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<title>読書の迷宮</title>
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<description>小説・ノンフィクションなどなど、読んだ本の感想を種類に関わらず書いていきます。</description>
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<title>「首都感染」（高嶋哲夫）</title>
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<![CDATA[ <p>「首都感染」（高嶋哲夫）</p><p>&nbsp;</p><p>　今回の新型コロナウイルスの件で話題になり気になって読む。１０年前の作品。</p><p>&nbsp;</p><p>致死率の高い新型インフルエンザが中国から全世界に広がる中、日本では東京で遂に感染者が。そこで取られた方法は？</p><p>&nbsp;</p><p>小説としては非常に面白いのだが、どこか「醒めた」感じがあるのは非常に緻密に取材された情報を元にリアルな「シミュレーション」として描かれているからだろうと思う。</p><p>&nbsp;</p><p>そのシミュレーションの結果を一つの娯楽小説として描いている感じで、迫力ある内容だけれど小説「復活の日」映画「コンテイジョン」のような迫真性は薄かったかな。</p><p>&nbsp;</p><p>小説では日本のみが初期段階で元WHOの医者の提言で首相判断で「首都封鎖」を徹底的に行なって致死率５～６割の新型インフルエンザで世界中が何千万人死亡している中で日本だけが封じ込めに成功する展開になっていく。</p><p>&nbsp;</p><p>あくまで主人公医師と首相や閣僚、官僚たちの視点から多く描かれるので全世界で各国何千万も死んでいるのにそのパニックと悲壮感は非常に薄い。その辺りがシミュレーション的な感じを与えるのか。</p><p>ただ、逆に小説だからこそこれほど完璧な作戦が実行できるのかな？ってあたりもある。これを満点として考えたらどこまでそこに近づけるか？だろうな現実が。</p><p>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/book-1/entry-12593570703.html</link>
<pubDate>Thu, 30 Apr 2020 18:21:21 +0900</pubDate>
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<title>「殺戮のチェスゲーム」（ダン・シモンズ：ハヤカワ文庫NV）</title>
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<![CDATA[ <p><span style="font-weight:bold;"><span style="font-size:1.4em;">「殺戮のチェスゲーム」（ダン・シモンズ：ハヤカワ文庫NV）</span></span></p><p>&nbsp;</p><p>　「ハイペリオン」シリーズのダン・シモンズのホラー小説。</p><p>&nbsp;</p><p>作品自体は１９８９年著で翻訳が１９９４年。気になっていた作品を古書店で見つけて購入して積ん読にしていたもの。</p><p>現在も本は入手困難と思うが、AmazonではKindle版で出ているので手に入りやすくなってます。</p><p>&nbsp;</p><p>　さて内容ですが、あらすじを読んでてっきり「吸血鬼もの」と思い込んでいたのですが、いわゆる「人間の血を吸って長生きする不老不死の化け物」的な存在では無い。</p><p>&nbsp;</p><p>その意味では純然たるヴァンパイア・ホラーを求めている人には物足りないかも知れない。</p><p>&nbsp;</p><p>本編を読んでいても彼ら種族が血を吸う描写は無く、人間側（と言っても両方同じ人間なのだが）からのセリフで「マインド・ヴァンパイア」と称する場面がある程度。</p><p>&nbsp;</p><p>ただ、普通の人間と変わらぬ寿命ではなくなんらかの方法で人間のエネルギー、精気などを吸い込んで若さを取り戻す・保つらしき描写がチラリと出てくるのだが、さりとて実際にその精気吸収などの様子は無い。</p><p>&nbsp;</p><p>それらの描写・説明不足が非常に気になる点で気にかかる点でもあるのだが、その点は読んでいて大きく不満になる事は無い。それほど本書はずば抜けて面白いのだ。</p><p>&nbsp;</p><p>　物語はナチス・ドイツによるユダヤ人収容所の描写から始まる。</p><p>&nbsp;</p><p>主人公の一人、ユダヤ人のソール・ラスキは家族ともども収容書に入れられるのだが、そこで特殊な能力を持つ「大佐」と出会う。</p><p>&nbsp;</p><p>九死に一生を得るソールだが、そこでの経験から大佐への憎しみを持って「必ず見つけて殺す」と思い人生のすべてを注ぎ込むようになる。</p><p>&nbsp;</p><p>一方、アメリカのチャールストンで発生したある連続殺人事件が謎を呼ぶ。</p><p>一見するとなんら関係の無い男女が互いに殺し合い、多くの犠牲者が出る。</p><p>&nbsp;</p><p>これが、ソールが探していた「大佐」と同族のマインド・ヴァンパイアたちによる戦いのスタートだった。</p><p>&nbsp;</p><p>過去回想シーンで、ソールがナチス・ドイツの「大佐」によってある屋敷の中で行われた「人間チェスゲーム」のポーンの駒として扱われ、そこからなんとか逃げ出した様子が描かれる。</p><p>&nbsp;</p><p>「大佐」は人を自在に操って人間を巨大チェス盤の上の「駒」として動かしていたのだ。そして駒を「取る」とは相手の駒を殺す事で…</p><p>&nbsp;</p><p>物語では、次第に明かされていくけれどもこの能力を持ったマインド・ヴァンパイアと呼ばれる奴らが複数居て、しかも経済界や政界やFBIなどなど広く重要な地位に居る人物たちでグループを作っているわけで。</p><p>&nbsp;</p><p>そこに属している奴らだけでなく別に行動している奴も居て、互いの思惑で互いが戦おうとしている。</p><p>&nbsp;</p><p>ソールは大戦中に大佐に駒として使われた事で彼を憎み、見つけて殺そうとするのだが、もうひとり、チャールストンの一般人の連続殺人事件の犠牲となった黒人男性の娘ナタリーもまた、父親の死の原因を知る為に現地にやってくる。</p><p>&nbsp;</p><p>ここから、ソールとナタリーともうひとり軍保安官の３人の人間側と、マインド・ヴァンパイアたちのそれぞれの動きを場面を変えて双方から描いていく重層的な構造になっていく。</p><p>&nbsp;</p><p>　小説は５００ページほどの文庫本３分冊って事でかなりのボリュームなのだが、それを一気呵成に読ませる文章力と数多くの見せ場の配置で全く飽きさせる事は無い。</p><p>&nbsp;</p><p>この辺りはさすが、同年に書いた「ハイペリオン」シリーズの四部作を書いた著者だけあって、その筆力は凄まじく圧巻の読書でした。</p><p>&nbsp;</p><p>冒頭のチャールストンでの殺戮の様子は、あるマインド・ヴァンパイアの老婦人が同じくマインド・ヴァンパイアの老婦人が操る人間どもに襲われていくのを、自分の能力を使ってそばにした人をいわば「自由に使える護衛」として追っ手と戦わせて行くのだが、その手当たりしだいな戦い方は凄まじい感じだった。</p><p>&nbsp;</p><p>これは中盤での黒人ギャンググループも巻き込んでのその老婦人能力者との戦い、そこに能力者集団からの戦いも巻き込んでの三つ巴の大戦闘シーンは一つのクライマックスと言えるだろうか。</p><p>&nbsp;</p><p>政財界宗教界を牛耳ってる奴らが作る能力者のグループは、アメリカの政治経済を自由に操れるのだが、そのグループに「大佐」は戦いを挑んでどうやら自分の思惑である「世界を駒にして戦争と言うなのゲーム」をやろうとしているのが分かる後半。</p><p>&nbsp;</p><p>クライマックスはそれら能力者の覇権をかけて、ある島で演じられる人間チェスゲームの展開が描かれる。</p><p>&nbsp;</p><p>まあ人を自由自在に操る敵に対してソールたち普通の人間が徒手空拳で戦いを挑んでも、自由に操られた人間たちを護衛として阻まれるし、目の前まで迫ったとしても今度は自分が自由に操られてしまって相手を倒せない。</p><p>&nbsp;</p><p>「こんなの無理ゲーで戦えすらしないんじゃないか？」と思わせるシチュエーションなのだが、そこはうまく考えていて色々な手を使って相手に近づく。</p><p>&nbsp;</p><p>もちろん、ご都合主義に見える所もあるし主人公フラグと言うか運が強くて助かる場面もあるのだが、クライマックスのアイデアは凄かった。</p><p>&nbsp;</p><p>精神的に支配権を握ろうとする相手に対する防御方法として「ああ、そういう手を使うのか」と凄さを感じた。</p><p>&nbsp;</p><p>これは過去回想シーンであるソールのユダヤ人強制収容所のドラマとも深く関わってくるし、彼がその後の人生をかけて人間の凶暴性を心理学者として研究して、人間の精神に対する医学的な考察も最新科学を使って考え身につけていたからこそ、と思える凄さであり。</p><p>&nbsp;</p><p>　全体としては、期待していた程では無い描写もあったり、それは「吸血鬼もの」として思い込んで読み始めたこちらの期待を裏切って「血を吸うヴァンパイア」な描写が一切なく、相手を精神支配するのを擬似的に「ヴァンパイア」として「マインド・ヴァンパイア」って表現になっていただけな点もある。</p><p>&nbsp;</p><p>しかし、それら不満点は些末なものであって、全体としての「人が人を殺すと言うこと」の本能的な部分、人間の精神の基本的構造の部分にまで迫る深さ、それを基本としつつホラーとしての怖さ、アクション・サスペンスとしてのスケールの大きさと面白さ、それらをジャンルミックスしつつ全体では「ホラー小説」として収まりきらない大エンターテイメント小説に仕上がっていた傑作だったと思います。</p><p>&nbsp;</p><p>似たような規模で言えば、同じダン・シモンズの「ハイペリオン」だとか小野不由美の「屍鬼」などに通じる大長編大エンターテイメントだったと思います。</p><p>そう言えば「屍鬼」もスティーヴン・キングの「呪われた町」にオマージュされた吸血鬼ものだったな。</p><p>&nbsp;</p><p>　余談ですが、本作でマインド・ヴァンパイアたちが人間を自由に操る描写があるのですが、いわゆる「血を吸うヴァンパイア」にも相手を魅了させて自分の思う通りに扱うって能力があったような。</p><p>&nbsp;</p><p>その点から、読み始めた時には「この自由自在に人間をコントロール出来るってのは、彼らがヴァンパイアであって、その能力の一つなんだろうな」と思い込んで読んでいた部分があります。</p><p>&nbsp;</p><p>その結果、「いつになったら人間の血を吸う描写が出てくるんだろうか？」と思ったりしました。</p><p>&nbsp;</p><p>結果的に違うのですが、ヴァンパイアほど不老不死な種族では無いけれども比較的長寿であり人間から何らかのエネルギーか精気を吸収して若さをある程度保つ事は可能な感じでしたね。</p><p>&nbsp;</p><p>その辺りでは、人間界にごくごく稀に生まれる不老不死の種族を描くポール・アンダースンの「百万年の船」を思い出す部分もある。</p><p>あれは吸血鬼ではなく、遺伝子異常か何かで世界に何人かしか生まれていない不老不死種族が様々な時代を過ごしていく年代記で。</p><p>&nbsp;</p><p>本作のマインド・ヴァンパイア種族側の過去の出来事の断片的な描写が「百万年の船」を思い出させる部分もありました。</p>
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<link>https://ameblo.jp/book-1/entry-12588999127.html</link>
<pubDate>Sun, 12 Apr 2020 10:48:05 +0900</pubDate>
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<title>「石黒くんに春は来ない」（武田綾乃）</title>
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<![CDATA[ <p><span style="font-size:1.4em;"><span style="font-weight:bold;">「石黒くんに春は来ない」（武田綾乃：幻冬舎文庫）</span></span></p><p>（2019-12-22読了）</p><p>&nbsp;</p><p>　「響け！ユーフォニアム」でファンになった武田綾乃さんの作品。</p><p>&nbsp;</p><p>分野としては学園ミステリーに入るのでしょうか？この手の作品をよく読んでいる人には正直、「ああ良くある話だな」程度で終わっているかも知れません。</p><p>&nbsp;</p><p>物語はクラスの女性に告白をした石黒くんが、その直後に事故に遭って意識不明の重体になり「失恋のショックで自殺未遂か？」と言われる所から始まる。</p><p>&nbsp;</p><p>ところが、主人公らが入っているLINEに石黒くんが参加し…</p><p>&nbsp;</p><p>物語の中心になっているのはクラスの中のヒエラルキー、スクールカーストの様相。</p><p>そこで女帝として君臨している女性が石黒くんを振って問題が発生していったのだが、それ以外にもLINEをっ中心とした差別やいじめが生まれている。</p><p>&nbsp;</p><p>石黒くんの事件をきっかけにして、後半ではそのスクールカーストが生んだいじめ問題が猛烈な反発となっていじめられていた側からの反撃戦が始まっていく。</p><p>&nbsp;</p><p>　全体の構図、オチの辺りだけを表層的に捉えると、本作は「学園ミステリー」としてはコアなミステリーファンにはかなり物足りない内容かな？と思います。</p><p>&nbsp;</p><p>ただ、「響け！ユーフォニアム」の、特にスピンオフの「立華高校マーチングバンドへようこそ」を書いて以降の武田綾乃さんの文章力の凄さを思うと、本作のある部分が非常に心惹かれる部分があるのです。</p><p>&nbsp;</p><p>単なるミステリーとして考えると「よくあるパターンだよな」で終わるのでしょうが、主人公の心理描写で考えると非常に怖くもあり深くもある内容だったと思います。</p><p>&nbsp;</p><hr><p><br><br><br><br>&nbsp;</p><p><span style="color:#ff0000;"><span style="font-weight:bold;"><span style="font-size:1.96em;">※以下、ネタバレがあります。</span></span></span></p><p>&nbsp;</p><p><br><br><br><br>&nbsp;</p><hr><p>&nbsp;</p><p>　この作品、主人公の恵の視点で展開していくのだが、普通なら京香に対するタマリンたちの反撃の方向性に最初から違和感と反発を感じて「え？それって私達が逆に京香やそのとりまきを「いじめてる」事になるんじゃないの？」となるはずなんですよね。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>ところが、最初の段階では恵みは友達と一緒になってタマリンとしての行動に同調して自分も溜飲を下げるっぽい展開になっていて「え？」と感じてしまっていたのです。</p><p>&nbsp;</p><p>その後、ラストの展開を経て様相は大きく変わっていくのですが、初動段階で主人公がこれら反撃行為に乗ってしまってるあたりに普通の学園ミステリー物とは違う、心理描写の深さと複雑さを感じました。</p>
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<link>https://ameblo.jp/book-1/entry-12565602036.html</link>
<pubDate>Wed, 08 Jan 2020 21:54:55 +0900</pubDate>
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<title>「シンギュラリティ・トラップ」（デニス・E・テイラー）</title>
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<![CDATA[ <p><span style="font-weight:bold;"><span style="font-size:1.4em;">「シンギュラリティ・トラップ」（デニス・E・テイラー：ハヤカワ文庫ＳＦ）</span></span></p><p>&nbsp;</p><div contenteditable="false" style="border:1px dotted;padding:15px;border-radius:4px;"><table border="0" cellpadding="0" cellspacing="0" style="margin:0;table-layout:fixed;" width="100%"><tbody width="100%"><tr><td aligin="center" style="vertical-align:middle;" width="95"><span style="display:block;text-align:center;"><a alt0="AmebaAffiliate" alt1="シンギュラリティ・トラップ （ハヤカワ文庫SF） [ デニス・E・テイラー ]" alt2="楽天" alt3="https://thumbnail.image.rakuten.co.jp/@0_mall/book/cabinet/2546/9784150122546.jpg?_ex=128x128" alt4="8" href="http://hb.afl.rakuten.co.jp/hgc/g00q0723.3r3i8c26.g00q0723.3r3i9fd9/372450?pc=https%3A%2F%2Fitem.rakuten.co.jp%2Fbook%2F16013624%2F&amp;m=http%3A%2F%2Fm.rakuten.co.jp%2Fbook%2Fi%2F19733205%2F" target="_blank"><img alt="シンギュラリティ・トラップ （ハヤカワ文庫SF） [ デニス・E・テイラー ]" border="0" data-img="affiliate" src="https://thumbnail.image.rakuten.co.jp/@0_mall/book/cabinet/2546/9784150122546.jpg?_ex=128x128" style="max-width:95px;vertical-align:middle;margin:0;"></a></span></td><td style="line-height:1.5;padding-left:15px;vertical-align:middle;"><a alt0="AmebaAffiliate" alt1="シンギュラリティ・トラップ （ハヤカワ文庫SF） [ デニス・E・テイラー ]" alt2="楽天" alt3="https://thumbnail.image.rakuten.co.jp/@0_mall/book/cabinet/2546/9784150122546.jpg?_ex=128x128" alt4="8" href="http://hb.afl.rakuten.co.jp/hgc/g00q0723.3r3i8c26.g00q0723.3r3i9fd9/372450?pc=https%3A%2F%2Fitem.rakuten.co.jp%2Fbook%2F16013624%2F&amp;m=http%3A%2F%2Fm.rakuten.co.jp%2Fbook%2Fi%2F19733205%2F" target="_blank">シンギュラリティ・トラップ （ハヤカワ文庫SF） [ デニス・E・テイラー ]</a><div style="padding: 3px 0;">1,210円</div><div style="font-size:0.83em;">楽天</div></td></tr></tbody></table></div><p>&nbsp;</p><p>　2019-11-20読了。</p><p>&nbsp;</p><p>　「われらはレギオン」３部作のデニス・E・テイラーの新刊って事で発売してすぐに購入。</p><p>&nbsp;</p><p>内容は「われらはレギオン」にハマった人なら確実に楽しめる内容だと思います。非常に面白かったのだが、その一方で「われらはレギオン」程はハマらなかったと言えるかも。</p><p>&nbsp;</p><p>内容は、小惑星での資源探査と採掘を行う炭鉱船に乗った主人公が、とある小惑星で偶然接触した「何か」によって変異が起こる事から始まります。</p><p>&nbsp;</p><p>まず、最初で描かれる小惑星への炭鉱風景ですが、近未来に人類が太陽系の中に生活圏を広げてその中で新たに一攫千金も目指して多くの炭鉱船が小惑星に向かっていく描写が非常にリアルで良かったか。</p><p>&nbsp;</p><p>その後、主人公が接触した何か？が実は人類文明とは違う何者かが設置したナノマシンらしいと分かってから、それを疫病のように隔離して調査する話へと展開します。</p><p>この時点で「アンドロメダ病原体」っぽいな？と感じた次第。そうなるとこの謎の現象を調べる方向でハードＳＦ的に物語が展開するのかな？と思っていると、これまた一つの通過点でしかありませんでした。</p><p>&nbsp;</p><p>中盤以降では、そのナノマシンを中心とした宇宙規模、銀河規模の話へと展開していってそこで人類が果たす役割、存在意義を問われる話へと繋がっていく。</p><p>&nbsp;</p><p>この後半部分がちょっとノリきれ無かった点が大きいかな。人類が大きな潮流に飲み込まれて滅亡するか、存続するか、存続するとしても今の人類が居なくなるような世界なのかって話で、それを何とか回避する方向に向かおうとするのだが、って点で。</p><p>&nbsp;</p><p>個人的には冒頭の宇宙での生活風景のリアルさが面白かったのと、宇宙空間でナノマシンや未知の疫病に襲われた場合のWHOやアメリカのＣＤＣ的な組織が隔離して検査、治療を行う様子が非常に面白くてサスペンスフルでマイケル・クライトンの「アンドロメダ病原体」的面白さに圧倒されたので、その展開で最後まで行ったら満点だったろうと思います。</p><p>&nbsp;</p><p>ナノマシン関連ではかなり昔に読んだ「無限アセンブラ」（ケヴィン・Ｊ・アンダースン、ダグ・ビースン）を思いだした。月面で謎の建築物が構築されていって、それが実は人類文明以外を発祥とするナノマシンによる作業の結果だったと。それを調査すると同時に、確か南極にあるナノマシンの研究施設の話も出てきていて、そのあたりの雰囲気は本作と似ているかな？と。</p><p>&nbsp;</p><p>本作では後半、そのナノマシンの持つAI的な存在と主人公との会話が元でいろいろな展開があるのだが、全体的に後半は娯楽要素重視となって（仕方ないと言えば仕方ないのだが）前半中盤のサスペンスフルでワクワクした感覚は薄れていった感じです。</p><p>&nbsp;</p><p>娯楽としての面白さの根底には「われらはレギオン」と通じる部分もその意味ではあるかな。あの作品も人間の機械へのコピーを中心技術に据えているけれど、基本は異星人との出会いであり戦闘的な異星人との全面対決の話になっているので、本作もそのラインと似た構成にはなっているか。</p><p>ただ、前半中盤の感じから自分が読みたかった後半展開では無かったって点で。</p>
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<link>https://ameblo.jp/book-1/entry-12552360021.html</link>
<pubDate>Tue, 03 Dec 2019 20:15:31 +0900</pubDate>
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<title>「もののあはれ」（ケン・リュウ：ハヤカワ文庫）</title>
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<![CDATA[ <p><span style="font-weight:bold;"><span style="font-size:1.4em;">「もののあはれ」（ケン・リュウ：ハヤカワ文庫）</span></span></p><p>（2019-08-29読了）</p><p>&nbsp;</p><p>　ケン・リュウの短編集２作目。</p><p>&nbsp;</p><p>　「もののあはれ」～本作で一番良かった作品。</p><p>&nbsp;</p><p>地球壊滅のデザスターから人類が脱出する為に恒星間移民の宇宙船が作られたのだが、全人類全てを救出するには足りないどころかその一部しか助けられない。</p><p>&nbsp;</p><p>主人公の男の子は日本人で、日本から脱出出来た数少ない日本人の一人。その宇宙船の中での生活が描かれると同時に、過去回想シーンで地球最後の様子が描かれていく。</p><p>&nbsp;</p><p>その宇宙船にも危機がやってくる。それを主人公がなんとか助けようとするのだが…</p><p>&nbsp;</p><p>日本が舞台となっていて日本人が主人公となっている点で非常に興味深いと同時に日本人として読んでいて感動的な深さを感じた。</p><p>&nbsp;</p><p>地球の最後の様子に関しては古典である「地球最後の日」或いは松本零士の漫画の「ワダチ」の場面を思い出したり。</p><p>&nbsp;</p><p>　「潮汐」～ショートショートな感じの作品。</p><p>&nbsp;</p><p>　「選抜宇宙種族の本造り習性」～宇宙に存在する様々な宇宙人が、どのような本を作っているのか？を多彩に描く短編。</p><p>雰囲気としてはどこか「紙の動物園」収録の「結縄（けつじょう）」のアイデアを複数まとめた感じ。</p><p>&nbsp;</p><p>　「どこかまったく別な場所でトナカイの大群が」～ケン・リュウの作品に数多く登場するシンギュラリテを描く短編。</p><p>&nbsp;</p><p>人類が進化の過程で物理的存在からデジタルなデータの存在へと移行する話なのだが、人間がその肉体的存在として生き残るか？と、新たにデジタルデータの新人類として別次元の生き方をするか？の端境期で、両者の感性や交流を親子の関係として描く作品。</p><p>&nbsp;</p><p>雰囲気としては、やはり似たテーマを多く描いているグレッグ・イーガンの初期の作品に通じる雰囲気とアイデアがあって本書でも「もののあはれ」に次いで好きな作品です。</p><p>&nbsp;</p><p>　「円弧（アーク）」～人類の不死に対する様相を描く。技術的には遠未来なテクノロジーに思えますが、内容的に近未来の描写に感じられる魅力がありました。</p><p>&nbsp;</p><p>しかし「不死」が魅力的に思えてもそれが人間にとてどう意味するのか？を問う物語であり、これも端境期における</p><p>&nbsp;</p><p>　「波」～「円弧」から続く物語。舞台は宇宙に移り、恒星間宇宙船の中で世代交代を行って他の恒星系に向かう主人公らの元に地球からメッセージが送られてくる。</p><p>&nbsp;</p><p>そこには人間を不老不死にするテクノロジーが。これは「円弧」から直接的に繋がる話なのかな？と思う。そのテクノロジーをどうするのか？で宇宙船の乗組員の中で意見が分かれる。そしてそれは夫婦の間でも親子の間でも。</p><p>&nbsp;</p><p>シンギュラリティを描く短編でもそうだけど、不老不死のテクノロジーを手に入れた人類はどう選択するのか？その選択は果たして正しいのかどうか？を深く考えさせられる作品。</p><p>&nbsp;</p><p>　「１ビットのエラー」～タイトルからコンピューターの話、シンギュラリティの話か？と思えるが実は微妙に違う感じ。</p><p>&nbsp;</p><p>人間が宗教や信仰心を持つ時に天使を見るかどうか？を人間の脳とコンピューターとの相似で考えて、人間の脳の中の「１ビットのエラー」が何かを感じさせ、見させているのでは？を考えるアイデアが面白かった。</p><p>&nbsp;</p><p>　「良い狩りを」～中華ファンタジーで始まったと思ったら、一転してスチームパンク展開に。</p><p>&nbsp;</p><p>しかし、その精神には中華ファンタジーの精神としてのおとぎ話的な魅力を持ったままだったのが良い。SFとファンタジーの融合、そこに中国の思想・文化を基軸としているあたりがこの作家らしい魅力でした。</p>
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<link>https://ameblo.jp/book-1/entry-12537203009.html</link>
<pubDate>Sat, 19 Oct 2019 08:42:33 +0900</pubDate>
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<title>「いまさら翼といわれても」（米澤穂信：角川文庫）</title>
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<![CDATA[ <p><span style="font-weight:bold;"><span style="font-size:1.4em;">「いまさら翼といわれても」（米澤穂信：角川文庫）</span></span></p><p>（2019-07-28読了）</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><div contenteditable="false" style="border:1px dotted;padding:15px;border-radius:4px;"><table border="0" cellpadding="0" cellspacing="0" style="margin:0;table-layout:fixed;" width="100%"><tbody width="100%"><tr><td aligin="center" style="vertical-align:middle;" width="95"><span style="display:block;text-align:center;"><a alt0="AmebaAffiliate" alt1="いまさら翼といわれても (角川文庫)" alt2="Amazon" alt3="https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/41NAViNjf-L._SL160_.jpg" alt4="1" href="https://www.amazon.co.jp/%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%95%E3%82%89%E7%BF%BC%E3%81%A8%E3%81%84%E3%82%8F%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%82%82-%E8%A7%92%E5%B7%9D%E6%96%87%E5%BA%AB-%E7%B1%B3%E6%BE%A4-%E7%A9%82%E4%BF%A1/dp/4041081645?SubscriptionId=AKIAJLD6FH2TADXIQKDQ&amp;tag=amebablog-a372450-22&amp;linkCode=xm2&amp;camp=2025&amp;creative=165953&amp;creativeASIN=4041081645" target="_blank"><img alt="いまさら翼といわれても (角川文庫)" border="0" data-img="affiliate" src="https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/41NAViNjf-L._SL160_.jpg" style="max-width:95px;vertical-align:middle;margin:0;"></a></span></td><td style="line-height:1.5;padding-left:15px;vertical-align:middle;"><a alt0="AmebaAffiliate" alt1="いまさら翼といわれても (角川文庫)" alt2="Amazon" alt3="https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/41NAViNjf-L._SL160_.jpg" alt4="1" href="https://www.amazon.co.jp/%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%95%E3%82%89%E7%BF%BC%E3%81%A8%E3%81%84%E3%82%8F%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%82%82-%E8%A7%92%E5%B7%9D%E6%96%87%E5%BA%AB-%E7%B1%B3%E6%BE%A4-%E7%A9%82%E4%BF%A1/dp/4041081645?SubscriptionId=AKIAJLD6FH2TADXIQKDQ&amp;tag=amebablog-a372450-22&amp;linkCode=xm2&amp;camp=2025&amp;creative=165953&amp;creativeASIN=4041081645" target="_blank">いまさら翼といわれても (角川文庫)</a><div style="padding: 3px 0;">734円</div><div style="font-size:0.83em;">Amazon</div></td></tr></tbody></table></div><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>　米澤穂信の「古典部シリーズ」の最新文庫。６本の短編からなる。</p><p>非常に面白かったですね。</p><p>&nbsp;</p><p>　一番面白かったのは「わたしたちの伝説の一冊」。</p><p>&nbsp;</p><p>これは伊原摩耶花が主人公のエピソード。摩耶花の漫研のエピソードはいずれも胃が痛くなる話なんだけど、本作もまさにそれで読んでて辛い辛いって感じで。</p><p>&nbsp;</p><p>仲間になるのかな？と思ったクラスメートが実は最初から計画的に動いてたり、別の部員の策略に乗せられて隠れて本を出す話に参加したらバレて圧迫を受けるし。</p><p>&nbsp;</p><p>これ悲惨な話になってって、終わったとしても禍根を残すオチになるんじゃないか？と思って読み進めていたら、最後「そうなるかぁ」って驚きのオチに。</p><p>&nbsp;</p><p>これをハッピーエンドと見るかどうか？は難しいんだけれど、学校の中での出来事、部活の中での人間関係、それだけにとどまらないもっと広い「人生」や「世間」の視点から眺めて「自分はどう生きたいか・生きるべきか」を感じさせ考えさせる見事な終わり方だったと思う。</p><p>&nbsp;</p><p>このエピソード、是非ともアニメ化して欲しい。</p><p>&nbsp;</p><p>　「箱の中の欠落」これは良くも悪くも導入部的なライトな謎解き。</p><p>&nbsp;</p><p>アームチェアディテクティブ的な、状況からトリックを考えていくやりかただけど冒頭のチラッと描かれた事が解決のアイデアになっている見事さ。</p><p>&nbsp;</p><p>　「鏡には映らない」これは「わたしたいの伝説の一冊」「いまさら翼といわれても」に次ぐ面白さの作品。</p><p>&nbsp;</p><p>折木奉太郎の中学時代のエピソードを描く作品。これまた伊原摩耶花が主人公となって、中学時代にあったとある事件の謎を解く話になっている。</p><p>&nbsp;</p><p>この中でも人間関係の嫌な部分が出てくる。辛い話になっていくのだが、それでも解明していかないと気が済まないよな、摩耶花の立場だと。</p><p>&nbsp;</p><p>　「連峰は晴れているか」読み始めて「あれ？これって何か知ってる話だぞ？」と思った瞬間、「ああこれ、アニメのエピソードであったか」と気づいた次第。</p><p>&nbsp;</p><p>この本は比較的最近の出版だから、そこにアニメ化されたエピソードが入ってるとは思わなかったので驚いた。いやタイトルで気づいておけよ。</p><p>おそらく発表時期が比較的早くて本に収録されたのが遅かったのか？</p><p>&nbsp;</p><p>内容的にはこれもアームチェアディテクティブ的な話で。かつて先生がつぶやいたひと言を元にして真相を解明していく手法。第１話同様にシンプルにしてミステリーとして見事。</p><p>&nbsp;</p><p>　「長い休日」これも折木奉太郎の過去のエピソード。</p><p>&nbsp;</p><p>ついつい千反田えるに語ってしまった自分の過去にあった出来事。単なる過去話ではなく、そこに推理要素を潜ませているあたりが見事。</p><p>&nbsp;</p><p>あと、省エネと言われる奉太郎の行動の原点を描くエピソードなのも見逃せない。</p><p>&nbsp;</p><p>　「いまさら翼といわれても」これは本作では「わたしたちの伝説の一冊」に次いで二番目に見事だったエピソード。</p><p>&nbsp;</p><p>合唱のメンバーに選ばれている千反田えるが会場に姿をあらわさない。その知らせを聞いた奉太郎が探しに行くのだが。</p><p>&nbsp;</p><p>謎解きとしては千反田えるがどこに行ったのか？を探す手がかりを集めていって考えていくあたりが謎解きなのだが、本筋は「なぜえるは姿をみせなかったのか？」の部分にある。</p><p>&nbsp;</p><p>これは冒頭でえるが父親に呼ばれた真相なのだが、それまでえるは家を継ぐ事を自分の将来として考えていたのを、突然はしごをはずされて「自由にして良いぞ」と言われた事での悩みだと。</p><p>&nbsp;</p><p>つまりこれがタイトルの意味で、突然「翼をやろう」と言われても、これまでに既に覚悟をしているんだって事で逆に「どうしていいか分からない」って気持ちになったんだろうな。</p><p>&nbsp;</p><p>本シリーズの主人公とヒロインが中心になって進む話であり、「遠まわりする雛」と通じる、あるいは対をなす作品でありシリーズでも重要な作品だと思う。</p><p>短編集の最後を飾るにふさわしい作品。</p><p>&nbsp;</p><p>ちなみに、千反田えるにたいする折木奉太郎の気持ち、またその逆を考えると、えるの立場を何らかの形で支える為に奉太郎が頑張ろうとしていた点もこの結末に関わってくるかな。</p>
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<link>https://ameblo.jp/book-1/entry-12507998396.html</link>
<pubDate>Sat, 17 Aug 2019 16:25:14 +0900</pubDate>
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<title>「地には平和を」（小松左京：角川文庫）</title>
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<![CDATA[ <p><span style="font-weight:bold;"><span style="font-size:1.4em;">「地には平和を」（小松左京：角川文庫）</span></span></p><p>（2019-07-15読了）</p><p>&nbsp;</p><p>　小松左京の短編集。収録されているのは表題作の「地には平和を」と「日本売ります」「ある生き物の記録」の３タイトル。</p><p>&nbsp;</p><p>ただし、最後の「ある生き物の記録」がページ数が比較的長くて「中編かな？」と思っていたのだけど、これは私の誤解でした。</p><p>&nbsp;</p><p>実は「ある生き物の記録」はショートショート集だったわけで。数十編にわたるショートショートを纏めて一つのタイトルで呼称しているようです。</p><p>&nbsp;</p><p>　さて、本作で一番目玉はやはりタイトル作の「地には平和を」です。</p><p>&nbsp;</p><p>この作品、小松左京の実質的デビュー作って事で戦争からまだ１５年ほどしか経っていない時点で書かれた作品。</p><p>&nbsp;</p><p>物語は太平洋戦争が１９４５年の８月１５日で終わらなかった世界。日本本土へのアメリカ軍の上陸が始まって以降のドラマ。</p><p>&nbsp;</p><p>これ自体は架空戦記的な物に見えるのですが、その内容はしっかりとしたＳＦであり、歴史を未来から振り返ったときに「あの時、もしこうだったら」って「歴史のIF」を狂人が実際に過去改変してしまうって話で。</p><p>&nbsp;</p><p>この物語全体には終戦を１４歳の多感な時期に迎えた小松左京自身の自伝的要素、彼自身の戦争への思いが色濃く出ている。</p><p>&nbsp;</p><p>久しぶりの再読だけれど、読んでいて思い出すのは先日読んだ「やぶれかぶれ青春期・大阪万博奮闘記」（新潮文庫）の前段、「やぶれかぶれ青春期」の部分です。</p><p>&nbsp;</p><p>戦争末期の小松左京自身の自伝であり、当時の彼の考えや思い、周りの雰囲気がリアルに描かれているのだが、その体験があってこその「地には平和を」のリアルさに繋がるのだろうか。</p><p>&nbsp;</p><p>設定は「IF」だけれど、そこで描かれる内容は非常にリアルな「戦記物」としても読める見事さで。そしてラストのＳＦ的な描写もまた、歴史と哲学を語るような深さがあってデビュー当時からもう見事としか言いようがない。</p><p>文句なしの傑作でしょう。</p><p>&nbsp;</p><p>　続く「日本売ります」は、どことなく「日本沈没」に続くようなアイデアが見受けられる作品。</p><p>&nbsp;</p><p>ただ、個人的にはこの作品は昨今の日本の土地を外国人（特に中国？）が買いまくってる、大事な水源や自衛隊の土地の近くなどって話を思い出させて空恐ろしい部分があったな。</p><p>&nbsp;</p><p>まあ小松左京自身はそういう想定をして書いた感じではなく、日本という国土・国民・国家の持つ魅力がどのようにこの小さな島々の中に凝縮されているのか？って点にこそ言いたいことがあったように思うが。</p><p>&nbsp;</p><p>　最後の「ある生き物の記録」はショートショートにつき、特段ひとつひとつの作品の感想は書かない。</p><p>&nbsp;</p><p>ただ、ショートショートって点で星新一あたりが書きそうなネタだったり松本零士の初期ＳＦ短編とかにありそうなネタってのもあったな。</p><p>あるいは、フレドリック・ブラウンとか。</p><p>&nbsp;</p><p>ＳＦ的にストレートなものもあればホラーチックなものもあったりコミカルだったりとバラエティに溢れている。読んで損は無い。</p>
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<link>https://ameblo.jp/book-1/entry-12507863075.html</link>
<pubDate>Sat, 17 Aug 2019 11:50:06 +0900</pubDate>
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<title>「ハローサマー、グッドバイ」（マイクル・コーニイ：河出文庫）</title>
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<![CDATA[ <p><span style="font-size:1.4em;"><span style="font-weight:bold;">「ハローサマー、グッドバイ」（マイクル・コーニイ：河出文庫）</span></span></p><p>（2019-08-13読了）</p><p>&nbsp;</p><p>　「ＳＦ恋愛小説」として名高い作品で、以前に購入するも積ん読状態だったものをやっと読みました。</p><p>&nbsp;</p><p>夏にこれを読まずしてどうするか？ってタイトル的な物もあってこの時期に読んだわけです。</p><p>&nbsp;</p><p>　内容は非常に素晴らしかったですね。</p><p>&nbsp;</p><p>前半中盤の胸がドキドキする感覚、ジュブナイルの冒険と恋愛を描く小説、って感じで。</p><p>&nbsp;</p><p>しかし「これって別にＳＦでなくても良かったのでは？」と少し思う点はありました。</p><p>&nbsp;</p><p>ところがところが！ラスト近くにあっと驚く仕掛けがあって、これがまた見事なＳＦになっている上にラストシーンで素晴らしいオチを用意しているあたり、まごうかたなき「ＳＦ」だなと納得した次第です。</p><p>&nbsp;</p><p>　物語は、地球人によく似た知的生命体が地球の１９世紀あたりの技術文明を持っている惑星が舞台。</p><p>&nbsp;</p><p>この惑星自体の属する恒星系の複雑さも含めて、惑星では季節によって海が粘っこい性質をもった「グルーム」の時期が現れる。これが物語の背景として大きく関わってくる。</p><p>&nbsp;</p><p>また、地球とは違った他の惑星が舞台なので、そこに住む主人公らの知的生命体以外の生物もオリジナリティがあって面白い。いくつかの動物や植物など。</p><p>大筋では関係が無いのだが、場面場面ではそれら動植物がシーンを左右する役割があったりと思っていると、それが意外な重要性を持っているのが驚かされる。</p><p>&nbsp;</p><p>惑星の環境は以上ですが、それに加えて主人公らの知的生命体が大きく惑星を二分する国家を形成していて、互いに戦争状態であり主人公らの国家が次第に侵略されていっているとの時代の背景も物語の背骨となって働きます。</p><p>&nbsp;</p><p>　前半中盤で、主人公の少年ドローヴは政府高官の父親と母親とともに毎年避暑地で夏を過ごすのだが、昨年そこで出会った地元の酒場の娘ブラウンアイズに惹かれ、今年も会えないかと楽しみにしている。</p><p>&nbsp;</p><p>ただ、政府高官の父親や母親からは身分の差を言われて「地元の子供と親しくするな。私達が紹介した子供と仲良くなれ」と言われる事に。</p><p>&nbsp;</p><p>こういう身分差のある恋愛と、避暑地での子供どうしの屈託のない冒険行や恋愛感情など、普通に人間が主人公の青春小説としても読める素晴らしさとおもろさ、胸キュンが一杯詰まっている。</p><p>&nbsp;</p><p>作品としてはテーマが全く別ですが、ふとハル・クレメントの「２０億の針」を思い出しました。子供が主人公で、子どもたちが海沿いで（「２０億の針」の場合は島が舞台）って感じが似た感覚を思い起こさせたのかも知れません。</p><p>&nbsp;</p><p>最初はまだブラウンアイズとの間ではアイコンタクト的な雰囲気だけだったのですが、次第次第に気持ちを明らかにしていって、そこにもうひとりの女の子とドローヴとの親密さがブラウンアイズに嫉妬を起こさせる三角関係的な物語も含まれて、非常に魅力的に感じられます。</p><p>&nbsp;</p><p>その合間合間に戦争の様子だとか、敵の進撃の進み具合だとかが背景として描かれて後半には戦争色が非常に強くなります。</p><p>この辺り、せっかく恋愛物として非常に盛り上がってるのになんで話は世界の話、戦争の話に傾いていくんだ？と思う気持ちが強かった。</p><p>&nbsp;</p><p>しかし、それがやがて驚天動地のラストの展開に繋がる事になって、作品全体では語られていた意味合いが非常に重要になっていく。</p><p>&nbsp;</p><p>ラストの展開に関しては、これを「恋愛物」として考えていたら戸惑う読者も多くいそう。あくまでもＳＦとしての枠組みで読んでいくと、いい意味で驚かされるのだが。</p><p>&nbsp;</p><p>その点で賛否分かれる評価になりそうな気がするが、ラストシーンはＳＦとしても恋愛物としても見事と言えるか。</p><p>&nbsp;</p><hr><p>&nbsp;</p><p><br><br><br><br>&nbsp;</p><p><span style="color:#ff0000;"><span style="font-size:1.96em;">※以下、ネタバレがあります。</span></span></p><p>&nbsp;</p><p><br><br><br><br>&nbsp;</p><hr><p>&nbsp;</p><p>　途中で惑星の軌道に関する話が出てきて「お？いきなりＳＦ的な話になったな」と思ったのですが、それがまさか驚天動地のラストに至るとは。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>惑星の軌道が変化して数十年に渡って惑星が寒冷期に突入する。そのために地下に都市を作って一部の政府高官などがその期間を過ごせるシェルターになっていると。</p><p>&nbsp;</p><p>この辺りから、それまでの淡い恋を描くＳＦ恋愛小説の雰囲気が一変して、フェンスの外に集まってくる人々の悲壮な姿を描く絶望的な破滅ＳＦの様相を呈する。</p><p>&nbsp;</p><p>特にそれまで気高く華麗な雰囲気を持ちつつ、最初は鼻持ちならない感じだったのが次第に親しみを感じられるキャラになったブラウンアイズの恋敵（？）のリボンの一変する様子が非常に哀しさを感じさせた。</p><p>&nbsp;</p><p>あと、地下の核シェルターのような施設、そしてそこに全員入っているはずなのに警備していた軍人たちの姿が見えなかったり、ある日突然、父親が慌てた様子で「電気が止まった」「ほかの階に行けない」と言ってる場面で背筋の凍るような感覚が生まれる。</p><p>&nbsp;</p><p>おそらく最下層の最重要人物たちだけを助ける為に、それより上の何層かの住人はエネルギーや食料の為に「切り捨てられた」と思われる描写に。</p><p>&nbsp;</p><p>このあたりで、ふとモルデカイ・ロシュワルトの「レベル・セブン」ってＳＦ小説を思い出した。これは全面核戦争が発生して地下の核シェルターにいた人々の様子を描く作品なのだが、次第次第に悪い状況になっていって…って展開で。</p><p>&nbsp;</p><p>あの絶望感と悲壮感。しかし本作ではその後に続きがあり、明確には描かれていないけれど、あのロリンがかつてと同様に助けてくれてこの極寒の世界の中でドローヴの想像と同じく、かれらは数十年の寒冷期をやり過ごせるのだろうと想像させ希望をもたせるラスト（って解釈でいいのかな？）。</p><p>&nbsp;</p><p>ラストの解釈に関しては、あまりにシンプルな表現なので難しい感じではあるけれど、本作には続編があって（直接ドローヴやブラウンアイズが出てくるわけではなく、その後の世代の話）どうやら生き残ったのでは無いか？２人は再会しているのでは？と思わせるっぽいので、その解釈にしておこう。</p><p>&nbsp;</p><p>続編「パラークシの記憶」（河出文庫）はKindle版もあるし文庫もネットなら手に入る感じなので読んでみたい。</p>
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<link>https://ameblo.jp/book-1/entry-12507814501.html</link>
<pubDate>Sat, 17 Aug 2019 10:29:08 +0900</pubDate>
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<title>「紙の動物園」（ケン・リュウ）</title>
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<![CDATA[ <p>「紙の動物園」（ケン・リュウ）</p><p>（2019-06-25読了）</p><p>&nbsp;</p><div contenteditable="false" style="border:1px dotted;padding:15px;border-radius:4px;"><table border="0" cellpadding="0" cellspacing="0" style="margin:0;table-layout:fixed;" width="100%"><tbody width="100%"><tr><td aligin="center" style="vertical-align:middle;" width="95"><span style="display:block;text-align:center;"><a alt0="AmebaAffiliate" alt1="紙の動物園 (ケン・リュウ短篇傑作集1)" alt2="Amazon" alt3="https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/416KIYAYBoL._SL160_.jpg" alt4="1" href="https://www.amazon.co.jp/%E7%B4%99%E3%81%AE%E5%8B%95%E7%89%A9%E5%9C%92-%E3%82%B1%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%AA%E3%83%A5%E3%82%A6%E7%9F%AD%E7%AF%87%E5%82%91%E4%BD%9C%E9%9B%861-%E3%82%B1%E3%83%B3-%E3%83%AA%E3%83%A5%E3%82%A6/dp/4150121214?SubscriptionId=AKIAJLD6FH2TADXIQKDQ&amp;tag=amebablog-a372450-22&amp;linkCode=xm2&amp;camp=2025&amp;creative=165953&amp;creativeASIN=4150121214" target="_blank"><img alt="紙の動物園 (ケン・リュウ短篇傑作集1)" border="0" data-img="affiliate" src="https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/416KIYAYBoL._SL160_.jpg" style="max-width:95px;vertical-align:middle;margin:0;"></a></span></td><td style="line-height:1.5;padding-left:15px;vertical-align:middle;"><a alt0="AmebaAffiliate" alt1="紙の動物園 (ケン・リュウ短篇傑作集1)" alt2="Amazon" alt3="https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/416KIYAYBoL._SL160_.jpg" alt4="1" href="https://www.amazon.co.jp/%E7%B4%99%E3%81%AE%E5%8B%95%E7%89%A9%E5%9C%92-%E3%82%B1%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%AA%E3%83%A5%E3%82%A6%E7%9F%AD%E7%AF%87%E5%82%91%E4%BD%9C%E9%9B%861-%E3%82%B1%E3%83%B3-%E3%83%AA%E3%83%A5%E3%82%A6/dp/4150121214?SubscriptionId=AKIAJLD6FH2TADXIQKDQ&amp;tag=amebablog-a372450-22&amp;linkCode=xm2&amp;camp=2025&amp;creative=165953&amp;creativeASIN=4150121214" target="_blank">紙の動物園 (ケン・リュウ短篇傑作集1)</a><div style="padding: 3px 0;">734円</div><div style="font-size:0.83em;">Amazon</div></td></tr></tbody></table></div><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>　中国生まれのアメリカ人、ケン・リュウの短編集。</p><p>&nbsp;</p><p>彼の名前は書店でいつも平積みしているのと又吉直樹の推薦の帯が目について印象に残っていました。いつか読まないとダメだなと思っていた所、今回「小川一水セレクト」と銘打って並んだ作品の中に発見し、購入。</p><p>&nbsp;</p><p>　全体の印象は非常に良かった。この作家の作品を今まで読まなかったのを悔やんだほどのクオリティの高い作品の数々でした。</p><p>&nbsp;</p><p>　「紙の動物園」</p><p>&nbsp;</p><p>　タイトル作の本作はＳＦと言うにはファンタジー寄りなのだが、内容的には本書の中では間違いなくベストの感動と感慨を呼ぶ作品。</p><p>&nbsp;</p><p>自身の中国生まれアメリカ移民の経歴と重なる内容で、中国人の母親が持つ人種差別の苦しみの中で自身の中国人としての矜持と子供への愛情が溢れている。</p><p>親の気持ち子知らず、とは昔から言うけれどそこに人種問題的な視点の深さが「息子から母親への偏見」と言う視点から深く描かれる。</p><p>&nbsp;</p><p>そして世の常で、母親の愛情を知る大人になった頃には母親は居ず。その切なさと哀しさが溢れる名品だった。</p><p>&nbsp;</p><p>　「月へ」</p><p>&nbsp;</p><p>　ＳＦ的な話か？と思っていたら、物語は中国からアメリカへの移民審査の話だったか。そこにＳＦファンタジー的な比喩物語を挟みつつ描く。</p><p>&nbsp;</p><p>　「結縄」</p><p>&nbsp;</p><p>　これは「紙の動物園」を除くと本作で一番「凄い」と思った作品であり一番ハマった作品。</p><p>文字の代わりに縄を結う事で文字の代わりに記録を残す部族の話。</p><p>&nbsp;</p><p>その縄を結う文字が、実は最先端の科学に必要なアミノ酸結合を解明する話に繋がって、遺伝子の比喩にも繋がっていく。このＳＦ的感覚のずば抜けた魅力が堪らないんだよな。</p><p>&nbsp;</p><p>例えばファースト・コンタクト物で言葉が重要なポイントとなる作品では、映画にもなったテッド・チャンの「あなたの人生の物語」（映画化タイトル「メッセージ」）があるが、ああいった作品の読後感に似たものもあるかな。他のファースト・コンタクトの意思疎通とかも。</p><p>&nbsp;</p><p>「太平洋横断海底トンネル小史」</p><p>&nbsp;</p><p>　アジアから北米大陸に向かう海底トンネルの話。</p><p>珍しいのは太平洋戦争が歴史とは違っていたら、との歴史の「IF」に基づくＳＦって点。我々の歩んだ歴史とは似ているのだが、歴史のある時点で枝分かれして別の歴史を辿った平行世界での物語と見ることも出来るか。</p><p>&nbsp;</p><p>一つの技術が世界の物流を大きく変えて世界の有り様を変える話、そこに歴史改変モノを融合させた面白い風味の作品。</p><p>&nbsp;</p><p>「心智五行」</p><p>&nbsp;</p><p>　本作では「結縄」と並ぶ面白さであり、そのテイストもどこか通じる部分を感じた作品。</p><p>&nbsp;</p><p>物語はある種の「ファースト・コンタクト」物と言えるか。主人公が事故でたどり着いた惑星は、かつて人類が植民地化した惑星なのだが母国との繋がりが隔離された為に文明が独自に進化している感じの星。</p><p>&nbsp;</p><p>珍しいのは、これもやはり中国的思想が基本になっていて、独自の文明を進化させたこの星がどこか中国的な東洋的な思想で満たされている点。</p><p>&nbsp;</p><p>主人公の女性が持つ常識とは大きく違う世界で命を助けられて、その世界の思想に次第に染まっていきそこに住む男性を愛するようになるのが読んでいて心地よく、それが分断されてしまう展開から、その後のラストの展開は非常に起伏に飛んで面白かった。</p><p>&nbsp;</p><p>「愛のアルゴリズム」</p><p>&nbsp;</p><p>　これも大きな意味で「結縄」「心智五行」と同様に「コミュニケーションの物語」と言えるだろうか。</p><p>アンドロイドに搭載するAIの性能を上げていくと、アンドロイドの外観が人間そっくりになっていくと「人とアンドロイドの違いはどこにあるのか？」の境目が見えてこなくなる。その点を鋭く描く短編。</p><p>&nbsp;</p><p>人工知能の話でよく出てくる「中国語の部屋」の問題を中国出自を持つ著者がその言葉を使いつつ説明するのはお見事。</p><p>&nbsp;</p><p>物語は、これを突き詰めると人間の思考とAIの「中国語の部屋」とどこに違いがあるのか？との疑心暗鬼に襲われる。その心理的な恐怖感を描いて行く。</p><p>&nbsp;</p><p>考えれば、そっちへの思考よりも「アンドロイドの思考は人間と同じく意志を持っているのではないか？」って疑問に向かう方が健全なんだろうけど、「自分は何者なのか？どこから来てどこに行くのか？」って問題は「ブレードランナー」でもあったけれど、アンドロイド自身が持つ疑問と言うよりも人間が自分自身に問を投げかける話になって来るんだろうな。</p><p>&nbsp;</p><p>「文字占い師」</p><p>&nbsp;</p><p>　これは読んでいて辛い作品だった。後半の辛い場面はテリー・ギリアム監督の「未来世紀ブラジル」後半のような精神的厳しさを感じる拷問シーンだった。拷問していた人物が近しい者だったって点とかも。</p><p>&nbsp;</p><p>この作品もまた、大きな意味での「コミュニケーション」の物語であり「相互理解と誤解」の物語である点は「心智五行」の大まかな流れに通じる点がある。</p><p>主人公のアメリカ人の女の子が台湾に越してきて、そこで地元の子供たちと出会いある老人の文字占いを知る。</p><p>&nbsp;</p><p>その出会いと相互理解の話は非常に楽しく、そこには「心智五行」の展開と似ている。</p><p>&nbsp;</p><p>そこから「えっ！」と驚く展開であるが、その辺りの繋がりや残酷さや辛さってのは先に書いた「未来世紀ブラジル」ラストの強烈さに似たテイストを感じた次第。実際の歴史と絡む話でＳＦではない普通小説？となるのかな。</p><p>&nbsp;</p><p>　続く「もののあはれ」も購入済み。近々読もうと思う。</p>
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<link>https://ameblo.jp/book-1/entry-12499594333.html</link>
<pubDate>Tue, 30 Jul 2019 23:29:46 +0900</pubDate>
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<title>「巨星」（ピーター・ワッツ：創元ＳＦ文庫）</title>
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<![CDATA[ <p><span style="font-weight:bold;"><span style="font-size:1.4em;">「巨星」（ピーター・ワッツ：創元ＳＦ文庫）</span></span></p><p>（2019-06-13読了）</p><p>&nbsp;</p><div contenteditable="false" style="border:1px dotted;padding:15px;border-radius:4px;"><table border="0" cellpadding="0" cellspacing="0" style="margin:0;table-layout:fixed;" width="100%"><tbody width="100%"><tr><td aligin="center" style="vertical-align:middle;" width="95"><span style="display:block;text-align:center;"><a alt0="AmebaAffiliate" alt1="巨星 ピーター・ワッツ傑作選 (創元SF文庫)" alt2="Amazon" alt3="https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51aq-hUPE5L._SL160_.jpg" alt4="1" href="https://www.amazon.co.jp/%E5%B7%A8%E6%98%9F-%E3%83%94%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%AF%E3%83%83%E3%83%84%E5%82%91%E4%BD%9C%E9%81%B8-%E5%89%B5%E5%85%83SF%E6%96%87%E5%BA%AB-%E3%83%94%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%AF%E3%83%83%E3%83%84/dp/4488746055?SubscriptionId=AKIAJLD6FH2TADXIQKDQ&amp;tag=amebablog-a372450-22&amp;linkCode=xm2&amp;camp=2025&amp;creative=165953&amp;creativeASIN=4488746055" target="_blank"><img alt="巨星 ピーター・ワッツ傑作選 (創元SF文庫)" border="0" data-img="affiliate" src="https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51aq-hUPE5L._SL160_.jpg" style="max-width:95px;vertical-align:middle;margin:0;"></a></span></td><td style="line-height:1.5;padding-left:15px;vertical-align:middle;"><a alt0="AmebaAffiliate" alt1="巨星 ピーター・ワッツ傑作選 (創元SF文庫)" alt2="Amazon" alt3="https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51aq-hUPE5L._SL160_.jpg" alt4="1" href="https://www.amazon.co.jp/%E5%B7%A8%E6%98%9F-%E3%83%94%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%AF%E3%83%83%E3%83%84%E5%82%91%E4%BD%9C%E9%81%B8-%E5%89%B5%E5%85%83SF%E6%96%87%E5%BA%AB-%E3%83%94%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%AF%E3%83%83%E3%83%84/dp/4488746055?SubscriptionId=AKIAJLD6FH2TADXIQKDQ&amp;tag=amebablog-a372450-22&amp;linkCode=xm2&amp;camp=2025&amp;creative=165953&amp;creativeASIN=4488746055" target="_blank">巨星 ピーター・ワッツ傑作選 (創元SF文庫)</a><div style="padding: 3px 0;">1,296円</div><div style="font-size:0.83em;">Amazon</div></td></tr></tbody></table></div><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>　ピーター・ワッツは「ブラインドサイト」が大絶賛で期待して読んでみたら内容が全く分からず、面白いと思わなかった。結局、この作品には自分は合わないんだなと、続編は読むのを諦めていました。</p><p>&nbsp;</p><p>そこに登場したのがピーター・ワッツの短編集の本作。</p><p>&nbsp;</p><p>書店で目次をパラパラめくると「遊星からの物体Ｘの回想」なるタイトルがあり「なんだと！？」と色めき立った次第で。</p><p>「これってもしかして、ジョン・カーペンター監督の傑作「遊星からの物体Ｘ」に関係ある作品なのか？」と思ったら、あの物語を物体Ｘ側からの視点で描いた短編らしいって事で即、購入。</p><p>&nbsp;</p><p>　個人的に気に入ったのは、やはり購入時に気になった「遊星からの物体Ｘの回想」かな。</p><p>&nbsp;</p><p>原作のジョン・Ｗ・キャンベルの「影がゆく」ではなく、ジョン・カーペンター監督の映画「遊星からの物体Ｘ」に基づく内容なのがまず嬉しい。</p><p>&nbsp;</p><p>あの映画の中で描かれた物語に基づき、しかし視点は「物体Ｘ」から描かれている。</p><p>映画を観る限りは物体Ｘは知性を持った高等生命体には見えにくかったのだが、しかし人間に姿を変えてからは宇宙船を作って南極を脱出しようとしていたので知性をやはり持っているのか？と思わせる。</p><p>&nbsp;</p><p>小説ではより細かな心理描写を描く事で物体Ｘの思考をつまびらかにしていく。これは非常に面白いのだけれど逆に映画が持っていた凄まじい恐怖感は影を潜める結果になる。理知的であるが故に知性的であり恐怖は無いと。</p><p>&nbsp;</p><p>　他の作品では「天使」と「付随的被害」が非常に良かった。</p><p>&nbsp;</p><p>いずれも遠い未来のや宇宙を舞台にしたＳＦではなく、現代かあらそれほど遠くない近未来を舞台にしている。</p><p>前者はドローンが人工知能を搭載した話、後者は強化服的な装備を人間の脳に直結する話。</p><p>&nbsp;</p><p>いずれも、たとえば士郎正宗の「攻殻機動隊」や伊藤計劃、或いは藤井太洋あたりの作品に通じるハイテクと人工知能や人間との関わりを描く作品。</p><p>&nbsp;</p><p>「天使」では、人工知能が次第に認識していく世界の様子、それが冒頭の「物体Ｘ」同様に主観で描かれていく話は雰囲気も似ているかな。</p><p>あとＪ・Ｐ・ホーガンの「未来の二つの顔」の人工知能が次第に人間を「影」として認識して攻撃していく話と似ている感じはあるかな。</p><p>&nbsp;</p><p>もう一方の「付随的被害」は伊藤計劃の「虐殺器官」や「ハーモニー」などを読んでいた時の感覚に似た匂いを感じる。</p><p>&nbsp;</p><p>ただ、「物体Ｘ」も「天使」も「付随的被害」も、いずれも出だしと展開は良いのだが終わりが尻すぼみと言うか、思考ネタに入っちゃって短編としてのキッチリと落としたオチがあまり感じられなかったのが勿体なかった。</p><p>&nbsp;</p><p>　そしてラストの三話「ホットショット」「巨星」「島」は、同じ設定を使った連作になっているが発表年度は内容の時系列とは違う様子で。</p><p>&nbsp;</p><p>人類が遥か彼方を目指して植民船を送り出す話が大筋なのだが、そこで植民船が出会う宇宙での現象の面白さと、それに対峙する人間側のキャラクターの面白さを描く。</p><p>どこか受ける感覚はチャールズ・シェフィールドの「マッカンドルー航宙記」やグレッグ・イーガンの作品に出てくる人類とはかけ離れた形での知性体とのファースト・コンタクト物のような痺れる感覚があったな。</p><p>&nbsp;</p><p>このあたりは一つの長編として描いていたら、確実に「ブラインドサイト」よりも面白かったと思う。</p>
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<link>https://ameblo.jp/book-1/entry-12499513860.html</link>
<pubDate>Tue, 30 Jul 2019 19:52:38 +0900</pubDate>
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