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<title>Cafe Suomi （カフェ・スオミ）～物語で学ぶコミュニケーション～</title>
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<description>楽しく小説を読んでいくだけで、いつの間にか、あなたも「コミュニケーション」上手になれる！Cafeが大好きなコミュニケーションのプロが書く、人間関係に悩むあなたのための物語。</description>
<language>ja</language>
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<title>024　ツカエナイ部下の場合１</title>
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<![CDATA[ <span style="font-size: 12pt; line-height: 2.0;"><br>　「ああ、ショータさん、こんばんは。お久しぶりです」<br><br>　カツラコさんだった。<br>　マフラーをはずしながら、晴れやかな笑顔を、僕に向ける。<br>　薄手のコートを脱ぐと、グレーのタートルネックのニットと、足首の見えるのカーキ色の細身のパンツに、細いヒールのパンプス。女性らしいラインが際立っている。相変わらず、スタイルがいい。<br><br>　「もー、今日、寒い」<br>　頬を赤く染めて文句をいうカツラコさんは、まるで少女のようで、とてもかわいらしい。<br><br>　「隣いいですか？」　と、カツラコさんが聞いてきたので、「どうぞ」と、答えた。異存があるわけがない。カツラコさんが座るとかすかに、お香のような、上品な香りがした。<br><br>　「マスター、ハニージンジャーミルク、熱めでお願いします」　<br>　あたりまえのように、注文してしまった。もう閉店時間なのに。いいのかな。<br><br>　「私が呼んだんです。カツラコさん、急がせて申し訳ない」<br>　時間を気にして、不安げな僕と、カツラコさんを等分に見ながら、マスターがおしぼりと水を出す。<br>　「いいのいいの。どうせ近くにいたんだし、ショータさんにも会いたかったし」　<br>水で唇を湿らせて、僕ににこりと笑いかける。こんな間近で、美人に、嘘でも「会いたかった」と微笑まれたら、さすがにちょっと、なんというか…照れる。　<br><br>　「ショータさんも、なにか飲まれますか？私も失礼して」<br>　そう言って、マスターが棚から取り出したのは、小瓶のブランデーだった。え、酒？<br>　「でも、もう閉店して…」<br>　「ええ、さっきクローズの札を出してきました。だから、他の方はいらっしゃいません。気を楽にしてください」<br><br>　そういうことじゃなくて、と突っ込みたくなったが、どうもマスターは、本心から僕そう言っているらしい。カツラコさんに至っては、わざわざ会いに来てくれたという。<br>　帰るタイミングも逃したし、もうちょっと、いようかな。この二人と話すのは楽しいし、閉店後にこうやっていられるのって、なんか特別扱いって感じで、悪くない。<br>　でも、どうして、僕にこんなに良くしてくれるんだろう？なんか気に入れるようなこと、したっけ。<br><br></span>
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<link>https://ameblo.jp/cafe-suomi/entry-12046544418.html</link>
<pubDate>Fri, 10 Jul 2015 09:00:00 +0900</pubDate>
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<title>023　ツカエナイ部下の場合１</title>
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<![CDATA[ <span style="font-size: 12pt; line-height: 2.0;">　<br>　女子大生とマスターを交互に眺めていたら、女子大生の一人と目があってしまった。あわてて目をそらす。<br>　<br>　やっぱり、どこをどうとっても、マスターに勝てる部分なんて、ない。 全くない。ああ、いたたまれない。店にいる女性全員が、僕のことを心の中で蔑んでいる、もしくは憐れんでいる、という妄想が、じわじわと頭を占拠していく。<div>&nbsp;<br><span style="font-size: 12pt; line-height: 2;">　「おまたせしました」</span></div><div>　バリトンボイスが、僕を現実に引き戻してくれた。いまや、目の前で湯気をあげるコーヒーとレーズンスコーンだけが、僕をこの場に留めている。これを食べたら、すぐに帰ろう。</div><div><br>　そう思いながら、コーヒーをすすり、スコーンに手を伸ばす。</div><div><br>　マスターはカウンターとテーブル席の間を行ったり来たりして、忙しない。その気配を感じながら、僕は、目の前のスコーンの形をした幸福を、口いっぱいに味わう。やっぱりうまいなあ。これ。</div><div>　最後の一口をゆっくり楽しんでから、仕上げにコーヒーで甘さを洗い流すと、芳醇な苦味の余韻が残った。しばらくそれに浸る。</div><div><br>　腹が満たされると、人間のんびりとした気分になるものだ。僕は、勝手に僻んでいたのも忘れて、鞄からスマホを出そうとしたところで、はたと、店から人の気配がなくなっていることに気付いた。</div><div>&nbsp;<br><span style="font-size: 12pt; line-height: 2;">　「ありがとうございました」</span></div><div>　ドアの向こうで声がした。最後の客の後ろ姿を見送ってきたらしい、マスターが戻ってきたのを見て、はっとする。</div><div>　「すみません、もう閉店なんですよね？すぐに帰ります」</div><div>　腕時計を見ると、19時25分。</div><div>　「構いませんよ。ゆっくりしていってください」</div><div>　「いえ、そんな訳には」</div><div><br>　僕は、慌てて椅子から立ち上がって、財布を取り出した。</div><div>　「このあと何か御用があるのなら、無理にとは言いませんが…」</div><div>　マスターがなぜかオタオタと、僕を引き留めにかかったその時、</div><div><br>　「こんばんは、間に合った？」</div><div>　歯切れのいい声とともに、ドアが開いた。</div></span>
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<link>https://ameblo.jp/cafe-suomi/entry-12046543295.html</link>
<pubDate>Thu, 09 Jul 2015 09:00:00 +0900</pubDate>
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<title>022　ツカエナイ部下の場合１</title>
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<![CDATA[ <span style="font-size: 12pt; line-height: 2.0;"><br>　相変わらずのいい声といい顔で、「何になさいますか？」と、マスターが聞いてくる。　<br>　なんか前はちょっと変な人、って感じだったけど、今日はいたって普通、いや、普通以上のイケメンに過ぎなかった。やっぱり、あのときの僕は、少し疲れていたんだろう。<br><br>　「コーヒーとレーズンスコーンをお願いします…」<br>　「かしこまりました」<br><br>　正直に言おう。僕は、メニューを見ても、何がなんだか分からなかった。<br>　かろうじて、コーヒーやアメリカンコーヒーは分かったが、そのあとはもういけない。意味をなさないカタカナの羅列だ。カフェオレとカフェラテって、おんなじものじゃないのか。　<br><br>　最近すっかり市民権を得た、外資系のコーヒーショップも、利用することはするのだけど、大概、彼女に連れられて行くだけで、注文もいつも任せてしまう。舌を噛みそうな長い名前のドリンクや、お菓子を、よくもまあ、すらすらと注文できるもんだ、と毎回、感心しているくらいだ。<br>　僕が時代の波に乗りきれていない感は否めないが、僕みたいな人もきっと、世の中にはいるはず。だいたい、コーヒーがまともに注文できないからって、人生困りゃしないさ。<br><br>　少し卑屈になっている僕をよそに、マスターは、僕の注文を着々と進めていた。<br>　スコーンをトースターで温め直しながら、コーヒー豆を挽き、フィルターに入れ、細く、ゆっくりと湯をおとす。<br>　真剣な眼差しで、豆の膨らむ様子をじっと見つめるマスターは、キャンバスに色を置いていく、画家のそれに似ている。彫刻のような端整な顔が、いっそう凄みを増す瞬間だ。&nbsp;<br><br>　ふいに、はじけるような笑い声が上がった。<br>　ほぼ真横のテーブル席に座っている、大学生らしき二人連れだ。<br>　周りを気にして、すぐに声を抑えはしたけれど、それでも、若い女の子特有の華やかさは溢れてしまっている。　<br><br>　「ね、いった通りでしょ」<br>　「ほんとだー」<br>　顔を寄せ合いながら、チラチラとマスターに向ける目がキラキラと輝いている。　<br><br>　そうか、この店、きっとマスター目当ても多い。　<br>　女性ばかりの店内で、カウンターに座ったことを、僕は、少し後悔した。これじゃあ、マスターと比べてください、と言わんばかりじゃないか。どこをとっても、僕がマスターに勝てる部分なんて、ない。</span>
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<link>https://ameblo.jp/cafe-suomi/entry-12046534984.html</link>
<pubDate>Wed, 08 Jul 2015 09:00:00 +0900</pubDate>
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<title>021　ツカエナイ部下の場合１</title>
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<![CDATA[ <span style="font-size: 12pt; line-height: 2.0;">　<br>　「来てくださって嬉しいです、ショータさん」　<br><br>　マスターがニコニコしながら、水とおしぼりとメニューを持ってきてくれた。さすがに忘れられていなかったようだ。　<br>　<br>　「こないだはありがとうございました。これ」<br>　僕は、マスターに見えるように傘を少し持ち上げた。<br>　「返しに来ました。本当に助かりました」<br>　「ああ、わざわざ良かったのに。お手数をお掛けしました」　<br><br>　マスターがカウンターから出てきたので、そのまま傘を渡す。　<br>　「ご注文が決まったら、お声をお掛けくださいね」　<br><br>　傘を片手にカウンターに戻っていくマスターを横目に、僕は、メニューに見入った。<br>　前は、出されるがまま、コーヒーとレーズンスコーンをごちそうになって、それが意外なほど美味しかったし、カツラコさんが他のも絶品だと賛辞していたから、今日はじっくりメニューを見て、食べるものを決めようと考えながら、ここまで来たのだ。　<br><br>上から順に、しっかりと目を通して、僕は、マスターを呼んだ。　<br>　「何になさいますか？」<br>　相変わらずのいい声といい顔で、マスターが聞いてくる。<br><br>今日は、品良く着崩したサックスブルーのシャツに、グレーのベスト、髪は少しタイトに整えられていて、『大人の男の魅力！』とかの特集を組んだ、雑誌の表紙を飾れそうだ。</span>
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<link>https://ameblo.jp/cafe-suomi/entry-12046533141.html</link>
<pubDate>Tue, 07 Jul 2015 09:00:00 +0900</pubDate>
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<title>020　ツカエナイ部下の場合１</title>
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<![CDATA[ 　<span style="font-size: 12pt; line-height: 2.0;">　<br>　「あ、そうだった…」　<br>　僕のデスク下には、黒い傘が所在なげに置かれている。Cafe Suomiで借りた傘だ。マスターは返さなくてもいいと言ったけれど、捨てるには忍びない程度にきれいだし、かといって積極的に自分のものにしてしまうのも違う気がして、会社に放置したままだった。　<br><br>　今のように、足に当たっては、「返しにいかなきゃな」と、思い出しはするものの、忙しさに追われて、いままでそれも、叶わずにいる。<br>　　<br>　よし、今日行こう。<br><br>　思い立ったが吉日、ではないが、今動かないと、また忘れてしまうのは、目に見えている。　<br>　僕は、おもむろに机の下に頭を入れて、傘を引っ張り出した。デスクの引き出しの脇に、それを立て掛けて、仕上げに目の前のパソコンの画面に、『傘を返す！』と書いた付箋を貼り付ける。<br>　<br>　これでよし。ここまでして忘れたら、正真正銘のバカだ。<br>　定時で上がるために、それからは、かなり頑張って働いた。それとなく、周りに今日は早く帰ることを伝え、それとなく、急な仕事をふられないように、布石を打った。<br>　<br>　お陰で、18時きっかりに退社、とはいかなかったが、19時前には、Cafe Suomi の入り口に立つことができた。<br><br>　入り口は、相変わらず植物に覆われていて見えない。辛うじてその隙間から細い明かりが漏れているから、開店してはいるようだ。<br>　　マスターが先導してくれたアプローチを、今日は傘を手に一人で進む。　<br>　ひとつ目のドアを開け、二つ目のドアを開けると、すかさずマスターの渋い声が出迎えた。　<br><br>　「いらっしゃいませ」<br>　カウンターのマスターと、目があった僕は、軽く会釈をした。<br><br>　驚くべきことに、テーブル席は全て埋まっている。<br>　全員女性で、ひとりもしくは二人連れだ。会社帰りのOLや、大学生らしい。おのおの、雑誌を広げたり、ぼそぼそと話をしたりしている。<br><br>　こんな分かりにくいところ、どうやって知って、来るんだろう。これだから、女性の情報収集力はあなどれない。</span>
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<link>https://ameblo.jp/cafe-suomi/entry-12046531952.html</link>
<pubDate>Mon, 06 Jul 2015 09:00:00 +0900</pubDate>
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<title>019　ツカエナイ部下の場合１</title>
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<![CDATA[ <span style="font-size: 12pt; line-height: 2.0;">　　『Cafe Suomi』で、マスターとカツラコさんと出会った日から、あっという間に時間がたってしまった。気づけば辺りには冬の気配が濃厚になってきている。デスクに座ると目の前に見える街路樹では、イルミネーションの取り付け作業真っ最中だ。　<br><br>　あれから、結局、バーコードおやじ…もとい取引先ご担当者さまから「担当者を変更するべし」との命令、ではなくてお願いがあって、それになぜか僕が指名された。<br>　それと同時に、課長からは、クレームを起こした張本人である新人後輩の、専任教育係を言い渡された。　　<br>　「木崎くんは優秀だからね。波田くんもいろいろ教えてもらうといい」　　<br>　と、ことあるごとに、課長は、僕と後輩を見比べては、にやにや笑う。　<br>　<br>　お気楽な波田は、その言葉を素直に受け取ったらしく、「よろしくお願いします！主任」と、調子よく頭を下げる。　<br>　僕は、課長の底意地悪い目の色に、胃が痛くなりそうだった。使えない新人を辞めさせることなど、この男にとっては簡単なことなのだろうけど、どうせなら、僕をさんざん手こずらせて、あわよくば、僕も一緒に目の届かないところへやってしまいたいに違いない。　<br><br>　あの、うるさい取引先が、僕を担当に指名してきたのも、こいつが陰で動いたのかもしれないな。　<br>　<br>　担当の取引先が一件増えたのは、めんどくさくはあるが、なんとかなる。とにかく、波田を使えるようにしなければ。僕の地位と胃が危ない。　<br>　<br>　そう思いながらも、日々の業務に追われて、課長の嫌み攻撃を減らせるほどの、結果は出ていないのが現状だった。<br><br>　これまで、何度も試みてはみたのだけれど、このどうしようもない新卒君にとっては、僕のアドバイスや忠告など、糠に釘、暖簾に腕押しだった。<br>　相変わらず、ミスは多いし、やる気もない。悪いやつじゃないことは、よく分かったのだけど、何をどうやって教えていけばいいのか、検討もつかない。早くもお手上げ状態なのだ。<br><br>　斜め前に座る、ヤツの能天気な顔を見ていたら、いつのまにか無意識に胃を手で押さえている自分に気付く。<br>　<br>　いけない、いけない。書類を作ろうとしてデスクの椅子を引くと、足に何かが当たった。</span>
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<link>https://ameblo.jp/cafe-suomi/entry-12046528659.html</link>
<pubDate>Fri, 03 Jul 2015 09:00:00 +0900</pubDate>
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<title>018　プロローグ～出会い～</title>
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<![CDATA[ <span style="font-size: 12pt; line-height: 2.0;">　<br>　「コーヒーは私の、スコーンはカツラコさんのおごりです。出会った記念にね」　<br>　マスターの口から出てくると、そんな気障なセリフも当然のことのように思える。<br>　僕は、その申し入れを辞退しようと試みたが、カツラコさんからも同じことを言われ、結局、二人の厚意に甘えることにした。<br><br>　「スリッパとタオルも、ありがとうございました。本当に、助かりました」　<br>　僕は、深々と頭を下げてから、扉を開けた。<br>　後ろで、カツラコさんが、小さく手を振ってくれていた。<br><br>　小さな森を抜けて、外へ。<br>　コンクリートの街並みは、のっぺりと灰色にくすんでいて、現実に戻ってきてしまったような気がした。　<br>　あれほど激しかった雨は、勢いをなくし、しとしとと地面を濡らすばかりだ。なんとか駅まで歩いていけるだろう。<br><br>　道路へ踏み出そうとしたとき、後ろからマスターの声が追いかけてきた。<br>　「ショータさん、これを」<br>　マスターが傘を持って、大股で植物をかき分けて来る。　<br>　「まだ、降っているでしょう。持っていってください」　<br>　そう言って、僕に傘を押し付けた。ビニール傘なんかじゃない、しっかりした黒い傘だ。<br>　「いえ、そんな、悪いです」<br>　「いいんです、いいんです。どうせ、そろそろ処分しようと思っていた傘ですから。返してくださらなくていいんです。どうぞ、持っていってください」　<br>そこまで言われては、断れない。僕は、再度お礼をいって、傘を受け取った。<br><br>　「よかったら、またいらしてください」　<br>歩き出した僕を、マスターは道路まで出てきて見送ってくれた。　<br>　角を曲がるとき、ちらりとお店の方をみたら、まだ、マスターは雨に濡れながらそこにいて、僕は悪いような、くすぐったいような気持ちで、Cafe Suomi を後にしたのだった。</span>
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<link>https://ameblo.jp/cafe-suomi/entry-12036097361.html</link>
<pubDate>Thu, 02 Jul 2015 09:00:00 +0900</pubDate>
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<title>017　プロローグ～出会い～</title>
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<![CDATA[ <span style="font-size: 12pt; line-height: 2.0;"><br>　「あ、お金なら…」　<br>　「違います違います」　<br>　マスターが慌てて、手を振る。<br>　「あの、その、…ショータさん、とお呼びしてもいいでしょうか」　　<br>　「は？」<br>　「あ、いえ、嫌ならいいんです。忘れてください」<br>　いや、そういう訳じゃなくて、なんか、その、なんでそんなこと聞くんだろう？下の名前で呼ばれるなんて、カノジョからぐらいだから、かなり違和感があるけど、別にまあ、いいか。助けてもらったし、断るのも悪い。　<br><br>　「いえ、構いませんよ」<br>　「本当ですか！ありがとうございます」<br>　想定外の喜びように、むしろ僕の方が驚く。<br>　「じゃあ、便乗して、私もそう呼ばせていただいてもいいですか？」<br>　カツラコさんが、とびっきりの笑顔で言う。　<br>　「もちろんです」<br>　即答。<br>　カツラコさんに耳元で名前を囁かれる想像をしたからでは、決して、ない。<br>　<br>　「そろそろ帰ります。ずいぶん長居しちゃってすみません」　<br>　「いえいえ、もっといていただいていいんですよ」　<br>　「もうそろそろ、会社に帰らなきゃいけないですし、ありがとうございます」<br>　「そうですか…」　マスターが、あからさまにがっかりしたので、少し申し訳ない気分になったけれど、仕方ない。<br>　僕は、かがんで靴を取り、詰めてあった新聞紙を出した。新聞紙が湿った分、靴は乾いていた。　靴に足を入れると、ひんやりと冷気が伝わってきたが、この程度なら問題ない。上着をはおり、鞄から財布を出して、支払いをしようとすると、マスターが手をあげて制した。</span>
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<link>https://ameblo.jp/cafe-suomi/entry-12036096075.html</link>
<pubDate>Wed, 01 Jul 2015 09:00:00 +0900</pubDate>
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<title>016　プロローグ～出会い～</title>
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<![CDATA[ 　<br><span style="font-size: 12pt; line-height: 2.0;">　「でも、クレーム対応とか、難しい仕事にちゃんと対処できるって、格好いいです。その後輩さんが頼りたくなるのも仕方ないかもしれません」<br>　「いえ、そんなことは…」<br>　ない、と思うし、仕事だから渋々やったに過ぎないんだけど、そう言われるのは、内心うれしい。お世辞だと分かっていても、顔がほころんできてしまう。　<br>　<br>　「いえ、格好いいです」<br>　やけに強い口調でマスターが言いきる。<br>　「え、あ、いや僕なんかまだまだで」<br>　マスターの真剣な目に、僕は、たじろいだ。さっきのことといい、この人、なんか変だ。　<br><br>　カツラコさんがクスリと笑って、言った。　<br>　「私は、多野桂子といいます。大概、毎週この時間はここにいるから、また会えるかもしれませんね」<br>　名乗られたら、名乗り返さないわけにはいかない。話もたくさん聞いてもらって、僕は、この女性に気を許し始めていた。<br>　「木崎翔太です。なんか、僕ばかり話してしまって、すみません」<br>　「謝ることなんてないですよ。とても楽しかったです。ね、マスター」　<br>　「ええ、楽しかったです。ところで…」<br><br>　そこでマスターはまた、電池が切れたように、固まってしまった。次の言葉が出てこない。　<br>　この人、実はロボットなんじゃないだろうか。そしたら、不振な行動も、イケメン過ぎることも説明がつく。<br>　でも、一体なにを言おうとしたんだろう。…あ、代金？それなら、もちろん払います。コーヒーの分もおかわりの分もスコーンの分も。</span>
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<link>https://ameblo.jp/cafe-suomi/entry-12036094984.html</link>
<pubDate>Tue, 30 Jun 2015 09:00:00 +0900</pubDate>
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<title>015　プロローグ～出会い～</title>
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<![CDATA[ <span style="font-size: 12pt; line-height: 2.0;">　笑顔になった途端、女性の雰囲気が格段に柔らかくなった。&nbsp;<br>　「ありがとうございます、カツラコさん」<br>　マスターが、皿を拭きながら、ぼそぼそとつぶやいた。カツラコっていうんだ、変わった名前だな。　<br>　<br>　「ここは、初めてですか？」　<br>　カツラコさんが聞く。<br>　「はい、初めてです。こんなところに、こんなお店があったなんて、知りませんでした」<br>　「確かに、分かりにくいですよね。知らなきゃ、前を素通りしちゃいます」　<br>　「僕もほんとに、偶然で」<br>　<br>　それから、僕は、今ここにいる経緯を話した。<br>　カツラコさんは、にこにこしながら、相づちをうったり、時々、感想を交えて、話の続きを促しながら、僕の「ついていない1日」に、最後まで耳を傾けてくれた。<br>　マスターも、口こそ挟まなかったが、まるで自分が体験しているかのように、くるくる表情を変えながら、聞いてくれていた。自分が登場した場面で、少し誇らしげになったのが、おかしい。<br><br>&nbsp;　「…で、ここにいるわけです」<br>　溜まっていた鬱憤を吐き出し、乾いた喉を水で潤しながら、僕は初めて、自分の失態に気づいた。　<br>　初対面の女性に、こんなに愚痴ってしまうなんて！かっこわる！<br>　いや、それ以前に、なんでこんなに話しちゃったんだ、俺…。　<br><br>　「それは、本当に大変でしたね」　<br>　カツラコさんが、心底、そう思ってくれているのが分かって、僕はほっとした。少なくとも、悪い印象は、持たれていないらしい。　<br>　「そういう日って、ありますよね。ボタンをかけ違えたみたいに、全てが悪い方向にいくときって」<br>　本当に。今日の僕は、ボタンをかけ違えたまま、家を出てきたみたいだ。<br>　</span>
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<link>https://ameblo.jp/cafe-suomi/entry-12036093220.html</link>
<pubDate>Mon, 29 Jun 2015 09:00:00 +0900</pubDate>
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