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<title>ブログ小説「生路　～生きる道程」</title>
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<description>2歳からある記憶（思い出）を辿って、今の僕の生き方を探る自分の半生記。そこには昭和の時代を生きてきた懐かしい時間があり、ぼちぼち記憶に残る「昭和」と、今は亡き父と母の面影をも探したい。</description>
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<title>理由は考えても</title>
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<![CDATA[ <p>　病院への取材は終わっていない。48年前の事実が残っているとは到底思えないけど、それでも、自分の出生の瞬間のことが分かれば。ただそれだけだ。</p><p>　おばも、妻も、いつか本当のことが分かるならば、自分で探してみるのもいいだろう、と言ってくれている。それでも、僕にとって本当の父と母は、手製の仏壇に飾った写真の、父と母しかいないのだが。</p><br><p>　こんな身の上って、小説の中だけかと、ずっと思っていた。まさか自分の身の上がそうだったとは、誰も思わないだろう。漫画でも、陳腐すぎる。</p><p>　実の親の遺伝子のせいか、どうかはわからない。その後の僕は「お金」と「女」で破滅を呼んでくる。友人もなくし、お金もなくし、波乱を得に書いたような人生になっている。</p><p>　でも、それもこれも、僕の「生きてきた時間」は、僕に責任がある。</p><p>　</p><p>　どんな事情で、どのようにこうなったのか。僕は知りたい。知って、だからどう、ということもないけど、知ったうえで、この先を生きていく力が得られるならば、それは僕の希望だ。</p><p>　理由は考えてもしょうがない。</p>
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<pubDate>Wed, 07 Jul 2010 22:32:25 +0900</pubDate>
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<title>新章：第１章「生まれた理由・生きる目的」～「生まれた理由」</title>
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<![CDATA[ <p>　昭和３７年７月。</p><p>　僕が生まれた年月だが、日にちは定かではない。病院の出生記録も、改ざんされたから、残るのは記憶だけしかない。</p><p>　そして、僕が生まれた日にちは、叔母が産んだ女児に合わせ、「１５日」に決まった。決めたのは、母となることをあきらめた人と、父となると決めた人と、その人を認めた病院と、その人を父親に相応しいと信じた保育園の園長だった。</p><p>　そして、この「改ざん」は「事実」として残され、すぐに関係した人たちの間で「生涯の秘密」となって、記録と記憶から消されることとなった。役場の記録にも、僕は「父親になる」と決めた男の長男として、記録されることとなった。</p><p>　でも、僕は恨んでも、４０年を経た今、後悔の念も何もない。むしろ、生かされた、育てることに深い愛を持った本当の「両親」を得た幸せを、その両親をなくしている今、涙しながら報いきれていない自分を情けない、と思うに過ぎない。</p><p><br>　僕が生まれたこの年のこの月には、こんなことがあった。</p><p>7月1日 - 第6回参議院議員通常選挙投票日。<br>7月1日 - ルワンダ、ブルンジがそれぞれ独立。<br>7月3日 - プラハで開催されていた第15回世界体操競技選手権で日本の男子団体が初優勝を飾る。<br>7月5日 - フランスからアルジェリアが独立。<br>7月10日 - 当時世界最大のタンカー「日章丸」が佐世保重工業佐世保造船所で進水。<br>7月11日 - アメリカとイギリス・フランス間で初の大陸間衛星中継が成功する。<br>7月11日 - 戦後初の国産旅客機YS-11が完成。<br>7月11日 - 創価学会を母体とした参議院の院内交渉団体公明会（公明党の前身）が結成される。<br>7月18日 - 堀江謙一小型ヨットで太平洋単独横断、サンフランシスコに到着。<br>7月25日 - プエルトリコ、アメリカ合衆国領となる。<br>　</p><p>　僕を生んだ本当の母親は、群馬県か茨城県のとても貧乏な女性だったという。父親は長野県かの、とても裕福な男であったと。何かがあり、女性はその男の子を身ごもった。身分や家柄の違いから、女性は子供を地元で産むことができず、遠く離れた東京の、板橋区にあるA病院で、僕を産んだ。まるで小説のような話だが、事実であり、その僕がいる。</p><p><br>　僕は１５日に生まれたことになっている。しかし、事実は、その１週間か前にこの世に僕は生をなした。</p><p>　その当時、父となるリョウゾウとフミコには、結婚して５年を経ても子供に恵まれず、夫婦で悩んでいた。この頃、今のように不妊治療など積極的には行われていなかった。（不妊治療が世界で始めて行われたのは、昭和４８年（１978年）、イギリスのエドワーズ博士とステプトー博士が初）。</p><p>　だからこそ、リョウゾウもフミコも、心から「わが子」が欲しかった。しかし、５年間、一度も妊娠の兆候がなかったという。</p><p>　そして、叔母のサチコからの話から、僕という「わが子」を得るきっかけにめぐり合えたという。</p><p>　</p><p>　僕は、一人の親の人生から抜け出て、本当の親の人生に交わることとなった。<br></p>
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<link>https://ameblo.jp/dear-heart/entry-10582636865.html</link>
<pubDate>Mon, 05 Jul 2010 23:23:00 +0900</pubDate>
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<title>忘れていたクリスマスプレゼント</title>
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<![CDATA[ <p>　目を閉じて、思い出したのは、僕はまだ清水町の家にいた。</p><p>　起きると、12月24日だった、そう、クリスマスイブだ。でも、まだこのときの僕は8歳の僕だった。</p><p>　僕らの寝ている部屋は、起きると居間にもなる、８畳の畳敷きの部屋だった。隣の板張りの部屋との境に小さな庭に続く扉があった。前にも思い出して書いたが、この扉を開け、風呂があったのだ。</p><p>　この日は、ひどく寒い朝だったのを覚えている。</p><br><p>　　「おお、起きたか」</p><p>　リョウゾウが新聞を広げながら、やけにニコニコしながら、起き抜けを僕を見て言った。</p><p>　「おはようございます・・・」</p><p>　少し寝ぼけ眼で僕がそういうと、</p><p>　「おお、なんか庭にあるみたいだぞ」</p><p>　と、出し抜けに僕にそういった。</p><p>　「？」</p><p>　フミコを見てみるが、何かほくそ笑んでいるだけで、台所に立って炊事をしていた。</p><p>　「？」</p><p>　僕は、リョウゾウに言われるまま、扉を引いてみた。</p><p>　一面、真っ白だった。</p><p>　「お、お父さん、雪だよ！」</p><p>　そう、この昭和４５年の１２月の２４日は、雪だったのだ。</p><p>　「ん？　雪？」</p><p>　どうもリョウゾウは雪が降っていたのを知らなかったらしいが、</p><p>　「何もないのか、庭には」</p><p>　「？」</p><p>　まだわからない。雪のほうが面白かったのが、ふっと視線を下にそらすと、</p><p>　「何か置いてあるよ」</p><p>　「なんだ、何があった？」</p><p>　僕はタタキにおいてあった、少し大きめの箱を持ち上げて、</p><p>　「こんなのがおいてあった！」</p><p>　と、リョウゾウに見せた。</p><p>　「なんだ、そりゃあ？」</p><p>　「あけてみたら？」</p><p>　フミコが朝食の支度をしながら、僕にそう言った。</p><p>　僕はリボンもかかっていない、おもちゃ屋の紙で包まれた箱の、セロテープを慎重に開けて見た。</p><p>　現れたのは、</p><p>　「サ、サンダーバードだああ」</p><p>　そうだ、僕が大好きだったサンダーバードのプラモデルだった。　</p><p>　「お父さん、見てみて！　サンダーバードだよ！　んんと、４号だ！」</p><p>　「そうか、サンダー何とかか。よかったなあ」</p><p>　どうにも、リョウゾウはプレゼントの中味すら理解していなかったらしい。</p><p>　「嬉しいか」</p><p>　リョウゾウにそう言われ、</p><p>　「う、ううん。嬉しいけど、ぼく、サンダーバード２号が好きだよ、お父さん」</p><p>　「・・・２号？」</p><p>　「うん、でもね、４号も格好いいよね」</p><p>　「・・・そうか」</p><p>　大工であるリョウゾウの精一杯のプレゼントを、僕は一蹴するほどの返事を、無邪気に返したのだった。</p>
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<pubDate>Wed, 02 Dec 2009 09:22:56 +0900</pubDate>
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<title>目覚めて</title>
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<![CDATA[ <p>　僕が目覚めたのは、その時だった。</p><p>　父との釣りの思い出を、夢に見ていた。遥かに遠い、昔の思い出だ。そんなことを、細かく、細部に渡って僕の記憶に残り、こんなときに夢に見ることができるとは思ってもみなかったことだ。</p><p>　</p><p>　そうだ。</p><p>　この初めての釣りのときに、僕は釣堀に落ちたのだった。緑色した釣堀の水の中に。</p><p>　従業員と、父が慌てて僕を助け出し、全身アオモに染まった僕を見ながら、笑っているリョウゾウの姿を思い出せた。</p><p>　</p><p>　今は、寝たきりだ。何もできない。釣りも、トイレすらも、自分の足ではいけない。</p><p>　僕の思い出が、僕の全身を動かそうとする。でも、できない。</p><p>　</p><p>　眠ったほうが、僕は動ける。考えられる。話せる。</p><p>　喜べる。食べられる。</p><p>　悲しくなる。</p><p>　</p><p>　そうだ、悲しい思い出もたくさん、思い出している。</p><p>　でも、戻りたかった。それは、やり直したい、というのではなく、この先の、わずかな時間のため、僕が僕の幸せのため、そして、リョウゾウの思い描いた幸せを僕が実感できるために、もう一度、戻りたかった。</p><p>　</p><p>　そのためには、眠ろう。</p><p>　まだ、死ぬのではなく、眠ってみよう。</p><p>　そう、思って、僕は目を閉じることにした・・・・</p>
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<pubDate>Tue, 01 Dec 2009 23:12:12 +0900</pubDate>
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<title>ある日の釣堀</title>
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<![CDATA[ <p>　そういえば、僕とヒトシを連れて、リョウゾウが釣堀に連れて行ってくれたことがあった。</p><p>　リョウゾウの趣味は、盆栽（この頃から少しずつだが、松や菊を集め始めていたのだ）のほかに、川釣りが好きだった。暇になると、僕らがまだ寝ている朝早く、一人車で釣りに出かけていたようだ。</p><p>　</p><p>　幼い頃は、父親が何をやっているのかがひどく気になるものだ。</p><p>　「ねえ、お父さんはどこに行っているの？」</p><p>　フミコに聞くと、たいていは、</p><p>　「お父さんは釣りに行っているの。お魚を釣ってくるの」</p><p>　内職の花を作りながら、フミコはそう言った。</p><p>　この当時、我が家はリョウゾウの大工の稼ぎだけでは生活できなかったため、フミコは1本何銭かの花を作る内職をしていたものだ。僕らはそれを手伝えもできず、ただ黙って見ていただけだった。</p><p>　</p><p>　そんなある日、リョウゾウが珍しく、</p><p>　「一緒に釣りに行くか？」</p><p>　と、釣り竿を用意しながら、僕らに声をかけた。</p><p>　「いっておいで」</p><p>　フミコが家事をしながら、僕らに笑いかけてそう言った。</p><p>　「いくか？」</p><p>　ヒトシに僕が聞くと、</p><p>　「うん！　行く！」</p><p>　たぶん釣り、って何のことかよくわかっていないのだろうが、フミコや、いつもは怖いリョウゾウが楽しげにいることで、ヒトシも幾分高揚して、はしゃぎ気味に答えた。</p><p>　「よし、おまえたち、したくしろ」</p><p>　リョウゾウは釣竿を、最近買ったばかりの小さなスバルに積み込みながら、</p><p>　「おおい、用意してやってくれ」</p><p>　と、フミコに声をかけた。</p><p>　「はい、はい」</p><p>　フミコも楽しげだ。僕もこのときはわくわくしていた。</p><p>　釣りってなんだろう？</p><p>　それだけだったからだ。そして、リョウゾウに付いていけることが、なんか大人になった気分だった。</p><br><p>　慌てて僕らの分のおにぎりを作って、</p><p>　「気をつけていってらっしゃい」</p><p>　と、フミコが見送ってくれた。</p><p>　「よし、いくぞ！」</p><p>　リョウゾウがそういうと、</p><p>　「おお！」</p><p>　僕らは後部シートから大声を上げて、意気揚々と発進する車のゆれを感じながら、見送るフミコを振り返って見た。</p><p>　「ばいば～い！　いってきま～す」</p><p>　さあ、よくわからないけど、「釣り」だ！</p>
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<pubDate>Fri, 06 Nov 2009 23:54:03 +0900</pubDate>
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<title>旅行は好きだった</title>
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<![CDATA[ <p>　白浜海岸への夏の旅行で思い出したが、山梨のリンドウが咲く頃に、なぜか父の知り合いの家に泊まりにいったことがある。理由は覚えていない。</p><p>　山梨のたぶん上野原だった。リョウゾウの運転する車で着いたのは、農家だった。　</p><p>　「よく来ましたね」</p><p>　とてもやさしい、おじさんが父や僕らに微笑みかけてくれた。僕はいっぺんで、ここが好きになったものだ。</p><br><p>　僕らは、あてがわれた部屋に通され、食事を済ませると、そのまま眠った。</p><p>　</p><p>　起こされたのは、それこそ、真夜中だった。</p><p>　「おい、おい！　起きろ」</p><p>　リョウゾウが僕とヒトシを起こした。</p><p>　「行くぞ！」</p><p>　「どこへ？」</p><p>　「忘れたのか？　リンドウをつめるのを手伝うんだろう？」</p><p>　そうだった。着いてすぐに、</p><p>　「いいんですか、手伝ってもらっても」</p><p>　と、ここのおじさんがリョウゾウに言うと、</p><p>　「かまいませんよ。こいつらにも勉強にになりますしね。明日5時でしたね」</p><p>　「そうです。大丈夫ですか？」</p><p>　「私は大丈夫ですし、こいつらも起こしますから、大丈夫ですよ」</p><p>　「そうですか。それじゃあ」</p><p>　と、にっこり笑いかけたおじさんの(^_^;)を思い出した。</p><p>　それは僕らに微笑みかけたのではなく、がんばって、の微笑みだったわけだ。</p><br><p>　そうして、僕らはリンドウの出荷のための箱詰めを手伝うこととなった。</p>
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<pubDate>Mon, 21 Sep 2009 21:48:57 +0900</pubDate>
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<title>夏休み（３）</title>
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<![CDATA[ <p>　僕らが着いた先の白浜海岸はとても、とてもきれいな海だった、</p><p>　宿泊したのは確か、大きな蜘蛛の巣が張っているような旅館だったが、海はきれいだったのだ。</p><br><p>　リョウゾウは旅館に荷物を置くと、すぐに、</p><p>　「おいっ！　海にいくぞ！　着替えろ！」</p><p>　と僕らに海パンに着替えるように強烈に促したのだった。</p><p>　僕とヒトシはあわてて、母フミコに着替えをお願いして、荷物から黒い海パンを出してもらうと、着替えた。その間、なぜかフミコは着替えもせずに、のこにこして僕らを見ていた。</p><br><p>　そうこうして、小さな荷物を持ったフミコが後に続き、リョウゾウと僕らはまっしぐらに海に向かった、といいいところだが、ここでもなぜか、リョウゾウは貸しボート屋に向かった。</p><p>　「お父さん、どこいくの？」</p><p>　僕が叫ぶと、</p><p>　「黙って俺についてこい！」　</p><p>　植木ヒトシですか、あなたは？</p><p>　僕らは、言われたまま、黙って父の後に続いた。</p><p>　</p><p>　リョウゾウが借りたのは、本当に小さな舟だった。それに僕とヒトシを乗せると、</p><p>　「ちょっといってくる。あそこで待っていろ」</p><p>　と、フミコにリョウゾウはそういうと、ボートを漕ぎ出した。</p><br><p>　ぐんぐんと岸から離れていくボートの際から、僕は海の下を眺めて、その透明感に感動していた。</p><p>　「きれいか？」</p><p>　リョウゾウが僕に笑いかけながら言った。</p><p>　「うん！」</p><p>　返事をしてから、「あれっ？」と思った。そうそうめったに、笑顔を僕には見せない父だ。</p><p>　（なぜ笑う？）</p><p>　考えるまもなく、リョウゾウが僕の身体を抱き上げ、</p><p>　「そうっら、いってこい！」</p><p>　と、海に放り投げた。</p><p>　「っへ？？？？」</p><p>　またもや疑問に思うまもなく、僕は海に投げ入れられた。ちなみに、この頃僕は泳げない・・・・・・・。</p><br><p>　ザッブーン！！</p><p>　投げ込まれた水音はすぐに僕の耳元から消え、あとは、</p><p>　（むぐ・・むぐ・・）</p><p>　という、僕のもがく声だけが頭の中に残っていた。</p><p>　</p><p>　背中から沈んでいく僕の目の前には、きらきら光る、海面を照らす太陽の光が見えた。</p><p>　（きれいだなあ・・・）</p><p>　と、思ったのは、およそ2秒くらいだ。あとは、沈んでいく自分にびっくりして、あわてて手足を動かすが、じっとしていないだけに、僕の身体はどんどん沈んでいく。</p><p>　（も、もうだめなのかな）</p><p>　などと思っていると、光を壊すように、大きなものが僕に向かって進んできた。</p><p>　リョウゾウの腕だった。</p><p>　僕の首をつかむと、そのままボートの上に引き上げた。</p><p>　「どうだ？」</p><p>　「・・・」</p><p>　何がどうなのか、どう答えればいいのか、今でもわからないけど、単純に怖かっただけだ。</p><p>　</p><p>　こうして1泊だけだったが、僕とヒトシはようやく海に来ることが出来た。</p>
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<pubDate>Mon, 21 Sep 2009 21:24:27 +0900</pubDate>
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<title>夏休み（２）</title>
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<![CDATA[ その週末、リョウゾウは約束通り、僕らを伊豆の白浜海水浴場まで連れて行ってくれた。 <br>  「電車に乗ったらおとなしくしてるんだぞ」<br>  ４人で並んで座ると、リョウゾウは僕らに釘差した。 <br>  だがおとなしくできたのは、列車が発車してわずか30分程度だった。 <br>  「ねぇ、あれはなに？」<br>  普段めったに電車などに乗ったことがなかった僕にしてみれば、車窓を流れていく風景は、とても新鮮だった。 <br>  「うるさい。静かにしていろ」<br>  僕が何か聞くたびにリョウゾウは、窓に向かって座ろうとする僕の腕を引っ張って、きちんと座らせようとした。 <br>  だが次々に窓の風景が変わっていくのが楽しいから、どうにも落ち着いて座ってなどいられない。  ついには、多摩川を渡るときになって、 <br>  「あぁ、お父さん、あれは海だよね！  海だぁ～」<br>  と大声を出したものだから、リョウゾウやフミコにしてみればたまったもんじゃない。 <br>  真っ赤な顔をしながら、２人して叫ぶ僕の口を抑えた。辺りからはくすくす笑う他の乗客の声がした。
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<pubDate>Thu, 27 Aug 2009 18:36:10 +0900</pubDate>
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<title>夏休み（１）</title>
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<![CDATA[ 少し時間が入れ違うが、夏休みといえばうちは父親が大工だったこともあり、盆休みは必ずあった。しかし帰る田舎は父親は秋田だったため、たいていは東京の家にいて、帰省する、という体験はアカツカに引っ越した翌年の話だ。<br>  とにかく、暑い家だった。なにしろクーラーなどという代物が我が家に登場するのはまだまだ先のことで、昭和４７年のこの頃は扇風機が頼りだった。<br>  「ヴァーぁぁ～」 よく扇風機の前で声を出して、回る羽で声が震えるのが楽しくて、 <br>  「オッシもやれよ」<br>  と、弟ヒトシと扇風機前で座っては声を張り上げていた。 <br>  「バカみたいにしているんじゃないの！」<br>  フミコにそのたびに叱られたものである。 <br><br>  「どこか行きたいよ」<br>  ある日の夕飯の後に僕がフミコに言うと、 <br>  「お父さんに聞いてみなさい」<br>  と、食器の後片付けをし始めたフミコが言った。<br>  僕は恐る恐るリョウゾウを見た。また「贅沢だ！」と怒鳴られると思いながら、 <br>  「お父さん、夏休みにどこか行きたいよ」<br>  「どこかってどこだ？」<br>  夕刊に目を通しながら、意外にも優しい口調でリョウゾウが答えた。 <br>  それに安堵した僕は大声で「海～！」と叫ぶ。つられてヒトシも「うみ～！」と叫んだ。  <br>  「わかった。明後日の土曜日に連れて行ってやる」<br>  まだ新聞から目を離さないリョウゾウは無愛想に言い放った。 <br>  「やったぁ！」<br>  思いもよらず、海に行くことができた喜びで、僕とヒトシは飛び上がって、 <br>  「海だ！海だ！」  とはしゃぎ回った。するとやはり、<br>  「ウルサい！あんまり調子に乗っていると連れていかないぞ」<br> とリョウゾウの雷が落ちた。
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<pubDate>Mon, 17 Aug 2009 12:51:43 +0900</pubDate>
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<title>あだ名、決定！</title>
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<![CDATA[ <p>　トウチのひと言から、クラスが僕を注目してくれるようになった。</p><p>　「じゃあ、タカハシ君は、そうだなあ、ネモトさんの席の横に座ってくれる？」</p><p>　ヒルマ先生が僕の席を決めてくれた。僕はそのまま、先生が指定した席に座った。</p><p>　隣は、ネモトノリコという、肩先まで髪を伸ばした、少し色の黒い、目のくりっとした女の子だった。どちらかというと、少年っぽい感覚があった。</p><p>　「よろしくね」</p><p>　にこりとノリコが微笑みながら、僕に席を促した。</p><p>　「よ、よろしく」</p><p>　僕も返事をする。まあ、つたないが。</p><br><p>　そうこうしているうちに、朝の学級会が終り、そのまま1時限目の授業に入った。</p><br><p>　授業はほとんど覚えていない。教科書は同じ板橋区だったため、前の志村第三小学校と同じだったが、新しい教科書をもらっていた。</p><p>　（家に同じのがあるよ・・・）</p><p>　しかし、その教科書には漫画だの、いたずら書きがしてあって、新しいもの好きの僕にしてみると、今目の前の教科書がとても新鮮に思えていたのだ。</p><br><p>　昼休みになった。</p><p>　給食は当番が給食室から大きな鍋やパンが入ったアルミの箱を持ってくる。牛乳当番が一番重そうだったが、その代わりに二人で持ってくる。</p><p>　要領がわからないまま、僕はみんなが教壇の横で並べられた給食を受け取りに行くのを見ていた。</p><p>　「行かないの？」</p><p>　ノリコが僕に聞いてくる。</p><p>　「行くけど、どうするの？」　</p><p>　短い髪の毛を触りながら、僕が聞くと、</p><p>　「一緒に行こうか？」　</p><p>　ノリコが親切に誘ってくれたおかげで、僕は給食にありつけた。</p><br><p>　その日、僕のあだ名がいきなり決まった。</p><p>　みな、僕をどう呼んでいいのかわからず、声を掛けづらかったのを知ったのは、その２～３日あとだが。</p><p>　「転校生だから、てこせ、にしよう」</p><p>　そう言ったのは、クラスでもガキ大将のヤベだった。賛同したのは、カワゴエという、これもまたガキ大将の一人だ。いずれ僕ヤベと決闘をする事になるが、それはまた別の機会に。</p><p>　こうして僕は、「テコセ」とその後30年も超える今になっても呼ばれることとなる。</p>
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<link>https://ameblo.jp/dear-heart/entry-10310599938.html</link>
<pubDate>Thu, 30 Jul 2009 20:05:34 +0900</pubDate>
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