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<title>虹色記録～そらいろメモリー。～</title>
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<description>とある学校の文芸部員たちによる小説を沢山紹介します</description>
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<title>仰げば尊し・・・／メルン</title>
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<![CDATA[ 　遠くから風に乗って聞こえてくる。卒業式によく流れる曲、仰げば尊し・・。<br>通過中の中学校からかすかに聞こえてくるその曲に耳を傾けてふと、思い出した。<br>もうすぐ高校の先輩達も卒業か・・と。別段、何かしろとも言われていないのですっかり忘れていたが。<br><br>「いつだっけ・・・卒業式って・・。」<br>「明後日だよ。」<br>「あー・・・あ！？」<br><br>　独り言のように呟いた言葉にまさかの返答がきて、大げさな反応をしてしまう。一緒に帰っていたことを忘れていた自分の落ち度を戒めつつ、隣にいた幼馴染に先輩の卒業式について少しづつ話していく。<br><br>「あの先輩えー・・堅斗先輩か。卒業すんじゃん、何かしてんの？」<br>「そりゃ、手紙ぐらいは書かなきゃ失礼でしょうが。ちゃんと書いてるよ。」<br>「・・・・そりゃ、お偉いこって。」<br><br>皮肉っぽく言ったのが気に食わなかったのか、何が言いたいのよ、と怒った口調で言われた。<br>正直にいえば、そんなことをするように見えないと言いたかったが、喧嘩する気も起きず、別にと言ってはぐらかした。<br><br>「ちゃんと他の先輩のも書いてるんだからね！」<br><br>あぁそうですか。本命は堅斗先輩ですと言っているようなもんだが、スルーを決め込んだ。いや、考える時間がもったいないと思ったのだ。<br>　俺は、何も用意せずに卒業式に行っていいものか・・？<br>そのことだけが、頭の中を支配していた。<br><br>しばらく歩いたあと、家の近くについて幼馴染と別れた。家に着くまでの距離はそこまでないのだが、かなりの時間がかかったように思えた。普段やらないような考え込む作業をしたからだと自己完結したが、その後もそれについて頭を悩ませ続けた。もちろん、内容は先輩の卒業式についてだが。<br><br>「・・と、考え続けて何も思い浮かばないって？」<br>「そういうことだ。」<br>「威張って言うなっつーの。」<br><br>　中学の同級生に携帯で電話をかけ、今までのいきさつを話せば一言バカだろ、と言われた。<br>認めるのは癪だが、言っていることは確かにそうだ。黙っているとため息が聞こえ、そして疑問の声が返ってきた。<br><br>「逆にお前は何がしたいんだよ？」<br>「・・・・意外性のあるやつ。」<br>「漠然としすぎだろ。他の奴が何してるかわかんねぇのに。」<br>「女子はなんか、手紙書いてるらしい。」<br><br>　それを言えば、携帯の向こう側から少し感心したような声が聞こえた。<br><br>「じゃ、男子はどうなんだよ。」<br>「あいつらができるとは思わねぇ。」<br>「思い込みって言葉を思いだせ。たぶんその線なら似たようなことをやってる男子が数人いてもおかしくねぇな。」<br><br>　どこの哲学者だ、お前。と心の中でつっこみを炸裂させつつ、耳を携帯に必死に傾けた。<br><br>「意外性を求めてんだろ？だったら・・・」<br><br>・・・・徹夜しろってか？<br><br>「できねぇなら、さぼりでもしてればいいじゃねぇか。別に誰もとがめねぇだろ。」<br>「・・・それは嫌だ、やる。」<br>「俺助言だけだから、ガンバ～。」<br>　　ブチっ<br><br>・・・一方的に切られた携帯電話の画面を数秒見詰める。規則正しく聞こえる切れたことを表す音に少しイラッとして、携帯をベットの上に投げ捨てた。<br>ボスっ　という音が聞こえたので、壊れるなんてことはないはず。すこし深呼吸をして、携帯を左手に持って机に向かった。紙と鉛筆を用意して携帯をフル活用して、言葉を一つ一つ書いていく。机に座ったのいつぶりだろうか・・・そんなことを頭の片隅で考えつつも作業を続行し続けた。<br><br>　次の日、授業はなく部活もなく・・・とりあえず暇を持て余すつもりだった。<br><br>「えっと・・・あと買うものは・・。」<br><br>　まさか買い出しに付き合わされるとは神様でもわかんなかったに違いない。しかも妹のな。<br>断わりゃいい話だが、両親がらみプラス誰も手伝える状況ではないらしい。という妹の頼み込みに負けたわけだが、玄関に行くまでにテレビの前でごろごろしている親父、ついさっきには、彼氏と思われる人といちゃつく姉を見つけ、あいた口がふさがらなかった。<br>姉はまだいいとして、親父だけはあとでシバくことにする。パンツとシャツだけでグータラしてるとか、イラっとする要素しかねぇ。<br>　そんなことを、レジ袋２つを両手に持ちつつ考えていれば、妹が大声を出してある一点に向かって走り出した。<br>もちろん、意識が飛んでいた俺にどこに行ったかのとっさの判断なんかできないのだが、妹の止まった地点を見て一人納得した。<br><br>「久し振り、元気？」<br>「うん！お兄ちゃんもいるよ！」<br><br>幼馴染だ。同じレジ袋を持っている、そして中には野菜と思わしきものが大量に入っているようだった。よくすれ違わなかったなと、別の所で感動していると妹に早く来いと怒られる。<br>・・・なんか怒られてばっかだ。そう思いつつ少し早足で向かう俺は妹に甘いんだろうと思った。<br><br>「昨日ぶり、手紙書いたの？」<br>「誰が書くかよ。」<br><br>一言めにそれを言いやがるとは・・・言わなきゃよかったかと、今さら後悔した。<br>それに興味を持った妹が幼馴染に聞いて、すんなりばらしやがる幼馴染。<br>お前ら、プライバシーって知ってるか？適用されるかは知らねぇけどな。<br><br>とりあえず、話しこんでいる間に俺は静かにその場を後にした。妹の手伝い？あいつとって話してんのが帰り道だし、問題ねぇだろ。<br><br>家に帰ってレジ袋を生ものや野菜などの袋を冷蔵庫に無理やりつっこみ、ほかのは妹の部屋に放りこんだ。<br>夜遅くまで作業をしていたにもかかわらず、買いものに行き幼馴染には言わなくていいことを言われ、どうやら心身ともに疲れ切っていたらしく、ベットにダイブすると、数分も知らないうちに寝てしまった。<br>気づけば、午後８時前。帰ってきたのが午後３時と考えれば、５時間爆睡していたようだ。夕食を食べそこなっていたことに気が付き、リビングへ行けば妹が家族全員に話していた。<br>ここまでくれば、察しがつく人もいるだろうが、幼馴染の言っていたことだ。しかも、いないことを良いことに変な方向に話が走っている。<br>女装するってなんだ、おい。<br><br>「それでね！お兄ちゃんったらスカートを・・・」<br>「はかねぇよ、テメェの想像で勝手なこと言われると困る。」<br>「え？はいてないの？」<br>「誰がはくか！はいたら変態だろうが！」<br><br>　寝足りないのか、えらく喧嘩腰な言動をしている。自覚はあるが、どうでもいいと思っているのか、変える気はない。机の上に置いてあった夕食を電子レンジで温め、部屋に持って行った。<br>リビングから、また変なことを言っている気がするが、言わせときゃいいかと思った。別に、めんどくさくなったわけじゃないからな。そこだけ言わせてもらう。<br><br>「あーー・・ダルい、っつったら怒られるだろうな。」<br><br>独り言がいつもの音量より大きくなった気もするが、気のせいだと言い聞かせ作業を再開した。<br><br>「・・・気にいんのかねぇ。」<br><br>　作業が終盤に入ってから起こる不安に首を振り、今はただその作業だけに集中した。<br><br><br>いよいよ卒業式が始まった・・・と言っても、卒業式に在校生は代表しか入れないので、外で待っていた。もちろん、寝ないように一緒に先輩を待つ友達としゃべりながら。それでも、話題といえばどうやって先輩を送りだすかだった。<br>わざと泣くだとか、泣いてたら笑ってやろうとか・・・笑い飛ばしながらしゃべっていれば、卒業生たちが一斉にでてきた。みんな泣いていて、それでも笑顔で・・・先輩達もこちらに気づいて駆け寄ってくれたが、目が赤くなっている。泣いたあとのようだった。<br>女子たちは、一人一人先輩に手紙を渡していって全員に渡し終われば泣くということを打ち合わせでもしていたかのように、きれいにそろっていた。<br>男子たちは、先輩に呼ばれて一人一言ずつもらっていった。<br>どれも心に残る言葉ばかりで、男子も知らず知らずのうちに涙をためていた。<br><br>「次！」<br><br>先輩に呼ばれ、みんなから離れて先輩達の所へと向かう。部活もがんばってるし、これから伸びるとか色々言われた。俺も泣きそうになったが耐えた、耐えきった。そして、先輩が言い終わったのを見越して、誰も見ていないことを祈りつつ、先輩達に小さな紙を一枚ずつ渡した。<br><br>「開けて読んでください。俺の卒業プレゼント・・・と言っても、ショボいんですが。」<br><br>それを見た先輩たちは、もう一度涙を流しはじめ、口々に当たり前だ、ありがとう、と言ってくれた。<br>頑張ってよかった・・・という安心感と同時に俺も少しだけ涙が出た。それでも、俺はずっと笑い続けた。<br><br>最後の別れじゃないんだし、笑顔のほうがいいだろ？<br><br>小さな紙の内容は、先輩それぞれ違うように頑張った。むしろそのおかげで徹夜したんだけど・・・。教えてほしいとせがまれ、妹と幼馴染にこっそりと堅斗先輩のモノを読み上げた。<br><br>しあわせはいつもじぶんのこころがきめる<br>みつを<br>
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<link>https://ameblo.jp/abebun-sorairo/entry-10830976948.html</link>
<pubDate>Mon, 14 Mar 2011 23:32:08 +0900</pubDate>
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<title>裏切りそして…／朝霧</title>
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<![CDATA[ 灰色の世界。<br><br>ぼんやりと視界が開けた。<br><br>あぁ、朝か。<br><br>虚ろにそう思った。<br><br><br><br>いつものように着替えた。<br>白い無味乾燥なシャツにグレーのスカート。私の学校の制服。<br>憂鬱だけど、学校には行かなきゃ。<br>お母さんは、珍しく起こしに来ない。<br><br>時間割りはしたか判らないけれど、関係はない。<br>教科書なんてありはしないから。<br><br>持ち物は大半がみんな捨てられた。<br>手元に残っていた倫理の教科書も、汚く落書きされていた。<br><br>それは、激しいイジメ。<br><br>社会にいる以上力関係のヒエラルキは仕方ないわけで、私はその最下層に位置してしまった。<br><br>唯、それだけのことなのだ。<br><br><br>学校に着いた。<br><br>お母さんが何故か家にいなかったので、何も言われないのをいいことに朝食を摂っていない。<br>不思議にも、全く空腹感はなかった。<br><br>最後にした食事がいつかも全く思い出せなかったというのに。<br><br><br>重い足取りで学校に入る。<br>靴を履き替えようとしたら、上履きがなかった。<br><br>どうせ、上履きも捨てられたのだろう。<br><br><br>私が嘆息すると、足元に上履きがあった。<br>何か黒いもので汚されている。<br>うっすらと事情を理解し、履き替えた。<br><br>誰だろう、わざわざ私の上履きを汚すような暇な人は。<br><br><br>教室へと重い足取りでゆっくりと進む。<br>各クラス、もう授業は始まっていた。遅刻だ。お母さんが朝から何処かへ行っていたせいだ。<br><br>私は自分のクラスの教室のドアに手をかけた。<br>前は此処で立ちすくんだこともあるけれど、今となっては不思議と何も感じない。<br><br>ガラッ…<br><br>私は静かに教室に入る。<br>扉を閉め、教室中を見渡した。<br><br>誰もが、<br>驚きの視線で私を見ていた。<br><br>少しだけ怪訝に思った。<br>だけど、私がこのクラスで浮いているのは解っている。<br>今更どんな目で見られても、何も思わない。<br><br>席に着こうとすると、机には花瓶に活けられた花があった。<br><br>…古典的だ。<br><br>私は何か言う気も起きず花瓶を片付けようと手を伸ばす。<br>すると、鞄が当たって花瓶が倒れてしまった。<br><br>ざわっ…<br><br>教室がどよめいた。<br><br>「し、静かに！」<br>授業をしていた教師が上擦った声で注意をする。<br><br>静粛を促すより先に、イジメを指摘し良い道に導くのが先だと思った。<br><br><br><br>私は投げやりな気持ちになった。<br>こんな授業、聞く価値もない。<br>どうせだから、サボってしまおう。<br><br><br>私は、再び教室の扉を開け、廊下へと飛び出した。<br><br>背後でざわめきが大きくなったのを聞きながら、扉を閉めた。<br>最後に聞こえた声は、悲鳴にも聞こえた。<br><br><br>さぁ、何処に行こう。<br><br>学校を逃げてきたのはいいが、行く場所がない。早く帰って親と鉢合わせでもしようものなら面倒だ。<br><br>私も女子高生だ。確かに顔はあまり良くないし垢抜けないかもしれない。<br>女子高生がいて紛れられそうなところ…<br><br>とりあえず、本屋にでも行こう。<br><br><br><br>私は歩き出す。<br><br>すると、目の前で信号が赤になった。<br>私は溜息を吐きながら立ち止まった。<br>車が目の前を通る。<br>…急いでないのでどうでもいいが、何か損した気分になった。<br><br><br>すると、一台の車が私の前に止まった。<br><br>中からカップルが出て来た。チャラそうな男と、同じくらい頭が軽そうな女。<br><br><br>………なんで私が、幸せになれないんだろう。<br>少しだけ悲しくなる。<br><br><br>車のドアが勢い良く閉まった。<br><br><br><br>そして私は気がついた。<br><br>黒いフィルムを貼った窓ガラス。<br><br><br>そこに、<br>私は一切映っていなかった。<br><br><br>あぁ、そうか。<br><br>私は、何があったかあらかた思い出した。<br><br>色々辛くなって、ビルの屋上から飛び降りたんだっけ…<br><br>どうして、私は幸せになれなかったんだろう。<br><br>自分で命を捨てたくせに、幸せに執着してるからかな？<br><br>あぁ、<br>死にたいなぁ。<br><br><br><br>変だね。<br>私、<br>死んだのにね。<br><br><br>でも、そんな私も神に召される時がきた。<br><br>ただで死ぬことに抵抗する私に神はこう言った<br>「お前を天に召すかわりに願いを1つ叶えてやろう、それで成仏してはくれないか。」<br><br>願い…<br><br>私がイジメで受けたダメージは自分で思う以上に大きかったらしい<br><br>その証拠に、心は歪みきって憎しみに溢れていた<br><br>「出来るなら復讐を」<br><br>けれど神は人を殺せない、そしてそれは私も同じ。<br><br><br>しかし神は新たな選択を私に与えた。<br><br>新たな選択…<br><br>それは私の求めていたものに匹敵する<br><br><br>『クラッシャー』<br><br><br>壊し屋。<br>私の為にある言葉に感じた。<br><br>復讐が出来ないなら、あいつらを苦しめたい<br>そして、それは自らの手で<br><br>「もうあんたなんか知らない別れる。」<br><br>「待ってくれよ。」<br><br><br><br>ふふふ<br><br>離れればいい。<br>失えばいい。<br>傷つき傷つけあえ。<br><br>私はその引き金。<br>心を動かす呪いを持った。<br><br>友達、家族、恋人。<br><br>あなたの大切な人がいなくなってしまったら<br>私のせいにすればいいわ。<br><br>でも覚えていなさい、私はただの引き金だということを。<br>
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<link>https://ameblo.jp/abebun-sorairo/entry-10830974354.html</link>
<pubDate>Mon, 14 Mar 2011 23:28:31 +0900</pubDate>
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<title>落ちる１秒前。君に届けたい言葉がある／死烏</title>
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<![CDATA[ ある高層ビルの最上階。<br>一人の女子高校生が立っていた。<br>「遺書も残したことやし。後は飛び降りるだけや。」<br>そういう彼女の一歩先には夜景が広がっている。<br>「夜風は寒くないんか、お嬢さん？」<br>フェンス越しに話しかけてくる少年。<br>「なんや。まだおったんか。」<br>少年は、ため息を一つついて喋りだす。<br>そして指を折り曲げ彼女に見せる。<br>「これで１０１回目の自殺やで。よぅ飽きんのぉ。」<br>少女はキッと睨んだ。<br>「これで死ねるかもしらんやろっ！」<br>というかあんたは黙れ。という視線を少年におくる。<br>「なんで死にたいん？神さんやのに死ねる訳無いやんっ。」<br>神と呼ばれた少女はフェンス越しに噛み付いた。<br>「こんな醜い世の中が嫌やねん。ウチはもっと綺麗な世界を作りたかった！」<br>「例えば？」<br>少女の目が金色に光りだす。<br>「そんなんめんどくて考えんわっ。」<br>「この世界の神さんは適当やなぁ～」<br>「うっさいっ。ウチの勝手や。」<br>少年が座り込んだ。<br>慣れた手つきで煙管を取り出し、燻らせる。<br>「んで何時落ちるん？」<br>プハーッと音と共に彼女に聞いた。<br>「日の出と一緒にや。その方がカッコいいやろ。」<br>クスクスと少年は笑った。<br>「そうやな。そうこうしてる内に、おてんとぉさんが出そうやで？」<br>東から太陽が出始めた。<br>朝日が彼女の髪の毛をも金色に見せた。<br>「んじゃあ、落ちてくるわ。」<br>少年は煙管をふかせながら手を振った。<br>彼女の両手がフェンスを離す。<br>体が落ちていく一秒前に少年がこう言った。<br>「届けたい言葉は？」<br>「世界が滅ぶようにやなぁ・・・・」<br>そういい残しながら彼女の体は地面に落ちていった。<br>ビルの隙間からこぼれる太陽の光に体が当たる。<br>「光は綺麗やわぁ！なぁ勧善っ！！」<br>彼女は空中で手を伸ばした。<br>勧善とは少年の事だった。<br>直後、少女の体は地面と激突した。<br>血を吸ったアスファルトは上からみると彼岸花のように美しかった。<br>「きゃあああああ。誰かっ！！救急車をっ。」<br>周りの社会人がぞろぞろと集まりはじめた。<br>「後片付けするんは俺なんやで・・・」<br>はぁっと少年は頭を抱えた。<br>「俺も飛び降りたいゆーねん。」<br><br><br>「んっ・・・・。」<br>「目ぇ覚めたんか？」<br>少女が目を開くとそこはまだビルの最上階だった。<br>「勧善っ！お前、時間戻したやろっ。」<br>彼女はガンガン痛む頭を手で押さえた。<br>「そやかて。如来拾いに行くんめんどいねん。」<br>少年はそっぽを向いた。<br>「というかなぁ。そんなにこの世が嫌なら消せばええんとちゃうん？」<br>「消したら勧善までいなくなるやろっ！」<br>少女は即答する。<br>「あはは。まぁねぇ。」<br>少年はクスクス笑った。<br>そして真っ暗な空を見た。<br>「俺、結構愛されてるやん。」<br>「ウチ勧善なんか愛してへんからっ。」<br>少女のつっこみが入る。<br>「それで。１０２回目の自殺はどないするん？」<br>少年はひざの上で寝転がっている彼女をみた。<br>「勧善の手による窒息死。」<br>「そんなんしたら俺、マジで抹殺されるやんっ。」<br>彼女はか細く笑った。<br>「ほんま、なんでウチだけ死なんのやろ。」<br>「何あほな事ゆーてんねん。神さんは死ねんというこの世の道理や。」<br>ぎゅーっ。<br>「いたたたたっ。」<br>少女が彼の頬を思いっきり抓った。<br>「何すんねんっ！」<br>少年は頬をさすった。<br>「提案なんやけど。二人で旅にでーへん？」<br>「また急やなぁ。なんでなん。」<br>「気分やからっ。」<br>彼女はは満面の笑みだ。<br>（あかん・・・・。如来の思考回路についていかれへん。）<br>「なんかゆーたか？」<br>「いやいやっ。なんでもないからっ。」<br>心を読み取られないように表情を隠す。<br>そんな少年のことが気に障ったのか彼女は変な質問を投げかけた。<br>「もし勧善が自殺するときは１秒前になんて言うん？」<br>「そういえば習慣みたいになってるなぁそれ。如来はいつも途中でやめるやん？」<br>「質問に質問で返すんはやましい事があるからなんやで。」<br>少女はニッコりと微笑んだ。<br>「そんな心理どこでなろてんっ！？」<br>さぁ？と彼女は誤魔化した。<br>「ウチは世界が滅ぶように・・・。でも勧善が消えないようにって。」<br>「えっ・・・・。」<br>「阿呆。冗談にきまってるやないかっ。」<br>少年は残念そうに言った。<br>「期待してもうたがなっ！」<br>「んで、なんて言うん？」<br>少女の顔つきは至って真面目だ。<br>「俺ぇ？んーっ。君に届けたい言葉がある。とかそんなんやわぁ。」<br>「変なチョイスやな。」<br>「うっわ。何いいだすんやこの子ったら！」<br>少女はそんな会話をしながら瞳を閉じた。<br><br>「ウチが起きたら好きゆーてな。嘘でもええから。」<br>へいへーいっと少年は渋々、返事を返した。<br>それから少女は眠りについた。<br><br>すーすーっ。<br><br>（起きてるときとは別人やわぁ。）<br>まじまじと顔を見つめる。<br>そして彼女の髪の毛を指で絡めとった。<br><br>「俺は嘘なんか言えんし、如来の事は愛しとぉゆーねん。」<br><br>（何時になったら分かってくれんやろか・・・。）<br>そう心で呟きながら彼女の髪の毛に口付けをした。<br><br><br><br>一つの歪んだ愛情を、心にひしめかせ彼らは生きていく。<br>
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<link>https://ameblo.jp/abebun-sorairo/entry-10830972185.html</link>
<pubDate>Mon, 14 Mar 2011 23:27:06 +0900</pubDate>
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<title>メッセージ／天舞風歌</title>
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<![CDATA[ さようなら、私の愛しい人。もう会うことはないでしょう。願いが叶うのならどんな形でもいい。あなたにもう１度だけ・・・。<br><br>＊　　　　＊<br><br>私は重たい瞼を開いた。朝日が私を眩しく照らしだす。それに眉をしかめていると、足音が聞こえてきた。思わず顔が緩む。この音は彼が私を起こしにくる合図だから。<br>「おはよう、まだ寝ているの？いい加減起きて」<br>聞こえているけど、聞こえない振りをする。もっと彼の声を聞いておきたいから。少し低めの透き通った声。心に染み込んでくるみたい。彼が再度呼びかけ、そこで私はやっと起きた振りをした。起きないでいると怒られちゃうもの。彼が朝食を用意してくれる。するとオレンジの香りが部屋一杯にひろがった。昨日も一昨日も１週間前も一緒だった朝食。美味しいと思ったことはないけど、一度も残したことはない。私は毎朝これで何を満たしているのだろう？空腹？それとも１日を過ごす為のエネルギー？きっとそれは後者。朝食を完食することでそれは得られるの。<br>「今日もよく食べたね。えらい、えらい」<br>彼は私の頭を撫でてくれた。これが私の全て。彼の手は春の太陽みたい。温かくて優しいの。春はまだ遠い季節だけど、遠い気がしない。だってこんな近くにあるんだから。<br>「今日は良い天気らしいよ。これから外にでようか」<br>そう言えば外に出してもらえるのは久しぶり。何日ぶりかしら？彼に連れられて部屋を出る。彼が掃除してくれた部屋から僅かにその残り香が鼻を掠め、風に乗って消えていった。<br>外は日差しがあるにもかかわらず寒かった。もうすぐ私も外に出られなくなるわね。もしかしたらこれが最後かもしれない。でも、彼がいつものように居てくれたら、それでもいいかな。春は彼のすぐ側に。だから、それでいい。<br><br>　彼と一緒に過ごす久しぶりの外は楽しくて、いつのまにか辺りは夕日によって紅く染められていた。夕日の紅は切ない色をしている。<br>「そろそろ帰ろうか？」<br>行きと同じように彼に連れられ帰路を辿った。この道が永遠ならいいのに。そうすればずっと側にいられる。こうして一緒に過ごせる。でも神様は意地悪だ。あっという間に部屋に着いてしまった。彼はもう行ってしまう。これが今日彼に会える最後。行ってしまったらまた起こしに来てくれるまでは・・・。<br>「じゃあ、また明日ね」<br>彼はそう言って出て行ってしまった。朝に残っていた香りは風が全部持っていってしまったみたい。何にもないこの部屋では朝になったらまた会える、そう思うには長すぎて。軽く溜息をついて私は眠ることにした。もしかしたら彼に会えるかも知れない。それが現実でなくても、気付かなければ幸せだろうから。<br><br>　いつもの様に彼の声に起こされた。でも今日の彼は忙しなく動いていている。そう言えば朝食の量がいつもより少ない？別にそれはそれでいいんだけど、その理由。嫌な予感がする。それが十中八九当たっているような気がして・・・。気のせいよ。たまたまだわ。きっとそうに違いない。自分に言い聞かせて見るも不安感は募っていくばかり。私がそれを抱えたままでいると、エンジンが切れた音がした。次に扉がバタンと閉まる音。彼が慌てた様子で走っていく。ドタドタとしたのが収まると、彼と彼じゃない人の話し声が聞こえてきた。彼じゃないということは・・・。<br>やっぱり嫌な予感は当たっていた。彼じゃない人は相変わらず真っ白な服に身を包んで部屋に入ってくる。ドクター、あなた何で来たの？季節の変わり目だから？前にもきたじゃない。そう頻繁に来なくてもいいわよ。<br><br><br>　本当にドクターなんて大っ嫌い。一体何がしたいの？毎回、毎回、毎回。私に針を刺さないと気が済まないのかしら？彼には余計なことばっかり言うし。それを傍目で見ていて、彼は少し安心したような顔をしていた。そう言えばドクターが来てから、どこか不安そうな顔で私を見ていたわね。心配しないで。私は大丈夫なんだから。彼はドクターにお礼を言いながら頭を下げる。そして、ドクターのお見送りに行ってしまった。もう、放っておけばいいじゃない。わざわざ、そんなことする必要ないわよ。だから嫌いなの。本当にドクターなんか大っ嫌い。<br><br>彼は戻ってくると<br>「お疲れ様、よく頑張りました」<br>そう言って私の頭を撫でてくれる。さっきのイライラはどこへやら。幸せな気分が私を満たしていく。こんなことがずっと続けばいいのに。太陽が昇れば起こされて、彼が掃除をしてくれている間、一緒の空間にいて時間を過ごす。少しだけ離れて、太陽が昇ればまた・・・。それの繰り返し。朝食のようにそれが続けばいい。単調だけど幸せだから。これは私には贅沢な願いなのかしら？求めてはいけないもの？これが本当か分からなくなる。もし夢なら気づかないでいたい。何も知らずにいたいの。考えすぎかしら？<br>これはまぎれもない現実。<br><br>きっかけは何だったの？私には分からない。でも、ドクターが来て数日が経った頃だった様な気がする。時々、すごく悲しそうな目をするの。こんなの今までに見たことがない。<br><br>彼の様子が日に日に変わっていくみたい。たくさん撫でてくれるようになった。普通に過ごしているときにも唐突に頭を撫でてくれる。今まででは無かったこと。でも、変わったのは私も同じ。それが悲しくなった。一緒にいないと寂しかった。つまらなかった。でも、今は・・・。<br>一緒にいても寂しいの。なんて言っていいか分からない不安みたいなものがいつも側に居て離れてくれない。今まではこんなことなかったのに。それは日増しに強くなっていく。心を占めているのは『彼』のことばかり。それは変わっていない。変わってないけど・・・。<br><br><br>違和感。彼が変わっていったのは知っているわ。だけど、もっと違うの。彼が掃除してくれるのも変わりない。だけど、今日はまだ側にいてくれている。いつもは行ってしまうのに。ただ、それだけ。かわらない。いつもと一緒の風景。違うのはごく僅か。彼が時間を気にしながら私の側にいる。それだけ。なら、いつもと同じことが始まって終わる？彼が側にいて嬉しいはずなのに、そうじゃないのは思い過ごし？自分が分からなくなっていく。変わったのは私なの？<br><br><br>彼が去って数分した頃、車がやってきた。エンジンが切れる音がして男が２人降りてくる。ドクターじゃない人。誰？そいつらは彼に声をかける。すると彼は目を見開いて少し顔を歪ませた。彼はそいつらを私の部屋に連れてくる。２人組みは私を無理矢理引きずり出し車に乗せた。鎖で繋がれる。<br>ああ、そうか。私の番なんだ。もう、ここには帰ってこれないんだ。だって、皆そうだったもの。私の周りにいる皆そうだった。突然いなくなって、それからは・・・。私も多分帰って来られない。気づかないでいたかった。何も知らずに繰り返していたかった。なのに、気づいてしまった。知ってしまった。全てが終わる・・・。<br>２人組みが重く重厚そうな扉に手をかけた。それがゆっくりと閉まっていき光が遮断される。一筋の光が無くなる直前に見えたのは辛そうな彼の顔だった。<br>エンジン音が聞こえる。もう何も見えない。私の春の太陽はどこへ行ったの？ずっと前になくしてしまった私の太陽。いつのまにか雲に隠れてしまっていた。私はそれが悲しかったんだ。見えなくなってしまったことが。もう、見ることは叶わない。<br><br><br><strong>願いが叶うのならどんな形でもいい。あなたにもう１度だけ・・・。</strong><br><br><br>＊　　　　＊<br><br>あいつが去っていってからもう随分とたつ。それなのに俺はまだずっとその方向を見ていた。目が打ちつけられたように離せない。心に何かが競りあがってくる。胸が締め付けられるんだ。でも涙は１滴たりともこぼれそうにない。こんなに苦しくて辛いのに。それが自分でも不思議だった。泣いたほうがスッキリするのは分かっているけど、そう簡単に泣けなくて。空を仰ぐ。雲が風に乗るように流れていた。<br>慣れないと。毎回こうはいかないんだから。これから何回も経験していくことだから。辛いと思うのは初めだけ。その内に作業になるもんだって、皆は言う。俺も早く割り切ろう。美味しいローストビーフを作る作業だと思ったらいいんだ。余計な感情はいらない。俺は視線を外し、牛舎小屋の方へ足を向かわせた。まだ仕事は残っている。<br>
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<pubDate>Mon, 14 Mar 2011 23:24:13 +0900</pubDate>
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<title>ありがとう／あんどん</title>
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<![CDATA[ 　俺は、悪魔や…みんなから嫌われる悪魔や、俺がいるとみんな不幸になる…忌み嫌われる悪魔や。<br>　いや、違う…俺は、悪魔じゃない。違う、違うただ…ただ角が生えていて偶然が重なっただけや。俺は、みんなに好かれたかった、愛されたかっただけなんや…<br><br>　俺の人生もうエエかも知らんな…このまま飢え死にしてもいいかもな。……いやや、死ぬのは嫌や！誰か俺を見つけてくれ…<br><br><br>　ある日、細い路地を抜けたところの古い神社に一人の少年がやってきた。<br>　その神社は、草木が好き勝手に生えていた。神社には人気があるはずも無かった。なぜなら、この神社は取り壊そうとすると不運に見舞われるといういわく付きだからである。<br>「はぁ、寒いなぁ…」<br>　そんなことを考えていると、少年の目に一人の角の生えた10歳ぐらいの男の子が見えた。<br>　その男の子は、何日も食べ物を食べていないのか、がりがりにやせていた。<br>　少年が近づくと、ピクリと微かに動いた。少年は、持っていたパンをそっと差し出した。するとその男の子は、勢い良くパンに飛びつき少年の手から強引に奪った。少年は少し驚いた。が、少しするとニコニコと微笑みながらみていた。<br>　五分ほどたった頃、男の子がパンを食べ終わり少年をジッと見つめた。<br>　俺は死なんかったんやな。<br>　俺は嬉しかった。見つけてもらえて嬉しかった。でもそれを素直に態度には表せなかった。なんで素直になれないのだろう…。<br>「おまえー、なんや？人間か？なんで人間のお前が見ず知らずのわしに物をくれたんや？なんでや？なんかたくらんでるんやろ？あいにくなぁ俺を助けたところでいい事なんかひとつもないんやからな。」<br>　はん、と鼻を鳴らしていった。<br>「僕は人間だよ、助けた理由？それは僕のためだよ、だって話し相手が欲しかったから。」<br>　なるほどな、と思うと同時になんだか自分の考えが恥ずかしくなった。<br>「人間の言うことなんか信じられへんな。人間はいつも嘘をつく。そして、裏切るんや。」<br>「じゃあ…僕の話し相手になってくれないの？」<br>　少年は悲しそうだった。<br>　そんなん誰も言うてへん、俺もお前と話がしたい。そして俺を好いて欲しい。そんなこと素直に言えたらいいのに。<br>「話し相手、そんなもん俺はめんどいから嫌やわっ。でもなぁ、俺はお前より年上やからどうしてもっていうのなら、話し相手になったっても良いけどな。」<br>　こんな事いったら絶対話し相手になってくれないと思った。悲しくなった、また誰にも見つけらず消えていくのだろうなと思った。<br>「ほんとに？ぼくの話し相手になってくれるんだね。ありがとう。」<br>　断られると思っていたので。びっくりして少年の顔をジッと見てしまった。少年は、困った顔をした。<br>「だめなの？」<br>　その言葉でハッとなった。<br>「ええよ。そんな頼むんならな。」<br>「ありがとう。ねぇねぇなんて呼んだらいい？僕のことはみーって呼んでね。」<br>「名前、なまえ。俺には名前なんかないんや…」<br>「ふーん、じゃあ僕がつけたあげる。」<br>　初めてだった、俺に名前をつけてくれるといってくれた人は。こんな風に人間と話すのも初めて…いつも俺を見ると逃げていく…何もしてないのに。<br>「わかったわ、かっこいい名前にしてな。」<br>　かっこいいとか、そんなのどうでもよかった。ただ名前をつけてくれるだけで幸せなのだから。<br>「くろちゃん。くろちゃんは？」<br>「まぁ、ええけど。なんでくろちゃんなんや？」<br>「僕が、いちばん好きな色だから。みんな変だって言うけどね。」<br>　そんなこと無いでってそんな優しい言葉を伝えれたらいいのに。<br>「ほんまへんやで、お前は変なやつや。」<br>　少年は、なぜだかわからないけどクスクスと笑っていた。何でだろう？でも嫌な気はしなかった。<br>　それからは、少年の方からいっぱい質問をしてくる。話し相手という役割を俺は、はたしていないなと思った。俺はこの少年の役に立っているのだろうか？質問されても、けんか越しに話してしまう。言った後で後悔する…。でも、少年は優しい顔で「すごいね。」って笑顔で言ってくれる。<br>　だんだん暗くなって、表情が見えなくなってきた頃。　<br>　少年は、「そろそろ帰るね。」といった。とても悲しくなった…、もう来ないだろうなと勝手に思ったから。でも、少年は言ってくれた。<br>「明日も来るから、また僕と遊んでね。」<br>　本当に、本当に嬉しかった。でもそんなこと素直に言えるはずが無かった。　<br>「また来んのか、まぁ考えとくわ。」<br>　少年は、またクスクスと笑った。<br>　次の日<br>　約束どおり少年はやってきた。<br>　なんだか体調が悪そうに見えた。<br>「お前…どうしたんや？なんか、顔色悪いぞ。」<br>「ん、いつもこんな感じだよ。心配してくれてありがとね。それより今日は何する？」<br>　何か隠してるなと思い俺は少し悲しくなった。でもそれを言葉に出すことはなかった。<br>「そうか。まぁ俺には体調悪くても良くても関係ないけどなっ。遊びはお前が考えーなっ。」<br>「うん、じゃあかくれんぼしよ。」<br>「かくれんぼー？二人でやって楽しいんか？」<br>「楽しいに決まってるよ。だって僕初めて友達とやるんだもん。」<br>　ともだち、友達…初めて言われた。俺なんかを友達にしてくれるんだ。ありがとう、ほんとにありがとう。と心の中でつぶやいた。<br>「ふん、なんや悲しいやっちゃなぁ。まぁ俺はやさしいからやってやらんこと無いけどな。」<br>　また少年はクスクスと笑った。<br>「ありがとう。」<br>　それからは、変わりばんこに鬼をしてかくれんぼを楽しんだ。<br>　二人は、疲れて土の上に寝転んだ。冬なのに額に汗をかきはぁはぁと息を切らしていた。<br>　本当に、楽しい…いつまでもこんな幸せが続けばいいのに…。<br><br>　ゴホゴホッと急に少年が咳き込み始めた。とてもしんどそうだった。<br>「おい…、大丈夫か？」<br>　いつも無愛想な顔が、一変して心配そうな顔にかわった。<br>　少年からは、苦しそうな咳き込む声しか聞こえない。<br>　１０分ぐらいしてやっと静まった。<br>「おい、大丈夫か？」<br>　少年は、言葉に気づいた。苦しいはずなのに幸せそうな笑顔でクロのほうを見た。<br>「ごめんね。心配かけて、でもぜんぜん大丈夫だよ。いつもだしねっ。でも、今日はもう帰るね…。また来るからね。」<br>　少年はいつもよりも早い時間に帰っていった。<br>　<br>　なんか…変な感じがする…。<br>　みーに「また、来いよ。」って言いたかった。そんなこと言えるはずはないけど…。<br><br>　次の日<br>　少年は、やってこなかった。<br>　クロは、そのことを不思議に思った。<br>　なんでけえへんのやろ？昨日体調わるそうやったからそれでかな？そうやな、そうや！<br>　自分で自分を言い聞かせた。<br>　次の日<br>　少年は、来なかった。<br>　それでもクロは、あの少年の「また来るからね」という言葉を信じて待っていた。<br>　何日たっても、少年はやってこなかった。クロは裏切られたと思い、悲しくなった。<br>　やっと幸せになれると思ったのに…友達だといってくれたのに。なんで？なんで？<br>　<br>　ぱさっ、ぱさっ、といつもは何の音も聞こえない神社にかすかに羽の音が聞こえた。クロは、「珍しいな。」と思い上を見上げた。<br>　そこには、一匹の真っ白な鳩がいた。鳩は、口に何かを挟んでいた、手紙のようなものに見えた。<br>　鳩は、口に挟んでいる手紙のようなものをクロの頭の上に落とした。<br>　ふわふわとゆっくり落ちていった。クロは近づきそれを拾った。<br>　それは、黒色の封筒に入っている手紙だった。封筒には、あて先や差出人やらと手紙を出す上で重要なものは何一つなかった。<br>　クロは、その手紙を開けてみることにした。手紙の中には文字の書いてある紙が入っていた。<br>　クロの目には、涙がたまっていた。それは、今まで生きてきて初めてでたうれし涙というやつだった。<br><br>“大好きな、大好きなクロへ<br>「またくるね」って言ってこなくてごめんね。僕ね、病気なんだ…だからね、クロがこれを読んでるころには僕はもう死んでると思うんだ。ほんとうに、勝手でごめんね。もっと、クロと一緒にいたかったよ。<br>　僕ね、生まれたときからずっと病院で暮らしてたんだ。ずっとそれが嫌だったんだ。でもね、ここにいたら治るよって言われてたからずっと我慢してたんだ…でもね、廊下で聞いちゃったんだ、もう長くないって…。それ聞いてから僕は何時間も一人で考えたんだ。考えて考えたらね、残りの人生僕のしたいようにしようって思ったんだ。僕のしたいことはね、友達といっぱいおしゃべりしたり、かくれんぼしたり…いっぱい、いっぱい遊びたかったんだ。だから、病院抜け出してみたんだけどね、友達なんてすぐに見つからなかったんだ。もう、僕は後悔したまま死んでいくんだなぁってあきらめてたら、急に声が聞こえたんだ、やさしい、あったかい声がね。「細い路地を抜けたら神社があるからそこに言ってみな」って聞こえたんだ。神様っているんだなぁって思ったんだ。<br>　それでクロと出逢ったんだよ。すごいでしょ？それにクロは僕の友達になってくれたし、かくれんぼもしてくれたんだ。それに、クロすごくわかりやすかったから、かわいかった。<br>僕ね、初めて今まで生きてて良かったなぁって思ったんだよ。ほんとに短い間しか一緒にいれなかったけど楽しかったよ。ありがとう、言葉に表せないぐらいありがとう。僕は、幸せだよ。<br>　クロ…大好き。“<br><br>「…何やねんこの手紙、ほんまに勝手や、こんなんだけ書いて俺を置いてくなや。」<br>　あれおかしいな？素直に言葉にできる。<br>「ほんま卑怯や…俺まだお前に何も礼言ってへんやんか…お前にどんだけ助けられたと思ってるんや。…聞こえるかわからんけどな。ほんまにおおきになっ、おおきに。」<br>　涙をぽろぽろ流しながら空を見上げて大きな声でいった。<br>　すると、強い風が吹いた。<br>　クロは、クスッと笑った。そして「俺もやで」と小さな声でつぶやいた。<br>
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<link>https://ameblo.jp/abebun-sorairo/entry-10829529697.html</link>
<pubDate>Sun, 13 Mar 2011 14:24:02 +0900</pubDate>
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<title>とても短い恋でした／隣音</title>
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<![CDATA[ 　柔らかく降り注ぐ、陽気な春の光。<br>　互いの存在も知らなかった私たちが出会った、あの寒い冬の日の面影は、跡形もなく消えていた。<br>　あれだけ嫌いだった寒さが、すごく恋しく思えた。<br>　その寒さの中で独り、赤い指先で、無口に本の頁を捲る君を。<br><br><br>「ねえ、寒くないの？」<br>　私と同じくらいの男の子が、木の上で本を読んでいた。<br>　といっても、木の上の方でなく、私の背より少し高い場所にある枝に座っていた。<br>　最初、私が声をかけると、その子は涼しい顔で、黙ったまま頁をめくった。<br>　その態度が気に入らず、私は彼のズボンの裾を引いた。<br>「……何？」<br>「寒くないの、って訊いてるんだけど。」<br>　怪訝そうな顔を一瞬だけ上げて私を見、面倒くさそうに「君には関係ないよ。」と冷たく言って、また彼は本に視線を落とした。<br>　またその態度が気に入らなくて、私は憤りを覚えながら、踵を返した。<br>　背後でパラリと頁を捲る音が聞こえた。<br><br>　その翌日も、翌々日も、彼はそこで本を読んでいた。<br>　私はなぜか彼のことが気になって、習い事のヴァイオリンの前に、毎日その木を、彼を訪れた。<br><br>　そんなある日、私が彼のもとを訪れると、彼は珍しく私より先に言葉を発した。<br>「君、よく飽きないね。」<br>「？　何が？」<br>「ここに来るの。」<br>　私が首を傾げると、彼はまた淡白に答えて、膝に置いた本に視線を戻した。<br>　そういえば、何故私は彼が気になるのだろうか。<br>　そう思って、彼に尋ねた。<br>「なんでだと思う？」<br>「知らないよ、そんなの。」<br>「私もわかんない。」<br>　私がそう言うと、彼は「変な人だね、君は。」と呟いて、少しだけ笑った。<br>　はじめて彼の笑顔を見た。<br>　彼はそれっきり、いつもどおりに黙ってしまった。<br>　家に帰ってから、私は彼の笑顔を思い出した。<br>　いつものへの字でなく、うっすらと弧を描く唇、冷たいというよりは暖かい、優しい瞳。<br>　心臓が高鳴って、顔が熱くなった。<br>　どうしてこんなに胸が痛いんだろう、風邪でもひいたのかな、なんて、その日私は自分に嘘を吐いた。<br><br>　それから私は、彼のもとへ通い続けた。<br>　無口で、ほとんど何も話さない彼から名前を聞いた。<br>　私の名前も教えた。<br>　つかさ知。<br>　それが彼の名前だった。<br>　それから私たちは、名前で呼び合うことになった。<br>　知に名前を呼ばれると、少しくすぐったいようで、でも、なんだか嬉しかった。<br>　相変わらず無口だけど、知は少しずつ、私に笑顔を見せてくれるようになり、冷たいような態度は溶けて、私は知のそばに居て心地いと思う様になった。<br><br>　知と初めて会って、一ヶ月と少しが過ぎた頃だった。<br>　私は、ずっと習っていたヴァイオリンで、栄誉ある賞を取った。<br>　憧れていた、世界でも指折りのヴァイオリニストに「才能がある。」と称賛されたのだ。<br>　それは、世界に認められたということで。<br>　十四という若年ながら、私はそのヴァイオリニストのいるドイツで、ヴァイオリンを学ばせてもらえることになった。<br>　私は嬉しくて、友達よりも、大好きな祖母よりも、真っ先に、知に報告しに走った。<br>　ヴァイオリンが終わってからまっすぐ家に帰らなかったのは初めてだった。<br>　星が瞬く中でも、知はまだ木に座って本を読んでいた。<br>　喜びと興奮に任せて、知にそのことを伝えた。<br>　知の頁を捲ろうとした手が、止まった。<br>　どうかしたのかと思って、彼を見上げると、何か言いたげな顔をして私を一瞥し、静かに本を閉じた。<br>　そして、初めて、木から下りて私の前に立った。<br>　正面に立った彼の身長は、想像していたよりも少し高く、それより私は、知が地面に足をつけたことに驚いた。<br>　真っ直ぐに私を見つめる知に、私は何と言えばいいのか分からなかった。<br>　いつも一定の角度からしか見ていなかった知の顔を、初めてしっかりと見た。<br>　不意に知の手が私の肩に触れ、私は更に驚いて、大きく目を開けた。<br>　鼓動が、早い。<br>　私が何か言葉を発しようとするのも構わず、知は私に口づけた。<br>　吃驚して、どうすればいいか分からなくて、眩暈を覚えた。<br>　ただ、その眩暈は嫌なものではなかった。<br>　ほんの数秒のことが、私には永遠の様に思えた。<br>　永遠であってほしかったのかもしれない。たぶん、いや、絶対。<br>　知の唇が離れると、この寒空の下、私は顔どころか全身が熱かった。<br>「……おめでとう、頑張って。」<br>　優しく微笑んでそう言うと、知は私に背を向けて歩き出した。<br>　私は少しの間、そこに茫然と佇んでいた。<br><br>　その翌日、私はどんな顔をして知に合えばいいか分からず、あの木の所へは行かなかった。<br>　翌々日にあの木を訪れると、そこに知の姿はなかった。<br>　その次の日も、次の次の日も。<br>　毎日あしげく通ったけど、知には会えなかった。<br>　<br>　――そして、遂に出発の前日となった。<br>　無駄と知りながら、私はまた木の所へと赴いた。<br>　ドイツに行ったら、きっと暫くは帰ってこられない。<br>　それでも、それでも。<br>　私は知が好きだから。<br>　せめて一度でいい、私のヴァイオリンを聴いてほしい。<br>　想いを、伝えたい。<br>　春になり、暖かな光が降り注ぐ中で、一本だけ地面から突き出た木。<br>　あの枝に、知の姿はなかった。<br>　届くはずもないのに、私はヴァイオリンを弾いた。<br>　必死に、ただ、知への思いを込めて。<br>　いつしか涙が頬を伝っていて、私はそれでも弾き続けた。<br><br>　日も落ち、泣きつかれた私は、ケースにヴァイオリンを仕舞った。<br>　ケースを動かした時、何かが足に触れた。<br>　見ると、文庫本が落ちていた。<br>　拾い上げると、表紙には「静寂の羽化」というタイトルが大きく書かれていて、どうやら小説のようだった。<br>　何とも言えない胸騒ぎを覚えて、私は表紙を捲るのをためらった。<br>　そして、その本をケースと一緒に抱えて、私は、家に向かった。<br><br><br>　ドイツまでの道のりは長い。<br>　私は飛行場で母が手続きをしている間に、あの小説を開いた。<br>　ふと、頁の隙間から紙が一枚落ちた。<br>　拾い上げて、私は泣いた。<br>　蹲って泣きだした私を、人々は不審な目で見る。<br>　母は何があったのかと、私の背を擦った。<br>　<br>『ありがとう、雪音のことが好きだった。』<br>「――知ぁっ……！」<br><br>　苦しくて、胸が痛かった。<br>　だった、なんて言わないで。<br>　私は、まだ。<br><br>「知が、好きです……っ」<br><br><br>　無口で、本が好きな知らしい告白だったように思う。<br>　小説の内容は、孤独な少年が一人の少女によって前向きに、明るくなっていくという内容だった。<br>　私は、この小説の少女のようになれていたのだろうか。<br><br><br><br><br><br>　あれから幾年が過ぎた。<br>　私は、大きなコンクールや大会に出て、たくさんの賞を貰った。<br>　若き天才、と称されても、私はあまり嬉しくなかった。<br>　練習を欠かさず、上達していく私に、インタビューで記者が尋ねた。<br>　どうしてそこまで頑張ることができるのですか。<br>　私は、一言だけで答えた。<br><br><br><br>「ある人に、私の思いを伝えたいからです。」<br><br><br><br><br>　また、「変な人だね。」と君は笑うんだろうか。<br>　それでもいい、気づいてと。<br>　私はヴァイオリンを弾き続ける。<br><br>　ちょうど同時期、ある小説が世界中で話題となった。<br>《とても短い恋でした》<br>　幼い恋心を綴った、切ない物語。<br>
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<link>https://ameblo.jp/abebun-sorairo/entry-10829526214.html</link>
<pubDate>Sun, 13 Mar 2011 14:20:15 +0900</pubDate>
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<title>ｗａｒｍｔｈ／花猫</title>
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<![CDATA[ 　雪は止む様子もなく降り続け、僕が息をはぁ、と吐くとすぐにそれは白へと変わる。<br>　駅へ着くと傍らに設置されているベンチへと腰掛け、景色をぼんやりと見つめた。<br>　辺りに人の姿はなくただ、静けさだけが延々と広がる。<br>　そのせいか僕は寂しくなった。<br>　――いや、本当は少し昨日のことを思い出してしまったせいかもしれない。<br><br>　今日この街を去る僕のためにクラスの皆はお別れ会を催してくれた。<br>　最後には色紙や花束をくれ、口々に「寂しい」だの「絶対メールするからな」だの別れを惜しむ言葉をかけてくれた。<br>　その中で結愛だけは何も言わず遠まきに僕を見ていた。<br>　彼女は決してありふれたことはしない子だった。<br>　いつもそうだった、だから昨日僕は結愛のその行動を気にしなかったし、むしろ僕はそんな結愛が結構けっこう好きだった。<br>　でも、僕はきっと彼女の事をわすれるだろう。<br>　彼女だけじゃない。きっと皆の事も。だって僕は知っている、今まで移り住む内に学んだ。<br>　今、悲しんでくれている皆は時間が経てば連絡も絶え、そして自然と僕の事も忘れるだろう。<br>　その時、きっと僕は悲しまない。ただまたか、と思うだけだ。<br><br>　バスの時間が近づいて来たのに気付き、僕はベンチから立つ。<br>　――と、前方に少女の姿が見えた。<br>「結愛！」<br>　僕が叫ぶと彼女は息をきらしてこちらに来た。<br>「どうしたの。」僕は戸惑いを隠せずに彼女を見つめる。<br>「昨日、ちゃんと君と話せなかったから。最後に２人でお話したかったの。」<br>　正直、結愛がそう思ってくれた事に僕は驚いた。と、同時に単純にも嬉しいと思ってしまった。<br>　それから僕らの話した事といえば、他愛のないものばかりだった。でも不思議とそれを、僕は心地いいと思えた。<br><br>　――そしてそろそろバスも来るであろうころ、唐突に結愛は言った。<br>「ねぇ、君は昨日さ、皆の事を忘れないって言ったけど、それは本当？」<br>　僕の心臓は跳ね上がった。忘れない訳がない、きっと忘れる。でも、そうでも言わないと皆に申し訳ない気がしたから。<br>「当然だよ？皆の事、絶対に忘れないよ。」<br>　僕は結愛から極力目をそらす様にして答えた。<br>「嘘つき。」<br>　結愛のその言葉に驚いて、様子をうかがった。<br>　が、結愛の表情に僕を責め立てるような雰囲気はなかった。<br>「君は私達の事をきっと忘れてしまうよ。―でも、それでいいんだ。」<br>　強い意志を持った瞳がこちらを見据える。<br>「それで、いいんだよ。」<br>　その瞬間、僕は理解した。結愛の瞳に悲しみの色はない。<br>　今、僕の目の前にいるのは、ただ、次の場所で僕が楽しく暮らせることを願ってくれる少女だ。<br>　僕は結愛の手を握り締めた。<br>「忘れない。結愛の事は絶対に忘れないよ。」<br>　握った手に力を込めると、結愛は優しい顔をした。<br>「そう。―そうだといいね。」<br>　駅にバスが近づく。風で髪が乱れたが直す気は起らなかった。<br>　停車するとまた、静けさだけが広がる。<br>　僕は結愛に背を向け、中へ乗り込むと窓際の席に着く。<br><br>　ふと、結愛の方を見ると視線がぶつかりあった。<br>　彼女は僕の方をじっと見ていた。涙を流す訳でもなくただ、静かに僕を見つめている。<br>　バスが動き出す。<br>　僕は思わず唇だけを「結愛」と動かす。<br>　結愛はそれに気付いたのかやわらかくほほ笑んだ。<br>　今まで見た中で一番綺麗な笑顔だった。姿が見えなくなると、僕は思い切り泣いた。<br><br>　心の奥底、どこかで暖かい気持ちがわき出す。<br>　――忘れない、きっと。君は違うから。特別だから。<br>　雪はまだ止みそうになく、窓の外できらきらと反射して輝いていた。<br>
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<link>https://ameblo.jp/abebun-sorairo/entry-10829523535.html</link>
<pubDate>Sun, 13 Mar 2011 14:15:21 +0900</pubDate>
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<title>３月／遊依</title>
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<![CDATA[ 　私は体育館にいる。<br>　いつも着くずしている服は今日はピシッとして、３年間かよった学校の校歌を歌っている。<br>　この歌も今日で最後かぁ、なんてしみじみしていると、隣から友人が声をかけてきた。<br><br>「ねぇ、なんでみんなこんなものに泣いたりするんだろ。」<br><br>　友人は、普段から少し浮いていて、みんなとわいわい騒ぐよりも、教室の隅っこでいつも居眠りをしているような人だった。実際、この友人が起きているのを見たのは少ない。<br><br>「さぁ、やっぱり最後だし、思い出とかあるんじゃない?」<br><br>「でも、たかが卒業式だよ？　まるで最期の別れみたい。」<br><br>　そう言って友人は笑った。<br>　確かに、最期の別れみたいだ。もう一生会えない、そんなこと、自分自身が明日にでも死なないかぎり、あり得ないのに。<br><br>「そうだね。ほんと、最期の別れみたいだ。」<br><br>「でしょ。本当に最期の別れだったら、私も泣くのかなぁ。」<br><br>　どうだろう。私がもし、この友人と永遠の別れをしなくちゃいけない時がきたら、泣いてしまうのだろうか。<br><br>「泣かなさそう。だって、想像できないよ、泣くとこなんて。」<br><br>「そうかなぁ。泣かないかなぁ。」<br><br>「そうだよ。」<br><br>　式も終わりに近づいてきた。もうあとは退場するだけだ。<br>　退場の音楽にあわせて退場する。体育館をでると、冷たい風が私達の間を吹き抜けた。<br><br>「さぁっぶい！　昔はこんなのが春だったとか考えらんないね。」<br><br>　友人は言った。<br><br>「昔の春は寒かったんだよ。きっと。」<br><br><br>　そんなくだらないことを話ながら私達は最期の別れをした。そう、ほんとに最期だったのだ。卒業式の帰り、私は信号無視のトラックにひかれた。どうやら即死だったようで、あっ、ぶつかるっ！と思って目を閉じて痛くないのを不思議におもい、目を開けるとそこには血だまりのなかに倒れる自分がいた。<br><br><br>　葬式に友人が来ていた。友人はやっぱり泣いてなかった。けど、毎日私の好きだったすみれの花束をもって、事故現場にきてくれる。葬式では泣かなかった友人は、ここに訪れるたび泣いていた。ひとりで、静かに泣いていた。友人毎日ここへ来るうち、どんどんしわくちゃになっていった。もう私の死んだ場所に供えられる花は彼女のものだけとなった。しわくちゃの友人は、もう少ししたら私のもとへ来るだろう。その時は、まっさきに友人に伝えよう。<br><br><br>「ありがとう。」<br><br>
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<link>https://ameblo.jp/abebun-sorairo/entry-10829519720.html</link>
<pubDate>Sun, 13 Mar 2011 14:10:38 +0900</pubDate>
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