0900</pubDate>
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<title>～入学前⑬～</title>
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<![CDATA[ <p>「はい、いらっしゃいませ。ご予約の方ですか？」</p><br><p>電話と同じ声でしゃべるこの男が三宅らしい。</p><p>案内されたまま部屋に入るとそこは長机が６つ置かれた小教室で先客が４人いた。</p><p>同年代の若い男に、中年の男女。</p><p>それぞれ違う椅子に座っていることからして特に知り合いというわけではなさそうだ。</p><br><p>互いにしゃべることもなく時間が過ぎ、三宅が前に出てしゃべりだす。</p><br><p>「皆さん、はじめまして。私がビジネスサバイバル塾の講師を務める三宅です。よろしくお願いします。</p><p>さて、突然ですが皆さんは今の生活に満足されていますか？いないですよね。だからここに来ている。</p><p>そして、その打開策が見つからなくてここにいる。そうですよね。」</p><br><p>「しかしこの思いを抱えている方はあなたがただけではなく、世の中にそれこそゴマンといます。そして何もせずに時が流れるまま生きている。そうした人に比べて今ここにいるあなた方は既にある一点において優れています。なんだかわかりますか？そう、危機感です。」</p><br><p>ここまで聞いて、うさんくさい場所に来てしまったという危機感が働きだした僕ではあったが周りの表情を見ていると、いちいちうんうんと頷く同年代の男、疑っているかのような顔をしている中年の男、何故か目を輝かしている女性と三者三様で面白い。</p><br><p>こんな場所でなければ誰一人して会うこともないんだろうな、等と考えているうちに三宅という男はまた突拍子も無いことを言いだした。</p><br><br><p>「さてこの塾では答えをあらかじめ提示するような講義は行いません。多種多様な業種や考えた方が混在する世の中では正解は無数にあります。私はこの集まっている４人で４通りの答えをそれぞれ皆さんに見つけてもらいたい。私が皆さんに出す課題は一つだけ。４人でグループでも個人でもいいです。個人もしくはグループで事業を行い、黒字を出すことです。」</p><br><br><p>今振り返るとこれだけは確実に言える。</p><p>あの瞬間から僕の社会人生活が本当の意味でスタートを切ったのだと。</p><br>
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<pubDate>Wed, 18 Apr 2012 23:46:30 +0900</pubDate>
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<title>～入学前⑫～</title>
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<![CDATA[ <p>土屋との再開から数日後の夜、土屋から電話があり、</p><br><p>今週末に再び土屋と会う約束をした。</p><br><p>時間が経つ事に冷静にあの日の事を振り返るようになり、</p><br><p>なんだかバカバカしく思えたり、時間の無駄だと思ったりというのが俺の正直の気持ちだった。</p><br><p>でも本当は俺もどこかで、今の嫌気がさしている生活を変える事が出来るのでないだろうか</p><br><p>とちょっぴり期待もしていた。</p><br><p>俺の周りはみんな、会社員をしているが、在学中から、</p><br><p>何年か経てば会社を辞めて、自分で事業を持つ！</p><br><p>と言っているような俗に言う仕事に、いや社会に前向きなやつらばかりだった。</p><br><p>俺も何となくそれに合わせて、俺も将来起業する！</p><br><p>なんて言ってはいたものの、そんな気は更々なく、</p><br><p>ただ自分の将来についてなんて何も考えてはいなかった。</p><br><p>いや、考える事から逃げていただけなのかもしれない。</p><br><p>その点、土屋は不透明な部分も多いが、将来の目標というか夢というか、</p><br><p>ちゃんと持っていて、何も持っていない俺なんかよりは．．．</p><br><p>とついつい色々考えてしまう日々が続き、</p><br><p>気がつけば約束の日をむかえていた。</p><br><p>待ち合わせ場所に着くと、そこには土屋と、</p><br><p>初対面の女の子が１人、すでに待っていた。</p><br><p>あのコミュニティの管理人は女の子だったのか？</p><br><p>そう思いつつも、颯爽と初めましての挨拶を交わし、</p><br><p>詳しい話は店内でと、ファミレスへと入って行った。</p>
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<link>https://ameblo.jp/2009fs/entry-11151997045.html</link>
<pubDate>Wed, 01 Feb 2012 11:01:30 +0900</pubDate>
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<title>～入学前⑪～</title>
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<![CDATA[ <p>会社に入ったばかりの頃は、土日が楽しみで仕方なかった。</p><p>土日のために会社へ行っていたといい。</p><br><p>今はどうだろうか。</p><p>土日はたまに飲み会が入るくらいで、日中外で誰かと会うなんていうのはそれこそサークルの同窓会くらいである。</p><p>平日に体調を崩すことは減ったが、その分休日に具合を悪くして休んでいるとまた平日がやってくる。</p><br><p>この２，３ヶ月ずっとこんな調子だと、予定が昼から夜まで入っている休日というのは前の日から疲れてしまう。</p><br><p>特に知らない人と会うとなるとそれは尚更だ。</p><p>スケジュール帳を何度見直しても昼にビジネス塾、夕方は金子と金子が尊敬する人と会うという予定が入っている。</p><p>違うとすれば見る度に気分が重くなっていくことくらいだろうか。</p><p>そんなわけで日曜日の朝の気分は最悪だった。</p><br><p>可能であればビジネス塾とかいういかにもうさんくさい講義だけは避けておきたかったが、そうすると予備知識のないまま金子と会うことになる。</p><p>それだけは何かマズイことになるんじゃないかと僕の危機意識がささやいていたため、「もう成るようになれ」というのが昨日の夜からの結論であった。</p><br><br><p>案内に書かれていた場所はカフェ街から歩いて数分の場所にある雑居ビルの２階だった。</p><p>確かに「ビジネスサバイバル塾」と書かれた小さな白黒の看板が掲げられているのが見える。</p><br><p>メールで大々的に宣伝した割にはあまりにも貧相であった建物に入ることがためらわれたが、外の寒さが僕の思考回路をにぶらせたのか気づいていたら僕の手はそのドアを開けていた。</p>
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<pubDate>Tue, 31 Jan 2012 22:04:19 +0900</pubDate>
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<title>～入学前⑩～</title>
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<![CDATA[ <p>---------------------------------------------------------------------</p><br><p>どーも！このコミュの管理人兼キセキの請負人こと</p><br><p>エスポワールと申しますｷﾀ━━━(ﾟ∀ﾟ)━━━!!!</p><br><p>私は学生時代に世界一周を経験し、様々なモノをこの目で見て参りました！</p><br><p>その結果．．．</p><br><p>日本という恵まれた国にいる私たちはもっともっともっと！！</p><br><p>様々なことにチャレンジすべきである！</p><br><p>そして夢を追うべきである！</p><br><p>あなたの夢はなんですか？！</p><br><p>私の夢は、キセキを起こすことですε=ε=ε= ヾ(*~▽~)ノ</p><br><p>【キセキ】とは何か？</p><br><p>世界を変えることに決まっているではありませんか！！</p><br><p>そして世界を一つにつなげましょう(*゜▽゜ノノ゛☆</p><br><p>みんなを導く道を私たちがつくるのです！</p><br><p>さあ、こんな私とキセキを起こしてもいいよ！</p><br><p>という皆様．．．</p><br><p>この指止まれ(°∀°)b </p><br><p>常識にとらわれることのない全く新しい概念で、</p><br><p>万人に世界は変えれるということを私たち１人ひとりの小さな力を集めて、</p><br><p>大きな力で証明しようではないか！！</p><br><br><br><br><p>PS．エスポワールとはフランス語で【希望】という意味ですが、</p><br><p>もちろん私が行った世界一周の旅にはフランスは含まれておりません（笑）</p><br><p>---------------------------------------------------------------------</p><br><p>土屋．．．一体どうした．．．？</p><br><p>唖然とした表情の俺に土屋は、笑顔でこう語り始めた。</p><br><p>「違うよ、ケンちゃん。このユーモア満載の冒頭は、この人の遊び心だよ！</p><br><p>僕もこれを最初に読んだ時は思わず笑っちゃったけど、</p><br><p>この下の活動内容を読んでみて。</p><br><p>そして、一度ケンちゃんにも是非この人に会って欲しいんだ。」</p><br><p>俺は気がつけば活動内容を読むことはなく二つ返事で、</p><br><p>次に土屋とこのキセキの請負人さんと会う約束をして、</p><br><p>この日は終わった。</p><br><p>俺は人助けなんて偽善行為は大嫌いだと思ってはいたが、どうやらこの目の前にいる、</p><br><p>昔からの友人、土屋を見殺しには出来ないという判断を下した俺の脳は、</p><br><p>また人間らしさを保っていると、少し自分では安心した反面、</p><br><p>とんでもない事に巻き込まれるのではないであろうかという不安もあった。</p><br><p>そして数日後、再び土屋からの着信で、全ての幕が開けたのである。</p>
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<link>https://ameblo.jp/2009fs/entry-11150183579.html</link>
<pubDate>Mon, 30 Jan 2012 10:58:20 +0900</pubDate>
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<title>～入学前⑨～</title>
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<![CDATA[ <p>「はい、ビジネス塾サバイバル三宅。」</p><br><p>メールで見た印象とは違って、野暮ったい調子で電話をとるこの男が塾長らしい。</p><br><p>「すいません、メールを見て土曜日の説明会に参加したいと思ってるんですけど・・・」</p><br><p>「あーはいはい。説明会ね。じゃ、名前と連絡先教えてください。あと、当日は会費が５００円かかりますのでご持参くださいね。」</p><br><p>この手の会に連絡するのは初めてであったが、この三宅という男が適当であったのかあっけなく電話は終わり仕事に戻ることにした。</p><br><p>日本企業の社員採用は新卒重視であることは言うまでもないが、その理由を聞かれた時に論理的な理由をもって妥当性を主張出来る人はどれくらいいるのだろうか。少なくとも、今ここで自分のミスのために残業を余儀なくしている僕にはよくわからない。</p><br><p>テレビでよくみる大手企業ならまだしも、僕のいるような中規模の企業で終身雇用なんて心底信じている人がどれだけいることだろう。</p><p>それでも、社長や上司に必死に従って自分の立ち位置を守ることが一般的というなら今の日本はなんてチャンスの少ない国なのだろうと思う。未来に希望が無い中で既得の富や権利を回していくだけの世に何のやりがいを感じられるのだろう。</p><br><p>主観的に見ても、分不相応だとわかる悩みを抱えながら長く薄い一日が終わった。</p><br><br><br><br><br>
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<link>https://ameblo.jp/2009fs/entry-11149359360.html</link>
<pubDate>Sun, 29 Jan 2012 14:14:35 +0900</pubDate>
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<title>～入学前⑧～</title>
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<![CDATA[ <p>「ケンちゃん！僕にとってのキセキってね。</p><br><p>正直、具体的な言葉には出来ないんだけど、こみ上げてくるものがあったんだ！</p><br><p>それが明日への活力となり、今の僕を動かしている。</p><br><p>すごく説明下手で申し訳ないんだけど、今ある人たちと日本から世界を変えるプロジェクトを計画しててね。」</p><br><p>ほら来た。</p><br><p>要するにそのプロジェクトへ俺を勧誘したいというわけだ。</p><br><p>俺の経験上、キセキなどの漠然として言葉を糧に話しを進めるようなやつらに、</p><br><p>明確な目標なんてない。</p><br><p>ただ、道に迷っているだけ、いや．．．</p><br><p>もはや逃避に走っているだけだと俺は思っていた。</p><br><p>というのも、俺も今の現状が嫌で嫌でしょうがなかったけども、</p><br><p>逃げてはいないと自分では思っていたので少なくとも自分の生き方が正しいかどうかなんて分からないが、</p><br><p>こいつらよりは真っ当に生きている自信がこの時はあったのだ。</p><br><p>「土屋その計画にはあんまり興味はないんだけど、お前がさっき言ってた、</p><br><p>ある人に会って人生が変わったって言ってたよな。その出会いについて聞かせてくれないかな。」</p><br><p>と俺は切り出した。</p><br><p>土屋は待ってましたと言わんばかりの笑顔で、話始めた。</p><br><p>「そう！あれはね。僕が今の生活に疑問を抱きながら、</p><br><p>なんとなく○○○（某SNSサイト）のチャリティーに関する掲示板を見ていたら、</p><br><br><p>【キセキを起こそう！】</p><br><br><p>というコミュニティを発見してね。その時は別に何も惹かれるものもなく、</p><br><p>新規のコミュニティだったから、まだ参加者も４人程度で、</p><br><p>コミュニティの内容を読んでいたら、何か希望をもらったというか、</p><br><p>何かしたいけど、何をすればいいのか分からなかった僕に、</p><br><p>これだ！！という未来を見せてくれたんだ！」</p><br><p>俺は言葉を発する事が出来なかった。</p><br><p>土屋という男は、昔から純粋極まりないやつで、小学校３年生の時に恋に落ちた女の子を、</p><br><p>高校３年生までずっと好きでいるような一途さはあるものの、</p><br><p>告白をする勇気はないという一昔前に流行った草食系というわれる類の男だった。</p><br><p>「でね！ケンちゃん．．．」</p><br><p>と続けようとする土屋の会話を俺はまたも一旦止めて、</p><br><p>「土屋分かった。出会いはもういいや。そのコミュニティだっけ？ちょっと見せてくれない？」</p><br><p>「うん。ちょっと待ってね。」</p><br><p>と土屋はポケットから今風のスマホを取り出し、某SNSサイトへとアクセスし、</p><br><p>例のコミュニティを開いて、俺に見せてくれた。</p><br><p>その時、俺はどんな顔をしていたんだろう．．．</p>
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<link>https://ameblo.jp/2009fs/entry-11148219673.html</link>
<pubDate>Sat, 28 Jan 2012 10:41:08 +0900</pubDate>
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<title>～入学前⑦～</title>
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<![CDATA[ <p>このまま果てなく続くかと思われた金子の話は意外にも時間にして１０分程で終わり、次にまた会う約束をとりつけて別れた。</p><br><p>社会人になって月日が経ったが、わからないことはまだ解決されない。</p><p>特に大手というわけでもなく、景気の波に左右されるため将来が決して保証されるわけではない職場。</p><p>社長の気分ひとつで人生が決まる不条理。</p><p>恐らく増えることのない給料。</p><br><br><p>こんな中でなぜ、みんな働いていけるのだろうか。</p><br><p>周りになんて怖くて聞けないこの疑問が久しぶりに胸につきささる夜となった。</p><br><br><p>こうした日の次の朝は決まって体が起きることを拒否するのが常である。</p><p>会社では５ヵ月前から一応、一人前として扱われている。</p><p>とはいっても、まだ何がわからないのかわからない状態で誰に何を聞けばいいのかもわからずそのままにすることが多々ありその度に怒られてばかりいる毎日だ。</p><p>同期はといえば、会社あがりの合コンにしか興味を持たず何を言われてもちっともこたえない今時珍しい肉食系男子と上司お気に入りの仕事一直線君の２人しかいない。</p><p>まぁ間に自分が入ってちょうどいいのかもしれないなんて思っていたが、この日でその認識は少し変わることとなる。</p><br><br><p>「おい相田、今ちょっといいか？」</p><p>こういう形で自分が呼ばれた後、いい思いをしたことがある新入社員は日本にどれだけいるだろう。</p><p>とはいっても感覚がほぼマヒしていた僕は何も考えずに上司のもとに向かった。</p><br><p>「この前、お前に修正かけさせたプロジェクトの行程表だけどあれから俺に見せないで回したの？」</p><p>あぁ、きたきた。もう何回も確認してもらって最終的に誤字をいくつか修正するだけのレベルまでになったから昨日の夜、取引先に渡したものだが何か間違いがあったらしい。</p><p>それからはどこかで聞いたことのあるような台詞が羅列されていく。</p><p>「俺、お前に言ったよな。」とかなんとか。</p><br><p>そして最後に「人と比べるのもあれだけど、お前の同期の越谷や関口は少なくともお前よりは責任感を持ってやってるぞ。」</p><p>と言われて今回のお説教は終わった。お説教は終わってもミスの回収作業はこれからである。</p><p>越谷はともかく関口よりも責任感が無いと評価されてることは、ミスをしたこと自体よりも僕の心に影を落とすこととなった。</p><br><p>ただそれも無理のない話であることは自分でも重々承知しているところである。</p><p>この環境でなぜみんな働いていけるのだろうか、なんて疑問を感じながら会社に入った新入社員にまともな仕事</p><p>が務まるわけながない。</p><br><p>自分が変わらないと何も変わらない。</p><p>月並みな言葉だが、日々それを痛感しながら変わるきっかけを探し続けているだけの哀れな生活を過ごしているのが今の僕である。</p><p>とは言っても、今の会社で腰を据えて仕事に取り組むという結論にはどうしてもたどり着けない思考回路を搭載しているのが僕のブレインであるらしい。</p><br><p>ただしこの日の上司の言葉はこんな僕を動かすに足るエネルギーを持っていたらしい。それが意図したベクトルかどうかは別の話だが。</p><br><p>僕は金子から来ていたメールに返信することにした。</p><p>「次の日曜の３時からなら空いてる」と。</p><p>そしてその勢いのままにパソコンのアドレスを開くと例のメールで来ていたなんとかビジネス塾とかいうところに電話をかけていたのだ。</p><p>携帯を耳にあてながら、入れていた予定をどう動かすか考えていた僕の耳に聞こえてきたのは気だるそうな中年男性の声だった。</p><br><br><br>
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<link>https://ameblo.jp/2009fs/entry-11147987819.html</link>
<pubDate>Sat, 28 Jan 2012 00:04:45 +0900</pubDate>
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<title>～入学前⑥～</title>
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<![CDATA[ <p>土屋は席に着くなり、俺にこう言った。</p><br><p>「ケンちゃん！キセキを起こさないかい？！」</p><br><p>そして俺が何か言葉を返す暇もなくこう続けた。</p><br><p>「僕ね、実は大学を３回生の時に中退してたんだ。理由はね、海外ボランティアってあるじゃん？</p><br><p>あれに２回生の時に参加したのがきっかけなんだけど、</p><br><p>とにかく自分の普段の当たり前の生活が向こうでは当たり前じゃなかったんだ！</p><br><p>僕に何が出来るわけじゃないけど、とにかく悔しくて．．．</p><br><p>その時の光景を目に焼き付けておこうって。</p><br><p>そして日本に帰って来て、僕のまた元通りの生活が始まったんだけど、</p><br><p>この生活に疑問を感じたままずーっと時間だけが過ぎ去っていったある日、</p><br><p>僕の人生を変える出会いがあったんだ！でね．．．」</p><br><p>とまだ話途中の土屋の会話を、俺は</p><br><p>「ちょっと待ってくれ土屋！」</p><br><p>という一言で止めた。</p><br><p>俺は土屋に相談があると言われてここに来た訳だが、</p><br><p>この話の流れからいくと、おそらくは自己開示からの、</p><br><p>壮大な夢物語を語り始めて、要するに俺にそのプロジェクトを手伝えということなんだろうと、</p><br><p>瞬時に理解した。</p><br><p>というのも俺はボランティアだとか人助けだとか、そういった類の話が大の苦手だった。</p><br><p>「なあ土屋、大学を中退した過程の説明はもういいよ。なんとなく分かったから。</p><br><p>で、お前今何やってんの？」</p><br><p>と俺が話題を逸らそうと興奮気味に話す土屋の話を省略して訪ねると、土屋は、</p><br><p>「うん。今はね、アルバイトで生計を立ててキセキを起こす準備をしてるんだ！」</p><br><p>「．．．お前さっきからキセキ、キセキって何言ってんの？」</p><br><p>とは訪ねつつも、土屋の真っ直ぐな目は眩しいぐらいに輝いていて、</p><br><p>今が嫌でしょうがない俺には、あいつが何を考えているかは分からないが、</p><br><p>他人の敷いたレールの上を歩かざるおえない俺よりも、</p><br><p>やっている事、言っている事はともかく、</p><br><p>なんか自分の人生歩んでいるな～と少しうらやましかった。</p><br><p>でもその気持ちはこれから語られる土屋の夢物語で一変すると共に、</p><br><p>この土屋との再会こそが、あの男との出会いの引き金になったのだ。</p>
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<link>https://ameblo.jp/2009fs/entry-11147344771.html</link>
<pubDate>Fri, 27 Jan 2012 11:22:32 +0900</pubDate>
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<title>～入学前⑤～</title>
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<![CDATA[ <p>学生の頃は何の苦もなかったものが社会人になると嫌になるのはよくあること。</p><br><p>メールやら飲み会やら数えるとキリがない。</p><p>その中の一つに繁華街がある。</p><br><p>あんな人ばっかりでうるさくて疲れる場所に、あの頃は何をどうして楽しさを感じていたのだろうか。</p><p>甚だ疑問である。</p><br><p>とはいえ、あの頃遊んでいた仲間と一緒にいると楽しかった思い出が蘇る点ではそう捨てたものではない。</p><p>大学のサークルで仲の良かった奴らと集まるのもこれでもう何回目だろうか。</p><br><p>最初は月１回、次第に２ヵ月に一回、最後にやったのはもう去年の１０月のことだから・・・</p><p>なんて考えてもすぐにやめてしまう。全く意味のないことだから。</p><br><p>一応大学には野球サークルで通していたが、やっていたことは大学近くのファミレスでダラダラしたくらい。</p><p>実際に野球をした回数なんて、２年の頃ちょっとしたブームになったフットサルよりも少ないぐらいだ。</p><br><p>まぁそんなモラトリアムを画に描いたようなサークルで後に何か残ったかと聞かれても何も答えられない４年間だったが、社会人になってもまだ会える友人がいるだけまだ僕はマシかもしれない。</p><p>いつもどおりの近況報告、後輩の痴話話などで終わる同窓会。</p><p>ただその日がいつもと違ったのはその後である。</p><br><p>「なぁ弘樹、この後ちょっといい・・・？」</p><p>何気ない口調で僕にそっと話しかけてきたのは、メンバーの中でも比較的マジメキャラで通っていた金子であった。</p><p>マジメキャラと言ってもノリが悪いわけではなく、授業をサボる時も飲みに行くときも率先するわけではないが大体一緒についてくるような奴で、サークル内でもいわゆる良心的存在みたいになっていた。</p><p>決して顔は良いというわけではないが、そのお人よしに魅せられた（かどうかは知らないが）１つ下の後輩と付き合っていてもう１年と半年だったような気がする。</p><br><p>やることも特になく、時間の多くをファミレスで過ごしてきた僕は金子とよく会っていた。</p><p>それもあって僕に声をかけてきたのだろう。</p><br><p>せっかくだということで、いつも一緒に時間を過ごしてきたファミレスに入る僕らだったが店員が席を案内し終わるや否や金子が吐いた言葉は衝撃だった。</p><p>「俺さ、今の会社辞めようと思うんだ。」</p><br><br><p>確かに金子と僕は自分の勤めている会社の悪口で盛り上がることは多かったが、まさか本当に辞めるとは・・・。</p><p>金子の勤めている会社は中規模の印刷会社で、彼は営業をしていた。</p><p>とはいっても、仕事の内容について具体的に聞くなんて野暮な真似はしていなかったので彼が実際にどんなことをしていたのかは知らなかった。</p><br><p>「まだ一年しか働いてないから何もわかっていないって言われてもしょうがないけど、どうしても今の仕事場で働き続けても幸せになれる気がしなくてね。」</p><p>と言ったのを皮切りに語りだす金子の口ぶりは何故か軽やかだった。</p><br><p>「前にも話したけど、世の中ってサラリーマンと社長だけじゃないんだよ。派遣とかフリーターじゃなくてね。サラリーマンも社長も、何でお金が入ってると思う？自分が働いた価値に対してだよね。でも働いた価値って消耗品なんだ。それ自体が商品で会社や顧客に売られているんだよ。それで社会が成り立っていると学校では習っていたよね。」</p><br><p>「でも、それだけじゃないんだ。世の中には例え自分が働くことがなくてもお金が入ってくる人がいるんだよ。それもテレビで見るような人じゃなくてもっと身近に。僕もつい最近そういう人に会えて考え方が変わったんだ。別に宗教とかじゃないよ笑」</p><br><p>かつて何度も冗談を言って笑いあってたあの頃のように彼は笑顔だった。</p><p>ただ社会人として自分の意見を持っている彼が少し大人に見えたような気がその時はしていた。</p><br>
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<pubDate>Thu, 26 Jan 2012 20:33:25 +0900</pubDate>
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