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<title>葵の創作ノート</title>
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<description>ネット小説ブログとなります。楽しんでいただければ幸いです。内容はフィクションですの。読者登録歓迎です。</description>
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<title>探偵Ｉの事件簿１２</title>
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<![CDATA[ 　４。<br><br>　探偵メモ。<br>　犯行の予告状を送ってから予告通りの時間に予告通りの物を盗っていく泥棒はマンガかアニメの中にしかいない。予告状を送れば、野次馬がわいて、警備も増やされるから、犯人にはデメリットしかないのだ。だから、予告状が届いた時はまず陽動を疑う事。どこかで盗むと宣言しておいて、別の場所で悪事を働くなんていうのはよくある話。警察はネット掲示板のくだらない犯罪予告すら対処しなければならないから、嘘かもしれないと分かっていても予告場所に人員を割く。名の知れた悪人とあっては尚更。一枚の手紙が警察に対して効果抜群の一手となるのだ。<br><br>「というわけで、もしかしたらこないかもしれないわ。トリックスター」<br><br>「そ、そこまで分かっててどうして来たんですか！」<br><br>　イチゴシロップのかかった氷の山をスプーンですくって口に運ぶ。一瞬にして冷感をもたらし、脳をキーンと刺激する。<br><br>「んー、頭割れちゃうわ～」<br><br>「先輩の頭なんてどうでもいいですから、早く説明してください！」<br><br>　美緒ちゃんが刺々しい物言いで憤慨していた。もちろん、きちんと考えがある。私にはトリックスターが予告通りに盗みに来るという確信があったのだ。<br><br>「トリックスター、彼には彼なりの美学というか……品のようなものを感じられるの」<br><br>「品……？」<br><br>　探偵メモ。<br>　大物と戦う時は、とにかく相手を知る事。今までに何をどんな悪事を働いたのか。武器は使うのか。どのように法を犯したのか。何故捕まっていないのか。何を好み、何を嫌うのか。恋人のプロフィールだと思って頭に記憶する。<br><br>「美緒ちゃん、これを見て」<br><br>「え。こ、これ……」<br><br>
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<pubDate>Sun, 24 Aug 2014 22:24:18 +0900</pubDate>
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<title>探偵Ｉの事件簿１１</title>
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<![CDATA[ <br>　３。<br><br>　倉敷市の美観地区は古くから観光名所として知られている。観光の目玉とも言われているのが小原美術館。９０年代に小原準一によって建てられたこの施設には、小原氏によって集められた数多くの美術品が展示されている。今回、不幸にもトリックスターのターゲットにされたのがこの小原美術館であった。<br>　電車で三駅越えて(電車代は美緒ちゃんに借りた)、私達は倉敷へとやってきた。駅からしばらく歩くと、観光客が目につくようになる。美観地区に到着だ。<br><br>「わあ、なんだか人多いですね」<br><br>　美緒ちゃんが感嘆を漏らす。<br>　うん。確かに多いわね。観光地だからっていうのもあるけど、これは恐らく、<br><br>「トリックスターのせいね」<br><br>　今を騒がす大泥棒から予告状が届いている。それだけで人を寄せ付ける。美観地区のお店はさぞ繁盛している事でしょうね。うちの事務所と違って。羨ましい。<br><br>「かき氷食べたい……」<br><br>　唐突につぶやいたのは、ふと目に入った古風な喫茶店の『かき氷あります』の看板についつい惹かれてしまったから。<br>　すぐに美緒ちゃんの呆れたような視線が刺さる。<br><br>「何しに来たんですか、もう」<br><br>「予告の時間までまだあるでしょ。それまでここで作戦会議よ」<br><br>「……なるほど。そういう事でしたら」<br><br>「それと美緒ちゃん」<br><br>「なんですか？」<br><br>「かき氷買うお金貸して」<br>
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<link>https://ameblo.jp/aoinote8739/entry-11911867365.html</link>
<pubDate>Mon, 18 Aug 2014 23:09:34 +0900</pubDate>
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<title>探偵Ｉの事件簿１０</title>
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<![CDATA[ 　２。<br><br>　……なんだか人として大事な物を失いかけていた気がするんだけど、美緒ちゃんの特製カレーを食べたのでもう大丈夫。いつものクールな私に戻ったわ。<br>　なんにしても、そろそろ仕事を探さないといけないのは事実。とりあえず私はスマートフォンを取り出して、インターネットの海へと繰り出した。<br><br>「あれ、事件探しに出掛けるんじゃないんですね」<br><br>　美緒ちゃんが首を傾げていた。<br>　探偵メモ。<br>　事件や依頼を求めて街を歩いたり、聞き込みしたりするのは時代遅れ。今の探偵はネットを使う。多くの情報が泳ぐネットの世界は、探偵の宝箱。自分に合った仕事を探すのに向いている。ただ、ガセ情報を含む大量の情報の中から、必要かつ正確な情報を取捨選択するにはそれなりの知識と経験が必要になる。<br>　幸い、好条件の事件はすぐに見つかった。<br><br>「岡山に怪盗？　トリックスター？　何これ」<br><br>　『岡山を騒がす大泥棒、トリックスターから予告状！』。というタイトルの記事を見て、私は目を丸くした。<br>　ここ数日、岡山で何件もの盗難事件が起こっているという。小銭稼ぎのケチな悪党とは違い、盗むのはどれも七桁超えの名品ばかり。しかもそれらの事件は、同一人物による犯行と考えられているらしい。犯人は『トリックスター』と呼ばれ、大泥棒の名を欲しいままにしているとの事。ほへえ、こんなのがいたとはねえ。<br>　美緒ちゃんが口を開く。<br><br>「先輩探偵のくせに知らなかったんですか？　五日前に『王都船』が盗まれたってニュースになってたじゃないですか。それから連日――」<br><br>「うちにテレビはないの！　教えてくれたってよかったじゃない！」<br><br>「知ってるとばかり思ってたので。それにトリックスターを捕まえるには、先輩じゃ荷が重いでしょう」<br><br>　あらやだ。失礼しちゃう。おこ。<br>　どうも美緒ちゃんは私を軽んじるところがあるのよね。最近は特に。……まあ、ここしばらくの自分の生活を考えれば無理はないかもしれないけど。<br>　とにもかくにも、ニュース記事を見るに、この泥棒は今夜も盗みを働くらしい。なんでも『小原美術館』に予告状が届いたのだとか。<br>　よし、こうなったらトリックスターを捕まえるしかないみたいね。美緒ちゃんを見返す事もできるし、探偵としての箔が付く、きっと謝礼も貰える。ふふ、いい事だらけじゃない！<br><br>「ふふ、いいわ美緒ちゃん。私の本気を見せてあげる！」<br><br>「おお、先輩がいつになくやる気だ……！」<br><br>　待ってなさいトリックスター、今夜があなたの最後よ！
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<link>https://ameblo.jp/aoinote8739/entry-11909947830.html</link>
<pubDate>Thu, 14 Aug 2014 21:57:00 +0900</pubDate>
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<title>探偵Ｉの事件簿９</title>
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<![CDATA[ 　　エピソード２『トリックスター』<br><br><br>　１。<br><br><br>　あんぱん。ラーメン。チョコパフェ。なんでもいいから食べたい。<br>　私はお腹を空かせていた。<br>　毎度毎度貧困を喘ぐような話から始めて申し訳ないんだけど、私は本当に困っていた。状況は日々悪くなるばかりで、貯金が尽き、食料を失い、月末には家賃が払えなくなるだろうから宿無しになる。ホームレス女子大生になってしまう。ざっくり言うと私にはお金がなかった。<br>　雄大君失踪事件以来、うちの事務所に依頼が舞い込む事はなかった。いや、正確には来てたんだけどね。犬の散歩とかベビーシッターとか。「うちは探偵事務所。そんな依頼受けられるかー」みたいな感じに、それらを一蹴してしまった結果、収入はゼロ。早くも私のキャンパス探偵ライフは幕を閉じようとしていた。<br>　そんなひもじい私の生活をギリギリアウトくらいのところで支えていたのは、我が探偵事務所の助手である芹澤美緒(せりざわ　みお)ちゃんだった。<br><br>「先輩、入りますよ……って、なんで床で寝てるんですか！？　お腹が空いたって……はあ、今日も食材買ってきてますから安心してください。というか講義はちゃんと出てるんですか？　は？　空腹で自主休講？！　単位はどうするんですか！　しっかりしてください！」<br><br>　とまあこんな感じで、面倒見のいい助手がご飯作ってくれたり叱ってくれたりするから、なんとか人間らしい生活を続けられてるわけなんだけど、さすがにそろそろどうにかしたい。具体的には仕事をしたい。<br>　よし、決めた。果報は寝て待つ時代は終わったのよ！　私は自分から事件を探しに行くわ！<br><br>「そして偉い人達に感謝されまくって、お金をいっぱい貰うのよ！　あーっはっはっはっはっは！」<br><br>「近所迷惑なんであまり騒がないでくださいよ。野菜炒めもうすぐできますから」<br><br>「ラーメン！　ラーメン！」<br><br>「野菜炒めって言ってますよね？」<br><br>　空腹は人をおかしくすると言うけど、まさに今の私がそんな状態ね。早く何か食べないと、本格的にカレーライスになってしまうわ。あれ、ひょっとして私はチョコパフェなんじゃないかしら？　なんて言ってもあんぱんは苦笑いするだけでしょうね。ふふっ。可愛いんだから。たこやき。<br><br><br>
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<pubDate>Fri, 25 Jul 2014 23:16:36 +0900</pubDate>
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<title>探偵Iの事件簿 目次</title>
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<![CDATA[ エピソード１『失踪者』<br><br><a href="http://ameblo.jp/aoinote8739/entry-11817507254.html"> 探偵Iの事件簿１</a><br><a href="http://ameblo.jp/aoinote8739/entry-11818340066.html"> 探偵Iの事件簿２</a><br><a href="http://ameblo.jp/aoinote8739/entry-11819897239.html"> 探偵Iの事件簿３</a><br><a href="http://ameblo.jp/aoinote8739/entry-11821844425.html"> 探偵Iの事件簿４</a><br><a href="http://ameblo.jp/aoinote8739/entry-11825776764.html"> 探偵Iの事件簿５</a><br><a href="http://ameblo.jp/aoinote8739/entry-11826679646.html"> 探偵Iの事件簿６</a><br><a href="http://ameblo.jp/aoinote8739/entry-11828408206.html"> 探偵Iの事件簿７</a><br><a href="http://ameblo.jp/aoinote8739/entry-11829444349.html"> 探偵Iの事件簿８</a><br><br>
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<link>https://ameblo.jp/aoinote8739/entry-11829455562.html</link>
<pubDate>Mon, 21 Apr 2014 23:28:22 +0900</pubDate>
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<title>探偵Iの事件簿８</title>
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<![CDATA[ 　♪<a href="http://ameblo.jp/aoinote8739/entry-11829455562.html"> 探偵Iの事件簿　目次</a>♪<br><br>　１０。<br><br>　結局、事件はこれで幕を閉じた。<br>　鈴音ちゃんと雄大君の話から事件の顛末は明らかになったんだけど、それを語るにはまず、事件の被害者である芹澤雄大という人間について話さなきゃならないわ。<br>　芹澤雄大は芹澤美緒ちゃんのお兄さんで、私と同じ丘大学に通う一年生。顔を見て気づいたけど、確かに大学で何度か見かけた事のある人だった。<br>　いつも友人に囲まれていて、私に負けず劣らず友達が多いみたいね。まあ私の場合は交友関係のほとんどを女の子が占めてるんだけど、雄大君は男女問わず人気者って感じ。今風に言うならリア充ってやつね。そして、ここからが重要。雄大君は極度のお人好しだった。犯罪に巻き込まれるんじゃないかってくらいに、人が好い。そう、実際に巻き込まれちゃったのよね。<br>　遡る事十日前。めでたく入学を果たした丘大学の一年生達はキャンパスライフをスタートさせていた。サークルに参加したり講義に出席するうちに、新生活に慣れていく学生達。でも、なかなか新しい生活に馴染めない人もいる。鈴音ちゃんもその一人だ。目まぐるしい日々に自分の楽しみや喜びを見つけられず、ため息をつくばかりだった(鈴音ちゃん談)。しかし、ぽかんと開いた彼女の口の中に、棒状のプレッツェルを突っ込んで笑いかけた男の子がいた。それが雄大君だったのである。気さくな彼に、鈴音ちゃんは恋をした。でも、問題があった。雄大君は鈴音ちゃんに優しいけど、それは他の人間に対しても同じ。誰にでも優しい。友達も多い。雄大君は"みんなの"雄大君だったのだ。鈴音ちゃんはそれが不満だった。彼女は雄大君を"自分の"雄大君にしたくなってしまったのだ。<br>　鈴音ちゃんの愛は歪み、彼女はストーカーの限りを尽くした。大量のメールを送り、電話を掛ける(雄大君が電話に出るとすぐに切っていたらしい)。行動はエスカレート。留守を狙って彼の部屋に隠しカメラと盗聴器をしかけた。<br>　雄大君は大量に送られてくるメールや幾度もの着信に悩んでいた。そしてある日、メールに返信をしたらしい。<br><br>「直接会って話したい」<br><br>　犯人の正体を確かめるためっていうのは明白だけど、なんと鈴音ちゃんは、この誘いに乗っちゃったらしい。こうして、ストーカーと被害者として二人は出会ったのである。雄大君に向かって鈴音ちゃんは、くだりのスタンガンを向けてこんな事を言った。<br><br>「メールしたり電話したりカメラ仕掛けたり盗聴してごめんなさい！　でも、あなたが好きなんです！！　だから、あなたを監禁させてください！」<br><br>　自白して告白して犯罪予告していた。<br>　この時点で既に意味不明なんだけど、雄大君の返事も人類には早すぎた。<br>　こんなやりとりが繰り広げられたらしい。<br><br>「鈴音だったのか。ってカメラ仕掛けてたの？！」<br><br>「ううっ、すみません」<br><br>「いや、でもまあ……俺の事好きだからそんな事したんだよね？」<br><br>「はい……」<br><br>「うーん。……よし、じゃあ鈴音。俺を監禁していいぞ！」<br><br>「はい……ってええええ！？」<br><br>「鈴音が言ったんだろ。変なメールいっぱい送られるよりよっぽど楽しそうだ。さあ、家に案内してくれよ」<br><br>　というわけで、二人は仲良く鈴音ちゃんの部屋へと入っていったらしい。雄大君は鈴音ちゃんが満足するまであの部屋にいるつもりだったらしい。いわく「俺の事を好きになってくれた子の気持ちを無下にしたくない」そうだ。事件後に彼と初めて会った私だけど、これには思わず「ばっかじゃないの？！」と、美緒ちゃんと声を揃えて彼を罵ってしまった。<br>　美緒ちゃんに連絡を入れなかったのは、監禁されてた(という設定である)かららしい。これについては雄大君も、美緒ちゃんに心配をかけてしまったと反省していた。<br>　ちなみに雄大君の監禁生活(仮)だけど、とても穏やかなものだったらしい。鈴音ちゃんと二人して大学をさぼって、一緒に料理をしたりテレビを見たり、ただのカップルみたいな生活ね。<br>　さて、以上が事の顛末。人騒がせな犯人と被害者のせいで、被害者の妹と探偵モドキが歩き回ったってだけの話。ちゃんちゃん。<br><br><br>　１１。<br><br><br>　その後。<br>　お笑い物の結末だけど、鈴音ちゃんの行いの中でも盗聴盗撮なんかは普通に犯罪なのよね。流れから分かるかもしれないけど、雄大君はストーカー行為の数々を笑って許したのだった。「どうして俺の事好きな子が捕まらなきゃいけないのさ」だって。これからも鈴音ちゃんとは友達として付き合っていくみたい。もしかしたらいつか恋人になるかも、と雄大君は笑っていた。名前通り大きな人ね、まったく。<br>　被害者の彼が許したんだから、私も口を出したりはしなかった。鈴音ちゃんがしたのは悪い事だけど、あの子本当はいい子だし。それに、好きな人を想ってバカな事しちゃった彼女が、かぶるのよね……自分に。とにかく、鈴音ちゃんは今日も私のお隣さんとして、平和なキャンパスライフを送っている。ただ、彼女に対して激おこぷんぷん丸(ナウい言葉で、怒ってるの意)な人物が一人。美緒ちゃんだった。<br><br>「納得いきません。あれだけの事をしといて！」<br><br>「まあまあ、雄大君もいいって言ってるんだし」<br><br>「それが問題なんです！　あんな人に言い寄られて、満更でもなさそうな顔して！」<br><br>　名探偵事務所。<br>　美緒ちゃんは可愛らしく、ぷくーと頬を膨らませた。ふむ。これは事件について怒っているというより、大好きなお兄ちゃんが取られそうで嫉妬してるって感じね。可愛い。　<br>　それを言っても怒りは収まりそうにないので、話題を変えましょうか。<br><br>「ところで美緒ちゃん。依頼をもってきてくれたんだっけ？」<br><br>「はい、友達の親戚の佐藤さんからです」<br><br>　そうそう、今回の件でうちの事務所は大きく変わった。<br><br>「え？　犬の散歩？　うちは探偵なのよ！？」<br><br>「仕事選べるほど貯金ないでしょう。我慢してください」<br><br>「美緒ちゃん助手なんだから、殺人とか誘拐とか、もっといい仕事もってきてよ！」<br><br>「無茶言わないでください」<br><br>　名探偵事務所は、芹澤美緒ちゃんを助手として迎え入れる事になったのだ。<br>　事件の後、美緒ちゃんは事務所を訪ねてきた。報酬について話があったらしい。なんでも、手持ちに報酬になるだけのお金がないから、少し待ってほしいとの事。正直、報酬が貰えるような活躍をした覚えはないんだけど、美緒ちゃんはバイトをしてでも必ず払うと言ってきかなかった。美緒ちゃんの通う南東高校は進学校だし、美緒ちゃん自身は三年生、受験生だ。まともにバイトなんてしてる暇はないはず。お礼はいらないと言っても納得しないだろうし、それなら、この事務所で働いてみたらどうだろう、と提案してみたわけよ。勉強に支障がでない程度に、私のお手伝いをしてもらうの。<br><br>「ぅぅ、何から何までありがとうございます！　私、あなたの事ただの変人だと思ってましたけど、本当はいい人なんですね！　ここで精一杯働かせてください！」<br><br>　と、つんでれーな美緒ちゃんの貴重なデレ発言は一字一句覚えている。<br>　そんな可愛い助手の美緒ちゃん、現在丘大学を目指して勉強中との事。美緒ちゃんが後輩になるなんて、来年が楽しみね。<br><br>「ほら、つべこべ言わずに行きますよ――藍先輩」<br><br>　気の早い美緒ちゃんは、既に私を先輩と呼んでいた。まさか、大学一年目にして後輩ができるなんて。先輩、いい響きね！　元気が出てきたわ！<br><br>「よーし、犬の散歩でもベビーシッターでも任せなさい！　いざ、佐藤さんの家へ！！」<br><br>「うわ、なんでいきなり元気になってるんですか。気持ち悪いですね」<br><br>　そんなこんなで、これが始まりだった。<br>　私、新田藍(にった　あい)の、探偵としての始まり。<br><br><br>　エピソード１『失踪者』　<br><br><br>　ＥＮＤ<br>
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<link>https://ameblo.jp/aoinote8739/entry-11829444349.html</link>
<pubDate>Mon, 21 Apr 2014 23:15:27 +0900</pubDate>
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<title>探偵Iの事件簿７</title>
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<![CDATA[ 　♪<a href="http://ameblo.jp/aoinote8739/entry-11829455562.html"> 探偵Iの事件簿　目次</a>♪<br><br>　９。<br><br><br>　窮地は意外な人物によって救われた。<br><br>「はあっ！」<br><br>　小気味好い掛け声と共に、鈴音ちゃんの右腕に彼女の手刀が放たれる。<br><br>「なっ、」<br><br>　不意に一撃を貰い、鈴音ちゃんは腕に握ったバトン型のスタンガンを落とした。スタンガンはコンクリートを転がる。<br><br>「これ以上抵抗するなら、容赦はしません！」<br><br>　隣の子がかっこいい事を言ってくれる。<br>　そう、私を助けたのは依頼人の美緒ちゃんだった。<br><br>「ぅぅ……」<br><br>　武器を失い、鈴音ちゃんは観念したらしい。その場にへたり込んでしまった。<br>　とりあえずさっきのファインプレーを称えて美緒ちゃんにＭＶＰを送ってぎゅっと抱きしめたいところだけど、その前に確認しておかなければいけない事がある。<br>　口に出したのは美緒ちゃんだった。<br><br>「お兄ちゃんはどこですか！」<br><br>　雄大君の安否。それが最大の懸念だった。美緒ちゃんの大事な家族だ。無事でいてほしい。いや、無事じゃなきゃ困るわ。<br><br>「答えてください！」<br><br>　鈴音ちゃんを問い詰める美緒ちゃんの声には鬼気迫るものがあった。美緒ちゃんらしくもないが、それだけお兄さんが心配なのでしょう。<br>　でも、そんな美緒ちゃんの心配は、ある人物のたった一言で安堵へと変わるのだった。<br><br>「その声は美緒かー？」<br><br>「へっ？　お兄ちゃん！？」<br><br>　部屋の奥から声がした。なんか、えらい安穏とした声色である。美緒ちゃんがお兄ちゃんと呼ぶあたり、声は雄大君のものらしい。あら、無事だったのね。よかった。<br>　――いや、おかしいでしょう。<br>　雄大君は監禁されてるのよね？　なのになによその危機感のない声は。そもそも監禁されてるなら自由に大声を出せるって状況がまずおかしいでしょ。『助けて』と一声叫べば、それこそ隣に住んでる私が事件に気づいて助けにこれたわけだし。<br>　彼は続けて、<br><br>「心配かけたみたいだなー。めんごめんご」<br><br>　鈴音ちゃんが続く、<br><br>「雄君は……彼は無事よ」<br><br>　それを聞いた美緒ちゃんは、へなへなへなーと力なく座り込んでしまった。<br>　一人立ち尽くす私はどうすればいいのかしら。<br>　ああ、私は探偵に向いてないのかもしれない。へぼ探偵と罵ってくれてかまわないから、こんな疑問を口にするのをどうか許して。<br>　そもそも不自然な点が多すぎるのよ。雄大君を連れ去った方法。大家さんの目撃証言。監禁、あるいは軟禁されているというのに簡単に助けを呼べる状況。そして助けを呼ばない、平然とした被害者。<br>　わけがわからない。<br><br>「ねえ、この事件はなんだったの？」<br>
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<pubDate>Sun, 20 Apr 2014 22:44:44 +0900</pubDate>
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<title>探偵Iの事件簿６</title>
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<![CDATA[ 　♪<a href="http://ameblo.jp/aoinote8739/entry-11829455562.html"> 探偵Iの事件簿　目次</a>♪<br><br>　８。<br><br><br>　私の住むアパート、『セカンドステイル』は丘大学から徒歩５分、家具付きで、無線も飛んでるからインターネットも使える。丘大生にはうれしい学生アパートなのよね。<br>　当然、私を含む住人のほとんどが丘大学の学生なんだけど、松井鈴音ちゃんもそのひとり。彼女とは、顔を合わした際に世間話をするくらいには仲がいい。内気な性格だが、優しくていい子だと記憶している。でも、私達が探していた恐ろしいストーカーの正体も、その優しくていい子の鈴音ちゃんだったみたいなのよね。<br><br>「押すよ……！」<br><br>　名探偵事務所の隣のドアを前に、私は唾を飲んだ。目線を横に流すと、美緒ちゃんが真剣な面持ちで頷いた。<br>　それを見てチャイムを鳴らす。十秒ほどして、ドアが開いた。<br>　ショートヘアのメガネっ子が顔を出した。鈴音ちゃんだ。<br><br>「あ――」<br><br>　彼女は私の隣にいる美緒ちゃんを見て、言葉を失ったらしい。どうやら、正解だったみたいね。<br>　私はこれで事件解決だと決め付けて、ほっと息を吐いた。<br>　――それがよくなかった。<br>　探偵メモ。<br>　追い詰められた犯人がおとなしく捕まるとは限らない。女性や子供でも、武器を使えば容易く探偵の口を封じられる。例えばスタンガンは、女性でも扱いやすく、人を数秒で無力化できる。護身にもおすすめだ。<br><br>「ごめんなさい！」<br><br>　私が息をついている間に、我に戻ったらしい鈴音ちゃん。いや、さらに混乱してしまった可能性もあるわね。<br>　彼女の手には、黒色の棒が握られていた。警棒？　いや、あれはスタンガンかしら？<br>　暢気に分析している間に、彼女の持つそれが、徐々に私との距離を縮めているのが分かった。というか、鈴音ちゃんが私にスタンガンを押し当てようとしていた。<br><br>　あれ？　これってピンチ？<br>
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<pubDate>Fri, 18 Apr 2014 20:40:44 +0900</pubDate>
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<title>探偵Iの事件簿５</title>
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<![CDATA[ 　♪<a href="http://ameblo.jp/aoinote8739/entry-11829455562.html"> 探偵Iの事件簿　目次</a>♪<br><br>　６。<br><br><br>　犯人は何故雄大君のストーカーになったのか。それは、雄大君を愛したから。なら、犯人は何故雄大君を好きになったのか。一目惚れ、優しくされた、調子があった。理由なんて分からないけど、そこには必ず、"雄大君との出会い"があったはず。今は四月の半ば。雄大君と犯人に出会いがあったとすれば、その場所は大学。そう考えるのが自然じゃないかしら。<br>　そんなわけで、私と美緒ちゃんは再び電車に揺られるのであった。駅からバスに乗って、降りたのは『丘大学』入り口。<br><br>「あの、ここの学生さんが犯人だとしても、どうやってその人を見つけるんですか？　犯人の候補が多すぎますよ」<br><br>　美緒ちゃんが訝しげに首をかしげた。そういえばこの子、私が何か言う度にこんな顔してるわね。会ったばかりの仲とはいえ、私ってそんなに信用できないかな？<br>　聞いてみると、<br><br>「信用できないというか、なんか胡散臭いんですよ。今みたいに大事な事聞いてるのに話逸らしたり……あ、いえ、なんでもないです」<br><br>　全部言い切ってからなんでもないと言われても、もう私のハートは傷ついてるからね？<br>　それはいいとして、とりあえず美緒ちゃんの質問に答えておこうか。<br><br>「犯人なら、すぐに分かると思うよ」<br><br>「え！？」<br><br>　手掛かりがそれなりに揃っているというのもあるけど、捜査場所がこの大学だっていうのが大きい。美緒ちゃんには扱き下ろされている私だけど、実は友達が多い。それこそ『友達百人』なんて目じゃないくらいに。だから、聞き込みはスムーズにいくはず。それにこの大学には、頼りになる"確かな情報源"いるからね。犯人の一人や二人、ちょちょいのちょいよ。<br><br><br>　７。<br><br>　雄大君に出会った、女の子、丘大学の学生、雄大君を攫った。学生は多いといえど、条件に当てはまる人物はそう多くない。<br>　容疑者を見つけるのは容易かった。<br><br>「この子。雄大君と同じ犯罪心理学の講義を取ってて、二日前から大学に来てない。講義中によく雄大君を見てたって情報もあるわ。怪しいわね」<br><br>　松井鈴音(まつい　すずね)。丘大学法学部の一年生。……私の知っている人物だった。<br><br>「この人が、お兄ちゃんを……って、どうしたんですか？　複雑な顔して」<br><br>　またもや顔に出ていたらしい。<br>　確かに複雑な気分ね。今回は隠す必要もないので、口に出した。<br><br>「鈴音ちゃん、アパートのお隣さんなのよね……」<br><br>「え、ええええええええええ！？」<br><br>　そういえば大家さんが、一昨日こんな事を言っていた。『鈴音ちゃん、彼氏連れてきてたわよ。爽やかで、すごいイケメンだったわ。先越されちゃったわね。ふふふ』。余計なお世話だと返して、会話は終わったんだけど、まさかその彼氏って雄大君？<br>　電車で行ったりきたりして、大学で聞きこみを行った挙句、事務所の隣に答えがあったなんて！　これ、灯台下暗しってやつなの？<br>　……でも、雄大君は攫われたんだよね？　なら、そもそも鈴音ちゃんはどうやって雄大君を部屋に運んだのかしら？　男性を部屋に運びこむなんて、そう簡単じゃないはず。大家さんも、まるで二人が恋人同士みたいに話してた。もしかして雄大君は、無理やり連れていかれたわけじゃない？　……考えれば考えるほど分からない。<br>　私は思考を停止した。<br><br>「よし、鈴音ちゃんの部屋に行くよ！　それで全部明らかにしましょう！」<br><br>　こうして、探偵である私は、事件の真相も見えないままに犯人のもとへと乗り込む事に決めたのであった。……探偵って、こんなので大丈夫なのかしら？<br>
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<pubDate>Thu, 17 Apr 2014 22:58:03 +0900</pubDate>
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<title>探偵Iの事件簿４</title>
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<![CDATA[ 　♪<a href="http://ameblo.jp/aoinote8739/entry-11829455562.html"> 探偵Iの事件簿　目次</a>♪<br><br>　５。<br><br><br>「ス、ストーカー！？」<br><br>　芹澤宅前。<br>　私の推理を聞いた美緒ちゃんは、やっぱり驚いた。……驚いたどころじゃないわね。この世の終わりみたいな顔してる。<br>　美緒ちゃんのお兄さん雄大君は、彼に対して歪んだ愛情を抱く何者かによって攫われた。私はそう結論づけた。雄大君の部屋で見つけた隠しカメラと盗聴器が最たる証拠。「元気がなかった」という美緒ちゃんの証言から、雄大君はストーカー被害に悩んでいたと考えられるわ。でも、雄大君はカメラと盗聴器の存在に気づかなかったわけだから、ストーカー行為は盗撮と盗聴だけではなかったという事ね。他の事、それは恐らく、大量のメールや電話。美緒ちゃんは言った、「最近お兄ちゃんの電話が鳴らない」。これは、ここしばらく誰からも連絡がなかったという事を意味するのではなかった。逆だったの。雄大君は、着信が多すぎてサイレントモードに設定していた。そして、雄大君の失踪にそのストーカーが関わっていると考えれば――全てが繋がる。<br><br><br>「なんで早く言ってくれなかったんですか！　そうだ、カメラに盗聴器があったなら、それを持って警察に――」<br><br>「落ち着いて美緒ちゃん」<br><br>　あの場でカメラと盗聴器の存在を明らかにしていたら、犯人に気づかれてしまうのよね。盗撮、盗聴がばれたと知れば、犯人は何をするか分かったもんじゃないわ。雄大君の身柄は犯人のもとにあるんだから、慎重に行動しないと。カメラと盗聴器を持ち出したり、警察に話すのも同じ理由でダメ。<br>　それを説明すると、美緒ちゃんは怪訝そうな表情で言った。<br><br>「じゃあ、どうするっていうんですか！」<br><br>　即答する。<br><br>「私達で犯人を見つけてお兄さんを取り戻すのよ」<br><br>「ど、どうやって！？」<br><br>　探偵メモ。<br>　警察も探偵も、犯人探しでは聞き込みに力を入れる。事件関係者の家族、友人、近所の住人、とにかく多くの人間から、どんな些細な情報でも聞き出す。そして、草の根を分けてでも被疑者を探し出すのだ。<br><br>「とりあえず、また電車賃が必要ね」<br><br>
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<pubDate>Sun, 13 Apr 2014 22:29:37 +0900</pubDate>
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