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<title>復活！小説連載ブログ</title>
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<description>読者の皆様から多大なご支援とアンコールを受け、小説連載を再開しました！ 始めての方も、お久しぶりの方も、パワーアップした英優ワールドをお楽しみいただければ幸いです。</description>
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<title>2章-3</title>
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<![CDATA[ &nbsp;昨日まで予定されていた両陛下の出発予定地は、文字通り混雑していた。およそ一世紀ぶりにその姿が見られるということで、日本のテレビ局、新聞、ラジオ、多くの市民に留まらず、海外のメディアまでもが押しかけていた。<div>「こりゃあ面倒ってだけじゃ済まなそうだぜ…」</div><div>&nbsp;大きくため息と愚痴をこぼしたのは長谷部だ。エリカ、リヒト、長谷部の3人はヴァリアーズのユニフォームに身を包み、メディアたちの誘導を行おうとしていた。</div><div>「やるしかあるまい。」</div><div>&nbsp;いつも毅然としているエリカ班長も、この混雑のしようを見せつけられてぐうの音を漏らしていた。</div><div>「ご丁寧に支部長がマイクまで用意してくれたんだ。やらないわけにはいかないだろう。」</div><div>&nbsp;と言いつつ長谷部は右手に持っていたマイクをリヒトにパスした。</div><div>「うげっ！長谷部さん、押し付けないでくださいよ！」</div><div>「何事も経験だよ、少年。」</div><div>&nbsp;もっともらしい(らしくないが…)理由をつけた長谷部。やれやれという様子で2人を見るエリカ。が、リヒトを助けるつもりは毛頭ないようだ。</div><div>「…もしマスコミが激怒したらどうするんです？」</div><div>「我らがリヒト君はその程度では死なんよ。」</div><div>「完全に仕事を放棄したな！」</div><div>&nbsp;もっともだ。</div><div>「リヒト、さっさと始めてちょうだい？」</div><div>&nbsp;追い打ちをかけるエリカ。</div><div>「そーだそーだ。早くしねえとマスコミの移動時間もなくなってさらに怒られるぞ。」</div><div>「…ええい…もうやけだ…」</div><div>&nbsp;大きく一歩前に出たリヒト。皇居の扉の前に集まる人々の背中から、いざ</div><div>『こちらはヴァリアーズ東京支部です。先ほど、天皇陛下よりヴァリアーズに通達がありました。出発される門を変更なさるとのことです。つきましては、大変ご迷惑と存じますが、陛下が出発なさる西門へと移動をお願いいたします。』</div><div>&nbsp;マイクのボリュームは予想以上に大きかった。門前の人々が一斉に振り返る。外国メディアは言葉の理解に時間を要したのか反応が鈍かったが、それ以外は別だ。</div><div>「なんだと？！」</div><div>「早く移動するぞ！」</div><div>「2日前からの場所取りが…！」</div><div>&nbsp;思い思いに愚痴を吐きながらカメラは器具をまとめてダッシュで移動を始めたマスコミ。幸い、リヒトたちに食ってかかる者はいなかった。そんなことをするよりまずは移動だ。といった雰囲気である。</div><div>「ご苦労。」</div><div>&nbsp;後ろから歩み寄ってきた長谷部が右肩を叩く。</div><div>「まったく…なにがご苦労で…！」</div><div>&nbsp;言葉を止めたリヒトは、振り返ろうとした首を無理やり正面のマスコミに戻した。いや正確に言えば、マスコミの向こうの門に、である。</div><div><br></div><div>&nbsp;門が、開いた。</div><div><br></div><div>&nbsp;嘘だ。</div><div>&nbsp;天皇は出発場所を変更して西門から出るはず。しかも、出発予定時刻は10時。まだ1時間近くもあるではないか。</div><div>&nbsp;ならなぜ門が開いた。</div><div>&nbsp;なぜ開いた門のところに、パレード用の大型車がある。</div><div>&nbsp;なぜ大型車に、まだ中年の男が乗っている。</div><div>「しまった！」</div><div>&nbsp;エリカが脱兎の如く地面を蹴り前へ出た。</div><div>「は、班長！？」</div><div>「リヒトもこい！長谷部さんは前計画で予定されていたビルの上へ！」</div><div>&nbsp;エリカが何を言っているのかわからなかった。舌打ちをしてエリカと反対方向に走る長谷部。これは一体…？</div><div>&nbsp;リヒトの思考回路は迷走を続けていた。</div><div>&nbsp;エリカが叫ぶ。そこ声の意味するものが、リヒトを現実に引き戻した。</div><div><br></div><div>「ゼノだ！逃げろ！！」</div><div><br></div><div>&nbsp;時間の流れが止まったかのようにスローで感じた。マスコミや市民に向かって叫ぶエリカ。マスコミたちはリヒトたちヴァリアーズに騙されたと思いまたカメラを用意している。目の前の大型車に乗った男を撮影するために。同時に、大型車に乗っていた男は両手を空へ振った。手から放たれたのは、火花を散らす円柱形のもの。</div><div>（どうなってるんだ？）</div><div>&nbsp;瞬間、リヒトは飲み込まれた。爆音と熱風、そして光に。</div><div><br></div><div><br></div>
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<link>https://ameblo.jp/azlorts692/entry-11906132261.html</link>
<pubDate>Thu, 07 Aug 2014 10:20:26 +0900</pubDate>
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<title>2章-2</title>
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<![CDATA[ &nbsp;秒針が刻むコンマ1秒がこんなにも長く感じたのは、いつ以来だろうか。少年はもう一度、届いたばかりの手紙に目を通した。<div>&nbsp;今は離れ離れの幼馴染。同じ男に育てられた2人は、それぞれ別のステージへと進み、しかし同じ場所を目指している。</div><div>（今日がその一歩なのか…？）<br><div>&nbsp;身に纏った制服がやけに重い。任務開始時間が刻一刻とゆっくり近づく。バリアーズ東京支部の20班のロッカールームにいるのは、少年と、妻子持ちのどこか抜けた男と、最強かつ最恐の美少女。他のメンバーは支部中をあれやこれやと走り回っているはずだ。長椅子に等間隔に座る3人。リヒトは両耳にイヤホンを当てながら手紙を再度一瞥すると、左隣の2人を見た。</div><div>&nbsp;東京支部随一の狙撃手、長谷部はスナイパーを丹念に磨く。その向こうのエリカ班長はというと…<br><div>「失礼するよ。」</div></div></div><div>&nbsp;突然入り口が開いたので驚いて背筋を伸ばしてまっすぐ前を向く。端末内の人工知能ななが気を利かせて音楽を止めてくれた。一瞬、空気が凍りついた。時間と空間の流れが同時に停止したと言ってもいいだろう。その硬直状態からいち早く回復したエリカは素早く立ち上がり、ゆっくりとロッカールームに入ってきた男に敬礼をした。</div><div>「支部長。ご無沙汰しております！」</div><div>&nbsp;続けて2人も立ち上がり礼をする。</div><div>「畏まらんでいい。今は緊張する時ではないのでな。」</div><div>&nbsp;片手で3人を制しながら支部長・西條秀雄は座るように言った。</div><div>「今回はすまんな。急に移動を命じることとなってしまった。」</div><div>&nbsp;これは長谷部に向けられた言葉だろう。50を越えた初老の口調は、長老と言っていいほど重くずっしりとのりかかる。</div><div>「いえ、とんでもございません。」</div><div>「聞けば、子が生まれたようだな。おめでとう。」</div><div>「ありがとうございます。光栄です。」</div><div>「さて…そろそろ本題に入ろうか」</div><div>&nbsp;こほんと咳払いを一つ。目つきは鋭く、しかし畏怖を抱かせないその表情はまさに指導者たる者の顔に思えた。</div><div>「君たちには、天皇陛下の護衛を務めてもらう予定だった。しかしちと手違いが生じてな。」</div><div>「と、言いますと？」</div><div>「陛下が多くのマスコミが集まるのを嫌い、記者たちに偽の情報を流し一箇所にまとめ、他から外出されるそうだ。君たちには、そのマスコミの誘導を願いたい。」</div><div>&nbsp;意外だ。と、この時リヒトは思った、最悪の事態として考えていた『天皇のゼノ化』という懸念が消えたのだ。ゼノは人を殺して自分の力とする。だからもし天皇がゼノならば、最悪の状況下だったなら、わざわざマスコミを避ける言葉だろうしなかったはずだ。</div><div>「なるほど、承知しました。」</div><div>&nbsp;大きく頷いたエリカ。</div><div>「よって、今すぐポイントに出撃し、誘導を始めて欲しい。いいかな？」</div><div>「はっ！」</div><div>「「了解！」」</div><div>&nbsp;エリカに続いて男2人が返事をする。</div><div><br></div><div>&nbsp;そして、リヒトたちは程なくして霞ヶ関へとバイクを走らせた。<div id="{CE745EE3-D109-4E88-8666-2579FA69CE76:01}" style="text-align:left"><div align="left"><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20140806/23/azlorts692/0d/c2/j/o0480048013026692757.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20140806/23/azlorts692/0d/c2/j/o0480048013026692757.jpg" alt="{CE745EE3-D109-4E88-8666-2579FA69CE76:01}" width="300" height="300" border="0"></a></div></div><br></div><div><br></div>
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<link>https://ameblo.jp/azlorts692/entry-11905939334.html</link>
<pubDate>Mon, 09 Jun 2014 18:48:18 +0900</pubDate>
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<title>2章ー1</title>
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<![CDATA[ &nbsp;前略<div>&nbsp;また漢字間違えてる！「初めて」だよ。いっつも同じミスするんだから…もうバカだよ。久々に日本語を書く私より漢字がわかってなくて、よくバリアーズに入れたわね。</div><div>&nbsp;こっちも元気だよ。強いて言えば、リヒトが柄にも合わない仕事で怪我してないか心配で胃が痛くなる時もあるけどね。</div><div>&nbsp;イギリスは秋から新年度なの。だから、花見というよりは紅葉狩りがそれに当たるのかな？けどそんな文化ないから、しないよ(笑</div><div>&nbsp;きっとこの手紙が着く頃、リヒトはその初めての大仕事で忙しいんだろうな。</div><div>&nbsp;私はいつもリヒトのこと見守ってるから。だから、思いっきりやってきなさい！</div><div>&nbsp;そして、早くここまで名を轟かせて。</div><div>&nbsp;ここまでと言わず、パパのところまで届かせなさい。あ、そうそう、いい加減パパのことを「お頭」って呼ぶのやめなよ。育て親のことくらいちゃんと父親として呼んであげないと、あの人寂しがり屋なんだからね。</div><div>&nbsp;立派になったらと言わず、お墓参り行こうよ。途中報告はきちんとしないとね。冬休みには遊びに行こうと思っています。その時にでも。</div><div>&nbsp;それでは。</div>
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<pubDate>Wed, 28 May 2014 19:28:37 +0900</pubDate>
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<title>1章ーLAST</title>
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<![CDATA[ 『 背景<div>&nbsp;日本は今年も桜が満開となり、各地で花見が盛んに行われています。僕のところ、バリアーズ東京支部でも、この間恒例の花見がありました。といっても僕は始めて参加したんだけどね。</div><div>&nbsp;君はどう？前の手紙からもう1年も経つけど、元気にしている？君のことだから、昔お頭を困らせたように今の家庭でもハチャメチャやってるんだろうと、あまり心配してません。学校には慣れた？男子をいじめたりしてない？君には別の意味の心配が必要そうだね。</div><div><br></div><div>&nbsp;さて、冗談はこのくらいにして、</div><div>&nbsp;今度始めての大きな仕事があるんだ。日本国の天皇が久々に皇居の外に出てくるんだ。その護衛を任されたんだよ。しかも1番前衛！</div><div>&nbsp;こんな話をしたら君はきっと笑うのだろうね。あんなに泣き虫だった僕がこんな仕事してるんだもの。去年バリアーズになれたと手紙を出した時も、そういえば返ってきた返事には「嘘はやめなさい」なんて書いてあったのを思い出すよ。今更だけど、本当なんだよ？！</div><div>&nbsp;とても危険な仕事だけど、それ以上のやりがいと喜びが得られるこの仕事は、今や学校よりも大切なものです。僕にもやっと1つ、誇れるものができたんだ。</div><div>&nbsp;だから、もっともっと頑張ろうと思う。</div><div>&nbsp;イギリスにいる君のところに僕の名前が届くように。</div><div><br></div><div>&nbsp;だから、君も頑張って。</div><div>&nbsp;戦う場所は違うけれど、やり方は違うけれど、目指す場所は同じだと思うから。</div><div>&nbsp;立派に大人になったら、2人でまたお頭の墓参りに行こう。</div><div><br></div><div><br></div><div>&nbsp;あなたに、たくさんの幸せが訪れますように。</div><div><br></div><div>&nbsp;親愛なるレイラ・オオノ様</div><div>&nbsp;</div><div>&nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp;嘉賀利人</div><div>&nbsp;</div>
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<link>https://ameblo.jp/azlorts692/entry-11864166356.html</link>
<pubDate>Wed, 28 May 2014 19:01:02 +0900</pubDate>
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<title>1章-8</title>
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<![CDATA[ 「水野訓練兵！どうした！もう限界か！」<div>&nbsp;怒号が空気を硬直させる。のしかかる気圧が一気に重量を増し、少なくともここにいる訓練兵は皆背筋を凍らせただろう。</div><div>「は…い…！」</div><div>&nbsp;地面に両手をついて歯を食いしばる少女の姿がそこにはあった。それを、これぞ見下すというものだと体現しているように、バリアーズの制服をまっすぐ着こなした中年男が見つめる。そして</div><div>「お前のような弱いものは、ここにはいらないんだ！」</div><div>&nbsp;そしてあろうことか、必死に両腕を曲げ伸ばしして腕立てを繰り返す少女の脇腹に蹴りを入れた。ぐはっ…と蹴られた部分を抑えてうずくまる少女。身体中土だらけで、黒髪がすでに茶髪だ。</div><div>「誰が休んでいいと言った、さっさと続けろ！」</div><div>&nbsp;容赦のない男の言動に、涙目を浮かべながら起き上がるその子を、助ける者はいない。周りには100人ほどの同期たちが、己のメニューをこなして休んでいる。それ以上のことをしたがるやつはおらず、みんな利口に座って少女を見守る。いや、彼らもまた、技量に劣る彼女を見下していた。そうすることで自分以下の存在がいると、励みにしているのだろう。人の不幸が自分の訓練兵としての成績アップにつながるのだから、助けるものなどいるはずがない。</div><div>&nbsp;いつもなら、これで少女が泣く泣く筋トレを終わらせてひと段落…なのだが、</div><div>「教官、一つよろしいでしょうか。」</div><div>&nbsp;一同が騒然とした。鬼の教官に歯向かう愚か者が現れたのだ。しかも、</div><div>「…貴様、伊勢訓練兵…！」</div><div>&nbsp;教官が睨むその子は、腕立てをしている少女同様、華奢で細身な乙女だった。なのにだ。その子は教官の背後を取っている。</div><div>&nbsp;教官の背後を取る。誰にでもできそうなことではあるが、彼自身バリアーズのメンバーである。体術は疎か、どんな状況にも対応するだけの技量を持ち合わせている。その教官が、ゼノへの対処法でもっとも初歩であり基本の「背後を取られるな」を見事破ったのだ。訓練も実践の言葉を口うるさく言ってきた教官は、その言葉通り容赦ない訓練を生徒に強いてきたのだが、とうの本人がこうも簡単に生徒に背後を取られたことに皆が驚いた。</div><div>「私の後ろを取るとは、なかなかやるではないか。」</div><div>&nbsp;賛辞である言葉。しかしその顔は殺気に近いものを纏っている。</div><div>「ありがとうございます。」</div><div>「それで、どうした？」</div><div>「水野を蹴る行為はいかがなものかと思います。」</div><div>&nbsp;まっすぐ鬼教官を見上げて少女は言った。</div><div>「伊勢訓練兵、貴君は身体面では男子にも引けを取らないと聞くが…なるほど頭は欠けているようだな。」</div><div>&nbsp;ここでの頭とは、すなわち頭脳のことだろう。教官に歯向かうことの愚かさを咎める。</div><div>「私のそれら云々は関係ありません。」</div><div>&nbsp;しかし少女は引き下がらない。</div><div>「黙れ訓練兵が！」</div><div>「黙る前に一つお聞きください。」</div><div>&nbsp;ついに睨み返す少女。黒い瞳はしっかりと男の顔の額を捉えている。揺るがない姿勢とはまさにこのことだろうと、訓練兵一同尊敬したに違いない。</div><div>「水野訓練兵は、すでにノルマである腕立て500を終えています。教官が彼女の脇腹を蹴ったあの時に、ちょうど終わったんです。それに対しての教官の仕打ちは、厳しさとは違ったものと存じます。」</div><div>&nbsp;&nbsp;</div><div><br></div><div>&nbsp;その後どうなったかは語るに偲びない。</div><div>&nbsp;実はリヒトやエリカも通ったこの道。今年もその登竜門を叩いた生徒たちが一回りも二回りも大きくなって、次なるステップに向かう。</div><div>【現場研修】。教官に対し堂々たる姿勢で一言申したこの少女こそ、後にリヒトを困らせるトラブルメーカーであることを、彼らを含めまだ誰も知らない。</div>
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<pubDate>Mon, 26 May 2014 19:34:20 +0900</pubDate>
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<title>1章-7</title>
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<![CDATA[ 『リヒト、いろいろ調べてみたけれど、めぼしい記事は見つからなかったの…』<div>「ご苦労様。俺の考え過ぎだったのかもしれないな。」</div><div>&nbsp;夜のパトロールの最中ではあるが、リヒトと長谷部、エリカの3人はファミレスの1番奥の席を陣取って難しい顔を見合わせていた。</div><div>「データベースにも、天皇陛下の行動の真意は記載されてなかったようです。」</div><div>&nbsp;ななが今まで閲覧していたのは、バリアーズ全てを管轄するデータベースである。ここには全ての戦闘記録や、対処したゼノの情報や、これからのバリアーズの制作などが倉庫に入らず溢れ出してしいそうなほど詰め込まれている。そのデータベースを閲覧できるのは、幹部核以上の人間だけなのだが…ななを使えば容易なことなのはオフレコということで2人の首を縦に振らせた。</div><div>「ななちゃんでも見つけられなかったってことは、そこには情報はないってことで99%間違いないでしょう。」</div><div>&nbsp;エリカがコーヒーに手を伸ばしながらゆっくりとため息をついた。</div><div>『天皇陛下の守護任務については、まだ未発表のものがありました。各部隊の配置予定の図などがその1つです。』</div><div>「うちの部隊は？」</div><div>&nbsp;と、リヒト。</div><div>『陛下が出てくる予定の門付近です。』</div><div>&nbsp;うわっ、いきなり出番かよ。と、長谷部が脱力して頬杖から顔を落とした。</div><div>「となると、長谷部先輩は近くの建物の屋上にいるのがベタですね。」</div><div>&nbsp;エリカが左隣に座る長谷部を横目で見ながら言った。</div><div>「長谷部さんの遠距離狙撃はチート級のスキルですからね…。」</div><div>&nbsp;これはリヒトだ。確かに、長谷部の代名詞と言えば遠距離狙撃の5文字が浮かんでくるほど、彼は超のつく名手なのだ。ブレインナンバーでどこの筋力を強化するでもなく、神経を最大限に張り巡らせて、風向きや敵の次の動きを予想。そこに的確なショットをお見舞いする技術は、ナンバーだけに頼ってできるものではない。</div><div>&nbsp;それに比べてリヒトやエリカは、ナンバーで腕や足の筋力を比較的高く引き上げて接近戦を戦うスタイルを取っている。対象的なスタイルだが、これが組み合わさると怖いものなしなのは言わずとも知れる。</div><div>&nbsp;つまり…</div><div>「支部長は、天皇が出てくるポイントでゼノが出現すると予測している。」</div><div>&nbsp;長谷部が言った。エリカが頷く。リヒトの背中を冷や汗が伝った。</div><div>&nbsp;日本国のシンボルである天皇のブレインナンバーを取り入れたがるゼノはいるはずだ。まだ天皇陛下が皇居から出てくるという情報がメディアに漏れてはいないものの、時間の問題なのは明らか。そのうち公式に発表されることでもあるが。</div><div>「支部長に認められたと思って、やるしかないわ。」</div><div>「そうだな…。」</div><div>「けれど、やはり1つ引っかかります。」</div><div>&nbsp;リヒトが右手を軽く上げた。</div><div>「きっと私も同じことを思ってるわ。」</div><div>「右に同じく。」</div><div>&nbsp;2人が静かに頷いた。</div><div>『パレードの趣旨、ですよね？データベースには、新しい天皇の誕生を祝ったものとされていますが…』</div><div>&nbsp;ななも何か違和感を覚えているようだ。</div><div>「危険をさらしてパレードなどする意味がまだわからない。」</div><div>&nbsp;リヒトの言葉の後、静寂が場を支配する。長谷部が深く息を吐いた。</div><div>「…最悪の事態を考慮すべきだ。駆け引きはすでに始まっている。データベースに支部長が全貌を書かないのはそのためだろう。」</div><div>「最悪の…事態…」</div><div>&nbsp;エリカから再び静寂。コーヒーの湯気だけが静かに天井に吸い込まれて行く。</div><div>「天皇が、自殺をはかっている…？」</div><div>「いいえ、むしろ反対。」</div><div>&nbsp;リヒトの言葉をぴしゃりと返すエリカ。</div><div>「リヒトよぉ～、ここはまだまだ半人前だな。」</div><div>&nbsp;苦笑に近い笑みを浮かべて長谷部が脳天をつついた。</div><div>「最悪の事態は、天皇がゼノのあることよ。そして、パレードに集まったマスコミや見物客を全て……」</div><div>&nbsp;ここまで言ってエリカは口を噤んだ。</div><div>&nbsp;ブレインシステムの導入から平等になった世界において、天皇という地位はあまりにも地盤がゆるい立ち位置になるのだ。となれば、天皇としての威厳や地位を安定させるためには、有る程度の強行手段を行使してくる可能性は否定できない。</div><div>「考えたくねえがな…。」</div><div>「あくまで最悪の事態ですから…。」</div><div>&nbsp;&nbsp;</div>
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<pubDate>Sat, 24 May 2014 07:03:01 +0900</pubDate>
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<title>1章-6</title>
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<![CDATA[ &nbsp;◆ &nbsp; &nbsp; &nbsp; ◆ &nbsp; &nbsp; &nbsp; ◆ &nbsp; &nbsp; &nbsp;◆ &nbsp; &nbsp; &nbsp;◆ &nbsp; &nbsp; &nbsp; ◆ &nbsp; &nbsp; &nbsp;◆<br><div><br></div><div>&nbsp;今日はやけに本部が慌ただしい。個人練習のためトレーニングルームに1時間ほどこもっていたリヒトは、シャワー室に向かいながら、バリアーズ東京支部の施設内がやけに賑やかなのに気付いた。<div>「ようリヒト。…なんかあったのか？」</div></div><div>&nbsp;20時からの勤務につく予定だった長谷部と合流した。しかし彼も、この状況が呑み込めていないらしい。</div><div>「俺にもわからないです。」</div><div>「あっ、それよりお前、聞いたぞ！」</div><div>&nbsp;長谷部はリヒトの右肩を掴んでゆさゆさと揺らしながら言った。</div><div>「武器が全部揃ったんだろ？見せろよ！」</div><div>&nbsp;当然のことだが、今まで武器がなかったわけではない。ただ単に、リヒトの武器は2つで1つなのだ。一刀一銃のスタイル。それが、彼が見出したオリジナルの戦い方であり、生きるための術なのだ。</div><div>「これだろ？中になな専用のルームがあって、銃の発射モードを切り替えられるんだ。」</div><div>&nbsp;銃を左腰から取り出して見せると、長谷部は目を丸くしてかじりつくように見入った。</div><div>「モード切り替えって…？」</div><div>「敵を掃討する速射や、これはまだ練習中だけど、威力の強いパワーモードを移動の加速度にしたりとかね。」</div><div>「加速度…？」</div><div>「移動したい方向と逆に、高出力で銃を撃つんだ。体が吹き飛ぶくらいのをね。」</div><div>「なるほど…吹き飛ばされて高速に移動する…。お前もよく考えるな」</div><div>「ブレインナンバーで筋力を上げていれば、腕はその衝撃についていける。けどまだ上手くいかないんだ。俺が移動したい距離と、ななが調節する銃の出力が噛み合わない。ここ数日練習してるんだけど…。」</div><div>「なるほどねぇ～…なんとも羨ましい悩みだな。人口知能を持ち歩いてるやつなんてお前以外にいないんだからよ。」</div><div>&nbsp;にたっと笑う長谷部の顔に、ななを持つリヒトへの冷やかしだとか、妬みとかは感じられなかった。</div><div><br></div><div>「リヒト！あ、長谷部先輩もいらっしゃったんですか。ちょうどいいです。」</div><div>&nbsp;脇に本を抱えた白兼英里香がこちらに向かってくる。施設内同様、彼女も何やら慌てた様子だ。</div><div>「どうしたいお嬢ちゃん。珍しく慌ててるね？」</div><div>&nbsp;そういえばエリカ先輩のあたふたした姿など見たことなかったので、リヒトも密かに疑問を持った。</div><div>「先輩、何かあったんですか？」</div><div>「重要なミッションだ。」</div><div>&nbsp;息を荒くして答えるエリカ。</div><div>「これはまだ非公開の情報だが、100年ぶりに、天皇皇后両陛下が皇居から出られることになった。」</div><div>&nbsp;思わず息を呑むリヒトと長谷部。エリカも、いつも通り毅然とした態度は変えないものの、予想外の事態にまだ状況を呑み込めないらしい。</div><div>「それって…？」</div><div>&nbsp;と、リヒト。</div><div>「おいおい待てよお嬢ちゃん。ということはだぞ…？」</div><div>&nbsp;続く長谷部。考えてることはリヒトとおそらく同じだ。</div><div>「両陛下を守護する任務が、バリアーズ東京支部の約半数の部隊に通達された。長谷部先輩、この任務から、私たち第20部隊に配属されました。以後よろしくお願いします。」</div><div>「ほぇ…？」</div><div>&nbsp;ぽかんとする長谷部。その裏には、支部長や上層部の、様々な考えが巡っていたことに、リヒトはまだ気づかなかった。</div><div><br></div><div>&nbsp;天皇。ブレインシステムにめっぽう反対していた組織の1人だ。ブレインシステムは全てにおいて平等。すなわち、例え天皇という国のシンボル的存在であれ、システム上で低評価を受ければ、その存在意義や国民からの尊敬、謙遜の態度は一変する。これを恐れた天皇は、システム導入後、皇居から出てこなくなった。リヒトも内心では、システム導入を恐れて出てこないやつはきっとシステム的にも弱いやつなんだろうと、半ば呆れたことがある。その考えは正しかったようで、天皇が姿を見せないことは批判を呼んだ。『天皇の引きこもりニート化』なんていうスレがネットであったほど。</div><div>&nbsp;その天皇様が、今さら顔を出す意味も理由もわからない。エリカから聞くところによると、前任の天皇が、引きこもり状態のまま亡くなられて、新しい天皇が誕生し、そのお祝いパレードとかいう名目なのだが…。</div><div>&nbsp;そのパレードに護衛を付けるということはイコール、天皇を狙うやからがいるかもしれないということでもある。しかも、上層部は、第3部隊の精鋭である長谷部を、新人部隊長であるエリカ率いる第20部隊(リヒトもここ)に着任させた。第3部隊は出さないのに、長谷部だけを抜き取る。それはつまり…</div><div>「ま、難しいこと考えるより、今夜のパトロールでっせ。な？」</div><div>&nbsp;長谷部は知っているようで知らない態度を取るからいつも調子を狂わされる。</div><div>&nbsp;何か嫌な予感もするのだ。</div><div>&nbsp;リヒトでは、エリカでさえ対処できないようなことが。</div><div>&nbsp;</div>
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<pubDate>Sat, 17 May 2014 07:03:53 +0900</pubDate>
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<title>1章-5</title>
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<![CDATA[ &nbsp;何が起きたのかわからなかった。<div>&nbsp;最後の意識は「勝った！」と確信して投げ技をかけたところだ。しかしなぜ、自分は床に横たわっているのだろう。</div><div>&nbsp;背中からじわじわと、地面に叩きつけられた痛みが湧き上がってくる。しぶとく残る痛みは、まるで全身が麻痺しているようだった。</div><div>「多少なりと腕を上げたようだが、レディを掴んで投げるにはまだ10年は早いな。」</div><div>&nbsp;こちらを覗き込む形で見下ろしてくる白兼英里香は、またも意地の悪い笑みをこぼした。</div><div>「あの…俺…最後どうなって…？」</div><div>&nbsp;そう、リヒトにはわからない。自分が何をされたのか。我が身に何が起こったのか。それは、あまりにも早く、強すぎる衝撃だったから。</div><div>「君が柔道という古来武術を会得していたのには驚いた。剣を片手に技を出すなど、聞いたことも見たこともなかったぞ。」</div><div>&nbsp;どうやら話を違う方に持って行かれそうだ。こういう時に無理に話題を戻すとエリカはいい表情をしない。</div><div>「…投げ技はほとんど習っていません。ほとんどがゼノをダウンさせるための一撃必殺技ですので…」</div><div>&nbsp;起き上がりながらそそくさと答える。</div><div>「ならなぜ私にその技を使わなかった？見たところ、左手だけで撃てるのだろう？」</div><div>「確かに、左手だけでいけます。と言うより、左手だけしか使えません。それを使うと、手に反動があるんです。右は利き手なので、使えない。というより、使う気がないんです。」</div><div>&nbsp;ふぅん…。と、エリカは少々悔しげな顔をした。そして、</div><div>「どこでそれを身につけたんだ？」</div><div>&nbsp;と、なんの罪もない質問を投げかけた。しかしリヒトは、</div><div>「…言わなきゃダメですか？」</div><div>&nbsp;と、口を噤んだ。</div><div>&nbsp;何となく嫌な空気に変わってしまった。</div><div><br></div><div>「いやぁ、うちの若きエースお二方の模擬戦が見れるなんて、今日はラッキーだな～！」</div><div>&nbsp;空気をぶち壊すとはまさにこの事だろう。しかし、今回ばかりは助け舟だった。</div><div>「あ、澁谷研究主任…！」</div><div>&nbsp;エリカが直立不動の「気をつけ」をして一礼した。ここまで丁寧なエリカを久々に見た気がする。</div><div>「かしこまらなくていい。むしろ、あんなスピーディーでパワフルな試合を見せてもらったこちらが脱帽と敬意を払うべきなのだから。」</div><div>&nbsp;白衣服にメガネ。細い体にくるくるの茶髪。研究者という言葉をそのまま人間にしたような男が、おっとりとした口調で言った。</div><div>「とんでもございません。」</div><div>「まぁ楽にしてくれ。」</div><div>&nbsp;ここまできてから、リヒトは自分自身が全くもって上下関係のかけらもない態度でいることに気付いた。まあそうしていられるのもまた、リヒトならではの事なのだが。</div><div>「ここに君がいると聞いてねリヒト君、頼まれていた物が出来たから持ってきたんだ。どうかな…？」</div><div>&nbsp;澁谷が懐から取り出したのは、銃だ。形状はいつの時代も変わらない。だが、そこに銃弾を装填するところはない。最新鋭の銃は、弾を必要としない。その実態はとても簡単。空中の窒素を圧縮して打ち出しているのだ。それだけではない。これはこの銃だけのことだが…</div><div>「君ようにカスタマイズするのに、結構かかったんだよ～。」</div><div>&nbsp;のほほんとした顔で話す研究主任。受け取った銃を改めて眺めるが、特にわかったところはない。</div><div>「その銃には、コンピュータコックピットが内蔵されているんだ。つまり、リヒト君の相棒のあの子が必要なんだ。」</div><div>「なな？」</div><div>「そうとも！その銃は1つで3つの撃ち方ができる。君が僕にお願いしてきた通りの設計をしてある。ノーマル、パワー、そしてテクニックだ。そのモードを切り替えるのが、ななちゃんの役目なんだ。」</div><div>&nbsp;ライトフォンを起動してななを呼び出すと、画面の隅からひょっこり顔を出すなな。</div><div>「まず、ななちゃんをこの銃に転送するんだ。」</div><div>&nbsp;差し出されたアダプターをライトフォン、そして銃にの持ち手の部分の底にあった穴に繋ぐ。するとどうだろう。銃はアダプターの差し込み口から赤い線をその身に走らせ、黒ベースの赤ライン入りの何ともデザイン性に優れたものに変わった。</div><div>「ななちゃん、銃にアクセスできたかい？」</div><div>『はい、えっと…この部屋ですね？』</div><div>「そうそう、そこに入ってくれ。」</div><div>&nbsp;実際にそこにいるななと、それを創造した男のみがわかる世界。この銃と、携帯端末とを繋ぐコードの中で何が起こっているのだろうか…。</div><div>『ここのイスに座るんですか？』</div><div>「座ると目の前に画面が表示されるはずだよ。」</div><div>&nbsp;ワンテンポ置いてからななの歓声が聞こえた。</div><div>『外が見えます！』</div><div>「銃口のところに、超小型カメラがついている。ななちゃんが見ているのは、そのカメラが捉えた映像だよ。」</div><div>&nbsp;この後も長くなると思われる。</div><div>「嘉賀、何だかすごい武器を手に入れたようだな。」</div><div>&nbsp;こちらを横目でみながらエリカが言った。</div><div>「いつまでも先輩の部下として動いてるわけにもいきませんので…。自分の身は自分で守れ、ですよね？」</div><div>&nbsp;珍しく弟子が大人びて、それでいてかわいく見えたエリカは、思わず笑みをこぼした。「成長したな。」</div><div>&nbsp;そう言った先輩の笑顔は、今まで見てきた中で最上級のものだった気がしたリヒト。弟子としても、こんな素晴らしい人に1年間教わることができたのは、正直幸せでもあった。(それ以上に不幸でもあったが…。)</div><div><br></div><div>&nbsp;もうすぐ勤務時間だ。また今夜も、闇のうごめく街に出なければならない。</div><div>&nbsp;それでも、リヒトは今の生活が幸せだった。だから、新しくもらった銃も、その後勢い良く腰に装備して、部屋を出て行ったのだった。</div>
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<link>https://ameblo.jp/azlorts692/entry-11851357562.html</link>
<pubDate>Thu, 15 May 2014 07:13:07 +0900</pubDate>
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<title>1章-4</title>
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<![CDATA[ 「……遅いな…」<div>『遅いですね…』</div><div>「帰っていいかな…？」</div><div>『土に帰りたいんですか？』</div><div>「それだけはごめんだね…」</div><div>『ですよね～…』</div><div>&nbsp;時刻は18時を5分ばかり回った。4時半に授業が全て終わり、放課後という名の楽園(パラダイス)に突入したのだが、エリカ先輩こと白兼英里香に残るように言われ、2-2教室で待つこと1時間半以上。帰ったら約束破りの刑で弁明の余地なしに屠られる。だからこうして命惜しさにハチ公の如く待ち続ける。しかし、ななとの時間潰しもネタが切れ、物音ひとつ無い沈黙が続くようになった今、それはつまり、我慢の限界が見えたことを意味する。たまにこうして冗談半分の発言をしても、会話が広がることはなく、またも沈黙が流れるというパターンが、すでに3回ほど繰り返されていた。</div><div>&nbsp;机に突っ伏して、ななもライトフォンを切って姿を消して、もう半分投げやりになり始めたその時だった。</div><div>&nbsp;ガラガラと、教室の引き戸が開いた。</div><div>「すまない。放課後の講座が長引いてしまって。」</div><div>&nbsp;現れたのは学校屈指の美少女。体つきのインパクトに少々欠けるものの、絶妙な配置の顔つきと、それを凛と見せる白銀の長髪。学校でもバリアーズでも、彼女の人気は計り知れない。</div><div>「待ちくたびれました…」</div><div>&nbsp;体を起こす気力もなく、字の如く力無しにリヒトは応答する。</div><div>「すまないと言っているだろう！」&nbsp;</div><div>&nbsp;お詫びの記しにと、投げつけられた空き缶を慌ててキャッチする。</div><div>（また缶コーヒーか…。それに……）</div><div>&nbsp;昨夜もご馳走になったのはブラック缶コーヒーだ。リヒトは内心で舌打ちした。しかもよりによって白兼さんからブラ…</div><div>「なんだ？白兼がブラックの缶コーヒーを持ってきたらそんなに悪いか？」</div><div>&nbsp;自嘲気味に笑いを取ろうとしたのはわかる。だが、考えていた事をドンピシャで当てられると、笑うどころかぐうの音も出ない。</div><div>「まぁそれはいい。嘉賀、今日も仕事だろう？」</div><div>&nbsp;ひとまず助かった…と安堵のため息を漏らしてから</div><div>「はい、そうですけど…」</div><div>&nbsp;と、うなずく。夜の勤務時間は20時から2時という、学生には大変ハードなメニューだ。しかし内容は、一定のポジションで辺りを監視するだけなので、時には監視しながら(というのは建前で)ファミレスで課題をやったりする。</div><div>「私も今日は夜の当番なんだ。」</div><div>&nbsp;いや、俺たちは平日勤務はいつも夜ですって…。</div><div>「仕事の前に手合わせを頼みたくてな。どうだ？久々にお師匠様と一戦交えるのも悪くないだろう？」</div><div>&nbsp;1ヶ月前までこの人の下について鍛えてもらった地獄の日々を思い出しながら、すごく逃げたくなった。体が反射的に冷汗で溢れ、足が「俺を使え！」と言っている。</div><div>「ほら、お前も昨夜は獲物を取り損ねて物足りないところだろ？なっ？なぁ？！」</div><div>&nbsp;迫ってくる顔立ちは絶世の美少女。しかし笑みは悪意に似た感情を含み、これから始まろうとしているイベントはさらに鬼のようなものなのは言うまでもない。</div><div><br></div><div><br></div><div>&nbsp;で…だ。</div><div>&nbsp;逃げることは許されない。模擬戦なので勝たなければいけないということはないが、負ければ……。</div><div>&nbsp;嫌な寒気がしたのでそれを振り払うように、リヒトは顔をブンブンと横に振った。</div><div>&nbsp;バリアーズにのみ携帯を許可されている武器。武器の系統ごとに名前が違うので、総称した名前はない。その分バリアーズの面々は、自分の呼びやすいようにそれらを呼称する。</div><div>知っての通り、 バリアーズはゼノを殺す。すなわち、ゼノが蓄えたブレインナンバーを自らが受け継ぐ形となる。が、この武器で殺した場合は、武器がナンバーを受け止め、武器を握っている間だけバリアーズにその力の恩恵を与える優れものだ。つまり、武器を握った時のバリアーズの筋力や反応速度や思考の速さを統計した戦闘力は、それまでの比ではない。</div><div>「準備はいいな？」</div><div>&nbsp;時刻は19時。出勤には1時間早い。学校さら直接来たのである程度は時間短縮ができた。場所はバリアーズ東京支部の戦闘訓練場。ドーム型の体育館のような形状をしている。</div><div>「いつでもどうぞ…」</div><div>&nbsp;リヒトが持つのは一本の刀。対するエリカは短刀一本である。一応安全対策のために、武器からナンバーを外し、剣そのものの攻撃力もゼロにしてある。そのため、今の剣は当たれば痛いけど斬れない。いわば竹刀である。武器メンテナンスのお兄さんに無理を言ってやってもらったのだが、ここでもエリカの顔はよく効くことがわかったのが悔しい。</div><div>「いくぞ…！」</div><div>&nbsp;短く息を吐いたエリカは素早く地を蹴ると、脱兎の如く低い体勢を保ち、筋力アップなしとは思えぬ早さで突っ込んで来た。</div><div>「くっ…！」</div><div>&nbsp;間合いを詰められるのはつまり負けを意味するので、リヒトは大きく後ろに飛んで距離を稼いだ。エリカに短刀のリーチの短さなど関係ない。彼女いわく、武器のリーチは使い手の踏み込む一歩のことらしい。</div><div>&nbsp;まさにその通り、下がるリヒトをエリカは逃がさない。</div><div>「せあっ…！」</div><div>&nbsp;間合いにしてはわずか30cm。後退したリヒトの行動は無駄だと言わんばかりの接近力。鋭く振り抜かれた短刀はリヒトの腹部を掠れる。</div><div>「…っと…！」</div><div>&nbsp;完全に反応して避けたつもりだったのに。と、考える暇などない。</div><div>「…はあっ！」</div><div>&nbsp;続いて左足で踏ん張ったエリカは右足でリヒトの足をすくった。リヒトより20cm小さな体がいとも簡単に少年を空中に浮かせた。</div><div>&nbsp;しかしここはリヒトの技あり。空中で左手の刀を床に思い切り突き立てて反動をつけ横に飛び、次にエリカが繰り出す短刀の攻撃範囲から離脱する。</div><div>&nbsp;これにはエリカも驚いたようで、寸でのところで攻撃をやめて距離をとった。</div><div>「やるな、リヒト。」</div><div>&nbsp;まだまだウォームアップだとでも言いたげな表情のエリカ。こっちはアップアップなのに…！</div><div>&nbsp;いくらうまく避けていてもいずれその上を行かれるのはわかりきっていた。ならば、</div><div>「…行きます！」</div><div>&nbsp;今度はリヒトが地面を蹴った。間を詰めると同時に大きく刀を振り上げ、彼女のはるか上空から振り下ろす。</div><div>「力比べか、面白い！」</div><div>&nbsp;短刀でそれを受けることを決めたエリカ。しかし…</div><div>「なっ…？」</div><div>&nbsp;振り下ろされたのはリヒトの左手だけだったのだ。一瞬呆気にとられるエリカ。力が抜けた次の瞬間だった。</div><div>&nbsp;ガチィ‼︎‼︎</div><div>&nbsp;と鋭い音が訓練場にこだまする。ワンテンポ遅れてリヒトが右手で刀を振り下ろしたのだ。それでも受け止めたエリカ。</div><div>「なるほど…振り上げた時に刀を放して持つ手を変えたのか…！」</div><div>&nbsp;そう、リヒトは左手で刀を振り上げ、そこで手を放して右手に持ち替えたのだ。そして、先に左手を振り下ろしてフェイントを仕掛け、大本命の一撃を敵の驚いた隙にぶち当てるという剣技を使ったのだ。</div><div>&nbsp;一見して、リヒトの渾身の攻撃は失敗したように見えた…が、</div><div>「まだです…！」</div><div>&nbsp;刀を交錯させながら、リヒトは右足を大きく踏み込み、先ほどの攻撃で空いた左手を、エリカの腰に当て、右足を払ってその足を蹴ると同時に腕を振り切った。</div><div>&nbsp;昔ながらの柔道技。今ではとっくに忘れられた存在だが、彼は幼い頃からこれを会得していたのだ！</div><div>&nbsp;勝った！とリヒトは確信した。</div><div><br></div>
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<link>https://ameblo.jp/azlorts692/entry-11850073554.html</link>
<pubDate>Wed, 14 May 2014 07:20:23 +0900</pubDate>
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<title>1章-3</title>
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<![CDATA[ &nbsp;グラウンドは朝礼のために集まった600人余りの生徒で溢れていた。まだ整列する気配はなさそうだが、だいたい学年ごとに固まっていつ整列がかかってもいいようにしているのが見て取れる。当然と言えばそうなのだが、同学年同級生に友達がたくさんいるから、それで固まる。1人がそこにいれば必然的に同じ系統(学年)の生徒が仲間を見つけて集まる。人間の団体行動能力というのは、体育の時間に笛に合わせて動くより、こうして無意識でいるようで意識し合って集まったりする時の方がよく働く。<div>&nbsp;リヒトはその塊の1つにいつもの顔ぶれを見つけて声をかける。</div><div>「おはよう。」</div><div>「おはっす嘉賀ちん！」</div><div>「おはよーさん。」</div><div>「おう、生きてたか。」</div><div>&nbsp;まず「嘉賀ちん」と呼んできたのが、身長153cmでクラス最小のムードメーカーボーイの赤井。続いて鈴木と、知らぬ間にリヒトに死亡フラグを立てて見事にへし折られた見波。</div><div>&nbsp;しかしリヒトはバリアーズという仕事柄、常に命をかけながらの日常なのでその言葉を思うように軽く受け流せない。彼らはリヒトがバリアーズ勤務ということも知らなければ、ましてや命をかけて仕事をしていることも知らない。バリアーズと知れるのは様々な意味でよろしくない。必要以上に機密事項まで質問を迫られたりするし、なによりバリアーズは時に人殺しになりうるため、周りの見る目が変わるのが言うまでもない。この学校に在学中のバリアーズは、リヒトこと嘉賀利人と、エリカ先輩こと白兼英里香<font size="1">(しろがねえりか)</font>のみである。</div><div>&nbsp;これを知っているのは学校長と一部の教職員のみとなるのだが…</div><div>「全員、速やかに整列してください。」</div><div>&nbsp;思考を遮るように声がした。見ると、グラウンドの校舎側に置かれた台の上に教頭が立ち、マイクからのスピーカーを通して生徒に整列を呼びかけている。</div><div>&nbsp;生徒の塊が形を保ったままぞろぞろと動き出す。リヒトや他のみんなも、顔を見合わせた後、流れに逆らうことなくノソノソと歩き出した。</div><div><br></div><div>「全校生徒のみんな、おはよう。」</div><div>&nbsp;学校あるあるの1つ。校長の話が長い。</div><div>&nbsp;始まってしまった朝礼の校長の話は止まるところをしらない。あれやこれやと関連付けて話を伸ばす。こんな話ならななのニュース解説の方がまだマシである。</div><div>「昨夜も、新宿区でゼノが出没し、バリアーズに駆除されましたが…」</div><div>&nbsp;駆除という表現が、虫けらを扱うように聞こえる。</div><div>「常々言ってはいますが、みなさんも決して、警察とバリアーズのお世話にならぬよう…」</div><div>&nbsp;あぁそん時はいくらでも相手してやるよ。と、リヒトは密かに校長を睨んだ。あの人は、あの人と少数の教職員だけは、この全校生徒の中にリヒトとエリカというバリアーズがいることを知っている。</div><div>&nbsp;バリアーズにお世話にならないことは大切だ。バリアーズなど無くてもいいほどの安全な世界ならどれほどいいだろう。しかし今となっては、ゼノとして扱われる10代の中高生は大学生もいないわけではない。しかしバリアーズという職業で稼いで生きている俺や、昨夜第2子が産まれた長谷部を考慮すれば、バリアーズが消えることは違った意味でも無理なんだとわかる。</div><div>&nbsp;そういえば、この中にエリカ先輩もいるはずだと思い、少しあたりを見回せば、</div><div>&nbsp;(…見つけやすいな…)</div><div>&nbsp;白兼の名字なだけに、彼女は見つけやすい。というのも、銀髪なのだ。3年生の列の真ん中よりやや後ろに、銀髪を腰まで伸ばした美少女が何やら隣の女子生徒と楽しそうにヒソヒソ話している。誰もが飽きる校長の話だ。むしろ真面目に聞くやつの方が少ない。</div><div>&nbsp;ふと、エリカが横を見た時に目があった。「げっ！？」と思って息を飲むと、すかさずエリカは左手を握り、親指を立ててそれを喉元に持って行き、横に引いた。</div><div>（あれ…どういう意味なんだ？とりあえず首を切る仕草だから非友好的な合図なのはわかるぞ…）</div><div>&nbsp;すると、ピンときてないリヒトの顔を目の端で確認し、おもむろにライトフォンを取り出して指を数秒走らせた。</div><div>「…？？」</div><div><br></div><div>&nbsp;朝礼の後に気づいた。リヒトのライトフォンにメールが一件。内容文は簡単。</div><div>【こっち見んな。死ね。】</div><div>&nbsp;誰から着たか、それはもうお察しの通りだ。</div><div>&nbsp;リヒトは、メールが見つかると他の男子から痛い目線を受ける可能性を十二分に考慮してすぐにメールを削除した。</div><div><br></div>
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<link>https://ameblo.jp/azlorts692/entry-11849276038.html</link>
<pubDate>Tue, 13 May 2014 07:15:08 +0900</pubDate>
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