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<title>やなかひろきの創作小説</title>
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<description>オリジナル小説。趣味の小説を書き連ねて行くblogです。</description>
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<title>Cross Beat#3 「成長した自分が見る風景を。」</title>
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<![CDATA[ 「あ～お疲れ～！今日遅かったね！」<br>北川先輩は秋山忍の方に歩み寄った。<br>「うん、今日の練習メニューの打合せを先生としてて。」<br>「そっかー、それでどんなメニューになるの？」<br>「今日は成績つけるのに忙しくて顔出せないから、パート練習だってさ。」<br>秋山忍が来た途端、今まで隣の部屋で練習していた部員が、次々に打楽器練習室に入ってくる。<br>楽譜を秋山忍に見せてアドバイスを聞いたり、実際に演奏してアドバイスを貰おうとしている。<br>（凄いんだな。打楽器じゃなくても分かるんだ。みんな秋山忍を頼りにしてるんだな。）<br>俺は部屋の隅でその光景を眺めていた。<br><br>ふと中学時代の事を思い出す。<br>（俺も、ああやって皆と素直に打ち解けあえたら。どんなに楽になれたんだろう。）<br>（みんなに頼りにされたかった。それだけだったのに。）<br><br>部員が打楽器練習室を出て行き、自分の練習に戻って行った。<br>「結城くん、ごめんね、、、。なんだかほったらかしみたいにしちゃって、、、。」<br>「いえいえ、見学に来ているんですし、吹奏楽部の何か、こう、リアルな姿を見れた。って感じです！」<br>北川先輩は少しホッとした表情をした。<br>「ねぇ、秋山君。ちょっと演奏してもらってもいいかな？せっかく見学で来てもらっているし。」<br>「私の演奏で良ければ、少しだけ。」<br>秋山忍はそう言って、俺の方に歩み寄って来た。<br>「基本的にどの楽器でも良いんだけど、何か聞いてみたい打楽器とかあるかな？」<br>秋山忍はごく自然に話しかけて来た。別に偉そうにする訳でもなく、自慢する訳でもなく。<br>「そう言われても、打楽器ってよくわからないですし、、、。」<br>俺は周りを見渡した。１番奥にあるドラムセットに気が付いた。さすがにドラムなら知っている。<br>「じゃぁ、ドラムを見てみたいです。」<br>「うん、分かった。せっかくだから近くで見てね。」<br>そう言って、秋山忍はドラムセットに座った。自分が演奏する訳じゃないのに、緊張してきた。<br>部屋全体が張りつめた空気に変わる。<br><br>秋山忍は、ゆっくりとドラムを叩き始めた。<br>俺は真正面からそのプレイを見た。<br>次第に秋山忍の手が、足が速くなっていく。そして音もどんどん大きくなっていく。<br>（凄い、、、手が見えない、、、。）<br>一打叩く毎に、俺の体の芯が震える。<br>しかし秋山忍は、表情一つ変える事無く叩き続ける。<br>（体の重心がまったくブレてない。しかも、動きに無駄が無い、、、。）<br><br>演奏が終わった。俺はあまりの衝撃的な演奏に、言葉を失った。<br>（今まで聴いてきた音楽とは違う。楽器って、こんなに心が震えるのか。）<br>（この人、秋山忍、、、。凄い、、、。こんなに衝撃を受けた事は今までない。）<br><br>「ごめんね、うるさかったでしょ？」<br>秋山忍は少し申し訳なさそうに聞いてきた。<br>「いえ、そんなことありません、、、。でも、何て言って良いか分からないですけど、、、」<br>俺はあまりの衝撃的な演奏に、まだ心が昂っている。<br>「・・・・。感動、しました。」<br>「ありがとう。なんだか少し照れるけどね。」<br>秋山は少し笑って、握手を求めてきた。<br>俺は握手に応えた。<br><br>「結城くん、どうだった？！秋山くん、教えるのも上手だし、きっとすぐ上手になるよ！」<br>北川先輩は誇らしげに声を掛けてきた。<br>確かに凄かった。<br>でも、、、、。<br><br>「あの、今日はもう帰ります。」<br>俺の心はまだ昂っている。でも、今はこの場から去りたかった。<br>俺がいるべき場所じゃない。その時、そう思い込んでしまった。<br><br>「そっか、、、、。また、いつでも来てね。演奏会もあるから、時間があったら見に来てね。」<br>北川先輩は残念そうな顔で、俺にそう言った。<br>秋山忍は、何も言わずに俺を見ている。<br>「すいません。また何かあったら。」<br>俺は音楽室を出た。<br><br>俺は渡り廊下に向かっていた。<br>運動部の大きな掛け声を背にして、海を眺めていた。<br>（秋山忍。音楽の事分からない俺ですら、凄いと感じた。）<br>（俺が今さら音楽をやった所で何にもならない。部員のみんなは秋山忍を尊敬している。）<br>（結局、俺が吹奏楽部に入って練習したって、野球部の時の様に秋山忍と比べられるだけだ。）<br><br>しばらくすると、誰かが来たのを感じた。<br>秋山忍が立っていた。<br>「ちょっといいかな。あっ、これ、売店のおばちゃんからサービスしてもらったから、一緒に飲まない？」<br>そういって、缶コーヒーを差し出した。<br>「すいません。ありがとうございます。」<br>しばらくお互い無言でコーヒーを飲む。<br>（どうしてここに来たんだろう、、、。）<br><br>「あの、どうしてここに？」<br>「結城くんがここにいるのを見掛けたから。これじゃダメかな？」<br>「いえ、ダメな事は無いです、、、。」<br>（どうしてだろう。なんで俺なんかに会いに来たんだろう。）<br><br>秋山忍は海を眺めながら話しだした。<br>「さっき、結城くんが帰りますって言った時。なにか引っ掛かるものを感じたんだ。何かありそうだなって。」<br>「それで、気になったんだ。なにか粗相があったら謝ろうと思って。」<br>秋山忍は淡々と話した。<br>「いえ、そんなこと無いですよ！あまりに演奏が凄くて、なんだか場違いかなって思って。」<br>秋山忍は何も言わずに海を眺めている。<br>「あの。秋山先輩は小さい頃から音楽をやってるんですか？」<br>「そうだね。師匠にドラムを習い始めたのが３歳の頃だから、もう１３年になるかな。」<br>「やっぱりそうですよね。小さい頃から練習して。あれだけの才能で。」<br>「才能。それは分からないけど。好きでやってる事だしね。」<br>「将来はやっぱりプロを目指しているんですか？」<br>「いや、別にプロを目指している訳じゃないよ。」<br>「そうなんですか？あれだけ上手かったらプロになれるんじゃないですか？」<br><br>秋山忍はしばらく考え込んで、缶コーヒーを一気に飲んだ。<br>「プロというスタイルにそんなに興味がないんだ。私がやりたいと思う音楽が出来ればそれで満足なんだ。」<br>「そうなんですか。自分には分からないです・・・。」<br>秋山忍は少し笑った。<br>「結城くんは、何か目標とかやってみたい事って無いのかな？」<br>「いえ、今は特にそういうのはないんです。目標もやってみたい事も。」<br>（なんだか妙な安心感がある。この人、秋山忍と会って少ししか経っていないのに、話を自然に出来る感じがある。）<br>（この人になら、自分の悩みを話しても良いかも知れない。）<br><br>「俺、小学生の頃からずっと野球をやってたんです。凄い野球が好きになって。」<br>「月並みですけど、高校生になったら甲子園に出て、プロ野球選手になりたいって。でも真剣にそう思って練習してました。」<br>「でも、中２の冬に腰を怪我して、医者から中学で野球は辞める様に言われて。そしたら急にどうやってプレーしていいのか分からなくなって。」<br>秋山忍は目を瞑って話を聞いている。<br>自分でも驚く程、素直に話が出来ている。<br>「試合でも全く打てなくなって。本当なら中学で野球は出来なくなるから、全力でやりたかった。試合でも活躍出来ない、小さい頃からの目標もなくなった。何もかもやる気がなくなって。周りの仲間とも次第に距離を置く様になって。」<br>「練習したって、努力したって、結局、何にもならなかった。そしたら目標もやりたい事も何も考えられなくなって。」<br>俺は素直に秋山忍に全てを話した。<br>どうして話せたのかは分からない。でも、この人になら自分の悩みを聞いてもらえる気がした。<br><br>秋山忍はしばらくして、静かに語りかけてきた。<br>「結城くん、辛かったんだね。苦しかったんだね。私には結城くんの苦労は分からない。」<br>「結城くんが何もかもやる気がなくって、目標が分からなくなって。それも当然のことなのかも知れない。」<br>「でもね、練習・努力をしても意味がないと言うの違うと私は思うよ。」<br>俺は言い返そうとした。努力したって才能のあるヤツには敵わない。と。でも、秋山忍の鋭い目を見たら何も言えなくなった。<br><br>「確かに努力したからと言って、すべてが叶う訳じゃないと思う。でも。今抱えている悩みは、今まで努力してきて、自分の力が向上したから感じ得る悩みなんだと思う。」<br>「俺は何も向上なんてしてないですよ・・・。」<br>「そう自分では感じているかも知れない。でも、今まで真剣に取り組んできたから、現状に強く疑問を感じているんだと思う。」<br><br>俺は衝撃を受けた。確かにそうかも知れない。自分が真剣に練習してきたから、今まで頑張ってきたから、現状に不満を感じているのかも知れない。<br>「結城くん、最初に描いていた希望とか夢って、自分の現状と比べてしまうモノだと思う。だから、努力もするし絶望もする。」<br>「私は、目標や夢が変わる事は問題ないと考えているんだ。今の自分と成長した自分。見える目線が変わると思うんだ。常に上を向いて、歩き続けていれば最初に望んだ形じゃなくても、今その時に最高と思える形になると思うんだ。」<br>（凄い。なんて凄い人なんだ。たった１つしか年が違わないのに。）<br><br>「ごめんね。なんか説教してしまったみたいで。」<br>「いえ！そんな事ないです。目が覚めた気分です。」<br>秋山忍は、背を向けてB棟に向かって歩き始めた。<br>「私に出来る事は何も無いと思う。でも、もし結城くんが必要と感じたらいつでも部室に来てくれ。」<br>どんどん小さくなって行く秋山忍の背中を見つめた。<br>（俺も見てみたい。秋山忍が見ている風景を。そして、成長した自分が見る風景を。）<br><br>俺は学校を出た。<br>家に帰る途中、中学時代通い詰めたバッティングセンターに寄った。<br>島田バッティングセンター。あまり繁盛はしてない様子だが、１ゲーム余分にサービスしてくれたり、バッティング指導をしてもらったり、ここの店主にはよくお世話になった。<br><br>店に入ると夕方なのに誰もいない。暇そうにカウンターで新聞を呼んでいる島田さん。<br>中学の頃から何も変わっていない。俺が入店したのに気が付いた。<br>「おお、結城じゃないか！久しぶりだなぁ。怪我の具合はどうだい？」<br>「もう、痛みはほとんどありませんよ！」<br>島田さんは、嬉しそうに表情を浮かべカウンターから出てきた。<br>「久しぶりに打ちに来たんですよ。ちょっとでも売上げに貢献しようと思って。」<br>「生意気言いやがって～！まぁ、無理しない程度に打っていけや。」<br><br>俺はよく使っていた真ん中のゲージに入った。<br>久しぶりにバットを持つ。１回、２回と素振りをする。悪くない。<br>１球、２球と見送る。いつもこうして、目を慣らしていく。<br>ゆっくりと構える。頭の中が真っ白になる。久しぶりの感覚だ。<br>怪我をしてから余計な事ばかり考えて打席に入っていた。でも今は違う。<br>何の迷いも無い。<br><br>俺はスイングした。真芯で捉えた感触があった。ボールは鋭く飛んでいった。<br>「やっぱり結城はいい振りしてるや。もったいねぇな。」<br>その後も鋭い打球を飛ばし続けた。<br>最後の１球。全力で振り抜いた打球は、ホームランボードに直撃した。<br>「もう迷いはない。吹奏楽部に入ろう。秋山先輩についていけば、きっと新しい自分になれる」<br><br>俺はバッティングゲージから出た。<br>
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<link>https://ameblo.jp/ct-wind/entry-11377356544.html</link>
<pubDate>Thu, 11 Oct 2012 23:56:55 +0900</pubDate>
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<title>Cross Beat #2 「吹奏楽部を知ってもらえるだけで嬉しいんだ！」</title>
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<![CDATA[ 自転車で学校に向かう。<br>いつもと変わらない風景だ。<br>ただ、昨日から”吹奏楽部"という単語が頭の中に渦巻いている。<br>今まで音楽には縁の無い人生を送っていた。<br>流行の曲は人並みに聴いていたが、自分が演奏するなんて考えもしなかった。<br>ましてや吹奏楽部と言われても、どんな音楽を演奏するかも知らない。<br>俺が知っている吹奏楽部と言えば、甲子園で野球応援をしている事くらい。<br><br>ただ、北川先輩の存在が気になる。<br>下心という訳ではないが、思い返すと可愛かった。単純に可愛かった。<br>今まで男だらけの中で野球に打ち込んできたから、女子と絡む事なんてほとんどなかった。<br>（あんなに可愛い人と一緒に部活をするのも悪くないかぁ。。。）<br>でも、そんな理由だけで、今までやった事もない吹奏楽部に入部するのは、無謀と感じていた。<br>（やっぱり吹奏楽部は無理だ。）<br>俺はペダルを強く漕いだ。<br><br>クラスにつくと相変わらず賑やかだった。<br>授業が淡々と進み、昼休みになった。ぼんやり外を眺めていた。<br>「おーい！結城！」<br>大声で声を掛けてきたのは、入学式の時から妙に絡んでくる三島真治だ。<br>「なぁ、部活何やるか決めたか？」<br>「いや、まだ決めてないよ。どこにも入部しない気なんだけど、親が部活はやれっていうから悩んでる。」<br>「やっぱりさぁ、高校生といえば青春だよな！青春と言えば部活動！部活なにやろうかなぁ。」<br>「三島は中学時代なにか部活やってなかったのか？」<br>「ん？俺？帰宅部だったよ！って言うか、三島って言うのやめろよ。真治って呼んでくれ。」<br>（別にどうでもいい気がするが、、、。）<br>「そういえば、結城は中学時代は野球部だったんだろ？野球部には入らないのか？」<br>「うん、入らないよ。もう、野球は出来ないんだ。」<br>「え？なんで？怪我でもしてんのか？」<br>「まぁ、それはいいじゃないか。」<br>そう言うと、真治は申し訳なさそうな顔をした。悪い事を聞いたと感じたのだろうか。<br>なんだが空気が悪くなってきた。俺はふと黒板を見た。生徒会のメンバー募集の貼紙が見えた。<br>「あー、真治。お前、生徒会のメンバーになったらどうだ？お前が最高に青春出来るのは、案外生徒会かもよ。」<br>適当な事を言って、早くこの場から立ち去ろうと思った。<br>「生徒会かぁ、、、。悪くないかも。。。俺が汐川高校の生徒会長になって、歴史を作る。悪くないかも！」<br>単純なヤツだ。頭の中で妄想している真治を置いて、俺は渡り廊下に向かった。<br><br>海風が気持ちいい。この渡り廊下が俺は気に入った。<br>海を眺めているだけでも良い。そんな高校生活でも良いかも知れない。<br>でも、心は満たされていない。入学してから今日まで、本当にこれで良いのか。<br>モヤモヤした心持ちだ。<br>俺は何がしたいのだろうか。ずっと自問自答している。<br><br>「あっ。結城くんだ！」<br>呼ぶ声が聞こえた。振り返ると北川先輩が立っていた。<br>「北川先輩、こんにちは。」<br>「どうしたの、こんなところで。」<br>「別に何も無いんですけど、ここが好きで。」<br>俺は恥ずかしさからか、北川先輩の顔が見れなかった。<br>「昨日は、ありがとう！助かったよ。」<br>「いえ、大丈夫ですよ。気にしないでください。」<br>チラッと顔を見た。やっぱり可愛い。モテるんだろうなぁ。<br><br>北川先輩はしばらく黙った。<br><br>「ねぇ、今日の放課後、吹奏楽部に見学に来ない？」<br>「見学ですか？でも俺、入部するかまだ決めてないですけど。」<br>「いいのいいの！吹奏楽部を知ってもらえるだけで嬉しいんだ！」<br>北川先輩は満面の笑みでそう言った。本当に吹奏楽部が好きなんだろうな。<br>いいな、打ち込めるものがあるって。<br><br>「じゃぁ、少しだけなら、、、。」<br>「本当！？じゃぁ放課後、音楽室で待ってるから！」<br>そう言って、北川先輩はB棟へ走って行った。<br>（勢いで見学するって言ったけど、大丈夫かな。強制的に入部させられたらどうしよう。）<br><br>放課後、俺は音楽室へ向かった。<br>途中、真治がどこに行くのか執拗に聞いて来たが、付いて来られると面倒になりそうだから、追い払った。<br>真治には悪い事したな。<br>しかし、１人で行きたかった。自分の目でじっくり見たかった。吹奏楽部を。<br><br>音楽室の前に着いた。<br>中から楽器の音が聞こえる。たくさんの音が聞こえる。どの音がどの楽器かは全く分からない。<br>しばらく中から聞こえてくる音を聞いていると、北川先輩が音楽室から出て来た。<br><br>「結城くん、待ってたよ！さぁ、入って！」<br>「はい、、、お邪魔します。」<br>恐る恐る音楽室に入った。２０人くらいはいるだろうか。結構多いんだ、吹奏楽部って。<br>それに見た事もない楽器ばかりだ。<br>みんな練習に没頭しているのか、俺が入って来た事に誰も気が付いていない様だ。<br>北川先輩は音楽室の隅に俺を誘導した。<br><br>「結城くん、楽譜読めないんだよね？」<br>「えぇ、全く読めないですし、楽器なんてやった事ないですから。」<br>そう答えると、北川先輩は得意げな顔になり。<br>「昨日も言ったけど、打楽器やってみない？打楽器ならそんなに楽譜難しくないし、初心者でも出来るよ！」<br>そう言って、音楽室の隅にある、もう一部屋のドアを開けた。<br>部屋に入ると、広さは教室くらいだった。結構広い。<br>「この部屋はね、汐川高校吹奏楽部の自慢、打楽器練習室。防音室なんだ！珍しいんだよ、学校に防音室があるのって。」<br>防音室と言われても、ピンと来なかった。<br><br><br>北川先輩は続けた。<br>「打楽器って音が凄い大きいから、近所から苦情が来るんだよ。だから校長先生が作ってくれたんだよ！」<br>「でも、防音室作るのって、凄いお金掛かるんじゃないですか？よく作ってもらえましたね。」<br>北川先輩は待ってましたと言わんばかりに。<br>「そう、凄いお金掛かるんだよ。でも、我が吹奏楽部には素晴らしい打楽器奏者がいるの！」<br>そういって、机に置いてあった雑誌を広げた。<br>（どうやら吹奏楽専門の雑誌の様だ。世の中いろんな雑誌があるものだ。）<br>見ると、汐川高校の文字があった。しかも１ページまるまる記事になっている。<br>（汐川高校吹奏楽、打楽器、秋山忍１年生。全国吹奏楽個人コンクール優勝）<br>「凄いじゃないですか！全国優勝したって事ですか？」<br>「そう！しかも、中学１年生の時からずっと優勝してるの！今年の夏には海外の大きな大会にも出るんだよ！」<br>北川先輩はキラキラした目で話している。<br>（凄いな、全国優勝だなんて。北川先輩も周りの人も、この秋山忍って人を尊敬してるんだろうな。）<br><br>ガチャ。ドアが開く音が聞こえた。<br>「お疲れ様。」<br>さっきまで雑誌で見た人、秋山忍が立っていた。<br>
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<link>https://ameblo.jp/ct-wind/entry-11377354978.html</link>
<pubDate>Thu, 11 Oct 2012 23:55:46 +0900</pubDate>
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<title>Cross Beat #1 「結城肇と言います。１年６組です。」</title>
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<![CDATA[ ４月。入学の季節。新生活の季節。<br>新しい制服に袖を通す。鏡の前で自分を見つめる。なんだか変な気分だ。<br>制服が変わっただけなのに、自分じゃない様な気分がする。<br><br>入学式が単調に終わり、１週間が経った。<br>新入生オリエンテーションやら説明会など、最初の１週間はまるでお客様扱いだ。<br>今日から本格的に高校生活がスタートする。<br>別に緊張している訳ではないが、ソワソワする。<br><br>汐川高等学校。<br>県内でも有数の平凡な学校だ。特に成績が言い訳でも、部活の名門でもない。<br>ただ単純に家から自転車で通える。それだけの理由でこの学校を選んだ。<br><br>オレンジジュースを一杯飲んで、家を出る。中学生の頃からの習慣だ。<br>外は春らしい陽気。たまに吹く風がまだ冷たい。<br>学校までは自転車で１０分。あっという間に着く距離だ。<br>途中、３月まで通ってた中学校の前を通る。<br>何人か見た事のある下級生、そして真新しい制服を着た新入生とすれ違う。<br>ほんの数日で環境が変わる。実感が湧かない。<br><br>しばらくして学校に着く。１年生は最上階の５階が教室だ。<br>教室に着くと、賑やかだった。<br>携帯のアドレス交換をしているヤツ、当たり障りのない話をしているヤツ。<br>俺は自分の席についた。ホームルームが始まるまで、何人かが同じ様に声を掛けて来た。<br>アドレスを交換して、自分が通ってた中学校を教えて。まるで流れ作業の様に淡々と繰り返した。<br><br>授業が始まる。<br>やる気がない訳ではないが、なんだか調子が出ない。<br>ただ黒板に書かれた文字をノートに書き写すだけ。それだけだ。<br>授業が長く感じる。１日が長く感じる。<br>入学して１週間しか経過していないのに、もう退屈だ。<br>学校が悪い訳じゃない。自分が退屈なんだ。<br><br>気が付けば、放課後になっていた。<br>部活にいくヤツ、バイトにいくヤツ、友達と遊びに行くヤツ。<br>朝同様に賑やかな教室は、あっという間に俺だけになった。<br><br>家に帰ってもする事もない。<br>まだ学校に慣れていないから、校内を散歩がてら周る事にした。<br>汐川高校は、比較的最近出来た高校だ。<br>近くには海があり、放課後、海を見に行くカップルもいるらしい。<br>羨ましい。<br>教室があるA棟と、音楽室や理科室があるB棟を繋ぐ渡り通路から、海が見える。<br>たまに吹く風が、朝よりも冷たい。<br>反対側はグランドが見える。<br>運動部が声を張り上げている。<br>俺は１番奥の野球部に焦点を絞った。<br>中学までは野球部だった。もちろん、中学時代も高校に進学しても野球を続けるつもりだった。<br>中学２年の冬までは。<br><br>今はこうして遠くから眺める事しか出来ない。<br>溜め息しか出て来ない。<br><br><br>ガタン！<br>何かが落ちる音がした。<br>音のする方を見ると、A棟の渡り廊下入り口で、大きな段ボールを抱えた女子生徒が何かを落とした様だ。<br><br>「あぁ、、、もう、、、なんで私がこんなに荷物持たなきゃいけないのよ。。。」<br><br>女子生徒は文句を言いながら、段ボールを降ろした。<br>一部始終を見ていた俺に気が付いたのか、その女子生徒は恥ずかしそうに、うつむいた。<br><br>「あの、重そうですけど、俺、運ぶの手伝いましょうか？」<br>下心が無かった訳ではないが、本当に重そうだったので、ふいに言葉が出た。<br><br>「えっ！そんな、、、悪いですよ、、、。」<br>言葉ではそう言っていたが、目は嬉しそうだった。<br>俺は段ボールを持ち上げた。<br>「これ、どこまで運べば良いですか？」<br>「B棟地下の音楽室までお願いしますっ！」<br>急に元気になった女子生徒。素直というかなんというか。<br>つい笑ってしまった。<br><br>「あの、これ結構重いですけど、何が入っているんですか？」<br>「楽譜です、今度の演奏会用の楽譜が全部入ってるんです。」<br>女子生徒は凛々しい表情になった。<br>楽譜。音楽に興味の無かった俺には縁の無い代物だ。<br><br>女子生徒は俺の顔をマジマジと見始めた。<br>「あの、新入生だよね？」<br>「はい、そうです。」<br><br>そう答えると、急に咳払いをして。<br>「えー、我が吹奏楽部では新入部員を募集しております。是非、吹奏楽部に入部しませんか！？」<br>新手の勧誘か？！<br><br>「いや、俺、音楽なんてやった事ないし、楽譜なんて読めないし、無理ですよ。」<br>（音楽なんて出来る訳が無い！別に興味もないし。）<br><br>「大丈夫！楽譜読めなくても私達が教えるし、、、そうだ！打楽器やってみない？」<br>キラキラした目でこっちを見てくる。<br>（やめてくれ、、、そういうのに弱いんだ。。。押しに弱いというか何と言うか。）<br>「打楽器って言われても。まだ部活やるか決めてないですし。」<br>「そっかぁ、、、。残念だなぁ。君みたいに力持ちは、きっと打楽器に向いてるよ！」<br>（打楽器って、力持ちが向いてるのか？そんな事無い様な気がするが。。。）<br><br>しばらくして音楽室の前に着いた。<br>「ありがとうございます！助かりました！」<br>「いえいえ、これくらいなら大丈夫ですよ。」<br>女子生徒は、俺の目をじっと見た。<br>そして。<br>「私、北川利香っていいます。２年生です。あなたの名前は？」<br>急に聞かれて正直焦った。<br>一呼吸置いて。<br>「結城肇と言います。１年６組です。」<br><br>北川先輩はニコッと笑って、音楽室に入っていった。<br><br>「帰ろう。」<br>そう呟いて、下校した。<br><br><br>
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<link>https://ameblo.jp/ct-wind/entry-11371847168.html</link>
<pubDate>Fri, 05 Oct 2012 14:44:38 +0900</pubDate>
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