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<title>創作RF(仮)</title>
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<description>小説練習【企画】創作RF用</description>
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<title>嵐の導き</title>
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<![CDATA[ &nbsp; クリスティーナがフレゥールの町から戻ってから、二週間程が経った夏の月二日の事だった。春の暖かさは何処へ、オヴリヴィアの静かな街にも、うだる暑さが訪れ始めていた。<div>&nbsp; とはいえ、旅館の中は過ごしやすい気温を保っているので、リックとクリスティーナは以前と変わらぬ様子で開店の支度を少しずつ始めている。</div><div>&nbsp; 今日もまた、フレゥールからモニカが花を届けにやって来る日だった。こちらへ着く頃には汗をかいて大変だろうと思い、リックの気遣いで開店前に風呂に湯を張ってやることにしていた。</div><div>&nbsp; リックがふと窓の外に目をやると、どうやら雲行きが怪しくなってきているようだった。先程までは白い雲の合間に眩しいほどの青空が見えていたが、所々黒みを帯びた雲が散らばって見える。</div><div>&nbsp; 夏の月に入ると、オヴリヴィア街、フレゥール町、パンタシア町を連ねるこのイルクオレ大陸は天候が不安定になる。午前中は晴天であっても、その後の天気がどうなるかは予測がつかない。</div><div>&nbsp; 雨が降り始める前に、こちらに到着すれば良いが…。リックはそう心配しながらも、モニカが来るのを待った。</div><div><br></div><div><br></div><div>&nbsp; その頃のモニカは、夏空の下、汗を身にまといながら歩いていた。手には大切に育てたムーンドロップの花が、生き生きと太陽を見上げていた。</div><div>&nbsp; 以前届けた花が、どうやら旅館『ドロップ』を訪れた客から好評だったらしく、まだムーンドロップの育つ時期にもう一度お願い出来ないか、とリックから連絡が入ったのだ。その知らせを聞いたモニカは、大喜びでムーンドロップを育てた。</div><div>&nbsp; 胸を弾ませながらオヴリヴィアに向かっていると、モニカの右手に汗とは違う一滴の雫が伝った。それを敏感に感じ取ったモニカは、目を細めながら先程まで晴れ間の見えていた空に首を傾ける。</div><div><br></div><div>｢やばっ！雨だ！｣</div><div><br></div><div>&nbsp; ポツポツと降り始めた雨と、段々と数を増やしていく雨雲から逃げるように、モニカはオヴリヴィアへと向かう足を早めた。</div><div><br></div><div><br></div><div>&nbsp; 外で雨粒が地面や葉を叩きつけるような音を聞いて、リックは再び窓の外を覗き込んだ。</div><div><br></div><div>｢結構降ってきちゃったね…。モニカさん大丈夫かな｣</div><div><br></div><div>&nbsp; 先程見えていた青空などもうそこには無く、黒い雨雲だけが夏の空を埋め尽くしていた。時々強い風が吹き付けては、戸を叩くように窓を鳴らす。もしかしすると台風が近いのかもしれない。不安そうに二人はモニカの到着を待っていた。</div><div>&nbsp; 雨が降り始めてから数十分程した頃。旅館の扉をノックする音が響く。その音を聞いて、リックよりも早くクリスティーナが扉を押し開けた。</div><div><br></div><div><br></div><div><div id="DC43943F-3CA3-4F4B-9BB1-3D2E913F82FA"><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20171218/22/alularovich/4b/94/j/o0476063514093682516.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20171218/22/alularovich/4b/94/j/o0476063514093682516.jpg" border="0" width="400" height="533" alt="{DC43943F-3CA3-4F4B-9BB1-3D2E913F82FA}"></a></div><br><br></div><div><br></div><div><br></div><div>｢うわっ！びしょ濡れじゃねえか！｣</div><div><br></div><div>&nbsp; 扉の向こうに立つその人を見て、クリスティーナは驚きの声を上げた。</div><div>&nbsp; クリスティーナの後ろから、リックも姿を現す。</div><div><br></div><div>｢モニカさん、大雨の中すいません…！ティナ、すぐにタオルを持ってきてあげて｣</div><div><br></div><div>&nbsp; モニカを一先ずロビーに上げながら、妹にそう指示するとクリスティーナは急いで奥の部屋へ向かった。</div><div><br></div><div>｢リックさん、すまん！せっかく綺麗にしてあったのに床、濡らしちゃって…！｣</div><div><br></div><div>&nbsp; 自分よりも旅館を気にかけてくれるモニカに、リックも慌てて｢大丈夫ですよ！｣と返した。</div><div><br></div><div>｢これ、頼まれてたムーンドロップ！結構濡れちゃったけど…でもなんとか綺麗な状態のままで届けられて良かった！｣</div><div><br></div><div>&nbsp; 嬉しそうに話すモニカの腕には大事そうに花が抱えられていた。黄色く丸みを帯びた花弁に、小さくて真珠のような透明の粒がキラキラと光っている。可愛くて元気なその姿は、モニカが育てた花にしか表せないものだった。</div><div><br></div><div>｢ありがとうございます…！やっぱりモニカさんの育てた花を見ると元気が出ますね｣</div><div><br></div><div>&nbsp; 雨で濡れたその花たちをモニカから受け取ると、うっとりとした表情で見つめた。</div><div>&nbsp; ロビーに小さな足音が響く。顔を上げると、真っ白なタオルを手にしたクリスティーナが戻ってきた。</div><div><br></div><div>｢とりあえずそれで頭拭いて。あと風呂も出来てるから入ってけ｣</div><div><br></div><div>&nbsp; タオルをモニカの手元に差し出すと踵を返して、浴場へと案内する。慌ててクリスティーナを追いかけながら、モニカは声を上げた、</div><div><br></div><div>｢え！？風呂って…大丈夫だよ！申し訳ないし！それにお金とか…！｣</div><div>｢つべこべ言わずに入れ馬鹿。あと金も取らないから安心しなよ。あたしが勝手にやった事だ｣</div><div><br></div><div>&nbsp; モニカの言葉を遮ってそう言いながら、クリスティーナは浴室の戸を引いた。大きくて煌びやかな鏡や照明が目に刺さって痛い。</div><div>&nbsp; 扉の前で立ち往生するモニカを無理矢理押し入れるとすぐさま戸を閉め、その向こうでクリスティーナが声を掛ける。</div><div><br></div><div>｢濡れた服も洗濯して乾かしておくから、そこの籠にでも放り込んでおいて。それまでは代わりにバスローブでも着といてよ。じゃ、十分後に取りに来るからさっさと入っちゃって｣</div><div><br></div><div>&nbsp; モニカが口を開く隙すら与えずにそう説明すると、足音を少しずつ小さくしながらその場を去っていった。</div><div><br></div><div>｢へっくしょい！！｣</div><div><br></div><div>&nbsp; 扉を見つめたまま立ち尽くしていたモニカだが、冷えた身体に身震いしていると気づき、彼女らの好意に甘える事にした。</div><div>&nbsp; 風呂場の戸を引くと、広すぎる浴場を白い湯気が立ち込めていた。一人でだだっ広い温泉に浸かるのは何だか落ち着かないな、と思いながらもモニカは入浴の支度を始めた。</div><div><br></div><div>&nbsp; クリスティーナの入れる湯は、不思議と活力が湧いてくるような効力があった。入浴剤などの特別なものは一切使っていないのか、香りもなければ湯の色も透明すぎるほどに透き通っている。天然の湯でここまで効力が出るとは、一体源泉は何なのだろうか。</div><div>&nbsp; ぼーっとしながら湯に浸かっていると、もう十分も経ったのか、扉越しにクリスティーナの声が聞こえた。</div><div><br></div><div>｢モニカ、湯加減はどう？｣</div><div>｢あっ！え、えっと、めちゃくちゃ良いよ！疲れが吹っ飛ぶっていうか！｣</div><div>｢そう、なら良かった。風邪ひくと良くないからちゃんと温まって髪も乾かして来なよ｣</div><div>｢おう、サンキュな！｣</div><div><br></div><div>&nbsp; それを最後に、クリスティーナの返事は聞こえてこなかった。</div><div><br></div><div><br></div><div>&nbsp; しっかりと身体を温めたモニカが風呂から上がりロビーへ向かった丁度その時、一際大きな風が吹き付けたのが分かるほど、扉や窓が音を立てた。</div><div><br></div><div>｢モニカさん、おかえりなさい｣</div><div>｢お風呂めちゃくちゃ良かった！本当にありがとう！……外、大分荒れてきたな。今日中におさまるかなあ…？｣</div><div><br></div><div>&nbsp; 不安げに窓の外を眺めるモニカの横顔を見て、リックは思いついたように言った。</div><div><br></div><div>｢今晩は泊まって行かれたらどうですか？今日は予約のお客様もいませんし、こんな天気じゃ近場を通った旅の方くらいしかいらっしゃらないでしょう。部屋もたくさんありますし…どうですか？｣</div><div>&nbsp;&nbsp;</div><div>&nbsp; リックはそういう人柄なのか、勧めるというよりは大歓迎するような笑顔でモニカに提案する。</div><div>&nbsp; 風呂まで用意してもらって、さらにこんなに豪華な旅館に泊めてもらうとなるとモニカは大分迷っていたが、洗濯から帰ってきたクリスティーナが｢こんな大荒れの天気の中、自ら外に出るなんて馬鹿がする事だよ。キミの服も乾いてないし風呂に入った意味もない。返って風邪ひくぞ｣と言われ、モニカは一晩泊まっていく事に決めた。</div><div>&nbsp; 初めて会った時からお世話になりっばなしだなあ、とモニカは少し引け目を感じ、何か手伝える事はないかと聞いたが、ゆっくり寛いでいてくれと返された。しかし、普段こんなに豪華な場所に立ち寄らない彼は、寛ぐどころかなかなか落ち着く事が出来なかった。</div><div><br></div><div>&nbsp; リックの言う通り、この日は客足が少なかった為、忙しさに追われる事はなかった。</div>
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<link>https://ameblo.jp/alularovich/entry-12337383113.html</link>
<pubDate>Mon, 18 Dec 2017 17:06:47 +0900</pubDate>
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<title>無意識の中の金色</title>
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<![CDATA[ &nbsp; 先日オヴリヴィアの街を訪れてから、三日目の朝。<div>&nbsp; 陽気で暖かい日差しと鼻先をくすぐる花々の香りにはもう慣れている筈なのに、モニカはソワソワして落ち着かなかった。しかしそれは今朝からの事ではなく、リックから手紙の届いた昨日の夕刻頃からだった。どこか落ち着かない様子の彼を見て、幼馴染みであるイヴはモニカに何があったのかと問い詰めた。</div><div>&nbsp; 『妹が春の19日、忘れ物を届けにそちらへ向かいます。昼頃には到着する予定ですので、よろしくお願いします』と丁寧な癖のない字で書かれたその手紙を読んで、以前話に聞いたクリスティーナに会えると、当人ではないイヴが大喜びしていた。</div><div><br></div><div>&nbsp; その翌日の朝である。今日は定休日であるにも関わらず、何かしていないと落ち着かないと思ったモニカはいつも通り、花屋である店内に飾られた売り物の花を丁寧に可愛がった。</div><div>&nbsp; しかしそれでも、モニカは時計が気になって仕方が無かった。昼頃に到着すると書かれていたので、クリスティーナが訪れる時間まではまだまだある。</div><div>&nbsp; 彼がソワソワしている理由もまた、クリスティーナと会って早く話したいのと、今まではリックが傍らに居たので良かったが今回は彼女と二人であるという不安からであった。</div><div><br></div><div>｢…でも、オレとティナはもう友達なんだし、そんなに緊張することないよな！｣</div><div><br></div><div>&nbsp; そう口にして気合いを入れながら店の扉を勢い良く開くと、勢いが良すぎて跳ね返ってきたその扉にモニカは顔面を強打された。</div><div>&nbsp; まだ朝だというのに先が思いやられる、となかなか気分の上がらないモニカだった。</div><div><br></div><div><br></div><div>&nbsp; 時計が十三時を回っても、モニカの元にクリスティーナは訪れなかった。</div><div>&nbsp; 小柄な彼女なので、最初は歩くのに時間がかかっているのだろうとあまり気にかけてはいなかったが、流石に予定から一時間も遅れているとなればモニカはいてもたってもいられなかった。</div><div>&nbsp; 何処かで何か大変な事に巻き込まれているのではないかとか、腹を空かせて倒れてるんじゃないかとか、考えれば考えるほどその場に留まって待つことが出来ずに、急いで店を飛び出した。</div><div>&nbsp; オヴリヴィア程ではないが、この町もそこそこの広さがある。まだ道中にいる可能性もあるが、もし町に着いていたとして、入れ違いになってしまったら困るので、まずはフレゥール町内から探すことにした。</div><div>&nbsp;</div><div>&nbsp; 手当り次第、およそ三十分程、町内を駆け回ったにも関わらずクリスティーナの姿を見つける事は出来なかった。</div><div>&nbsp; 一人ではキリがないと察したモニカは、もう開店を始めているであろうイヴの経営するカフェ『ファヴォリ』へと駆け込んだ。幼馴染みであるせいか、何かと一番に声を掛けやすいのだ。</div><div>&nbsp;</div><div>｢イヴ！！！｣</div><div><br></div><div>&nbsp; 来店のベルと共に、モニカは幼馴染みの名を呼ぶと、｢あ、モニカ！いらっしゃ～い！｣と緩んだ声が返ってきた。</div><div><br></div><div>｢おう！今日もやってんな……じゃなくて！オマエ、どっかでティナを見──あれ？｣</div><div><br></div><div>&nbsp; そう言いかける口を止めたのは、モニカが探していた当の彼女が、目の前でチョコレートケーキを幸せそうに頬張っていたからである。</div><div>&nbsp; 事件に巻き込まれてるわけでもなく、お腹を空かせ倒れているわけでもなく、クリスティーナは優雅にその腹をチョコレートケーキで満たしていた。</div><div><br></div><div>｢あ、モニカ。遅かったね。──はいこれ、キミの忘れ物だよ｣</div><div><br></div><div>&nbsp; 何事も無かったかのように、モニカの忘れていった袋をこちらに差し出してくるクリスティーナの姿を見るも、未だ彼は唖然としていた。暫く固まって動けないでいると、イヴが彼の好物であるいちご牛乳を用意しながら、声を弾ませた。</div><div><br></div><div>｢いやあ～、仕入れから帰る途中でティナちゃんと行き会ってね、声掛けたらなんか道に迷っちゃってたみたいだからお昼ついでにと思って連れてきちゃった！｣</div><div><br></div><div>&nbsp; 手に持ったいちご牛乳をテーブルに置きながら、｢ほら、モニモニも座って座って｣と彼を席に促した。</div><div>&nbsp; 一方モニカは、先程と変わらない唖然とした表情のままイヴとクリスティーナの顔を交互に何度も見た。</div><div>&nbsp; その場から動きそうにない彼に対してクリスティーナは再び口を開いた。</div><div><br></div><div>｢まあそういうわけだから｣</div><div><br></div><div>&nbsp; 視線はチョコレートケーキへ向けたまま平然としているクリスティーナと、それをニコニコと眺めているイヴに向かって、次の瞬間モニカは大声を上げた。</div><div><br></div><div>｢──『そういうわけだから』じゃねーよ！｣</div><div>｢ちょっとモニモニ！？店で大声出さないでよ！｣</div><div><br></div><div>&nbsp; 戸惑うイヴのその声も聞き入れず、モニカは更に続けた。</div><div><br></div><div>｢オレさ、昼頃にティナが来るって手紙もらってずっと待ってたワケ！でもぜんっぜん来ないから、心配して町中駆け回って探してたんだぞ！｣</div><div>｢ティナちゃんいたんだから良かったじゃん、うるさいなあ～｣</div><div>｢そりゃ無事だったからよかったけど、そうじゃなくて！イヴも、ティナがファヴォリに来てるならそうオレに伝えてくれればよかっただろ！？｣</div><div>｢そんな事言われても、イヴだって暇じゃないんだから…とりあえずいちご牛乳飲んで落ち着きなって！｣</div><div><br></div><div>&nbsp; 店内で大声を出されるのを嫌がったイヴは、無理矢理モニカにいちご牛乳を飲ませに向かった。</div><div>&nbsp; しかしそれでも止まない二人の口論に、クリスティーナの冷淡な声が挟まれた。</div><div><br></div><div>｢二人ともうるさいよ。ケーキが不味くなる｣</div><div><br></div><div>&nbsp; それを聞いたイヴは黙り込み、モニカはイヴに押し付けられたいちご牛乳を一気に飲み干した。空になった牛乳瓶をカウンターに音を立てながら置くと、モニカはクリスティーナの横へ腰を下ろし、冷静に口を開いた。</div><div><br></div><div>｢…大声出してすまなかったな。でもティナもティナだからな？｣</div><div><br></div><div>&nbsp; チョコレートケーキを食べ終え口を拭いているクリスティーナに対し、モニカは諭すように続ける。</div><div><br></div><div>｢オレ、ホントに心配してたんだから、それは、その…わかって欲しいっていうか…｣</div><div><br></div><div>&nbsp; 気まずさと恥ずかしさで段々と語尾の弱っていく彼の台詞に、クリスティーナは至って普通の顔で、モニカの目をじっと見つめて言った。</div><div><br></div><div>｢わかってる。あたしも悪かったよ｣</div><div><br></div><div>&nbsp; 横暴な態度ではなく、素直に謝罪の言葉を口にする彼女に、今度は違う意味で呆気に取られた。</div><div>&nbsp; そうしているうちに、クリスティーナはせっせと帰り支度を始めていた。届け物は済み、腹も満たされたところでもう帰ろうと思っていたのだ。</div><div><br></div><div>｢じゃあ、用は済んだから。イヴもありがと｣</div><div><br></div><div>&nbsp; そう言うと、店の扉を引いてその向こうへと消えてしまった。</div><div>&nbsp; 呆気に取られ、何も言えずに閉まった扉をじっと見つめているモニカに、イヴはちょっかいを出した。</div><div><br></div><div><br></div><div><div id="AA06164D-5EB3-44C6-82D9-6DF0DAB08E84"><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20171216/05/alularovich/a3/61/j/o0480064014091811931.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20171216/05/alularovich/a3/61/j/o0480064014091811931.jpg" border="0" width="400" height="533" alt="{AA06164D-5EB3-44C6-82D9-6DF0DAB08E84}"></a></div><br><br></div><div><br></div><div><br></div><div>｢あれれ～？モニモニ、ティナちゃんの事、好きになっちゃったのかな～？あんなに熱～い視線送っちゃって～｣</div><div>｢ち、ちげえし送ってねえよ！！｣</div><div><br></div><div>&nbsp; ニヤニヤとしながら近寄ってくるイヴのお陰で、モニカはやっと我に返る事が出来た。手元に返ってきた鉱石や宝石の入った袋をガっと掴むと、｢オレも帰る！ごちそうさん！｣と言い放ち、モニカもまた店を後にした。</div><div><br></div><div>(何だよティナの奴…思ってたよりメチャクチャ素直じゃん)</div><div><br></div><div>&nbsp; オヴリヴィアの街のある方角を見つめたまま、モニカは一人呟いた。</div><div><br></div><div>｢なんかムカつく…！｣</div><div><br></div><div>&nbsp; その晩のモニカは、どこかモヤモヤした気持ちが抜けずになかなか寝付けずにいた。</div>
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<link>https://ameblo.jp/alularovich/entry-12336703258.html</link>
<pubDate>Sat, 16 Dec 2017 03:36:08 +0900</pubDate>
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<title>ひとつ、鍵を解いたのは</title>
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<![CDATA[ &nbsp; ティータイムを終え、リックとクリスティーナの二人はモニカを見送りに出していた。<div>&nbsp; &nbsp;｢また来いよ｣とだけ言い残し、旅館の奥へと消えてしまったクリスティーナだったが、その言葉を聞けただけで、リックとモニカは満足だった。特にリックは、あまり他人と打ち解ける事を苦手としている妹がこんなにも早くあんな言葉を口にするとは思ってもいなかったので、嬉しさのあまりその後ずっと笑みが絶えなかった。</div><div>&nbsp; モニカの後ろ姿が見えなくなり、さて、片付けでも始めようかと思っていたところで、玄関先に再びクリスティーナが舞い戻って来た。</div><div>&nbsp; 先程と違うのは、彼女の右手には、ここへ来る時にはモニカが手にしていた袋がぶら下がっている事である。</div><div><br></div><div>｢モニカさんの忘れ物だね…。流石にもう追いつかないかな…｣</div><div><br></div><div>&nbsp; モニカの消えていった方向を長く見つめながら、リックはどうしようかと考えた。その時、妹の口からはリックが思いもしていなかった言葉が発された。</div><div><br></div><div>｢モニカは花屋だ。今すぐ必要な物でもないだろ？お兄様、手紙でも書いといてよ。あたしが届けに向かうから｣</div><div><br></div><div>&nbsp; あのクリスティーナが知り合ったばかりの彼の為に、自らが動くと言ったのだった。その珍しい発言に、思わず兄であるリックでさえも目を疑った。</div><div>&nbsp; 少しの間、返答が出来ずにいると</div><div><br></div><div>｢何か問題でもある？｣</div><div><br></div><div>と、目を細めて不満げに口を尖らせていた。</div><div>&nbsp; その妹の表情に、思わず｢ふふっ｣と笑いを零すと、クリスティーナは今度は不思議そうに眉をひそめた。</div><div><br></div><div>｢ううん、問題ないよ。それじゃあ、僕からモニカさんに手紙を出しておくから。そうだね…三日後の朝くらいにフレゥールに向かうといいよ｣</div><div><br></div><div>&nbsp; わかった、と背を向ける妹に、リックはふざけ半分で、続けてこう言った。</div><div><br></div><div>｢ついでに、モニカさんとデートでもしておいで｣</div><div>｢はあああああ！？ばっかじゃねえの！？｣</div><div><br></div><div>&nbsp; リックのそのふざけた言動を間に受けたクリスティーナは勢いよく振り向くと、自分より幾らも高い兄の顔を見上げて大声を上げた。</div><div><br></div><div>｢あたしとモニカはただの友達だよ！モニカの所に行くのも忘れ物を届けに行く為だけだから！仕事もあるし、届けたらすぐに帰ってくるに決まってるだろ！？｣</div><div><br></div><div>&nbsp; なんて事を言っていたけれど、リックは｢うんうん、そうだね｣と笑顔で聞き流していた。クリスティーナの言葉よりも、耳まで赤くした必死なその顔に、思わず、我が妹ながら可愛いなあ、と顔が綻んでしまった。</div><div><br></div><div><div id="47161D4D-BD37-472F-8B26-94AEA4FA9118"><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20171215/03/alularovich/2f/c0/j/o0480064014091203062.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20171215/03/alularovich/2f/c0/j/o0480064014091203062.jpg" border="0" width="400" height="533" alt="{47161D4D-BD37-472F-8B26-94AEA4FA9118}"></a></div><br><br></div><div><br></div><div><br></div><div><br></div><div>&nbsp; そんなリックの悪ふざけのせいで、まあ自業自得ではあるのだが、今夜の食卓には彼の苦手なタマネギが大量に盛られていた。</div>
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<link>https://ameblo.jp/alularovich/entry-12336459640.html</link>
<pubDate>Fri, 15 Dec 2017 01:50:55 +0900</pubDate>
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<title>甘くて小さなライラック</title>
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<![CDATA[ &nbsp; クリスティーナがロビーの清掃をしていると、正面の大きな扉が音を立てた。屋内の灯りとは違う、午後の日差しが一時だけ流れ込む。<div>&nbsp; 定休日であるこの日この時間に旅館の戸を開けるのは、住居人であるクリスティーナかリックのみである。</div><div>&nbsp; もちろんそこには、帰宅した彼女の兄、リックの姿があった。</div><div><br></div><div>｢おかえり｣</div><div><br></div><div>&nbsp; その一言だけを放つと、クリスティーナはそっぽを向いてしまった。あの一件があってからは、言葉は交わすものの、何かと兄とはギクシャクしてしまっていたのだ。</div><div><br></div><div>｢ただいま。──ティナ、お友達を連れてきたよ｣</div><div><br></div><div>&nbsp; 友達。その覚えのない言葉を聞いたクリスティーナは、再び顔を上げた。</div><div>&nbsp; 先程は兄の姿しか見えていなかったが、その後ろにはもう一つ、兄より小さな人影があった。</div><div><br></div><div>｢キミ…また来たの？｣</div><div><br></div><div>&nbsp; 見覚えのあるその姿に、クリスティーナは呆れ顔をする。</div><div><br></div><div>｢『キミ』じゃなくて、モニカさん。僕が誘ったんだよ｣</div><div>｢ごめん！断れなくて…！｣</div><div><br></div><div>&nbsp; リックの一歩後ろで、申し訳なさそうに頭を搔くモニカを見て、ティナは溜め息をついた。</div><div>&nbsp; 現在、兄との関係が良好でないのにも関わらず、兄も、そしてモニカも、よく堂々と足を運んだものだと感じていた。</div><div>&nbsp; ふと視線を下ろすと、リックの片手には可愛らしい箱がぶら下がっているのが見えた。その視線に気付いたリックはクリスティーナに微笑みかける。</div><div><br></div><div>｢今日はそのくらいにして、ティータイムにしよう。ティナの好きな物、買ってきたんだよ｣</div><div><br></div><div>&nbsp; そう言うと、モニカを手招きながらダイニングルームへと向かって行った。</div><div>&nbsp; あの形状の箱で、クリスティーナの好きな物と言えば一つしか思いつかない。颯爽と清掃用具を片付け、彼女もまた、ダイニングルームへと向かった。</div><div><br></div><div><br></div><div>&nbsp; 自分の背丈の倍以上もある、大きな扉を片手で何の苦もなく開くと、既にリックがお茶の準備を始めていた。</div><div>&nbsp; クリスティーナが部屋に入ってきた事に気付くと、リックは先程手にしていた箱の包みを開けて見せた。</div><div><br></div><div>｢チョコレートケーキ…｣</div><div><br></div><div>&nbsp; 先程までの不貞腐れた表情とは打って変わって、クリスティーナは目を大きく開き、感嘆の声を漏らすようにそう呟いた。</div><div><br></div><div>｢今、お皿とフォーク準備するから、ティナは座って待ってていいよ｣</div><div><br></div><div>&nbsp; そう言ってキッチンに消えていく兄の後ろ姿を見送った後に、普段はないもう一人の視線に気付いた。</div><div><br></div><div>｢そういえば居たんだったね｣</div><div><br></div><div>&nbsp; モニカと視線を交わしながら、クリスティーナは自身の席へと座った。</div><div>&nbsp; モニカは気まずさを感じながらも、何か言葉を繋げなければと、必死に頭の中を巡らせた。が、そんな事も束の間、少しすると、人数分のケーキと紅茶の乗ったプレートを持ったリックがダイニングルームへと戻ってきた。</div><div><br></div><div>｢お待たせしました。モニカさんすいません、ショートケーキしかなくて…。イチゴ、お好きですか？｣</div><div><br></div><div>&nbsp; 訊ねながら、リックは彼の目の前にキラキラのイチゴが乗ったショートケーキとティーカップを置いた。続けてクリスティーナにもチョコレートケーキと、そして自身のものを置いてリックも席に着いた。</div><div><br></div><div>｢全然！毎日いちご牛乳を飲むくらいには好きだよ！ありがとう！｣</div><div><br></div><div>&nbsp; そう言うと、イチゴと同じくらいのキラキラの目をしてモニカはケーキを見つめた。</div><div>&nbsp; ふと視線を上げ、向かいに座るクリスティーナを見ると、なんと既に目の前のチョコレートケーキに手を伸ばしていた。</div><div>&nbsp; しかし、モニカがそれよりも驚いたのは、チョコレートケーキを頬張る彼女のその表情である。</div><div>&nbsp; ここへ来る前にリックから聞いていた通り、子供のような満面の笑みで、黙々とチョコレートケーキを食していた。</div><div><br></div><div>｢ティナ、美味しいかい？｣</div><div><br></div><div>&nbsp; ティーカップを口へ運びながら、リックはクリスティーナに問いかけた。</div><div><br></div><div>｢当たり前だよ！このケーキ、スヴニールのだろ？あそこまでわざわざ買いに出たの？｣</div><div><br></div><div>&nbsp; ケーキを食す手を止めることなく、クリスティーナは自然と兄と会話を弾ませた。</div><div><br></div><div>｢ティナがあそこのケーキが好きなのを知ってたからね。それにほら、あの箱、わざわざプラリネさんが可愛く飾り付けてくれたんだよ｣</div><div>｢へえ、そうなんだ。──っていうか、プラリネはあたしより歳下のくせにお姉さんぶりすぎなんだよ。お節介っていうかなんていうか…まあ、嫌いじゃないけど｣</div><div><br></div><div><br></div><div><div id="D20050CF-AD5F-48F9-964B-E2D66E684F99"><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20171213/00/alularovich/2f/9c/j/o0480064014089902233.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20171213/00/alularovich/2f/9c/j/o0480064014089902233.jpg" border="0" width="400" height="533" alt="{D20050CF-AD5F-48F9-964B-E2D66E684F99}"></a></div><br><br></div><div><br></div><div><br></div><div>&nbsp; プラリネの愚痴を零しつつも、クリスティーナの表情は笑顔のまま変わらない。</div><div>&nbsp; つい、モニカはそんな彼女を見つめてしまっていた。そのせいで、自分が目の前の品に一口も手をつけてない事に気がついたのは、リックから｢お口に合いませんでしたか？｣と声を掛けられてからだった。</div><div>&nbsp; 急いでケーキを口に運び始める頃には、クリスティーナはもう目の前のチョコレートケーキを食し終えていた。</div><div><br></div><div>｢…モニカは、甘い物好きか？｣</div><div><br></div><div>&nbsp; その言動に、モニカは一瞬固まってしまった。</div><div>&nbsp; というのも、彼女から自分に対してそういった台詞を口にされるのが初めてだったからだ。</div><div><br></div><div>｢勿論！っていうか、お菓子とかって見た目が可愛いもの多いじゃん？そりゃ味も好きだけど、見てるだけでも幸せっていうか…！｣</div><div><br></div><div>&nbsp; 戸惑いを隠すように、必死に言葉を紡ぐ彼を見て、クリスティーナは思わず小さく噴き出して笑った。</div><div><br></div><div>｢え！？お、オレ何か変なこと言ったか！？｣</div><div><br></div><div>&nbsp; 慌ててそう訊くと、クリスティーナは｢いや｣と一呼吸置いてから口を開いた。</div><div><br></div><div>｢甘い物好きな人に、悪い奴はいないからな。…そうだね、友達…なってあげてもいいよ｣</div><div><br></div><div>&nbsp; 自分に向けられたその言葉と、彼女の微笑みに、またしても度肝を抜かれてしまうモニカだった。</div>
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<pubDate>Tue, 12 Dec 2017 22:31:03 +0900</pubDate>
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<title>彼と彼女の好きな物</title>
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<![CDATA[ &nbsp; パンタシアから、オヴリヴィアの街に着くと、そこには見覚えのある後ろ姿があった。<div>&nbsp; 自分より低い背丈と、キラキラの宝石が細工されているにも関わらず、シンプルで動きやすそうな服。そして何よりも、彼自身がコンプレックスにしてあるであろう、黄土色の天然パーマの髪を見て、リックはそれが誰なのかすぐに理解した。</div><div><br></div><div>｢モニカさん、こんにちは。｣</div><div><br></div><div>&nbsp; 天然パーマを指先で弄りながら歩くモニカの背中に挨拶をすると、突然声を掛けられた彼は驚きながらこちらを振り向いた。</div><div><br></div><div>｢び、びっくりした～！って、リックさん！あっ、えっと、この前はご飯ありがとう！｣</div><div>&nbsp;</div><div>&nbsp; 思い出したようにそう言うと、深々と頭を下げる彼に、リックは｢いいんですよ。僕から誘ったんですから、お気になさらず。｣と返した。</div><div><br></div><div>｢それよりモニカさん、今日はどうしてオヴリヴィアに？｣</div><div><br></div><div>&nbsp; そう、リックは後ろ姿を目撃した時から、その事が気になっていたのだ。</div><div><br></div><div>｢ああ、今日はちょっとハクヤのとこに用事があって！オレってキラキラしてる物とか好きで…オヴリヴィア周辺だと、たまに珍しい物が採れるみたいでさ、それで何度かハクヤとは会ったりしてたんだ！──っても、店まで足を運んだのは初めてなんだけどな！今回も、珍しいのが採れたからって見せてもらいに来たんだ！これはそのついでに買ったやつ！｣</div><div><br></div><div>&nbsp; そう言うと、先程からずっと左手で掴んでいる袋を、嬉しそうに胸の辺りまで掲げてみせた。</div><div><br></div><div>&nbsp; 彼の言う『ハクヤ』とは、オヴリヴィアで鍛冶屋を営んでいる男性の一人である。ハクヤは装飾品を製作しているので、鉱石類やアクセサリーの素材にも詳しいのだろう。</div><div>&nbsp; それにしても、モニカとハクヤが知人であった事には驚きだった。</div><div><br></div><div><br></div><div><div id="16E78B60-B013-4AEB-A2D7-2066D47C4B4D"><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20171212/07/alularovich/06/dc/j/o0480064014089314760.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20171212/07/alularovich/06/dc/j/o0480064014089314760.jpg" border="0" width="400" height="533" alt="{16E78B60-B013-4AEB-A2D7-2066D47C4B4D}"></a></div><br><br></div><div><br></div><div><br></div><div>｢リックさんは、買い物…の帰り？｣</div><div><br></div><div>&nbsp; 先程スヴニールで買ってきた、ケーキの入った可愛らしい箱を見て、モニカはそう訊いた。</div><div><br></div><div>｢まあ、そんなところです。ティナの機嫌を損ねてしまったので、好物でもと思いまして。｣</div><div><br></div><div>&nbsp; ｢今回は、僕が悪いんですけどね。｣と苦笑しながら答えるリックを見て、あの娘のお兄さんなんて大変だろうなあ、とモニカは内心思っていた。</div><div><br></div><div>｢ティナの好物ってなんなんだ？｣</div><div><br></div><div>&nbsp; 箱の形状からして、恐らく洋菓子ではあると思うが、あの無愛想で暴力的な彼女の好む菓子など、モニカには到底予想が出来なかった。</div><div><br></div><div>｢ふふ、チョコレートケーキですよ。ティナはこれを前にすると、まるで子供のように笑うんです。｣</div><div><br></div><div>&nbsp; 先程とは打って変わって、楽しそうな笑みでリックはそう語った。クリスティーナのその表情を頭に浮かべながら話していたのだ。</div><div>&nbsp; しかし、兄妹である彼には容易く出来る想像が、モニカには一切合切出来なかったのである。確かに見た目こそ子供のようであるが──こんな事を言ったらまた本人に睨まれてしまう──、子供のように笑うとなると、モニカは、初めて彼女と会った時のあの態度からは、それを頭に思い描くのが難しい。</div><div>&nbsp; モニカがその事で頭を捻らせていると、リックから一つ提案をされた。</div><div><br></div><div>｢もし、この後のお時間大丈夫でしたら、またご一緒に、今度はティータイムでもどうでしょう？｣</div><div>｢ええっ！？そ、そんなの今度こそ本当に悪いよ！！｣</div><div><br></div><div>&nbsp; モニカは頭を横にブンブンと振り、遠慮を全開に表した。しかし、彼のそんな行動も役に立たず、半ば強引に、彼らの居住地へと向かう事になったのであった。</div><div>&nbsp;</div>
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<link>https://ameblo.jp/alularovich/entry-12335688547.html</link>
<pubDate>Tue, 12 Dec 2017 03:58:28 +0900</pubDate>
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<title>暖かな心の見える空間</title>
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<![CDATA[ &nbsp; 休日、リックがやって来たのはモンスターと人間が共存する町、パンタシアの一角にある宿屋『スヴニール』であった。<div>&nbsp; スヴニールは宿屋でありながら、食堂と酒場を共に連ねる小洒落た、アットホームな雰囲気の店だ。<br></div><div><br></div><div>&nbsp; 先日、妹であるクリスティーナを悲しませてしまった事を後悔したリックは謝罪も兼ねて、彼女のお気に入りの品を求め、わざわざ足を運んで来たのである。</div><div><br></div><div>&nbsp; 入店のベルを鳴らすと出迎えてくれたのは、温かな橙の髪を片方に束ねた、野いちごのような可愛らしい瞳の少女だった。</div><div><br></div><div>｢いらっしゃいませ！ようこそ、スヴニールへ！｣</div><div><br></div><div>&nbsp; 来客を、さぞかし嬉しそうに笑顔を見せる彼女に、リックは思わず顔が綻んだ。</div><div><br></div><div>｢初めてのお客様ですね？わたし、プラリネです。どうぞこちらへ！｣</div><div><br></div><div>&nbsp; 礼儀正しくそう名乗ると、プラリネは店内のカウンター席へと案内をしてくれた。</div><div>&nbsp; 自身の経営する、ドロップやエレメントと違い、その温かな雰囲気の店内にどうもリックは心を落ち着かせてしまう。</div><div><br></div><div>&nbsp; カウンターの向かいから、｢ご注文はお決まりですか？｣とプラリネの穏やかな声が聞こえてハッとする。</div><div><br></div><div>｢チョコレートケーキをひとつ、お願いします。｣</div><div><br></div><div>&nbsp; そうだった、と当初の目的を思い出したリックは、優しさの見える笑顔で彼女に注文を告げた。</div><div><br></div><div>｢かしこまりました～！──マーくん、チョコレートケーキひとつお願い！｣</div><div><br></div><div>&nbsp; プラリネがカウンター奥の小部屋に向かって声を掛けると、｢はいよ、まかせとけ｣と力強い男の声が返ってきた。</div><div><br></div><div>｢今日はどちらから来てくれたんですか？｣</div><div><br></div><div>&nbsp; こちらに向き直ると、プラリネは人懐っこい笑顔で問いかける。</div><div><br></div><div>｢オヴリヴィアからです。ここのチョコレートケーキが美味しいと聞いたもので。｣</div><div><br></div><div>｢えぇ～っ！？そうなんですか！わぁ～！嬉しいです！ねぇ、マーくん聞いた聞いた！？｣</div><div><br></div><div>&nbsp; 思わずこちらも釣られてしまう程の笑顔で、その嬉しさを『マーくん』とやらに声を掛けるが、</div><div><br></div><div>｢はぁ！？聞こえねえよ、何だって！？｣</div><div><br></div><div>と荒らげた口調での返事が返ってくる。と同時に、チョコレートケーキを片手に男が姿を現した。</div><div><br></div><div><div id="51AB9FDC-F14F-4091-84B2-A45F1FD64F81"><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20171210/07/alularovich/67/b2/j/o0480064014087915512.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20171210/07/alularovich/67/b2/j/o0480064014087915512.jpg" border="0" width="400" height="533" alt="{51AB9FDC-F14F-4091-84B2-A45F1FD64F81}"></a></div><br><br></div><div><br></div><div>｢お待ちどうさん、チョコレートケーキだぜ。｣</div><div><br></div><div>&nbsp; 紅葉しかけの、綺麗な黄色と橙のような長い髪を後ろにひとつ括った男性は、リックの顔を見るや意外そうな表情を浮かべた。</div><div><br></div><div>｢あれ、いつもの嬢ちゃんかと思ったら違う客だったのか。悪ィな、デカい声だしちまって。｣</div><div><br></div><div>&nbsp; 申し訳なさそうな困った笑みを浮べる彼に、リックは｢いえ、お気になさらず｣と返すと更に続けた。</div><div><br></div><div>｢その『いつもの嬢ちゃん』っていうのは、もしかしてクリスティーナの事でしょうか？｣</div><div><br></div><div>&nbsp; ケーキにフォークを落としながら、リックはそう尋ねた。</div><div><br></div><div>｢あっ！もしかして、ここのチョコレートケーキが美味しいってティナちゃんが言ってたんですか！？｣</div><div><br></div><div>｢ええ、ここがお気に入りだと。──お店の雰囲気といい、プラリネさんと…えっと｣</div><div><br></div><div>&nbsp; そこでリックは、まだ目の前の男性の名前を知らない事に気が付いた。</div><div>&nbsp; それを察した彼は、｢ああ、俺はアーマンドだ。｣と気前良く名乗ってくれた。</div><div><br></div><div>｢失礼しました。ありがとうございます。…プラリネさんとアーマンドさんのような素敵な方の作るお店とケーキ。妹が何度も通ってしまうのも納得がいきます。｣</div><div><br></div><div>&nbsp; 目の前のチョコレートケーキを上品に頬張りながら、クリスティーナが、よくこの店の事を話しているのを思い出した。</div><div><br></div><div>｢ん？妹…って事はアンタ、ティナの兄貴ってわけか。なるほどなあ…。言われて見ればなんだ、そっくりじゃねえか。｣</div><div><br></div><div>｢ほんとだ！ティナちゃんとすごく似てる～！マーくん、頭良いね！｣</div><div><br></div><div>&nbsp; 頭が良いか悪いかは、この話ではあまり関係無いと思うが…。そんな事よりも、二人共にまじまじと顔を見られては、なかなか食べにくいと感じるリックだった。</div><div><br></div><div>&nbsp; チョコレートケーキを食べ終えたリックは、｢妹にも一つ、持ち帰ってやりたい｣と伝え、アーマンドに再びチョコレートケーキを作ってもらい、更にプラリネが、ケーキを包んだ箱を可愛らしくラッピングまでしてくれた。</div><div><br></div><div>&nbsp; あれからクリスティーナは、あまり口をきいてくれなかったけれど、持って帰ったらきっと喜ぶだろうな。そしたらちゃんと、この間の事を謝ろうとぼんやり考えながら、リックは帰路に着いた。</div>
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<link>https://ameblo.jp/alularovich/entry-12335164498.html</link>
<pubDate>Sun, 10 Dec 2017 05:44:24 +0900</pubDate>
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<title>どこかで聞いたその名は</title>
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<![CDATA[ &nbsp;モニカがフレゥールに到着したのは、予想通り、空が朱くなり始めた頃だった。<br> &nbsp;町に近付くにつれ、花の良い香りがだんだんと増していく。<br> &nbsp;フレゥールは、それほど花に囲まれた色とりどりで綺麗な町だ。<br> &nbsp;町で一際高い時計台に目をやると、モニカの経営している花屋は閉店の時間を過ぎていた。<br> &nbsp;リックさんの所でちょっと長居しちゃったなーと昼の事を思い出しながら、モニカは大きく伸びをした。<br> &nbsp;店に戻ろうと歩いている途中で、見慣れた看板にふと足を止めた。<br><br> &nbsp;ツワブキという青年が経営している旅館の中には、モニカの幼馴染みであるイヴが切り盛りしているカフェがある。<br> &nbsp;大きな〈フレゥール：旅館〉の字の下には小さく、少し右肩上がりの字で〈カフェ：ファヴォリ〉と書かれていた。<br><br> &nbsp;イヴとは良く会うものの、カフェ自体には最近顔を出してなかったなと思い、モニカは自分の店に戻る前に、少し寄り道をしていく事にした。<br><br> &nbsp;カフェの扉に手を掛けると、中からイヴと、もう１人、女性の声が聞こえてきた。なんだか物凄く盛り上がっている様子である。<br><br>｢こんにちはー！｣<br><br> &nbsp;モニカの声と、カランカランという扉に掛かった鈴の音が重なって響いた。<br> &nbsp;ぴた、と一瞬会話が止んだと思うと、<br>｢モニカ！ファヴォリに来るの久々じゃない！？いらっしゃい！｣<br>｢モニカ君、ヤッホー｣<br>と、愉快な女の子２人の声が返ってきた。<br><br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20160814/00/alularovich/f4/6a/p/o0720096013722652367.png"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20160814/00/alularovich/f4/6a/p/o0720096013722652367.png" width="100%"></a><br><br><br> &nbsp;そこにいたのは、モニカの幼馴染みであるイヴと、フレゥールで風呂屋を経営しているメイプルだった。<br><br>｢おいおい、イヴ…。オマエ接客中にお酒飲むなよ…｣<br><br> &nbsp;カウンターの椅子に腰を落としたモニカは、｢いちご牛乳ひとつ｣とイヴが自分の為に作ってくれたメニューを注文した。<br> &nbsp;店の外にまで聞こえていた大きな声は、もう酔いも回り、テンションが上がってきている、酒豪であるイヴの声だった。<br> <br> &nbsp;｢いちご牛乳だね！了解！｣という返事と共に、イヴは敬礼するようなポーズで左手をパーにして額部分に当てた。注文を受ける時、必ず彼女はこのポーズをする。<br> &nbsp;彼女が歩く度に聞こえるパタパタという音は、年中どこでも履いているスリッパの音だった。<br><br> &nbsp;お酒の入ったイヴはほんのりと頬を赤くしながら、楽しそうに営業をしている。くりくりの茶色い大きな瞳も、いつも以上にルンルンとしていた。甘いキャラメル色の髪をふわふわとさせながら、イヴはいちご牛乳を手に戻ってきた。<br><br>｢お待たせ〜！いちご牛乳だよ〜｣<br><br> &nbsp;目の前に置かれたその大好物を、モニカはそれこそお酒を飲むように、グッと飲み干した。<br> &nbsp;そのモニカの視界の隅で、先程みた空の朱に近い色をした髪がふわりと揺れ、シャンプーのような良い香りが流れた。<br><br>｢モニカ君は相変わらず、いちご牛乳が好きだねぇ〜。イヴ、男の子に女子力で負けてどうすんのさ｣<br><br>｢そうやってメイプルちゃんは、いつもイヴとモニカを比べるんだら〜！イヴだって、こいつに負けたくなんかないの。でも馬鹿みたいにお花とか宝石とか可愛いもの好きなんだもん｣<br><br> &nbsp;右手をプラプラとさせながら、イヴは自分の幼馴染みを半目で見つめた。<br> &nbsp;カウンターに突っ伏したモニカはそんなイヴの表情を見ることもなく、面倒くさそうな返事をした。<br><br>｢イヴー、やめろよー。オレは争いは嫌いなんだよー。皆仲良く！そうじゃないとな、オレはな……嫌だな！｣<br><br> &nbsp;ゆったり、ダラダラと、それでも楽しい時間にモニカは居心地の良さを感じた。<br> &nbsp;また酒を口にし始めたイヴは、ふと疑問に思っていた事を聞いてみる。<br><br>｢そういえばモニカ。今日珍しく店を留守にしてたみたいだけど、どこか行ってたの？｣<br><br> &nbsp;イヴにそう聞かれ、モニカは今日オヴリヴィアへ行った事を思い出した。若干身体が疲れているのも、そういえばそのせいだなと思うくらいには、カフェに入ってからは今までの事を忘れていた。<br><br>｢そうそう、オヴリヴィアの旅館から依頼があって、花を届けに行ってたんだ！でな、それが聞いてくれよ！｣<br><br> &nbsp;話し始めると、モニカはカウンターに突っ伏していた顔を起こし、身振り手振りでオヴリヴィアでの出来事を２人に聞かせた。<br><br>｢えー！いいな！ローヴィッチさんのところにお邪魔できてお昼ご馳走してもらったなんて〜！イヴも行きたかった〜！｣<br><br> &nbsp;イヴの放った聞き慣れない単語に、モニカは首を傾げた。<br><br>｢ローヴィッチ？｣<br><br> &nbsp;その単純でわかりやすい問いに、メイプルは以外そうに答えた。<br><br>｢あれ？モニカ君、知らないの？ローヴィッチ家は割と有名なんだと思ってたけど…物凄い資産家だって。あたいも何度かあそこの妹さんと、仕事で話した事はあるよ。あそこの温泉は、なんて言うか体力がフル回復するくらい元気になるんだよね〜｣<br><br> &nbsp;資産家、と言われてみればあの大きな建造物にも納得がいく。それに、モニカにもローヴィッチという名はどこかで耳にしたことがある気がした。<br><br> &nbsp;まあ何にせよ、割とすごい人と知り合いになってしまったのではと内心モニカはドキドキしていた。その向かいで、イヴは｢いいな〜、イヴも行きたかったな〜、美味しいご馳走〜｣と少しふてくされていた。
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<link>https://ameblo.jp/alularovich/entry-12190108461.html</link>
<pubDate>Sat, 13 Aug 2016 22:34:20 +0900</pubDate>
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<title>なくしたくないもの</title>
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<![CDATA[ &nbsp;モニカの後ろ姿を見送り、リックは旅館の中へと戻っていった。<br><br> &nbsp;たまたま廊下で居合わせたクリスティーナは浴場で使用するものだろう、大量のタオルを積み上げ運んでいた。<br> &nbsp;その小さな頭よりも高く積まれたタオルを持っていては前が見えずに転んでしまうだろう、と判断したリックはひょいと彼女の手元から何枚かタオルを持ち上げて、一緒に運んでやる事にした。<br><br>｢ティナ、良かったね。同年代のお友達が出来て｣<br><br> &nbsp;１人でも大丈夫なのに、と背伸びをしたがる妹にそう声を掛ける。クリスティーナにあまり仲の良い関係の友人を見掛けない事を、リックは少々気にかけていた。<br><br>｢べつに友達なんていらない。あたしはお兄様がいればいいよ｣<br><br> &nbsp;クリスティーナは、成人済みであるにも関わらず、未だに5つ上の兄からは巣立ちが出来ていないようだった。<br> &nbsp;旅館の経営をしているリックは客と接する事がとても多い。客の中にはお喋りが好きな人も少なくはない為、時々話し込んでしまったりもする。<br> &nbsp;そうすると決まって注意するのが、妹のクリスティーナだった。女性客の時は特に不機嫌な様子なのだ。<br> &nbsp;仕事中だからと逃げてくればいいものを、とお喋りな客をいつも煙たがるのだった。<br><br>｢…僕はさ、ティナに幸せになってもらいたいんだ｣<br>｢あたしはお兄様といれるだけで幸せだ｣<br>｢そうじゃなくて──、｣<br><br> &nbsp;いつも、お兄様、お兄様と反論すれば引いてくれる筈が、この時に限ってはそうではなかった。<br> &nbsp;言葉の続きを聞くのが少し不安になって、ふ、と兄の顔を見上げた時、その横顔は穏やかな笑みを浮かべているにも関わらず、どこか哀しそうな面影を感じた。<br><br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20160813/17/alularovich/0b/4f/p/o0720096013722280135.png"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20160813/17/alularovich/0b/4f/p/o0720096013722280135.png" width="100%"></a><br><br><br>｢──そうじゃなくて、もし僕がいなくなったら、ティナの幸せはどこにあるの？｣<br><br> &nbsp;いなくなったら。その言葉を聞いて、クリスティーナの頭は血が上ったように熱くなった。<br> &nbsp;しまったと思うのが遅かった。<br> &nbsp;妹は、目尻に涙を溜め、溢れでそうな感情を抑えている。<br><br>｢ご、ごめんっ、ティナ！｣<br><br>｢──ないで…。お兄様まで、いなくなるなんて、言わないで｣<br><br> &nbsp;そう小さく零すと、クリスティーナは顔を伏せながら小走りで廊下の角を曲がった。<br><br> &nbsp;妹を泣かせてしまった、とリックは深く溜め息をついた。<br> &nbsp;クリスティーナがああ言うのも無理ない。<br> &nbsp;まだ幼い頃、２人は優しくて厳しくて、それでも大好きだった両親を事故で亡くしている。<br> &nbsp;クリスティーナは小さい頃から、両親とリック、それから、親戚の子どもにしか懐かなかった。<br> &nbsp;初めは何処かに引き取ってもらい、どうにか自立して生活出来るようになるまでは養ってもらおうとしたのだが、どこの叔父や叔母にもクリスティーナは物凄く反抗的だった。<br> &nbsp;ずっと教養を受けてきたリックは、２年半程で経済学をなんとか身につけ、オヴリヴィアに旅館と風呂屋を建設した。不幸中の幸い、ローヴィッチ家に産まれた２人は暫くの間、お金に困る事はなかった。<br><br>｢２人で、頑張っていこうね｣<br><br> &nbsp;そう妹と約束したのに。<br><br>(後でちゃんと謝ろう。…そうだ、今度チョコレートケーキでも買って来ようか)<br><br> &nbsp;チョコレートケーキはクリスティーナの大好物だった。甘いものを食べてる妹は、子どもみたいに嬉しそうな顔をする。<br> &nbsp;リックはパンタシアにあるスヴニールという店を思い出した。<br> &nbsp;休暇の日にはわざわざパンタシアへ足を運ぶほど、クリスティーナはそこの２人が作るスイーツがお気に入りらしい。<br> &nbsp;チョコレートケーキをいただくついでに、親娘のようなあの２人に挨拶でもしに行こう。<br><br> &nbsp;考えながら、リックはクリスティーナの後を追った。
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<pubDate>Sat, 13 Aug 2016 01:56:13 +0900</pubDate>
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<title>不安と期待のミックスジュース</title>
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<![CDATA[ &nbsp;高い天井、細やかな模様の入った大きな絨毯、その上に置かれたのは、２人や３人で使うには広すぎるテーブルと、背もたれの高い椅子。<br> &nbsp;ここはダイニングルームだ。<br> &nbsp;やはりしっかりと手入れのされている花と、天井から降ってきそうな程の煌びやかなシャンデリア。唯一他の場所と違ったのは、物凄く良い香りが鼻の先を擽っているという事。<br> &nbsp;ダイニングテーブルの上には、ランチにピッタリの色とりどりの料理が並べられていた。どれも、クリスティーナが先程作ったものである。<br><br>｢さあモニカさん、こちらへどうぞ。沢山食べてくださいね｣<br><br> &nbsp;リックが１つの椅子を引き、モニカへそこに座るよう促した。<br> &nbsp;リックとクリスティーナもそれぞれ席に着くと、両手を合わせて｢いただきます｣と口にする。モニカも２人に少し遅れつつ、同じ動作を繰り返した。<br><br> &nbsp;お腹の空いていたモニカは次々と料理を手に取り、口に運んでいった。<br><br>｢いやぁー！美味いなあ！｣<br><br> &nbsp;満足そうな笑顔を浮かべながらそう零した時、黙々とサンドウィッチを頬張るクリスティーナに目が行った。<br> &nbsp;モニカは未だに、彼女が自分の１歳下の女の子には見えなかったので、ついその様子をじっと見つめてしまっていたのである。<br><br>(普通に見てるだけじゃあ、本当にまだ小さい女の子なんだけどな…)<br><br> &nbsp;瞬間、２人の目が合った。<br> &nbsp;まずい、と思ったモニカは咄嗟に｢う、美味いなこれ！オマエが作ったんだろ？｣とぎこちない笑みを浮かべて誤魔化そうとした。<br> &nbsp;そんなモニカに対し<br>｢ジロジロ見てんじゃねーよ、天パ｣<br>クリスティーナは返したのである。<br><br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20160813/16/alularovich/60/a4/p/o0720096013722238631.png"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20160813/16/alularovich/60/a4/p/o0720096013722238631.png" width="100%"></a><br><br><br> &nbsp;ガーン！という擬音が聞こえる程ショックを受けたモニカは、震える両手でその顔を覆った。<br><br>｢リックさん…！今あの娘、天パ…天パって…！｣<br><br> &nbsp;モニカの声は今にも泣きそうだった。彼は、自身の髪が天然パーマである事をかなり気にしていたのである。そこを初対面の女の子に切り裂くように言われ、モニカは心に大ダメージを受けてしまったのだ。<br><br> &nbsp;しかしクリスティーナはそんなモニカの様子を気にすることなく、両手を合わせて｢ごちそうさまでした｣と言うと、席を立ちダイニングルームを後にした。<br><br>｢リックさん、オレ本当にあの娘と仲良くやれるの！？大丈夫かな！？｣<br><br> &nbsp;ずっと言わずにいた不安を、やっとの事でリックにぶつける事が出来た。しかしその返事は、モニカの予想斜め上を走ったのである。<br><br>｢全然大丈夫ですよ！…さっきのは、まあ、多少言い過ぎな気がしますが、きっと照れてるんですね｣<br><br> &nbsp;照れてる女の子はオレに天パなんて言われねえ！と、モニカは思わず心の中でツッコミを入れた。<br><br>(まあでも、今日知り合ったばっかりだしな。全然会話も出来なかったし、今度来た時にでも話し掛けてみよう！)<br><br> &nbsp;両手を合わせて｢ごちそうさまでした｣と言いながら、モニカはそんな事を考えていた。前向きな思考が出来るのが、彼の良いところである。<br><br><br> &nbsp;リックは玄関先までモニカを送り届けると、｢また是非来てくださいね｣と笑顔で手を振って、見送ってくれた。<br> &nbsp;屋内に飾られた花達を見て、またここに届けに来ようとモニカは思った。<br><br> &nbsp;フレゥールに到着するのは夕方くらいだろうか。<br> &nbsp;少しの時間ではあったが、外とはまったく違う世界にいるような気分になっていたので、自分の住む町フレゥールを思い出すと、たったの数時間離れただけなのに何故か故郷が恋しい、そんな気持ちになった。<br><br> &nbsp;今日の事、幼馴染みのイヴにも話してやろう。<br> &nbsp;向日葵のような女の子を瞼の裏に浮かべると、モニカは足取り軽く帰路についた。
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<link>https://ameblo.jp/alularovich/entry-12189828965.html</link>
<pubDate>Sat, 13 Aug 2016 00:49:28 +0900</pubDate>
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<title>小さな星の衝撃</title>
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<![CDATA[ &nbsp;リックに連れられ、長い廊下をモニカは落ち着かない様子で歩いていた。<br> &nbsp;如何にも高そうな柱や絵画が並んでいるのには勿論だが、中でも目を引いたのが建物の中に飾られたたくさんの花々だ。驚いたのは、かなりの数があるにも関わらず、どの花にもしっかりと手入れが行き届いていた事である。<br><br>｢あ、あの！リックさん！本当にお昼ご馳走になっちゃっていいのか！？お、オレお金とか…｣<br><br> &nbsp;突然そう不安になったモニカは今からでも遠慮しておいた方が良いのではと思い始めた。<br> &nbsp;こんな高そうなところじゃあ、きっと高級な料理が出てくるかもしれない──旅館の料理ならそれこそ自分では払えない金額なのでは、とうろたえていると、<br><br>｢心配いりませんよ。お金はとりませんから｣<br><br>ははは、と可笑しそうにリックがこちらを振り向いた。<br><br>｢ちょうどモニカさんと同じ年頃の妹がいてね、是非仲良くしていただきたいと思ってるんですよ｣<br><br> &nbsp;妹、と聞いて、先程の小柄な少女が思い浮かぶ。しかしどう見ても同じ年頃の子には見えなかったモニカは、もしかしてもう１人、リックに妹がいるのかと考えた。<br><br>｢ちょっと乱暴な時もあるけど、素直でいい子だから、きっとモニカさんともすぐ打ち解けられると思うんです。名前はクリスティーナ──｣<br><br> &nbsp;リックがそう言いかけた時、両開きの扉の片方がキイ、と音を立てると、先程の少女が顔を出した。金色の髪がまたキラキラと光っている。<br><br>｢お兄様、お昼の準備できた──なんかついてきてるんだけど｣<br><br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20160812/22/alularovich/37/8d/p/o0720096013721695220.png"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20160812/22/alularovich/37/8d/p/o0720096013721695220.png" width="100%"></a><br><br><br> &nbsp;あからさまに不機嫌な青い目で少女はモニカを睨みつけた。<br><br>｢お腹を空かせているようだったから、ご一緒にとお誘いしたんだよ｣<br><br> &nbsp;リックがそう言うと、少女は更にムッとした表情になる。やっぱり自分邪魔なんじゃ…とその表情を見て、さっきとは違う意味で遠慮したくなったモニカだった。<br><br>｢……さっさと入れば｣<br><br> &nbsp;モニカの目を5秒程睨みつけると、少女は扉の向こうへ戻っていった。<br><br>｢え、えっと…今のは…？｣<br><br> &nbsp;戸惑いながらも、恐らく下の妹であろう子について尋ねてみると<br><br>｢ああ、今のが妹のクリスティーナです。ほら、モニカさんと同じ年頃の…｣<br><br>｢ええっ！？！？今のが！？！？｣<br><br> &nbsp;そう、入口で出会った少女こそが、リックのたった１人の妹であるクリスティーナだった。どう見ても10代前半、頑張って10代後半くらいに見えたあの女の子が、22歳であるモニカと近い年齢だとはまったく、これっぽっちも、思わなかったのだろう。<br> &nbsp;驚いている理由がわからないリックは、不思議そうに小首を傾げていた。<br><br>｢だって、どう見ても、14歳とかっ、そのくらいだとばかり…ええっ！？｣<br><br> &nbsp;先程クリスティーナが消えていった扉とリックの顔を交互に何度も見ながら驚いているモニカとは違い、リックは何ら変らない表情で｢ティナは今年で21になるんですよ｣と嬉しそうに話していた。<br> &nbsp;振り向くと、扉の隙間からクリスティーナがこちらをじっと睨みつけながら<br><br>｢全部中まで聞こえてるっつの！！！！とっとと入れ！！飯だ！！｣<br><br>と怒鳴りつけては扉を勢い良く叩きつけるように閉めた。<br><br> &nbsp;やばい、機嫌を損ねてしまったとオロオロしているモニカに向かって、リックは先程と変らない爽やかな笑顔を向けた。<br><br>｢ふふ、きっと仲良くなれますね｣<br><br>(仲良く…！？！？なれるか……！？あの娘と………！？！？！？！)<br><br> &nbsp;どこをどう見てそう感じたのか、リックの判断基準がわからない。モニカはひどく頭を抱えたくなった。<br><br>｢さ、ティナも待ってるのでご飯にしましょう｣<br><br> &nbsp;扉をくぐると、また眩暈がするほど広い食堂が広がっていた。
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<link>https://ameblo.jp/alularovich/entry-12189760779.html</link>
<pubDate>Fri, 12 Aug 2016 20:01:54 +0900</pubDate>
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