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<title>ブリキ鳥は明け方にあくびをした。</title>
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<description>処女長編「マジックランタンサーカス」が第2回ランダムハウス講談社新人賞を受賞。現実とファンタジーの間を行ったり来たりなブログです。</description>
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<title>映画「アレクセイと泉」を見た。　その2</title>
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<![CDATA[ <a href="http://ameblo.jp/burikidori/entry-10895789754.html" target="_blank">＜その1からの続きです＞</a><br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20110516/17/burikidori/36/18/j/o0680026011231924545.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20110516/17/burikidori/36/18/j/t02200084_0680026011231924545.jpg" alt="$ブリキ鳥は明け方にあくびをした。" width="220" height="84" border="0"></a><br><br><br>映画「アレクセイと泉」の魅力をびしばしと書いていきます。<br>（かなりの長さになると思われます）<br><br>あからさまにネタバレするので気をつけて下さい。<br>（ネタバレしたところで魅力が半減するチープな映画ではないけど）<br><br><br>◆魅力　その1　村の老人たち<br><br><br>村の男と女のありようっていうのは<br>もうどこの国でも同じなんですよね。<br><br>あまり仕事をしないのに、なにかっていうと酒を飲む男たち。<br>畑仕事から料理、洗濯までこなす働き者の女たち。<br><br>女たちは逞しくて、歌も踊りも好き。<br>男たちは力仕事はやるけれど、すぐウォッカを飲んじゃう。<br><br>収穫祭のときにバーバたちが盛りあがって踊っている横で<br>男たちが飲みすぎて地面に寝そべっているのを<br>アレクセイが面倒くさそうに運んでいるシーンが良かった。<br><br>アレクセイの両親の掛け合いも素晴らしかった。<br><br>町に住む孫のところに行くときに<br>バスの中でこっそり二人で手をつないでいたり、<br><br>酔っ払ったのか、寝ぼけているのか<br>ソファでジージがバーバにべったりくっついて<br>「おまえと結婚してよかった」とキスをしようとするんだけど、<br>バーバはそれをいやそうにして、<br>「でも、あなたは浮気した」と過去のあやまちを全然許してなくて<br>でもジージは「ああ、美しい人」なんて言い寄っていて…<br><br>思わずにやけてしまいましたよ、二人の可愛さに。<br><br><br>◆魅力　その2　動物たちとの距離<br><br><br>畑仕事に、移動手段に大活躍の馬。<br>泥だらけの子豚。<br>ガアガアとにぎやかなガチョウ。<br>窯で寝るのが好きな灰だらけの猫。<br>どこに行くにも先頭を走る犬。<br><br>村には色々な動物がいます。<br><br>そして村人もアレクセイも<br>動物たちを溺愛するのでなく、無関心にしているのでもなく<br>本当に自然に、対等な存在として、そこにいるのがとても印象的でした。<br><br>じゃがいもを掘っているときに<br>ちょこまかとガチョウが畑に歩いているのが邪魔で<br>バーバはガチョウをつかまえて顔を見つめて<br>「掘るのを手伝うの？　手伝わないの？　手伝わないならどっか行ってて」と言います。<br><br>綱を引いても歩かなくなった馬に、<br>「リンゴでも食べたいの？」と<br>木になった青い実をもぎってあげるアレクセイ。<br><br>ジージと一緒にベンチに座っていた犬が<br>ジージの友達が来た瞬間にベンチから降りて<br>座るスペースを作ってあげていたり。<br><br>とにかく自然なんです。<br><br>一緒に生活している姿にまったく無理がない。<br>ものすごくフラットなわけです。<br><br>（それは動物に対してだけじゃなくて、村人たちのアルクセイに対する<br>関わり方もそうかもしれない。村に残った唯一の若者であるアルクセイは、<br>障害があろうがとにかく色んな仕事を頼まれる。）<br><br>それでいて、将軍という名のガチョウは<br>アレクセイの誕生日に焼かれて皿にのったりするわけです。<br><br>それもすごく自然。<br><br>命をいただくということ。<br><br>特に美しかったのは<br>アレクセイが真っ白な雪の中で犬と遊んでいるシーン。<br><br>犬はアレクセイのことが大好きで、いつでもどこでもくっついていきます。<br><br>その日もアレクセイが馬のソリに乗って森に行ったのだけど<br>ふと彼は馬をとめて、犬と遊びだす。<br>犬は嬉しくて、雪の中で大はしゃぎ。<br>それをロングショットでカメラが撮っている。<br>とても素敵なシーンだった。<br><br><br>魅力　その3　自給自足の生活<br><br><br>村での生活は、基本的に自給自足。<br>だから年金をもらっても、お金が必要ないから<br>最低限のものを買ったら、ほとんど町にいる孫たちに送る。<br><br>じゃがいも掘り、麦刈、ピクルス作り。<br>食べ物はもちろんのこと、ちょっとした布でさえ<br>毛をつむいで糸にして織ったり。<br><br>できることは自分たちですべてまかなうという生活。<br><br>泉のわきにある、洗い場の木枠を作り直すシーンが面白かった。<br><br>以前から「早く直して」とバーバたちに言われていたけど<br>なかなか重い腰をあげない、平均年齢71歳の5人のジージ。<br>司祭様が来るということになって、やっと動き出すんだけど<br>そのときのセリフが格好いい。<br><br>「とにかく始めることだ。そうすればいつかは終わる」<br><br>怠け者のジージたちが森で木を切って、斧でコンコンやりながら<br>きれいに作り直すんだけど、少しサイズが小さい。<br><br>まぁ、いいか、なんてジージたちは案の定、ウォッカで乾杯。<br>そこにバーバがやってきて、<br>「たいした仕事もしてないのに」と小言をちくり。<br><br>「うちの女房はいつもああなんだ。気にしないでくれ」と<br>またウォッカを飲み始めるジージたち。<br><br>まあ飲んだくれてばかりのジージたちだけど<br>斧や鋸を持ったり、ナイフで木を削ったりさせると<br>さすがに森と共に生きてきた男たちなだけあって<br>いい仕事をするわけです。<br><br>泉に捧げる十字架を作ったジージ2人もかわいかった。<br>司祭様から名前を呼ばれて、はにかみながら賛辞を送られてました。<br><br>余談だけど、収穫祭とか司祭様が来るときって<br>バーバたちのエプロンとか頭にかけている布とかが<br>いつもより、ちょっとオシャレな花柄の刺繍のものを身につけているのね。<br>バーバも女の人だ、やっぱり。<br><br><br>魅力　その4　なにはともあれアレクセイ<br><br><br>この映画で絶対に欠かせないのがアレクセイの存在。<br><br>村に残った唯一の若者。<br>障害があって歩くのも話をするのも<br>健常者に比べると不便そうに見えますが<br>ものの数分でそんなことに気を留めなくなります。<br><br>畑仕事も、水くみも、力仕事も、動物の世話も、彼は文句ひとつ言わずにやります。<br><br>ただシンプルに自分のやるべきことをやる。<br>彼の行動は誰かを助けるとか、支えるとかそういうことではないんですよね。<br><br>『町に行ってもいつも村に心を寄せている。だから僕は残った』<br><br>働き者で、しかも信じられないくらいに優しい心を持ったアレクセイ。<br><br>酔っ払って地面に寝そべりながら、カエルを手にのせて<br>話かけているシーンなんて、本当にフィクションの映画では見ることができない<br>童話的な場面です。<br><br>矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、<br>アレクセイは、作りものでは絶対に表現できない、<br>作りものの中に生きているような人物なんです。<br><br>本当の意味でのファンタジーとは、現実世界にあるからこそファンタジーなんです。<br><br>彼は馬にもよく話しかけるし、撮影後記を読んだ限りでは<br>切った木に対して「ごめんね」と言っていたようです。<br><br>ここまでくると、彼を聖人のように見てしまいますが<br>それは危険な考え方。<br><br>アレクセイを聖人にしてしまえば物事は簡単だけど、そうじゃない。<br><br>彼は、やっぱり限界のある人間で<br>障害があることも事実。<br><br>ただ、普通の人よりもとてもシンプルでやさしいだけ。<br><br>たぶんこれは僕自身の見方ではあるけれど<br>アレクセイが力いっぱい杭を打ち込んでいる姿とか<br>蒔を割っているときの表情のなかに<br>本当に微かだけど、どこか現状に対する言葉にできない<br>何かが宿っているように感じました。<br><br>アレクセイ自身も意識していないような何かがあるような気がして<br>そこに人間味を感じたりも。<br><br>でも、そうは言ってもやっぱり特別なオーラを持っています。<br><br>アレクセイの登場シーンで<br>これは一生忘れないだろうなというカットがありました。<br><br>もう映画史上に残る美しいシーンと言っても過言じゃない<br><br>それは夏の朝に水浴びをしているところ。<br><br>朝モヤが立ち込める大自然のなかで<br>アレクセイがパンツ一枚で川からあがってきて<br>たどたどしく服を着ています。<br><br>その肉体には、毎日の畑仕事でついた、<br>無駄のない見事な筋肉。<br><br>健康のためだとか<br>格好よくなるためだとか<br>何かを探究するためにつけられた筋肉ではなく<br>ただ、生きるためにできた筋肉。<br><br>毎日の生活のなかでで自然についた筋肉なんです。<br><br>じゃがいもを掘り、馬をひき、水をくむための身体。<br><br>そんな身体からかすかな蒸気を発しながら<br>服を着ているアレクセイの姿。<br><br>そこに音楽も言葉もない。<br>説明もなにもない。<br>かすかな呼吸の音だけが聞こえる。<br>アレクセイの白い息に朝日があたっている。<br>大きな空と草原と川の流れる音。<br><br>そして、忘れてはいけないのが<br>そこが放射能で汚染された大地であるということ。<br><br>あんな美しいカットを、ここ最近見たことがないです。<br><br>しかも映画の1シーンとはいえ<br>ドキュメンタリーなので演出は一切なし。<br>たぶん撮影も予定されてなくて<br>たまたま見かけたっていう感じが画面からも伝わってきました。<br><br>リアルな日常の彼の姿が神々しい。<br><br>これを「美」と呼ばずに、何を「美」と呼ぼうか。<br><br>いま思い出しても鳥肌が立つくらいです。<br><br><br>◆最後に泉の話。<br><br>不思議と放射能に汚染されていない「泉」。<br><br>こんこんとわき出る水の音が、とてもいい音楽になっていました。<br><br>泉は村人たちにとっても、心の拠りどころになっているのだろうと思います。<br>汚染されなかった奇跡の泉。それは信仰や祈りに似た気持ちを起こさせます。<br><br>そして僕が映画を観ながら思ったのは<br>「泉」は何のメタファーなのか？　ということ。<br><br>もちろん、監督からの答えはありません。<br>そこに泉があり、生活する人々がいる。<br>それだけでいいし、メタファーだなんて考える必要もないのだけど<br>どうしても僕は「泉」の意味、のようなものを考えてしまう。<br><br>汚れることのない、純粋な水の源。<br>心の拠りどころで、それがあるから大丈夫だと思えるもの。<br>大げさに言ってしまえば神のようなものに近い何か。<br><br>これはブジシチェ村だけの話じゃない。<br>泉（あるいは泉のようなもの）は、いたるところにある。<br>場所に限らず、人間の心の中にも。<br><br>そこでひとつの疑問がわきあがる。<br><br>はたして僕の中に「泉」はあるのだろうか？<br><br>答えはすぐに出る。<br><br>僕にとっての泉とは、言葉だ。<br><br>何からも汚されず、水のように自由に流れていく言葉。<br><br>それが語られるものであれ、紙に記すものであれ<br>僕は言葉への信仰がある。<br><br>この泉（言葉）があれば、大丈夫だと思える。<br><br>泉が表すメタファーとは、<br>何が起きても揺るぎないもの、ということなのかもしれない。<br><br>そして、この「アレクセイと泉」という映画でつきつけられたこと。<br>それは、いかに人は生きるのか？<br><br>これは本当に「生き方」を問う映画だと思う。<br><br>放射能で汚染され、地図からも消えた村で<br>今までと変わりなく暮らす老人とアレクセイと動物たち。<br>そこに悲壮はなく、笑いと歌と踊りとウォッカと、生きるための仕事がある。<br><br>さて、では<br>おまえはどう生きていくんだ？<br><br>チェルノブイリと同じことが起きている今の日本で<br>僕はどう生きていくのか。<br>改めて意識するようになりました。<br><br>うん。<br><br>アレクセイはおそらく今日も畑に出て、泉で水をくんでいるのだろうな。<br><br>長くなりましたが、とにかくオススメの映画なので<br>上映会やＤＶＤで観る機会がある方は、ぜひご覧になって下さい！<br><br>上映会情報などはこちら<br>↓<br><a href="http://movies.polepoletimes.jp/alexei/" target="_blank">http://movies.polepoletimes.jp/alexei/</a><br><br><a href="http://click.affiliate.ameba.jp/affiliate.do?affiliateId=15250379" alt0="BlogAffiliate" target="_blank" rel="nofollow">アレクセイと泉 [DVD]/出演者不明<br><img src="https://img-proxy.blog-video.jp/images?url=http%3A%2F%2Fecx.images-amazon.com%2Fimages%2FI%2F21SY8M6BFRL._SL160_.jpg" border="0"></a><br>￥4,935<br>Amazon.co.jp<br><br>
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<link>https://ameblo.jp/burikidori/entry-10895815924.html</link>
<pubDate>Wed, 18 May 2011 21:29:32 +0900</pubDate>
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<title>映画「アレクセイと泉」を見た。　その1</title>
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<![CDATA[ 友人に誘われて映画の上映会に行ってきました。<br><br>しかし、いま思い返してみても、とてつもない映画だった。<br>もうこれは言葉にまとめないと自分の気持ちがぐるぐる回り続けるので<br>久しぶりにブログに更新しながら、映画のご紹介もします。<br><br>「アレクセイと泉」<br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20110516/17/burikidori/36/18/j/o0680026011231924545.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20110516/17/burikidori/36/18/j/t02200084_0680026011231924545.jpg" alt="$ブリキ鳥は明け方にあくびをした。" border="0"></a><br><br><a href="http://movies.polepoletimes.jp/alexei/" target="_blank">http://movies.polepoletimes.jp/alexei/</a><br><br>監督は『ナージャの村』を撮った写真家の本橋成一さん。<br><br>とにかく、色々な意味ですさまじいドキュメンタリー映画でした。<br><br>単なるチェルノブイリ原発関連の反原発モノじゃないです。<br>人生を描く「映画」として、全身にじわじわと染み込む作品。<br><br>ハリウッドなんかじゃ一生かかっても<br>こんな作品、作れないだろうなぁ。<br><br><br>舞台は1986年のチェルノブイリ原発事故で被災した、<br>ベラルーシ共和国の小さな村ブジシチェ。<br><br>その村の畑や森から高濃度の放射能が検出されているのに<br>なぜか生活用水として使っている泉からは検出されない。<br><br>村人には政府から退去勧告が出ているのだけど<br>老人と障害のある若者アレクセイは村に残って生活をしている。<br>地図からも消された村で、変わらずに暮らしている。<br><br>事故から16年経った、2000年。<br>その当時の村の人たちの生活を追ったドキュメンタリー映画です。<br><br>良質なドキュメンタリーが常にそうあるように<br>この映画も監督が声高にメッセージを盛り込むのでなく<br>観客を「ある一定の方向」に顔を向けさせるために演出をするわけでもなく<br>ただ誠実に、じっと村人たちの生活を静かに撮り続けています。<br><br>そこには答えも考えも問題提起すらもない。<br>ただ大自然の中で朴訥とした暮らしをしているのを映しているだけ。<br>これといった事件も起きないし、なにかしらの衝突や解決があるわけじゃない。<br><br>でも、そこは放射能に汚染された土地。<br><br>まず、驚いたのはチェルノブイリの原発事故にまつわる話であるはずなのに<br>「放射能」という言葉を村人からまったく聞かなかったこと。<br><br>唯一、仙人と呼ばれるおじい（秘密の場所に座って巻煙草を吸う変わり者。<br>警戒心が強い）だけが、支離滅裂な発言のなかで一回だけ<br>放射能という言葉を使っていました。<br><br>村人たちは誰も原発のことを話題にしません。<br><br>映画の中で放射能について触れているのは<br>ファーストシーンで森を抜けるときに聞こえてくる<br>ガイガーカウンターの音に合わせて語られるナレーションだけなので<br>観ている側も村が放射能に汚染されていることを忘れてしまうほど。<br><br>そんな状況下で残った村人たちは毎日を変わらず過ごしています。<br><br>じゃがいもを掘り、麦を刈り、木を切って、<br>馬や子豚、ガチョウ、犬、猫たちといつも通り暮らしています。<br>大地の恵みと、奇跡の泉の恩恵に感謝しながら<br>日々の暮らしを営んでいるんです。<br><br>大事なことは小さな声で語られる、と言ったのは<br>村上春樹だったけな？<br><br>この映画も小さな声で色々なことを語りかけてきます。<br>おそらく、観た人がそれぞれにちがう感想を持ったと思う。<br><br>自分で咀嚼して、初めて意味が生じる映画。<br>本当に素晴らしい。<br><br>細かいところをあげていくと……<br><br><br>ああ、だめだ。<br><br>もうこの文章、長くなりそうなので、<br>次のページで項目別にまとめて書いていくことにします。<br>とにかく魅力満載の映画なんです。<br><br><br><a href="http://ameblo.jp/burikidori/entry-10895815924.html" target="_blank">＜その2に続きます＞</a><br><br>
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<pubDate>Wed, 18 May 2011 21:25:34 +0900</pubDate>
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<title>【福島・宮城に行ってきた。（2）】</title>
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<![CDATA[ <a href="http://ameblo.jp/burikidori/entry-10846060774.html" target="_blank">【福島・宮城に行ってきた。（1）】</a>の続きです。<br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20110330/17/burikidori/0e/03/j/o0640048011134565661.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20110330/17/burikidori/0e/03/j/t02200165_0640048011134565661.jpg" alt="$ブリキ鳥は明け方にあくびをした。-CA340809001.JPG" border="0"></a><br><br>目指す地は福島県伊達市と宮城県気仙沼市。<br><br>お店で仕分けと梱包を済ませた支援物資を乗せ、ロングバンを走らせる。<br><br>東京から埼玉、栃木、福島と北に向かうにつれて<br>対向車線を走る車に、自衛隊・消防・警察と災害対策車が増えてくる。<br><br>白い雪が舞うようになった。気温は2℃。<br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20110330/18/burikidori/6a/91/j/o0800060011134672584.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20110330/18/burikidori/6a/91/j/t02200165_0800060011134672584.jpg" alt="$ブリキ鳥は明け方にあくびをした。" border="0"></a><br><br>福島はうっすらと雪に包まれていた。<br><br>最初に物資を届けたのは福島県伊達市。<br><br>原発からの距離は40～50km程度。<br>雪に混じる放射線物質の量も東京に比べれば多いだろう。<br><br>それでも町にはマスクをせずに歩いている人もいる。<br>自分もせいぜいダウンジャケットのフードをかぶるぐらいだ。<br><br>実際に避難生活をしている人の前で<br>必要以上に放射能に怯えることなんてできるわけがない。<br><br>伊達市では原発の30km圏内から避難してきた方たちが増えて<br>避難所の物資が足りなくなっていると聞かされていた。<br><br>特に衣類と肌着と生活雑貨。<br><br>地元で訪問介護の仕事をしているＫ君が軽トラックで迎えに来た。<br>人の良さが隠してもにじみ出てしまうような誠実な人だった。<br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20110330/17/burikidori/27/73/j/o0640048011134565663.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20110330/17/burikidori/27/73/j/t02200165_0640048011134565663.jpg" alt="$ブリキ鳥は明け方にあくびをした。-CA340822.JPG" border="0"></a><br><br>軽トラックの荷台に物資を積みながら<br>彼は恐縮してしまうくらい謙虚に<br>こんなに頂いて大丈夫ですか？　と繰り返した。<br><br>彼は「こっちではコンビニもやってませんから」と<br>手作りのおにぎりとミネラルウォーターを渡してきた。<br><br>それは受け取れない、と言っても彼は手の中におにぎりを押し込んでくる。<br>彼の好意を断るわけにもいかず、おにぎりはありがたく頂いた。<br>保存のきくミネラルウォーターはＫ君に戻した。<br><br>彼はさらに北に向かう自分たちのことを心配して<br>メディアでは放送されていないことも教えてくれた。<br><br>「本当に気をつけて下さいね。場所によっては暴動も起きていますから」<br><br>高速道路に戻り、さらに北へと車を走らせる。<br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20110330/17/burikidori/6c/0b/j/o0640048011134565650.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20110330/17/burikidori/6c/0b/j/t02200165_0640048011134565650.jpg" alt="$ブリキ鳥は明け方にあくびをした。-CA340820001.JPG" border="0"></a><br><br>福島から北の高速道路にはときおり段差がある。<br>地震の影響だろう。<br>陥没したポイントにはアスファルトが敷かれているが<br>その継ぎ目をきれいに平らにならす時間なんてないのかもしれない。<br><br>段差を通るたびに車が跳ねる。<br>そのたびに視界がぶれる。<br><br>天気は吹雪になったり、晴天になったり、雨が降ったり<br>山を越えるたびに空模様が変わる。<br><br>三陸道の終点で降り、海岸線を通る道で気仙沼まで目指す。<br><br>山道に入り、カーブにさしかかるたびに身体が揺れる。<br>何度目かの曲線を曲がり切ったところで<br>その景色は突然、視界に飛び込んできた。<br><br>運転席にいる友人が「まずいぞ、これ」と小さくうなった。<br>その声に顔をあげると眼前には、想像を絶する世界が広がっていた。<br><br>僕はまだあの風景を的確に表す言葉を自分の中に見つけていない。<br>今でも、この文章をキーボードで打つ指が小刻みに震える。<br><br>その土地の名前は南三陸町。<br><br>まだ海までだいぶ距離があるはずだった。<br><br>それなのに、見渡す限りすべてが瓦礫だった。<br>木や電柱はなぎ倒され、道路標識は泥に埋まり、<br>骨組みだけになったコンクリートの建物に家屋の材木が流れ込んでいる。<br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20110330/17/burikidori/2a/d1/j/o0640048011134559863.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20110330/17/burikidori/2a/d1/j/t02200165_0640048011134559863.jpg" alt="$ブリキ鳥は明け方にあくびをした。-CA340830003.JPG" border="0"></a><br><br>三階建ての建物の屋上に樹木が横たわる。<br>家屋はすべてなぎ倒され、屋根も壁も柱も家具も、<br>細かく砕け散って大地を覆い尽くしている。<br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20110330/21/burikidori/6a/18/j/o0700052511135003243.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20110330/21/burikidori/6a/18/j/t02200165_0700052511135003243.jpg" alt="$ブリキ鳥は明け方にあくびをした。" border="0"></a><br><br>テレビの映像やインターネットの画像で見ていたはずの光景。<br><br>でも、想像をはるかに超えていた。<br>記録されたものを見るのと、実際にその空間の中にいるのとは<br>比較にならないほど迫り方が違う。<br><br>絶望なんて安易な言葉では表現しつくせない。<br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20110330/21/burikidori/74/6c/j/o0700052511135003237.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20110330/21/burikidori/74/6c/j/t02200165_0700052511135003237.jpg" alt="$ブリキ鳥は明け方にあくびをした。" border="0"></a><br><br><br>車が瓦礫の山に突き刺さっている。<br>横転したまま息絶えている車もある。<br>カードレールや看板など鉄製のものでさえ、<br>巨人がひねりつぶしたかのようにひん曲がっている。<br><br>山の木々の高い場所に<br>潮が引いたあとに残ったのであろう、<br>衣類やベッドシーツ、カーテンなどが引っ掛かっていた。<br>生活を感じさせる色とりどりの服や布が何キロにもわたって、<br>木の上に、何かのしるし、のように風になびいている。<br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20110330/21/burikidori/db/36/j/o0700052511135004266.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20110330/21/burikidori/db/36/j/t02200165_0700052511135004266.jpg" alt="$ブリキ鳥は明け方にあくびをした。" border="0"></a><br><br><br>そこは時間の止まった世界だった。<br><br>巨大な、人間の想像の限界をはるかに超える巨大な破壊エネルギーを持った<br>何かが襲い掛かり、そのまま時間を止めてしまったかのように見えた。<br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20110330/21/burikidori/da/76/j/o0700052511135003239.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20110330/21/burikidori/da/76/j/t02200165_0700052511135003239.jpg" alt="$ブリキ鳥は明け方にあくびをした。" border="0"></a><br><br>破壊や死が、前に進むことも後ろに戻ることもなく<br>ただ固まっている世界。それがどこまでも続いていた。<br><br>未知なものを目にするのとは違う。<br>未知の世界に放り投げられる、という感覚に近い。<br><br>そこでまっさきに感じたことは<br>人間が許容しうる限界まで膨れ上がった恐怖だった。<br><br>そして、想像力が及ばない言葉にならない悲しみだった。<br>いや、悲しみとは違う。悲しみに似たような何かだ。<br><br>全身の細胞が震えだすのが分かった。<br>足元を支える何かが失われ、虚空の中に放り出される。<br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20110330/21/burikidori/08/36/j/o0700052511135004262.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20110330/21/burikidori/08/36/j/t02200165_0700052511135004262.jpg" alt="$ブリキ鳥は明け方にあくびをした。" border="0"></a><br><br><br>直視するのが難しくなり、カメラのファインダーをのぞく。<br>フィルターをはさむと、そこはただの平面的な景色になる。<br>すると、僕の中で声がする。目を開け、と。<br><br>内面の自分はこの世界から逃げ出すことを許さない。<br><br>目を開け。<br><br>瓦礫の世界に立つ。<br>大きく呼吸をする。<br>おそろしいくらいに静かだ。<br>ひとりひとりの生活があり人生があったはずの世界に、音がなかった。<br><br>瓦礫の向こうで海が寝そべっていた。<br>風が吹き、旗がはためく音がする。<br><br>この静寂の世界に舞い込んできた唯一の音。<br><br>音のする方に顔を向けると、木の上に引っかかった赤や白や黄色の服があった。<br>町で生活をしていた人たちの日常が、生の証が、<br>木の上で風に揺らめいていた。<br><br>泣いてはだめだ、と自分の中で声がする。<br>そんなもの何の役にも立たない。<br><br>当然、みぞれのような吹雪になった。<br>大きな氷の塊が横なぐりに吹きつけた。<br><br>瓦礫の山に白い雪が覆っていく。<br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20110330/21/burikidori/ab/d1/j/o0700052511135003242.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20110330/21/burikidori/ab/d1/j/t02200165_0700052511135003242.jpg" alt="$ブリキ鳥は明け方にあくびをした。" border="0"></a><br><br><br>車に戻り、気仙沼に向けて走り出す。<br>どこまで行っても破壊された土地に終わりはなかった。<br>いったいこの世界はどこまで続いているのだろう。<br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20110330/21/burikidori/57/21/j/o0700052511135004261.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20110330/21/burikidori/57/21/j/t02200165_0700052511135004261.jpg" alt="$ブリキ鳥は明け方にあくびをした。" border="0"></a><br><br>ひとりひとりの生活の痕が、瓦礫の中で行き場をなくしている。<br><br>友人と僕は無言のまま車を走らせる。<br>圧し掛かってくる圧力を少しだけ抜きたくて<br>ときおり軽口を叩いてみたが、面白くとも何ともなかった。<br><br>暗くなる前に気仙沼に支援物資を届ける、という目的があってよかったと思う。<br>具体的にやることがあったおかげで、あの世界が持つ<br>虚無のようなものに取り込まれずに済んだのかもしれない。<br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20110330/17/burikidori/d4/03/j/o0640048011134559858.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20110330/17/burikidori/d4/03/j/t02200165_0640048011134559858.jpg" alt="$ブリキ鳥は明け方にあくびをした。-CA340834001.JPG" border="0"></a><br><br>それと同時に、この惨劇に飲み込まれた町の住民の方たちが<br>正気を保ち続けることが、どれだけ大変なことか思い知らされた。<br><br>粉々に砕け散った町を目の当たりにして<br>希望を失わないでいることが、どれだけの力を必要とすることか。<br><br>僕はここに来るまで、それを想像することもできなかった。<br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20110330/21/burikidori/f3/fe/j/o0700052511135004269.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20110330/21/burikidori/f3/fe/j/t02200165_0700052511135004269.jpg" alt="$ブリキ鳥は明け方にあくびをした。" border="0"></a><br><br><br>気仙沼市に入り、待ち合わせ場所である駐車場でＭさん夫婦に会う。<br>子供のいる若い夫婦で、今は避難所生活をしている。<br><br>津波があったとき、Ｍさんは子供と一緒に家にいた。<br>地震がおさまってから急いで車に乗り、高台に避難。<br>その後、津波が来て家が流され、工場の石油タンクにぶつかり<br>燃え上がるのを山の上から見つめていたらしい。<br><br>波に浮かぶ家や建物のいたるところから火があがる。<br>眼下で自分たちの町が海に飲まれ、燃えつきていく。<br><br>戦争みたいだった、と彼女は言った。<br><br>「私たち、生き残れたことが不思議なんです」<br><br>彼女は涙を浮かべながら話してくれた。<br>悲しみと、気丈にやっていかなくてはいけない使命感と疲れが混じり合い<br>それでも前を向いて生きている彼女の瞳には、<br>安全圏にいる僕たちには到底及ばないものがあった。<br><br>それでも、と思う。<br>あの町を見た今なら分かることがある。<br><br>今は必死に立ち上がっているけれど、ひとりでは長くもたない。<br><br>その足は非常に不安定な大地の上に立っている。<br>倒れないように、彼女自身が立っていられるように支える人や何かが必要だ。<br><br>それは今のところ物資なのだろう。<br>物資を届けること、そして遠く離れた東京で<br>支援物資を集めている人たちがいるという事実。<br>それ自体も支えになると思う。<br><br>Ｍさん夫婦は2台の車で来ていたのだが、物資を全部載せることができずに<br>車を持っている友達を急遽、呼んでくれた。<br><br>ヘルプに来た女友達は海を指さしながら言った。<br>「前はね、ここから海なんて見えなかったんですよ」<br><br>海岸までに視界をさえぎるものが何もなかった。<br>かつてそこにあった集落は、泥の中に埋もれていた。<br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20110330/17/burikidori/4d/7e/j/o0640048011134559853.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20110330/17/burikidori/4d/7e/j/t02200165_0640048011134559853.jpg" alt="$ブリキ鳥は明け方にあくびをした。-CA340837002.JPG" border="0"></a><br><br><br><br>物資の積み込みを終えてから、しばらく話をした。<br><br>これからどんな物が必要になってくるのか、どういうサポートの仕方が最適なのか。<br>避難所には地震から2週間以上経った今でも電気と水が届いていない。<br>電気がないために情報もないし、仲間に情報を伝達する手段も限られている。<br>携帯電話の電池ひとつとってみても、おそろしく貴重なものなのだ。<br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20110330/21/burikidori/b5/04/j/o0700052511135004908.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20110330/21/burikidori/b5/04/j/t02200165_0700052511135004908.jpg" alt="$ブリキ鳥は明け方にあくびをした。" border="0"></a><br><br>「復興するまで長い時間がかかると思うんです。<br>今はみなさんに助けてもらって本当にありがたいんですけど<br>忘れられていくんじゃないかな、という恐怖はあります」<br><br>話を終えて帰ろうとしたところに<br>彼女たちは車にあったパンとジュースを持ってきてくれた。<br><br>「もらってばかりじゃ悪いから」<br><br>僕たちは、大丈夫、大丈夫と言った。<br>ジュースは子供にあげて。<br>おにぎりがあるから大丈夫。<br><br>それでも福島のときと同じようにパンは強引に手に押し込まれた。<br><br>帰りは気仙沼から岩手県の一関にまわって高速道路にのることにした。<br><br>吹雪になったり、晴れ間を見せたり、雨になったり<br>不安定な表情を見せていた空が、帰る頃には落ち着いていた。<br><br>山の奥に夕日が落ちていく。<br>真っ赤な空が車の行く先にある。<br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20110330/17/burikidori/03/06/j/o0640048011134559848.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20110330/17/burikidori/03/06/j/t02200165_0640048011134559848.jpg" alt="$ブリキ鳥は明け方にあくびをした。-CA340843001.JPG" border="0"></a><br><br><br>1日が終わり、また新しい1日に向けて空が色を変えていく。<br><br>僕と友人は車の中でおにぎりとパンをほおばる。<br><br><br>・・・・・・・・・・・・・・<br><br><br>僕はこれから福島や宮城のニュースを聞くたびに<br>Ｋ君やＭ夫妻やその友達の顔を思い浮かべるだろう。<br><br>不特定多数のだれか、ではなく<br>具体的な友人の顔を思い浮かべることができるだろう。<br><br>瓦礫になってしまった町とそこで活動する消防団や自衛隊の方<br>川で何かを洗っていたおばあちゃんの姿を思い出すだろう。<br><br>出発前に僕の周りにあった白いモヤはいつのまにか消えている。<br><br>それと同時に新しい恐怖や悲しみのようなものも抱えている。<br>でも、そこから始めるべきなんだ、と思う。<br><br>総体的な震災ではなく<br>個人的な震災にすることによって<br>3月11日以来、おぼつかなかった僕の足取りは<br>初めて大地を踏みしめたような気がした。<br><br>足が地面についていれば、歩くことができる。<br>次の1歩を踏み出し、前に進むことができる。<br><br>自分はこれから何をするべきか。<br>僕は今はっきりと自覚している。<br><br>・・・・・・・・・・・・・・<br><br>福島に向かう途中の車の中で<br>「エフエム福島」を聞いていたのだけれど<br>ふと、この曲が流れてきた。<br><br>■The Beatles 「Hello Goodbye」<br><br><iframe title="YouTube video player" width="480" height="390" src="https://www.youtube.com/embed/oGG8gG9tEaE" frameborder="0" allowfullscreen></iframe><br><br><br>僕も大きく息を吸い込んで言ってみようと思う。<br><br>I don't know why you say goodbye<br>I say Hello！<br><br><br>
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<pubDate>Wed, 30 Mar 2011 18:41:54 +0900</pubDate>
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<title>【福島・宮城に行ってきた。（1）】</title>
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<![CDATA[ 3月26日の土曜日、<br>地震から2週間と少し経った日の朝に<br>僕は友人と支援物資を運ぶため、ワゴンを運転していた。<br><br>東京の空は何か文字が書けそうなくらい青く澄んでいる。<br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20110330/21/burikidori/f6/24/j/o0700052511135001816.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20110330/21/burikidori/f6/24/j/t02200165_0700052511135001816.jpg" alt="$ブリキ鳥は明け方にあくびをした。" border="0"></a><br><br><br>・・・・・・・・・・・・・・<br><br>東日本大震災のこと。<br><br>2011年3月11日、あの日からずっと<br>僕の中には、もやもやとしたものが溜まっている。<br><br>それは最初、不安とか怯えなのだと思っていた。<br><br>東京でも余震がかなり続いたし<br>放射能の危機は日を追うごとに増している。<br><br>原発というものに対しての知識もなく<br>さらに相手が目に見えない物質ということもあって<br>知らず知らずのうちに怯えを自分の内に蓄積させているのだろうと思った。<br><br>確かにそういう要素もある。<br>だけど、不安や怯えだけが白いモヤの正体じゃない。<br><br>もしかしたら疲れもあったのだろうか？<br><br>あの日以来、テレビやインターネットでは<br>「情報」が今までにないほどにあふれている。<br><br>原発の話題は特にそうだ。<br><br>twitter上でも専門家の意見やメディアの発表が引用され<br>急に現れた自称批評家、識者たちが意見をはさみ<br>デマや自論や理想論や悲観・楽観論が何層にも重なっている。<br><br>引用は消えることなく<br>形をどんどんと変えながら流れ続ける。<br><br>着地点はどこにもない。<br><br>そして情報の流れを目で追いかけながら<br>右往左往している自分がいる。<br><br>コントロールできない情報量にもまれて<br>疲れ、のようなものが溜まっているのは確かだ。<br><br>でも、何かが違う。<br>そうじゃない。<br><br>情報に振り回される疲れなんてたいしたことじゃない。<br><br>僕の基本的な考え。<br><br>情報というのは事実そのものではなくて<br>事実の「見方のひとつ」でしかない。<br><br>だから、僕はある時からtwitterや原発関連の記事を見なくなった。<br>もう誰かの意見やら解釈なんてどうでもよかった。<br>簡単に言えば、うんざりだった。<br><br>コントロールしきれない量の情報と距離を置いたことで<br>この種の疲れからはきれいさっぱり解放された。<br><br>それでも、白いモヤが晴れることはない。<br>それどころか、どんどん時間と共に溜まっていく。<br><br>このモヤの正体は何なのだろう？<br><br>僕はどことなくフラストレーションを感じている。<br><br>何に？<br><br>東京に漂うムードに。それに巻き込まれている自分に。<br><br>ムードや情報に囲まれていくうちに<br>分かったような気になっている自分が嫌だった。<br><br>今回の大地震は、東京でもかなりの揺れを引き起こした。<br>電車が止まり、食料や水やガソリンが不足し、電気も足りなくなった。<br><br>震災は対岸の火なんかではなく、現実的に東京の生活も影響を受けている。<br>放射能の危機も去っていない。<br><br>それでも、と思う。<br><br>それでも、僕には震災のムードしか感じられない。<br><br>大勢の人と同じように義援金に寄付をし、<br>支援物資を提供して、節電に心がけている。<br>何かしら自分にできることをしたい、と思っている。<br><br>だけど、そこに確固たるリアリティが足りなかった。<br><br>誰かが撮った映像と誰かが語った言葉で伝達される総体的な震災。<br>ムードやイメージとしての震災。<br><br>放射能のことも、まだ今のところは想像上にある危機でしかない。<br>あるいは解釈の違いで生じる危機。どちらにせよ、実体はない。<br><br>自分にとっての、個人的な体験としての震災とは何か？　と聞かれると<br>放射能に怯えていることとか、<br>食料やガソリン不足に悩まされたこととか、<br>停電のことしかない。<br><br>もし放射能の危機が去り、いつもと変わらない便利な生活が戻ってきたとしたら<br>僕は自然とこの出来事を忘れていってしまうんじゃないだろうか？<br><br><br>もちろん心の変化はある。<br><br>今回の震災は日本の社会も政治も生活も大きく変えると同時に<br>人々の心のありよう、価値観も大きく変えていくのだろうと思う。<br><br>僕自身の心は3月11日を境に、大きく変化した。<br><br>ただそれもまだ変化し始めたばかりで、<br>形がしっかり定まっているとは言いがたい。<br>柔らかく流動的な状態。<br>しっかりと固まるためには何かが必要だった。<br><br>何かが足りない、のだ。<br><br>一過性の変化にしないために、何かが必要だった。<br><br>薄い白い膜が僕の周りにはりめぐらされている。<br>新しい情報や記事を読むたびに<br>イメージとしての震災に包まれるたびに<br>視界はどんどん白く濁っていく。<br><br>そして僕は義援金に寄付をしながらも<br>被災地の風景や被災している方の顔が見えていない。<br><br>まったく見えていないのだ。<br><br>そのことこそが、僕に強烈な違和感を抱かせる。<br><br>・・・・・・・・・・・・・<br><br>友人の店<a href="http://sakana-spice.jp/home" target="_blank">「スパイスキッチン魚theユニバース」</a>が旗振りをして<br>被災地に支援物資を届けることになったとき<br>僕は二つ返事で手伝うことにした。<br><br>もちろん被災をしている方に物資を届けるという目的はある。<br><br>でも、誤解を恐れずに告白してしまえば<br>それ以上に僕は自分の中に強い欲求があった。<br><br>いったい今、日本で何が起きているのか。<br><br>フィルターに通した映像や他人の言葉ではなく<br>自分の目で見て、耳で聞いて、肌で感じなくてはいけない。<br><br>そうしないことには総体的なムードとしての震災のままになってしまう。<br>情報だの、予測だの、妄想だの、危機意識だの<br>実体のないものだけでは足りなかった。<br><br>個人的な震災に落とし込むこと。<br>それこそが僕にとって大事なことだった。<br><br><br><a href="http://ameblo.jp/burikidori/entry-10846069160.html" target="_blank">【福島・宮城に行ってきた。（2）】</a>に続きます。<br><br><br>
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<pubDate>Wed, 30 Mar 2011 18:37:15 +0900</pubDate>
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<title>SOUR　新曲「映し鏡」</title>
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<![CDATA[ あまりにも興奮してしまったので<br><br>これは紹介しなくちゃまずい！と思って、ブログを書いてます。<br><br>何に興奮したかって言うと、SOURというバンドの新曲のPVが<br><br>サプライズだらけの、かなり素晴らしい作品なのですよ。<br><br><br>私、５・６年前くらいから「riczen」というロックDJイベントを<br><br>幼なじみのたっちゃんという男（ヒゲ・釣り好き・最近はギター弾き）と<br><br>主催しているのですが、riczenのDJメンバーたちは、<br><br>昔からSOURと一緒にイベントをやっていて<br><br>その流れでriczenもSOURのライブでDJをやったりなんかして<br><br>もはや「同胞」のような感覚なんです。<br><br><br>SOURのPVといえば、前回の「日々の音色」で<br><br>2009年の文化庁メディア芸術祭　エンタテインメント部門の大賞に輝き<br><br>You Tube Video Awards 2009も受賞。<br><br>「日々の音色」の手法は、あまりにも新鮮で<br><br>アメリカの某大手飲料水メーカーが真似をしてCMを作ったくらいの<br><br>斬新なクリエイティブでした。<br><br>（記事の最後にYou Tubeを貼り付けておきます）<br><br><br>そして「日々の音色」のディレクターである川村真司さんが<br><br>今回もどえらいものを作りました。<br><br><br>今回の新曲「映し鏡」のPVでは<br><br>見る側のあなたも参加できるんです！<br><br><br>★簡単に手順を説明すると<br><br>まず、google chromeかSAFARIをダウンロードする必要があります。<br><br>そんで次に、twitterかFacebookのアカウントでログイン。<br><br>ロードされるのを待って、スタート！（最初は少し時間がかかるかも）<br><br>いきなりgoogleのトップ画面が出てきますが、<br><br>そこは焦らずに「何もせずに」待って下さい。<br><br>曲が流れ始めたら、googleに自分の名前が自動的に検索されて…<br><br>あぁ！ここからは実際に試して下さい！<br><br><br>こちらから<br>↓<br><a href="http://sour-mirror.jp/" target="_blank">http://sour-mirror.jp/</a><br><br><br><br>いやーどうでした？　楽しくないですか？<br><br>というか、すごくないですか？<br><br><br>前回の「日々の音色」のPVでも感じたことだけれど<br><br>川村さんの作るSOURのPVは<br><br>今しかない、時代を反映したツールを使いながらも<br><br>アナログな「手触り」を残していて<br><br>それがSOURの音に、マッチしているんですよね。<br><br><br>それに、どの作品もそうだけど<br><br>「つながり」が大事なテーマになっている。<br><br><br>君と、僕と、あなたはつながっている。<br><br>インターネットなんていう狭い枠を越えて<br><br>時間もメディアも越えたところで（もちろんその間にはSOURの音楽がある）<br><br>「つながっている」ということが、本当にうまく表現できていると思う。<br><br>それを楽しませながら見せることができるセンス。<br><br>脱帽です。<br><br><br>川村真司さんは今、世界で戦える日本の映像クリエイターとして<br><br>かなり、いい位置にいると思います。<br><br>間違いなく今回のPVで、注目度はさらにあがるでしょう。<br><br><br><br>SOUR「日々の音色」<br><br><object width="480" height="385"><param name="movie" value="http://www.youtube.com/v/WfBlUQguvyw?fs=1&amp;hl=ja_JP"><param name="allowFullScreen" value="true"><param name="allowscriptaccess" value="always"><embed src="https://www.youtube.com/v/WfBlUQguvyw?fs=1&amp;hl=ja_JP" type="application/x-shockwave-flash" allowscriptaccess="always" allowfullscreen="true" width="480" height="385"></object><br><br><br>これも最高！<br><br>SOUR「半月」<br><br><object width="480" height="385"><param name="movie" value="http://www.youtube.com/v/vMGSH0J0dUU?fs=1&amp;hl=ja_JP"><param name="allowFullScreen" value="true"><param name="allowscriptaccess" value="always"><embed src="https://www.youtube.com/v/vMGSH0J0dUU?fs=1&amp;hl=ja_JP" type="application/x-shockwave-flash" allowscriptaccess="always" allowfullscreen="true" width="480" height="385"></object><br><br><br>SOURは12月8日に3rd Album「アンサンブル」をリリース！<br><br>ぜひ聞いてみて下さい。<br><br>オフィシャルサイトはこちら<br>↓<br><a href="http://sour-web.com/" target="_blank">http://sour-web.com/</a>
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<link>https://ameblo.jp/burikidori/entry-10732254343.html</link>
<pubDate>Fri, 10 Dec 2010 02:00:57 +0900</pubDate>
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<title>音楽小説　No.03 　「Epecta」</title>
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<![CDATA[ ※これは音楽を聞きながら読んで欲しいので<br><br>　パソコンから見ることをオススメします！<br><br><br><br>久しぶりの更新になってしまいました。<br><br>なにかと日々バタバタと目の前にある仕事を片付けていたら<br><br>いつの間にか、秋もどこかに過ぎ去ろうとしていて<br><br>少し焦っています。<br><br>マツタケも紅葉も狩っていないです。<br><br>なにかしないと…<br><br><br>というわけで、音楽小説を更新してみました。<br><br>秋とはまったく関係のない作品です。<br><br>きのこ鍋も秋茄子も、ボジョレーも出てきません。<br><br>まあ、とにかく今回は三分くらいで読み終わる短めの作品なので、<br><br>ぜひ読んでみて下さい。<br><br><br>―――――――――――――――――――――――――――――――――<br><br>■音楽小説の楽しみ方<br><br>まずは貼り付けてある　you tube　をクリックして<br><br>音楽を流します。それをＢＧＭに短編作品をお楽しみください。<br><br>―――――――――――――――――――――――――――――――――<br><br>今回の音楽は<br><br>Sigur Ros<br>「Epecta」<br><br><br>しかしSigur Rosの曲だったら、わたくし無限に物語が書ける気がします。<br><br>―――――――――――――――――――――――――――――――――<br><br><object width="480" height="385"><param name="movie" value="http://www.youtube.com/v/jWZiD5gDIlY?fs=1&amp;hl=ja_JP"><param name="allowFullScreen" value="true"><param name="allowscriptaccess" value="always"><embed src="https://www.youtube.com/v/jWZiD5gDIlY?fs=1&amp;hl=ja_JP" type="application/x-shockwave-flash" allowscriptaccess="always" allowfullscreen="true" width="480" height="385"></object><br><br><br>「まるで水槽の中にいるみたい」<br><br>女は助手席のガラスについた水滴を指でなぞった。<br><br>めえ。<br><br>男が何かを言うかわりに、後部座席で丸くなっている白い山羊が<br><br>頭をもたげて小さく鳴いた。<br><br><br>車の天井を打つ雨の音が聞こえる。<br><br>ガラスで区切られた外の世界には漆黒の闇。<br><br>そこに夜というものがあることすら分からないほどの闇だ。<br><br>音がしなければ雨が降っていることさえも分からない。<br><br>車の中では男と女と山羊が、何かから身を守るようにして閉じこもっている。<br><br><br>運転席の男が背もたれを倒して山羊の頭をなでた。<br><br>山羊は横に伸びた直線状の黒目をほんの少し閉じて、<br><br>小さな尻尾を小刻みに振った。<br><br>助手席の女がじっと外を見つめながら、雨音に耳を澄ます。<br><br><br>「私たちは水槽の中にいるのよ。<br><br>ここは人工的な水で満たされているの。あなた、泳ぎは得意？」<br><br>女はガラス窓に顔を近づけた。<br><br>男が山羊の下あごに生えた長くて固さのあるひげをなでた。<br><br>「得意なほうではないよ」<br><br>山羊は目を閉じて小さく鼻を鳴らした。<br><br>「それは困ったわね。それじゃあ溺れてしまうわ」<br><br>「ぼくは水槽の底でじっとしているエビでいい。あれなら泳ぐ必要はないだろう？」<br><br>「そうね、あなたにはそれがお似合い」<br><br>女が男と同じように助手席のシートを倒して横になった。<br><br><br>雨は絶え間なく単調なリズムを奏でている。<br><br>横になった二人はじっと耳を澄ましている。<br><br>フロントガラスを流れていく雨の滴を目で追いかけながら、<br><br>外の世界が鳴らす静かな音楽に身をゆだねる。<br><br><br>山羊が二人の間にある小さな空間に頭を伸ばした。<br><br>男は胸の前で手を組み、女が山羊の頭に軽くふれた。<br><br>「雨が降るとね、きまって誰かが泣いているんだって思うんだよ」<br><br>男が目を閉じる。<br><br>「まったくあなたって人は、いつでも夢を見ているのね」<br><br>「夢？」<br><br>「そうよ、夢。みんなが美しい心を持っているっていう子供じみた幻想」<br><br><br>車の中は必要最低限の広さを持った核シェルターのようだった。<br><br>雨音が銃声のように鳴り響くなか、流れ弾にも当たることがない場所。<br><br>戦争からも切り離された世界。<br><br><br>「もうそろそろ泣きやみそうだよ」<br><br>男は横向きになって女の顔を見た。<br><br>子供をあやす母親のような顔で女は微笑んだ。<br><br>「そうね、あなたの言うとおりだわ」<br><br>「水が流れる音が聞こえるだろう。地面を川みたいに流れている音。<br><br>これが聞こえてきたら、どこかの誰かさんの悲しみはもうすぐ終わりだよ。<br><br>そして今度は、ちがう場所にいる誰かさんのところに流れていくんだ」<br><br>山羊がむくっと頭をあげて、フロントガラスの先にある世界を見つめた。<br><br>しかしそこには闇が広がっているだけだった。<br><br><br>空を覆う雲に隙間ができたのか、ときおり雨が月明かりを浴びて<br><br>銀色に浮かび上がる。<br><br>「そうだ、これを見てごらん。アパートの前で拾ったんだ」<br><br>男の手の中には細い針があった。<br><br>人差し指くらいの長さの銀色の針だ。<br><br>「道にね、落ちていたんだよ。<br><br>今朝はまだ雨が降っていなくてね、アパートの前で拾ったんだ」<br><br>男は針を指でつまみ、目の近くに持ち上げた。<br><br>「朝の光が反射してきれいだったよ。とてもきれいだった」<br><br>女は無言のまま男を見つめた。<br><br>風にあおられた雨が、ざざざ、と強く天井を打つ。<br><br>「なんであんなところに落ちていたんだろう？　針なんてものがさ」<br><br>「神様が落としたんじゃないかしら？　<br><br>なにかを縫いつけようとして、うっかり手がすべっちゃったのよ」<br><br>「じゃあ、これは神様の落し物だ」<br><br>「そうよ、いつか届けに行ければいいわね」<br><br>男はうれしそうに微笑んでから、そっと針でひとさし指の腹を刺した。<br><br>銀色の針を抜くと、すぐに小さな赤い血の溜りが浮かんできた。<br><br>「痛い？」<br><br>女が男の顔をのぞきこむ。<br><br>山羊がじっと男を見つめている。<br><br>「痛くないよ。そんなに深く刺してない」<br><br>女は手を伸ばして男の手から針を取った。<br><br>そして男と同じように指先に針を浅く埋めた。<br><br>山羊は頭を引っ込めて、定位置である後部座席に戻り、身体の中に顔をうずめた。<br><br>「痛くないだろう？」<br><br>「そうね、全然、何も、感じないわ」<br><br>指の腹にできた小さな赤い点を見つめながら、女は針を床に落とした。<br><br>音も立てずに針は闇の中に消える。<br><br><br>「まるで水槽の中にいるみたい」<br><br>女はそう言って、山羊と同じような格好で男の身体に顔をうずめた。<br><br>男は女の肩を抱き寄せ、頭に口づけをした。<br><br>「ここは一体どこなの？」<br><br>「どこだって変わらないさ。ぼくらは世界に取り残されたんだ。<br><br>もう世界にはぼくたちしか生き残っていないんだよ」<br><br>女がなにか言葉を返す前に、めえ、と山羊が小さく鳴いた。<br><br>雨の音は一向に止まる様子はなかった。<br><br>あたたかな車の中を取り囲むように、水の流れる音が聞こえていた。<br><br>しばらくするとフロントガラスやガラス窓が二人と一匹の熱気で曇ってきた。<br><br>白い霞が小さな空間を覆っていく。<br><br>そして白い壁が完全にできあがり、外の世界との間にある扉が閉じきったころ、<br><br>二人と一匹は身体を寄せ合うようにしながら眠りの中へと落ちていった。<br><br><br>
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<link>https://ameblo.jp/burikidori/entry-10714013789.html</link>
<pubDate>Sun, 21 Nov 2010 19:53:17 +0900</pubDate>
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<title>青年はどこを目指す？　「新島の旅」</title>
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<![CDATA[ 東京は暑い日が続いています。<br><br>あいも変わらず人は多くて、<br><br>仕事も忙しくて、仁王立ちのビルは無愛想で<br><br>街を見渡せばグレーや黒のスーツを着た人たちばかりで<br><br>ああ、どこか現実を忘れさせてくれる南の島にでも<br><br>ぱーっと、バカンスに行きたいなぁ<br><br>なーんて言っても、お金や時間はなくて。。。<br><br><br>そんな方に、ぜひオススメしたいのが、<br><br>東京のリゾートアイランド、新島です！<br><br>・・・・・・・・・・・・・・<br><br>あっ、リゾートと言っても、新島には<br><br>バナナボートやダイビングなんていう<br><br>観光客向けのマリンスポーツなんて、まるでありません。<br><br><br>オシャレなホテルもコテージもありません。<br><br>コンビニすらない島です。<br><br>スーパーも夜７時には閉まります。<br><br><br>新島は、ものすごくいい意味で、何もありません。<br><br>あるのは、美しい海と自然だけ。<br><br>それが、どれだけ贅沢なことか。<br><br>（海は世界で１８番目にキレイ、だそうです）<br><br><br>しかも、東京の竹芝桟橋からジェット船で約二時間半という近さ。<br><br>だけど、オススメの行き方はジェット船ではなくて大型客船。<br><br>７～８時間くらいかかるけど、料金は格安です。<br><br><br>しかも大型客船って「The 旅」という感覚が半端ない。<br><br>五木寛之の「青年は荒野を目指す」の世界を思い出すんだよなぁ。<br><br><a href="http://click.affiliate.ameba.jp/affiliate.do?affiliateId=11190649" alt0="BlogAffiliate" target="_blank" rel="nofollow">青年は荒野をめざす (文春文庫)/五木 寛之<br><img src="https://img-proxy.blog-video.jp/images?url=http%3A%2F%2Fecx.images-amazon.com%2Fimages%2FI%2F41kOxGeC9CL._SL160_.jpg" border="0"></a><br>￥740<br>Amazon.co.jp<br><br>・・・・・・・・・・・・・・<br><br>２３時に出航して、東京の夜景を見ながら、沖に出て<br><br>そのうち満天の星空が見えてきて、うとうとし始めた頃に<br><br>うっすらと空が明るくなって、大海原の向こうから太陽が昇ってくるという<br><br>男の子の冒険心をくすぐるシチュエーション。<br><br><br>それに旅って、「移動」をただの「目的地へ向かう時間」と捉えるか<br><br>「移動」それ自体を楽しめるか、によって得られるものが全然ちがう。<br><br>大型客船の甲板で酒を飲みながらのんびり過ごすなんて<br><br>言ってしまえば、贅沢なクルージングですよ。<br><br><br>そして今年もまた、気分は豪華で、財布に優しい大型客船に乗って<br><br>えっちら、おっちらと新島に行ってきました。<br><br>（※つーくん撮影の写真、少しお借りします）<br><br>・・・・・・・・・・・・・・<br><br>新島では夏の間、地元の若者たちが中心になって<br><br>「ＷＡＸ」というビーチＰＡＲＴＹが開催されています。<br><br><br>詳しくは→　<a href="http://www.wax2005.com/" target="_blank">「ＷＡＸ」</a><br><br><br>６年前から始まったこのイベント。<br><br>僕は５年前くらいに青山「蜂」の企画イベントで参加したのが、初めての新島体験。<br><br><br>今年は去年に続いて２回目、<br><br>渋谷にある<a href="http://sakana-spice.jp/" target="_blank">「スパイスキッチン　魚　Ｔｈｅユニバース」</a>という店の<br><br>オーナー２人が企画する「Tokyo Island Party」というイベントに参加してきました。<br><br><br>まずはそのオーガナイザーの１人が浜松町までの切符を買っているところ。<br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20100813/01/burikidori/93/e3/j/o0640048010690394225.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20100813/01/burikidori/93/e3/j/t02200165_0640048010690394225.jpg" alt="$ブリキ鳥は明け方にあくびをした。" width="220" height="165" border="0"></a><br><br><br>どこからどう見ても、上京してきた釣り好きなおっさん。<br><br>この人、普段ほとんど自転車移動なので<br><br>切符の買い方、分かってないです。たぶん。<br><br><br>そして大型客船の甲板の風景。もはや日本の風景ではありません。<br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20100813/01/burikidori/71/6e/j/o0640048010690394227.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20100813/01/burikidori/71/6e/j/t02200165_0640048010690394227.jpg" alt="ブリキ鳥は明け方にあくびをした。" width="220" height="165" border="0"></a><br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20100813/01/burikidori/e2/b4/j/o0720048010690393548.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20100813/01/burikidori/e2/b4/j/t02200147_0720048010690393548.jpg" alt="ブリキ鳥は明け方にあくびをした。" width="220" height="147" border="0"></a><br><br>座席が予約でいっぱいでも、<br><br>「席なし」というチケットがあって<br><br>まぁ早い話、甲板や船内の通路で寝なさいってことなんだけど<br><br>それもまた旅の一興。バックパッカー的感覚で楽しめます。<br><br><br>そして朝日が昇って<br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20100813/01/burikidori/7e/5c/j/o0720048010690392811.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20100813/01/burikidori/7e/5c/j/t02200147_0720048010690392811.jpg" alt="$ブリキ鳥は明け方にあくびをした。" width="220" height="147" border="0"></a><br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20100813/01/burikidori/7d/63/j/o0720048010690393164.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20100813/01/burikidori/7d/63/j/t02200147_0720048010690393164.jpg" alt="$ブリキ鳥は明け方にあくびをした。" width="220" height="147" border="0"></a><br><br><br>島に到着。<br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20100813/01/burikidori/c4/48/j/o0640048010690394228.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20100813/01/burikidori/c4/48/j/t02200165_0640048010690394228.jpg" alt="$ブリキ鳥は明け方にあくびをした。" width="220" height="165" border="0"></a><br><br><br>夏だなー。夏休みの空が広がっている。<br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20100813/01/burikidori/f1/71/j/o0640048010690394803.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20100813/01/burikidori/f1/71/j/t02200165_0640048010690394803.jpg" alt="$ブリキ鳥は明け方にあくびをした。" width="220" height="165" border="0"></a><br><br><br>新島は基本、民宿です。そしてどこに泊まっても一律の値段です。<br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20100813/01/burikidori/91/99/j/o0640048010690394805.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20100813/01/burikidori/91/99/j/t02200165_0640048010690394805.jpg" alt="ブリキ鳥は明け方にあくびをした。" width="220" height="165" border="0"></a><br><br>民宿のおばちゃん。とても話好きな優しい人。<br><br>近所のおじいちゃん、おばあちゃんが採ってきてくれた<br><br>スイカをいただきました。もぎたてスイカ、どえらい旨い！<br><br><br>レンタサイクル屋のおじいちゃん。<br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20100813/01/burikidori/0d/e2/j/o0720048010690393549.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20100813/01/burikidori/0d/e2/j/t02200147_0720048010690393549.jpg" alt="ブリキ鳥は明け方にあくびをした。" width="220" height="147" border="0"></a><br><br>※注：となりにいるのは島の人ではありません。<br><br>島の移動は基本的にチャリです。小さな島なので。<br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20100813/01/burikidori/1e/e4/j/o0720048010690393547.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20100813/01/burikidori/1e/e4/j/t02200147_0720048010690393547.jpg" alt="$ブリキ鳥は明け方にあくびをした。" width="220" height="147" border="0"></a><br><br>大人の夏休みだなぁ。<br><br><br>そして青い海。白い砂浜。人も本当に少ない。<br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20100813/01/burikidori/66/e9/j/o0320024010690394224.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20100813/01/burikidori/66/e9/j/t02200165_0320024010690394224.jpg" alt="ブリキ鳥は明け方にあくびをした。" width="220" height="165" border="0"></a><br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20100813/01/burikidori/f1/fe/j/o0320024010690394223.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20100813/01/burikidori/f1/fe/j/t02200165_0320024010690394223.jpg" alt="ブリキ鳥は明け方にあくびをした。" width="220" height="165" border="0"></a><br><br>サンセット。地球って宇宙の中にあるんだと再認識できる瞬間。<br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20100813/01/burikidori/f1/33/j/o0640048010690395481.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20100813/01/burikidori/f1/33/j/t02200165_0640048010690395481.jpg" alt="ブリキ鳥は明け方にあくびをした。" width="220" height="165" border="0"></a><br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20100813/01/burikidori/5e/d1/j/o0640048010690394807.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20100813/01/burikidori/5e/d1/j/t02200165_0640048010690394807.jpg" alt="ブリキ鳥は明け方にあくびをした。" width="220" height="165" border="0"></a><br><br><br>ＷＡＸの会場風景。<br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20100813/01/burikidori/66/bb/j/o0640048010690394806.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20100813/01/burikidori/66/bb/j/t02200165_0640048010690394806.jpg" alt="$ブリキ鳥は明け方にあくびをした。" width="220" height="165" border="0"></a><br><br>ステージではライブやりつつ、レコード回しつつ。<br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20100813/01/burikidori/0d/b8/j/o0640048010690395485.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20100813/01/burikidori/0d/b8/j/t02200165_0640048010690395485.jpg" alt="ブリキ鳥は明け方にあくびをした。" width="220" height="165" border="0"></a><br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20100813/01/burikidori/93/b9/j/o0640048010690395487.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20100813/01/burikidori/93/b9/j/t02200165_0640048010690395487.jpg" alt="ブリキ鳥は明け方にあくびをした。" width="220" height="165" border="0"></a><br><br><br>イベントは２４時に終了。<br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20100813/01/burikidori/69/8c/j/o0640048010690395484.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20100813/01/burikidori/69/8c/j/t02200165_0640048010690395484.jpg" alt="$ブリキ鳥は明け方にあくびをした。" width="220" height="165" border="0"></a><br><br><br>島で深夜営業をしている飲食店は皆無なので<br><br>日中にスーパーで食料品を買いためておかないと<br><br>空腹で死にそうになります。<br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20100813/01/burikidori/e0/80/j/o0640048010690395807.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20100813/01/burikidori/e0/80/j/t02200165_0640048010690395807.jpg" alt="$ブリキ鳥は明け方にあくびをした。" width="220" height="165" border="0"></a><br><br><br>翌日はのんびり海で釣り。<br><br>ポイントを間違えたのか、フグばかり釣れてほとんどリリースしました。<br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20100813/01/burikidori/5e/55/j/o0720048010690392813.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20100813/01/burikidori/5e/55/j/t02200147_0720048010690392813.jpg" alt="$ブリキ鳥は明け方にあくびをした。" width="220" height="147" border="0"></a><br><br>表面が亀みたいに硬いハコフグちゃん。ちょっとかわいい。<br><br>ほら、またフグ。<br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20100813/01/burikidori/6a/81/j/o0640048010690395808.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20100813/01/burikidori/6a/81/j/t02200165_0640048010690395808.jpg" alt="$ブリキ鳥は明け方にあくびをした。" width="220" height="165" border="0"></a><br><br>こんなのも釣れます。サヨリ。<br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20100813/01/burikidori/ae/d7/j/o0720048010690393163.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20100813/01/burikidori/ae/d7/j/t02200147_0720048010690393163.jpg" alt="$ブリキ鳥は明け方にあくびをした。" width="220" height="147" border="0"></a><br><br><br>去年の冬、わかさぎも釣れなかった男が<br><br>人生初の釣りあげた魚は、<br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20100813/01/burikidori/4b/09/j/o0640048010690395806.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20100813/01/burikidori/4b/09/j/t02200165_0640048010690395806.jpg" alt="$ブリキ鳥は明け方にあくびをした。" width="220" height="165" border="0"></a><br><br>やっぱりフグ。でも嬉しそう。<br><br><br>海があまりにもキレイだから、餌に食いつく魚がばっちり見えるんだけど<br><br>海底ではエイが優雅に泳いでいました。<br><br>天然の水族館です。<br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20100813/01/burikidori/4e/f2/j/o0640048010690395804.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20100813/01/burikidori/4e/f2/j/t02200165_0640048010690395804.jpg" alt="$ブリキ鳥は明け方にあくびをした。" width="220" height="165" border="0"></a><br><br><br>釣った魚はキャンプ場でバーべキューして、おいしく頂きました。<br><br>自然の恵みとは、こんなにも旨いものなんだなぁ、と改めて噛みしめながら<br><br>あっという間に新島での夏休みは終了。<br><br><br>いやぁ、今年も楽しかったなぁ。<br><br><br>ちなみに島のあちらこちらにナゾの石像があります。<br><br>こんなのとか<br>↓<br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20100813/01/burikidori/ab/59/j/o0720048010690392812.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20100813/01/burikidori/ab/59/j/t02200147_0720048010690392812.jpg" alt="ブリキ鳥は明け方にあくびをした。" width="220" height="147" border="0"></a><br><br><br>
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<pubDate>Fri, 13 Aug 2010 01:52:05 +0900</pubDate>
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<title>音楽小説　No.02　「Nowhere Near」</title>
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<![CDATA[ ※これは音楽を聞きながら読んで欲しいので<br><br>　パソコンから見ることをオススメします！<br><br><br><br>今日の朝方、虹を見ました。<br><br>というわけで、しっかり「音楽小説」を更新しました。<br><br>なかなか、いいペースなんじゃない？<br><br><br>今回は長い作品（おそらく読み終わるのに８～９分くらい）に<br><br>なってしまいましたが、個人的には結構、気に入ってます。<br><br><br>それでは、お付き合いくださいませー。<br><br>―――――――――――――――――――――――――――――――――<br><br>■音楽小説の楽しみ方<br><br>まずは貼り付けてある　you tube　をクリックして<br><br>音楽を流します。それをＢＧＭに短編作品をお楽しみください。<br><br>―――――――――――――――――――――――――――――――――<br><br>今回の音楽は<br><br>Yo la tengo<br>「Nowhere Near」<br><br><br>はじまり、はじまりー<br><br><br><object width="480" height="385"><param name="movie" value="http://www.youtube.com/v/XQGZAJfqE5M&amp;hl=ja_JP&amp;fs=1"><param name="allowFullScreen" value="true"><param name="allowscriptaccess" value="always"><embed src="https://www.youtube.com/v/XQGZAJfqE5M&amp;hl=ja_JP&amp;fs=1" type="application/x-shockwave-flash" allowscriptaccess="always" allowfullscreen="true" width="480" height="385"></object><br><br><br><br>漆黒の空は徐々に薄く青い色合いになっていき、<br><br>静かに太陽を迎え入れる準備をした。<br><br>地平線の奥から昇ってきた太陽が控えめに世界を照らし始める。<br><br>乾燥した広大な土地と、どこかにつながっているらしいアスファルトの一本道と<br><br>緊張感ないカーブを描いた電線が、うっすらと朝の世界に浮かび上がってくる。<br><br>僕は浅い眠りを引きずりながら、ガソリンスタンドの事務所を出て<br><br>太陽に向かって背筋を伸ばした。<br><br>身体のすみずみに残っている夢の残骸を朝日で蒸発させる。<br><br>そして道路に面したところにかけてあるチェーンを外し、<br><br>「オープン」と赤色のペンキで書かれた看板を運んだ。<br><br>今日も蒸し暑くなりそうな一日だ。<br><br>太陽は昇り始めたばかりだというのに、すでに地面から透明の煙が立ちこめている。<br><br><br>僕はホースで水を撒き始めた。<br><br>夏の朝の匂いが鼻をかすめる。<br><br>ホースの先を指で押しつぶすと、飛び散る水滴がほんの少し涼しい風をおこす。<br><br>「レギュラーガソリン」と書かれた錆びた看板に水をあてると、<br><br>ががが、と空っぽな音が響く。<br><br>今のところ音がするものはそれだけだ。<br><br><br>僕は蛇口の栓を締め、事務所に戻った。<br><br>そろそろいつもの友達が現れるころだった。<br><br>アルミの皿にドッグフードを入れ、事務所の前にあるプラスティックの白いイス、<br><br>僕がディレクターズチェアと呼んでいるイス、の足元に置く。<br><br><br>どこからともなく、眠そうな足取りで茶色い毛の犬がやってきて、<br><br>僕の顔を見て尻尾を軽く振った。<br><br>ひたいのところに生えた白い毛が星型になっている。<br><br>こんな辺鄙な何もないところに最近住みついた、僕の友達だ。<br><br>友達はアルミ皿に鼻を近づけてから、控えめに口を動かした。<br><br>僕はディレクターズチェアに座り、犬の背中を軽くなでる。<br><br>友達にはまだ名前がない。<br><br><br>遠くから大きなトラックの音が聞こえてきた。<br><br>今日、初めてこの道を通る車だった。犬も片方の耳だけを立てて、<br><br>大きなタイヤがアスファルトをこする音に聞き入っている。<br><br>トラックは徐々に姿を大きくして、<br><br>何の躊躇いもなくガソリンスタンドの前を通り過ぎた。<br><br>砂けむりが軽やかに世界を一周してから、ゆっくりと地面に戻っていく。<br><br>まあ、そんなものだ。<br><br>今日という日は始まったばかり。<br><br>そんなに焦ることはない。<br><br><br><br>僕は事務所から本を持ってきてディレクターズチェアに腰掛けた。<br><br>Ｊ・Ｌ・ダコーという映画監督が自らの半生を記した本だった。<br><br>僕はいつものように本を読み始める。<br><br>Ｊ・Ｌ・ダコーの人生を追いかけながら、自分が作る映画のことを考える。<br><br>足元ではドッグフードを食べ終えた友達が丸くなって寝そべっている。<br><br>今日も暑くなりそうな一日だった。<br><br>乾燥した砂地が大きく広がり、その中を一本の道路が巨大な蛇のように伸びている。<br><br>そのどこまでも続きそうな道で僕はカメラを構えている。<br><br>画面の奥に漂う蜃気楼の中から白い馬がスローモーションで現れてくる。<br><br>管弦楽団の荘厳な交響曲が極限までリズムを落として、<br><br>止まりそうになるくらいのスピードで奏でられる。<br><br>馬の上に人なんていない。<br><br>ただ白い馬だけがアスファルトの道を歩いている。<br><br>道の右側にある砂地には大勢の男女が寝そべっている。<br><br>みな布一枚で身体を覆っているだけ。肩には七色のオウムがのっている。<br><br>左側の荒地には使われなくなった車やバイク、<br><br>小型飛行機や骨組みだけの飛行船が捨てられている。<br><br>煙をあげているものもあるし、さびついているものも、<br><br>緑色の草に覆われているのもある。<br><br>その間の道を白い馬だけがゆっくりと進んでいく。<br><br><br>車のクラクションの音がして、僕は自分が寝ていることに気がついた。<br><br>給油マシンの前に車が止まっている。<br><br>運転席にはサングラスをかけた金髪の、おそらく若い女が乗っていた。<br><br>「良かった。死んでいるのかと思っちゃった。全然動かないんだもの」<br><br>女が窓に肘をのせたまま微笑んだ。<br><br>「少しうたた寝をしていただけだよ」<br><br>「あなたはこのスタンドのスタッフ？」<br><br>「もちろん」<br><br>「助かったわ、ちょっと見て欲しいんだけど」<br><br>女は車から降りた。デニムのショートパンツとＴシャツという格好だった。<br><br>「ブレーキの調子が少しおかしいのよ。<br><br>めったにブレーキなんて使わないから今は大丈夫なんだけどさ」<br><br>女は車のない一本道をあごで示した。太陽の光が白く砂地を照らしている。<br><br>「でも町に入ったらさすがに困るでしょう。<br><br>ブレーキがきかなくなって衝突事故なんて起こしたら、<br><br>せっかくのお祝い事が全部パーになっちゃう」<br><br>「お祝い事？」<br><br>僕はボンネットを開けてのぞきこんだ。<br><br>さっきまで回転し続けていたエンジンが熱風を顔にふきつけてきた。<br><br>「そう、明日ね、結婚式があるのよ」<br><br>女はサングラスを取り、腰に手をあてながら太陽をまぶしそうに見る。<br><br>「しかも花嫁は私なのよ。まったく事故なんて起こしたら目もあてられないわ」<br><br>「それは、しっかり点検しないと」<br><br>僕はズボンのポケットに入っていたキャップを取り出して後ろ向きにかぶった。<br><br>「結構、走ってきたね。エンジンが熱中症にかかっているみたいだ」<br><br>「この土地から早く抜け出たくて、ぶっ飛ばしてきたのよ」<br><br>女は健康そうな笑顔を僕に向けた。<br><br>サングラスの奥に隠れていた目は薄茶色で、<br><br>想像していたよりもずっと若い女のようだった。<br><br>「でも明日になれば、私も花嫁なのよ。<br><br>こんな枯れ草と蒸し暑い風と砂地しかないような土地じゃなくてね、<br><br>大きな町で空調の効いた部屋でドレスみたいなイカした服を着ちゃってさ、<br><br>見たこともないような小さな皿で数え切れないくらいの数の料理を食べるのよ。<br><br>信じられる？」<br><br>相手はお金持ちなんだね、と僕は笑いながら車の下をのぞきこんだ。<br><br>「そうよ、すごくお金を持っている。<br><br>あなたも彼の家を見たらびっくりすると思うわ。<br><br>こんな何もない土地に住んでいたら想像もできないようなお金持ちよ」<br><br>僕は小さなライトでエンジンルームを下から照らした。<br><br>「これから私の新しい人生が始まるの。だけどその前にね、<br><br>自分の車で、自分の運転で、今までの世界にお別れを言っておこうと思ってね」<br><br>女が車のボディをこんこんと叩いた。僕は車の下から出てきて汗をぬぐう。<br><br>「飲み物なら中に自動販売機がある」<br><br>ありがとう、と言って女は事務所に足を向けた。<br><br>途中でディレクターズチェアの下に手を差し伸べたけれど、<br><br>僕の友達は茶色い尻尾を軽く振っただけで、<br><br>腹ばいの状態から起き上がろうとはしなかった。<br><br>じろりと女の顔を見て、鼻をひくひく動かしただけだ。<br><br>ガソリンはどうする？　と僕は聞いた。<br><br>満タンに入れておいて、と女は事務所に入っていった。<br><br><br>給油口を開き、ノズルを入れてレバーを引く。<br><br>ごうん、と給油タンクが動き出す音がする。<br><br>低い機械音がコンクリートの地面の下で鳴っている。<br><br>僕はノズルを握りながら、目の前に伸びるアスファルトの道路を見た。<br><br>砂に埋もれた道。<br><br>この道は、どこと、どこを、結ぶものなのだろうか？　<br><br>空はどこまでも青く、白い巨大な雲が地平線に引っ張られるかのように流れていた。<br><br>給油が終わると倉庫に向かい、ブレーキオイルを取りに行く。<br><br>友達がディレクターズチェアの下から立ち上がって、僕のところにやってきた。<br><br>短く息を吐きながら、遊んで欲しそうに身体をゆらしている。<br><br>「ごめん、今は仕事中なんだ。あとでね」<br><br>僕は倉庫から小さなボールを出して友達に投げた。<br><br>茶色の毛をふるわせながら友達はボールを手で押さえて、くんくんと匂いを嗅ぐ。<br><br><br>「あら、Ｊ・Ｌ・ダコーが好きなの？」<br><br>女がコカコーラの瓶を片手にディレクターズチェアの上にふせてある本を見ていた。<br><br>「まあね、僕のヒーローだよ」<br><br>「あら、奇遇ね」<br><br>女は水滴のついたコーラを一気に飲んで、気持ちよさそうに息を吐いた。<br><br>「私の結婚する相手がね、<br><br>今度Ｊ・Ｌ・ダコーの新作をプロデュースするのよ。<br><br>彼、映画プロデューサーなの」<br><br>女は僕のリアクションに期待しているかのようにじっと見つめてくる。<br><br>僕はブレーキオイルを持って開けっ放しになっているボンネットに向かった。<br><br>「あまり驚かないのね？」<br><br>「まあ、どんな可能性もなくはないからね。<br><br>もしかしたら君だってどこかの国のお姫様かもしれないし」<br><br>　ちえっと女はコーラの瓶をドラム缶のゴミ箱に投げた。<br><br>ゴンと大きな音がして、僕の友達は口からボールを放して身体をぴくっとこわばらせた。<br><br>「こんな古着のＴシャツとショートパンツを着た田舎娘がお姫様？」<br><br>「ひとつの可能性としてだよ」<br><br>「おあいにくさま。あたしなんてただのラッキーガールよ」<br><br>女は金色の髪をかきあげて、ふう、と息を吐いた。<br><br>「本当に昔から運だけはいいの。悪運っていうのかしら？」<br><br>「うらやましいね」<br><br>「今だってもしかしたら、あなたに会っていること自体が<br><br>何かしら強運なことなのかもしれないのよ」<br><br>女は僕をじっと見つめてきた。<br><br>「控えめに言っても、これが幸運なこととは思えないけれど」<br><br>「どうして？」<br><br>「どうして？　ただのガソリンスタンドのスタッフだよ」<br><br>「変な人、あなた変わっているっていわれない？」<br><br>誰に？　と僕はスタンドの周りを見渡した。<br><br>当然そこには僕と茶色い犬と、たまたま立ち寄った客の女しかいない。<br><br>あとは砂っぽい風と無機質なアスファルトだけだ。<br><br>「あなた映画が好きなんでしょう？」<br><br>僕はブレーキオイルのタンクのキャップをはずした。<br><br>「事務所の中だって映画のポスターとか本ばかりよね」<br><br>女はＴシャツのすそを暑そうにまくりあげた。<br><br>「映画が好きな人ならね、私の結婚する相手がＪ・Ｌ・ダコーの新作を<br><br>プロデュースするなんて聞いたら、飛び上がるくらい驚くはずなんだけどね。<br><br>私の田舎の友達なんか映画に興味ないくせに、彼のことを言ったら、<br><br>くだらない質問ばかりしてきたけどね。あなたは少し違うみたい」<br><br>「僕もそれなりに驚いてはいるよ」<br><br>「驚いてはいる。でも、興味はない」<br><br>「そういうわけじゃないけどね」<br><br>「ところで事務所のデスクの上にあったノート。あれは脚本かしら？」<br><br>女が僕の横に立って車のエンジンをのぞきこんできた。少し汗の匂いがする。<br><br>「まあ、そうだね」<br><br>「あなたのオリジナル？」<br><br>「もちろん」<br><br>　へえ、と女はしゃがみこんで僕の顔を下から見あげてくる。<br><br>「なんで君は僕の顔ばかり見るんだ？」<br><br>「なかなか男前だからよ」<br><br>「それは知らなかった。ここにいると誰も言ってくれないからね」<br><br>　へへへ、と女は少女のような幼い笑い方をした。<br><br>「こんなところで仕事していても映画なんて撮れないでしょう」<br><br>「そうでもないよ、頭の中にカメラも映写機もあるから」<br><br>「あなた、この土地から出たくない？」<br><br>　どうだろうね、と僕は手についたブレーキオイルをズボンでぬぐった。<br><br>「これで大丈夫。どこも故障はしていないから、町まで無事にたどり着けるはずだよ」<br><br>「ねえ、彼にあなたを紹介してもいいのよ」<br><br>僕は大きく首をかしげた。<br><br>「いきなり映画を撮るなんてことはできないかもしれないけれど、<br><br>雑用でも、あなた見た目がいいからエキストラでも、<br><br>何かしら仕事にはありつけると思うわ。<br><br>まずは映画の現場に入って、そこから自分を売り込んでいかなくちゃ」<br><br>「ひとつ質問」と僕は言った。<br><br>　はい、と女はかしこまって姿勢で背筋を伸ばす。<br><br>「君はなぜ、僕にそこまでしてくれるのだろうか？」<br><br>「答え、あなたが男前だから」<br><br>　はは　と僕は笑った。<br><br>「それにね、今のこの幸運をね、誰かに分けてあげたい気持ちなの。<br><br>この奇跡を独り占めなんかしたら、きっとあとで悪いことが起きるような気がする」<br><br>「大丈夫だよ、君の幸せは君だけのものだ」<br><br>「このままあなたを町まで連れて行くこともできるのよ」<br><br>「仕事もあるしね、それにここには友達もいる」<br><br>茶色い毛の友達はボールをくわえながら右に左に顔を振っている。<br><br>「こんなチャンスめったにないんだから。<br><br>人生を変える出来事なんて、そうそうあるもんじゃないのよ。<br><br>私が強運に恵まれてきたのはね、どんなチャンスも見逃さなかったからなの。<br><br>ねえ、よく考えて。結婚式で彼にあなたを紹介することができるのよ。<br><br>あのＪ・Ｌ・ダコーの新作のプロデューサーに」<br><br><br>僕はガソリンスタンドを見渡した。<br><br>さびだらけの看板、砂に侵食されかけているコンクリートの地面、<br><br>朽ち果てた化石のような給油タンク、白くひび割れたディレクターズチェア。<br><br>風は蒸し暑く、世界は蜃気楼でゆがんでいる。<br><br>「ここを出ていきたくない？」<br><br>女がもう一度、聞いてきた。僕は首を横に振るだけで何も言葉にしなかった。<br><br>「そう、分かったわ」<br><br>女は運転席に乗りこみダッシュボードからメモ用紙を取り出した。<br><br>「気が変わったら、ここに電話してちょうだい。これも何かの縁なんだから」<br><br>　ありがとう、と僕はメモ用紙をポケットに入れた。<br><br>女はエンジンのキーを回し、ニュートラルのままアクセルを何度か踏み込んだ。<br><br>「じゃあ、行くわ」<br><br>女がサングラスをかけハンドルを握り直す。<br><br>「無事に着くことを祈っているよ」<br><br>　ありがとう、と女は勢い良く車を発車させた。<br><br>大きく右まわりに弧を描き、何度かブレーキを踏んで、<br><br>かなりいい調子だわ、と大きな声で言ってから、<br><br>手をあげてアスファルトの道路に乗り込んで消えていった。<br><br><br>あたりはいつものように静かになった。<br><br>僕はディレクターズチェアに向かう。<br><br>僕の友達もボールをくわえながらあとをついてくる。<br><br>蒸し暑い一日だ。<br><br>アスファルトの一本道は無限に伸びているかのように見える。<br><br>僕はブレーキオイルの容器をゴミ箱に投げ入れた。<br><br>そしてふと思い出してポケットからメモ用紙を取り出し、<br><br>それもゴミ箱の中に投げた。<br><br>友達は足元で僕のことを見上げている。<br><br>僕はディレクターズチェアに腰掛け、女の車が吸い込まれていった長い道路を見た。<br><br>他に通る車はない。まあ、そんな日もあるだろう。<br><br>僕は、おめでとう、と小さな声でつぶやいてから、また本のページを開いた。<br><br>友達はあくびをしてから地面に寝そべった。<br><br><br><br><br>
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<link>https://ameblo.jp/burikidori/entry-10604054335.html</link>
<pubDate>Thu, 29 Jul 2010 10:08:41 +0900</pubDate>
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<title>音楽小説　No.01　「A lack of color」</title>
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<![CDATA[ ※これは音楽を聞きながら読んで欲しいので<br><br>　パソコンから見ることをオススメします！<br><br><br><br>さてさて、久しぶりの更新になってしまいました。<br><br>今後はもうちょっとスピーディにアップしていこうと思います。<br><br>こういう短い実験的な作品は量あってなんぼですからね。<br><br><br>できれば一週間に一回、せめて二週間に一回のペースで<br><br>合間に日記的なブログも挟みながら<br><br>「音楽小説」を更新していこうと思います。<br><br><br><br><br>■音楽小説の楽しみ方<br><br>まずは貼り付けてある　you tube　をクリックして<br><br>音楽を流します。それをＢＧＭに短編作品をお楽しみください。<br><br><br>今回の音楽は<br><br>Death cab for cutie<br>「A lack of color」<br><br><br>それでは、はじまり、はじまりー<br><br><br>↓まずはポチッとクリックしてから読んでください。<br><br><object width="480" height="385"><param name="movie" value="http://www.youtube.com/v/jduFDgIr598&amp;hl=ja_JP&amp;fs=1"><param name="allowFullScreen" value="true"><param name="allowscriptaccess" value="always"><embed src="https://www.youtube.com/v/jduFDgIr598&amp;hl=ja_JP&amp;fs=1" type="application/x-shockwave-flash" allowscriptaccess="always" allowfullscreen="true" width="480" height="385"></object><br><br><br><br>少年がひとり、公園で地面をみつめている。<br><br>四月の気ままな風が通り過ぎ、大きな桜の木から桃色の花びらが舞う。<br><br>小さな蝶が飛んでいるかのような景色だ。<br><br>青い空をバックに春色の羽根がふわふわと浮かんでいる。<br><br>少年は地面に落ちた花びらを拾い始めた。<br><br><br>　ひとーつ、ふたーつ、みーつ<br><br><br>掛け声にあわせて、少年の手の中には花びらが山盛りになっていく。<br><br>公園に人の姿はない。<br><br>ジャングルジムやすべり台や水飲み場の影が、<br><br>午後の太陽に照らされて地面に長く伸びている。<br><br><br>　じゅーいち、じゅーに、じゅーさん<br><br><br>数字に覆いかぶさるかのように、上空から低い重低音が響いてきた。<br><br>少年は耳鳴りのような音を奏でる飛行機を見上げた。<br><br>空には分厚い雲があった。飛行機はその中に隠れてしまっている。<br><br>雲の中からジェットエンジンの音だけが響いてくる。<br><br>少年は口を半開きにしたまま、辛抱強くじっと空を見つめる。<br><br>すると一瞬だけ雲の切れ間からジェラルミンのボディが姿を現した。<br><br>陽光が反射して銀色にぴかっと光ってから、<br><br>すぐに飛行機は雲の中に戻って行った。<br><br><br>　ひこうきはーくものなかー<br><br>　ゆめのなかのーくものなかー<br><br><br>少年が歌を口ずさみながら、満足そうな表情で地面に目を戻した。<br><br>そして新しい花びらを拾おうとして、どこまで数字を数えたのか<br><br>忘れてしまったことに気が付いた。<br><br>　ちぇっ、と舌打ちをしながら、彼は手の中の花びらをばっと宙に放つ。<br><br>花びらはくるくると回転しながら、地面に落下する。<br><br>その中の一枚が少年の鼻の盛りあがったところに着地した。<br><br>彼はそれを無表情で払い落とす。<br><br>数を忘れてしまった今、桜の花びらなんて意味のないものだった。<br><br><br>しかし少年は、払い落とした花びらが<br><br>地面に伸びた桜の影に吸いついていく様を発見した。<br><br>よく見てみると何枚もの花びらが地面の影に貼りついている。<br><br><br>　木の影に咲く桜の花。<br><br><br>この奇妙な世界の反転具合を少年は興味深そうに見つめた。<br><br>そして、ふと自分の影も枝の影の上に乗っていることに気が付いた。<br><br>少年がニ、三度、背伸びをする。<br><br>影の手を伸ばすと、大きな枝の影に届きそうだ。<br><br>大きな枝の影はかすかに揺れている。<br><br>午後の柔らかい太陽が地面を蜃気楼のように震わせている。<br><br>影の少年は手を挙げながら、じっと地面に張り付いていた。<br><br><br>どこからか空気が抜けていくような音がして<br><br>徐々に影の世界の輪郭が濃くなっていった。<br><br>陽光に照らされた部分が背景になり、影が主人公になっていく。<br><br><br>そのとき遠くから、カルマくーん、という声が聞こえてきた。<br><br>公園の入り口に彼の母親が買い物袋をさげて立っている。<br><br>しかし、なぜだか少年にはそれが自分の母親であることに、<br><br>まったく自信が持てなかった。<br><br>別の世界から声をかけられたかのような、<br><br>そんな感覚にとらわれていたのだ。<br><br><br>　かげのひとかも、しれないぞ。<br><br>　かげのせかいにひきこまれるのかもしれないぞ。<br><br><br>少年は目を大きく見開いたまま、母親の姿から視線をはずして、<br><br>もう一度地面を見つめた。<br><br>人間の血管のような枝の影が細かく揺れている。<br><br>その中で影の少年は、現実の少年を見つめ返していた。<br><br><br>　あの人はおかあさんのすがたをした、べつのひとだ<br><br><br>少年には確信があった。<br><br>あれは母親ではない。影の世界にいる別の生き物だ。<br><br>あの人は僕をどこか遠いところに連れて行こうとしている。<br><br><br>　カルマくんってばー<br><br><br>女性の大きな声が公園に響きわたる。<br><br>しかし少年の耳には何も届いていない。<br><br>彼は腕を動かして、それと同時に動く影を必死に見つめる。<br><br><br>　ほら、こっちは、なんのもんだいもなく、うごいている。<br><br>　ぼくがうごけば、かげもうごく。<br><br>　あのひとのおかしなところは、<br><br>　かげがないことだ。<br><br>　あっちは、いじょうな、せかいだ。<br><br><br>　ねーカルマー。ねえってばー<br><br><br>母親は公園の中に入り、彼に近づいてきた。<br><br>少年はそれに気付かないふりをしながら、くるりと背を向けた。<br><br>しかし、急にその動きを「自分の影」は従っていないように思えた。<br><br>どこか動きの中に違和感がある。<br><br><br>　もしかしたら、かげは、あのひとのほうをむいて、<br><br>　はなしをしているかもしれない。<br><br><br>少年は振り返ることができなかった。<br><br>足元を見ると、案の定、自分の影はそこになかった。<br><br><br>　ぼくのかげは、どこにいった？<br>　<br><br>ざざざ、という耳を刺す音を立てて、生ぬるい風が木の枝をゆらした。<br><br>波のようにゆれる枝が、桜の花びらを散らしていく。<br><br>桜吹雪が目の前を覆う。<br><br>ばらばらになった桃色のかけらが視界を埋める。<br><br>春の風がすべてをどこかに連れて行く。<br><br>桜の花びらも、ぼくのかげさえも。<br><br><br>少年はまったく動けなかった。<br><br>もはや自分が影になってしまったかのようだった。<br><br>本体が動かない限り、動き出すことのできない影。<br><br>不思議ともう母親の声は聞こえなかった。足音すら消えていた。<br><br>風の奏でる音だけが、彼の周りを渦巻いていた。<br><br><br>　ああ、かげのじぶんが<br><br>　あのひとといっしょに、<br><br>　いえにかえってしまったんだ。<br><br><br>木の影がいびつに曲がり、長く伸びている。<br><br>公園には誰もいない。午後の太陽は無言のまま公園を照らしている。<br><br>少年はじっと木の影の上にたたずんでいる。<br><br>地面の上をはっていた風が渦巻状に花びらを宙に舞わせた。<br><br>少年はそれを見ながら、自分に言い聞かせるかのように<br><br>いーち、にー、さーん、とまた数字を最初から数え始めた。<br><br><br>
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<link>https://ameblo.jp/burikidori/entry-10595523113.html</link>
<pubDate>Tue, 20 Jul 2010 00:52:43 +0900</pubDate>
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<title>ひとつ前の記事に…</title>
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<![CDATA[ 突然ですが、ちょっとしたチャレンジでもしてみようかなぁと思いまして。<br><br>そんなに大げさなことではないのだけれど<br><br>とりあえず前口上だけ先に述べさせてください。<br><br><br>前口上<br>↓<br><br>ここ最近の出版業界はどうやら大きな変化にたたされているらしい。<br><br>電子書籍というやつのおかげで。<br><br><br>まぁ、必然と言えば必然ではあるけれど<br><br>ipadの登場を始め、これからどんどん未来系ツールが<br><br>生活スタイルを変化させていくことは間違いないことだなぁと思う。<br><br>ipod、ituneが登場して<br><br>音楽の聞き方（音楽の買い方）が変わったのと同じように、<br><br>ipadとかiphoneなんかの登場によって<br><br>書籍の読み方（書籍の買い方）が変わっていくのだろうと思う。<br><br>好むと好まざるとに関わらず。<br><br><br>業界では電子書籍が一般化したら本が売れないじゃないか<br><br>と黒船ばりの恐怖心を抱いているし、<br><br>（とはいってもすでに雑誌・書籍の販売部数なんて落ちている一方）<br><br>消費者側では、本の収納場所に困らないから助かるーという人がいたり<br><br>でも私は小説は本で読みたいーという人がいたり。<br><br><br>まあ、新人ではあるけれど、ひとりの書き手として思うことは<br><br>こんな状況は何年も前から想像できていたことなのだから<br><br>今さらあたふたしても、という感じなのだが<br><br>そんなことよりも、データとして本が読める、というに対して<br><br>実はちょっと別のことを考えたりしています。<br><br><br>それは、<br><br>パソコンやipadというプラットフォームに合わせて<br><br>新しい形態の小説ができないだろうか、ということ。<br><br><br>実際の本と同じものをパソコンの画面上で<br><br>なんか実際にページをめくっているような感じで画面が切り替わったとしても<br><br>やっぱりね、手触りのある本にはかなわないですよ。<br><br><br>今ある本の形をデータにするだけじゃ、なんかもの足りない。<br><br>インターネットとかパソコンとかのポテンシャルを<br><br>全然いかしきれていない気がする。<br><br>いかしきれていないというか、根本的に合わないのかも。<br><br>すごく違和感があるんだよね。<br><br>縦書きの明朝体の文章を、パソコンの画面で読むってことが。<br><br>なんというか、寺でパスタを食べている感じ？<br><br>いや、六本木ヒルズでキャンプしてる感じ？<br><br>まぁ、そんな例えはどうでもいいんだけど<br><br>だったら、ちょっと違和感のない形で<br><br>何かやっちゃいましょうよ、と<br><br>私の中で開催された自分編集会議で結論が出まして<br><br>それをチャレンジしようかなぁと思っているわけです。<br><br><br><br>まあ、そんなに大それたことではないのですが<br><br>パソコンやipadで作品を読む、ということは<br><br>紙にはできなかった表現ができる、ということなわけで。<br><br>なんで、このことに他の書き手の人たちはアプローチしないんだろうって<br><br>疑問なのだが、まぁそのうち誰かが始めるでしょう。<br><br>だから、僕はちょっとひと足先に、それを始めます。<br><br>いろいろ考えられるとは思うんだけど<br><br>まず手始めにやるのは、<br><br>音楽とのリンク。<br><br>簡単に言えば、ＢＧＭのついた小説。<br><br>これ、流行ると思う。<br><br>だから先に僕、やっちゃいます。<br><br>もし、今後このスタイルの表現が広まったら<br><br>元祖は私だと、みんな記憶しておいてください。（笑）<br><br>僕がやりたいのは、というか、もう始めているのが<br><br>かなり短い内容の短編に音楽をつける、というもの。<br><br>というよりも<br><br>その音楽を聞いて、頭に思い浮かんでくる情景を<br><br>超短編小説という内容にしたもの。<br><br>おおよそ読み終わるのは、音楽に合わせて４分前後。<br><br>ちょっとした気分転換に小説を楽しめてしまいます。<br><br>小説って、読むぞーと気合い入れるのもいいけれど<br><br>これくらい生活に支障がない形で読めるものも<br><br>あり、だと思う。<br><br>そんな新しい形の作品を<br><br>このブログで発表していこうかと思っています。<br><br>そして、実はもう<br><br>第一弾を発表しています！（ひとつ前の記事です）<br><br>こちら<br><br>↓<br><br><a href="http://ameblo.jp/burikidori/entry-10564229798.html" target="_blank">音楽小説　No.00</a><br><br><br>音楽はyoutubeという便利なツールがあるので<br><br>そいつを貼り付けておけば事足りる。<br><br>言ってみれば小説のＰＶみたいなものかな？<br><br>だから、その作品たちに仮で名前をつけようかと思うんだけど。<br><br><br>「novel clip」<br><br><br>どうだろう？<br><br>ださいかな？<br><br><br>「music novel」<br><br><br>分かりづらいよな。<br><br>まあ、英語にしなくていいや。<br><br>シンプルに音楽小説で。<br><br>いいネーミングがあれば、誰かアイディアください。<br><br><br>それでは<br><br><font size="7"><a href="http://ameblo.jp/burikidori/entry-10564229798.html" target="_blank">音楽小説（仮）</a></font><br><br>はじまり、はじまりー
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<link>https://ameblo.jp/burikidori/entry-10564241385.html</link>
<pubDate>Tue, 15 Jun 2010 22:36:52 +0900</pubDate>
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