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<title>アキのブログ</title>
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<title>断髪小説③初恋(後巻)</title>
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<![CDATA[ <p>初恋</p><br><br><br><br>第9章・執行<br><br><p>第10章・陥落</p><br><br>最終章<br><br><br><br><br><br><br><br>第9章・執行<br><br><br><br><p>腰までにも達した長い髪をブロッキングをされながら強張りある種蒼ざめたような顔色のK子は小さなハンカチを握りしめていた。</p><div>サッカーキーパーの守備位置から俺の脳裏には、今までの様々なK子の長く綺麗なロングヘア姿のシーンが浮かんで来ていた。</div><div><br></div><div>ex.)先述、No.2だった女の子がショートになってしまって泣いているのを優しく抱いて慰めるK子の胸に巻かれたボリュームたっぷりのロングへア、、</div><div>ex.)教室の一つ前の席で椅子から大きくはみ出して下に掛かるロングヘア、、、</div><div>ex.)体育の跳び箱で走り跳ぶ際に風になびくロングヘア、、、</div><div><br></div><div>そんな永遠に続く栄華を誇るように長期間、腰までも掛かる長く綺麗に誇ったロングヘアを、ついにK子が切られ奪われ失われてしまおうとしているー</div><div>そして儚くもついにその時は訪れた。</div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">「じゃ切り始めるよ。。」と言う理容師さんの一言、K子はハンカチを更に固く握りしめ、</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">「、、、はい、、、。」と答えた。</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);"><br></span></div><div>次の瞬間、肩の上、襟足ギリギリの高いラインで真横・水平にハサミの侵入を許し滑り込み交差されたK子の後髪は、短くバッサリ切り揃えられ、K子の物で無くなった長く大量の髪が光沢ケープをスルスルと地面まで滑り落ちて行った。K子独特の神秘的な雰囲気を醸し出していた要因でもあった、今でいうとシャギーのような不揃い感ばかりしか纏って居なかった彼女が、今まではほんの少しすら存在しえなかったパッツンとした一直線のカットラインを、初めてにも関わらず、とても高く短い位置で切り揃え作られてしまった瞬間だった。見える事など無かった光沢ケープの結び目や肩が露出させられた。</div><div><br></div><div>(あぁ、K子のあの長い髪が、、、、、、、、)</div><div>俺は、堪らない感情で溢れてしまっていた。</div><div><br></div><div>K子は光沢ケープを滑り落ちて行った、自らの物では無くなった長い髪束を背後に感じ、振り返っていたが目視は出来ないようで、引き続き俯いていた。</div><div>ブロッキングを解いて櫛で梳かすと腰までの長い部分で隠れるが、またすぐに同じように真横にハサミを入れられ、光沢ケープ結び目や肩はすぐに露出させられてしまう。何度も同じ工程が繰り返されるうちに、短く切り揃えられ終わってしまったばかりの内側部分の髪量の方がブロッキング部分を上回り、段々とブロッキングを解いても隠れにくくなり、ついには後ろ髪部分のブロッキングは全て短く切り揃えられてしまった。サイドはまだ手付かずだったものの、あれほどまでに長く背中から腰までをもたっぷりと覆っていた後髪は全て肩上ラインですっかり短く切り揃えられ尽くしてしまった。</div><div><br></div><div>(教室の前席で、あれ程までに椅子を覆っていたあの長かった後髪が、、、無い、、、肩にも付かない？！本当にこんなに短く切られてしまった?！)</div><div>この後姿だけでは、これがつい数十分前まで同じ椅子にあの長い髪を垂れ掛けて座っていた同じあのK子だとはにわかに信じられなかった。</div><div><br></div><div>理容師さんのハサミは尚もサイド、横髪部分に襲いかかる。アゴライン辺りでまたもや真横一直線にハサミを滑り込ませられてしまったK子から密着していたハサミが離れると、K子の横顔にはやはりアゴからうなじにかけて繋げられてしまったばかりのぱつんとした一直線のラインが高く短い位置で作られてしまい、首を露出させられてしまっていた。その後も何度もブロッキングを外しては短く切り揃えられ続けた。ようやくハサミの動きが止まった時、先述、彼女独特の神秘性の源だったシャギーのような不揃い感は、片側のサイド全て綺麗スッパリとアゴライン辺りでぱつんと一直線にすっかり短く切り揃えられ、代わりに長さと重さを失ってボリュームを増した短くされてしまったばかりの髪が、まるで定規を引いたように見事な一直線ラインを横から後へ繋げて作り上げられてしまっていた。</div><div><br></div><div>(あのサイドの長い横髪を耳に掛ける仕草がもう見れなくなってしまう、、、)</div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">後姿と違い、顔に髪が掛かる横顔が少し覗くサイドは、顔正面程ではないものの、イメージ形成の影響力が大きい。胸下からヘソまであれだけ長く掛かっていた横髪は顎下から全て無くなり、代わりにぱつんと一直線のラインを作られてしまったK子の横顔は既にやはり別人にされていっているようで、大変身させられてしまっていっているK子を改めて実感させられた。</span><br></div><div><br></div><div>理容師のおばさんのハサミは尚も残る逆サイドに勢い増して襲い掛かった。転がったサッカーボールを取りに行く際に間近で見ると、逆サイドだけはは依然として今までと変わらぬロングヘアのK子の姿がまだ辛うじて残されていたが、理容師のおばさんのハサミはリズミカルに再始動し、またもやその面影をも全て奪い去ろうとし始めていた。そのリズミカルな動きが再び止まった。残片サイドも全て短く切り揃えられ尽くしてしまったのだ。<br></div><div><br>あれほどまでに長く背中から腰までをも優雅に覆い尽くしていた綺麗な髪は、今も頭頂部からうなじ部分までは変わらず下りてきてはいたが、そこでいきなり断崖絶壁のように真横水平に断ち切られ、光沢ケープの結び目が全露出し、その上には、すっかり剥き出しにされてしまったばかりの彼女の首と、そこに肩上一直線に短く切り揃えられて無残にもコケシのようにされてしまった頭がチョコンと頼りなさげに乗っかっていた。<br><br></div><div>地面には大量の長い髪が横たわり、もはや彼女の物で無くなって尚、未だ輝く艶を放っていた。</div><div>肩下まで髪があるのと肩上までしか髪がないのとでは、人の印象というのは大きく異なる。未だ長い前髪がそのまま残されている為、正面や横顔から見えるのは、いつものK子のままのようだったが、顔が見えなくなる後姿から見ると、既に別人にされてしまっているかのように見えた。</div><div><br>おばさんの腕は確かに良かったのだろう、だがそれはあくまで「理容師」として単に真っ直ぐに切り揃える技を指してのもので、K子を可愛くする「美容師」としての力量では必ずしもない。長さをバッサリ短く切られてしまうのみならず、サラサラの不揃いだったシャギー部分を全て寸分の狂いもなくスッパリ真っ直ぐに切り揃えられてしまう事は、その醸し出して来た独特の大人っぽさや神秘的だった雰囲気をも全てK子から奪い去られてしまう事になる。断髪前後ビフォアフターを別人のようにされてしまうギャップと伴う恥ずかしさを最大化されてしまう屈辱以外何物でもなかった。</div><div><br></div><div><br></div><div>(、、、も、もぅ駄目だ、、これ以上は、、、。)</div><div>あんなに綺麗で長かったK子のロングヘアが、、今目の前でこんなにバッサリ短くしかも真っ直ぐ切り揃えられてしまったなんて、、信じられない、。</div><div>残るあの長い前髪までをもバッサリ切られて短くされてしまったら、K子はどんな姿にされてしまうんだ？もはや本当にK子では無い別人にされてしまう、、、)</div><div>俺は崩壊寸前の自制心を首の皮一枚必死で堪えていた。<br><br>目に悪いかも知れない長い前髪を切るか切らないだけの話だったはずが、いつの間にか話をロングヘア全体にまで大きくされ、入学式以前からずっと維持して来たロングヘア自体を本当に切られてしまったK子。しかし、悪夢の断髪はここでは終わらない。メインとも言えた長い前髪が残っていた。<br><br>顔正面から見ると、未だ手付かずの長い前髪部分がかなり厚くボリュームを多く残されており、既に短く切り揃えられて終わってしまったサイドやバックとの比較からか、前髪が今や最も長い部分・最後の砦となって強調され、若干乾き始めたお陰もあってかサラサラとボリュームたっぷりに胸下〜ヘソ辺りまで長く綺麗に流れ、以前と変わらぬ彼女のシルエットと印象を残していた。<br><br><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">K子の断髪時間は、既にそこまでの時点で早くも先の男の子達の平均を3倍以上遥かに大きくオーバーし1時間を突破しようとしていた。無論、切って行っている長さ、量は3倍どころでは到底済んでいない為当然とも言えたが、先述の理容師のおばさんのモチベーションの高さがヒシヒシと伝わって来ていた。</span><br><br>その頃、自分と一緒にサッカーしていた男の子達は、よそ見ばかりして全くヤル気ない俺に流石に呆れたのか、サッカーを終了して引き上げてきた。そして、そのサイドとバックをバッサリと断髪されてしまったばかりのK子の後姿と地面に落ちた大量の髪の束を一目見るなり、<br><br>「うわ～！スゲー切ってるー！」<br><br>「お～すげー真っ直ぐんなってる！真っ直ぐー！」<br><br>などと騒ぎ立てた。<br><br>そして、アイス休憩を取りながらドッカリ座って、K子の断髪を間近で見始めた。<br><br>K子はそんな男子達の反応に、恥ずかしそうにしながらも、今や自分の後や横髪姿がどう切られてしまったか見えずに分からない為、不安で堪らない様子だった。しかも、よりによって恐らくトレードマークのあの長い前髪を断髪されてしまう時間帯に、その断髪過程を、よりによって間近で同級生の男子達に見られ続けてしまう事になりそうな雲行きに、更に不安を募らせている様子で、</div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">K子:「、、イヤ、、、見ないで、、、、、、。」</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">と、か細い声で懇願して来た。</span></div><div>しかし断髪開始前にはK子を守ってくれた、最後の砦とも言えた理容師のおばさんは、<br>理容師さん:「あんたらサッカー疲れちゃったのかい！」<br>と一言だけは言ってくれたものの、珍しく俺達が大人しくしていたので、仕方ないといった様子でそれ以上は追い払おうとはしてくれなかった。普段学校ではあれだけ多くの女子達が周りを取り巻いてくれている彼女だったが、残念ながらそこには守ってくれる女子は誰一人おらず、たった一人で衆目に晒され続け、しかも現在の自分がどんな姿にされて行ってしまっているかを自らでは確認出来ない残酷な環境下に晒されてしまっていた。<br><br></div><div><br></div><div><br></div><div><br><br><br>第10章・陥落<br><br><br>ケープの緩みが気になって来ていたのか、もしくはおばさん自らの気合を入れ直す為だったのか、あの光沢ケープの結び目部分のマジックテープと紐を一度外してしっかりとキツく留め直そうとしたが、その際「ん～？」と何かに気付いて確かめるようにケープの裏地にまで手を伸ばして弄った。<br><br>「うわっ！スゴイ汗かいてるよー！このケープ分厚いのもあるけど、緊張してるからだね、大丈夫？」<br><br>と言っていた。<br><br>今までのK子では有り得なかったような醜態に、極度の緊張が表れていたようだが、更にそれを暴露されてしまい「大丈夫です。」と答えつつも恥ずかしそうに顔を赤らめて俯いていたK子だった。理容師のおばさんはタオルで裏側を拭いてあげ、再びその光沢ケープを巻き直した。そして、ついに最後に残った前髪のブロッキングを全て解き、丁寧にブラッシングし始めた。この断髪最大のクライマックスへの合図とでも言わんばかりに、おばさんはブロッキングを全て解いた前髪部分に霧吹きで水を吹きかけ直し始めた。かなり多めに厚く残してあるようで今まで横や後ろに流されていた部分も加えられていた為か、しきりに櫛で丁寧に何度も真っ直ぐ梳かし降ろされた彼女の前髪部分として残された部分は胸下〜ヘソ辺りまで達しボリュームタップリに彼女の顔を全て覆い尽くし視界を塞ぎ切った。<br><br>理容師のおばさんは切るラインを見定めているのか、開始前に仮想定規のように見立てた櫛を再び使い、櫛の裏面を水平にして目の上から眉ラインあたりを慎重に何度か上下させていた。K子は、長い前髪に視界を塞がれていたものの、その微かな隙間から、おばさんの櫛の上下動を悲壮な表情で神経質そうに目で追っていた。夕方に差し掛かった頃で、辺りは静寂に包まれ始めていた。暫くしてカットラインを見定め終わったらしいおばさんは、K子の心情も酌量していたのだろう、普段は元気な声のおばさんもその周囲の静寂に同調するように静かに呟くように言った。</div><div><br>「なかなかここまで前髪長い子も居ないよ。よくここまで綺麗に伸ばしたね・・。5年間だっけ？<br></div><div>でも、これじゃあ黒板見えなかったでしょう」<br><br>K子は小さな声で、「•••いえ・・・。」とだけしか答えていなかったが、俺は理容師のおばさんに向かって、<br><br>(→あんたがそうなるように梳かしただけだろ！いつもはキレイにブローしてサイドに流してたから大丈夫だったんだって！)<br><br>とツッコミを入れたい所だったが、ドキドキし過ぎていてそれどころじゃなかった。</div><div><br></div><div>理容師のおばさんはハッキリK子に聞こえるように言った。<br>「じゃ、切るよっ。黒板しっかり見えるようにしてあげるから。」<br><br>「・・・・・・・・・・・・・。」<br><br>既にあの<span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">ロングヘアをすっかり奪われ</span><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">切ってしまい、</span>うなじが露出してしまう程までに短く切り揃えられてしまった姿で、ついに前髪を切られてしまう不安の極地に押し潰されそうに蚊の鳴くような小さな声で答えるK子は文字通り、もはや虫の息だった。</div><div style="text-align:center"><div class="limited034_image05" contenteditable="false" data-entrydesign-count-input="part" data-entrydesign-part="limited034_image05" data-entrydesign-type="image" data-entrydesign-ver="1.36.0" style="background:url(https://stat100.ameba.jp/ameblo/entry_designs/v1/sources/assets/limited034_frame02_bg.png) center center no-repeat;background-size:100% 100%;box-sizing:border-box;display:inline-block;margin:8px 0;max-width:100%;padding:17px;width:375px" data-tmp-entrydesign-uuid="eecc9255-274f-4f93-a6c7-4c2cc5e534d6"><div style="font-size:0;background-color:transparent;box-shadow:0px 1px 7px rgba(184, 0, 55, 0.16)"><span contenteditable="false" data-entrydesign-frame="placeholder" style="position:relative;display:inline-block;height:0;font-size:0;overflow:hidden;padding-bottom:75.0733137829912%;max-width:100%;width:341px"><img alt="" contenteditable="false" data-amb-layout="intrinsic" data-entrydesign-frame-img="true" height="256" src="https://stat100.ameba.jp/ameblo/entry_designs/v1/sources/assets/img_noimage.jpg" style="position:absolute;top:0;left:0;height:100%;max-width:100%;-o-object-fit:cover;object-fit:cover;border:4px solid #fff;box-sizing:border-box;background:#d4d4d4" width="341" data-tmp-entrydesign-uuid="b0928c02-12c3-440e-b21b-a181074db792"></span></div></div></div><p>なす術もなく観念したようにギュッと目を瞑ったK子は、ただ黙って頷くだけで言葉は発せず、口元と身体も一緒に硬直させたように見えた。俺の得体の知れない胸の鼓動も、もはや最高潮を迎えていた。<br></p><div>(、、K子の、あの、あの長い前髪が、、、ついに切られてしまう、、、)<br>脳裏に様々な今までの長い前髪を纏ったK子のシーンが浮かび上がって来た。</div><div>ex.)ピアノ演奏の際に綺麗な長い前髪が枝垂れ落ちるK子</div><div>ex.)学芸会のコンテスト出場時の大人っぽい衣装と合わせた長い前髪を流したヘアスタイル</div><div>ex.)ふとした瞬間に前髪をかきあげる仕草</div><div>etc、、、</div><div>、</div><div>、</div><div>次の瞬間、ゆっくりとコメカミ近くの眉付近からハサミが真横に滑り混んでいき、追って2本の刃が少しずつ交差していった。ついにK子の長い前髪がハサミの侵入を許し、コメカミ付近の端の眉ラインから最初の一房が断たれて光沢ケープに陥落させられていった瞬間は、スローモーションのように今でも鮮明に覚えている。それは、先程まで理容師さんが櫛を目の上で上下させて切るラインを想定していた中でも、最も上のラインでは無かったかと思える程、眉ラインギリギリの高く短いラインでバッサリと切り落とされて行った。常にK子が共にして来た、40～50cm近くはあったであろう、とても前髪とは思えない長さと大量の髪束が光沢ケープをスルスルと滑り落ちて行った。</div><div><br></div><div>(、、、、、、、、、、、、、、、、、、、‼︎)</div><div>俺はもはや放心状態だった。そして自分の中の言い表せない何かが弾けたような気がした。</div><div><br></div><div>少しずつ少しずつ、そして何度もハサミの刃を交差させる度に長い前髪の束が大量に彼女の目の前を降り注ぎ、光沢ケープへスルスルと滑り落ちていく。そのあたりからか理容師おばさんがK子の頭に密着するような体勢に入った為、彼女の顔全部が見える事は無くなったものの、体勢の角度を変え続けるおばさんその隙間からサブリミナルのようにチラチラ覗くのは、瞼上・眉ラインで一直線に定規を引かれたように少しずつ前髪を断ち切られ続け目をギュッと瞑ったままで青白い彼女の横顔だった。それは<span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">優雅なカーテンのように顔</span>を覆っていた長い前髪を根こそぎ奪われ、裸のK子自身が全て露出されて行ってしまう過程であり、隙間からは勿論今まで見た事もない初めての彼女の横顔が現れ始めていた。理容師のおばさんのハサミは尚もゆっくりゆっくりと、丁寧にその大量の長い前髪を断ち切り続けていき、トレードマークだった自慢の長い前髪がどんどん光沢ケープに滑り落ちて行った。</div><div><br>こうした眉ラインという短さや、まるで定規を引いたようにスッパリと切り揃えられて行っているその一直線さは、一般的に誰でも女の子の前髪カット直後にはつきものであり、数日間は自分自身の中で馴染まず周りも見慣れない為、恥ずかしいものだと思う。誰でも前髪カット直後からは、一時的に周りの子の中で「一番短い子」・又は「一番揃っている子」になってしまいがちで、その恥ずかしい[風物詩]は皆で定期的交互にローテーションされて行っているとも言えた。<br>しかし、あの長い前髪を今までずっと誇って来たK子だけには全く無縁で程遠く・あり得もしなかった事で、小学校入学以来6年目•最終学年まで守って来たその牙城を崩され、ついに初めての事態に追い込まれてしまおうとしていた。<br><br>K子の横顔を覆っていた長い前髪が断ち切られ続け、引き続きおばさんの背中からチラチラと覗くK子の顔の端から目尻辺りが露出されようとしていた頃から俺は一つの違和感のようなものに気付き始めていた。それは他の同級生の女の子達のみならず、先程その同じおばさんにカットしてもらった低学年の女の子とすらも違う、K子の前髪がされてしまいつつある何かを。<br><br>それは、目尻やコメカミを遥かに超えて奥まで、そして丸くラウンドではなく一直線更にはU字にまで見えてしまう程作られた幅広さと、本来明らかに後髪だった部分まで持って来て切り揃えられて行ってしまっている、その分厚さだった。先程の低学年の女の子は元々ショートで前髪も作ってあった為、おばさんは短くはしたものの、厚さと幅は決まっていて変える事がなかった。ところがK子の場合、あのワンレングスに近い長さを誇り無論前髪など作られていなかった為、厚さと幅まで全てゼロから、<span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">理容師のおばさんの手で思うがままに</span>デザインされてしまう事態となった。理容師のおばさんの職人魂には、その綺麗な長さを誇って来たK子の前髪へのリスペクトや容赦などの情状酌量は全く入り込む余地がなく、寧ろ逆に仇となってしまった事態だった。もし万一、仮にお母さんなどの手によるカットで事前にある程度前髪が作られ、狭い幅と薄さが決められていて、その手直しでおばさんにやってもらいに来た、といった状況であれば、短さは同じように短くされてしまったかも知れないが、ここまで幅広く分厚くされてしまっていく「悲劇」はまず起こらなかっただろう。言わずもがな、幅広く分厚くされてしまう分だけ、ビフォーアフターのギャップ、大変身衝撃度は増してしまう事になる。その「悲劇」の予兆はハサミが切り進んでいき、目や瞼が露出される程に確信へと変わって行った。目を瞑らされており、(仮に鏡もないこの青空理容室で目を開けていてもK子にはそんな悲劇の全貌は知る術もなかっただろうが)、ハサミの触れる感触と、「シャキシャキッ」という交差音が、<span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">目より上のみならずどうやら更に高い位置の眉付近で感じられる事と、</span>「バサっ、バサッ。」とあまりにも長く大量に目前を降り注いでスルスルと光沢ケープを滑り落ちて行くその髪束に、その悪い予感を感じてなのか、耐えるようにただひたすら目を瞑り続けていた。やはりK子の緊張と不安も極限に達していたのだろう顔にも若干の汗が滲み出て来ていたらしく、切られた前髪が鼻周辺に張り付くシーンがあり、おばさんは何回かタオルで取り払ってあげながら、尚も櫛で何回も丁寧に前髪を梳かしながら更に短く真っ直ぐ一直線に切り揃え進んで行った。どれだけ大量の長い前髪が断ち切られ続け、光沢ケープを滑り落ち続けて行っただろうか。長い前髪部分も逆サイドのコメカミ奥深くの最後の一束を残すのみとなっていた。そしてハサミはその最後の一束をも断ち切り尽くし、逆サイドまで到達してようやくその動きを止めた。<span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">恐らく少なくとも20分以上にも及んだであろう、長時間の前髪へのハサミの密着状態からようやく理容師のおばさんのハサミが離れていった。直ぐに今度は</span><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">櫛で何度も何度も前髪を丁寧に丁寧に梳かされ続けて行った。そんな櫛梳かしも終わると、全体バランス確認の為に一度遠目からか見る為だろう、前髪を切り始めてからずっと密着していた理容師のおばさん自体も、久々にその手を止めようやくK子から離れた。</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">それはすなわち、あれほどまでの長きに渡りトレードマークだった自慢の長い前髪が、K子から遂に全て奪われ尽くしてしまった瞬間を意味していた。<br></span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);"><br></span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">前髪断髪開始から20分程ずっと理容師のおばさんに覆い隠されていたその影から、初めてその全貌を現してゆく瞬間のK子の姿は、ゆっくりとまるでスローモーションのようだった。</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">あれ程までに</span>長く覆っていた髪が一本たりとも掛からなく無くなって面積と伴う反射が倍増した光沢ケープに照らし出されていたのは、まるでお椀かヘルメットを被せられてしまった、無残にもキノコのようなおかっぱにされてしまった、信じられない程別人のような頭に変わり果ててしまった、無様なK子の姿だった、、、</div><div><br></div><div>あれ程までに誇った長さをすっかり全て失い、代わりに一気に短く眉ギリギリのラインでしかも分厚く幅広くパッツンと一直線に切り揃えられ尽くされてしまった前髪は、今まで一本の髪にすらも覆われる事の無かった額をビッシリと覆い尽くしていた。また先程までは最後の砦となった長い前髪が目立っていて、カモフラージュされて目立たなかったが、その最後の砦の長い前髪までもがもはや全て短く切り揃えられ尽くしてしまった今、既に短く一直線に切り揃えられ済んでいたアゴラインのサイドと、そこから繋がれた襟足ギリギリラインで同じく短く一直線に切り揃えられ尽くされてしまっていたバックを覆い隠せる物はもはや何一つ残されておらず、残酷な現実をクローズアップされてしまった。</div><div><div>ハサミが交差しながら水平に横一直線に通過して行った後、あれだけ視界を遮り顔全面を覆っていた長い前髪が垂れ掛かっていた感触が、スッパリ眉下から一気に全て無くなってしまった感触で、K子も長かった前髪がすっかり全て短く切られ済んでしまった事だけは薄々感付いていたとは思うが、不安や羞恥心、現実直視への恐怖からか、引き続き目を硬く瞑ったままだった。<br><br>理容師のおばさんは、櫛で丁寧に梳かしながら、既に短く切り揃え終わり、長い箇所など微塵も残さず短く切り揃え尽くしたばかりの前髪ラインを尚も更に丁寧に切り揃え続けていく。既にまるで定規を引いたようにスッパリ横一直線に揃えられ切っていたが、尚もミリ単位での慎重な切り揃えが何度も何度も執拗に繰り返されて行った。先生と違い、理容師のおばさんにはフェチ心は全く無かったと思うが、その理容師としての職人魂が0.1ミリのズレも許さなかったのだと思う。K子にしてみれば、一時も早くこの恥ずかしい光沢ケープを外して解放して貰い、すぐ家に帰って、自分がどれだけ短く、どんな髪型・前髪にされてしまったのか確認したかったと思う。しかし、あれだけの長さの前髪やロングヘアをバッサリ短く切られ尽くしてもはやこれ以上切る長さなど無くなって尚も、未だこの恥ずかしい光沢ケープに全身をスッポリと拘束され続け、まるでトドメを刺されるかの如く断髪ラインをあまりにも執拗に何度も何度もクッキリと切り揃えられ続けていているK子の様子は、断髪前後のギャップを最大化されてしまっているだけでなく、あの華麗なワンレンロングだった栄光などまるで記憶から抹消され、今後もう元には戻れない様にまるで髪型形状記憶されてしまっているかのように思える程に屈辱的な姿で、今後再び伸ばす気力や意志すらもK子から奪い去ってしまう最終過程のようにすら思えてならなかった。断髪時間は、ついに1時間30分を超え、歴代<span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">「青空理容室亅最長時間記録をはるかに更新し続けていた。</span><br><br>その頃、先述の隣のおばさんがPTAから帰って来た。そのK子の断髪されている姿を見るやいなや、目を丸くして一瞬絶句した後、自転車を停めて急いでウチの庭に上がって来た。<br><br><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">「え</span>"ーーーホントにK子ちゃん！？信じられないこんなにバッサリ短く⁈別人みたい〜〜⁈」と言いながら、以前から親しい理容師のおばさんに、こともあろうに触って良いか許可を求めて<span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">「まだ完成前だけど亅と</span>了承されると、K子のまだ短く切り揃えられ続けている最中の前髪に触れながら、</div><div><br></div><div>「あんなに前髪長かったのに一気にこんなに凄いバッサリ短くスッパリ短く切り揃えて貰っちゃったんだーー後ろもバッサリ！こんなにスゴイー！！」</div><div>と驚愕していたが、何やら満足そうにニヤリと笑顔を浮かべながら言った。</div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">「何だかホント小学校入学式の時のK子ちゃんに戻ったみたい。亅</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">1年生から前髪を伸ばし始める前のK子のイメージが思い出されたようだが、前髪を作っていた当時でも、全体自体はロングだった為、</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">「でも当時でも全体はロングだったから、一年生どころか幼稚園生か。そんなに短いおかっぱまでは初めてね〜。亅</span></div><div>K子は”おかっぱ”というフレーズに絶望的衝撃を受けた不安な様子で<span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">「私まだ見れてないんです、、。亅と、引き続き目</span>を瞑ったままだった。</div><div><br></div><div><br>チリも積もれば山。何度も何度も執拗に繰り返し切り揃えられ続けていくうちに、少しずつジワジワと前髪のラインも上げられて行ってしまっていたのは気のせいではなかった。両端など眉尻の一部分のみではあるものの、事もあろうに、眉がチラチラと見え隠れし始めた。</div><div>(K子の、眉尻が出されてしまう、、眉上にされてしまう、、、)</div><div>俺は、あのK子には有り得ない姿を見た動揺を通り越し、見てはいけない物を見てしまったかのような錯覚に陥った。羽が抜け落ち禿げてしまった鳥を見てしまった時の、痛々しい気持ちにでも近かったかも知れない。先程までのK子の面影は何処にも残されず、もはや完全な別人だった。<br><br>先に、僅かな長さの違いであっても、肩下か肩上かで大きな印象の違いが生まれると述べた。前髪は顔に近い分間違いなく最も大きく印象を左右し、長さラインにより大分すると5段階でセグメントされるという話を聞く。その分岐点を経ると、長さ自体は僅かに短くしただけでも、印象は激変してしまう。<br><br>①肩より下(ワンレン)<br><br>②アゴ～リップライン<br><br>③目より下<br><br>④目の上<br><br>⑤眉上<br><br>K子の場合、<br><br>上記①だったトレードマークを②までで留まる希望が聞き入れられずに、一気に④でバッサリと切り落とされ、最後は⑤にまで差し掛かろうかという所まで切り揃えられ尽くしてしまった。最長から最短まで4段階も一気に経た大変身をさせられてしまったのだから、まるで別人のようになって行ってしまっているのは当然だった。</div><div>今までK子の顔はキレイな細い縦長シルエットイメージだった。しかし、それは顔側面サイドを長く覆っていた長い前髪のカーテンがあってこそだった。長い前髪のカーテンを一気に全て失って、コメカミ奥深くまで顔側面サイド全て露出されてしまったのみならず、逆に反面、今までキレイに何も掛かる事の無かった額は、分厚く短く一直線に切り揃えられた前髪でビッシリと覆われ尽くしてしまった為の逆転現象で、顔全体が今までとは全く180度真逆の横長のシルエットにされてしまい、むしろ丸くぽっちゃりと見えるようにすら変わり果ててしまっていた。<br><br>理容師おばさんは前髪を完成させたらしい後、先程完成させたと思われたもう一つの横一直線ラインである、アゴラインからバックに繋げられた横から後髪にかけてのラインも再度切り揃えに入った。前髪と同じく、おばさんは櫛で何度も梳かしながら、執拗に何度も何度も切り揃え続けて行った。その結果、アゴだったラインが上げられリップラインやや上にまで切り揃えられてしまったた為、ほんの僅かだがサイドから耳たぶを露出されてしまう事になってしまった。そこから一直線に後髪のうなじ生え際より数センチ上まで繋げられた。それはすなわち、後髪うなじ部分数センチだけではあったが、刈り上げ処理されてしまう事を意味していた。前髪断髪時から一度も目を開ける事なく引き続き目を瞑ったままのK子だったが、危機的異変を感じ取ったのだろう、頭を前にぐいっと押さえ付けられていく際、薄目を開けておばさんの手元を見た。そこでK子が見たものは、おばさんの手に握られていた、K子の前順番だったスポーツ刈り男の子含む数人にも使われていた漆黒に光るバリカンだった！待ち時間に直前順番だったスポーツ刈りの男の子に使われている工程を眺めていた時には、まるで別の惑星の事のように他人事に見えていたであろうそのバリカンが、<span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">つい先程まであのロングヘアが靡いていた自身のそのうなじにまさか</span>入れられてしまう事態になろうとはK子自身想像だに出来なかっただろう。信じられない驚愕の面持ちで迫り来るその漆黒に光る物体を凝視し、あの(ブィーン)というモーター音に怯えたように顔をしかめ、再び硬く目を閉じたK子だった。後頭部をぐいっと前に押さえつけられ、うなじに滑り込まされたバリカンで何度も何度も上下動往復させられようやくバリカンの音は鳴り止んだ。しかし尚も<span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">理容師のおばさんの櫛とハサミでうなじを執拗に何度も何度も刈り上げ処理され続けた。</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">そのハサミの交差音がようやく終わりおばさんの手の密着が離れた。その跡から目に飛び込んで来たのは、つい先程まで腰までをも長く覆っていたあの綺麗なロングヘアが優雅に生えていた同じ箇所とは全く信じられない、無残なまでにキレイサッパリ刈り上げられ尽くされてしまったK子のうなじだった。</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">「綺麗な長い髪だね。」長い間皆から褒め称えられて来た後ろ姿の襟足からうなじにかけて生えていた長い髪の生え際根元だった部分は、短く刈られ過ぎて、[長い髪の毛の根元]から[髪の無くなった単なる毛穴]に降格させられて皮膚に埋もれてしまってもはやその存在を消され、その長い栄光の歴史に終止符を打たれてしまっていたーーー</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">おばさんの理容師としての技術の結晶•本領発揮と言える一糸乱れぬ完璧な刈り上げグラデーションが襟足からうなじにかけて数センチの幅に渡って作り上げられ尽くしていた。</span></div><div>今までのK子は、①前髪②サイド③後と、全箇所において無論一番の長さを誇り続けて来た女の子だった。他の女の子より短い髪の毛など何処にも存在していなかった。増してや言わずもがな男の子と同じ土俵で比較などするべくも無かった。</div><div>しかし、これ程までに大断髪されてしまった今、</div><div>①前髪両端の眉尻一部露出箇所</div><div>②サイド耳たぶ露出箇所</div><div>はもはや女子の中で最短部類にまで短くされてしまった証としてまるで烙印を押されてしまったかのように額と耳に断崖絶壁一直線断髪ラインを携えられてしまっていた。</div><div>そして、</div><div>③うなじ刈り上げ</div><div>に限っては、襟足から数センチだけの狭い範囲限定だけだが、K子の前順番だったスポーツ刈りの男の子とすら同短で、男子を混じえた中ですら最短部類にされてしまった証の刻印のようにうなじを青白く透かせて残酷に刻み込まれてしまっていた。</div><div>事実、自分は男の子の中では割と長めで無論刈り上げてまではいなかった為、後ろだけ見ると先程散髪完了済の男の子の自分よりもはやK子の方が短くなってしまっていた。</div><div>(あのK子の長かった後髪が、自分なんかより短い刈り上げうなじにされてしまった。。。。。⁈⁈)にわかには現実と信じられない驚愕の光景が目の前には繰り広げられていた。</div><div><br></div><div>そこまで徹底的にやり切って理容師のおばさんは<span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">自己の</span>職人としての仕事にようやく納得出来たのだろう、長時間握りっぱなしだったハサミと櫛をようやく置いた。代わりにすぐに剃刃とシェービングクリームを持ち出して来て、うなじ・襟足部分と眉周り、もみあげ部分を剃り始めた。K子にとってはまたもや初めての経験だったのだろう、うなじ剃りの際には慣れない雰囲気で頭をぐいっと前に押さえ付けられていた。ポニーテールのようにアップにしていた時には後れ毛すらも様になっていたが、もはや結ぶ長さなど何処にも残さず短く切られてしまった今、そんな後れ毛も邪魔になってしまうとばかりに全てキレイサッパリ剃られてしまった。また、眉や瞼周りにもクリームを付けてクッキリ眉ラインに入念に剃られてしまった。これが意外にもスパイスのように、断髪されてしまった前髪の衝撃を最大化させる事になるのだった。シェービングが終わり一時的にピン留めしていた前髪を再び降ろし櫛で梳かし揃えると、その真っ直ぐ一直線に切り揃えられた黒く分厚い前髪ラインの下に、ツルツルに剃られたばかりの瞼の真っ新な白い肌とのコントラストがより一層、短く切り揃えられてしまった前髪の一直線さと分厚さの断崖絶壁感を鮮明にしていた。蒸しタオルで、剃ったばかりの襟足やモミアゲ、顔周りのクリームをキレイに拭った理容師のおばさんは、今度は櫛で入念に髪全体を梳かし始めた。しかしつい2時間程前の断髪開始前ブラッシング時には腰までの長い距離往復していた櫛は、後頭部までしか必要無くなった超短距離往復にその役目を変え繰り返し何度も何度も往復し、断髪開始前ブラッシング時はもとよりK子自身でも櫛を走らせた事が無かった前頭部から眉上に掛けての額に同じく何度も何度も入念に櫛を通された。</div><div>厳しく真剣な表情で自身が作り上げた各断崖絶壁断髪ラインや全体シルエットをチェックしてあち理容師おばさんだったが、今度こそ本当に職人魂が満足したのだろう。一転して満面の笑みと晴れ晴れとした声で、未だ目を瞑り続けているままのK子に、ついにようやく全て完成した事を告げた。</div><div><br><br><br>理容師さん:「はいっ長い時間お疲れ様！大完成しましたーっ❗️」<br><br>K子にとっては永遠に続くような屈辱的長時間に感じられたであろう、悪夢のような大断髪式がようやく終わったのだ。<br><br>前髪を切られ始めた頃からずっとだったのでどれだけの時間だっただろう、ずっと目を瞑り続けていたK子はその声を聞いて久しぶりに目を開けようとしていた。ゆっくりと恐る恐る目を開けたK子には、視界全面を遮っていたあれだけ長かった前髪がもはや微塵も無くなって全て開けてしまった視界に、激しく戸惑い動揺した様子で、代わりに眉ラインでビッシリと分厚く額を覆う切り揃えられ尽くしてしまったばかりの短い断崖絶壁前髪を、目上の視界に捉えようと限界まで上目遣いを試みていたが、余りにも短か過ぎて視界に捉えられ無い様子で、目を白黒させていた。<br><br>理容師さん:「大変身しました～❗️亅<br><br>と言われながらおばさんに手鏡を渡されたK子は、初めて、変わり果てた別人のようにされてしまった自分の姿を見た。<br><br>K子:「・・・・・・・・・・・・❓‼️」</div><div>眉やうなじにハサミの当たっていた高位置やあまりに長時間に渡っていた大断髪時間で、ある程度の覚悟はしていたのだろうが、それはK子自身の想像を遥かに上回っていたに違いない。あまりに変わり果てた自身の姿に、信じられないと言ったような驚愕の表情を浮かべ暫く絶句し、ショックと落胆の色が有りありと現れていた。短く切り揃え作られてしまったばかりの断崖絶壁前髪を、恐る恐る慣れない手つきでまるで腫れ物を触るように触った。つむじ付近から下に辿って行った前髪は以前と変わらぬ艶やかさだったが、その艶やかさは突然眉ラインで断崖絶壁のように一直線に断ち切られ、その分厚い断崖絶壁ラインはコメカミ付近奥深くまで寸分狂わず真っ直ぐ一直線に繋げられてしまっていた。<br><br>しばらく呆然とその断崖絶壁前髪を撫で続けていたK子に、おばさんは尚も合わせ鏡を見せて、ダメ押すかのように、サイドとバックを、確認させた。<br><br>理容師さん:「後ろは、はいっ！こんな感じ❗️亅<br><br>K子:「・・・・・・・・・‼️❓❓‼️」<br><br>K子には先の前髪に続く更なる大衝撃の連続に、もはや耐えきれない動揺が表情に色濃く現れていた。自らのものとは信じがたい後頭部を恐る恐る触るK子。つむじ付近からから下に辿って行った髪は以前と同じ艶やかさで輝いていたが、その感触は後頭部でまたもや前髪同様突然断崖絶壁のように一直線に断ち切られ、そしてその下うなじ部分は事もあろうに、ジョリジョリと青白く刈り上げられてしまっていた。</div><div>あれだけの長さを奪われてその重さをすっかり失った短く切り揃えられた髪は乾いた事もあってか、更にボリュームを増し、キノコのようなおかっぱにされてしまったインパクトを最大化させていた。<br>あのサラサラの長い前髪がトレードマークのシルクのようなワンレンロングを長い間誇ってきたK子には、余りにも残酷過ぎる大断髪後の変わり果てた屈辱的な自身の姿だった。<br><br>理容師のおばさんも、流石にこれだけの長時間に渡る大断髪仕事をやり切った事で、職人としての達成感や満足感がMAXだったようで、自身で勝手に自己納得したような口調でハイテンションで語り掛けていた。<br><br>理容師:<span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">「</span>うんっ、前髪サッパリしたね〜〜❗️</div><div>サイド、後もだけど。やっぱりこれ位短く切り揃ってる方が小学生らしくて可愛いよっ❗️まぁ、こんなに思い切り一気にバッサリ短く切っちゃったから、一年生通り越して、さっき[幼稚園<span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">]まで言われちゃってたけど(笑)</span><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">きっと明日学校の先生も褒めてくれるよ。亅</span></div><div>K子:「・・・・・・・・・・・・。」</div><div>理容師: 「、、どう？自分では？。」</div><div>K子: 「・・・・・・・。」</div><div>理容師: 「サッパリしたでしょー？」</div><div>K子: 「・・・・・は、、はい・。」</div><div>あまりの大衝撃と動揺の大きさに声にならない涙声のように一言絞り出すのがやっとのK子だった。</div><div><br>周囲で観ていた悪ガキ達に、<br><br>「ウオー、K子がオカマになったー！男になったー(笑)」と意味不明の囃し立てられをしたが、今までのK子の溢れる女性らしさや神秘的な大人っぽさが根こそぎ全て奪われ、挙句の果てにはバリカンまでもを入れられてしまった衝撃の大変身を間近で見た表現としてはあながち間違いでは無かったと思う。男の子達に見られていた事を思い出して恥ずかしがり、その断崖絶壁一直線前髪を両手で覆い隠す素振りを見せた。しかしかつて優雅に覆っていた長い前髪のカーテンを全て失ってすっかり全露出されてしまったその頬には、もはや覆い隠す前髪は1本たりとも残されておらず、顔剃り直後という事も相まってか真っ赤に染まっていた。地面には、他の男の子達の散髪時にはまず有り得なかった信じられない程大量の長い髪束が辺り一面を覆い尽くしていた。<br><br>ずっと光沢ケープに覆われたまま手鏡をもちながら前髪、サイド、後髪の断崖絶壁ラインを手でなぞり続けていたK子の姿を、満足そうな笑顔で暫く見守っていた理容師のおばさんだったが、頃合いと見たのか、声を掛けた。<br><br>「じゃ、ケープ外すよっ〜〜❗️」<br><br>K子にとっては願っていたあの恥ずかしい光沢ケープからのようやくの解放だったが、その中から現れたのは、その同じ光沢ケープに拘束されて行った断髪開始直前だった僅か約2時間程前とはやはり変わり果てて全くの別人にされてしまったK子の姿だった。あれだけたっぷり長く掛かっていた前髪やロングヘアがもはや全く微塵も掛からなくされてしまった胸や背中、肩までのみならず、タートルネック風のセーターの首元までをも全て露出されてしまった姿は、その2時間前まで<span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">細い縦長シルエットだった全体スタイルをも</span>、先述顔同様、丸く大きくぽっちゃり見えるようにすっかり変えられてしまっていた。何よりこのキノコのようなオカッパにされてしまいK子独特だった大人っぽさや女性らしさをも一気に根こそぎ全て奪われてしまった結果、実年齢相応を通り越し、隣のおばさんや理容師さんが言うように前髪を伸ばし始める前の1年生はもとより、ロングまでをも断髪されてしまった結果、幼稚園時にまで戻されてしまったかのような今のK子には、<span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">あれだけ似合っていたその日の大人っぽいスカートやニットが、まるで七五三で着させられている衣装のように不釣り合いな違和感ばかりで全く似合わなくされてしまっていた。あの光沢ケープにスッポリ包まれ拘束されてしまった約2時間程の間に長く垂れ掛かっていたワンレンロングという唯一無二にして最大のアクセントを跡形も無くされてしまった洋服は、その洋服自体をもまるで別の物に変えられてしまったかのようだった。人一倍オシャレだったK子にはとうてい受け入れられない現実だったろう。</span></div><div>K子にとっては悪夢のような大断髪式になってしまい<span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">実際の何倍の長時間にも感じられたであろうし、何より大断髪後に変わり果ててしまった自らの姿に受けた衝撃がさぞや大きかったのだろうし、何よりあれ程の髪の重さが無くなってしまい直ぐにはバランスが取れなかったのだろう、ハケで襟元の毛を払われながら立ち上がる彼女の首元はグラグラとまるで落ち着かず、足元は明らかにフラフラとおぼつかない様子だった。</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">そして心ここにあらず茫然自失と言った様子で、</span></div><div>「・・ありがとうございました」と、気持ちの込もらない御礼をしていた。K子がお会計を支払おうとお母さんから預かったらしい茶封筒を開いている時、丁度PTA会合を終えたK子のお母さんが帰って来たようで、庭の自転車置場に停めている音が聞こえてきた。<br><br>「お帰りー！」と大きな声で声を掛けたのは、ベランダで洗濯物をしまっていた隣のおばさんとウチの母親だった。<br><br>「戻りましたー！」と同じくベランダに向かって大きな声で返しながら、自転車カゴから荷物を取り出しいるK子のお母さんに、隣のおばさん嬉々と続けた。<br><br>「K子ちゃんっ！も～う凄い‼︎バッチリ仕上がっていってるみたいよ❗️」<br><br>「ホント？！見に行かせてもらうわね。」と言って一旦勝手口に荷物を置きに行ったようだった。<br><br>そしてK子が支払いを済ませたところへ「ありがとうございました～！」と言いながら、家に荷物を置いたお母さんがやってきた。K子は不慣れな手つきで、断崖絶壁前髪ライン辺りを触りながら、お母さんに見てもらえるのを待っている落ち着かない様子だった。それは、<br><br>『一番の理解者であったお母さんの反応で、自分がどんな姿にされてしまったのかを冷静に確認したい』</div><div>という気持ちと、<br>『この断髪を後押ししたお母さんにだけは褒めてもらいたい』<br><br>という2つの気持ちが入り混じっていたのだと思う。<br><br>そんなK子の気持ちをよそに、次の瞬間大断髪され別人のように成り果ててしまったK子の姿を初めて見たお母さんは、明らかに驚いて動揺し一瞬言葉を失って呆然とし、一歩だけ後ずさったようにすら見えた。それは、お母さんの中での完成イメージを遥かに上回っていた為か、そこまでの姿にされてしまうとは想定せずにオーダーした為か。そして、沈黙を破ろうと言葉を発しようとしたが言葉が出ず、その笑顔は明らかに引きつっていたように思う。<br><br>「・・よ、良かったじゃないー、バッサリ切ってもらって、、、」<br><br>俺ですら感じた、その言葉とは裏腹なお母さんの本音を、娘のK子が敏感に感じ取らない訳がない。<br><br>(だから、言ったじゃない!嫌だって、、、、、❗️)<br><br>とでも言いたげな、泣き出しそうな表情になった。最大の理解者だったお母さんに裏切られたような気持ちになったのだろう。<br><br>理容師のおばさんと庭の片付けを始めたウチの母親が、「アンタも手伝いなさい。」と俺に言っていたのを受けて、K子のお母さんは「私達もやりますよ。」と言ってK子を促し、「そのままで大丈夫だよー。」と遠慮して言うウチの母親と理容師のおばさんをよそに、片付けに加わった。つい先程まで自らのものだった、未だ艶を放って椅子下に横たわるつい先程まで自身のものだった大量の長い髪を、泣きそうな顔でゴミ袋に集めるK子の姿は、悲哀に満ち満ちていた。計5〜6人の子供達の髪を集めてゴミ袋がパンパンになった事は、無論[青空理容室]史上、後にも先にも間違いなくこの一度きりの空前絶後の事態だったし、言わずもがな、中身の9割以上はK子のものだったロングヘアだったのは間違いない。</div><div><br></div><div>掃除と椅子片付け会場撤収が終わり、解散の挨拶時になった。</div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">引き続き放心状態で、全て根こそぎ奪われ失ってしまった自身のワンレンロングヘア幻影を追い求めるように、一直線に短く切り揃えられてしまったばかりの断崖絶壁前髪や後髪をまるで隠すように触り続けるK子だったが、無論つい2時間前までのあのワンレンロングに戻れるべくも無い。相反していまだ達成感冷めやらない理容師さんがそんな様子のK子に近付いて、自らが大断髪完成させたばかりのK子の前髪や後髪を自慢げに触りながら意気揚々とK子のお母さんに言った。</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">理容師さん:「まーこれだけ短くなっちゃったからには、今までのずっと長かった頃とはもうガラリと180度打って変わって、今後はマメに最低1〜1</span><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">ヶ月半に1回位は切り揃えなくちゃならないですよ〜。この短い前髪•サイド•後は伸びて来ると目立っちゃうし、特にこの後ろの刈り上げのとこは特にみすぼらしく見えちゃうから亅</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);"><br></span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">K子のお母さん:</span><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">&nbsp;「、、、、、、、、、❗️❗️亅</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;"><br></span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">[みすぼらしくなってしまう亅という、今まであの優雅なロングヘアだったK子にはまず程遠く有り得なかった形容に、軽率に担任の先生に従った訳では無いお母さんも、切らせてしまったロングヘアの余りの長さと、想定以上にこんなに短く切られてしまった事態の重大さと、そのうなじに刻印されてしまった刈り上げにより背負ってしまった十字架を初めて認識し、後悔の念のようなものが浮かんでいた様子だった。</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;"><br></span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">K子のお母さん:</span><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">&nbsp;「、、そ、そうなんですね。この子も私もですけど、ずっと長くてこんなに短くなった事初めてでまだ全然勝手がわからないです。。。。亅</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;"><br></span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">理容師さん:</span><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">&nbsp;「</span><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">来月のこの会は、、、○○日(日)お隣さん家会場○○時からだったかな？その時また来て下さい、キッチリ綺麗に切り揃えますから！亅</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">K子のお母さん:</span><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">&nbsp;「、、そ、そうですか、毎月カット必要になったんですもんね、、、亅</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;"><br></span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">またもや大人達に勝手な予約を交わされてしまったK子は、それまでの放心状態から一転して目を見開いて驚愕の表情を浮かべていた。</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;"><br></span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">(、、、、、、！！！</span><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">もう切る長さなんて何処にも残って無いじゃない、、、)</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;"><br></span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">(こんな悪夢が1〜1.5カ月おきに、、、これ以上されたら私はどんな姿にされてしまうの、、、？)</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;"><br></span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">と絶望的に思ったのだろう。</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">これ程まで見事に短く真っ直ぐ一直線断崖絶壁ラインに作り込まれてしまった前髪•サイド•後を維持するには、確かに今後短いサイクルでのマメな切り揃えカットをしなければならないのが宿命とも言えたが、</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">それまであれだけ長い間誇って来たロング、前髪を一気に奪い尽くされてしまったばかりのその時のK子には、失ってしまったものと、変えられてしまった現在の自身の姿の衝撃があまりにも大き過ぎ、そんな短い髪の子になってしまった自身の現実を認識しそして今後の短い髪の子としての宿命や刈り上げメンテナンスカットの十字架を背負い受け入れるには、余りにもまだ到底時間が足らな過ぎた。</span></div><div><br>こうして、K子の大断髪式は幕を閉じた。幼心には、あまりに衝撃的過ぎる、初恋の女の子の大変身、いや生まれ変わりと言っても過言ではないレベルの事態を目の前で観てしまい、美しい物が破壊されてしまい、全く別の姿に変えられてしまった変態プロセスとその最終態に、その当時言葉には言い表せないそこはかとない何かエロスのようなものを感じ、その日の夜はなかなか寝つけなかった。<br><br><br><br><br>終章<br><br><br><br>結局あまり寝られず、翌朝珍しく早くに学校へ向かった。昨日目の前で起こった事は未だ信じられなく、幻だったのではないかと思えた。大断髪されてしまったあの短いおかっぱ姿のK子の印象が薄れ、今までの長い前髪とロング姿のK子が脳裏に浮かんでいた。学校へ着くと、K子はまだ登校していなかった。学校は普段と変わらぬ月曜日朝、朝礼が始まるまでの日常時間だった。それぞれ、日曜日に遊びに行った話、テレビの話などで騒がしかった。K子の大断髪を一緒に見たはずの男友達2人も、別の話に夢中でK子の「K」の字すら話題に出さない。俺から話題にしようかと思ったが、K子の事が「好き」である事を悟られたくなく、触れられなかった。そうこうしているうちに、昨日の事は幻だったのではないか？K子は、今までと変わらぬあの長い前髪とロングを靡かせて登校して来るのではないか？と尚更思えて来る。<br><br>いつもは早目に登校している印象だったK子だが、この日はなかなか登校して来ず、朝礼が始まる時間の5分前になってしまっていた。始業時間になると先生がやって来て、遅刻扱いにされてしまう。勿論K子は遅刻などした事はない。今まで無かった事態に女子達も気にし始めた。<br><br>「K子風邪でも引いちゃったのかな～？」「大丈夫かね～？」と囁かれ始めた。<br><br>そんな頃だった。教室外の廊下から喧騒が巻き起こった。<br><br>女子達の「えーーーーー誰！！！！」という甲高い悲鳴のような声と、<br><br>男子達の「ウオーーーーー！！！」という驚愕の声がこだました。<br><br>教室内にいた子達もその声を聞いて、数人更に廊下に出たが、同じく絶叫に加わり、そのこだまは大きくなり続けて教室に向かって来ていた。<br><br>女子達の、<br><br>「K子ーーーーーーー？？！！！」<br><br>という声が鳴り響いてきた。<br><br>俺はその声だけで即座に全てを察した気がした。昨日見た光景はやはり幻などでは無かったのだ。紛れもなくあの大断髪された姿のK子が登校し、教室に向かっているのだ。遅刻ギリギリまで皆に見られるのが怖かったのだろう。<br><br>教室の後戸が開いた。先に様子を見に廊下に出ていた数人の子達と共に、恥ずかしそうに俯きながらK子が入って来た。<br><br>教室内は更なる大喧騒になり、女子達が取り囲んだ。<br><br>K子の姿は、言わずもがな、昨日目前であのロングを大断髪されてしまった、短いオカッパ頭そのものだった。その洋服も昨日似合わなくなってしまった自らの現実を認識したからだろう、今まで見た事が無い初めて着て来たような服装だった。<br><br>「え"ーーーーホントにK子？！」<br><br>「キャーー切っちゃったのーーーーー？！」<br><br>その髪に触りながら、<br><br>「こんなにバッサリーーーー？後ろ刈り上げ？！」<br><br>「短いーーーーー！前髪もこんなに短く切り揃えられちゃってーー！」<br><br>などと、女子達が騒いでいた。<br><br>「K子がちびまる子になったー！」<br><br>と悪ガキ達が囃し立てていたが、俺は加わる事は出来なかった。<br><br>「可哀相でしょ～！」などと女子達が庇っていた。K子には、恥ずかしさを覆い隠す以前のような長い前髪のカーテンは跡形も無く、眉ラインに沿ってビッチリと短く切り揃えられている前髪の下に眉剃りされた瞼が露にされ切ったコントラストが鮮明だった。実際に改めて周りの子達と比較してみても、最も分厚く短く切り揃えられた前髪の子に、入学以来この6年生時にして初めてK子がなってしまった事は明らかだった。あれだけ最も長い前髪を誇って来たK子がだ。<br><br>周りの子達の反応も、断髪直前にも少し兆候が現れていたように、K子を擁護するものから移行してK子の陥落への好奇心に満ちていた。最も象徴的だったのは、前述の「人気No.2だった」女の子だ。彼女は、ショートになって「普通の子」になってしまってから約1年経ち、以前のロングにまでは戻るまでは勿論ないが、肩に着くか着かないか位までには戻ってきていた。今やすっかり長さが逆転したK子の横に立ち、短く切り揃えられた前髪や後ろ髪を触りながら、勝ち誇ったように笑いながら言った。<br><br>「こんなに短くされちゃって、、、なんか別人みたいにされちゃったね。。。」<br><br>その子の断髪時には、あれだけ優しく庇ってあげていたのに、K子とすれば、飼い犬に手を噛まれたような気になった事だろう。残酷な反応に黙って俯いて耐えているようだった。<br><br><br><br>そこへ、先生が教室に入って来た。朝礼の時間になったらしい。今までには無かった騒ぎに何事かと思ったのだろう、一瞬怒りに声を荒げた。<br><br>「コラ！静かに！！席に着きなさい！！！」<br><br>騒ぎが大き過ぎたのか、先生を持ってしても一言では収まらなかった。しかし次の瞬間、皆の声からか異変を察した先生自身も、騒動の源である大断髪されたK子の姿を目視確認したのか、瞬時に全てを把握したようだった。予定通りと言わんばかりの余裕溢れる笑みを浮かべた先生は、一転して静かに落ち着いた低い声で言った。<br><br>「朝礼始めます。」<br><br>皆も不思議と静かに席に着いた。号令係は学級委員であるK子の役目だが、かつてない動揺をしていたのだろう。<br><br>「・・・・・・・・・・・・・・」<br><br>号令が掛からず静まり返る教室に、先生はK子を直視し、促した。<br><br>「号令。」<br><br>「・・・・・起立。気を付け。礼。着席。」<br><br>先生に見つめられ続けているK子は、今までに無かった、蛇に睨まれたカエルのようで、号令の声にも動揺が現れていたようだった。<br><br>先生は溢れる笑顔が隠し切れず、零れるようにニヤリとしながら、自らの策略でついにトレードマークを全て奪われた姿のK子を見つめ続け、いつもは直ぐに始める伝達や配布物をせず、暫くの間を置いていた。K子も、明らかに先生から見詰められ続けているので、ただ俯くより他ないようだった。再びの静寂が教室を包む。<br><br>「・・・・・・・・・・・・・。」<br><br>例の家庭訪問以来丁度約1週間だろうか、K子に全くと言って良い程声を掛けて来なかった先生が、引き続きK子を見詰め続けながら、満を持したように、<br><br>「K子ちゃん、、、？」<br><br>次の瞬間、勝ち誇ったように嬉々と大きな声で言った。<br><br><br><br>『サッパリしたじゃな～い～〜〜❗️❗️❗️』<br><br><br><br>その瞬間クラス中が一挙に沸き、その日一番の大騒ぎになった。<br><br>断髪を策略した張本人の先生から見ても、このK子の完成姿は自身の目論見を遥かに上回る出来だった様子で、溢れ出る喜びを全開にし、尚も畳み掛けるように、K子の側に向かい、短く揃えられた前髪、サイド、うなじラインを撫でていた。</div><div>その二人の姿を見て再認識した事があった。</div><div>(あのボーイッシュな先生よりK子の方が短くなってしまった箇所が多い、、、)</div><div>無論、段が全面に入ったベリーショートに近かった先生よりトップの部分まで短いという事は流石に無いものの、以外の部分はK子の方がより短くなってしまったのは事実だった。</div><div>先生もその事実を意識してかのように更に勝ち誇った様子で言い放った。<br><br>『でも全然誰だか分からなくなっちゃった位後ろまでこんな一気にバッサリ思いっきり短くなっちゃったのね～❓‼️でもあれだけのワンレンロングだったK子ちゃんが、こんなにキレイさっぱり短いキノコみたいなオカッパちゃんになっちゃったのも可愛いわね～～❗️❗️❗️』</div><div><br>「キノコみたいなおかっぱちゃん」という、ショッキングなフレーズにまたクラス中が沸き、K子にはもはやこれ以上ない屈辱だったと思うが、<span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">「ショートボブ」など髪型呼称はそぐわなく、</span>確かにK子がされてしまった頭に一番合った表現だった。</div><div>6年生といえども子供は残酷なものだ。先生の真似をして、今までK子を敬い取り巻いて来た女の子達がK子のおかっぱ頭を多く触りに来たが、それはK子を庇っり守ったりするようなものでは無く、寧ろ逆に、<span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">初めての服を着たおかっぱ姿に成り下がってしまったK子を</span>見下し、揶揄う残酷なリアクションだった。</div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">「うわー！おかっぱちゃん刈り上げ凄いジョリジョリするー‼︎」</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">「ウチのお父さんのヒゲ触ってるみたいー‼︎」<br></span></div><div>いつもならそんな騒ぎを制止する先生も、満足そうにニヤリとほくそ笑みを浮かべながら見ていただけだった。</div><div>溢れていた女性的魅力を一気に全て失ったのみならず、よりによって男性の象徴<span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">「お父さんのヒゲ」とまで表現されてしまった今のK子には、</span>かつての神秘的とも言えた神通力など見る影も無く皆を制止する術はもはや他に何も無かった。ただ晒し者にされ続ける余りにも屈辱的な時間に俯いてただただ耐えていた。</div><div><br>K子が、前日の大断髪式で根こそぎ奪い去られた「美」に引き続き、翌日のこの朝屈辱的に晒し者にされたおかっぱ姿お披露目会にて、伴うその「力」をも全て跡形も無く奪われて無力にされ、全てを失った『幼稚園生のような女の子』に陥落させられてしまった瞬間だった。先述したように、先生の権力基盤確立の見せしめ踏み台に利用されてしまったのだった。<br><br><br><br>こうして、トレードマークだった自慢の前髪やロングヘアを、一気にバッサリと短く切り揃えられ尽くしてしまったK子だったが、その長さとしては少なくとも40cm程、こと前髪に関しては更なる長さを思い切りバッサリ一気に切り落とされてしまったのは確実だった。理容師のおばさんは「結ぶか切るかしなくてはならない中学校入学までに一度試しておいてもいい」などといい加減な事を言っていたが、一般的に髪が伸びるのは1カ月に1cm程度と言われているので、その大断髪されてしまった5月下旬時点から卒業の3月までは約9カ月しかない。そう、もし再び伸ばしたとしても最長でも9cm程度までしか戻らないし、増してや理容師のおばさんが言っていたように、マメなメンテナンスをしながらとなれば8cm,7cm,6cm,5cmと下がっていく。あれだけ腰まで40cm〜50cmあったかのようなロングの栄華を誇ったK子からすると、そんな5cm程度は[ショートヘア]の範疇でしかなく、5cmごとき戻っても全く価値は無い。何よりこれだけの大断髪をされて[美]と[力]をも全て奪い去られてしまった衝撃はトラウマとなって、K子から再び髪を伸ばす気力と意志までをも根こそぎ奪い去っていた。言うべくもないかも知れないが［試し]など始めから存在せず、その意味でも【あのK子の姿】はもはや二度と戻って来ないのだった。<br><br><br>その日は「おかっぱ」になってしまったK子の姿を事ある毎に追ってしまった。真後ろの席から見えていた、椅子に掛かる程まで長かった髪は、うなじが見える程短く揃えられ、鉛筆でノートに描く時に耳に掛けていた長い前髪は、コメカミ奥深くまで分厚く短く揃っていた。体育の時間には跳び箱を跳ぶ時に揺れて靡いていた髪は一糸乱れず揃っていた。<br><br>そんなクラスや学年、学校中、強いては地域全体を揺るがした衝撃的な大変身も、ゆっくりではあるが日を追う毎にさすがに少しずつは違和感が薄まっていくようだった。<br><br>「ロングからバッサリ短くなってしまったK子」<br><br>から、<br><br>「ショートボブのK子」<br><br>が少しずつではあるが、浸透していった。<br><br>1ヶ月半程経った夏休み前だったろうか、大分慣れて浸透し切った頃だったと思う。美意識の高いK子だからか、若しくはお母さんがチェックしていたからだろうか。恐らく短くなった事で伸びが気になり易くなったのだろう。前髪と後ろ髪ラインを切り揃えるカットをして来た。青空理容室ではなくも他の店に行ったようで、無論バッサリする長さはもはや無く揃えるだけではあったが、「切ったばかり」という事が明らかに分かるキッチリとしたカットラインで、周りからも「切ったー？！」と言われて恥ずかしがっていた。以前のK子ではあり得ない短い間隔サイクルとカットラインに、短い髪の子になったK子を改めて認識すると同時に、やはり再び伸ばす気力はもう無いのだと再確信した。</div><div>その後も卒業まで定期的に1ヶ月～1ヶ月半という、女の子にしては割と早いサイクルでK子の切り揃えるカットは続いて行った。青空理容室には二度と来なかったのは残念だったが、そのアフターカット姿を見るのが俺にとっては密かな楽しみであった。<br><br><br>様々な偶然が幾つも重なり合い遭遇出来た、奇跡的な体験であったと思います。これが私が生で見た、初めてであり、現在までで唯一の断髪にして私のフェチを目覚めさせた決定的な出来事となったのでした。</div><div>未だその幻影を追い求めている気がします。そして、これからも追い求め続け生きていくのだろうと。</div><div><br><br>                                                        完</div></div>
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<link>https://ameblo.jp/akioverdrive/entry-11913839413.html</link>
<pubDate>Sat, 23 Aug 2014 01:04:39 +0900</pubDate>
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<title>断髪小説②初恋(中巻)</title>
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<![CDATA[ <p>初恋</p><br><br>第6章・予約<br>第7章・当日<br>第8章・狼狽<br><br><br><br>第6章・予約<br><br><p>ー 『青空理容室』 ー   それは元理容師の当時50代位？と思しきおばさんに来てもらい、近所の男の子達を集めて散髪をしてもらうというもので「青空」の文字通り、切った後の髪の掃除の便宜上か、近所の男の子達の家の庭や玄関前などの屋外や玄関内など持ち回りローテーションで臨時会場となり、月1回程のペースで定期的に行われていたものの通称だった。当然大きな鏡も無ければシャンプー台も有る訳も無く、シャンプーはカット後各自宅でしなければならなかったものの、襟剃りや顔剃りまでしてもらえて1000円という当時相場でもかなりの超格安さと、何よりも、現役を退いたとは言え天下一品だった元理容師おばさんの腕の良さがお母さん達の人気を呼んで、かなり多くの近所の男の子達が連れて来られるようになっていた。そして、次回はその一週間後程に、俺の家の庭が会場当番で開催予定となっていたのだった。</p><br><p>K子のお母さんも、以前俺達男の子が切ってもらっているその場面を見かけた事はあってその会の存在自体は知っていたようで、</p><br><p>「もしウチのK子も一緒に入れて頂くお願いするとなると、男の子達に混じって1人だけ女の子だし、長さがあんなに長いから、お手間かけちゃったり御迷惑になったりしないかしら?」</p><p>と周りの家庭や元理容師のおばさんに気を使っていたようだが、周りのお母さん達が再び畳み掛けるように、</p><p>「ウチらの男の子達の頭なんかみんな短いから、時間掛かんないから疲れないって言ってたよー」とか、</p><p>「ホント腕がいい人だし、男の子の短髪ばっかりじゃやり甲斐ない、女の子カットも好きだからやりたいって言ってたよー」とか、</p><p>「凄い安くやってもらえるし」</p><p>などと言ってもらい、</p><br><p>「そう・・・？じゃ、お言葉に甘えて混ぜて頂いちゃおうかしら・・・？」</p>とK子のお母さんは応じ、<br>「ちょうど良い機会だもの～。」<br><p>などと周りに後押しされて、一緒にお願いする事を決めたようだった。</p><br><p>親同士だけのふとした話の流れから、K子の居ない所で勝手に次回１週間後の「青空理容室仮予約」が交わされてしまった。</p><br><p>赤ちゃんなどは例外として、流石に女の子が連れられて来る事はあまり無く、同じ小学生と一口に言っても高学年になって来ると早い女の子はオシャレに目覚め始めてくるもの。増してやあの長い前髪を胸まで流し背中までの綺麗なワンレンロングヘアを誇るK子の事、<span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">機会は少なかったようだが彼女もカットに行く時は美容室だったようだし、彼女にはどう見ても到底不釣合いな「青空床屋さん」に思えてならず、一ミリのイメージすら湧かなかった。</span>彼女のいない所でお母さんの独断で勝手に混参加を決めてしまったものの、そんな不釣り合いな<span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">「青空理容室」なんかにK子本人が</span>来る訳がないと思ったし、来て欲しくないとも思った。</p><div>しかしその一方で、、、もしそんな事態に本当になってしまうとしたら・・・</div><div>K子はどんな顔であのカット椅子に座らされてしまうのだろうか、、、？</div><div>どんな過程で切られ、あの長い前髪、ワンレンロングはどうなってしまうのか・彼女はどんな髪型、どんな姿にされてしまうのか、、、、？</div><div>様々な妄想が膨らみ、心のどこかから、好奇心に胸踊らせ、微かな期待のような気持ちが芽生えてしまっている自分がいた。<br><br>それからの一週間、学校でのK子の日常はそれまでと変わらないものだった。あの後、お母さんから「青空理容室」の予約の件を聞かされた際、どのようなやり取り・衝突が有ったのだろうか。普通の子なら周りの仲良い女子達に漏らしたり騒いだりしがちなところだが、K子にそんな素振りもなかった。奥ゆかしいK子らしくもあったが、<br>(→やはりそんな勝手で強引な予約にはK子は断固として応じない、取り合わない事を決めたからだろうか・・・)<br>と思えた。<br>考えれば考える程に色々な妄想が膨らみ、自分にとっては気が気ではない、全く落ち着かない一週間だった。<br>一方の先生はというと、家庭訪問を終えてからというもの、それまでは事あるごとに言っていたK子の髪の事に全くと言って良い程何も言わなくなっていた。代わりに、そのK子を見つめる眼差しは余裕の微笑のようなものを浮かべているように見えてならず、お母さんに直談判した際にまるで密約でも交わしたかと思える程、自信に満ち溢れた様子で手応えが現れているかのようだった。<br><br>自分も幼かった当時は分かるべくもなかったが、今となっては確信している事がある。「視力を守る為」などと表面的な口実を付けていたが、先生がK子の髪を切らせたがっていた深層心理には、以下2点があったのだと。<br><br>1つ目。「美亅<br>30代も後半に差し掛かっていた先生には、確実に失われていく自身の若さとは対照的に、年齢的にまだまだ芽吹き始めとは言え今後増していくばかりであろうK子の女性らしさ、女性的魅力に対し、嫉妬に似た感情があった。その象徴とも言える髪を奪い、失わせてしまいたいという、いわば断髪フェチに似た側面もあったのだと思う。<br><br>そして2つ目。「力」<br>古来より髪には「力」が宿るとされて来た。旧約聖書の土師記13章～16章に登場するサムソンなども有名だ。<br>イスラエルの士師となってぺリシテ人を裁いたことで知られるサムソンは、 神の恩寵を受けて超人的な「力」を持っていた。ライオンを倒したり、1,000人の敵を一人で倒したりと無敵を誇っていたその「力」の秘密は、生まれてから一度も切った事がない長い髪にあった。しかしずっと誰にも知られていなかったその秘密を教えてしまった妻は、実は敵のスパイであった。寝ている隙に妻の手で、ついにその力の根源だった長い髪を根こそぎ全て剃られてしまう。あれ程強大だった力は幻だったかの如く全て失われ、別人のような無力に陥落させられてしまったサムソンは、難なく敵に捉えられ、両目を抉られ盲目の奴隷にされて地下で粉挽きをさせられ晒し者にされたー<br><br>前年5年生時にPTA・教育委員会問題にまで発展してしまった、ボイコットに象徴される学級崩壊の過程で、K子へのクラス皆からの信頼・求心力が、K子が望んだ訳でもないのだが、皮肉にも高まってしまった。K子のその「力」は、上手く協力させればクラス再建に大きく生かせるとも思えるが、新任の先生には、そのK子の「力」が障害になる、「ガン」になると判断し切り捨てに入ったのだ。極論で言うと、前年クラス崩壊事件の「陰の首謀者」だと断定されたようなものだ。そのK子の「力」の象徴がトレードマークのワンレンロングに置き換えられた。その長い髪を切って奪い去ってしまう事でその「力」をも全て奪い、</div><div>「特別な唯一無二の存在」から「ただの一生徒」に陥落させるのは勿論、もう二度と上がって来れない程無力に底辺までに落としてしまいたい。</div><div>と先生は考えた。</div><div>K子にしてみれば、学級委員にしても自分で立候補した訳ではなく皆から推薦されたもので、ずっと大事にして来た長い前髪やロングヘアを切られてしまう位なら、そんな役職からすぐにでも解放されたかったはずだ。しかし先生は、長い間「不敗神話」を誇ってきた彼女自慢の長い前髪やロングまでもをついに断髪させ晒し者にするという皆に与えるその大きなショックとインパクトを、徐々に進めてきた自らのクラス掌握力・支配力・威厳の証として誇示し、見せしめ、踏み台に利用したかったのだ。</div><div><br>K子としては、その「美」と「力」という自らの全てを奪われてしまう断髪をされてしまう訳には絶対に行かない、死守しなければならないのだった。<br><br><br>第7章・当日<br><br>ついに迎えた「青空理容室」当日。僕等男の子達数人の散髪の後に、まるでメインイベントのように一番最後の順番にK子の予約がされていた。しかしながら、前述のように実際に彼女が来る可能性は限りなく低く思えた。自分も含めた男の子達には、いつも通りの散髪が行われていった。自分の散髪には、いつもは若干の恥ずかしさと不安な思いを感じていたが、その日に限っては、可能性は低いとは思われたもののその後に起こり得る可能性が少しでもある彼女の断髪と比較したら、自分の散髪など酷く小さくちっぽけな雀の涙程の何でもなく、心ここに有らずだった。<br><br>着々と多くの男の子達の散髪が進み、待合席に座っていた男の子が減っていく。少しずつ、K子の順番が近付いて来るが依然として彼女は現れない。<br>K子とは別に、低学年1～2年生だったが、これまた珍しく女の子が一人だけ来てカットしていた。自分達男の子と比べると当然長かったものの、女の子とはいえショートカットの子だった為、全体的に切り揃える位で、前髪も目上位から眉位まで整えた程度だった。そのショートカットを切り揃え終わった女の子の姿を見ながらK子の姿をダブらせようとしていた。同じ女の子とはいえ、あのロングのK子までもがこの同じ場所でカットされるとは到底イメージ出来なかった。「K子はやっぱり来る訳ない・・・当たり前か。」と1人で確信し、大きな安堵と何故か少しの落胆が入り混じったような複雑な思いでいた。<br><br>ついにK子の1人前の男の子の順番になり、待合席は誰もいなくなったが、やはり依然として彼女は現れない。散髪を終えた男の子達皆で、サッカーを始めようとしたその時！！<br><br>遠くからまるで蜃気楼のように、お母さんに連れられたK子がゆっくりと少しずつ向かってくる姿が見えたのだった・・・<br><br>俺は幻を見るような信じられない思いでその姿を見つめていた。やはりというべきか、K子は俯き加減の浮かない表情で不安と緊張感に包まれているような様子で、その心情が反映されたようにゆっくりゆっくりと歩いて向かって来ていた。</div><div>ついに青空理容室会場のウチの家の庭に到着したK子に、何も知らなかった他の男の子達は驚きのリアクションと冷やかした様子で、<br>「ウオー、K子だー!」<br>とか、<br>「お前、女だろー！床屋だぞ(笑)」<br>などど茶化して騒いでいたが、理容師のおばさんは事前に聞いていたのか彼女の事情を汲んでいる様子で、自分のパーマがかったショートヘアをイラついた素振りでカリカリ掻きながら、<br>「コラっ！散髪終わった子は、ホラっ！遊びにでも行ってきな！」<br>などと追い払っていた。<br>K子のお母さんも、<br>「ゴメンなさい早過ぎたかしらねー？！」<br>と気を使った様子だったが、<br>「チョットだけこちらの待合椅子に座って待っててもらえますかー。もうすぐ終わりますからねーゴメンなさいねー。」<br>と理容師のおばさんはK子のお母さんに伝えていた。<br>K子も会場の環境は聞いていたとは思うが、実際に目の当たりにして、周囲を見渡し「まさかこんな場所でカットされるの？！」といったような、戸惑った表情を隠し切れなかった。<br>理容師さんに案内されお母さんと一緒に待合椅子に座ったK子は、一つ前の順番だった低学年の男の子が目前で短いスポーツ刈りに刈り上げられて行く姿を静かに見ていた。自身のロングヘアからはまるで掛け離れた、短く刈り上げられて行くスポーツ刈り工程を恐らく目前で初めて見て、<span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">自らもどんな髪型にされてしまうのか？刻々と目前に迫り来る自順番と、</span>まるで他の惑星に来てしまったかのような場違い感も相まって、不安を募らせていた様子だった。漆黒に光るバリカンを往復駆使しながら進められて行くその男の子のスポーツ刈り工程を、引き続き息を呑むように凝視していたK子だった。ようやくそこから視線を逸らしたK子は、お母さんと2人で話し込み始めた。それは不安が表れた真剣な表情でしばらく続いた。思いの他小さな声だった為聞き取れはしなかったが、K子が自身の胸からヘソ辺りにまで垂れ掛かった長い前髪をしきりに撫でたり指で掻き上げ梳かしたりしながら、最後は悲しげに懇願するような、普段学校では見せた事のないような表情になっていた事を考えると、切ってもらう長さや髪型の事に他ならない事はタイミング的にも明らかだった。K子のお母さんはK子の話をしっかり聞いてはいる様子なものの、なだめ、説得し、聞き流し、K子の懇願を容認していない様だった。ひとしきり話しても、K子の懇願していた要望がお母さんに聞き入れられた様子はあまり無く、K子が納得安心した表情や雰囲気には断じて見えなかったのだが、K子のお母さんはPTAの会合に出かける時間になってしまったらしく、理容師さんに向かって、</div><div>「じゃ、私出掛けなきゃならないんで、先程相談させてもらった通りな感じでお願い出来ますか。すいません、よろしくお願いしますー。」<br>と丁重に挨拶し、K子には、<br>「じゃね。さっき事前にお願いしといたから。ちゃんとやって貰ってね。]<br>と彼女の心中を察した釘を刺すように言い残し、出掛けて行ってしまった。<br>K子のお母さんは理容師のおばさんに既に、この度の学校での事情や先生とのやり取りを話していたらしい。果たしてどのような事前オーダーが済まされているのだろうか？如何にせよ言えた事は、理容師のおばさんに切って貰う事になってしまった以上、少なからず、今までの彼女の美容室での毛先を軽く梳く「シャギー」ようなものだけでは済まなくなる、イコール長きに渡ったK子の不敗神話についにピリオドが打たれてしまう可能性が限りなく高くなったという事だった。俺は全くもってサッカーどころではなく、待合椅子に1人で不安そうに座るK子を横目で見ながら逡巡していた。<br><br><br>第8章・狼狽<br><br>やがて直前の男の子もすっかりスポーツ刈り完成し散髪完了して家へ帰ってゆき、散髪席が空いた。ついにK子の順番が回ってきてしまったのだ。</div><div>理容師のおばさんは、</div><div>「ゴメンね、もうちょっとだけ待っててね、前に終わった男の子達の纏めちゃうね。」</div><div>とK子に言って、俺達男の子3～4人分と先程の低学年の女の子1人の切った髪をホウキとチリトリで纏めていた。男の子達ばかりと女の子1人もショートカットの子の分だけだったので大した量ではないのだが、意外に念入りに長時間行われていた。おばさん自身の気合を入れ直す儀式だったのか、そしてこれからその地面に切り落とすK子の髪がバッサリと長く大量になるからだろうかと思えてならなかった。</div><div>更に、一服でもする為か、「大丈夫です。」というK子をそのまま待合椅子に残したまま一旦会場を出て行った。これもまた、K子のカットが長時間の大仕事になるからと思えてならなかった。<br>5～6分程だっただろうか。一服してリフレッシュされたらしく、一転して清々しいハツラツとした表情になっておばさんが気合充分といった雰囲気で戻って来た。</div><div>「は〜い、お待たせしました〜っ！」の声でついにK子がカット椅子に案内されてしまった。前述のようにいつもオシャレで、他の女の子達の比べて、そのロングヘアに合わせてか大人っぽくキレイ目な服装が多いK子だったが、この日のスカートとタートルネックニットも同様キレイ目大人っぽいスタイルだった。ぎこちない様子でカット椅子に座ったK子だったが、相反するようにテキパキと準備が始められ始めた。<br>理容師のおばさんは、「男の子達と一緒だと可哀相だから」などと言いながら、それまでずっと他の子達に使って来たものとは違う新たなケープを取り出し始めた。<br>(→もう一人女の子居たのに可哀相だろっ！ショートカットだったけど、、、)<br>と一応心の中でツッコんではみておいた。<br>とっておきかのように取り出されたそのケープは、厚手でしっかりとした生地で大きなもので、撥水機能も強化された一応シャンプー時でも兼用出来るものらしく重厚な作りで、理容師のおばさんも「高くていいやつなんだからー！でも暑かったらゴメンねっ。」などと言っていた。</div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">K子は、そんな理容師のおばさんの様子を見て、「お母さんの事前オーダー」に疑心暗鬼になっていた筈だ。理容師のおばさんがK子のカット開始直前に何故か掃き掃除をしたり、まるでギアを入れ直すように一服したり、わさわざK子用だけに新品光沢ケープをおろしたりと、先程までの男の子達の時とは打って変わって明らかにモチベーション高く張り切っており、その度に嫌な予感と不安が募るばかりだった。職業的性として長い髪を扱うのが大好きなのは美容師さんのみならず、男性の短い髪ばかり扱う理容師さんとなれば尚更貴重な機会でテンションが上がっているように思えてならなかった。</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">その嫌な予感にダメ押しをするように、その後通りがかったのが、今回のこの「青空理容室亅でも一緒に散髪し終わっていたウチの隣の家の男の子の、お母さんだった。理容師のおばさんと丁度同じ位のパーマが掛かったショートヘアにサンバイザーを被って自転車を出しながら、何やら楽しみを隠しきれない様子で言った。</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">「あら〜！とうとうK子ちゃんの順番になったのー⁈ずっと長かったもんね〜どうなるか楽しみ！！本人は不安のが大きいか〜～？」</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">「じゃお母さんと一緒にPTA行ってくるね〜！亅</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">と自転車に乗って行ってしまった。</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">K子はその場は複雑な笑顔で会釈だけ返したが、内心疑心暗鬼で一杯な心情が複雑な表情がありありと現れていた。</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">(お母さんはどんなオーダーをしてしまっているの？)</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);"><br></span></div><div>理容師のおばさんが新調したそのケープが何より特徴的だったのは、その水色のツルツル・テカテカした光沢感たっぷり過ぎる無骨な素材で、K子も先述の自らのオシャレな洋服を、それとは180度正反対なレトロで恥ずかしい大きな厚手光沢ケープに全身をスッポリと覆い尽くされて行ってしまう際、恥ずかしそうに頬を赤らめながら俯いていた。その動揺が現れてしまったのか、美容室で良く使われている薄くて袖に手を通し出すタイプと勘違いし「これ手を通さないやつなのよ。」と理容師のおばさんに言われて、ぎこちなく宙を彷徨った両手の持っていき場所が落ち着かなかったりと、まるでK子らしくない挙動不審な様子がありありだった。</div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">そのオシャレなスタイルの服装を全て包み込み隠されてしまったK子は、ガラリと一転して180度対照的にレトロで無骨に大きな厚手で、何より</span><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">5月の晴天の日光を反射して不自然な程までに煌々と光り輝き過ぎている</span><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">光沢ケープに、スッポリと首元から足元までを全て隙間なく覆い尽くされて拘束されてしまった姿のあまりの恥ずかしさに俯き続け、断髪式の準備が整い拘束されてしまった姿をスポットライトのように照らし出されてしまっていた。</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);"><br></span></div><div>(何十分もしくは何時間後になるのだろう？次にこの恥ずかしい光沢ケープがK子から外され開放されるのは、K子のカットがすっかり全て済んでしまった後という事になる。その時解放された光沢ケープの中からは、どんな髪型、姿にされてしまったK子が現れるのだろうか。。?)</div><div>俺が昨日まで夢のように妄想していたシーンが目前に現実となろうとしており、俺の胸の高鳴りも抑えられなくなっていた。</div><div><br></div><div>理容師のおばさんに霧吹きで濡らして櫛で梳かされていく水分を含んだK子のその髪はいつも以上に長く見え、更に不安と緊張が増している表情は、若干青ざめているようにすらも見えた。俺は友達の手前上も有ったが、やはり一番は目の前でジロジロ見たい心情をK子に悟られる訳にはいかないと思った為に、やむなくサッカーに参加し続けてはいたが、全く心ここにあらずだった。せめて一番近くて見たいが為に、普段ならば嫌で避けていたキーパーのポジションに自ら進んで就き、不審がる仲間達には「足が痛いから」などと苦しい弁明をしていた。<br>準備が一段落付いたのか沈黙を破ったおばさんが掛けた次の第一声で、先述「お母さんのオーダー」はついに大勢が判明する事となる。</div><div><br>「え～っと、横と後は肩に着かない位に、前髪は目に掛からない位にってお母さんから言われてるんだけど、良かったんだよね？」</div><div><br>(・・・・・・・・・・！！！！！！)</div><div>俺は、おばさんの発した衝撃的な一言に耳を疑った。<br>(後ろは肩に着かない？前髪は目に掛からない？！そんなに短く切られてしまう・・・・?!)</div><div><br>K子は、お母さんに押し切られてしまっていた通りの内容を、理容師のおばさんからもついに最後通告された様相になったかのようで酷く焦って狼狽した様子だった。<br>「・・えっ・・と・・・・・・。」<br>口ごもる彼女をよそに理容師のおばさんは、梳かして腰あたりにまで掛かるようになった髪を触りながら畳み掛けるように続けた。<br>「元がホラこんなに長いから、まーかなりバッサリ切っちゃう事にはなるけどね。」<br>《バッサリ》というフレーズに焦燥感が限界に達したのだろう、K子はおずおずと消え入りそうな声ながら懇願した。<br>K子:「・・・長さは・・・前髪もですけど、あまり切らずに長めに残して欲しいんです・・・。」<br>理容師さん:「ん？長めって言うとどの位かな？」<br>と問われ、<br>K子:「・・・横と後は肩より下で・・・前髪はアゴから唇位で・・。」<br>と、まるで何度も一生懸命反復練習して来たセリフを、勇気を振り絞ってやっと何とか言えたかのような口ぶりだった。<br>理容師のおばさんはK子の前髪を丁寧に櫛で梳かし胸下あたりにまで全て掛かるように梳かし直してから、櫛を横にして位置をイメージしながら指し示した。<br>理容師さん:「前髪唇からアゴ位って言うと、これ位？」<br>K子:「はい・・・。」<br>理容師さん:「・・う～ん。確かに今の長さから3分の1位の長さまでにはなるけど、まだ長く見えちゃうかな？！・・う～ん、中途半端な長さになるからむしろ逆に余計顔に掛かるようになっちゃいそうかなぁ？せっかく1/3位にまで切った割に<span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">イメージも今とそこまで大きくは変わらないから、明日月曜日学校の先生から『まだ目に悪い』とか言われて</span>最悪もう一度切り直しさせられちゃったりしてもねえ更に嫌じゃない？どうだろうねえ～？」</div><div>K子:「・・・・・・・・・・・・。」</div><div><br></div><div>前述の学校での先生とのやりとりとお母さんの同調のみならず、更なる理容師のおばさんの職業的観点からの意見を被せられてしまい、差し迫る極度の不安と緊張で追い詰められていたその時のK子にはもはや反論の余力は残されておらず、ただ俯いて絶句するしか出来なかった。</div><div>そのK子の様子に理容師のおばさんは、現在の自身は、K子のサラサラとした綺麗な長い前髪や見事なロングヘアには比較すべくも無い、チリチリのパーマが掛かったショートヘアながら、同性として心中を察してか少しの間黙って寄り添っていたが、職務としてオーダーを受けてしまっている責を全うすべくゆっくりと再始動した。その櫛の位置を大きく上へ垂直移動させ、目の上の瞼〜眉あたりで水平に静止しピタリと沿わせて言った。</div><div><br></div><div>理容師おばさん:「折角入学式以来に前髪切るんだから、一度しっかりこの辺りでキレイスッパリ切り揃えちゃって、身も心もピカピカの一年生の頃みたいに戻って、文字通りゼロからのリスタートにしなよっ！亅</div><div>K子:「・・・・・・・・・・・・。」</div><div><br>理容師のおばさんの口ぶりは、何を勘違いしたかまるで前述のクラス崩壊事件首謀者として償うかの如くの口ぶりだったし、(折角切る)の意味も良くわからなかった。最上級生の6年生まで積み上げて来た物を、あと1年間となった今、1年生のようにゼロに戻されてしまうのか。そこまで短く切ってしまったらここまでの長さに戻るまでにはどの位掛かるというのか。今まで伸ばすには約5年以上掛かっているのだ。どう考えても(折角だから切らずにキープ)の方が間違いなく正しかった。</div><div>暫くの間、引き続き俯き苦悶の表情で言葉を発せなかったK子だった。長い前髪への未練を何とか必死で断ち切るが如く、自身にいい聞かせるような口調で言った。</div><div>K子:「・・・・前髪はまだ分からなくもないですけど、でも後ろとか横とかは目に全然関係ないと思うんで・・・肩より下で長めに残して下さい・・。」<br>何故かいつの間にか一緒に切る事になってしまっている、サイドとバックに対して、全くもって正論での抵抗を試みていた。<br>理容師さん:「いつもは美容室で毛先だけ揃えてもらう位？最後にカットしたのはいつ頃？」<br>K子:「・・・去年のクリスマス頃、でも毛先を軽く梳いてもらっただけですけど。」<br>理容師さん:「やっぱりかなり毛先がバラバラに伸びちゃってるから大分切り揃えなきゃならないから、お母さんのオーダーじゃないけど、どうしても肩上までにはなっちゃうかな。相談して決めてきたんでしょ?お母さんからも、『せっかくの機会だから』って頼まれちゃってるし。」<br>K子:「・・・・・・・・・・・・。」<br>理容師のおばさんには、わざと不揃いにしているシャギーが理解出来ないらしく、センスのかけらも無い真っ直ぐ切り揃えるスタイルしか頭にない事が露呈されてしまった。K子は絶望的な気持ちだっただろう。<br>理容師さん:「来年中学校に上がると、結ぶか短く切るかしなくちゃならなくなるから、今のうち試しておいた方が良いよ。」<br>K子:「・・・・前髪切った小学校入学式の時にすら、このロングは切らず、以来ずっと、、、。あと一年なのに、、、」</div><div>中学進学はまだ一年近くも先の事なのに、残り一年近くもある大事な残りの小学校生活を、トレードマークの長い前髪のみならず自慢のロングまでをも短く切られた姿で過ごせとは、冷静に考えるばあまりにも強引な理論過ぎるが、それまで約1ヶ月に渡り各方位から度重なり少しずつ積もり続けて来た大人達の作為と圧力が、鉄壁だったK子の防御を決壊させ、その流れはもはや止めようが無かった。</div><div>理容師さん:「おばさん可愛く切ってあげるからっ！ねっ？亅<br>K子:「・・・は、はい・・・・」<br>K子の返事は泣きそうな声で心無くか細いものだった。<br>彼女の抵抗虚しく、大人達の良く分からない理屈に半ば強引に押し切られてしまい、ついに彼女の断髪が本当にスタートする事になってしまったのだった。こんな衆目の環境で、しかもバッサリ短くされてしまうオーダーで。先生がK子に言い出してから事ある毎に言い続けちょうど1ヶ月程。まさかこんな事態になるとは全く想像すら出来なかった。俺は混乱と動揺、そして言葉では表現出来ない興奮状態に陥っていった。。。<br><br>                                                                   続</div>
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<pubDate>Sat, 23 Aug 2014 01:02:08 +0900</pubDate>
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<title>断髪小説①初恋(前巻)</title>
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<![CDATA[ <p>初恋</p><br><br><br>序章<br><br>初めて好きになった人の事。それは良くも悪くも、誰しも忘れられない淡い思い出なのではないかと思う。<br>一方、「断髪フェチ」に目覚めたキッカケ、又は初めて自覚した時。これも忘れられない印象深い出来事なのではないかと思う。<br><p>この二つ、「異性に恋をする事」と「断髪フェチの事」。二つは相反していて一つに重なる事は少ないと聞く。</p><br><p>「付き合っている彼女のロングヘアは切らせたりしない」とか、「断髪されてしまった後その人への興味は無くなる」など。</p><br><p>この2つが重なる事はないのだろうか。</p><br><p>私の断髪フェチ人格を形成した、初めてにして唯一の、忘れられない実体験を書かせて頂いた。</p><br><br><br>目次<br>序章<br>第1章・資質<br>第2章・彼女<br>第3章・転任<br>第4章・禁断<br>第5章・窮地<br><br><br>第1章・資質<br><br><p>当たり前だが、髪というのは誰でも伸びて来るものであり、見苦しくならない為には、美容室または理容室等で毛先を揃える等のカットが必要になる。一般的に女性はもちろん、私達大人や男性も含めてだが、髪の長さが長い人になるにつれてそのカット頻度は低く、短い人になるにつれてその頻度は高くなる、いわばマメなカットが必要になる傾向にある。小学生当時、私は断髪フェチの自覚には至っていないものの、資質だけはタップリだったらしく、女の子のカットの以下3点が好きだった。</p><br><p>①『ビフォアー・アフター』のギャップ。バッサリはその頂点。</p><br><p>②『いかにも切り立てホヤホヤ！』感溢れるクッキリ綺麗に切り揃えられたカットライン。</p><br><p>③カット後初お披露目の時の恥ずかしそうにする姿</p><br><p>休み明けの月曜日は、カット後初登校遭遇出来る可能性が他曜日に比べて若干高く楽しみだったりもした。</p><br><br><p>第2章・彼女</p><br><p>しかし一方、そうしたカット後鑑賞の楽しみからは最も縁遠い、カット後姿を見た事がが無いのは勿論、期待出来ない、切られるイメージすら湧かない子がいた。近所に住む同級生の女の子でK子といった。幼稚園や小学校低学年の頃までは、一緒に遊んだりする機会も少しはあったが、やはり3年生になった頃には遊ぶ事も少なくなっていた。周囲含め、女の子同志、男の子同志と分かれて遊ぶようになる傾向があった為自然な流れのようでもあったが、今になって思うと、どこかで異性として意識し始めていたからだと思う。元々大人びた子だったが、その頃からか更に他の女の子と比べてダントツで大人びていくようで、小学生にしては異例の「キレイな子」だという印象だった。勉強も運動も出来、ピアノが得意で、オシャレな子だった。クラスが一緒になった5・6年生では学級委員を務めるような子だったが、決して出しゃばるようなタイプではなく、おしとやかに優しくクラスメートの面倒を良く見て女子達からは信頼が厚く、周りには多くの女の子達が集まり、男子の間では密かに好きな奴がかなりいたと思う。そして、私もそのうちの一人だった・・・。</p><br><br>何故彼女のカットのイメージすら湧かなかったのか？一つは、何より彼女の胸や背中まで掛かる程のロングヘア自体もさることながら、胸下辺りまでもサラサラとなびくように流れる長くキレイな前髪が大人びた魅力として印象深くトレードマークとなっていた為だと思う。当時、私の周りの小学生では、オシャレに目覚め始める高学年であったとしても、多くの女の子達は目に掛からない眉ライン辺りで短めに切り揃えられているのが定番で、前髪だけお母さんに定期的に切り揃えてもらっていたりする子も多かった。掻き上げたりする程の長い前髪を持つ彼女のような子は唯一無二と言って良かった。先述の勉強、ピアノ、学級委員などほとんどの点において「優等生」と言って良かった彼女だったが、唯一にして最大の「優等生らしくない」点がその前髪・髪型だとも言え、そのギャップが何とも言えない魅力として私を惹きつけて止まなかったのだと思う。「彼女がヘアカットした姿を見た事がない」と先述したが、厳密に言うと、彼女もお母さんと一緒に美容院(当時は「パーマ屋さん」とも呼んだ)に行く事もたまにあったようだ。しかし、オシャレなお母さんの意向も反映されていたのか、伸ばす為の全体の毛先を軽く梳く程度のみ、今で言うとシャギーの軽いもの？で更にキレイに長くなっていくようで、パツンと毛先を揃えて切る「いかにも切った！」というきっちりとしたカットラインが大本流の当時としては異例中の異例だった。彼女が美容院に行った事に私は気が付いた事があったが、周りが気が付かない程のレベルだったり、更にキレイになっていたりして、彼女が恥ずかしがるどころか冷静・平然・堂々としていて、むしろ逆にこちらが恥ずかしくなって赤面してしまいそうだった。<br>そして、彼女のカットのイメージすら湧かないもう一つの要因として、周りの女の子との対比と彼女の存在感が挙げられると思う。<br>先述のように、月曜日など誰かが少しでも髪を切ってくると私は人一倍気付き、それが増してやバッサリともなれば、その嬉しさの裏返しかのように、すぐ悪ガキの友人達を連れて、ただでさえ恥ずかしがっているその女の子に追い打ちを掛けるように、からかいまくりイジリ倒したりしていた。しかし、それが顔を赤らめ恥ずかしがる位までは良いのだが、度が過ぎてケンカになったり、泣かせてしまったりという事も多々あった。その度に面倒見の良い彼女・K子は、その子を優しく守りフォローしてあげたりしていた。<br>前髪は作っていたものの、K子に匹敵する長いロングを誇りK子に次ぐ人気No.2だった子が、ある月曜日、そのロングヘアをバッサリと切り落としショートカットになって登校して来た。俺達「恥ずかしがらせ隊(？！)」は『今でしょ！！』とばかりに来襲してやはり泣かせてしまった。泣き止んだその女の子の顔は赤く腫れてしまっていて、サッパリとショートになってしまった髪型とも相まって、すっかり幼くなってしまったようで、かつての面影は全くなく、No.2の座から一気に「ただの人」に陥落してしまったようにすら見えた。<br>一方のK子は、その女の子のすっかり短くなった頭を、自らの変わらぬロングヘアがたっぷりと掛かる胸にそっと抱いて泣き止ませてあげたりしていた。見下したり笑ったりする事など微塵もなく、<br>「そんな事ないよ。可愛くなったよ。」<br>とか、<br>「ショートも似合ってるよ。」<br>などと優しくなだめているK子のその姿は、更により一層K子の大人っぽさとそのロングヘアのキレイな長さが更に際立って行くようだった。つい2日前の土曜日までは人気No.1No.2として、他の子達と比べると割と差が無かった二人の間に、今や天と地ほどの大差が付いてしまった対照的なコントラストだった。<br><p>同じように他にも、K子に近い長さを誇った、いわば、ライバル(勝手に任命)ともいえる女の子も若干いたが、その後のプールの季節になってバッサリと切ってしまったりした。私達「恥ずかしがらせ隊(？！)」は大忙しで、K子は相変わらず、例の如く優しくフォローしてあげ続けていた。その度に彼女がどんどん「無敵」となっていくようだった。そんな彼女の長い前髪がサラサラと流れるロングヘア輝く姿を見ていると、ふと思い始める。彼女自身がその髪をバッサリ切って登校してくる、又は皆と同じように目の上に前髪が切り揃えられている。そんな姿などイメージすら出来ない、この先絶対に有り得ない、誰もそんな事はさせる事が出来ないのだろう、と。大袈裟ではなく、子供ながらにしてそれは不思議な神秘性ようなものすら漂わせる『不敗神話』のように思えていた。</p><br><br><br>第3章・事件<br><br><p>クラス替えは2年毎の為、5年生から6年生に上がってもK子とそのまま同じクラスだった。通常であれば担任の先生も替わらず、増してや6年生ともなれば最上級生。そのまま卒業まで送り出すのが通例だった。しかし私達のクラスでは、5年生の中頃から、担任の若い20代の男の先生と一部生徒との間に問題が起きていて、生意気にも授業ボイコットにまでなって、クラス全体を巻き込み、PTAや教育委員会問題にまで発展してしまっていた。学級委員のK子は心を痛め、先生とその生徒達の間に入り、問題の解決を図ろうとしていた。先生との関係が悪化するのに反比例するようにK子の求心力は高まっていった。</p><br>やはりというべきか、5年生終了時を待ってその男の先生は更迭され、6年生時という異例の時期に、教育委員会からのお墨付きという他校から代わりの先生が送り込まれてきたのだった。当時37、8才？のベリーショートヘアの女性でハキハキしている先生で「大らかに個性を伸ばす」がモットーだったようで「得意科目だけでもいいんだよ。頑張ろう。」のような口グセで教育熱心だった。伴って小学校にしては割と生活指導も厳し目の先生だったようで、机やロッカーが汚い、だらしない男子などは容赦なく怒られていた。しかし前年の流れからクラス全体に反発する悪しき慣習のようなものが残ってしまっていたようで、その優秀な先生を持ってしても生徒の掌握には時間が掛かる様相を呈していた。<br><br><br>第4章・禁断<br><br>それは、年度始めの身体検査の結果が出た4月後半の時の事だったと思う。結果表を配り終わると先生は、視力が落ちていた人が多かった事を挙げ、<br>「目に前髪が入ると視力が落ちてしまう為、掛からないようにしていこう。」<br><p>と、髪が主原因かの如く皆に指導を始めた。大概はPCやテレビゲームが原因の子だったはずだ。しかし、元来「個性は外見じゃない・内面から出てくるもの」が持論だった先生は続けた。</p><br>「今後、高校生や大人になったらいくらでも自由に外見を着飾る事が出来るんだから。」<br>「こ～れ～は、やっぱり女の子かな～？」と皆を一瞬見回して、<br>「K子ちゃんとかねっ！ちゃんとしていこうねっ！」<br><p>と明るい口調で笑いながらではあったものの、皆の前で彼女を名指し注意喚起した。前述のように周りの子に比べてダントツ・唯一無比とも言ってよい、あの前髪の長さの事だけを考えれば、転任して来てすぐのその先生の客観的視点では然るべきだったかも知れない。しかし、キレイにサイドに流してブローされていたのか、顔前面全てを覆ってしまうまでの事は無く、しかも学級委員を務める優等生で他の事でも名指しで注意される事などなかった彼女は、もはや撃たれる杭のレベルには居ない突き抜けた超越した存在の様で、今までどの先生からもその髪の事で注意された様子もなく、それはもはやある種のタブー・禁断の不可侵とも言える領域ですらあった。</p><br><p>彼女は少し複雑な表情を浮かべながら言葉を発しなかったような記憶がある。反響が巻き起こったクラスの様々な声の喧騒の中で、私は、今まで誰も踏み入れなかった『神格化された不可侵領域・アンタッチャブル』に先生がついに初めてメスを入れてしまった瞬間、言葉に出来ない何か不思議な胸騒ぎを覚えていた。その胸騒ぎの正体が何であるかは、その時はまだ知る由もなかった。</p><br><br>先生も、皆の前で名指してしまって流石にフォローが必要と感じたのか、その直後の掃除の時間になると、彼女と横で一緒に掃除をして優しく言葉を掛けていた。<div><br>先生:「でも本当よー。視力って回復しにくいし、悪くなってからじゃ遅いのよー。」<br>「だから、留めるか・結ぶかして来るようにしなさいっ。」<br>K子:「はい。」</div><div><br>先生の本当に親身な対応に心を開いたのか、彼女も素直に笑顔で納得し和やかな雰囲気で二人の間が収まったようだった。しかし先生の思いつきで発したような一言から思わぬ方向に話が進んで行った。</div><div><br>先生:「もし留めたり結んだりが大変で嫌だったら、、、あとは、、、切るとか？」</div><div><br>『切る』という全く予期せぬフレーズに反応したのか、直ぐに彼女も即再回答していました。<br></div><div>K子:「これからは垂れてこないようにピンで留めるかゴムで結いたりするようにしていきます。」</div><div>先生:「・・・・・・・・・。」</div><div><br>彼女の改めての返答を聞いて暫く沈黙しながらK子の姿を見つめていた先生でしたが、そのロングヘアに視線を移しながら聞きました。</div><div>先生:「ずっと長いの？」<br>K子:「・・前髪ですか?」<br>先生:「前髪も含めて全体的にも。」<br>K子:「はい、ずっとロングです・・。前髪は入学後以来ずっと伸ばして・・・。」<br>先生:「そうか、じゃ、短く切った事ないんだ～？！」<br>K子「、、？はい、ロングは切った事無いです。前髪は、、入学式前日に切ったのが最後です。。。。」</div><div><br>一転して妙な成り行きを感じたのか言葉少なになり始め不安そうな表情を浮かべ始めたK子だったが【先生と学級委員の良好な関係を壊したくない、嫌われたくない】心情とは考えすぎかも知れないが、耳を傾けざるを得ない様子だった。対照的に、先生はそんな様子の彼女の心理状態を感じた上で逆手に取ったのか、また名案が閃いたように嬉々とした表情になって言った。</div><div>先生:「いい機会だから、スッパリ切ってみたら良いじゃない。」<br>K子:「えっ・・・・・・・・？」</div><div><br>思いもよらぬ先生の一言に動揺するK子に対して先生は畳み掛けるように続けた。</div><div><br>K子:「・・・でも留めたりしておけば大丈夫ですよね？」<br>先生:「だけど体育とか、これからプールとか始まると大変じゃない？」<br>K子:「・・・・でも、今までもそうやって来ましたし。」</div><div><br>先生:「先生、短い子が好きだなっ。」<br>K子:「？！・・・・・・・・・・。」</div><div><br></div><div><br>先生:「心機一転また入学式の初々しい1年生みたいな姿に戻ってまたゼロからリスタートみたいになるのも新鮮で良いと思うよ〜❗️」<br></div><div><br>前髪だけの話だった筈が何故か髪全体に波及させられ、完全な先生のペースで話が進んでしまっていた。何より「～が好き。」という先生としての公平性を欠き、且つ自らを否定されてしまったような一言に衝撃を受け絶句した彼女だった。その時運良く鳴った掃除終了の鐘に救われたように、友達との下校時間を口実にその場は何とか凌いだようだった。周りの女の子達は「大丈夫だった～？」「え～！そんな事言われたの～！」などと内容を聞いて驚いていたが、<br>「そんな話気にする事ないよー！」などと先生への反発感を露にし、今度は私達がK子を守ってあげる番、とばかりにいきり立っていた。<br><br>次の日以降、約束通りピンで留めたり、ゴムで結いたりしている時もあるようだったが、体育の後外れてしまったり、やはり下ろした姿が気に入っているようでそれまで通り横に流したり垂らしたりしている時もあるようだった。<br>彼女の今までの『不敗神話』を思うと、こんな程度の『危機』は何度も切り抜けて来ている。あんな先生に何も出来る訳がない、今回もK子は最後にはきっと切り抜けるに違いないと思っていた。<br>そんな大方の予想に反してK子を取り巻く環境は厳しさを増して行く。5月に入った頃にはコミュニケーションも充分に取れてきたのか、厳しさの中にも交えるユーモアも人気が出て、先生は生徒からの求心力をどんどん高めていった。厳しい指導に反発や拒絶を見せていた子達も次第に信頼感を寄せ、素直に従うようになっていく。</div><div>そんな象徴的な出来事も起きた。K子程ではないものの僅かながらの前髪の長さを注意されていた女の子が他に2人だけ居たのだが、2人共に目に掛からない短さに前髪を切り揃えて来たのだった。先生は、その切って来た2人の女の子達の事を引き合いに出し、K子に執拗に切るよう促していた。K子は何とか言い逃れているようだったが、それまで一貫して盲目的にK子を擁護してきた周りの多くの女の子達にもこの頃になると少しずつ変化が現れて来ていた。</div><div>「K子はどうするの？K子も切るの？」</div><div>などと今まででは有り得なかった声が出始めていた。外堀から少しずつ埋められていってしまっているかのようなK子だったが、結局最後には窮地を脱し、きっとまた今までのように「不敗神話」が続くのだろうと思っていた。<br><br><br>第5章・窮地<br><br>GWが開けて彼女の家の家庭訪問があった5月中旬の夕方ごろ、自分がいつものように近所の男友達と遊んでいた近くで、これまた同じくいつものように彼女のお母さんや自分の母親も含め近所の母親達だけが集まった井戸端会議でおしゃべりが繰り広げられていた。話題は済んだばかりの各家庭訪問。うちの場合はどうだった等、花が咲いていたようだが、K子のお母さんも漏れなく、その日終わったばかりの家庭訪問の感想を喋っていた。</div><div>先生からK子の前髪について話をされた事を話していた。</div><div>「パーマ屋さん(※当時は美容室をこう呼ぶ人が多かった)に連れて行かなきゃ。」</div><div>まさか⁈と一瞬耳を疑った。お母さんは何と彼女を切らせる方向に考えているようだった。おしゃれでキレイなお母さんだったので、K子にの髪型にもこだわりがあるのだと思っていたので反応が意外にも思えた。だが、先生の忠告は、前年のクラス崩壊事件でPTAとして対応したばかりでまだナーバスな時期のK子のお母さんを過剰反応させ、学級委員の娘を反目させる訳には行かない、と考えさせたようだった。<br>友達という「外堀」のみでなく、お母さんという「内堀」までも埋められてしまった形のK子だった。<br><br>「えっ～どの位の長さにするのっ〜？」<br>「まぁ揃えるだけでも違うだろうしね～。」<br>などと近所のお母さん連中に言われていたが、<br>「あ、そうだ、今週日曜日だっけ？また『青空理容師さん』来てもらうから、その時に一緒にやってもらうといいんじゃない？」<br>と、あるお母さんが思いつくと<br>「あー、そうだ、◯日だっけ？ちょうどいいかもね～！」<br>「うん、上手いし安くやってもらえるから良いよ～！」<br>などと多くのお母さん達が思い出したように同調していた。<br><br>                                                    続</div>
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<pubDate>Sat, 23 Aug 2014 00:51:40 +0900</pubDate>
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<title>はじめまして</title>
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<![CDATA[ 小説やら何やら。<br>良かったら読んで下さい。
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<pubDate>Sat, 23 Aug 2014 00:48:52 +0900</pubDate>
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