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<title>青の為の青による部屋へようこそ</title>
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<description>気ままに思った事を綴ります♪</description>
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<title>「いつも君を想う時　15」</title>
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<![CDATA[ <p>ふと腕の中の花束とは違う、桜の香りがして辺りを見渡した。</p><p>「どうしました？」</p><p>マネージャーの言葉を背中に聞きながら、俺は少し離れた民家の庭に目的の物を見つけた。</p><p>「ああ、桜ですか。早咲きのですかね、もう春ですね」</p><p>俺の視線の先に気が付いて、マネージャーがさらに続けた。</p><p>「今までだったらこれから、この季節には花見で盛り上がるんですがね」</p><p>ほんのり漂ってくる桜の香りに春の浮かれ気分を思い出したのか、しみじみと呟く。</p><p>かといって香ってきているのは桜だけではない。俺の腕の中では華やかな春らしい香りが匂い立っている。</p><p>「クランクアップしましたねぇ」</p><p>つい先ほどクランクアップした時に渡された大きな花束を俺はまだ抱いていた。大きな環境変化に伴い、今までに経験したことのない撮影方法。スタッフを含め慣れない中、ストレスの多い現場であったことは否めない。</p><p>それでも成し遂げたことに安堵も満足もあった。</p><p>「持ちましょうか？」</p><p>「いや、いい」</p><p>いつもとは違う反応を見せる俺に、いぶかしげな視線を投げたマネージャーだが気にしない。</p><p>今までなら打ち上げとかいろいろと付き合いが残っていたが、嫌いではないが、今はそれよりも優先したいものがある。</p><p>「このまますぐに帰る」</p><p>「え？あ、はい。あの、事務所には？」</p><p>「帰るから、車！」</p><p>「はい！」</p><p>有無を言わさない口調に、慌てて走る背中を見てから、もう一度桜を見るために振り返った。</p><p>「花見・・・ね」</p><p>桜の花に大野さんの面影が重なる。</p><p>&nbsp;</p><p>大野さんがあの時の俺のジレンマに、どうしようもないガキみたいな我儘に何を感じたのかは分からない。感の鋭いところがあるから、何かしら感じ取ってくれたのだろうとは思う。かといって歩み寄ってくれたとは思ってはいなけい。</p><p>それでも、大野さんからの俺へのアクションは、多大な影響を与えてくれたことは確かで。</p><p>あの時にはっきりと話しをつけておけば今の状況は変わっていたのだろうか。</p><p>たたき起こされて、慌ただしく現場に向かった、二人の間に起こったことを分析することもなく、会話する暇もなかった。</p><p>確かに何かを感じて、何かが変わったような気がしたのは、俺だけが感じているだけなのか・・・</p><p>あれから俺たちの間に大きな進歩があったわけではない。</p><p>大野さんは今でも変わらず俺が会いに行けばドアを開けてくれるし、一緒に食事もして、上手くその気にさせれば熱い時間を共有してくれる。</p><p>その間に甘い言葉なんてない。</p><p>客観的に大野さんは全く変わっていないように見える。見えてはいるけど、受け取る俺の方の感じ方が変わった？</p><p>車窓を流れていく街の風景をただ眺めながら、脳内ではフル回転で今後の作戦をたてる。</p><p>社会状況がどうであろうと、手を打つ価値はあるはずだ。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>いつもの連絡事項を終わり、コーヒーを淹れて窓の外を眺めた。</p><p>夕暮れ時の街は普段よりも静かだとはいえ、生きていく以上生活はしなきゃいけない人間の活動を伺えることはできる。</p><p>自由になったばかりなのに、今は様々な目が俺を狙っていることくらいは想像できる。自由を得ても自由ではないのもしばらくの我慢だと思えば何とか過ごせるだろうと思っていた。</p><p>「いつまでもつかな」</p><p>独り言で紛らわせる。</p><p>しがらみから自由になっても、言葉に吐き出さないと駄目な自分もまだまだだな。</p><p>一体何にこだわっているのだろうか。</p><p>飲み干したカップをキッチンに戻し、大きく深呼吸をしてPCに向かう。スクロールして流れてくるデザインの修正を再開した途端にスマホが震えた。</p><p>ちらっと時間を確認してすぐに誰からなのかが分かる。出る必要もないのに、手は自然とスマホを取る。</p><p>「今日行くからさ、何か食べたいものある？」</p><p>相手も分かったもので、いきなりの本題からだ。</p><p>「ビールでいい」</p><p>「わかった」</p><p>作業をする手を止めることはない、切れたスマホを置く間も視線は画面を見たままだ。</p><p>「ああ、クランクアップしたんだっけ・・・・！」</p><p>呟いて、はっとした。</p><p>いつの間に、これが日常になっているんだ？</p><p>クランクアップだと言っていたのは何時のことだった？　当たり前のように自分のスケジュールを伝えて、聞き流していたはずだ。</p><p>PCを閉じた。</p><p>なんだ？</p><p>何かがおかしい。</p><p>あいつは相変わらずだ。</p><p>俺たちは何も変わっていないはずだ。</p><p>はずなのに、なんだろう、どこか違和感を感じてしまう自分がいた。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>続</p><p>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/aonomurey/entry-12749195604.html</link>
<pubDate>Sun, 07 Jan 2024 08:00:00 +0900</pubDate>
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<title>「秘密の楽園　XVI」</title>
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<![CDATA[ <p>そう、誰でもない。</p><p>こんな感情、感覚、誰にも感じなかった。</p><p>大野さんだけ。</p><p>大野さんだけなんた。</p><p>しっとりとした唇の柔らかさだって覚えてる。忘れてなんかいない、忘れることなんで出来なかった。他の誰だっていいわけじゃないんだ。</p><p>高鳴る鼓動だって。</p><p>湧き上がってくる嬉しさだって。</p><p>どうしようもなく浮き立つんだ、心が、身体が。</p><p>他の誰にもこんな反応なかった。</p><p>理性なんかで行動出来ないし制御が利かない。触れ合った唇の心地良さをもっと感じたくて、もっと近づいて、触れあいたくて。</p><p>ぐっと抱き締めた。</p><p>「っん！」</p><p>微かに呻いた大野さんの言葉？　溜め息に更に行動が大胆になっていく自覚はあった。止めようなんてこれっぽっちも思ってないけど。</p><p>「ふっ・・・」</p><p>互いに息を吐く為なのか、自然と離れてそっと吐く大野さんの息さえも吸い込んでしまいたくなる。</p><p>「！」</p><p>はっとした大野さんを押さえようとして、すかさず唇を重ねて先を促す。</p><p>弛んで力が抜けた唇は簡単に俺の舌を受け入れて、そこから先は昂奮に拍車がかかったように、無我夢中で貪る。お互いの舌が絡む気持ち良さに、背中に回した手が頭にかかり押さえつけるように逃げられないように、でも、そんなこと必要ないくらいに・・・</p><p>大野さんは俺に応えてくれた。</p><p>好きって。</p><p>お互いに想いがあって交わすキスって、こんなにも心も体も全部持って行かれるような感覚になるんだ。</p><p>そう思った。</p><p>と・・・確信してしまった。</p><p>と・・・ふいに身体の半身をもぎ取られるような衝撃で、突き飛ばされてしまった。</p><p>&nbsp;</p><p>！！</p><p>「大野さん？」</p><p>「何するんだっ！」</p><p>茫然とした俺の前に真っ赤な顔に怯えた瞳の大野さんが仁王立ちしていた。</p><p>「なに・・・て・・」</p><p>「冗談じゃない」</p><p>言葉の勢いを裏切るような視線は彷徨って、不安をたたえた瞳が揺れてる。俺は俺でこの状況に混乱してしまっているし。</p><p>二人ともまともに考えることなんて出来ない状態のまま、会議室は静寂に包まれて。</p><p>「あの・・今のって」</p><p>兎に角何とか会話したくて言葉にした途端。</p><p>「相手にならない」</p><p>「へ？」</p><p>言ってる意味が分かんなくて、間の抜けた返事をしている内に、大野さんは身を翻して会議室を飛び出して行った。</p><p>「ちょっと！　待って！！」</p><p>脱兎の如く走り抜ける廊下に、一足遅れた俺は追いつけずに、無常に降りて行くエレベーターを見送り、階段を駆け下りた。</p><p>息が切れて苦しくて、でもそんなことを言ってる場合じゃないってことは理解した。多分俺の直感は正しいと思うから。今、このまま大野さんの手を離すような馬鹿な真似は絶対にしちゃいけないんだ。</p><p>言葉なんて意味ない。</p><p>身体の方が正直なんだ。</p><p>ずっと側に居てくれた意味は、単なるお節介とか親切なんかじゃないって、そう思ってもいいんだよね？</p><p>必死に駆け下りて、地下駐車場の扉を開けて大野さんの名を叫んだ。</p><p>「大野さん！！」</p><p>反響する音に、返答する声はなかった。</p><p>勿論、車が出て行った気配も、臭いも・・・なかった。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>逃げた。</p><p>頭の中が真っ白になって、自分でも何がどうなっているのかも分からずに。口から出てくる言葉さえも、意味不明になってるだろうって思ってもどうでもいい。ひたすらこの場から逃げなければ駄目だ。このままなし崩しに溺れてしまったら、破滅しかないから。</p><p>会社を飛び出して、運よくタクシーを拾えた。</p><p>行き先を聞かれてもなんて答えたのかも記憶になかったから・・・実際にドームの前で降ろされた時、漸く馬鹿なことをした自分に腹が立ってきた。</p><p>今までの俺の行動は何の為だったんだ？　自己満足だってのは自覚してし、誰にも迷惑をかけてないってそう浸っていた。</p><p>自分勝手な思い込みだったって、今なら分かる。</p><p>好きな相手との接触は全てを吹き飛ばしてしまった。細やかな満足感も、自分勝手な楽園も。全部幻になってしまった。</p><p>「こんなもの要らないし、知りたくなかった」</p><p>小さく呟いた言葉は行き交う人の耳に入ったのかどうか、ただぼうっと立っている俺を不審げに見て通り過ぎていく。</p><p>「あの・・・大丈夫ですか？」</p><p>「っ！　大丈夫ですから」</p><p>そっと声をかけて来た女性に慌てて頭を下げてその場を離れる。何をやってんだ俺は。</p><p>俯き加減で歩き出す。</p><p>ＶＶＶＶ・・・</p><p>松潤！！</p><p>ポケットから取り出した電話のポップアップ画面には翔君の名前。知らずに溜め息を吐いて残念がっている自分に苦笑いしながら出た。</p><p>『智君？』</p><p>結果報告を求める言葉に、何て答えていいのか迷う。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>続</p>
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<link>https://ameblo.jp/aonomurey/entry-12739078995.html</link>
<pubDate>Sat, 02 Sep 2023 13:39:29 +0900</pubDate>
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<title>「いつも君を想う時　14」</title>
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<![CDATA[ <p>雰囲気から察してくるだろうとは予測はついてはいたが、顔を見ても文句を言わずにはいられなかった。</p><p>「明日も仕事あるんだろうが。こんな夜更けまで何してる」</p><p>「大野さんに会いに来ただけじゃん」</p><p>「仕事優先しろって、言ったよな？　って、聞く気もないんだな」</p><p>元はと言えば電話を取った俺も俺だから、余り強くも言えないんだろう。</p><p>「酒飲んでるのか？　車は・・・」</p><p>「タクシーで来たから」</p><p>まあ、そうだな。危機管理出来ないような奴じゃないし。</p><p>「？」</p><p>ふと、思考が止まる。</p><p>撮影中で、酒飲んでる状態でも俺に会いにくる？</p><p>「取り敢えず、座ってくれ。コーヒーでも淹れてくるから」</p><p>違和感を覚えながらも、コーヒーを淹れ始めていると気配がした。</p><p>「なんだ？　待ってろって―――」</p><p>言い終わらない内に後ろから凭れ掛かってくる松潤に、漸く違和感がはっきりとしてきた。</p><p>仕事で弱音を見せるような奴じゃない、あの怒涛の狂ったようなスケジュールの中でも、なんとか己を律して立っていた。</p><p>今のような雰囲気を簡単に醸し出すなんて、余程のことがあったんだろう・・・な。俺の簡単な推理じゃ宛てにはならないけどな。</p><p>「コーヒー・・・飲みたくないのか？」</p><p>「別に、飲みたい」</p><p>の割に俺に回した腕の力が強くなったのはなんだ？　言ってることと行動が違うだろうが。</p><p>溜め息を吐いて、沸かした湯を一旦戻し、ぎゅうぎゅうに締められた腕の中で松潤と向き合った。</p><p>じっと見上げると、じっと見返してくる。</p><p>瞳の奥にモヤモヤと渦を巻く感情は濁っているようで、上手く処理できない気持ちに自分でもイラついているのか？</p><p>「どうした、撮影が上手くいってないのか？」</p><p>「別に」</p><p>「だろうな、松潤が演技でどうのこうのと相談してくるわけないしな」</p><p>「うん」</p><p>「・・・じゃ、何？」</p><p>短い返事にも違和感しかない。ほんとはもっと言葉にしたいのに、適当な言葉で説明がつかないくらいの気持ちの蟠りがあるんだろうか。</p><p>暫く待っても話せない様子に、俺はまたコーヒーを淹れ始めることにした。</p><p>背中に松潤がくっついたままコーヒーを淹れる図ってのも、なんだかおかしな構図だなと思いながらも、滅多に見せない様子に自分でも訳の分からない感情が湧いてきそうで、少し焦った。</p><p>「ほら、コーヒー入ったから、場所変えるぞ」</p><p>そう言えば素直に腕の力が緩みはしたけど、背中から離れることはしなかった。</p><p>「歩くの大変だろうが、ひっつくな。ちゃんと座って話は聞くから」</p><p>「ああ」</p><p>また短い返事の後、やっと離れた松潤は俺の手からコーヒーを奪って先を歩き出した。</p><p>勝手知ったるテーブルに、何処が俺の席で何処が自分の席かさえももう馴染んでしまった様子で置かれたコーヒー。</p><p>さっと自分の席に座ると、無言で俺を隣に誘導する。</p><p>ほんとに・・・らしくない。</p><p>&nbsp;</p><p>暫くは黙ってコーヒーを飲んでいると、ポツリと言葉を零した。</p><p>「現場に後輩が入ってきたんだ」</p><p>別に俺の反応を期待しているようには見えなかったから、返事はせずにそのままコーヒーを味わっていると、安心したのか、それとも漸く頭の中で自分の感情が整理付いたのか話始めた。</p><p>「俺のライブ構成が好きなんだとさ」</p><p>演出なんて賛否両論あって当たり前だが、ライブ構成力の高さはある程度有名だから、後輩の中に限らず憧れてる奴なんて沢山いると思っているが、当の本人にはその感覚はなかったのだろうか？</p><p>「あんまり現場では畑違いの話はしないようにしてるんだけどさ、つられてそいつと結構話が弾んでしまってさ・・・俺」</p><p>そこで視線を感じて、横を見れば、じっと俺を見ている松潤を目があった。</p><p>思い悩む瞳に切ないまでの感情が溢れて、何となく松潤が今感じている気持ちが分かったような気がした。</p><p>「今でも、あんたをステージで最高に魅せることが出来るのは俺だけだって思ってる」</p><p>「俺もそう信じてるぞ」</p><p>打てば響くように返事を返せば、大きく見開かれた瞳を覗き込んだ。</p><p>「言葉にしたことなかったか？　この現状を望んだ時に、松潤の思い描いている場所に一緒に行きたいと思ったし、叶えてやりたいとも思ってたぞ」</p><p>それは俺達皆の総意で、異を唱えなかったから伝わっていると思っていたんだがな。俺達は松潤が作るステージに一緒に立つことが大好きだったし、ファンを含めて皆で作り上げるあの空間が最高だって信じてる。</p><p>「もう一度・・・・あんたを・・っ」</p><p>ぎゅっと拳を作った松潤の手をそっと包み込んで、身体を引き寄せた。</p><p>「！！」</p><p>一瞬強張った身体から、すぐに力が抜けて引き寄せた俺の言うがままに凭れてきた。</p><p>「まあ・・・予定外が多過ぎたな、去年は」</p><p>あれだけ時間を惜しんで積み上げてきた物が、全て崩れていくのを見て行くのは確かにきつかった。許される中で、試せるだけのモノで精一杯やり上げてはみたが、それでも満足出来ない想いが今頃湧き上がって来たってところなんだろう。</p><p>「悔いは悔いとして、胸にしまっておけ。それがこの先の原動力になるだろ」</p><p>両手で思い切り柔らかく抱き締めてやる。</p><p>ほんとにこいつはどこまでも完璧を求めて、貪欲過ぎるから。</p><p>そっと、顔を両手で包み込んで、見つめ合いながら唇を重ねた。</p><p>緩く解ける唇から舌を差し込めば、当然と言ったように受け入れられて、互いに知った感触に安心したように貪り始めた。</p><p>「んっ・・ふ・・・・」</p><p>キスだけの触合いに我慢が効かなくなるのはお互い様で、緩く抱き合っていたのに、間の空間がじれったくなって強く抱きよせると、背中にあった腕がふいに腰まで回ると抱き上げられていた。</p><p>「おいっ」</p><p>不満を示そうとした口はすぐにキスで塞がれて、舌を強く吸われてしまえば俺の抵抗なんて意味をなくしてしまう。</p><p>&nbsp;</p><p>衣擦れの音に紛れて、互いの吐息に熱い喘ぎが混じり、寝室の温度が上昇する。</p><p>「こんな・・・いいなっ」</p><p>熱くなった体には中途半端な行為がじれったくて、すぐにでも到達したくて、準備もなにもそのままベッドに松潤を押し倒した。</p><p>浮かれているのは俺だけじゃない、あれだけ切なく潤んでいた瞳は、燃え盛るようにギラギラと輝き、俺を射抜かんばかりの強さを見せている。</p><p>不敵に呟く松潤の唇に噛みつくようにキスを仕掛けた。</p><p>「よ・・・ゆうだな・・」</p><p>「っ！！」</p><p>ゆっくりと、腰を落として、性急に蠢き出せば、熱い溜息がお互い漏れる。</p><p>滅茶苦茶にしてやりたいくらいに、優しく愛してやりたくて・・・堪らなくなる。</p><p>自分でもらしくないな。</p><p>頭の片隅にそんな思いがよぎったが、そんなこと最早どうでもいいくらいに体と感覚が走り始めてしまって。</p><p>意味なんて・・・ない。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>ぐちゃぐちゃの頭の中と心の中が、あっという間に吹き飛んだ。</p><p>自覚はしていたつもりだった。あの怒涛の最後を迎えるまでに味わった感情は。</p><p>ある意味あの経緯があったから、俺は大野さんへの感情を自覚したわけだし。別に終わったことに悔しさばかり感じたわけじゃなかったから。</p><p>現状、望んだ大野さんとは身体の関係はできてるわけだし。心までは望むにはもっと時間をかけるしかないと、そう思っていた。</p><p>中途半端な状態ってのが良くなかったのか？　今頃ぶり返してくるってことは。</p><p>役者の仕事に文句なんてない。</p><p>やりたい事の一つだったのだから。</p><p>それでも、俺にはライブの演出をすることにこれ程拘りがあったってことなんだろう。</p><p>自分でも気づかなかった想い。大野さんをステージに立たせたいことへの強い思いがあったんだな。</p><p>歌も。ダンスも。</p><p>全てを忘れたかのように俺の前に居る大野さん。</p><p>普通の社会人のようにパソコンを前に、不器用ながらもキーを打つ姿。</p><p>寝て起きて、俺と違う世界に歩き出す大野さん。</p><p>望んでその道を選んだ以上、他人が口を挟む道理はない。なくても・・・言葉に出来ない感情が俺の中に積もり積もって。</p><p>知らずに我慢していたことに気が付いてしまって、自分でも大人げないとは思っても止まれなかった。</p><p>顔を見ても、どうしていいのか分からない俺に。</p><p>大野さんから歩み寄ってくれるから。</p><p>何も言わずに側に居ることは昔からの常套手段だったけど、抱きしめられてキスされた。</p><p>たったそれだけなのに・・・</p><p>知ってる？</p><p>大野さん、あんたから仕掛けてきた事なんて、今までなかったって事に。</p><p>気が付いてるのか？</p><p>それだけで、俺のガキみたいな我儘は昇華してしまったってことに。</p><p>&nbsp;</p><p>「おいっ！　何時まで寝てる！！」</p><p>「うわっ！」</p><p>いきなり耳元で叫ばれて、居心地のいい空間から放り出された。</p><p>「時間！　今日は何時入りなんだ。早く支度して出て行け」</p><p>「お・・おはよ」</p><p>「ああ？　ああ、おはよう」</p><p>優雅に朝の挨拶をしている場合じゃないとでも言いたげな返事に、時計を見れば確かに猶予はない。</p><p>「確認したな？　理解したな？　よし！　もうすぐタクシーが着く、着替えて家に帰れ」</p><p>「大野さん？」</p><p>「なんだ？」</p><p>眉間に皺を寄せた顔からは昨夜の様子は微塵も感じられなくて。余韻もなにもあったもんじゃない。</p><p>「仕事に遅れて行くようなことは許さないんじゃないのか？」</p><p>昨夜の事を口にしようにもさせてくれるような雰囲気じゃないのは理解できたし、確かに今はそんな時間もない。</p><p>タクシー到着を告げるベルの音に、俺は飛び起きて服を掴んだ。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>続</p>
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<link>https://ameblo.jp/aonomurey/entry-12737770997.html</link>
<pubDate>Sun, 19 Jun 2022 23:50:03 +0900</pubDate>
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<title>「秘密の楽園　ⅩⅤ」</title>
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<![CDATA[ <p>「何時まで甘えてるんですか？」</p><p>「！？」</p><p>ふいにニノに声を掛けられた。</p><p>今日は、久し振りのレギュラーの収録。</p><p>楽屋にはまだ皆揃っていなくて、珍しく俺とニノの二人だ。</p><p>「何を言われてるのか分かってませんって顔はしないで下さい」</p><p>逃げ場を塞いで、俺を真っ向から見つめてきたニノは真剣な顔だ。</p><p>「余り突っ込んだことを言いたくなかったんですけど。お互いにメンバーだし。</p><p>でも、自分の立場を疎かにするんだったら、やっぱり言った方が為になると思ったので」</p><p>「俺の為って言うより、自分の為だろ」</p><p>「当然です。誰が松潤の為だと言いました？」</p><p>辛辣な言葉をメンバーに向けていうようなニノじゃない。敢えての言葉選びはほんとは俺の為だってことなんだろう。</p><p>「大野さんが松潤を宥めに行かないってことは、大野さんと何かあるんでしょう？」</p><p>やっぱりニノは鋭い。</p><p>そう、いつもだったらこんな事にならない。そうなる前に大野さんは俺の側に居て、落ち着かせてくれるから。ばかみたいな夜遊びを繰り返したり、誰彼かまわずに噛みつくような我儘はしなくなる。</p><p>今回ばかりは無理だ。俺の行動の元凶なんだから。</p><p>「だからと言って自分で自分の首を絞めて、大野さんに何を見せつけたいんですか？</p><p>子供のダダ捏ねみたいなことをして楽しいんですか？　そんなことで大野さんを苦しめてるつもりですか？」</p><p>次から次へと質問の矢が俺に突き刺さる。</p><p>大野さんへの失恋が元凶って、流石にそこまでは考えてないんだろうけど。当たってるだけにほんとに、何も言えなくなる。</p><p>「俺達にとっては大野さんも松潤も同じくらい大事だし、不協和音は嫌なんです」</p><p>言うだけは言った・・・そんな顔をしてニノは何時も通りゲームに集中し始めた。さっきまで俺相手に辛辣な言葉をかけてたとは思えないくらいに、自然に、慣れた風景に戻ってしまった。</p><p>改めて俺の言葉を引き出そうとはしないらしい。ニノっぽいことだな。</p><p>そのうち他のメンバーもやってきて、大野さんも何時もと変わらない様子で、何時ものままの俺達の仕事が始まった。</p><p>&nbsp;</p><p>わかってる。</p><p>頭では、理性ではどう行動すればいいのかわかってる。感情が言うことをきかないだけ。</p><p>ニノが言うとおりだ、まるでガキの行動だな。</p><p>自分自身に言い訳するなら、こんな経験始めてだから。好きになった相手はメンバーで男でリーダーで。一番信用して信頼してた相手だったから。何時の間に恋なんて感情に変わったのかさえも分からなくて。気が付いてしまうと、どうすればいいのか分かんなくなった。もとよりフラれてしまったわけだけど。</p><p>今まで隣に居てくれた。それがどんなに良かったのか、なくしてしまってから痛いほど気付いてしまった。告白なんて勢いでするもんじゃない。もっと後のことを考えてするべきだったなんて。</p><p>ほんと後悔後に立たずだ。</p><p>恋人としての両想いなんて、望んじゃいけなかった。</p><p>少なくともメンバーの中の誰よりも俺は大野さんにとって特別だった筈なんだから、例えば弟のように大野さんを慕っていれば、こんな結果を招いていなかったのかも知れない。</p><p>もしも・・・</p><p>「なんて・・・くだらないっ！」</p><p>ばん！</p><p>テーブルを思い切り叩き、席を立った。</p><p>途端にざわざわとした空気に包まれて、はっとした。</p><p>しまった。</p><p>マネージャーにここで待つように言われて局のカフェテリアに居たのを忘れていた。</p><p>遠巻きに俺を窺う視線。</p><p>「松本！」</p><p>慌ててマネージャーがやってくる。</p><p>「すいません」</p><p>周囲にマネージャーに頭を下げると、ちょっとびっくりした表情をされた。俺が素直に謝ったことが意外だったらしい。</p><p>最近の俺の行動を考えるとそうもなるだろう。多分、今日呼ばれたのもその事に関しての注意なんだろうし。</p><p>「いや、待たせてしまったこっちのほうこそ、悪かった。車の用意も出来たから事務所に戻ろう」</p><p>人目がある限り、マネージャーも強い事は言えなくて、周りに頭を下げつつ俺を駐車場に連れて行く。</p><p>「ひとまず事務所の会議室を借りたから」</p><p>事務所に向かう途中そう告げられた。</p><p>てっきり俺はそこでマネージャーから滾々と説教をされるんだろうと思っていた。</p><p>会議室に一人で放り込まれて、疑問に思った目の前に大野さんが座っていたのを見るまでは。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>セッティングは翔君がしてくれた。</p><p>といっても、俺に断り様なんて許さない雰囲気だったけど。</p><p>現状困った顔の松潤を目の前にしても、俺には言うべき言葉も思いつかなくて。一体どうすればいい？　途方に暮れてる俺達。</p><p>「・・・何？」</p><p>不貞腐れた様な言葉に態度。</p><p>「うん・・・なんだろうな」</p><p>元々黙って側に居ただけだ、今までも。それさえも俺の勝手な希望ってだけだったし。こうなってしまった今は、尚のこと叶うことのない願望になってしまったわけで。</p><p>「なんだよ、それ！　ったく、用事はないんだよな？」</p><p>「待って」</p><p>俺の頼り無い言葉にかっと頬が赤くなった松潤は、怒りに任せて会議室を出て行こうとするから、思わず引き止めてしまった。</p><p>「だから、何！？」</p><p>「うん、兎に角座ろう」</p><p>「座って何？　説教？　出来るわけ？　大野さんが俺に？」</p><p>立て板に水の如く出てくる言葉は、俺に対してと言うよりも自分に言っているようで、心に負った傷からまだ血が流れているかのようで、痛々しくて俺の心臓まで痛くたる。</p><p>「俺に出来るようなことで気が治まるような、そんな痛みじゃないんだろ」</p><p>「っ！！」</p><p>言葉にも行動にも意味がない・・・多分。</p><p>勢いを失った松潤が大人しく近くの席に座った。</p><p>一つ空けて俺も並んで座る。</p><p>再び訪れる静寂。</p><p>&nbsp;</p><p>「大野さんは嘘吐きだ」</p><p>「！！」</p><p>ポツリと零した言葉に動揺してしまった。まさか、俺の気持ちに気が付いたとでも？</p><p>「酔えば誰とでも構わないなんて、嘘だ」</p><p>「え？」</p><p>「俺には無理だった。真面目だとか、そんな問題じゃないくらいに、無理だった！！！！」</p><p>どうやら俺の気持ち云々ではないらしいが、一体何のことなのかが分からない。</p><p>「酔う？　真面目・・・？」</p><p>酔えば誰とでも？　何を言っているんだ？</p><p>「？　・・・なに？　まさか・・・覚えてないのかよ？」</p><p>松潤の視線が強い。ということは俺が確かに言葉にしたってことだろう。</p><p>「そんないい加減な言い訳だったのかよ！？」</p><p>！！</p><p>はっとした。そうだ、思い出した。</p><p>確かに告白されて舞い上がって、将来の不安でどん底に落ちて、自分自身混乱してしまった。とにかく諦めさせなきゃいけない、焦って頭に血が上って、どう言ったのかなんて正直覚えていなかった。</p><p>「いいかげんだった―――っ？？？」</p><p>一席分しかなかった距離をあっという間に縮めた松潤にキスされた。</p><p>驚いた視界には松潤の真剣な顔。抵抗する事も忘れて、魅入ってしまった。</p><p>酔いつぶれていた俺にしたキスじゃない、はっきりと意識を持ったキスに、あれこれ思い悩んでいた不安も恐怖も忘れてしまった。</p><p>ただ好きだから、ずっと見つめてきたから。</p><p>誰でもじゃない、松潤だから。</p><p>嬉しかった・・・</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>続</p>
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<link>https://ameblo.jp/aonomurey/entry-12726564874.html</link>
<pubDate>Sat, 23 Apr 2022 23:59:32 +0900</pubDate>
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<title>「いつも君を想う時　13」</title>
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<![CDATA[ <p>自分の時間が持てるようになったからといって、今まで出来なかったことが出来るようになるとは・・・限らない。</p><p>状況が状況だからという問題ではない気もするが。俺の気持ちがまだ前に向こうとしていないだけなのか。</p><p>相葉ちゃんも、翔君もニノも、休業に入ったからと言って仕事をセーブすることなく精力的に熟している。松潤も最初の内はゆっくりと休んで・・・俺と一緒に居るのはゆっくりとは言わないのかもしれないが、今は役者の仕事に取り組んでいる。</p><p>こうして見ると、俺だけが取り残されている気もしなわけではない。でも、芸能の仕事をしていないって話だ。実際には以前から友人に任せていた仕事に携わるようになっている。</p><p>慣れないPCでのリモートにも何とかこなせるようになってきたし、全く違う職種の環境にもぎこちなさが無くなってきた気もするから、強ち前に進んでいるのかもしれない。</p><p>「・・・」</p><p>深い溜息を吐いて、PCの蓋を閉じて大きく背伸びした。</p><p>前に進んでいるとしても・・・</p><p>窓から外を眺めてもう一度溜息が落ちた。</p><p>無意識に時間を気にしている自分が居る。以前よりもマメにメールのチェックをしてしまうのは、余りいい傾向とは思えない。慣れに弱い所があると自分でも自覚はしていた。じゃなきゃガキの頃からの仕事にここまで携わってないし。</p><p>もしかして、俺の習性まで見越しての行動だったのか？　だとしたら恐るべし松潤だな。</p><p>♪</p><p>メールの着信音に素早く反応してしまう自分に苦笑いしつつ確認する。</p><p>「全く！」</p><p>幼馴染みからの連絡に、一人呟き席を立った。休業に入ったばかりの頃は一応気を遣っていたらしい友人は、もういいだろうってことでここの所頻繁に連絡を入れてくる。気を遣ってくれていたことには感謝だが、見合い話ばかりを持ちかけて来るから溜め息しか出ない。</p><p>時間を確認して出掛ける支度をした。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>前室に流れる賑やかな声を聞きながら台本に眼を通していると、ふと前に人の気配がした。</p><p>「今日から合流する膳所羽入（ぜぜ　はいり）です！」</p><p>この場に負けず劣らずの元気のいい声で、俺に深々と頭を下げている若い男。若手の有望株俳優だ。元気があって礼儀正しいと評判通り。</p><p>「よろしくお願いします」</p><p>受けて俺も立ち上がり頭を下げる。</p><p>「僕、この作品で松本さんと一緒に仕事が出来るって楽しみにしてたんです」</p><p>人懐っこい笑顔で俺に話し掛ける膳所。</p><p>「僕嵐の大ファンなんです。特にライブが好きで、松本さんの演出が好きなんです」</p><p>「あ・・・ありがとうございます」</p><p>熱量高めな瞳に、若干引いてしまった俺を気にせずに話続ける。</p><p>「僕、将来は演出したいと思ってるんです」</p><p>等々と夢を語り出した膳所に、チラッと時計を確認すると出番はまだ先だ。現場で違う仕事の話で盛り上がるのは失礼かなと思ったが、周りを見ると微笑ましく見守るような雰囲気。膳所の性格なんだろうか、現場の空気を乱すようなことはなさそうなので、取り敢えず俺は隣に座るように招いた。</p><p>きらきらと光る瞳。演出を目指していると言うだけあって、膳所は結構勉強していた。役者としてこの現場に居るのに、演出の話をしているのは何だか新鮮で、忘れていた感覚だ。</p><p>「僕、嵐さんを最高に演出できるのは松本さんだけしかないと思ってるんです。あ、偉そうにすいません。</p><p>でも、本当にそう思ってるんです」</p><p>「ありがとう」</p><p>出番を知らせるスタッフの声がかかるまで、演出の話で盛り上がっていた俺達だった。</p><p>&nbsp;</p><p>「若手の子と随分と盛り上がっていましたね」</p><p>帰りの車の中でマネージャーが言った。</p><p>「最近評判の子らしいんですよ。気合いが入り過ぎて空回りすることも多いって話なんで、あの子のマネージャーも心配してたんですが、松本さんの気遣いのおかげで今日はリラックスして初日に望めたって、俺に礼を言ってきましたよ」</p><p>多分そのマネージャーは若い綺麗な女性なんだろう、心なしか上機嫌だ。</p><p>別に現場を思っての行動じゃないんだが、それでもいい方向にいったのならそれでいい。</p><p>・・・いいと、思う。</p><p>妙に心に残った懐かしい感覚。</p><p>演出の仕事を止めた訳じゃない。今は役者の仕事をやっているだけで、機会があれば引き受けたいと思ってはいる。</p><p>ここ数年は演出であちこち動いて、役者の仕事が出来る状況じゃなかった。</p><p>「贅沢だな」</p><p>「はい？」</p><p>「ライブに忙しい時は役者がしたいと思ってたなと思ってさ」</p><p>「オファーを断るのは大変だったんですよ」</p><p>笑いながらの声。</p><p>「今は役者に専念して下さい。この後続けて入ってるんで」</p><p>ほんとに贅沢なことなんだろう。グループの仕事が無くなってもこうして個人で働いて行けるってことは。</p><p>&nbsp;</p><p>皆で話し合った結果だ。それに後悔はない。思った年末を迎えた訳じゃないけど、可能な限りのピリオドだと思ってる。</p><p>それでも・・・</p><p>それでも、だ。</p><p>深夜近くに帰ってきた自宅、灯を付けたリビングでライブの音源を久し振りに流した。仕舞いこんだ資料を引っ張り出してくる。</p><p>ビール片手に捲る。</p><p>叶うことのなかったライブの資料。</p><p>未だに社会は混迷の中。行動にも制限がかかる世の中だ。</p><p>あの時は精神的にもきつかった。なのに、今の俺はあの時の苦痛を忘れていないか？</p><p>大野さんの存在を嫌というほど意識した、その結果、俺は望んだ関係ではないにしても、今、メンバーの誰よりも近く大野さんの側に居る。</p><p>頁を捲る手が止まった。</p><p>大野さんメインのパート。</p><p>俺が演出する最高の大野さんのダンス。</p><p>俺だけがあの人を最高に魅せることが出来ると・・・そう思って描いたシーン。</p><p>今だったら。</p><p>「―――」</p><p>ばたん！</p><p>資料を掌で叩くように閉じて、残ったビールを一気にあおった。握りつぶした缶をテーブルに置いたその手がスマホを掴む。押し慣れた画面、深夜だって分かってる、きっと寝ているだろうって事も承知。</p><p>ぴん！</p><p>《なんだ？　寝てるんだけど？》</p><p>《返事はやっ》</p><p>《耳元で鳴ったら起きるだろ》</p><p>《今から行っていい？》</p><p>《却下　寝ろ》</p><p>そう言われて大人しく引き下がるような俺じゃないって気付いてるよな。</p><p>メールを切ってすぐにタクシーを呼び出した。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>続</p>
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<link>https://ameblo.jp/aonomurey/entry-12722758029.html</link>
<pubDate>Sun, 17 Apr 2022 23:11:30 +0900</pubDate>
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<title>「秘密の楽園　ⅩⅣ」</title>
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<![CDATA[ <p>当然と言えば当然の結果・・・</p><p>玄関のドアが閉まる音がして、大野さんが出て行ったのは分かった。</p><p>でも、俺の身体は動くことが出来なくて。</p><p>勢いに任せて告白したんだと、そして多分、恐らく・・・いや間違いなく、振られたんだろうってことも・・・</p><p>理解は出来ても、認めることは難しかった。</p><p>だって、だってだって！</p><p>大野さんは俺にだけは特別だった。違う？　違わない！</p><p>それを勘違いって？　都合のいい俺の妄想だって？　そんなことはない、大野さんだって理解してる筈だ。</p><p>確かに俺は大野さんにとって特別だったんだ。揺るがない事実。</p><p>ただ、そこに込められていた感情が違っていただけ・・・なんだ・・な。</p><p>どん。</p><p>壁に凭れてそのまま蹲っていた。</p><p>「振られたー」</p><p>自覚したばかりの想いはあっけなく玉砕した。</p><p>「まるっきり弟扱いじゃんか」</p><p>諭す様な微笑みを浮かべて、聞かなかったことにするつもりで。</p><p>ばかみたいじゃないか。</p><p>俺はそんなガキじゃない。自覚した以上、勘違いなんかじゃない。気を遣われるより、はっきりと男は趣味じゃないと言ってくれた方がすっきりと出来た。</p><p>こんな・・・未練を残す様な断り方ってない。</p><p>想い切れないんだよ。そうだろ？　まだ大野さんがあいつを見ていた表情が脳裏にこびりついてる。ぐつぐつ煮え滾る嫉妬だって消えちゃいない。こんなので、諦めるって無理だ。</p><p>酔った勢いでのキス・・・</p><p>『俺はするよ？　誰とでも』</p><p>「―――するんだ・・・誰とでも？」</p><p>指で唇に触れて、もう何度目かの回想をする。俺よりも年上だから経験だってしてるだろうけど、今更な、顔も見えない相手に嫉妬ってのも、我ながら馬鹿馬鹿しいって分かっていても、心は制御不能だ。</p><p>どうすればいい？</p><p>この後どうやって大野さんと会えばいい？</p><p>苦しいよ。</p><p>自覚した途端に、苦しさが倍増するなんて、どうすればいい？？？</p><p>大野さん。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>とんとん。</p><p>机を軽く指で叩く翔君。</p><p>「ん？　ごめん何？」</p><p>「何って、智君も智君らしくないし」</p><p>「らしくないって・・・」</p><p>一気に酒を煽って溜息を吐く。</p><p>「ほらね」</p><p>翔君がもの言いたげに俺を見る。</p><p>ツアーも終わり、新曲発表も終わった俺達は、各々の個人仕事、レギュラーの収録はあっても、以前ほどの頻繁さはない。個人の仕事がない俺や松潤は比較的にゆっくり出来るスケジュールで。今日は翔君からの飲みの誘いだ。</p><p>何を言いたいのかは・・・想像は付いてるけど、正直それについて俺は何も考えたくなかった。</p><p>空になったグラスにビールを注ごうと手を伸ばす。と、すいっと取り上げられた。</p><p>「ねえ？　悪化した？　松潤と」</p><p>疑問形じゃない確定で聞いてくる翔君に、答える気にもならなくて、むっとして空になったグラスに視線を落とした。</p><p>「ほんと、らしくないよ智君。まあ、俺相手に剥れるってのは久し振りじゃない？」</p><p>「・・・確かに、随分昔の話だっけ」</p><p>自分の気持ちの持って行き場がなくて。何も言わずに酒に付き合ってくれたことも多かった。</p><p>「他の三人には気を遣ってたから」</p><p>「年上のお兄さん感をだしてたな」</p><p>「でも、慣れなくて、結局早々に元に戻ったという」</p><p>思い出して笑う翔君。</p><p>「仕方ない、無理なもんは無理なんだ。その役目は翔君に任せることにした。間違っちゃいなかっただろ」</p><p>隙を見て奪い返したビールをグラスに注ぐ。</p><p>「じゃあ、今度は何に剥れてるのさ。松潤が一層荒れてるってことに関係してるって推測するのは当然でしょ」</p><p>頭が良過ぎるな翔君は。</p><p>それでも答えたくない俺はぐいっとグラスをあおって、そっぽを向いた。</p><p>&nbsp;</p><p>松潤に告白されて嬉しくてその日は眠る事も出来なかった。</p><p>一方で、残酷に断った自分に、松潤の心を思うと心臓が痛くて、眠れなかった。</p><p>なんて思い上がっているんだろう俺は。</p><p>「喧嘩したんだったら、仲直りすればいいと思うんだけど、それも出来ずに荒れてる松潤に、剥れている智君って・・・」</p><p>肩を竦める翔君には、俺達の間に何が起こったのかは知らない。単なる喧嘩だったら簡単な話だった。</p><p>「末っ子の智君離れ？」</p><p>「・・・そういう・・・話になるのかな」</p><p>「それとも、智君の末っ子離れ？」</p><p>「・・・」</p><p>「お互いに依存してたとは思わないけどさ、智君は松潤を結構見守ってたでしょ。それって、松潤だって気付いてたんじゃないかな」</p><p>「・・・」</p><p>「自分が智君の特別だって」</p><p>「・・・」</p><p>「ある日突然違うってなると・・・結構、くるんじゃない？」</p><p>「俺が、松潤を特別扱いしなくなったって？　そう言いたいのか？」</p><p>「じゃなきゃ、松潤の最近の行動が理解できないから」</p><p>「・・・」</p><p>「誰彼かまわず遊びあるいて。今はまだ遊びまくってるだけだから、事務所も大目に見てくれてるんだろうけどね。この先行動が酷くなると問題になると思うよ。その前に、智君か俺が呼び出されそうだけど」</p><p>「本人じゃないのかよ」</p><p>「だって、松潤だよ？」</p><p>「・・・」</p><p>俺達だけで解決できるんだったら、その方が良いのかも知れないが、その場合俺では解決できない可能性がある。</p><p>「先に断っておくけど。松潤は俺の言葉に耳を貸すかもしれないけど、言うことは聞かないよ、きっと」</p><p>先を切って翔君が断言する。</p><p>「我らが末っ子は、昔から俺に尊敬はしてくれても、行動を改めようなんて殊勝な気持ちはなかったからね」</p><p>じとっと俺を見て翔君が言う。</p><p>「なんだよ、その目」</p><p>「俺に出来ることは、智君の愚痴を聞いてやるだけってこと」</p><p>追加注文したビールを、自分のグラスに注ぎ、残った僅かな分量を俺のグラスに入れてにこりと微笑む。</p><p>無言の圧力をかけられても、俺には言うことは何もないし、自分の感情を今更口にする事は出来ない。</p><p>「この手も駄目か」</p><p>諦めた翔君は大きくため息をついた。</p><p>「仕方ない、こんな手は使いたくなかったけど」</p><p>「？」</p><p>「智君」</p><p>急に真面目な表情で俺を見た翔君。</p><p>「グループの為に、行動して」</p><p>真剣な瞳に、息が詰まった。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>朝。</p><p>ベッドに横になった白い裸体から布団を剥ぎ取った。</p><p>「きゃ！」</p><p>「何時まで寝てるの？</p><p>てか、帰れって言ったよね？」</p><p>昨日、深夜まで友人と飲み明かしたのは覚えてるし、その時同席してた女と一緒にホテルに入ったのも覚えてる。</p><p>正直、相手なんて誰でも同じ、顔も覚えていないし、名前も聞いてない。</p><p>その気にさせてもらえるんだったら、誰でもいい。</p><p>「ゆっくりしてていいの？　仕事あるんじゃない？」</p><p>「！！」</p><p>俺の言葉に一気に現実に戻ったのか、女は慌てて部屋を出て行く。</p><p>「面倒臭い」</p><p>去り際に悪態つかないだけ、まだマシな方か。といっても、朝まで居座られるのもうんざりする。</p><p>部屋に残った女の香りに胸やけして、シャワーを浴びる。ごちゃごちゃな感情も一緒に流してしまえればいいのにと思いながら。</p><p>――――</p><p>酔いに任せればなんだって出来る？</p><p>大野さん・・・あんたは嘘吐きだ。</p><p>少なくとも俺には無理だ。</p><p>女だって、男だって、誰も同じ。</p><p>二人きりになった途端、俺の頭の中には大野さんの存在だけしかいなくなる。誰も大野さんには勝てない。</p><p>散々飲み明かし、相手を部屋から追い出す。その繰り返しだ。</p><p>こんな荒れた生活は良くない。多分もう大野さんや事務所の耳にも入ってる筈。</p><p>幸いグループの仕事が一段落して、俺の気が緩んだって、事務所は大目に見てくれるだろう、今の内は。</p><p>翔さんや大野さんはそう考えないだろうけど。特に翔さんは何とかしようと、大野さんを説得する筈。だけど、今回ばかりは大野さんは動けない。</p><p>だって。</p><p>「俺の失恋相手だし」</p><p>言葉にすれば虚しくなるばかりだ。</p><p>俺達のことを口にするような大野さんじゃない。だからこそ、尚動けない。いくら翔さんが焚きつけようと。</p><p>いっそ、全部白状してくれればいいのに。そうすれば、翔さんは大野さんを上手く言いくるめてくれる。俺の元に来るように背中を押してくれるのに。</p><p>「なんてな」</p><p>こんなに未練たっぷりなんだ。</p><p>俺の気持ちを知って。俺に会いに来てほしいと願っている。</p><p>女々しい？</p><p>そう、女々しいんだ。</p><p>それでもいいと、俺自身思ってるくらいに。</p><p>大野さんに会いたい。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>続</p>
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<link>https://ameblo.jp/aonomurey/entry-12718152593.html</link>
<pubDate>Sun, 13 Feb 2022 00:29:57 +0900</pubDate>
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<title>「いつも君を想う時　12」</title>
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<![CDATA[ <p>火照った身体の熱はなかなか治まらなくて、ぐったりと脱力したまま暫くベッドに横になるしかない。その辺の事情を察しない松潤は俺がまだ誘ってるんだとすぐに勘違いする。伸びてきた手を怠さを堪えて払い除ける。</p><p>「もしかして、しんどい？」</p><p>もしかしなくてもだ！</p><p>視線に込めて答えれば、悦にいった笑顔でベッドを降りて行く松潤。おじさんの体力削って何が嬉しいんだ？</p><p>「水がいい？　それともシャワー連れてって欲しい？」</p><p>ぐんと顔を近付けてくる。俺が話すのも面倒だってことにも気が付いているらしい。</p><p>「っ！？」</p><p>ぐいっと俺を抱き上げると、シャワーに連れて行こうとする。</p><p>「おいっ」</p><p>流石にいい歳したおじさんは、お姫様抱っこでシャワーに行くのは誰か見ていなくても恥ずかしい。いや裸ってのも本来は恥ずかしいけど、今更ってことだ。</p><p>「シャワーしたい、喉も渇いてるんでしょ」</p><p>「おろせ」</p><p>「なんで？　手っ取り早いでしょ。ってかさ、痩せてない？　ちゃんと食べてないんじゃない？」</p><p>全部に答えるのも面倒だったから、一番伝えたいことだけ答えることにする。</p><p>「おじさんのお姫様抱っこは引く」</p><p>「なんで？　俺は気にしないよ？」</p><p>にっこりと笑顔が返ってくる。</p><p>コトの始めから恥ずかしい事を興味深々で手伝われてしまっているからなのか、ほんとに松潤には躊躇いがない。</p><p>さっさとバスルームに運ばれて、熱いシャワーの下におろされ、ほっとした途端に唇を塞がれる。</p><p>「んっ・・」</p><p>シャワーで幾分リフレッシュできたとはいえ・・・</p><p>お互いに裸だし、充分その気になってるのは分かっているが。このままだと本気で始めそうだ。</p><p>胸をどんどんと叩くと、渋々と俺から離れ、名残惜しそうに俺の唇を舐めてキスは終わった。</p><p>「ふふ、一緒にシャワーしようかな～と思ったんだけど」</p><p>言いながらも俺の後ろに伸びて探ろうとしだした手を止めた。</p><p>「自分でする！！」</p><p>力を込めて睨み、笑顔で首を傾げる松潤と根競べが始まる。</p><p>一体どんな事を調べてきたのか、全部一緒にするのが当たり前のように思っている気がする。デリカシーはどこにいったんだ？　周りには気を遣う性格だったと思っていたんだが。</p><p>無言の問答の末、諦めた松潤がバスルームを出て行く。</p><p>「じゃあ、水を用意しておくね」</p><p>気を悪くした様子はない。</p><p>さっぱりしてリビングに戻ってくると、代わりに松潤がバスルームに向かう、すれ違い様にキスを仕掛けられた。</p><p>「大野さんの分は、冷蔵庫に入ってるから。そこにあるのは俺のだけど、そっちでいいんだったら飲んでもいいよ」</p><p>そう言い残して消えていく背中。</p><p>機嫌が良いのはいいことなんだろう。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>怒涛の撮影が始まった。</p><p>ドラマに映画、関連した作品で同時進行の分忙しい。</p><p>それでも去年のような忙しさほどではない。</p><p>「・・・ってことはないか・・・」</p><p>「どうしました？」</p><p>「あ？　ああ、独り言」</p><p>「台本ですか？」</p><p>現場に向かう車の中、手にした台本に視線を落とす。マネージャーは俺が台本を読んでると思っていたらしい。</p><p>「少し、集中したい」</p><p>「わかりました」</p><p>車内に流れていた音楽が止まる。</p><p>「あ、音楽はかけといて」</p><p>流れ出す音を聞きながら、視線を落とす。顔を動かさずにチラッとマネージャーを窺ってからスマホを取り出した。</p><p>《無理せずに万全な体調でな》</p><p>大野さんからのメールだ。</p><p>たった一行の言葉だけで、忙しさを忘れてしまえるってことだ。</p><p>単なる激励の言葉に過ぎなくても、相手が大野さんってだけで俺には充分だ。会う時間が少なくなっても、偶に送って来るメールの効果は大きい。</p><p>会いたい時にいつでも会えるっていう方が一番いいのは確かだが。</p><p>仕事が始まると、しかも同時進行ってのはどれだけ忙しくなるのか、内情を知ってる分、会いに行っても門前払いされるのは想定の内。だからこそ、もっと関係を深めたかったのだけど、やっぱり一筋縄では行かないのが大野さんだ。身体は許しても本気で大人の関係だって割り切ってしまってる気がする。都合がいいと思ってたのに、思わぬ所で落とし穴があったわけだ。</p><p>それでも、こうしてメールを送ってくれるのは、メンバー以上で、弟・・・思いも交じってるかも知れなくても、少しは関係が深くなってると思いたい。</p><p>&nbsp;</p><p>現場に入れば役者に没頭する。</p><p>近年の俺は役者を受けることが難しい状況だったから、久し振りの役者の仕事は楽しい。やっていても結果が出る、見てもらうことが出来るっていう満足感。去年のように、時間をかけて温めてきた事が、次から次へと崩れていくようなことはない。</p><p>社会状況に少しづつ慣れてきたのかも知れない、でもあの時の言いようのない感情を味わうことはない。</p><p>「相変わらず安定してますね」</p><p>シーンを撮り終った俺に、マネージャーが言葉をかけてくる。</p><p>「調子がいいようで、今日は早くあがれそうだと監督が言ってました」</p><p>「それはいい話だね」</p><p>頭の中で大野さんの今日のスケジュールを思い出す。</p><p>「それが、早く終わるようでしたら、事務所に顔を出していただけませんか？」</p><p>伺う言葉遣いでも、拒否権なんてないってことだな。</p><p>大野さんに会えるって楽しくなっていた気持ちを隠して、了承の返事を返せば、マネージャーが頷いて連絡を取りに離れた。</p><p>多分仕事の話なんだろう。他の三人に比べれば仕事量が少ないって事を気にしてるマネージャーは、どうも俺を働かせたがってる。</p><p>働くことには異議はない、嫌いじゃないし。</p><p>ただ・・・</p><p>大野さんに会いたい。</p><p>馬鹿みたいにそんな想いが強くなるだけだ。</p><p>&nbsp;</p><p>「あ・れー！　松潤！！」</p><p>エレベーターに乗り込んだ俺を追いかけるように相葉さんが走って来た。</p><p>「お疲れさん！」</p><p>久し振りの相葉さんは相変わらず元気だ。</p><p>「ニノのお祝い、任せてしまってごめん。忙しいのに」</p><p>「いいのいいの、俺の伝だし。全然迷惑じゃないから・・・っ」</p><p>笑って手を振る相葉さんが、何か思いついてかのようにハッとして俺を見た。</p><p>「あ！　あのさ、聞いてみたかったんだけどさ。松潤、リーダーに直で連絡とってる？」</p><p>「え？」</p><p>俺達のグループメールは今も機能している、以前のように頻繁にやり取りすることはないにしても、連絡は取り合ってる。</p><p>「ま・・・まあ、大野さん一人で何してるかな～とか？」</p><p>質問の意味が分からなくて、はっきりと否定できない。</p><p>「？　はあん、だからかな。</p><p>リモート飲み会で決めたこと、すぐにメールしてくれたんだ。やっぱり仕事早いよね松潤」</p><p>「何？」</p><p>「翔ちゃんからさ、この前事務所でリーダーに会ったんだって、その時にもうニノのお祝いの了解を受け取ったって」</p><p>「そうなんだ」</p><p>「それが、リモートの次の日、しかも午前のことなんだって。どうして内容を知ってるんだろうって首傾げてた」</p><p>！！</p><p>大野さん・・・</p><p>何やらかしてるんだ。</p><p>「まあ、こういうことは早くした方がいいかなって思ってね」</p><p>適当に話を合わせて置く。</p><p>「ふふふ、やっぱりリーダーと直に連絡交換したわけね～　俺と一緒じゃん」</p><p>にこっと笑う相葉さんには下心を感じない。</p><p>「翔ちゃんもこっそりと連絡交換したいみたいだし、ニノなんてとっくの昔に交換してるんじゃないかな」</p><p>なんだそれ！</p><p>「もう、こっそりする必要ないと思わない？」</p><p>笑いながら話す相葉さん。ほんとに下心がないからあっけらかんと言えるんだろう、かと言って他の二人にその心がないとは言えない。</p><p>相手が既に居るとしても、大野さんと二人だけの会話をしたいなんてのは、俺にとっては穏やかならざるを得ない。</p><p>「リーダーはなんだかんだ言っても、俺達には必要なんだよね。大きいよねあの存在ってさ。無理させたのかな」</p><p>「そんなことはないんじゃない？　あの人は底なし沼だから」</p><p>「何それ。分かるー」</p><p>そう言って相葉さんはマネージャーに呼ばれて会議室に入って行く。その背中を見送りながら俺はこっそりと溜息を吐く。</p><p>だからといって、今の大野さんを他のメンバーと共有したいとは思わないんだけどな。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>続</p>
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<link>https://ameblo.jp/aonomurey/entry-12718151188.html</link>
<pubDate>Sun, 23 Jan 2022 00:30:02 +0900</pubDate>
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<title>「秘密の楽園　ⅩⅢ」</title>
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<![CDATA[ <p>「・・・ちがう・・・から・・・」</p><p>長い沈黙の後、意を決したように松潤が言った。声は小さかったけど。</p><p>「ふ・・・さっきと同じ言葉だな」</p><p>その意味はきっと違うんだろうけど、それでもせめて場を和ませればいいと思って口にした。</p><p>「違うんだったら、違う！」</p><p>場を和ませるのには成功しなかったらしい、逆に起った松潤が勢いよく顔を上げて俺に詰め寄った。</p><p>「分かったよ」</p><p>どっちにしても俺に対して何らかの含みがあるってのは違わないんだろうし。今それを俺に言ってくれるわけでもないらしい。</p><p>「分かってないだろ！　大野さんは理糸やあのガキみたいに、誰にだって気安く受け入れてしまうじゃないか」</p><p>「気安く受け入れてるつもりはないけどな？」</p><p>何処をこう見て松潤がそんな感想を抱いたのか。刺激は貰ってはいるが、だからと言って仲良しこよししているつもりはないし、それこそメンバーに対しているような態度を取ったこともない。</p><p>「じゃあ、なんであんな顔してあいつを見るんだよ！！！」</p><p>ばん！</p><p>全く身に覚えがない俺に、怒りが増したのか松潤がまたテーブルを叩く。</p><p>「か・・・お？」</p><p>「そう！　まるで・・・まるで・・・」</p><p>いいづらそうな顔。チラッと俺を見てすぐに俯いてしまう。</p><p>「俺の顔がどうした？」</p><p>促しても中々言い返さない松潤の肩に手を置き、俯いた顔を覗き込んだ。</p><p>「っ///////」</p><p>怒りがそんなに強いんだろうか、赤くなっている。そんなに怒らせるような顔をしていたってことなのか？</p><p>「もう、会うことはないから」</p><p>これで安心してくれればいい。</p><p>「だから違うんだって言ってるだろ！</p><p>大野さんがあいつを、俺に見せてたような顔で見てるから！」</p><p>「？？」</p><p>「昔、俺がまだガキだったころ、よく大野さんは俺のことをあんな顔で見守ってくれてたじゃないか。今だって時々見てくれてるし///」</p><p>気が付いてくれていたんだ。俄かに湧き上がってくる嬉しさを隠すのに苦労した。</p><p>「確かに、霧は昔の松潤に似てるとは思ったけ・・・」</p><p>「全然違うから！」</p><p>最後まで聞かずに松潤が否定する。</p><p>「そうだな」</p><p>「だったら、あんな顔見せんなよ。俺以外に！！　俺じゃないヤツに、あんな顔見せるなんて許さない」</p><p>「え？」</p><p>「大野さんが見せて良いのは俺だけなんだ。他には誰も許さないから！！」</p><p>松潤？</p><p>単なる独占欲なんだろうと分かっていても、心臓に突き刺さる言葉の意味は、痛みを通り越して歓喜に沸いて。</p><p>ああ、この言葉だけで、俺は報われた気がしてしまうから・・・手に負えない。</p><p>&nbsp;</p><p>「分かったよ」</p><p>「全然分かってない大野さん！」</p><p>肩に置いた手を払い除け、すぐに握り締めてきた松潤が、ぐいっと俺の身体を引き寄せた。</p><p>「ずっと、大野さんを避けてたのは俺が怒ってるからだって、そう思ってるんだろ？」</p><p>「・・・あ・・ああ」</p><p>何を言いたいのか、全く見当がつかない俺は、どう返事すればいいのか分からなくて曖昧な言葉しか出ない。</p><p>「怒ってなんてないから」</p><p>「あ、ありがとう」</p><p>頓珍漢な返事に、松潤の目が光った。</p><p>「好きだから！」</p><p>！！</p><p>「お・おお。ありがとな」</p><p>「そんなんじゃない！」</p><p>松潤の顔がぐいっとさらに近寄ってくる。</p><p>「ライブの打ち上げの後、急に大野さんを避け始めたのは、あの時酔った大野さんにキスしたから」</p><p>「は・・・え？？」</p><p>考えたことも無い展開に、思考が停止した。</p><p>「自分でもなんでそんなことしたのか分かんなくて、どうすればいいのか分からなくなって避けてた。でも、今日、あのガキと理糸と一緒に居た大野さんを見て頭が爆発した気がした。分かったんだ、俺、大野さんのこと好きなんだって」</p><p>松潤が・・・</p><p>俺のことを・・・</p><p>好き？</p><p>思考は停止したまま、言葉だけが俺の脳内を駆け巡り、心臓の音が煩いくらいに響いている。</p><p>「大野さん！</p><p>何か言ってよ」</p><p>何を言えばいいんだ？</p><p>松潤が俺を好きだって？　だから嬉しいって？　俺も好きだったんだって？</p><p>ずっと前から・・・・</p><p>&nbsp;</p><p>だから・・・</p><p>どうなるんだ？</p><p>&nbsp;</p><p>ふと、俺の脳内で囁く声がした。</p><p>俺の想いが叶う。</p><p>それは天にも昇る程の歓喜。</p><p>かもしれない。</p><p>両想いになるんだ。当然だろう。</p><p>だからって、それがこの先も続くと・・・・？</p><p>&nbsp;</p><p>勢いだけの想いじゃない。</p><p>この想いに気が付いた時に、秘めることにしたのはどうしてだった？</p><p>荒れる程の苦しい想いを、告げなかったのはどうしてだった？</p><p>自分だけの想いで、相手の人生をどうにかすることが出来る権利が、俺にあると思うのか？</p><p>まだまだ現実に厳しいことだって、そう想ったからだろう？</p><p>それは両想いになったからと言って、覆せるものだと思うのか？</p><p>&nbsp;</p><p>俺に松潤の人生を全て狂わせても良いほどの決意があると？</p><p>松潤の作るステージが好きだ。</p><p>役に取り組む姿勢の厳しさを見守りたいと思った。</p><p>リラックスしている時の弛んだ空気、無防備に寝ている眉の下がった可愛い顔。</p><p>その全てを・・・・</p><p>&nbsp;</p><p>「何を・・・言ってるんだ？」</p><p>無意識に冷たい言葉を口にしてた。</p><p>「何って、俺は」</p><p>「松潤は、勘違いしているんだな」</p><p>「勘違いって、そんなんでキスするかよ」</p><p>「酔った俺は、するよ？　キス。他の誰とでも」</p><p>「！！！！」</p><p>「松潤はしたことがないから、そんな勘違いするんだろ。酔っぱらいの行動に意味なんてないから。</p><p>変に気にすることはないぞ？」</p><p>「・・・じゃあ、今日の！？」</p><p>「松潤は案外と独占欲が強いんだな。今日ので分かったよ。俺は単にダンスの振りにいい刺激になると思って、理糸の誘いにのってただけだ。霧は確かに昔の松潤に似てると、会った頃に思ったけど、でもあんなに礼儀知らずじゃないし、誰彼かまわず突っかかるようなヤツでもなかったよ。理糸にはちゃんと振りの勉強だって言ってたから、もう会うことはない。今度こそほんとだ」</p><p>「大野さん！」</p><p>「全く、真面目なんだな、松潤は。</p><p>安心しろって、勘違いするようなことはないから、これからは普通でいいよ」</p><p>肩をトントンと叩いて、松潤の腕の中から抜け出した。</p><p>後ろ髪を引かれ乍ら。</p><p>少しづつ距離を取って、松潤を見ると、茫然としたまま立っている。俺を見ようともせずに、その視線は宙を彷徨って。</p><p>&nbsp;</p><p>ごめん。</p><p>&nbsp;</p><p>心の中で謝って、俺はその場を後にした。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>続</p>
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<link>https://ameblo.jp/aonomurey/entry-12717731139.html</link>
<pubDate>Wed, 29 Dec 2021 08:00:00 +0900</pubDate>
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<title>「いつも君を想う時　11」</title>
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<![CDATA[ <p>地下に入ったタクシーから降りた俺と、同時に入ってきたらしい翔君が入口の前で待っていた。</p><p>今日はゆっくりなのか、それとももう一本仕事を終えてなのか、久し振りに見る翔君の笑顔だ。昨日は声だけしか聴いてなかったから、元気なのは何時もの通りだと分かっていたけど。やっぱり顔を見るのは単純に嬉しい。</p><p>「元気？　智君」</p><p>まるで何も変わっていないかのような、普段通りの翔君。</p><p>「翔君こそ元気そうじゃん」</p><p>「そう？　言ってる割に智君、身体しんどいじゃない？」</p><p>流石に昨日の今日だ、身体機能的にはしんどいのは確かだが、鋭いな。</p><p>「休み癖だろ」</p><p>笑って済ませた。</p><p>軽い音がしてエレベーターに乗り込む。一人だったら、壁に凭れる事も出来るのだが、翔君と一緒となると並んで立つしかない。</p><p>全く、久し振りの行為とはいえ、自分の歳を考えるべきだったな。皆の声を聞きながらいつの間にか眠ってしまい、松潤に運ばれたのだろう。朝はベッドの中で迎えた。節々の痛みと共に・・・</p><p>「何笑ってんの？　いい事でもあった？　厭らしい笑顔じゃん」</p><p>「何バカな事言ってんだよ、おめでたいのはそっちでしょ」</p><p>笑って返すのも久し振りだ。</p><p>「悪かったな、朝読んだわ」</p><p>一応の言い訳、何やってんだか・・・な気分を隠しつつ。</p><p>「いいよ、満喫できてるんだったらさ」</p><p>優しい翔君は、笑って許してくれる。最も、笑って許してくれそうにない松潤は俺と一緒に居たわけで、しっかりと松潤のスマホから内容は全部読んでいたし、リモートも声だけは聞いてた訳だけど。</p><p>「まあ、それなりにゆっくり出来てる」</p><p>「ほんとに、体調はもう大丈夫なんでしょ？」</p><p>「大丈夫大丈夫、いくらおじさんでもあれだけ寝てれば元気になるから」</p><p>表に出る程のダメージなんだろうか。少し心配になってきた。</p><p>「年末までの智君を見てると、ほんとに燃え尽きてるんじゃないかって・・・ちょっと思ってた。余計なお世話だったかな」</p><p>「何言ってんだよ、ありがとうだよ。感謝感謝」</p><p>「はは、変わらないね智君は」</p><p>「この後、事務所での仕事？」</p><p>「まあ、ここでの打ち合わせかな」</p><p>「早く帰れればいいな」</p><p>「智君こそ、滅多に出てこないから、話沢山あるんじゃない？」</p><p>「ふふ、そだな」</p><p>お互いに顔を見合わせて笑うと、階に到着したエレベーターの軽い音と微かな振動の後にドアが開いた。</p><p>先に出て行く翔君が、思い出したように振り返った。</p><p>「あ、ニノのプレゼント！」</p><p>「あ？　ああ、いいよ、皆が言ってたので」</p><p>「そう？　じゃあ、相葉ちゃんに言っておくよ」</p><p>「うん、そうして」</p><p>手を振って背中を見せる翔君を見送って、俺はエレベーターのボタンを押した。</p><p>だから、俺のエレベーターが閉った後、翔君がはっとしたように立ち止まって訝し気に振り返った事には気が付かなかった。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「ご機嫌ですよね、最近」</p><p>そりゃそうだ。ちらっと視線だけで肯定すると出来たマネージャーは分かってくれるし、これ以上突っ込んでもこないだろう。</p><p>「やっぱり、ドラマに映画に大河諸々、今まで出来なかった役者の仕事が続々決まってきましたしね」</p><p>・・・そっちかよ。</p><p>見当違いに納得しているけど、敢えて訂正する必要もないし、その方が都合がいい。</p><p>「まあ、もう少し休みを満喫していただいて、英気を養っておいてください。怒涛の忙しさになりますから」</p><p>マネージャーも機嫌がいいらしい。漸く仕事らしい仕事が出来るからだろうか。俺としては、この休みの間にもう少し大野さんを攻略しておきたい所だけど。</p><p>上手く丸め込んで大人の関係ってのに持ち込めることに成功した。俺の上機嫌のほんとの理由だ。</p><p>恋愛を感じさせない、そこが肝心。</p><p>妙な所で抜けてる人だけど、実際にそれに俺は救われてというか、その点を付いて関係に持ち込めたわけで。俺の想いを少しでも感じさせてしまうと、俺に対して負い目というか、失礼だと思ってしまうのは確実だ。</p><p>最初はかなりダメージを与えてしまったらしい行為に、次を求めるには相当苦労したけれど、今では雰囲気をいいように持って行けば簡単に応えてくれる。朝を一緒にむかえてくれる回数を増やしたいのが目下の俺の目標だ。</p><p>仕事が増えてくれば、絶対に過ごす時間を減らそうとするに違いないし。自分の家で休めって強く言ってくるに違いない。まあ、俺の身体を気遣ってくれてるってのは分かってる、まだメンバー気遣い程度ってのも承知してる。未だにリーダー気質が抜けていないし、弟扱いしてる時もあるんだけどな。</p><p>弟相手にその気になれるってのも、大野さんらしいのか？</p><p>こっちは相手になってくれるんだったらどれだけだって利用させてもらうけど。</p><p>・・・なんてくらいに機嫌がいいってことだ。</p><p>それくらいに大野さんとの濃い時間はいいってことだ。</p><p>&nbsp;</p><p>再本数冊とPCを抱えて押したボタンは大野さんのルームナンバー。すぐに答えてくれる筈の大野さんからのコールがない。</p><p>「？」</p><p>昨日、今日は家で仕事してるって言ってたし、朝のメールでも確認済みだ。スマホを確認してみても連絡はない。</p><p>「仕方ない」</p><p>持ってた鍵で大野さんの家に入る。当然、大野さんの姿はない。</p><p>「大野さん？」</p><p>一応呼び掛けて見るけど、答えてくれる声はない。</p><p>取り敢えず鞄をリビングのテーブルに置いて、料理でもして帰りを待つ事にした。一体、何の用事ができたんだろう？　連絡もなく留守にするのはらしくない。恋人ではないけど頻繁に尋ねてくるのは知ってるし、毎回ではないにしてもそれなりに身体を許してくれてる間ではある。</p><p>ましてや、今日俺が来るってのは知ってるわけだから。</p><p>「！？」</p><p>微かな音が玄関からしたと思ったすぐに。</p><p>「・・・まるっきり自分の家だな」</p><p>呆れた大野さんの声がした。</p><p>「おかえり」</p><p>「ただいま」</p><p>チラッとキッチンに居る俺を見て、もう一度笑うとすっとリビングから姿を消した。</p><p>&nbsp;</p><p>「？」</p><p>後を追いかけると大野さんはバスルームに居て、シャワーを浴びていた。</p><p>「ご飯、食べるんだろ？」</p><p>時間的に見ても食事はしてきていないと思う。</p><p>「作ってくれるんだったら、食べる」</p><p>水音に紛れて聞こえてきた声に違和感はない。それでも何となく感じるこの違和感はなんだ？</p><p>立ち尽くしてる俺の前でいきなりドアが開いて。</p><p>「うわっ、まだ居たのか」</p><p>暢気な声で驚いてる大野さんが立っていた。</p><p>ほんのりと湯気の立つ中の姿は、壮絶に色っぽいと思うのは絶対に俺だけじゃない。最近の大野さんは放つ雰囲気に男の大人の色気が混じってる。自分に無頓着なこの人は、放つ色香に寄ってくる女性や、もしかして男も居るかも知れない、そんな理由を思いもしないんだろう。</p><p>「焦げてないか？」</p><p>俺にどんな影響を与えてるのか全く気にしてない大野さんが気にしてるのは料理って・・・</p><p>「少し・・焦げても食べられるでしょ」</p><p>「いや・・・作って貰ってるから文句は言えないけど」</p><p>暗に料理に戻れって言うことなんだろう。いい大人が、色気よりも食い気ってのは、大野さんだな。</p><p>まあ、料理の後のデザートってことで、大人しくお預けされておくことにしよう。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>続</p><p>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/aonomurey/entry-12704331858.html</link>
<pubDate>Tue, 28 Dec 2021 22:35:46 +0900</pubDate>
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<title>「秘密の楽園　Ⅻ」</title>
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<![CDATA[ <p>ぶちっと俺の中で何かが切れる音がした。</p><p>「ちょっ・・！！」</p><p>理糸が引き留めようと俺の腕を取ったけど、思い切り振り払ってドアを開けた。</p><p>「大野さんっ！」</p><p>大きな叫びにフロアで踊っていた皆、待機中にストレッチをしていた者までが一斉に止まって、俺を見た。</p><p>俺の視界には大野さんと霧だけしか見えなかったけど。</p><p>ぎっと俺を睨む霧。</p><p>驚きに大きく目を見開いた大野さん・・・だけだ。</p><p>霧も今じゃ眼中にない。</p><p>俺を見つめている大野さんの瞳に不安の色が揺らいでいる。</p><p>つられて俺の中の不安も膨れ上がっていく。こんなのは嫌だ。どうして俺をそんな目で見るんだよ。</p><p>嫌だ嫌だこんなのは・・・絶対に認めないし！　</p><p>許さないっ！！！！</p><p>頭に血が上って、自分でも何をしているのか理解できてないまま、俺は大野さんの腕をとり、この場から連れ去った。</p><p>外に出て、大通りに出て、無意識にタクシーを拾って放り投げるように大野さんを推しこんだ時も、俺の脳内には霧とじゃれている二人の姿とか、仲良く・・・ほんとにまるで恋人のような表情で大野さんと一緒に入って来た理糸を、抵抗なく受け入れている顔とか。</p><p>あんな顔、メンバー以外に！</p><p>俺以外に見せたことないだろ！！</p><p>メンバーに対してはどれだけでも受け入れることに否はない大野さんだし。そんな仲でも、特に俺に対しては甘いってことは・・・知ってた。</p><p>年下ってだけでも俺は何でも受け入れられていたと。それは当たり前なことなんだと、俺が思っていたのは間違いじゃない。</p><p>その優しい、穏やかな表情は俺だけに向けられていたモノで、他の誰にでも魅せることはない俺だけの特権で。</p><p>・・・特権であるべきなんだ！</p><p>理由のない苛立ちに、自分勝手な妄想に、翻弄されて混乱して自分でも何をしたいのか、分からなくなっていた。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>こんなに激怒した松潤は久し振りで。</p><p>怒りに我を忘れて、きっと俺を引っ張って出て行ったことすら分かってないんじゃないか？</p><p>かと言って、俺も理解できてないこの状況は。</p><p>タクシーに乗り込んで来た松潤は、無意識なんだろう自分の住所を口にした後、窓の外をみたまま俺を見ようともしない。その横顔からは怒りがビンビンに伝わってきて、車内はピリついて、時折り運転手がミラー越しにこっちを窺ってくるほど。</p><p>タクシーが都内を走り抜けている間も、松潤の怒りは収まる事は無くて、チラリとも俺を見る事もなかった。</p><p>ここまでとは・・・</p><p>今までも怒りに我を忘れた時はあった。数限りなく。それでも、俺が側に居れば落ち着いていってくれた。苛立つ松潤の側には誰も近寄ろうとはしなかったメンバーでさえも。それは俺だけの特権だった。俺だけが怒る松潤の側に居ることが許されていた・・・</p><p>筈だったのに。</p><p>隣に居るのに俺を完全に拒否しているオーラを感じて、どうしていいのか途方に暮れてしまう。</p><p>一体、何が松潤に起きている？</p><p>こんなに長い時間怒りに任せることなんてなかったのに。</p><p>理糸と一緒に居ることがそんなに嫌だったのだろうか。</p><p>確かに、ライブの仕事が終わればもう会うことはないと約束した。約束を破ったのは俺が悪い。言い訳出来ない事実だ。</p><p>第一どう説明できる？</p><p>松潤の態度に言いようのない不安に襲われて、揺れてしまった自分の気持ちを、どう言い訳出来る？　</p><p>好きなんだと。</p><p>口にするつもりもない秘密の想いを、当の本人に言える訳もない。</p><p>&nbsp;</p><p>「降りるよ」</p><p>目的地に到着した途端、タクシーが止まる前に短く俺に言い放った言葉は冷たくて。</p><p>未だに拒絶のオーラを滲ませたまま、俺達はタクシ―を降りた。</p><p>「ま・・」</p><p>声を掛けようとしたのに、すぐに腕を取られて言葉をかけられることもなくそのまま家に連れて行かれた。</p><p>玄関に入ってもまだ無言のまま、ただ二人押し黙ったままリビングにやって来た。</p><p>「松潤・・」</p><p>沈黙に耐えられなくなり呼び掛けた俺に、一瞬チラッと視線を寄越した松潤はすっと掴んでいた俺の腕を離して、答えることもなくそのまま自分の部屋に入ってしまった。</p><p>茫然と見送るしかない俺は、一体どうすればいいんだ？</p><p>こんなこと今まで経験したことがない。部屋に籠ってしまった松潤の様子を見に行けばいいのか？　こんな事になった理由を聞けばいいのか？　</p><p>自分が取る行動が分からないなんて、しかも松潤相手に。</p><p>おずおずと寝室に向かい、そっとドアをノックしてみる。</p><p>「松潤？」</p><p>小さい声。俺の心がそのまま表れてるんだな。</p><p>耳をそばだてて松潤の気配を探る。</p><p>何も、感じない。</p><p>不安だけが俺を煽って、心拍数が上って行く。</p><p>―――――と。</p><p>&nbsp;</p><p>どん！</p><p>&nbsp;</p><p>中から壁を殴るような音が聞こえてきたかと思うと。</p><p>「っ！？！？」</p><p>いきなりドアが開いて、顔を真っ赤にした松潤が飛び出してきた。</p><p>慌てて横に飛び退った俺を探すように、リビングをぐるっと見回した松潤の目が・・・俺を見つけた。</p><p>！！</p><p>「―――」</p><p>目が合った瞬間に身体を押さえ込まれたように、身動きできなくなった。</p><p>漸く俺を見てくれたその瞳に映っている。怯えた表情の俺が。</p><p>嬉しい癖に、久し振りにしっかりと俺を見てくれて、心の奥で喜んでいる俺が居るのに、どうして怯えているように見えるんだろう。</p><p>「なんでだよ」</p><p>「・・・」</p><p>松潤の問い掛けに、納得させるような答えを出せない俺は、黙るしかなくて。怒りに油を注ぐと分かっていても。</p><p>「っ！　くそっ！！　だんまりかよっ！」</p><p>案の定怒った松潤は、俺を睨みつけてくる。ぎらぎらと燃える瞳に、魅入られてしまう。</p><p>「・・・」</p><p>「なんとか言えよ！」</p><p>「何を・・・言えばいい？」</p><p>今の俺に松潤の望みなんて分からないんだ。言いようのない不安ばかりで、それでも今こうして松潤の側に居るって事に単純に喜んでる。</p><p>煮え切らない俺の態度に、怒りよりも諦めが勝って来たのか、深い溜息を吐いた。</p><p>「約束したじゃんか。なんであんなところに居るんだよ」</p><p>「ごめん」</p><p>「違うっ」</p><p>「悪かった」</p><p>「違うだろっ！！！」</p><p>ばん！！</p><p>テーブルを掌で叩きつける音に、びくっと肩が震えた。演出している時にスタッフに焦れて机を叩く音にビビったことなんてない俺が・・・</p><p>&nbsp;</p><p>「他に言えないのかよ！</p><p>俺達よりもあいつ等を取るっていうのかよ？　違うってどうして言ってくれないんだよ」</p><p>「松潤・・・」</p><p>俺と理糸が一緒に居ても、翔君は俺がグループから離れることはないと思ってた。</p><p>でも松潤は？</p><p>側に居れるだけでいいと思っていた。何も望まないとそう決めていた筈だ。なのに・・・信じてくれていなかった、そう分かっただけなのに、こんなにも苦しくなるのか？　ずっと見守って来た俺のことを、多分気が付いてくれていたんだと思っていた、そんな俺達の間にはグループとしての絆だけじゃないものがあるかもしれないと、勝手に思い込んでいたって・・・こと・・・</p><p>「なんだろう・・・な・・・」</p><p>「？」</p><p>溜め息と共に吐き出した呟きに松潤が頭を傾げた。</p><p>「何？　何だよ」</p><p>「確かに約束を破って理糸と会っていた。あそこで踊っている皆を見てるのは目が覚めるような気がしたから」</p><p>「！！」</p><p>裏切られたと思っているんだろうか、驚きに目を見開く松潤をしっかりと見つめた。</p><p>「ライブが終わった後、何か心境の変化があったのは松潤だろ？」</p><p>びくっと。</p><p>あからさまな程の反応の仕方。つまり、俺に対して腹を立てているってことは決定だ。</p><p>嫌われるようなことを俺はしたんだろうか・・・いや、したんだろうな。</p><p>「気に障るような事があるんだったら、言ってくれ」</p><p>「・・・」</p><p>今度は松潤が俯いて俺から表情を隠した。</p><p>居たたまれない空気が段々とリビングを支配していく。ただ黙ったまま俺達は立ち尽くしていた。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>続</p>
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<link>https://ameblo.jp/aonomurey/entry-12698770639.html</link>
<pubDate>Sun, 26 Dec 2021 16:12:00 +0900</pubDate>
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