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<title>鞭声粛粛、夜本を読む</title>
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<description>書評ブログ 2008年7月～</description>
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<title>『ブラックボックス』</title>
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　　２０２１年下期の芥川賞受賞作 『 ブラックボックス 』 （砂川文次著）は刑務所暮らしのルポルタージュふうの描写と、暴力的で短絡的な自身の内省、共感力の誕生を扱った作品。　　新型コロナウイルス流行の社会危機でいたるところ孤立する自己の再生を受刑囚サクマに仮託したことが何となく分かり、謎解きめいた終わり方は、まるで、楽譜で言えば転調、それも極端な転調となっており、読後感の印象は毀誉褒貶が激しいと思われます。　　主人公は、言動から察する限り、比較的軽いＡＤＨＤと間欠性爆発性障害がありそうな２０代男
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<dc:date>2022-03-20T19:11:28+09:00</dc:date>
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<title>『ヒトコブラクダ層ぜっと』</title>
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　　万城目学（まきめ・まなぶ）著最新刊 『 ヒトコブラクダ層ぜっと 』 （幻冬舎、２０２１年６月初版） はマキメ節復活の傑作。テンポ良く進みます。 『とっぴんぱらりの風太郎』 辺りからのがっかり感を払拭し、再び不思議な世界観を作り出しています。読後感よし。　　主人公３人は三つ子。特徴がそれぞれはっきりしており、読みながら迷うことはありません。物語はジェットコースターのようにアップダウンが多い。ばらばらに生活していた２７歳の三つ子がまとめて絡め取られ、あれよあれよという間にとんでもないミッションを
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<dc:date>2021-09-19T22:15:20+09:00</dc:date>
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<title>『菅政権と米中危機』</title>
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　　『 菅政権と米中危機 』 （中公新書ラクレ、２０２０年１２月初版）は保守派の論客、手嶋龍一氏と佐藤優氏の対談記録です。中国が強引な海洋進出を続けているのに 「 永く安逸をむさぼってきたニッポンには自覚がまことに希薄 」 （手嶋氏）、「太平の眠りから覚めていない」（佐藤氏）と警鐘を鳴らしています。　　新聞を毎日（電子版含め）読み、テレビやネットでニュース番組を見ていれば誰でも知っている内容がほとんどです。例外は「アチソン・ライン」 が朝鮮戦争を誘発したことやレーニン主義の命名がスターリンだった
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<dc:date>2021-06-16T07:00:20+09:00</dc:date>
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<title>『レッド・プラトーン』</title>
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　　 『 レッド・プラトーン 14時間の死闘 』 （クリントン・ロメシャ著、早川書房、２０１７年１０月初版）は息をのむ現代の火力戦を生き延びた兵士の回顧録。米陸軍小隊がアフガニスタンの前哨陣地でタリバンの包囲攻撃を受け、全滅の瀬戸際に追い込まれた２００９年１０月３日のBattle of Kamdeshを描いています。　　相次ぐ戦死や仲間の救出劇を形容詞をつらねて称えるのではなく、負傷部位や死因、火事の勢い、弾着の音・震動をこまかに書き、再現性の高さが恐ろしいほどの勇気と決断を浮き彫りにし、米国で
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<dc:date>2021-05-23T18:35:49+09:00</dc:date>
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<title>『現代中国の秘密結社』</title>
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　　 『 現代中国の秘密結社 - マフィア、政党、カルトの興亡史 』 （中公新書ラクレ、２０２１年２月初版）は大陸中国、香港、台湾社会のむき出しのパワーを追った一冊。著者は香港デモ取材で警察の弾で大けがをしながら取材を進め、正義の民主派と悪の共産党という図式のみでは語れない街の歴史にまで踏み込みます。 　　著者、安田峰俊氏は２０１９年に 『 八九六四　「天安門事件」は再び起きるか 』 で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞したルポライター。お坊さん出身の研究者。中華人民共和国では建国後も各地で血盟的
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<title>『ブロークン・ブリテンに聞け』</title>
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　　ブレイディみかこ氏の英国事情リポートの第何弾なのでしょうか。２０２０年１０月に出版された 『 ブロークン・ブリテンに聞け 』 （講談社）はすんなりと欧州連合（ＥＵ）から離脱できなかったころから、COVID-１９で大揺れの２０年夏にかけて、自分も含めた低所得層の日常生活や、多様化と分断の問題、廃れたＵＫミュージックシーンなどがテーマになっています。単純に左派と言い切れず　　ブロークン・ブリテンとは、以前の労働党政権の手厚い保護のため低所得層で労働意欲が低下し、荒廃が起きたという与党保守党サイド
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<dc:date>2021-05-03T21:30:53+09:00</dc:date>
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<title>『夏目漱石』（岩波新書）</title>
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　　岩波新書 『 夏目漱石 』 （２０１６年１１月初版）は近代文学研究者の十川信介氏が一般向けに書いた漱石の著作と人生を解説した本です。　　修善寺の大患前の前期作品の解釈で十川氏は 『 草枕 』 のラストシーンの有名な言葉 「あぶない、あぶない」に着目し、 『 三四郎 』 の序盤へと続く西洋文明への警句と指摘したことなど、この岩波新書での解釈は大筋ではオーソドックス。作品ごとの細部の説明では小説だけに読み手ごとに共感と違和感があるはずで、読み直しのきっかけになりそうです。　　『 草枕 』 のラス
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<title>『李陵』</title>
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　　中編小説『 李陵 』は著者中島敦（１９０９－４２）の病没から約半年後に発表された人間ドラマの名作です。　　３人それぞれの悲運と予期せぬ高名が同時進行で描かれ、生き様はいずれも今ふうに言えばオウンリスクの重圧から逃れられない。苦節の末、出世や偉業を成し遂げるものの、名を上げたという感慨が全くないまま物語は終わります。読後感は重い。８０年近く読み継がれてきたのはホンモノの迫力があるからでしょう。　 　　中国の前漢王朝の最盛期を題材にした本作には、武帝に断罪された敗将の李陵と擁護した司馬遷、硬骨漢
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<title>『海の祭礼』</title>
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　　史料渉猟と末裔、郷土史家インタビューを徹底した小説家、吉村昭（１９２７―２００６）氏が５７歳から５９歳にかけて幕末の開国と混乱を題材に 『 文芸春秋 』 に連載した長編小説 『 海の祭礼 』 （初版８４年１０月）は、憧れの日本に密航した米国青年とオランダ語通訳者の長崎武士の２人の出会いと別れ、それぞれ人生の終幕までをリアルに描いた作品。波乱の人生に息をのみます。　　ドラマチックな歴史小説として楽しめるし、当時の実情の中をリアル感で読み進んでも印象深いと思われます。むかしのひとは立派だった、と
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<title>『屍人荘の殺人』</title>
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　　２０１７～１８年に各種書評で取り上げられ、映画にもなったミステリー小説 『 屍人荘の殺人 』 （今村昌弘著、東京創元社、初版２０１７年１０月）には奇想天外な欺しとホラーの要素がふんだんにありました。一切ストーリーに触れたくありません。これから読む方も大勢おられるでしょうから。　　純ミステリーという区分けをしてみると、本作も謎解きがメーンで、登場人物の個性はステロタイプです。読者からすればミステリー小説を読む際の“お約束”と言えます。ところが本作はそこを逆手にとった物語展開をたどります。　　読
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