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<title>秋坂レポート(別館)</title>
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<description>北海道在住の作家、秋坂昇龍です。</description>
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<title>名もなき花</title>
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<![CDATA[ <p><span style="font-size:1.4em;">名もなき花なら<br><br>せめて気高く咲き誇ろう<br><br>そして鮮やかに散りゆこう<br><br>名もなき花らしく</span></p><p>&nbsp;</p><p><span style="font-size:1em;">※これも10年前に書いた作品です。てか過去作品ばっかでスマソm(__)m</span></p>
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<link>https://ameblo.jp/akisaka-report/entry-12370741764.html</link>
<pubDate>Tue, 24 Apr 2018 02:13:22 +0900</pubDate>
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<title>女郎花</title>
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<![CDATA[ <p><span style="font-size:1.4em;">ピンを口にくわえ<br><br>乱れ髪を整える君の仕草が<br><br>私の心を激しく揺さぶる<br><br>そして君は　微塵も気付かぬ素振りで<br><br>私に悪戯な笑みを投げかけ<br><br>胸元からそっとカードを差し出す<br><br>罠にかかれと言わんばかりに<br><br>虜になれと言わんばかりに<br><br>だがハートのエースはそこにはない<br><br>女郎花は駆け引きがお好きだから</span><br>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>※10年前に書いた作品です</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/akisaka-report/entry-12369413704.html</link>
<pubDate>Wed, 18 Apr 2018 21:32:21 +0900</pubDate>
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<title>人生桜歌</title>
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<![CDATA[ <p><span style="font-size:1.4em;">「来年は見られるかのう・・・」</span></p><p>&nbsp;</p><p><span style="font-size:1.4em;">　父は去年の冬から入院生活を余儀なくされ、今年は庭の桜を見ることができなかった。末期の肝臓癌で余命あと２ケ月と宣告され、10月に自宅療養に切り替えた。もう11月、残り1ケ月しかない。運が良ければ年は越せるだろうが、北海道で桜が花を咲かせるのは早くても４月中旬以降、それまで命が続く可能性は限りなくゼロに近い。　</span></p><p>&nbsp;</p><p><span style="font-size:1.4em;">　この桜の木は父が生まれた年に、父親、つまり私の祖父が庭に植えたそうだ。母は７年前に先立ち、父の唯一の拠所がこの木なのである。第二次大戦の戦火にも耐え、激動の昭和を共に歩んできたこの木は、父にとってはかけがえのない“盟友”なのかも知れない。</span></p><p>&nbsp;</p><p><span style="font-size:1.4em;">「頑張れば見られるわよ」</span></p><p>&nbsp;</p><p><span style="font-size:1.4em;">　私は希望的観測以外、父にかける言葉はなかった。痩せ細り、炭鉱の穴倉で鍛え上げられた屈強な肉体を誇った嘗ての面影すら、今は見ることのできない父の姿、とても北海道の厳しい寒さに耐えられるとは思えない。大切な父には一日でも長く生きて欲しいと願うのが娘としての役目なのは分かっているが、そう思うと涙が止まらなくなり、父の前にとても居られない状態になる。私の涙が意味するものが何なのか、病床に臥している父には言わずとも伝わってしまうだろう。</span></p><p>&nbsp;</p><p><span style="font-size:1.4em;">「せめてもう一回あいつが花を咲かせるのを見届けないと、わしは死ぬに死ねんよ」</span></p><p>&nbsp;</p><p><span style="font-size:1.4em;">　父は笑いながらそう言った。最後の目標にして少しでも生き長らえようとする、父なりの自分に対する喝なのだろう。しかし、父には話してないのだが、この桜の木は今年、花はおろか、葉さえも付けることはなかったのだ。父より先にあの木が逝ってしまったことは、口が裂けても言えない。言った途端、父も逝ってしまいそうな気がするからだ。</span></p><p>&nbsp;</p><p><span style="font-size:1.4em;">　１２月に入ると、父の状態は日を追うごとに芳しくなくなってきた。肝機能不全で意識障害を起こす頻度も増してきている。どこにも体力など残っていないはずの体で、薬を飲ませようとする私の手を力いっぱい払い除けたり、粥を入れた茶碗を投げ捨てたりした。時々私が誰なのかさえ分らないこともある。もう励ましの言葉すら毒になりそうで怖い。</span></p><p>&nbsp;</p><p><span style="font-size:1.4em;">「親父、もうダメそうだな・・・」</span></p><p>&nbsp;</p><p><span style="font-size:1.4em;">　この家になど滅多に顔を出さなかった兄も、父が癌を宣告されてから、週に一度は訪れるようになった。とは言っても、来ても父が亡くなった後の段取りなどの事務的な話をし、それが終わると父とはろくに会話もせずに帰っていく。兄は元々父とは仲が悪く、話せば喧嘩になるからとお互いに避けていた。だからこうして来るだけでもよしとすべきなのかも知れない。だが、今日はどうしたことか、子供の頃の写真を押し入れから引っ張り出したかと思うと、徐に父の傍に座り、それを片手に昔話を始めたのだ。</span></p><p>&nbsp;</p><p><span style="font-size:1.4em;">「この時よお、庭の桜の木に傷付けて、しこたまぶん殴られたよな」</span></p><p>&nbsp;</p><p><span style="font-size:1.4em;">　兄は小学５年生の夏休みの写真を指差しながら、父を恨めしげに、でも幼い子のような無邪気な顔で笑って見せた。</span></p><p>&nbsp;</p><p><span style="font-size:1.4em;">「あの木はわしの大事な相棒だ。それを傷付ける奴は、たとえ息子でも許さんよ」</span></p><p>&nbsp;</p><p><span style="font-size:1.4em;">か細く小さな、しかし一つ一つ気持ちを込めるような声で言葉を絞り出し、父も笑顔を見せる。父と息子とはこんなものなのかと、私はその様子を、何故か他人事のような目で見ていた。たぶん嫉妬したのだろう。表面ではいがみ合っていても、心の奥底では私以上に兄は父と通じ合っている、そんな気がしたからだ。</span></p><p>&nbsp;</p><p><span style="font-size:1.4em;">「あれだぞ、あと半年頑張って、庭で花見するぞ」</span></p><p>&nbsp;</p><p><span style="font-size:1.4em;">　初めてだった。兄が父にこんな優しい言葉をかけたのは。たかが夕食を共にすることさえ嫌がっていたのに、一緒に花見をしたいなどと言うとは思ってもみなかった。さしもの兄も父の弱り切った姿を前にして、素直にならざるを得なかった、そんな気がする。</span></p><p>&nbsp;</p><p><span style="font-size:1.4em;">「お前と一緒に花見なんかしたら気分が悪い。だからいらん」</span></p><p>&nbsp;</p><p><span style="font-size:1.4em;">父は照れ臭かったのだろう、憎まれ口を叩いて兄に背を向けてしまった。</span></p><p>&nbsp;</p><p><span style="font-size:1.4em;">「あぁ、そっかい。耄碌するとどんどん可愛げがなくなるもんだな」</span></p><p>&nbsp;</p><p><span style="font-size:1.4em;">兄も父と同じように悪態をつき、自分の言葉に照れている。でも兄の目には薄らと涙が浮かんでいた。励ましたのではない、本気で父と一緒に花見をしたいと思った、それ故の涙だろう。そしてふと父に目をやると、心なしか背中が震えているように見えた。</span></p><p>&nbsp;</p><p><span style="font-size:1.4em;">「なんかここの家は埃っぽくて目が痒くなる。ちょっと庭でタバコ吸ってくるわ」</span></p><p>&nbsp;</p><p><span style="font-size:1.4em;">ひとつ鼻をすすって、兄は庭へと出て行った。父から男は人前で泣くものではないと教え込まれているからか、たとえ家族の前でも兄が涙を見せることは決してなかった。母の葬儀の時にも、従兄弟連中が涙ひとつ見せない兄をなんとか泣かせようと画策したのだが、結局それも失敗に終わった。しかし葬儀が終わった後、車の中で一人号泣している兄の姿を叔母が見つけ、私と父にこっそり教えてくれた。父の古臭い教えが、今では兄の“美学”になっている。</span></p><p><span style="font-size:1.4em;">　</span></p><p><span style="font-size:1.4em;">　私は兄にコーヒーでも淹れてやろうと立ち上がり、ふと庭に視線を向けると、兄が何やら叫んでいるのが目に入った。ちらちらと雪が舞ってはいたが、北海道の12月に雪は付き物なのだから、そんなことを珍しがっている訳ではないだろう。では何か。私は兄に手招きされるままに庭へ赴き、訝しげに兄の顔を見た。</span></p><p>&nbsp;</p><p><span style="font-size:1.4em;">「これ、見てみろよ」</span></p><p>&nbsp;</p><p><span style="font-size:1.4em;">　兄は何故か枯れた桜の木の枝を指差した。そこに何があるというのか、少し冷めた目でその方向を見ると、なんと一輪だけ桜の花が咲いていたのだ。</span></p><p>&nbsp;</p><p><span style="font-size:1.4em;">「ど、どうしてこんな時季外れに桜なんか・・・。しかもこの木・・・」</span></p><p>&nbsp;</p><p><span style="font-size:1.4em;">「お前は相変わらず理屈っぽいな。それより親父に見せてやろう」</span></p><p>&nbsp;</p><p><span style="font-size:1.4em;">私は兄に手を引かれ、縁側に足を引っ掛けながら家の中に引きずり込まれた。</span></p><p>&nbsp;</p><p><span style="font-size:1.4em;">「親父！あいつ、今頃花咲かせやがったぞ！」</span></p><p>&nbsp;</p><p><span style="font-size:1.4em;">　兄の言葉を聞いて、父は一瞬驚いた表情を見せたが、次の瞬間にはからかうのはやめろと怒りを露にした。</span></p><p>&nbsp;</p><p><span style="font-size:1.4em;">「今更からかうはずないだろう。親父、立てるか？見に行くぞ」</span></p><p>&nbsp;</p><p><span style="font-size:1.4em;">兄は未だ猜疑心に満ちた父を布団から引っ張り出し、庭へと連れ出した。そして桜の木の前に立たせ、凛々しく、そして厳かに咲く花弁を父に見せる。</span></p><p>&nbsp;</p><p><span style="font-size:1.4em;">「お、お前・・・」</span></p><p>&nbsp;</p><p><span style="font-size:1.4em;">　父はそう言うと木の幹に頬擦りをし、「ありがとう」を繰り返しながら大粒の涙を流した。父の流す涙を見るのも今日が初めてだ。頑固一徹の父に自らの信念を忘れさせ、そして涙を流させた“盟友”からの最後の贈り物、そこには苦楽を共にした者同士にしか分らない絆が垣間見えた。</span></p><p><span style="font-size:1.4em;">　</span></p><p><span style="font-size:1.4em;">　その二日後、父は安らかな死に顔で母と、そして“盟友”の元へと旅立った。父は最後に桜の花を見ることができて思い残すこともなかったのだろうが、私は少しだけ“盟友”を恨んだ。花が咲かなければ、父はあと幾許か生き長らえたかも知れない、そんな思いがあったからだ。だが、それは私のエゴだということは分かっていた。何を一番に考えるべきなのか、私は粋な贈り物をした“盟友”から学ばなければならないだろう。</span></p><p>&nbsp;</p><p><span style="font-size:1.4em;">　翌年、雪もすっかり融け、北海道に遅い春がやってきた。そして驚くことに、枯れたはずの“盟友”に葉が付き、満開の花が咲き乱れたのである。きっと父の魂が乗り移ったのだと、私は一人庭に出て、父がしたように幹に頬擦りをした。ごつごつしているはずの表皮が何故か人肌のように柔らかく感じられ、そこから心臓の鼓動が聞こえているような、そんな錯覚さえ覚えた。これはきっと父からの最後の贈り物なのだろう。ありがとう、お父さん・・・。</span></p><p>&nbsp;</p><p><span style="font-size:1.4em;">　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　了</span></p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p>
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<pubDate>Mon, 16 Apr 2018 02:46:56 +0900</pubDate>
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