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<title>２２７０５　報告</title>
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<description>FOXの海外ドラマ「BONES」のファンで、メインキャラクターの一人、シーリー・ブース役のデヴィッド・ボレアナズファンの20111021です。ファン歴は浅いですがCrazy about状態で、とうとうFanfictionを始めてしまいました。</description>
<language>ja</language>
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<title>Happy  birthday for us</title>
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<![CDATA[ 　待ち合わせは、地下駐車場だった。<br>　出先からこちらに向かう途中でメールしたのだろう。（もうじき着く）とだけの送信。駐車場のどこで待てばいいのか少しばかり思案した彼だが、広いワシントン本部の地下に旅立つ事は早々に諦め、大人しくセキュリティゲートの中に留まる事にした。<br>　傍らのベンチに腰をかけ、黒い前髪を軽く払い、ふぅと息を吐く。<br>　DCへは連絡会議という訳の判らないシロモノで呼び出された。ユニットリーダーとして無視する事も出来ず出席したが、仕事の話というより内部のパワーバランスを測る場という意味合いが強い密室での数時間は、必要以上に神経を使う。そういったものに興味のない彼には直の事で、ここで失った時間分をクワンティコの自分のオフィスで過ごしていれば、提出書類の幾つかは片付けられたのに、と理不尽に対する小さな怒りさえ湧いてくる。<br>　ふぅ、ともう一度息を吐き過ぎた事を忘れる為に、足元の紙袋を覗きこんだ。鋭い、と表される整った顔立ちがゆったりと笑む。今年の瓶には妻が、<br>『これくらいしてもバチはあたらないでしょう?』<br>と派手なリボンを付けてくれた。それを見た相手の反応が今から楽しみだ。<br>　と、コンクリートの天井に低いエンジン音が響いた。腹の底に直接伝わる様な重音。何気に視線を巡らせて、彼は目をパチクリとさせた。<br>　鉄条網の向こう、待ち人がそこにいた。普段のスーツ姿とはかなり違う格好だ。<br>　黒のレザーパンツと同色のジップアップジャケットにブーツ。ヘルメットをとって頭を小さく振った相手は、彼に気付きメットを上げて軽く挨拶をした。サイドカー付きの大型バイクに乗ったままで、だ。<br>「待たせたな、H。」<br>セキュリティをIDを使って通り抜け側に来た彼に、そう声をかける。<br>「いや、B。そんなに待ってはいないんだが・・・」<br>待ち人をBと呼んだHは、改めて相手の姿をつらつらと眺めた。<br>「大きいな。」<br>それがバイクの事を指すのかサイドカーに乗ったものを指すのか、判らないままに<br>「まあね。」<br>とBは返し、乱れた髪を手櫛で整える。いつもはきちんと撫で付けられて端正な顔を縁取るブラウンの髪も、今日は被り物の為か整髪料をあまりつけてないようで、パラパラと動く。服装とは合っているが、FBIの特別捜査官という職業からはほど遠い。<br>「休みだったのか?」<br>「ああ。ちょっとばかり野暮用があってね。その為にこいつを借りたんだ。」<br>ポンと自分の両腿に挟んだ黒光りするボディを叩く。<br>「返さなくていいのか?」<br>「まだ大丈夫。でも、流石にコレで飲みに行けないからここに置かせてもらおうかと思ってさ。」<br>とBは続ける。<br>「で、そっちはどうしたんだ。」<br>Hがサイドカーの物を顎でしゃくった。そこに鎮座しているのは大きなクマのぬいぐるみ。象牙色の毛にクリッとした丸い目。臙脂色のリボンを首---- というか頭と胴体の接続部分----に巻いている。<br>「誕生日のプレゼントにくれるってさ。今日、寛解で退院する子から貰った。」<br>その一言で、彼の野暮用が何であったのか理解出来た。<br>　Bは難病に苦しむ子供達へのチャリティに熱心だ。が、それを（善行は秘して）のカソリックの教え通りに人に全く話さない。Hとて、事故で入院した友人の息子の見舞いに小児科病棟を訪れなければ知らなかった事だ。エレベーターホールでばったり出くわしたBは、忘れ物を届けに彼を追ったナースに事をぶちまけられるまで、何とかシラを切り通そうとした。<br>「催し物でもあったのか。」<br>「今月生まれの子供のバースデーパーティーさ。男の子の何人かが大きなバイクに乗ってみたい、と言っていたから・・・」<br>来年の誕生日を迎えられるか否か判らない小さな命達の小さな願いだ。Bでなくても叶えてやりたいと思う。<br>「俺も今月生まれだと知った子供がくれたんだよ。幸せの御裾分けだって言って。」<br>手を伸ばし、引っ張り上げたテディベア。長身の男が片手と言えどしっかりと抱え込まなければならない程の大きさだ。その頭をポンポンと叩く。<br>「退院なら確かに幸せだな。」<br>「ああ。二度と戻ってくるなよって言っておいた。」<br>小さくクスりと笑う。<br>「と、言うわけで今日のバースデーナイトはこいつが同行する。さぁ、何処で飲む?」<br>ぬいぐるみを持ちつつサイドカー側に回り込み、車体の足元からHと同じような紙袋をBは取り出した。カチャリと触れ合う音がして、こちらも瓶だと知れる。<br>　知り合って暫く経った頃、偶然、同じ月生まれだと知った。日付は十日ほど違うし年は六年違うが、とにかくお祝いだと騒いだ。アカデミーを出てからは、同じFBIと言えど所属は全く違ったし、今や片方は、腕はいいが手に追えないコンサルタント連中の半ば公認された専属捜査官---というより連中を自由に動かせる唯一の捜査官---- としてチームを率いているし、もう片方は、自らプロフエッショナルとして指揮するユニットメンバーと共に全国各地を飛び回っているという多忙な二人だ。今月会えば一年ぶりなんて事もある。それでも、どちらともなく連絡を取り合い、バースデーナイトは続けられてきた。何故かと問われれば（さぁ、なんでだろうな。）とお互い顔を見合わせるだろうが、彼らにとってこの数時間が大切なものであることは確かだった。<br>　二人共FBIでは中堅クラスだが、世間様より（命の値段）が安い世界にいる年月はもっと長い。特にBは、間違えば捨て駒にされかねない、という現実に身を置いてきた過酷な過去がある。だからこそ、病室で戦う小さな命を応援するし、ささやかな日々の中の祝福を大切にする。何気ない毎日の暮らし。自分を--- Hのように---友人として認め気遣ってくれる人々の柔らかな好意。そういったものをひっくるめた穏やかな日常のお陰で今の自分がある、と痛いほどに知っているからだ。<br>　HはそんなBの心境を、彼がたまに会話の隅に散らした断片を集めて組立て理解した。と、同時に、なぜ自分が彼を得がたい友人として見ていたのかもストンと腑に落ちた。<br>　Hは人の心理のプロとして、同じ人であることが嫌になるような凄惨な現場に立ち会ってきた。幾度もそれが繰り返されると何かが心に澱のように重く沈み、時折どうにもならなくなる事がある。溺れるようにそれに絡め取られる。そんな感じに陥り、無性に誰かに吐き出してしまいたくなる。同じものを見続けている同僚にそんな事は出来ないし、家族は論外だ。そんなとき、HはBを頼った。同じFBI捜査官として秘さなければならないものはよく知っている。そして、彼は、世の中の不条理をHと同じくらい、いやそれ以上に飲み込める男だった。目に見える悲惨さやグロテスクさには眉を顰めるものの---グロテスクさでは彼の案件の方が上だろうし---、見えない（何か）を受け止め処理してしまう精神の強靭さが彼にはあった。その理由は、（法の下の正義）を持って殺人犯を捕まえるのを天職としているB自身が、ライフルを手に何十人もの命を奪っておきながら同じ（法の下の正義）において罪を問われず裁かれもしないでいる、という不条理を自己の内に抱え込んでいるからにほかならない。<br>　「今年は何をくれるんだ?」<br>掲げてみせた紙袋を覗き込もうとHがBの側に回り込む。<br>「昔の知人経由で輸入されてないスタウトが手に入ったんだ。」<br>「ほう。」<br>嬉しそうにHが目を細める。お互いに用意するバースデープレゼントは後に残らない消耗品と決めていて、ここ数年は酒類に落ち着いていた。<br>　そっちは、という視線に変わりばえしないがと、袋を開きアイリッシュウイスキーのボトルを見せる。派手なリボンに目を丸くし、こちらも表情を明るくして<br>「ヘイリーによろしく言っておいてくれ。」<br>と付け加える。<br>「そのテディベア、どうするんだ?」<br>鍵を抜きチェーンをかけてから改めて抱え込んだクマを眺めHが問うた。<br>「パーカーに渡すよ。大切にしてくれると思う。」<br>一緒に暮らせない一人息子の事を口にすると、Bの目尻がほんのり緩む。<br>「----よく似てるな。」<br>「えっ?」<br>「君とそのクマだ。」<br>「俺と? 」<br>「そう。茶色い目がそっくりだ。」<br>殊更真面目くさって言うHの口元は今にも笑い出しそうだ。Bはそれに気がついて（どうせ俺とテディベアなんてとんでもなくミスマッチだよ）と子供のようにふてくされて見せる。<br>「行こう。俺はともかく、お前はいつ何時呼び出されるとも限らないからな。」<br>「何を言ってる。お互い様だろう。骨チームの噂はクワンティコまで響いているよ。」<br>皮肉にならないような皮肉に二人して再度小さく笑い、肩を並べて街へと歩き出す。<br>「Happy birthday for you」<br>　辛口の真実を伝え、ヴェールのような穏やかさで包む。相手に対し沈黙と誠実を信条にする友とのささやかな時間の重みを知っている二人に、都会の夜は優しかった。<br><br><br>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　END<br><br>&nbsp;本日はDBのお誕生日。というわけで二回目の記念Ficであります。<br>　ディビッド、誕生日おめでとう!<br>　難病の子供のチャリティの話はシーズン８のエピ１４より。取ってつけたような設定で、Fic書き泣かせですが、まぁ、今に始まった事じゃなし、開き直りで使わせて頂きました。関係者にあの病気の人でもいたんでしょうか?<br>　H君の再ゝ登場。今度は家族の名前も出てきて、もうバレバレ。でも、何となくこのFicではHで通したい感じです。二人が何で友達付き合いしてるのかはっきりしちゃって、書いてるこっちが（おいおい）な状態。今後の出演予定はありませんが、なんかこのコンビ気に入ったわ。<br>　大型のバイクにテディベア。これ、ほんとに見たんです。GWで実家に帰省中の高速道路で。はじめ、何がサイドカーに乗ってるか判らなかったけど、ぬいぐるみだと知ってびっくり。いやー、ドラマの中よりドラマっぽい事ってあるんですねぇ。<br><br>　 &nbsp;<br><br><br>
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<link>https://ameblo.jp/a-can-do/entry-11848994765.html</link>
<pubDate>Fri, 16 May 2014 13:12:34 +0900</pubDate>
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<title>ニアミス</title>
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<![CDATA[ 　エレベーターのドアが開いて廊下に出たとき、目の前に知った顔を見つけ彼は薄い笑いを浮かべた。向こうも気が付いたようだが、歩く速度は緩めない。<br>「やぁ、H。」<br>「元気そうだな、B。」<br>並んで歩き出してからお互いのみ通じる名前で交わす挨拶は、久しぶりの割にそっけない。<br>「珍しいな。この時間にクワンティコにいるなんて。」<br>「それはこっちの台詞だよ。どうしたんだ? 」<br>長身、全てを見透かすような眼。濃紺のスーツに黒髪がはらりと散る秀でた額、鋭角的な容貌が似合う（H）が問う。<br>「・・・・何をイラついている?」<br>目の前の彼は、本来なら、数十マイル離れたDCにいるべき男だ。<br>「別に。イラついてなんかないよ。」<br>答えた茶の瞳の（B）は、上背こそHより僅かに低いが、訓練用ウェアの下にある肩幅と上腕は彼より発達していて、それを引きしまった腰が支えている。<br>「歩幅がいつもより大きいし、スピードも早い。」<br>「急いでいるから、と思わない?」<br>「歩幅の説明がつかない。訓練された人間は常に一定の歩幅で歩く、と教えてくれたのは君だぞ。」<br>実例として自分を上げたのは、知り合ったばかりの頃だ。<br>「だから、プロファイリングは嫌いだ。」<br>「何でもいいが、イラついた君がそんな長ものを持ち歩いていると、少しばかり驚異を感じるよ。」<br>心持ち速度を落としたBに、Hは彼の肩の荷物を顎でしゃくってみせた。視線は変わらず前方と手元のファイルを行ったり来たりしている。Bが右肩に引っ掛けているのは、四角く細長いライフルケース。彼が持っているのなら、多分、狙撃用M82か。<br>「・・・・例の人喰い野郎さ。司教を食べて、膝の骨を俺の相棒に送りつけて来た。」<br>「骨博士のところに?」<br>「ああ。挙句に俺たちを吹っ飛ばそうとしたんだ。」<br>「顔の怪我はそのせいか。」<br>ちらり、と相手の横顔を見る目には、友人としての気遣いが宿る。<br>「君たちに次の標的を知られている。奴も焦ってるんだ。」<br>「・・・・・事件の詳細を知っているのか?」<br>「--------地下の金庫室が発見されたとき、支局の次官から話が来たんだ。資料に目を通して追加の詳細も送ってもらったが、結局断った。」<br>「どうして?」<br>「既存の文化や宗教を基盤に自己の妄想を構築し、それに沿った形で犯罪を犯せばそのルートを辿って個人の特定は可能だろう。が、これは歴史に裏打ちされた文化そのものだ。必要なのは我々ではなく歴史学者か人類学者だよ。」<br>「ウチの分析官も似たような事言っていた。」<br>「例の、君を査定した心理学者?」<br>「そう。」<br>嫌な事を思い出したのか、整った顔を少し顰める。Bの方が表情がよく動く。<br>「こんなところで憂さ晴らしをするより、そのドクターにセラピーしてもらえばいいだろう。」<br>「セラピーは嫌いだ。それにこれは訓練。」<br>「重犯罪課の特別捜査官が、長距離射撃の?」<br>「腕を落したくない。立てこもり犯と対峙する事だってある。」<br>「今日は幾つの予定なんだ。」<br>「１０００から。」<br>「・・・・・・やっぱり。また軍用のを持ち出したのか。」<br>「これが一番借りやすい。」<br>「使う人間が少ないからだろう。」<br>あえて、（使える人間）とは言わない。<br>「・・・・・・」<br>「お前・・・・。ここには、狙撃班も訓練に来るんだぞ。」<br>「だから?」<br>「結果はデータとして残るんだ。お前が頭を冷やしたくて作る２インチの穴のお陰で、狙撃班の新人が何人か必ずへこむ。モチベーションを下げてどうする。」<br>「大丈夫。連中は人命最優先だ。こんな長距離では狙わない。」<br>「やっぱり憂さ晴らしじゃないか。」<br>「・・・・・・・・」<br>小さく漏れる失笑と少しばかりふてくされた顔が並ぶ。お互い基礎が良く、どんな表情も様になるので、すれ違う女性職員が並んで歩く彼らを振り返ってかしましい。<br>「（訓練）の後の予定は?」<br>外野の騒ぎを歯牙にもかけず、笑みを別の色に変えてHが問う。<br>「ん、今は抱えている事件は他にないから----」<br>同じ色がBの顔にも再訪した。<br>「もう少しで昼になる。久しぶりにどうだ。」<br>「いいね。ここのカフェテリアは美味いものが多い。終わったら連絡するよ。」<br>「判った。」<br>廊下はもう少しで突き当たりになる。歩みは止まらない。<br>「じゃ。」<br>「また、後で。」<br>二人は右と左に別れ、それぞれの仕事に戻っていった。<br><br><br><br>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　END<br><br>　これは、前作「一晩だけの相棒」の叩き台として作ったものを少し改稿したものです。<br>　H君を上手く動かせるか不安があったので、書いてみました。<br>　これを、H君を好きな人に読んでもらって「大丈夫」と言ってもらってから、前の話を作り出しました。キャラの受け止め方はそれぞれですが、崩しちゃいけない最低ラインは存在するように思うので。<br>　でも、楽しかったです。また、登場させられるといいなぁ。&nbsp;<br><br><br><br>
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<link>https://ameblo.jp/a-can-do/entry-11835749762.html</link>
<pubDate>Tue, 29 Apr 2014 21:57:24 +0900</pubDate>
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<title>First exam　　一晩だけの相棒　　Part 12</title>
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<![CDATA[ 　白々と夜が明け始めていた。　　<br>　アカデミーの歴史に残るであろう（鬼ごっこ)は、予定の時間をかなりオーバーして漸く終わりを迎える。<br>　「携帯が、思いの外、早く繋がったくれた。」<br>今や犯行現場となった山小屋。その側のテントを仮設の本部として、捜査権のある本物の捜査官達が多数出入りしている。資格のない二人は、その様子を遠巻きに眺めていた。<br>「電話をかけたら、向こうは向こうで連絡のない私達の捜索隊を出そうとしていたところだった。」<br>残りの四人の候補生も参加しての----生徒と言えど元は軍人と警官だ----捜索隊が出発の直前だったと言う。<br>「君が私を助けてくれた、あの木の辺りで合流出来た。川は、要請を受けた軍が渡れる所を探してくれていたそうだ。ついでに言うなら、麓にはマッケナン達を追いかけて来たFBIの支局も来ていた。」<br>「そっか。二つの州を跨いだから管轄はFBIなんだ。」<br>「連邦保安局も一枚噛んでいるらしい。」<br>Hが指差す先には(FBI)以外のロゴ入りジャンパーがウロウロしていた。<br>「まさか、タンクの雨水を煙突からぶち込むとは思わなかったよ。」<br>「何せ装備が無いんだ。奇襲としては最適だろう。」<br>「確かにね。灰だらけになったけど。」<br>湿らせたタオルで拭っても追いつかず、髪を水で濯いだBは幾分恨めしそうだ。<br>「------ マッケナンの移送は保安局の差し金だそうだ。ドジソンは発病して、よりよい治療を条件に新しい証言をするつもりになったらしい。その裏を取る為にマッケナンを尋問しようとして動かした。」<br>「へぇ。マッケナンはドジソンがそこまでしているとは知らずに、グリーンの連絡を受けてチャンスとばかり逃げ出したのか?」<br>「そういう事だ。シェリルの勘は当たったな。」<br>自分がいなくなってからの経緯をBの口から聞いたHは、しみじみ呟く。<br>「保安局から書類が届いて事件の詳細も判ったし。」<br>それを読んでFBIがはじき出した連中の探し物。<br>「宝石強盗をしたときの盗品の一部。未加工のダイヤがまだ見つかってなかったとは、ね。」<br>ポリポリと頭をかくBの右手には、まだアクセサリーのように手錠がちゃらりとぶら下がっている。<br>「水に入れようが少々熱を加えようが変質しないお宝、最高級クラスの代物だ。裏で捌いても一握りで数百万ドルにはなるだろう。」<br>「奴らが目の色を変えて脱獄までする訳だ。」<br>　この小屋の処遇はHが推察した通りだった。住んでいたベンという男はドジソンの幼馴染で、もとは良い所のお坊ちゃんだったそうだが、悪い遊びに目覚めて道を踏み外して行ったらしい。住む所もなくホームレス同然だった彼を、ドジソンはいろいろお膳立てをして金庫番に仕立て上げた。計算外だったのは、身寄りがないと思っていたベンの----本人も知らなかったであろう身内が----があっさりと見つかった事だろう。その結果、とんとんと遺産相続の話は進んだ。その間、ドジソンは病室で半ば朦朧としており、外部からの連絡が受けられるようになったのは、全ての手続きが終わった後だった。相続の異議申し立てには、それ相応の根拠がいる。思い余ってグリーンを通じてマッケナンにも連絡を入れたが、自分は何も出来ない。この先どうなるか判らないが保身に走るに越した事はない、と考えたのだろう。まさか、マッケナンが脱獄までするとは思ってなかったようだ。<br>　物がダイヤだと聞かされたとき、Bはひょっとしたらとある場所を口にした。寝室のローチェストの上にかけられた騎士の絵。裏には何もなかったが壁か絵に細工がしてあるのではないか、と。果たして、絵の真裏、壁の中に空洞があり中の小箱に黒い袋が隠されていた。<br>「どうして判ったんだ。」<br>犯人逮捕の功労者として特別に見せてもらったダイヤを、素人同然の物珍しさ全開で見つめ手袋をした手で触っていたBを思い出しながら、Hが問う。予備的調書を取られたときに聞きそびれた話だ。<br>「えっ? 殆どお前が教えてくれた事だよ。俺はペタペタとそれを貼り合わせただけ。」<br>「私が?」<br>テントの下。ダイヤから離れ捜査官の邪魔にならないよう、けれど何か聞かれたらすぐに答えられるように待機させられている二人は、紙コップのコーヒーとサンドイッチをパクついて漸く一息入れる事が出来ていた。<br>「そう。ここに住んでいた奴の分析をいろいろ話してくれただろう。アレだよ。あと連中がヒントとしてドジソンから『俺らしい、と言えば俺らしい所』って言ってたって聞いたから。」<br>「-------」<br>「お前、ベンって男の蔵書を見て一冊だけ浮いている（鏡の国のアリス）を誰かからもらったのかもって言ってただろ。」<br>「ああ。」<br>「もともと、その話が印象に残ってたんだ。それとヒントから来る思いつき、当てずっぽうだよ。それをお前の観察力が補強してくれた。」<br>「何を言っているのかよく判らないが・・・・」<br>「奴の名前はルイス・ドジソン。（鏡の国のアリス）の作者はルイス・キャロル。」<br>「ルイス繋がり?」<br>「本名がチャールズ・ドジソンなんだ。」<br>「詳しいな。」<br>「------お袋が児童文学好きで、家に何冊があったんだ。」<br>目をパシパシと瞬かせて少し顔を曇らせたように見えたのは、見間違いだろうか。<br>「その二つの名前を浮かび上がらせるようなアイテムが部屋にいくつもあった。アリスの本は勿論だが、兎や馬頭の彫刻、猫の絵。絵のサインはDの一文字。ドジソンが描いたんじゃないかな。」<br>「で?」<br>「言ってたよな。絵と彫刻と写真と読書と旅行、多趣味だって。だから思ったのさ。絵と彫刻はドジソンの趣味、写真と旅行、読書がベンの趣味。んで隠したのはドジソンで（俺らしい）って話だったからね。奴の自画像でもあったらそこを探しただろうけど。」<br>「どうして騎士の絵なんだ。」<br>「『不思議の国』じゃなくて『鏡の国』があったから。ベンの持ち物にヒントを紛れ込ませるなら本は一番簡単だ。安価だし彼もたくさん持ってるからね。むしろ、中をくり抜いてダイヤを隠せるくらいの物って事で、フェイクのつもりだったのかも。」<br>「・・・・・」<br>「俺、ひと夏文学にはまってね、研究書なんかも読んだんだ。『鏡の国のアリス』はチェスをモチーフにしていて駒も幾つか登場している。その中の白の騎士は、自分も白の女王として動いているアリスに一番好意的に描かれていて、もっぱらこれが作者の分身だと言われているんだ。」<br>「白のナイト。もう一人のドジソンだな。」<br>「そういうこと。でもなぁ。」<br>と溜息混じりに言葉を続ける。なんでこんな面倒な事をしたのかさっぱり判らない。それが判らなければ意味ないだろう、と。<br>「-----これは、私の推量だが・・・・」<br>「何?」<br>「ドジソンは不安だったんだと思う。自分は年もいっている。この宝石を売った金はこの先の生活の為にもどうしても必要だった。ひょっとしたら既に体調に変化があったのかもしれない。ダイヤがダメだと見切りをつけたらあっさり保身に走ったし。これだけ大掛かりな隠し場所を用意したんだ。例え捕まらなくてもブツを隠してほとぼりを冷ますつもりもあったんじゃないかな。」<br>「自分しか隠し場所を知らなければ、マッケナンやシェリルに殺される事もないか。」<br>「ああ。ヒントや小道具を用意したのは、病気が悪化して自分が死んでもマッケナン達がちゃんと見つけられるようにする為だろう。」<br>「連中を信じてたのか、そうでないのか、イマイチ判らんな。」<br>「彼らを信じていた、というよりベンに危害を与えられないようにする為じゃないかな。」<br>「成程なぁ。」<br>ふぅ、と息を吐きぼんやりとテントの屋根を見つめ、それからあくびを一つ。そんなBを見つめていたHは張り詰めていた肩の力を抜く。<br>「危害と言えば----手錠の件は、私に危害を加えさせない為、私を先に逃がす為の伏線か?」<br>「えっ?」<br>「君に預けた手錠の鍵は洗剤の箱に埋まってた。なのに君は突入したとき、両手が自由に使えていた。マッケナンは直前まで確かに手錠をしていた、と話している。それらの条件を満たす答えは一つ。君は鍵がなくても手錠を外す事が出来る。」<br>Bはちょっと唇を噛んだあと、黙って左でを右手に添えた。少しだけ顔が歪み右手がだらりと枯れた植物のように垂れ下がる。手錠の輪から右手を抜き、また手を添えると瞬く間に元に戻った。<br>「関節を外すのか?」<br>「ああ。」<br>「----バスで一緒だった体格のよい男性。彼は海軍の補給部隊の人間だった。その彼の案でモールスを使って君に連絡したんだが・・・。彼が話してくれたよ。モールスはともかく、地形図や天候からの分析、土石流や落雷の予測、武器をその場で調達し不測の事態に対応する。これら殆どはサバイバル訓練で培われるものだそうだな。そして、この手錠抜け---君なんだな、噂の主は。どこの部隊だ。」<br>「----- 陸軍。第75連隊」<br>「最終階級は?」<br>「曹長。」<br>「その年で、か。」<br>Hは軽くため息を吐いた。通称レンジャー部隊。アメリカ特殊部隊の中で唯一の軽歩兵部隊として、その身軽さゆえの機動力を活かして兵士自身が担いで持てるだけの軽装備で地球上のありとあらゆる所に派兵される部隊、というくらいの知識はある。二十代半ばで曹長なら・・・。<br>「何で辞めたんだ。デルタにでも行くように言われたのか。」<br>「-----」<br>「まぁ、そんな事はどうでもいいか。」<br>小さく口角を上げて視線をあっさりとBから手元の紙コップに移す。熱いだけのコーヒーがこんなに美味しいとは思ってもみなかった。<br>「-----人質の中で警察関係者は一番の驚異だ。俺なら一番確実な方法で自由を奪う。自分の道具で拘束される、という屈辱を与える事も出来るしね。ガラス片、ナイフ、尖った石でもビニール紐は切れるが、手錠はそうはいかない。俺には意味をなさないし、この手首にあった方がメリットが多いと思ったまでさ。」<br>カチャリと輪を二つ重ねにして目の前にかざし、すっとHに差し出す。彼は無言でそれを受け取るとジャケットのポケットに突っ込んだ。<br>「これで貸し借りなしだな。」<br>そうBが呟き、何を言われているのか判らずHは戸惑った。<br>「お前が助けを呼んできてくれたお陰で命拾いした。礼を言うよ。」<br>「何を言っている。君が芝居を打って逃がしてくれたんじゃないか。私の方こそ・・」<br>「いや、あれは偶然チャンスが巡ってきたに過ぎないよ。お前は限られた装備でちゃんとFBIを呼んで、本部に正確な情報を伝えて救出作戦を成功に導いたんだ。」<br>「大げさだな。」<br>「それだけじゃない。その観察眼で捉え俺に教えてくれた事が、俺に余裕を生んだ。これはすごく大きいよ。」<br>「余裕?」<br>「そう。連中の探し物が見つからない限り、引き金に指がかかってもそれを阻止出来るネタを俺は握っていたんだ。連中をミスリードする事も可能だった。最高の時間稼ぎだろう。」<br>「馬鹿な事を言うな。」<br>「馬鹿な事じゃない。お前は俺に切り札を施してくれたんだ。」<br>「何を言ってるんだ。あんなもの、雑談の中の当て推量じゃないか。そんなものを切り札と呼ぶなんて。どうかしている。」<br>「どうかしてないさ。精神的な余裕っていうのは大事なんだよ。お前の推論は十分、俺のバルビタールになってくれた。」<br>「・・・・君は、私の遊び半分のような憶測に命をかけるつもりだったのか? 本当かどうかも判らないものに?」<br>「真か偽か、本当か嘘か。それを決めるのは見つめる先にあるんじゃない。見る側に存在するんじゃないのか? 例えお前が当て推量だと言ったって、俺がそれを信じればそれは俺にとっての真実さ。真実に命をかけて結果が望むものではなかったとしても、俺はそれでいいと思ってるよ。」<br>彼の口調は静かだ。しかし、その中に諦観と矜持の匂いが漂う。:決して今回の事だけを言っているのではあるまい。<br>「-------誰にとっての嘘、誰にとっての真実、か。」<br>Hはじっとこの若者を見た。彷徨う瞳は、ここにはないものを見ている。人形のガラスの眼のように表情がない。氷のように冷たく、脆く。Hの視線を感じたのか、フッとそれは消え、何事もなかったかのように小さな笑みが蘇る。<br>　と、現場のリーダーが彼らを呼んだ。HやBでない、ちゃんとした名前で。二人して顔を見合わせてプッと吹き出す。そう言えば自己紹介がまだだったな、とお互い名乗り合う。妙な具合だ。<br>「今更、名前で呼べないな。Hと呼ぶ方がしっくりくる。」<br>「お互い様だ。Bの方が簡単でいい。」<br>「俺はあんまり変わらないと思うけど。」<br>立ち上がって紙コップを置き歩き出す。<br>「なぁ。この試験、俺達パスするかな?」<br>「さぁ、大丈夫なんじゃないか。本物を捕まえたんだし。」<br>「だといいけど。----- 捜査官になったらどんな所に行かされるのかな。」<br>「------」<br>「お前、観察眼鋭いから、そういった方面向いてるかもな。」<br>「そういった方面?」<br>「ホラ、データとか心理学を使って推論を展開していく専門職。向いていると思う。」<br>「そうかな・・・・ 君は? 希望はあるのか?」<br>「俺? 俺は・・・・殺人犯を捕まえたい。人を殺しておきながらその罪から逃れようとする奴らに、責任を取らせたい。」<br>「重犯罪課あたりか。」<br>「まぁ、どこでもいいけど。信頼できる仲間に出会えれば。」<br>「信頼できる仲間、か。」<br>「ああ。さしずめお前は第一号ってとこかな。」<br>「-----それは光栄だな。よろしく、B。」<br>「こちらこそ、よろしく、H。」<br>二人はしっかりと握手を交わした。<br><br><br><br>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　END<br><br><br><br>お付き合いくださいまして、ありがとうございました。<br>B君と児童文学の話は全くの捏造です。<br>前に、数冊の児童文学書が出てくる話を考えたのですが、それを母親の形見として使ったためにお母様がS８に出てきた時点でボツにしました。その自己設定のみ使用。<br>バルビタールはS5に出てきました。スナイパーも使うという精神安定剤。<br><br>さて、H君ですが・・・・<br>ヒント。白人、長身、黒髪、左利き。Bより年上。元検事。イニシャルは偽名と同じ。<br>はい、皆さん、もうお解りですね。クワンティコ本部のあの人です。<br>元は、Bと対等で苦言を呈するのも辞さない捜査官という立場の人が欲しかったのですが、どういうわけだかクロスオーバー物が出来てしまいました。でも、FBI同士だし、拠点としているところも近いし、何より考えるのが楽しかったです。<br>こんな風に、あちこちからキャラを借りて共演させるのが結構好きだったりします。まだ、使ってみたいキャラもいるので、どうやったら引っ張り出せるのか画策中です。<br>少しばかりペースダウンしていますが、まだ続ける気はあるので、またよろしければお付き合い下さい。<br>それでは。<br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br>
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<link>https://ameblo.jp/a-can-do/entry-11823479934.html</link>
<pubDate>Mon, 21 Apr 2014 12:04:29 +0900</pubDate>
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<title>First exam　　一晩だけの相棒　　Part 11</title>
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<![CDATA[ 　シェリルはマッケナンをリビングの暖炉の傍まで引っ張っていった。何やらぼそぼそと相談している。手錠はともかく体と足の戒めだけでも解かないと、助けが来たときに足手まといになってしまう。<br>　下の町で起きた災害を考えれば、地元警察はあてに出来ない。かと言ってFBIとしてこの町に来ているのは教官と候補生、立会いの設備職員だけだ。Hが上手く連絡をとったとしてもいつ救助が来るのか--。<br>　もし、脱獄犯を追う連中と連絡を取り合って合同で手配するとしたら、その連携にどれほど時間が係るのか、それすら知らない。今のBには判らない事だらけだ。むしろチャンスを伺いこの二人を煙に巻いて独力で下山の道を探した方が早いだろう。山に入ってしまえば彼らに捕まらない自信はある。しかし、それは犯罪者をみすみす逃す事になる訳で、差し迫った命の危険がない以上候補生としてその選択は敵前逃亡するようで遣りたくはないな、と思ったりする。後日、Hから、人質が共犯者と判った時点でどう状況が転ぶか判らない十分危険な状態になるのだから、次からはさっさと逃げ出せ、と忠告を受けたが。<br>　「お前、金に困ってるのか?」<br>どうやら二人の話が纏まったらしい。戻ってくるなりマッケナンがそう言った。<br>「困ってない奴なんかいるかよ。----前にいた所でちょっとトラブっただけだ。」<br>何をどういうように言えばこれ以上突っ込まれないか、アカデミーで会話のマニュアル本でも作ってくれよ、とBは内心グチる。<br>「ふーん。じぁあ、少しは危ない橋を渡っている訳か。」<br>「危ない橋なら今も渡ってるよ。」<br>頷いて納得したように男が言う。この表情は見た事がある。どうやら風向きが決まったようだ。<br>「よし。お前もお宝を探すのを手伝え。人手は多いに越した事はねぇ。」<br>「取り分は?」<br>「もしお前が見つけたら五分の一。」<br>「そんだけかよ。」<br>「当たり前だ。お前は何にもしちゃいねぇんだからな。」<br>「---- 判った。」<br>「いいか、見つけても手を出すんじゃねぇ。俺かシェリルを呼ぶんだ。いいな。」<br>「判ってるよ。どうせ逃げたところで暗闇にこの手だ。おまけにあんたらは銃を持ってるしな。」<br>「物分りがいいじゃないか。」<br>「それが取り柄なんだ。」<br>マッケナンは台所からキッチンバサミを持ち出して来て、ぐるぐる巻にした体と足の紐を手荒く切った。（イタタ）と顔を顰めて足首をさすると、ゆっくりと立ち上がる。<br>「で、何を探せばいいんだよ。現金か?」<br>「いや、そんなに大きなもんじゃねぇ。これくらいの・・」<br>と彼は自分の両方の親指と人差し指をL字にして四角を作り、<br>「大きさの袋を探せ。黒い袋だ。」<br>と付け加えた。そしてBBの腕を掴み、暖炉の火からランタンに灯をつけシェリルと共に廊下に出る。向かったのは寝室。<br>「取り敢えず、ここからよ。」<br>と彼女が呟いた。<br>　入って右手にベッド、フロアランプ。正面に窓。窓辺の下にはサイドボード。隣にクローゼットが並ぶ。窓を挟んで反対側には絵が一枚。ベッドの向かい側にはタオルを取り出したロータイプのチェスト、その上にも油絵が一枚。壁の灯が付いたならそれを効果的に見せただろう。ベットサイドのローテーブルには水差しとコップ、シガーケースがのっていた。ランタンをそことローチェストの上に置くと、早速あさり始める。<br>　三人で同じ部屋を探し始めるところを見ると、信用とは名ばかりのようだ。両手の自由が無いから戦力としても（いないよりはマシ）程度にしか見られてないかもしれない。それで五分の一という申し出は・・・・。犯罪者の取り分の相場として、探し物をするだけの報酬としては多くないだろうか? いくら犯罪に明るくないBでも、最終的な自分の処遇に察しはついた。どうやら敵前逃亡云々とは言っていられないようだ。<br>　チェストの引き出しを片端から開け中の服を取り出していく。クローゼットも同じ。サイドボードの中身をぶちまけ、ベットの下を覗きシーツを剥いでマットレスや枕を調べる。勿論、シガーケースや水差しも。ハンガーにかかった上着のポケットからフロアランプのカサ、ベットのヘッドボードの裏。二枚の絵も取り外して調べた。猫やら白馬に乗った騎士なんて、ぼんやりとした灯の下で見ていると、まるで幽霊のように見える。<br>　「ここにもないのか・・・」<br>散々探し回ったあげくのマッケナンの小さな呟きに、シェリルはキリリと唇を噛んだ。BBはそんな彼女を盗み見る。<br>「やっぱ、俺。からかわれたのかなぁ。」<br>溜息と共に諦めという色を付けた台詞を吐いてみた。二人も殺して、半ば捨て鉢になった男に見えているだろうか。そして----<br>「本当にルイスは、この小屋に隠したって言ったのよね。」<br>シェリルがマッケナンを睨みつけながら、忌々しげに言う。<br>「ああ、言ったさ。奴が信用出来ねぇのか?」<br>「今となってはね。誰にも話さない、とか言いつつこうやって同じムショ仲間に話してるし、自分は病気でぶっ倒れる。留守を預かる人間は死んじまってこっちは大慌てするハメになったのよ。」<br>「そりゃぁ・・・」<br>「奴のせいばかりじゃないって言いたいの? 何よ! 簡単に判るって言ってたって? 全然判んないじゃない!」<br>「怒鳴るな、シェリル。」<br>「怒鳴りたくもなるわよ!　何かヒントとか教えてもらってなかったの? 」<br>「別に・・・『俺らしい、と言えば最も俺らしい所』としか・・・」<br>「なにそれ!」<br>「てっきり奴の仕事道具でもあるかと思ってたんだが・・・」<br>「何それ! 話にならない!」<br>今まで押さえ込んでいたものが爆発したようにイライラと爪を噛み部屋の中を歩き回る。<br>「-----詐欺師の俺が騙されるなんて情けない話でしかないけどさ。ドジソンはあんた達まで騙すつもりはないんだろう? だったら・・・」<br>「いいえ。もしかしたら・・・・」<br>自分を下位に置き道化に見せながら、その実（あんた達も俺と同じだよ）と暗示してみせると、余裕がなくなってきた彼女は思いっきり食らいついてきた。<br>「大体、奴に都合が良すぎるわよ。ベンが死んで家が処分されちゃうなんて。おまけに奴は病気。おかげてあんただけムショを抜け出すハメになった。」<br>「そりゃ仕方のない事だろう。」<br>「でも、ここに隠したっていうのが嘘だったら? どこか別の所に隠したか、もう処分しておいて急がないと拙いって私たちを焚き付けた。ここに来るのは予想できたでしょう。そうしておいてこんな----」<br>とBBの方にチラリと視線を走らせて、<br>「足手まといになるような奴を用意する。こいつが先に来て、ブツを盗って行ったんだって言い張るつもりだったのかもしれないわ。ネタがバレた事だってどうとでも言い繕える。」<br>「しかし・・・」<br>「考えても見なさいよ。こうやって鉢合わせしたから、こいつの口からルイスが口走った事を聞けたのよ。でなきゃ奴の話を鵜呑みにするしかなかった。これで、あんたが捕まってごらんなさい。今度は二度と出てこられないのよ。その間に奴はゆっくりお勤めを果たして----。」<br>「それ以上言うな!」<br>マッケナンがグッと彼女に詰め寄った。腰の銃に手をかけている。<br>「いいか、いくらお前でも言っていい事と悪い事がある。これ以上無駄口を叩くな。」<br>「なんですって!」<br>ドジソンがそこまで自分を裏切っているとは思いたくないのだろう。が、一抹の不安は拭えない、と言ったところか。シェリルも彼の動きを見て、負けじとウェストに突っ込んだ銃のグリップを握った。下手に引き金を引かせて、これが空砲だとバレるのは避けたい。二人の間に溝を作って仲間割れをさせるのはいいが、爆発は状況をもう少し整えてからの方がいいだろう。<br>「次はどこを探す?」<br>ヒートアップする彼らに水を差すような、のんびりとした口調でBBが声をかけた。我に返った二人は、だらりと力なく両手を垂らす。<br>「探しやすいのは狭い方だよね。」<br>「そうだな。バスルームを調べよう。」<br>物置には無線機がある。ここに無線機があっても不思議はないから二人共怪しんだりはしないだろうが、他にも何かFBIの忘れ物があると拙い。自分は、人質を取った何者かが侵入してきたと知ってから、自身が持っていてはおかしい物や役立ちそうな物を隠すので手一杯だったから詳しくチェックは入れてないのだ。<br>　三人はランタン片手に水回りに移動した。と言っても、ここは寝室以上に探る所がない。二人は洗面下の物入れやトイレのタンクの中、果てはシャワーヘッドの中まで調べている。<br>　BBは少し離れて窓際の小物等調べていたが、ふと、目の隅に動く物を認めた。夜目は利く方だ。動体視認の能力もある。<br>　小さな窓の外。事前の情報収集では、この辺りに野生のグリズリーは出没しない。となれば、中腰のヒトのような影は人以外にありえない。外は月明かり。小さいとはいえ光源は部屋の中にある。向こうからは窓辺にいるのが自分だと判るだろう。もし、外にいるのがFBIならば----。<br>　チカチカと何かが瞬いた。ペンライトの小さな光。合図を送っている。彼は読み取り、手を上げて頭を掻くふりをして、小さく振った。合図が消える。BBはそっとランタンの一つに近付くとツマミを調節して灯を細くした。そして、<br>「なぁ、一度リビングに戻らないか?」<br>と声をかける。並んでバスタブの下を覗き込んでいた二人は顔を上げた。<br>「ランタンの灯が消えそうだ。どうにかしないと拙くないか?」<br>腕時計を見ると、まだ日の出には時間がある。文字盤のガラスをトントンと叩くBB。立ち上がり自分の手にあるランタンよりかなり暗いそれに、マッケナンは眉を顰める。<br>「どうする? 暖炉の火で松明でも作るか?」<br>「とにかく何か探しましょう。なんとしても夜明けまでに見つけないと・・・」<br>雨は止んでいる。日が昇れば山狩りが始まる事は、彼らとて十分承知なのだ。<br>　リビングに戻ると、炎は少しばかり細くなっていた。マッケナンが火かき棒でガサガサ薪を煽る。<br>　銃を持っているのは二人。が、シェリルのはHから奪った空砲入りだ。外の連中は、武器の数こそ知っているがどちらが何を持っているかは知らないし、シェリルが共犯者という推論は伝えられているだろうが確証は持ってない。こんなに早く戻って来たのだ。人質対応のフル装備ではないだろう。内部の情報収集の手段が限られている以上、あくまで人質というスタンスを取るはずた。<br>　Bは、すっと目を細めた。彼に犬の耳でも付いていたなら、ピンと立てて周りの音を集めている様子が手に取るように判っただろう。<br>　マッケナンとシェリルは暖炉の傍で、またヒソヒソ話込んでいる。時折声が大きくなって、慌ててこちらを伺う。その度に（にこり）と微笑んでやると、どうせ何もしない、とタカをくくったのか視線すら向けなくなった。寝室での続きだろうか、銃を抜かれると厄介だ。<br>　と、何かが炎の中に飛び込んだのか、ボッボッと音がして火の粉が舞い、彼らの頬を照らす。廊下側の壁にもたれるような形にして、Bはそこに映る二人の影に移動した。ゆっくり自然な仕草で右の手が左の手を包む。<br>　突然、ザザーッと音がした。炎が一瞬にして消え、暗くなり、煙と灰が巻き上がる。扉が叩きつけられるように開き、『FBI』と叫ぶ声。勝負は数秒でついた。大型のフラッシュライトで照らされる中、舞い上がった灰と水蒸気に気を取られたマッケナンの腰の銃はBの手の中にあり、彼はしっかりと男の首に腕を回し銃口をこめかみに当てていた。いつの間にか手錠は----。<br>「騒ぐな。抵抗するなよ。」<br>シェリルが思い出したように悲鳴を上げて怯えた表情を作る。が、その芝居も、<br>「B ! 無事か! 」<br>という声と共に小屋に入ってきたHの姿を見るまでの事だった。<br><br><br>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　To be continued<br><br><br>　ご都合主義で漸くここまで来ました。<br>　あと一回です。 &nbsp;<br><br><br><br><br><br>　<br><br>
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<link>https://ameblo.jp/a-can-do/entry-11811361017.html</link>
<pubDate>Mon, 14 Apr 2014 13:36:12 +0900</pubDate>
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<title>First exam　　一晩だけの相棒　　Part 10</title>
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<![CDATA[ 　〈-----全く、とんだ誤算だ。〉<br>とBは思った。話を作ろうと咄嗟にベイガー刑務所の名前を持ち出したのは、そこしか名前を知らなかったから。Hが口にした刑務所は二つ。そのうち一つはこいつのいた所だから、と残された唯一を出したに過ぎない。<br>　けれど、彼は、ここで知らぬ存ぜぬを通しても無意味な事も解っていた。<br>　尋問者はほしい答えを手に入れるまでは諦めない。そして、イラついた連中が捕虜に施す事は、中東でも南米でも国内でもさほど違わない。どちらの側にも立ったことのある彼にすれば、ある意味見慣れた光景だ。そして、上手く話を紡ぎ出せば、痛めつけられる確率が低くなる事も知りすぎるほどに知っていた。<br>〈ここの住人は死んだベン。何かを隠したのは同じムショにいたルイス・ドジソン。連絡役はグリーン。ここにドジソンが何か隠したことを、おそらくベンは知らなかった。マッケナンとシェリルはドジソンの共犯。〉<br>つらつら簡潔に頭の中を整理し始める。このあとの事を考えれば、出方は一つ。こんなところで博打のスリルに出会うとは、思ってもみなかった。<br>「だから、州の反対側にいたのに、のこのこここまで足を運んだんだ。あの刑事が言ってただろう。この辺で捕まえたって。きっとここを探っていたに違いない。」<br>そう言い捨てると、グッとBBの襟首を掴み、引き寄せる。<br>「えっ、そうなんだろ。何とか言えよ、おい。」<br>BBは今までの、どこか軟派な風情をかなぐり捨てたように目尻を上げてマッケナンを睨みつけると、ペッと血混じりの唾液を床に吐いた。<br>「そうだよ。奴に教えてもらったのさ。ここに金目の物があるってな。」<br>「嘘つけ。奴がそんなに簡単に口を滑らすはずがない。」<br>「じゃ、なぜ俺がここにいる? 俺がランタンと水を持ち込んだ張本人だって、あんたが言ったんだぜ。」<br>「-----」<br>マッケナンが、ギリリと唇を噛んだ。それを横目で見ながら、今度はシェリルが口を開く。<br>「いつ、ここの事を聞いたの?」<br>「出所する少し前さ。ちょっと親切にしてやったらドジソンの奴が思わせぶりな事を言ってきた。俺はピンときて、それからも色々と助けてやったんだ。奴は病気で大分弱っていたからな。そうやってどうにかこの小屋の事を聞き出したのさ。」<br>ふてぶてしさを滲ませる。<br>　ある意味、これは賭けだった。何せHと違い犯罪畑はアカデミーの講義でしか学んでないのだ。捕虜収容所は知っていても刑務所は門外漢。しかし、口を噤んだり話を合わせなかったりすれば、ますます暴力の嵐に見舞われるのも確かな事で、そして、彼らは決して殺さない（拷問のプロ）とは訳が違う。<br>「あの、ドジソンの奴め・・・。おい、奴は何を言った!」<br>「他は何も。今は仲間が住んでいるとだけ。」<br>「隠し場所は、どこだって!? 」<br>「俺が知るかよ。時間なくてアンタ達の事だって聞いてなかったんだからな。ここには誰もいなかったし、ゆっくり探そうと思ったらこれだ。」<br>カチャリと手錠を掲げて見せる。<br>「それで?」<br>シェリルがBBをじっと見つめながら、問う。きょとんとする表情は前のままだが、もうそれには騙されないとばかりに彼女は続けた。<br>「ランタンは二つ。水も二つ。なのに貴方は一人。おかしいわよね-----もう一人はどうしたの?」<br>ニヤリとBBが嗤う。それは、今までの彼からは思いもよらぬ程禍々しい笑みで----。<br>「さぁね。誰かいたとしてもさっきの土石流で流されたんじゃないかな。災害被害者っていうのは身元が判らない事もあるし、何時頃死んだか、なんて調べないだろう。」<br>「やっぱりそうなのね。殺しは初めて、なんて初心な顔をしてすっかり騙されたわ。」<br>「お互い様だろ。それに、忘れたの? 俺は詐欺師だよ。」<br>「仲間割れして、殺して、捨てて。その帰りにでも捕まったのかしら?」<br>「どうだろうね。」<br>呟いてから体を彼女の方に向けて、<br>「ねぇ、あんた。頭いいじゃないか。こんなのとより俺と組まないか?」<br>と、それこそ女性をたらしこむとき用の魅力的な笑顔を見せて囁く。<br>「俺は女性の扱いを心得てる。こんなのよりずっと楽しませてやれるよ。どう?」<br>「おい! 何を言ってるんだ!」<br>マッケナンは顔を思いっきり歪めてBBを見下ろした。<br>「ほんの冗談だよ。ムキになるなって。」<br>頬骨やこめかみ、唇に血を滲ませながらも軽口を叩き平然としている。さっきまでの彼とは別人のようだ。<br>「薄気味の悪い奴だな。」<br>「でも面白いわ。」<br>言われたシェリルはまんざらでもない様子。その態度にマッケナンが目を見開く。<br>「おい! 」<br>「冗談よ。マトモに取らないで。」<br>それでも彼は心持ち彼女との距離を離した。共犯者同士の信用にヒビを入れる事が出来るならそれに越した事はない。Hの言うとおり、主導権はシェリルにあるようだ。マッケナンはその点を認めてはいるが、思い通りに行かなければ力でねじ伏せる腹なのだろう。そして、彼女もそれを知っている。お互いに100%信用し合っている訳ではないようだ。<br>　なぜか判らないが、以前から自分は相手の弱点を見つけるのが上手かった。これは学生時代の友人や前の職場の上司や同僚も認めていた事だ。その勘は、この二人の間にある些細な歪を自分に有利に働かせるよう彼に伝えている。<br>　そうでなくとも彼は圧倒的に知識が足りない自分を知っていた。どうにかこうにか繕ってぼろを出さずに済んでいるが、これ以上過去を突っ込まれたら付け焼刃のプロフィールなど崩れてしまうのは時間の問題だ。今までの（敵）とは違う（犯罪者）を相手にしたのはこれが初めてで、正直（犯罪者）のふりもこれでいいのか判らない。Hが咄嗟に考えてくれた前歴が想像し易いもので本当に助かったと思う。と同時に、Bは（殺人者）のふりだけは容易に出来る己を嘲るもう一人の自分がいるのを認めて、眉根に皮肉を刻んだ。<br>　「俺達は何事もなかったように、誰にもバレないように探そうと思ったんだ。実は、キッチンは一通り探したんだよ。悪かったな。二度手間を踏ませて。何か仕掛けがある訳でもないし、あそこには本当に何もない。それだけでも結構時間がかかったから、あとは手付かずなんだ。」<br>「ふぅん。」<br>小さくシェリルが頷く。<br>「何でそんな面倒な事を?」<br>「念の為、この家を二、三日監視した。ここの持ち主---ベンだっけ? ---が死んでから三か月だろ。なのに何にも手を付けられてない。何かおかしい、と思ってな。」<br>「・・・・・・」<br>「まるっきり誰か住んでるみたいじゃないか。最初はドジソンにからかわれたかと思ったんだが、現状維持の割に人の出入りがなくて無人なのは確からしい。で、お邪魔する事にした。荒らされたのが判らなければ、例えここを維持している誰かが戻ったとしても、何か盗られた、って思わないんじゃないか、とな。」<br>その口調のどこかに含んだ忌々しさを感じ取ったのだろう。シェリルは薄く笑い、別の事を聞いてきた。<br>「仲間割れはどうして?」<br>小さく舌打ちする。どこか開き直った様子とは裏腹に、Bの頭の中はフル回転だ。こんなに考えながら喋ったのは、中東で捕虜になって以来かもしれない。<br>「----ここに来て、誰にも気付かれないよう丁寧に探し物をする、と言い出したのは奴だ。そこで俺は初めて知ったんだよ。別行動だったあいつが麓の街でいろいろ聞き回った事をな。」<br>「何を聞き込んできたの?」<br>「ベンが死んで暫くしてから来たのは弁護士連中。その次が役人。で、暫く誰も来なかったが、少し前に何人かの男が出入りしたって。」<br>「じゃ、天気が荒れると判っていながらここに残ったのも・・・」<br>「ああ、奴さ。呑気な馬鹿だよ。少し考えりゃ解ることだろうっ。」<br>ここに来てとうとう我慢出来なくなった、と言わんばかりに感情を荒立てる。<br>「狭い町だ。例えそれだけの事を聞き出すにしたって、どんだけ顔を晒したと思う? おまけに二ヶ月近く何もなかったのに最近得体のしれない連中が出入りしたって言う。何か起こったって考えるのが普通だろ!? それなのに奴と来たら・・・。何がバレなきゃ大丈夫、だ。ハリスが俺を嗅ぎつけたのだって奴が不用意に動いたからに決まってるんだ。」<br>そう言ってギリギリ歯を噛み締める。<br>「それで仲間割れした訳。随分、お粗末な相棒を選んだもんね。」<br>「こちとら出てきたばっかなんだ。そんな贅沢言える状況じゃないしな。」<br>「じゃあ、貴方、本当にその金目の物が何だか知らないの?」<br>「俺は本来、慎重な人間なんだよ。こんな話、切羽詰ってなきゃ手を出すもんか。」<br>ガクリ、と肩を落とす。全てはタイミングと選んだ相手が悪かった、と不運に毒づく犯罪者に見えているだろうか。<br><br><br>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　To be continued<br><br>　B君が従軍時代、中東で敵側に捕まり拷問にあったのはドラマに出てきます（S1エピ15）。ギャンブルにハマったのは、湾岸戦争従軍後らしいですが依存性になるほどまでのめり込むことになるのは、自作年表だともう少し先。&nbsp;<br><br><br><br>　<br><br>　<br><br>　
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<link>https://ameblo.jp/a-can-do/entry-11810336231.html</link>
<pubDate>Sat, 05 Apr 2014 15:14:27 +0900</pubDate>
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<title>First exam　　一晩だけの相棒　　Part 9</title>
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<![CDATA[ 　「あ・・・あんた、グルだったのかよ・・・」<br>驚愕に目を見開いたBBに、シェリルは怯えた子羊のような顔から一転、ネズミをいたぶる猫のような表情を浮かべて笑いかけた。<br>「そう。そう言う事。判ったら貴方、大人しくしていてね。」<br>マッケナンから渡された銃をBBに向けると、その先でダイニングの椅子を示す。<br>「ちょっと待てよ。俺はもう仲間だろう。」<br>「さぁ、どうかしら。取り敢えず大人しく座っていて貰いましょうか? 」<br>のろのろと椅子に腰を下ろす。シェリルは彼の足を広げさせ、足首をそれぞれ椅子の足に紐で固定した。胸の辺りも椅子の背と共にグルグル巻にする。<br>「これでいい。さっさと始めましょう。」<br>「おう。」<br>と返事するなり、マッケナンは暖炉の傍の飾り棚から手当たり次第荒らし始めた。<br>「写真立てや絵は無理だが、本なら中味をくり抜いたって線もありか。」<br>「ええ。彫刻や花瓶の中って事も。」<br>「お前は台所を頼む。」<br>「判ったわ。」<br>とシェリルも派手に戸棚をひっくり返し出した。どうやら何かを探しているようだ。絵や写真に関心を示さなかったのだから、ある程度厚みのある物と言う事だろうか。<br>　やはり彼らの目的地はここだった。Hの読みに、今更ながらに感心する。彼女がグルかもと言う彼の指摘も大当たりで、あらかじめ疑惑を耳打ちされていなかったら驚きのあまり妙な事を口走ってしまったかもしれない。あの洞察力には感嘆するばかりだ。流石元検事。が、今、彼はいない。経験のない自分に出来るのは何なのか?<br>〈取り敢えず休む事かな。〉<br>もう、とっくの昔に日付は変わっている。昨日は移動と(鬼ごっこ)に一日の大半が費やされ、最後にこの有様だ。今は興奮状態で感じないが疲労も溜まっているに違いない。Bの元職場でのモットーの一つは(休めるときに休む)だ。そして、どこでもリラックスして体を休める術を彼は身につけていた。マッケナンとシェリル、二人の動きに対するアンテナだけはピンと張りつめつつ、Bは大きく息を吐いて目を閉じた。<br><br>　どれくらいそうしていたのか。<br>　ガサッ、ガサガサッと大きな音がして、暖炉の薪が崩れた。<br>　ふっ、と伏せていた顔を上げてBはそれに視線を当てる。窓の外はまだ暗い。そろそろ薪を継ぎ足さないと光源がなくなってしまう。マッケナンもそれに気付いたのだろう、疲れたような顔でぼんやりとしながらも、暖炉の側の一本を炎の中に放り込んだ。<br>　部屋の中はひどい有様だった。<br>　本という本は全て床に落とされ広げられていた。ソファは引き裂かれ、クッションやスプリングが顔を出している。サイドボードの中のオーディオやラックの中の古新聞まで引っ張り出されていた。<br>「薪をもっと持ってこないと、な。」<br>マッケナンがポツリと呟く。<br>「そんな事をしなくても、ランタンがあったわ。」<br>シェリルの声にキッチンに視線を走らすと、こちらも似たような惨状だった。戸棚という戸棚は開け放たれ、鍋だのフライパンだの全て出されている。食器も手当たり次第。割れても構わないと思ったのだろう、破片が床に散らばっていた。<br>「まだ使えるランタンよ。オイルも入ってる。」<br>その破片を跨いでシェリルはランタンをダイニングテーブルの上に置いた。Bは人知れず唇を歪める。FBIが用意したものだ。灯が必要になったときの為にと温存してキッチンに置いておいた。<br>「------ねぇ、ここのベンって一人暮らしだったわよね。」<br>「ああ。ドジソンの話じゃ、もうずっと一人だと。」<br>「じゃあ、なんでランタンが二つもあるの?」<br>「えっ? 」<br>「ほら。」<br>と、シンク下に置いてあるもう一つを指差す。<br>「山ん中だから、いつ落雷や強風で停電するか判らない。だからランタンが置いてあるのは判るわ。けれど、二つも必要?」<br>「・・・・来客用・・か?」<br>「身寄りもなくこんな山奥に住んでるじいさんに? 大体、客ならここまで来るのが大変なのは知ってるでしょ。停電になりそうな日なんかに来ないわよ。予備に誂えるなら懐中電灯で十分でしょ。それに中のオイル、まだ新しいわ。」<br>「どう言う事だ?」<br>「ベンが用意したものじゃないのよ。」<br>「まさか。」<br>「もしかしたら、私達以外にこの家に来た人間がいるのかもしれないわ。」<br>どうやらシェリルの方が頭が回るようだ。彼女がリーダー格か。Hの読みはまた当たった。その彼女が次にするのは、その謎解きという訳で・・・・。Bは必死になって頭を巡らせる。<br>「今は冗談を聞きたい気分じゃないぜ。」<br>「実はもう一つ気になる物があるの。」<br>彼女はキッチンに引き返し、ゴミ箱に手を突っ込んだ。からのペットボトルが二つ。<br>「ねぇ。」<br>ドカッとBBの座っている椅子が蹴られた。ハッと、さも今転寝から目覚めた、と言わんばかりに叫び声を上げ、きょときょとと辺りを見回す。<br>「な・・・何だよ。」<br>「このペットボトル、アンタ達が飲んだの?」<br>「えっ?」<br>「あんたとあんたに殺された刑事よ。」<br>わざと（殺された）という言葉を選んで、圧力を含ませる。<br>「その水?　ああ、飲んだよ。えーと、どこにあったっけ? 手当たり次第に開けて・・・・あいつが見つけたんだと思ったけど。覚えてねぇよ。」<br>「ふーん。そうなの。」<br>「おいっ!?」<br>たまりかねたようにマッケナンが口を出す。<br>「それがどうかしたのか?」<br>「つまりね。この水は新しいの。三か月前に病死したここの住人が買ったとは思えないくらいに、ね。」<br>「-------」<br>「ねぇ。ベンが死んだのは三か月前よね。実際、死んだと知ったのは二ヶ月くらい前だけど。」<br>「ああ。ドジソンへの連絡だって毎日という訳にはいかないからな。別におかしかねぇさ。」<br>「その間に遠くの身内が税金を物納なんかしちゃうから、こんな事になったんでしょ。ね、グリーンっていう連絡係は信用できるの?」<br>「奴は何も知らないさ。言われたとおり、ベンに何かあったから俺たちに連絡してきたに過ぎない。ちぇ、もともとドジソンが病気になんかならなかったら、こんな苦労もしなくて済んだのによ。」<br>「ルイスから隠し場所を聞けなくなったのは仕方ないでしょ。今頃あいつだってムショの病室で地団駄踏んでるわよ。それより問題は、このランタンとペットボトルよ。」<br>「と言うと?」<br>「誰かが私達の他にアレを狙っているかもしれないのよ。そいつらがここに来てアレを探すために運び込んだのかも。」<br>いきなりマッケナンが銃を持つ手でBBを殴りつけた。ガコッと鈍い音がして、唇が切れる。二発、三発。こめかみに血が滲み頬が腫れ上がる。<br>「どうしたの、いきなり?」<br>「こいつだ! こいつだよ。この野郎。俺達にベイガーにいた、と言いやがったじゃねぇか!」<br>「じゃ、そこでルイスに・・・・」<br>「ああ、肝炎だかでぶっ倒れる前に、奴に何か聞いたに違いねぇ。」<br><br><br><br>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　To be continued<br><br>&nbsp;一度ここで切ります。<br>場面の動きが少ない話は、ホントどこで切ろうか迷います。自分で作っておきながら、ですが。<br>繰り返しますが、私にこれ以上のリアリティは求めないで下さい（Ｔ＿Ｔ）。<br>突っ込みどころ満載の事件経過ですが、これでも努力したつもりなんです(・・；)。<br>文中、矛盾する記載があった場合、私の頭の至らなさとチェックミスですので、笑って見逃してください。ご指摘頂けるとありがたいです。<br>クライムドラマの二次創作を始めようとした時点でぶつかる問題だとは思ってましたが・・・・でもやりたかったんだよー。<br><br><br>&nbsp;<br><br><br><br><br>&nbsp;<br><br><br><br><br>
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<link>https://ameblo.jp/a-can-do/entry-11799622004.html</link>
<pubDate>Sat, 29 Mar 2014 11:35:39 +0900</pubDate>
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<title>First exam　　一晩だけの相棒　　Part 8</title>
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<![CDATA[ 　小用には少しばかり長い時間の後でBBは戻ってきた。顔つきが変わっている。それを目ざとく見つけたマッケナンが、ニヤリと頬を歪ませる。彼はハリスを起こし、立たせていた。<br>「どうやらヤル気になったようだな。」<br>片手でハリスの襟首を持ち、もう片方で自分の銃を彼に突きつけているマッケナンはそう言うと、視線でテーブルの上の物を示した。BBは、今度が躊躇わず手に取る。それを見ていたハリスは小さく舌打ちをした。<br>「BB、止めろ、今ならまだ逃亡だけで済む。これ以上罪を重ねるな。」<br>「五月蝿い、お前は黙ってろ。」<br>マッケナンが、グイッと襟を締め上げる。そして、<br>「いい覚悟だ。相棒はそうでないとな。ホラ。」<br>放り投げるようにハリスをBBに押しやる。<br>「俺はこの---」<br>と出入り口の隣の窓を差し、<br>「窓から見ている。変な素振りを見せたり逃げようとしたら容赦なく撃つからな。刑事さん、あんたも潔く殺られなきゃ、この女が死ぬぜ。」<br>薄く笑ってハリスを脅す事も忘れない。<br>「行け。死体はそこら辺に転がしておけ。動物が始末してくれる。」<br>BBはハリスの縛られた両手を掴んで背中に銃を突きつけると、無言で扉の前に来た。指示されたシェリルがドアを開ける。<br>　雨はいつの間にか止んでいた。台風一過のように天気は思いのほか回復が早く、半月が出ていた。雲間から所々星も見える。<br>　その月明かりを頼りに、外に出た二人を家の中からマッケナンが見張っていた。<br>　ぬかるんだ地面に足を取られながらも二人は前後してゆっくり歩く。盛んにハリスが何か言うのだろう、一度止まってBBがぐっと手を引きハリスの体を後ろに寄せて、左手で銃を脇腹に捻り込みながら彼の耳元で囁くのが、部屋の中からでもよく見えた。少し歩き、もう一度立ち止まってキョロキョロと見回し、月を背にした巨木を選ぶ。幹の前にハリスを立たせ再度近寄ると、傘のように広がった針葉樹の葉のせいで重なった二人のぼんやりとしたシルエットしか判らなかったが、ハリスの肩先が震えたようでマッケナンは北叟笑んだ。勢いよくBBがハリスを突き放し、少し間を開ける。手錠に繋がれたまま両手で銃を構え、-----銃声は一発。ハリスはズルズルと崩れ落ちた。BBは近付き暫くじっと見下ろしていたが、銃を一度地面に置いた。そして両手でグニャリとした体の襟足を掴み引きずり出した。大木の後方、窪地にでもなっているのだろうか。その下に転がり落とす。ハアハアと上下する肩先が月下にはっきりと映った。<br>　銃を拾いまっすぐ戻って来たBBを向かい入れる。少し唇を戦慄かせ、まだ肩で息をしている。すっとマッケナンに差し出した銃を持つ手も心なしか震えているようだ。<br>「-----ちゃんと死んだか?」<br>「ああ。・・・・胸に血が広がって・・・・ピクリともしなかった。あんな近いんだ。外しゃしないよ。」<br>「そうだな。初仕事にしちゃ上出来だ。」<br>ポンポンと肩を叩く。そして、<br>「そう思わないか、シェリル。」<br>と声をかけた。驚愕がBBの顔に走る。それを面白そうに見つめながら、部屋の隅にいたシェリル・ローゼンバーグは<br>「ええ、そうね。」<br>と艶然と微笑んだ。<br><br>　転がり落とされ、どれくらいじっとしていたか。<br>　Hは小屋からマッケナンが出て来ないと確信できるまで死んだふりをしてから、漸く体を動かした。なだらかな斜面を持つ窪地は日がよく当たるのか、名も知らぬ草が茂っていてそっと体を起こしてもどこも痛みは感じない。彼は左手に握りこんでいたカッターナイフを手探りで使いだした。<br>　小屋を出てから最初に後ろに引き寄せられたとき、銃を持つ手で窓からの視線を遮りつつ渡されたナイフ。次に体を寄せたときには、ジャケットのポケットに何かを滑り込ませていた。体の前面とは言え彼も手錠で両手を拘束されているのに器用な奴だ、と思う。少しずつしか紐は切れないが、着実に自由が取り戻せているのが判る。正直、これがビニール紐でありがたかった。やがて、ブツッと小さな音がして紐は切れた。思わず息を吐き、両手首を摩る。アザは残ったが動かせなくなるほど痛い訳ではない。紐を拾い集めてポケットに突っ込みカッターナイフもしまう。そして、反対側のポケットを探った。中にはBが持っていたであろうライトと携帯電話。ライトの方には表面に細かい粒が付いている。ナイフにも同じ感触があった。指先を鼻に近付ける。<br>〈洗濯洗剤の粉末だな。〉<br>おそらく洗剤の箱に突っ込んで隠したのだ。それよりデリケートな扱いの携帯電話には、所々先が半円にカットされた粘着性のあるものが貼られた跡があった。<br>〈-----絆創膏か。〉<br>マッケナンに押し入られたとき、彼は奥にいた。何が起きたのか察知し、咄嗟に一人で出入りしやすいバスルームに所持品や手近にあった使えそうな物を隠したのだろう。携帯は、便器のタンクにでも貼り付けたに違いない。<br>「何が、場慣れしてる、だ。」<br>フッと軽く笑むが、すぐにその表情は厳しいものになった。Hの懸念が当たっていれば、Bは今、敵陣にただ一人なのだ。<br>　小屋から出てすぐ、彼はナイフを渡すからそれで紐を切れ、と囁いた。撃つ真似をするから合わせろ、とも。それに返して自分は話したのだ。先ほどの続き、シェリルはマッケナンと共犯ではないかと。<br>「彼女が?」<br>「ああ。私が逃がそうとしたとき、わざと転んで音を立てた。」<br>「あれは怯えて足がもつれた、と。」<br>「初めに彼女を怪しんだのは、私の手を縛ったときだ。」<br>「? 」<br>「君という見本が目の前にある。慣れていない行為の場合、人は目に入ったもの通りに動く。」<br>「つまり、体の前で縛ろうとする、か。」<br>「ああ。が、彼女はさっさと後ろ手にした。それが最初の違和感だ。持ち物を探る手つきも物慣れた感じだったし、彼女が私とマッケナンの言い争いに水を挿したとき、奴はもう少しで私達が何を邪魔したのか、口を滑らすところだった。そして、逃げ出すタイミングを外し、君の言葉に迷っていたマッケナンはトイレに彼女を連れて行き、戻ってきてから私を殺すように言い出した。」<br>「トイレで相談した?」<br>「多分。ひょっとしたら、彼女の方が主犯格かもな。塀の外に共犯者がいて脱獄を手引きしたのなら、逃走用の車の説明もつく。迎えに行けばいいんだからな。」<br>「でも----」<br>「証拠はない。勘違いかもしれない。が、心しておいてくれ。」<br>「了解。もしグルならやっぱり目的地はここか?」<br>「無論、ここからも逃げるだろうが何か用があるんだろう。でなけりゃ押し入ってこないさ。無人のつもりで来てみたら、私達がいて---」<br>「成程。」<br>いろいろ聞きたいが、あまりゆっくり歩くと怪しまれる。<br>「後は頼んだよ。」<br>「気をつけろ。なるべく早く応援を連れて来る。」<br>-------そうして、あの処刑劇が行われた。<br>　窪地から顔を覗かせて小屋を確認したい誘惑にかられたが、すんでのところで押さえ込む。そんな危険は犯せない。今は一刻も早く、携帯の繋がるところまで移動し、救援を呼ばなければ。<br>　Hは泥の斜面に足を取られないように注意深く立ち上がると、歩き出した。<br><br><br>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　To be continued<br><br>&nbsp;果たしてB君にこんな事ができるのか?<br>&nbsp;いいんです!　もともと彼をかっこよく書くためのficですから。<br>でも、キャラ設定見る限りだと、できそうな気もするんですけどねぇ。　<br>&nbsp;<br>　<br><br>
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<link>https://ameblo.jp/a-can-do/entry-11794770020.html</link>
<pubDate>Sun, 23 Mar 2014 16:58:27 +0900</pubDate>
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<title>First exam　　一晩だけの相棒　　Part 7</title>
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<![CDATA[ &nbsp;そままま誰も何も言わなくなった。<br>　思い出したようにラジオのアナウンサーの声が、ピリピリとした空気の中に溶ける。大きな災害と犯罪事件に、地方ラジオはオールナイトで番組を流す事に決めたようだ。始めは耳についていた声も、同じ内容が繰り返されている内にBGM同然となる。<br>　誰もが疲れていた。<br>　シェリルがこっくりこっくり舟を漕ぎ始め、マッケナンの頭もコテッと椅子の背もたれに傾く。<br>　ハリスが動いた。そっと椅子から立ち上がる。ソファの横の床に蹲っていたBBが微かに頭をゆるりと上げる。ハリスは忍び足でシェリルに近付くと体を使って静かにその肩を揺すった。ハッと彼女が目を覚ます。<br>「今、奴は寝ている。この隙に君だけでも逃げるんだ。」<br>と囁く。ゆっくりと立ち上がらせドアに向かう。彼女がBBの方を振り返る前に、彼は折り曲げた膝の上に額を置いて眠っているように見せた。<br>「でも・・・怖いわ。」<br>「大丈夫、どうにかなるから・・」<br>怯える彼女を促す。が、ハリスが扉の方へ顔を向けたとき、震える足がもつれたのか、彼女が派手に転んだ。大きな音がする。<br>　ギクッと目を覚ましたマッケナンは、ソファから立ち上がりドアの傍の二人を見ると、顔色を赤く変えた。<br>「貴様!!」<br>大股で歩み寄りシェリルの手首を掴んで自分の方へ引っ張り寄せると、有無を言わさずハリスを殴った。後ろ手のまま二度、三度と拳を受け、彼が床に崩れる。尚も腹に蹴りを入れる。その様子を茫然と見ていたBBが、<br>「おっ、おい!」<br>と声をかけた。<br>「何だ!」<br>「俺に・・・俺にもやらせてくれ。」<br>「-----」<br>「こいつに捕まったのは二度目なんだ。いつか仕返ししてやりたいと思ってた。やらせてくれよ!」<br>マッケナンはじっとBBを見た。彼の表情には、今までの軽い男の気配とは別のものが浮かんでいる。暗い何かが目覚めたような・・・・<br>「よし・・・いいだろう。」<br>マッケナンは身を引き、BBと場所を入れ替わった。彼はハリスを見下ろし、<br>「あんたもわざわざこんな所まで来るなんて、しつこいんだよ!」<br>カチャンカチャンと手錠を鳴らしながら、庇うように体をくの字にしたハリスの腹に何度も何度も勢いをつけた靴先を突っ込んだ。相手がぐったりと動かなくなるまでそれを続け、勝ち誇ったように振り向くと、それをじっと見ていたマッケナンに切り出す。<br>「なぁ、俺を仲間にしてくれないか?」<br>「仲間?」<br>「ああ。こいつら人質にして逃げるんだろ。俺も一緒に逃がしてくれよ。あんたを助けるからさ。」<br>うさんくさそうな表情に、焦ったように言葉を繋ぐ。<br>「別にずっとっていう訳じゃない。州外に出るまででいい。隣の州まで２０マイルくらいだろう。そこまで逃げられればいいんだ。」<br>「あいにくとそっちには行かないんだよ。」<br>「えっ!? じゃあ、どこに?」<br>「------ どこだっていいだろう。それよりお前、本気か?」<br>「ああ本気だとも。これはチャンスだ。二度と捕まりたくない。」<br>「臭い飯を食った事があるようだな。」<br>「ああ。それも、隣の州まで出しゃばってきたこいつのお陰で、な。」<br>床に転がったままのハリスに、チラリと視線を走らせた。<br>「どこのムショだ。」<br>「-----ベイガーさ。出てきてから、前んとこに居づらくなってこっちに来たんだけど早くにドジッちまってな。」<br>「それでまた場所替えか。」<br>「まぁ、ツテがあるんでね。」<br>少しばかり口を歪めたマッケナンは暫く黙っていたが『考えといてやる』と呟いて、再度ソアァに戻った。<br>　すると今度は、さっきからずっと動かずにいたシェリルがおずおずと声を上げた。<br>「------あ・・・・あの・・」<br>女性にはコロリと態度を変えるBBが、(どうしたの)という感じで顔を向ける。<br>「ここ・・・・バスルーム、使えないかしら・・・・」<br>「ああ。」<br>と頷き、シャワーは使えないけどトイレなら使える、と伝えた。<br>「裏に雨水を貯めるタンクがあるらしい。トイレはその水を使ってるようだよ。」<br>合理的だよねぇ、と一人うんうん首を振っている。そんなBBをジロリと睨むと、マッケナンは腰から取り上げた銃を抜き、彼にぐいっと押し付けた。<br>「こいつが--」<br>と床のハリスを顎でしゃくり<br>「逃げようとしたら、撃て。」<br>「えっ・・・俺が・・・・」<br>「ああ。一緒に行くんだろう。俺は、いざというときに自分の身も守れない奴は嫌いなんだ。」<br>そう言い残すと、シェリルをバスルームに連れて行った。ドアが閉じるのを確かめると、急いで床に倒れたままのHの側に膝を付く。<br>「大丈夫か?」<br>「ああ。手加減してくれて助かったよ。」<br>Hは目を覚ましていた。<br>「聞いてたか?」<br>「勿論。」<br>「あんたの読み通り、奴には何か目的があるみたいだな。それが何でどこに行くのかまでは判らないが。」<br>「そうだが・・・ひょっとしたら・・・・」<br>「何? 」<br>「目的地はここかもしれない。」<br>「ここ? 」<br>「そう。奴は隣の州で罪を犯した。土地勘もツテも隣だ。逃げなきゃ行けないときにわざわざ不案内な地方に来るか? それに２０マイルの道のりを歩いて来た訳じゃない。車をどうにかして手に入れたはずだ。それなのにそいつを捨てて山に入ってきている。検問に引っかかるから乗り捨てて山越えだなんて。四時過ぎにはもう雨が降っていた。君ならどうする? そんな中、車を捨てて装備もなしに不案内な山道へ入っていくか?」<br>「下手すりゃ自殺行為だな。」<br>「ああ。だから、この山に目的地がある。そして、そこに行けば、とりあえずの物が揃っていると知っていたんだ。」<br>「だから手ぶらで山に入ったのか。」<br>「思い出してみれば、奴はこの家に入ってきたとき『ここで何をしている』と言っていた。ここが何で誰のものか、とは聞かなかった。なぜなら---」<br>「ここを知っているから。」<br>「そうだ。それから、もう---」<br>言いかけたところでドアの外に足音が聞こえた。慌てて床に伏せ、Bはダイニングの椅子に腰をかけてそんな彼をじっと見張るフリをする。扉が開いた。<br>「よぉ。トイレ使えただろ。」<br>戻ってきた二人に声をかける。マッケナンは機嫌が戻ったようだ。シェリルは能面のように無表情になっている。<br>「ああ。エコっていうのは役に立つな。」<br>BBは立ち上がると黙って銃をマッケナンに返そうと差し出す。彼は受け取るが、腰に戻さずそのままテーブルの上に置いた。<br>「なぁ、BB。」<br>「ん? 」<br>「お前、俺と一緒に行きたいって言っただろう?」<br>「ああ。」<br>「まぁ、俺も道中、話し相手がいた方が楽しいからな。連れて行きたいのは山々なんだが、イマイチお前の事が信用できねぇ。」<br>「それは・・・仕方のない事かもしれないね。俺は詐欺師だから。」<br>「美人局だろ。顔がいいと得だよな。でも、暴力ざたには縁がないってその刑事が言ってたよな。」<br>と床の男を、BBに向けた自分の銃で示す。<br>「その暴力ざたを俺の為にしてくれりゃ、信用して一緒に連れて行くんだがな。」<br>「暴力ざた?」<br>「ああ。この刑事を殺せ。」<br>「・・・・えっ・・?」<br>BBの茶色の目が激しく瞬く。言われた事がよく飲み込めない、といった風に。<br>「この銃を貸してやる。」<br>とテーブルの上の鉄の塊を彼の方に押しやる。<br>「今殺らなきゃ後々面倒だ。外に連れ出して殺ってこい。窓から見てるからな。変な気を起こすんじゃねぇぞ。首尾よく始末したら一緒に連れて行ってやる。」<br>BBは、ごくり、と喉を鳴らした。利き手を二度、三度、開いたり閉じたりした後、銃に手を伸ばそうとするが・・・<br>「ち・・・ちょっと俺もトイレ・・・行ってもいいかな・・・」<br>オドオドとした様子で(お伺い)をたてる彼に、マッケナンは嘲りを含んだ顔で嗤い<br>「ああ、ゆっくりとしてこい。」<br>と顎でドアをしゃくった。<br><br><br><br>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　To be continued<br><br>　さあ、だんだんとベタな展開になってまいりました。ご勘弁ねがいます。σ(^_^;)<br>　御贔屓キャラとは言いながら、やっぱり入れ込み度合いが違うのでカッコイイ場面はB君の方が多いですね。それは、まぁ、仕方のない事で。<br>　B君は20代半ば、という事で外見的には、「バフィ」のときのイメージでしょうか。イタリア系の割にラテンの雰囲気があまりないDBですが、若い頃は「甘い」感じがしてました。なので美人局、結婚詐欺にしたんですが、イマイチだったかな。<br><br><br><br><br>　<br><br><br><br>
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<link>https://ameblo.jp/a-can-do/entry-11789714711.html</link>
<pubDate>Fri, 14 Mar 2014 11:14:36 +0900</pubDate>
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<title>First exam　　一晩だけの相棒　　Part 6</title>
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<![CDATA[ 「ドジな刑事さんよ、あんたこの後どうするつもりだったんだ。」<br>シェリルの腕を持ってハリスとの間に盾になるように入れながら銃を構え続ける男に、彼は立ったまま答えた。<br>「どうするも何も、雨が上がったら車に戻って出発するつもりだったさ。」<br>「知ってるか、橋が流されちまったぞ。」<br>「ああ。ここでラジオをつけて初めて知ったよ。でも、方向さえ押さえておけばどこか渡れる所に出れるだろう。」<br>肩を竦めて、仕方なかろう、とまるで同意を求めるようだ。<br>「そういうお前こそどうするつもりだ。」<br>「俺? 勿論、逃げるつもりさ。雨がやんだらな。」<br>「遅くとも明け方には止む、と言っている。止んだら山狩りが始まるぞ。逃げられると思っているのか。」<br>「ああ、大丈夫さ。こいつがいるからな。」<br>すぐ傍のシェリルを顎でしゃくる。<br>「女性の足で山越えは無理だ。私が代わる。その人を解放しないか? 」<br>「・・・・・」<br>「男の足の方が確実だぞ。」<br>「断る。刑事なんかと一緒にいられるかよ。」<br>鼻先で小馬鹿にしたように笑う。と、<br>「これでいいかな。」<br>BBが平べったいビニール紐を持って戻ってきた。<br>「これくらいしか見当たらなくて。」<br>カチャカチャ音をたてて手を振る。<br>「よし。シェリル。刑事を縛るんだ。」<br>ドンと押し出された彼女は、BBから巻かれた紐を受け取るとハリスの両手を後ろに回して、グルグルと手首に巻き始めた。しっかりと固定してギュっと縛る。<br>「上出来だ。刑事さん、これで座っていいぜ。」<br>女を再度自分に引き寄せ、ハリスの肩をドンと小突く。彼は、二，三歩よろけてダイニングの椅子に突き当たった。<br>「俺はちょっと家の中を見てくる。女を連れて行くからな。妙な気を起こすんじゃないぞ。」<br>「おい。待て、まさか・・」<br>寝室がある事で気色ばんだハリスにマッケナンが『そうされたくなかったら、大人しくしてろ』と下品な嗤いを浮かべて脅し、<br>「BB、こいつが少しでも妙な動きをしたら大声をあげろ。」<br>と言い残してシェリルを引っ張り出て行った。<br>「------おい。これからどうすればいい?」<br>シンとした扉の向こうを伺いつつ顔を寄せてBが問う。はなっからお前の指示に従うといった態度。行動に迷いがなくて、まるで、主人の命を待つ猟犬のようだ。そっちこそ場慣れしている、と思う。<br>「人質の解放が第一だが、奴の目的も探らないと。」<br>「目的?」<br>「そう。幹線道路沿いにいたのに、わざわざ山に入っている。何か目的があるように思える。」<br>「単に人目に付きたくなかったんじゃ?」<br>「いつ銃を手に入れたか知らないが、手錠はない。通りかかった車を奪って逃走した方が早いだろう。なのに、途中でそれを捨てた。」<br>「検問があるからってさっき言ってたけど。」<br>「だとしても、奴が服役していたのは隣の州だ。普通は、自分の土地勘のあるところに逃げないか?」<br>「奴はもともとここら辺の人間だと?」<br>「それはなんとも言えないが・・・。メインフィールド連邦刑務所からどこに護送される途中だったのか知らないが、仮にもう一つのベイガーだとすると、方向としては州都に向かう形になるんだ。都市で人混みに紛れた方が見つかりにくいだろうに、わざわざ人の少ない方に来ている。それが妙なんだ。」<br>「成程な。シェリルはどうする? いっそ俺たちの事を話して・・・」<br>「いや。今は止めた方がいい。こっちに武器がない以上、不意を突くしかない。彼女がそれまで秘密を守れるかどうか判らないからな。それに----。」<br>「何?」<br>廊下の向こうでバタンとドアの閉まる音がした。慌ててBが体を離す。と、マッケナンが小さく舌打ちをしながら戻ってきた。居間のソファの足に八つ当たりで蹴りを入れる。<br>「どうかしたのか?」<br>落ち着いた声でハリスが問いかけた。<br>「何でもねぇよ。黙ってろ。」<br>シェリルを盾にしているが、先程とはうって変わって落ち着かない。<br>「そう言われてもな。今はあんたがこの場のボスだ。あんたがそんなんじゃ、シェリルだってBBだって不安になる。とにかく落ち着いてくれないか。」<br>マッケナンはギロリとハリスを睨んだ。女を床に引き倒すと、ツカツカと彼の椅子に近寄り銃を持つ手を振り上げる。バシッと派手な音が響き、シェリルとBBは思わず目を瞑った。<br>「黙ってろって言うのが聞こえなかったか。そうとも、この場のボスは俺だ。いいか、俺に逆らうな。」<br>「だが、明らかにあんたはさっきと違ってイラついている。どうした、何があったんだ。」<br>「うるさい! 元はと言えばお前達が悪いんだ!」<br>「私達? 私達がどうしたって言うんだ。」<br>「お前達が---」<br>「ねぇ、もう止めて! 」<br>シェリルが叫んだ。目にいっぱい涙を貯めて、怯えたように震えている。<br>「怒鳴ないで頂戴。お願いよ。」<br>勢いが削がれ、マッケナンは舌打ちを繰り返して黙り込んだ。そして、ハリスから離れると居間のソファにドサリと腰を下ろし銃を片手に爪を噛む。<br><br><br><br>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　To be continued<br><br>　今回は少し短めです。<br>　二人の偽名が二種類出ています。BとBB、Hとハリス。地の文の表記をどうしようか迷いました。私の頭の中は映像なので、こういうのが最も困る事のひとつです(だったらそんな話作らなきゃいいんですが・・・。)。色々考えたあげく、候補生として読んでほしいところはHとBに。詐欺師と刑事として読んでほしいところはBBとハリスにする予定です。ややこやしくてすいません。
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<link>https://ameblo.jp/a-can-do/entry-11785571415.html</link>
<pubDate>Thu, 06 Mar 2014 09:21:17 +0900</pubDate>
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<title>First exam　　一晩だけの相棒　　Part 5</title>
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<![CDATA[ 　それからは当たり障りのない話になった。と言っても、もっぱらHがこの部屋を調べて見つけた事柄を元に亡くなった----であろう----家主の人物像を推理してみせる、という遊びのような事になっていたが。&nbsp;<br>　絵や彫刻、写真に読書、そして---本が紀行物が多いことからも判る---旅行好き。多趣味だから話題も豊富で、話していて楽しい人物だったろう。が、家族の写真が一枚もないのは恵まれなかったから。自らそうしたのか運命なのかは判らないが、そうだとしたら相続税の事も頷ける、というHの言葉にBがうんうんと首を振り感心してみせる。絵も木彫も本人の作だろう、と続けるとBは、そういえば寝室にも絵がかかってたと話し、<br>「白馬の騎士だの子猫だの、どこからモチーフのヒントを得るのかな。」<br>とHを焚きつけてみたりもした。<br>　ラジオは相変わらず、天気予報と災害の様子を繰り返している。<br>　大きな薪が一つ萌え崩れる音を聞きつけたBが、<br>「追加を持ってくるよ。」<br>と立ち上がり、再度奥のドアへ姿を消した。Hは、その背に礼を投げかけるとぼんやりと炎を眺めていた。<br>　ふっと、ラジオが別の事を言っているのに気づく。いや、言っているのではなくアナウンサーは叫んでいた。<br>（臨時ニュースです。今日の午後、四時過ぎに隣接する##州メイフィールド連邦刑務所から護送中の囚人が逃亡しました。護送車が事故を起こした際の混乱に紛れて逃げ出した模様です。現場はここから２０マイル程離れた幹線道路沿いで、この悪天候の為発見が・・・・）<br>　突然、バターンと玄関扉が開いた。入り込んだ風が暖炉の炎を揺らす。入ってきたのは、片腕で若い女性を押さえつけ、その頭に拳銃を突きつけた中年男だった。<br>「なっ・・・」<br>Hは咄嗟に銃を抜き、構える。しかし、<br>「誰だか知らないが銃を下ろせ。この女がどうなってもいいのか。」<br>と言われてしまったらどうにも出来ない。両掌を相手に向けてそっと銃をテーブルに置く。男は女性の頭に武器を突きつけたままジリジリ寄ると、素早くそれを奪い背中のベルトに挟み込む。<br>「きさま、誰だ。ここで何をしている。」<br>「それはこっちのセリフだ。君は-----もしかしてこのニュースの主役か? 」<br>（囚人の名はハロルド・マッケナン。三年前に宝石強盗を働き逮捕、有罪判決を受けて服役していました。今回の移送は----）<br>「俺が自己紹介する手間が省けたってもんだ。」<br>両手を頭の上で組んだHは相手と距離を保ちつつ、正面に二人を見据える。<br>「その逃亡犯がここで何をしている。」<br>「勿論、逃げる途中だよ。土石流で橋が流されちまうわ、検問が始まるわ、でな。山越えをしようと思ったら雨が酷くなってきて雨宿りって寸法だよ。」<br>手近にあったタオルで顔や体を拭いながらも興奮しているのか、ペラペラ喋る。<br>「その女性は、誰だ。」<br>「さぁ。途中にいた女さ。ちっと協力をお願いした。」<br>ふふん、と面白げに頬を歪めて女性の髪に無精ひげの伸びた顎をすりすりとすり寄せる。たまらず涙目の彼女が、<br>「助けて・・・」<br>と呟いた。<br>「さぁ、俺は礼儀正しく名乗ったぜ。次はあんたの番だ。あんたは誰だ。なんでここにいる。」<br>Hはゆっくりと唇を舐めた。下手な事は言えない。FBIだと名乗ったところでまだ候補生だ。IDすらない。かと言って連邦職員に銃を向けた罪は重い。自暴自棄になられても困る。一度相手に銃を向けてしまっている以上、通りすがりを装うのも無理だった。彼はチラリと奥のドアを見た。Bはこの状況に気付いているのだろうか。<br>「おい。」<br>「私は-----」<br>口を開くが続きが出ない。----と、その声に被さるようにのんびりとした口調の台詞が奥から響いた。<br>「おーい、刑事さん。この手で薪を運ぶなんて無理だよ、絶対。」<br>両の二の腕と体と顎で数本の薪を持ちつつ、ドアがなかなか開けられなかった、という文句を顔に貼り付けたBが部屋に入ってくるなり立ちすくみ、三人の顔を交互に眺めた。そりゃ持ちにくくもなるだろう。彼の手首には手錠がかかっているのだから。<br>「アレ? -----アンタ達誰? ここで何やってんの? 」<br>パシパシとびっくり顔で目を瞬いている。<br>「ハロルド・マッケナン。メイフィールド連邦刑務所から別の所に移送の途中で逃げ出した囚人だそうだ。」<br>「あれ、ま。」<br>ぽかん、と口を開ける。<br>「-----そう言うお前こそ誰だ。」<br>マッケナンは突然現れた若い男と目の前の男を見比べるように、視線と銃を向けつつ問う。<br>「俺? 俺はBB。見ての通り、このハリス刑事に連行されているところ。」<br>薪を抱えたまま、ジャラリと手錠をかざして見せる。<br>「そっちはハリス刑事。俺を捕まえるためにワザワザ州の反対側からやって来てくれたわけ。」<br>身分を偽るには妥当な線だが、マッケナンは刑事と聞いて小さく舌打ちをする。この男は隣州の刑務所に入っていた。事件を起こしたのも---そしておそらく彼のテリトリーも---隣だろう。さっき見た州地図。ここから最も離れた反対側の州境には、州都をはじめとする大きな都市がかたまってあるのを思い出す。<br>「○○市警察のア--ラン・ハリスだ。」<br>するりと州都の名前が出た。BBが小さく息を吐いたのが視界に入る。<br>「で、その二人が何でこんな所にいる? 」<br>「BBがこの町に潜伏しているという情報が入って私が寄越された。逮捕して連行しようとしたが、途中で車から逃げ出してな。追いかけて捕まえたのはいいが、暗くて道に迷ったんだ。暫くうろうろしていたらここを見つけた。」<br>「------」<br>取り敢えず辻褄は合う、と判断したのだろう。<br>「おい、BBだったか、この刑事の持ってる物を取り上げろ。」<br>言われた事に面くらい一瞬きょとんとしたBBはガラガラと薪を床に落とすと、おっかなびっくりと言った風情でハリスに近付きポケットやジャケットの内側を探る。携帯、コンパス、ライトと机の上に並べていく。<br>「おい、IDは?」<br>もうないよ、とばかり手を上げたBBに、マッケナンはギロリと彼を睨んだ。<br>「それ、俺知ってる。俺を追いかけてるときにすっ転んでIDと財布落としちまったんだって。」<br>そして、ジャラリと手錠を見せつけて、<br>「そん中にこいつの鍵も入っていてさ。おかげで俺はこんな所に避難してまでこいつのお世話になっている訳。ホント、ドジだよねぇ。」<br>と肩を竦めた。マッケナンは、それらを奪い取るとふんと鼻を鳴らし、今度は人質になっている女性に、<br>「お前、名前なんて言う? 」<br>と問う。<br>「シェ・・・シェリル・ローゼンバーク」<br>「よーし、シェリル。こいつの。」<br>とBBを指差し、<br>「持ち物を全部出せ。」<br>「えーっ? 」<br>「いいから、早く。」<br>「俺、何も持ってないよ。全部刑事さんの車の中。」<br>「念の為だ。犯罪者って言うのは信用出来ねぇ。」<br>「あんたに言われたくないね。」<br>それでもBBは、恐る恐る近付いて来たシェリルに黙って服を探らせる。<br>「・・・・・あんたも不運だな。そもそもどうしてこんな事に?」<br>「そ・・・それは・・・・」<br>手錠で括られた両手を高く上げて彼女の邪魔をしないようにしながら、正面間近で動く薄い金髪を見降ろし呟く。<br>「きっとハリス刑事が助けてくれるよ。」<br>「ほぉ、随分お優しい事だな。」<br>二人に銃を突き付けたままマッケナンが皮肉気に嗤った。<br>「------ こいつの罪状は殆どが詐欺だ。特に女に貢がせるんだよ。飯の種だ、女性には優しいのさ。」<br>「刑事さん・・・貢がせるなんて、そんな・・・」<br>本気で傷付いたような顔をする。<br>「あとはせいぜい窃盗か。こんな暴力沙汰に手を染めるのだけは止めとけよ。」<br>「お心遣い感謝するよ。」<br>少しむくれた様子のBBはプイとそっぽを向き、ハリスは彼を軽く睨む。<br>「------何も入ってないわ。」<br>シェリルは手ぶらでマッケナンの元に戻って来た。<br>「よし。おい、BB、お前ロープを持って来い。」<br>「ロープ?」<br>「ああ。薪を束ねるやつでいい。奥にあっただろう。」<br>「さぁ----探して見ないと。どうして?」<br>「この刑事を縛るんだ。」<br>「-----それは、俺が探しに行っていいって事?」<br>「おう。が、逃げようと思うなよ。もし、逃げ出したらこの女も刑事も殺して、追いかけるからな。で、必ず見つけ出してお前もぶっ殺す。」<br>「別に、この二人がどうなっても構わないけどさ。外は雨だし、手は塞がっているし。んな事考えないよ。」<br>とぶつぶつ呟いて、再度扉の向こうへ消えた。<br><br><br>&nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp;To be continued<br><br>&nbsp;どうも切る所がなかなか見つからない。すいません。<br>アメリカの司法制度や組織は、ほんと複雑ですよね。Ficでクライム物を書くなら、日本の方が断然楽だ。<br>　私の書くブースは捜査の為なら口八丁手八丁、嘘も方便で、上手に嘘をさらっとつける人にしてあります。仕事でしかその能力を使わないんですけど。<br>　これを書くにあたって、少しHというキャラを調べてみました。Bとの年齢差は六歳。思ったより離れてたなぁ。<br><br><br><br><br>
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<link>https://ameblo.jp/a-can-do/entry-11774163410.html</link>
<pubDate>Fri, 28 Feb 2014 21:42:08 +0900</pubDate>
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