<?xml version="1.0" encoding="utf-8" ?>
<rss version="2.0" xmlns:atom="http://www.w3.org/2005/Atom">
<channel>
<title>絶望ビリー</title>
<link>https://ameblo.jp/bily-liar/</link>
<atom:link href="https://rssblog.ameba.jp/bily-liar/rss20.xml" rel="self" type="application/rss+xml" />
<atom:link rel="hub" href="http://pubsubhubbub.appspot.com" />
<description>ダイの大冒険の女性向け二次創作サイトです。メインはダイポ、時折ヒュンポとかバンポが出張ります。基本はポップ至上主義。（前サイト名：liar）更新は超鈍行です。</description>
<language>ja</language>
<item>
<title>＊コメントお返事＊追記あり</title>
<description>
<![CDATA[ 先日天上天下に関してご意見を頂いたので、さすがに放置するものいかがかなと思いこちらでお返事させていただきます。<br><br><br>DL販売に関して、天上天下は前サイトで連載していた当初、さまざまな事情により続きはイベントにて発行し完売したものです。<br>ありがたいことにたくさんの方々よりご要望を頂いたので、せっかくなので加筆訂正し、DL販売に踏み切った経緯があります。<br>元々試し読みで片手間に書いたものはございませんし、まして販売するためだけにのせているわけでもありません。<br>他の方からも同じようなご意見があればこちらでも改善の措置を取るよう考えますが、DL販売開始してすでに3年目になり、数々の方にDLして頂きましたが、その時から現在まで、こういったご意見は一件もございませんでした。<br>良心があるのならば即刻サイトを改めるべき、とご指摘いただきましたが、こちらに不手際や落ち度はないと思っておりますので、改める必要はないと感じておりますので、ご了承ください。<br><br><br><br>お返事いただいたので追記します。<br><br>そもそも、突然見も知らぬ相手を詐欺呼ばわりするような方を、悪意のある方に分類するのは当然だと思いますけど間違っておりますでしょうか?<br>貴女の意見を拝見して、確かに不親切だったかもしれない、これは改善しなければとは思いましたが、何よりも趣味でやっていることに対して、いきなり詐欺呼ばわりされ、挙句悪意のある言葉を並べられれば、結局お金を払って買うのがいやなんでしょ、なら読むなよって言いたくなる気持ちだってわかってくださいよ。<br><br>ネットの世界だからといって、どう見ても誹謗中傷のメールを初対面の相手に対して送りつけて、良心があるなら即刻サイトを改めるべき？本当どうもお疲れ様です。あなたの突然の言葉でどれだけ私がショックを受け、思い悩んで上の文章を掲載したのか考えたこともないんでしょうね。<br>もういらっしゃらないと思いますが、当サイトの小説を読んで、ご意見くださったことには大変感謝しております。ありがとうございました。
]]>
</description>
<link>https://ameblo.jp/bily-liar/entry-10566991580.html</link>
<pubDate>Fri, 18 Jun 2010 22:48:26 +0900</pubDate>
</item>
<item>
<title>ちょっとした手違い</title>
<description>
<![CDATA[ うっかり登録サーチから自分のサイトを削除しちゃいました。本当、うっかり。うっかり過ぎて一瞬どうなってんだかよくわかりませんでした。何やってんだが、本当。<br><br>再登録申請を出させてもらったけど、毎回すいませんとしか言いようがない・・・orz<br><br><br>先日車で突っ込まれて、生まれて初めて事故の被害者となったんですが、それから右半身が痺れてうまく動きません。<br><br>キーボード打つのにも普段のスピードが出ない＋すぐに腕が疲れちゃうので、執筆活動に影響が・・・・<br>100％向こうが悪い事故らしいので、ちゃんと病院行ってきっちり治してこなくちゃね～と呑気にしてたら、周りからもっとちゃんと相手を怒らなきゃだめでしょ!って言われてう～んって感じです。<br><br>だって菓子折りも持ってきて挨拶に来てくれたし、保険会社の対応も悪くないし、無理に相手を怒ってもなぁ・・・とのんびり構えてるんですがそうか、これがいけないのか！<br><br>長時間キーボード打つのが結構つらいので、短編をつらつら書いてあげていこうかな～って思ってます。<br>なんかネタがあったらポチリと投下してくださると大変うれしいです♪
]]>
</description>
<link>https://ameblo.jp/bily-liar/entry-10351448172.html</link>
<pubDate>Sat, 26 Sep 2009 23:29:39 +0900</pubDate>
</item>
<item>
<title>＊更新履歴＊</title>
<description>
<![CDATA[ <p><strong><font size="2">＊更新履歴＊</font></strong></p><br><p><br>2009年9月22日　空、星、海の夜　1　UP　<font color="#ff0000">NEW！！</font></p><br><p>2009年9月15日　ブログサイトopen</p><p>　　　　　　　　　　　最後の歌　6　UP　<br></p>
]]>
</description>
<link>https://ameblo.jp/bily-liar/entry-10343053039.html</link>
<pubDate>Wed, 23 Sep 2009 00:16:54 +0900</pubDate>
</item>
<item>
<title>空、星、海の夜　１</title>
<description>
<![CDATA[ ※天上天下設定のダイポです。<br>その後のようなことをつらつら書いていくので、天上天下を先に読まれることをお勧めします。<br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br>・１（夢、目覚め、そして帰還）・<br><br><br><br><br>その日、妖精の世界に鮮やかな色と歓声が空に響き渡った。<br>人間に比べて少々小柄な体に羽根の生えた美しい種族達は皆一様に喜びを現し、甲高い独特な声音で歓喜の歌を叫ぶ。<br>誰もが涙を流しながら今日起きた奇跡に両腕を上げて、一人の青年に感謝を捧げていた。<br>神の寵愛と恩恵を一心に授かる美しい種族である彼らは、その中心に立つ威風堂々とした青年をまるで神を見るように崇め、感謝を捧げる。<br>「我らが救った人間が、我らを救った英雄になった！」<br>「勇者よ！この地にも勇者はおられた！」<br>口々に叫ばれる声に青年はただ困惑し、しかし照れながらも穏やかに微笑みを浮かべて、そんな妖精達を眺めて手持無沙汰に仮で使用した細い剣の鞘を指で弄っていた。<br>「ダイ！ダイ、怪我はない！？」<br>「リリー！」<br>妖精達の間から飛び出してきた少女が勢い込んでダイに向かって飛びつき、ダイは慌ててその小柄な体を受け止めてほっと息をついた。<br>良く見知った顔と言えば、目が覚めた時からずっとそばにいてくれたのはこの妖精族のリリーと言う少女だけだった。<br>興奮に白い頬を赤く染めてダイを見上げてくる少女に向かって、照れくさそうにはにかんで笑いかけると、小柄な体を地面に降ろして綿毛のようにふわりと揺れる髪をそっと撫でた。<br>「カイザーの手下はまだ完全に倒したわけじゃない・・・・だいぶ傷を負わせたから今は皆の封印でなんとかなるかもしれないけど、油断は禁物だ」<br>「ええ、わかっているわ。それは妖精王も御承知の上よ」<br>キラキラと光り輝く風を舞わせながら、リリーと呼ばれた少女は実に美しく微笑んだ。<br>人間界、魔界、そして妖精界。<br>神々が住まう世界を除けば、この世には三つの種族がそれぞれの世界で生活をしている。<br>先の人間界での二種族間の大戦で、大魔王と名乗った魔人が竜の戦士によって倒された。その報はすぐに二つの世界に知れ渡り、勇者ダイの名は本人の預かり知らぬところで随分と有名になっていた。<br>妖精界にとっても、魔界は相容れぬ存在だと誰もが周知している。<br>闇と光はどう足掻こうと混じることのない存在だと長い時間の中で悟っている妖精達は、厄災を連れてきたと罵られてもおかしくはない勇者の事を篤く敬い、そしてよき理解者となる道を選んだ。<br>「でも、俺がいる所為でカイザーがここに刺客を送り込んだんだし・・・・・・なんか、凄い申し訳ないよ」<br>ちらりと宴に興じる妖精達の姿を見て、ダイは自嘲気味に笑った。<br>「そんなこと言わないで、ダイがこの世界の為に必死になって頑張ってくれたことなら私達が知ってるわ！あたしがみんなの前に行って、説明してもいいぐらいよ！」<br>明るく笑うリリーは、謙虚に困惑するダイの両肩を掴んでそう叫んだ。<br>「ここもようやく武器を持たないで暮らせるようになったもの・・・・ダイ、一度、故郷に帰ってきたらどう？ここなら、まだまだ大丈夫よ」<br>「リリー・・・・」<br>ダイは己の周りにひらひらと小さな体を舞わせる少女に向かって一瞬ずきりと胸の中に走った痛みに顔をしかめながら、それでも笑顔を作って、緩く首を振った。<br>「もう遅いよ、俺がここにきて・・・もう何十年たっていると思うんだい？俺は、そう変わっていないかもしれないけど、・・・・人間て、そうじゃないんだろう？」<br>自嘲気味に呟いてから、ダイは顔に焦燥をびっしりと貼り付けて虚ろな眼差しを空に送った。<br>大魔王バーンとの戦いに勝利し、そして黒のコアによって吹き飛ばされたダイは、妖精達が住まう世界で命を救われた。<br>闇の力によって傷つけられた体は意識を取り戻すことなく混濁し、妖精達の緩慢な時間でゆっくり癒してくれたらしい。<br>次に目が覚めた時、バーンと対峙した時より二十年以上も時間がたっているのだと言われて、ダイは絶望にも似たショックを受けた。<br>己の体の変化に付いていけず困惑していたところに、竜の戦士の目覚めを感知したのかカイザーの手下が妖精の世界を襲った。<br>それを、なんとか食い止め妖精達の手で封印できるまでに弱らせたダイは、己がまいた種とはいえ妖精界ではまるで英雄扱いだ。<br>武器を持たず、戦う術を持たぬ非力な妖精達は、手渡された粗末な剣で果敢にも魔物に立ち向かうダイの姿は、それは神の使者のように見えたのかもしれない。<br>実際、成長したダイの表情は引き締まり、少年の面影を残しながらも男くさい魅力に溢れていた。<br>美の集大成とまことしやかに囁かれる妖精達すらも、己にはない精悍な顔立ちの青年に未だかつてない熱い情熱をこめて見つめている。<br>しかし、そんな周りの思惑など気にもしていないのか、ダイはリリーに向き合って手に持った刃こぼれの酷い剣を握り直し、何かに耐えるようにぎゅ、と目を閉じた。<br>妖精の世界は不思議な色彩に満ちていて、虹色の空がダイを包み込んでくれる。優しい、優しい光だ。しかしダイにとっての光は地上にしか存在しない。しかし、それもきっともうないだろう。<br>今まで必死に耐えてきた可能性を口にした途端、ダイは泣きだしそうに顔を歪めた。<br>この世界で、世界の均衡を狂わせないようにと頑張って魔物と戦ってきた。カイザーの放った刺客はなんとか妖精達の力を借りて倒すことが出来たが、しかし失った時間を取り戻すことはできない。<br>後悔はないと、己に課せられた義務なのだとわかってはいたが、ダイの心の中にはぽっかりと空洞のような虚ろが侵食するようにじわりと広がっている。<br>もう、人間の世界に降り立っても、ダイの知った顔ぶれはいないかもしれない。妖精達の不思議な時間はダイの成長を緩慢に遂げさせて、奇跡的に未だ若々しい青年の顔立ちを保っている。人間でいえば、ようやく二十歳を迎えるか否かだ。<br>そんな、人間の時間を忘れたダイは自分の体を見るたびに自己嫌悪に陥った。伸びた身長、少年のまろみを帯びた頬から骨格の隆起した逞しい顔立ちへと変化した、自分に。<br>こんな姿、見てもきっとポップは自分だと気がついてくれないかもしれない。そう思うだけで、胸の中にどす黒い闇が侵食してくるのを感じるのだ。<br>「・・・・・・何言ってるの？ダイ」<br>「・・・・妖精の君に言っても、わからないかな？」<br>人間の短い命なぞ足元に及ばぬほどの寿命を持つ妖精には、ダイの苦しみはわからないのかもしれない。リリーの、妖精らしい美しい表情に困惑の色が浮かび、形の良い眉が強く寄せられた。<br>「何言ってるのよ！ここの世界と人間の世界じゃ、時間の流れ方が違うって事を知らないの！？」<br>「・・・・・・・・え？」<br>「ここの一年って、人間界で換算すれば、二、三ヶ月ぐらいしかたってないんだよ？」 <br>ぽかん、とダイは口を開けてリリーの困惑したままの顔を凝視した。<br>「なんだって・・・・・？」<br>今、彼女は何を言った？、と頭の中がぐるぐると回り出す。先ほどまであった陰鬱な空気は一気に飛散してしまって、くらりと眩暈までしてくる。<br>「ダイがここに来て、もう二十年ぐらいになるよね・・・・人間の世界でも、もう五年ぐらいはたってるかもしれない、けど」<br>リリーは気遣わしげに優しく囁きかけながら、小さな手でダイの肩に触れた。<br>「ダイが起きてから、一度すぐに人間界に顔を出したことがあったでしょう？あの時も、二年ぐらいしか立ってなかったはずだけど・・・」<br>十年程前に目を覚ましたダイは、まず先にと人間界に顔を出した事がある。しかし傷も癒えて間もない時期に無理をしたせいか、誰かに会う前に結局力尽きてしまい、人間の世界に足を踏み入れたはいいが、付いてきてくれた妖精に連れ帰られるという大変不名誉な結果を残した。<br>その時に気がつかなかったのかというリリーの問いは、声に出せる余裕があれば答えはノーだ。きしむ体で何とか人間界へと降り立ったダイは、妖精界とは違った大気の濃さにいくらもしないうちに意識をなくしてしまったのだから。<br>「そんな・・・・・・」<br>ダイはあまりの事に言葉をなくして、目にいっぱいの涙を浮かべて唇を震わせた。<br>「ごめんなさい、ちゃんと言えば良かったね・・・」<br>「そんなことないよ、リリーはちっとも悪くない」<br>ダイは慌てて謝罪を告げてくる妖精の少女の肩を優しく叩き、泣き笑いながらも嬉しさに破顔させてぐいと涙を拭った。<br>「早く帰ってあげなさいな、大切な人が、待ってるんでしょう？」<br>「うん、絶対に帰るって、約束した人がたくさんいるんだ」<br>リリーの優しい声音に、ダイは己の強張った表情が、まるで氷が解け行くようにに砕けて散っていくのが良く分かった。<br>己の早とちりと思いこみでどろどろに染まっていた胸の中は逃げ道を見いだして、急速に光を取り込もうとしている。体だけ成長を果たした勇者は、未だ純粋な気持ちを溢れんばかりに笑顔へと変えて、何度も涙をあふれさせる。<br>「謝んなきゃいけない人がいて・・・・・」<br>「大切な人？」<br>「そう、俺を、ずっと支えてくれた、奴なんだ」<br>ダイは男らしく笑うと、また溢れてくる涙を頬に伝わらせながら、照れくさそうに鼻を啜った。<br>「ポップに、会いたいんだ・・・・・・」<br>ダイはぽつりとそう呟き、しばしもう昔に思える過去を思い出してじんと胸を温かくさせた。ずっと、目が覚めてからずっと、もう会えないと思っていた。<br>人間にとって時間ほど残酷に現実を突き付けるものはない、ダイの知らぬところでポップもレオナも、誰もかもが自分たちの時間を過ごしている。<br>そう思うだけで、時間に取り残されたダイは胸が苦しくてたまらなかった。だから、もう人間界に戻ることはないだろうと勝手に思っていた。<br>それなのに。<br>ダイは未だ勝利の宴に酔う妖精達をぐるりと見届け、優しい光に身を包まれて今度こそ陰鬱な闇を払って笑った。<br>「でも油断しないでね、もう一度、・・・俺の剣を持ってここに帰ってくるから」<br>「ええ、みんなであなたの帰りを待っているわ」<br>リリーは誰が見ても見惚れる様な優しい笑顔を浮かべて、ダイの手をぎゅうと握って少しだけ目端に涙を浮かべて、笑った。<br><br><br>－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－<br><br>09/09/22<br>久しぶりのダイポです。ずっと設定だけ出来てて、書ききれなかった天上天下のダイ視点のお話です。<br>ちょっと軽いノリで書いていけたらなーって思ってます。<br><br>
]]>
</description>
<link>https://ameblo.jp/bily-liar/entry-10348506875.html</link>
<pubDate>Wed, 23 Sep 2009 00:09:52 +0900</pubDate>
</item>
<item>
<title>最後の歌　６</title>
<description>
<![CDATA[ <br><br><br>バーンの前より辞したミストは、長いローブを翻しながら与えられていた部屋に迷わず進んだ。<br>巨大な回廊の端々から見える地上はどんよりと臭気に覆われ、果ては霞んでよく見えない。地上よりも高くに浮きあがる新しい魔宮は、崩壊から二年の歳月で十分に機能を回復し、バーンの愛する機能美を取り戻していた。<br>淀んだ空気はミミストの宿主である生身の人間には酷い毒の風となっていたが、周囲を覆う暗黒闘気によって護られ、頬を撫でる風は平素と変わらない穏やかさを持っていた。<br>ぴくりとも感情を出さない彼の表情が一瞬苦しみに歪み、ふらりと軸を保てず壁に縋る。<br>実に少年らしくない冷たい表情は徐々に歪んでいき、唇が痙攣するようにひくひくと動き出し、冷たい水晶のような瞳が左右に揺れ、部屋の扉をあけるのと同時に虚ろにくるりと白目を剥いた。<br>突然ふらりと揺れた体は、完全に部屋の中に入る前にがくりと崩れ、少年の華奢な背中が仰け反った。白い肌は次第に土に近い色へと変化し、闇の濃い色合いに沈んでいく。<br>「く・・・・」<br>小さな呻き声が小さな唇から洩れ、震える手で必死に部屋の中に身を潜めると、最後の力を振り絞るように弱々しく扉を閉めた。<br>「ああ！！」<br>もう一度大きく体が揺れると、皮膚を醜く染め上げていた闇が潮が引くように体から溢れ出、水蒸気のようにポップの体を覆う。しゅうぅ、と水が蒸発するような音が周囲に木霊すると、飛散していた黒い霧は徐々に人の形をなし始め、倒れ伏す少年を見下ろすように高い天井の部屋の中をぐるりと旋回した。<br>「せめて部屋に入るまで待てばよいのに・・・なぜ、我慢が出来ぬ」<br>「馬鹿野郎、ちょっとだって嫌なんだよ!!」<br>黒い霧の中から発せられる声は水を通して伝えられるように響き、呼吸荒く肩を上下に揺らす少年に重々しく伸しかかる。額を汗で濡らし、震える両足で壁に縋りつきつつ立ち上がると、早速悪態をつき始めた。<br>「くっそ、好き勝手しやがって・・・・・・！」<br>どさりとベッドに体を投げ出し、がらりと変わった声音でぶつぶつと文句を口の中で言っていると、もうすでに慣れているのかミストは真の姿で気楽に空を舞っていた。強制的に意識を奪われていたポップの体は急激な解放に未だ体が付いていかないのか、がくがくと痙攣を起こしている。<br>人間の体に住むと言う枷を負わされているミストは、やはり暗黒の世界に生きるだけあって光の世界の住民の体は居心地が悪いらしい。<br>ようやく解放された、とでも言わんばかりに自由な空間をゆったりと漂い、地の底から響く様な笑い声を響かせた。<br>「なんとも脆弱な体だ・・・・・・ぬしを生かさなければ故、宿り続けることが出来ぬとは」<br>ポップの体から立ち上る暗黒闘気が何度も体中を這いまわり、ポップはいつものことながら嫌悪感に顔を歪めて肌触りの良いシーツを握りしめた。<br>「だったら出て行ってくれて構わないんだぜ、俺はいい加減頭にきてるんだ・・・・・」<br>ふう、と弱々しいため息をつくと、ポップはぎりりと歯を噛み締めた。<br>「こんな状況になってもへらず口を叩ける力はあるのだな。誠、人にしておくには惜しい・・・・・」<br>「どうとでもいえ、誰がお前らの思い通りになるかってんだ！」<br>暗黒闘気を体にまとわりつかせながら、ポップは心底嫌そうに顔を歪めた。<br>夜の闇の中をまどろみ明けると、地上よりも空に近い魔宮では朝日が分厚い雲に隠れた隙間から漏れだし、ゆっくりと闇を隠していく。その時こそ、ポップがミストの支配から解放される瞬間だった。<br>意識のない屍のような体を支配し慣れていたミストにとって、身体中から溢れる光を抑えることは容易ではない。続いた爆発のせいで失った太陽の熱は、ある意味彼等にはよい方向で進んだ。<br>闇になれた魔物達はやはり日の光に弱く、また気候の変動になれていないものが多い。<br>彼が以前叫んだ通り、ポップの光は常に閃光のように鋭く輝き続けている。どれほど闇色へと染めようとしても、ポップの意思だけは黒に染まることはなかった。<br>ミストは煙だけになった体でポップの頬を一撫ですると、どこから響くのか地を這うほど低い声で笑った。<br>「まったく強情なものよ・・・・・・ぬしに恐ろしいものはないのか。我が主ほどのお方はおらぬと思うが・・・・・」<br>「そんなことねえよ・・・・・俺は、自分以外のものはほとんど恐いぜ？あんたも、大魔王も、・・・仲間も」<br>「ほう？」<br>「力だけのあんたらにはわからんと思うがな、人間は何も肉体的な暴力だけで人を殺す訳じゃない。言葉とか・・・・態度でも簡単に殺せるんだ、色んな意味でな」<br>ポップは顔中に浮かべた苛立ちを取り去って、緊張に凝り固まった体を投げ出した。<br>普段ならそのまま堅い床に身をぶつけるだろうが、黒いガスに覆われた体はふんわりと宙に浮かび、柔らかい布で包まれているような感触がポップを包んだ。<br>初めは不快で仕方がなかった黒い霧は、気が付いたらどうでもよくなっていて、ポップは必要以上に食ってかかることも騒ぐこともしなくなった。<br>どんなに叫んでもこの黒い塊はどこかへ行くことはないし、ポップに完全なプライベートなど用意されていない。<br>生かされていること自体が稀有なこの場所で、少年は両腕を投げ出してぼんやりと天井を見つめた。<br>「・・・・・・・いい加減我に体を明け渡せ。この先、見なくてもいいものを見せられることになるぞ」<br>「ふざけんなよ、俺が生きてる限りそんなことさせるかっつーんだ」<br>けっ、と下品に舌打ちを返しながら、ポップは負けん気の強い瞳で黒い塊を睨んだ。こうした会話を交わすようになって、もう二年近くがたつ。<br>ミストは己の黒い霧のような体で少年を見下ろしながら、瞳に映る意志の強い光を眩しそうに眺めた。<br>「そうは言っても、貴様がここにいる限り人間どもは何もできまい。現に、二年もたつのにここへ来ようともせぬではないか」<br>「うるせー・・・どうせ、俺は死んだと思われてるからいいんだよ」<br>ぷい、と顔を逸らして黒い霧の中に顔を伏せてしまう。ミストはふわふわと揺れる己の体を持て余して、ころころと表情が変わり、また感情の起伏の激しいポップを興味深げに観察した。<br>「すでに、竜の騎士も存在しないのに、か？」<br>「ダイは死んだりしない」<br>「そう思うのは勝手だな」<br>ポップの確信を込めた言葉に、毎度のことながら呆れを通り越して感嘆すら浮かぶ。どうしてこんなにも頑ななのか、ミストは己にはない感情に困惑して黒い空気のような体でポップの体をぐるりと一周した。<br>「お前らにはわからないんだな・・・・・・俺を生け取りにしたってなんにも起きねえよ。ダイはそこまで馬鹿じゃない」<br>そう言いきってから、いやしかし多少不安ではあるなと思った。<br>あの猪突盲進な勇者様は、ポップのことになると、目先がみえなくなることが多々あった。姫君が倒れるよりも、ポップが傷つくことに敏感かもしれない。それは彼が一度でも勇者のためだけに命をおとしている所以だろうか。<br>彼が傷つき地に伏す姿をみたくないと叫ぶように、ダイは最後までポップを救おうともがいたのだから。<br>そこまで考えてから、ポップは純粋な黒色の瞳にうっすらと涙の膜を張った。今こうして敵の手に落ちていることが、彼に対してどれほどの苦痛を与えていることか。<br>死を覚悟して大魔王に挑んだが、まさかこんなことになるとは思いもよらなかった。体を奪われ、意識を奪われ、抵抗を続けてもう二年。<br>しかし、ミストの存在がポップの意識を奪う時間が徐々に長くなってきているのも事実で、ポップは冷静に、後どれだけこうして憎まれ口を叩いていられるだろうかと時折焦燥感に駆られる。<br>高い窓からかすかに漏れる太陽の光が日に日にか細くなっていくのを感じながら、ポップは挫けそうになる心を叱咤して強く唇を噛み締めた。<br>「・・・・・・飯、腹減った」<br>「なんだと？」<br>「いつも言ってるだろ、俺は人間だから腹が減るんだよ！！いつになったらあんたは覚えるんだよ！！」<br>毎日こんな会話してるじゃねぇかと叫ぶ悲鳴のようなポップの喚き声に、ミストは軽い殺意を覚えつつふらりと己の中に集まる霧を少しだけ飛散させていつものように食事の合図を送る。<br>そうすると見計らったように運ばれてくる料理にポップは腑に落ちない何かを感じながら、それでも無言で用意された食事に手を出した。<br>「まったく人間とは不便だな・・・・・・」<br>「あんたの主人だってちゃんと飯ぐらい食うだろ」<br>がつがつと肉にかぶりつくポップの姿を少し離れたところから眺め、ミストは宿主の食事風景を興味深く観察しつつ、呆れたため息をついた。<br><br><br><br>------------------------------------------------------------<br>2009/9/15<br>せっかくなので早速更新。<br>おバカなポップになっちゃった・・・でも15歳くらいってこんぐらいうるさくておバカちゃんですよね。<br>じゃないとこっちがいたたまれない!
]]>
</description>
<link>https://ameblo.jp/bily-liar/entry-10343455871.html</link>
<pubDate>Tue, 15 Sep 2009 23:52:37 +0900</pubDate>
</item>
<item>
<title>天上天下　１０（更新終了）</title>
<description>
<![CDATA[ <br><br><br><br><br><br>久しぶりに訪れたロモスは、溢れる程の人でごった返していた。 <br>ポップは呆然と口を開けて、こんな栄えた都市だったか？と自分の記憶を確認しようとして、城下町には前に訪れて、一年以上経過している事に気が付いた。 <br>それだけの歳月を過ぎれば、これだけの巨大な街が様変わりするのは仕方がない。平和の証拠だ、ポップはちょっとだけ怯んだが、自分に言い聞かせて溢れる人込みに塗れた。 <br>（なんだろう、左腕、重い……） <br>ポップはロモスの城下町のにぎわいの中をゆっくりと歩き、長いローブの中に隠し込んだ両腕を少し気にした。 <br>英雄と共に戦った大魔道士はここでは顔が知られ過ぎていて、ポップは他の旅人と同じように深くフードを被り、目だけを覗かせてゆっくりと歩を進めていた。 <br>懐かしい街並みだ。ダイと旅を始めてから初めて訪れた大きな街がロモスの城下だった。あの時は、ダイとマァムと三人だけで、角を曲がった所にある宿屋に泊まったのだ。 <br>その後獣王軍団に襲われて街並みはめちゃくちゃにされてしまったが、心優しい王の元早急に復興され、今ではすっかり元通りだ。 <br>本当に人間は逞しい、ポップは復興された街並みをみる度にそう思う。 <br>瓦礫の山だったパプニカの城は瞬く間に元の形に戻り、魔物に踏み荒らされた石畳は綺麗に整備されて、壊された形跡など微塵も感じさせない。 <br>しかし、どれだけ城を道を街を修復しても、亡くなってしまった人の命だけは蘇らせる事は出来ないのだ。 <br>国境付近や魔物の生息する森や山に隣接していた村は、働き手である男達を先の戦いで事如く失い、女子供達だけで暮らしている。 <br>過疎化は一層進み、中心部だけが栄える日がいずれ来るだろう。それが良い事なのか悪い事なのかはポップにはわからない。 <br>でも皆が恐怖に怯える事無く笑い合っているので、それでいいのだと思う。 <br>大切なものはなんだったのだろうとよく考えるが、ポップにその答えを出す事は出来なかった。 <br>大戦中、勇者と良く言葉遊びをしたものだ。 <br>これが終わったら何をしよう、どこに行こう、あれをやろう、これをやろう………しかしそれは果たされる事無く昨今まで来てしまった。 <br>ポップにとっての現実は辛く、そして大切なものは未だに不明なままだ。 <br>ロモスの城下町の人込みの中、自然と視線が彷徨ってしまう。三年の歳月を思って、成長した彼の姿を思い描いて、それらしき人物を捜すのだ。 <br>ポップが物思いに浸ろうとした瞬間、パチパチと何かが弾ける音が頭の中で響いた。 <br>「いつぅッ」 <br>ずきん、と両腕が燃えるように痛み出した。 <br>ポップは思わずその場に踞り、両腕を抱えて呻いた。 <br>「ちょっとあんた、大丈夫かい」 <br>人の通りの多い街道で急にかがみ込んだポップに、誰もが一度足を止めて振り返った。 <br>ある者はそのまま通り過ぎ、ある者はちらりと視線を寄越しはするが見なかったふりをする。色々な反応だ、人によってする行動が違う、それこそが人間の本能だ。 <br>やれやれ、薄情な奴らばっかりだ。ポップはズキンズキンと頓痛を訴えてくる両腕を震わせて、弱々しく息をついた。 <br>ポップはそんな中でも声をかけてくれた老女に対して手を挙げて大丈夫だと笑おうとして、どくん、と心臓の脈打つ音を聞いた。 <br>「え………」 <br>身体が一瞬揺れ、視界がぶれた。 <br>ポップに気遣わしそうに手を差し伸べようとした老女が、小さく悲鳴を上げて後ず去った。 <br>身体を覆ったゆったりめのローブから覗く細い両腕が、青白い炎に包まれ、燃えていたからだ。 <br>座り込んだポップは、自分の身体から緩やかに炎が立ち上がる様を、はっきりと見た。 <br>「な、なん、なんだ、これ」 <br>ポップはずきんずきんと痛みを訴える両腕を抱えながら、よろよろと立ち上がった。 <br>ふわりとローブが外れ、まだ幼さの残る大魔道士の顔が白日の下にさらされる。 <br>ざわざわと騒がしかった城下町は水を打ったように静まり返り、誰もが異変に口を開いたまま固まっている。 <br>ポップの顔は、アバンの使徒達の中でもっとも知られていた。 <br>もちろん、彼が、勇者とともに大魔王を打ち倒した大魔道士だという事も。 <br>パチパチと、何かが燃える音が耳に飛び込んで来た。 <br>「………ッッ」 <br>ふわりと一瞬にしてポップの身体を包んでいた布のローブが炎に包まれ、燃え上がった。それはあまりに突然の事過ぎて、誰もが付いて行けず、当人すらも訳が分からず動揺した。 <br>衣服が燃えているにもかかわらず、ポップは熱さも何も感じない。火炎魔法を手のひらに発生させた時のようだ、魔力の炎は造り出した主を傷付ける様な事はしない。 <br>しかし。 <br>これは、魔力で造れる様な炎では、なかった。木々を燃やし、人々に命の糧を与え、夜の闇を照らす。作りもではない炎だ。 <br>両腕から溢れた炎はごうっと勢いを増し、粗末な布を消し炭にして、そのままポップの身体にまとわりついた。 <br>特殊な糸で編まれた法衣は燃え上がったりはしなかったが、緑衣が赤く染まって行く。それは勢いを増して、ポップの身から溢れ出、ちりちりと周囲を焦がし始めた。 <br>「あ、ああ？」 <br>あまりに異様な光景に、誰かが悲鳴を上げて、それを合図に誰もが恐怖に飲み込まれた。 <br>「……だめだ！！！！…ッッッッ………」 <br>慌ててポップから身を離そうと背を向けた人間に向かって、炎が追いかけるように軌跡を造る。 <br>「止めろ………止めろってば！！！！！！」 <br>勝手に暴走を始めた炎を渦を押しとどめようと、ポップは無駄だとわかっていても腕を伸ばして飛び回る火の粉を掴もうと腕を振るった。 <br>しかし踊り狂う炎は独自の意志を持って動いているかのように宙を舞い、ポップを囲うようにして輪を描き、周囲を恐怖に陥れる。 <br>「ば、化け物！！！」 <br>「………ッ」 <br>誰かが叫んだその言葉に、ポップは酷い衝撃を受けた。 <br>しかし、ポップの姿は魔力のかけらも無いただの人間達にとって、魔物に見えても仕方がないだろう。炎を身体に纏って、熱さに顔を歪める事は愚か、ポップが身にまとう衣類に引火もしないのだから。 <br>だが、現実に熱を持つ火種だと言う事は変わりがない。逃げ纏う人間達の後を踊りながら追う炎は確かに熱を持ち、 <br>乾いた草木に飛び火し、あっという間に炎の柱を作り出した。 <br>「うわあぁー！！」 <br>そこかしこで悲鳴が上がり、逃げ切れなった数人の叫び声が木霊する。 <br>「ち、ちくしょうッ……やめろッ…！！！」 <br>ポップは半分泣きながら両手を伸ばし、強く唇を噛み締めた。 <br>「フバーハ！！」 <br>人間に襲いかかった炎が肉を焦がす前に、ポップの呪文が炸裂した。 <br>炎を押し返す勢いで光り輝く風が吹き荒れ、今にも人間を飲み込もうとしていた炎の渦がかき消される。 <br>左手から炎をかき消す法力を吹き出すと同時に、右手には冷気を纏う青白い光を出現させた。 <br>「ヒャド！」 <br>同時魔法は、高位の魔法使いにしかなし得ない高等術だ。ポップは世間一般にいる魔法使いが鍛錬を積み、ようやく作り出す様な激しい氷の風を無から作り出し、殆ど詠唱もなく手のひらから放った。 <br>吹き荒れる氷の風は瞬く間に燃え広がった草木を凍り付かせてぱりん、と可憐な音を立てて砕け散った。 <br>しかし、結局全ての炎を制する事は出来ない。炎を生み出している元凶から潰してしまおうと思ったが、しかしそれは自分なのだ。 <br>とにかく、人の居ない所に行った方が良いと判断し、ポップはルーラを唱えようとして魔力が発動しない事に気が付いた。咄嗟にトベルーラを詠唱したが、身体中に纏う炎に光はかき消され、最期まで発動はしない。 <br>ポップは焦って本能的に後ず去ろうとしたが、足が全く動かない事に今更ながら絶望を感じた。 <br>「なんだってんだよ………！！！」 <br>足がすくんで動かないわけでもない、ただ、地面に足がぴったりと吸い付けられ、誰かがしっかりと足首を掴み固定しているような拘束感があるのだ。これでは埒があかない、緑衣の魔道士は良く回る頭をフル回転させて、なんとかしようと躍起になった。 <br>「ポップ！！」 <br>「ヒュンケル！？」 <br>ポップは聞き慣れた声が耳に飛び込んでくるのと同時に、激しい動揺が身体の中で沸き上がった。 <br>「来るなヒュンケルッ！！お前まで燃やされちまうぞ………！！」 <br>走り寄ってくる銀糸の頭を見つけて、ポップは怒鳴った。 <br>しかしそれで諦める様な男のわけがなく、挙げ句思うように動かなかった身体が、全盛期の強靭なものに戻っているのだ。ヒュンケルは襲いかかる炎を器用に避けながら、時折魔剣で火の粉を切り払った。 <br>こうなってしまうのだったなら、身体を治してやるのをもっと後にすれば良かった、ポップは心底後悔した。 <br>「ポップ！無事か！？」 <br>服の端々が焦げて行く事に気が付かないのか、ヒュンケルはいつもの無表情に過分の焦りを乗せて炎の渦に飛び込んだ。 <br>「馬鹿、俺が原因なんだよッ無事とかじゃなくて………ッ！！」 <br>じゅぅ、とヒュンケルの両腕が焦げる音が生々しく耳に届き、ポップは気が狂いそうになった。 <br>己の中から飛び出してきた炎が、仲間の肉を焦がして行く。 <br>銀糸の髪に火の粉が飛び散り、大戦中不死身の男だと仲間達に言わしめた魔剣の使い手は、自分の身体も顧みず一直線にポップの元へと走り寄った。 <br>「ヒュンケルッ来んなってば！！！」 <br>半分涙声のポップの叫びは、彼らしく無い弱々しい悲鳴だった。 <br>輝聖石が光らなくて絶望の声を上げた時と同じ物だ。 <br>ヒュンケルはそんなものをもう一度聞きたく無くて、燃え出した右手で勢い良くポップの腕を掴んだ。 <br>「！？」 <br>「すまんポップッ」 <br>「え？」 <br>ヒュンケルの企みがわかったのか、離れていた炎達が一斉にヒュンケルの背中に向けて踊り狂った。 <br>その気配を何よりも先に察した歴戦の戦士は、自分の腕が燃え、そのまま広がって行くのも構わずポップ一気に己に引き寄せてから、驚いて硬直している大魔導師の後頭部に手刀を叩き込んだ。 <br>「………ッ」 <br>正確に急所に叩き込まれた衝撃は、意識をブラックアウトさせるのに十分だ。 <br>ポップは襲いかかって来た激しい目眩と衝撃に耐えきれず、悲鳴を上げる間もなく一気に意識を手放した。 <br>がくんと崩れ落ちるのを両腕で受け止め、ヒュンケルは細い身体を抱き上げると、踊り狂っていた炎達が主を守るようにポップを包み込み始めた。 <br>「くッ………」 <br>瞬間的に襲った膨大な熱量に歯を食いしばり耐えると、一瞬にして炎はポップの身体の中に吸い込まれて行った。 <br>しゅうんと小さく炎が収まって行き、あちこちに燃え広がっていた火までもが瞬間的に消え去った。 <br>焼け焦げた後だけが生々しく残った木々はすでに炭化し、たくさん実らせていた緑葉を全て散らせてしまっている。人間の皮膚に熱を与えていた炎は消えたが、しかし焦がした痕までもは消えなかった。 <br>至る所で呻き声や泣き声が聞こえ、罵声や怒声が飛び交っている。 <br>そんな中ヒュンケルはポップを腕の中に収めて、がくりと膝を折った。 <br>「なんて事だ………」 <br>地面に座り込み、唖然と自分たちを見てくる周囲の者達を見てから、ヒュンケルは小さく舌打ちをした。 <br><br><br><br><br><br><br><br><br><br>--------------------------------------------------------------------------------<br><br>2007/09/24 <br>すいません放置プレイ第弐段。 <br>ちなみにこれはすでにオフラインで完結済みです。 <br>これ以降のサイトでの更新はありませんので、もし気になる!と思われる方は、現在DL販売にて購入できますので、そちらをご利用下さい。<br>
]]>
</description>
<link>https://ameblo.jp/bily-liar/entry-10343328385.html</link>
<pubDate>Tue, 15 Sep 2009 21:36:23 +0900</pubDate>
</item>
<item>
<title>天上天下　９</title>
<description>
<![CDATA[ <br><br><br>ポップが居るだけで、自然とその場にぱっと明かりが灯る。 <br>彼の存在はそんなもので、いつもはひっそりと薄暗いマトリフの祠も、騒がしい弟子が居るだけで雰囲気ががらりと変わった。 <br>ダイの捜索をしながら、ポップは定期的に師の元へと訪れていた。 <br>それは度重なる禁呪法の反動で、随分と身体の悪くなってしまったマトリフを心配しての事で、大戦前や最中と違って孤独に祠の中で一人、と言うわけでもないが、ポップは悪態をつきながらもよく通った。 <br>彼はポップに大魔王と渡り合える程の無限の可能性と知恵を与え、不屈の勇気を教えてくれた一人だ。 <br>ポップはマトリフに対して余りある程感謝の念を抱いているのだが、元々素直な性格ではないのでそれを表に出したがらないが。 <br>マトリフはやかましい、と悪態をつきつつも、ポップがこうして通ってくれる事が実は嬉しかった。 <br>自分に子供が居たら、こんな感じなのだろうかと思わず錯覚してしまうのは、年のせいなのだろう。機嫌良くせかせかと動き回るポップの存在を感じながら、マトリフはほんのりと胸を暖かくさせた。 <br>勝手知ったるなんたるか、ポップは貯蔵庫に使っている部屋の棚を無遠慮に開けて、食料や飲料水があるかを調べている。 <br>マトリフは何気なくポップの方へと振り向いて、ぎょっと目を剥いた。 <br>弟子の左腕が炎に包まれていたからだ。しかし当人と言えば、いつもと変わらぬ表情のままで、腕が燃えている事すら気が付いていないようだ。 <br>ポップは鼻歌まじりに右手で戸棚を明けて、そこからマトリフが好んで飲む蒸留酒を取り出す。 <br>並ぶ酒瓶の数を簡単に確認して、酒ばっかり飲んでんじゃ駄目じゃねぇか師匠、なんて独り言めいた事を呟きながら、彼はなんでもないように振り返った。 <br>「酒は控えろって………師匠？」 <br>「あ？あ、ああ」 <br>きょとん、としたポップの瞳がマトリフを見つめ、両腕は何事も無く平素に戻っている。 <br>なんだったんだ、今のは。錯覚にしても酷すぎる、マトリフは自分の正気を疑って、何度か首を傾げて唸った。 <br>しかし魔道士の目というのは、普通の人間に見えないものを見る事が多々ある。それは魔力を持たない人間から波状される薄布のような気だったり、命を持つものの沸き上がる生命力だとかだ。 <br>マトリフは強大な魔力を持っていたが、向こう側を見る目がそんなに優れてなかった。 <br>人よりも希有な才能をだと言っても、何もかもが優秀なわけではない。 <br>とりわけマトリフはそれが顕著に現れ、能力は優れているが性格だとか態度や謙虚さが著しく崩壊している。 <br>そんな自分の悪癖を誰よりも心得、だからこそ、自分が見聞きしていたものだけはいつでも信じる事にしていた。 <br>弟子の身体から溢れていた炎。闘気や魔力の類いではなさそうだと、改めて思った。そうだ、あれはまるで本物の炎のようであった。 <br>何故かどうしても捨て置けない様な気がして、マトリフは唸った。 <br>「お前、………この後何処に行くんだ？」 <br>なんだか今日はよく予定を聞かれるな、なんて思いながら、ポップは首を傾げた。いつもは掴み所の無い師の顔がいつになく真剣で、ちょっと圧倒されてしまったからだ。 <br>「今日はこの後ロモスの王様の見舞いに行って、そのままヒュンケル達と合流するんだ」 <br>勇者を見いだしたロモス王は、大戦後心労から病に倒れ、王位を息子に譲り渡した。 <br>どうやら大戦中は戦火を避けて避難していた息子達が、終結後に戻って来たらしい。 <br>ポップはそれを聞いて、内心戦争が終わってから顔を出すなんてとんだ腑抜けだ、と思ったが、自分も十分人のことを言えなかったので、黙っておいた。 <br>善良なロモス王はとても素晴らしい賢王だったが、残念な事に身内に恵まれなかったらしい。 <br>王権が変わってからと言うもの、ロモスから余り良い噂は流れて来ない。 <br>ポップが先王をそのままの敬称で呼ぶのも、彼なりの親しみと皮肉を込めているのかもしれない。もっとも、現女王であるレオナに対してもことあるごとに姫と呼んでいるので、ただ単に慣れの問題なのかもしれないが。 <br>だがしかし、国を救った大魔道士が現王を王だと呼ばないのは、中々問題だ。 <br>勇者が行方不明となってしまっている今、世界を救った英雄への羨望は全てアバンの使徒達に注がれている。 <br>とりわけ、最後の決戦で重要な役割を果たし、決死の呼び声によって色々な人に勇気を与えた大魔道士は誰からも賛辞を述べられ、一目置かれる存在となった。 <br>当人は英雄に担ぎ上げられるよりも勇者を捜す事に忙しくて、世界各国からの祝事への誘いを事如く撥ね付けて世界中を放浪している。 <br>相変わらずの放蕩ぶりに、マトリフは大きなため息をついた。 <br>「………いいか、今日の用が終わったら一度ここに戻ってこい」 <br>「師匠？」 <br>俺姫さんにも呼ばれてるんだけど、と呟きながらポップは首を傾げた。 <br>そうしていると、年相応、それ以上に若く見える。とてもじゃないが、大魔王相手に啖呵を切り、対等に渡り合った大魔道士には見えない。 <br>彼の思うように成長しない身体は未だに華奢で、一般人に比べれば多少は鍛えてあるが、しかしそれはやはり多少だ。 <br>ヒュンケルは身体が治った事を機に本格的に身体を鍛え上げて、また一回り大きくなった。彼の隣に立つ際、ポップは開いた体格差にしばらく唸り声を上げて地団駄を踏んだ程だ。 <br>「………とにかく、遅くなっても構いやしねぇから、必ず戻れ。わかったな？」 <br>「………なんだよそれー………まぁ、別にいいけどさ」 <br>俺が居なくて淋しいんだよなー、なんて軽口を叩きながら、ポップはケラケラと笑ってマトリフによって追い出された。 <br>ポップがいなくなった洞の中は、にわかに嵐が起きたように騒がしくなった。 <br>バサバサ、ガシャン、と続けて音が聞こえ、その後にはただ一心不乱に本のページをめくる音だけが聞こえる。 <br>ただの目の錯覚だと思いたくて、マトリフは答えを求めて古い本達の海に飛び込んで埋没して行った。 <br><br><br><br><br><br><br>--------------------------------------------------------------------------------<br><br>2007/09/24 <br>すいません放置プレイでした・・・・・ <br>もうちょっとキリの好い所まで掲載することにします。 <br><br>
]]>
</description>
<link>https://ameblo.jp/bily-liar/entry-10343326718.html</link>
<pubDate>Tue, 15 Sep 2009 21:35:40 +0900</pubDate>
</item>
<item>
<title>天上天下　８</title>
<description>
<![CDATA[ <br><br><br>大魔王が倒されてから、既に三年の歳月が経とうとしていた。<br>いつだって圧倒的な悪に怯えていた人間達の顔からそれが消えて、少しずつ明るさが戻り始め、そして見違える程平和になった。<br>勇者アバンや勇者ダイが掴んだ平和は永劫的なものではないのだろうけれど、誰もが今の平和を享受して笑い合う。<br>それは、とても喜ばしい事だった。<br>アバンの使徒であるポップやマァム、ヒュンケル達は戦友であり、彼らを支えてくれた勇者の消失に今だ真の平和を思う事は出来ないが、そんな個人的な事など忘れたように時間は立って行く。<br>ポップは大戦が終わってから三年、殆どの時間を勇者捜索に当てていた。<br>他の仲間達もそうだ、アバンやレオナと言った自由の利かない身の人間以外は、いつだって勇者を捜して世界中を放浪している。<br>当てもなく彷徨う時もあるし、それらしい人物の噂を聞いて飛んで行く事もある。正直、あきらめにも似た感情がないわけでもない。<br>それでも、ポップはダイの捜索を取りやめようとは想わなかった。<br>自分の命と生涯をかけても見つからないようだったら仕方がないが、命がある限り何を捨ててもポップがダイを探そうと決意していた。<br>それが、最後の最後で置いて行かれた者の意地であり、せめてもの仕返しだと想っている。<br>自分の身はパプニカの女王が勝手に管理しているので、この先定職に就かなくても何の不自由も無いだろう。<br>渋々承諾した宮使えと言う立場も、放浪の身としてはありがたい。<br>ただ一つ不満をあげるのならば、女王陛下はポップにいささか色々と頼りすぎるという事だ。<br>「ポップ君、出かける前にこの書類だけ目を通しておいてくれない？裁決が必要なものだけでいいから」<br>「裁決って、………あのなぁ」<br>俺って名前だけ貸したんじゃなかったっけかぁ？なんて無駄口を叩きながら、ポップはレオナが纏めた書類を受け取った。<br>羊毛紙にびっしりと書かれた文字は、読めば読む程パプニカという国の政治的重要案件ばかりだ。<br>教育基本法案、教育機関の成立、軍将軍の任命、財務の立て直し案、国境付近の荒野への移民受け入れ、他国との貿易、外交等々………<br>ずらずらと並べられるこむずかしい言葉にさすがにポップもため息をつかざるを得ず、こんなこのを見るぐらいだったら高度な魔法書を見ている方がずっとましだと想っている。<br>ポップはため息をつきながらも、嫌々堅い羊毛紙をめくり始めた。<br>「世界を救った天下の大魔道士様が、許可を出したってだけで通る案件なんて山のようにあるのよ。茶化してないでさっさとやってちょうだい」<br>「………」<br>レオナは出会った頃よりもずっと大人になっていたが、ずけずけと言葉を投げかける癖ばかりは直っていない。<br>それが彼女の短所であり長所でもあるのだが、ポップはさすがに最近うんざりしていた。<br>世界を救ったのはあくまで勇者ダイであって、自分はそれを支えたに過ぎないのだと心底思っているからだ。<br>世間一般では勇者の存在は徐々に薄くなり、その替わり大戦に貢献したアバンの使徒達の名が知られるようになった。<br>その筆頭に立つのが、大魔道士ポップだ。<br>女王レオナが特に言葉に出してその存在を知らしめるので、自然と人々の心の中に彼の存在が息づく。<br>それは他国への牽制を込めての事だが、本人にはいい迷惑のようで、なるべくパプニカには足を向けないようにしている程だ。<br>しかし、彼女の援助がなければ、ポップを筆頭にヒュンケルやラーハルト、はたまたデルムリン島に住んでいるダイの育ての親の守護者が居なくなる。<br>それだけは避けなければとポップは定期的にパプニカに戻っては、レオナの憂さ晴らしに近い会合を求められていた。<br>「この案はまだ早いと思うぞ、国境付近の村はまだそんなに立ち直ってなかった」<br>移民案と国境の軍配備案をポイポイ、と避けて、ポップは次をめくった。<br>「学校を作り直すのはいいけど、ちゃんとしたマニュアルはもう出来てんのか？今と昔じゃだいぶ違ってるはずだ、まずは建物を造るよりも基盤をつくらなきゃ話になんねぇ。ついでにどさくさに盛り込まれてる兵役は大反対だ。今までどおり、望んだやつだけが戦えばいい」<br>ポップは読んでいるのか不安になるような速さで書類を捌いていき、横で眺めていたレオナはもう慣れたものだったが何度みても感心した。<br>彼の実家はただのしがない武器屋だと言っていたが、実はそうではないのではないかと勘ぐりたくなるほどだ。<br>執政官を山のようにみてきたレオナだが、ここまで有能な人間に出会ったことはない。<br>しかも、レオナと年もそう変わらない。帝王教育を徹底的に叩き込まれた女王は、人を見る目は人一倍ある。<br>その彼女が信頼しえる人間などほんの一握りにしか過ぎず、その一握りの一番奥にポップは位置していた。<br>ポップは大戦中、誰もが驚くほどに成長を遂げた。<br>それは勇者をしのぐ勢いで、戦いが終わってもその勢いはとまらなかった。<br>「財政難でも税金だけは上げるなよ、姫さん相手に不満が生まれる。パプニカ布地の生産工場の復旧に力を入れたらいい、そしたら長くても１年後には元が取れるはずだ。ベンガーナとカール相手にでも商売すれば、楽になるはずだぜ」<br>「………ちなみに三ヶ月後に定例世界会議があるんだけど」<br>「外交関係で若い王様達がなんか言い出したら、姫さんの護衛には俺が行く・・・それでいいんだろ？」<br>「よくわかってるじゃない、最近冴えていてくれて嬉しいわ」<br>本当、大戦中とは大違いだとレオナは呆れたため息をついた。<br>彼女にとって、ポップの初印象は決して良く無かった。<br>なよなよしていて、自分よりも強者を見つけると縮み上がってみっともなく騒ぐ。なんて情けない男なのかしら、と何度心の中で悪態をついたかわからないが、　よく考えてみれば自分たちの方が異常だったのだ。<br>ポップは大魔王と戦った誰よりも人間じみている。<br>怖いものは恐いといい、痛いものは痛いと叫ぶ。しかしそれを克服しようと努力して、そして実る。<br>好きなものを好きだと声に出して言えず、元来臆病な彼はしかし大切な人の為に勇気を出して力を手に入れ、他人を思いやる心までをも持つ。<br>なんて、理想の人間像なのだろう。<br>誰もがそうありたいと願って、だがなれない人間の理想像だ。<br>「今パプニカの執政官を勤めているヤツがね、本当に理屈だけの使えない男なの。ポップ君、ちょっとわたしの片腕になってみない？」<br>「………ダイが見つかったら、考えとくわ」<br>ポップは一瞬うんざりした顔でレオナに振り向き、そしてそう呟いてから背を向けて歩き出した。<br>誰か事情の知らぬ者が聞いたら体のいい言い訳にしか聞こえないだろうが、二人の間にあるある種の言葉遊びだった。何々をするのはダイが見つかってから、ダイが見つかったらあれこれしてやってもいいーーーー<br>三年も立てば、考え方も何もかも変わって行く。変わらないものなど、夜空の濃紺ぐらいなものだ。<br>「ねぇポップ君、今日はこの後何処に行くの？もう一度決済してもらいたい書類があるんだけど」<br>「………師匠んとこに顔出してから、ヒュンケル達とロモスで落ち合う事になってんだ」<br>「ああ、身体の経過を診てあげるのね、じゃあちょうどいいわ。みんな纏めてパプニカに一度戻って来てくれる？」<br>「嫌だってつっても、強制的なんだろ・・・」<br>「あら嫌ね、そんないい方されるととっても傷ついちゃうわ」<br>私はみんなに会いたいだけなのよとケラケラ笑うレオナは、年相当、それよりも可愛らしさがあってとても好感が持てる。ポップはそんな彼女の笑顔をみて、安心したように笑った。<br>世界は何事も無かったかのように進んで行く。ポップの身体も時にあわせて成長して行ったが、いささか先を行き過ぎてしまった気もしない。<br>可もなく不可もなく、これが勇者達が命を賭して得た平和だ。そんなものだろうと達観するにはまだレオナもポップも若過ぎて、時折昇華出来ない想いに捕われて悩む。<br>だから二人はわざと彼の名前を出して、再確認する。誰が居てくれたから、この平和があるのかを。<br>「ヒュンケルの具合はどう？もう後遺症もなさそうだけど」<br>「まぁ、成功っぽいよな」<br>あれからもう二年もたってるんだし、とポップは呟いてから、時の流れを感じて少し笑った。<br><br><br><br><br><br>-------------------------------------------------------------------------<br><br>2007/01/08 <br>本当、ポップって書き易いなぁ、すらすらお話が進んで行きます。 <br><br><br>
]]>
</description>
<link>https://ameblo.jp/bily-liar/entry-10343325863.html</link>
<pubDate>Tue, 15 Sep 2009 21:34:07 +0900</pubDate>
</item>
<item>
<title>天上天下　７</title>
<description>
<![CDATA[ <br><br><br><br><br><br><br><br><br>両手から放たれるは光。<br>隠れるようにパプニカの最奥の部屋に閉じこもったアバンの使徒達は、大魔道士の手のひらから出現する薄紫色の光を信じがたい表情で眺めていた。<br>僧侶の回復系魔法を少しでも習ったものならば、その輝きがどれほど誉れ高き事なのだとよくわかっただろう。<br>命を象徴する薄紫色の輝き、それは生命活動を終えた個体を心身ともに最高値の状態で蘇らせると言う、奇跡の蘇生術ザオリクだけが持つ色だからだ。<br>だが、ポップが出現させた光はそれだけではなかった。日向色の拳程の大きさの塊が、放たれる光の中できらきらと輝きながら浮遊している。<br>暗い部屋はほんのりと陽光の暖かさによく似た空気を纏い、それはとても不思議な光景だった。<br>ポップの目の前に座らされたヒュンケルは、訳が分からずずっと困惑したままで黙り込んでいた。<br>勇者を探してラーハルトと放浪している所を、突然現れたポップによってパプニカに連れてこられ、何か言おうとしてもいいから黙って座ってろという横暴な言葉によって遮られて、今に至る。<br>数ヶ月前に破邪の洞窟に単身で潜り、ずっと音信不通だったポップがひょっこりと戻って来たのはつい昨日の事だった。<br>薄汚れ、身体中を埃と泥だらけにしてパプニカに現れた彼は、レオナとマァムに一通りのお小言をもらい、パプニカに与えられた自室で一日中眠り込んでいた。<br>勇者に続いて彼まで、と酷く嘆いていたマァムはポップの行動に怒り狂っていたし、レオナはポップを士官に任命したばかりだったので、正直相当困っていた。<br>世界を救った大魔道士に逃げられたとなれば、パプニカ女王の評判は一気に地に墜ちる。<br>アバンは弟子の雲隠れにただただ笑うだけだったし、ヒュンケルも黙して何も言わなかった。所詮剣を糧に生きた男達とはそう言うものだ、女達の心配事とは無縁の所に生きているのだ。<br>ポップは大魔王と対峙し、追いつめた事がある程の魔力の使い手だが、外見的な特徴と軽い性格から、未だに頼りなく思われるところが多々ある。マァムも結局ポップの事を男性として、というよりも兄弟のような、肉親の存在で収めてしまった。<br>それは男にとって最大に不名誉な事なのだろうけれど、勇者捜索で手がいっぱいのポップにはもはやどうでもいい事だった。<br>数ヶ月分の垢を落とし、昼間にさっぱりした顔で現れた彼は女王に一つの頼み事をした。<br>それが、王宮の奥深く、王族しか入れない部屋の利用許可と、アバンの使徒達の招集だ。久しぶりに戻ったポップの無事な姿を確認し合うにはちょうど良かったし、レオナはそれを快く承諾した。<br>とりあえず、大魔道士に逃げられるという致命的な問題は回避出来たのだ。<br>ポップが口の中で何事かを呟き、両手に集まった光が複雑に絡み合ってヒュンケルに向かってゆっくりと墜ちて行った。<br>「ポップ、これはいったい………」<br>彼の意図が掴めないまま、ヒュンケルはただ困惑するしかなかった。<br>一介の武人にしか過ぎず、卓越した力を捨て去ってしまったヒュンケルに、何か意義申し立てるようなことは出来ない。したとしても、パプニカの女王の次に口の達者な弟弟子に言い争いでは勝てそうになかった。<br>ヒュンケルは覚悟を決めて、きゅ、と顎を引いて未知なるものにたいして備えた。<br>その光がすべて吸い込まれていくと、次にヒュンケルの体に異変が起きた。<br>「………！？」<br>太陽の温もりのような暖かさに包まれていた体の奥底から沸き上がるような熱が突き抜け、指先から脳髄の先まで伝わっていく。<br>他人には到底聞こえなかっただろうが、熱が伝わっていく箇所から小さな歪みが修復される細やかな音までもが、確かにヒュンケルには聞こえた。<br>それはみしみしだとか、ばきばきと言う音が相応しいに違いない。<br>ヒュンケルはただ自分に起こっている事が信じられなくて、何度もポップに視線を送って説明を求めた。<br>しかし元々素直ではない性格の彼は、ただ光をヒュンケルに与えながら意地悪く笑うだけだ。<br>周りに居るレオナやマァムも、ポップの行動に口が挟めないでいる。<br>光が引くのを待ってから、ポップは大きなため息を吐き出した。<br>「ポップ、君？」<br>レオナが遠慮がちに声をかけるのと同時に、ヒュンケルはおもむろに立ち上がって、体の異変にいつも鉄面皮を崩して額に汗をにじませた。　<br>もう二度と元の体にに戻ることはないと宣告され、その通りに闘気は失われたままだった。<br>無茶さえしなければ普通の生活は送れるだろう、しかし武人として生きてきた彼にとって、どれだけ屈辱的だったことか。<br>「ポップ………」<br>ヒュンケルが二の句を次ぐ前に、ポップは少しだけ興奮したように頬を赤く染め、得意げに鼻を鳴らした。小生意気な仕草だが、なんとも彼に似合っている。<br>「な、なんだ？」<br>もう一度問いかけようとして、ヒュンケルは身体の中に入り込んだ光の粒が唐突に身体の中で弾ける感触を味わった。それは痛みや不快感ではなく、燃え上がるような。そして、気が、身体中から溢れ出てくるのを確かに感じた。<br>「成功………かな？」<br>ポップはにやりと口の端だけをつり上げてわざとらしく笑い、兄弟子の惚けた姿を面白そうに眺めた。<br>いつも表情の動かない彼が、まぬけな顔で放心しているなんて、滅多に拝めるものではない。<br>一部始終を見守っていたマァム達すら、息を詰めて唇を震わせている。<br>「これが、大魔道士ポップ様が破邪の洞窟で手に入れて来た、新しい力だぜ」<br>ポップは得意そうに笑ってから、普段と変わらない飄々とした態度で、ヒュンケルに向かって肩を竦めて見せた。<br>「まさか………」<br>身体中から湧き出る闘気は、なじみ深いものだ。手放してしまってから随分時間が経った気もしたが、一度覚え込んだ身体は優秀にも感触を忘れては居ない。<br>ヒュンケルはおもむろに立ち上がって、まず両腕を大きく動かした。<br>普段ならきしむ様な筋肉の痙攣が幾度か起きるのだが、こきり、と軽く肩がなった程度だ。<br>次に開いたままの指を一斉に握りしめた。<br>常に武器を握っていた右手は、強く引きつる事がある。特に親指と人差し指の間を短い糸で繋いでしまったような拘束感が消えず、それが剣士であるヒュンケルにとっての、もっとも強い大戦の後遺症だった。<br>指先の感触がままならなければ、剣士として腕を振るう事は出来ない。<br>並みの人間を相手にする分には対して問題にもならないだろうが、最強を目指して一心不乱に鍛えて来たヒュンケルにとってそれは虚無にも等しい。<br>「………奇跡だ」<br>だからこそ、ヒュンケルは目の前で起こった現実が受け入れられず、困惑したままポップに向き直った。<br>一介の剣士としてならば、ヒュンケルは人間の中でもかなりの使い手だろう。<br>しかし、もう二度と元の身体に戻らないと宣告され、やはり大勢の命を奪った罰なのだと己に言い聞かせて大戦後を過ごして来た彼にとって、もう一度身体を気遣う事無く剣を振るう事が出来るなど、夢のようだ。<br>「え、なに？ちょっと待って、一体どう言う事なの？」<br>レオナは二人で勝手に進んで行く会話に困惑して、慌てて間の手を打った。<br>「ヒュンケルの身体を治したんだよ」<br>「身体？」<br>「こいつの身体は、本当だったらいつ動かなくなってもおかしく無いぐらいボロボロだったんだ。………普通の人間なら、とっくに寝たきりだ」<br>「………」<br>ヒュンケルの鉄面皮からは想像もつかない事だが、大戦中に請け負った彼の代償は、想像を超える程に大きかった。<br>歌を糧に生きる人間の喉を潰す、絵を書く人間の利き手を折り曲げる、それと同様の代価をヒュンケルは払ったのだ。<br>それをレオナ達は知っていたつもりでいたが、彼があまりにも普通に生活して普通に剣を握っているのでつい忘れがちになっていた。しかし、改めて言われるとぐ、と言葉に詰まってしまう。<br>そうだ、彼の身体はもうボロボロだったのだ、と。<br>「ポップ、俺はこの喜びをどう表現したら良い？お前に、どうすればこの気持ちを伝えられるんだ？」<br>「馬鹿だな、素直に喜べばいいんだよ………ああちくしょう、お前がそんな顔するとなんだかむずむずする」<br>ポップは顔を赤くして、興奮して接近してくるヒュンケルから逃れるように何度も窓際をぐるぐると回った。<br>そうしてる時は本当に年相応の、青年になりかけた少年の戸惑い方で、誰もが好感を持てる彼の愛すべき姿だ。<br>しかし、ひとしきり彼の中での照れ具合が収まると、改めて眉をひそめて、何もかもを達観してしまった大魔道士の顔に戻ってしまった。<br>「………でも約束してくれ。今やった事は、誰にも言わないって」<br>「ポップ？」<br>「どうして？貴方にこんな力があるなんて、それってとても素晴らしい事よ？」<br>マァムらしい博愛の言葉にポップはきまり悪げに顔を背け、気難しく顔をしかめているレオナと視線がぶつかった。<br>「………人よりも優れ過ぎた力は、時として災いになる。俺だってこの力がどこまで通用するか、よくわからねぇんだ」<br>言いにくそうに眉をひそめるポップは、実際の年よりも随分と大人びて見える。<br>若くして他者よりもずっと強い力を持つ事になった大魔道士は、自ずと自分がどれだけ異端に見えるかを無意識に感じ取っていた。<br>今ヒュンケルに使った魔法とて、常人で扱える様な回復呪文ではない。<br>怪我や病気を治すのが主の回復魔法の治癒力と、失った生命力を蘇らせる蘇生呪文を最大限まで高めて、彼の細かく刻まれてしまった体内の異常までも回復させたのだ。<br>アバンが手に入れた、魔力増幅の力。それに匹敵するだけの力を破邪の洞窟で手に入れて来たポップは、まず初めに兄弟子の身体を治そうと心に決めていた。<br>「ヒュンケルに使ってやれるのは、何か起きた時俺がすぐに診てやる事が出来るだろう？でも、大勢相手に使えば確かに誰もに感謝されるかもしれない、けど、俺はその後の面倒を診てやる事は出来ないんだ」<br>お前相手に言う言葉じゃないんだけど、とポップはきまり悪げに呟き、場を誤摩化すようにわざと乱暴に後頭部をかいた。はっきりとは言えないが、所詮は人体実験だ。その事実に、ポップは眉を寄せて難しく顔をしかめた。<br>「だがしかし、大勢の命を奪って来た俺だけが、その恩恵を授かるわけには………ッ」<br>「馬鹿言うんじゃねぇよ………あのなヒュンケル、俺は世界中の人達全員平等には出来ないが、自分の目の前で、必死になって頑張ったヤツを救う事は出来る。お前は確かに悪い事をしたかもしれないけど、それに見合う代償を払ったんだ」<br>「………」<br>「俺の目の前にいて、俺の知っている限りいろんな人の為に戦った。不公平かもしれねーけど、それだけでお前は許される価値を持ってるんだよ。俺は偉そうな事を言える立場じゃないし、姫さんみたいに地位をもっているわけじゃない。けどな、仲間を助ける事は出来る」<br>偉そうな事言っちまうけどさ、ポップはそんな軽口を叩きながらも目はいつだって真剣に輝いている。彼は仲間の顔色がいつだって気になったし、誰かに感謝されたりするのはあまり得意ではない。<br>昔の、見栄や自信ばかりが先行して、周りの見えない子供ではなくなってしまったからだ。<br>「ダイを見つける為に、お前にはもうちょっと頑張ってもらわなきゃ困るんだよ！俺だけで探すには、この世界は広過ぎるんだ」<br>ポップは照れ隠しにそんな事を行って、幼さの残る笑顔で舌を出した。<br><br><br><br><br><br><br><br>--------------------------------------------------------------------------<br><br>2007/01/8 <br><br>ようやくポップが出て来た・・・ <br>
]]>
</description>
<link>https://ameblo.jp/bily-liar/entry-10343324851.html</link>
<pubDate>Tue, 15 Sep 2009 21:31:53 +0900</pubDate>
</item>
<item>
<title>軌跡（天上天下・購入者限定）</title>
<description>
<![CDATA[ こちらは天上天下（サイト連載終了・現在DL販売中）の番外編を載せていく案内ページでございます。 <br>サイトでは掲載していない箇所の番外編になりますので、購入者様限定とさせて頂きます。 <br><br>大変お手数ですが、この先に進まれる方は以下の質問の答えを記載URLに埋め込み、URLを完成させて下さい。 <br>※質問はサイトでは掲載していない箇所での質問になります。 <br><br>本を購入なさってくださった方→オフ本「<font color="#FF0000">35P/2行目/3文字目</font>」から始まる単語を英語に変換してください。 <br><br>DL販売にて購入なさってくださった方→同梱されている「天上天下（印刷用）」ファイル「<font color="#FF0000">36P目/17行目/4文字目</font>」から始まる単語を英語に変換してください。 <br><br>※↑印刷用word2007が起動できない環境の方※<br>同梱されている「ten-webファイル」内「ten6.html」→「<font color="#FF0000">中間記号・□□□のすぐ上の行/5文字目</font>」から始まる単語を英語に変換してください。 <br><br><br>http://darlin.ivory.ne.jp/liar/＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊.html <br>（半角英数字・全て小文字） <br><br>答えに関する質問にはお答えできませんので予めご了承ください。 <br>注意：捻らないで普通に訳してください（単語をそのままyah00翻訳かけるのがオススメ） <br><br>上記ページは、移転完了後にURLが変わりますので、ブックマークなどはしないでください。
]]>
</description>
<link>https://ameblo.jp/bily-liar/entry-10343220192.html</link>
<pubDate>Tue, 15 Sep 2009 18:10:41 +0900</pubDate>
</item>
</channel>
</rss>
