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<title>乃木坂 × ＢＲ</title>
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<description>そっくりさんたちの妄想小説です。</description>
<language>ja</language>
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<title>19</title>
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<![CDATA[ <p>&nbsp;</p><p>目覚めは最悪だった。<br>理由は簡単。やかましい放送で叩き起こされたからだ。<br><br>「うるっさいなぁ……」<br><br>齋藤飛鳥は気だるげに呟きながら体を起こす。<br>傍らに置いていた地図を取り出して、読み上げられる禁止エリアをメモしていく。<br>その時ふと手が止まった。<br><br>秋元、相楽、佐々木、新内、四人もの変わり果てた姿を見つけた民家が、禁止エリアに入っていた。<br><br>日が暮れてから偶然立ち寄った民家。<br>あまりの惨状に思わず吐き気を催して、そして紛れもない現実を突き付けられた気分だった。<br>あそこで何が起こったのかは分からない。ただ誰かが誰かを殺した、それが事実だ。<br><br>「っ！だれ？」<br><br>考え事に耽ってしまい周囲の警戒を怠っていた。<br>がさっという物音が聞こえて、今いる粗末な小屋の割れた窓からそっと外を覗いた。<br>誰もいない。もっとよく見ようと窓から身を乗り出した時、視界の端で何かが煌めいた。<br><br>鉈の刃。<br><br>認識した瞬間、反射的に首を引っ込めた。<br>振り下ろされた鋭利な刃先が目の前を通過する。前髪が少し切れた気がした。<br>身体を引いた勢いで床に尻餅をついた。<br>突然の出来事に茫然と窓を見上げていると、ぬっと顔が出てきて思わず小さな悲鳴をあげた。<br><br>「ひっ、……ろってぃ？」<br>「飛鳥、ごめん」<br><br>川村真洋は謝罪の言葉を紡ぎながら、窓枠に手をかける。<br>乗り越えようとしてきてる、それが意味することが分かって飛鳥は転がっていたバックパックに手を伸ばす。<br>窓から小屋に入ってきた川村の着地音が聞こえるのと、求めていたものを手に掴んだのはほぼ同時だった。<br><br>「一撃で楽にしたるから」<br>「……この！」<br><br>振り下ろされる鉈に合わせてバックパックから取り出したものを掲げる。<br>カーンという小気味良い音が辺りに響き渡った。<br>川村は突如現れた黒い丸い物体に一瞬目を丸くする。だがすぐにそれの正体に気付いた。<br><br>「フライパン……」<br>「そ、私の武器。いいでしょ？」<br>「なんやそれ……」<br><br>川村が面食らった一瞬の隙を突いて飛鳥は脱兎のごとく駈け出した。<br>追いかけてくる川村の足音を聞きながらフライパンの柄を握り締める。<br><br>（クソ運営め……！）<br><br>こんなハズレ武器をあてがわれて、やり場のない怒りを内心で主催者側にぶつける。<br>安っぽいフライパンは鉈の一撃を受けて既にひん曲がっており、あと二、三回受け切れるかどうかだろう。<br>足音がだんだん近づいてきている気がする。足の速さも体力も自分の方が劣っている。<br><br>「一か八か……」<br><br>このままだといずれ追いつかれる。<br>飛鳥は意を決してフライパンの柄を握り締めた。<br>そして足を止めて急転換する。<br><br>「え？」<br>「おりゃああぁぁ！」<br><br>突然反転してきた飛鳥に面食らって、川村は一瞬反応が遅れる。<br>鉈が振り下ろされるのよりも、飛鳥が振るったフライパンが顔面に直撃するのが先だった。<br>ガンッという鈍い音がして、痛みで声にならない悲鳴をあげた川村が座り込む。<br><br>手加減する余裕なんて全く無く、全力で殴りつけてしまった。<br>鼻か、歯でも、折れちゃったかもしれない。<br><br>「ごめん！ろってぃ！」<br><br>謝りながらも飛鳥はその場を離れるために駈け出そうとする。<br>川村に背を向けて数歩進めた瞬間、背後から聞こえてきた銃声に足が止まった。<br><br>「……ろってぃ？」<br><br>飛鳥が振り返ると、座っていた川村がゆっくりと後ろに倒れていくところだった。<br>仰向けに倒れたその頭からは止め処なく血が溢れていく。<br>倒れた先にいる人物の顔を見て、飛鳥は目を見開いた。<br><br>「日奈子……！」<br>「飛鳥……、ふふっ、ばいばい！」<br><br>拳銃を構える北野の笑顔が深まった瞬間、銃声が響いて左肩に激痛が走った。<br>撃たれた。そう自覚して飛鳥は痛む肩に手を当てる、じっとりと血で濡れて、急に力が抜けて膝をついた。<br><br>「私の勝ちだね！」<br>「勝ち……？」<br>「そう、だってそういうルールでしょ？」<br>「……はっ、日奈子はバカだね、ほんとに」<br><br>北野が爛々と目を輝かせるのに対して、飛鳥は薄ら笑いを浮かべながら吐き捨てた。<br>すると北野の笑顔は曇り、その瞳には怒りの色が宿る。<br><br>「どういう意味？」<br>「そのまんまの意味だよ」<br>「私バカじゃない！だって――」<br>「ああもううるさいな。最後くらい静かにしてよ」<br><br>相手にされない怒りに、北野が引き金に掛ける指に力が籠った。<br>嘲笑を浮かべたまま飛鳥がその様子を見上げていると、視界の端から何かが飛んできて北野の側頭部に直撃する。<br>ころころと転がるのは野球ボールで、驚いた北野はボールが飛んできた方向に向けて発砲した。<br>だが今度は逆方向から銃声が聞こえてきて、今度はそちらに銃口を向ける。<br><br>「囲まれてる……？」<br>「次は当てるから、逃げるなら今だよ！」<br>「……くそっ！」<br><br>北野は心底悔しそうに歯を食いしばりながら身を翻して駈け出した。<br>助けられた？誰に？北野に警告した人物の声はよく聞いたことがある。<br>すると三人の人物が樹の陰から飛び出してきた。<br><br>「ちーちゃん、ナイスピッチング！」<br>「愛未、いいから早く飛鳥を」<br>「飛鳥？飛鳥！」<br><br>駆け寄ってくる能條、ちはる、高山の姿を見て、飛鳥の気も一気に緩む。<br><br>「またうるさそうな三人、だな……」<br><br>そう薄く笑いながら呟いて、飛鳥は意識を失った。<br>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/akubihadenai/entry-12315802392.html</link>
<pubDate>Mon, 02 Oct 2017 00:53:00 +0900</pubDate>
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<title>18</title>
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<![CDATA[ <p>&nbsp;</p><p>西野は目を開けた。<br>そこは楽屋で、いつものようにメンバーがはしゃいでいる。<br>嫌な夢を見ていた気がする。椅子から立ち上がって全身を伸ばした。<br><br>「なぁちゃーん！」<br>「かずみん！」<br><br>名前を呼ばれて振り返ると高山が笑顔で立っていた。<br>嬉しくて近づこうとして、西野は異変に気付いた。<br>高山の腹部に、ナイフが突き刺さっている。<br><br>「かずみん、それ……」<br>「……なぁちゃん、痛いよ、やめて」<br>「え、あ……！」<br><br>気付けばそのナイフをを自分の右手が握り締めていて、咄嗟に手を離した。。<br>苦しそうな表情を向けられて、離れようとしてもがっちりと両肩を掴まれて動けない。<br>周りではしゃいでいたはずのメンバーが全員こちらを振り向いて、無表情で見つめてきながらゆっくりと近付いてくる。<br><br>「いや、来ないで……」<br>（――！―な―！）<br>「なに、まぶしっ」<br><br>急に視界が真っ白になる。<br>誰かが呼んでくれる声がして、西野は声が聞こえる方に必死に手を伸ばした。<br><br>「なな！」<br>「……優里？」<br>「良かった！うなされてたよー？」<br><br>目を開けた瞬間、懐中電灯を向けられた眩しさで西野はすぐにまたぎゅっと目を瞑った。<br>ごめんごめんと小さく謝りながら、斉藤優里は懐中電灯の光を弱くする。<br>どうやら長い間気を失っていたらしい。辺りは薄暗くなっている。<br><br>「こんなとこで倒れてて、どうしたの？」<br>「どうしたんやろ、なな……」<br><br>優里が首を傾げて顔を覗き込んでくる。<br>この殺し合いが始まって、いろいろなことがあった。<br>一つ一つ思い出していく。永島の死、中田に殺された中元、中田を殺して西野も殺そうとした北野。<br><br>そして、高山は……刺した？<br><br>「うっ！」<br>「なな？どうしたの？大丈夫？」<br>「嫌や、違う、ななは、ななは……」<br><br>気が動転して、疑心暗鬼になって、高山を刺した。自分が、殺した。<br>思い出したくない記憶が脳裏に焼き付いて離れない、頭痛がして頭を抱え込む。<br>自責の念に押し潰されて、ぽろぽろと涙が零れた。<br><br>「優里、どうしよう、なな、かずみんのこと……」<br>「何が、あったの？」<br><br>優里にそっと抱き締められて、西野は事の顛末をぽつぽつと話し始める。<br>軽蔑されるかもしれない、そう一瞬考えもしたがもう止められなかった。<br>全てを話し終えて恐る恐る優里の表情を窺う。<br>優里は悲しそうに眉尻を下げていたものの、西野と目が合うと微笑んだ。<br><br>「大丈夫、かずみんは生きてるよ。放送でも名前呼ばれてなかったし」<br>「ほんまに……？」<br>「うん！だから探しにいこ？」<br><br>西野は頷いた。自分がしたことは謝っても許されることではないが、ただまた高山の無事な姿を見たかった。<br>この殺し合いが始まって初めて、自分のしたいことが見つかった気がした。<br>立ち上がろうとした時、足首に鈍い痛みが走る。<br><br>「いたっ……」<br>「どうしたの？」<br>「足挫いたっぽい……」<br>「大丈夫？歩けそう？」<br>「ちょっと、あかんかも」<br>「あっちに休めそうな家があったからそこで休もう。今日はもう日も暮れるし」<br><br>優里に肩を貸してもらいながら西野は歩く。<br>バックパックがクッションになってくれたのか、他には大きな傷が無いのが不幸中の幸いだった。<br>西野は優里の肩に頭を凭れながら呟いた。<br><br>「ありがとう、優里」<br><br><br><br>日常が崩壊してから、一日目の夜が終わる。<br>心身ともに疲れ果てて泥のように眠りに落ちた者、あるいは気が張って一睡もできなかった者、少女たちはそれぞれの夜を過ごす。<br>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/akubihadenai/entry-12315461210.html</link>
<pubDate>Sat, 30 Sep 2017 22:30:25 +0900</pubDate>
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<title>17</title>
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<![CDATA[ <p><br>自分にこんな感情があったなんて知らなかった。<br>そして感情が衝動的な行動を引き起こすなんて思ってもみなかった。<br><br>「まいちゅん……」<br><br>秋元に撃たれた新内の姿を見て、佐々木は胸の内が黒く染まっていくのを感じた。<br>不思議と恐怖は湧かなかった。それよりも、自分達を助けてくれた大切な人を傷つけられた怒りの方が強かった<br>そして今度は鈴木が危害を加えられそうになるのを見た瞬間、怒りで頭に血が上った。<br>キッチンを物色していた時に見つけた包丁に手が伸びて、次に気付いたらそれは血に濡れていた。<br><br>「未央奈……」<br><br>部屋に入ってきた堀はウージーを持って笑っていた。<br>その横顔を見て、こいつは危険だと、佐々木の中で研ぎ澄まされていた感覚が告げる。<br>手に持っていた包丁を握り締めた瞬間、堀の顔がぐるりとこちらを向いた。<br><br>その微笑みに一瞬目を奪われる。<br>ウージーの銃口がこちらを向いたことに気付いた時には、もう遅かった。<br><br>「琴子！！」<br><br>連射音と共に、全身に痛みが走る。<br>自分の身体が嘘のように吹っ飛んで、後ろの壁にぶつかった。<br>鈴木の悲痛な叫びが聞こえる。床に横たわった佐々木は、薄れる視界の中で倒れる新内の姿を捉えた。<br>手を伸ばしたつもりなのにぴくりとも動かない。<br>死の実感は湧かない。恐怖も無く、先程まで感じていた怒りも無く、佐々木は目を閉じた。<br><br>「いやっ、琴子、琴子！」<br>「伊織、隠れて！」<br><br>相楽は完全に取り乱し、頭を抱えて叫び声を上げる。<br>微笑みを浮かべたままこちらを振り向く堀を見て、鈴木は咄嗟にソファの陰に隠れた。<br>動揺する相楽の耳には、鈴木の制止の言葉は届かない。<br><br>相楽の甲高い悲鳴が一瞬聞こえて、それはすぐに連射音に掻き消される。<br>怖いくらいに静まり返った部屋に反響するのは、笑い声だった。<br><br>「ははっ、あはははっ！」<br>「なんで、未央奈……」<br>『絢音、何が起こってるの？絢音！』<br>「蘭世、逃げて……」<br><br>笑い声を上げながらひたひたと近付いてくる堀の足音が聞こえる。<br>恐怖に全身が震えて、絞り出した声も震えていた。<br>幸いにも寺田の声は聞こえなくなって、逃げてくれだのだろうかと少しだけほっとする。<br><br>足音がだいぶ近付いてきて、もうだめだ、と思った時、投げられた何かが足元に転がってくる。<br>それが拳銃、トカレフだと気付いて、鈴木はソファからそっと顔を上げた。<br><br>「絢音、げほっ、逃げ、て……」<br>「まいちゅん……！」<br><br>こちらに背を向ける堀の先に立っていたのは、新内だった。<br>その腹部は真っ赤に染まっている。<br>立っているのも苦しそうで、震える右手には佐々木が持っていた包丁が握られていて、その刃先は堀に向けられていた。<br><br>「未央奈にぶつけようと思って、投げたんだけど、外しちゃった、ははは……。それ、持って行って」<br>「まいちゅんも、一緒に――！」<br>「大丈夫。私は、琴子と伊織といくから」<br>「っ！」<br><br>新内の言葉に、鈴木は息をのんで、そして落ちているトカレフを拾い上げた。<br>堀がつまらなさそうに小さくため息を吐く音が聞こえて、次の新内の言葉に鈴木は弾かれたように立ち上がった。<br><br>「絢音！行って！」<br><br>ドアを開けて隣の部屋に転がり込む。<br>閉めたドアの先から聞こえる銃声に心が抉られるような気持ちがしながらも、顔を上げた。<br>寺田の姿は無い。逃げてくれたのかと安心したもの束の間、窓の向こうにひょこっと顔が見えた。<br><br>「絢音、こっち！」<br>「蘭世、先に逃げてなかったの？」<br>「絢音を置いて行けるわけないよ……」<br><br>開け放たれた窓から外に飛び出す。<br>何が起こっていたのか状況が分かっていない寺田に説明する暇は無く、鈴木は寺田の手を取って走り出した。<br>後ろからドアが開く音が聞こえた気がした。<br><br>「一体何が――」<br>「いいから！今は走って！」<br><br>既に日が暮れかけていて辺りは薄暗い。<br>寺田の手を強く握り締めたまま鈴木は走り出す。<br>後ろから銃声が聞こえて驚いた寺田が悲鳴を上げるが、二人はずっと走り続けた。<br><br>「絢音、痛いよ……」<br><br>そんな寺田の言葉を聞いても、鈴木は握り締める手を離さなかった。<br>たった数十分の間に、たくさんのものを失った。残っているのは、この子だけだった。<br>繋いだ手を離せない、この子の存在ごと、離してしまう気がした。<br><br><br><br>「ちっ」<br><br>堀は舌打ちをして、構えていたウージーを下ろした。<br>昼には星野を逃がし、そして今回は二人も逃してしまった。<br>だが不満げな顔は一瞬にして微笑みをたたえた顔に変わる。</p><p>&nbsp;</p><p>――弱者たちを逃がしても、何の影響も無い。<br><br>「ははっ、あははっ、あはははっ！！」<br><br>日が暮れた一帯に響き渡るのは、堀の笑い声だけだった。<br>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/akubihadenai/entry-12311690770.html</link>
<pubDate>Sun, 17 Sep 2017 23:41:36 +0900</pubDate>
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<title>16</title>
<description>
<![CDATA[ <p><br>「まいちゅん！」<br>「いやっ、いやあぁぁあ！！」<br><br>鈴木が名前を呼んでも新内はうつ伏せに倒れたままぴくりとも動かない。<br>動揺した相楽は悲鳴を上げて立ち上がり、その拍子に椅子ががたんと倒れた。<br>秋元が持つトカレフの銃口は真っ直ぐに鈴木への向けられていて、鈴木はその場に縫い付けられたかのように動けなくなった。<br><br>「夜になってから一人ずつ殺そうと思ってたけど……、もう、どうでもいい！」<br>「真夏さん、やめてください……」<br>「うるさい！そうだ、そもそも、あんたが気付かなければ……！」<br><br>興奮した様子を見せる秋元が拳銃を握り締める手は震えている。<br>止めようとした鈴木を恫喝して、そしてその感情の矛先は傍に立っている佐々木へと向いた。<br>秋元がぎっと佐々木を睨むその目は血走っていて、鈴木は思わず鳥肌が立った。<br><br>「どこ、見てんのよ……」<br>「……」<br><br>秋元が睨み付けても佐々木は目を合わせず、秋元の後方のどこか一点を見つめていた。<br>恐る恐るその視線の先を追いかけるとそこには倒れている新内がいて、また視線を戻した時に秋元の背筋は粟立った。<br>血痕を指摘される前にも経験した、こちらを覗き込むよううな深く黒い瞳に射抜かれる。<br><br>しかし今度はその瞳に先程とは違う何かが宿っていることに気付いた。<br>それが何か探ろうとした時、ガタンという物音が秋元の意識を引き戻した。<br>物音がした方向に反射的に銃口を向ける。<br><br>『絢音？何が起きてるの？』<br>「蘭世！来ちゃダメ！」<br><br>寺田が開けようとしたドアの前に鈴木は立ちはだかって、開きかかったドアを思い切り閉めた。<br>きゃっという寺田の小さな悲鳴が聞こえたがそんなのに構っていられない。<br>振り返るとこちらに銃口を向けた秋元が引き金に指を掛けるのが見えて、鈴木は目を瞑った。<br><br>「……あれ？」<br>「な……んで……」<br><br>覚悟していた痛みは訪れず、鈴木は恐る恐る目を開けた。<br>そして目の前に広がっている光景に絶句した。<br>血が床に広がっている。<br><br>佐々木が持った包丁が秋元の脇腹に深々と突き刺さり、そこから滴る血が床に血だまりを作っていた。<br><br>ずるりと包丁が引き抜かれると同時に、秋元は拳銃を取り落とす。<br>自らの左脇腹に触れてそして手の平にべったりとついた鮮血を確認して、目を見開いた。<br>包丁を持った佐々木を睨む。佐々木は秋元をぼんやりと見つめたまま、小さく口を開いた。<br><br>「まいちゅんの、仇……」<br><br>それを聞いて秋元は理解した。先程佐々木の瞳に宿っていたものは、怒りであると。<br>痛みと悔しさに、秋元はぐっと歯を食いしばる。<br><br>「く、そ……」<br><br>死にたくない。殺られるくらいなら殺ってやる。<br>衝動に動かされて取り落したトカレフを拾おうとするも、下を向いた瞬間にぐらりと視線が揺れた。<br>思わず壁に手を付いた。視界が一気に狭くなる。<br>暗くなっていく視界の中、秋元は光が射す方向へゆるゆると足を動かす。<br><br>「あ……！」<br><br>光の中に誰かが見えて、秋元は手を伸ばした。<br>逆光で表情が見えないその誰かも、手を伸ばしてくれた気がした。<br><br><br><br>鈴木には何が起きたのか分からなかった。<br>いや、相楽も、佐々木にも、そして当の秋元本人にも何が起こったのか分かっていなかった。<br><br>鈴木が見たのは壁にもたれかかりながらよろよろと外に出ようとする秋元の姿。<br>そしてその身体が、けたたましい連射音と共に突如部屋内に吹っ飛んでくる光景。<br><br>どさりと秋元が倒れる音を最後に、沈黙が一帯を支配した。<br>誰も何も言葉を発しない。<br>静まり返った部屋内に、ざりっという誰かの足音と、そして小さな鼻歌が聞こえてくる。<br><br>「……いっぱいいるね」<br><br>ウージーを手に持って姿を表した堀は、そう言って静かに微笑んだ。<br>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/akubihadenai/entry-12309910302.html</link>
<pubDate>Mon, 11 Sep 2017 22:17:15 +0900</pubDate>
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<title>15</title>
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<![CDATA[ <p>&nbsp;</p><p>「真夏さん……」<br>『お願い！中に入れて！』<br><br>秋元がドアを叩く音と切迫した彼女の声が部屋内に響き渡る。<br>どうするべきか分からず、四人は顔を見合わせた。<br><br>『ずっと一人で、怖かったの、お願い、助けて……』<br>「やっぱり開けてあげたほうが――」<br>「待って、私が行く」<br><br>秋元が涙交じりの声を漏らしたところで、堪えられなくなった鈴木がドアに近づこうとする。<br>しかし新内に制され、代わりに新内がドアに近づいて行った。<br>覗き穴からドアの向こうにいるのが秋元一人だと確認する。<br><br>「真夏さん、新内です」<br>『まいちゅん……！助けて、中に入れて』<br>「……その前にお願いがあります」<br>『お願い？何……？』<br>「バックパックを少し離れたところに置いて、両手をあげていてください」<br>「……わかった」<br><br>覗き穴を通して秋元の挙動を確認する。<br>一度振り返って部屋にいる全員と目を合わせて頷いた後、新内は慎重にドアを開けた。<br>ドアを開けた先にいる秋元は両手をあげたままで、その瞳には涙が溜まっているように見えた。<br><br>「両手をあげたまま、中に入ってください」<br>「そんな疑わないで、怖いよ……」<br>「……ごめんなさい、でも、今は」<br><br>怯えた様子の秋元を見て、新内も唇を噛み締めて目を逸らした。<br>心配そうな視線を向ける鈴木、恐怖で身を縮こまらせる相楽、無表情でぼーっと立っている佐々木。<br>全員の様子を確認して、秋元は見えないように顔を伏せて、そして口の端を歪めた。<br><br>鈴木、相楽、佐々木のまだ幼い三人は戦えそうな様子に無い。<br>そんな三人を恐らく守ろうとしているのだろう、疑り深くなっている新内さえなんとかすれば。<br>秋元は顔を伏せたまま思考をフル回転させて考える。<br><br>寝静まってから一人ずつ殺すために、この場をやり過ごす方法を。<br><br>トカレフは腰に差して見えないようにしているし、取り回しの悪い鎌は井上を殺した後に捨てた。<br>バックパックの中には武器を残していない。<br>井上の時と同じく、涙を見せながら武器を捨てたとアピールして取り入ろうか。<br><br>そんな思考の最中、秋元はふと視線を感じて、顔を上げた。<br>じっとこちらを見つめる佐々木の二つの瞳とばっちり目が合った。<br>観察されている、頭の中を覗き込むような、そんな視線に圧倒されて、笑顔を浮かべるのが遅れたのが自分でもわかった。<br><br>「……ん？どうしたの？琴子？」<br>「真夏さん、怪我しましたか？」<br>「え、ううん、してないけど」<br>「血、付いてますよ」<br><br>佐々木が指差す先、ピンク地のTシャツの腰辺りに、明らかに色が濃い部分があった。<br>恐らく井上を殺した時についたであろうその血痕。<br>殺す時も気を付けたし、殺した後も確認したつもりだったのに、見落とした。<br>秋元は目を見開いて、言葉に詰まる。<br>冷や汗が一筋、背中を伝うのが分かった。何とか言葉を絞り出す。<br><br>「ちが、これは……。そう！そういえばさっき転んじゃって、あははは……」<br>「真夏さん」<br><br>悲しさ、憐み、諦め、そんな感情がないまぜになった瞳をした新内が手を伸ばしてくる。<br>秋元は反射的に目の前の新内の体を突き飛ばした。<br>ガシャンという派手な音が響いて新内は倒れる。<br><br>「うっ……」<br>「まいちゅん！」<br><br>鈴木が新内の名前を叫んで駆け寄ろうとする。<br>秋元は腰からトカレフを抜いて、その銃口を新内に向けて、そして引き金を引いた。<br>流れるようなその動きはすごく早かったはずなのに、鈴木の目にはスローモーションに映る。<br><br>バンッという銃声と共に速度を取り戻した世界には、血を流してうつぶせに倒れる新内と、こちらに銃口を向ける秋元の姿があった。</p><p>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/akubihadenai/entry-12309592742.html</link>
<pubDate>Sun, 10 Sep 2017 21:32:53 +0900</pubDate>
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<title>14</title>
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<![CDATA[ <p><br>「ごほっごほっ」<br>「蘭世、大丈夫？苦しい？」<br>「へーき、げほっ」<br><br>薄っぺらい布団に埃の臭いがする少し黄ばんだ枕。<br>そんな悪環境の中に寝そべる寺田蘭世の傍に屈んで、鈴木絢音はその額を優しく撫でた。<br>手の平に感じる体温は熱い。汗に濡れた前髪をそっと整えると寺田は安心したように目を細めて、そのまま目を閉じた。<br><br>寺田が眠りにつくのを見守って、鈴木は立ち上がって部屋を出て行った。<br>ドアを開けてリビングに入ると、部屋にいた三人の視線が鈴木に集まった。<br><br>「大丈夫そう？」<br>「今はよく眠ってるけど、熱が高くて苦しそう」<br>「そっか……。少し探してみたけど薬も無くて」<br><br>鈴木に真っ先に駆け寄ってきた新内眞衣は心配そうに眉尻を下げる。<br>机に突っ伏していた相楽伊織は二人の様子を少し眺めた後に顔を伏せた。<br>そんな相良の頭を新内はぽんぽんと撫でる。<br><br>「伊織大丈夫？体調悪い？」<br>「……ううん、眠いだけ」<br><br>新内の言葉に答えたきり、相楽は黙り込んでしまった。<br>その肩が小さく震えているのに気付いて、新内は相楽の隣に座って静かに寄り添った。<br><br>何だかんだ最年長なんだなと、鈴木は妙に感心する。<br>体調不良に陥った寺田を抱えてどうしようも無くなっていた鈴木達を新内が見つけて、庇いながらこの民家まで連れてきてくれ<br>た。<br>今だってみんなに気を配ってくれている。<br><br>「琴子は？平気？」<br>「……うん、別に何も」<br><br>新内の言葉に佐々木琴子は一瞬振り返って目を合わせただけで、再びすぐに前を向いた。<br>そんな彼女の素振りを気にすることもなく、新内は相楽の背に手を回して優しく撫でる。<br>佐々木がキッチンの棚を漁っているのを見て、鈴木はその隣に近づいた。<br><br>「琴子、何探してるの？」<br>「んー、食べ物」<br>「何かあった？」<br>「乾パン」<br><br>ん、と差し出された乾パンの缶詰を受け取る。<br>受け取った缶詰を自らのバックパックに入れる鈴木を後目に、佐々木は再び棚の物色を始めた。<br>ふと、閉めたカーテンの隙間から差し込む西日に気付いて、鈴木は目を細めた。<br><br>「もうすぐ日が暮れるね」<br>「夜は電気点けないつもりだから、物色は今の内に済ませておいてね、琴子」<br>「わかった」<br><br>電気を点けない理由は言わずとも分かっていて、一同は特に疑問を持つことも無く頷いた。<br>考えたくもないし認めたくもないが、現に殺し合いは起こっていて、殺された者と殺した者がいるのだ。<br>寝ている寺田の傍に鈴木は座り込む。すると寺田はゆっくりと目を開けた。<br><br>「絢音……？」<br>「あ、ごめん、起こしちゃった？」<br>「大丈夫、起きてたから」<br>「夜が来たら電気消しちゃうから、伝えておこうと思って。何か欲しいものある？お水いる？」<br>「……ありがとう、絢音」<br><br>突然お礼を言われて鈴木は不思議そうに眉を寄せながら首を傾げる。<br>そんな彼女の様子を見て寺田は小さく笑いながらも言葉を続けた。<br><br>「助けてくれてありがとう、私、足手まといになっちゃってごめんね」<br>「足手まといだなんて、そんなこと言わないで」<br>「ううん、ほんとに感謝してるの。絢音がいなかったらきっと私もう死んでた」<br>「蘭世……」<br>「体調良くなったら、次は私が絢音を助けるからね」<br>「……ありがとう。それまでは私が蘭世を守るよ」<br><br>お互いに照れくさくなってはにかんでしまう。<br>その時、ドンドンドンという大きな音が聞こえてきて、二人は目を見合わせた。<br>寺田を寝かせておきながら、鈴木は音が聞こえたリビングへ向かう。<br><br>「どうしたの？」<br>「誰かがドアをノックしてる」<br><br>怯えて身を縮こまらせる相楽を庇いながらも新内はドアを指差した。。<br>しばらくの間全員が黙りこくっていると、ドアをノックする間に人の声がとぎれとぎれ聞こえてくる。<br><br>「――て！―――しょ！」<br>「……だれ？」<br><br>耳を澄ませていると、やがて声がはっきりと聞こえてくる。<br><br><br>「開けて！私だよ、秋元真夏だよ！」<br><br>&nbsp;</p>
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<pubDate>Mon, 04 Sep 2017 00:11:52 +0900</pubDate>
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<title>13</title>
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<![CDATA[ <p>&nbsp;</p><p>「玲香、待ってよ、玲香！」<br><br>若月佑美に呼び止められて桜井玲香は足を止めた。<br>振り返った桜井の大きな瞳にじっと見つめられて若月は言葉に詰まる。<br><br>「若？どうしたの？」<br>「こっちの台詞だよ！放送聞いた途端急に歩き出して……」<br>「だって、じっとしてられなくて……」<br><br>桜井は唇を噛み締めながら俯いた。<br>放送で告げられた七人の名前。それは彼女たちがもうこの世にいないこと、そしてこの殺し合いに乗じるメンバーが存在するこ<br>とを意味している。<br>いてもたってもいられなかった。<br><br>「みんなを止めなきゃ」<br>「止めるって、どうやって？」<br>「分かんないけど……」<br>「はぁ……、玲香」<br><br>若月はため息を吐いて桜井の両肩を正面から掴む。<br>顔を上げた桜井の真剣な瞳に一瞬気圧されるも、負けじと眉を吊り上げた。<br><br>「玲香の気持ちは分かってるよ」<br>「うん」<br>「でも……、無理だよ、もう始まっちゃったんだよ」<br>「……なんで、そんなこと言うの」<br><br>二人の間に沈黙が流れる。<br>どちらも目を逸らさない。なんとなく、先に逸らした方が負けというような気持ちになっていた。<br><br>「じゃあ、若月はどうすればいいと思ってるの？」<br>「それは――」<br><br>横の茂みががさりと揺れる気配がして、二人は同時に横を向いた。<br>そこには小動物、ではなく、小動物を思わせる程に身を小さくして震える渡辺みり愛の姿があった。<br>その震える両手には手斧が握り締められている。<br>散々泣いたのであろうか、真っ赤になった目は恐怖に大きく見開かれていた。<br><br>「あ、あの……」<br>「動くな！」<br><br>険しい表情をした若月に一喝されて渡辺はびくりと体を震わせる。<br>その瞳には更なる恐怖の色が浮かび、手斧を握り締める力が強くなった。<br><br>束の間の沈黙。<br>しかし、若月が肩に掛けていたアサルトライフル、AK-47に手をかけた瞬間にその沈黙は破れた。<br><br>「ああぁぁぁ！」<br>「このっ！」<br>「やめて若月！」<br><br>叫び声をあげながら襲い掛かってきた渡辺を撃とうとした若月を、桜井が掴みかかって止めた。<br>若月は咄嗟に桜井を脇に突き飛ばし、襲ってきた渡辺の手斧も横に跳んでかわす。<br>思いきり手斧を振り下ろした重さで渡辺はバランスを崩して転んだ。<br><br>そんな彼女に、若月は真っ直ぐに銃口を向けた。<br><br>「ひっ」<br>「だめ！」<br><br>大きな銃声が一つ鳴り響いて、辺りは水を打ったように静まり返る。<br>胸を撃ち抜かれてうつ伏せに倒れた渡辺はぴくりとも動かない。<br>桜井はよろよろと渡辺に近づいて彼女の身体を何度も何度も揺すった。<br><br>やがて渡辺に触れる両手に滴が落ちるのを見て、桜井は自らが泣いていることに気付いた。<br>そして涙を流したままぐっと顔を上げて立ち上がると、縋りつくようにして若月の肩の辺りを掴んだ。<br><br>「なんで、若月……」<br>「さっきの答え、教えてあげるよ」<br>「え？」<br>「殺し合いに乗る人を全員殺せば良いって、私は思ってる」<br><br>その答えに桜井の瞳には陰が差し、そして目を伏せた。<br>若月の体から手を離すとくるりと後ろを向く。<br><br>「若月の気持ち、全然分からないよ」<br><br>それは呟きに近い程の小さな声だったが、若月の耳には不思議と届いていた。<br>桜井は歩き出す。そして振り返ることなく、その姿は若月の視界から消えて行った。<br>去っていく桜井の後ろ姿から一度も目を離さず、しかし止めなかった若月の脚からもがくんと力が抜ける。<br>体育座りのようにしてへたりと座り込んで膝を抱えた。<br><br>「私、は――」<br><br>その呟きは誰の耳にも届くことなく、夕焼けに吸い込まれて消えて行った。<br>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/akubihadenai/entry-12306856110.html</link>
<pubDate>Sat, 02 Sep 2017 00:05:05 +0900</pubDate>
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<title>12</title>
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<![CDATA[ <p><br>ベレッタ92の銃口を向けても川後の足は止まらなかった。<br>貧弱なナイフを握り締めて立ち向かってくるその姿を見て橋本は小さく舌打ちする。<br>足元に転がっている石を拾い上げる、そしてそれを振りかぶって、思い切り投げた。<br><br>「えっ！痛っ……！」<br><br>突然のことに避けきれず額に直撃して、川後は思わず座り込んだ。<br>押さえた額から血が垂れる、目に入って上手く開かない。<br>閉ざされた視界の中でざっざっという橋本が近付いてくる足音が聞こえる。<br><br>殺される、そう思いながらも川後の心に不思議と恐怖は湧かなかった。<br>それよりも、慕っている深川を殺された憎悪の方が大きかった。<br>刺し違える覚悟で携帯用ナイフを握り締める。<br><br>しかし近付いてきたはずの足音は通り過ぎ、そして遠ざかっていく。<br><br>「なんで？殺さないの……？」<br>「次会ったら、ね」<br>「……なんで、じゃあ、なんでまいまいは殺したの……！？」<br>「……」<br>「なんで！ななみん！」<br><br>返答は無く、川後の叫びは空しく響き渡る。<br>橋本が遠ざかる足音だけが聞こえて、だがやがてそれも小さくなって、消えて行った。<br><br>血が入った目を拭う。それでもなかなか視界はクリアにならない。<br>辛うじて目を開くと倒れている深川の姿が見えて反射的に目を瞑る。<br>大好きな人が、大好きな人に殺された。<br>仲の良かった二人同士がなぜ、理不尽な状況に混乱して、川後はうずくまったまま頭を抱えた。<br><br>「陽菜ちゃん？」<br>「まいまい……？」<br><br>名前を呼ぶ優しげな声が聞こえて、川後は顔を上げた。<br>一瞬深川かと思ったが、足音は反対方向から聞こえてくる。<br><br>「待って、目洗ってあげるから」<br>「……みさみさ？」<br>「うん、一体何があったの？」<br>「ななみんが、まいまいを……」<br><br>衛藤美彩は川後に駆け寄って、支給品の水で目を洗って丁寧に拭った。<br>川後の話を聞いて、衛藤は信じられないといった様子で、口を手で押さえながら首を横に振った。<br><br>「嘘だよ、そんな……」<br>「嘘じゃない！現にまいまいが、」<br><br>そこまで言って川後は言葉に詰まり、唇を噛み締めた。<br>夕陽に照らされる深川の亡骸を見て、そして決意を秘めた瞳を橋本が去った方向に向ける。<br><br>「許さない」<br>「……陽菜ちゃん？」<br>「絶対に、まいまいの敵を討つんだ」<br><br>川後の表情は見えないながらも、震える握り拳を見てどんな表情をしているのか、大体の想像はつく。<br>衛藤は悲しげに目を伏せた。<br>そしてなぜか微笑んでいるようにも見える深川の横顔を見て、祈るように目を瞑った。<br>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/akubihadenai/entry-12305342259.html</link>
<pubDate>Mon, 28 Aug 2017 00:30:11 +0900</pubDate>
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<title>11</title>
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<![CDATA[ <p><br>『時刻は18時、開始から6時間が経ったけどみんな元気に殺し合いしてるかー？さて、これまでの死亡者と、この後の禁止エリアを発表するぞー』<br>『まず死亡者は、井上小百合、中田花奈、中元日芽香 、永島聖羅、畠中清羅、樋口日奈、山﨑怜奈、以上！残りは31名、みんな頑張れよー。次に禁止エリアは――』<br><br>島内に響き渡るやかましい放送。<br>そのうるささに意識を引き戻されて、高山は目を開けた。<br>見慣れない天井にここが自宅でないことに気付いて、その後すぐに異常事態に巻き込まれていたことを思い出した。<br><br>「ここどこ……？って、いててて！」<br><br>どうやら小さめのベッドに寝かされているらしい。<br>体を起こそうとした時左下腹部に激痛が走った。<br>服の裾をめくるとガーゼと包帯が見えて、怯えた西野と、そんな彼女に刺された時の光景が脳裏に蘇った。<br><br>「一実！」<br>「じょーちゃん、ちーちゃん？」<br>「良かった、目が覚めて……」<br><br>高山の声を聞きつけて、能條とちはるが部屋に入ってくる。<br>心底安心した様子の二人を見て、高山も自然と頬が緩んだ。<br><br>「二人が助けてくれたんだね」<br>「うん。私が出た時、ちょうど花奈が七瀬を追いかけるのが見えて、急いで後追いかけたんだけど見失っちゃって……」<br>「そしたら偶然私と愛未が出会って、辺りを探してたら銃声が聞こえて……」<br>「そこに向かったら一実がいたってわけ」<br>「誰に……、やられたの？」<br><br>ちはるが言いにくそうに高山に問い掛ける。<br>高山も一瞬躊躇したものの、西野に刺されたことをその前後の様子も含めて語った。<br><br>「なぁちゃん、すごく錯乱してた。大丈夫かな……」<br>「一応さっきの放送で名前呼ばれてなかったから生きてはいるよ、大丈夫」<br>「あ、そういえば禁止エリアのメモし忘れてた！」<br>「私がちゃんとメモしたから平気」<br>「おお、さすがちーちゃん」<br><br>ちはるが広げた地図の書き込みを見ながら能條も自らの地図に禁止エリアをメモする。<br>ふと、ちはるの地図の端に書かれた何個かの名前が高山の目に留まった。<br>それが死亡者の名前だと気付いて胸が締め付けられるような気持ちになる。<br><br>「なぁちゃんを探しに行かなきゃ、うっ……」<br>「まだ動いちゃだめだよ、もうすぐ暗くなるし、探しに行くのは明日にしよ？ね？」<br><br>高山はベッドを降りようと体を動かすも鋭い痛みが入って思わず呻き声をあげた。<br>ちはるの説得を聞いて大人しくベッドに再度横になる。窓を見ると確かに陽が傾きかけていた。<br>刺された患部を擦りながら西野のことを思う。正気に戻ったらきっと心配するだろう、早く安心させてあげたい。<br>そして、高山はあることに気付いた。<br><br>「これ、手当てしてくれたのってじょーちゃん？」<br>「ん？そーだよ」<br>「……不器用すぎじゃない？」<br>「うっさいわ！」<br><br><br>＊＊＊＊＊<br><br><br>愛しい家族が待つ日常へ帰る、橋本奈々未の決意は固かった。<br><br>（見て、ななみん。夕陽が綺麗だよ）<br><br>水平線が見渡せる崖沿いに立って、夕陽をバックにした深川麻衣が振り返る。<br>その時の、悲しそうに微笑む深川の表情が脳裏に焼き付いて離れない。<br>目を閉じるとその儚い笑顔がありありと思い出された。<br><br>そして目を開けると、そんな彼女が額から血を流して倒れている。<br>橋本が持っている拳銃、ベレッタ92から撃ちだされた銃弾が、彼女の命を奪ったのだ。<br>彼女の顔は心なしか微笑んでいるように見えた。<br><br>「あ……、まい、まい……？」<br>「……陽菜ちゃん」<br><br>震える声が聞こえて橋本は振り返る。<br>川後陽菜は驚愕に目を見開きながら、おぼつかない足取りで近付いてきた。<br>頭から血を流して倒れる深川、そして橋本が右手に持つ拳銃を見て川後は状況を推測する。<br><br>「まいまいを、殺したの……？」<br>「……」<br><br>橋本は肯定も否定もせず、静かに目を伏せた。<br>川後の瞳に憎悪の炎が宿る。ポケットから武器の携帯用ナイフを取り出して握り締めた。<br><br>「よくも、まいまいを殺したな」<br>「……」<br>「……許さない！」<br><br>叫んだ川後がナイフを構えながら駆け寄ってくる。<br>橋本はベレッタ92を持つ右手を、ゆっくりと持ち上げた。<br>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/akubihadenai/entry-12302996915.html</link>
<pubDate>Sun, 20 Aug 2017 00:32:47 +0900</pubDate>
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<title>10</title>
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<![CDATA[ <p><br>「もう、いやだよ……」<br><br>星野は肩を震わせ、嗚咽を漏らす。<br>帰りたい。家族や友人が待つ元の日常に。<br>ずっと続くと信じていた日々がこんなにも呆気なく崩れるなんて、思ってもみなかった。<br><br>「こっち――、声が――……」<br>「……だれ？」<br><br>誰かの話し声が聞こえてくる。<br>逃げなきゃ、咄嗟にそう考えるも足が上手く動かない。<br>足音がどんどん近付いてきて、星野はうずくまったまま目を瞑った。<br><br>「あれ、みなみ？」<br>「あ、ほんとだ！みなみー！」<br>「……生駒ちゃん？いくちゃん？」<br><br>星野が顔を上げると、生駒に優しい手つきで涙を拭われた。<br>生田は自らのバックパックから支給品の水のペットボトルを取り出してキャップを開ける。<br><br>「怪我してる、汚れちゃってるしちょっと洗うね。しみたらごめん」<br>「みなみ大丈夫？何があったの？」<br><br>気付かない内に木の枝に引っ掛かって無数の傷が腕や脚にできていた。<br>生田に手当てしてもらいつつ、生駒には頭を撫でられる。<br>二人の優しさに触れて瞳を潤ませながら、星野は一部始終を二人に語った。<br><br>「そんな、堀ちゃんが……」<br>「なんで未央奈があんなことしたのか、全然分からないの……」<br><br>信じられないといった様子で生駒は首を横に振る。<br>生田も悲しげに目を伏せた。<br><br>「二人は何してたの？」<br>「私達は……」<br><br>星野の問いかけに生駒と生田は目を合わせて頷く。<br>そんな二人の様子を見て星野は首を傾げた。<br><br>「私達は、戦う」<br><br>（私は、戦います）<br><br>凶行の直前の堀の言葉が思い出されて、星野は一瞬戦慄する。<br>先程の光景を思い出さないようにしながら恐る恐る言葉を紡ぐ。<br><br>「戦うって……？」<br>「こんなことをさせる人達と、戦うんだ」<br><br><br>＊＊＊＊＊<br><br><br>井上小百合は小さな小屋の床に座り込んでため息を吐いた。<br>元々は物置小屋だったのだろうか、雑多に物が積まれており埃っぽい。<br>井上は自らの支給品であるハンドガン、トカレフを握り締めた。<br><br>――やられるくらいなら、やってやる。<br><br>その時、ドアノブを回す音が小屋内に響いた。<br>きぃっという音を立ててドアがゆっくりと開く。<br>咄嗟に物陰に隠れた井上は息を潜めた。自分の鼓動がやけに大きく聞こえる。<br>ざっざっという足音が近くまで迫る、トカレフを持って物陰を飛び出した<br><br>「きゃあっ！」<br>「……真夏」<br>「さゆにゃん！やめて、撃たないで……」<br>　<br>驚いて尻餅をついた秋元に、井上は銃口をつきつける。<br>あわあわとしながら首を横に振る秋元の様子を見て井上は少し迷った。<br><br>「真夏、武器出して」<br>「そ、そんなの捨てたから、持ってないよ……」<br>「信じられると思う？」<br>「ほんとだよ！中、見ていいから……」<br><br>井上は秋元に銃口を突きつけたまま、差し出された秋元のバックパックを受け取った。<br>中身を片手で素早く確かめるが、確かに武器らしきものは見当たらない。<br>秋元はぽろぽろと涙を流しながら震える声で話し始める。<br><br>「銃みたいなのが入ってたけど、私、殺し合いなんかしたくなくて」<br>「……」<br>「やめてよさゆにゃん、こんなの、間違ってるよ……」<br>「……分かったよ、真夏」<br>「ありがとう！さゆにゃん、良かった、私一人でずっと怖かったんだ」<br><br>井上はため息を吐いてすっと銃を下ろした。<br>秋元は涙をぬぐって笑顔を浮かべる。そして井上に抱きついた。<br>井上は驚きながらも秋元の背中に手を回そうとする。<br><br>その時、首の後ろあたりに激痛が走った。<br><br>「あ、が、げほっ……」<br><br>声が出る代わりに、口からは液体が零れた。<br>床に広がったそれを見て井上は自分が血を吐いたのだと気付く。<br>ずるりと首から何かが抜かれる感触がして、激痛に意識が一気に遠のいた。<br><br>冷たい床に頬が触れる。<br>秋元が手に持つ鎌の刃先からぽたぽたと赤い滴が垂れるのが見えた。<br>さっと拭った後、秋元はそれを隠していたであろう腰に差した。<br>意識が闇に沈む寸前、秋元の呟きが耳に入った。<br><br>「……やられるくらいなら、やってやる」<br>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/akubihadenai/entry-12302703359.html</link>
<pubDate>Fri, 18 Aug 2017 23:35:10 +0900</pubDate>
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