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<title>立つ鳥、跡を臭わす</title>
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<description>当ブログ内において出された排泄物におきましては、当事者が責任をもって、お持ち帰り頂きますよう、ご協力お願い申し上げます。</description>
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<title>木曜日</title>
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<![CDATA[ 「中嶋くん、悪いんだけど明日出てよ」<br><br>定食屋で昼飯を食べ終え、会社に戻る道中、先輩の吉田さんにそう言われた。<br><br><br>「さっき川村から連絡があってさ、まだ熱下がってないらしいんだよ」<br><br>今日、同僚の川村は風邪で会社を休んでいる<br>あのバカめ、夏に風邪なんぞ引きやがって<br><br><br>普段であれば二つ返事で「出ます。」と言っているところだった。しかし明日は木曜日だ<br><br><br><br>諦めるしかないか。<br><br><br>一瞬のためらいの後、<br>「出ます。」そう答えた。<br><br><br><br><br>僕には彼女がいた。彼女も仕事をしており、偶然にもお互い休みの日が木曜日ということで毎週木曜日になると一緒に出掛けていた<br>そんな生活をずっと続けていた<br><br>そして明日でちょうど付き合い始めてから一年が経つ<br><br><br><br>「中嶋くんならそう言ってくれると思ってたよ！よろしくね」<br>嬉しそうな表情で吉田さんは言う<br><br><br>仕事なんだからしかたない。自分にそう言い聞かせた<br><br>連絡をするなら早い方がいいよな、そう思い携帯電話を取り出そうとポケットの中に手を入れる<br>しかし、そこにあるはずの携帯電話がない<br><br>あれ？おかしいな<br><br><br>他のポケットやカバンの中を探しても見つからない<br><br>「携帯なくしたの？一回鳴らすよ」<br>そう言って吉田さんは自分の携帯電話を耳にあてがう<br><br>着信音はどこからも聞こえなかった<br><br>まあいい、戻ったら会社の電話から彼女に連絡して伝えよう<br><br><br><br>いざ電話の受話器を取り、ダイヤルを押そうとするとあることに気付く。彼女の番号を覚えていない<br><br>いつもなら携帯の連絡先から彼女の名前を選び、そのままかけていた<br>いちいち番号など入力もしないため記憶にも残らない<br><br>まいったな<br><br><br><br><br>翌日僕はいつものように出勤し、いつものように残業していた<br>やっとのことで終わらせ、時計を見ると時刻は23時を回っていた<br><br>本来であれば彼女と一緒にオシャレなレストランでディナーでも食べていただろう<br>悪いことしちゃったな<br><br><br>この一年間、木曜日は毎週欠かすことなく彼女と会っていた。同じ時間に、同じ場所で。<br>特にルールとしてそう決めたわけではない。気付けば勝手にそうなっていた<br><br>その時間にそこに行けば彼女はいる<br>そんな、絶対的な安心感があった。それはきっと彼女も一緒だったと思う<br><br><br><br>次会ったらちゃんと謝ろ。そう思いながら何気なく待ち合わせ場所を通ると、そこに人影があった<br>彼女だった。<br><br><br>ごめん<br><br>一言めに謝った。<br><br><br><br>ごめんなさい。<br><br>二言めも謝った。<br><br><br><br>「記念日、終わっちゃったね」ぽつりと言う<br><br>腕時計に目をやると0:14の文字。日付が変わっていた<br><br><br><br><br><br>翌週の木曜日、僕は彼女とオシャレなレストランでディナーを食べていた<br>一週間ずれてしまったけれど、ふたりの記念日をお祝いした<br><br><br>それからというものの仕事もプライベートも順調で、自分で言うのもなんだが幸せだった<br><br><br><br><br>とあるなんでもない木曜日、僕はいつもの時間にいつもの場所に向かっていた<br>そこに行けば彼女がいる。そんな癒しを求めて<br><br>歩行者用信号が赤から青に変わる。横断歩道を渡っていると、突然目の前が眩しくなった<br>白い光が自分に迫ってくる。そう認識して間もなく強い衝撃が襲う<br><br><br>目を覚ますと病院にいた。携帯を見ると土曜日という表示<br>なにがなんだか分からない<br><br>医師の説明によると、交通事故にあい意識不明に陥っていたとのこと<br>そして下半身が自分の意思では動かせないとも言われた<br><br>やっぱりなにがなんだか分からない<br><br><br><br>どうしてこうなった。僕がなにをした<br>日が経つにつれ現実味が増し、絶望感だけが残る<br><br>自殺しようか、そう考えることも何回もあった<br><br><br><br>こんな僕を彼女はなんて思うだろうか<br>彼女のことだ。明るく励ましてくれて、これからも僕を支えてくれようとするだろう<br><br>けれどそれは本心ではないはずだ。そんな日々が続いてみろ、いつか彼女を壊してしまう<br><br><br><br><br>入院中の僕のもとに彼女がお見舞いに来てくれた。予感は的中し、彼女の口から弱音やネガティブな発言が出ることはなかった<br><br>それを見た僕は意を決して言う<br><br><br>別れよう。と<br><br><br>何度もイメージトレーニングしていたにも関わらず、その言葉を発した後は少し震えていた<br>そしてその言葉の後にこう付け加えた<br><br>君と会おうとしなければ僕はこんなことにはならなかっただろう<br>二度と僕の前には現れないでほしい<br><br><br>僕が言い終わるまで彼女は目をそらすことなく聞いていた。溢れ出る涙を拭うこともなく、ただ一心に僕の言葉を聞いていた<br><br><br><br>これでよかったと毎日のように自分に言い聞かせる。あとは時間が解決してくれることだろう<br><br><br><br><br><br>数ヵ月後、僕はいつもの時間にいつもの場所にいた。けれどいつもならいたはずの彼女はいなかった<br><br>それまでは待ちきれなかった木曜日が、今となっては憂鬱でしかたなかった<br>時間はなにも解決なんてしてくれなかった<br><br><br><br>あのときのあの決断はあっていたのだろうか<br>僕を助けてくれと、捨てないでくれと正直に言うべきだったのだろうか<br><br>考えるだけ無駄なことなのは分かっていた<br><br><br><br>ふと腕時計に目をやると時刻は0:00を回っていた<br><br><br><br><br><br>
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<pubDate>Sun, 10 Jul 2016 16:48:44 +0900</pubDate>
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<title>ホーム</title>
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<![CDATA[ 遠くでスズメがチュンチュン鳴いている<br>ふと目を開け、窓を見るとすでに朝陽が昇っていた<br><br>パジャマ姿にボサボサの髪の毛のままリビングに行くと、テーブルの上には美味しそうな朝食が並べられていた<br>それらをたいらげると、見計らったようにブラックコーヒーと朝刊の新聞紙が差し出された<br><br>気の効くやつだなぁ<br>心の中でそう呟き、熱々のコーヒーをすする<br><br><br><br>朝のニュース番組を見ていると、星座占いのコーナーが始まる。もうこんな時間か<br><br>アイロンがかけられ、シワ一つないワイシャツに袖を通し、ネクタイを締め、ピカピカに磨かれた革靴を履く<br><br><br>「行ってらっしゃいませ」<br><br>会社へと向かう彼の背中を見て言う<br>始めの角を曲がり、彼の姿が見えなくなるまで見守る<br><br><br>それが終わると次は皿洗いと洗濯が待っている<br>いざ、作業に取りかかろうとした瞬間、こめかみ部分にあるスピーカーからアラームが鳴った<br><br>どうやらバッテリー切れのようだ<br>そそくさと充電器の元まで行き、満タンのバッテリーと交換する<br><br><br>この交換作業をする度に軽い自己嫌悪に陥っていた<br>今時、バッテリータイプの召し使いロボットなんて私くらいだろう<br><br>科学の進歩によって、現在普及しているロボットの9割はバッテリーの交換の要らない、自己発電タイプだった<br><br><br><br>一通り作業を終えると少し時間に余裕が出来た<br>財布片手にデパートに行き、そこで大好物の今川焼を買う<br><br><br>早く今川焼を食べたいがために急いで家へと帰る<br>家に着くとポストに一枚の紙が入れられていた<br><br>「定期メンテナンスのお知らせ」<br><br>紙の一番上に大きな文字でこう書いてある<br>召し使いロボットは年に一度、メーカーによる定期点検を受ける必要があった<br>言わば自動車の車検と同じである<br><br><br><br>またこの時期がやって来てしまった。憂鬱で仕方なかった<br>けれど点検を受けない訳にも行かない<br>行くしかなかった<br><br><br><br>点検当日、製造工場に行くと他にもたくさんのロボットが定期点検を受けに来ていた<br>けれどほとんどが新型で自分だけが型落ちのロボットだった<br><br>周りの視線が痛い<br>5~6体で固まりを作り、笑いながらこっちを見て小声で話している<br><br>来るんじゃなかった。今日だけで何度そう思ったことだろうか<br><br><br><br>点検が終わり、支度をする<br>早く帰って溜まっている仕事を終わらせなければならないのだ<br>カバンの中身を確認していると、あることに気付く<br><br>替えのバッテリーが壊れている<br>裏面を見ると「失敗作」という文字が書かれていた<br><br><br>惨めさと怒りを覚えながら逃げるように製造工場を後にした<br><br><br><br>家に着くとすでに彼は帰っていた<br>電話で誰かと話している<br><br>しばらくすると<br>「いえ、ですから結構だと仰ってるじゃないですか！」<br>と声を荒げ、電話を切った<br><br>どうしたんだろうと彼を見ていると、それを察したのか、彼はこう言う<br><br>「大きな声出してごめん、今のはメーカーからの電話で<br>お宅のロボットはもう古いので新しく買い換えませんか？って」<br><br><br>どういう表情をしたらいいのか分からなかった<br><br><br>「今はもう生産もしてないから部品も無いんだってさ」<br><br><br>その言葉を聞いて愕然とした<br>すなわち、今のバッテリーが切れれば私はもう動けなくなるということになる<br><br><br>泣きたかった。けれど泣いたところで現状はなにも変わらない<br><br>ただ、その日の仕事を淡々とこなしていった<br>時折、彼の姿を、彼の顔を見ては作業を進める<br>それしか出来なかった。<br><br><br><br><br><br>遠くでスズメがチュンチュン鳴いている<br>ふと、目を開け窓を見るとすでに朝陽が昇っていた<br><br>パジャマ姿にボサボサの髪の毛のままリビングに行くと、棚からシリアルを取りだし牛乳を入れ、お湯を沸かしてコーヒーを飲み、朝刊を取りにポストまで歩いて行く<br><br>シワシワのワイシャツに袖を通し、ネクタイを締め、くすんだ革靴を履く<br><br>そして玄関を開け、言う<br><br><br>「行ってきます」<br><br><br>
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<pubDate>Sun, 11 Jan 2015 18:29:01 +0900</pubDate>
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<title>目</title>
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<![CDATA[ 時計を見ると時刻は12時13分。あと2分もしないうちにチャイムが鳴るだろう<br><br>チャイムさえ鳴ってしまえば授業は終わり、給食の時間だ<br>橋本は時計の針をにらみながら、その瞬間をじっと待っていた<br><br><br>「キーンコーンカーンコーン」<br><br><br>時は満ちた。<br>チャイムの音を聞くなり、他の生徒も一斉に席を立ち、慌ただしく給食の準備にかかった<br><br><br>そんな中、橋本は一人の生徒に目が行った。最前列の一番窓側の机に座っている小野寺だ<br>足元を見ると上履きを履いていない<br><br>きっと忘れてしまったのだろう。月曜日というのはなにかしら忘れてくるものである<br>現に橋本も、いつもは右のポケットに入っているはずのハンカチを今日は家に忘れてしまった<br><br><br><br>橋本が配膳台を用意していると、早いことにもう給食当番が到着してしまった<br>けれども消毒していないこの配膳台の上に給食を置かせる訳にはいかないのだ<br><br>食器係からの強いブーイングを背に配膳台を拭いていると、下の方に上履きを見つけた<br>「5年2組　小野寺」と書いてある<br><br><br>なんだ。忘れた訳ではなかったんだ<br>そう思い橋本は小野寺に上履きを渡した<br><br><br><br><br>時計を見ると時刻は3時48分。あと2分もしないうちにチャイムが鳴るだろう<br><br>チャイムさえ鳴ってしまえば授業は終わり、下校の時間だ<br><br><br>「キーンコーンカーンコーン」<br><br><br>チャイムの音と同時に一斉に生徒が帰り仕度を始める<br>橋本も負けじと急いで仕度を済ませ、教室を出ようとしたその瞬間、担任に呼び止められた<br><br>そのまま職員室に連れて行かれると、そこには小野寺がいた<br><br><br>先生は橋本に問う<br>「橋本。お前が小野寺の上履きを隠したというのは本当なのか？」<br><br>橋本は混乱した<br><br>「隠された人の気持ちも考えなさい。二度とこんなことしないように。いいな？」<br>先生はそう言った<br><br><br>橋本はまだ状況が把握できていなかった<br>自分は上履きを見つけて本人に渡しただけだ。隠してなんていない<br><br>けれどもその場ではなぜか「ごめんなさい」としか言えなかった<br><br><br><br>やりきれない気持ちのまま下校していると、通学路の途中にある公園で小さな子が泣いていた<br>辺りを見渡しても親らしき人はいなかった<br><br>その子に近づくと、おでこに立派なたんこぶが出来ていた。おそらく転んだりでもしたのだろう<br><br><br>ハンカチで涙を拭いてあげようと右ポケットに手を入れるも、なにも入っていなかった<br>そういえば今日は忘れてしまってたんだった<br><br><br><br>少しすると、一人の女性が小走りでこっちに向かってくる<br>きっと母親だろう。橋本はほっとした<br><br>母親は子供を抱き抱えると、橋本のことを睨み付けながらこう言った<br>「うちの子になんてことするの！」<br><br>橋本は驚愕した<br><br><br>人のために良かれと思って行動しても、誰も自分を褒めてはくれなかった<br>かえって悲しい思いをするだけである<br><br><br>それならなにも行動しない方がましだろう<br><br><br><br><br>そしていつしか橋本は大人になり、会社に勤めていた<br><br>ある日、いつも通り定時で帰ろうとすると、まだ作業を続けている同僚の姿があった<br>明日までにまとめなければいけない資料があるらしい<br><br>少し覗くと、資料の中に間違いを見つけた<br>けれど同僚は気付いてないみたいだ<br>このまま気付かずに提出したらきっと問題になるだろう<br><br><br>しかし橋本はそのままなにも言わずに会社を後にした<br><br><br>翌日、同僚は顔を真っ青にして「資料にミスがあった」と言ってきた<br>昨日見つけた間違いがまさにそれだった<br><br><br>けれどもそんなこと橋本にはなんの関係もなかった。どうでもよかったのだ<br><br><br>所詮は赤の他人だ。どうなろうと自分には知ったこっちゃないのだ<br><br><br><br>その日の帰り、駅のホームで電車を待つ<br>寒空の下、自販機で購入した缶コーヒーを握りしめ、暖をとりながらボーッと前を眺めていた<br><br>すると、視界の中に急に人影が現れた<br>その人はやたら薄着で、髪もぼさぼさだった<br>寒さに震えながら一枚の切符を握りしめ、同じく前を見つめていた<br><br><br>時折、辺りをキョロキョロと見回したり、何かぶつぶつ呟いていて見るからに挙動不審だった<br><br><br><br>少しすると、駅員のアナウンスが聞こえた。特急電車が通過するので黄色い線より内側にお下がり下さいとのことだ<br><br>しかしその人は一向に動こうとしなかった<br><br>橋本は嫌な予感がした。ひょっとして飛び込むんじゃなかろうかと<br>けれど、そんなことある訳ない。仮に飛び込んだとしても自分には関係のないことである<br><br><br><br>そうこうしているうちに電車はすぐ近くまで来ている。その人は未だに下がろうとせず、ただ前を見つめていた<br>そして、一歩踏み出した<br><br>その瞬間、橋本は確信した。と同時に走り出した<br>考えるより先に体が動いていた<br><br><br><br>駅のホームに大きな破裂音がこだました<br>間に合わなかった。橋本の目の前で一人の人間が飛び込み自殺をしたのだ<br><br><br>けれども他の人は違った<br>「あの人が押した」「人殺しだ」などと口々に言う<br><br><br><br>橋本は泣きながら「ごめんなさい」とだけ呟いた<br><br><br><br><br>
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<pubDate>Sun, 23 Nov 2014 17:13:11 +0900</pubDate>
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<title>四捨五入</title>
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<![CDATA[ 広い広い海の上にポツンと一つ島が浮かんでいた<br>その島は地図にも載っていない、言わば秘境である<br><br>そこで生活する人は千人にも満たず、島の外の人との交流も皆無であった<br><br>そのため、<br>衣類は、その時雑誌で流行っているものをいち早く取り入れ<br><br>食事は、周りに合わせてレストランで同じものを頼み<br><br>住居は、実家からそう離れていないところで無理して一人暮らし<br><br>という独自の文化を築いていた<br><br><br><br>そして、その島にとある一人の少女がいた<br>少女には夢があった。その夢とは、いつか島の外に出ることだった<br><br>これまでこの島から外に出た者は誰一人いなかった。また、外から島に辿り着いた者も同じく誰一人いなかったのだ<br><br><br>けれども、少女はその夢を誰かに話すことはなかった。話せば皆はきっと笑うに決まっている<br><br><br>しかし、いったいどうやって島を出よう。まずはそれを考えるところから始めなくては<br><br>見渡せば辺り一面海。そして空<br><br><br>そこで少女は閃いた。海水をポンプで吸い上げ、島の反対側に流せばいい<br>そうすれば潮は干いて行き、歩いて行けるはず<br><br>早速試したがこの作戦は失敗に終わった<br>なぜならそう、ポンプの説明書に「海水は吸引しないで下さい」と書いてあったからである<br>少女は自分の浅はかさに落胆した<br><br><br><br>他に方法はないものか、じっと考えていると、浜辺で遊んでいる子供たちの姿が目に入った<br>貝殻で水切りをして遊んでいる<br><br><br>そこで少女は閃いた。あの貝殻のように自分も高速回転をすれば海の上をピョンピョン跳んで行けるではないか<br>少女の顔から思わず笑みがこぼれた<br><br>早速試したがこの作戦は失敗に終わった<br>なぜならそう、酔うからである<br>少女は自分の三半規管を恨んだ<br><br><br><br>そうした日々が過ぎていくうちに少女は15歳の誕生日を迎えた<br>島の人々は盛大に祝ってくれた。それに対し、少女も笑顔で応えた<br><br>けれども少女は嬉しくなどなかった<br><br><br>なぜなら、この島には15歳になるとお見合い結婚をする風習があるのだ<br>もちろん少女も例外ではなかった<br><br><br>肝心の相手は中年で半裸、髪はボンバーで大きな首飾りをしている<br>名前を聞くと「アダモステです」と返ってきた<br><br><br>結婚なんていやだ。ましてやこんな訳の分からない人となんて<br>少女がそう言うと、他の人は「幸せになれるから」「いままでみんなそうしてきた」<br>と言う<br><br><br>結婚すれば幸せなのか。結婚してない人は幸せではないのか<br>それは各々の価値観に過ぎないことであろう。それをさも全ての人が同じかのように考え、押し付けて来るのはやめてほしい<br><br><br>少女は自分の生活に幸せを感じていた<br>借金して購入したポンプの代金の返済が済んでいなくても<br>三半規管を鍛えるためにぐるぐるバットをして夜な夜な吐いても<br><br><br>それでも少女は幸せを感じていた<br><br><br>ただ一つだけ、島から出てみたい。それだけが少女の願いだった<br><br>あとはなにもいらなかった<br><br><br><br><br><br>それから五年後、それまで全く存在が知られていなかった島が一人の女性によって地図に載せられた<br><br><br><br><br>
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<pubDate>Sun, 21 Sep 2014 15:50:38 +0900</pubDate>
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<title>－1＋1</title>
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<![CDATA[ 水道の水をじょうろに入れ、ベランダのゴーヤに水をやる<br>それが僕の毎日の日課だ<br><br>夏の暑さをしのぐべく、通称緑のカーテンと呼ばれるものを作ろうとしている<br><br>この緑のカーテンが完成すれば、エアコン代を節約できてかつ、腹が減ればいつでもゴーヤを食べられるというまさに一石二鳥の画期的な試みである<br><br><br>とは言っても自宅には扇風機しかない上に僕はゴーヤが苦手で食べられない<br>ただ部屋が少し暗くなるだけである<br><br><br><br>この緑のカーテンは佐藤ケビンに教わったものだ<br>ちなみにケビンとは今の会社に入社してから、3年の付き合いになる<br><br><br>会社の人達は皆やさしく、誰かが困っていたら気付いた人が助けてあげる。そんなアットホームな職場である<br><br><br>そう言っていると、早速困っている人を見つけた<br>後輩の女性社員だ。あだ名はぷるちゃん<br><br>いったいどうしたのか聞くと、なにやらイヤリングをなくしたらしい<br><br>「ない…ない……」と、ずっとうろたえている<br><br>余程大事なものなのだろう。一緒に探してあげることにした<br>周りの人にもイヤリングを見つけたら伝えてほしいとお願いをする<br><br><br>すると、とある社員が「ありましたよ！」と走ってこっちに向かってくる<br>ほっ、と胸を撫で下ろし、彼に礼を言いながら受け取る<br><br>手の中を見るとそこにあるのはイカリングだった<br><br><br>真剣なのか悪ふざけなのかは分からない<br><br>とりあえず彼の携帯の僕からの着信音を着信アリにしておいた。今日の深夜にでもかけてみることにしよう<br><br><br>ふと、ぷるちゃんの耳を見るとイヤリングが付いている。そのことを伝えると<br><br><br>「右が取れたんです」<br><br><br>右を見ても付いている<br><br><br>「あっ、爪楊枝持ってきますか？イカリング食べるのに」<br><br><br>要るけど今ではない<br><br><br>「一本だとくるくる回っちゃうから二本の方がいいですよね？」<br><br><br>二本の方が食べやすいけど、ぷるちゃんの右耳&nbsp;にイヤリングが付いている<br><br><br>「あっ、先輩から見てではなく私から見て右です」<br><br><br>反対側を見てもたしかに付いている<br><br><br>「なくしたのは今付けてるのとは違うイヤリングなんです」<br><br><br>だったら最初に言いたまえ<br><br><br>「それに会社ではなく家でなくしたんです」<br><br><br>その後、ぷるちゃんに対しての小さな反抗として僕はイカリングを爪楊枝三本で食べた<br><br><br><br>そんなアットホームな職場だったが、ある日突然周りの僕に対する接し方が明らかに変わった<br><br>理由はすぐに分かった。僕の家族の一人が犯罪行為をし、警察に捕まったのだ<br>それまで普通に接していた人がまるで別人のように見えた<br><br>軽蔑の視線を痛いほど感じる<br><br><br>あっけなく掌を返された周りに対する苛立ちと、こんなもんだろうな、という諦めの感情が自分の中で入り交じる<br><br>こうなってしまえば僕だって皆のことが嫌いだ。昨日までの僕には考えられないことだろう<br><br><br><br>もうここに僕の居場所はない<br><br><br>次の日から会社には行かなくなった。そのまま自然に引きこもりになる<br><br>次第に生活リズムが昼と夜で逆転していく。深夜から朝方にかけての通販を何度見たことだろうか<br>そして数週間もすればまた夜と昼で逆転していた<br><br><br>電話の音、インターホンの音にビクビクしながら居留守をする毎日<br>通販の配達に来た人にサインを求められるも自分の手が震えていることに気付く<br><br><br><br><br>そして毎日の日課だったゴーヤの水やりも、もう一ヶ月は放ったらかしである<br>それでもゴーヤはすくすく育ち、緑のカーテンができていた<br><br>ゴーヤは強かった<br><br>将来、僕に子供ができたら迷わずゴーヤと名付けることだろう<br>しかし、僕のことだ。子供のゴーヤに対しても放ったらかしてしまうだろう。作るのはよそう<br><br><br><br><br>気付けば会社を辞めてから一年が経っていた<br>このままではいけないことぐらい自分で分かっていた<br><br>一度死んだような人生である。恐れることはないはずだ<br>自分の中で一つの覚悟ができたような気がした<br><br><br><br><br>僕は汚い字で書かれた履歴書を見つめながら、震える手で受話器を握った<br><br><br><br>
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<pubDate>Sun, 06 Jul 2014 20:37:00 +0900</pubDate>
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<title>なう</title>
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<![CDATA[ これを読めば必ずあなたも幸せになる！幸せの人生の法則！<br><br>デパートの書店の心理学コーナーに行くと、そんな謳い文句の本が目立つように置いてある<br>その本の周りに置いてある本も大体、似たようなことが書いてあった<br><br><br>本を読んだだけで幸せになれるなんて、付けてるだけで腹筋が鍛えられるベルトぐらい信用しがたい<br><br><br>そういう類いの本は大抵、事象そのものを解決する方法よりも、その物事に対する考え方、捉え方を変える方法が載っている<br>それが一番手っ取り早い方法であって、そうするしかない場合が多いからだろう<br><br>例えるならば、先輩の激しい後輩イジリに迷惑を被っているなら、自分がマゾになり、逆に楽しんでしまえ。そういうことである<br><br><br><br>その本を購入して店を出て、電化製品コーナーに行く<br>そこでシンセサイザーを購入した。けれどこれは僕が使うものではない<br>娘に向けての誕生日プレゼントである<br><br>娘が3歳の頃に不倫が原因で離婚し、それ以来一度も顔を合わせていない。合わせる顔などなかった<br>おそらく娘は僕の顔すら覚えていないだろう<br><br><br>そんな娘が今年から大学に入り、本人が僕と会ってみたいと言っているらしい。そこで来週の誕生日に会うことになった<br>音楽が大好きだという娘のためのプレゼント。それがこのシンセサイザーだ<br><br><br>購入したシンセサイザーを車に積み込み、帰宅するため車を走らせる<br>家に着く前の最後の交差点で突然、対向車の大型トラックがこっちに向かって来た<br><br><br><br>気付くと辺り一面真っ白でなにもない空間にいた。どこまでも地続きな気もすれば、途中で壁がある気もした<br><br>すると突然、後ろから話し掛けられる<br><br>「お前死んだんだ。残念だな」<br><br>白髪の天然パーマで真っ白なワンピースを着たおっさんが立っていた。頭の上には輪っかが浮いている<br><br><br>「これから天国行くから手続き手伝う」<br><br>またしても突然、後ろから声がした。振り返るとそこには私服の温水洋一が立っていた<br>こっちの頭の上にはポンデリングが浮いている<br><br><br><br>僕が死んだなんてとても信じられなかったけれど、天使らしき人と温水洋一が立っている。そんな状況を目の前にして信じる他なかった<br><br><br>けれどこっちは来週、娘の誕生日なんだ。プレゼントを渡さなければならない<br>死んでる場合じゃなかった<br><br><br>それを聞いて天使が言う<br>「大丈夫。天国行けば全部忘れる」<br><br>続けて温水が言う<br>「お前の人生は終わった。次の人生楽しめ」<br><br><br>冗談じゃない。このまま天国に行くなんて御免だった<br>せめてプレゼントだけでも渡したかった僕は、一週間だけ生き返りたいと訴えた<br><br><br>「贅沢だぞ。お前は死んだんだ」<br>「プレゼントなら宅急便で届けてやる。これでいいか」<br><br><br>渡せればいいってもんじゃない。こっちは直接会って話したいのだ<br><br><br>「死んだ者は天国行って生まれ変わる。そういう決まり」<br>「いままで時間あったはず。会わなかったお前が悪い」<br><br><br>死ぬなんて分かってたらそりゃすぐにでも会いに行ってただろう<br><br>「いつ死ぬかわからないのはわかるはず」<br>「うだうだぬかすな。死にてぇか」<br><br><br>天使のくせして口の悪いやつだ<br>いや、あっちは天使じゃなく温水だ<br><br><br>「ここきたやつみんなお前みたいなこと言う」<br>「でもあいつは違ったぞ」<br>「どいつだ？185万5306人目のやつか？」<br>「違う。その次の次のやつ」<br>「ばかやろう。そんな前のこと覚えてる訳ないだろう」<br><br><br>死んでも悔いのない人間などいるものなのか<br><br><br>「いた。ミュージシャン目指してたやつがいた。そいつ金いっぱいもらえる会社いきなり辞めてミュージシャン目指してた。でもなれないまま死んだ」<br>「わかった。もしかしてそいつ185万5308人目のやつだろ？」<br>「そう。そいつ。お前すげぇな」<br>「好きなことやれたから満足だって言ってたな」<br><br><br>悔いは残るものの、受け入れるしかない。そんなようなことが今日買った本にも書いてあった気がする<br>天国への手続きを済まして、旅立とうという瞬間、温水のインカムに連絡が入る<br><br><br>話し終えた温水がこっちを見て言う<br>「間違えた。お前まだ死ぬ時じゃないらしい。これ食って戻れ」<br><br>そう言いながら頭上のポンデリングを差し出す。言われた通り一口かじると、次の瞬間には自宅にいた<br><br><br>携帯でカレンダーを見ると、誕生日まで一週間。部屋の隅にはシンセサイザーも置いてあった<br><br>今すぐ渡しに行くべきだろうか。けれどもどうせ渡すのなら誕生日に渡した方が娘も喜ぶはずだ<br>来週の誕生日に渡そう。そう決めた<br><br><br><br>そして来たる誕生日前日、明日のために床屋に行き、身だしなみを整え、クリーニングに出したスーツも戻り、準備は万端だった<br><br><br>そこに前妻から着信があり、電話に出ると、娘が事故で亡くなったことを知らされた<br><br><br><br>
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<pubDate>Sat, 07 Jun 2014 20:21:00 +0900</pubDate>
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<title>アンコール</title>
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<![CDATA[ 「どうした？最近疲れてるんじゃないか？」<br><br>ひとりデスクでぼーっとしていた僕に先輩の北村さんが言ってきた<br><br>たしかにここ数日、ろくに睡眠をとれていない<br>けれどその理由は毎日の残業でもなければ何か悩み事がある訳でもなかった<br>ゲームの逆転裁判にハマって、寝る間も惜しんでプレイしていた、ただそれだけである<br><br><br>北村さんに「今の裁判が終わったら、またぐっすり寝られると思います」と言ったら、なんだか急に優しくなった気がした<br><br><br>その日の夜、会社の飲み会があった。行きたくなかったけれど断り切れずに参加することに<br>店に着くなり、皆一斉に生を頼み、すぐに全員分が運ばれてくる<br><br>課長が乾杯の音頭をとることになり、辺りは静まりかえり、課長に注目が集まった<br><br>「えー、皆さんどうもお疲れ様です。課長です。社員の皆とこうして楽しくお酒を飲めることをとても嬉しく思います」<br>「しかしですが、いくら楽しいからと言って周りに迷惑をかけたり、ルールを破ったりしてはなりません」<br><br><br>ふと、斜向かいの部長のグラスを見るとすでに3割ほどまでビールが減っていた<br><br><br>「えー、皆さんもご存知かと思いますが、こんな有名な言葉があります」<br>「呑んだら、乗るな。乗るなら、呑むな。野村は、来るな」<br>「それでは、かんぱーい！」<br><br>それ以来、飲み会で野村の姿を見ることはなかった<br><br><br>しばらくすると、部長が僕に日本酒の一気飲みをやらせようとしてきた<br>訴えてやろうかと考えていると、組長がそっと水と差し替えてくれた。ナイスフォローだった<br><br>組長はとっても優しく、その後もフォローをしてくれる<br><br><br><br>かなり出来上がってきた頃、課長が突然ズボンを脱ぎ出し半ケツで踊り出した<br>辺りは一斉に笑いに包まれる。普段はまじめな課長の滑稽な姿に思わず僕も笑っていた<br><br>すると隣に座っていた北村さんがいきなり「こいつのいる前で判決とか言うなぁ！」と怒鳴った<br>それまでの笑い声はピタリと止み、その中で課長は音をたてまいとゆっくりズボンを履いていた<br><br><br>それからしばらくしてお開きとなり、店を出る<br>夜も更けて終電もなく、会社に泊まる人と代行で帰る人に分かれる<br><br>課長が何やら代行の人と電話で話している。聞く限り、代行の人が道に迷っているみたいだった<br>「今、周りに何が見えます？ローソン？あー、そこなら分かります。すぐ向かいますよ」<br><br><br>そう言うと課長は車に乗り込み、エンジン音と共に走り去って行った<br><br><br>
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<link>https://ameblo.jp/491782/entry-11848569041.html</link>
<pubDate>Mon, 12 May 2014 21:19:00 +0900</pubDate>
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<title>ピーポー</title>
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<![CDATA[ 今日もいつものように食卓を囲み、テレビを見ながら夕飯を食べる。時刻は午後の6時<br>夕方のニュースを見ていると、救急の用事でもないのに救急車を呼ぶ人達、なるものの特集がされていた<br><br>過去には、「風邪をひいたから来てくれ」という事例があったらしい<br>また、病気やケガと関係がなく呼ばれることもあり、「ゴキブリが出たから助けてくれ」だの「遅刻しそうだから送ってくれ」だの「フォックス、後ろの敵をなんとかしてよ～」などというふざけた通報が後を断たないとか<br><br><br>そんなニュースを見ている最中、飼っている猫が突然、食卓に跳び乗ってきた<br>ちょうどリモコンの上に乗ってしまったものだからテレビの音量が、一気にMAXまで上り詰めた<br>それはまるで欽ちゃんの仮装大賞で、実は仮装を一人でやってたことに驚いて合格する時並みの上がり方ととてもよく似ていた<br><br><br>そして次の日もいつものように食卓を囲み、テレビを見ながら夕飯を食べる<br>その日のニュースではお坊さんを目指す若者の特集がされていた<br><br>すると、またしても猫が跳び乗り、音量は瞬く間にMAXまで上がった<br><br>昨夜に救急車のサイレン、そして今日、般若心経が流れたものだから何を勘違いしたのか隣に住む人からお花を渡された<br><br>けれどもうちでは誰一人死んでいない。強いて言えば飼っていたゴキブリが死んだくらいだ<br><br><br>ニュースが終わり、クイズ番組を見ているとその番組の最後に参加者募集という文字があった。どうやら視聴者も参加できるらしい<br>IQ84を誇る僕は早速応募をし、見事当選した<br><br><br>テレビ局に足を運び、収録が始まった<br>有名司会者が目の前に座り、口を開く<br>「もし分からなかったら、テレフォンも使えますので遠慮なく使ってください」<br>「それでは第一問。次のうち、最も画数が多いのはどれ？」<br><br>A 一     B 二     C 三     D 四<br><br><br>「Dの四です」<br><br>「正解！簡単すぎたかな？まぁ最初だからね」<br><br><br>「続いての問題です。次の文章の○○に入る文字は？」<br><br>“CMが明けるのが思ったよりも早く、計○○違いだ”<br><br>ま 測     み 算     む 画     め 器<br><br><br>「みの算です」<br><br>「正解！みの算でした！ズバッと答えるねー！」<br><br><br><br>「次が最終問題です。今、何問目？」<br><br><br>司会者がそう言うと同時に、イスから転げ落ちてしまった。どうやら意識がないみたいだ<br>辺りは慌ただしくなり、救急車呼べ！という大声が聞こえた<br><br>事態の深刻さを悟った僕はすぐさまポケットから携帯電話を取り出し、119を押す<br>すぐに応答があった。すかさず僕は言う<br><br><br>「すみません、今、何問目ですか？」<br><br><br>
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<link>https://ameblo.jp/491782/entry-11840584058.html</link>
<pubDate>Sat, 03 May 2014 21:49:13 +0900</pubDate>
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<title>自殺</title>
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<![CDATA[ 会社員の男性が自宅で首を吊り死亡<br><br>朝、新聞を読んでいるとそんな記事が載っていた。その会社員の男性というのは僕の同僚だ<br><br><br>僕は彼が亡くなったことに驚きはしなかった。なぜなら三日前に彼から自殺することを明かされたからだ<br><br><br>それに対し、僕は否定も肯定も出来ず、ただただ話しを聞くだけだった。それしかできなかった<br>自ら命を絶つということがどういうことなのかくらい、彼も重々承知していたに違いない<br><br>生半可な気持ちじゃ自殺するなどと口にすることは恐らくないだろう<br>それほど彼は追い詰められていた<br><br><br>そんな彼に気安く「死ぬなよ」だとか「いいことあるよ」だなんて僕には言えなかった<br>かといって「死んだら楽になるよ」なんてことも言えるはずもない<br><br>ただ、彼の話しを聞くことしか出来なかった<br><br><br>彼が自殺を考えるまでに至った理由は１つじゃなかった<br>親の死、多大な借金、孤独といった理由からだった<br><br><br>それを聞いて他の人はこう言う<br>「そんなことで死ぬなんてもったいない」「他にも不幸な人はいっぱいいる」「この先なんとかなる」<br><br>これらの言葉を聞いた時、激しい怒りを覚えた<br><br><br>たしかに彼と似た境遇であろうとも毎日を必死に生きてる人だっているはずだ<br>でも、その人と彼は違う。同じ人間などいもしない<br>他の人が耐えられようと彼には耐えることはできなかったのだ<br><br><br>それを理解もせず己の価値観だけで考え、一つの視点からしか物事を捉えられないのはあまりにも愚かだ<br><br>散々追い詰められてきた彼を、さらに追い詰めてどうするというのか<br>それまで耐えて、頑張ってきた彼をまず讃えるべきではないのか<br><br><br>それでも人が命を絶つということは良いこととは思わない。ましてや同僚だ<br>死んでほしくなんかなかった。それが本音だった<br><br>がむしゃらに引き留めて、考え直させるべきだったのだろうか。何が正しいかなんて僕には分からない<br><br><br>彼は死ぬ前、僕にこう言った。「きみは人生を楽しめよ」と<br><br>そして、彼の人生が終わった<br>
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<link>https://ameblo.jp/491782/entry-11828187284.html</link>
<pubDate>Sun, 20 Apr 2014 16:23:08 +0900</pubDate>
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<title>お食事中の方は閲覧をお控え下さい</title>
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<![CDATA[ 日付が変わろうとしているにもかかわらず、会社のデスクでパソコンとにらめっこをしている<br><br>突然、モニターの電源が切れて、ディスプレイに反射した自分の顔を見て、思わず笑ってしまった<br>勝者であると同時に、敗者でもあるという矛盾に戸惑っていると、後輩の坂下が缶コーヒーを差し出してきた<br><br><br>誰に似たのか気の利くやつだ。けれど渡された缶コーヒーには朝専用と書いてあった<br>朝専用コーヒーを朝以外に飲むことに罪悪感を抱きながらも、ありがたく頂戴した<br><br><br>やっとのことで仕事を終え、家に帰ると母親が食事の支度をして待っていてくれていた<br>つくづく自分は人に恵まれていることを実感した<br><br><br><br>仮眠がてら布団に入ると、壁に這いつくばるゴキブリの姿が見えた<br>しばらくの間、じーっとそのゴキブリを見ていると、いつの間にか寝てしまっていた<br><br><br>翌朝、目が覚めると僕はゴキブリになっていた<br><br>黒光りするボディ、チルチル動く触覚、奥二重のまぶた、まさしくゴキブリそのものだった<br><br><br>これじゃせっかく誕生日にもらった腕時計もゴキブリになってしまっては付けることは出来ない<br>僕はショックを受けた。Gショック<br><br><br>とりあえず居間に行くと、母親が朝食の支度をして待っていた<br>しかし、僕の姿を見るなり、丸めた新聞紙を片手に鬼の形相で襲いかかってきた<br><br>僕は急いで逃げた。がむしゃらに逃げた。気付けば人間の時の癖が抜けずに２本足で走って逃げていた<br>さぞかし遅いゴキブリだったに違いない<br><br><br>運良く逃げ切ると、ついさっきまでいた会社に出勤する。ゴキブリになろうがなんだろうが、働かなくてはならない。それが日本という国なのだ<br><br><br>デスクに向かうと後輩の坂下と目が合った。すると突然、丸めた広辞苑を片手に襲いかかってきた<br>先輩に挨拶もせず、挙げ句暴力を振るうとはなんてやつなんだ<br><br><br>ただ、僕は今ゴキブリだ。殺そうとするのは当然の行為だろう<br>周りから見たら僕は虫けら同然なのだから<br><br><br><br>人間に見つかってはダメだと思い、辞表を提出し、引き継ぎを済ませ、会社を後にした<br><br>食べ物を求めて住宅に侵入し、うっかり見つかろうものなら命を失いかねない。そんな毎日が続いた<br><br><br><br>ある日、いつものようにとある家に侵入すると、小さな男の子に見つかってしまった<br>すぐさま逃げた。武井壮の言う通りにフォームを改善したおかげかスピードが上がっている<br><br>しかし、次の瞬間、体が宙に浮いた。男の子に捕まったのだ<br>終わった。今までの人生が走馬灯のようにフラッシュバックする<br><br><br>けれども僕は生きていた。そしてなぜか水槽の中に入れられている<br>すると男の子は言う「カブトムシさん捕まえた」<br><br>びっくらこいた。なんとゴキブリの僕をカブトムシと勘違いして飼育しようとしているのだ<br><br><br>命拾いしたとホッとするのも束の間、この子は騙せても親に見られたら間違いなくバレるだろう<br>そしてバレたら最後、スリッパで潰されて本のしおりにでもされるに違いない<br><br><br>どうやって逃げようか考えていると、男の子は昆虫図鑑を持ってきて、僕と図鑑を交互に何度も見比べている。恐らく僕がなんというカブトムシか調べているのだろう<br>がしかし、僕はカブトムシではない。故に図鑑には載ってないのだ。強いて言えばメスのカブトムシだ<br><br><br>そんなことを考えていると、突然「あったー！」と大きな声を出す男の子<br>まさかと思い図鑑を覗くと、ページいっぱいにヘラクレスオオカブトが載っていた<br><br><br>もしも逃げたらこの子は悲しむだろうか。それは避けたかった<br>けれど、このままいても殺されてしまう<br><br><br>悩んだ末に僕は、男の子が昼寝をしている隙に、家から脱出した<br>カブトムシの知り合いのアイコの角をこっそり頂戴し、また男の子の家に戻る<br><br><br>角さえあればどこからどう見てもカブトムシだ。ヘラクレスではないにしろ、親にもバレることはないだろう<br>その後、アイコから角を返せと虫の知らせが来たが、無視した。そのせいか、代わりに鬼の角を生やしてるようだった<br><br><br>それからというものの、男の子を騙すことに罪悪感を抱きながらもカブトムシを演じ続けた<br>朝専用コーヒーを朝以外に飲むよりも心が痛む<br><br><br>僕のようなゴキブリがのうのうと生きていていいのだろうか。そんな思いも、男の子の笑顔を見る度に吹き飛んでいった<br><br><br><br>それから5年が経ち、男の子は読書が趣味の青年に成長した。当然彼は、僕がカブトムシじゃないことにはもう気付いていることだろう<br>けれど、今もなお僕のことを毎日世話してくれている<br><br><p>そのおかげかこうして長生きできている。ゴキブリの寿命がどれくらいかなんて知らないけど、寿命で死ぬゴキブリなんて一握りだろう</p><br><br>そして僕はその一握りになろうとしている。ゴキブリのくせに幸せだった<br>最後に、本当の自分を、ゴキブリとしての自分をもう一度見てもらいたくて、角を取った。<br><br><br><br>すると、それを見た親にすかさずスリッパで潰された<br><br>幸いなことに、これからも彼と一緒にいられそうだ<br><br><br>
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<link>https://ameblo.jp/491782/entry-11826818869.html</link>
<pubDate>Fri, 18 Apr 2014 21:43:07 +0900</pubDate>
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