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<title>綴り吐き溜め</title>
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<description>いちいちホームページを作って更新するのがめんどい！そんな不順な動機の元に作られたこのブログ。脳内妄想や創作ノベルなんかをてけとーに書き殴ります。</description>
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<title>前兆</title>
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<![CDATA[ <p>　「というわけで。」</p><br><p>　「…何が？　いきなり呼び出されてそう言われてもさっぱり。帰っていい？」</p><br><p>　「まあ聞いてくれ、実はだな…」</p><br><p>　公園でばったりと鳴海に遭遇してしまった翌日の放課後。クラスメイトの一人を屋上へと呼び出していた。とは言っても愛の告白だとかそういう色っぽい事ではなく、不足の自体への対処の一環としてこうしているわけだ。</p><br><p>　「…そう。よりによってさつきに。」</p><br><p>　「『蛇』に関しての事までは知らないだろうけど、どっからそういう情報が入ってくるかは解らないから。すまないけど、気にかけておいてくれるか？　親友、なんだろ？」</p><br><p>　鳴海さつきと同じく俺のクラスメイト、小野梨花は無言で頷いた。</p><br><br><p>　小野梨花（おの りか）、俺のクラスメイトにして鳴海さつきの親友。口数が少なく、現実主義な思考の持ち主で、クラスでは少々浮いた存在。鳴海とは性格も正反対にしか見えないんだが、それが気が合う要因なのかもしれない。</p><p>　また、俺の「異なる一面」を知る数少ない人物でもある。</p><p>　レニィ・ノアール。『蛇』に所属する、俺の部下。その格闘能力はかなりの高水準にあり、僅か一年という短期間で最下位の八位から六位まで上り詰めた一種の「天才」である。欠点といえば、やはり実戦経験の少なさか。</p><br><br><p>　「俺も鳴海も顔見られちまってるからな…万一って事もある。何かあったらすぐにホームに連絡を。俺の名前で何人か動かしても構わないから。」</p><br><p>　「…どうしてそこまで？　蛇を動かすほどの問題じゃないと思う。」</p><br><p>　「さあね…なんだか嫌な予感がするんだよ。俺の勘は悪い方ばかり当たるんだ。」</p><br><p>　蛇の方でも治安改善の人員は動かしているし、本来なら何事もなく済むのが一番だ。だけど…なんなんだろうな、この違和感は。</p><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><p>　《CODE－08移送中に護送車が襲撃を受け逃走。襲撃はCODE－08の仲間の手によるものと見られる》</p><p>　《CODE－08はガルド・アルティスにより捕縛され、隔離収監所へ収容予定だった》</p><p>　《CODE－08は逃走後関東方面で行方がわからなくなっている》</p><br><br><p>　《CODE－08は残虐な手段を用い、主に女性体を陵辱・破壊することを好む》</p><p>　《CODE－08は逃走に際し危険度B＋と修正された。処理は生死を不問とする》</p><p>　《CODE－08の迅速な処分を求む》</p>
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<pubDate>Wed, 02 Sep 2009 20:34:35 +0900</pubDate>
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<title>遭遇～encount～⑤</title>
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<![CDATA[ <p><br>　「ありゃ、アスカはまだ来てないのか。手間取ってるんかね」<br><br>　合流地点として指定した、一階玄関ホール。思ったよりも時間がかかっていた筈だが、どうもアスカの姿はまだ見えない。</p><p>　俺はさっき襲ってきた魔物を思い出していた。あんなのがもしまだいるとしたら…アスカも大変だよな。<br><br>　「よし、迎えに行こう」<br><br>　歩いてきた廊下とは反対に伸びる、埃で汚れた赤い絨毯の廊下へと足を伸ばす。見たところ、この屋敷はこのホールを挟んで左右対称らしい。だが…まあ、そう簡単にはいかないか。<br><br>　向かう先の廊下からカサカサという音が聞こえる。蜘蛛が這うような音だ。<br><br>　「…悪趣味だなぁ…」<br><br>　俺の前に現れたのは余りにも大きな、冗談のような大蜘蛛の頭だった。<br><br>　「…高さ３メートル、幅３メートル…。廊下の広さギリギリか」<br><br>　蜘蛛の周囲には壁や天井まで数１０センチの隙間しかない。<br>　…つーか、ホントに広いな、この屋敷。<br></p><p>　「とりあえず、そこ通してもらわないと困るんでね。」<br><br>　一瞬で剣を抜き、間合いを詰める。<br>　鈍く輝く複眼の中心めがけて剣を掲げ、一気に跳躍した直後。<br><br>　《ガツンッ》<br>　「ぐ、ぁっ！？」<br><br>　不意に何かが俺の背を打った。何かと思って見れば、そこには何本もの大きな蜘蛛の足。<br><br>　「…んなバカな…」<br><br>　その足はなんと壁から生えていた。<br><br>　「おいおい…最近の魔物は非常識に限界はないのか…」<br><br>　振るわれれる足を剣で受け、避ける。本体を叩けば終わるとわかっていても、壁や床を縦横無尽に移動する足は俺の接近を許さないし、かといって足を切ろうにも甲が硬くて刃が通らない。<br><br>　「完璧な防御だな」<br><br>　敵ながら関心する。まぁ、攻撃が速さも威力も大した事ないのが救いか。<br><br>　「さて、どう切り抜けるか…」<br><br>　剣さえ持ち替えられれば問題は無いだが、こうもひっきりなしに動き回っていては空間への干渉をする隙もない。<br>　だが、このままじゃどうにもならないのもまた事実。<br><br>　「…うーむ…仕方ない、気は進まないんだが…」<br><br>　敵の攻撃を避けながら、俺の中にある「蓋」をほんの少しだけズラす。<br><br>　───魔力解放・３％───<br><br>　俺の周りに体の内から凄まじい力の奔流が溢れ、余波に触れただけで虫の足がその先から崩れていく。<br><br></p><center>《──────────！！！》</center><p><br><br>　道を塞ぐ大蜘蛛が人の耳には聞き取れない音で悲鳴をあげる。<br><br>　「うぐっ！？」<br><br>　唐突にガクンッ、と膝が折れる。<br>　攻撃を避けながらだったから集中しきれなかったのか、溢れ出す力が思った以上に強すぎる。</p><br><p>　「やべ…早く抑えなきゃ…」<br><br>　片膝をついたまま呼吸を整え、溢れる魔力の制御に全力を注ぐ。<br>　万一、俺の力が暴走なんかしたら…この屋敷どころか街自体がおそらく無に還る。<br>　だが、この状態は完全な無防備だ、早くしないと…！<br><br>　「──！！」<br><br>　蜘蛛がこちらに牙を向ける。くそっ、まだ制御終わってないってのに！<br><br>　「フゥッ…ぐ…！」<br><br>　必死で体を捻り、牙を避ける。攻撃を避けられたのが気に食わなかったのか、蜘蛛は口から糸を吐いて動きを封じてきた。<br><br>　「おい…蜘蛛の糸ってケツから出るんじゃないのか…」<br><br>　無理に軽口を叩いてみるが、それで今のピンチが好転するわけもなく。<br><br>　「…ヤベぇ…」<br><br>　文字通り絶対絶命の大ピンチだ。まさかこんな虫如きに不覚を取るとは…<br><br>　「───ゃぁぁぁぁっ………───」<br><br>　それが聞こえたのは、まさに俺の中にあるリミッターを外そうとするその瞬間だった。<br><br>　「…アスカ…？」<br><br>　思考が一瞬で頭の中を駆け巡り、即時に答えを弾き出す。<br><br></p><center>───こいつは邪魔だ───</center><p><br><br>　「壊れろ」<br><br>　抑え込もうとしていた魔力を外側に向ける。ただ違うのは、その開放に指向性を持たせる事。<br>　その波は蜘蛛を正面から捉えると、一瞬にして体に絡まる糸は黒く変色して崩れ落ち、次の一瞬で蜘蛛の体にへもその侵食が広がる。<br>　取り落としていた剣を拾い上げ、刹那の間に蜘蛛を一閃。すり抜けるようにして蜘蛛の後ろに足をつける。<br><br>　凄まじい速度で振り抜かれた銀には一点の血糊すら無く。<br><br>　凄まじい速度で斬り裂かれたそれは微動だにせず。<br><br>　振り抜いた剣を鞘に収め、溢れる魔力を足へと纏わせて推進力に変え、赤い絨毯を黒く焦がして疾った。<br><br><br><br><br>　───リュウの姿が見えなくなったその時。刃に引かれた一筋の線から、紙が水に溶けるように無数の欠片と消えた───<br></p>
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<link>https://ameblo.jp/althis03/entry-10309074919.html</link>
<pubDate>Tue, 28 Jul 2009 15:20:15 +0900</pubDate>
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<title>面倒事。</title>
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<![CDATA[ <p>　「製造元不明、型式不明。そのデザインはグロックに通ずるものの、関連性は無し。また、銃身内部に強力な毒素を含み、発砲された銃弾に付着、人体に損傷を与えた場合に体内へ侵入し生命活動を阻害する…と。また面倒なモンが出てきたな…」</p><br><p>　上がってきた書類をざっと読み流し、机の上へと放る。椅子に背を預けると、高級感のある慣れない背もたれが俺の体重を支えた。</p><p>　ここは「ホーム」と呼ばれる、この地域の蛇の基地のようなもの。世界各地のここ以外の「ホーム」ともリアルタイムに繋がり、あらゆる情報の収束点。昨日回収した銃の出所・用途の調査を指示しておいたのだが、思ったほどの成果はない。</p><br><p>　「今のところこの程度しか判明している項目がありません。調査を継続しますか？」</p><br><p>　そしてこの、生真面目にモニターに向かってその細身の眼鏡に光を映しているのが…ユリ・レイデン。あの孤児院の責任者である彼女だ。情報分析および操作において、彼女以上の存在はいない…と俺は思っている。「第四位」の位は伊達ではなく、この上なく頼りになる俺の左腕だ。</p><br><p>　「とりあえず、製造元とその取引先は洗っておいてくれ。こんなモン作るほうも欲しがるほうも一回ブン殴っておかないとな。」</p><br><p>　「了解しました、そのように。」</p><br><p>　「まあ、あんまり根詰めるなよ。ガキどもに心配かけるだけだぞ。」</p><br><p>　「ええ、ご配慮ありがとうございます。私ももう若くはないですし、皺が増えるのも嫌なので適度に休みますよ。」</p><br><p>　「へーへー…そのセリフ、是非ともリキエのおばちゃんの前で頼むよ。」</p><br><p>　「…すみません、それは遠慮させてください。」</p><br><p>　20半ばで若くないとか言ってると、ホントいろんなトコから怒られるぞ。</p><br><p>　☆</p><br><p>　夕方、ホームからの帰り道。なにやら公園のあたりが賑やか…というか騒がしい。</p><p>　何事かと覗き込んでみれば、どうやら新興の不良グループと思しい連中が。しかもどうやら、女の子に</p><p>ちょっかいを出しているような雰囲気だ。</p><br><p>　「いーじゃん、まだ七時だよー？オンナもいなくてサミシー俺ちゃんらと遊んでよー」</p><br><p>　「だからちょっと、掴まないでってば、離してって！」</p><br><p>　「最初は王道にカラオケでも行っとく？　いい店知ってるんすよーオレ。」</p><br><p>　「防音完璧外から見えない色々し放題なイイお店ってか？」</p><br><p>　あー…ダメだ、こういう類のバカって話して通じるようなタイプじゃないよな。ついでに言えば大っ嫌いな類の人種でもある。</p><br><p>　「あーはいはい、オニーサン方。ちょーっとやかましいのでご退場願えませんかね。是非ともこの街から、いやむしろこの世から。」</p><br><p>　パンパンと手を叩いてアピールしつつ、無防備を『装って』公園に足を踏み入れる。</p><br><p>　「あァ？　ンだテメェ、ガイヤはだぁーってろや、殺すぞ？」</p><br><p>　「うん、まあそういう反応が返ってくるよね。期待通り過ぎて面白いわ。」</p><br><p>　金髪ピアスに目つきの悪いそのツラ。まあなんというか典型的な不良…というかチンピラ。ああ、どうやら俺の言い分がカチンと来たらしく、こめかみのあたりが引きつった。その後ろにいるその他数名が「あーあジンくん怒らせちゃった、俺シラネー」とか「ひゃひゃ、死んだなあのガキｗｗ　乙ｗｗｗ」とかなんとか言ってるけど。</p><br><p>　「とりあえず、この近辺は特に「蛇」の影響力が強いからさ。おとなしーくしてた方が自分の為よ？」</p><br><p>　「ヘビだかカエルだかしらねーが、テメェは殺…っ!?」</p><br><p>　顔真っ赤にして殴りかかってきたド素人の手を捻り、合気道の要領で地に叩きつけて更に掴んだ腕をぐっと引っ張り…《ゴキリ》という鈍い音と共に、ジンくんとやらの肩が伸びた。</p><br><p>　「うあああああああああああああああっ、いてえ、いってえええええっ！？」</p><br><p>　「テンメっ、ザケたことってんじゃネェぞ！」</p><br><p>　うん、聞き取れないなりになんて言いたいかはなんとなくわかるし、威勢だけは褒めるけど。どーせ痛い目見なきゃわかんないんだろうし…ね？</p><br><p>　☆</p><br><p>　「やれやれ、蛇の影響力も万能じゃないねー、治安に関しちゃ後でおやっさんと話し合う必要あるかな…」</p><br><p>　チンピラ連中が「いつか殺す」だの「覚えとけよ」だのと定番の捨てゼリフを汚い唾と共に撒き散らしながら姿を消し、立ち回りで少しだけ埃で汚れた裾を払う。</p><br><p>　「あ、あの…？」</p><br><p>　…しまった。ちょっかい出されてた女の子のこと忘れてた。面倒にならなきゃいい…</p><br><p>　「月代くん…だよね？」</p><br><p>　………ああ、もう遅かったのか。この場に関わった事が既に、「面倒」の内だったわけだ。</p><br><p>　「…鳴海…なんでこんなトコにいるんだよ…」</p><br><p>　北嶺学園二年三組出席番号22番、鳴海さつき…俺、月代輝のクラスメイトがそこにいた。</p>
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<link>https://ameblo.jp/althis03/entry-10300459562.html</link>
<pubDate>Wed, 15 Jul 2009 17:40:26 +0900</pubDate>
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<title>遭遇～encount～（裏：2）</title>
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<![CDATA[ <p>「穿《アロウ》ッ！」</p><br><p>魔術一閃、手近な触手群に黒い刃が「風穴」を空ける。そして続けざまにその風穴をシオンの魔法…真空の渦が切り裂き広げていく。</p><p>交戦開始からどれほどの時間が経ったのか。何度も何度も切り裂き、砕き、焼き尽くし、それでもこの不気味な「何か」は勢いを弱めない。</p><p>このままでは力尽きるのは私たちの方だ。</p><br><p>「まずいよシャドウっ、魔力の還元が追いついてない…！」</p><br><p>我ら精霊の構成するものこそマナ、魔法の源となる魔素。精霊とは存在そのものが魔法に限りなく近いもの。魔法を放つたびにその身を削っているようなものだ。しかし、マナとは絶えずあらゆる場所に存在し、常にそのマナを空気中から吸収し補填している。故にこの身のマナが尽きることは無い。</p><p>だが…この身に満ちるマナが明らかに減ってきている。吸収量よりも放出量が多いのだ。このままでは力尽きて「アレ」に呑まれるか、あるいは…この身のマナを使い果たし、私という精霊の消滅を向かえるか。</p><br><p>「私たちはまだ…消えるわけにはいかない！」</p><br><p>左腕に魔術式を纏い、魔術で構成した剣状の影を握る。</p><br><p>「シオン、30秒だ。」</p><br><p>「りょーかい、何するのか知らないけど任せなさいっ！」</p><br><p>シオンが魔法の出力を上げ、全方位に風を張り巡らせるのを肌で感じつつ、左手に握る刃へ更に魔術式を刻み込む。</p><br><p>【血の契り　闇と死　我誓う　死と共に歩まん】</p><br><p>影で成された漆黒の刃に、精霊文字の魔術式が浮き上がる。しかしこれではまだ足りない…</p><br><p>【我が伴侶　我が深淵に宿り　我が力　我が剣となり】</p><br><p>更に術式を重ね、剣の中に「私以外」の膨大な魔力が蓄積していく。体の力が全て奪われていくような、そんな錯覚。</p><br><p>【我が名はザグレット　死を司りし名に連なりし者】</p><br><p>最後に「血の契約」となる一言を加え、術式を固定。</p><br><p>「…この式を使うのはこれが初めてだ。シオン、巻き込まれるなよ。」</p><br><p>「ちょっ、大丈夫なのソレ！？　いろんな意味でっ！」</p><br><p>シオンが慌てて私の後ろに下がる。それを横目で確かめ、正面の「敵」に対して剣をかざす。</p><br><p>「…ザキ、私に力を貸せ！　術式開放：屍龍咆哮《ゲオ・デムク》ッ！」</p><br><br><p>■■■■■■■■■■■■■■----------------------!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!</p><br><br><p>数秒。私は意識をなくしていたのだろう。恐ろしいほどに強大なマナが私…私の左手を介して膨大すぎる奔流と化して溢れていった。何が起こったのか、正直わからない。だが…先ほどまであの気味の悪い「何か」があった場所は、例外一つ残さず全てが「死んで」いた。</p><br><p>「なに、これ…なんなのよこれ！　シャドウ、あんた…！」</p><br><p>触手であったものは無論、草木や大地、人工的に手の入った石垣…そして、空気中に存在していたマナまでも。あらゆる「全て」が、だ。</p><br><p>「…ぁ…っ、は…」</p><br><p>一瞬、世界が反転したかと思えるほどの強烈な目眩。地に倒れこみそうになったのをシオンが支えてくれる。</p><br><p>「シャドウ！　しっかりしなさいよ、ねえ！　やだ、マナ殆ど底ついてるじゃないの！」</p><br><p>ああ、そうか…これが、マナの枯渇という感覚か…なるほど、これは…怖いな…。自分が自分じゃなく…全てがどうでも…よく…</p><br><p>「このっ…馬鹿、馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿、大馬鹿っ！　自分が死んじゃったら何の意味もないじゃないっ！　もうっ！」</p><br><p>ふわり、と温かなものが私の中に流れ込んでくる。そしてそれに呼び覚まされるように、ゆっくりとまどろみから目覚めるように…私の感覚が戻ってくる。</p><br><p>「ん…あ…シオ、ン…？」</p><br><p>「…ぷは…「シオン…？」じゃないわよこのナスビ！勝手にデカイの使って勝手に死にかけてんじゃないわよ！」</p><br><p>耳元でそう怒鳴られ、私はようやく状況を理解した。</p><br><p>先ほどの魔術は、本来ならば私が扱えるようなものではない。もっと強大な、先天的にその「力」に認められた存在のみが扱える、こことも精霊界とも違う世界の「龍」の力を借り受ける術法。そのことも踏まえ、本来の術式から何段階もグレードを落とした術式を組んでいたはずだが…それでも私の身は耐え切れなかったのだ。</p><br><p>「すまない…私が不用意過ぎたな…心配をかけた。」</p><br><p>「はぁ…まあいいわ、大事には至らなかったわけだし。でも、今みたいなことは今後絶対禁止。永久封印。いいね！？」</p><br><p>「ああ…肝に銘じておく。…ところで。」</p><br><p>ふと、今の私の姿勢を省みる。シオンに抱き支えられ、お互いを間近に見詰め合うこの姿勢…</p><br><p>「この状況は、どういう事なのだろうか。」</p><br><p>「あれ、察し悪いわねシャドウ。まだ本調子じゃない?　存在維持に必要な分の魔力を分けたのよ。」</p><br><p>「………そういうことか。」</p><br><p>前述の通り、精霊は魔力を空気中から摂取し常時尽きることの無いエネルギーの供給を受けている。しかし、存在の危機に陥るほどの魔力欠乏ともなれば、自然吸収だけでは足りないのだ。そうなれば、何らかの形で纏まった量を補充しなければならない。そして幸い、魔力の塊たる精霊がこの場にもう一人いる。その精霊に分けてもらえばそれで済むのだ。</p><p>…しかし、まあ、なんというか…文献などで魔術についての知識のある者ならば察しはつくのだろうが…その、だな…魔力の人的供給</p><p>というのは、だ…</p><br><p>「まどろっこしいわねー。よーするに粘膜接触、この場合私とシャドウの『ちゅー』よ、『ちゅー』。」</p><br><p>「…人のモノローグに割り込むのはやめてくれないか、いつもの事ながら…」</p><br><p>…この話はここまでにしよう。女同士とはいえ、あまり大々的に語るような事でもない。そうだ、ただのつまらない話にしかならない。</p><br><p>「やー、それにしてもなんてゆーか、シャドウって結構中性的ってゆーか、「凛々しいお姉様」っぽいからさー、私もちょっとトキメいちゃったってゆーか」</p><br><p>…そうだった、シオンは「そういう事」がこの上なく好きなんだ…忘れていた。不覚。</p><br><p>「シオン、頼むからリュウやアスカの前では内密に…」</p><br><p>「ッ！！　シャドウっ！」</p><br><p>唐突にシオンに腕を引かれ、倒れこむ。まだ回復しきっていなかった体では受身も取れずに地を転げ…地に伏せたまま見上げたそこに、</p><br><p>「このっ、離せ、離せってば…っ、こんの、害虫モドキぃっ…！！」</p><br><p>どこから湧き出て来たのか。先ほどと同じ不快感を煽るだけの「触手」がシオンに覆い被さり、その身を飲み込もうとしているその状況。</p><br><p>「シオンっ！っ、あ…！？」</p><br><p>立ち上がろうとしたその足が何かに引かれて挫かれる。…そう、それも触手。そう気付くのと同時に、シオンを呑み込んだ触手は私の頭上に雪崩の如く襲い来る。もはや私たちには、抵抗するだけの猶予も力も、残されていなかったのだ…</p><br><br><br><br><br><br><br><p>（…ザ…キ……）</p>
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<pubDate>Thu, 11 Jun 2009 12:29:08 +0900</pubDate>
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<title>毒蛇の名</title>
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<![CDATA[ <p>VIPER。それが俺、月代輝の属する組織の名だ。これが正式なものなのかも解らず、またどうしてこの名がついたのかも明らかではない。</p><p>俺たちは「蛇」と組織を呼び、俺たち自身も「蛇」という名で呼ばれるものである。</p><br><p>この「蛇」というもの、それなりの地位にいるはずの俺ですら実態が掴めていない。仕事の依頼がどこから来るのか、報酬の支払いがどこからされているのか。誰が見ても、「おかしなこと」はいくらでもあるのだが、それを追求する事が出来ずにいる。</p><p>それは何故か。…この「蛇」という組織、あまりにも巨大すぎるのだ。俺の所属するのは無論日本だが、その日本だけですら数百という「蛇の巣」が存在する。そして、その規模は遥か海を超えた世界中にまで及んでいる。</p><p>俺自身、何度かは外国の「蛇」、それも相応に高位の地位にいる連中と会話した事があるが、そいつらも組織の全容を把握している者はいなかった。「第三位」ですら秘密を明かすには不十分…ということなのだろう。</p><br><p>おっと、そういえばこの「階位」についても説明しておかないといけないな。</p><br><p>VIPERは、明確な縦社会である。最下位を第八位とし、最上は第二位。下から…</p><br><p>第八位：エスペリア</p><p>第七位：ミカーナ</p><p>第六位：ノアール</p><p>第五位：ドゥレス</p><p>第四位：レイデン</p><p>第三位：アルティス</p><p>第二位：エレメンス</p><br><p>と、それぞれの階位ごとに「姓」にあたる部分の名が変わる。</p><p>下位になるほどその人数は増え、第二位に至っては世界で4人と明確にされている。…もっとも、それがどこの誰なのか、誰にも知られていないのだが。</p><p>話を戻そう。この階位、組織内部だけの発言力だけを表すものではない。第二位がどれ程の発言力を持つかは俺にも解らないが、第三位…アルティスという名は、緊急時において、その判断により一国の軍を動かすことが可能、だと言われている。そんな状況になる事がないので、正直眉唾だが。</p><br><br><p>まあ、自分で言うのも何だが…結構な「大物」だったりするんだ、俺。</p><p>とはいえ、どんなに高位であろうとも「蛇」は所詮消耗品。実際、高位であればあるほど仕事の危険度は増し、何人もの「蛇」が仕事の最中に命を落としている。俺が知る限り、この三年で二人のアルティスがこの世から消え、一人が命こそ取り留めたものの再起不能の重傷を負っている。ま、この話はまたいずれにしよう。</p><br><p>さて、そんな俺たち「蛇」だが、その存在が明るみに出れば当然面倒なことになる。世論ってのは結構厄介でね、俺たちのような「正義」ではない存在には当然アンチがつく。しかも、やってる内容を考えればその規模は想像もつかない。まあ、かといって完全秘密裏に行動するなんてのは不可能なわけで。当然、政府や治安法人等への影響力は持っている。</p><p>明らかにはせず、しかしその存在は不可欠。言うなれば、「現代の忍者」とでも言うべきだろうか。</p><br><p>警察各署のそれなりの地位にいる人物ならば「蛇」へのた協力義務が発生するし、教育関係でもそれぞれの長は俺たちの存在を知っている。政治家にもなれば言わずもがな。そのおかげで、仕事における職・学への影響は抑えられ、また社会的な保護も持ち合わせている。「殉職」についても何らかの調整というか「不自然にならない死因」がでっち上げられたりもする。…それがいいか悪いかは別として、だ。</p><br><br><br><p>さて、何でこんな話を物語の間に挟んだのか説明していなかったな。</p><p>この先は、俺だけでなく周囲のフォローがなくてはどうにもならない状況になる。そうなったとき、「こいつ何？」となるのは嫌だろう？　俺も置いてけぼりにはしたくないしな。</p><p>まあ、説明しておきたい事は他にもあるが…それはまた今度にしよう。あまり長くなってもよくないしな。</p><p>今はとにかく、「得体の知れない組織と、流されるままに不相応な地位を与えられてしまった」のが俺のことだと理解していて欲しい。それがいつか、カギになる筈だから。</p>
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<link>https://ameblo.jp/althis03/entry-10263700598.html</link>
<pubDate>Tue, 19 May 2009 03:53:48 +0900</pubDate>
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<title>遭遇～encount～（裏：１）</title>
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<![CDATA[ <p>「ここと…ここ、あと、こっち。…お願い。」</p><br><p>深夜、エトラで取った宿のこの一室。シオンの緊張感の無い寝息をBGMに、アスカが地図を広げて墨で印をつけていく。</p><p>私はアスカやリュウのように鋭敏な観測能力を持ってはいない。事実、二人の気づいていた「街の異常」に気づけなかった。…それを少し悔しくも感じるが、今はそれを考えている暇は無い。</p><br><p>「東南西…か。ここに「何か」があると。」</p><br><p>「そう。…行って来る。」</p><br><p>それだけ言って、アスカは部屋を出て行った。そして、それに続くように隣室でも扉の閉まる音。</p><p>残されたのは、私と一枚の地図…そしてうにゃうにゃと寝言を漏らすシオンだけだった。</p><br><br><p>☆</p><br><br><p>シオンを叩き起こし、灯の落ちた街を歩けばそれがよく解る。…人の気配が全く無いのだ。多くの人々が寝静まっている夜ならばこそ、一部の酒場や宿で活動する人の営みというものが浮き彫りになる。それが感じられない。</p><br><p>「うえー、不気味な静けさっていうのかしらねえ、これ…」</p><br><p>シオンもこの「夜」に不穏なものを感じているのだろう。視線はあちこちをさまよい、どうにも落ち着きがない。…まあ、元よりシオンというこの少女に落ち着きという言葉ほど似合わないものも無いが。</p><br><p>「…シオン、止まれ。」</p><br><p>ここまで近づけば私でも気付くことが出来る。…濃密な魔力の気配だ。街門の少し内側、広場のようになっている場所に、視覚で捕らえることの出来ない魔術式が大きく刻まれていた。アスカの話によれば、コレが現在の街を覆う幻術…を構成する一つの要素なのだそうだ。</p><p>私は右手に魔力を紡ぎ、広場を覆う魔術式の対となる式を即興で組み上げていく。魔力や異変を察知する能力こそアスカに何歩も譲るが、こと魔術式や魔法の扱いに措いては私に利があると言える。そういう意味でも、この役回りは初めから決まっていたようなものだろう。</p><br><p>「…魔術式：消滅《コード：デリート》」</p><br><p>右手に構成した魔術式が、広場のそれにするりと入り込み、式を書き換え解いていく。わずか数秒で、広場を覆っていた高濃度な魔力は空気中に融けて消えた。</p><br><p>☆</p><br><p>その後は順調なものだった。東と南の術式を片付けて、残るは西の式のみ。これが実際にどういった効力を持っていたのかも、術式を読み解く内に理解できてきた。</p><p>…結論から言えば、この街を覆い隠していたものは幻術などという生易しいものではない。</p><p>本来この街に生きていた存在…言葉にすれば「魂」を強引に土地に縛り付け、生きていた時の生活を延々と繰り返させる。そしてその魂に肉体を与えるのが、街の三方に刻まれた魔術式。</p><p>これはつまり、魔術の中でも禁忌とされている、屍法魔術《ネクロマンシー》に属する外法だ。</p><p>交易都市とまで言われるエトラが、丸ごとゴーストタウンになっていただなんて…にわかには信じられない事だ。</p><br><p>「消滅確認。これで最後よね？」</p><br><p>シオンの示す通り、最後の魔術式が解けて消えたのを確認し、地図と見比べてみる。東南西、アスカに示されたすべての箇所を制圧し、残るはアスカとリュウが向かった中央のみ。北側に設置は無いのかとアスカに尋ねたところ、北側は魔力の流れが悪く術式を設置できる環境ではないと説明を受けている。</p><br><p>「そうだな…私たちの役目はこれで済んだ。二人に合流しよう。」</p><br><p>シオンと共に、踵を返して街の中央に堂々と座する、古い洋館へと歩みを進め…</p><br><p>ようとして気付いた。消滅し、空に融けたはずの魔力が再び収束し始めている！</p><br><p>「シオン、気をつけろ。どうやらまだ仕掛けが残っていたらしい。」</p><br><p>大方、全ての術式が解除ないし異常が起きた場合にのみ発動する保険のようなものだったのだろう。魔力が凝結し、新たな魔術式が組みあがり…</p><br><p>「あは、あはは…冗談でしょ、こんな…」</p><br><p>私たちの目に映るのは、粘性の高い嫌な音と共に地の底から這い出してくる、黒紫色の蛭のような…無数の触手だった。</p>
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<link>https://ameblo.jp/althis03/entry-10246617584.html</link>
<pubDate>Tue, 21 Apr 2009 18:32:27 +0900</pubDate>
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<title>仕事</title>
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<![CDATA[ <p>「ふぅ…。どーすっかなぁ、これ…」<br><br>自宅に帰ってきて、スライムまみれの上着を床に放る。どうやらお袋は買い物か何かで出ているらしい。<br>明日も学校だから、洗濯するわけにはいかないし、しかも制服の替えはない。<br>…更に言えば、乾燥機なんてご大層な物は我が家には存在しない。<br><br>「………洗い落とした後にアイロンかけりゃ平気かな？」<br>「それでしたら、私がやっておきます。」「…。ミオ、頼むから気配を消して近づくのは止めてくれ。心臓に悪い…」<br><br>ものすごく、びっくり。<br><br>「…すみません。癖の様です。」<br>「ま、それはそれとして。アイロンくらい自分でやるさ。別にやることもないし。」<br><br>真面目な学生なら予習復習するんだろうが、俺は生憎そこまで真面目じゃない。</p><p><br>「いえ、それがそうもいかなくなりました。」<br>「…まさか…仕事か？」<br>「はい。」<br><br>ミオの抑揚の少ない言葉で仕事と聞くと、否が応でも気が引き締まっていく。しかもこの時間…夜の仕事となれば、気を抜いていては命取りになる。<br><br>「…『蛇』が以前よりマークしていた密輸商に動きがあったようです。品の中身は解りませんが、状況に応じ的確な対応を、と。」<br>「密輸か…『蛇』が目をつけてたってことは、麻薬だとかそういう「小さい物」じゃなさそうだな。」<br>「はい。ですから、私はこちらを引き受けます。ガルド様以外に依頼するには荷が重いかと。」<br><br>僅かに微笑み、床に広がった制服を拾い上げる。<br><br>「OK。お袋への言い訳は任せるよ。」<br>「はい。…一つ、よろしいですか？」<br>「ん？」<br>「…髪に、ついてます。」<br>「はい？」<br><br>それだけ言い、ミオは部屋を出ていった。<br>何がついてるのかと、鏡を覗きこんでみる。<br><br>「…スライムの取り残し…。ひょっとしなくても、これつけたまま外歩いてたのか？ …最悪だ…」<br></p><br><br><br><center>──深夜零時、某所──</center><p><br>「……。………………」<br>「…………？ ………。…………。」<br><br>不法投棄されたゴミの山。その陰から覗く俺の視線の先で繰り広げられる、いかにも怪しい取引。<br>だけど……話が全っ然聞こえねえ。<br><br>「………。……………。」<br>「…………！ ……………!!」<br>「………。……。…………？」<br>「!?　……………～～～!!!」<br><br>お？ 空気が変わったな。真ん中にいる二人だけじゃなく、周囲で見守ってる連中にもピリピリとした空気が広がっている。何やら雲行きが怪しい模様…。この騒ぎに乗じて、中身の確認をっと…。<br><br>「いい加減にしろ！ 私がどれだけ苦労して手に入れたと思っている！」<br>「これはあくまでビジネスだ、条件を呑まないならば他を当たるまで。」<br><br>…どうやら、品物の値についてのイザコザみたいだな。事前に話を通してないとは、失策も失策。こういう取引は短時間で迅速にっていう鉄則が守れてない。<br>そうこうしてる内によく見えるポイントに到達。見張りが数人いるが、そいつらの意識は二人へと向いている。物音を立てでもしない限り見つからないだろう。…ま、こういう時にこそ周りに気を配れないんじゃ、見張りとしても三下だな。<br><br>「どれどれ…」<br><br>ポケットから折り畳み式の望遠鏡を取り出して覗く。<br>トランクの中身は…っと…。<br><br>「…成程、『蛇』から目をつけられるってのはコレか…」<br><br>レンズ越しに見たのは黒鉄。それも、かなり重厚で、人間程度なら一瞬で葬れるモノ。</p><p>…銃だ。</p><p><br>「…見たこと無いデザインだな。型番までは流石に見えないが…新型か？ …オーソドックスな9mm弾使用、弾倉は…14かそこらか。」<br><br>これだけ見れば普通のオートマのハンドガンの様にも見えるが、そんな物がこうも大きい騒ぎにはならないだろう。何らかのギミックが仕組まれてるか…あるいは何らかの機密に触れているのか。<br>…とにかく、今回の仕事の真意はアレの確保といった所だな。<br><br>「さて、それじゃ仕掛けますかね。」<br><br>望遠鏡を戻し、ゴミの山からわざと音をたてて飛び降りる。案の定、見張りのヤツがこちらに気づいた。<br><br>「悪いね、そこまでにして貰おうか。」<br>「何だテメェ。 ガキが首突っ込んでいい話じゃねェぞ！」<br>「んー…残念ながらそうもいかないんだな。こっちも久しぶりの仕事なわけで。」</p><br><p>両手を挙げてふらふらと手のひらを揺らしながら、気づかれない程度に体重を前へと傾け、足の筋肉へ力を溜める。</p><br><p>「あ？ 何言って…」<br><br>男が気を抜いた瞬時、足に溜めた力を解放し、推進力へと変えて間合いを詰め、油断した顎をカカトで蹴り上げる。<br>クリーンヒット。一撃で男は夢の世界へと飛んでいった。<br><br>「なっ!? テメェ、ザケやがって!!」<br>「おっと。こらこら、日本語は正しく使いましょう…ねッ！」<br><br>殴りかかって来た男の拳を避け、掴み、勢いのまま思い切り投げ飛ばす。<br>ゴミの山に埋まる男その２。…哀れ。<br><br>「いい加減にしとけや、ボウズ。今ならまだ見逃したる、さっさと帰って大人しく寝てな。」<br><br>どこからか取り出した物をこちらに向ける男３と４。…銃だ。まあ、銃の取引してる時点でもういくつかは持ってるんだろうなーとは思っていたが。<br><br>「あらら、物騒なモン持ってるねぇ…」<br>「コイツァ脅しじゃねぇ。下手に動いてみな、ドタマの風通しよくなるぜ？」<br>「はぁ…。ま、それじゃしょうがないね。」<br></p><p>内心、陳腐極まりない脅し文句に笑いつつ手を上に挙げる…のではなく。<br>腰に持っていたソレを抜く。<br><br>「先に抜いたのはアンタらだ。文句は受け付けねぇぞ。」<br><br>右手に輝く白銀。それは夜の闇に溶けることなく、自ら光を放つかのように輝く。<br><br>「あ？ オモチャでビビるとでも思ってんのか？ どーやらマジで痛い目見たいみてぇだな！」<br><br>男３の指がトリガーに掛かる、が。<br><br>「残念。御託無しにさっさと撃ってりゃよかったのに。」<br><br>刹那。パシュ、という微かな音と閃光、ほぼ同時に男の持つ銃が爆発した。<br>皮膚は灼け、砕け弾けた銃身の破片に引き裂かれ、骨は衝撃で砕け、筋肉や神経もボロボロだろう。<br>あーあ、右手はもう使い物にならないな、ありゃ。<br><br>「ぎ…ぎゃああああぁぁぁぁあぁあ!?」<br>「なっ…!? 何しやがった、ガキ！ このっ！」<br><br>仲間の怪我と予測していなかった出来事に取り乱したか、男４ががむしゃらに引き金を引く。<br><br>「…銃の欠点って、知ってるか？」<br></p><p>間違いなく俺の体を軌道に捉えていたはずの弾は無く。俺は傷一つ負っちゃいない。<br><br>「弾道ってのは直線だからな。銃口の角度から着弾を予測する事も出来る。」<br><br>男の銃がカチン、カチンと虚しい金属音を立てる。<br><br>「そ、そんなバカな!? 化け物か…!!」<br><br>完全にパニック状態になっている男に、むしろゆっくりと近づき…腹部へと拳を触れた。<br><br>「なーんて、な。さっきアンタが撃ったハズの弾、全部銃の中に残ったままだぜ。」<br><br>…って、もう聞こえてないか。力なく地に崩れる男を見下し、その手から落ちた銃を拾い上げた。</p><br><p>「…お前、何者だ。」<br><br>直接に取引をしていた男が初めて声を発する。どうも、コイツは他の奴とは多少違うみたいだな。<br><br>「ありゃ？ …品がそこにあるってことは、交渉は終わったみたいだな。」<br><br>先刻までトランクにあったソレは、男の手に握られて銃口をこちらに向けていた。闇商人の方の姿が見えないが…逃げたか。まあ、どーせ『蛇』がどっかで伏せてるんだろうしな、すぐにとっ捕まるだろう。つかもう捕まってるかもな。</p><p><br>「質問に答えろ。銃口を的確に撃ち抜き、或いは自分の弾丸で寸分違わず撃鉄のみを破壊した、その業。何なんだ、お前は。」<br><br>へー、あれが理解できたのか。一応それなりに修羅場は踏んでるらしい。その割に取引はグダグダだったみたいだが。<br><br>「まあ、な。俺は…」<br><br>男の指がトリガーを捉え、俺は同時に駆け出す。放たれた弾丸は地を深く抉るが、俺には触れない。<br>２発目が放たれるより早く、俺の右足は奴の手首を砕いた。弾き飛ばされた銃が高い音を立てて転がっていく。</p><p>砕けた手首に眉をしかめつつも、残った左手で振り上げられた足首を掴みに来る。だが、それを許すほど俺は甘くない。</p><p><br>「VIPER所属、第三位。ガルド・アルティスだ。」<br></p><p>体を大きく捻り、振り上げた足の勢いを加速させるように体を支える左足も大きく振り、大きく円を描くように軌道を変えて掴みに来た左手もまた、左足が弾き飛ばす。</p><p><br>「そうか…子供だとは聞いていたが、お前があの黒白の天使か…。」<br></p><p>足が地についた流れを殺さず、遠心力に後押しをされた左足を後ろ回し蹴り気味に突き出し…嫌な感触を足裏に感じつつ、肋骨を砕かれた男は大きく地を転がっていた。<br> </p><p>「…悪いな、その呼び名…嫌いなんだ。」<br></p>
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<link>https://ameblo.jp/althis03/entry-10231885318.html</link>
<pubDate>Sat, 28 Mar 2009 01:01:01 +0900</pubDate>
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<title>遭遇～encount～④</title>
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<![CDATA[ <p>３つ目の扉。これまで遭遇した魔物は最初の狼だけ。…嫌な予感。ここまでを順調に進んできて、障害があれだけなんて。<br><br>「……うん」<br><br>意を決して扉を開く。やはり特別な障害はなさそうだ。私は邪気を滲み溢れさせる鏡を砕き、そのまま踵を返す。</p><br><br><p><br>─ずるり─<br><br></p><p>何かが動いた<br></p><p><br>　　　　─ずるり─<br></p><p><br>私の後ろで<br></p><p><br>　　　　　　　　─ずるり─<br></p><p><br>何かが<br><br></p><center>─ずる、ぴちゃり─</center><p><br><br>私を狙っている──！！<br></p><p><br>「レイ・アローっ！」</p><p><br>振り向きざまに魔法を放つ。私の目に映ったのは、割れた鏡から次々と沸き出す無数の触手。粘液を纏い、滴らせ、赤いカーペットを汚い紫色へと濡らしている。</p><br><p>「っ！」<br></p><p>あまりの気色悪さに声が引きつる。今まで多くの魔物を倒してきたが、こんな悪趣味なのは見たことがない。<br>しかも、放たれた魔法に数本が吹き飛ぶが何も感じていないかのように別の触手がすぐに私を狙う。<br>これにだけは勝てない。私は瞬間的に本能でそれを察し、一気に出口に跳んだ。<br><br>─ばしゅっ─<br><br>「あうっ!?」</p><p><br>だが、それを予測していたように触手が足に絡みつく。勢いを殺されガクンと視界がブレ、一瞬思考が凍ってしまう。その一瞬で、触手に足をとられて私は無様に地を転がっていた。そしてそのまま引き寄せられていくようだ。床をドロドロと汚した粘液は私の体を滑らせ、触手が足首から膝、太ももへと這い上がってくる。</p><br><p>「…嘘…」<br><br>これ…私に何する気？─<br>私は生理的嫌悪感に流されるまま魔力を手に集中し、絡みつく触手へ向けて一気に放つ。<br><br>「不浄なるものを灼き尽くせ、《シャインフレイザー》っ！！」<br><br>高圧放射能にも似た極光が触手を灼き、その隙に後ろへ転がって逃げる。身を灼かれ千切れても、絡みついた触手はまだ私の足で蠢く。背後へと転がりながら、思いっきり足を振って残った肉片を払い飛ばす。</p><br><p>―ああ、このソックスもう使えないかな―</p><br><p>邪魔なものを振り払った事で気が緩んだのか、頭のどこかでそんな事を考えていた。だが――</p><br><center>─ぐちゃり─</center><p><br>背中に嫌な感触と生温い液体。認められない現実を頭では理解して…その理解を認めたくない一心が、思考を完全に止めていた。認めてはいけない、認められない、認めてはいけない、認めたくない、認められない、認めたくない。でも。確かめなくてはいけない。<br></p><p><br>必死の思いで首を　　　　　　　　　　─見るな─<br></p><p>背中がぶつかった　　　　　　　　　　─見るな、見るな─<br></p><p>何かに向け───　　　　　　　　　 ―見るな、見るな、見るな!!―<br><br>「あ…、うぁ…」<br><br>声が出ない。<br>時間すらも凍り付いたような感覚を覚え──本当に凍り付いていてくれたらどんなに救われただろう──私の全身が何かに包まれる感触で意識を引き戻した。<br><br>「ぃ…いやぁぁぁぁぁっっっ！！！！！　むぐぅっ…！？」<br><br>腕も、足も、胴も、頭も異臭を放つ汚液が絡みつき、喉や口の中にも入り込んできた。<br><br>（ああ…私、どうなるのかな…）<br><br>意識の薄れていく中、やけに冷静な私がここにあった。<br><br></p>
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<link>https://ameblo.jp/althis03/entry-10231860900.html</link>
<pubDate>Sat, 28 Mar 2009 00:35:51 +0900</pubDate>
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<title>【子供】</title>
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<![CDATA[ <p>「にゅっふふ～♪ 大漁大漁～♪」</p><br><p>こいつは工藤早苗。一応、小中高と一緒の「幼馴染」というやつ。親父さんが空手道場師範を務め、コイツ自身も空手の有段者だ。俺も一時期、その道場で学んでいたこともある。<br>姉の方は、正反対にお淑やか…なんだけどな。<br><br>で、その早苗が上機嫌に先を歩いている。その手には大量のぬいぐるみや色々な景品類。<br>全部ゲーセンで取ったものだ。<br>…まぁ、実際にやったのは俺なんだけどね？<br>おかげで財布が大分軽くなってしまった。でも、文句は言わない。<br>手に入れた景品を、コイツがどう使うか知っているから。</p><p>…こうしてれば結構可愛いんだけどね、コイツも…<br><br>「ちわーっす！」<br><br>早苗が蹴破るかのような勢いで開け放った、古ぼけてはいるが綺麗に掃除の行き届いた施設の扉。<br>ここには、年端もいかない子供たちが何人も暮らしている。そう、いわゆる孤児院だ。<br>現代でこそ大分少なくなってはいるが、それでも孤児とはいるもの。理由は様々だ。<br><br>「こんにちは、早苗さん。いつも来てくれてありがとうございます。」<br><br>奥から出てきたのは、孤児院院長。二十代前半の、知的な印象を思わせる美女だ。<br>一見、冷たそうな印象があるが、それがなかなか子供好きの優しい「お姉さん」だ。<br><br>「ガル…輝さんも、いらっしゃい。今、お茶を用意しますね。」<br>「ああ、お構いなく。いつもの事だから。」<br><br>…もう気付いた人もいるだろう。この孤児院院長は、俺のもう一つの顔を知る人間だ。<br>名を速水 百合。もう一つの名はユリ・レイデン。レイデンの階級は、俺のアルティスの一つ下…すなわち、彼女は俺の部下という扱いになる。<br><br>「あー！ サナエだー！」<br>「今日は何持ってきてくれたのー？」<br>「あっはははは、今日はいっぱいあるからね、好きなの持っていきな。」<br><br>腕に抱えていた景品たちをテーブルに広げると、子供たちが我先にと集まる。<br>俺とユリは少し離れた場所からそれを見ていた。<br></p><p>「いつもありがとうございます、ガルド。」<br>「気にすんなって。これも仕事みたいなもんだし。」<br>「…はい。」<br><br>元気よく遊び回る子供たち（と早苗）を優しく見つめるユリ。<br>…なんつーか、こうしてると「姉」ってより「母」って感じだな。<br><br>「…私はまだ21歳です。母と言われるほど老成はしていませんが。」<br>「うえ、 俺もしかして声に出してた？」<br><br>ユリの冷たい視線がもの凄く痛かった。</p><br><p>「…にしても、子供は元気だねぇ…」<br><br>壁に寄りかかったまま、あくびと共に背を伸ばす。<br><br>「そうですね。子供の体力に底は…あ、危ない！」<br>「はぇ？ …ぶぁっ!?」<br><br>一瞬だった。ユリの警告も間に合わず、俺の顔面を覆う生暖かく粘ついたゲル状の物体。<br>剥がしてみれば、それが透明な緑色をしているのがわかった。<br>…そう、スライムだ。<br><br>「あははははは！ あきらにーちゃんダッセぇー！」<br><br>…投げたのは奴か。フフ、絵に描いたようなやんちゃ坊主だ。男の子はそれぐらいで丁度良いさ。<br><br>…だが、それとこれとは別。<br><br>「こ…こんガキゃぁぁぁーーーッッッ!!　口ん中入ったじゃねーかっ!!」<br>「わー、逃げろーっ♪」<br>「ふぅ…。程々にしておいて下さいね…」<br></p>
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<link>https://ameblo.jp/althis03/entry-10225005402.html</link>
<pubDate>Mon, 16 Mar 2009 03:27:18 +0900</pubDate>
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<title>遭遇～encount～③</title>
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<![CDATA[ <p>『ギィ…ギ…』<br><br>一歩毎に床が鳴る。…うるさい。<br>私は僅かに顔をしかめながら（リュウに言わせれば、普段とあまり変わっていないらしいが）歩を進めた。<br><br>「…一つ目」<br><br>ドアを開け、部屋へと入る。まず目に留まったのは…古い壺。<br><br>「…いい仕事」<br><br>一人呟いてみる。もちろん私に壺の価値なんてわからないけど、何となく。<br><br>「えい」<br><br>壺に向けて軽く指を振るとそれだけで壺は砕け散った。攻撃の魔法はあまり得意ではないけれど、これくらいの芸当なら私にもできる。<br>次の「瘴気」は一階。リュウのほうも、もう何箇所かの制圧を済ませてるみたい。負けてられない。<br><br>「…？」<br><br>カツン、という軽い音と共に足下を何かが転がったようだ。<br><br>「……指輪……」<br><br>それは、時間の経過で白くなってしまった銀の指輪。<br>…よく見ると、茶色い染みのついた結婚指輪だ。この染みは…血だ。</p><br><p>「…うん。もう少し待ってて。必ず、解放してあげる。」<br><br>指輪をポケットに入れ部屋を出る。私の中に流れ込んできた言葉にならない最後の意志、それは最後の犠牲者の遺志。<br>魔人か、それとも魔族か。街の状況からして、実体を持つ幻術なんて技を使える凄くハイレベルな魔。<br>護衛（ペットともいう）の魔物が出てきてもおかしく…<br><br>「…ごめん、リュウ。遅くなるかも」</p><br><p>地を蹴り後方へ跳ぶと同時に、絨毯が裂ける。そこには三匹の狼の姿をとった魔獣が唸っていた。<br><br>「………」<br><br>私をただの餌としか見ていないのか、一匹がただまっすぐに噛みついてきた。<br><br>「かわいいのに…」<br><br>跳びかかってくる狼に手をかざす。魔力を込めて差し出した私の手に大きな牙が食い込むその瞬間、狼の頭が吹き飛んだ。<br>激しく血を撒き散らしながら転がっていく狼だったもの。動きが止まるとその場で塵に消えた。<br><br>…すぷらった。<br><br>それを見た他の二匹が構える。どうやら「敵」として認識されたらしい。<br>外見は普通のわんちゃんに似ててかわいいけど…魔物だから殺さなきゃいけない。ちょっとかなしい。<br><br>『グルァウゥッ！！』<br><br>二匹が同時に飛びかかってくる。それをかわして手に溜めた小さい魔力塊を一匹に叩きつけた。<br><br>狼は吹き飛び壁に激突するも、上手く衝撃を殺したのかそれ位じゃ死なないらしい。<br><br>「…っ！」<br><br>間髪入れずに無事だった一匹が跳び、私はさっきと同じようにそれをかわす。吹き飛んだ方も復帰して攻撃してくる。<br>二匹の動きは確かに速いけれど、見切れないわけじゃない。<br><br>「…そこ…」<br><br>体を引いて回避すると同時、軟らかい腹部へと魔力塊を打つ。今度のは下半身を吹き飛ばした。それが塵になるのを見届けないまま、最後の一匹に向き直る。<br><br>「…ごめんね…。動物は悪くないのに…」<br><br>両手に魔力を溜める。それに気づいたのか、狼が速攻を仕掛けてきた。さっきより速いけど…<br><br>「…ばいばい」<br><br>狼に手を向けて、魔法を放つ。<br><br>「…堕ちし者に裁きの閃光を…」<br><br>私の両手から放たれた光の束は対象を貫き、灼き尽くす。狼は断末魔さえあげる間もなく極光の中に消えた。<br></p>
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<link>https://ameblo.jp/althis03/entry-10225002828.html</link>
<pubDate>Mon, 16 Mar 2009 03:07:02 +0900</pubDate>
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