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<title>サンカルパ</title>
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<description>一次創作小説及びイラストの保管庫として使用させていただきます。</description>
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<title>ＤＥＳＴＩＮＹ第一章～それぞれの路へ～：六人揃いし勇者の意味を、今は未だ誰も知らず</title>
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<![CDATA[ <p>　外から差し込む太陽の光には、初夏の匂いがした。<br>　低く溜息を吐き、老神官は困惑し、皺まみれの顔をさらに寄せる。<br><br>「はっきりと『魔王を殺せ』と言ったほうがよかったか。しかし、解決策はそれだけではないのも確かじゃろう？　方法は一つではない、しかし、それは異界からやって来たあの小さな勇者らが決めること。自らの意思で選択し、出した答えに向かうか向かわないかは、彼ら次第」<br>「お言葉ですが、私にはあの子供らが勇者には思えませんでした。石を所持していたからこそ、そう思うより他なかっただけのこと。全く、力の欠片すら見えませんでした。……一人を除いて」<br><br>　“一人”、その単語に、周囲は葦の葉の様にざわめいた。巫女に鋭い視線を投げかけた老神官だが、何も口にはしない。　<br>　止める者がいなかったので、巫女は淡々と表情を口調を変えることなく言葉を紡いだ。<br><br>「ですが、私にはその子の“力の欠片”が勇者のものであるのかどうか、判別が出来ませんでした」<br><br>　騒然となった。眉を顰め、その巫女を皆が指差した。老神官が片手を掲げ、その場の騒音を鎮める。徐々に皆、その手を見て口を噤んだが、咳き込みながら老神官は当惑しつつ口を開く。<br><br>「あの石は、クレロ神とエアリー神の意思。我ら人間には到底解り得ぬことじゃろうよ。あの子供達が内に秘めた想いをどう表していくかが楽しみじゃ。予言書通り、勇者は六人であったしのぉ。“四つ”の星を合わせての勇者が……“六人”」<br><br>　最後だけ声を微かに、そのまま小さく自嘲気味ともとれるような微妙な笑いを残して去っていく。<br>　再び広がる波紋の輪。止めるものなど誰もいなかった、今の言葉はあまりにもその場に居た者たちにとって衝撃的であった。<br>　そう、勇者は六人現われたのだ。ネロから二人、ハンニバルから一人、チュザーレから一人、そしてクレオから二人。<br><br>「そういえば……何故六人なの？」<br><br>　一人の巫女が全員の疑問を口にし、音として空気へと伝える。四人でも、八人でもなく、何故か六人。石が六個あるから、と言われればそうなのだが腑に落ちない。<br>　互いに顔を見合わせながら、不安げに小声で会話をする。<br>　勇者が現われたというのに、未来は明るいはずなのに。何故かしら…、突如空に浮かんだ不幸の星に照らされたように、ゆっくりじんわりと、心に暗雲が立ち込めていく。<br>　惑星クレオには、二つの勇者の神器が存在する事など皆は百も承知だ。ネロについて詳細は知らないが、ならば何故他の惑星は一人なのか。<br><br>「まさか、二人が死……」<br><br>　言いかけた一人の巫女が慌てて自身の口を塞ぎ、肩を竦めた。<br>　しかし、続けて縁起でもないことを別の巫女がきつめの口調で吐き捨てる様に言った。<br><br>「二人が寝返る可能性もあるわよね」<br><br>　先程老神官と臆することなく会話をしていた巫女である。<br>　他の巫女達は身体を振るわせて寄り添い、淡々と恐ろしいことを口にした二人の巫女を畏怖の念を込めて見つめる。<br>　しかしそれらを一瞥すると、興味なさそうにその異端の巫女は部屋から出て行った。何故皆がそんな視線を送ったのか、意味が解らないとでもいうように。<br>　勇者は、“六人”。各惑星から一人ずつ選定されるのではなく、何故か六人。<br>　巫女達は顔を見合わせたまま、思いを言葉に出来ず、水を打ったように静まり返ると、沈黙を守り続ける。勇者が来たというのに、この雰囲気は思わしくない。<br>　異界から運ばれてきたものは、未来への希望ではなかったのだろうか。何故、こうも心が揺さぶられるのか。<br><br>　一人歩き続ける異端の巫女は、壁に描かれていた勇者の絵画を見つめて、僅かに口元を吊り上げた。<br>　部屋に戻った老神官は、深い溜息を吐きながらベッドに腰掛けると胸の前で手を組み瞳を閉じて祈った。<br><br>　そんな神聖城クリストヴァルの様子など露知らず、勇者達一行は馬車を走らせている。変わり行く景色、大自然の色彩を堪能しつつ、アサギと友紀はうっとりとその光景に酔いしれていた。<br><br>「何か珍しいものでも？」<br><br>　不思議そうに声をかけてきたアーサーに、アサギはあどけない笑みをこぼした。<br><br>「私達の世界は、こういう場所が年々減ってきているんです。えーっと。自然がなくなってきていて……それは人間達が住みやすいように土地を開発しているからなのですが」<br><br>　この世界には電気が、ない。空気を汚す存在が、ない。<br>　街を建設する際には自然を壊すだろうが、なえるべくそのままの状態で住めるように検討するだろう。<br>　地球にとて未知の地域はあるが、間近にはない。勇者達が暮らしている地区は、そこまで都会ではないので足を伸ばせば直ぐそこに田舎の風景は広がっている。しかし、山にしろ川にしろ、歩道があったり鉄筋の橋があったり設備されているものだ。川底もコンクリートで埋められている場合もある、そもそも自然そのままの河の形ですら、ない。<br>　はしゃいでいる少女二人を眺めつつ、不意にアーサーは低く唸って腕を組んだ。<br><br>　……そういえば、先程アサギ達がいた世界は、空気が異様に汚れていた。それこそ毒の臭気に囲まれているような。不思議な素材で出来た建物が聳え立ち、鉄格子のような網が張り巡らせていた場所だった。<br><br>　アサギ達の小学校は決して新しいとは言えない校舎だ、この地区では古い部類に入る。敷地内は金網で包囲されており、確かにアーサーから見れば不可解で、囚人を入れておくための牢獄のようだった。それが当たり前の世界にいるアサギ達には、連想しがたいイメージだったが。<br>　ふと、アーサーは勇者達の生い立ちが気になり始めた。互いの自己紹介は必要だろう、素性を知らない相手を信頼し、共に戦闘に挑む事は困難だと判断した。<br>　途中適当に食事を取り、馬を休ませるために小川を探し、束の間の休息を取りつつ一行はようやく自己紹介を始めることにした。<br>　アサギと友紀のはしゃぎ振りを見て気が引けていたらしく、こうして自己紹介を伸ばしていたのだった。<br><br>「そろそろ、お互いの事を話しましょうか？　まずは、勇者ちゃん達よろしく」<br><br>　マダーニが拍手しながら勇者達を見つめる。他の者達も興味深々で、顔を赤らめて縮こまる勇者達を皆で一斉に見つめた。<br>　それでも一人、意を決し息を大きく吸い込んで、アサギは軽くお辞儀をする。どうやらアサギが最初に自己紹介を始めるようだ。<br><br>「えっと、アサギといいます。石の色が翠なので、惑星クレオの勇者みたいです。宜しくお願いします」<br>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/destiny-taba/entry-12449320054.html</link>
<pubDate>Sun, 24 Mar 2019 17:29:12 +0900</pubDate>
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<title>ＤＥＳＴＩＮＹ第一章～それぞれの路へ～：旅立つ勇者に</title>
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<![CDATA[ <p>　しなやかな指と、艶やかな爪。<br>　アサギが指した場所は、海岸沿いと思われる箇所だ。特になんの印もない。<br>　不思議そうに瞳を細め、神官はその指先を見つめる。様々な思考が渦のように脳内で描かれていたが、顔を上げると唇を動かした。<br><br>「お行きなさい、勇者達よ。あなた方の進むべき路は……自ずと見えてくるでしょう」<br><br>　それは用意されていた、安直な台詞だった。<br>　実は唇を尖らせ「自分達では何も始めないくせに、よくもまぁ俺達にそんな適当なことが言えるもんだな」と捨て台詞を吐く。<br>　その声が小さすぎて、誰にも届くことはなかったが。<br>　実の言う通り、余りにも簡単な旅立ちへの言葉であった。異界からやってきた小さな勇者達に投げかけられたその言葉は、漠然としている。まるで、組み込まれたシナリオのように。<br>　感謝の言葉が欲しいわけではないが、もう少し胸に響く言葉の選択が出来なかったのだろうか。<br>　多少の違和感を感じ、無言で歩く一行だが、それでも不平を口にしなかった。三つの扉を抜けながら直進し、そこから一般客が礼拝する広間へと向かう。絶望の闇に閉ざされつつある世界を憂い集まってきた人々の間を割って、進んでいく。<br>　神に助けを求め縋る人々を横目で見ながら、マダーニは軽く溜息を吐いた。<br>　まさか、この少年と少女達が世界を救うことになる勇者であるとは、誰も思わないだろう。一目でこの子達を勇者、と見破るものが存在したのなら、その者も共に行くべき仲間だろう。伝説の勇者、と呼ばれる容姿には到底思えないし、実力も不明。マダーニとて、本当にこの子等を勇者としてよいのかどうか、時折迷っている。石が指し示したのだから間違いはないのだろうが、あまりにもか弱過ぎた。<br>　それでも護り続けて成長してもらうより、手立てはない。信じるより、他ないのだから。<br>　屋外に出ると、日本を上回る灼熱の日差しに照りつけられ、一向は軽く瞳を細めて空を見上げた。ここから、始まる。もうすぐ、始まる。<br>　アサギは陽の光を浴び、大きく息を吸い込むと親友の友紀に笑いかける。<br><br>「来れちゃった、勇者になれちゃった」<br><br>　そうだね、と微笑んで友紀はアサギの手を握る。そう、いつものように。テーマパークにでも遊びに来たような、そんな感覚でしかない。<br>　ハーブが咲き乱れる庭園を抜け、純白の門を潜ると、ようやく神聖城クリストヴァルの外へと出られた。意気揚々と出発しようとしたところで、後方から二人の巫女に止められ、一向は振り返る。<br><br>「こちらをお渡しするようにと、仰せつかっております」<br><br>　何冊かの本を、巫女はマダーニへと差し出した。<br><br>「初歩的な魔導書、ね」<br><br>　中身も見ずにマダーニはそう巫女へと告げた、深く頷き彼女らは肯定する。比較的扱いが簡単で尚且つ、実用性の高い魔法が数多く掲載されていた。マダーニとてこれを手にした時期があった、ゆえに解った。表紙の色は、赤、青、黄、緑、茶、白の計六色で魔法の系統によって分かれて掲載されている筈である。<br><br>「馬車も二台、用意して御座います。どうかお使いください」<br><br>　楽しそうに「馬車！」と叫んだ友紀に、一行が苦笑いを漏らすのだが、アサギと二人で小走りに外へと駆け、馬車を覗き込んだ。<br>　何処までも続く海原のように、青々と茂る草が風によって波打つ最高の景色の中、純白の馬が引く馬車が二台存在していた。外見は豪華ではないが、耐久性に富んだ造りになっている。馬車自体に興奮している友紀にとって、見た目は特に気にならなかった。<br><br>「かっこいいよねっ、馬車だよ、馬車っ」<br><br>　アサギも嬉しそうに飛び跳ねて友紀とはしゃぎ回る、それを微笑ましく見守る一行の中に。<br><br>「馬鹿みてぇ、うるさい」<br><br>　小さく呟いた者がいた。もちろん、実だった。浮かれている二人の同級生を尻目に、一人冷めた様子でそれを見つめる。アサギには聞こえないだろう、と思った。だから、アサギが大人しくなったのを見ても、自分のせいだとは思わなかった。<br>　届くはずのない実の声を、アサギは彼の表情から、感じ取ってしまった。その為、急に口を閉じると地平線の向こうへ視線を移す。気落ちしたが、実の声が届かなかった為にまだ騒いでいるユキに、優しく微笑んだ。気にしていてはいけない、と励ます。だが、この先やっていけるのかと、漠然な不安も抱いた。<br>　一行も馬車へと近づき、造りやら装備品を確かめる。食料に飲料水、夜露を凌ぐ毛布などが積まれており、それに混じって勇者達への武具も用意されていた。それは何処ででも手に入るような、粗悪な造りの一般的な物であったが、それでも勇者達は自分達の装備出来るものを目にし、喜んだ。そもそも見ただけでは価値が解らない。<br><br>「いやー、俺、道とかに落ちてる武器を探すのかと思ってた」<br>「僕も思ってた」<br><br>　大樹と健一がそんな会話をしていたので、思わず朋玄は苦笑する。幾らなんでも道端に武器など、落ちていないだろう。ゲームの世界だと拾い集めるが、現実的に考えて落ちているとしたら誰かがそこで死んだのだ。<br>　朋玄は、先程手に入れた自分専用の武器を誇らしげに持っている。<br>　用意されていた物を見つめながら、ブジャタは嘲笑うように神聖城を見つめた。「仮にも命をかけた戦いにこんな幼子らを放り込むのだ、それでこの程度か」と皮肉めいて呟く。もっと全面的に協力をしても良いと思った、確かに人間とは誰かに頼り、極力自分では動きたくない生き物なのかもしれない。言葉を投げかけることが出来ても、態度で示す者はそう多く存在しない。<br>　堅苦しく感じていた場所から解放され、つい本音を吐露してしまった。<br><br>「わしとて……同じかもしれんがのぉ」<br><br>　確かに勇者に同行する、が打倒魔王という厳しく過酷な試練をたかが石に選ばれた、というだけで会って数時間しか経過していない子供達に任せてしまっている。まだ、その力量は定かではない、真の勇者かも分からない、途中で死ぬかもしれない、勇者と呼べるに値しないかもしれない。<br><br>「人間とは弱いもんじゃ、何かに縋って生きてしまうからのぉ。滑稽よの」<br><br>　小さく呟くブジャタの隣で、クラフトが怪訝に眉を顰める。なんのことはない、クラフトも同じことを思っていたからだった、軽く溜息を吐き、同意とばかりに頷く。<br>　しかし、こうするより他ない。それは百も承知だ、勇者に選ばれた子供達を守り抜く、それこそが課せられた使命であると。<br>　二人は目配せし、深く深く……頷いた。互いの決意を確認する為に。<br>　後れを取ったが、不条理さに肩を竦めた二人も馬車へと近づいた。しかし二台の馬車に乗り込む時点で、いきなり問題が発生した事に気がつく。馬車を操ることが出来る人物が、現在ライアン一人しか存在しないという致命的な問題である。<br>　冒険の旅、完。<br><br>「いきなりダメじゃん！　どーすんの」<br><br>　朋玄が呆れて叫ぶ前方で、ライアンが馬を撫でつつ苦笑いしている。<br><br>「徐々に覚えていくしかないだろうな、簡単そうにみえるかもしれないが、結構難しいから、ゆっくり慣れていこう」<br>「なら、一台の馬車で行きます？」<br><br>　アサギの問いに、ライアンは首を横に振った。<br><br>「それでは馬車が重さに耐えられないな、上手くできるかどうかやってみないと分からないが、俺に考えが」<br><br>　ライアンは一人、馴れた手つきで馬車の周囲を探り始める。一台に二頭の馬がいるわけだが、それを四頭にして二台の馬車を連結し、引かせるつもりらしい。<br><br>「速度は落ちるが、暫くはこれで進もうか。その間に俺が誰かに教えよう」<br>「あー、ボクやるよ。こういうの得意だから。乗馬は昔からやってたし」<br>「私も立候補しておきましょうか」<br><br>　ライアンが皆を見渡すと、アリナとアーサーが名乗り出た。三人は力強く頷くと、馬車へと乗り込む。<br><br>「さ、じゃあ行きましょっか！　まずはここ、ジェノヴァ！」<br><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20190324/17/destiny-taba/ca/1b/j/o0580040914378032552.jpg"><img alt="" height="296" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20190324/17/destiny-taba/ca/1b/j/o0580040914378032552.jpg" width="420"></a><br>　受け取った地図を盛大に宙にはためかせ、マダーニは軽やかに微笑んだ。整った長い指で、神聖城クリストバルからジェノヴァまでの道のりを辿っていく。途中に何かマークがある、山に穴が開いてるそのマークは、勇者達が見ても何かが明確に分かった。<br>　そう、洞窟だ。<br>　始まった冒険に、勇者達は顔を見合わせて興奮気味に頷いた。<br>　それぞれの思いを胸に抱き、ようやく小さな勇者達と守護すべき者は今、一歩を踏み出した。連結させた馬車はマダーニとミシアが、二人掛りでそれぞれの顔を見られるように幌を縛り調節してくれた。<br>　現時点では、まるで観光気分のような勇者達である。まだ危険を感知するほどの心構えが出来ていない。どうにかなるに違いないと、暢気に構えていた。校庭で襲撃してきたネズミが容易く倒されてしまったこともある、サマルトとムーンの腕を過信している。<br>　馬車が徐々に小さくなって、地平線の向こうへと消えていく。見つめていた巫女達は、目視不可となるまでその場に立って見送っていた。そうして、擦れ違う巡拝者と礼を交わしながら、ひたすら奥を目指す。<br>　重たい扉を開き、巫女達は神官とその周りに集まっていた者達に深々と頭を下げた。<br><br>「勇者様方、無事旅立たれました」<br>「ふむ、そうか」<br><br>　顎の白い長い髭を擦りながら小さく頷く老人に、無表情の巫女が一人躊躇うことなく進み出た。<br><br>「何故あのような曖昧な事を。勇者達のすべき事は決まっているでしょうに」</p><p>&nbsp;</p><p>＊＊＊イラストは頂き物です。無断転載、自作発言を禁止致します。＊＊＊</p>
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<link>https://ameblo.jp/destiny-taba/entry-12449319826.html</link>
<pubDate>Sun, 24 Mar 2019 17:28:11 +0900</pubDate>
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<title>ＤＥＳＴＩＮＹ第一章～それぞれの路へ～：神聖城クリストヴァル</title>
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<![CDATA[ <p>　光の中は心地良く、穏やかな波に揺られているような夢心地でいられた。<br>　真っ白なその中で、幼い勇者達が呆然と佇んでいる。気がつけば、そこはすでに異世界だったのだ。<br>　何時の間にこちらへ来たのだろう、見上げれば純白の天井、見渡せば純白の壁、全てが“純白”。真珠の輝きの様に品の良い煌びやかさがある。<br>　床だけが、靴の裏についた土で汚された。歩くのが申し訳ない、まるで積もりたての雪の広場のようである。<br>　勇者達は軽い刺激を瞳に受け、瞬きを何度も繰り返し瞳を慣れさせようとする。何もかも純白のその世界は、瞳には眩し過ぎた。慣れてくると、その場所が広大な部屋の中だということが判明した。正面にドアらしきものがある、ノブだけが銀色に輝いていたから辛うじて解った。<br><br>「さ、行きましょう」<br><br>　促され、連れ立って足を踏み出す。<br>　ドアを開くと幅の広い廊下が長く続いていた、壁には絵画が何枚も飾ってある。歩きながら観て行くと、その絵画が一つの物語になっていることが判明した。<br>　天使が地上を見下ろしている場景から始まり、地上に降りた天使達が人々に知恵と祝福を与え、人々はそこから国家を築き上げた。天使達は舞い戻り、それを永久に見守り続ける……というような内容に取れる。<br>　そこから先の絵画はない。<br>　まるで外国の美術館だ、アサギと友紀は手を繋ぎながら感嘆の声を漏らす。教科書で見たような素晴らしい風景に心が躍った。やがて巨大な扉に行き着いた、左右に開くことが出来るその扉は、片方ずつに男女の彫刻が施されていた。荘厳で逞しくも優しく、凛々しい面影のその男女は、惑星クレオの勇者を指すのか。今で言うと、アサギと朋玄になるわけだが。<br>　重そうなその扉に手をかける、が意外に軽く簡単に開いた。<br><br>「お待ちしておりました、勇者様」<br><br>　開いた先には、横に並んで一斉に深く礼をする人々がいた。その中央に、高貴な雰囲気の老人が一人立っている。透き通ったその声は、勇者達に安堵と緊張感を同時にもたらした。高年齢とは思えない声色だ、神秘的である。<br><br>「ここは神聖城クリストヴァル。何故ここへいらしたかは、お解かりですね？」<br><br>　淡い水色の長いワンピースを着込んだ巫女達、若草色のワンピースに身を包んだ神官達が、顔を上げた。<br>　思わず勇者達は後退りした、その無駄のない、ばらつきのない動作に怯む。<br>　が、アサギだけが正面を捉えたまま、一歩進んで唇を軽く嘗めると緊張気味だが言葉を発した。<br><br>「勇者としてここへ来ました。魔王がこの世界を脅かしているということも、ある程度把握出来ました。詳しいことはまだ聞いていませんが、理解していきたいと思います」<br><br>　アサギの声が響き渡った、曇りのない声だ、はっきりとしたその口調に、マダーニは満足そうに薄く微笑む。<br>　穏やかに老人は微笑んで小さく頷くと、傍らに控えていた巫女から、細長い箱を受け取る。<br><br>「ここは惑星クレオですよね。ハンニバル、チュザーレの魔王であるハイとミラボーが移動してきた、というのは本当ですか？」<br><br>　凛とした若い娘特有の透明な声、堂々としたそのアサギの姿に、他の勇者は圧倒された。聴いた内容を、単語を全て理解し質問している。<br><br>「残念ながら、真実の様子。さぁ、その前に。来なさい、クレオの勇者の片割れ。……そう、その少年」<br><br>　老人は一歩足を踏み出し、アサギを静かに見つめると朋玄に視線を移した。朋玄は多少怯んだが、唇を噛み締めると自信を持って颯爽と歩み出る。<br><br>　……この少年は、人前に出ることに慣れており、どんな時も自信を失わないで行くだろう。<br><br>　老人は瞳を細めて、朋玄を頼もしそうに見つめた。箱を開き、朋玄に中身を確認させる。<br><br>「惑星クレオに伝わる伝説の勇者の剣。その片割れです。お持ちなされ」<br><br>　柄に鳥……不死鳥だろうか、彫刻が施されており、見た目一メートル程の剣だ。一瞬狼狽し老人を見る朋玄だが、神妙に頷いた老人に応えて深く頷くと、息を大きく吸い込む。それでも緊張の為震える手で、その剣を取る。<br>　見た目よりもずっと軽量のその剣を持った瞬間に、武者震いが来た。ガタガタと、剣が鳴る。<br><br>「い、いきなり最強クラスの剣が貰えるんだ……ついてるね、俺」<br><br>　想定外だった、面食らう。朋玄が強がって言ってみたのだが、やはり足も手も声すらも震えていた。<br>　伝説の、勇者の剣。それを持たされて平常心でいられる者が、いるだろうか。意外に呆気なく手に入ってしまったが、心から有り難い。これがあれば、どんなことでも耐えられる気がしていた。強く握り締め、恭しく掲げると誇らしげに勇者達に見せる。胸の高鳴り、手にした瞬間湧き上がる興奮。<br>　他にも箱に丁重に仕舞われていた、篭手と肩あてが運ばれてきた。もちろんそれらも朋玄の所有すべき物であり、勇者の片割れであるアサギの物ではないようだ。<br>　察して、申し訳なさそうに老人は謝罪する。<br><br>「もう一人の勇者よ。ここにはそなたの剣がない。剣はピョートルに保管されている」<br><br>　箱が他に見当たらなかったので、アサギは自分の分がここにないことを予感していた。ので、特に気落ちしていない。<br>　軽く微笑むと「はい」と返事をする。<br><br>「ピョートル、ですね」<br><br>　アサギは、聞き取った単語を復唱する。それは何処かの地名を指すのだろう、胸で硬く拳を握る。<br>　老人は静かにそんな様子のアサギを見つめ、ただただ、凝視していた。沈黙が流れ、気まずそうに勇者達が身動ぎしているのをアサギは感じ取る。瞳を更に細め、老人は深い溜息を吐いた。<br>　その一連の行動に不信感を抱く者が、多からず存在してしまう。<br><br>　……今の溜息は、何を指す？　最高位であるこの老人、何故アサギを見て溜息を吐いた？　今の沈黙は？<br><br>　眉を顰め、それでも口を噤んだままの周囲を気にした様子も無く、老人は懐から丸められた羊紙を取り出しアサギへと差し出した。<br>　地図である。<br>　近寄ってきた他の勇者達へとそれを見せているアサギを見つめ、老人は深く頷く。<br><br>「ここが現在地クリストヴァル、そしてこちらがピョートル。万が一に備えて、剣の保管場所を二つに分けたのです」<br><br>　片方が敵の手に落ちても、片方さえ無事ならば、勝機はあるという計算だろうか。地図で指し示された場所は、予想以上に掛け離れていた為不満の声が上がった。<br>　この地図が示す規模が、日本なのか世界レベルなのかすら解らないが、それでもほぼ正反対の位置である。<br><br>「それを取りにいかなければいけないわけよね、アサギちゃんの為に。アサギちゃんの所有すべき武器だから」<br><br>　マダーニがアサギの肩に手を置き、微笑みかける。深く頷くと、アサギは地図を握って位置の把握を急いだ。この地図がどれほど縮小されたものか分からないが、クリストヴァルとピョートルを直線で結んだとしても遠距離であることは明らかな為だ。直線では行けないだろうし、地形が全く検討がつかない。<br>　新幹線も飛行機もない、そもそも車すらない。となると、やはり徒歩なのだろうか。よくて、馬車。考えると眩暈がしそうだった。<br>　しかし、考えただけでアサギは鳥肌が立った、血が騒ぐ、胸が躍る。どれほどの疲労感を味わうか、よりも、胸が膨らんでしまう。<br>　ふと。<br>　気になる箇所を発見し、食い入る様に一点を見つめる。<br>　その地図には何も描かれていないのだが、妙にその場所が気になって凝視した。そっと、その箇所に指を滑らす。懐かしそうに、瞳を細める。</p>
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<link>https://ameblo.jp/destiny-taba/entry-12449319440.html</link>
<pubDate>Sun, 24 Mar 2019 17:26:17 +0900</pubDate>
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<title>ＤＥＳＴＩＮＹ第一章～それぞれの路へ～：選ばれた“六人”の勇者</title>
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<![CDATA[ <p>　正午と間違えるかのような、極熱の太陽の下で。<br>　手を取り合い、和気藹々と語り続ける三人であったが、突如後方から眩い光に照らされ、鋭く悲鳴を上げた。<br><br>「っ、追手か！」<br><br>　ネズミ以外の魔物が執拗に追いかけてきたのだと勘違いしたサマルトは、腕で辛うじて光を遮りつつ、アサギを庇う様に前に出る。眩い光は巨大だったが、それは徐々に弱まっていった。先程とは、何かが違うようだ。一つだと思ったが、薄れていくうちに光は二種あるのだと解った。<br>　その光で、校庭に散乱していた魔物の死骸はまるで原子に還るように消えていく。<br>　剣を構え威嚇するサマルトの後方で、ムーンが驚愕の瞳で光を見つめる。魔物の死骸を打ち消した時点で、憶測だが追っ手ではないと直感した。しかし、味方が来るとは思えない。一体、何が起きようとしているのか検討がつかない。瞳を細め、予期せぬ事態に唇を噛み締める。　<br>　二つの光の中に、人影が揺らめいた。<br>　万が一に備えて攻撃態勢は崩す事無く、しかしムーンは強張らせていた身体の力を抜く。<br><br>「大丈夫よ、サマルト。……あれは敵ではなさそう」<br><br>　暫し射抜くように見つめていたが、冷静さを取り戻しサマルトの肩に手を置き宥める。<br>　ムーンにそう諭されて、怪訝にサマルトも光をまじまじと見つめた。不機嫌そうに渋々剣を鞘に戻したものの、眩しそうに光を見つめるアサギは背に隠したままだった。<br>　光が朝霧を払うように薄れていくと、ムーンは迷う事無くそちらへと歩み寄る。<br>　目の前には、七人の人間。こちらへ向かってきている。<br>　乾いた校庭の砂が、妙に音を立てる。近づく足音に警戒を解いたムーンには、何者なのか予測がついていた。<br><br>「やはり、ムーン王女。久しゅう御座います、憶えておられますか？」<br>「あぁ、アーサー殿でしたか。本当に御久し振りです、まさかお会いできるとは」<br><br>　一人がムーンを見つめ、やんわりと笑みを浮かべて話し掛ける。安堵し、先程とは違ってまだ幼さの残る笑顔でムーンもそれに応えた。<br>　二人は顔見知りだった。<br><br>「アーサー殿がこちらへ来た目的は……やはり、勇者を？」<br>「えぇ、お察しの通り。ムーン王女もですね？　それから……あちらの方々もその様子、何者なのかは存じませんが」<br><br>　アーサーが一瞥した先には、ムーンが知らない人間が立っている。<br>　何処となく雰囲気から気品漂うアーサーと違い、その六人は粗野な感じがした。王女であるムーンが、あまり接しない階級の者達である。差別はしないが、やはり育ちからか抵抗が表面に出てしまった。その中の女性が、薄布を纏い肌を露出させていたので嫌悪感を覚えてしまったこともある。<br>　そんな様子に気づいたのか、そ知らぬふりをしたのか。アーサーは恭しく跪きムーンの手を取ると、その右手に口付けを落す。もう一組の団体を気にする様子もなく、サマルトの背から顔を覗かせたアサギへと視線を移す。<br><br>「あの子が、勇者ですか」<br>「そのようです」<br><br>　アーサーには勇者の片鱗が見えたのだろうか、ムーンは満足そうに頷く。一見普通の少女にしか見えないが、よくも分かったものだと感心した。<br>　返事を聞くと、アーサーは颯爽と立ち上がり優雅な物腰でアサギに会釈をした。ムーンの手を恭しく引きながらアサギに近づき、眼下でそっと跪く。<br><br>「一目でわかりました、勇者殿。初めてお目にかかります、私は惑星チュザーレのアーサーと申します。ボルジア城で賢者の称号を得ました、お会いできて光栄です」<br>「あ、えっと、初めましてっ。浅葱といいます。よろしくお願いします」<br><br>　慌てて頭を下げるアサギの初々しい動作に軽く吹き出し、アーサーは立ち上がると、その頭部を優しく撫でた。そうして右手首を掴み、手の甲に唇を寄せる。<br><br>「ですが、あまりにアサギの手首は細く、折れてしまいそう。華奢な花の茎、丁重に大切に、この私が御守致します」<br><br>　芝居がかった口調は、ただのヤサ男にしか見えない。<br>　咳払いするムーンにはお構いなしで、アーサーは微笑み続けた。　<br>　この様な扱いを受けたのは初めてだ、どう反応してよいのか解らず、困惑してアサギは俯く。テレビや映画、はたまた漫画で観たラブロマンスドラマに出てくる男性の様である。現実に存在する事に驚いたが、異世界の人ならばこれが普通なのかもしれない。<br>　しかし、どうにも慣れない。<br>　ムーンですら、アーサーのアサギへの態度に遺憾を覚えていた。それこそ、口説いているようにしか見えない。<br>　その隣では、不貞腐れ気味のサマルトが唇を噛み締めている。<br>　確かにこのアーサーという男、若くして賢者の地位に登り詰めただけあって、実力は目を見張るものがある。それはムーンも知っている、評判は耳に入ってきた。しかし反面、どうも女性に対しての態度がいけ好かない。誰にでも大袈裟に姫扱いし、軟派な感じがする。あるまじき事だが、好色なのだろうか。<br>　ムーンは、眉間に皺を寄せてアーサーを見つめた。<br>　舌打ちしたサマルトが、当惑したままのアサギと手を離さないアーサーの間に割って入った。胸を張り、大声で声高らかに叫ぶ。<br><br>「俺はサマルト。何度か会った事もあるだろう、よろしく」<br>「……はぁ」<br><br>　暫し記憶の糸を辿り、宙の一点を見つめていたアーサーだが、その末に出た言葉は。<br><br>「思い出しました、各国の王子の中で一番尻の青いガキ臭い王子。乱暴物で無頓着、目に余る行為……の、サマルト王子ですね」<br>「うっわぁー、すげぇコイツむかつく」<br><br>　穏やかな笑みを浮かべたまま、棘を隠す事もなく淡々と言葉を紡いだアーサーに、サマルトは憤慨して思わず拳を強く握った。<br>　確かに頭に血が上りやすいサマルトもいけないのだが、それでもそのアーサーの表現の仕方はどうなのか。挑発したのか、素で出た言葉なのかムーンには見当がつかない。<br>　歯軋りしながらアーサーに身体を震わせるサマルトの傍ら、ムーンが最も深くて長い溜息を吐く。<br><br>「サマルトには勝てない相手よ。彼、口が達者だもの」<br><br>　サマルトの耳元で、そう囁く。<br>　しかし、仮にも王子である。魔王に侵略され危機に瀕している王国であれども、王子である。<br><br>「く、屈辱だっ。俺を誰だとっ」<br>　<br>　そんな様子を肩を竦めて見守っていた、すっかり放置されていたもう一組の団体が近寄ってきた。先頭の妖艶な美女は、アサギに真っ直ぐ進んでくる。<br>　意図に気づいたアーサーが、憮然として美女の正面に立ちはだかった。<br><br>「ちょっとぉ、話を進めないでくれる勝手に。勇者を祭り上げないで、その子は私達の勇者なのだから」<br><br>　紫の流れるような髪、暗闇で光る猫のような鋭い瞳、抜群の豊満な身体、瞼にたっぷり光る粉、唇は魅惑の真紅。声は少し低めだが、妖艶さを持ち合わせている。<br>　アサギは海外モデルのようなその美女に、思わず感嘆の溜息を漏らした。思わず溜息を零してしまう、異世界の人々は器量が良いのだと必然的に思ってしまった。<br>　美女は、サマルト、ムーン、アーサーに挑発的な視線を投げかけ、最後にアサギを神妙な面持ちで見つめる。口元に笑みを浮かべると、視線を逸らさずに堂々と宣言した。<br><br>「この子は、私達惑星クレオの大事な勇者。奪わないで」<br>「はぁ！？　何を勝手に！　俺達の勇者であるという、この碧石が証拠。何を根拠にそんなことを」<br><br>　サマルトが慌てふためいてアサギの手首に嵌っている光る石を、堂々と美女に見せ付けた。<br>　しかし臆することなく自信たっぷりに、美女がアサギの手を取る。<br><br>「よく観て頂戴。彼女に相応しいのはこちらの石。翠の石、クレオの勇者の石」<br><br>　高笑いしながら、勝ち誇った様にサマルトにアサギの手首を見せ付けた。<br>　カシャン。<br>　碧石が虚しく地面へと落下し、代わりにアサギの手首には翠の石が埋め込まれた腕輪がある。<br>　サマルトの絶叫が響き渡った、無残に地面に落ちた勇者の腕輪をすぐさま拾い上げると、無意味に撫でた。傷でもついていたら大変だろうが、撫でたくらいで直るわけでもない。<br><br>「馬鹿なっ、この子に間違いなく俺達の腕輪が填まっただろう！？　何故外れた」<br>「先に貴方達がこの子に出逢った……惑星クレオの勇者であるにも関わらず、惑星ハンニバルの石に反応した、ということは。勇者としての器があまりに巨大すぎて、反応してしまった……と考えたけれど、私は」<br><br>　勇者としての器が、あまりにも巨大すぎて。<br>　シン、と静まり返った中で、一人アサギだけが首を傾げる。<br><br>「あのー、お取り込み中のところごめんなさい。質問しても良いですか？」<br>「何かしら、どうぞ」<br><br>　アサギの視線へ合わせる為に腰を屈めた美女は、にこやかに笑う。<br><br>「勇者って……そんなにたくさん存在するものなんですか？　一人じゃなくて？」<br><br>　率直な質問だった。<br>　話を聞いた限りでは、自分以外にも勇者が居るらしい。勇者というのは、一人だけだと思っていた。アサギは混乱気味に、自分の手首に填まっている腕輪を見つめる。<br>　美女はゆっくりと微笑むと、共に来た団体の一人を手招きして呼び寄せた。<br><br>「説明、するわね。まずは、私はマダーニ。そのひょろ長い戦士っぽいのがライアン。巨乳の娘がアリナで、後ろのじーさんがブジャタ、女の子みたいな線の細い男がクラフトで……」<br><br>　解りやすいような解りにくいような、そんな説明をされたメンバーは苦笑いをしている。手招きされて近寄ってきたマダーニに似た容姿の少女が、微笑してお辞儀をした。<br><br>「この子が私の妹のミシア。というわけで、ミシア、交代」<br><br>　ぽん、と肩を叩いて一歩下がると、ミシアを前面に出す。<br>　物静かそうな少女は遠慮がちに軽く礼をし、アサギに微笑みかけた。<br><br>「勇者を渇望している惑星が、現時点で四つ存在致します。ネロ、ハンニバル、チュザーレ、クレオ。話を聞いていた限りでは、サマルトさん、ムーンさんがハンニバルから、アーサーさんがチュザーレから……合っていますよね？」<br><br>　三人を見て同意を得ると、ミシアは安堵した様に溜息を吐いた。<br><br>「勇者、は『世界が混沌の危機に陥った時、伝説の勇者が石に選ばれ世界に光をもたらす』とされています。石は各惑星に存在します。だから、勇者が数人存在するのです」<br><br>　ミシアがゆっくりと、手にしていた直径十センチほどの水晶球を胸で優しく抱き締める。瞳を閉じ何かしら詠唱すると、その水晶球が淡く光り始めた。それは煙のように何本か白い帯を発し、ふわり、と風に流されるように宙を舞う。まるで、何かを探すように。<br>　一本は当然のように、アサギの目の前で静止した。その帯は白から翠へと色彩を変えている、丁度腕輪の石と同じ色だった。<br>　残る帯は……五本存在している。<br>　固唾を飲み込み、その帯を見つめる一同。不安の期待が入り混じる視線を受け、焦らす様にゆっくり、ゆっくり、帯は伸びる。<br>　やがて帯は生徒達の間を掻い潜って、終点を探し当てたようだ。アサギは思わず声を張り上げて、帯の前に立っていた見知った人物の名を叫んだ。<br><br>「友紀っ」<br>「浅葱ちゃんっ」<br><br>　親友の友紀が、怯えた瞳で帯の先端を見つめている。その目の前に伸びた帯は銀色で、何時の間にやら琥珀色の石が填まっている首飾りが帯の先端に浮かんでいた。<br>　友紀はそれを恐る恐る手に取ると、ごく自然な動作でそれを首へとかける。鎖骨でやんわりと光るそれを見つめてから、戸惑いがちにアサギを見た。<br><br>「ネロの、勇者の片割れ」<br><br>　小さく呟いたミシアに、アサギは弾かれて友紀へと駆け寄った。見れば他のメンバーも顔見知りばかりだ、全員同級生である。<br>　友紀と同じ琥珀色の石が填め込まれた腕輪を、怪訝に見つめている実。<br>　先程までアサギの手首に填まっていた碧の腕輪を手にしているのは、健一。<br>　紅の腕輪を左手に填めて健一と会話しているのは、大樹。<br>　そしてアサギと同じ翠の石の腕輪を填めているのが、朋玄。<br>　実は、忌々しそうにその腕輪を見つめたまま動かなかった。健一、大樹、朋玄は三人で集まって何かしら会話をしている。<br><br>「実君も勇者みたいだね」<br><br>　“勇者”の意味を理解していない友紀が、笑顔でアサギに語りかけた。修学旅行で同じ班に選ばれた、的な感覚で言ったのだが、それは大間違いだ。美しい宝石に選ばれて、友紀は多少高揚していた。<br>　反して不安そうに小さく友紀を見たアサギは、不機嫌そうな実を気にしながら小声で語る。<br><br>「なんだか、迷惑そう」<br>「そんなことないよ、みんな友達だもの。大丈夫」<br><br>　親友のアサギと同じだったことが嬉しくて、友紀は安心感に包まれていた。その為、実を心配するアサギを励ました。彼女にはこの時まだ余裕があったのだ、“異世界で勇者になる”……ゲームや漫画でも有り触れているが、友紀はその類の物を手に取り目にしたことがなかった。つまり、その意味を全く理解していなかった。彼女が読んでいた書物は、異世界へ行き素敵な男性達と出会い恋に落ちる、という類のものである。<br><br>「浅葱、お揃い」<br><br>　嬉しそうに駆け寄ってきたのは朋玄だ、アサギと同じ色の石を持っている。皆に見えるように誇らしげにそれを空に掲げると、反射して光り輝く。<br>　生徒会長である、朋玄。茶色気味のさらさらな髪、校内で美少年といえば名の上がる、勉強も体育も得意な少年だ。故に、優等生のアサギとは何かと仲が良かった。ちなみに朋玄もそんな環境から『アサギと釣り合うのは自分しかいない』と思い込んでいる、多少自信過剰な少年である。<br>　それが、恋かは別として。<br><br>「石の色で、どの惑星の勇者かが判別出来るみたいだね」<br>「浅葱と俺が一緒、実と友紀が一緒。……健一と大樹は違うみたいだな、四色ある」<br><br>　遅れて二人も合流し、互いに石を見せ合った。<br>　健一は純粋な黒髪の大きな瞳が印象的な、まだまだ可愛らしい顔立ちの少年だ。背も低く、アサギや友紀と大して変わらない。<br>　大樹が小学六年生にしては長身で、大人びた少年だった。百七十センチ近い為、電車の運賃が子供料金で乗ろうとすると止められる……という本人にしたら傍迷惑な、けれども少年達から見たら羨ましい身長の持ち主である。一番落ち着いて見えるのだが、それも本人的には不本意なものだった。<br>　集合し始めた異世界の勇者達をしげしげと見つめていた一同だが、健一を見るなり、ムーンとサマルトが同時に鋭く叫んだ。<br><br>「ロシア！？」<br>「似ている、ロシアに……数年前のロシアにそっくりだ」<br><br>　声の大きさに驚いた健一は、不安げに二人を交互に見つめていたが、どうしてよいか分からず軽く頭を下げた。挨拶のつもりだった、ロシア、と言われても国名しか思い出せない。<br>　ムーンとサマルトが指すものは無論国家ではない、人名だ。<br>　健一の腕には碧石がある、間違いなく惑星ハンニバルの勇者の証。先程まで、アサギがその腕に填めていたものだ。<br>　低く唸るサマルトとムーンは微かに身体を震わせて、知らず涙を零しながら健一を見つめた。<br><br>　……あぁ、そうだ、ムーンはロシアに想いを寄せていたんだ。<br><br>　ムーンが人前で泣く事など、滅多にない。それでも感極まって零れてしまった美しい涙に、サマルトは彼女の淡い恋心を思い出していた。そうして、似ている健一を改めて値踏みするように見つめる。<br>　ロシアは数ヶ月前、魔物に襲われたムーンを庇って息絶えていた。本来ならばロシアもこの場に居る筈だった、五カ国の若い王族の中で最もリーダー意識の高かった王子である。剣の腕前では右に出る者がいないと言っても過言ではなかった。彼を先頭に、盛り返す予定だったのだ。<br>　まさか、捜していた勇者がロシアに似ているとは不測の事態である。<br><br>「認めざるを得ない、か。解った、彼が俺達の勇者だ」<br><br>　呟いたサマルトに、ムーンが神妙に頷く。溢れていた涙をそっと指ですくうと、微笑した。熱の入った視線を思わず送ってしまったことなど、本人は知らない。懐かしさゆえか、高ぶっている緊張感で色恋事と錯覚したのか。<br>　隣では、アーサーが大樹を見つめている。大樹の腕には紅石がある、それは惑星チュザーレの勇者である証だ。<br><br>「彼が我らの星の勇者、ですか」<br><br>　何処となく残念そうに呟いたアーサーは、肩を竦める。<br>　選ばれし勇者は、“六人”存在した。<br>　マダーニが中心に躍り出ると、綺麗な透き通るソプラノの声で語り出す。<br><br>「揃いし六人の勇者様。あなた方を御守りし、共に魔王を倒すこと……それを約束いたします。どうか共に戦ってください、準備は宜しいですか」<br><br>　ミシアが水晶を掲げて詠唱に入った、空間が歪み校庭に一箇所、摩訶不思議な空間が出来上がる。ぼんやりと、向こう側に純白の建物が浮かび上がっていた。空間の歪が見える、映画の世界で見たように、目の前の風景が不確かなものに思えた。<br>　皆、固唾を飲んでそれを一心不乱に見つめる。足が震えだす、これは現実だ。まやかしでは、ない。<br><br>「惑星クレオ、神聖城クリストヴァルへの道です」<br><br>　マダーニが腕を差し伸べる、道を作るように左右に別れて微笑している惑星クレオからの使者達を見つめると、アサギは堂々とその道の前に立った。<br><br>「私、行きます。お願いします」<br><br>　躊躇なくアサギがそう答え、その道へと進んでいった。断る理由がアサギには見当たらない、待ち焦がれた世界が目の前に存在するのだから。自ら飛び込むしかない。選択肢は、常に一つ。<br>　迎え入れる様に、風が頬を撫でる。胸いっぱいに、その空気を吸い込む。<br><br>「なんだか、とっても懐かしい空気」<br><br>　呟いた台詞に皆微笑んだが、現時点でアサギの言葉を理解した者等いない。<br>　もし、居たのならば。<br>　この物語は、別の話になっていただろう。結末は、同じだとしても。懐かしくて当然だ、以前アサギはは“そこに居た”のだから。<br><br>　勇者と呼ばれた、勇者に選ばれた、ならば応えよう。<br>　サマルトとムーンが現れ魔物と対峙した時点でアサギは決めていた。この世界に、足を踏み入れよう。<br>　幼い頃から夢があった、勇者になりたかった。勇者になりたかったのは、誰かを救えるから、大勢の人を救えるから。大勢の人を笑顔にしたら、自分にも良いことが返って来るはずだから。<br>　だから勇者になる、私は勇者になる。<br>　良いことをすれば、良いことをしていれば、いつか、きっと。<br><br>「いつか、きっと」<br><br>　無意識のうちにアサギは唇を動かすが、それは誰にも聞こえない。<br>　アサギが行くなら、と友紀が続いた。スカートの裾を掴み、戸惑いながらも進んでいく。<br>　無論、朋玄も胸を張り堂々と二人の後方から進んでいった。釣られるように、健一と大樹がその後ろをついてく。<br>　その様子を見つめながら、慌てふためき道を遮ろうとしたのはサマルト、ムーン、アーサーだ。勇者が全員自分達とは別の惑星へ行こうとしている、それは困る。ここまで来た意味がなくなってしまう。<br><br>「ちょ、ちょっと待った！　待った、待ったっ」<br>「言いたいことは解るわ。安心して、サマルト君。あなた方にも惑星クレオへ来て戴くのよ」<br><br>　マダーニのその発言に、サマルトは絶句し、立ち尽くす。混乱する彼に代わり、ムーンが怪訝にマダーニに詰め寄った。<br>　責める様な視線をもろともせず、マダーニは口を開き、髪をかき上げる。<br><br>「ハイ、だった？　あなた方ハンニバルの魔王の名前。そいつも、チュザーレの魔王ミラボーってのも、すっごい迷惑なんだけどクレオに来ちゃったの。何かしらね、魔王連合軍でも作るのかしら？」<br>「な、なんだって！？」<br><br>　心底嫌そうに舌打ちしながら、マダーニは腕を組んで仁王立ちになった。訝しみながらも、顎に手を添えて意味深に頷くアーサーは若干納得したようだ。<br><br>「……ここ最近、魔物の動きに変化が生じていたのは、私達も気にかかっていたのですが。魔王が惑星を移動した、と？　本当ならば、私もクレオへ行かなければなりませんね。事の真偽を確かめねば」<br>「待て待て待て、上手い事言って、惑星クレオだけ救う算段じゃないだろうな？　どうやってソレを知ったんだ？　宣戦布告に来たわけじゃないだろ、魔王がわざわざ来るなんて有り得ない」<br><br>　反発するサマルトに、気怠くマダーニは告げる。<br><br>「魔王自身の姿を確認したわけじゃない。けれど、魔物の種類が増加して、明らかに別世界の奴らが徘徊している。それは私も気付いていたのだけれど、確信したのは今から行く神聖城クリストヴァルの神官達が、魔王の集結を予言したからよ。その話を聞いて……現在に至るわけ」<br>「何より、こうして別の星の勇者達が一同に集まり、その場所に我らが集結した……そう、まるで不可思議な運命の路に足を踏み入れて導かれたような、そんな状況下ですじゃ。信じてくだされ」<br><br>　押し黙っていた最年長のブジャタが、咳き込みながらそう語る。<br><br>「身内を誉めるのもなんだけど、妹のミシア。この子もそんな夢を見た、この子の力は信用して良いと思う」<br><br>　ミシア、と呼ばれた水晶を持っていた神秘的な美少女がやんわりと微笑む。マダーニと対照的で、彼女からは何かしら不思議な魔力を三人は感じ取った。姉妹らしいが、容姿以外は似ても似つかない。静と動、水と火、と表現したら良いのだろうか。<br>　ムーンが意を決してマダーニに頭を下げる、認めたのだ。面白くなさそうにサマルトも、それでも同意した。アーサーも、観念したように頷き決意する。<br>　皆が全員、次の路へと進もうとした時だった。<br>　アサギが弾かれたように一点を見つめる、そうなのだ、一人足りない。<br><br>「お前らさ、何考えてんの」<br><br>　名を小さく呼ぶアサギは、思わず友紀の手を力強く握り実を見つめる。その手が震えていることを、友紀だけが知っていた。<br>　実だけが、輪を離れてこちらを睨んでいた。<br>　その視線は、こうなることの元になったアサギを睨みつけている。恨みがましいその瞳に、アサギは申し訳なく肩を竦ませるしかなかった。縮こまり、気落ちして地面に瞳を落とす。<br><br>「新しいソフトを買った、ゲーム機に差し込んだ。主人公に名前をつけて冒険の旅に出た、敵を倒してレベルが上がった……なら、いくらでも俺もやる。得意分野だし。でもさ、勇者って俺達だろ？　どうやって戦うわけ？　死んだらどうなるわけ？　なんでそんな簡単についていっちまうかな。俺は絶対行かない」<br><br>　アサギを鋭く睨みつけ、実は怒鳴る。<br>　まぁ、正論だろう。<br>　視線に耐えられず、後退するアサギを庇って朋玄が前に出た。<br>　アサギが行くと言い出し、それに釣られて皆が行くと言い出したのだから、実にとってアサギが最も邪魔な存在であることは間違いない。それに、実がアサギのことを嫌悪しているというのも、朋玄は知っている。実際は、その“先”も知っていたが。<br>　自分の意思とは裏腹に、勇者に仕立て上げられた現状が実には気に食わないのだろう。誰かに釣られて同じ行動をするのが、実は大嫌いだった。幼馴染の朋玄だからこそ、解る。<br>　こうなることは、お見通しだった。だから、然程驚かない。寧ろ、冷静に対処する。<br><br>「実は来なくてもいいよ。俺は行くけど」<br>「朋玄が行くのってさぁ、田上が行くからだろ？　勇者ってそんな動機でなっていいわけ？」<br><br>　実の挑発に怯む事無く、自信有り気に朋玄は微笑んだ。<br><br>「浅葱と俺は同じ星の勇者らしい。浅葱を護ることこそ、勇者である俺の使命な気がするんだ。それに、大事な浅葱を一人で行かせるわけにはいかないからね」<br>「あっそ、勝手にすれば？」<br><br>　よくもまぁ恥ずかしげもなくぽんぽんと言葉が出るよな、朋玄。……そう悪態ずいて石を蹴り上げると、実は他の生徒達の輪の中へと入っていく。<br>　決別した。<br>　呆然と立ち尽くし、アサギは実を見つめる。同じ勇者の中に実の姿を見つけた時、とても嬉しかったのだ。親友の友紀しか知りえない事実だが、アサギは実が気になっていた。気になっていた、というか片想いをしていた。実に嫌われているという自覚はあったのだが、勇者になって色んな冒険をしていたら“また”以前のように仲良くなれるのではないかと、淡い期待を抱いてしまった。<br><br>『あさぎちゃん、おっきくなっても、なかよしでいようね』<br><br>　幼稚園時代の事だ、アサギは実と大変仲が良かった。<br>　しかし小学校へ行ったら、実がいなかった。引越ししていた事を知らなかったのだが、小学四年生になったら、転校生として実が戻ってきた。<br>　アサギは一瞬で幼稚園で仲が良かった実だ、と、解ったのだが実は全くアサギの事を憶えていなかった。また以前の様に親しくしていたら思い出して貰えるかもしれないとも期待したが、優等生で誰からも好かれているアサギと、問題児で先生に叱られ、先月は線路に石を置いたとかで警察に呼び出された実は正反対である。<br>　優等生と、問題児。<br>　アサギは優等生の朋玄と何かしら噂されていたが、実との噂は当然誰もしてくれない。接点があることすら、知られていない。<br>　そもそも、実際のところアサギは実の口から「田上浅葱が嫌い」と聞いていた。<br>　昨年五年生、今年と同じ様に違うクラスだったアサギと実。実のアサギ嫌いは有名で「男子生徒が一体何故か」と訊いていた。<br><br>「実って変わってるよなー。田上の何処が嫌いなわけ？」<br>「お高くしてるとこ、優等生ぶってること、自分が正しいと思ってること。誰にでも好かれてると思っているとこ、などなど」<br><br>　さらり、とまるで訊かれるのを待っていた様に、躊躇せず実は友達に言った。そうかー？　と首を傾げる友達に、実は面白くなさそうに吐き捨てる。<br><br>　……そら見ろ、お前らだって田上浅葱主義者じゃないか、そういうのが気に食わないんだよ。<br><br>「嫌いなもんは、嫌い。大嫌い。俺は田上浅葱が大嫌い」<br><br>　その実の肩を友達が揺さぶって叫び声を上げたのだが、遅い。教室の入り口に、アサギ本人が突っ立っていた。クラス中が、通夜の様に静まり返った。<br>　なんてタイミングが悪いんだと、全員がアサギに同情した。<br>　唖然とその姿を見つめ、実は急速に青褪める。居るなんて知らなかった、クラスが違うから、来るなんて思っていなかった。<br>　アサギは沈黙するクラスに足を踏み入れると、同じ生徒会役員の朋玄を呼び、気にするわけでもなく笑顔でノートを手渡した。生徒会の次の議題が書かれているノートだ、それを届けに来ていたのだ。<br>　泣きもせず、怒りもせず、アサギは普段通り手を振って教室から離れていく。<br>　慌てふためく一同は、密やかに「アサギが可哀想、大丈夫かな」と彼女の心配をした。<br>　実は、窓から空を見ている。雨が朝から降り続け、豪雨となっていた。<br><br>「お、おい、いいのかよ、実」<br>「全部聞いていたみたいだけど……あれは拙いよ」<br><br>　反論するとか激怒するとか、泣くとか。何かリアクションしてくれればよかったのに……実は小さく、そう呟いた。<br><br>「いいよ、別に。クラスだって違うしさ、顔を合わせる機会なんてないし。俺に嫌われててもどうってことないんだよ、相手にしてねーんだよ」<br>「は？」<br><br>　小声で言い終えたら急に苛立ちが増し、椅子を蹴り上げる。椅子が盛大な音を立てて倒れ、女子が悲鳴を上げた。朋玄が近寄って来て説教をしているが、言い争う気にもなれなくて実は無視した。<br>　<br>　……いいんだよ、別に。<br><br>　口籠ってそう呟くと、窓際まで移動し流れ落ちてくる水滴を見つめる。<br>　だから、実は知らなかった。<br>　毅然と去ったアサギが、廊下に出て自分の教室へ戻る途中で号泣していたことを。雨と同じ様に、瞳から大粒の涙を零していたことを。<br>　誰も、知らなかった。<br><br>　そんな過去があったからこそ、アサギは、実に声をかけられない。疎ましく思われている事を、痛い程身に刻んでいる。一緒に行こうよ、そう言いたかったけれど、言ったところでどうにもならないのは、十分承知の上だ。声をかけても拒絶され反発するだけだろう、出掛かった言葉をアサギは飲み込む。<br>　今は幼馴染の朋玄が頼みの綱だ、祈るような気持ちで見つめる。それしか、アサギには出来なかった。<br>　しかし、期待の眼差しを後方から受けているとも知らずに、悪びれた様子もなく朋玄の口から飛び出た言葉は。<br><br>「うん、じゃあいいや。一人くらい勇者が居なくても平気だろうし。その分俺が頑張ればいいよね、じゃ、意気地なしの実。また何処かで」<br><br>　そんな言葉！？　喉の奥で悲鳴を上げて、出掛かった言葉を読み込んで。アサギは絶望し友紀の手を強く握る、もう駄目だ、と思った。眩暈がする、狼狽した健一と大樹も、朋玄に言い直すように説得を始めたようだ。<br><br>「誰が意気地なしだ！」<br><br>　案の定火に油を注いだらしい、実は憤慨して朋玄に詰め寄る。<br>　結果的に、実はこちらへ戻ってきた。気に食わないと言葉より力で返すタイプだ、今にも殴りかかろうとしている。<br><br>「えー、本当のことだろ。怖いんだろ？」<br>「怖くはないけど、簡単に受け入れるのが変だって言ってるんだよ」<br>「受け入れられないのは、怖くて自信がないからだろ？」<br>「違うって言ってるだろっ」<br>「じゃあ来ればいいじゃん、怖くないなら来いよ」<br>「あーあー、解ったよ、行くよ、行くっつってるだろっ！」<br><br>　捨てた勇者の石を拾い上げ、実は大股で朋玄に近寄ると、右手の拳で殴りつけた。<br>　が、それを難なく受け止める朋玄は、不敵に笑う。<br><br>「意気地なしでないことを証明してやるよ」<br>「精々頑張れば？」<br><br>　鼻で笑い、朋玄はマダーニに向き直った。<br><br>「手間取らせて、ごめんなさい。そういうわけで、勇者、全員行きます」<br><br>　一時はどうなることかと思ったが、膝が揺れる程安堵したアサギは、友紀に凭れ掛かる。<br>　朋玄なりの、実の説得の仕方だった。こうなることは、解っていた。手慣れたものである。　<br>　健一と大樹に話し掛けられ、幾分か実は冷静さを取り戻したようである。そして軽く青褪めた、朋玄の策略にまんまと嵌められたことに。舌打ちして睨みつける実だが、朋玄は勝ち誇ったように腰に手を当てて満足そうだ。<br>　ようやくアサギも張り詰めていた緊張を解くと、笑みを零した。<br><br>「何？　実が来たほうがよかった？」<br>「も、もちろん。みんなで仲良く協力しなきゃ」<br><br>　話しかけてきた朋玄に、不意に本心を突かれてアサギは狼狽えて返事をする。朋玄はそんなアサギを気にする様子でもなく、気さくに微笑む。<br>　こうなることは見透かしていたように、マダーニは軽く笑って仲間達と頷き合う。<br><br>「じゃあ、行くわよ！」<br><br>　声を合図に、光が全員を包み込んでいった。校庭に残る教師と生徒達は、唖然とその光景を見守る。<br>　理解し難い状況で何をどうすればよいのだろう、これは夢だ夢に違いない。<br>　一人、その中で全力で走り出す少年がいた。三河亮、アサギの幼馴染だ。<br><br>「浅葱っ！」<br>「みーちゃん、行ってくるね！」<br><br>　アサギはまるで旅行へ出向くかのように、楽しそうに亮に手を振る。光の、薄れていく中で。<br><br>「待て、行くな！　僕も行くから！」<br><br>　無我夢中で亮は手を伸ばす、光の中へと手を伸ばす、だが、無常にもそれは弾かれた。<br>　勇者でない者は、立ち入るべからず。<br>　亮は目の前で掻き消えていくアサギを見つめながら、唖然と、自身の手を見た。<br><br>「どうして、どうして僕は選ばれなかった……？　そんな筈はない、僕は、僕こそが！」<br><br>　残された全員に、その言葉が届けられた。<br><br>　……勇者の器って、なんだろう、何を基準に選ばれたのだろう。<br><br>　悔しそうに顔を歪めて、校庭を踏み鳴らす亮。<br><br>「浅葱の傍に、いなければいけないのにっ！」<br><br>　傍を離れてはいけない気がしていた、けれども、一緒にいられない。誰か勇者を代わって欲しかった、実が行かないのなら自分が行くつもりだった。<br>　捨てられていた勇者の石を拾うため、亮は近くにまで歩み寄っていたのだ。実に、行って欲しくなかった。<br><br>　……どうか、どうか、誰か、彼女を護ってくれ。僕が傍にいられないのなら、誰か別の人間が、彼女を護ってくれ。<br><br>　亮の周りを風が吹き荒れる。砂塵が舞って、校庭に残された一同が再び叫び声を上げた。風が、物悲しく地を這う。離れてしまった大事な娘を捜すように、一陣の風が舞う。<br>　亮の身体から、風が巻き起こって吹き荒ぶ。<br><br>「浅葱っ！」</p>
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<link>https://ameblo.jp/destiny-taba/entry-12449319289.html</link>
<pubDate>Sun, 24 Mar 2019 17:25:32 +0900</pubDate>
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<title>ＤＥＳＴＩＮＹ第一章～それぞれの路へ～：“勇者”</title>
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<![CDATA[ <p>　ネズミの身体を一突きにしたサマルトが軽く安堵の溜息を吐きながら、大事な相方を探す。見ればムーンも敵を一掃したようだ。無傷であり、呼吸すら乱れておらず、平然としている。彼女の魔力はサマルトが一番良く知っていた、杞憂だったが、無事を確認し胸を撫で下ろした。<br>　危機は去ったと確信し、まるで身体が宙に浮いてしまうような興奮が身体中を支配する。サマルトは真っ直ぐにアサギに向かうと、有無を言わさず手を取り握り締め、力強く振り回した。<br>　突然の事に驚いた浅葱だが、無邪気なサマルトに思わず笑みを零し、されるがままになっていた。<br><br>「お会いできてよかった、オレはサマルト。惑星ハンニバルのシーザー城第一王子・サマルトと申します」<br>「初めまして、私は田上浅葱といいます。よろしくお願い致します！」<br><br>　飛び切りの笑顔を向け、浅葱は深々とお辞儀をした。ぺこりん……そんな擬音が似合う。<br>　サマルトは、可愛らしい動物や幼子を見た時のような、胸を締め付けられる愛おしさを感じた。間近で見て、浅葱の美しさに驚嘆もした。一気に、視線も心も奪われたように浮足立ってしまう。王子として過ごしてきた彼であったが、その美しさは今まで見てきた何よりも素晴らしく尊いものに感じた。<br>　浅葱の破顔に、サマルトも釣られて笑う。<br>　姿を見た時は、あまりにも小柄な少女だったので勇者ではないと思った。というよりも、勇者であっては困ると思った。脆弱な娘にしか見えなかったのだから。しかし、勇猛果敢に臆することなく敵へと突撃し、見事な連続攻撃を繰り出していた姿を観て心から謝罪した。力量を目の当たりにすれば、信じざるを得ない。<br>　何より、サマルトが自国より丁重に運んできた“碧き勇者の石”が、浅葱に反応したのだ。<br>　それは“勇者にのみ反応する”とされている伝承の石である。銀細工の腕輪に石が填め込まれている為、一見高価な装飾品にしか見えない。<br>　サマルトが懐からそれを取り出すと、真っ直ぐに石は浅葱を指し示した。腕輪はサマルトの手によって、浅葱の手首へと収まった。その際、極度の緊張状態であったサマルトの手が震える。あまり同年代の異性と接した事はない、そこにいるムーンくらいだった。初めて胸の高鳴りを覚えた相手の華奢な手首に触れた際、火花が散ったかと思った。良い香りまで漂い始めた気がした。意識が、朦朧としてしまう。<br>　まるで、甘い香りに満ちた花畑の中にいるように。<br><br>「タガミ……アサギ。では、アサギ、と呼べば良いのでしょうか」<br><br>　どぎまぎする心をひた隠し、サマルトは努めて紳士的に振る舞った。<br><br>「あ、はい、アサギで良いのです」<br><br>　アサギは再度深々とお辞儀をした。照れ笑いを浮かべているサマルトに首を傾げつつ、一度整理してみようと頭を回転させる。<br>　突然光の中から、サマルトとムーンが現われた、追うような形でネズミが空から降って来た。ムーンが魔法を唱え、サマルトは細身剣で攻撃し、今しがた勝利した。<br>　とくん……アサギの胸が跳ね上がる。今になってようやく“戦った”という実感が湧いて来た。ネズミを素手で攻撃した時は全く気にならなかったのだが、急に足が震え始る。遅れて恐怖心を煽られたからではない、これから起こるであろう出来事への武者震いだった。ようやく、夢物語が叶いそうなのだから。<br>　不意に訪れた異世界からの訪問者はまだ目の前にいる、これは現実だ。<br>　自分は勇者らしい、ということが発覚した。願っていた事だった、勇者になったら、やりたいことがあったのだ。地球上には魔物もいないし、魔法も使えない、友達に夢を話すと笑われ頭を撫でられた。<br><br>　……ほら、やっぱり！　実在したでしょ、こんな世界。だって、私は。<br><br>　嬉しそうに呟き、アサギは知らずと口角を上げていた。<br><br>「お会いできて光栄でございます、悲願が達成出来、恐悦至極。共に戦ってくださいますね、勇者」<br><br>　華やいだ声色、おっとりとした口調で柔らかな物腰のムーンが歩み寄って来る。<br><br>　……なんて、綺麗な人！　<br><br>　アサギは息を飲み込み、照り輝いているように美しいムーンを見つめた。隠し切れない気品は、清楚で気丈な“お姫様”を彷彿とさせている。先程魔法を扱っていた姿からは想像出来ないほど、優美だった。羨望の眼差しで、アサギはムーンを見つめる。<br><br>「私の名は、ムーンと申します。サマルトとは幼馴染です、ジャンヌ城の第一王女でした」<br><br>　真正面に立ったムーンは、優雅に礼儀正しくお辞儀をした。慌ててアサギもお辞儀を返す、粗相があってはいけないと深く腰を折り敬意を示そうとした。<br><br>「一先ず、説明いたしましょう。この場所は私達の住んでいた場所と根本的に違う様子ですから、上手く説明が出来るか……不安を感じますが」<br><br>　ムーンは軽く咳き込むと、口元に手を当てたまま語りだす。神妙な顔でアサギは頷いていた、聞いておかなければいけない事だ。<br><br>「私達は惑星ハンニバルから参りました。ご存知ですか？　……その様子ですとご存じないようですね、続けます。数年前突如として“魔王”を名乗る者が出現し、世界の蹂躙を始めました。魔王の名は、ハイ・ラゥ・シュリップ。彼の残虐性の高い愚行によって、世界の基盤である五国の大国は奇しくも敗北致しました。先程、私の祖国であるジャンヌも落城。サマルトの国だけが辛うじて残っている筈……です」<br><br>　そう、筈だった。<br>　しかし、現在サマルトの国の現状など知る由もない。最悪、同じ様に亡国となっている。<br>　淡々と告げていたムーンの傍らで、唇を噛み締めながら聞いていたサマルトが重々しく口を開く。<br><br>「俺達は各々国に同年の幼馴染が居たから、仲間に術く片っ端から捜しに行ったのだけれど……オレ達二人しか……」<br><br>　惑星ハンニバルの魔王、ハイ・ラゥ・シュリップ。アサギは脳裏に叩き込むべく、復唱する。<br><br>「勇者の石はムーンの国に保管されていたので、そこが集合場所となったのです。予言がありまして……『世界が混沌の危機に陥った時、伝説の勇者が石に選ばれ世界に光をもたらす』」<br>「私とサマルトは、その予言を信じてここまで辿り着きました。大勢の命が失われましたが、共に魔王を倒せば報われると信じています。どうか、勇者アサギ。私達と共に魔王ハイを倒し、世界に平和を」<br><br>　大体話は理解した、アサギは神妙に頷くと二人の手を勢いよく握り締める。<br><br>「私、頑張ります！　先程初めて戦いましたし、魔法も使えないし、切れる剣も持ったことがないけれど、頑張りますっ！」<br><br>　素直な言葉である、偽り無き真実の言葉だった。アサギは、嘘を吐く事が苦手だ。　<br>　だが、その台詞に二人は脳を殴られたような眩暈を覚えた。まさか勇者が戦闘未経験者であろうとは、思わなかった。しかし、先程の戦闘を見た限り素質は十分である。あれで素人ならば、今後が愉しみだと半ば強引に納得した。<br>　そもそも、石が導いたのだから間違いはない筈だと。猜疑心など、ない。<br>　三人はその場で、笑みを零した。若干、サマルトとムーンの笑顔が引き攣っていたようにも見えるが。<br>　何はともあれ、勇者が見つかった安堵に肩の荷を下ろす。素質があり、受け答えがはっきりしている目の前の小さな勇者を多少不安げに見つめた。<br><br>……成長するまで全身全霊をかけて護ろう、彼女とならば何でも出来る気がしてきた。<br><br>　サマルトとムーンは空を仰ぎ、死した仲間達を思い出す。<br><br>……勇者に、逢えたよ。<br><br>　散った魂らに、黙祷を捧げる。勇者に会う為に払った尊い犠牲を無駄にしないように、再度誓う。<br><br>　同刻。<br>　惑星クレオ、神聖城クリストバルに集結した者達。全く共通点が見つからない、異色の六人が焦燥感に駆られていた。彼らの唯一の共通点は、“勇者を探すこと”。<br>　水晶玉に映っているアサギとサマルトを見つめ、一人が神官に叫んだ。<br><br>「早く、早く！　私達の勇者が奪われる前にお願いします！」<br><br>　そう叫んだ女の手中には、翠色に鈍く光る石が填まった腕輪が二つあった。<br>　言うなり、六人の姿が掻き消える。<br><br>　更に同刻。<br>　惑星チュザーレ、ボルジア城内。紅石を手にしている頭の回転の速そうな男が一人、魔法陣の中に立っていた。<br><br>「急ぎませんと」<br><br>　それだけ呟くと、瞬間的に姿が掻き消える。</p>
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<link>https://ameblo.jp/destiny-taba/entry-12449318995.html</link>
<pubDate>Sun, 24 Mar 2019 17:24:13 +0900</pubDate>
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<title>ＤＥＳＴＩＮＹ第一章～それぞれの路へ～：闇は光の眩しさに慣れず</title>
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<![CDATA[ <p>　ジリジリと皮膚を容赦なく焦がす、太陽の光。<br>　気温は上昇し、校庭で生徒達は項垂れる。現在朝礼の真っ最中であり、校長の長い話にうんざりしている生徒及び、教育者達は恨めしそうに熱弁している彼を見やった。皆、苦悶の表情を浮かべている。他愛のない話を、延々と聞かされているのだから仕方がない。<br>　生徒達が不満気に校長の顔を見つめるが、瞳を閉じて優越感に浸りながら自分の演説に酔いしれている校長には生憎全く効果がなかった。大半の生徒は話を聞いておらず、近くの友達と小声で会話したり、つま先で校庭に落書きをしたり、欠伸を漏らしていた。せめて座らせてほしいものだと願いながら。<br>　誰かが倒れるんだよな、こういう時って……亮はそう思って、何気なく隣を見た。<br>　隣には浅葱が居た。<br>　その浅葱が、苦悶の表情を浮かべ、ゆっくりと前のめりになり倒れていく。一瞬不意を突かれたものの、亮の身体は顔面蒼白の浅葱を見て脳からの指令を待たず反射的に動いていた。<br><br>「浅葱！」<br><br>　大声で名を叫んで直ぐ様抱き起こし、その額に掌をおいて、熱を確かめる。騒ぎが、波紋のように広がっていった。<br><br>『田上浅葱が倒れたらしい』<br><br>　心配そうに不安そうに、徐々に拡散していく喧騒の中心に保険医が駆けつけると、亮の腕の中の浅葱を診る。校長の話は、中断された。<br>　浅葱は異様なまでの圧迫感に包まれ、荒い呼吸を繰り返していた。雷が頭部に堕ちたかのような衝撃、身体が真っ二つに引き裂かれるような激痛、そして、目の前が真っ暗になった。<br>　そうして、誰かの声が聞こえた。<br>　思い出せないが、良く知った声だった。<br>　その声が悲痛であり、涙声で、かつ怒気を含んでいたものだから、苦しくて、哀しくて、愚かで……可哀想に思えた。<br>　浅葱は薄っすらと瞳を開いて、耳鳴りがするまま、ぼやけた視界で周囲を見つめた。皆が何かを言っている、しかし探したい相手は見つからない。<br>　先程の声が気になった、何を言ったのか肝心のことが分からない。<br><br>　……誰の声だった、あれは？　思い出して、良く聞く声でしょう？　誰だった？<br><br>　瞬間、浅葱は胸を鷲掴みにされたような痛みに鋭い悲鳴を漏らす。<br>　考えがまとまるよりも先に、眩すぎる目に痛い光が右から差し込んできた。思考は、そこで停止する。地球上には様々な光があるが、ここまで強烈な光を受けるのは初めてだった。<br>　その眩さに慣れない瞳が悲鳴を上げる、硬く閉じて恐怖の叫び声を校庭の皆が一斉に上げた。<br>　例えばそれは、社会の時間で習った広島原爆のようなものなのだろうか？　体験したことがない為比較は出来ないが、そこまでの威力はなくともそれほどまでに脅威を感じるものだった。<br>　亮は懸命に浅葱を抱きかかえ、光から遠ざけるように覆い被さり必死で堪えた。<br>　目を開くことが出来ず、閉じても焼き付いてくる光に、全員目を掌で覆い隠し、泣き喚いてその場に蹲ることしか出来ない。校庭に降り注がれる眩い光の中で、二つの影が揺らめいた。ゆっくりとその影は歩み出て、辺りを見渡す。<br>　見れば、大勢の人々が口々に何か喚きたてながら地面に伏せていた。首を傾げながら二人は遠くへと視界を広げる。見慣れない建物に、見慣れない器具ら、何度も瞬きし呼吸すると、二人は軽く咳込んだ。<br>　二つの影の一つ、少女ムーンは袖口を口元に当て、顔を顰め空気を吸う。<br><br>「……何かに汚染されているのかしら、息苦しいわ」<br><br>　喉に違和感を感じ再び咳き込むと、隣に立っているサマルトを見やった。サマルトは物珍しそうに前後左右に身体を回転させ、様子を窺っている。<br>　光が徐々に力を弱めていく、ようやく人々は額を押さえて呻きながら起き上がった。「今の、何だった？」そう口々に言い合いながら周囲にようやく目を向け、校庭の端に誰かが居ることに気付いていく。<br>　見たことのない髪の色、服装、そして手にしている……武器。<br>　二人の姿を見た者達は、唖然と口を開くしかない。皆は言葉を失って、二人の訪問者を見ていた。恐る恐る固唾を飲み込み、誰一人声を発するものなく、時が止まったかのように。<br>　サマルトとムーンは、互いに顔を見合わせるとゆっくりと足を動かし、探るように目の前の停止したような人々を見つつ歩む。<br>　弾かれたように一人の少女が鋭く叫ぶと、連呼して叫び声があちらこちらで上がった。別に二人に恐怖したわけではない、その後ろ、空から数匹のネズミが降ってきたのだ。<br>　ネズミといえども、小さくはない。サイズ的には中型犬程で、前足や口元に真っ赤な鮮血を滴らせて唸りながら身体を低くしている。ただでさえ小さくても苦手な人々のほうが多いのに、その巨大ネズミは思いの外素早い速さで尻尾を振り回し、威嚇して唸っている。<br><br>「私達に、ついてきてしまったんだわ！」<br><br>　叫び声に反応したムーンは直様振り返り、状況を把握すると唇を噛み締めながら、手にしていた杖をネズミに向けた。遅れてサマルトが腰の細身剣に手をかけ、そのまま勢い良く引き抜くと構える。<br>　ムーンは両手で杖を硬く握り締め、ネズミを睨みつけるとそのまま呪文を詠唱する。<br><br>「生命を運ぶ風よ、死を運ぶ風と変貌し、我の敵を刃となりて切り裂き給え！」<br><br>　その言葉を言い終えると、杖の先から目に見えない何かがヒュヒュッと空を切る音だけを残し、素早く校庭を駆け巡る。ネズミ二匹を捕らえると、巻き込みながら、これでもか、というほど引き裂いていった。血が、肉が、骨が、内臓が、まるでミキサーにかけた果物のようにゴリゴリと不快な音を立てながら砕かれていく。<br>　その光景に卒倒する者、数十名。<br>　当たり前だ、明らかにそこらのスプラッタ映画よりも生々しかった。生徒だけでなく、職員の女性達も悲鳴を上げることなく、その場に倒れ込む。<br>　サマルトが手にしていた剣で、突進してきたネズミと攻防戦を繰り広げつつ、ムーンが間合いを取りながら呪文の詠唱を繰り返す。<br>　そんな中で、浅葱は小さく呻きながら瞳を開いた。<br>　覆い被さっていて微動だしない亮を見つめ、その腕の隙間から浅葱は状況を確認しようと抵抗を試みる。隙間を作って、様子を見てみたならば。<br><br>　……あれは、なんだろう。<br><br>　髪を染めればありえるのだが、地球上には存在しない色の髪を靡かせている杖を掲げる少女と、剣を巧みに操りながら素早い動きで宙を舞う『何か』と戦っている少年。凝視して浅葱は宙を飛び交う物体を、その大きな瞳に捕らえた。深紅の瞳の、巨大ネズミだ。見るからに凶暴で、その鋭利な歯をむき出しにしながら、二人に襲い掛かっている。<br><br>「え……」<br><br>　胸が、跳ね上がった。身体が急速に熱を帯び、瞳がその光景を捕らえたまま、動こうとしない。<br>　それは、浅葱が待ち焦がれていた光景だった。<br><br>『勇者になったらみんなを助けられる？　なら、私……勇者になるの』<br><br>　抱いた夢は消えることなく、望んだ世界が目の前に広がる。<br>　地球上では、決して叶えられることがないであろうと思っていた世界。悪い奴を倒して、仲間と幸せになるそんな物語。そうして、それから。<br>　意識がはっきりと戻ってきた浅葱は亮を懸命に起こし、もがきながら夢中でその腕から抜け出すと、そのままネズミの方向へと走り出した。<br>　あぁ、もしもこの時、運命の歯車に身を投じなければ。<br><br>「待て、浅葱っ！」<br><br>　亮が慌てふためきながら、腕からすり抜けてしまった浅葱を追う為に足を踏み出そうとする、だが、力が入らず転倒した。足が竦んでしまい、動けなかった。悔しくて、震える足を睨みつける。「情けない、何やってるんだ、僕！」叱咤したところで、地面に倒れこんだまま、駆けて行く浅葱の後姿を悔しそうに見つめることしか出来なかった。<br><br>……追いかけなければ、浅葱が危ない。追いかけて前に立たなければならない、浅葱を護る為に。浅葱を護ること、それが僕の。<br><br>　亮は辛うじて動いた両腕で、地面を懸命に這った。亮は正常だ、情けなくはないだろう。誰しも恐怖を感じる、まして予測しなかった事態には簡単に対応出来ない。得体の知れないモノを目にして、恐怖することは当然だ。自らの身を護る為に、脳が指令を出す。<br>　しかし浅葱だけが、その場で異質だった。<br>　ネズミの一匹が浅葱の存在に気がついたのだが、浅葱はそれより先に右足を思い切り空へと蹴り上げ、ネズミを宙に浮かせた。宙に浮いたネズミを追い駆けて、目の高さにまで落下した時に、両手を組んで拳を作り、思い切り頭上から振り下ろして地面へと叩き落す。<br><br>「えいっ！」<br><br>　威勢の良い掛け声を放つ。地面に叩きつけられ身を硬直させたネズミを、更に浅葱は蹴り上げる。おぼつかないが、なかなかの連続攻撃だ。浅葱は両足を肩幅まで広げながら、ネズミの前で構えを取った。小さい身体で素早く動き、まるで舞を踊るかのようなそんな一連の流れだ。<br>　浅葱の姿が徐々に小さく、遠くなっていく。<br>　その姿が、鏡の中に吸い込まれる。……静寂。<br><br>「……なんだ、この娘は？」<br><br>　一人の男が小さく呟いた。<br>　何気ない一言に含まれる、様々な感情。驚きを隠せずに思わず声を発したその男は、自分の背丈ほどある鏡を見つめていた。<br>　二十代半ばであろう男は、艶やかな漆黒の長い髪、妖しく仄かに光る蒼い瞳、適度な美貌の持ち主であった。左目は前髪が長すぎて見えないが、右目は訝しそうに、忌々しそうにその鏡を睨みつけている。髪とは対照的な純白の衣装に身を包み、それが部屋の暗闇に良く映えていた。<br>　この部屋、広さはあるものの中央にその鏡が堂々と置かれており、他には何もない。酷く不気味な雰囲気を醸し出している。<br><br>「偵察用の魔導眼球をこの生物に取り付けておいてよかったな、思わぬ収穫だ」<br><br>　魔導眼球を取り付けられたモノが見た風景全てが、この男の目の前に設置されている『暗黒鏡』に映し出される。<br>　男は腕を組み、軽く笑みを浮かべて鏡を見た。<br>　映っているのは浅葱である、別にこの男が見ようと思って故意に見ているわけではない。眼球を取り付けられたネズミが、敵と認識した目の前に立っている浅葱を見ているので映っているだけだ。驚きと屈辱で憤慨している様子のネズミは、体勢を立て直すと耳障りな啼き声を上げ、猛然と浅葱へ突進する。<br>　男は思わず、自身の腕を爪が食い込むほどに握り締めた。興奮気味に、瞳を大きく開き、食い入るように鏡を見つめる。<br>　ネズミの攻撃に臆することなく、大地に足をしっかりとつけ、真正面から迎え撃つ浅葱。それは、華麗で強烈な視線だった。凛々しく力強く、その愛らしい容姿が男を魅了する。<br>　男は、自分がその迷いのない鮮烈な瞳で見られているような錯覚に陥ってしまった。胸が跳ね上がり、男は唇を噛み締める。震える身体を支える為に、思わず鏡に手を伸ばした。<br>　頭に噛み付こうとして跳躍したのか、浅葱の表情が鏡全体に映し出される。<br>　思わず音を立てて固唾を飲み込み、唖然と成り行きを見つめた。ふっと浅葱の姿が消え、地面が鏡に映し出される。<br>　浅葱は右腕を横一直線に払いのけ、ネズミを地面に叩きつけていたのだが、この男からそれは観る事が出来ない。しかし、大体予想はしていた。<br><br>「早く起き上がれ、何をしているっ」<br><br>　男は普段よりも大声を出し、届くことのない言葉をネズミへ送る。苛立つ声が意味するもの、それは。<br>　浅葱の力量を見たいのか、それとも。“浅葱という存在”を見ていたいのか。<br>　男の思いとは正反対に、地面が映し出されたまま変わらない。ネズミは、今の一撃で死んでしまったのだろうか。<br><br>「ちっ、役立たずめがっ」<br><br>　舌打ちし、床を足で踏み鳴らす。男はそれでも、鏡を見つめた。<br>　まだ映るかもしれない……男の思いが届いたのか、ゆっくりと地面が揺れ、視線が高くなっていく。浅葱の華奢な足を捕らえた。ふらつきながらも、視線は後姿を完全に捕らえている。<br>　ネズミを倒したと安堵したのだろう、他の事に意識を集中させているらしく、立ち上がったネズミの存在に浅葱は全く気がついていないようだ。<br><br>「何をしている、気づかないとその魔物に殺られてしまうぞ」<br><br>　男はそう漏らしてから、青ざめて自身の口を手で塞いだ。信じられないというように、頭を振った。顔が徐々に青から赤へと変貌し、先程の言葉を訂正したいほど恥じた。<br><br>「殺られてしまえば良いではないか、相手は人間だぞ！？」<br><br>　自分が浅葱の身を心配してしまったという、その事実に耳まで真っ赤に染まった。脳裏に、先程の美しい娘が映ってしまう。<br><br>「な、何故この私が、初めて見た人間の娘の心配をせねばならんのだっ」<br><br>　無性に腹が立った。今の言葉で自覚してしまい、余計に苛立ちは募る。あっさりと、認めてしまったのだ。<br>　その鏡に映る娘が、怪我をするところを、そして殺されるところを見たくなかった。寧ろ、生きたままの姿をもう一度見たいと……思ってしまった。<br>　歯軋りして、胸を押さえる。<br><br>……なんだ、この感情はっ。<br><br>　今自分の内にある感情が何か判らず、鏡をがむしゃらに揺すってみた。しかし当然、気は晴れない。　<br>　と、鏡に浅葱とは違う人物が映し出された。<br>　男は忌々しそうにその見覚えのある少年に舌打ちし、右手の拳を強く握り締める。<br><br>「サマルト王子！　やはりそうか……となると、この娘はもしや」<br><br>　鏡に映る浅葱とサマルト。サマルトの手が浅葱の手を握り締め、何か興奮気味に会話していた。その頬が紅潮している様子くらい、男にも見える。この鏡では音声までは拾えない、何を話しているのかが気になった。というよりも、胸に渦巻く抑えられない感情に身が焦がれて、引き裂かれそうになった。浅葱の手を優しく握っているサマルトに、憤慨する。<br>　非常に、不愉快な光景だった。見ていたくないのが本音だが、そういうわけにもいかない。何故自分がそう感じるのか、男にはまだ分からなかった。歯軋りしながら目を凝らせば、サマルトの手に何か淡く光る物がある。<br><br>「勇者の石か！？」<br><br>　碧色の珠が填め込んである腕輪が一つ。それをサマルトが嬉々として、アサギの腕へと填めようとしている。<br>　と、それがいきなり眩い光を放った。<br>　鏡越しとはいえ正面からその光を受け止め、男は低く呻くと思わず瞳を硬く閉じ、鏡に背を向ける。<br>　その光の波動に、男は耐えられなかった。光が弱まったことを背で確認すると、男は再度鏡に振り返る。<br>　浅葱が不思議そうに空に透かして、腕輪を見つめていた。<br>　サマルトが男に……いや、ネズミに近寄り、手にしていた剣で躊躇せずに身体を貫く。<br>　鏡に映る映像は大きく歪み、次の瞬間掻き消えた。鏡には何も映っていない、眼球が破壊されたのだ。放たれた不思議な光が直撃し、痙攣していたネズミをサマルトが容易く一突きしたのである。<br><br>「勇者に……辿り着いたのだな王子達よ。泳がせておいた甲斐があったというものだ」<br><br>　勇者。口にした途端に、浅葱の姿が浮かび上がる。<br><br>「あの娘、勇者なのか」<br><br>　信じられぬ、と落胆し、哀愁を漂わせ瞳を伏せる。脱力し腕を垂らすと、男は覚束無い足取りで部屋の片隅の壁にもたれた。冷たい壁が、思考回路を正常に戻してくれる。<br><br>「あの娘は勇者だ」<br><br>　魅入ってしまった、初めて見る美しい者だった。可愛らしいと思ってしまった、心配になってしまった、何故か護りたいと……そう思ってしまった。瞳を閉じると鮮明に浮かび上がる、浅葱の姿。曇りのない真っ直ぐな瞳で見つめてきた、あの姿が目に焼きついて離れない。<br><br>「何だ、この感情は」<br><br>　男は苦しそうに何も映し出さない鏡を見つめると、息を大きく吸い込み、呼び慣れた名を口にする。<br><br>「テンザ」<br>「私はここにおります」<br><br>　何処からともなく漆黒の闇を思わせる衣を身に纏った男が、控えていたかのような速さで呼びに応じてくれた。室内には、誰も存在しなかったはずなのだが。<br>　暗闇でも映える長いストレートの金髪を揺らしながら現われた男は、跪き次の指令を待つ。<br><br>「三人に連絡を取ってほしい、早急に」<br>「承知いたしました」<br><br>　答えるなり、音もなくテンザは消えた。<br>　一人になったその部屋で、男は瞳を軽く閉じる。暫くして、男はゆっくりと立ち上がると、足を引き摺って鏡の前に立つ。その冷たい鏡に触れてみる、切なそうに、悲痛な叫び声を漏らす男。<br><br>……先程の凛々しい表情が見たい、見つめて欲しい、軽やかで滑らかな新緑の葉を思わせる艶やかな黒髪に触れてみたい。<br><br>「美しい娘だ……名は、名はなんという？」<br><br>　男は届きもしない台詞を、鏡に向かって呟いた。<br>　先程の無謀なほど勇敢な小さな娘、その瞳に心が射抜かれて。勇者だと分かったものの、感情は暴走する。彼女は、自分と敵対する立場の娘だ。<br>　男の名はハイ・ラゥ・シュリップ。二星ハンニバルと呼ばれる惑星を掌握している、人間達から魔王と呼ばれ恐れ忌み嫌われている男である。<br>　魔王は、勇者に恋焦がれた。眩しい程の存在感と、真っ直ぐな瞳に囚われた。　<br>　自分にはないものだったので、強烈な印象となって全身を駆け巡った。美しいその姿に、虜になりつつあった。</p>
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<link>https://ameblo.jp/destiny-taba/entry-12449318747.html</link>
<pubDate>Sun, 24 Mar 2019 17:23:05 +0900</pubDate>
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<title>サンカルパ　～ヨガ＋アロマ～　18.【アロマテラピー】レシピ５：官能的な香りで。</title>
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<![CDATA[ <p id="L1">　血液検査の結果が出て、スギ花粉症であることが判明しました。</p><p id="L2">　悲惨です。</p><p id="L3">　精油とハーブティで乗り切ります。※薬も処方されましたが。</p><p id="L4">　年中甜茶やハーブティを飲んでいましたが、最近はルイボスが主になっていたのが敗因かしら……。</p><p id="L5">　また飲み始めようと思います。</p><p id="L6">&nbsp;</p><p id="L7">　さて、今回はサブタイトル通り≪官能的な香り≫です。</p><p id="L8">&nbsp;</p><p id="L9">　香水に使用されることが多い精油が登場します。</p><p id="L10">　尚、全てにおいて香りが強いので、苦手な方は清涼感をプラスする為に柑橘系精油をブレンドすると比較的扱いやすいと思います。</p><p id="L11">　私はみんな大好きな香りなので、ほとんど単独で使用しています。</p><p id="L12">&nbsp;</p><p id="L13">　難点としては、ほとんどが高級精油という事です。</p><p id="L14">&nbsp;</p><p id="L15">　使用シーンとしては、やはりベッド……ですが、ムーンライトなどで連載されている方にとてもお薦めです！</p><p id="L16">　私も、気合を入れて執筆する際は香りを下記に変更しています。</p><p id="L17">&nbsp;</p><p id="L18">　余談ですが、うちの子で精油をパートナーに使ってくれる気配り男子は二人います。</p><p id="L19">&nbsp;</p><p id="L20">　トビィ⇒ジャスミン＋ローズ・オットー</p><p id="L21">　ベルーガ⇒イランイラン＋フランキンセンス＋パチュリ</p><p id="L22">&nbsp;</p><p id="L23">　というわけで、彼らの話を書くときは、私も上記をブレンドして部屋に芳香させています。</p><p id="L24">　うちの子が好きな香りを決めてみるのも、楽しいですよ。</p><p id="L25">&nbsp;</p><p id="L26">&nbsp;</p><p id="L27">★イランイラン　※エキゾチック</p><p id="L28">　恐らく、官能や催淫とされる精油で最も知名度が高いと思います。</p><p id="L29">　甘くて魅惑的な香りが素晴らしいです。</p><p id="L30">&nbsp;</p><p id="L31">★ジャスミン　※フローラル</p><p id="L32">　高級精油なので、手を出しにくいのが難点です。</p><p id="L33">　濃厚な甘さが、心と身体をほぐしてくれます。</p><p id="L34">&nbsp;</p><p id="L35">★ネロリ　※フローラル</p><p id="L36">　こちらも高級精油です。</p><p id="L37">　が、女性にとても効果がある精油なので、一本持っておいて損はしません。</p><p id="L38">&nbsp;</p><p id="L39">★ローズ・オットー　※フローラル</p><p id="L40">　安定の高級精油ですね。</p><p id="L41">　ネロリ同様です、香りの女王は、愛される悦びを目覚めさせてくれます。</p><p id="L42">&nbsp;</p><p id="L43">★サンダルウッド（白檀）　※樹木</p><p id="L44">　上記に比べれば安いですが、一般的な精油よりはなかなかに御高め。</p><p id="L45">　他よりも抑え目な甘さにウッディ―な香り。男性も好む、安心の香り。</p><p id="L46">&nbsp;</p><p id="L47">★パチュリ　※エキゾチック</p><p id="L48">　かなりクセがあるので、好みが分かれます。</p><p id="L49">　シソ科の植物なので、土を連想させます。他よりスパイシー。</p><p id="L50">　よく香水に使用されます。</p><p id="L51">&nbsp;</p><p id="L52">★フランキンセンス（乳香）　※樹脂</p><p id="L53">　安心の香り。</p><p id="L54">　濃厚な官能を呼び覚ます……というよりも、徐々に誘導させるような、そんな香りです。</p><p id="L55">　他よりも優しい香りなので、単独でオイルに使用し、互いをマッサージして気分を盛り上げていくのも良いかもしれません。</p><p id="L56">&nbsp;</p><p id="L57">　ムーンライトで長期連載を始めるので、復習しつつの更新でした。</p>
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<pubDate>Sun, 24 Mar 2019 11:19:50 +0900</pubDate>
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<title>サンカルパ　～ヨガ＋アロマ～　17.【アロマテラピー】レシピ４：ＶＳ花粉症（と、マスクの香り付</title>
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<![CDATA[ <p id="L1">　石鹸を一時中断して、アロマに戻ります。</p><p id="L2">&nbsp;</p><p id="L3">　私は花粉症ではない……はずですが、体調を崩した時などはくしゃみと鼻水を連発します。</p><p id="L4">　風邪なのか花粉症なのかよく解りませんが、今年はドライアイで通院している眼科医師から昨年宣告された通り「花粉症ちっく」です。</p><p id="L5">　※目の検査の際に「目、痒いでしょ」と言われたので「いいえ？」と返答すると、「来年あたり、恐らく痒くなるよ」と爆弾発言をされました。当たった……。</p><p id="L6">&nbsp;</p><p id="L7">　そういうわけで、今の今まで花粉症で精油を使用することはなかったのですが、今年は危機感を覚えたので使い始めました。</p><p id="L8">　幾度か御紹介した精油で対応可能です。</p><p id="L9">&nbsp;</p><p id="L10">★ティートリー（人気の高いポピュラーな精油です。風邪対策や虫よけにもなるので年中使えます。一家に一本！）</p><p id="L11">　※樹木</p><p id="L12">　カビにも効果があるので、本当に万能です。</p><p id="L13">&nbsp;</p><p id="L14">★ユーカリ・ラディアータ（『レシピ２：集中力を高める』で紹介したユーカリ・グロブルスより優しい感じのユーカリです。）</p><p id="L15">　※樹木</p><p id="L16">　インフルエンザにも対抗できる、強力な精油です。</p><p id="L17">　香りも爽やかで、すっきりします。</p><p id="L18">　花粉症対策として、最も有効とされる精油になります。</p><p id="L19">&nbsp;</p><p id="L20">★ペパーミント（和精油の薄荷でも可能）</p><p id="L21">　※ハーブ</p><p id="L22">　特に鼻づまりに効果がある精油です。ぐずぐずしている際に香りを吸い込むだけで、すーっとして鼻が通ります。抜群の清涼感！</p><p id="L23">　私はマスクに薄荷の香りづけをして使用しています。</p><p id="L24">&nbsp;</p><p id="L25">★ラベンダー</p><p id="L26">　※フローラル</p><p id="L27">　王道精油は花粉症にも効果があります。</p><p id="L28">　リラックス効果が抜群の精油ですが、花粉症で気分が滅入っている時や、目に違和感を感じる時にどうぞ。</p><p id="L29">&nbsp;</p><p id="L30">★ローマンカモミール</p><p id="L31">　※フローラル</p><p id="L32">　他と比較すると値段が跳ね上がる高級精油ですが、この癒しの香りは絶品です。</p><p id="L33">　炎症鎮静効果があるので、肌の痒みに効果があります。</p><p id="L34">　というわけで、私は早速カモミールで化粧水とハンドクリームを作りました。これで乗り切る。</p><p id="L35">&nbsp;</p><p id="L36">　とりあえずお試しで一本、という場合は、迷わずユーカリをお薦めします。</p><p id="L37">　尚、ブレンドする場合ですが、いつものチャートで確認してみます。</p><p id="L38">&nbsp;</p><p id="L39">『ハーブ⇔柑橘⇔フローラル⇔エキゾチック⇔樹脂⇔スパイス⇔樹木⇔ハーブへ戻る』</p><p id="L40">&nbsp;</p><p id="L41">　樹木とハーブの相性が良いので、私は芳香浴で“ユーカリ2＋ペパーミント2＋ティートリー1”を毎日愉しんでいます。</p><p id="L42">　ラベンダーは入浴剤として。</p><p id="L43">　カモミールは化粧水とハンドクリームで。</p><p id="L44">　これで毎日五種類の香りを楽しめるという。</p><p id="L45">&nbsp;</p><p id="L46">　ラベンダー＋カモミールも素晴らしい芳醇な香りになるのでお薦めです。</p><p id="L47">&nbsp;</p><p id="L48">　さて。</p><p id="L49">&nbsp;</p><p id="L50">　マスクに香りを移す方法は色々あります。</p><p id="L51">　アロマスプレーをシュッとひと吹きするのが一番簡単なのかもしれませんが、私がお薦めするのは。</p><p id="L52">&nbsp;</p><p id="L53">“用意するもの”</p><p id="L54">・ジップロック（密封できる袋）</p><p id="L55">・マスク五枚くらい</p><p id="L56">・コットン</p><p id="L57">・上記精油のどれか一滴（ユーカリ・薄荷・ペパーミントがお薦めです）</p><p id="L58">&nbsp;</p><p id="L59">　マスクをジップロックに入れ、コットンに精油を一滴落としたら、≪精油と肌が触れないよう、マスクの外側に≫コットンを入れて密封します。</p><p id="L60">　そうすると、香りがマスクに移ります。</p><p id="L61">　夜に作っておいて朝使えば、スプレーするより楽ですし、七枚用意しておけば一回で一週間分を作る事が出来ます。</p><p id="L62">　私は大体薄荷で作ります、めちゃくちゃ鼻が通りますよ！</p><p id="L63">&nbsp;</p><p id="L64">　花粉症の時期だけでなく、日常使いとしても気分転換になるし、お薦めです。</p>
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<link>https://ameblo.jp/destiny-taba/entry-12449249059.html</link>
<pubDate>Sun, 24 Mar 2019 11:19:05 +0900</pubDate>
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<title>サンカルパ　～ヨガ＋アロマ～　16.石鹸を作ってみよう。</title>
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<![CDATA[ <p id="L1">　石鹸を作ります。</p><p id="L2">&nbsp;</p><p id="L3">　と、いっても、大きく分けて石鹸は作り方が三種類あります。</p><p id="L4">&nbsp;</p><p id="L5">１：苛性ソーダを使用する、本格的な石鹸</p><p id="L6">２：石鹸素地を使用する、粘度遊びの様な石鹸</p><p id="L7">３：ＭＰソープ（グリセリンソープ、ねば石鹸とも）を使用する、とても楽な石鹸</p><p id="L8">&nbsp;</p><p id="L9">　石鹸を作りたいと思った場合、まずは２か３をお勧めいたします。</p><p id="L10">　１は、苛性ソーダを入手するところから始めねばなりません。</p><p id="L11">　ドラッグストアで購入可能ですが、身分証明書と用途の説明が必要になります。また、劇薬なので取り扱い注意、子供さんが作る場合は必ず大人と御一緒に！</p><p id="L12">　最も幅広く楽しめて、凝った石鹸を作る事が出来ます。</p><p id="L13">　コンテストも開催されており、見ているだけでとても楽しいです。勿体なくて使えません。</p><p id="L14">　最大のデメリットとしては、私的に「乾燥に時間がかかる」という点でしょうか。完成を待つのが楽しい、という方もいらっしゃるでしょうが、乾燥にしても環境が大事なので何かと手間暇かかります。</p><p id="L15">&nbsp;</p><p id="L16">　２は、材料さえ揃えば簡単に作る事が出来ます。</p><p id="L17">　石鹸素地という商品を購入するだけです。オーガニックや、手作りコスメのお店で簡単に手に入ります。細かい石鹸の粒を、粘度の様に練って形にし、乾燥させるだけ。ハーブを入れたり、着色したり、精油で香りづけをしたり。</p><p id="L18">&nbsp;</p><p id="L19">　３も、材料さえ揃えれば簡単に作る事が出来ます。</p><p id="L20">　こちらも、ＭＰソープ（グリセリンソープ他）を購入するだけ。上記と同じ様に色を付けたり香りをつけたりします。最も簡単で、乾燥時間も短くて済みます。</p><p id="L21">　最近は宝石の様に美しい造形のＭＰソープを作る猛者が増えてきました。</p><p id="L22">　私は焼きドーナツの型に流し入れて固めて作っています。（取り出すことが出来れば容器は何でも構いません。</p><p id="L23"><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20190324/11/destiny-taba/60/a5/j/o1200090014377844301.jpg"><img alt="" height="315" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20190324/11/destiny-taba/60/a5/j/o1200090014377844301.jpg" width="420"></a></p><p id="L24">　というわけで、次回からは石鹸のレシピです。</p><p id="L25">　石鹸は、量に注意すれば洗顔用にもなります。</p><p id="L26">　やはり、自分の好みな香りで洗顔出来る、というのは楽しいものです。</p>
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<link>https://ameblo.jp/destiny-taba/entry-12449248738.html</link>
<pubDate>Sun, 24 Mar 2019 11:17:57 +0900</pubDate>
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<title>サンカルパ　～ヨガ＋アロマ～　15.アロマテラピー】初心者さん向けお薦め精油一覧</title>
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<![CDATA[ <p id="L1">　精油の種類は膨大です。</p><p id="L2">　好きな香りを購入したいと思っても、どれから手を出して良いのやら。</p><p id="L3">&nbsp;</p><p id="L4">　なるべくなら、店内で香りを確かめて購入してください。</p><p id="L5">　香りによっては苦手だと感じる種類もあると思います。</p><p id="L6">　せっかくですから、使える香りを購入しましょう。</p><p id="L7">　購入する際も、一度に何種類も香りを確かめると、途中から香りが解らなくなってきます。</p><p id="L8">　なるべく、一日五種類程度までにとどめるのが良いと思います。</p><p id="L9">　頻繁に通うのは大変かもしれませんが、失敗しない確実な方法です。</p><p id="L10">　また、香りを確かめる時はムエットと呼ばれる紙を使用するか（専門店なら置いてある筈）、外した蓋を振って香りを確かめてください。ボトルから直接嗅ぐと、キツイので他の香りが曖昧になったり、芳香浴で使用した際に香りが違って思えたりします。</p><p id="L11">&nbsp;</p><p id="L12">　一応、一般的に初心者向けの香りを記載します。</p><p id="L13">　とりあえず、六種類。</p><p id="L14">　扱いやすい精油ばかりです。</p><p id="L15">&nbsp;</p><p id="L16">・ラベンダー（フローラル）：</p><p id="L17">　王道。</p><p id="L18">　ラベンダーだけでも種類が豊富ですが、真正ラベンダーがお薦めです。</p><p id="L19">　少量であれば直接肌に塗布しても可能な、稀な精油です。</p><p id="L20">&nbsp;</p><p id="L21">・ティートリー（樹木）：</p><p id="L22">　一家に一本。</p><p id="L23">　虫よけやウイルス対策は勿論、空気清浄にも役立つお医者さんの様な精油です。</p><p id="L24">　刺激強なので注意。でも、こちらも万能。我が家はお掃除はもっぱらこれです。</p><p id="L25">&nbsp;</p><p id="L26">・ゼラニウム（フローラル）：</p><p id="L27">　ローズの代用品。</p><p id="L28">　直接確かめるとかなりきつい香りですが、量を間違えなければ華やかで明るい香りです。</p><p id="L29">　女性に有り難い精油ですが、虫は苦手なので夏場のキャンプに大活躍。　</p><p id="L30">&nbsp;</p><p id="L31">・ペパーミント（ハーブ）：</p><p id="L32">　すっきり！</p><p id="L33">　爽やかの代名詞的存在です、鼻づまりなど風邪症状にも効きます。</p><p id="L34">　夏のイメージがあるかもしれませんが、冬も大活躍でしし、お掃除にも万能です。　</p><p id="L35">　値段で比較するなら、和精油の薄荷のほうがお手軽です。</p><p id="L36">&nbsp;</p><p id="L37">・オレンジスイート(柑橘）：</p><p id="L38">　柑橘の王道。</p><p id="L39">　柑橘系の中でも刺激が弱く、甘い香りがするので好まれます。</p><p id="L40">　多分嫌いな人はいない香りです。</p><p id="L41">　最初の柑橘系で、おそらく高確率で選ばれる安全な精油です。</p><p id="L42">　（ベルガモットとグレープフルーツはシャープな感じ）</p><p id="L43">&nbsp;</p><p id="L44">・ローズマリー（ハーブ）：</p><p id="L45">　フレッシュかつシャープ。</p><p id="L46">　ローズマリーには、カンファーやシオネール、ベルベノンという“ケモタイプ”と呼ばれる種類が存在します。※アロマ検定に挑む方は出題範囲です。日常で使うならば、カンファーかシオネールになると思います。ベルベノンは私も香りを確かめたことがありません。</p><p id="L47">　ハーブ系の中では、かなり強い香りを放つ精油です。</p><p id="L48">&nbsp;</p><p id="L49">　以上六種は、恐らく目にしたことがあるものばかりだと思います。</p><p id="L50">&nbsp;</p><p id="L51">　念のため、以前、【アロマテラピー】レシピ２：集中力を高める　にて記載した、簡単なブレンドチャートを再掲載します。</p><p id="L52">&nbsp;</p><p id="L53">『ハーブ⇔柑橘⇔フローラル⇔エキゾチック⇔樹脂⇔スパイス⇔樹木⇔ハーブへ戻る』</p><p id="L54">&nbsp;</p><p id="L55">　単独で使うのも楽しいですが、深みが出るので、こちらを見ながらブレンドしてみるのもお薦めです。</p><p id="L56">&nbsp;</p><p id="L57">　他に増やすならば、種族別で</p><p id="L58">&nbsp;</p><p id="L59">　エキゾチック：イランイランやパチュリーなど　※癖がある香りが強く、かなり華々しいです。</p><p id="L60">　樹脂：フランキンセンスやミルラ、ベンゾインなど　※安心出来る香りが多いです。</p><p id="L61">　スパイス：ブラックペッパーやシナモンなど　※その通り、刺激が欲しい時などに。</p><p id="L62">&nbsp;</p><p id="L63">　これらを買い足してみると、より香りに膨らみが出ます。</p><p id="L64">&nbsp;</p><p id="L65">　ちなみに今日はシナモン＋スイートオレンジを使用しながら更新作業及びお絵かきをしています。</p><p id="L66">　皆さんも、よきアロマライフを。</p>
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<link>https://ameblo.jp/destiny-taba/entry-12449248254.html</link>
<pubDate>Sun, 24 Mar 2019 11:16:13 +0900</pubDate>
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