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<title>文淵の徒然なるかな</title>
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<description>日々のあれこれ</description>
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<title>近況報告？</title>
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<![CDATA[ エタりました？<br><br>いいえ長い休日です<br><br>お久しぶりです文淵です<br><br>いろいろありまして仕事を辞めて長い休日を謳歌しておりました<br><br>謳歌というよりは自堕落な生活でしたが……<br><br>久しぶりにネット小説を読んで更新しなきゃと思った次第です<br><br>まあ読まれているか謎ですが、暇潰しくらいにはしてくれていると淡い期待も込めています<br><br>そしてキーボードで書けないレベルになっている事に気づく……<br><br>いやせっかくだし、キーボードで書こうぜって思った訳ですよ<br><br>そしたらガラケー入力のが早いとか笑えない事実が……<br><br>集中力の問題なのか予想変換に飼い慣らされた結果なのか不明ですが、とはいえキーボードもリハビリします<br><br>パソコンで書いてガラケーに送るってなんとも不毛な気もしますが、慣れ親しんだものを使うのは良いですね<br><br>漢字の間違いに気付きませんけど(笑)<br><br>さて、ゆっくり頑張って参ります<br>
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<pubDate>Tue, 11 Apr 2017 09:54:58 +0900</pubDate>
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<title>桃太郎　７５　鬼退治編</title>
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<![CDATA[ 　朝霧に乗じて舟は鬼ヶ島へと進められた。周辺を警戒する海賊船は無く、桃太郎らが乗る舟は沿岸を見張るところへと近づく、鬼らは灯りを持ち周囲を見張っていたので、桃太郎と涼の手によって静かに排除された。<br><br>「お二人の弓の腕前で楽に上陸できますわ」<br>「ほぼ点のような灯りを良く見抜いて射抜けるな」<br>「桃太郎の手解きのおかげだ」<br>「風が無いのが幸いでした。ひとまず上陸しましょう」<br><br>　上陸の際に戦闘があると想定していた庚申だったが、桃太郎と涼の弓が目算していたよりも技術が高く、素早く見張りを排除できたおかげで一行は難なく鬼ヶ島へと上陸を果たした。<br><br>　排除した見張りの配置から庚申は拠点を割り出し、一行は庚申を先頭に鬼らの拠点を見つけた。<br><br>　鬼らは討伐本隊を迎え討つ為か数は少なく、未だ晴れぬ朝霧に乗じて一行は見張りを減らしていく。<br>　周辺の見張りを全て倒すと、桃太郎と庚申の二人で仕掛けを周囲へと設置してまわる。罠と狼煙変わりになる木々を焼きはらう仕掛けが終わる頃に、壮介と涼は籠城に必要なものを集め終えた。<br><br>「まさか一戦前に力仕事があるとは思って無かった」<br>「食糧と薬草の確保、薪を集め終わった。水は汲めるだけ汲んだぞ」<br>「こちらも罠と仕掛け終わったわ」<br>「壮介大丈夫ですか、庚申様少し休みを入れましょう」<br>「せやな。霧が晴れたら動きが激しくなるけど、しっかり休んでから突入しましょか」<br><br>　一行は霧が晴れるまで休むのであった。想定していた通り鬼が動き初めたが、晴れると同時に仕掛けを動かし初める。森のあちらこちらから火の手が上がり初める。<br><br>「さて、もう突入する他無くなりました」<br>「まさか全ての森を焼く気か？」<br>「遠く離れた海上から異変があったと見せるには、この方法以外にありませんからな」<br><br>　周囲麓から勢い良く上がる火の手と煙は勢い良く駆け上がってくる様子に壮介は桃太郎と庚申に問うた。<br><br>「仕掛けとやらは山を覆う森全てに仕掛けたのか」<br><br>　その問いは半刻足らずで山を回ったのかという問いと同じであったが、庚申の用意した斧を手に一人木を切り汗を流した壮介からすれば汗ひとつ流さずにいた二人に恨み言のひとつも言いたくあったが、この山を迷わず半刻で走るなど真似できそうにもない。だが壮介の問いに庚申は簡単に答えた。<br><br>「せや、半分……以上は桃太郎はんが受けもってくれたから半刻足らずでいけましたけどな。しかしあんな戦鎧着てよう動けますわ」<br>「ああ、まったくだな」<br><br>　戦鎧を身につけた桃太郎を見る壮介と庚申であった。薄延べた鉄の板がつづら折りに編み込まれ、衝撃と貫通を防ぐ馬上で用いる事を前提とした朱色の楯無であった。<br>　納め箱を背負った経験がある壮介と庚申は桃太郎の体力を改めて知り呆れるのであった。<br><br>「虚実の修練の時に借りて走ったが、並みの者なら走る事も出来んだろうな」<br>「改めて、桃太郎はんは凄い思いますわ」<br>「男二人で密談か」<br>「お涼も一度背負ってみれば良かったのだ」<br>「壮介……お涼はんは貴族の姫君って忘れてたやろ」「すまない、失念していた」「ふふふ、いいさ気にしていない。それよりも庚申様どういった手はずをされるのですか」「とりあえず火の手が上がったことを警戒して動きを見せると思います。鬼が出てきたら桃太郎はんが誘導で鬼を射貫き引きつけます。露払いに涼はんがわてらの進む道を切り開いて、壮介が先頭で突っ込んで、わては周囲の鬼を撹乱しますわ。涼はんと桃太郎はんは周囲の鬼を殲滅した後に合流という流れですな」「なんとも単純だな」「ここまで来て奇策を使う用いる必要はないですわ。突入失敗はないと思いますしな」　三人の話が終えると同時に鬼が洞穴から十人単位で出てきた。ある程度広がったところで桃太郎の放つ矢が鬼を次々と射貫いていく。<br>「桃太郎はんが四、五人くらいおる勢いで射貫いていますな。とりあえず手筈通りに進めましょか」<br>　予想よりも勢い良く鬼が桃太郎の矢によって倒れる鬼を見て思わず呆れる庚申だったが、気を取り直した庚申の言葉に涼が残った鬼を素早く射貫いていく。そして出番だと言わんばかりに庚申が壮介の肩を叩いて合図した。勢い良く駆け出していく壮介の影に隠れるように庚申も駆け出した。<br>　こうして鬼ヶ島征伐は幕を上げた。　
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<link>https://ameblo.jp/bunen3/entry-12264590066.html</link>
<pubDate>Tue, 11 Apr 2017 09:39:30 +0900</pubDate>
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<title>桃太郎　７４　鬼退治編</title>
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<![CDATA[ 　本隊が動きが陰士【おんし】より伝えられた頃に一行は海を隔てた鬼ヶ島を眼前にしていた。一行らの傷は癒え、後は攻めいるばかりであったが、庚申の提案する海上に迎え討ちに出るであろう海賊船群の動きを待つ事にした。<br><br>「しかし本隊を陽動に使うとはな」<br>「そないせんと数の差で負けますわ」<br>「わかってはいるが……」<br>　庚申の言葉に納得仕切れていない壮介であったが、桃太郎が庚申の言葉を支える。<br><br>「壮介、我々が拠点を強襲しその後に討伐本隊が、次いで鬼ヶ島へ上陸しなければ我々の敗北は確定です。討って出た鬼が本拠地襲撃と討伐本隊の間で揺れてもらわなければ勝ち目はありません」<br>「承知している……」<br>「その割りに不満そうやけどな」<br>「違うのだ。漠然とだが不安でな」<br>「壮介」<br>「壮介はん」<br><br>　皆口にはしないが壮介と同じ気持ちではあった。だがやらねば活路は開けない。いくら練度ある海軍と言えど七つの海を超え来た海賊……鬼相手に正面から勝てるとは言い難いのだ。<br>　警固役も地上では強いが海上とあれば、差は自ずと開く、誰かが拠点を抑えた上で海賊の動揺を誘い二分する、あるいは引き返させなければならない。<br>　警固役を鬼ヶ島へと上陸させれば勝ちは揺るぎないが、海戦で多く兵を失えばそれも危ういのだ。<br>　まして負ければ海賊の勢い……鬼の勢いは増し今以上の被害が出る。かといって上陸に月日をかければ尾上が今以上に鬼を鍛えあげ、脅威が増すのは目に見えている。<br>　ここでやらなければならないのだ。誰も口にせずとも痛いほど理解していた。退く事はできないと、そして援軍も得られぬ中で成し遂げなければならない。たった四人で、百を超える鬼と相対しなければならないのだ。壮介の漠然とした不安も頷ける。だが拒否する事は許されない。<br>　必ず成さなければならない。その重責を皆が感じているのは事実であった。<br><br>「壮介……いや皆様」<br><br>　桃太郎は改めて皆の前に立ち頭を下げた。<br><br>「私は鬼を討つのが天命と信じております。これ以上鬼に泣く者が無いように鬼を討つべく生涯を賭すつもりです。もし皆に不安や迷いがあるならばここで降りても私は責めません。しかしついて来られるなら覚悟をお決めください。ただ……出来れば力をお貸し頂きたい」<br><br>　深く深く頭を下げる桃太郎に皆は桃太郎の覚悟を垣間見た。言葉通り鬼を討つべく鍛えあげられた武技は天命とする覚悟と言える。しかし齢に見あわぬ歪さも感じていた。違う生を歩む事も許されるだろうと、皆思うが、また同時にそれは違うとも思うのだ。成せる力を持ち、その道を進まんとする意思を誰が挫けると言うのか、過酷な道を歩む覚悟を持つ者に惹かれたからこそ、皆ここにいる。それぞれ思うところはある。しかしそれはまだ先の話なのだ。<br>　誰も降りるつもりは無かった。目的を果たすまで道を違えるつもりは無かった。<br><br>「馬鹿を申すな。拙者は桃太郎殿に仕えると決めたのだ。どのような道であろうとついて行く」<br>「壮介はんに先越されたんは癪ですけど、桃太郎はんの為ならいくらでも働かせてもらいます。出来たら出世払いで頼んますわ」<br>「わたしも桃太郎のためなら……できればその……側に置いて……いや、仕えさせてくれ」<br>「顔真っ赤にしてこっちまで恥ずかしなりますわ」<br>「う、うるさい」<br>「わかりました。必ずや此度の討伐を生き残り、数多居る鬼を討伐した暁に必ず皆様の恩に報いれるように勤めます」<br>「堅いなあ」<br>「しかし今は何も報いる事ができないのは事実です」「報い程度で皆命賭けますかいな。しかもめちゃくちゃ分の悪い賭けやのに」<br>「申し訳ない」<br>「皆好きでやってるんや。今必要なのはやる気の出る言葉やで桃太郎はん」<br>「庚申様……ええ、わかりました」<br><br>　庚申の言葉を受けて桃太郎は笑う。そして皆の顔を真剣な眼差しで見て気声を放つ。<br><br>「我らが目指すは鬼ヶ島！我らが討つべきは鬼！賭けるは我らの命！さあいざ往かん鬼ヶ島！覚悟は良いか！」<br><br>「「応！」」<br><br>　桃太郎の掛け声に皆が答え、重苦しくあったものが霧散した。晴れやな顔をした一行は鬼ヶ島を睨むのであった。<br>　<br><br>　翌日暮れに鬼達の船が動き出した。そして明け方に一行は運良く立ち込めた朝霧に乗じて鬼ヶ島へと舟を出すのであった。<br>
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<link>https://ameblo.jp/bunen3/entry-12258721169.html</link>
<pubDate>Wed, 22 Mar 2017 18:21:02 +0900</pubDate>
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<title>桃太郎　７３　鬼退治編</title>
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<![CDATA[ 　一報はすぐに庚申の下へと届けられた。<br><br>「やはりか……」<br>「どうした庚申」<br>「悪い予想が当たりましたわ」<br><br>　先発隊自体が秘匿され、無かった扱いにされた。そもそも合流自体など話はなく、後発としたのが実際には本隊であり、進行する道もまったく違う。<br>　それどころか、現在先発隊に居る面々は本来討伐隊に不参加となっているそうだ。何者かの差し金である。用意周到に策を張られている。<br>　しかしながら命令書と証言をする証人がいる。後は鬼ヶ島に上陸し討伐した功績があれば良いのだ。<br>　そう考えた庚申は傷が癒え次第出発を提案する。<br><br>「しかし庚申様、船はどうされますか？」<br>「軍勢ならまだしも、この人数なら漁船でも充分ですやろ。それに関しては手筈は整えてますから、心配無用ですわ」<br>「しかし庚申この手勢で攻め切れるか」<br>「逆ですわ。この手勢を逆手にとって根城を強襲、後に籠城戦仕掛けます」<br>「また無茶苦茶だな」<br>「そもそもこの手勢で勝ちきるのが無理な話ですわ」<br>「負けず勝たずか」<br>「ただ皆さんの力量があればですけどな。一人でも欠けたらほんま厳しいですわ」<br>「ただ上陸後の最大の障壁は尾上と金男ですね。ただ今度こそ金男はわたしが必ず討ちとります」<br>「その二人は先の戦いで、己の力不足ゆえに逃げられました。此度も前回と同じくお涼様に譲りたいと申し上げたいところですが、今回もし当たるならば全力で向かい討ちます」<br>「いやいや今度は全員で当たりますからな。逃がすんは色々まずいですからな」<br>「わかりました。あたるであれば皆様……よろしくお願いします」<br><br>　一行は後発の待つ必要が無くなった。傷を癒した後に本隊の動向に注意を払いつつ鬼ヶ島を目指すのであった。<br>
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<pubDate>Wed, 22 Mar 2017 18:16:07 +0900</pubDate>
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<title>桃太郎　７２　鬼退治編</title>
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<![CDATA[ 　虚実とは何か、虚とは実とは何を指すのか真に理解していなければ伝えるのもままならない。実とは力が入った状態を指し、虚とは力が入っていない状態を指す。<br>　虚実を身に付けるのには必要以上に虚か実を意識した上で扱う必要がある。しかし虚を扱うよりは実を学び方が容易い。何しろ限界まで重しを身に付け追い立て続ければ良いのだ。その後の体に力の入らない状態が虚の状態になる。この状態での力の配分と体捌きが虚の技の基礎となる。<br><br>　そんな訳で壮介は庚申の仕掛けた山犬に追い立てられていた。時々庚申からの投剣が放たれる中で走り逃げる。桃太郎の背負っていた鎧を背負って必死に走っていた。<br><br>「ほら壮介はん早よ走って」<br><br>　吠えたてる山犬と庚申の声に抗議もできぬ程に息は乱れ疲れきった壮介は、足が縺れると山犬は庚申に従い大人しくなり、庚申との立ち合いが始まる。<br><br>　情け容赦なく拳を打ち込まれ、投げ飛ばされ、蹴りつけられて、壮介は身を持って虚の状態を学んで行く。力の入らない体が動かない状態での捌き方、そして攻め方は未だに知らない体の使い方であり、無駄なく最小で最大の力の運用方法であった。<br><br>「さすが壮介はん才能あるわ」<br>「誉めて……も何も……出んぞ」<br>「出るようなら、もう少し走ってもらいますわ」<br>「冗談でも勘弁してくれ」<br>「さて、虚実を虚を学びきったら虚実を意識的に切り替えるのもやっていきましょか」<br>「まだやるのか」<br>「まだ基礎の段階ですわ。弱音吐くのはまだ先にしてくれんと」<br><br>　槍で捌くのも力任せでなく、持ち手に回転を加えつつ肘と重心移動によるやり方や、突くのも踏み込んで全身で突ききるやり方から、相手の重心移動を誘い自らの力を使わず突き抜く技がなければならない。<br>　しかしまだそれが基礎に過ぎないのだ。壮介にしてみれば道のりの長さに気が遠くなる思いだった。<br><br>「できる限り上達に努めよう」<br>「その調子でたのんます」<br>　こうして壮介の修行は続く。<br><br>　一方桃太郎に付き添っていた凉は、復調した桃太郎に弓の習いを願い出ていた。<br><br>「わかりました。できる限り上達できるように努めましょう」<br>「待て、桃太郎習うのはわたしなのだ。あべこべではないか」<br>「しかし良い指導もなしに上達はないでしょう」<br>「わたしは桃太郎に学ばされてばかりだよ」<br><br>　涼は呆れながらも桃太郎の実直さを素直に手本にしたいと思うのだった。厳しい壮介とは相反した。易しく覚え良い桃太郎指導の下で涼は弓の真髄を学ぶのであった。<br><br>　倒すべき敵は鬼ヶ島に在り、後発の合流を気にしつつ傷を癒しながら、一行は修行を行った。<br><br>　庚申の元に不穏な情報がもたらせるまでは……。<br>
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<pubDate>Tue, 21 Mar 2017 19:06:28 +0900</pubDate>
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<title>桃太郎　７１　鬼退治編</title>
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<![CDATA[ 　桃太郎の治療が終わり一段落した後に、庚申は捕まえた者を縛りつけ、舌を噛まないように猿ぐつわを噛ませていた。涼は桃太郎に付き添い、壮介は庚申を手伝った後に周囲を見張っていた。<br><br>　するとそこに逃げた兵士であろう者達が姿を見せた。手傷を負い、身なりもぼろぼろの体であはあるが、余力がありそうな雰囲気であった。<br><br>「無事か！」<br>「何が起きたのだ？野盗はどうした」<br><br>　逃げ出した兵士二人が姿を見せた。身なりは酷く疲弊した様子が伺える。怯えた様子ではあったが、こちらを見つけて安堵したのか庚申へ声を掛けてきた。<br><br>「ちょうど良かった。お二人さんに頼みがあるんやけどな」<br>　<br>　逃げ戻った二人に庚申は捕まえた者を都まで移送を頼むが、良い顔をしなかったので、逃亡した件を密告すると朗らかに脅すと素直に応じてくれた。壮介が何か言いたげにしていたが、犬に改名すると口にしていた時に見せた庚申の満面な笑顔見て黙るのであった。<br>　捕まえた者達は薬で正気を失っていた。解毒方法もない薬で、時間をかけて薬に依存させ、その過程で暗示をかけて思い通りに操るものであり、一度依存し暗示がかかると助ける方法はなく、放って置けば薬欲しさに暴れ周り、薬が無い状態が続くと発狂して死ぬ。移送を頼んだのはその状態にある事を証明する為であり、助ける為ではない。<br>　元が村人でなければ、躊躇いなく始末できるのだが、村人であるがゆえに遠征中に略奪を行ったと証言され、物言わぬ村人の死体が並べば申し開きできなくなる。例えそれが庚申の名で証文を添えたとしても聞き入れては貰えない可能性が高い。<br>　仕方なく生きた者が必要になる。予定より多いがこれ以上の証明は他にないだろうと庚申は考えた。ご丁寧に村ひとつが確実に失われている程の人数がいるのだ。そして恐らくはいずこかの村は襲撃を受け壊滅しているだろう。危うい状況だが生きた証人がいれば、証言次第では申し開きできなくなるのを防げる。<br>　都への移送途中で襲撃される可能性もあるが、陰士【おんし】に見張らせる事にし、動きがあれば、襲撃者を追跡し黒幕を暴く事ができる。用意周到な手口は口封じを目的としているのだと庚申は考え、後手にならないように調査する指示も出した。<br><br>　そして気になるのは尾上芳一であった。鬼に指南し平家に恨みを持つ事を話していた。そして金の為だと口にし、鬼ヶ島遠征中の襲撃である。宮中に反平家の思想を持つ者がいる。その者が尾上を雇い鬼に指南させ、尾上または仲間が遠征前に村人を洗脳して、今回の遠征にあわせて洗脳した者を率いて尾上は襲撃してきたのだ。<br><br>「思ったより根が深いな」<br>　少なくとも宮中の動向は陰士【おんし】陰陽師の監視下にある。その監視を掻い潜り企てたのだ。たとえ反意がないとしても、その行い事態が咎になる。<br><br>「ただ鬼退治するって訳にはいかんようやな……」<br><br>　沈鬱な気分になる庚申は気分を変えて、壮介を呼ぶ。<br><br>「犬！そろそろ行くで」<br>「誰が犬かっ！」<br><br>　庚申の呼び掛けに答え壮介が遠方より抗議しながら来た。挨拶がてらに三連突きが壮介より放たれ、それを軽く避ける庚申だった。<br><br>「なぜ当たらぬ」<br>「当たったら死にますやろ」<br>「ふざけおって」<br>「壮介はんは虚実が無さすぎですわ。実ばかりの馬鹿正直な一撃で仕留めれるんわ。格下相手だけですわ」<br>「わかっている……だがそれ以外知らんのだ」<br>「なら教えますわ」<br>「拙者とて至らぬ……今なんと」<br>「わてが教えます」<br>「良いのか？」<br>「壮介はんの覚え次第ですわ。口で言うてわからんなら体に叩き込むまでです」<br>「……なぜか首を縦に振りたくないが、頼む」<br>「しばらく桃太郎はんの傷を癒す時間も必要です。まあ桃太郎はんの事やから無理しそうやけど、しっかり止めますわ。癒すその間に鍛えます」<br>「よろしく頼む」<br>「死んでも化けて出んといてな」<br>「……え」<br><br>　こうして一行は捕らえた者を移送する兵士を見送り、傷を負った桃太郎が癒える間に言葉を偽りにしない為に壮介と庚申は鍛え直すのであった。<br>
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<link>https://ameblo.jp/bunen3/entry-12257116724.html</link>
<pubDate>Fri, 17 Mar 2017 08:31:47 +0900</pubDate>
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<title>桃太郎　７０　鬼退治編</title>
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<![CDATA[ 　防戦一方から反撃に転じると見るからに押していた熊男が手数が減った。<br><br>「むう、よもやここまでとはな」<br><br>　技量に感嘆する熊男に桃太郎は虚実織り交ぜた剣閃を放ち、少しずつ熊男が圧され始めた。<br><br>　斬り、凪ぎ、突き、払い、弾き、捌き、受ける、歩法に従い、踏み込み、引き込み、左右に捌き、一太刀は絶え間なく様々な拍子で放たれる。<br><br>「久しいな。この血が沸き立つ感覚、生とはやはりこうあるべきだ」<br><br>　額に汗を流し熊男は笑みを浮かべる。<br><br>「手負いの小僧と侮っていた……非礼を詫びる」<br><br>　熊男は圧されながらも、そう口にすると、腰の脇差しを抜き放ち、二刀の構えをとった。桃太郎の放つ凪ぎ払いを、熊男は脇差しで弾き、間隙なく太刀を上段より降りおろして反撃する。本来ならば弾かれた太刀は下段へと流れ体勢が崩れたところに上段よりの一撃で仕留める技だが、桃太郎は体勢を崩した方に勢いよく前転して、その一撃から逃れた。<br><br>「小僧、その動きからして二刀持ちと相対した事があるな」<br>「師が時折使っていましたので」<br>「くっ、はっはっはっ！すまん失礼した。改めて名乗る……儂の名は尾上芳一【おがみ　ほういち】と申す。桃太郎その名は確と刻んだ……もう逝ねい！」<br><br>　尾上の二刀による猛攻が始まる。全力での両手打ちと変わらない一撃が片手より放たれる。それが双腕の二刀より放たれ、桃太郎は引くより他なく後退する。　それを許さないとばかりに尾上の攻勢は増す。<br>　剣戟の隙間を縫うように仕掛けられた毒に尾上は気づき笑みを浮かべる。<br><br>「力量を計り毒を用いるとは賢しいな。だが毒も慣れるのだ」<br>「少しだけ動きが鈍ればよいのです」<br>「ほう……」<br><br>　耐性を身につけた尾上だが、動きは少しだけ鈍りを見せていた。桃太郎はその隙を突き尾上の刀に断術を放つ。澄んだ音と共に尾上の刀が断ち折られた。<br><br>「ぬかったわ！まさか断術まで修めているか！」<br>「その首いただきます」<br>「まだ儂は死なん」<br><br>　飛び込み斬りいる桃太郎の一撃を尾上は避け、斬り返す。咄嗟に桃太郎は手甲で弾きにかかるが、防ぎきれずに浅く袈裟懸けに斬られた。交差法を狙い勝ちを確信した尾上だが、腹部を見ると桃太郎の逆手に持った小太刀が突き刺さっていた。<br><br>　互いに弾かれたように飛び退き距離を取り構えた。<br><br>「尾上　芳一【おがみ　ほういち】必ず討たせてもらいます」<br>「ふふふ、ははははは！面白い、桃太郎。存分に腕は計れた、せいぜい傷を癒せ、鬼ヶ島で待つ」<br>「逃しません！」<br>「悪いが、まだ死ねんのでな」<br><br>　炸裂音と共に白煙が上がり視界が白く染まる。視界の利かない中で二三太刀を交えた後に尾上は姿を消した。<br><br>「一度ならず、二度まで取り逃がすとは……」<br><br>　桃太郎は悔しさに打ち震える。一歩踏み込みが速ければ、一歩踏み込みが多ければ、一手足りない事で二度も討ち取れなかった。目の前で逃がした事が重く心にのし掛かる。<br><br>「桃太郎！」<br>「桃太郎殿！」<br>「桃太郎はん！」<br><br>　涼、壮介、庚申が斬られた桃太郎を心配して駆け寄ってくる。<br>　<br>「心配いりません傷は浅いです」<br>「桃太郎……とにかく手当てが先だ」<br>「ホンマや」<br><br>　一行は初めて見る桃太郎の姿に動けずにいたが、涼と庚申はすぐに傷の手当てに動きはじめる。そして壮介は無力に打ち震える桃太郎の姿に、かつての自身を重ね見ていた。壮介は桃太郎が自身より強いと知っていた。しかしその強い桃太郎も自身と同じ無力さに打ち震えているのだ。<br>　自身がなぜこうしていられるのか、拳を握り下唇を噛む桃太郎を見て壮介は何かを伝えなければならないと感じた。そして口をついて自然と言葉が出る。<br><br>「桃太郎殿！我々がいる！拙者も庚申もお涼もいるのだ！拙者らは弱い！桃太郎殿よりも弱い！だが無力では無い！我々がいるのだ！頼りないかも知れないが、一人で背負わないでくれ！少なくとも拙者は桃太郎殿の臣下だ！そのつもりなのだ！拙者の命などなんの役にも立たんかも知れんが、使ってくれ！拙者は桃太郎殿の為であれば命を捨てる覚悟だ！足りぬやも知れないが、しかし拙者がいるのだ！一人で背負わぬでくれ！」<br><br>　壮介の言葉に桃太郎の視線は壮介へと向けられた。真剣に桃太郎へ向けられた言葉に庚申も涼も続く。<br><br>「せや、壮介の言う通りやわ、桃太郎はん。桃太郎はんはなんでもできる、せやから全部自分でどないかしようとしますけど、少なくとも旅連れのわてらもいる。全部自分でやりはるんは立派やけど、わてらからしたら面白ないですわ。同じ道を共に歩く意味ありません。壮介の言う通り頼りないかも知れませんけど、わてらかて、それなりに経験はありますんやから、なんでも言うてください。少なくとも、わてらは桃太郎はんのこと好いてますし、助けたい、手伝いたい思ってますんやから」<br>「桃太郎……俺達がいる」<br>　皆の言葉と涼の抱擁で桃太郎は大声で泣く、その泣き声は今まで押し込めていたものがすべて吐き出されるようだった。<br><br>　桃太郎が泣き終えるまで涼は静かに桃太郎の頭を撫で続けた。<br>　しばらくして落ちついた桃太郎の治療が終えた頃に覆面の男達の苦悶の声が上がりはじめる。同時に逃げ出し生き延びた兵士が姿を見せるのであった。<br>
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<pubDate>Thu, 16 Mar 2017 06:59:47 +0900</pubDate>
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<title>桃太郎　６９　鬼退治編</title>
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<![CDATA[ 　襲撃者の動きは速く鋭い、獣のような動きを見せながら隊の者が襲われているのを、桃太郎一行が守りに入る。<br><br>「貴様らただの村人ではないな」<br><br>　槍で鍬を捌いた壮介は鍬や鎌を持つ村人に言い放ったが、まるで意に介さない様子で唸り声で威嚇して見せた。そして村人は咆哮をあげて壮介を襲う。<br><br>「競り合い思ったが力が尋常ではないな」<br>「おそらくなんらかの薬を用いられております」<br>「矢を意に介さないぞ」<br>「狙うであれば眉間を！」<br>「無茶を言うな」<br>「出来ねば誰かが死ぬだけです」<br><br>「やむを得ない、承知した」<br>「お凉様お願いします」<br>「庚申様、他に動きは？」<br>「特にはありませんけど、一人二人は生かして拘束しとかなマズイわ」<br>「心得てます。ただ半数は斬らざるを得ません」<br>「任せますわ」<br><br>　突然の襲撃に、兵達は四方へと逃げ出して行く。しかし覆面に取り囲まれ呆気なく兵達は殺された。見かねて壮介が兵達の助けに入るが、助けられた兵達は壮介を盾にして壮介の背後へと逃げ出して行く。壮介の呼び止める声も虚しく、覆面に囲まれ兵達は息絶えていく。<br><br>「壮介お願いがあります」<br>「桃太郎殿、命じればなんなりと……です！」<br>「今より何名か意識を刈り取りますので、拘束頼みます」<br>「承知した」<br><br>　桃太郎が素早く覆面の集団に飛び込むと、力無く膝から崩れ落ちた。壮介は捕縛術で縄をかけていく。<br><br>「手慣れてますね」<br>「町回りなどの警固役に着いた際に頻繁に使い体に染み付いておるのだ」<br>「なら気兼ねなく倒しても良さそうですね」<br>　<br>　壮介の返事も待たず桃太郎は次々と覆面を倒していく。壮介も必死に縛りあげていく。<br>　<br>「これだけ速く手勢が破られるとはな……」<br><br>　剣閃と共に鳴り響く剣戟であった。兵の者が稲妻のような一陣の風が凪いだ後に血風を巻き上げて倒れ、最後に桃太郎の前で激しい金属音を鳴らして止まると、不精髭に乱れた髪の熊のような男が現れた。<br><br>「小僧……儂の剣を止めるか」<br>「何者……ですか」<br><br>　激しい剣戟に周囲が霞むような衝撃が走る。<br><br>「ほう……斬られぬか」<br>「強い」<br>「なるほど、お主が桃太郎か、確かにその腕ならば儂の教えた者が容易く破られるのも頷ける」<br><br>　嵐のような斬撃を桃太郎は捌き弾いた。周囲の覆面がその領域へと引き寄せられて切り刻まれていく。圧倒的な力量差を前に壮介も庚申も凉も動けずにいた。人の領域を超えた殺し合いを前に立ち尽くすより他なかった。<br><br>「面白い、ここまでとはな」<br>「此度の襲撃を手引きしたのはあなたですか」<br>「いや儂は金を積まれて手を貸したに過ぎん」<br>「金子のために外道に堕ちると申すのですか」<br>「金は何にせよ必要だ。それに外道は今の平家であろう。平家に連なる者も平家に従う者も等しく外道よ。平家滅せよ。従う者も幾らでも逝ねい」<br><br>　呪詛を吐くように熊のような男の顔は憎悪で歪むに連れて剣圧が上がり、桃太郎は次第に圧され始めた。<br><br>「平家に恨みが、おありなんですか」<br>「ある！あるとも！奴等が亡びるなら儂はなんでもしよう。奴等が困るなら儂は幾らでも動こう。奴等を苦しめるなら儂は外道を超えた悪鬼羅刹となろう！」<br><br>　熊のような男の顔は憤怒に歪み、振るう剣で悪鬼そのものと化す。<br><br>「鬼であるならば……討つ！」<br>「ははははは、やって見せよ！」<br><br>　防戦一方の桃太郎が熊男の言葉を受けて初めて反撃に転じる。<br>
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<link>https://ameblo.jp/bunen3/entry-12256496573.html</link>
<pubDate>Wed, 15 Mar 2017 06:16:58 +0900</pubDate>
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<title>桃太郎　６８　鬼退治編</title>
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<![CDATA[ 　討伐隊として桃太郎と壮介とお涼は頼りない隊の者十人と鬼ヶ島への道中を進んでいた。その中には以前壮介と共に討伐へ向かい逃げ、告発した二人もいた。<br>「とても鬼を討伐できる者達とは思えんな」<br>「それどころか野盗すら危ういですね」<br>「そもそも弓を使える者がおらん……おりませんね」<br>「庚申様は何か存じませんか」<br>「桃太郎はん気づいとったんかいな。まだまだ修行が足りんわ。」<br>「居たのか！」<br>「庚申！俺の前では絶対にやるなよ！」<br>「そないに驚かんでも……お涼はん尻餅つくほどやったん」<br>「いきなりだと心臓には悪そうですね」<br>「案外受けええのに」<br>「何もないところから返事して現れるのは趣味が良いとは言い難いな」<br>「そうだぞ庚申！やって良い事と悪い事があるだろ！」<br>「そないに批難されたら悲しいわ」<br>「ヒッ！」<br>「薄くなるとかどうやっているんだ。やはり庚申貴様妖怪か！」<br>「皆様冗談はここまでにしましょう。あまり騒ぐと先を行く方に気付かれるでしょうし」<br>「桃太郎はん相変わらず平然としてますな」<br>「落ち着き過ぎだと思うが桃太郎殿」<br>「桃太郎、すまん……腰が抜けた」<br>「仕方ありませんねお涼様背中に乗ってください」<br>「いやしかし……」<br>「隊列が乱れますから早くお願いします」<br>「わかった……」<br>「庚申様は代わりに私の荷物を背負いください」<br>「そないに怖い顔せんでも……って重っ！何コレ重い。こんなんずっと背負ってはったんですか」<br>「静かに」<br><br>　桃太郎の一言で騒がしい状況が静かになった。<br><br>「では庚申様、隊の者の説明を」<br>「えっ……調べた、ところに、よると、皆、何かしら、不都合な、事実を、知っている、可能性が、あります。それと、おそらくは、鬼ヶ島への、道中に襲撃が、あるんちゃうやろかと、思います。計画書には、先発隊の、記述はおろか、鬼ヶ島、進行計画その、ものが、かく、確認、できません、でしたわ、ちょっと壮介はん、変わって、もう、無理やわ」<br>「お主が悪ふざけするからだろ……仕方ない持ってやるから貸せ、ってかなり重いなこれは」<br>「はぁあ、死ぬかと思った。桃太郎はんこんなん担いでよう涼しい顔してますな」<br>「確かに少し、これは厳しいな。桃太郎殿はこれを背負ってずっと戦ってたのか、あまり真似したいとは思わんな」<br>「またまた皆様ご冗談を、しかし計画書がないとすると命が偽りであった疑いもあると？」<br>「いやいや冗談って、こんな重たいもん普通背負って動けへんよ、普通は動けんくなりますわ。まあ計画書がまったくの偽りかはわかりませんわ、秘匿性が高い計画は原則残さんけど、計画書がないと予算がつかんからなあ、資金もなしに軍勢は動かせんし。きな臭いは確かやけども、水面下で動いている可能性もありますからな。ただ何らかの動きはあると思いますわ」<br>「なんらかの動きですか……もし襲撃があるとすると手勢を守りきれるか不安ですね」<br>「なんや、桃太郎はんあの人らも守るつもりですか」<br>「当然、できる限りは、ですが……」<br>「今はまとまってますけど、以前持ち場から逃げた者やらも居りますから、それ考えると難しい思いますわ。それに無事に皆連れて行けても、あの実力やと鬼の餌食もええとこですやろな」<br>「意図的に足手纏いな面子を集めたようにも思うな」<br>「確かに壮介はん陥れた者も居るしな。生き延びても告発され、死んだら口封じと批難の材料にして功績を帳消しにするつもりかも知れませんな」<br>「悪意に満ちたやり方だな」<br>「壮介はんもやられた手口やろ。ただ仕掛けた方の誤算は壮介はんが申し開きせんかったところやろけどな」<br>「どういう事だ？」<br>「以前壮介はん味方を失った責を問われましたやろ。普通やったら人数足りてないのに討伐させる方に責がある話やけど、逃げた者が告発して、頭数足りてない事を理由に申し開きしてたら、逃げた者の無策に挑んだ話と噛み合ってもて、多分遠島くらいの処罰はあったかも知れませんな。ただ無策に挑んだ話に責を認めて申し開きがなかったから、単独での討伐に修まったんやと思いますわ」<br>「つまり？」<br>「ばか正直に言い訳せんと、すんなり責任を認めたおかげで、責任追及されんで済んだって話ですわ」<br>「そうか」<br>「とはいえ次善策として単独での討伐命令でしょうけどな」<br>「そうだな……」<br>「鬼ヶ島への討伐命令も口封じの意味合いが強いんちゃいますやろか」<br>「とにかく、襲撃は警戒しておけばよいのだな？」<br>「そうなりますわ」<br>「では庚申様も警戒お願いします。こちらも警戒しておきます」<br>「任せとき、またなんかわかったら報せいれますわ」<br>「お願いします」<br><br>　その言葉を聞き庚申は姿を消した。<br><br>「ああも姿を消せるものなのか？」<br>「意図的に死角へと入り込めば可能でしょうね」<br>「桃太郎殿もできるのか」<br>「似た様な技は修めてますが、何もなしにとなると難しいですね」<br><br>　涼しい顔で答える桃太郎の背中で緩みきった顔の涼を見て憮然とした顔になる壮介だった。<br><br>　一行は順調に都を離れ合流地点中程の街道まで来ると予想していた襲撃を受けるのであった。<br><br>　服装と手にする物から村人なのは明らかだが、皆が頭巾を被り口々に何かを呻いている。<br><br>　本来ならば刀を持つ武士に襲いかかるなど考えられないが、その襲撃者達の動きは並みの人の動きを遥かに超える素早さと怪力であった。<br><br>「皆様来ましたよ」<br>「よしきた」<br>「後方は俺に任せろ」<br><br>　桃太郎、壮介、涼はすぐさま戦闘できる体勢となり、襲撃を受ける隊の者を守るべく動き始めるのだった。<br>
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<link>https://ameblo.jp/bunen3/entry-12256180319.html</link>
<pubDate>Tue, 14 Mar 2017 06:15:30 +0900</pubDate>
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<title>桃太郎　６７　鬼退治編</title>
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<![CDATA[ 　一同が再び介したのは都で別れてから一週間過ぎた頃であった。都に入る前に約束した街道より少し離れた場所で会うと決めており、約束した場所に一同が揃った。<br><br>「桃太郎はん、見事警固役に就いたみたいやな」<br>「おかげさまで加茂【かも】様の口添えもあり、なんとか」<br>「久しいな桃太郎」<br>「涼様は艶やかになられましたね。何かおありになったのですか」<br>「すまない……皆に改めて名乗る、俺……いやわたくしは雉辰馬　涼【きたま　りょう】ではなく雉辰馬　涼【きたま　すず】と申す……いや申します」<br>「事情があるんやろし、詳しくは聞かんよ」<br>「俺は……いやわたくしはただ亡き父上のように領民を守れる強い者でありたかった、しかし尊敬する父上がつけた名だと、兄に諭されてな……騙すような真似をしてすまなかった」<br>「まあ、わても勤め柄ようやりますからな、わては気にしませんよ。お涼はんよろうしゅう」<br>「私も同じく気にしません。ではこれよりはお涼様とお呼びすればよろしいですか」<br>「ああ、なにか無図痒いが、繰り返すが騙す意図はなかったのだ……いやなかったのです。ああ今さら変えるなど何と面倒な事か」<br>「お涼はんそれはこちらもですわ。そんで犬はさっきからだんまりやけどどないしたん」<br>「拙者戌亥【いぬい】を捨て、ただの壮介となった。しかし……」<br>「なんや歯切れ悪いな。家名がなければ、単騎で討伐なんて言われんよ。まあ捨てる条件として鬼ヶ島に行け言う話とかか」<br>「ああ……そうだ。まったくお前はどこまでお見通しなのだ」<br>「俺……いやわたくしも同じく鬼ヶ島での討伐を条件に出されました。失敗すれば宮中で輿入れ先を見つけなければならず、言葉を直せと……」<br>「皆様も鬼ヶ島へ？私も守護頭【まもりかみ】の命にて鬼ヶ島へ向かう事になりました」<br>「以前から動きがある言う話は聞きましたけどな。そしたら桃太郎はんは警固役連中と鬼ヶ島へ行きはるんですか？」<br>「いえ、別動隊として先行し偵察し後に後発の部隊と合流し上陸する旨を警固守【けいごかみ】より申し付けられました」<br>「別動隊？二方面での挟撃やろか、せやけどそんなに割けるほどに水軍の数なかった気が、漁船でも使うんかいな？」<br>「先に水軍の手筈は整えていると聞いております」<br>「それで、出立はいつ頃になりはるんですか」<br>「命では明日と聞かされております」<br>「俺も……いやわたくしはただ鬼ヶ島討伐に参加しろとだけ聞いてい……おります」<br>「討伐隊の先発隊に参加しろと」<br>「本隊は７日後という話やから、皆、先発隊になるんか」<br>「本隊は７日後？」<br>「話によれば先発隊が街道の露払いし、合流地点で後発隊に合流し、本隊と共に上陸すると」<br>「理屈は通るけど、鬼の船団を突破できるとは思い難いなあ、弓士隊の大半は北伐に駆り出されてるしなあ、鬼の船団落とせるほどには手数は足りん、確かに鬼の船団は弓やのうて近接してからの戦闘やけども……まあ調べときますわ」<br>「お願いします」<br>「まかとき、じゃあ明日、隊の出前もあるからわては影より見とりますわ」<br>「では明日はよろしくお頼み申します」<br>　<br>　深く頭を下げる桃太郎に皆は応える。いよいよ明日一行は最大拠点と目される鬼ヶ島へと向かう。それぞれの思惑と果たさねばならない事情を抱えて、明日を迎えるのであった。<br>
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<link>https://ameblo.jp/bunen3/entry-12255877377.html</link>
<pubDate>Mon, 13 Mar 2017 06:13:50 +0900</pubDate>
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