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<title>COINCIDENCE</title>
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<description>ＣＯＩＮＣＩＤＥＮＣＥとは、ノブハルが2002年に立ち上げた「偶然の一致」がテーマのLife Style Brand</description>
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<title>第３話　海へ　 【4】</title>
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<![CDATA[ 「ヒト」や「モノ」や「コト」との出逢い、自然界の中にある一つの摂理である偶然には両極がある。<br><br>幸福な偶然、不幸な偶然。<br>それはまるで、生きること死ぬこと、光と影、陰と陽の様に相対するものであり、<br>調和で成り立っているのではないか。<br><br>しかし偶然は無意識の中に起こる錯覚だと自分は感じている。<br>つまり全ては必然であり、偶然とは潜在意識が創造する必然性の中にある偶発的な出来事ではないのか？<br><br>そう考えると、あの時あの場所で死んでしまった人々は偶然ではなく、<br>必然性の中で巻きこまれてしまったのではないか？<br><br>しかし全てが必然だと思ってしまうと、生きていく価値が無くなる気がする。<br><br>まるで、廃棄時期が決まっていながらも働くロボットの様に、仕組まれた運命の中を生きるだけの人生は送りたくない。<br>人生というローソクが、時と共に燃え尽きることなく途中で炎が消えてしまうとか、<br>外的要素が働いて途中で折られてしまうとか、<br>それが運命として必然性の元を歩んでいようとも、知りたくはない。<br>もし知ったとしても、今を生きることしか自分には出来ないだろう。<br><br>全ては必然性の中で成り立っていたとしても、精神の自由は失いたくない。<br><br>もしかしたら、偶然を信じ、偶然を想い、偶然を感じることで、<br>出逢いの大切さや生きていくうえでの大切な縁を感じられるのではないだろうか？<br><br>偶然の縁を感じる出逢いや出来事を見逃さないように、偶然のアンテナを持っている事によって、<br>たとえその偶然に陰と陽があろうとも、偶然を通じて自分は自然に還れるのではないだろうか？<br>それは相対する者を想うことに繋がるのではないだろうか？<br>それは一つの愛というものなのか・・・？<br><br><br>正直、平和への答えは分からないが、偶然を想う事で調和を知り、そこには心の平和が存在する。<br>そんな気がしたのであった。<br><br><br>思い出せば何かの切欠けがある度に、シンジは偶然の事を考えていた。<br><br>古い記憶では、生まれ育った緑町3丁目の団地で遊んでいる頃だった。<br>その時は幼馴染の直義と何か別の目的があって、遊びの最中で団地の屋上によじ登ったのだが、<br>偶然が重なり二人で素晴らし夕焼けを眺め、生まれて初めて夕日で心が揺れた感覚を覚えている。<br>直義と並んで夕日に包まれて棒立ちとなり、<br>言葉を失うなか、今この光景を眺めている偶然に感謝した。<br>少年達は心を揺らす夕日との偶然の出逢いに感謝したのであった。<br><br><br>打ち寄せる波がまた一つ、時を近づけた。<br><br><br>偶然には陰と陽が存在する。しかしそれこそが調和であり万物の本質ではないだろうか？<br>生きること死んでいくこと。光と闇。万物は両極のバランスで成り立っている。<br>人生を彩る素晴らしい出逢いの偶然、人生に試練を与える様な偶然の出来事、<br>それは自然の摂理であり、偶然は必然性の中にある潜在的な無意識が重なって起こした創造物として、偶然を信じ、偶然を想い、偶然を感じることで、心に平和を与えてくれるのではないだろうか？<br><br><br>そのどこまでも続く疑問符たちが、シンジの人生を少しずつ加速させるのであった。<br><br><br><br>四角い空と丸い海<br>coincidence<br>
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<link>https://ameblo.jp/coincidence-style/entry-10751731947.html</link>
<pubDate>Wed, 29 Dec 2010 18:58:25 +0900</pubDate>
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<title>第３話　海へ　 【３】</title>
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<![CDATA[ 海を眺めていると波の数だけ記憶が巡るようであった。<br><br>様々な過去が走馬灯のように駆け巡り、やがて昨夜に起こった９１１事件へと辿り着いた。<br><br>神様に届くような煙と巻き上がる埃、コンクリートの残骸と人々の黒い涙。<br>ニューヨークやアメリカだけでない、世界中の深い悲しみの事を考えていた。<br><br>原因は様々な憶測が飛び交うが、映像には映らない根の深い大きな力が作用していて、<br>判っていることは結果であり、それはあの時あの場にいた事が運命となってしまった人々の死が語っている。<br><br>その根の深い大きな力と言うのは、宗教であり、政治であり、経済であり、相対する人々の欲や憎悪、怒りや貧困などを利用しようとする教えが求心力をもって膨らみ作用したのだろう。<br><br>宗教的な対立でも、政治的な意図や、経済的な働きだとしても、罪のない人々の運命にピリオドを打ったのは事実であり、輪廻のごとく続く人類の性と解釈すれば、それが本質なのだろうか？<br><br>憶測を超えた多くの痛みや悲しみや憎しみ、そして怒り。<br>そして、この先にいつまでも連鎖するであろう、死の現実が人（ひと）を他人（ひと）に変えてしまう復讐という怒りに満ちた戦争という未来を想像させた。<br><br>繰り返す歴史の儚さと、人類がどんなに革新を重ねても変わらぬ本質的な感情。<br>そこには秩序など存在しないのか、むしろこれが秩序というものなのか判らなかった。<br>ただ、宗教と政治と経済が入り混じった世界に対し、混沌を感じた。<br><br><br>平和とは一体何なのだろうか？<br>戦争の無い世界が平和なのだろうか？<br>何故、世界中にこれだけの神様がいるのに平和にならないのか？<br>其々の神様がいるから平和にならないのか？隣人を愛せず、隣人の教えを認めないからなのか？<br><br><br>シンジは、どこの神様でもいいから答えを教えて欲しいと仰ぐように空を見上げた。<br>どこかの宗教信者でも平和主義者のつもりもない、ただ生きるという本質が知りたいだけだった。<br><br>あまりにも虚無感に覆われる物質と物質の衝突。そのビルや飛行機の中に懸けがいの無い命がある事すら、あの映像からは想像が付かなかった。<br>しかし時間が経てば込み上げてくる恐怖があった。それは、自分や家族、仲間達や恋人にも降りかかる運命だと感じた時だった。<br>決して戦場にいるわけでもない、交通事故に巻き込まれた訳ではない、同じような日常の中で突如として、意図して練られた計画に巻き込まれてしまった人々の非日常は儚く思えた。<br><br>あの時、あの場所で最期を迎えてしまった人々の運命は必然だったのか？<br>それとも、偶然あの時あの場所にいたから巻き込まれてしまったのか？<br><br><br>果たして偶然とは何だろうか？<br><br><br><br>四角い空と丸い海<br>coincidence<br><br>
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<link>https://ameblo.jp/coincidence-style/entry-10751725815.html</link>
<pubDate>Wed, 29 Dec 2010 18:48:36 +0900</pubDate>
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<title>第３話　海へ　 【２】</title>
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<![CDATA[ シンジは波打ち際まで歩き、上空を見上げサングラスを外して太陽を身体に巡らせた。<br><br>深呼吸をしながら身体に溜まっていた全てを吐き出すように<br>「あぁー海よーお前は最高だー！」と大声で海に叫んでいる。<br><br>良太と健吾は並んで歩きながら、シンジを横目に追い越していく。<br><br>「やっぱりいいなぁ海って。」と良太が左方に広がる波の具合を眺めながら語りかける。<br>隣を歩いていた健吾も同じ方向を眺めながら「あぁ、絶対に昼メシは刺身だなー」言葉を返した。<br>「さすがだよなぁ、健吾は。海に着いていきなり昼メシだからね。やっぱお前って観点が違うな」と良太はニヤケ顔で茶化している。<br>少しムキになった健吾が「バーカ。腹が減ってんだよ俺は。至って普通だよ。俺たち飛ばしてきたから朝メシ食ってないだろ？しかも昨夜から呑んで、殆ど寝てないのにお前らのテンションが異常なんだよ」<br><br>その二人の後方でシンジは「おぉー海よー！俺を抱いてくれー！」と、まだ大声で海に向かって叫んでいる。振り返った二人は目を合わせて「奴は相変わらずだよな。あいつ何か溜まってんな。」と呆れた眼差しを向けている。<br><br><br>いつしか三人は適当に離れ、個々の時間を過ごした<br>彼らが歩いた砂浜には、それぞれの個性を表すような足跡が並んでいた。<br><br><br>良太はひたすらに波打ち際を歩き、写真を撮りながらケータイを片手にメールを打っている。<br>いづれかの女性に、海に来た写真をメッセージと一緒に送っているのだろう。<br><br>健吾はただひたすらに海に向かって石を投げている。<br>どうやら波に向かって水切りをやっているようだ。<br>相当な難易度の水切りに必死になっているのだが、腹が減っているという割には、無駄にエネルギーを使っている。<br><br><br>シンジはしばらく浜辺を歩き、遠くが見渡せる大きな岩に座っていた。<br>居酒屋の濡れたテーブルでしおれたKOOLの箱をポケットから取り出し、<br>ルパン３世の次元大介の煙草の様に潰れた煙草に100円ライターで大事そうに火を付ける。<br>ラストの一本だった。<br><br>そして水平線の近くをゆっくりと動く雲を眺めながら、雲が何の形に見えるか想像を膨らましていた。<br><br>やがて煙草を吸い終えた頃、今日が9月12日で自分の誕生日であることを思い出した。<br>昨夜から濃い時間を過ごしているせいか、時間の感覚がいつもと違う感じがした。<br><br><br>少しだけ曇りかかってきた太陽は一番高く上がり、波に穏やかな輝きを与えている。<br>目の前に広がる海を眺めながら、シンジは自問自答を繰り返していた。<br><br><br>coincidence
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<link>https://ameblo.jp/coincidence-style/entry-10748667373.html</link>
<pubDate>Sun, 26 Dec 2010 17:15:45 +0900</pubDate>
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<title>第３話　海へ　 【1】</title>
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<![CDATA[ 20歳の朝は少しのダルさから始まった。<br> <br>とはいえ誕生日の長くて短い夜を終えて、<br>寝床に就いてから3時間程度しか経っていなかった。<br>まるで夏休みの早朝ラジオ体操に起きる子供の様に、<br>溢れ出る活力を抑制できないままに目が覚めてしまった。<br> <br>いつもの様にシャワーを浴びながら、顔や全身を洗い、歯を磨いた。<br>帰宅した際にもシャワーは浴びていたのだが、<br>再度浴びるシャワーに身体が新しくなる様な感覚を覚えた。<br> <br>やがて部屋に戻りテレビを眺めていると、<br>そこでは何度も昨夜の映像を繰り返していた。<br> <br>そして、突然の衝動に駆られ不意にケータイを持ち数人の友人に一斉メールを送った。<br>「　昨夜はサンキュー！ってか今から海いきたい人いる・・・？」<br> <br>昨夜は朝方まで騒いでいただけに返事はないだろうと思っていたのだが、<br>数分後には2人から返事が返ってきた。<br>調子が良くお喋りなO型の良太と、天然でマイペースなAB型の健吾であった。<br>どちらも女性にはモテる方である。<br> <br>その後、シンジの家に集まり海に向かった。<br>既に時計は午前９時を指し、その先には太陽が青く澄んだ空に浮かんでいた。<br> <br>地元の所沢から海は遠く、高速道路でも数時間はかかる。<br>彼らは短い睡眠時間であったにも関わらず、<br>若いエネルギーとテンションで車内は盛り上がったまま、<br>シンジの愛車ステージアを走らせた。<br><br><br>やがて風景は灰色のビルから緑の木々に変わった。<br>太陽が一番高くなる前であった。<br> <br>窓を開けると、夏の残りを感じさせる風が、少しの磯の香りを車内に運んだ。<br>しばらくすると、左側には一面の海が現れた。<br>甲高いカモメ達の声とベース音の効いたサブライムの曲が混じり合うなか、<br>寝不足の男三人の歓声が上がったのであった。<br> <br>その後しばらく車を走らせ、適当な場所に車を駐車した。<br>3人は自然に自由な流れでそれぞれの時間を過ごしに砂浜を歩いた。<br><br><br>coincidence
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<link>https://ameblo.jp/coincidence-style/entry-10733883559.html</link>
<pubDate>Sat, 11 Dec 2010 20:19:16 +0900</pubDate>
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<title>第２話　団地の子 【2】</title>
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<![CDATA[ シンジは団地で生まれ育った。<br><br>そこは十世帯ほどの二階建て団地が並び、<br>町内一帯だけで、数百世帯の居住地域であった。<br><br>昔で言う長屋団地というのか事実は判らないが、<br>ＬＥＧＯブロックの様なイメージがシンジの記憶には残っている。<br><br><br>シンジの家の前には赤レンガ造りの遊歩道があり、<br>そこは近隣の人々の通行路として、<br>子供や学生、会社員、主婦、老人など様々な人たちが通る道であった。<br><br>横幅５メートル程の道の中心には、等間隔に大きなけやきの街路樹が埋めてあり、<br>その街路樹に挟まれた景色が見れる、二階の窓がシンジは好きだった。<br><br>大きく成長した街路樹は、家の屋根よりも高く、<br>夜になると、その下で輝く暖色の街灯は、夜の緑を深く暖かく照らしていた。<br><br>いつかの夜にはその二階の窓からシャボン玉を吹いて、<br>街灯に照らされるシャボン玉に想像力を働かせたりもした。<br>歳の離れた兄から煙草をもらい、初めての煙草もその二階の窓だった。<br>無論、煙草にむせ返って、窓に持たれ咳込んだ後ろ姿を兄に笑われたのを覚えている。<br><br><br>さながら団地には、「緑町」という町名通りに緑が豊かで、<br>各棟の間にも沢山の木々が埋められ、箱ブランコ、砂場やベンチもあった。<br>そこは子ども達の遊び場や、近隣のコミュニティの場所でもあったのだが、<br>なかでも「緑町3丁目の広場」は最高の遊び場であった。<br><br>団地の子ども達にとっては、団地一帯の全てが遊び場となるのだが、<br>その広場はシンジの家から２０ｍ程先にあり、<br>周辺を2階建ての団地と緑に囲まれ、２５ｍプール程の大きさであった。<br>木登りができる木々が並び、ベンチが設置され、白い砂が敷かれていた。<br><br>そこは団地の子ども達にとっての遊びのキャンパスであり、<br>想像次第で幾つもの遊びができた。<br>缶蹴りやケイドロ、サッカーや野球、その時々の流行や集まったメンバーによって、<br>数々の遊びが行われ、また新しい遊びが生まれていく場所であった。<br><br>勿論、広場は誰でも使用する事は出来るのだが、<br>団地の子ども達にとって広場を使う権利は大きな問題であった。<br>近所の先輩達と交じり合い、代々引き継いできたその場所は、<br>少年たちの上下関係の元に使われていた。<br><br>そんな「緑町3丁目の広場」には少年たちの小さな社会があった。<br>当然、喧嘩も怪我も良く起こった。<br>都会の公園とは違い、地域で見守るという団地の特徴もあり、<br>問題が起きれば、友人の親や知らない大人に説教されることも多かった。<br><br>団地の子ども達にとっては、広場を共有する為の協調性、遊びを創りだす創造性、<br>仲間を想う人間性など様々ことを養った場所である。<br><br>やがてシンジ達が14歳になった頃には緑町団地の建て壊しが始まり、駅前に引っ越すことになった。<br>生まれてから幼少期、少年期を過ごしたあの「緑町3丁目の広場」も跡形も無くなり、<br>今では古い写真と記憶の中でしか残っていない。<br><br><br>シンジは引っ越した先の新しい家で、初めての自分の部屋を持つことになる。<br>その空間には彼の中にあった自己が解放されたような独特な感覚があった。<br><br>いつしか壁は映画トレインスポッティングやシドビシャス、カートコバーン、<br>ボブマレーのポスターが貼られている。<br>それは原宿に行った時に買ったお気に入りのポスター達だった。<br><br>天井には蛍光塗料で塗られた星が貼ってあり、<br>夜になると満点の蛍光星が輝くのであった。<br>フォークギターの隣にはボロボロになった楽譜が積み重なり、<br>兄から貰ったCDや、買いためたCDが並ぶ。<br><br>いつしか彼の部屋は俗にいう溜まり場となり、<br>常に友人達が出入りしている空間となっていた。<br>時にはシンジが家にいなくても、<br>友人達が部屋にいる事もあった。<br><br>後に気が付けば、共に育ってきた友人達が、<br>シンジにとって一生の財産となっていた。<br><br><br>coincidence
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<link>https://ameblo.jp/coincidence-style/entry-10727723406.html</link>
<pubDate>Sun, 05 Dec 2010 15:26:50 +0900</pubDate>
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<title>第２話　団地の子 【１】</title>
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<![CDATA[ シンジは５人の家族環境で育った。<br><br>歳の離れた兄弟の二男であるシンジは、<br>長男と十歳の年齢差があり、姉とは八歳の差があった。<br><br>母は明るい性格でよく笑い、情が深く涙腺の弱い人だった。<br>父はＴＶアニメ業界を中心に活躍しており、<br>深夜に酔っ払って帰宅することが多かった。<br><br>シンジが生まれた年に会社を創業していた父は、<br>相当に仕事が忙しかったらしい。<br><br>その為、幼少期の頃のシンジは<br>父の事をあまり知らないままに育ったのであった。<br><br><br>家族はやがて、兄が一人暮らしを始め、<br>姉が結婚を期に嫁に行くことになる。<br><br>そして、両親はシンジが18歳の時に離婚をする事になる。<br>当時は既に社会に出ていたが、彼にとって両親の離婚は衝撃的であった。<br><br>現実を受け入れるまでとても時間がかかり、<br>家族を下から眺めていた末っ子にとって、<br>バラバラになる両親の姿は大きな試練となった。<br><br>振り返れば自己中心的なのかもしれないが、<br>その後、数年間は母親を許すことはなかった。<br><br><br>そして、実家に残ったシンジは、<br>人生で初めて「父との二人暮らし」が始まった。<br><br>その環境下で、父の過去の仕事の話や、<br>生きる指針を聞きながら、父を知ることになる。<br><br>その後、１年と数カ月後にシンジは実家を離れるのだが、<br>父との本質的な対話は、幼少期の記憶の隙間を埋めるだけではなく、<br>これからの未来に向かう糧となった。<br><br><br>coincidence
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<link>https://ameblo.jp/coincidence-style/entry-10721991523.html</link>
<pubDate>Mon, 29 Nov 2010 19:39:02 +0900</pubDate>
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<title>第１話　二十歳になった夜　【４】</title>
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<![CDATA[ その後、しばらく父との会話を交わした後、<br>シャワーを浴びる為に、バスルームに向かった。<br><br>疲れた様子で風呂場の椅子に座り込み、<br>高い方に設置したシャワーを頭上から浴びる。<br><br>酒と煙草の匂いが、泡と蒸気に入れ替わる。<br>自然と発する意味を持たない言葉には、身体が気持ち良い事を伝えていた。<br><br>そして、目下の排水溝に流れていく泡を見て、<br>少しだけ今までを振り返り、物思いに更けていった。<br><br>「あー俺、今日が二十歳の誕生日だっけ•••。」<br><br>仲間達との絆への想いと家族への感謝、<br>そしてこれからの自分への希望。<br><br>様々な想いが、排水溝に渦を巻いて呑みこまれる泡の様に、<br>ゆっくり流れては消え、時に集いながら流されていった。<br><br><br>そして、顔を上げて本能的な瞬きを繰り返しながら、<br>高くから降り注ぐシャワーを見ると、<br>脳裏のどこかで、先程の衝撃の映像が繰り返し流れてきた。<br><br>すると、シャワーから降り注ぐ雫の一つ一つが、<br>あの粉砕したビルの残骸と人の様に思えた。<br><br>そして、音を立てて降り注ぎ、排水溝へと消えて行った。<br><br><br>その後、風呂場から大きめのバスタオルを羽織り、<br>眩しい朝日を避ける様に自分の部屋に戻り、床につく。<br><br>布団の中でまぶたを閉じれば、さっきまでの仲間との時間を振り返る。<br>しかし、気が付けばあの映像が広がっている。<br><br>人々は何故あの場所で巻き込まれてしまったのだろうか？<br>それが運命というものなのか？<br><br>それは必然なのか？それとも偶然なのか？<br><br>シンジの中の何かが触れたように、疑問符達が波のように押し寄せてくる。<br><br>答えを求めても思考は八の字を描き、<br>海を越えて想像する世界は、やがて少しの眠りへと変わっていった。。<br><br><br>coincidence<br>
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<link>https://ameblo.jp/coincidence-style/entry-10719697927.html</link>
<pubDate>Sat, 27 Nov 2010 13:58:03 +0900</pubDate>
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<title>第１話　二十歳になった夜　【３】</title>
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<![CDATA[ <br>その後、シンジは秋の心地良い風を感じながら、朝日を避けるように帰路に就いた。<br><br>二十歳の誕生日という少しの浮遊感と、仲間との時間に感謝を覚え、<br>疲れた身体でもたれるように見慣れた家のドアを開ける。<br><br>玄関に履き散らした靴は、それぞれの方位を向き<br>その姿を見るだけで酔いの程度が見てとれた。<br><br>元カノに貰ったキーケースから飛び出た鍵をぶら下げたまま、<br>フラフラとリビングにたどり着く。<br>そこには、リビングに座りＴＶを眺める父の後ろ姿が見えた。<br><br>シンジは「ただいま～」と朝帰りの声量で、声をかけたが、<br>テレビから目をそらさない父の姿に、自分の言葉が届いていない事に直ぐに気が付いた。<br><br>そして、あまりにもテレビに集中している父に引き込まれる様に、ソファーの脇に立ち、<br>キーケースを持ったまま、腕を組みながらテレビを眺めた。<br><br>前のブラウン管の中には、映画としか思えない映像が繰り返し流れていた。<br><br>ビルに飛び込む飛行機。<br><br>崩壊するビル。<br><br>泣け叫ぶ人々。<br><br>何度も同じコメントを繰り返すキャスター。<br><br>そして、混沌とした空気感と狂乱の緊張感。<br><br><br>「何これ？映画•••？」<br><br><br>シンジは精一杯に状況を理解しようとしても、それ以上の言葉が出てこなかった。<br><br>父はテレビから目を離さないまま、<br><br><br>「戦争が始まるぞ・・。」と呟いた。<br> <br><br>シンジは背中に電気が流れた様な錯覚を覚えた。<br><br>酒で赤らめた眼は瞬きを忘れ、<br>口は呼吸をする為だけに、開いている。<br><br>時間は彼の中で止まり、テレビの向こうの世界に「死」を感じた。<br><br><br>coincidence<br>
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<link>https://ameblo.jp/coincidence-style/entry-10719276504.html</link>
<pubDate>Fri, 26 Nov 2010 23:43:10 +0900</pubDate>
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<title>第１話　二十歳になった夜　【２】</title>
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<![CDATA[ それぞれから聞こえてくる言葉の節々は、<br>「アメリカ？」「飛行機？」「ハイジャック？」「事故？」・・と、<br>普段聞き慣れない単語が疑問符と共に並んでいた。<br><br> <br>やがて、タカヒロがケータイを閉じた。<br><br>しばらく一点を見つめたまま顎を摩り、<br>濡れたテーブルのビールを口にするその姿にシンジが声をかける。<br><br>「どうした？大丈夫か？」<br><br>タカヒロはゆっくりとビールを置きながら、<br>少し眉をしかめながら、普段より小さめの声で言葉を交わす。<br><br>「アメリカで飛行機がハイジャックされたらしい・・。よくわからないけど、何機もだって・・。」<br><br><br>タカヒロの兄はアメリカに渡っていることはシンジは知っていた。<br>その為、兄を心配している事は直ぐに気が付いたのだが、全く話が見えてこなかった。<br><br><br>そして、状況の理解に苦しむ友人たちがタカヒロに集中砲火の様に質問を投げる。<br>「ハイジャック？」「アメリカのどこ？」「何機って？」「・・・意味わかんねぇ！」<br><br>しかし、そのタカヒロも情報の整理が付いてないらしく、何度も同じ返答を繰り返す。<br><br>その間に次々にケータイを閉じた友人たち同士が情報を交わし、<br>擦り合わせるように物事を整理している。<br><br><br><br>やがて、アメリカで飛行機事故が幾つも起こったという事が浮かび上がった。<br><br><br>そして、しばらくの間、少しの緊張の時間が続いた。<br><br>シンジ達は遠くのアメリカで何故その様な事が起こったのかを推測しながら、<br>ゆっくりと酒を交わした。<br>それは、先程までの空気を忘れてしまうほどの、黒い不安と重い時間でもあった。<br><br><br><br>その時、タカヒロの兄貴の安否の確認連絡が入る。<br><br><br><br>すると安堵の空気に包まれたテーブルは緊張から解放され、<br>直ぐに仕切り直して、酒宴が再開した。<br><br>突然のニュースを忘れようとしたのか、いつも以上に酒を飲み交わし、<br>皆で揃ってシンジが二十歳になる瞬間を祝ったのであった。<br><br><br>そして深夜になっても他愛もない会話を楽しみ、<br>カラオケで歌い踊り祝い、朝日が昇る頃に解散した。<br><br><br><br>coincidence
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<link>https://ameblo.jp/coincidence-style/entry-10715969938.html</link>
<pubDate>Tue, 23 Nov 2010 18:37:11 +0900</pubDate>
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<title>第１話　二十歳になった夜　【１】</title>
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<![CDATA[ ■９１１<br><br>2001年9月11日。アメリカで同時多発テロが起こった。<br><br>時同じく遠く離れた日本では、<br>シンジの二十歳の誕生日パーティーの最中であった・・・。<br><br><br>いつも通りの居酒屋の座敷で開催される誕生日会は、<br>若者たちのお祭り騒ぎの様で、狂気に似た若さが時を呑み込んでいた。<br><br>重ね合うバカ話しと共にシンジは仲間たちへの感謝を表し、<br>酒を飲み交わしながら二十歳になる瞬間を心待ちにしていた。<br> <br><br>シンジは埼玉の所沢で生まれ育つ。誕生日は幸も不幸も9月12日。<br>県立高校を卒業後、建設業界での一年修行の後に、都内に通うアルバイト生活となり、<br>世間ではフリーターと呼ばれる身分であった。<br><br><br> <br>そんな若さ溢れる酒宴が盛り上がる最中、友人のタカヒロの携帯電話が鳴り響く。<br><br><br>タカヒロは熱愛中の彼女からの電話だと周囲に知らせ、<br>テーブル上のビールジョッキを握ったまま、得意げに右手だけでケータイを開いた。<br>周囲は惚気に飽き飽きした態度を見せながら、その友人を茶化して笑っている。<br><br><br>しかし、直ぐにタカヒロの空気が変わる。<br><br><br>タカヒロは幾つかの会話を交わせば交わす程、<br>眉間にしわを寄せながら、間髪を入れずに質問を投げかけている。<br><br>握ったままのビールジョッキは汗をかき、右手はケータイを強く握っている様にみえた。<br>言葉を漏らさないようにケータイに耳を寄せる姿を見て、<br>周囲は喧嘩でも始まったのかと、加えて茶化しながら野次っては腹を抱えて笑っている。<br><br><br>しかし、タカヒロは完全に無視をしながら会話を続けている。<br>その形相をみて一瞬、周囲に深刻な空気が張り詰めた。<br><br><br>coincidence
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<link>https://ameblo.jp/coincidence-style/entry-10715913048.html</link>
<pubDate>Tue, 23 Nov 2010 17:03:23 +0900</pubDate>
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