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<title>hakutai</title>
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<title>いつもと違う</title>
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アメンバー限定公開記事です。
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<link>https://ameblo.jp/acig/amemberentry-12882809498.html</link>
<pubDate>Fri, 17 Jan 2025 15:41:47 +0900</pubDate>
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<title>瞳</title>
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<![CDATA[ <p><br><br><br><br><br><br><br><span style="font-size:0.83em;">なんで、こんなことになったんだろう。</span></p><p><span style="font-size:0.83em;"><br></span></p><p><span style="font-size:0.83em;">真っ白だった頭の中は、目の前にある揺れる瞳に引っ張られるように鮮明になっていく。倒れてしまいぶつけた背中の痛みよりもずっと、触れている唇が柔らかくて。<br><br><br><br>「ん、」<br><br><br>小さく声を漏らした瞬間、覆いかぶさったまま硬直していたこばが弾けるように体を離した。頭の横についた両手に閉じ込められているせいで、視界いっぱいに見えるこばに、言葉を無くしてしまう。顔が熱くなっていくのがわかる。<br><br><br>「っ、理佐、ごめ ……わざとじゃなくて」<br><br><br>そんなことわかってる。わかってるよ。これは事故で、アクシデントで。わかっているけれど突然の出来事に何も言葉が出てこない。<br><br>　ファーストキスだった。いもしない恋人と、いつか訪れるであろう甘い瞬間をどれほど夢にみたことか。それがまさか、こんな形で終えることになろうとは。<br><br><br>「……りさ？」<br><br><br>唖然としたままの私を心配したのか、こばは不安そうに様子を伺っている。<br><br><br>「こば……」<br><br><br>名前を呼んだ声は思った以上に掠れていた。見下ろしてくる瞳は不安に揺らいでいる。何か、言葉を、なんでもいい、とにかくこの状況を打破できる何かを。その瞬間だった。</span></p><p><span style="font-size:0.83em;"><br></span></p><p><span style="font-size:0.83em;">ガラリ。</span></p><p><span style="font-size:0.83em;"><br></span></p><p><span style="font-size:0.83em;">熱かった体を一瞬にして冷やす音。間違いなく、たった一つしかないこのレッスン室のドアが、何ものかに開けられた音だ。ああ。どうしてこんなにタイミングが悪いの。<br><br><br>「どう、二人とも捗って ……、る…… ？」<br><br><br>ぎぎぎ、と音がするほどぎこちない動きでドアのほうを見やると、そこには片頬を引き攣らせた美波と、ニヤニヤと面白がっているふーちゃんが立ちすくんでいた。<br><br><br>どこからどうみてもこの状況は、こばが私を押し倒しているようにしか見えないでしょうね。ええ。<br><br><br>かちんこちんに固まった美波は、しばしの沈黙の後、ぴしゃり、無言でドアを閉めた。はっと我に返って二人揃って大声を上げたのが ――そう、もう一週間も前のこと。　<br><br><br><br><br><br><br><br>「嘘はよくないよ、理佐。ほんとーにゆいぽんと何もなかったの？」<br><br>「だから、何もないっていってるでしょ！」<br><br>あの一件を目撃されてから、未だにふーちゃんの尋問は続いていた。こんな風に二人きりになったときは特に。<br><br><br>勘の鋭い彼女は、あれからギクシャクしてしまった私たちの間に何が起きたのか、もうほとんど勘づいているようだった。さすがの私も、この一週間を過ごして、こばとの微妙な空気感に耐えきれなくなってきた頃で。ふーちゃんに相談すれば、きっとこの問題を解決する最善の方法を用意してくれるだろう。<br><br><br>だけれど、口に出して言うのは気が引けた。だって言えるわけないじゃない。ハプニングでこばにファーストキスを奪われ、意識しすぎてどんな顔して接したらいいかわからなくなった、なんて。<br><br>あの柔らかい唇が。至近距離で見たあの瞳が。目を瞑れば今も鮮明に思い出せて。こばの顔をみるたびに意識してしまうのだから仕方がない。胸の奥が酷くざわついて、ちりちりして。こんな気持ちになったのは生まれて初めてだから。<br><br><br>理佐。練習中にふと、こばにそう声をかけられれば、逃げるように別の誰かの腕を掴んでムリヤリ話に引き込んだ。じとりと恨みがましい視線が、私を責めるけれどそんなの――知らない。<br><br><br><br>普段二人きりでいることはわりと多い方だったとは思う。仲は悪くはなかった。別段よくもないけれど。こばの中でも、私の中でも、二人の関係はたぶん、この付かず離れずの距離感が心地よかったのだと思う。<br><br><br>あの日のあの出来事のせいで、物理的に縮められてしまった距離感を掴み損ねているだけのような気もして。だけどもっと根本的な何かが崩れ落ちたような、そんなざわめきが心の中に淀んでいた。なんだか、今までのように何でもなくこばを見ることができなくなってしまった。<br><br><br><br>こばってば、気にすることないよ。私もぜんっぜん気にしてないから。<br><br><br><br>そう言えれば一番いいのだけれど。実際のところこばを目の前にしてそんな嘘を突き通せる自信がない。自分自身、困惑しているのだから。<br><br><br>「理佐」<br><br><br>頬杖をついてため息をつけば、目の前の瞳が柔らかく細められる。私はこの瞳を知っている。いつものふざけたそれではなく、諭すような色を持つそれを。<br><br><br>「今の状況、よくないと思うよ」<br><br>「えっ.......」<br><br>「ゆいぽんのことずっと避けてるでしょ？」<br><br>「別に、そういうわけじゃ」<br><br>「理佐、ゆいぽんのことキライになったの？」<br><br>「はぁ！？」<br><br><br>何でそうなるの。意味わかんない。私がこばをキライになるわけないじゃん。そう言いかけて、言葉をつぐんでしまった。<br><br><br><br>「いいの、理佐。ゆいぽんにそう思われても」<br><br>「そんなこと……」<br><br>「そう思われてないって言い切れる？」<br><br><br>否定は、できない。こばをあんなにあからさまに避けてて、何とも思わないような人じゃない。わかっていたはずだったのになぁ、と内心は少し落ち込んだ。<br><br>本格的に反省した私に満足したのか、ふーちゃんはやんわり微笑んだ。<br><br><br>「お説教はもうおしまい。……実はね、あの日、何があったのか、本当は知ってるんだ」<br><br>「はぁっ！？」<br><br>「ゆいぽんは理佐と違って簡単に吐いたよ」<br><br><br>にんまり。意地の悪い笑顔を浮かべたふーちゃんに、私は思い切り額を机にぶつけた。ごつん。鈍い痛みと同時に顔に熱が集ってくるのがわかる。こば、何でそんな簡単に喋っちゃうの。ヨリにもよってふーちゃんに……。盛大にため息をつくと、ふーちゃんが声を出して笑ったから、私はふーちゃんの足を軽く蹴っ飛ばしてやった。<br><br><br><br><br><br><br>――理佐、ちゃんと仲直りするんだよ。<br><br><br><br><br>ふーちゃんの助言を胸に、ようやく謝罪を決して。レッスン室へと向かう。廊下を歩く音ですら大きく聴こえるほどだ。なんだか緊張して、胸のおくがざわざわする。<br><br><br>既にレッスンは終わっているけど、こばのことだから残って一人で練習しているはずだ。<br><br>レッスン室に入るとやはり、こばはまだ残っていた。集中しているからまだ私の存在には気づいていない。<br><br>&nbsp;<br><br>曲が終わるとようやくこばは私に気が付いた。<br><br><br>「……理佐？」<br><br>「こば」<br><br><br>一瞬驚いたような顔をしたこばだけど、すぐにそれはむすりとしたものに変わる。<br><br><br>「なんか用？」<br><br><br>もう終わりだと言うように荷物を片付けながら、こちらには目もくれない不機嫌そうな声で威圧され、思わずごくりと生唾を飲んだ。<br><br><br>「……ていうか、今日は逃げないんだね」<br><br><br>ジロリと横目で睨まれて、ぐさり、胸に突き刺さる一言をくれたこばはやっぱり怒っているようだ。<br><br><br>「その、こば」<br><br>「何」<br><br>「ご……ごめん、ね」<br><br><br>　ね、が震えた。ああ、もう。私より年下だっていうのに。毛先をくるくると弄る指が明らかに話しかけないでオーラを出している。<br><br><br>「何が」<br><br>「え」<br><br>「だから、何が、『ごめんね』なの？　」<br><br><br>わかってるくせにそんな意地悪なこと言わなくたっていいじゃん！と思わず声を荒げそうになったのをぐっと飲み込む。わかってるよ、悪いのは私のほうなんだ。<br><br><br>「だ、だから、ずっと避けてたこと、とか！」<br><br>「どうせ、ふーちゃんに謝れって言われて来たんでしょ？」<br><br>「うっ」<br><br><br>ほら、やっぱり。そう言ってじとりと見詰めてくるその瞳に居心地が悪い。言い返せずに口ごもると、はぁ、とため息が聞こえた。何よ。私だって、真剣に謝っているんだから。こばのバカ。<br><br><br>「……私も、悪いと思ってる」<br><br>「え？」<br><br><br>なんて思ってたらこばの口から謝罪の言葉が聞こえて、俯いてしまっていた顔をぱっとあげる。<br><br><br>「……理佐、初めてだったんでしょ？」<br><br><br>ふーちゃんから聞いた。続いた言葉に頭をがんと殴られたような衝撃が走る。<br><br><br>え、何バラしちゃってるの、ていうかなんでふーちゃん私がキスしたことなかったって知ってるわけ？　て、いうか。ていうか。<br><br><br><br>　こばは、違うの――？<br><br><br><br>どくり、耳元でいやな音がした。どくどく。心臓がいやに鼓動を早める。私だけなの？こんなに動揺して、意識しちゃってたのは。こばにとっては、私とキスしたことぐらい、何でもないことだった。そういうことなの？<br><br><br>「でも、私だってわざとしたわけじゃないし。ていうか、元はと言えば理佐が原因でしょ」<br><br><br>そう、だけど。そうだけどさ。私がこばを道連れに引っ張って転んだのがいけなかったんだから。だけど――。どうしよう、なんか泣きそう。<br><br><br>「そんなに嫌だったっていうなら、謝る。それでもうこの話は終わり、それでいいでしょう？」<br><br><br>淡々と、そう言われて。私の視界はぐらぐら揺れていた。そんな簡単に片付けていい問題ではないはずだった。この気持ちを上手く片付けられなくて、それなのにただの事故だと割り切ることもできなくて。<br><br>こばにとっては何でもないことなのかもしれないけど、私とこば、キスしたんだよ？　それって、そんな簡単に終わらせていい話なの？<br><br><br>「私……嫌だったわけじゃ、ないから」<br>&nbsp;<br><br>「え……？」<br>&nbsp;<br><br>「それだけは、誤解、しないで。こば、本当にごめん」<br><br><br>じわりと視界が涙で滲んで、ぽろりとあっけないほど簡単に涙が零れた。泣くつもりなんてなかったのに。年上としての威厳とか、プライドとか。そういうのがガラガラ音を立てて崩れ落ちてしまう気がして、居ても立ってもいられなくて逃げ出そうと……した私を、こばが強い力で二の腕を掴んで止めた。部屋のドアに体を押し付けられる。<br><br>　がたん、と鈍い音がした。背中をぶって、ドアが軋む。<br><br><br>「い、……たい、こば、痛いよ……！」<br><br><br>乱暴な手つきで体を押さえつけられて、こばを見れば思ったよりもその距離が近くて驚いた。私を逃がさないように強く腕を掴んだまま、こばはきゅっと眉根を寄せる。<br><br><br>「何……また逃げるつもりなの？」<br><br>「こ、こばがこの話は、終わりって言ったんでしょ！」<br><br>「じゃあ前言撤回する。終わらせない」<br><br>「はぁ？」<br><br>「だって、なんで理佐が泣くの、泣きたいのはこっちのほうだよ……！　あれからずっと、避けられて……話しかけても、逃げるし……。本当、意味わかんない。嫌われたのかと思ったら、嫌じゃなかったとか、言うし」<br><br><br>こばの濡れた瞳は揺れていた。あの日のような、不安と困惑。そう言われて、やっとこばが本当に怒っていたわけではないということに気付いた。<br><br><br>「……理佐は、酷いよ。少しは私の気持ちになって考えてみてよ……」<br><br>「こば、、」<br><br><br>怒っている、というより寧ろ、傷付いている。そう表現したほうがきっと正しい。ねえこば。どうしてそんな、泣きそうな顔をしてるの……？<br><br><br>「嫌じゃないって言ったのは、理佐だから。全部理佐が悪いんだからね」<br><br><br>一瞬、何を言われたのかわからなかった。ぐい、と顔を持ち上げられて。近づいた顔。噛み付かれるように口付けられて、頭の中がまっしろになった。<br><br><br>「っ！」<br><br><br><br><br>触れた唇を軽く噛まれたと思ったら、唇をなぞるように舐め上げられて、ぞくりと背筋が震える。全然なにが起きているのかわからなくて、ただ体を強張らせると、こばの親指が口の中に入り込んで、ぐいと強引に口を開かされた。<br><br><br>「ん、ん、っ……は、っ……」<br><br><br>開いた隙間から入り込んだ舌が逃げる舌に絡められる。舌が触れた瞬間、かぁっと顔が熱くなった。なに、これ。柔らかくて、熱くて、あまい。<br><br>背中がぞくぞくして、勝手に腰が震えた。熱い。熱いよ、こば……。<br><br><br>「ん、っ……ん、っ……ふ、ぅ……ぁ……！」<br><br><br>まるで食い尽くすかのようなキスに、すっかり骨抜きにされ、必死にこばに縋りつく。もう、息が、続かない。苦しくって、胸を押すと、ようやく口の中からちゅ、と音を立てて舌を抜かれた。<br><br>がくがく震える膝がもう立たなくなって、ずるずるとその場にへたり込む。<br><br><br>「は、ぁっ……」<br><br><br>思考はすっかりこばのせいでとろけきっていて役に立たない。涙でぼんやり滲んだ視界の中、こばがしゃがんで私と視線を合わせたのがわかった。<br><br>口の端から溢れて伝った唾液を、こばの舌が舐め取る。もう、ふにゃふにゃにとろけた頭は考えることを放棄した。視線もそらせない。<br><br><br>「こ、ば……」<br><br><br>ぐい、と肩を引っ張られて、こば腕の中にすっぽり抱きしめられると、ふわりとこばの匂いがした。<br><br><br>「……理佐のばか。こんなに好きなのに、どうしてわかってくれないの……」<br><br><br>　今にも泣き出しそうなその声は、震えていて。<br><br><br><br>そのときは、まだ。わからなかった。この胸の奥で燻る感情の、名前ですらも。</span><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br>&nbsp;</p>
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<pubDate>Fri, 17 Jan 2025 15:39:39 +0900</pubDate>
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<title>反抗</title>
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アメンバー限定公開記事です。
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<link>https://ameblo.jp/acig/amemberentry-12882809125.html</link>
<pubDate>Fri, 17 Jan 2025 15:38:28 +0900</pubDate>
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<title>意気地なし</title>
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<![CDATA[ <p><br><span style="font-size:0.83em;">社会人パロです。<br><br><br><br>由依side<br><br><br><br>まだ私が大学生だった頃。あの頃は、やれデートだ合コンだ、暇さえ見つけては夜の街に繰り出していた。<br><br><br>ネオンがきらめく街の中で、あの頃の私は一体何を探していたのだろう。<br>一人でいるとさみしいから？誰かに暖めてほしかった？<br><br>今は、忙しい日々の中で、もうそんな感情すら思い出せない。だから、今日は、本当に気まぐれだった。同じ会社の後輩からのディナーの誘いに、首を縦に振ったのは。<br><br>仕事終わり、この後の予定のためにお手洗いで身なりを整える。香水をシュッと手首に振った所で、見知った影が近づいてきた。<br><br>「あ、理佐、お疲れ」<br><br>同じ大学だった理佐。けど、当時はたいして話したこともなかった。ただ理佐に対するイメージはいつも誰かと一緒にいる人たらしってことだけ。<br><br>同じ会社に入ったときは、あまり理佐のことが好きではなかったけど今となっては、親友とも呼べるくらいの仲になった。<br><br><br>「お疲れ様〜」<br><br>ネックレスを首に通して、結んでいた髪をばさっと下ろす。<br><br>横目で理佐を伺うと、てきぱきと身なりを整えていて、こんな所も本当に段取りいいなぁなんてぼんやり思う。<br><br>でも、同じ時間に上がれるんだったら、夕食なんかいかないで、理佐と飲みに行ったほうがよかったかも、なんて思っていたら、鏡越しに理佐の呟くような声が聞こえた。<br><br>「……由依、いつもと雰囲気違うね」<br><br>「え？なんか言った？」<br><br>振り返ろうとした瞬間、ぎゅっと腕を捕まれてぎょっとする。いつの間にこんなに近づいたのか、動揺している間に、押されてがたん、と壁に背中がぶつかった。<br><br>「りっ、さ、なに！」<br><br>突然、ぐっと壁に押しつけられた肩が痛む。慌てて顔を上げると、真剣な瞳と視線がぶつかった。まるで火花が散ったみたい、だった。視線が離せない。<br><br>「由依」<br><br>いつもの少し高めの柔らかいトーンとは違う、強めの声色に思わず身体がこわばる。<br><br>「な……、なに？」<br><br>ぐっと捕まれて、押さえつけられた腕は強く握られてじんじんと痛む。自分より身長が高いのもあるし、見上げるようにすれば、何を考えているのかわからない。大きくてぱっちりした瞳がすっと細められる。<br><br>「今日、ひかるちゃんと二人でご飯食べに行くんだって？」<br><br>「え、あぁ、うん、そうだけど……」<br><br>一体誰から聞いたのか、少し不満そうな顔で見下ろしてくる理佐に戸惑う。何が気に入らないのか、責められているみたいで居心地が悪い。もしかして、理佐、ひかるのことが好きとか？だから気になってるのかな、とか。<br><br>でもひかると話してるところなんて見たことないんだけど……。ぐるぐる頭の中で思考が回る。<br><br>「あのさ、それがどうかした？なんかあった？」<br><br>「付き合うの？」<br><br>「へ？」<br><br>「ひかるちゃんと、付き合うの？」<br><br>「いや、そういうんじゃないけど、たまにはご飯に行くのもいいかなって思っただけで…」<br><br>ふーん、そうなんだ、とさも興味ない風な言い方だけど、腕を押さえつけている手の力は未だに強い。<br><br>「理佐？」<br><br><br>小さく呟くように言うと、理佐の視線が、そっと下がる。少し開いた首元に、目線が行ったような、気がした。<br><br>「ねぇ、どうし……、」<br><br>そこまで言いかけて、ぐいと距離が詰まる。え、え何。混乱をさらに加速させるように、首筋に、鋭い、痛み。<br><br>「いっ、た！！」<br><br>噛みつかれた、と理解したときにはもう手首は解放されていて、呆然と立ち尽くす。ずきずきと首筋が痛い。<br><br>え、これ血とか出てるんじゃない？ってくらいの強さで、思わず噛みつかれた首筋に手をやると、平然と、にこっと爽やかな笑顔を浮かべて、理佐は言ってのけた。<br><br>「じゃあ、楽しんできてね」<br><br>「ちょ、ちょっと……！」<br><br>「お疲れ様」<br><br>一体何が起こったのかわからないまま、ひらひら手を振って立ち去る理佐の背中を呆然と見つめることしかできずにいた。<br><br><br><br>＊<br><br><br>洗面所の鏡の前で、首筋に残った赤い噛み痕を指でなでれば、ひりりと痛んだ。血こそ出てないにしろ、少し腫れているぐらいだ。あのバカ、結構な力で噛んだ。<br><br>「いった……何なのよ。普通噛む……？」<br><br><br>あの人タラシのことは、よく知っている方だと思っていた。誰よりも一緒にいて、たまにケンカして、そしてお互いの事をよく理解しあえていると。良い関係を築くことができていると思っていたけれど、どうやらそれは思い違いだったらしい。<br><br>その認識は撤回しなければならない。<br><br><br>理佐のことが、全然、わからない。<br><br>翌日、理佐は平然と「おはよう」と声をかけてきて、何なら昨晩はどうだったか、なんて聞いてきたぐらいだ。<br><br>理佐がなぜあんな行動に出たのかはわからないが、少なくとも昨日のひかるとのディナーが上手くいかなかったのは、隠しきれなかった噛み痕とその痛みのせいだと思う。<br><br><br>結局、二人の間に奇妙な関係性が出来たのは、理佐のこの「噛みつき事件」がきっかけだった。<br><br><br><br><br><br><br><br><br><br>仕事も終わり帰る支度をしていると、ニコニコと近づいてくる理佐に嫌な予感がしたのは確かだけど、会話は至っていつも通りで、今日の仕事の話とか、駅前に出来たおいしいパスタ屋さんの話とか、他愛のない話題がほとんど。<br><br>だけど、そんな「普通の理佐」じゃなくなる瞬間がある。本当に一瞬だけ。理佐は変わる。それが、これ、の時。<br><br>二人きりになった瞬間を見計らってか、後ろから押さえつけられる。あ、そういえば今日で大体一週間ぐらいか、とはっとしたけれどもう遅い。<br>がぶ、と軽くうなじに噛みつかれて、思わず息をのんだ。<br><br>「っ、りさ、！」<br><br>くっと犬歯がうなじに軽く当たる。あ、噛まれる。そう思って身体がこわばった。このときだけ、理佐はびっくりするほど強引になる。<br><br>後ろから抱きしめられるように押さえつけられて、力加減は優しいけれどこれは無理矢理だ。強く噛みつかれた瞬間、いっ、と声が漏れた。<br>こんな見えるところに痕をつけられるなんて、冗談じゃない。<br><br>「理佐、っ、痛い、っやめてよ」<br><br><br>「……痛くしなければいいの？」<br><br><br>「はぁ？、何言って……」<br><br>ちゅっと、音を立ててうなじに口づけられて、ぞわっとする。身体は壁に押しつけられて、びくともしない。最も、こんな風になった理佐に対して抵抗する気なんか毛頭ないんだけど、それにしたってあんまりだ。<br><br>「やだ、り、さ！」<br><br>あむあむと、今度は甘噛みされたと思ったら、生暖かいものがうなじを這う。理佐の、舌だ。舐められた、と思ったら、何だか変な気持ちがわき上がってくる。<br><br>「ひ、っ」<br><br>と思ったら、ちゅう、と強く吸われた。がたん、と壁に膝をぶつけてしまって大きな音がなる。理佐、何考えてんの。誰か来たら、言い逃れなんて絶対にできないのに。<br><br><br>ていうか、今、絶対。<br><br>「ちょっと、今っ」<br><br>こいつ、キスマーク、つけた！<br><br>思わずにらみつけようと振り返ると、あっさりするほどぱっと手を離されて、思っていたよりも近い距離に思わずのけぞる。<br><br><br>でも、じっとその瞳が見つめてくるから、何も言えなくなってしまう。<br><br>「じゃあ、もう戻るね」<br><br><br>「えっ、ちょ、理佐……！」<br><br><br>「お疲れ様」<br><br>有無を言わさない、とはまさにこのことか。恐らく、キスマークをつけられたであろううなじをなでて、ため息をつく。<br><br><br><br>理佐の『コレ』は定期的にやってくる。大抵、一週間か二週間に一回くらい。忘れた頃に、噛みつかれたり、こんな風にキスマークを付けられたり。<br><br><br>やっと薄くなったかな？って頃にタイミングよくまた新しい痕を付けられるおかげで、いつも身体のどこかしらには理佐の付けた「痕」がある。<br><br>「意味分かんないわ、あいつ……」<br><br>何を意図してこんなことをしているのか、聞いてもはぐらかされて、痛いと言えば「痛くしない」やめてと言えば「どうして？」とさも当たり前のように聞いてくる。<br><br>言い返せないのは何故なのか、自分でもわからないけれど、別に不快感があるわけでもなくて。<br><br>恋人がいるわけでもない今、こんな風に痕を付けられたところで困ることなどないのだけど、たまに抵抗すると明らかに「見える場所」に付けてくるから、大人しく従った方がまだ良いような気もして。<br><br>ずるずる、この理佐の「噛み癖」を甘んじて受け入れている。<br><br><br><br><br><br><br><br>それでもやっぱり、こういうときは文句の一つでも言いたくなる。<br><br>まだ仕事中だというのに、会議室に腕を引かれて閉じ込められて、椅子に無理矢理座らせられたかと思えば、当たり前のように襟を引っ張られて前に付けられた痕を「確認」される。<br><br><br>もう、ここまでくるとあたしはあんたの恋人か、って言いたくなる。<br><br>「……薄くなってる」<br><br>気にいらなそうにそう言うけど、今は仕事中だし、いつ人が来るかもわからない状況なのに。こんなことしても、理佐は平然と仕事に取りかかれるからいいかもしれないけれど、私は違う。<br><br>いくら同性って言ったって、こんなことされればやっぱりどきどきするし、集中できなくなる。<br><br>「りさ、もう戻ろ？」<br><br><br>「うん、でも、すぐ終わるから」<br><br>首筋に、吐息があたる。擦り寄るようにされて、小さく息が漏れた。何だってこいつは、何を考えているのかよくわからない。<br><br><br>可愛く甘えられたのかと思いきや、首筋に舌が這って、時折ちゅうと吸ったり、甘噛みしてくる。<br><br>「ね、ぇ、どうしてこんなことすんの？」<br><br>もう声はかすかに震えていたし、腰を撫でる手つきに変にぞわぞわしてきゅっと唇を噛んで耐えるしかない。気を抜いたら、絶対に理佐には聞かせたくない甘ったるい声が出てしまいそうだった。<br><br>「……なんで？だめ？」<br><br><br>「あのさぁ……質問に、質問で返さないでよ……」<br><br><br>「見せてまずい相手でもいるの？」<br><br>普段より数段低い声。首筋にくっと固い犬歯が当たる感触がして、あ、やばい噛まれると身を固くする。<br><br>「り、さ、噛まないで、痛いのはやだ」<br><br><br>「じゃあ、答えて」<br><br>こちらの質問には一切答えないくせに、平然と理佐は言ってのけた。この傲慢さは一体どこからくるわけ？とため息の一つもつきたくなる。<br><br>「い、ないけどさ……」<br><br><br>「じゃあ、いいよね？」<br><br>噛みつかれるよりはましだ、と渋々こくんと頷く。すると、理佐は安心したように笑うから、その笑顔にギュッと胸が苦しくなった。<br><br>再度首筋に触れた唇。声が漏れないように、ぎゅっと目を瞑った。<br><br><br>吸い付かれる感触。痕を付けて満足したのか、ちゅ、と耳の裏に口づけられて、身体があっさりと離れた。<br><br>真っ赤になって俯いたままの私の頬を撫でて、理佐は戻るね、と行ってしまった。<br><br>はぁ、と深いため息をついて膝を抱えて丸くなる。<br><br>普通に考えたら、同僚にキスマークを付けられる、っていうのは有り得ないでしょ、と思う。<br><br><br>こういうのは恋人同士、っていうか、一般的にはそういうことをするような相手に独占欲として残すモノ、っていう認識だった。<br><br>理佐にとっての『これ』は、あたしが思うキスマークに対する認識とは全く別のモノだったりするのだろうか。<br><br>こんな風に、相手の身体に痕を残したい、なんて感情は、恋愛感情以外に何かあるんだとしたら、誰か私に教えて欲しい。<br><br>恋愛感情じゃないにしたって、行き過ぎていることには違いないとは思うんだけど、理佐に見つめられると拒否できない。素直に従ってしまう。だけど、だけどね。<br><br>人の身体を噛んだり、舐めたり、犬か、お前は。結局、理佐のことになるとため息をついてばかりだ。<br><br><br><br>＊<br><br><br><br>次の痕を付けられるのは、初めは痕が消える頃、だったのに。そんなのお構いなしに痕を付けてくるようになったのは最近の話。<br><br>会議室、トイレ、車の中、etc…<br><br>相変わらず二人で出かけたり、お互いの家に行き来してはいたけれど、二人きりになるとたまにカチッと音を立てたように切り替わる理佐の「犬モード」にも慣れてきてしまった自分が怖い。<br><br>がぶがぶ噛まれたり、かと言ったら優しく舐められたり、首だけじゃ留まらず背中にまで浸食されてきて、そのうち体中理佐の痕だらけになるんじゃないかとぼんやり思った。<br><br>相変わらず「どうして」かは教えてくれないままだけど、「ソウイウコト」をしている時の理佐の表情は普段とは全然違う。<br><br>夢中で抱きしめてくる腕も、熱い舌も、唇も。神経を高ぶらせるだけ高ぶらせておいて、痕を付けるだけ、なんて。生殺しもいいところだ。<br><br>唇にキスもしないくせに、体中にキスをしてうっとりしているその表情は、まるでお気に入りのオモチャで遊ぶ犬そのものだ。<br><br>意識してしまうのは、あたしだけなんだろうか。<br><br>その唇で、キスして欲しいとか、その声で、名前を呼んで欲しいとか、その指で、もっと、身体の奥まで触れて欲しいとか……。<br><br>あーもう、理佐に欲情しているなんて、絶対本人にはバレたくない。<br><br>悶々としている私を知ってか知らずか、理佐がデスクに近づいてきた。<br><br>「由依」<br><br><br>「ん、なに？」<br><br>視線は上げない。顔なんか見てやらない。理佐のことを考えていたのがバレるのが嫌で、書類から目をそらさずにそう言うと、つん、と服から覗く背中をつつかれて、耳元でそっと囁かれた。<br><br>「……ちゃんと隠さないと。見えてるよ」<br><br><br>「ッ！」<br><br>慌ててばっと隠すと、おかしそうに理佐が笑う。こいつ、困らせる為にわざとやっているんじゃないかとすら思ってにらみつける。<br><br>でも、この犬には効果がないようで、ご機嫌でふんふん鼻歌なんか歌ってる。<br><br><br>はぁ、と額を抑える。顔が熱い。なんでこいつのせいでこんな想いをしなきゃいけないのかと考えただけで頭が痛くなる！<br><br>そうだ、いつも一方的すぎるのはいかがなものか。なんでやられっぱなしでいたんだろう。理佐も、少しはこの大変さを味わえば良い。<br><br><br>良いこと、思いついた。<br><br>「ねぇ、理佐」<br><br><br>「なに？」<br><br><br>「ちょっとさ、手伝って欲しいことがあるんだけど。一緒に来てく備品室来てくれない？私じゃ届かなくってさ」<br><br>言えば、いいよー、とのこのこついてくる理佐。備品室の棚、高いもんねぇ、なんて呑気に言っていられるのも今のうち。<br><br><br><br>備品室に入った瞬間、後ろ手でドアを締めて、理佐の腕を引いた。<br><br>「わっ、と」<br><br>驚いて振り向いた、理佐の白い首筋にかぷっと噛みつく。一瞬、理佐が息を飲んだのがわかって、優越感……を持ったのもつかの間、両肩をがっしり掴まれてばっと引きはがされた。<br><br>「っ、由依！」<br><br><br>「え、」<br><br>何、なんなの、そんなに拒否することなくない？と不機嫌をあらわに見上げると、理佐の視線が泳いだのがわかった。ぎゅ、と肩を掴まれて、いよいよ不愉快だ。<br><br>「りさ、痛い、なにすんの」<br><br><br>「それはこっちの台詞だよっ！由依、一体なに考えてるの！？」<br><br><br>「何って……そっちがいつも私にしてることでしょ？普段人の身体を好き勝手してるくせに、自分がされるのは嫌なわけ？」<br><br>あからさまな拒絶に、より一層理佐がわからなくなった。ぎゅうっと胸が締め付けられるように痛む。<br><br>「好き勝手になんて……」<br><br><br>「してないって言える？」<br><br><br>「……」<br><br>言いよどむ理佐の視線が泳ぐ。この際、聞いてしまえ。この胸のもやもやも、痛みも、何もしないままじゃ何も変わらない。<br><br>「ねぇ、どうして理佐は、私に痕付けるの？　いい加減教えてよ……」<br><br><br>「それは……」<br><br><br>「……もしかして私、遊ばれてる？」<br><br>不安が急に増してきて、きゅっと理佐の手を掴んで伺うように聞く。そうすると慌てて理佐がぶんぶん首を横に振った。<br><br>「違うよ、そういうつもりじゃない」<br><br><br>「じゃあどうして？」<br><br><br>「それは……、その、由依に……」<br><br><br>「わたしに？」<br><br><br>「恋人が出来たら嫌だから……」<br><br><br>「へ？」<br><br>ぎゅっと握っていた手を引かれて、理佐の反対の腕が腰に回る。自分より少し高い背。理佐の匂いが混じった甘いにおい。<br>何故か、言葉を失ってしまう。<br><br>「由依が、とられそうになって、嫌だって思って」<br><br><br>「それは、どういう、意味？」<br><br>真意を聞く前に、襟で隠れるギリギリのところに、ちゅと口づけられて、きつく吸われる。はぁ、小さく熱っぽいため息が出た。<br><br>理佐は生粋の人たらし。勝手に人が寄ってくるから、友達の扱い方も知らない、とか？<br><br>結局、理佐にそのまま押し切られてしまって、未だに真意は聞けないまま。<br><br>その気持ちが友情からくるのか、恋愛感情からくるのか、聞いてしまったらこの関係が壊れてしまう気がして。<br><br>理佐は何も言わない。だけど、その瞳は間違いなく熱を持って私を見つめてくる。<br><br>どうして、はっきりさせたいんだろう。<br>この関係を先に進めたい？どっちに？<br><br>その気持ちが、恋愛感情だと言われたら、私はどうするつもりなんだろう。<br>好きって言われたら。その腕に抱かれたら。わたしは……。<br><br>ただ一つ言えることは、私はあの瞳に、囚われてしまった。<br><br>ひとり取り残された備品室で、この胸に燻りはじめた甘い熱をどう宥めるか、そればかり考えて、ため息を一つ、零した。<br><br><br><br>＊<br><br><br>もしこの関係に名前をつけたとしたら、私と恋人同士になるんだとしたら。この溶けそうになるくらいの熱を、理佐はどうにかしてくれるんだろうか。<br><br>考えながらする事務仕事は憂鬱で。全然捗らないったらない。<br><br>こんなことを許してしまうぐらい、私も理佐に甘いんだろうけど……<br><br>すりすり、無意識に首筋を撫でていると、夏鈴ちゃんが怪訝そうな目でこちらを伺った。<br><br>「由依さん」<br><br><br>「な、なに？」<br><br><br>「ちょっといいですか？」<br><br>夏鈴ちゃんが、自分の首元を指差して、聞こえないような小さな声で言う。<br><br>「……見えてますよ」<br><br><br>「……！」<br><br>思わずバッと首筋を抑えると、夏鈴ちゃんがおかしそうにふふっと笑う。<br><br>「由依さんの恋人は、随分、独占欲の強い方ですね」<br><br><br>「いや、これは……」<br><br>恋人じゃなくあなたも知ってるあいつの仕業です、とも言えずに言い淀む。<br><br><br>なんだか最近、理佐が変に大胆になって来た気さえする。今までだったら、大人しくしてさえ居ればこんなギリギリのところに痕をつけるようなことしなかったのに。<br><br>「あ、のさ」<br><br><br>「なんですか？」<br><br><br>「こういうのってやっぱり、独占欲なのかな？」<br><br><br>「それ以外に何かあるんですか？」<br><br><br>「わかんないから、悩んでるっていうか……、これ、つけてくるの友達なんだよね。しかもそういうことするような関係でもなくて……」<br><br><br>「はぁ。キスマークだけ付けられてるってことですか？」<br><br><br>「そう。何考えてるのかぜんっぜんわかんないんだよね」<br><br><br>はぁ、と大きくため息をつくと、夏鈴ちゃんが首をかしげる。<br><br>「でも、由依さんはその方の事が好きなんですよね？」<br><br><br>「はぁ！？」<br><br><br>「違うんですか？だって普通、こんなこと好きでもない人に許さないですよね」<br><br><br>「それは……」<br><br>自分の中での可能性の話でしかなかっただけに、他人から与えられる「客観的事実」は意外と応える。<br><br><br>黙り込んでしまった私に、夏鈴ちゃんが少し考え込んだ後に、何かを思いついたのかふふっと笑った。<br><br>「ひとつ、考えがあります」<br><br>そう言った夏鈴ちゃんの表情はどこか楽しそうで、こっそりと耳打ちされる。<br><br><br>「えっ！？」<br><br><br>「協力しますよ、いつでも」<br><br><br>夏鈴ちゃんからの提案は、ある種の爆弾だった。<br><br>ーー他の人が由依さんに付けたキスマークを見つけた時、どんな反応をするか試してみればいいんじゃないですか？<br><br>あー、もう無理、と頭を抱えた私を夏鈴ちゃんは笑う。<br><br>起爆装置は今この手にあって、その爆弾は大きく私と理佐の関係性を変えるだけの威力を持つだろう。<br><br>ねえ理佐。<br>理佐はどういう反応をするかな。<br><br><br>恋人ができて欲しくないって言ったけど、追いかければ逃げてしまうような、臆病な理佐の気持ちが知りたい。<br><br>「どうします？」<br><br>そう問いかける夏鈴ちゃんに、私は黙って頷いていた。</span><br><br><br><br><br>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/acig/entry-12882807252.html</link>
<pubDate>Fri, 17 Jan 2025 15:20:42 +0900</pubDate>
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<title>忘れちゃった</title>
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<![CDATA[ <p><br><br><span style="font-size:0.83em;">「家まで送ってあげてね」<br><br>「え？」<br><br>「よろしく」<br><br>「責任持って送り届けてよぉ〜」<br><br>「理佐、うちの大事な末っ子を、その辺に置いて行かないでよ」<br><br>「いくら好きだからって同意も無しに手ぇ出しちゃだめだよぉ」<br><br>「ちょっと！そんなことしないし！」<br><br>私の肩にもたれかかり、むにゃむにゃ言っているこばを、皆から送っていけと命令された。<br><br>私がこばのこと好きってばれているから揶揄っているんだろうけど、迷惑かと聞かれれば、ぶっちゃけ言うととてもありがたい。<br><br>二次会の途中から、こばの飲むペースが早くなり、終わる頃には可愛い顔を真っ赤にさせグデングデンになっていたのだ。<br><br>「こば、もお帰るよ」<br><br>「ん〜〜〜？」<br><br>私の送別会なのに、主役を除いて皆んな三次会に行ってしまい、酔っ払いのこばを抱えて、取り敢えずタクシーを拾おうとした。<br>金曜日の夜だからか、中々タクシーがつかまらない。<br><br>「おやすみぃ〜〜」<br><br>「こば！まだ寝ちゃダメ！」<br><br>くたぁっと道路に座り込んで、目を瞑りながらこっくりこっくり頭を揺らしている。<br><br>「………もうっ」<br><br>人の目があるため、こばを抱き起こして、<br><br>「こば、住所言える？」<br><br>大体の場所は知っているけど、番地までは覚えておらず、タクシーに乗車できた場合に伝えてもらう必要がある。<br><br>「えぇとぉ〜〜、とうきょうと〜えっとぉ～～」<br><br>「やっぱいいや、」<br><br>最寄駅は分かるため、そこから道路を見ながら案内すればいいかと思い、とりあえず大通りまでこばをおんぶして歩いた。<br><br>「りぃ～さぁ〜〜〜」<br><br>「耳元で話さないでぇ～。うるさい～」<br><br>「ねぇ〜〜〜」<br><br>「どうしっ………」<br><br>丁度こめかみの辺りに、こばの唇が触れて、まるでキスをされているみたいだった。<br><br>「………えっ……」<br><br>「ふふ、あかくなってる〜〜。照れてる？ねぇ、照れちゃった？」<br><br>「ふざけないの、この酔っ払いめ」<br><br>「ふざけてないよぉ〜〜。だって〜〜〜すきだから〜〜〜」<br><br>足をピタッととめて、硬直してしまった私は、こばに頬をツンツンされても動けない。<br><br>「りささんん、聞いてますかぁ？だいすきっていってるんですよぉ〜？ひゃはは」<br><br>「ちょっと……揶揄わないでよ」<br><br>「からかってないよぉ〜。ほんとにほんとだよ？」<br><br>こばは、私の首を絞めるように抱きつきながら、今度は頬にキスをしてきた。<br><br>「いかないで………さみしいよ……、すき……りさ……」<br><br>触れられた部分がやたらと熱くて、動悸息切れが尋常じゃない。<br><br>酔っ払いの戯言だろうが、こんなに好きだと言われたら、誰だって信じてしまうだろう。<br><br>私はこばのことが大好きだし、タイミングを見て伝えたいとは思っていたけれど、同じグループのメンバーでいる期間が長過ぎて、きっかけが掴めなかった。<br><br>これは、チャンスと捉えていいのだろうか。<br><br>「なら…………………うちに来る？」<br><br>ドクン、ドクンと心臓が高鳴り、手に汗握って、こばからの返答を待った。<br>しかし、中々返事がなかったため振り返ると、こばはクークーと寝てしまっていた。<br><br>「それはないでしょ………」<br><br>私は脱力しながら、引き続きタクシーをつかまえるべく夜道を歩いた。<br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br>下腹部に、鈍い痛みが走り、目を覚ました。<br>ついでに頭もズキズキと響いて、自分の身体がアルコール臭い。<br><br>「おはよう」<br><br>「おはよう……………ん？」<br><br>私の頬を撫でている感覚が心地いい。<br><br>「起きれる？」<br><br>「…………」<br><br>目の前には綺麗な首筋があり、聞き慣れた声が耳に届いている。<br><br><br>ゆっくりと視線だけ左右に動かしたところ、自分の部屋ではないようだった。<br><br>「仕事行けそ？無理そうなら今日は休んじゃおうよ」<br><br>さっきまで頬を撫でていたと思われる手で、頭を優しく撫でられて、肩がビクッと震える。<br><br>一体これは、どういう状況なのだろう。<br><br>「あ……り…さ……、ここは……」<br><br>「私の家。由依が、来たいって言ったんだよ？」<br><br>「ひゃあっ！」<br><br>額に唇をつけられて、私は飛び上がるほど驚いてしまった。<br><br><br><br>その瞬間、自分が何も身につけていないことに気付き、慌てて胸元を手で隠した。<br><br>理佐はTシャツを身に着けていたため私もてっきり洋服を着ていると思っていたのに、、何事よ。<br><br>「いつから一緒に住む？私はいつでも大丈夫だよ」<br><br>さっぱり事情が読めなくて、裸でピッタリと理佐にくっついている理由も分からず、私は益々混乱してしまった。<br><br>「まさか、覚えていないなんて事はないよね？」<br><br>"はい、その通りです"と答えたら、抹殺されそうな雰囲気を肌で感じる。<br><br>理佐には、何年も前から片想いをしてきたから、こうなったのは嬉しいけれど、記憶にないのは痛すぎる。いつの間にか由依呼びになってるし。<br><br>理佐と離れるのが寂しくて、つい飲み過ぎてしまった自分が悪いのだが、どう話すべきか、二日酔いの頭では名案が思い浮かばない。<br><br>「で、どうする？」<br><br>「どうって………」<br><br>「明日、仕事帰りに不動産に行く？」<br><br>知らぬ間に同棲まで決められていたらしく、冷や汗が出てくる。<br><br>ということは、このお腹の奥に感じる違和感は、間違いなく本物だろう。<br><br>しちゃったんだ……。<br><br>「あのね……怒らないでほしいんだけど……」<br><br>「ん？」<br><br>将来を決める大事な場面で、やはり嘘を隠し通すわけにはいかないと腹を括った私は、正直に話すことにした。<br><br>「私………その、昨夜の……」<br><br>「由依の気持ちを聞けて、嬉しかった。７年間、待ち続けてきた甲斐があったよ」<br><br>「へ？」<br><br>「欅の時も、櫻坂としての活動が始まった時も、卒業しようか悩んでいた日も、いつも傍には由依がいたから……。大切な人から告白されて、一生忘れられない日になった。ありがとう」<br><br>ギュッと熱く抱擁されて、感激しているっぽい理佐に対し"覚えていません"なんて、口が裂けても言えない状況に追い込まれている。<br><br>「ところで、言いかけたことって何？」<br><br>「え…………いや…………とくに……」<br><br>「じゃあ、もう一度言ってくれない？」<br><br>「は？！」<br><br>「私に同棲を決心させた、由依の告白を、もう一度聞かせて欲しい」<br><br>助けて。どうしよう。本気で思い出せない。<br>エッチなことをしたような気もするけれど、夢ではこれまで何度も見てきたから、昨夜のシーンも、実際のものだという認識が薄かった。<br><br>私が必死で回想し、何を言ったか捻り出そうとしていたところ、理佐がムクッと起き上がった。<br><br>「理佐？……キャッ」<br><br>「言えないの？」<br><br>私の手首を掴み、顔の横でシーツに固定した理佐は、口角を上げているが、目は全く笑っていない。<br><br>この人は、真実を知っている。<br><br>「ご………ごめんなさい！言い訳になっちゃうけど、理佐がね、卒業するのがすごく寂しくって、みんなで集まれるのも最後かなって考えたら、飲まずにはいられなくてね。絶対に参加したかったから、仕事も何日も前から無理しちゃってて、疲れがいつもよりひどくって、アルコールの効きが良かったっていうか。で、でもっ、理佐のことは好きだから、こうなったのは、望んでいた展開でもあるし、えと、だから」<br><br>「つまり、覚えていないってことだね？」<br><br>私を見下ろす冷ややかな視線が、身体にグサグサと突き刺さる。<br><br>「………ごめんなさい………。弁解の余地もないんですけど、理佐と、一緒に生活……したいです……。だめ？」<br><br>「………」<br><br>理佐の凄みが僅かに減って、瞳が瞬いている。<br>あと少し押せば、何とかなるかもしれない。<br><br>「許して。理佐のことが、大好きなの。怒らないで」<br><br>理佐の首に腕を回して、自分なりに目一杯反省している素振りを見せて、猫撫で声で謝った。<br><br>すると理佐は、真顔でベッドの端に置いてあったスマホを手に取り、操作し始めた。<br><br>「もしもし……友香？あぁ…………、そう。予定通り。あ？うるさい。じゃあ、ありがとね」<br><br>「今の、ゆっかー？？何を話したの？！」<br><br>「今日お仕事行かなくて大丈夫になったよ」<br><br>「えっ？！そんな、急に」<br><br>「昨日のうちに調整しておいたから、問題ないよ。それより、覚悟してね」<br><br><br><br>「へっ、、？」<br><br><br><br>「忘れちゃったことは許してあげる。その分、じっくり昨日のこと思い出させてあげるから。」</span><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/acig/entry-12882807174.html</link>
<pubDate>Fri, 17 Jan 2025 15:20:03 +0900</pubDate>
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<title>目移りしないように</title>
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<![CDATA[ <p><br><br><br><span style="font-size:0.83em;">最近、由依の距離が近い。<br>いや、付き合っているのだから、距離が近いのは当たり前なんだけど。<br><br>正しく言えば最近、由依からのスキンシップが多い。<br><br>一緒にお仕事がある日や、一緒に帰れる日は、楽屋から出た瞬間から手を繋いでくる。<br><br>前までは一切なかった。逆に繋ごうとすると、人いるじゃんとか言って繋いでくれなかったのに。<br><br>どういった心境の変化だろう。まだまだ他にもある。<br><br>次の日が朝からの仕事で体を重ねない日は私が由依を後ろからハグをするようにぎゅっとして寝る。<br><br>今までは、暑いとか、寝返りができないとか色々文句を言ってたのに、最近は、私がぎゅっとすると、由依はこっちを向いて、私の胸の当たりに顔をうめて手を回し、私の寝間着をぎゅっと掴んで寝ている。<br><br>いや、もう正直に言って可愛すぎる。<br><br>押し倒したい！けど、次の日の仕事を考えると出来ないから、抱きしめる力を強めて、私も眠りにつく。<br><br>他にも、いってきますや、ただいまの、キスもだいたい私からで、仕方がないなぁ〜みたいなスタンスだった由依が、最近は、違う。<br><br>帰って来る時に考え事をしてしまい、ただいまのキスを忘れると、服の端っこをクイってして、キスしないの？って上目遣いで、首をちょっと曲げて、アピールしてくる。<br><br>あぁ〜〜もう！可愛すぎる！！<br><br><br>そういう日は、ちょっと長めにキスをする。腕を由依の背中側に回し、さわさわと背中からお尻を往復しながら触る。<br><br><br>すると、<br><br>「んん。りさ、長いし、触りすぎ。｣<br><br>なんて言うから、<br><br>「由依が可愛すぎるのが悪い。」&nbsp;<br><br>と返事をすると、顔や耳を薄い朱にそめ、そっぽを向いてソファーで、テレビでも見始める。<br><br>めちゃめちゃかわいい。<br><br>こんなことが最近よくあるので、どうしたものかと考える。<br><br>由依に直接聞くのもいいけど、聞いたことによって、これらの行為がなくなるかもしれない可能性を考えると、すぐに聞くのも憚られる。<br><br>なので、こういう時は、おぜちゃん！！<br><br>由依が撮影しに行ったのタイミングを狙って、楽屋でこの話題を出す。<br><br>「おぜちゃん、ちょっといい？」<br><br>待機時間が割とあって、人がまばらな楽屋なので他に座る所もある中、おぜちゃんの隣に座る。<br><br>「どうぞ～。」<br><br>早速本題にはいらなければ。<br><br>「おぜちゃん、あのね、相談・・」<br><br>本題に入ろうとすると、<br><br>「ねえ理佐、ずっと思ってたんだけど、顔どうしたの。」<br><br>「え？かお？？」<br><br>突然まったく身に覚えのない指摘された。<br><br>「その、ニヤニヤした顔。今日1日フッと気が抜けたときに、ずっとしてたよ。」<br><br>「え、嘘でしょ。」<br><br>「無自覚だったの？もしかして相談事はその顔と関係がある感じ？。」<br><br>いや、うん、おぜちゃんの察しの良さは前からだけど、、うん、地味に心に刺さってるから今さっきの言葉。ほかの人に見られたかと思うと、気が気じゃないよ、ほんとに。<br><br>「あ、あ、うん。そうそう。関係ある。」<br><br>結構、心に刺さったわけだけど、私はこんな話をしにきたわけじゃないから、本題に移ることにした。<br><br>「最近さ、由依からのスキンシップが多いの。どう思う？」<br><br>うん、まぁ、この流れで聞いたら、おぜちゃんがどんな反応をするのかなんてさすがの私でも気がついてたけど、、、<br><br>「はぁ〜」<br><br>この上なく呆れた表情をされた。そしてため息をつき、<br><br>「どんなことかと思えば、、詳しく教えて」<br><br>なんだかんだいって相談にのってくれるおぜちゃん。<br><br>私はあったことを全て話すと、、、<br><br>「私はノロケ話を聞かされただけにしか思えないんですけど。」<br><br>再度、呆れた目で見られる。<br><br>「ちょっと待って、ノロケ話じゃないよ。相談だよ。なんで最近、由依のスキンシップが多いのかについての！」<br><br>私が力説するのを横目に、スタッフさんからの差し入れを食べるおぜちゃん。<br><br>「お願いします。なにか、知ってることはないでしょうか。」<br><br>思わず敬語になってしまうほど、<br><br>「ゆいぽんのことについて理佐が知らないことを私が知るわけないでしょう。」<br><br>顔をあげて、当たり前のことのように言うおぜちゃんに少し嬉しくなるけど、嬉しいことを全面に出すと、相談に乗ってくれなさそうなので、また、お願いをする。<br><br>「じゃあ、なんか、人ってスキンシップが多くなる時ってさ、どんな時なの？｣<br><br>「どんな時？ん〜どうなんだろう。人それぞれだと思うけど、、、」<br><br>「じゃあ、おぜちゃんの場合を教えて。」<br><br>「私は関係ないと思うんだけど、、」<br><br>「参考にするの。大事だから。」<br><br>いつもは聞けないおぜちゃんの話が聞けると思い好奇心から、さりげなく話題を振ってみる。<br><br>「要は人肌が恋しい時とかだと思うから、寂しいとかあとは、単純にその人のことが好きだからじゃない？」<br><br>「なるほど、、おぜちゃんは好きだからくっつく時とか、あるの？」<br><br>「ないかな。」<br><br>即答。一瞬。考える時間ゼロ。<br><br>まぁ、照れ隠しなんだろうけど。<br><br>前の由依もスキンシップが少なかったから、<br><br>「もう、莉菜の気持ちがわかるよ。」<br><br>「ん？」<br><br>あ、心の声が漏れてしまった。<br><br>「いや、何でもない。でも、好きだからっていうのは、ないと思うんだよ。だって、それだったら、付き合って最初の頃のほうが多いと思うからさ。」<br><br>「まぁ、それは私も思った。」<br><br>「でも、寂しい思いをさせているとも思えないんだけどなぁ。」<br><br>寂しい思いか、、お互い忙しい身だから、休みが重なる時も少ないし、夜そういうことをするのも世間一般と比べると少ないかもしれないけど。それ以上に、好きとか、言葉や態度で示してるつもりだったんだけどな。<br><br>「じゃあ、いつから、そんなに多くなったの？」<br><br>時期か。<br><br>「１ヶ月前ぐらいだと思うけど。」<br><br>「じゃあ、１ヶ月前になんかあったの？なにかゆいぽんにしたとか。言ったとか。」<br><br>「ん〜〜〜。何かしたことかぁ〜｣<br><br>１ヶ月前を思い出せ。由依に何をした。<br><br>・・・何にも思い浮かばない。どうしよう。<br><br>「おぜちゃん、、なんにも思い浮かばない。」<br><br>泣きそうになりながら、伝えると、<br><br>「はぁ〜、頑張って思い出して。急にそうなったということは、きっかけがあるばすだから。思い出せたらそれが答えだと思うよ。」<br><br><br><br>________________<br><br>ガチャ<br><br>「ただいま〜」<br><br>全然、思い浮かばないなぁ〜どうしよう<br><br>なんて考えながら、バックを置いたり、時計を外したりしていると、、<br><br>由依がパタパタ近づいてきて、私の服の端をクイクイっとして、、<br><br>上目遣いで<br><br>「キスは？」<br><br>ぐっはぁぁぁぁ、危うく理性という名の最後の砦がどっかにいってしまう所だった。<br><br>でも、そんなことしたら、今、いい匂いを漂わしている由依お手製の晩御飯を食べれなくなるからそんなことはしない。<br><br>「ごめんごめん。考え事してた。」<br><br>由依の美味しそうな、プルっとした唇に自分のを重ねて、長めのキスをする。<br><br>由依が私の鎖骨あたりを手のひらでタップしてきたので、唇を離す。<br><br>「ご飯にする？それともお風呂にする？」<br><br>その続きの言葉を聞きたいが、残念ながら言ってくれる気配もないから、ご飯を頂くことにする。<br><br>美味しい美味しいクリームシチューを頂いて完全に胃袋掴まれたなぁなんて考えながら、お風呂に入って、晩酌開始。<br><br>たわいもない話をして、最近は、二期生の活躍すごいね〜なんてこんな時でも仕事の話とかもしてた。<br><br>由依がビールの缶を2本飲み終わると、おもむろに私の名前を読んだ。<br><br>「りさ」<br><br>舌っ足らずな声で、最近は疲れてたから酔うのがはやいなぁと思っていると。<br><br>由依の顔が目の前まで、迫っていて<br><br>気づくとキスをしていた。<br><br>角度をかえながら何回もしていると、由依から舌を入れてきて、ビールの味がした。<br><br>どれぐらいしたか、分からないけど、<br><br>キスが終わると、由依は私の胸に顔をグリグリして、私の足の上に跨って、抱きついて動かなくなった。<br><br>何この可愛い人は！？！？今すぐにでも押し倒したい！！<br><br>「由依？可愛すぎるんだけど、していいの？？」<br><br>欲望を口にすると、<br><br>「ダメだよ。明日朝早いから。」<br><br>誰だよ。明日朝早くからのお仕事入れた人！？くぅ〜今すぐ抱きたい。けど由依の言う通り我慢をするしかない。<br><br>「じゃあ、今日はぎゅっとして寝よっか。」<br><br>「いつもしてるじゃん。」<br><br>「もっとぎゅっとするの。」<br><br>「痛いよ。」<br><br>「じゃあ、やめる？」<br><br>「ん〜ん」<br><br>そう言って、私の胸に顔を埋めたまま首を振る。<br><br>その日は、いつもより強く抱きしめて寝た。<br><br><br><br>_____________________<br><br><br><br><br>「理佐ちょっとごめん。」<br><br>次の日、マネージャーからある書類を渡された。<br><br>「これ、今度の写真集の関連書類。目通しておいて。」<br><br>「わかりました。」<br><br>そう、私は1ヶ月後に写真集の撮影を控えている。<br><br>１ヶ月・・ん？<br><br>そういえばこの撮影はかなり大規模で大事だからって撮影の日の2ヶ月も前に知らされた。まてよ、2ヶ月ってことは、今から１ヶ月前だよね。<br><br><br><br>ってことは、これか！！！<br><br>ん？でも、出張なんて、今までも何回もあったんだけどなぁ。<br><br><br>というわけで、こんな時のお助けおぜちゃん<br><br><br>前と同じように、楽屋で、、<br><br>由依は気になる振りがあるとかで、ダンスの練習をしている。<br><br><br>「おぜちゃん！分かったかもしれないけど、分からない！」<br><br>「ん？どういう意味？」<br><br>「あのさ、１ヶ月後に写真集の撮影があるんだけど、それを１ヶ月前に由依に言った。けど、今までも撮影で遠出なんて何回もあるからなんで今回に限ってと疑問が。」<br><br>「確かに、そうね。今回の撮影の予定はどんな感じなの？」<br>&nbsp;<br>「今回は、北海道と沖縄で撮影して、別の場所で新木さんとかねるとかと写真撮ったりって感じ。」<br><br>「はぁ〜〜〜〜〜〜｣<br><br>これまでで1番大きなため息かもしれない。<br><br>「なんで、そこまで、分かっててゆいぽんの気持ちが分からないのよ。」<br><br>「え！？逆におぜちゃんには分かるの？」<br><br>「これだから、理佐は。」<br><br>「だって分からないものは分からないし。」<br><br>「はぁ〜。ゆいぽんの苦労が目に浮かぶわ。」<br><br>「なんでー！？なんで、わかるの。」<br><br>「要は、心配なんだよ。」<br><br>「しんぱい？撮影が？」<br><br>「撮影自体は心配してないと思うよ。理佐だから。そうじゃなくて、新木さんとねるとの撮影があるからでしょ、どう考えても。」&nbsp;<br><br>「え？なんで？フツーに一緒に撮影するだけだよ。」<br><br>「あのね。理佐は新木さんに憧れてたんでしょ？それにねるともなんか怪しかったし、、もうすぐ理佐卒業しちゃうんだから余計心配でしょ。｣<br><br>あぁ〜そういうことか。私が他の人に目移りすると思って不安なのか。ねるとなんか別にただのメンバー同士だし。<br><br>はぁー。そんなこと絶対しないのに。&nbsp;<br><br>「そういうことかぁ〜。」<br><br>「理解した？」<br><br>「うん。ありがと。今度なんか奢るよ。」<br><br>「ありがとう。じゃ、頑張るんだよ。」<br><br><br><br><br><br><br><br>今日は由依と2人で同じ時間に帰れる。&nbsp;<br><br>ちょっとの距離なのに由依は相変わらず手を繋いできて、握り返す。<br><br>家に帰っても、キスをして、ご飯を食べて、明日は2人とも休みだから、一緒にお風呂に入って、晩酌をする。<br><br>&nbsp;さてさて、明日は休みだから、こういう日は由依を美味しく頂くんだけど。今日はちょっと違う。由依が不安がっていることを取り除かなければ。<br><br>「ゆい」<br><br>「ん〜」<br><br>少し酔いのまわった由依が返事をする。<br><br>「由依は私の写真集の撮影心配してる？」&nbsp;<br><br>目を見開く由依。こんなとこも可愛いなぁ。なんて考えながら、、<br><br>気づかれてないと思ってたのかな。<br><br>「、、心配はしてるよ。理佐のことは信じてるけどやっぱり不安でね」<br><br>思ったよりはっきりとした声で私の目を見て言う。<br><br>あぁ〜もうなんでこんなに可愛いかなぁ。<br><br>「じゃあ、由依指輪買いに行こっか。撮影中はずっとつけてられるし、いつでも誰といてもつけるれるやつ買いにいこ。」<br><br>こんな私を好きだと心配だと言ってくれる由依を安心させるために。&nbsp;<br><br>「いいの？迷惑じゃない？無理とかしなくていいよ。私が勝手に心配してるだけだから。」<br><br>そんなに恐る恐る言わなくても大丈夫なのに。<br><br>「迷惑なわけないよ。お揃いで買いに行こ。由依の好きなアクセサリーショップでもいいし、ふたりが気に入ったデザインのを探して買おう？」<br><br>だんだん涙目になる由依。<br><br>薄い透明の膜が目を覆う。<br><br>「私は由依とずっと生きていきたいし、生きていくつもりだから、こんなところで言うことじゃないかもしれないけど、私は由依をずっと笑顔にしていきたい。だから、ふたりの指輪を買いに行こう。」<br><br>とうとう我慢出来なくなった、由依の涙はさらさらの頬を通ってソファーに落ちた。<br><br>手を伸ばして、まだ流れている涙を拭うと、泣き顔を見られたくないのか、いつものように私の胸に顔を埋めてくる。<br><br>「りさ、だいすき」<br><br>涙声で、小さいが、私の耳はしっかりと拾った。だから、私もお返しに、由依の耳元で、<br><br>「私も、由依が大好きだよ」<br><br>________________<br><br><br><br><br>由依にプロポーズのようなものをしてから、由依を美味しく頂いた次の日の朝。<br><br>「そういえば、由依は心配するとスキンシップ多くなるの？」<br><br>顔を私の胸に埋めたまま、恥ずかしそうに<br><br>「理佐に飽きられたくなくて、他の人が素直に言えることも恥ずかしくて言えない時があるから、ちょっとずつスキンシップ増やして私が理佐を大好きなこと表現したかった。」<br><br>あーあー！めっちゃかわいいよ！もうどうしたらいいか分からないぐらいにかわいい！！<br><br>昨日もあまりの可愛さに由依が意識を飛ばすまでやってしまったけど。<br><br>すいません。我慢出来ません。<br><br>「ゆい」<br><br>そう言って由依がこっちを向いたのを見計らって、キスをして、昨日の続き。<br><br>今日はもうずっとベッドの上でした。</span><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/acig/entry-12882807082.html</link>
<pubDate>Fri, 17 Jan 2025 15:19:10 +0900</pubDate>
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<title>良く言えば</title>
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<![CDATA[ <p><br><br><br><br><span style="font-size:0.83em;">由依は、本当に素直じゃない。悪く言えば、捻くれている。<br><br>「だめ」と言う事を本当はしてほしいと思っていたり。<br><br>「やだ」と言う事が本当は嫌じゃなかったり。<br><br></span><span style="font-size: 0.83em;"><br></span></p><p><span style="font-size: 0.83em;">発する言葉の対義語を脳内で掴み取って、判断する会話は大変だけど意外に楽しいなんて思ったりしている。</span><span style="font-size: 0.83em;">それにしても、何でそんなに素直じゃないかなぁ。言動や行動を素直に正せば、もっといい感じになる気がする。</span><span style="font-size:0.83em;"><br></span></p><p><span style="font-size:0.83em;"><br></span></p><p><span style="font-size: 0.83em;">私は由依を見ていると、いつも思う。</span><br></p><p><span style="font-size:0.83em;"><br></span></p><p><span style="font-size:0.83em;">逆に私が素直すぎるのかもしれない。抱きしめたい、と思ったら抱きしめるし、好きだなぁ、と思ったらすぐさま｢好き｣と告げる。私は私の気持ちにいつだって正直でいたいから。<br></span><span style="font-size: 0.83em;"><br></span></p><p><span style="font-size: 0.83em;">相手に伝えたい気持ちも同じように湾曲して伝わりそうだから。</span><span style="font-size: 0.83em;">そう考えれば、素直さというのは本当に大切な事だと思う。</span></p><p><span style="font-size: 0.83em;"><br></span></p><p><span style="font-size: 0.83em;">素直に由依と接すれば、いつしか由依の素直さも引き出せるかもしれない。</span><span style="font-size: 0.83em;">自然と由依も素直になるかもしれない。</span><span style="font-size: 0.83em;">なんて私は考え、信じてきた。でも、なかなか上手くいかない。</span><span style="font-size:0.83em;"><br></span></p><p><span style="font-size:0.83em;"><br>由依は未だに素直じゃない行動と言動を繰り返している。悪く言えば、捻くれたまま。今まで考え、信じてきた事って間違ってたのかも。<br><br>撮影中にも関わらず、私の脳内は「由依の素直さをどう引き出すか」についてばっかり考えてしまい仕事に集中できない。<br><br>いっその事、私の素直さを消去して由依と同じように素直じゃない人間になればいいのかも。自信はないけれど、素直じゃない態度を表していれば由依の何かが変わるかも。<br><br>なんて、新たに私は考えた。なんて、新たに私は信じる事にした。<br><br>今日から私は素直じゃない人間になります。自信はない、と思ってたけれど案外簡単なものだった。</span></p><p><span style="font-size:0.83em;"><br></span></p><p><span style="font-size:0.83em;">だって、お手本はすぐ近くにいるんだから。由依の行動と言動を思い出して拾い上げれば、簡単に習得できた。<br><br><br><br>ステップ 1（楽屋にて）<br></span><span style="font-size: 0.83em;"><br></span></p><p><span style="font-size: 0.83em;">｢</span><span style="font-size: 0.83em;">理佐、今日家に行っていい？」</span></p><p><span style="font-size:0.83em;">&nbsp;　<br>椅子に座って帰る支度をしていると、後ろから由依が声を掛けてきた。<br><br>いつもなら「いいよ」の二つ返事をする所。<br>もしくは「来てくれるの？」なんて尻尾を振った犬のように喜ぶ所。<br><br>でも、今現在私は素直じゃない人間だから<br><br>「好きにすれば？」<br><br>そんな言葉があっさりと発せられた。<br><br>由依の反応はどうかな？<br><br><br>ドキドキしたけど、背中から伝わってくる気配は何も感じられない。<br><br><br></span></p><p><span style="font-size:0.83em;">「…何それ。どういう意味？」<br><br>「そのままの意味だけど」<br><br><br></span></p><p><span style="font-size:0.83em;">由依から不信感をひしひしと感じながらも言葉を続ける。<br><br>「ふーん。それじゃ、別にいい。行かない」<br><br>「ふーん」<br><br>さほど気にしていない素振りをしながら、帰る準備は万端の状態になった。<br><br><br>振り返って見た由依は、不機嫌バロメーターが振り切ってるご様子。口をとんがらせ視線はずっと下を見ている。手なんか服の裾を掴んだり離したりを繰り返して子供みたい。<br><br><br><br>ついつい可愛いなぁなんて思ってしまう。でも由依はどう感じているのだろう。どう思っているだろう。<br><br>聞きたいけれど、今はまだ早すぎる。<br><br>抑制しながら<br><br>「じゃ、お疲れ」<br><br>それだけを告げて、楽屋から出て行った。<br><br><br>これでいいのかな。由依を傷つけただけなんじゃないかな。<br><br><br><br>やっぱり、いつでも素直で思うまま行動と言動を繰り返している方がずっと楽だと思う。<br><br><br>由依と同じ行動と言動をしても、気持ちなんか全然分からない。<br><br>自宅に着いて簡単な夕飯を済ませた後、新曲の振り付け動画を頭に叩き込んでいるとインターフォンが鳴り響いた。<br><br><br><br>玄関まで行くと鍵を開けていないのにガチャガチャとドアノブを回す音色が聞こえる。<br><br><br>泥棒？なんて思いながら驚いているとドア越しに声が聞こえた。<br><br>「早く開けて」<br><br>正体は由依だった。<br><br><br><br>ステップ 2（自宅にて）<br><br>素直じゃない人間の素振りをしなくてはいけない。<br><br><br>何だかいじめのようで、ひどく心が重たかった。だって由依を傷つけたい訳ではないから。<br><br><br><br>でも、これはいつも私が受けてきた仕打ちだと気付いたら、由依も気付く所はあるんじゃないかな？これを機に素直になってくれるかも。<br><br><br>そう考えたら、暗雲が漂っていた心中も少し晴れやかになっていく。<br><br><br>もしかして気付いたからこそ、わざわざ来てくれたのかも。<br><br><br>安易な考え方だと我ながら思うけど、それだけで少しの期待が混じった。<br><br><br><br>とりあえず由依を中に入れる。リビングまで行く間に由依はなんて言うんだろうという興味本位で聞いてみた。<br><br><br>「来ないんじゃなかったの？」<br><br><br>「別に。理佐が寂しいかと思って来てあげただけ」<br><br><br>「寂しくないし、来てもらっても構えないよ」<br><br><br><br>今まで通りの演技を続けながらさっきまで座っていたソファに座り、目は合わせないままスマホを手に取る。<br><br><br>「…何かあんの？」<br><br><br>「新曲の練習」<br><br>それだけを告げて、再び動画を見始める。やっぱり由依は気付いていなかった。<br><br><br>安易すぎる考え方だったらしい。期待感はいつしか薄れた後、消え去った。<br><br>そんな私に隣に座った由依は<br><br>「理佐、コーヒー飲みたい」<br><br>と言ってきた。<br><br>いつもなら「ちょっと待ってて」の二つ返事をする所。<br>もしくは「愛情込めて淹れるよ！」なんて尻尾を振った犬のように喜ぶ所。<br><br>でも、今現在私は素直じゃない人間だから<br><br>「自分で淹れて」<br><br>素っ気無くさらりと言った。<br><br><br>視線はスマホの画面から離さない。<br><br><br>由依がソファに座って、足を組んでいるのか頬杖をついているのかすら分からない状況。<br><br><br>楽屋と同じ様な状況だった。<br><br><br>「今日何かあったの？」<br><br><br>「別に何もないよ」<br><br><br>「機嫌悪いじゃん」<br><br><br>「普通だよ」<br><br><br>「…全然普通じゃないし」<br><br><br>「勘違いじゃない？」<br><br>驚く程、素直じゃない言葉が出る。<br>いつだって自分の心には素直だったはずなのに、不思議な感じがしてならない。<br><br>素直じゃない言葉を発するのは、本当に簡単。<br>でも逆に思った事を思った通りに発するのは、どうだろう。<br><br>由依にとって、それはすごく難しい事なのかもしれない。<br>自分の心を曝け出すという素直さは、由依にとって勇気が必要な事なのかもしれない。<br><br>今になって、漸く少しだけ由依の素直じゃない行動や言動の意味が理解できた気がする。<br><br><br>そしてそれは、私にとって嬉しい事だった。<br><br><br>好きな人自身を100％理解する事なんてできないけれど、100％の中の1％でも理解できた気がしたから。<br><br><br>途中で止まっていた動画を見始めると、唐突に腕を引っ張られた。<br><br><br>ぐいっと華奢な由依にしては勢いのある乱雑な引っ張り方で、驚きながら振り向くと<br><br>「言いたい事があるならはっきり言ってよ。」<br><br>至極無愛想な言葉と不機嫌バロメーターが振り切ったままで睨みを利かせていた。<br><br>「…言いたい事なんかないよ」<br><br><br>「それじゃ、その態度は何。中途半端とか曖昧とか何か、何かそういうの大嫌いだし！」<br><br><br><br>「・・・」<br><br><br><br>何も言えず、引っ張られている腕を掴み見つめると、ぶすっとしていた由依が今度はひどく悲しそうな表情を浮かべた。<br><br>その表情に私の胸中は、バクバクする。<br>脳内はパニックに陥る。<br><br>何でそんな顔するの？<br>何で泣きそうになってるの？<br>何でそんな目で私を見るの？<br><br>分からない事だらけのまま、感情を誤魔化すように手を伸ばして由依の髪に触れる。<br><br><br>いつもの感触だった。さらさらした柔らかくて細い髪質。<br><br><br>私の大好きな感触。少しだけ気分が落ち着いてきた。<br><br>「…は、っきり言えばいい」<br><br><br>「な、なにを…？」<br><br><br>「別れたいって、言えばいいじゃん！」<br><br><br>「・・は？」<br><br><br>え、ちょっと待って。由依、発想が飛びすぎてるよ。追いつけないよ。彷徨ってるよ。<br><br>唐突に投げつけられた言葉を受け止める事もできずに驚く私は、疑問符ばかりが浮かぶ。<br><br>「愛想、尽きたんでしょ」<br><br><br>「い、いや…そんな事」<br><br><br>「だったら、回りくどい事しないで別れたいって…言えばいいじゃん」<br><br><br>「あのね、由依」<br><br>私が愛想を尽かす、なんてありえるわけないじゃない。そんな事、微塵も思ってないから。別れたい、なんてもっともっと思ってないから。<br><br>髪に触れていた手を振り払う由依は、鼻を啜りながら目にいっぱいの涙を溜め込んでいる。<br><br>普段、全然素直じゃなくって。悪く言えば、捻くれていて。<br><br></span></p><p><span style="font-size:0.83em;">私の「好き」という言葉に「知ってる」なんて言い放って、自ら「好き」という言葉一つも言ってくれない。<br><br></span></p><p><span style="font-size:0.83em;">私が「キスしていい？」って聞いたら「させてあげてもいいけど」なんて上から目線の言葉を投げつけてくる。<br><br><br>愛情表現が皆無で、愛されているのか分からなくて。由依にとって私という存在は、どういう存在なんだろうなんて思う瞬間もあったりして。<br><br>でも、今この瞬間はっきりと分かった。私は、由依にこんなにも愛されているという事に気付いた。<br><br>頬を伝う涙を乱雑に拭う由依の手を掴んで引き寄せれば、すっぽりと腕の中へ収まる。<br><br><br>小さくて私が力一杯抱きしめれば、割れてしまうんじゃないかというくらい華奢な体。<br><br>程よい力加減で抱きしめる。いつもの行動。<br><br>そして少し離れて由依の頬に手を添え、じっと見つめる。<br><br>「好きだよ」<br><br>いつもの台詞。<br><br><br>素直だとか。素直じゃないとか。<br><br>もうそんなのどうでもよくなっちゃった。<br><br>でもほんの少し由依の気持ちが分かったし、私はちゃんと愛されているんだとこんな事で不謹慎ながら確認できたし、何でもいい。<br><br>結論は、バカバカしいけれど。<br>バカップルみたいな答えだけど。<br><br>私はどんな由依大好き。<br><br>素直じゃない由依も。上から目線の由依も。そのくせ、思い込みで泣き虫に変貌する由依も。<br><br>どんな由依も大好きで大好きで、仕方ない。<br><br>「別れたいなんて思ってないから」<br><br><br>「…う、そ」<br><br><br>「本当だよ。だって由依の事、大好きだもん」<br><br>へらっと笑いながら告げて、目尻から零れ落ちそうな涙を親指で掬う。<br><br>そんな涙すら愛しくて仕方なかった。<br><br>「…それ、じゃ・・何、で」<br><br><br>「素直じゃない由依の気持ちを分かりたくて、あんな事しちゃったの、ごめんね？」<br><br><br>「理佐のバカ」<br><br><br><br>「ごめん」<br><br><br><br>「ホント最悪」<br><br>その言葉とは正反対に私の首筋へ絡みつく両腕。<br>ギュッと抱きついて、鼻を啜っている。<br>伝わってくる体温が異常に熱くて、まるで子供みたいだった。<br><br><br>抱きしめながら「ごめん」と「好きだよ」を繰り返しながら、背中をリズム良く叩く。<br>本当に子供を宥めてるみたいな感覚がした。<br><br>「…理佐」<br><br>「んん？」<br><br>少し離れて見つめると、瞳が赤い。<br>そんなに泣かないで。<br>大事な涙を流さないで。<br>くだらなく、バカな事をした私自身が本当に恨めしい。<br><br>由依は、もう一度軽く鼻を啜ってから<br><br>「……すき…いつも言葉に…できなくて…ごめん…」<br><br>掠れた声で小さく呟いた。弱々しく私の体を抱きしめながら由依の愛情が伝わってくるようなハグ。由依の行動一つでこんなに心が満たされるなんて。<br><br>「私も好き、言葉なんか要らないって思っちゃうくらい由依が大好き」<br><br>一言告げて、そっと唇に触れる。<br><br><br><br>キスをした後、コーヒーを淹れようか。<br><br>愛情を込めすぎた甘い甘いコーヒーを淹れて一緒に飲もう。</span><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br>&nbsp;</p>
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<pubDate>Fri, 17 Jan 2025 15:18:09 +0900</pubDate>
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<item>
<title>衝撃　完</title>
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<![CDATA[ <p><span style="font-size:0.83em;">前回の続きです。<br><br><br><br>「え？」<br><br><br><br>突然の告白に動揺が隠せない。今までの生活でそんな素振りなかったから。頭の中が「？」で埋め尽くされる。<br><br><br><br>うまく言葉が思いつかず、黙り込んでしまう。すると急にひかるの表情が真剣な顔からいつものおちゃらけた笑顔に戻った。<br><br><br><br>「ふふふ、嘘です。」<br><br>「えっ、」<br><br>「本気にしました？」<br><br>「い、いやするでしょ！もお～」<br><br>「ふふ、ごめんなさ～い。」<br><br>「先に寝ますね。」<br><br>「えっ、うん、わかった。おやすみ。」<br><br>「揶揄ちゃってごめんなさい。おやすみなさい。」<br><br><br><br><br><br><br><br><br><br>in会社<br><br><br><br>はあ～、どうしよう。渡邉部長の件もあるし、昨日のひかるも嘘とかなんとか言ってたけど、それも嘘っぽいし。<br><br><br><br>そのことばっかり考えちゃって仕事に集中できない。はあ～。<br><br><br><br>「由依ちゃん、どしたん？そんなため息ついて。」<br><br><br><br>後ろから声をかけられ、振り向くとみいちゃんがいた。<br><br><br><br>「うう、みいちゃ～ん。どうしよ～。」<br><br><br><br>なんて答えになってないことを言いながら私の目線ちょうどにあるみいちゃんの腰にしがみついた。<br><br><br><br>「おぉ、どしたどした。」<br><br><br><br>私の気持ちを落ち着かせるように、頭に手を添えられぽんぽんとされる。もうそろそろお昼休憩だからみいちゃんに相談してみよう。<br><br><br><br>「あのね、相談したいことあるから、きょうｎ「小林さん。ちょっと例の件で話あるから、来て～。」<br><br><br><br>「お、由依ちゃん呼ばれてんで。さっきなんて言おうとしてたん？」<br><br><br><br>渡邉部長じゃん。例の件ってまだ一週間たってないのに。<br><br><br><br>「みいちゃん。今日の夜空いてる？相談したいことあって」<br><br><br><br>「ん、全然いいで。じゃあ仕事終わったら由依ちゃんのとこ来るな～。」<br><br><br><br>「うん。ありがとう。」<br><br><br><br><br><br>in屋上<br><br><br><br>屋上にあるベンチに二人で並んで座る。<br><br><br><br>「あの渡邉部長、例の件って」<br><br><br><br>「小池さんと付き合ってるの？」<br><br><br><br>「え？」<br><br><br><br>「さっき。ベタベタくっついてたじゃん。」<br><br><br><br>なんだか少し拗ねているように聞いてきた。もしかして嫉妬？<br><br><br><br>「いえ、付き合ってませんけど」<br><br><br><br>「じゃあ、今付き合ってる人っている？」<br><br><br><br>そう聞かれたときひかるの顔が思い浮かんだ。いや、別に付き合ってるわけじゃないし。<br><br><br><br>「特には。」<br><br><br><br>「はあ～～～、よかった。」<br><br><br><br>「え、それを聞くために呼び出したんですか？」<br><br><br><br>「うん、それもあるけど。じゃん！見てこれ！」<br><br><br><br>「お弁当ですか？」<br><br><br><br>「そう！由依ちゃんのために作ってきたの！」<br><br><br><br>まさかお弁当を作ってくれるとは。しかも呼び方変わってるし。<br><br><br><br>「食べてみて。」<br><br><br><br>「はいっ、いただきます。」<br><br><br><br>渡邉部長が神妙な面持ちで見つめてくる。一口頬張ってみる。<br><br><br><br>「おいしい、すっごくおいしいでふ。」<br><br><br><br>「あはは、ホント？」<br><br><br><br>「はい！」<br><br><br><br>「いっぱい食べて。」<br><br><br><br>「ちょっと、何してるんですか？」<br><br><br><br>今屋上には私たちの二人しかいないはずなのに、馴染みのある声が聞こえてきた。<br><br><br><br>「ひかる！何でここにいるの？」<br><br><br><br>「お二人が屋上に行くところが見えたんです。」<br><br><br><br>私と話しながらも、ひかるはどんどん渡邉部長に近づいていく。<br><br><br><br>「えっと、あなたは確か、」<br><br><br><br>「デザイン科の森田です。」<br><br><br><br>「あぁ！そうそう由依ちゃんと一緒に住んでる子でしょ。」<br><br><br><br>「そうです。この際だから言いますけど、由依さんから手を引いてもらえませんか？」<br><br><br><br>「手を引く？」<br><br><br><br>「由依さんが嫌がってるの分かんないんですか？」</span><br><br>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p><span style="font-size:0.83em;">「いきなり手作り弁当なんて重いに決まってるじゃないですか。」<br><br><br><br>「え、由依ちゃんそうなの？」<br><br><br><br>「え、あ、いやそういうわけではなくって、」<br><br><br><br>「渡邉部長に由依さんは守れません。」<br><br><br><br>「もしかして、あなた」<br><br><br><br>「はい、私は由依さんのことが好きです。たとえ相手が部長でも絶対に由依さんは渡しません。」<br><br><br><br>「ちょ、ちょっと二人とも！」<br><br><br><br>キーンコーンカーンコーン<br><br><br><br>「13時だ。仕事に戻ろう。」<br><br><br><br>「はい、そうですね。」<br><br><br><br>お昼休憩終了のチャイムと同時に二人は大人しく帰って行った。<br><br><br><br>「も～、なんなの。」<br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br>inみいちゃん宅<br><br><br><br>「てことがあってさ、もおどうしよう。」<br><br><br><br>「それにしてのすごいな！由依ちゃんモテ期ちゃうん？」<br><br><br><br>「そんなの困るよ～」<br><br>「好きとかもわかんないのに」<br><br><br><br>ソファを背もたれに床に座り、話をみいちゃんにひたすら聞いてもらった。<br><br><br><br>「う～ん、じゃあさ。」<br><br><br><br>「え、」<br><br><br><br>突然みいちゃんが私の足に跨ってきた。みいちゃんの両手が私の頬を包む。<br><br><br><br>「由依ちゃんは私とキスできる？」<br><br><br><br>「そ、それは。」<br><br><br><br>「じゃあ、渡邉部長とひかるちゃんはどう？」<br><br><br><br>「そんなの分かんないよ。」<br><br><br><br>みいちゃんに聞かれたとき、とっさに誤魔化してしまった。ホントはひかるの顔が頭に浮かんだんだ。<br><br><br><br><br><br><br><br><br><br>in自宅<br><br><br><br>「ただいま～。」<br><br><br><br>いつものように靴を脱ぎながらひかるに声をかけるが、返事が返ってこない。<br><br><br><br>「ひかる～、居ないの？」<br><br><br><br>部屋に上がりひかるを探すと<br><br><br><br>「あっ、いた。」<br><br><br><br>「ねちゃったか。」<br><br><br><br>どうやらひかるは先に眠ってしまっていたみたい。<br><br><br><br>さっきのみいちゃんの言葉を思い出す。ひかるが寝ているベットの横にしゃがみ込む。<br><br><br><br>あの大きい目に気を取られがちだが、近くで見るとまつ毛長いな。鼻もすごく綺麗だし、唇も、、、<br><br><br><br>吸い寄せられるようにひかるの唇に自分のを重ねてしまった。<br><br><br><br>やらわか。数秒してから顔を離す。<br><br><br><br>「由依さん。」<br><br><br><br>「うわっ、起きてたの。」<br><br><br><br>完全に寝ているものだと思っていた。<br><br><br><br>「物音で起きました。」<br><br>「由依さん、どうしてキスしたんですか？」<br><br><br><br>「みいちゃんに好きとか分かんないって相談したら、その人とキスできる？って聞かれて、、」<br><br><br><br>「由依さんは私とキスできたってことですよね？」<br><br><br><br>「うん。」<br><br><br><br>「じゃあ私のこと好きってことですか？」<br><br><br><br>「、、わかんない、」<br><br><br><br>「、、、、」<br><br><br><br>「でも、もう一回したら、分かるかも、、、」<br><br><br><br>「～～～っ、」<br><br><br><br><br><br>今回は森林になりましたが、いつかりさぽんの作品も書けたらいいなと思っています。</span><br><br><br><br><br><br><br><br>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/acig/entry-12882806863.html</link>
<pubDate>Fri, 17 Jan 2025 15:17:08 +0900</pubDate>
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<title>衝撃</title>
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<![CDATA[ <p><span style="font-size:0.83em;">りさぽんと森林どちらもあります。<br><br>&nbsp;<br><br>&nbsp;<br><br>「ひかる～私の下着どこ～？」<br><br>&nbsp;<br><br>「そこの棚です～」<br><br>&nbsp;<br><br>「え～、どこ～」<br><br>&nbsp;<br><br>「ここですって。」<br><br>&nbsp;<br><br>「あっ、ホントだ。ナイスひかる～」<br><br>&nbsp;<br><br>「はいはい。」<br><br>&nbsp;<br><br>ひかると同居をし始めて早一年。福岡から上京してきたひかるが、私の勤めている会社に入って、一緒に働くうちに仲良くなった。<br><br><br></span></p><p><span style="font-size:0.83em;"><br></span></p><p><span style="font-size:0.83em;">それからしばらくして新しい家を探していたひかると同居を始めることになった。<br><br>&nbsp;<br><br>ひかるは家賃を折半できて、私にとっては家事の負担が減る。互いにメリットがあったからだ。<br><br>&nbsp;<br><br>だいぶ夜が深くなってきた頃。私たちはお酒を片手にソファに凭れ、ピスタチオの殻なんかでタワーを作ったりとゆっくりと談笑していた。<br><br>&nbsp;<br><br>&nbsp;<br><br>由「私、このままでいいのかな。」<br><br>&nbsp;<br><br>ひ「何がですか？」<br><br>&nbsp;<br><br>由「いや、小さい頃ってさ大人になったら、結婚して家庭を持って。そんな大人になるって想像してたんだけど。」<br><br>&nbsp;<br><br>ひ「はい」<br><br>&nbsp;<br><br>由「それがさ、いい大人が夜中にピスタチオタワーなんか作ってんだよ。」<br><br>&nbsp;<br><br>ひ「へへっ、そうですね。由依さんは結婚するつもりないんですか？」<br><br>&nbsp;<br><br>由「う～ん、まあしたいっちゃしたいけど、相手もいないしね。」<br><br>&nbsp;<br><br>ひ「でも由依さん意外と理想高くないですか？」<br><br>&nbsp;<br><br>由「いやいや、そんなことないよ。」<br><br>&nbsp;<br><br>ひ「えっ、じゃあ言ってみてください。」<br><br>&nbsp;<br><br>由「ポジティブで、シンプルな恰好が似合って、そこそこ背が高くて、でも守ってあげたくなるような小動物感もあって、」<br><br>&nbsp;<br><br>ひ「高い、高い笑」<br><br>&nbsp;<br><br>由「で、寝る前に晩酌付き合ってくれて、ベットまで運んでくれる人ー」<br><br>&nbsp;<br><br>凭れるようにひかるに抱き着いた。そのまま倒れるように、わーなんて可愛い声を上げながら床に寝転んだ。<br><br>&nbsp;<br><br>ひ「いや、やっぱそれ高すぎですよ。」<br><br>&nbsp;<br><br>私につぶされながらも、腕を伸ばしぺちぺちと背中を叩いてきた。　　<br><br>&nbsp;<br><br>由「そう言うひかるはどうなの。」<br><br>&nbsp;<br><br>体を持ち上げ姿勢を元に戻しながら聞いてみる。<br><br>&nbsp;<br><br>ひ「ん～、今はそうゆうのはいいかなって感じです。」<br><br>&nbsp;<br><br>由「ふふ、一緒じゃーん。」<br><br>&nbsp;<br><br>ひ「もお、一緒にしないでください～。」<br><br>&nbsp;<br><br>先輩後輩同士とはいえ、気楽な日常。こんな生活がいつまでも続くと思っていた。<br><br>&nbsp;<br><br>&nbsp;<br><br>&nbsp;<br><br>＿＿＿＿＿＿＿＿＿<br><br>&nbsp;<br><br>&nbsp;<br><br>in会社<br><br>&nbsp;<br><br>由「部長。開発費の決裁書、確認してください。」<br><br>&nbsp;<br><br>理「ああ、りょ～か～い。」<br><br>&nbsp;<br><br>お茶らけた返事をしてきたこの人は一応この会社の部長。渡邉理佐さんだ。<br><br>&nbsp;<br><br>理「今署名するから、ちょっと待ってて。」<br><br>&nbsp;<br><br>由「ありがとうございます。」<br><br>&nbsp;<br><br>お辞儀をして頭を上げるとニコッと微笑まれた。あぁ今日もいい人だななんて思っていると<br><br>&nbsp;<br><br>「部長ちょっとよろしいですか？」<br><br>&nbsp;<br><br>理「うん、どうしたの？」<br><br>&nbsp;<br><br>「私今日で最後なので、」<br><br>&nbsp;<br><br>理「あ、、あっ、そうか。」<br><br>&nbsp;<br><br>「ホントに今日までありがとうございました。」<br><br>&nbsp;<br><br>由「あっ、じゃあ写真でも撮ります？私やりますよ。」<br><br>&nbsp;<br><br>理「ん。そうだね。じゃあ私ので撮って。」<br><br>&nbsp;<br><br>由「はいっ」<br><br>&nbsp;<br><br>理「お～い、みんな集まって～。写真！みんなで撮るよ～。」<br><br>&nbsp;<br><br>由「いきますよ～。はい、チーズ。」<br><br>&nbsp;<br><br>パシャ<br><br>&nbsp;<br><br>由「あっ、ブレたかも。確認しちゃいますね。」<br><br>&nbsp;<br><br>「え～笑」<br><br>&nbsp;<br><br>「ちょっとしっかりしてよ～笑」<br><br>&nbsp;<br><br>由「へへっすいませ～ん。」<br><br>&nbsp;<br><br>&nbsp;<br><br>会社の人たちからぶーぶー言われながら写真を確認する。あれ何枚撮ったっけ。とりあえずスクロールする。<br><br>&nbsp;<br><br><br><br>え、なにこれ。<br><br><br><br><br><br>さっき撮った写真を通り過ぎ部長の私用の写真が出てくるのは問題ないんだけど、スクロールをしてもしても出てくるのは私の写真ばっかり。<br><br>&nbsp;<br><br>しかも隠し撮りっぽくて、私がこっそりお昼寝をしてる時の写真とか、ご飯を食べてるのとか、会社の人と話しているところとか。<br><br>&nbsp;<br><br>いくらスクロールしても私の写真しかない。<br><br>&nbsp;<br><br>ひたすらスクロールをしてしまっていると、パシッとスマホを奪われた。<br><br>&nbsp;<br><br>顔を上げると渋い顔をする渡邉部長がいた。しばらくお互い動けないでいると<br><br>&nbsp;<br><br>その様子を不審に思ったのかほかの社員が<br><br>&nbsp;<br><br>「なになに～、どうしたの～」<br><br>&nbsp;<br><br>と口々に聞いてきた。すると部長が<br><br>&nbsp;<br><br>理「あぁ、ごめんごめん。めっちゃブレてて笑」<br><br>理「小林さんも撮ろう。葵ちゃん代わりに撮って～笑」<br><br>&nbsp;<br><br>「も～なんで私なのよ。ハイじゃあ撮るよ」<br><br>&nbsp;<br><br>「由依ちゃ～ん、じゃあこっち来て～」<br><br>&nbsp;<br><br>同期のみいちゃんに呼ばれたため咄嗟にそこに行く。<br><br>&nbsp;<br><br>結局その場のガヤガヤとした空気に流されて真相は分からなかった。<br><br>&nbsp;<br><br>&nbsp;<br><br>&nbsp;<br><br>&nbsp;<br><br>inトイレ<br><br>&nbsp;<br><br>えっ、えっ夢？いや私だよね、、、えっなんで渡邉部長が、、<br><br>&nbsp;<br><br>鏡の前で一人。答えがまとまらず悶えていると<br><br>&nbsp;<br><br>「ねえ。」<br><br>&nbsp;<br><br>由「うわっビックリした。」<br><br>&nbsp;<br><br>突然現れたのにも関わらずさっきのことがまだあるのに、部長は気にせず近寄ってきた。<br><br>&nbsp;<br><br>由「な、なんですか？」<br><br>&nbsp;<br><br>じりじりと近寄ってくるため私もつい後ろへと後ずさりをしてしまう。<br><br>&nbsp;<br><br>とうとう壁にまで追い詰められて、部長の両手が私の耳の横を通り、壁についた。<br><br>&nbsp;<br><br>理「好き。」<br><br>&nbsp;<br><br>由「へ？いやいや部長。えっ？」<br><br>&nbsp;<br><br>理「見られたからもう正直に言うしかないでしょ？遅かれ早かれ、自分の気持ちに嘘をつくのはもう限界だったし。」<br><br>&nbsp;<br><br>由「じょ、冗談ですよね？」<br><br>&nbsp;<br><br>理「私の目を見て、冗談言ってるように見える？」<br><br>&nbsp;<br><br>そう言いながらどんどん顔が近づいてくる。<br><br>&nbsp;<br><br>やばいと思いながらも、うまく逃げることが出来ない。近づいてくるその顔に、もう半ば諦めかけているとコツコツと誰かが入ってきた。それをきっかけに渡邉部長は離れていった。<br><br>&nbsp;<br><br>すると部長は人がいるからか部長はいつもの声音で<br><br>&nbsp;<br><br>理「じゃあこの件についてだけど、それ一週間待つからじっくり考えといて」<br><br>&nbsp;<br><br>&nbsp;<br><br>&nbsp;<br><br>&nbsp;<br><br>in自宅<br><br>&nbsp;<br><br>ひ「えっ渡邉部長が？」<br><br>&nbsp;<br><br>由「びっくりでしょ？」<br><br>&nbsp;<br><br>こんなこと一人で抱えることもできないので、お酒を飲みながらひかるに今日あったことを話した。いつものように横に並んでお酒を飲む。<br><br>&nbsp;<br><br>ひ「で、どうするんですか？」<br><br>&nbsp;<br><br>由「どうするもこうするもさ、明日からどう接すればいいのか分かんないよ。」<br><br>&nbsp;<br><br>ひ「そっか、部長が、由依さんを、、」<br><br>&nbsp;<br><br>由「ねえ～ひかる～。私明日からどうしよう。」<br><br>&nbsp;<br><br>項垂れるようにひかるに寄りかかる。<br><br>&nbsp;<br><br>しばらく沈黙が続くと、ひかるは私の手からお酒を奪い机に置いた。その様子を呆然と見ているとぐいっと肩を掴まれたと思えばそのまま押し倒してきた。<br><br>&nbsp;<br><br>身長差を埋めるようにずいっと頭を寄せて目線を合わせるように、大きな目でこっちを見てくる。<br><br>&nbsp;<br><br>「由依さんのタイプに私が当てはまらないのは知ってます。でも私じゃダメですか？」<br><br>&nbsp;</span></p>
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<pubDate>Fri, 17 Jan 2025 15:14:51 +0900</pubDate>
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