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<title>ラノベ感想エトセトラ</title>
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<description>ラノベの感想メインのブログっす</description>
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<title>廃皇子と獣姫の軍旗</title>
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<![CDATA[ <p>田代さんて、ミステリー畑の人かと思ってましたけれど、戦記モノもこれがなかなか、面白かった。<br>大国の皇太子にして、軍の総司令官だった青年が権力争いに敗れて国から逃げる、というのは決して珍しくないシチュエーションだけれど、流れる先がその大国に滅ぼされかかってる小国というのはともかく、完全に文明圏が違う蛮族の生息圏に流れる、というのは結構見ないかも。<br>国力の差こそあれ、だいたい同じ文明圏ですもんね。ところが、このウィルフレドが落ち延びるのは、侵略者として彼が総指揮していた、海を隔てた新大陸の、部族単位で戦力をなしている獣人たちの郷。国家も軍もないどころか、ちゃんと組織だった統治システムすら構築されてない文明圏なんですよね。<br>いわば、アメリカ大陸のネイティブアメリカンの集落に逃げるとか、中華圏から遊牧民族の匈奴とかに逃げ込むようなものか。本邦で言うなら、坂上田村麻呂が一度破って捕らえた蝦夷のアテルイと一緒に逃げ出して、蝦夷と協力して逆に蝦夷征伐軍を破っちゃうような話だよなあ、これ。<br>国に居られなくなったとしても、そこに逃げるか、という選択肢なんですよね。それを、わりと平々と屈託なくやれてしまうあたり、このウィルフレドという皇子、ちょっとおかしい。<br>どうも価値基準がややズレてる気がするんですよね。あまり、復権に関して関心がない気すらする。力を取り戻して、自分を追い出した奸臣たちを排して、帝国の皇太子として舞い戻るつもりにしては、行動がおかしいんですよね。なにしろ、彼が蛮族たちと協力して徹底的に打ち破ることになる軍団は元々彼が率いていた一団であり、皇子を崇拝し慕う兵士や将校もたくさんいる、ウィルフレド派……身内と言ってもいい軍団なわけですよ。復権を考えるならば、まず最初に取り込まなければならない一勢ですらあるのに。<br>彼の中の優先順位と、その特性については彼自身の口から語られてしまっているので、齟齬はないのですけれど……これは面白い奇妙さだなあ。<br>彼が自覚している通り、ウィルフレドって状況に対して対処、或いは準備しておくことに関しては凄まじいの一言なんだけれど、その状況そのものを動かす、或いは作り出すことに関しては全く手を出さないのである。<br>つまり、事が起こってから、或いは起こることを見越して動くだけれで、対処行動予備行動に限定されちゃってるんですよね。マクロで見ると、徹底して状況に流され続けている、とすら言えるわけだ。これだと、まず政局や戦局のイニシアチブは取れないわけで、常に後手に回り続けないといけないわけで、これは相当に苦しい縛りですよ。本人、なんかそれを楽しんでいる素振りすらあるのが、危なっかしいというか若干壊れてる印象を伴う理由なんだろうなあ。<br>とはいえ、このままだと蛮族側で発言権を手に入れても、ろくに動けないので彼自身意識改革をしていかざるを得ないんだろうけれど……。何しろ、彼の優先順位的には獣姫ククルが一番になっちゃってるからなあ。帝国に戻ること云々がどうでもいいとなると、ククルが望む方向にどうしたって行くことになるので、むしろこれ、脳筋っぽいククルが先行きに関するヴィジョンを提示しないといけなくなるんじゃないだろうか。つまるところ、獣姫が黒狐を使えるようにならないと、話にならないわけで……こりゃ、ククルが大変だ、大変だ。<br>えらいもん、拾ってきてしまったんじゃなかろうか、彼女ｗ<br>既に彼を受け入れた族長が、色々と面倒押し付けられてえらいことになってるし。あの皇子のへらへらした笑顔、救いの神というより疫病神みたいなもんじゃないんだろうか、これｗ<br>帝国に残されたウィルフレド派の人たちも大変だし、国を追われた皇子よりもむしろ周りの方が苦労しそうな話だなあ、でも面白い。<br>&nbsp;</p>
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<pubDate>Sun, 25 Dec 2016 00:00:00 +0900</pubDate>
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<title>呪術法律家ミカヤ</title>
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<![CDATA[ <p>自分の信念に殉じる、という人を描くのはなかなか難しいと思うのだ。下手をすると意固地のただの頑固者になってしまうし、度が過ぎれば狂信者じみたキャラクターになってしまう。周りを見ずに暴走する困ったちゃんにもなれば、人の話を聞かずに結論にしがみつく迷惑な人にもなるだろう。<br>譲れないものを抱え込む、というのは対立軸を作りだしてしまうものだから、どうしたって争いは起こってしまうものなのだ。<br>その意味では、彼女……この物語の主人公であるミカヤのそれは、泥と苦渋に塗れてなお譲れない、譲らないと見定めた、決意の信念なのである。自らの大切なものを折り、背を向けて、罪を犯してなおそれでも貫くと決断した信念なのである。<br>考えなしに武器として振り回す武器としての棒きれではなく、自らを飾って見せるための装いでもない、こう生きるのだと決めた、生き様なのだ。<br>だからこそ、カッコいい。だからこそ、惚れ惚れとする。<br>逃げ出そうと思えばいつでも逃げ出せた暗殺者アイスフェルドが、どうしてこの裁判に付き合い続けたのか。彼女を見ていたかったからだ。彼女の生き様を、見届けたかったからだ。彼女が信念を貫く様が、見ていて心躍るものだったからだ。輝く魂ほど、見ていて心浮き立つものはない。<br>だからこそ、彼は容疑者であり被弁護人という立場でありながら、常に真実を語り、自分に不利となる証言も厭わず、からかい混じりにだが公平に発言し続ける。<br>さあ、真実を明らかにしてみせろ、と自らの弁護人を挑発しながらだ。<br>その挑発に、或いは挑戦に、彼女は真っ向から挑むのだ。実に、良い主人公である。<br>そして面白いことに、この物語は真犯人とミカヤの対決ではなく、おおよそ弁護士であるミカヤと容疑者であるアイスフェルドとの対決であった、と言えるのかもしれない。<br><br>肝心の裁判パートだけれど、ファンタジー世界という要素を加味しつつ、これがまたかなりしっかり出来てるんですよね。この手の裁判モノはライトノベルでもいくつか出てますけれど、その中でも質実剛健に出来上がっている部類なんじゃないでしょうか。検事サイドとの駆け引きや証拠・証人集め。真実を求めて、危険も顧みず家中へと踏み込んでいく果敢な行動。そして、虫食い状態の証拠を繋いで、真実を見出していく推理パート、と丁寧に積み上げてってるんですよね。<br>ファンタジー要素についても、荒唐無稽ではなく、きちんと説明して論理だてて証拠の中に組み込んでいますし。偶然、事件の折に真犯人に辿り着く証拠となり得る出来事が起こっていた、なんて展開はまあミステリーでは珍しくもないので、これは突っ込むほどのことでもないでしょう。<br>瑕疵を感じたところがあるとすれば、けっこう無造作に人が死にすぎてるんじゃないかなあ、というところですか。たった一人の殺人事件の裁判にも関わらず、ちょっと無造作な余計な死人が多すぎたような。危険度高すぎですよー、これ。<br><br>これ一巻で完結していて、なかなか続きを出すのは難しそうな展開でしたが……いや、無理やりアイスフェルドを絡めなければ、普通に別の事件での裁判にすればいいから、続けようと思えば全然続けられるのか。<br>誰かに寄りかからないとダメなヒロインではなく、決然と自分で立って戦える女性が主人公ということで、なかなか見応えのある裁判ものでした。善哉。</p>
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<pubDate>Wed, 21 Dec 2016 00:00:00 +0900</pubDate>
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<title>セブンスターズの印刻使い　３</title>
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<![CDATA[ <p>このジャケットデザインは好きだなあ。ピトスの初登場時は、治癒術師でサポート役という役回りもあり、自己主張も少なく穏やかに笑ってるような大人しめのキャラクターに見えたのが、バリバリの武闘派だったのがよく分かる勇ましいイラストじゃないですか。<br>未だメンバーの大半が登場していないアスタの元仲間たちである【七星旅団】のメンバーも世間的にも知られている事は少なく謎多き存在なのですけれど、学園組に当たるピトスたちも何気に大概謎なんですよね。ピトスからして、学園生としては埒外なほどの戦闘経験の持ち主で明らかに修羅場慣れしているという。シャルに関しては、むしろ当人のほうが自分の出自についてわかっていないのですが。魔法使いアーサー＝クリスファウストの娘、を自称しながらその詳細を全く知らない、という。<br>ともあれ学園第二学年四傑のレヴィ、ピトス、シャル、ウェリウスの四人は、こうしてみるとアスタと同世代というだけあって、物語の主役格でありヒロインなんですよね。むしろ、七星旅団のメンバーはRPGで言うところの前作の主人公たち、みたいな役回りなのかもしれない。まあ、メロは年少組ということもあってバリバリに絡んで来てますけれど。彼女もまた成長枠だしなあ。あとは、フェオもこれ今後も深く関わってくるので……主要メンバーこうしてみると多いなあ。最後に現れた彼女もそうですしねえ。逆に、最初まるでメインヒロインのように登場したレヴィが一番出番少ない、という。ウェリウスなんて、最初のダンジョンで痛い目見てフェイドアウトするいけ好かない増長した貴族キャラ、と見せかけて、レヴィなんかよりもよっぽど出番ありますもんねえ。<br><br>さて、ウェブ版を先に読んでいるとピトスの事情や過去についてはだいたい明らかになっているので、この時のアスタとのやり取りを見ていると色々と気づくこともあって、面白い。彼女の正体を知ったあとだと、会話の内容や反応でけっこう「おっ！？」と思う部分があるんですよね。こういう所なんぞは、再読の楽しみである。<br>優しげに見えて、情の深いというか怖い女性だからなあ、ピトスって。こういう穏やかな言動を装いつつ、急所をグリグリと捻ってくる押しの強いキャラは好みなのでいいんですけれど。それに、アスタっていつ如何なる時も血を吐いて怪我しまくる主人公なんで、どう考えても治癒術使う人が傍に居ないとすぐ使い物にならなくなるんですよねえ。となると、ピトスがメインヒロイン枠というのもある意味当然なのか。前日譚においても、主にコンビ組んでたの、治癒術師の娘でしたし。<br>相変わらず、訳がわからないけどすげえ！　という描写は面白い。メロにしても、アスタにしても、先生にしても、それぞれ訳の分からなさの質、タイプがそれぞれ違うのも楽しさの理由なんですよね。通り一遍の強い描写だと飽きがくる。でも、手を変え品を変えの訳の分からなさ、というのはワクワクさせてくれるものです。<br>それに、七星旅団メンバーのような天井突き抜けた理解の埒外みたいなのだけではなく、例えばピトスのサポート役と見せかけて、フェオの前衛シャルの後衛というバランス取れたコンビ相手に、その肉体一つでぶん殴り蹴っ飛ばしねじ伏せるという肉体言語バリバリな戦闘スタイルで圧倒する、という意外性もまた、シャルやフェオからすると「なにこれ分けわかんないんだけど！？」という意味不明さなんですよね。<br>いろんな場面、様々なスケールで「想像を超える」シチュエーションが用意されている。こういうのって、楽しめるなら実に面白いんですよね。そして、こういうケースは能力面のみならず、感情的なもの人間関係のぶつかり合いとしても、時としてそれぞれのキャラが抱いている「予想」を越えるシチュエーションも入ってくるわけですよ。そうなると、恋愛パートでも友情パートでも、実に楽しいことになってくる。<br>波長が合ってるんでしょうね、この作品だから凄い好きなんだよなあ。<br>なあ、ちょっと七曜教団絡みの展開には、その分じれったさを感じてしまうところですけれど。他が基本、痛快感を感じさせるところが多いだけに、余計にこっちのターンがほとんどない教団相手の展開は焦らされるんでしょうけれど。</p>
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<pubDate>Fri, 16 Dec 2016 00:00:00 +0900</pubDate>
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<title>折れた聖剣と帝冠の剣姫 ２</title>
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<![CDATA[ <p>自分たちの国を作る、という夢は夢として、ファルたちが一番楽しいのはやっぱり三人で冒険の旅をする、というところなんだろうなあ、とリュシュール姫からの依頼に応えてエルドーム王国に向かうことになってからのファルとルシードのウキウキっぷりを見るとそう思うわけで。<br>現状、とても国としての体裁を整えられてるとは言えないのだけれど、パルミラ王国からファルを慕って部隊が抜けてきてるのかー。三人だけの旅じゃなく、ちゃんと兵隊を引き連れての旅になってるあたり、メインの三人が何だかんだと全員王族であるのが出てて面白い。一冒険者の出世譚や成り上がり物語じゃなくて一応最初から王族だった人達による建国譚なんですよねえ。<br>そもそも、パルミラのファルと、カーヴェル王国のルシードとコンスタンスが共同統治してるように彼女たちの国は最初から違う国の者同士が寄り集まって新しい国を作る、というカタチになっているのだけれど、今回エルドーム王国での冒険で、ファルが連れてきたパルミラ兵とリュシュール姫の護衛として連れてきたエルドーム兵が一緒に戦うことで戦友としての共感を抱くようになっているのを見ると、今後はパルミラとカーヴェルだけじゃなく、それ以外の国々からも人が流入してきて、というカタチになるんだろうか。どちらにしろ、今のままだと国どころか都市とも言えない辺境の村に過ぎないので、いずれにしても入植者は募らないといけないことになるんだろうけれど。<br>となると、今回のエルドームとの誼を通じた件も大事なんですよね。言及はされてませんけれど、リュシュールの第五王女、という立場は身内からは愛されているのはともかくとして、政略結婚の駒として利用されるのが当然の立ち位置ですからね。こっちに送られてくる可能性高そうだなあ。<br>ただ、そういう婚姻外交が絡んでくると、やっぱりファルとルシードとコンスタンスが上下の差がない共同統治者、という点が面倒になってくるんですよねえ。建前的にも本音的にも、くっついちゃって問題はなさそうなんだけれど……。<br>ファルも全然まんざらじゃなさそうなんだがなあ。リュシュールからの依頼を受けるかどうかを、彼女がルシードたちの意見を聞いてから受けるかどうか決めたのだって、立場を考えてとか気を遣ってとかじゃなくて、極々自然に勝手してルシードやコンスタンスに嫌がられたくない、という気持ちからみたいでしたし。<br>まあ、ルシードたちからすると、ファルが受けるのはまず当然として、それをどう処理するか、に最初から頭が行っていたみたいなので、ファルの心配しすぎだったのですが。<br>でも、姉兄二人がくっついちゃうと、コンスタンスが浮いちゃうのか。この世界の倫理観的に腹違いの妹までならOKなら別にいいんだけれど。コンスタンス的には兄にべったりですしねえ。<br>今回の冒険で、単に兄にくっついていくだけじゃなく、ちゃんと自分の力で立った上で兄にくっついていく自信は得たみたいですけれど。<br><br>しかし、ファルの姉姫様は一応クーデター政府に対して正当派を主張する勢力を束ねて引っ張ってるのかー。聖剣問題からして、正当パルミラを名乗るからには本物の聖剣を手に入れたとするファルに対しては偽物だと非難する他ないので、これは簡単に合流とはいかないかも。一応、姉姫さま当人は沈黙を守ることでファルを守ってるみたいだけれど。<br>あー、そうなるとイフリートの祭壇の奥で新たに見つかった朽ちた聖剣が、色々と重要になってくるのか。もしかしたら、聖剣は一本じゃなかったかもしれなくなるわけだし。</p>
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<pubDate>Mon, 12 Dec 2016 00:00:00 +0900</pubDate>
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<title>異世界拷問姫</title>
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<![CDATA[ <p>これは異世界違う！　異界や！！<br>いやまじで、異世界観が他と違いすぎる。それよりも、綾里けいし作品で度々邂逅することになる「異界」と呼んだ方がよっぽどしっくりとくる世界であるこれ。<br>なにより、作中における内臓率が高すぎる。腸率が高すぎる。残虐劇（グランギニョル）たる作品は決して珍しくはないけれど、それはどちらかというと鮮血の血塗れ的なそれで、そう血の赤なのである。液体としての赤なのである。鮮烈な赤なのである。<br>それに対して、本作ときたら敷き詰められるように内臓の赤。壁に手を付けばブニョブニョと腸のような感触で、天井からは腐肉がポタポタと肉汁を垂らしてきそうな、そんな四方が人間を解体して引きずりだした中身で組み立てられたような世界なのである。<br>だから言う。これは異世界違う！　異界や！！<br><br>そんな気が狂いそうな世界に、呼びだされた少年瀬名櫂人。彼が死んだ理由はトラックに轢かれたなんて優しいものではなく、肉親である父親に虐待され、踏み躙られ、人として扱われずゴミとして甚振り尽くされたあとに、無造作に放り捨てるようにして踏み潰される、というその生に喜びもなく尊厳もなく誇りもなく、何もないまま殺された無残極まる死であった。故にこそ、何もなかったからこそ彼は罪なき無垢な魂として呼び出され、人形の体に取り憑かされる。<br>死んだあとに呼び出された世界が、こんなおぞましくグロテスクで死臭しかしない世界だなんて、普通に地獄におちたと勘違いしても不思議ではないだろう。<br>ところが、そこで彼を呼び出した自らを拷問姫、誇り高き狼にして卑しき雌豚であると名乗る少女に、彼は魅了されていく。その生き様、その死に様に惹かれていった、と言っていいのかもしれない。<br>自らの領地の領民たちを拷問によってすべて責め殺し、根絶やしにしたという人類最悪の乙女。世界に潜む十四の悪魔をことごとく殺戮した末に、自らも火刑に処せられて死ぬことを高らかに謳う少女。<br>たった一人で死ぬことを、心から望む姫。<br>そんな彼女の戦いと、その果てに待つだろう孤独な死を、最後まで見届けようと思い定めた少年の心はいったいどんなものなんだろう。虐げられ続けた側である少年が、一時駆られた魂を燃焼させるような復讐心を休めてなお、彼女を最後まで見届けようと思った心の置き所はどこなのだろう。<br>ヒナ、という全肯定者に救われた部分もあるのだろう。凄惨すぎるこの異世界での経験が、かつての前世の恐怖を結果として拭い去ってくれた、どれほどつまらない事だったのかに気付かされたというのもあるのだろう。<br>それでも、この無垢で歪んだ櫂人という子の魂を捉えて離さなくなったのは、拷問姫その人なのだ。<br>彼女は微塵も救われることを望んでいない。そして、今のところ彼もまた彼女を救おうとは思っていない。ただ、見届けるのみだ。<br>彼女の生き様は、贖罪のそれなのか。それとも犠牲を糧にした救済なのか。いずれにしても、人は拷問によって与えられる苦痛の凄まじさを知らないと同時に、欠片も望まぬ拷問を、何の罪もないと知っている無辜の民に掛けて責殺す側の苦しみも知らない。<br>この物語に、通り一遍のハッピーエンドは訪れないかもしれない。拷問姫は、彼女の望むとおりに救われないまま焼き殺されるのだろう。それでも、孤独に、哀れに死ぬことだけは、ないと信じたい。それぐらいは、願いたい。</p>
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<pubDate>Thu, 08 Dec 2016 00:00:00 +0900</pubDate>
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<title>ガーリー・エアフォース　４</title>
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<![CDATA[ <p>ベルクトかー。エースコンバットに親しんだ身からすると、実戦配備された機体みたいな感覚になっちゃうんだけれど、実際は計画破棄されちゃってるんですよねえ。ただ、実機が航空ショーなんかでよく飛んでるんで、知名度は高いんじゃないかと。<br>しかし、重ねてベルクトかー。ロシア機でこれを引っ張りだしてくるか、という所なんだけれど、敢えてベルクトを出しながら、それを戦うための戦力として物語に組み込んでこない点にこそ注目すべきなんだろうなあ。それどころか、彼女の存在はある意味グリペンと慧の関係の鏡であり、対比であり、未来であるわけだ。同時に、この世界最大の謎であるザイの正体、その核心に図らずも近づくための鍵でもあったんですよね。<br>ザイの正体とその目的、そしてアニマという存在がどうして生まれたのか、という点は思っていた以上にこの作品の核となる部分だというのがわかってきた気がする。ザイとの戦いというのは、物語の表看板ではあっても本質ではないのか。ぶっちゃけ、ザイが本気で進行してきた場合、人類側に対抗の余地はほとんどないんじゃないか、というのは今回のベルクトの一件で薄々見えてきているわけだし。<br>もし、ラストミッションのような状況があのベルクトに付与された特性抜きで発生した場合、対処のしようがないということですもんねえ。<br>だからこそ、問題はザイの正体と目的にある。そしておそらく、グリペンこそがそれに一番近く、或いは既に正解を知っている可能性すらある。彼女自身、意識してその情報にアクセスできないとしても。<br>それが、前回のライノの裏切りと、今回ベルクトとその開発者が至った領域に関するあれこれで定まったんじゃないだろうか。<br>問題は、日本におけるアニマの第一人者である八代通さんが、この件についてどこまで理解しているのか、そもそも推論を持っているのか、なんだよなあ。いや、ライノがなぜああなってしまったのか、ベルクトの特性がどうやって付与されたのか、という点を八代通さんがスルーしているはずがないし、ベルクトの記憶領域へのアプローチの理論なんかからしても、踏み込んではいるんだろうけれど、一番ダイレクトなところで実感しているのはやはり慧である以上、彼に主人公として期待されている、或いは用意されている仕事、役割というのは結局のところパイロットなんかじゃないんですよね。<br>それを、彼自身どこまで自覚しはじめているのか。そろそろ、どうしてグリペンに自分が乗っているのか、という点について、そうしないとグリペンが飛べないから、という観点じゃなく、飛べないグリペンがどうして自分が一緒に乗ることによって飛べるのか、をリソースの配分じゃない「アニマとは何なのか」という部分で能動的に考え始めないといけない時期に来てるんじゃなかろうか。ライノとベルクト、この両者との出会いと別れはそのきっかけとして十分なはず。<br><br>ともあれ、今回は最初から最後までベルクトの物語だったなあ。ベルクト（イヌワシ）の民話に基づいたような、切なくも美しい物語。そして、最初から最後まで見送るしかなかった物語。慧たちは彼女を救おうとして、実際彼女はそれで救われたんだろうけれど、もう慧たちと出会った時は彼女の物語は終わっていたとも言えるんですよね。だからこそ、彼女はあんなにも儚く遠く、手が届かなかった。<br>最後の光景は、きっと映像で見たら胸が締め付けられそうなほど、美しい情景だったんだろうなあ、と。<br>そして、彼女の終わっていた物語は、慧たちにとっては未来をたどる可能性を示してくれた。それを、彼らはどれだけしっかりと掴むことが出来るんだろう。<br><br>しかし、こうしてみるとファントムは憎まれ役買ってますねえ。他に厳しい正論を言える人がいないからで、彼女自身そういうスタンスを貫いているからだけれど、ポロッとこぼす乙女な本音に彼女の思うところ、自分だって、と思ってるような部分が垣間見えて、この娘の人間味とそれゆえに苦労を抱えてるなあ、という側面を感じて好きになってしまいます。</p>
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<pubDate>Sat, 03 Dec 2016 00:00:00 +0900</pubDate>
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<title>俺を好きなのはお前だけかよ</title>
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<![CDATA[ <p>ジョーロくん、良い奴なのは痛いほどわかるんだけれど、人を見る目はないんだなあ。<br>地の文をどんどん回転させてテンション高く転がしていくタイプのラブコメだけれど、その分ジョーロは内心でかなりべらべらと本心を垂れ流してしまっている。おかげで、けっこう酷いことも考えてるんだけれど、彼が折々で受けてる仕打ちからすると、あれくらい愚痴っちゃうよなあ、とむしろ同情したくらい。<br>あの気になっていた娘、好きだった娘。長く付き合った幼なじみや生徒会活動を通じて親しくなった先輩に対する気持ちが、彼女たちの心ない行動によってどんどん冷めていく様子は辛かったけれど、この主人公の気持ちが冷めていく、という過程はなかなか見ないシチュエーションなので興味深いものではあったんですよね。<br>加えて、ジョーロくんの対応ってほぼ適切で下手は打ってないんですよね。仲を取り持とうとする主人公って、往々にして誤解を招く行動を取ったり、やらかした、としか言えない言動を取ってしまって状況を破壊してしまうのだけれど、ジョーロくんときたらヒマワリとコスモスに対して常にフラットで均等な距離を保ちつつ、彼女たちの思いが成就するように実に効果的なアドバイスをし、彼女たちがやらかす度に必死にフォローし、と……こう言っちゃなんだけれど、ひまわりとコスモスは相談相手として実に最適な人材を選択したんじゃなかろうか。<br>問題は、彼女たちはそれだけ貴重な相手に対して、リスペクトするどころか足蹴にして踏みにじってしまった事なのだろう。さすがに、彼女たちのあの態度には幻滅や失望を通り越して、軽蔑の念を抱いてしまった。<br>よく、あそこで我慢せずに爆発したよ、ジョーロは。<br>でもなあ……理由があったとはいえ、自分はこのあとのパンジーのやり方はあんまり好きじゃなんですよね。このあとジョーロくんが受けた仕打ちを考えると、ね。あとで逆転できる目があったとはいえ、彼がここまでひどい目にあう必要があったのか、と思ってしまう。ジョーロがどれだけつらい思いをしたか、それを思うとね。わざわざ彼が一番どん底に落ちるタイミングと方法を取ったようにしか見えないんだよなあ。あとで、自分が救い上げるために。一度貼られたレッテルは、そう簡単には剥がせないよ？　場合によっては、ジョーロくんは人生そのものを破綻させていたかもしれない。パンジーはジョーロくんの心根に寄りかかりすぎていて、自分が好きになった彼のあり方を信じすぎていて、彼を楽にさせてはくれなさそうなんですよね。甘やかしてくれはしなさそうなんですよね。<br>多分、しんどいよ、彼女の相手は。これほどの状況に追い込まれながら、ブレなかった強いジョーロには不要な心配かもしれないけれど。<br>個人的には、むしろ軽蔑に値するクズさを露呈してしまったひまわりとコスモスに期待したいところなんですよね。まだ謝りもしていない彼女たちには思う所あるのですけれど、あれだけはっきりと自分たちがやったことを指摘されて、自覚できないほど彼女たちが愚かとも思えない。正直、自覚してもジョーロくんに対して強烈な負い目を追ってしまった彼女たちが積極的にどうこう行動できるとは思えないのだけれど、一度徹底的に自分の醜さを認識してしまったキャラが、そこから這い上がって成長し魅力的になることをこそ期待したくなるんですよねえ、自分は。全部お見通し、のパンジーよりも、私は愚かで自分勝手でろくでもないひまわりとコスモスの方に、なんだか頑張って欲しい気分なのである。<br><br>……ただ、ジョーロとくっつくのはぶっちゃけ、サンちゃんでいいと思うよ。もういいから腐ってしまえ、という気分でもあるのですｗ</p>
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<pubDate>Thu, 01 Dec 2016 00:00:00 +0900</pubDate>
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<title>落第騎士の英雄譚(キャバルリィ)　１０</title>
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<![CDATA[ <p>そうかー、ヴァーミリオン皇国って広島にあったんだー。って、ヴァーミリオン皇王陛下、なんでナチュラルに一人だけ広島弁ナンデスカ？<br>駄目だ、この人大人げないお父さんだ。国家権力乱用しまくってるじゃないか、絶対王政利用しまくってるじゃないかー。<br>ただ、この過度すぎるくらいの家族愛も、ヴァーミリオン皇国の建国逸話を聞くと逆に不安になってくるんですよね。建国の逸話を再現させられるとか、想像しただけでもゾッとしないんですけれど。でも、それをやりかねないような今度の敵なんだよなあ。<br>これまでは学園編・七星剣武祭編ということで、乱入はあったとはいえ基本的に学生レベルの話に終始していたところが、この第二部からは文字通り世界を舞台にした、本物の戦争編ですからね。一騎当千の戦力を投じた血みどろの闘争というと、作者の海空りくさんの【断罪のイクシード】路線なんですよね。あれ、大好物のシリーズだったんで、どんと来いなのですけれど。<br>世界中に跋扈する魔人と呼ばれる超越者たちのルール無用の祭典。昔、西京先生と黒乃理事長の現役時代の試合のエピソードがあまりにも途方もなさすぎて、世界観が違う、というか出てる漫画が違う、みたいな事を言ってたんですけれど、本当の意味で「魔人」と呼ばれるブレイザーは世界観が違うレベルなのだということを、ステラと一輝のラストバトルで実感したのですが、この魔人たちが主役となるヴァーミリオン皇国編は文字通りこれまでとは出る漫画が違う、というくらいに話の規模が違ってくるんでしょう。<br>だからこそ、何となく一対一の試合専用じゃないのか、実戦向きじゃないんじゃないか、という疑念があった一輝の力が、むしろ試合よりもルールも戦場も限定されない実戦向きだと明言されたのは今後、一輝の戦いに制約は課さない、それこそ伸び伸び戦わせてあげるよ、と宣言してるみたいでなかなかワクワクさせてくれるじゃないですか。<br>それはそれとして、ステラがあれでまだ魔人化してない、というのは逆に怖いなｗ<br><br>月影総理が、いったい何を企んでいたのか。というか、何を危惧して動いていたのかを今回正直に教えてくれた上で、一輝たちに未来を託してくれたわけですが……第三次世界大戦か、これはまたヘヴィな未来じゃないですか。まだ在学している人たちはともかくとして、三年だった刀華さんや諸星くんもそれぞれ目指す道へ歩き始め、珠雫もまた痛切に感じた自分の未熟さを埋めるために新たな挑戦をはじめたわけですけれど、悠長にそれぞれじっくり力を蓄え、とはしていられないのかもなあ。思っているよりも早く、動乱ははじまりそうな匂いがプンプン漂ってきている。<br>ほんと、ガンガンダークサイドに寄せてきたのは、楽しみに思うべきか不安に感じるべきか。こういう黒い人死もバンバン出そうな雰囲気は、ほんと【断罪のイクシード】寄りで好きなんですけどねえ。<br><br>あと、あの可愛らしいお母さんからステラとかルナ姐さんみたいな人を生み出してしまった親父さん遺伝子はもうちょっと反省スべきだと思う！<br>&nbsp;</p>
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<pubDate>Tue, 29 Nov 2016 00:00:00 +0900</pubDate>
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<title>魔法少女育成計画 episodesΦ</title>
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<![CDATA[ <p>だ、駄目だ。魔法少女、あんまりにも沢山いすぎて本編参照しながらでないと、この娘誰だっけとか、覚えていてもどういう活躍をしてたんだっけ、と思い出せない。まだ、最初の短編集だと対応作が少なかったからなあ。<br>意外と、偽魔法少女（？）の魔法少女戦隊は属性色分けがしてあるせいか、ちゃんと覚えられていたのが何ともはや。<br>でも、やはり死亡退場した魔法少女たちのエピソードは、在りし日の平和な日常編だけに今回もグッと来るものが多かった。特に、最近の作品は前のめりに自分のなすべきことを貫いて死んでいく娘たちも多かっただけに。<br>一方で、後日談として生き残った娘たちが喪失感を抱えながら、再び訪れた日常を過ごしていく様子も胸を打つんですよねえ。ふとした瞬間に自覚する欠落に影を落としながらも強く生き続ける人もいれば、自分の行動によって命を落としてしまった少女たちを思い、後悔に苛まれる娘もいる。<br>在りし日の少女たちの輝きと、その輝きの喪失によって訪れた虚、それを踏まえて悲しみを乗り越え、寂しさを生き残った者たちで共有しながら先へと進んでいく。前日譚と後日譚の描き方としては、前回の短編集もそうでしたけれど、威力タップリなんですよねえ、このシリーズ。生き残った娘たちも、もう居ない娘たちも、もっともっと好きになることが出来る。<br>しかし、その中でもやはりスノーホワイトのそれは、群を抜いているというか、際立っているというか。彼女の生き様は激烈でありながら、地に足がついていて、いやはや凄いわ。<br><br>一番好きなエピソードは、あれですね。魔法少女として役に立たない能力を持ってしまい、立場的にも日陰モノとして扱われ、色々な意味で瀬戸際を歩いてかつての魔法少女になった頃の目の輝きを失いながら、集って愚痴を言い合う四人の魔法少女たちによる、思いもよらぬ人助け、魔法少女の初心に帰るような役に立たない能力を駆使しての、人命救助。こういうの、好きだわ。<br>あとは、袋井魔梨花さんの空気読むスキルでしょうｗ　バトルジャンキーとして、戦闘狂の集まりである魔王塾ですら追い出されたアウトサイダーの彼女の、意外な社交性。そうか、変身を解いた同士の最初の遭遇でスノーホワイト、ガチで袋井さんに気づいてなかったからあの対応だったのか。あとで、名前聞いて正体に聞いて飲んでたもの吹き出すスノーホワイトさんｗ　あの鉄面のスノーホワイトに飲み物を吹かせるなんて、さすがだぜ袋井魔梨花。<br>いやなんか、マジでこの二人、懇意になりそうでちょっとウキウキしてる。<br><br>さあ、アニメ化も近づいてこっちもワクワクですよ。どれほどの阿鼻叫喚の地獄絵図が繰り広げられるか、視聴者の悲鳴が鳴り響くのかを想像するとｗ</p>
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<link>https://ameblo.jp/akkmain097/entry-12185924191.html</link>
<pubDate>Sat, 19 Nov 2016 00:00:00 +0900</pubDate>
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<title>魔弾の王と戦姫(ヴァナディース)１４</title>
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<![CDATA[ <p>駄目だ、この王弟。欠点らしい欠点が皆無じゃないか。能力的にも偏りがないし、大胆不敵でありながら細かいところまで目が届き、油断や増長というものが存在しない。これまでも智将勇将の類と戦い続けたティグルだけれど、王弟クレイシュは文句無しにシリーズ最強の大将じゃないでしょうか。この人相手ばかりは、どうやったって何度やっても勝ち筋が見えてこない。<br>ぶっちゃけ、同数を用意しても十万以上の大軍を自在に動かす手腕としては、ティグルではクレイシュには及ばなそうなんだよな。結局、ティグルは指揮官先頭型でありますし。そもそも、クレイシュ相手だと対等の戦力という土俵には上がってこなさそうですし。<br>彼に関しては、ティグルがついに勝てなかった相手として長く語り継がれそう。クレイシュ側から見ても、ティグルは同様の認識かもしれないけれど。万難を排して勝利が約束された戦争に挑みながら、勝ちきれなかった。想定を上回られ続けてしまった、という意味で。<br>最後は完全に天運でしたけれど、それを掴んだのは戦争の行方を完全に見通していたクレイシュの読みを、何度も上回ったティグルの指揮と弓の腕があってこそでしたからね。決して卑下するものではないかと。クレイシュの読み、或いは分析といっていいか。それは、主観が入らない非常に客観的でかつ慎重なもので、予断らしい予断も入っていない正確で緻密なもので、加えてある種の読み違いも踏まえた「余裕」すら加味したものですから、それを上回るというのは、文字通り尋常なものじゃなかったんですよね。それをやり遂げた、というだけでティグルの将器は証明されますし、今までさえ人外の領域だった弓の腕が本当にえらいことに。<br>あれ、周囲１キロ半径の安全を確保していたのに、１．５キロ先から狙撃を受けたようなもんだからなあ。ティグルの尋常でない弓の腕前をちゃんと考慮に入れた上で、安全マージン過剰なくらいに取っていたのに、さらにその外側から狙われたらそりゃどうしようもないですわー。<br><br>しかし、今回の敢闘賞は外に出て走り回っていたティグルたちではなく、やはり籠城戦で奮闘したレギンやミラたちの方でしょう。正直、ムネジオル軍の攻城戦パなかったですからねえ。革新的な戦術とかはないものの、詰将棋のように淡々と工程を進めていくその戦闘は、ミラたちが最大限限界まで振り絞って抵抗していたからこその攻城速度であって、ちょっとでも穴ができたらそこから一気に瓦解しかねない圧倒的なプレッシャーでしたからねえ。<br>あそこまで焦りも性急さもなく、じっくり腰を据えてジワリジワリと迫られたら、そりゃたまらんですよ。攻城戦においても、クレイシュはまったく相手を甘く見ることなく、結局ほぼ最後まで想定通りに攻略は進みましたからね。ミラたちのあの激闘が、クレイシュの想定のおそらくほぼ最上限だったにしろ、想定を覆すほどではなかった、上回れなかったというだけでゾッとします。<br>どこを見ても、名将としての格しか見当たらないんだよなあ、この王弟。<br>唯一隙を見出すとしたら、後方に座して動かないところか。情報は厚く集めるけれど、現地を実際に走って見て回るティグルと比べて、生の情報に触れていない、というのは今回の戦いで分水嶺となっている。もっとも、王族という立場と十万を越える大軍の指揮、大量かつ多角的な情報の集積と分析による大局的視点の確保、という意味においては、クレイシュの姿勢はまったく間違っていないんですよね。<br>正直、これを倒すというのはどれほど運が良くても無理だろう、と読めば読むほど思い知らされていただけに、この決着はまあこれしかないよなあ、というものでした。<br>王族として、見事に籠城戦の士気を保ち続けたレギンを含め、全員が人事を尽くしたからこその結果でしたけれど、もし叶うならばクレイシュが撤退した理由となる政治的な部分が偶然の産物ではなく、意図した政略或いは謀略として仕掛けることの出来る人材が、ブリューヌに欠けているのが辛いところ。尤も、それが出来る手の長い大政治家、謀神的人材は各国見渡してもなかなか居ないんですけれどね。万端勝てる戦場を整えてから繰り出してくるクレイシュ当人とか、ブリューヌ国内を内乱状態にした上で攻めてきたザクスタン王、或いは往時のガヌロン公爵なんかがこの手の指し手ではあるのですけれど、今のブリューヌにはこのタイプの指し手が居ないんだよなあ。武人タイプばっかりだし、宰相のボードワンも内向きですしねえ。<br>例えば、ヴァレンティナが目指すべきはこのタイプなんだろうけれど、今のところ小賢しい立ち回りに終止していて、大局を動かす繰り手を見せることは出来てないんですよねえ。<br><br>と、そういえばフィグネリアさんが正式に戦姫として活動を開始しましたけれど、リーザやヴァレンティナとの対談を見ていると、今までの戦姫にはないポディションになりそうで面白し。いや、実直な戦士タイプではあるんだけれど、一番の新参ながら年齢的には年上なせいか、落ち着きのある性格も相まってどうも長女的ポディションに付きそうな感じがあるんですよね。前には出ない後ろでみんなを見守るタイプのまとめ役、というべきか。うん、貫禄があるんですよね。彼女の動向には興味をそそられる。<br>しかし、戦姫の殆どがティグルに好意持ってるんじゃないか、という呆れ気味のフィグネリアさんの見解には笑ってしまったｗ<br><br>そのティグル、エレンと好い仲になったものの、他の娘たちはどうするのかな、と思ったら、ティッタに関しては選択するという選択すらなしですか。そりゃ、女好きと自嘲するのも仕方なし。まあ、ティッタ相手だとエレンも文句言わないしねえ。<br>それはそれとして、もう好意を隠そうともせず食いつく気満々な肉食系のソフィに、こちらも素直に好意を口にしているリム、周囲も動いてティグルとくっつけようとしているレギン女王。とまあ、入れ食い状態で。<br>ミラさん、落ち込んでる暇ありませんよ！？　ってか、嫉妬に身を焦がすでもなく、わりとマジに羨ましそうにエレンとティグルの様子を指くわえて眺めてるミラが、なんとも可愛くてねえ。恋愛方面だと、ミラもあれですね、乙女ですねえｗ<br><br>まあ女性陣との関係はそっちのけっで、ちゃっかりダーマードととっ捕まえて確保しているあたり、ティグルの狙った獲物は逃さない感が出てますなあｗ<br>ルーリックが居るとはいえ、彼はジスタートの将校ですし、気心の知れた実力のある腹心ポジションの男性キャラが欲しかったところで、薬を使っていたとはいえエレンとガチで打ち合える実力のあるダーマードをゲット出来たのは大きいぞ。</p>
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<link>https://ameblo.jp/akkmain097/entry-12185924029.html</link>
<pubDate>Thu, 17 Nov 2016 00:00:00 +0900</pubDate>
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