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<title>かずゆきさんの自宅という要塞。</title>
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<description>フィクション書いてます。</description>
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<title>仮面ライダー計画IF「仮面ライダーゼクス」</title>
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<![CDATA[ 「リネトロン」<div>三十年前、世界で初めて人間に感染したコンピューターウイルスの名前である。「感染」私たち人類はコンピュータの世界の中の質量を持たないゴーストのような存在のものが人間に感染するとは思いもしなかった。「感染」というのは少々場違いな言い方である。リネトロンは視覚効果から脳を支配し、体の構造を全く別物に変え、さらに体内でウイルスを作り上げ血液を「ウイルスの培養液」にしてしまうことで感染を拡大する究極の疫病なのだ。リネトロンの感染拡大はアフリカ南部の振興工業都市から始まり、徐々にアフリカ大陸に広がった。世界はアフリカ大陸の約45.72パーセントを放棄し、一発のミサイルが放たれたことにより事態は収束したかに見えた。だがなおもリネトロンの感染は広がっている。</div><div>東京工学大学生物科学科三回生の朝島愛は今日の講義をまとめたノートを見ながらため息をついた。</div><div>父の無念の為、国際感染症研究センターの研究員を目指していた彼女だが、いざリネトロンは話題となると頭を抱えることが多い。まだ日本では確認されていないが上陸は時間の問題であろう。なのに当の日本ときたら覆面殺人鬼、通称「仮面ライダー」の話題ばかりだ。うわさによると人間を砂に変えて殺すらしい。今月も東京で五人殺されている。日本のマスコミというのは話題性に気を取られ本当に重要なことを対して気にしない性質があり、嫌気が差す。中学のとき、中東の紛争でたくさんの人が死んでいるニュースを三十秒で報道し、番組全体的で人気ミュージシャンのスキャンダルを盛り上げる夕方のワイドショーを見てそれを痛感した。</div><div>「何が仮面ライダーよ。現実から逃げるのも大概にしてほしいわ」</div><div>地下鉄を降り、駅の外に出ると冷たい風にあたり背筋が震えた。あたりはすでに暗く、さらに人気が少ない。もうバスはないだろう。家までは少し距離があるが、近道をすればさほどではない。仕方がない。歩いて帰ろう。朝島はため息をついた。歩き出して数分、公園に差し掛かった。この公園はだだっ広いくせに街灯が灯っておらず、夜になると人気もなく不気味だ。だが、この公園を通り抜ければ、家までだいぶ近道になる。朝島は高所、暗所、閉所と三拍子揃ったトリプル恐怖症だが、背に腹は代えられない。公園を通り抜けてなるべく近道することにした。真っ暗で人気のない公園の中を足早に進んでいく。時折、後ろに何かいるような、誰かに見られているような気もしたが構わずに進んだ。すると前から人が歩いてきた。少しびっくりもしたが、不自然なことではない。きっと自分と同じく、帰路の途中なのだろう。そう思うと親近感が湧き、声をかけてみた。</div><div>「お嬢さん、こんな暗いところにいたら殺されても文句はいえないよ」</div><div>中年の男はそういうと朝島に一歩近づいた。わずかに差す月明かりが、男の血まみれのコートとリボルバー拳銃のような形の硬質な頭を照らした。朝島は悲鳴を上げようとしたが、恐怖で声すら出ない。さらに腰を抜かして立つことすらできない。男は月に向かって腕を突き上げると、金属製の刃のようなものに変化した。そして男が刃を振り下ろそうとしたその時、強烈な光が男の目をくらませる。朝島の後ろから放たれた光は車のライトのような類だ。彼女はライトの方を見ると、そこには一台のバイクがあった。そして、バイクから顔はよく見えないが、黒のジャケットに黒のネクタイの喪服のような服装の男が降りてきた。</div><div>「変身」</div><div>男が呟くと、ベルトのバックルが浮かび上がり、男の体は金属の鎧をまとった。マスクのデザインはバッタのような昆虫系で、緑と黒のアーマーはまるで生きている金属のようにぴったりと男の体にまとわりついている。</div><div>「仮面ライダー………」</div><div>リボルバー男は少しひるんだように呟いた。</div><div>「状況開始」</div><div>機械を通して仮面ライダーの声が発せられる。仮面ライダーはリボルバー男に三発拳を見舞い、蹴り飛ばした。そして揺ろけたリボルバー男に拳のラッシュで圧倒した。</div><div>「デリカ、周囲に与える被害が最小で確実に目標を討伐できる攻撃パターンは?」</div><div>仮面ライダーが倒れたリボルバー男に近づく。</div><div>「パターン2の【RIDER PUNCHI】が有効です」</div><div>機械音が返事をした。</div><div>「恨むならS.H.O.C.K.E.R.を恨め」</div><div><br></div><div>ーー RIDER PUNCHI</div><div><br></div><div>右手が稲妻を放ち、その拳を落雷のようにリボルバー男の顔を叩き落とした。リボルバー男は全身が砕け、砂になった。</div><div>「状況終了」</div><div>仮面ライダーはそう言うと全身を覆っていた生きた金属は収縮し、ベルトの中に収まった。そしてやがてベルトも消えた。仮面ライダーだった男は朝島の方を見るとため息をついた。</div><div>「感染の可能性があるから検査する」</div><div>男はそう言って検査キットを出した。</div><div>「そう言って私を殺すんでしょ！今まで殺してきたみたいに！」</div><div>男はまたため息をついた。呆れているようだ。</div><div>「合理性の観点から行動するなら、戦意のないお前から殺すだろ。俺が言いたいことわかるよな？」</div><div>「何よ？」</div><div>「お前なんて眼中にないってことだ」</div><div>そう言って男は検査キットの上に朝島の指を置いた。指を置くとちくっと痛んだが、今はそれどころではない。自分は今、話題の殺人鬼と会話している。男は血液サンプルを採取すると検査キットの数値としばらくにらめっこして、検査結果は正常で感染の傾向はないと伝えた。</div><div>「ねぇ、さっきから感染ってなんなの？」</div><div>「お前に言えることは何もない」</div><div>仮面ライダーはバイクに腰掛けて言った。</div><div>「誰にも言わないから」</div><div>「知らない方が身のためだ」</div><div>朝島は頭にきた。仮面ライダーだかなんだか知らないが先ほどから態度が悪い。その上何が起きているかも教えない。彼女は男の掴んで問いただした。すると彼がついに口を割った。</div><div>「リネトロンだ」</div><div>朝島は言葉を失った。</div><div>「リネトロンって……そんなのまだ日本に入ってきてないんじゃ……そんなのが入ってきたらマズいじゃない」</div><div>男は朝島から顔をそらし思い切り深くため息をついた。</div><div>「だからこうやってリネトロンを用いたバイオ攻撃に対応してるんだ」</div><div>ここで朝島はあることに気づく。世間では仮面ライダーは人を砂に変えて殺す殺人鬼とされているが、本当は被害者は皆、リネトロン感染者なのではないか。おそらく一般兵器であれば血が飛び散り、感染を拡大させてしまう。だが、さっきのように砂に変えてしまえば血は飛び散らない。そんなことを考えてると、男はバイクにまたがり、走り出そうとしていた。</div><div>「ちょっと待って！あの砂、処分しなくていいの？」</div><div>「原子還元処理で細胞レベルまで分解された感染者の亡骸はただの砂だ」</div><div>男が走り出そうとした時、朝島は前に回り込んだ。</div><div>「ねぇ、これからどこに行くの？」</div><div>「あのピストル頭のコートに血が付いてた。リネトロン感染者なら生きてようが、死体だろうが関係ない」</div><div>「それってどうゆうこと？」</div><div>「殺された奴らが、怪人になってあの世から帰えってくるってことだ」</div><div>男の瞳孔がカメラの絞りのように動いている。機械的な動きだ。</div><div>「ねぇ、何してるの？」</div><div>「残りの感染者を探してる」</div><div>「パソコンも使わずにどうやって探すの？」</div><div>朝島は呆れたように言う。</div><div>「俺はナノマシンで機械と融合できる体に改造されてる。そんで今は監視カメラのネットワークにハッキングしてる」</div><div>改造人間666号、またの名を化野(あだしの)麓郎は改造人間である。彼はS.H.O.C.K.E.R.のコンバットマンであったが、彼にはコンバットマンとして欠陥があった。S.H.O.C.K.E.R.のコンバットマンに最も必要とされるのは組織への忠誠心とどんな任務をも遂行する行動力。</div><div>だが、それは彼に起きた「正義」というバグにより覆された。彼は他のコンバットマンとは違い、正義という個性を見出し、やがて他のコンバットマンとはまったく別物になった。そして改造人間666号は「仮面ライダー」になった。</div><div>「ねぇ、もう他には聞かないから名前だけ教えて」</div><div>朝島はバイクで去ろうとする化野に言った。</div><div>「ゼクス。コンバットマン・ゼクス」</div><div>化野は朝島に目もくれずバイクで走り出した。赤いテールランプが光の糸を引いて化野のバイクは闇に消えていった。</div><div>「仮面ライダーゼクスか………」</div><div>朝島はコンバットマンではなく、仮面ライダーとしての化野の去りゆくを見つめた。</div><div><br></div><div><br></div><div>静まり返った港の倉庫、不気味な音が響き渡る。リネトロン感染の末期症状である自我の喪失を起こした個体がいる。否、自我の喪失というのはおかしい。この個体は公園で沈黙した「リボルバー男」の被害者である。もはやすでに人間の原型をとどめておらず、魑魅魍魎とかしている。</div><div>「デリカ、ヤツを沈黙するのに最も効果的な攻撃パターンは？」</div><div>化野はライダーシステムに搭載された戦術補佐AI、「デリカ」に問いかけため息をついた。</div><div>「パターン3 の【RIDER KICK】が有効です」</div><div>機械音が返事をするて深く構えた。そして助走をつけて高く飛び、間合いにリネトロン感染者を捉えた。</div><div><br></div><div>ーー RIDER KICK</div><div><br></div><div>雷鳴とともに蹴撃は炸裂し、倉庫ごと吹き飛んだ。そして燃え盛る炎を背に彼は現れた。彼の名は、化野麓郎。またの名を仮面ライダーゼクス。S.H.O.C.K.E.R.に反旗を翻した一人の孤独なコンバットマン。</div><div><br></div>
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<link>https://ameblo.jp/chiyuki223/entry-12122876519.html</link>
<pubDate>Fri, 29 Jan 2016 21:10:18 +0900</pubDate>
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<title>公式LINEオープン‼︎</title>
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<![CDATA[ 今朝になって気づいたのですが公式LINEのQRコード貼り忘れてました。<div><br></div><div>いやぁ……失敬、失敬。<div id="{DFE53E49-DF46-4598-B108-CFDE15ABAFBF:01}" style="text-align:left"><div><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20151111/08/chiyuki223/b2/34/j/o0360036013480525378.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20151111/08/chiyuki223/b2/34/j/o0360036013480525378.jpg" border="0" width="400" height="400" alt="{DFE53E49-DF46-4598-B108-CFDE15ABAFBF:01}"></a></div></div><br>それでは改めて登録お願いしやす。</div>
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<link>https://ameblo.jp/chiyuki223/entry-12094258080.html</link>
<pubDate>Wed, 11 Nov 2015 08:34:14 +0900</pubDate>
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<title>公式LINEオープン‼︎</title>
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<![CDATA[ <div><br></div><div>こんばんわ‼︎こんにちは‼︎かずゆき改め、<font color="#ff0000" size="7">虚野かずゆき</font>です‼︎ 公式LINEオープンに向け改名致しました‼︎</div><div><br></div><div>このたび、公式LINEをオープンいたしました‼︎</div><div><br></div><div>みなさんのアドバイスをもっともっと聞きたい！なので作りました‼︎</div><div><br></div><div>公式LINEではアメブロよりもさらにカンタンにご意見いただけると思いますので、追加よろしくお願いします‼︎</div><div><br></div><div><br></div><div><br></div><div>以上、虚野でした～バイビ～☆</div>
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<link>https://ameblo.jp/chiyuki223/entry-12094193363.html</link>
<pubDate>Wed, 11 Nov 2015 00:13:43 +0900</pubDate>
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<title>訂正</title>
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<![CDATA[ 九章「Blood flows like rain/side-Luca」でミナのフルネームが「ウィルヘルム・ミナ・ハーカー」になっていますが正しくはウィルヘルミナ・ハーカーです。
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<link>https://ameblo.jp/chiyuki223/entry-12087900378.html</link>
<pubDate>Sat, 24 Oct 2015 21:47:18 +0900</pubDate>
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<title>訂正</title>
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<![CDATA[ 十章「Run Runway Run/Lovery brood」には訂正がありました。<div><br></div><div>申し訳ありませんでした。</div>
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<link>https://ameblo.jp/chiyuki223/entry-12087720185.html</link>
<pubDate>Sat, 24 Oct 2015 12:04:07 +0900</pubDate>
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<title>十章「Run Runway Run/ Lovery brood」</title>
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<![CDATA[ 十章「Run Runway Run/ Lovery brood」<div><br></div><div>春が終わるとロンドンには雨の季節がやって来る。空気を湿らせ雨雲を古代の地層の島国に引きずりこみ空を灰色に染め上げる。エイダリンは雨が好きだ。雫たちの衝突音が旋律になり音楽のように聴こえなくもない。しとしと降る雨なら尚更いい。その旋律はラブソングのように優しく語りかけるからだ。だが、そう思わない者の方がここには多い。ルカとシャルルはじめじめするのが嫌いで文句ばかり言う。尚史もだ。彼は傘を指すのが嫌いらしい。だが梢は雨の日に出掛けたがる。雨の日に傘を差して出かければ彼女は軽くステップを踏む。その上機嫌は曇りの日も同様である。逆に晴れの日には黒いレースの手袋、フード付きの真っ黒なマントで出掛ける。全く変わっている。そんなに日焼けを気にするのであろうか。彼女は東洋人にしては色が白く牛乳色の肌をしている。艶やかな黒髪とその肌のコントラストが彼女の怪しげな美しさを醸し出している。エイダリンは梢が何者なのか不思議に思った。<div>「ナオフミくん、シャツのボタン掛け違えています。直してあげましょう」</div><div>梢は同い年であるが精神年齢が遥かに低い尚史をいつも気にかけている。まるで母のようだ。</div><div>「いいよ。自分で出来るから」</div><div>「また掛け違えてしまいますよ」</div><div>「そんなに馬鹿じゃねぇよ‼︎」</div><div>梢は尚史に振り払わ屋れた。尚史は自慢気にシャツのボタンを直した。まるで見せつけるようだ。梢はそんな尚史をまだ子供を扱うような目で見ている。するとそこに一つのトランクケースをリアカーに乗せてシャルルが現れた。</div><div>「コズエちゃん用のマーシャルスーツとブーツが完成したから着てみて」</div><div>トランクケースを開けるとツヤツヤした黒い皮のような素材が姿を表した。シャルルは早く着るように急かした。梢は奥の更衣室に着替えに行った。</div><div>「どう？着れた？」</div><div>「着れたと言えば着れたのですが…」</div><div>梢の声に恥じらいを感じる。</div><div>「見せて」</div><div>しばらくの間のあと梢が出てきた。</div><div>梢は黒い皮の体にぴったり合った服に身を包み現れた。その服は上下が繋がっており下腹部から肋骨の下に至るまでの大きな穴の空いたデザインで胸元もかなり開いている。袖はなく足もかなり見えている。まるで下着のようだ。</div><div>控えめな性格の梢にはとても人前で着れたものではない。</div><div>「あの……もうよろしいでしょうか………？恥ずかしい……」</div><div>シャルルは納得したように何度も頷いている。スーツの出来ではない。梢にだ。</div><div>梢は恥ずかしくてたまらないのか尚史から羽織りを引き剥がしそれで身体を包んだ。そしてしゃがみ込みこちらに顔を向けようとしなかった。</div><div>そしてしくしく泣きはじめた。</div><div>「弱すぎ。マジ引くわ」</div><div>尚史は羽織りを引き剥がし返そうとした。</div><div>「ごめんね、コズエちゃん。年頃の女の子にはキツいよね……。今度はもっとセクシーじゃないのにするよ」</div><div>シャルルはこの衣装を動き易さを重要視した。彼女の戦闘スタイルは蹴りがメインであるためこのような服が理想的なのだが彼女は肌を見せることに抵抗があるらしい。課題は多そうだ。</div><div>尚史は呆れたようにそっぽを向いた。</div><div>「ねぇ、ナオフミ君はコズエちゃんの衣装どう思う？」</div><div>シャルルが言うと尚史は顔を赤らめた。</div><div>「別に。好きにすれば」</div><div>するとカンビーナのドアが誰かにより開かれた。高級なスーツを着た男で背は低い。チャップリンの独裁者のような髭を生やし整髪料で髪がてかてかしている。</div><div>「ここかね？ロンドンで一番の菓子店は？」</div><div>その口ぶりから少し高慢ちきさが垣間見える。ルカに撃たれないか心配だ。</div><div>「はい。間違いなくマクレガーさんのお菓子はロンドンで一番。いや、イギリスで一番にふさわしいお菓子でしょう」</div><div>商船学校の制服に身を包んだアーサーだ。エイダリンはアーサーが視界に入ると反射的に飛びついていた。</div><div>「久しぶり。アーサー」</div><div>「君が恋しかったよ。エイダリン」</div><div>エイダリンは強引に人目を気にせずアーサーの唇を奪った。アーサーも嬉しくていっそう強く抱きしめた。だがアーサーは尚史がじと目でこちらを伺っているのに気づいた。</div><div>「ナオフミ⁉︎なんでここにいるの⁉︎」</div><div>「きゃっきゃうふふな大人の事情だよ」</div><div>アーサーは尚史が説明を面倒臭がっているのを察知しなにも聞かなかった。</div><div>「アンダートン君、君はこんな物を私に見せつけるために案内を買って出たのかね？」</div><div>男がアーサーをじろりと見た。</div><div>「世界的デザイナーの私をなんだと思ってるんだ？」</div><div>エイダリンは以前この男の顔を見たことがある。あれは確か新聞だった。</div><div>「全く、私はダニエル・チャールストンだぞ。茶の一つもないのか？」</div><div>銃構えようと早撃ちのガンマンのようなポーズのルカと刀に手を掛ける尚史をシャルルは必死になだめた。</div><div>「コズエ‼︎このちんちくりんに熱々のハーブティーを出せ‼︎」</div><div>梢の返事が無い。梢は奥で縮こまっている。ルカは寝ていたので諸事情を知らない。</div><div>「何やってんだよ。奥にいるのか？」</div><div>ルカが奥を覗こうとした時、もの凄い速さの蹴りが飛んできた。</div><div>だが、ルカは身を翻し梢の足首を掴んで梢を客間まで投げ飛ばした。梢は綺麗に着地してきょろきょろ周りを見渡した。そして彼女はうずくまった。彼女はあのスーツを着たままだった。</div><div>「美しい………」</div><div>チャールストンは息を呑んだ。清楚な雰囲気に黒いてかてかしたセクシーな衣装。それらが合わさりアジア女性のミステリアスな色気をさらに引き立てている。</div><div>「君、名前は？」</div><div>「ソノガヤ・コズエでございます」</div><div>「この衣装のデザイナーは？」</div><div>「シャルル様でございます」</div><div>「もしもだ、この世界的デザイナーの私が君をモデルに使いたいと言ったらどうする？」</div><div>まるで愛の告白のように梢の手を握って言った。梢は戸惑っている。</div><div>「私はそのような身分ではありません」</div><div>梢は首を大きく横に降った。すると尚史が後ろから近寄って言った。</div><div>「いいんじゃないの？シャイが治るかもね」</div><div>尚史がからかうように言った。すると梢はまたうつむき黙り込んだ。</div><div>「そこまでおっしゃるのなら……」</div><div>「いや、そんなに言ってないよ」</div><div>梢はチャールストンの方を見た。</div><div>「わたくしは何をすればよろしいのですか？」</div><div>「ファッションショーさ」</div><div>この時はまだこの出来事がまさかあんなことになるとは誰も検討がつかなかった。</div></div><div>「じゃ、また<a dir="ltr" href="x-apple-data-detectors://0" x-apple-data-detectors="true" x-apple-data-detectors-type="calendar-event" x-apple-data-detectors-result="0">明日</a>。打ち合わせしよう」<div>チャールストンは笑顔で大きく手を振り出て行った。</div><div>「マクレガーさん、また来ます」</div><div>エイダリンにキスをしてからアーサーもチャールストンに着いてカンビーナから出て行った。</div><div>「なんだったんだあいつら？」</div><div>ルカはため息まじりに言った。彼はそのまま気だるそうにソファに寝転んだ。</div><div>「コズエちゃんすごいね‼︎世界的デザイナーのモデルなんてそうそうなれないよ‼︎」</div><div>エイダリンは梢を抱きしめ感激した。</div><div>「ねぇ、ルカさん。コズエちゃんのモデル就任祝いにケーキ食べていいですよね？」</div><div>エイダリンは寝ているルカに大声で言った。</div><div>「好きにしろ」</div><div>ルカはそう言ってあっちに行くようにジェスチャーで指示した。それでエイダリンは尚史と梢を連れてケーキを取りに言った。</div><div>「コズエちゃん‼︎ファッションショーまでにモデルのいろはを私が叩き込んであげるからね‼︎なんてったって私はモデルも舞台女優も経験済みなんだから‼︎」</div><div>エイダリンはフォークを加えて嬉しそうに話す。</div><div>「エイダリンねぇはそんなにいろいろやってたの？」</div><div>「うん。モデルは学生の時に制服の試着見本をやったし、舞台女優は学生の時にロミオとジュリエットをやったわ」</div><div>尚史はため息をついた。ほとんど学芸会レベルだ。それなのになんだこの自信は。</div><div>「ロミオとジュリエット何役をなされていたんですか？」</div><div>梢が少し興奮気味に尋ねた。</div><div>「なんでそんなことを聞くの？」</div><div>感情的な梢がめずらしくつい聞き返してしまった。</div><div>「ロミオとジュリエット好きなんです。二人の愛が報われないとしても信じ続ける姿が美しいので」</div><div>梢はいつも感情が無いように表情を変えないがなぜか今日はさっきのことが嬉しかったのか今日は表情豊かだ。</div><div>「ふーん。私はロミオをやっていたわ。髪を短くしてまるで男の子だったなぁ」</div><div>そう言ったとき男性陣が吹き出した。きっとエイダリンの強さというか女っぽくないところを馬鹿にしたいのだろう。</div><div>「仕方ないじゃないですか‼︎私の学校は女学校でしたし‼︎周りのみんなが私に頼むから……………」</div><div>ルカは必死なエイダリンをさらに笑った。</div><div>「おぉ、エイダリン。あなたはどうしてクラーク家のエイダリンなの？」</div><div>ルカが裏声で言うと尚史が返した。</div><div>「おぉ、ジュリエット。私は男より強いからだよ」</div><div>二人はまたゲラゲラ笑い出した。</div><div>「私のロミオは評判だったんですよ‼︎一級下の子に真剣なラブレターももらったし、ファンクラブまであったし、追っかけの子達で教室が溢れかえったんですから‼︎」</div><div>エイダリンはもう知らないとそっぽを向いた。すると梢がエイダリンの方を見つめてくすくす笑った。</div><div>「コズエちゃんまでにバカにするの？」</div><div>落ち込むエイダリンに梢は優しく語りかけた。</div><div>「エイダリン様は可愛らしいですね。女性らしくて素敵です」</div><div>梢の笑顔がとても優しく、ついエイダリンは見とれてしまったが、我に帰りそんなことはないと話した。</div><div>「あら、今日も楽しそうね」</div><div>その声とともにカンビーナのドアが開かれた。</div><div>「ねぇ、ちょっと手伝ってくれないかしら？」</div><div>マリアである。変形する大鎌「キス＆クライ」を背負っているのでおそらく物騒なことだろう。</div><div>「何をすればいいんだ？」</div><div>「今度ロンドンで行われるファッションショー、ロンドンコレクションについて探って欲しいの。それと警備というかそんな感じね」</div><div>ロンドンコレクションとは梢の参加するファッションショーだ。</div><div>「ちょうどいい。それにはヤボ用があるんだ。詰まる話はまた後でしようや。こっちは今から猛特訓なんだから」</div><div>「猛特訓？」</div><div>「行っとくがお前に用はないぞ。コズエがそこでモデルをやるんだ。それの特訓。エイダリン・クラーク大先生がコズエにモデルのいろはを叩き込んでくれるらしいからな」</div><div>ルカはエイダリンの方をジロリと見た。人をからかう目つきだ。</div><div>「面白そうね。私も教えていただこうかしら」</div><div>マリアはにぃっと微笑んだ。</div><div>「いいですけど、お月謝はいただきますから」</div><div>エイダリンは精一杯強がって変なことを言ってしまった。</div><div>エイダリンは床に紐をまっすぐ置いた。</div><div>「この紐を体の中心に通るように立って。そこからセクシーに歩くのよ」</div><div>エイダリンは尻を派手に振りながらドタドタと歩いた。</div><div>「さ、コズエちゃんの番」</div><div>梢の方を見るとルカとシャルルと尚史が震えながら笑を堪えていた。</div><div>「先が思いやられるわ」</div><div>マリアはため息をついた。そんなとき、尚史が口を開いた。</div><div>「ケツが……迫ってくる………」</div><div>その言葉を皮切りに男性陣は笑い崩れた。内臓を吐き出すほど笑った。</div><div>「もう‼︎馬鹿にしないで‼︎」</div><div>エイダリンは恥ずかしくて死にそうだった。こんなに恥ずかしいのは学校の表彰式のときにスカートのホックが外れ、全校生徒にパンツを見せたとき以来だ。目立つのは嫌いじゃない。むしろ好きだ。だがこんなのは好きじゃない。</div><div>落ち込むエイダリンに梢が声を掛けた。</div><div>「こうでよろしいでしょうか？エイダリン様のように妖艶には出来ないのですが」</div><div>梢はリズミカルに尻を程よく振りながら歩いた。体の軸はぶれることはない。完璧なモデルウォークだ。</div><div>「出来てるじゃない‼︎」エイダリンは嬉しそうだった。</div></div><div>梢がテーブルの上のグラスに入った水を飲み、テーブルに置くと同時にカンビーナのドアが開かれた。<div>ドアを開けたのは高級そうな礼服に身を包んだ尚史や梢と同じくらいの美少年だ。</div><div>「すまない………一つ僕の質問に答えて欲しい………」</div><div>少年は息を切らしながら梢に近寄り手を握った。</div><div>「君は一体何者なんだ？」</div><div>少年はかしずいた。</div><div>「君はまるで永遠の高嶺の花、東洋の奇跡、黒真珠だ」</div><div>ルカが呆れたような顔をした。</div><div>「よくわかりませんわ」</div><div>梢は首を傾げた。</div><div>「棘の鋭い黒い薔薇の方が良かったかな………」</div><div>少年は恥ずかしそうに頭を掻いた。</div><div>「よかったら僕の妻に迎えたい」</div><div>少年は梢に情熱的に迫った。</div><div>「申し遅れました。僕はギスタニア王国第三王子、アラルフォン・クレッグ・ダ・ギスタニア。どうぞよろしく」</div><div>梢は圧倒されたようだ。何も口にしない。</div><div>「おい、なんか前にもこんなことなかったか？スコットランドで」</div><div>ルカは嫌味っぽく言った。</div><div>「あったかも。散々引っ掻き回されて」</div><div>シャルルが笑って答える。</div><div>「どうかよろしくお願いします」</div><div>少年は王族らしからぬ律儀な態度で懇願した。だが梢は表情を変えない。</div><div>「お断りさせていただきます」</div><div>梢の口からその言葉が零れた。周りは驚愕しルカと尚史は笑っていた。</div><div>「わたくしはルカ様への恩を返せて居りませんので、どなたかと夫婦になることは出来ません」</div><div>梢は手を握り優しく語りかけた。少年は肩を落としてドアから出て行こうとするとマリアがクッキーの袋を持って駆け寄った。</div><div>「あの子はダメだったけど、私はあなたみたいな可愛い系大好きよ。だからやりきれないなら私が遊んであげるわ。気持ちいい遊びよ」</div><div>マリアは少年に自分がキスをしたクッキーを食べさせようとするとルカに蹴飛ばされた。</div><div>「まぁそういうことだから諦めな、坊や」</div><div>ルカは落とした彼の肩に手を当てなだめた。</div><div>マリアはルカの足にしがみつきながら蹴られた腹を押さえた。そして彼女はキスマークの付いた紙切れを彼に手渡した。どうやら今のマリアのロンドンの拠点の住所らしい。</div><div>マリアは再度蹴飛ばされた。</div><div>「あの……アラルフォン様、祝言をあげることはできませんが、お友達なら大歓迎ですわ」</div><div>梢はアラルフォンのクッキーを一枚摘まんだ。</div><div>「アル………。アルって呼んで‼︎」</div><div>「アル様」</div><div>「様はいらない‼︎アルがいい!!」</div><div>「アル………慣れませんわ」</div><div>「なら………アル様で構わない」</div><div>アルは嬉しそうに梢にウィンクして出て行った。外には高級車が止まっていてアルはそこに嬉しそうに乗り込んだ。だがすぐに降りてきた。先ほどの嬉しそうな様子とは違い酷くしょげている。アルは銀髪に褐色の肌の背の高いボディガードも降りてきた。二メートルはあるだろう。</div><div>「先ほどは王子が御迷惑をおかけいたしまして申し訳ありません。脱走癖がある上惚れっぽいのです。国王様からしっかり見張れと仰せつかっているのですが…………」</div><div>低くずっしりとした声で静かに話した。</div><div>「よろしければ今度イギリスとギスタニア王国国交三十周年記念パーティーがロンドンで開かれるのですがいかがでしょうか？」</div><div>ルカは渡されたプログラムに目を通すと梢の出演するファッションショーがあった。</div><div>「これなら行く予定があるんだ。その理由は言っちまうと面白く無いがな」</div><div>ルカは薄笑いを浮かべた。</div><div>「それは良かった。では特別待遇で招待させて頂きます」</div><div>ルカは深く頷いた。アルのボディガードがあることに気付いた。</div><div>「こちらは菓子店ですか？」</div><div>「ああ。そうだが」</div><div>「もし、よろしければパーティでお出しコースのデザートを作っていただけないでしょうか？このくらいの依頼料で？」</div><div>予算は破格だった。ルカのヴァン=ヘルシングへの借金を全部返してもまだ高級車が買える。</div><div>「あんたに出会えてよかったぜ」</div><div>大勢の客を相手にするのが嫌いな面倒臭がりのルカが笑顔で合意した。</div></div><div>その日からいつも気だるそうなルカは仕事に精を出した。金に目がくらんだ男は醜いらしいが、普段素行不良のルカはこれくらいがちょうどいい。尚史もその日から何が気に入らないのか終始むすっとしている。<div>「エイダリン、こいつはどうかな？こいつは炎をイメージしたクランベリーのタルト【フラム】。そっちは氷をイメージしたゼリーだ。名前はまだない。どうだ？」</div><div>エイダリンが二つを一口ずつ食べてみるとどちらも腰が抜けそうなほどうまい。彼女一人では決められない。ルカがそう悟ったときエイダリンが口を開いた。</div><div>「あれはなんですか？」</div><div>エイダリンが調理場の片隅に置いたケーキに指を指した。そのケーキはチョコレート味のスポンジに真っ白なホイップクリーム、さらに上からは削ったチョコレートと口に入れるとひんやりする粉砂糖がかかっていた。</div><div>「それは失敗作なんだ。なんかピンと来ない」</div><div>「名前はなんて言うんですか？」</div><div>「シュヴァルツ・トイフェルとヴァイセ・プリンツェシン…………」</div><div>ルカはなんだか照れ臭そうだった。</div><div>「ドイツ語ですか？意味は？」</div><div>「黒い悪魔と白い姫………」</div><div>相変わらずルカのネーミングセンスは少女趣味の臭いを漂わせている。</div><div>「素敵。モチーフはなんなんですか？気になります」</div><div>ルカは調理場からソファの方を除き込んだ。<span style="line-height: 16.5pt;">ソファには尚史と梢がいた。尚史は梢の膝に頭を預けブランケットを口のあたりまでかけ眠っている。梢も尚史のこめかみにそっと手を置いたまま寝ている。</span></div><div>「あいつらだ。あいつらが昔読んでもらった本の物語にそっくりなんだ」</div><div>～昔々、たいそう美しい姫がいた。彼女はいつも白いドレスを着ていた。ある日、姫の美しさのあまり王は誰にも触れられないように彼女を高い塔のてっぺんに隠してしまった。寂しさのあまり姫は何日も夜通し泣いた。すると黒い翼の悪魔が姫を連れ出し、二人はひっそりと幸せに暮らした～</div><div>その話をルカが語ると彼は調理場に戻って行った。</div><div>「ルカさん‼︎私ますますこのケーキが好きです‼︎これをみんなに食べて欲しいです‼︎」</div><div>エイダリンはルカの背中を呼び止めるように言った。</div><div>「じゃあ、お前が作ってみろ」</div><div>ルカの目にはエイダリンへの信頼が込められていた。</div><div>「ケツは拭いてやるから、お前なりにこのケーキを完成させて俺を納得させてみろ」</div><div>ルカはエプロンを差し出しながら言った。</div><div>「はい‼︎」</div><div>エイダリンはやっとパイ生地をこしらえられるようになったくらいだがこのケーキへの思いが彼女になんでもこなせるように思わせた。</div><div><br></div><div>＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊</div><div><br></div><div>ロンドン某所、薄暗がりのなかマリアがいる。カンビーナにいる彼女とは異なり、仕事のためならなんでもする冷徹な傭兵、情報屋としてのマリアだ。彼女は傭兵団にいた時に身につけた残忍な戦闘術と悪魔のポテンシャルを活かした戦い方で複数の男たちを無力化していた。というよりもぶちのめしていた。</div><div>「ねぇ、寝んねする前に教えて。パーティで何をやるの？」</div><div>力なく地面に倒れている大男の顔をハイヒールのブーツで踏みつけながらマリアは聞いた。だが大男は答えない。マリアは足に更に力を加えると男は悶絶した。</div><div>「人身売買だ………ギスタニアにはまだ人身売買の風習が残ってるんだ」</div><div>男は涙を浮かべている。</div><div>「方法は？」</div><div>「ファッションショーだ。ファッションショーの裏でオークションをするんだ……」</div><div>「デザイナーは知ってるの？」</div><div>「このことを知るのはギスタニア側と俺たちだけだ‼︎」</div><div>マリアは冷徹な笑みを浮かべ男の股間を踏みにじった。男は更に悶絶した。</div><div>「ありがとう。最後に聞くわ。王族は絡んでるの？」</div><div>「何言ってんだギスタニア国王と第一王子が主催だぜ。あの二人に買われたらおしまいだ。親父は真性のサディスト、息子は女をマネキンにするのが趣味のネクロフィリアだ…」</div><div>「そんなのはどうでもいいわ。第二王子のアラルフォン様は？」</div><div>マリアはついでに聞いておくことにした。</div><div>「あの王子はダメだ。優柔不断でヘタレでおまけに惚れっぽくてナルシスト。婚約を二回も破棄されてるんだ…」</div><div>「そう。ありがとう」</div><div>マリアは男の顔を蹴飛ばした。男は気を失ってしまった。</div><div><div>翌朝、ルカはいつもと違う目覚めを果たした。いつも同じように目覚めることは彼のなかではあまりないのだが、今回はかなり特例であった。</div><div>朝、いつもより早く来たエイダリンが紙切れ一枚を握って起こしに来た。鍵は空いていたらしいし、尚史と梢がいない。これは確実に何かあった。これから起こりうる面倒事を想像するとため息が出る。なので彼はとりあえず頭を押さえた。</div><div>「ルカさん‼︎意味のわからない言葉が山ほど並んでて、なんか変なメッセージまで一緒に書いてあるんです‼︎」</div><div>ルカは眠い目をこすり紙切れを見ると、マリアのキスマークに気づいた。その紙には意味をなさない単語が羅列されていて【君の頭と私のお尻、君のお尻と私の頭をかえっこしましょ♡】と単語の羅列の後に書かれていた。これはマリアがよく使う暗号で、君の頭とは「LUKE」の「L」、私のお尻とは「MARIA」の「A」である。これを入れ替える。さらに同じように「E」と「M」を入れ替える。そうすれば意味をなさない単語の羅列は文章になる。</div><div>「【王子様とこれからパーティをするの小悪魔ちゃんとお姫様は借りてくわ。じゃ、パーティで会いましょ。詳しいことは騎士団に聞いて。伝言番号二十三よ♡】………だとよ」</div><div>ルカは読み終えると丸めてゴミ箱に投げ入れた。ルカはエイダリンの目を気にせず着替え出した。彼はネクタイを締めると、ベストを着ずにエプロンをした。もうベストが要らない季節だ。そして少し長めの髪を後ろで束ねた。今から昨日の夜に焼いておいたスポンジにクリームを塗るのだろう。</div><div>「エイダリン、お前は先にフルーツのカットをしててくれ。それが終わったら湯煎でチョコレートを溶かすんだ。ちゃんと手を洗えよ」</div><div>ルカは地下の保冷庫に行った。冷気属性の魔法陣が張ってあるため、ととても冷たい。ルカはその中にシャツ一枚で入って行った。</div><div>「騎士団に伝言危機に行かなくていいんですか？」</div><div>エイダリンが保冷庫に向かって言うとすぐに返事が返って来た。</div><div>「心配しなくてもマリア絡みなら今にも騎士団員かヴァン=ヘルシングが苦笑いでくるさ」</div><div>エイダリンは少し心配したがまぁいっかと思えた。そして、上達したフルーツの飾り切りを続けた。</div><div>そしてシャルルが二階から降りて挨拶をかわしたときカンビーナのドアを大男がこじ開けた。</div><div>「アラルフォン様が脱走されました‼︎」</div><div>カンビーナ一同は驚かなかった。</div><div>「だろうな………」</div><div>全員が心の中で思った。</div><div>「マクレガー様‼︎何かご存知ではありませんか⁉︎」</div><div>ルカは保冷庫からとってきた荷物を一度下に置き腰を伸ばし伸びをした。</div><div>「エイダリン、こいつに水を出してやれ。一旦、落ち着かせよう」</div><div>エイダリンは冷たい水の入ったグラスをテーブルのボディガード側に置いた。ボディガードはそれを一気に飲み干し、荒くなった息を整えた。</div><div>「昨晩、私がアラルフォン様がおやすみになったか確かめに伺ったら窓から脱走しておりました。こんなこともあろうかと私は棘付きの鉄格子を事前に設置していたのですが強引に破られていて…………」</div><div>マリアの仕業だ。どう考えてもアルにはそんなことできない。</div><div>「ゴミ箱を被って逃げたり、近衛兵に紛れて逃げたり、窓からロープを垂らして逃げたり、豚小屋の柵を壊して豚たちに紛れて逃げたりはしたのですが、こんな大胆な逃げ方は初めてです……………。誘拐されたのでしょうか?」</div><div>ルカは苦笑いで話を聞いた。</div><div>「お恥ずかしいながら、どうか一緒に王子を探して下さい‼︎あのような軟弱者でも私には一生使える価値のある方なのです‼︎」</div><div>ルカはため息をつき、テーブルに足を上げた。</div><div>「いい歳ぶっこいてそうヘタれるなよ」</div><div>ルカは肩に手を置いた。</div><div>「あんた名前は？」</div><div>「セルジュと申します」</div><div>「歳は？」</div><div>セルジュは身体が大きく、声も低い。さらには若者らしくない貫禄もある。当然ルカより年上だろう。みんなそう思った。</div><div>「十八であります」</div><div>「え………………」</div><div>予想外の答えに空いた口が塞がらない。この歴戦の勇者のような男は尚史や梢と歳が変わらない。ましては自分より年下であるエイダリンはルカの落ち着きの無さを改めて感じた。</div><div>「驚かれるのも無理ありません。私は生まれつき身体が大きく成長しすぎる病なのです」</div><div>彼は自分の性を皮肉るようだった。</div><div>「それは悪いことをした。許してくれ」</div><div>ルカはそう言ってキャンディを差し出した。セルジュは受け取り上着の内ポケットにしまった。</div><div>「ですが、アラルフォン様は周りから気味悪がられていた私を家臣に迎えていただきました。その上、私を友達と呼ばれたのです。それだけで私の一生を捧げるに値します」</div><div>ルカは目を閉じ頷いた。そしてソファの背もたれに深く身を預けた。</div><div>「で、あんたはアイツに何を求めてんだ？」</div><div>「腐敗したギスタニア王とその息子、第一王子を除きアラルフォン様をギスタニア王にすることです」</div><div>セルジュは決意を込めて言った。アラルフォンは第二王子でありながら、王妃の子ではなく隠し子なのだ。だが、寛容な王妃は彼を第二王子として王家に招き入れたのだ。そして、セルジュを含めアラルフォンの使用人達を王宮から遠ざけた。ギスタニア国王と王子の趣味であった奴隷遊びを彼に覚えさせないため、貧しい地方に送り、民のありがたさを学ばせたかったのだ。アラルフォンをギスタニアの王にし、民と共にあるギスタニアの未来を切り開くためだ。だが、アラルフォンはこのことを知らない。</div></div></div><div><div>イギリス国教会騎士団。かつてルカが在籍した騎士団だ。彼は今、その騎士団のロンドン駐屯所に姉、マリアの伝言を預かりに行っている。彼が扉を開くと荘厳な雰囲気は十年前とはなに一つ変わっていなかった。</div><div>だが、一つ変わったことがある。歴代団長の写真のなかにローラ・オーギュスト・ダニエル・リーがいることだ。彼女は歴代最年少の三十八歳で腐敗した前任団長を退け騎士団の頂点に君臨した初の女性団長だ。現在も彼女が団長を務めており、ルカは久々に恩師に会うことを少し楽しみにした。</div><div>「お待ちしておりました、マクレガー殿」</div><div>コーネリア・ウェルカーが敬礼した。</div><div>「休め」</div><div>ルカはため息をつき彼女の生真面目すぎるところにあきれた。そして粗暴な言葉で彼女に楽にしろと伝えた。コーネリアの今の肩書きは一等司書官騎士である。彼女は騎士団にある星の数ほどの資料と向き合いながら市民の安全な暮らしのために勤めている。</div><div>「変わらないな、クソ真面目」</div><div>「マクレガー殿こそお変わりなくて何よりです。こちらお姉様からの伝言になります」</div><div>真鍮色の細い筒を丁寧に両手で渡した。ルカは「お姉様」という言い方が気に入らなかった。コーネリアに悪気は無いのだろうが、つい顔をしかめてしまった。すると察しのいいコーネリアはすぐにジョークのように訂正した。</div><div>「団長はじきにこちらに参りますので奥の個室に掛けてお待ちください」</div><div>するとルカはコーネリアの頭を掴んでぐいと下に押し下げた。</div><div>「お前も来い、優等生」</div><div>ルカはなぜか二人で話すのではなく三人で話したくなった。コーネリアに特に話したいことがあるわけでもなければ前任団長のバーナーの悪口をみんなで言いたいわけでもない。本当に心の底からなんでもないのだ。彼は自分が変人で気変わりの激しい人間だと言うことも自覚している。なので彼にはごく自然なことだった。</div><div>「マクレガー殿は恋人はいらっしゃるのですか？」</div><div>奥の部屋に向かう途中、コーネリアは突然切り出した。</div><div>「お前に言うことか‼︎この色情狂‼︎」</div><div>「すみません。出過ぎたまねを。ですが、マクレガー殿もそろそろそういう事を考えて下されば私は安心します」</div><div>「歳もほぼかわらねぇのにバカにしやがって」</div><div>コーネリアは<a dir="ltr" href="x-apple-data-detectors://2" x-apple-data-detectors="true" x-apple-data-detectors-type="calendar-event" x-apple-data-detectors-result="2">三月二十三日</a>うまれ、ルカは<a dir="ltr" href="x-apple-data-detectors://3" x-apple-data-detectors="true" x-apple-data-detectors-type="calendar-event" x-apple-data-detectors-result="3">四月五日</a>でその日はイースターだったそうだ。学年で言えば同学年だ。悪魔の子が神が復活した日に産まれた。なかなか面白い冗談だとよく同じ部隊のメンバーに言われた。彼は懐かしい思い出に浸った。</div><div>「マクレガー殿は人相も悪く、目付きも凶悪な上、減らず口で口も悪いですが優しい方ですからいい人に巡り会えますよ」</div><div>コーネリアは紅茶をつぎながら片手間で話をした。</div><div>「美人でデカい乳袋ぶら下げてるくせに男っ気が無くて堅気な女騎士よりはまともな相手が見つかりそうだな」</div><div>そういうとしばらくの沈黙が生まれた。</div><div>「わ、私のこと……そんな目で見ていらっしゃったんですか……？」</div><div>胸を両手で隠し、顔を赤らめ、少し涙目でルカの方を見た。男性にそんな事を言われるのは初めてだった。強くなるため、迷いを捨て魂を洗練させるために自分は性的なことには目を背けてきた。だが、一度は「可愛い」などと言われてみたい。幼い頃から、バーナー卿のもとで剣を握り、騎士になるために生きてきた。</div><div>「あの……マクレガー殿……」</div><div>コーネリアはぎこちなくルカの隣に座った。</div><div>「私は可愛いでしょうか……？」</div><div>ルカはコーネリアの頭を掴んだ。彼女は胸の鼓動が高鳴るのをを感じた。ドキドキする。ルカはコーネリアの口に指をやり口を開かせた。彼の目はまっすぐコーネリアを見つめている。恥ずかしさ極まり、コーネリアはぎゅっと目を閉じた。</div><div>「知りたいか、コーネリア？」</div><div>「は、はい…………」</div><div>「ちょっと待ってくれ………」</div><div>ルカの声に迷いを感じる。コーネリアの胸はさらに高鳴った。そして少し空いた口にカサカサと乾いた無数の物質が流れ込んだ。それは香り高く、苦い。茶葉である。ルカは彼女の口いっぱいに茶葉を注ぎ込んだのだ。コーネリアは顔の赤みが引き、青ざめ、食道の入り口近くまで入った茶葉をコーネリアは吐き出しに洗面所まで走った。</div><div>すると入り口付近にいたローラが笑いながら入ってきた。</div><div>「昔からジェントルマンになれと言っていただろに。子供だな、いつまで経っても」</div><div>ルカは足を組み深くもたれた。</div><div>「お前もいつ見てもババァだ」</div><div>ルカはすねを蹴られ悶絶した。ローラの力は女性とは思えないくらい強い。</div><div>「さて、本題に入ろう。私に会いに来たのは昔話がしたいからではないだろう」</div><div>ローラがカップに注がれた紅茶に口を近づけると驚いた。甘い。甘すぎる。砂糖を入れすぎている。</div><div>「それは俺の紅茶だよ」</div><div>ルカは呆れながら言った。</div><div>「あれほど甘いものは控えろと言ったのに」</div><div>ローラは昔から幼いルカを母親のように見守ってきた。そのときの癖がまだ抜けずルカを咎めるときは子供を叱るような口調になる。</div><div>「んなことはいいから、俺の話を聞け」</div><div>「何かしら？」</div><div>ルークはマリアからの情報も含め、自分が知り得る限りギスタニア王国とパーティ、ファッションショーについてをローラに伝えた。</div><div>「で？私たちは何をすればいいのかしら？」</div><div>ローラは知ったような口調で聞く。</div><div>「簡単だ。会場をバレないように包囲してくれ。俺たちだけじゃ取りこぼしちまう」</div><div>「会場に騎士団員を送り込むのは？」</div><div>「サーベルを持った奴が何人かいたら気付かれちまう。大事なのは変態共を踊らせ出来るだけ少人数で蹴りを付ける。あんたが一番好きなやり方だろ？」</div><div>「あぁ、私たちのやり方だ。一応手配はしておくが、実行に移せるかどうかはわからないぞ」</div><div>すると、ルカをは立ち上がり去り際に言った。</div><div>「移せ。あとコーネリアは借りてくぞ」</div><div>いつから騎士団長に命令出来るような御身分になったのか、ローラはため息を付いた。</div></div><div><br></div><div><br></div><div><br></div><div>後編に続く。</div>
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<link>https://ameblo.jp/chiyuki223/entry-12087573478.html</link>
<pubDate>Fri, 23 Oct 2015 23:05:06 +0900</pubDate>
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<title>CVつけてみよう！part.2!!</title>
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<![CDATA[ 前回、ルカ、尚史、シャルル、ヴァン=ヘルシング、エイダリン、マリア、イヴァンとあてがってみたので今回は、は、は‼︎<div>それに続きたいと思います。</div><div><br></div><div><br></div><div>まず、ソフィア。ドジっ子ちゃん………</div><div><br></div><div><font color="#ff0000" size="7">花澤香菜</font>さんとか‼︎</div><div><br></div><div>続いて、アーサー‼︎</div><div><br></div><div><font color="#ff0000" size="7">逢坂良太</font>さんとか。かわいいかも。</div><div><br></div><div>ドンドン行こう‼︎梢ちゃん‼︎落ち着いたイメージ…………</div><div><br></div><div><font color="#ff0000" size="7">坂本真綾</font>さんとか‼︎</div><div><br></div><div>もう後戻りはできない‼︎雪与さん‼︎</div><div><br></div><div><font color="#ff0000" size="7">早見沙織</font>さんとか‼︎</div><div><br></div><div>さぁ、行こう‼︎ミナ‼︎ウィルヘルミナ‼︎</div><div><br></div><div><font color="#ff0000" size="7">伊藤静</font>さんとか‼︎</div><div><br></div><div>続いて、ドラキュラ伯爵！</div><div><br></div><div><font color="#ff0000" size="7">テラコヤス</font>いや<font color="#ff0000" size="7">子安武人</font>さんとか‼︎</div><div><br></div><div>こんな感じですかね‼︎</div><div>意見あったらじゃんじゃん下さい‼︎</div>
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<link>https://ameblo.jp/chiyuki223/entry-12057042977.html</link>
<pubDate>Sat, 01 Aug 2015 19:20:45 +0900</pubDate>
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<title>九章「Blood flows like rain/ side-Luca</title>
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<![CDATA[ <div>六月の憂鬱な雨の日、エイダリンは一枚の写真をルカが眺めているのを見つけた。裏に書いてある日付けは六年前の今日だった 。ルカは満足したのかそれをテーブルの上に放り投げてソファで横になった。梢と尚史は買い出しに行っていて、シャルルもまだ寝ている。カンビーナにはルカとエイダリンの二人っきりだった。エイダリンはそっとその写真を手に取った。モノクロの景色の中には仏頂面のルカと微笑む女性がいた。</div><div>「ルカさん？この人誰ですか？もしかして恋人とか？」</div><div>「違うな」</div><div>「じゃあ誰ですか？」</div><div>「カンビーナをカンビーナにした女だ」</div><div>「ふーん」</div><div>ルカがこんな言い回しをするのは何も言いたくない時だ。なのでエイダリンは憂鬱そうなルカを見たあと窓辺に椅子を置いて座り晴れ間が指すのを待った。</div><div>＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊</div><div>ルークと離れてから六年目の同じ季節、ウィルヘルム・ミナ・ハーカーはロンドンに来ていた。正確には、ウィルヘルム・ミナ・ハーカー・ヴァン=ヘルシングである。二十二歳になった彼女はエイブラハム・ヴァン=ヘルシングと婚約し、ロンドンで新生活を始めるのだ。ヴァン=ヘルシングはケンブリッジ大学を飛び級で卒業し、今は恩師、セワード教授の助教授として彼とともにアイルランドに行っている。ミナはロンドンに来る時、ある一つの期待を持っていた。</div><div>ー もしかしたら、ルークに会えるかもしれない。</div><div>彼のその後は菓子職人である父の元で菓子作りを学び、さらにパリで修行をしてロンドンに帰って来ているらしい。この広いロンドンで彼に会えたらいいな。ミナはその程度の期待を持っていた。</div><div>傘を差しながらミナが重いトランクケースを右手にぶら下げて歩いていると後ろからぶつかられた。</div><div>「ひぃ‼︎悪魔‼︎」</div><div>チンピラ風の男三人組が顔にアザを作って逃げ去っていった。</div><div>悪魔という言葉にはっとしたミナは振り返ると黒のロングジャケットに緑のネクタイ、ジャケットの下にはベストをきた目つきの悪い男が肩に猫を載せて立っていた。間違いなくルークだ。</div><div>「ルーク？」</div><div>彼は何も言わずに立ち去ろうとした。</div><div>「待って。ルークなの？」</div><div>「もうルークじゃない。俺はルカだ」</div><div>ミナはわけがわからなかったが嬉しくて涙が零れた。</div><div>「そんなつっけんどんにしなくてもいいじゃない」</div><div>ミナは六年前のようにルークの頬をつねった。</div><div>ミナはさっきぶつかられた時に傘が壊れてしまいずぶ濡れだった。</div><div>「風邪引くぞ」</div><div>「人の心配をするなんて、少しは大人になったのね」</div><div>「うるせえ」</div><div>ミナは笑った。ルークは頭をかきむしり顔をしかめた。</div><div>「ねぇ、今なにしてるの？」</div><div>「お前には関係ない」</div><div>「関係あるわ。なにしてるの？」</div><div>ルークは答えようとしない。</div><div>「私……エイブラハムと婚約したの」</div><div>少し肩を落としたようだった。</div><div>「店を出すんだ……。俺の店だ。今はその準備をしてる」</div><div>「お菓子屋さん⁉︎」</div><div>「あぁ」</div><div>「ねぇ、ちょっと見せてよ」</div><div>「あぁ」</div><div>二人は後にカンビーナになるところに向かって歩き出した。</div><div>店内には物は少なくソファとケーキを入れるショーケースがあるだけだ。</div><div>「厨房の道具はあらかた揃ってるし、明日にでも開店でき…」</div><div>ミナが遮った。</div><div>「全然ダメ」</div><div>「はぁ？」ルークはきょとんとした。</div><div>「なにこれ？何にもないじゃない‼︎こんなんじゃ借り手のない空き店舗とおんなじよ‼︎」</div><div>「じゃぁなにしろってんだよ」</div><div>「私に任せて。この店をいい感じにしてあげる」</div><div>ミナはタオルで髪を拭いながら言った。</div><div>翌日、朝早くにミナは絨毯を担いで現れた。</div><div>「ルカさんはまだ寝てるよ」</div><div>ルカと一緒にいるケット・シーがドアを開けながら言った。</div><div>「おはよう、にゃんこちゃん。ルークが起きて来るまでにこれ敷いちゃいましょ」</div><div>ミナは中古品の絨毯を床に転がした。そして位置を整えた。</div><div>「ミナさん、ルカさんはよく怒って見えるけどほんとは怒って無い時もあるからあんまり気にしないであげて。昨日だって夜ちょっとうれしそうだったんだ」</div><div>「わかってるわ。あいつ不器用だもん」</div><div>シャルルは嬉しそうに微笑んだ。</div><div>するとルカが頭を掻きながら上から降りてきた。</div><div>「ねぇ、見て‼︎」</div><div>ミナが嬉しそうに言った。</div><div>「悪くない」</div><div>ルカが素っ気なく返すとミナは喜んだ。</div><div>「ルーク！まだやることはたくさんあるのよ！さっささと支度！支度！」</div><div>ルカは何も言わずに奥に着替えに行った。</div><div>数日後、ルカの店は見違えるようだった。観葉植物に可愛らしいカップルの人形、瑠璃色に壺。ルカはあまり飾りたがらないのでミナがルカの店に似合いそうなインテリアを選んだ。ルカが無愛想な分店を可愛くした方がいいとミナは聞かなかった。</div><div>家具を並べたり店を飾りつけている間ミナはあることに気がついた。</div><div>「ルーク、楽しそう」</div><div>ルカはミナが今まで見たことがないような優しい目をしている。</div><div>「楽しいよ」</div><div>生まれて初めて見るような素直なルカだった。</div><div>「明日からオープンできそうね」</div><div>「そうだな」</div><div>「それと今日の八時は開けておくのよ」</div><div>「は？なんだよそれ？」</div><div>「いーから開けときなさい」</div><div>「言えよ」</div><div>「お楽しみ。ところでお店の名前は？【ルークのスイーツランド】とか？」</div><div>「バカ言え。そんな名前つけるかよ」</div><div>ルカは奥の倉庫に向かった。そこでルカは一枚の板を持って来た。そこには【Canbiena】と書かれていた。</div><div>「【カンビーナ】。日本語の甘くて美しいって意味の言葉をもじったんだ」</div><div>「ふーん。【ルークのスイーツランド】より素敵かも」</div><div>ミナは微笑んだ。</div><div>ルカはミナの頭を小突いた。</div><div>「バカ」</div><div>「バカって言った方がバカなのよ」</div><div>ルカは笑うとミナは頬をつねった。</div><div>そしてルカをぎゅっと抱きしめてみた。</div><div>「エイブラハムには内緒にして」</div><div>「あぁ」</div><div>「ずっとあなたを心配してたの。何処かで寂しくて死んでないかって」</div><div>「俺は殺しても死なないって知ってるだろ」</div><div>ミナは涙をこぼした。</div><div>「私達………お友達じゃなくなるのかな………。私、あなたの気持ちにきづいてたのにあなたに報いてあげられなかった………」</div><div>ルカはミナを抱きしめることはなかった。エイブラハムの名誉などではない彼自身のけじめだ。</div><div>「お前みたいな跳ねっ返りのブスは金を積まれてもごめんだ」</div><div>ルカは上を向いて向いた。今の表情をミナに見せてしまったら怪人ルカではいられなくなる気がした。</div><div>「ルークなんて大っ嫌い。ケーキ食べ過ぎてお腹破裂しちゃえばいいんだわ」</div><div>ルカはミナに焼き菓子を手渡した。</div><div>「今日は、この辺にして帰って休め」</div><div>「そうするわ。ありがとう」</div><div>外はすっかり暗くなっている。ルカはバスケットいっぱいにお菓子を詰めて持たせた。送っていくと言ったがミナは断った。そして彼女は軽やかな足取りで駆けて行った。</div><div>そのとき、不穏な影がミナとルークを見つめていた。</div><div>「お嬢さん、どちらに向かわれるのですか？」</div><div>血のような赤い目をしたハンサムな紳士が夜会服に身を包み、優しくミナに話しかけた。</div><div>「お家に帰るところです」</div><div>ミナが歩き出そうとすると紳士は先回りしていた。</div><div>「そう堅くならずに、今夜一晩私と踊りませんか？」</div><div>ミナはバスケットを落としてしまい、地面にお菓子が散乱した。彼の赤い瞳はどこか人を不安にさせる。</div><div>「結構です」</div><div>怖くなりミナは声を荒らげた。</div><div>すると紳士の目にぐっと引きつけられ体が鉛のように重くなった。彼女は紳士の胸に倒れるようにもたれかかった。</div><div>彼女の体は火照り性的興奮のような感覚を感じた。</div><div>「君を一度に味わってしまうのはもったいない。私の四番目の積まれてもに迎えよう」</div><div>紳士はコウモリのような牙を剥き、ミナの首すじに優しく突き刺した。</div><div>ミナがカンビーナを出てすぐのことだった。外はぽつぽつ雨が当たってきた。</div><div>「ミナさん、傘持ってなかったね」</div><div>シャルルが窓辺に座り外を見ながら行った」</div><div>するとルカはシャルル用のレインコートと傘を二本持って来た。</div><div>「行けって言いたいんだろ」</div><div>ルカは玄関を出た。それをシャルルも追った。</div><div>外の雨はまだ小雨だがじきに強まりそうだった。ルカが歩いて行くとバスケットが転がっていた。ルカが駆け寄ると周りには自分が作った菓子とミナの血が散らばっていた。</div><div>ルカは傘を投げ捨て血の後の続く方に駆け出した。ルカは悪魔との混血であるため悪魔の力だけでなく嗅覚も悪魔並みに研ぎ澄ますことができる。ルカとシャルルは雨で滲む血の雫を追いかけた。その跡は人のいない路地を抜けて大通りに達していた。</div><div>大通りは逃げ惑う人や泣いている人で溢れかえっていた。騒動の中心に進むと夜会服の紳士とミナがいた。だがミナの様子は普通ではない。彼女の緑色の瞳は夜会服の紳士と同じく血のように赤く、犬歯はコウモリのように尖っている。そして更におかしいのは彼女がその尖った牙を貴婦人に泣きながら突き立てていることだ。</div><div>ルカはミナに駆け寄りミナの牙を貴婦人から引き抜き貴婦人を逃がした。</div><div>「何やってんだお前⁉︎」</div><div>「ルーク…お願い殺して……身体が言うこと聞かないの………」</div><div>「は？」</div><div>すると紳士はルカを蹴飛ばした。普通の人間が食らっていたら死んでいただろう。ルカは二転三転転がった。そして転がった先にはすでにその紳士がいた。</div><div>「私と彼女の愛の儀式なんだ。邪魔しないでくれたまえ」</div><div>「はぁ？ふざけんじゃねぇ。このインポ野郎」</div><div>紳士はルカの腹を踏みにじった。するとルカは血を吹いた。</div><div>「貴様は確か混血だったな‼︎汚らしい。その目はあの女、私の愛と名誉を踏みにじったあのクソメス悪魔にそっくりだ。アンジェラにな‼︎‼︎」</div><div>アンジェラとはルカの母親の名前である。父ウィリアムと結婚する前は各地を転々としていたらしい。</div><div>「まぁ、いい。貴様は後でミナに捧げるとしよう」</div><div>「お前、あいつに何をした⁉︎」</div><div>「何をって？愛の儀式だよ」</div><div>「それがなんだって聞いてんだよボケ‼︎」</div><div>「少々、元気すぎるみたいだな」</div><div>紳士はルカの顔を蹴飛ばした。ルカは再び転がった。</div><div>そして紳士はルカに剣を突き刺した。</div><div>「彼女の体に私の骨髄液を流し込んだ。今、彼女は生まれ変わる為に血を求めているのだ。じき彼女は私と同じく夜に住まう者になる」</div><div>「お前………ヴァンパイアか？」</div><div>すると紳士はルカの胸に刺さった剣でぐりぐりとえぐった。</div><div>「ただのヴァンパイアではない。私こそがヴァンパイアの王！竜の子、ドラキュール‼︎いや、君たちイギリス人はこう呼ぶだろう。ドラキュラ伯爵と」</div><div>ルカの顔に絶望が浮かんだ。ドラキュラ伯爵はトランシルヴィニアの最高権力者にして魑魅魍魎の頂点に君臨する男である。</div><div>「そこでじっくり見ていたまえ、そして噛みしめたまえ。愛を奪われる悲しみを‼︎」</div><div>ドラキュラがルカの頭に杭を刺そうとしたがその杭は刺さることはなかった。ドラキュラの頭からある液体がかかってきたのだ。その液体を浴びると彼はかかった部分を掻きむしった。そしてその液体はルカの口にも入った。</div><div>「トマトスープ？」</div><div>ルカはきょとんとした。その液体はトマトスープである。</div><div>するとシャルルがドラキュラに威嚇しながらルカに寄って来た。</div><div>「ルカさん、僕聞いたことあるんだ。ドラキュール伯爵はオスマン帝国との戦争中にオスマン帝国の魔術師が作った呪いニンニクで死んでからニンニクの呪いにかかったって‼︎だからあそこのレストランのニンニク入りトマトスープをありったけ買ってきた‼︎ツケはルカさんでいいよね‼︎」</div><div>シャルルはひどく怯えていた。ルカは剣を抜き起き上がった。</div><div>「ありがとよ、相棒。命拾いしたぜ」</div><div>ドラキュラは焼け爛れたようになった自分の顔の醜さを嘆いていた。</div><div>「この上なき屈辱‼︎覚えていろ‼︎汚らわしい混血め‼︎」</div><div>ミナなどどうでもよくなるほど焦ったのかドラキュラは姿を消した。</div><div>ルカは休む間もなくミナを探した。血を求める彼女を放っておくのは危険だ。</div><div>そのとき、遠くから甲高い悲鳴が聞こえた。声の方に急ぐとミナがまだ幼い花売りの少女に噛みつこうとしていた。</div><div>「誰か私を殺してぇぇぇぇ‼︎‼︎‼︎」</div><div>ミナは咽び泣き、叫んでいた。ルークはミナに飛びかかり、彼女を羽交い締めにした。</div><div>「早く逃げろ‼︎」</div><div>ルカの言葉で少女は走り出した。あたりにはミナが血をすすったミイラ死体が散乱していた。するとルカの首すじにミナの牙が刺さった。ルカはミナの鼻の穴に指を入れてミナを引き剥がした。</div><div>不意に彼の視界がかすみ、熱い物が彼の頬をつたう。雨が彼の肩を濡らし、頭を真っ白にする。</div><div>「お願い、ルーク殺して‼︎‼︎これ以上人を殺したくない‼︎」</div><div>「やめろ」</div><div>「お願い殺して‼︎‼︎早く殺して‼︎‼︎もう……死ぬしかないよ………」</div><div>「やめろ‼︎そんなこと言うなやめろ‼︎‼︎」</div><div>ミナは涙を流した。</div><div>「ルークなんて大っ嫌い……。大大大大大っ嫌い‼︎‼︎‼︎‼︎だから殺してよ意気地なし‼︎‼︎」</div><div>「殺せる訳ないだろ‼︎これからも友達なんだろ‼︎ヴァン=ヘルシングの野郎と結婚して幸せになるんだろ‼︎‼︎」</div><div>ルークが叫ぶとミナの表状が変わった。</div><div>「なんでわからないの？こんなんになっちゃったらエイブラハムはもう私なんか愛してくれないよ。そうなったら私………死んだ方が楽だよ」</div><div>ルークはその言葉にはっとし、沸騰したように熱かった全身の血液が冷たくなるのを感じた。彼は冷静だった。そして彼はシャルルとの友情の証である二挺拳銃【ショコラ】と【ヴァニラ】の引き金に指をかけた。ヴァン=ヘルシングはそんなことではミナに愛想を尽かさないことくらいはわかっていた。だがミナの願いを叶えられるのは今は自分だけだということもわかっていた。頭の中で引き金に力をかけることを邪魔するミナとの思い出達を駆逐し彼は引き金を引いた。</div><div>その刹那ミナの心臓のあたりにぽっかりホールトマトの缶ほどの穴が空いた。ヴァンパイアを倒す方法は二つ、一つは頚椎の切断。もう一つは心臓の破壊である。</div><div>ルカは地面に崩れ落ちるミナを抱きしめた。</div><div>「あり…がとう……。殺してくれて……」</div><div>「やめろ喋るな」</div><div>「さっきは大っ嫌い……なんて言ったけど……本当は大……好きだよ」</div><div>「あぁ、俺もだ‼︎」</div><div>「二つ約束して……欲しいの………」</div><div>「あぁ、なんでもするよ‼︎」</div><div>「エイブラハムを守ってあげて………あと……お菓子屋さん……ちゃんと……オープンして……」</div><div>ミナはこと切れた。彼女に空いた穴から出た血が地面に落ちた雨に混ざり何処かに流れて行った。</div><div>ルカは泣いた。体の傷は塞がっていたが心に空いた穴は痛みを伴いながら広がった。シャルルは慰めるようにルカにすり寄った。</div><div>雨の中何度も彼女の名前を叫んだ。「彼女から離れなさい‼︎」</div><div>若い女の騎士がルカに剣を向けた。</div><div>「ルーク・ウィリアム・エンジェル・マクレガー、殺人の容疑で逮捕します」</div><div>若く美しい凛とした女だった。彼女がルカに手枷をはめると奥から男が現れた。</div><div>「六年前は教師、今回はお友達の婚約者。お前、人殺し好きなんだな」</div><div>ルカには返す言葉がなかった。</div><div>「俺にどうしろって言うんだこの三下‼︎」</div><div>ルカはその男、六年前ルカに逮捕状を出した男に叫んだ。</div><div>「黙りなさい、マクレガー‼︎バーナー卿に失礼です‼︎」</div><div>女は剣に手を掛けながらルカに言った。</div><div>「構わないよ、コーネリア。この薄汚い混血はそんな口しか聞けないんだ」</div><div>「もう、ほっといてくれ………」</div><div>ルカは力なく呟いた。</div><div>「申し遅れましたな。私は第十三代イギリス国教会騎士団団長、エドワード・クリスチャン・バーナーだ。六年ぶりだな」</div><div>コーネリアは小さく敬礼をした。そしてルカに歩けと命令した。</div><div>「自分で歩けるさ」</div><div>降りしきる雨の中彼は留置所まで足を止めることなく歩き続けた。</div><div>留置所の独房は簡素でベッドとトイレしかない。冷たい柵とレンガに囲まれた地下室で彼はベッドで眠った。</div><div>一週間後。</div><div>「マクレガー、面会だ」</div><div>看守がルカの元にシャルルとエイブラハムを連れてきた。ルカはエイブラハムから目を逸らした。</div><div>「彼から全部聞いたよ」</div><div>エイブラハムはシャルルを抱き上げた。</div><div>「そうか」</div><div>「君、裁判で有罪になれば死刑になるんだって？」</div><div>「あぁ、ギロチンに掛けられれば俺だって死ぬかもな」</div><div>「そうか」</div><div>エイブラハムは毅然とした態度だった。</div><div>「ルーク、僕は明日からイギリス国教会騎士団付属の騎士養成所に入る。この手でドラキュラ伯爵を殺すために騎士になる」</div><div>「そうか。頑張れよ」</div><div>「君は？どうするんだい？」</div><div>「さぁな」</div><div>ルカはベッドに寝そべった。死刑がほぼ確実なルカにはどうでもいい質問だった。</div><div>「じゃ、僕からはそれだけだから」</div><div>エイブラハムは立ち去った。</div><div>ルカは柵に背を向けるように寝返りを打った。</div><div>「ルカさん、僕はミナさんとの約束守って欲しいな。ルカさんのお店、僕は誰よりも楽しみにしてたから」</div><div>「じゃあ、俺に何しろってんだよ‼︎」シャルルはルカの背中に笑いかけた。</div><div>「何もしなくていいですよ。僕が全部してあげます。裁判でどんなインチキされても揺るがないような証拠とか弁護士とか僕が揃えてきます」</div><div>「何で俺なんかにそんな風に言えるんだよ」</div><div>「僕はルカさんの友達だし、一生ルカさんに着いて行くことにしたからです」</div><div>ルカは背中を向けたまま言った。</div><div>「大馬鹿野郎………」</div><div>その声は嬉しそうだった。</div><div>シャルルは勢いよく走り出すとそこにはうかない顔のコーネリアがいた。そして彼女にバーナーが声を声をかけた。シャルルは二人に見つからないように身を潜めた。</div><div>「やぁ、コーネリア。忙しいのを承知で私を呼び出すとはどういう用かな？」</div><div>バーナーはコーネリアのシャツのボタンを外し、中に手を突っ込んだ。</div><div>コーネリアは辱めを受け、涙を流さずに泣いていた。</div><div>「私は今の仕事に誇りが持てません。どうか本部の仕事から外して地方の守備に就かせてください」</div><div>その言葉を聞くとバーナーはコーネリアの乳房をつねった。</div><div>「身寄りの無いお前を騎士にしてやったのは誰だと思ってる？私に逆らうならお前の全てをドブに捨ててやるからな。覚悟しておけ」</div><div>バーナーは手を抜き立ち去った。</div><div>バーナーの姿が見えなくらると彼女はすすり泣いた。まだ十九歳と若い彼女には辛い仕打ちである。事実バーナーは彼女に性的な嫌がらせを繰り返している。彼女はもう耐えられないのだ。</div><div>「痛いの痛いの飛んでけー」</div><div>コーネリアは小さな手に胸を触られている感覚を感じると下を向いた。</div><div>するとシャルルがコーネリアの胸を肉球付きの小さな両手で鷲掴みにしていた。</div><div>「何がしたいの？」</div><div>コーネリアが呆れたような口調で言うとシャルルは後ろに飛び退いた。</div><div>「これはその………‼︎あわよくばってやつで‼︎‼︎‼︎」</div><div>シャルルはやましいことがあったので動揺した。</div><div>「いいわよ。慣れてるから」</div><div>コーネリアはシャルルを撫でた。</div><div>「ひどいよね、おっぱいはヨシヨシするものなのに………」</div><div>シャルルの言葉で沈黙が生まれた。</div><div>「エッチなネコちゃん」</div><div>「よく言われます」</div><div>「褒めてない」</div><div>「ねぇ、ルカさんの無実を証明するの手伝って」</div><div>コーネリアはため息を着いた。</div><div>「無理よ。私はペーペーだもの」</div><div>「分かった。じゃあね」</div><div>シャルルは尻尾を揺らして走って行った。その健気で勇敢で従順な姿に励まされた。</div><div>「もう少し頑張ってみようかな」</div><div>コーネリアは上を向いて言った。</div><div>シャルルはロンドンの路地を抜けてある一つの建物に辿り着いた。</div><div>【リー探偵・弁護士事務所】である。</div><div>ドアを開けると一人の女性がいた。ローラ・オーギュスト・ダニエル・リーである。</div><div>「お待たせしましたミス・リー」</div><div>シャルルは椅子にちょこんと座った。</div><div>「紅茶？コーヒー？」</div><div>ローラは缶を二つ持って聞いた。</div><div>「僕は紅茶派です。でも氷入れてくださいね。僕猫舌ですから」</div><div>ローラはくすくす笑った。シャルルは机の上に置いてあるビスケットを凝視した。実は今日は丸一日食事にあり付けていない。するとローラは一枚摘まんで口に運んだ。</div><div>「ご自由に」</div><div>シャルルの冷たい紅茶を机の上に置いてローラは言った。シャルルは弾丸が飛び出すような勢いでビスケットを貪った。</div><div>「待ての上手なネコさんだこと」</div><div>ローラは笑った。</div><div>「今日はローラさんにお願いがあって来たです」</div><div>シャルルはもごもごと口にビスケットを含んだまま喋った。するとローラは人差し指をシャルルの小さな口に当てた。</div><div>「ゴックンしてから喋りなさい」</div><div>シャルルは飲み込んでから返事した。</div><div>「で？要件は何かしら？」</div><div>「ルカさんを無実にするのを手伝ってください」</div><div>ローラの顔色が変わった。ルークが無実の罪で騎士団を追放されて以来、彼の名を聞くのは久しぶりだった。</div><div>「ミナ嬢のことは聞いている。ルークは今騎士団に監禁されているようだね」</div><div>シャルルはアイスティーをすすりうなづいた。</div><div>「ルカさんは悪くないんだ。なのに死刑なんておかしいじゃないですか」</div><div>シャルルの口調から怒りを感じる。静かに湧き上がる怒りだ。</div><div>「ルカさんのために僕と戦って欲しい。僕とローラさんがいればきっとなんとかなるよ」</div><div>ローラは上着をはおって玄関を出た。</div><div>「行って来るよチャーリー」</div><div>チャーリーとはシャルルの愛称である。</div><div>シャルルは事務所を出た。すると目の前に騎士団員が見えた。</div><div>「猫一匹だ。早く見つけろ」</div><div>シャルルは後ろに飛び退いた。すると誰かに掴まれ口を塞がれた。シャルルが暴れようとしたとき聞き覚えのある声がした。</div><div>「静かにして」</div><div>コーネリアだった。彼女は白のブラウスに紺のロングスカート、その上からベストを着ている。コーネリアはベストをめくり拳銃を見せた。</div><div>「武器はこれしかないからむやみな戦闘は避けなきゃでしょ」</div><div>胸のホルスターに銀色のオートマチック拳銃を収めているせいか左胸がゴツゴツしていた。</div><div>「重要参考人、心当たりがあるんだけど」</div><div>「もしかして、僕も同じこと考えてるかもしれないね」</div><div>コーネリアはシャルルを下ろしてしゃがんだ。</div><div>「とりあえず、あの通りに行こう」</div><div>コーネリアは再びシャルルを抱えた。</div><div>通りのミナが息絶えた場所にはたくさんの花束があった。ミナのためではなくミナの生贄になった人達のための弔いの花である。</div><div>そこにカミツレの花をバスケットいっぱいに入れた少女がやって来て二つ置いて、花を売り始めた。</div><div>「ご家族にご不幸があったのですか？」</div><div>少女は礼儀正しくコーネリアの方に向き直った。</div><div>「一つは私を食べようとしたおねぇちゃんの分。もう一つは私を助けてくれたおにいちゃんの分なの」</div><div>シャルルは心覚えがあった。ルカが助けたあの少女だ。</div><div>「ねぇ、そのお花全部買ってあげるからおねぇちゃんの言うこと聞いてくれないかな？」</div><div>コーネリアも同じことを考えていた。コーネリアは三十ポンド出してバスケットと交換した。そしてそのバスケットを花束の群れの中に置いてミナに敬意を表した。</div><div>「行きましょ」</div><div>少女は動かなかった。</div><div>「ママが知らない人に着いて行っちゃダメだって」</div><div>コーネリアは笑った。騎士団の制服を来ていないのを思い出した。そして彼女は帯刀許可証と騎士団員証明書を見せた。</div><div>「騎士様でしたか。ご無礼をどうかお許しください」</div><div>少女はぺこりと頭を下げた。</div><div>「いや、悪かったのは私だわ。ママに話をしておきましょ。お家まで案内して」</div><div>コーネリアと少女は手を繋いで歩き出した。</div><div>「マクレガー、釈放だ」</div><div>看守がルカの元に来た。彼は無表情に業務的に檻の鍵を開けた。</div><div>ルカは体を引きずるようによたよたと歩いた。力がない。まるで腑抜けになった彼は錠の鍵を外され外に出た。</div><div>シャルルがルカに擦り寄り、ローラが肩を貸し、コーネリアが上着を着せた。</div><div>「いったい、何が起きたら俺は外に出れたんだ？」</div><div>ルカは力なくつぶやいた。</div><div>「おにいちゃん、よかったね」</div><div>小さな女の子がカミツレの花を精一杯背を伸ばして差し出した。ルカはそれを片手で受け取った。少し力が湧いたような気がした。すると後ろから頭がつるんとした大柄な男がルカの背中を軽く叩いた。</div><div>「トマトスープ十三人分きっちり払うまで死なせないからな」</div><div>ルカはくすりと笑っていた。</div><div>「ありがとよ。ミスターゆでたまご」</div><div>大柄な男は降格を釣り上がらせにやりと笑って見せた。</div><div>五人と一匹が留置所を出ようとしたとき、誰かに引きとめられた。</div><div>「待て‼︎裁判をするぞ、マクレガー‼︎貴様を死刑にしてやる‼︎」</div><div>バーナーが息を切らして詰め寄った。するとローラがルカの前に立ちはだかった。</div><div>「おやおや、バーナー卿ではございませんか？裁判ならもう間に合っていますわ。証人と私の調査をもってしてマクレガーは不起訴、無罪になりましたのでねぇ」</div><div>バーナーはぶつぶつとつぶやき地団駄を踏んだ。</div><div>「それとバーナー卿、貴方のコーネリアへの性的な嫌がらせは騎士道精神に反するとして団籍剥奪と騎士団からの追放が確定いたしましたわ。以後よろしく」</div><div>後ろからぞくぞくと騎士団員がバーナーを捕らえるために現れた。</div><div>「覚えていろ貴様ら‼︎」</div><div>バーナーは今にもローラに飛びかかりそうだ。</div><div>「なお、後続の団長として騎士団はローラ・オーギュスト・ダニエル・リー女史を迎えることが確定しています」</div><div>コーネリアはバーナーの胸の騎士団章を剥ぎ取りながら冷たく言い捨てた。</div><div>「貴方の方こそ覚えていてください。私やマクレガーさんの屈辱を」</div><div>＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊</div><div>四年後、カンビーナ。</div><div>雨は上がり水たまりが輝く路地を眺めながらエイダリンは尚史と梢を待っているとカンビーナの前に一台の車が止まった。</div><div>車からは騎士団マントを着た一人の女性が現れた。若く美しかった。</div><div>ドアを開けるとさっそく軍靴を鳴らしルカに敬礼した。</div><div>「床が傷つくからやめろ」</div><div>ルカは起き上がりだるそうに言った。</div><div>「シャルルさんは既に車に乗られています。参りましょう」</div><div>女性は丁寧な言葉で言った。</div><div>ルカは無言で奥に行くと白い花束と菓子がたくさん入ったバスケットを持って喪服姿で現れた。</div><div>「店番しててくれ。あとナオフミとコズエに昼メシ作ってやってくれ」</div><div>小さな声でエイダリンに言った。</div><div>そしてルカは女性の車に乗り何処かに行った。</div><div>車は丘の頂上へと続く坂道の麓に止まった。</div><div>「お前らは行かないのか？」</div><div>車から降りようとしないシャルルとコーネリアにルカは言った。</div><div>「私は合わせる顔がありません」</div><div>「僕がいたらミナさんときゃっきゃうふふなことできないでしょ」</div><div>二人の言葉を受け、ルカは花束とバスケットを持って坂道を歩き出した。坂道を登り切ると小さな墓があった。【Wilhelmina Herker Van Helsing 1882ー1904】。墓石にはそう彫られていた。そこには彼女の婚約者もいた。</div><div>「よぉ、スカし先生。お前と鉢合わせるのは始めてだな」</div><div>ヴァン=ヘルシングはくすりと笑った。</div><div>「なぁ、お前は俺を憎んでるか？」</div><div>「さぁね」</div><div>「まだ四年しか経って無いんだな」</div><div>「そうだね」</div><div>優しいかぜが二人の頬を撫でて海の方に吹き抜けて言った。</div><div>まるでミナが語りかけたようだった。</div><div><br></div><div><br></div><div>九章「Blood flows like rain」完</div>
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<link>https://ameblo.jp/chiyuki223/entry-12054060218.html</link>
<pubDate>Fri, 24 Jul 2015 16:24:02 +0900</pubDate>
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<title>SEAD</title>
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<![CDATA[ <div>今回は僕が副業で書いてるSF小説<font color="#0000ff" size="7">SEAD</font>を投稿します‼︎ちょっとスイートファントムいきづまっちゃって(汗</div><div>アーマースーツ×サイキック×騎士？のよくわけのわからない小説になってますがどうぞ読んでやって下さい‼︎&nbsp;</div><div>ちなみに下のイラストのシードは初期原案を書いてもらったものです。</div><div><div id="{90C85A96-13AE-4761-AFF2-062ABC9FBB7D:01}" style="text-align:left"><div><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20150712/21/chiyuki223/96/ac/j/o0480051413364161386.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20150712/21/chiyuki223/96/ac/j/o0480051413364161386.jpg" border="0" width="400" height="428" alt="{90C85A96-13AE-4761-AFF2-062ABC9FBB7D:01}"></a></div></div><br></div><div>ではどうぞ‼︎‼︎</div><div><br></div><div><br></div><div>&nbsp;一九四八年、世界各地で様々な異常、改革、進化、そして衰退があった。そして私たちが生きる二○三五年、一部の人間は進化を遂げセカンドと呼ばれた。セカンド達は思った。自分達はいずれ旧人類に迫害されてしまうだろう。旧人類の数を自分達より少なくしないと。そしてセカンド達は旧人類に牙を剥き始めた。</div><div>運命の歯車は周り出す。聖杯の騎士達と共に。</div><div>相内懐は動揺した。彼は今一度も顔を合わせたことのない女性とハンバーガーを挟み向かい合っている。</div><div>「えっと………何から話しましょうか？」</div><div>彼は話を切り出した。</div><div>「僕はハーレーさんはずっと男だと思ってました」</div><div>「私はナットさんってもっとクールな人かと思ってました」</div><div>ナットというのはリアルタイム戦闘シミュレーションゲーム「BRAI:VE」における懐のプレイヤー名である。脳波伝達装置によりリアルタイムで脳から出る指令をコンピュータの信号に変換しコンピュータの中に作られた戦場で戦うゲームこそが「BRAI:VE」である。最初は軍事訓練用に開発されたが、実際に戦ったような感覚を味わえることから改良され様々なストーリー性が加わり、ゲームとなった。懐は十六歳のときこのゲームの魅力にはまり、十九歳になった今、彼は日本有数のプレイヤーとなった。</div><div>「あの………なんで大佐？ハーレー大佐ってなんか男っぽすぎません？」</div><div>懐はジュースに口を付けながら聞いてみた。</div><div>「私、井上晴璢っていう名前でハーレーはハルって名前からで大佐っていうのはかっこいいからで……」</div><div>懐はジュースを飲みながら、ハンバーガーをかじる晴璢に見惚れた。自分は中学、高校、現在通っている大学と彼女なんかいたことがない。</div><div>しかも今目の前にいる井上晴璢という女性は少し垂れ目なところが男心をくすぐる可愛らしい顔立ちで、特別美人というわけではないが懐が好きな顔立ちなのだ。あと見た感じ胸は大きそう。</div><div>「どうかしましたか？」</div><div>動きが止まった懐に晴璢が問いかけた。</div><div>「あ、いや………美味しいコーラだから味わって飲もうと……思って………」</div><div>晴璢は笑い懐を変だと言った。</div><div>「ナットさんは本名はなんて言うんですか？」</div><div>「俺はアイウチ ナツキって言うんだ。出席番号はいつも一番……」</div><div>晴璢は笑った。</div><div>「あの……それで今回はハーレーさんにオペレーターを頼みたいんですがよろしいですか？」</div><div>BRAI:VEは実際の戦闘とほぼ同じ環境でプレイする、一人でやるには限界があるため周りの状況をプレイヤーに知らせるオペレーターの役割が必要になってくるのだ。そして懐はプレイヤーとオペレーターのカップリングサイトでハーレー大佐こと晴璢を見つけたのだ。</div><div>歳が同じ気の合う男性だと思えば自分好みの同い年の女性。これは十八年間で初の恋愛フラグかもしれない。</div><div>「はい。よろしくお願いします」</div><div>晴璢が頭を下げた。告白に成功したような浮わついた気分になった。</div><div>「あの…プレイヤー友達がオペレーターと仲を深めるために一緒に出かけたり、遊びに行ったりとかしてるんで…もしあれなら……すいません。流石に無理がありますよね」懐は口からでまかせでデートの約束をしようとしたが浅ましい自分が嫌になり尻込みしてしまった。恥ずかしい。せっかくの出会いがおじゃんになった。そう確信した。</div><div>「いいんですか？私なかなかつまんない人間ですよ」</div><div>予想だにしない答えに目を見開き身を乗り出した。</div><div>「いいんですか？ほんとにいいんですか？」</div><div>「いいって言ってるじゃないですか」</div><div>懐は安堵の表情を浮かべた。</div><div>「あの…じゃあお友達ってことでナツキくんって呼んでいいですか？」</div><div>「はい！」</div><div>「じゃあ、どこに行くかはハーレー大佐からの指令を待つよう」晴璢は小さく敬礼した。</div><div>懐はあまりに嬉しくぼんやりとしてしまった。</div><div>「自分で決めたかった？」</div><div>「あ、いや連絡待ってます……」</div><div>二人は別れ帰路についた。懐はケータイのバイブの振動を感じ画面を見た。</div><div>ハーレー大佐からだ。</div><div>今週の日曜日、さっそくカラオケなんてどうですか？</div><div>私の友達も来るのですが、男の子の人数と女の子の人数が合わないんです（－＿－；）</div><div>よかったら来て下さい。</div><div>なんだ二人っきりじゃないのか……</div><div>まぁ、いきなり二人っきりも無理があるよな。</div><div>懐は返信を打った。</div><div>もちろん行きたいです‼︎</div><div>何時にどこに行けばいいですか？</div><div>送信すると一分後に返信が来た。</div><div>早い！早すぎる！</div><div>やったぁ‼︎（＾∇＾）</div><div>じゃあ、今日のマックで十時に待ち合わせ♪</div><div>晴璢と会えるのは嬉しいが、やはり二人が良かった。背に腹は変えられない。一人になり懐は気づいた、自分は今昔からなりたくなかった女の子と一緒にいることに異様な執着を持つ惨めな男だと。帰りに寄ったコンビニで少しエッチな週刊誌の表紙には今人気のグラビアアイドルがセクシーなポーズをとってこちらに悩ましげな視線をこちらに向けている。懐はもしも、うまくやって晴璢と付き合えたら、こんな視線を自分に向けてくれるのだろうか。</div><div>そんな事を考えると知らず知らずのうちに前屈みになっていた。</div><div>恥ずかしい姿勢のままカップ麺とコーラ、ポテトチップスをカゴに入れてレジに向かうと、誰もいない。レジの奥から声がするので覗いてみると、中でいかにもギャル男という感じの男と髪を金髪に染めた女の店員がいちゃついている。店員はだるそうに作業をし、「邪魔をするな」と言わんばかりに睨み付けてきた。そして聞こえないような声で「ありがとうございました」と言った。目に余る態度だが、そんなことは構わない。今日は金曜日。約束まであと二日。胸のドキドキが止まらない。</div><div>その夜、懐は晴璢をオペレーターにつける前に一人、BRAI:VEに挑戦した。ステージは難関と名高いヨナバルド要塞。500余りのプレイヤーが挑戦する中、彼はオペレーター無しのソロプレイヤーとしては珍しい24位に入った。</div><div>懐は現実の世界にかえってくると、そのまま眠りについた。</div><div>その夜、懐は夢を見た。人に言える内容ではないが、晴璢に関する夢だ。その夢に囚われ頭をぼんやりさせながらバスに乗り、大学へと向かった。バスの中で時折思い出してはにやにやしてしまった。</div><div>その時、急に眠くなりふと眠ってしまった。</div><div>ー喜べ！君は俺に選ばれた！</div><div>は？なんだよ、いきなり。</div><div>ー君は戦う力と未来を掴む権利を得た‼︎</div><div>だからなんなんだよさっきから‼︎</div><div>ー俺の名は【シード】蒼穹の騎士！</div><div>あ、ちょっと待て‼︎</div><div>高所から突き落とされるような感覚の後にはっと目が覚めた。</div><div>「貴方、桐葉大の学生でしょ？このバス乗ってるんだから、次で降りないと遅刻よ」</div><div>一度見たら目に焼きつくような美人が懐に言った。その子は桐洋大付属高校の制服を来ていた。</div><div>「ねぇ、どんな夢見てたの？むにゃむにゃ言ってたけど」</div><div>懐は恥ずかしくなる前に会話の内容を思い出した。</div><div>【シード】ってなんだ？選ばれた？蒼穹の騎士？戦う力？未来を掴む権利？全く綺麗さっぱり意味がわからない。</div><div>「シード………」</div><div>懐は手に妙な感覚を覚え、手を見てみると手の甲に光で翼のマークが浮かび上がり消えた。</div><div>ー気のせいだ………。</div><div>そう思うことでしか整理を付けられなかった。</div><div>懐はそれなりに講義をやり過ごし、学内の小さなプレハブ小屋へ足を運んだ。そこのドアには雑な字で【BRAI:VE研究会】と書かれたプラスチックの看板がかかっていた。</div><div>設置の悪いドアを開けると中には懐がバーチャル空間で死線をともにする仲間の一人、階堂秋都がいた。</div><div>「よう。ナツ」</div><div>「よう。アキ」</div><div>いつも通りの挨拶を済ませてロッカーの中のものをカバンに入れていると階堂が地面を蹴ってキャスター椅子に座ったまま懐の方に来た。</div><div>「明日、時間ある？」</div><div>「無いな」</div><div>「即答だな」</div><div>「まぁね」</div><div>「何があんだよ？」</div><div>「さぁね」</div><div>「教えろよ」</div><div>「やだね」</div><div>階堂は腕組みをして懐を見上げた。</div><div>「女か？」</div><div>懐は慌ててついロッカーを荒々しく閉めてしまった。</div><div>「んなわけないだろ‼︎」</div><div>「図星だな」</div><div>「違う‼︎」</div><div>「写真無いの？」</div><div>「持ってるわけないだろ‼︎」</div><div>「やっぱり、女か。よし馴れ初めを聞くとしよう」</div><div>懐は観念して階堂が差し出したキャスター椅子に腰掛けた。この階堂という男は小学校のときに知り合い中学、高校、そして大学とずっと一緒だった男なのだ。階堂はずば抜けて頭がよく、スポーツもでき、ルックスもかなりいい。高校の文化祭の劇の配役を決めるときには王子様階堂のヒロイン役を巡って女子達が熾烈な争いを繰り広げたくらいだった。ちなみにヒロインのお姫様役は結局懐だった。階堂は同級生からも先生からも好かれる男なのだ。この桐洋大学に来なくても国立さえも狙えたような男であるのに懐と同じ大学に来た。</div><div>小学校のときになんでも一番だった階堂が唯一敗北したのが他の誰でもない運動も勉強もできない相内懐だったのだ。当時流行していたゲームにおいても階堂はかなり強かった。だが懐ほどではなかった。激闘の末階堂は負け、それ以来この天才ゲーマー相内懐に夢中になったのだ。</div><div>馴れ初めを話すと階堂は嬉しそうだった。</div><div>「なんでそんなに嬉しそうなんだよ。お前女の子とか興味ないだろ？」</div><div>懐きはふてくされて聞いた。</div><div>「なんだかなぁ。お前に勝ってる部分をとやかく言うのもつまんねぇし、おれはそういうのもう散々楽しんだからなぁ。やっぱり、お前にそういう風な話があるのが嬉しいんだよ」</div><div>階堂は微笑みながら言った。</div><div>「なんかいらっとするなぁ………」</div><div>懐きはカバンを肩から掛けた。</div><div>「ナツ、今から時間あるか？」</div><div>「え？」</div><div>「明日のデートの準備だ」</div><div>「向こうの友達も来るし男女3:3だよ」</div><div>「その後二人だけになるかもしれないだろ。行くぞ」</div><div>階堂は懐にヘルメットを投げた。</div><div>「バイクまわしてくるから待ってろよ」</div><div>懐は嬉しそうにため息をつき外に出た。そこには女子が一人気恥ずかしそうに立っていた。可愛い子だった。</div><div>「あの、階堂くんいますか？」</div><div>「あ、階堂は辞めといた方がいいよ」</div><div>「なんで？」女の子がきょとんとして言う。自分に自信があるのだろうか。そこに階堂が来た。</div><div>「乗れよ、ナツ」</div><div>フルフェイスのヘルメットのバイザーをあげて言った。</div><div>カワサキのライムグリーンのスポーツタイプのバイクで現れた階堂は仮面ライダーのように様になっていた。</div><div>「じゃ、バイバイ」</div><div>懐は女の子に一瞥しバイクの後ろに乗った。</div><div>階堂は逃げるようにバイクを走らせた。</div><div>「よかったのか、アキ？結構可愛い子だったよ」</div><div>「どうせいつも通り振るし、付き合うとか興味ないし」</div><div>懐は軽く脇腹を殴った。羨ましくて仕方が無い。</div><div>その後二人はユニクロでジャンパーを買い階堂からTシャツを貰い帰路についた。</div><div>首の後ろに痛みを感じた。</div><div>ー よぉ、ナツキ‼︎今お前の神経に接続して、おきてる状態でも会話できるようにしたぜ‼︎</div><div>「勝手に人を改造すんな‼︎」</div><div>ー 口開かずに言葉を思い浮かべても喋れるぞ。</div><div>「うるさい‼︎」</div><div>懐はシードの言葉から耳を塞いだ。するとシードの声は聞こえなくなった。</div><div>そして懐は一連の動作を済ませ眠った。念入りに体を洗ったし、シャンプーもした。大丈夫だ。</div><div>翌朝、懐は目を覚ますと予定より一時間遅い、九時。</div><div>「やばい‼︎‼︎‼︎」</div><div>ーナツキ、おはよう。今日はデートなのにちょっと遅いな。</div><div>「なんで起こしてくれなかったんだよ‼︎」</div><div>ー気持ち良さそうだったから。</div><div>「やむおえん！シャワーと朝ごはんはナシだ‼︎」</div><div>ーお前、風呂好きだな。</div><div>「うるさい‼︎」</div><div>ナツキは急いで着替えて家を出てバス停に向かおうとした。</div><div>ーナツキ、そっちは遠くなるぞ。</div><div>「バス停はこっちだろ‼︎」</div><div>ー直線で行くぞ。</div><div>シードの言葉の後足元に機械のブーツが現れた。</div><div>ーまだ使い方はわからないだろうから、おれが操作するよ。次からは自分でやれよ。</div><div>くるぶしのあたりのデバイスが光り機械音が鳴る。</div><div>「何するつもりだよ‼︎」</div><div>ー カウント開始、5!!</div><div>「おい、やめろ‼︎」</div><div>ー4‼︎</div><div>「聞いてんのか⁉︎」</div><div>ー3‼︎</div><div>「話聞けよ‼︎」</div><div>ー2‼︎</div><div>「マジかよマジかよ、おい‼︎」</div><div>ー1‼︎‼︎‼︎</div><div>アパートの二階から懐は勢いよく飛び出した。</div><div>上空高く舞い上がり三十メートルは離れているであろう向かいのアパートの屋根に着地した。</div><div>そして、全速力で駆けてまた飛びたつとさらに飛んだ。</div><div>「すげぇ、BRAI:VEの感覚と同んなじだ‼︎‼︎‼︎‼︎」</div><div>ー気持ちいいだろ！</div><div>「あぁ‼︎最高さ‼︎」</div><div>ー自分で動かしてみるか？</div><div>「いいのか？」</div><div>ーもち‼︎‼︎</div><div>さっきまでの動かされていた感覚が消えて。懐は少し焦った。</div><div>しばらく直接距離を突き進むと金曜日のマックが見えた。そこに晴璢がポツンと立っていた。一人だった。</div><div>懐はそのことに気を取られ、落下した。地面に叩き付けられ三回転がった。だがシードがシールドを起動したおかげで十五メートルの高さから落ちたのが、派手に転んだ程度の痛みで済んだ。</div><div>「大丈夫⁉︎」</div><div>晴璢が駆け寄ってきた。</div><div>懐は体を起こして晴璢の方を向いた。晴璢は白い洒落たシャツに七分丈のチノパンのすごくシンプルなコーディネートだった。</div><div>「待った…？」</div><div>懐は気まずそうに聞いた。</div><div>「もう‼︎空から降って来るなんて聞いたこと無いよ。痛く無い？痛く無いわけ無いじゃん‼︎」</div><div>晴璢は焦って一人あたふたする。</div><div>「大丈夫だから」</div><div>ぴょんと立ち上がって言った。</div><div>「他のみんなは？」</div><div>「………」</div><div>「どうしたの？」</div><div>「ごめんなさい‼︎みんなでカラオケっていうのは嘘なの‼︎恥ずかしかったからつい…………」</div><div>懐は心の中で盛大に歓喜した。これは恋愛フラグだ。間違い無い。</div><div>「どこ行きたい？」</div><div>懐の言葉に晴璢が嬉しそうに顔を上げた。</div><div>「遊園地‼︎」</div><div>子供のようにはしゃぎながら言った。</div><div>「じゃあ、駅まで行こうか」</div><div>二人は歩き出すと、不良中学生たちが真面目そうな生徒に絡んでいた。真面目そうな生徒はどうやらセカンドらしくそれで絡まれていた。</div><div>「あっちの道から行こ。ああゆうの嫌い」</div><div>「俺も嫌い」</div><div>懐は晴璢から離れて、彼らに近づいた。中学生なら大丈夫。そう思った。</div><div>「やめなよ。セカンドだろうとみんなとどのつまり人間なんだから」</div><div>「はぁ？お前しらねぇの？セカンドには国がほーりつでけんしょーきん掛けてんだぞ。お前バカか？」</div><div>ーナツキ、向こうは四人、こいつらの能力を最低限に計算してもお前に勝ち目無いぜ。</div><div>それを先に言え‼︎</div><div>ー いやぁ、お前男の中の男だよ。勝てないとわかってて挑むなんて。</div><div>マジかよ………</div><div>「おい、何ぼーっとしてんだよ‼︎」</div><div>「あ、いや懸賞金が掛かるのは暴力行為か能力を使った犯罪を犯した人だけだからさ……………あははは」</div><div>「ごちゃごちゃ言ってんじゃねぇ」</div><div>懐めがけて拳が飛んで来た。だが、ー 遅い ー。スローモーションのように見える。しかも、攻撃が雑だ。拳の軌道が不安定だ。</div><div>瞬時に懐は後ろに周りこみ、腕をつかんで背中の後ろで関節を取った。</div><div>不良は痛さにもがいている。</div><div>「あ、ごめん」懐が手を放すと不良たちはしぶしぶ立ち去った。</div><div>「行こう、ハル」</div><div>晴璢は嬉しそうに懐に駆け寄った。</div><div>「びっくりした。ナツキくんかっこよかったよ」</div><div>「たまたまだよ」</div><div>懐は目を閉じてシードに礼を言った。</div><div>ー 俺は何もしてないよ。今のはお前が俺の力をコントロールしたんだよ。</div><div>そっか、でもありがとうな。</div><div>二人は切符を買い電車に乗った。</div><div>幸い二人とも座ることができた。</div><div>「お昼ご飯はどうする？」</div><div>「お弁当作って来たの……よかったら食べて」</div><div>懐も晴璢もいかにも恋人同士のようなこの空気感に緊張と恥ずかしさとくすぐったいような気分と心地良さを覚えた。何度も手と手が触れる度にドキドキした。</div><div>懐達が降りる駅の直前だった。</div><div>「ねぇ、さっきハルって呼んだよね？」</div><div>「え………あ、そのあれは……」</div><div>晴璢はくすくす笑った。</div><div>「ハルでいいよ」</div><div>「わかったよ、ハル」</div><div>二人とも笑った。</div><div>「降りよ。遊園地は近くだ‼︎」</div><div>晴璢は懐の手を引っ張った。</div><div>「ねぇ、ナツキくん……」</div><div>改札で晴璢が切り出した。</div><div>「私のことやっぱり思い出してくれない？」</div><div>ー え⁉︎</div><div>懐の頭の中に井上晴璢の名前が大きく飛び出して来た。</div><div>「中学生の時にね、プール掃除で私お腹冷やしちゃって漏らしちゃったの。その時、君が一緒にプールに落ちてくれたの。私、すごく嬉しかった。だから、あの翌日、机の上に焼きそばパン置いてあったでしょ。あれ犯人私なの。それから何年かしてネットでその時から使ってた【ナット】ってハンドルネームを見つけたの！その時から使ってたでしょ！もしかしてって思ったらもしかしてだったなんて世界って狭いよね」</div><div>懐ははっとして思い出した。だが、この話には裏がある。</div><div>「あれはハルのそのことに気付いて落としたんじゃなくて、本当はコン、いや近藤海里を落とそうとしてたんだけど俺が逆に落とされてとっさにつかんじゃったのがハルの手だったんだ」</div><div>晴璢は腹を抱えて大笑いした。</div><div>「じゃあ、私はずっとポカ話にときめいてたの？」</div><div>「え？ときめいてたの？」</div><div>「うん。私の人生で一番ときめいた瞬間」</div><div>懐はがっかりした。あの時に付き合っておけばよかった。</div><div>駅から歩くとすぐ遊園地が見えた。</div><div>「ね、まずお弁当食べない？」</div><div>「うん。構わないよ」</div><div>「じゃあ、ピクニック広場に行こ。園内は持ち込み禁止みたいだし」</div><div>「うん」</div><div>ピクニック広場はたくさんの家族連れがレジャーシートを敷いて弁当を食べていた。懐達は三人掛けのベンチに腰掛けた。</div><div>「はい」</div><div>晴璢は特大の弁当を懐に差し出した。</div><div>「中学の時から食いしん坊だったからこの位の方がいいかなって……」</div><div>晴璢は恥ずかしそうだった。懐は胃下垂で昔から痩せの大食いだった。その事をわざわざ覚えて弁当を特大サイズにしてくれたことは懐にとってこの上なく嬉しかった。弁当の中身も、唐揚げ、玉子焼き、プチトマト、ウィンナー、アスパラや人参を豚肉で巻いたよくわからないやつ、どれも懐の好物だ。</div><div>懐達は弁当を食べ終わると早速園内に向かった。晴璢は少し早足で何度も懐の方を見て急かした。</div><div>ゲートをくぐる途中、懐は異様な男とすれ違い目があった。</div><div>髪を青く染め、黄色のメッシュが入っている。大きく胸の空いた長袖Tシャツにボンテージパンツ、そして裾の長いパーカーベストを着ている。首には稲妻の刺青、顔はピアスだらけ。だが一番驚くべきはその異様すぎる見た目にかかわらず影が驚くほど薄い。周りの人間は彼に目もくれず遠過ぎて行く。そして、懐をじっと見ている。</div><div>懐はそのパンク男の事は忘れて、晴璢との遊園地を楽しんだ。</div><div>観覧車の高さに怖がり、ジェットコースターで絶叫し、コーヒーカップで目を回し、ソフトクリームを食べ、ベンチで一休みすることにした。</div><div>そのときだった。</div><div>『緊急警報、緊急警報、ウィザード級セカンドのサイコパシー及びエネルギー反応を確認、付近の方は直ちに避難してください』</div><div>晴璢は懐の袖を引っ張った。</div><div>「なんなんだろう、これ」</div><div>すると奥のジェットコースターが爆発した。ジェットコースターの後には次から次へと建物やアトラクションが爆破されていく。怪我をした人が重い身体を引きずって泣き喚いていた。中には力尽き倒れる人もいた。</div><div>逃げ惑う人の奥にゲートで見たパンク男がいた。</div><div>パンク男はまた懐と目が合い、こちらに手をかざした。すると電流を発し電気の球を形成した。そしてその球を放った。</div><div>ー ナツキ、伏せろ‼︎</div><div>今まで静かにしていたシードが大声を出した。すると晴璢が前に飛び出し手を突き出した。</div><div>「ごめん、ナツキくん」</div><div>晴璢の手から光のドームが形成され電気の球を食い止めた。</div><div>ドームと球が触れるときに左手が弾かれた。晴璢の手のひらを見ると焼け爛れていた。</div><div>懐は晴璢の肩を抱えて横に倒れ込んだ。電気の球は懐達の後ろに飛んで行き植木を吹き飛ばした。</div><div>「シード、お前騎士なんだろ。盾とか剣とか無いのか？」</div><div>ー あるぜ。盾はないけど剣と鎧がある。</div><div>「あいつは多分固定砲型の長距離攻撃タイプだ。BRAI:VEと同じように動けるなら俺の敵じゃない」</div><div>ーナツキ、何のために戦うんだ？</div><div>「決まってんだろ。俺や晴璢、他のみんなが傷つかないためだ。今日のアニメ見ないと死に切れないよ」</div><div>ー 気に入った。行くぜナツキ‼︎</div><div>【SEAD:SET UP】</div><div>手の甲に翼のマークが現れ、青い鎧が装着されていた。鎧と言うよりはアイアンマンやロボコップのような高性能アーマースーツのようだった。</div><div>懐が手を伸ばすと腰のあたりに懐中電灯くらいの長さの棒が現れた。</div><div>それを握ると光とともに青いクリスタルの刀身が現れた。</div><div>ークリスタルセイバー‼︎切れ味バツグン‼︎‼︎</div><div>「上等‼︎」</div><div>懐はブースターで一気にパンク男まで跳躍した。そして上から斬りかかる。案の定、パンク男は撃ってきた。しかし、一瞬身を翻し素早く避ける。大勢を立て直し剣を振り下ろした。だが避けられる。</div><div>方向を変えて地面を思い切り蹴った。手に電流を纏ったパンク男が懐に拳を放つと、懐はゴムボールのように跳ね飛んだ。</div><div>起きあがろうとするとパンク男が奇声を発し、何発も拳を叩きつけた。</div><div>殴られるところが徐々に痛みを帯びて行く。シードの防御力が弱くなっている。</div><div>「このクソメタル野郎‼︎くたばれ‼︎マジで‼︎決定事項だかんな‼︎」</div><div>パンク男の両腕がビームサーベルのように光る。</div><div>懐はパンク男のみぞおちに拳を一発見舞った。</div><div>『くたばんのはお前だ‼︎』</div><div>シードと声を揃えて言った。</div><div>クリスタルセイバーをもう一度構える。</div><div>「俺も何か獲物がいんなぁ。こりゃ」</div><div>するとパンク男は光の剣を作り出した。</div><div>二人は一斉にぶつかり合い剣戟を繰り広げた。スピードはシードの方が上手だが、明らかに力負けしている。</div><div>ー ナツキ、あの野郎をぶっ飛ばすクールな作戦ななんか無いのか？</div><div>「今考えてる」</div><div>「一人で会話してんじゃねぇ」</div><div>パンク男は大きく剣を降った。懐はバックステップで飛び退き姿勢を低くした。</div><div>「スピード勝負に持ち込むぞ、シード‼︎」</div><div>ーあぁ‼︎</div><div>足のデバイスが光ブースターが起動した。</div><div>「着いてこい‼︎このパンク野郎‼︎」</div><div>ナツキは精一杯の暴言を吐いた。</div><div>「このボルト様を舐めんなよ‼︎」</div><div>二人は平行になって剣を交えながら走った。二人の走った跡には二本の線が引かれていた。</div><div>そして懐は走っている中、ボルトと自分の距離がいつも同じことに気が付いた。ボルトは緻密に距離を保っている。そう、この距離はクリスタルセイバーの間合いの外でボルトの光の剣の間合いギリギリなのだ。</div><div>懐は身体を少し傾けてボルトの剣にクリスタルセイバーの刀身を押し付けボルトに向かって、サイドステップで飛んだ。そうすると光の剣に沿ってクリスタルセイバーが滑り定規で線を引くようにボルト目掛けてまっすぐに体当たりした。</div><div>ボルトは弾き飛ばされ、二、三度転がった。起き上がるとクリスタルセイバーの刃先がボルトののどに向いていた。</div><div>「降参しろ」</div><div>懐がそういうとボルトは嗤った。</div><div>「ダメだろう、メタルちゃん。最後まで油断しちゃあさ」</div><div>次のフルパワーの電気の球で懐は吹き飛ばされ、噴水に激突した。</div><div>シードの装着が解けて、冷たい水が全身を包んで行く。少しずつ視界が暗転していきやがて暗闇に落ちた。そこから懐の記憶は無い。</div><div>目が覚めると懐はベッドの上にいた。周りは病院のように白基調の清潔感のある何もない部屋だった。</div><div>目をこすりながら起きると、ベッドの横の椅子に晴璢が座っていた。</div><div>「おはよう」</div><div>「おはよう。もう大丈夫なの？」</div><div>晴璢は懐の手を握った。</div><div>今、気づくと病院のベッドより大きい。懐は晴璢の動きが止まった事に気付き晴璢を揺すると一瞬床に倒れそうになったが、ふと起きた。</div><div>「大丈夫？」</div><div>「う、うん大丈夫………」</div><div>また眠りそうになった。</div><div>「ごめんなさい。あんまり寝て無いの」</div><div>晴璢は目を擦りながら言った。</div><div>「休むべきだ」</div><div>懐が優しく言った。</div><div>「じゃあ、お言葉に甘えて……」</div><div>晴璢は靴を脱ぎ懐のベッドに上がった。</div><div>懐はドキドキした。寝ぼけていたとしても好意の無い異性のベッドになんか潜り込まない。これはチャンスかもしれない。どさくさに紛れて抱きしめてしまおうか。懐はそう思って晴璢を覗き込み肩を抱こうとした。すると部屋のドアが開かれた。懐は慌てて布団に潜り混んだ。我ながら恥ずかしい。</div><div>「おはよう。シードくん」</div><div>そこには一度見たら目に焼きつきそうな美人女子校生がいた。</div><div>「私は芽衣子。今日から私達があなたとシードを管理するわ。よろしくね」</div><div><br></div><div><br></div><div><br></div><div><br></div><div>ー後半に続くつもり</div><div><br></div>
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<link>https://ameblo.jp/chiyuki223/entry-12049714152.html</link>
<pubDate>Sun, 12 Jul 2015 21:49:47 +0900</pubDate>
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<title>九章「Blood flows like rain/side-Abraham」</title>
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<![CDATA[ <div><br></div><div><br></div><div><br></div><div><br></div><div><br></div><div><br></div><div>九章「Blood fiows like rain/side-Abraham」<br></div><div><br></div><div><br></div><div><br></div><div>エイブラハム・ヴァン=ヘルシングは教会に来ていた。いつもはレイピアと銃で武装しているが、今は持っていない。彼は熱心なクリスチャンで教会にそういったものを持ち込みたくないのだ。そして彼は休日は一種の人体強化魔法で矯正した目を休めるため眼鏡をかけている。</div><div>彼は礼拝が終わった後も教会に残り聖書を読んでいた。</div><div>「いつもうちみたいな小さな教会をありがとうございます」</div><div>いきなり話しかけてきたのは、この教会の神父フォード神父だ。</div><div>「いえ、こちらこそお世話になってます」</div><div>「何故、お暇な時はうちに？もっと大きな教会はありますでしょう？」</div><div>「昔通っていた教会に似てるんです」</div><div>「そうですか。お産まれはどちらで？」</div><div>神父は嬉しそうに聞いた。</div><div>「ケンブリッジだそうです。まぁ、僕自身は幼い頃はオランダで過ごしましたから」</div><div>「それはいい。オランダはたいそう美しい国だと聞いておりますから」</div><div>ヴァン=ヘルシングがまた長話が始まりそうだと思った時一人の女性が現れた。その女性はヴァン=ヘルシングの心の奥に焼き付いている女性に似ていた。</div><div>ー ミナ</div><div>漏れそうになる言葉を飲み込み。平静を保った。</div><div>「どうかなさいましたか、先生？」</div><div>神父の言葉にはっとすると自分がしたを向いていたことに気づいた。</div><div>「いや、何も。ついぼーっとしてしまって」</div><div>ヴァン=ヘルシングは慌てて言い返した。その様子は何処かおかしい。すると神父は女性に前に出るように指示した。</div><div>「紹介します先生、こちらは教会の手伝いをしてくださっているエイミー・ドーソンさんです。年も二十三で彼女のためにもそろそろ結婚の話など…」</div><div>「はじめまして。エイブラハム・ヴァン=ヘルシングです」</div><div>気がつけば神父の話を遮っていた。</div><div>ヴァン=ヘルシングは後になってそのことを恥じた。</div><div>「どうやら私はお邪魔みたいですな」</div><div>神父はエイミーを置いて立ち去った。エイミーも少し照れ臭そうにしている。</div><div>「勝手な神父さんですよね。先生に迷惑かけて……」</div><div>エイミーは少し詰まりながら申し訳なさそうに言った。</div><div>「僕は構いませんよ。同じくらいの年齢の人と話す機会が滅多に無いものですから」</div><div>ヴァン=ヘルシングは外の雨の音に負けないように少し大きな声で喋った。</div><div>「じゃあ、先生の話してください」</div><div>エイミーはうつむき加減に言った。</div><div>「わかりました。ではどの分野から話しましょう？宗教学？悪魔学？それとも僕が講師をしているオカルト学？」</div><div>「いいえ、そんなんじゃなくて先生自身について話して下さい。例えば恋人についてとか」</div><div>「初めてですよ。講義を断られたのは。構いませんよ。じゃあこんな雨の日ですし、僕が騎士になるきっかけを作った人の話をしましょうかね」</div><div>ヴァン=ヘルシングは寂しそうな顔になった。</div><div>十年前、ミナに出会ったのは図書館だった。十六歳のエイブラハムが本を探していると女の子にぶつかった。</div><div>エイブラハムは案の定こけてしまい、眼鏡を落としてしまった。彼が四つん這いになって眼鏡を探しているとかたを叩かれた。</div><div>「はい」</div><div>女の子のシルエットが彼に眼鏡を手渡した。</div><div>「ありがとう」</div><div>エイブラハムが眼鏡を受け取り掛けた。エイブラハムはその女の子に見とれた。そばかすのその女の子は彼に笑いかけていた。恋に落ちるのにその他の理由などいらなかった。</div><div>「行くぞミナ。もう時間だ」</div><div>騎士団員の服を着崩し、臙脂色の鞘と金色の柄の長剣を担いだ少年が睨むような目つきでこちらを見ながら言った。そしてその少年は綺麗な金髪を揺らしながら歩き出した。</div><div>「待って、ルーク」</div><div>ミナも歩き出した。そのときエイブラハムは異常な寂しさを感じた。</div><div>エイブラハムはその日中、ミナのことで頭がいっぱいだった。食事も進まないし、大好きな読書をする気にもならない。</div><div>エイブラハムは胸を締め付けられるようだった。</div><div>そして、彼は夜な夜な思春期の男の子らしくいやらしいことをした。一人彼女のことを考えながら友達がおらず勉強するか本を読むかしかせず周りから優等生と認められている彼にはなにかとフラストレーションが多いのだ。エイブラハムの両親は決して勉強を強制しない。自主性に委ねるとしているのだがそれが彼には重いプレッシャーなのだ。その夜エイブラハムはよこしまな感情を胸に秘めベッドで眠った。もう少し遊びたい。彼はそう思った。</div><div>翌日、彼が学校に行くと彼はたくさんの人に迎えられた。優等生の彼は学校では皆から期待されている。その期待も彼には重いのだ。</div><div>「あなた、エイブラハムっていうのね」</div><div>昨日の少女だった。エイブラハムは驚いた。また会えるなんて何かの縁だ。</div><div>「前から秀才エイブラハム・ヴァン=ヘルシングについては聞いていたけどまさかあなただったのね」</div><div>「いや、秀才なんてそんなんじゃなくて……勉強しかすることが無いだけなんだ」</div><div>エイブラハムは自分が何を言ったか覚えてないくらい昂ぶっていた。</div><div>「それでもすごいわ。人から認められているのだもの」</div><div>「ありがとう。僕もそう思えるようにするよ」</div><div>そのとき、チャイムが鳴った。</div><div>「放課後、お話ししましょ」</div><div>ミナは去って行った。エイブラハムは彼女の走っていく後ろ姿をただ見つめていた。</div><div>いつか、ミナと一緒に居られる未来が来ればいい。エイブラハムは強く思った。</div><div>放課後、エイブラハムは教室の前でミナを待っているとミナが現れた。その横には昨日の少年もいる。彼はこちらに目を合わせようとしない。その様子を見て、ミナは少年の頬をつねった。</div><div>「こら、ルーク。ちゃんと自己紹介しなさい」</div><div>ルークはうっとおしそうにミナの手を振りほどいてそっぽを向いた。</div><div>「ごめんね。ルークはシャイなの。ルーク・ウィリアム・エンジェル・マクレガーって言うの。仲良くしてあげて。</div><div>エイブラハムがルークの手を掴み握手しようとしたときにルークは大きな声で言った。</div><div>「触るな‼︎‼︎‼︎」</div><div>ミナはルークの腕を掴んだ。</div><div>「なんでそんなこと言うの⁉︎エイブラハムに失礼じゃない!!」</div><div>「あの指輪。あれは俺には毒だ」</div><div>ルークはエイブラハムが身につけている魔除けの指輪を指差した。そしてエイブラハムに歩み寄った。そして、睨みつけた。そしてルークはポケットに手を入れたままそう言って立ち去った。</div><div>ミナはルークに着いて行った。エイブラハムは少しさみしくなった。</div><div>翌日、エイブラハムは指輪を上着のポケットに入れて学校に向かった。</div><div>「おはよう、エイブラハム」</div><div>ミナの声だ。すると額が少し腫れたルークが後ろから現れた。こぶが出来ているようだ。</div><div>「昨日は悪かった」</div><div>聞こえないような小さな声と早口で言った。</div><div>「そのこぶはどうしたの？」</div><div>「聞くんじゃねぇ」</div><div>ルークはミナを睨みつけて言った。ミナにやられたのであろう。</div><div>「尻に敷かれてるね」</div><div>「馬鹿言え、手出し出来ないんだよ」</div><div>「なんで？」</div><div>「騎士だからだよ」</div><div>ルークはエイブラハムの脇腹を肘で突いた。</div><div>三人は学校に向かって歩いた。</div><div>「ねぇ、ルークはなんでいつもミナと一緒にいるの？」</div><div>エイブラハムは別にルークに嫉妬した訳ではない。だが、いつも騎士が護衛についているのは不自然だ。</div><div>「こいつの親父が悪魔の瘴気にやられて倒れてる間こいつの警護だよ」</div><div>ミナの父親は悪魔学の講師で生きた悪魔を研究中に悪魔の放つ瘴気が体に触り倒れてしまったのだ。</div><div>ルークはポケットからキャンディバーを取り出して包み紙を剥がすとそれをエイブラハムの胸ポケットに入れた。</div><div>「まぁそんな感じだな」</div><div>ルークはにぃっと口元をゆがませた。</div><div>「ねぇ、エイブラハムのパパは何をやってるの？」</div><div>「医者だよ」</div><div>「すごーい‼︎私が風邪引いたらエイブラハムのパパにお願いするね」</div><div>ルークは二人が話をしている時は上を向いたり下を向いたりして二人の方を見なかった。何故だか見れなかった。</div><div>学校に着くと人だかりができていた。楽しげなものではなく何かものものしい雰囲気だった。</div><div>ルークが人だかりを割いて中に進むとそこには喉元を食い千切られ、内臓を食い荒らされた遺体が転がっていた。</div><div>するとまた人だかりから人が出て来た。女性はその遺体の名前を泣きながら何度も叫んでいた。</div><div>「誰がルーシーをこんなんにしたの‼︎出て来い‼︎私が八つ裂きにしてやる‼︎」</div><div>彼女を尻目にルークは遺体の持ち物を物色し身元を突き止めた。</div><div>この学校の三年生、ルーシー・リーだ。そしてルークは殺害方法についても幾つかメモを書いた。</div><div>首元には犬のような歯型があり、内臓はすっかりなくなっている。悪魔はこんな殺し方はしない。</div><div>「ミナ‼︎あんたが殺したんでしょ‼︎あんた体育の成績は毎回トップだったのに今回のトップはルーシーだったからそれをねたんで‼︎」</div><div>「それは無い。ミナは俺が監視してるし、この歯型を見ろ。こいつの口はこんな形じゃない」</div><div>ルークは結界魔法を張りルーシーを保管した。</div><div>「明日には、騎士団員がこっちに来るだろう」</div><div>ルークは結界を真っ黒にして見えないようにした。</div><div>エイブラハムの方は木陰で吐いていた。嗚咽しむせび泣いた。</div><div>するとエイブラハムは背中に優しい感覚を感じた。</div><div>「お友達だったの？つらいよね。お友達が亡くなったんだもの」</div><div>「知らない子だった。だけど……僕らは防ぐ方法はなかったのかな」</div><div>ミナがエイブラハムの手を握りしめて何かを言おうとした時、ルークが遮った。</div><div>「傲慢だな。何も出来ないくせにめそめそしやがって」</div><div>「僕の勝手だろ‼︎」</div><div>「あぁ、お前は勝手だ」</div><div>「わかった。何かすればいいんだな。僕が犯人を捕まえてやる」</div><div>エイブラハムはルークを睨みつけた。</div><div>学校が終わるとエイブラハムは家の倉庫に忍び込んだ。父が衛生兵として従軍していたときの所持物である長めのナイフとリボルバー拳銃を鞄に押し込み、冬用の厚手のジャケットを羽織った。このジャケットの生地は厚く硬い。安全装備である。</div><div>エイブラハムが裏口から出るとルークがいた。</div><div>「よぉ、俺も混ぜてくれよ。退屈してたんだ」</div><div>「構わないけど、僕の足を引っ張らないでくれよ」</div><div>「心がけるよ」</div><div>ルークは剣を担ぎ直した。</div><div>エイブラハムとルークは歩き出した。すると二人は頭を何者かに小突かれた。</div><div>「もう‼︎私を置いて行くなんていい根性じゃない‼︎」</div><div>ミナが腕組みしながら言った。</div><div>「お前は来るな。危ないだろ」ルークがため息混じりに言うと奥から背の高い女性が現れた。</div><div>「それに関しては問題ない。私が着いてる」</div><div>シャツの胸を大きく開けてその上から騎士団マントを羽織った背の高い女性が言った。</div><div>「ローラ‼︎」</div><div>ルークが驚き声を上げた。</div><div>「誰だい？」</div><div>エイブラハムはルークに問う。</div><div>「俺の上司だよ。ローラ・リー」</div><div>ローラは軽く会釈した。彼女こそ英国最強の名高いイギリス国教会騎士団第十四番隊、別名【影の騎士団(シャドウ・ナイツ)】の隊長ローラ・オーギュスト・ダニエル・リーである。彼女の部隊はルークと彼女を含め、五人の騎士で構成されており従来の部隊とは違い独立構成、階級なしの実力主義の部隊である。よって曲者揃いの影の部隊となっている。</div><div>「お嬢様、私が命に変えあなたをお守り致します」</div><div>「心強いわ。ナイト様」</div><div>ローラがミナに後ろから抱きついて言うとミナは嬉しそうに会釈した。</div><div>「ちっ、ケチがついちまった。俺は帰る」</div><div>軽く舌打ちをしてルークは腕組みしながら帰路に向かって歩き出そうとした。するとローラは瞬間移動のようにルークの前に周りお姫様抱っこで持ち上げた。</div><div>「ゔぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎離せぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ‼︎‼︎」</div><div>ルークはもがいたが無駄な抵抗だった。これほど赤面しながら取り乱すルークはミナとエイブラハムには想像すら出来なかった。</div><div>ルークはやがて無駄な抵抗を辞め顔を手で覆っていた。</div><div>それからしばらく三人は歩いて、一人は抱えられていた。</div><div>学校の正門はいつもの楽しげな雰囲気とは違い夜になると酷くしょぼくれている。ここでルークはやっと下ろしてもらった。ルークはミナやエイブラハムの方を見ようとはしなかった。ルークとローラは剣を抜いた。ルークのは背丈ほどもある大きな長剣でローラのは見たこともないようなくねくねと刃が波打った形だ。前にエイブラハムは本で読んだことがあったがフランベルジュというらしい。</div><div>「臭うな、ルーク」</div><div>「あぁ、鼻が曲がりそうだ」</div><div>二人は手で信号を送りあったあとにフライパンを構えたミナとピストルを握りしめたエイブラハムに向き直った。</div><div>「もしも、私たちから離れたらそこを動かないで。探しに行くから」</div><div>ローラは二人に指輪を投げた。</div><div>「それを付けてて。どこにいるかわかるから」</div><div>ローラは再び学校の正門の方を向いた。</div><div>「前衛は私が引き受ける。後衛はルーク、エイブラハムとミナははぐれないように………………」</div><div>ローラがいたずらな目つきになりルーク、エイブラハム、ミナの三人をじろりと見た。</div><div>「手、繋いでなさい」</div><div>エイブラハムとミナは目を合わせ赤面した。この年頃で男女で手を繋ぐなんて照れ臭い。それにエイブラハムには好意があったからなおさらだ。</div><div>「ちょっと待てよ。なんでそうなるんだよ」</div><div>ルークがローラに食ってかかった。</div><div>「どうかしたのかしら？はぐれたら面倒でしょう？それともエイブラハムに妬いてるの？」</div><div>「妬いてなんかねぇ‼︎ただ二人が手繋いでたら動きにくいだろ‼︎」</div><div>「それに関しては問題ないわ。私とあなたで二人を守るんだから」</div><div>ルークは顔をしかめて目つきを鋭くし、拗ねたように肩を落とした。そしてエイブラハムの足を踏みにじり、ミナの後ろに立った。</div><div>「早く終わらせて、早く帰ろうぜ」</div><div>明らかに機嫌が悪い。</div><div>「もぉ、子供なんだから」</div><div>ローラは聞こえないように言うと三人は学校の中に入っていった。</div><div>四人が中に入ると校舎内は月明かりに満ちていて不気味に薄明るかった。ルークは咥えていたキャンディバーの棒を吐き捨てた。</div><div>「エイブラハムよぉ…」</div><div>ルークはエイブラハムに駆け寄り小さい声で話しかけた。</div><div>「なんだい？」</div><div>「仮にお前が手だけになったとしてもミナの手………離すなよ」</div><div>さっき足を踏みにじった時とは真逆の態度だ。</div><div>「ミナに何かあったら俺の責任なんだよ‼︎」</div><div>照れ隠しのような態度だ。</div><div>エイブラハムは深く頷いた。そしてルークの心臓の辺りに拳をそっと当てた。</div><div>「背中は君に任せるよ。ミナの何かあったら僕が許さないから」エイブラハムがルークにそういうと偉そうなことを言うなとばかりに中指を立てた。ルークなりの返事なのだろう。エイブラハムはそう思った。</div><div>するとローラが立ち止まった。</div><div>「こんな時間にどうかなさいましたか？」</div><div>暗闇で顔がよく見えなかったがウィルソン先生の声だ。</div><div>エイブラハムがランプで声の方を照らすと暗闇に銀色の目を光らせ、口の周りを血で濡らしたウィルソン先生が不敵に笑っていた。</div><div>「下がれ‼︎‼︎」</div><div>ミナに目掛けて飛びかかったウィルソンの前にルークが立ちはだかった。エイブラハムとミナは恐怖で腰を抜かした。</div><div>ウィルソンはルークの首筋に噛り付いた。ウィルソンの顔は狼そのものだった。</div><div>「じ、人狼………」</div><div>エイブラハムが呟いた。</div><div>「ローラ、ミナとエイブラハムを頼む」</div><div>ルークはそう言うと腕から炎が上がり、その拳で人狼を殴りつけた。</div><div>人狼は薄い壁を突き抜けて教室のの窓辺まで吹き飛んだ。ルークはすかさず人狼に炎の拳のラッシュを浴びせた。</div><div>エイブラハムがルークの様子を目を凝らして見ると彼は笑っていた。残酷な笑みを浮かべながら何度も殴りつけた。</div><div>「悪魔………」</div><div>彼の口から零れた言葉はこれ以上にないほど今のルークを形容した。</div><div>「前からルークは悪魔との混血だって聞いていたけど本当に悪魔なんだ………」</div><div>ミナがそう言った後にローラが口を開いた。</div><div>「それだけじゃない。あいつは炎の魔王、ロキの血族だ。悪魔の中でも最強クラスだ」</div><div>人狼はルークの攻撃の隙をつきルークを弾き飛ばした。壁にぶつかるとそこに人狼が餌を貪るようにかぶりつこうとした時人狼の背中から火柱が吹き出した。後ずさりする人狼に向かって剣を滅多刺しにした。</div><div>すると、ウィルソンに戻った人狼は血を吐きながら窓から逃げていった。</div><div>人狼事件から数日後、エイブラハムとミナにとってのルークとの一時的な別れが訪れたのだ。その日は雨と雷で散々な一日だった。学校から帰りルークと濡れた体を引きずって暖炉で暖まろうと暖炉のある部屋に向かうと、中には騎士団マントの男達が顔にアザをつくり力なく地面に膝を突いて捕らえられていた。</div><div>「ルーク・ウィリアム・エンジェル・マクレガー、センドリック・ウィルソン殺害の容疑で逮捕状が出ている」</div><div><br></div>
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<link>https://ameblo.jp/chiyuki223/entry-12046271414.html</link>
<pubDate>Fri, 03 Jul 2015 22:42:49 +0900</pubDate>
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