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<title>東京恋愛プラスチック</title>
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<description>田舎から無理をして上京して、東京を離れる事になるまでの日々を綴ります。</description>
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<title>(plastics 7) 「来ちゃった･･･」</title>
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<![CDATA[ <p><font color="#000000"><strong>僕と香奈は何処まで仲良くなっても、<br>それは文字と文字という上限付関係であり、<br>どれだけお互い気持ちが高まろうがその想いを向ける先は<br>キーボードしかなかった。</strong></font></p><br><p>涼<font color="#0000ff"><strong>「会いたいね」<br></strong></font>香奈<font color="#ff0000"><strong>「会いたい～」</strong></font><br>涼<font color="#0000ff"><strong>「じゃ、渋谷で待ち合わせね！」<br></strong></font>香奈<font color="#ff0000"><strong>「了解♪」</strong></font></p><br><p>虚しさはあった。<br>そして諦めもあった。</p><br><br><p>どれだけ香奈を好きになろうが、これはチャットの世界。<br>一応現実の世界なんだけど、似て非なる世界。</p><br><p>その頃、僕と香奈は携帯のアドレスを交換して連絡は取っていたが<br>なぜか電話番号は未だ交換していなかった。</p><br><p>相手の声も聞いた事が無いのだ。</p><br><br><br><p>日々会いたい、会おうなんて冗談を重ねる度、<br>どんどん本当に会いたいと思うようになっていた。</p><br><p>冗談で<font color="#0000ff">「東京おいでよ。ディズニーランド行こう」<br></font>というと、香奈は<font color="#ff0000">「行きたい～!!!涼にも会いたいしホンマに行きたい･･･」</font><br>と返信してきた。</p><br><br><br><p>会いたいけど･･･本当に僕も会いたいけど･･･</p><p><br><font color="#000000" size="4"><em>”会えるわけないよな”</em></font></p><br><p><br>東京と大阪でスッゴイ遠いし、インターネットのチャット相手と本当に会うなんて･･･<br>普通に考えて、あるはずがない。</p><br><br><br><br><br><p>僕は夜でも部屋の電気はデスクライトのみで生活していた。<br>なんてネクラな青年だろうか。<br>客観的に見たら完全に怪しい。</p><br><p>深夜12時を回っても、部屋の下は工場だし角部屋だし隣も入居者いないしだから<br>何の気兼ねなくステレオを大音量でウーハー聞かせて低音もバリバリ効かせて毎日聴いていた。<br>そして慣れないお酒を飲んで、会えない気持ちを紛らわす日々が続いた。</p><br><p>その頃よく聞いていたのがＨＹの「AM11:00」だった。<br>今でもこの曲を聞くとあの頃の淡い想いが蘇る。</p><br><br><br><p>僕と香奈は共通の遊びをインターネットを通じてするようになった。</p><p><br>できるだけ同じものを共有したかったし、<br>できるだけ近づきたかったんだ。</p><p><br>同じ音楽を聴いてみたり、同じネットゲームをしてみたり、<br>同じテレビを見てみたり、同じ本を読んでみたり。</p><br><p><font color="#000000"><strong>どこまで行っても、掴めない現実が<br>とても歯がゆかった。<br>とても、救われなかった。</strong></font></p><br><br><br><p><br>僕はある日、大学の友人等と珍しく夜居酒屋で談笑していた。<br>皆バイトをしてお金を貯めて何とか東京を満喫しようとしているようだった。<br>僕は皆の話を少し嫉妬心のようなものを抱きながら聞き、<br>自分の話は一切しなかった。<br>聞き手に徹していたんだ。</p><br><p>フラフラと駅前からオンボロアパートに帰ってきた僕は<br>そのまま部屋へ帰らずに屋上にあがった。<br>季節は夏の終わり頃だったが、夜でもまだ蒸し暑かった。</p><p>屋上は薄暗く、当然誰もいないし何もない。<br>酔っていた僕は大の字になって寝転がり何気なく携帯を取り出した。</p><br><br><p>すると、<font color="#000000"><strong>一通のメールが入っていた。</strong></font></p><p><br><font color="#ff0000">香奈だ。</font></p><br><br><p>何の気なしにメールを開いた僕の心臓は瞬く間に<strong><font color="#000000" size="2">バクバク</font></strong>と音を立て始めた。<br>そして、<strong><font color="#000000" size="2">一気に酔いが引いていった。</font></strong></p><br><br><p><font color="#ff00ff" size="4"><strong>「来ちゃった･･･東京」</strong></font></p>
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<link>https://ameblo.jp/doockielaw/entry-10029270437.html</link>
<pubDate>Thu, 29 Mar 2007 09:21:56 +0900</pubDate>
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<title>(plastics 6) デジタル恋愛</title>
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<![CDATA[ <p><br><font color="#000000"><strong>大学が始まったらサークルには入った方が良いとたくさんの先輩に言われていた僕は<br>何でもいいからサークルに入ろうと思っていた。</strong></font></p><p><br>しかし、結果から言って僕はサークルに入らなかった。</p><p>大学でできた友人等がサークルに入らなかったのも理由のひとつだが、<br>やはり僕は司法試験に向けて勉強しなければならなかった。<br>東京へは遊びに来たのではない。</p><br><p>僕は大学の講義が終わると、談話もせずにアパートへ帰り<br>ひたすら机に向かう日々を続けた。<br>帰宅後、だいたい5時間を司法試験の勉強の時間にあてた。</p><p>いつも12時前くらいに勉強を終わらせて、香奈とのチャットをする日々だったのだ。</p><br><p>香奈は、チャットで話した印象ではとてもおとなしいイメージだった。<br>自分の話をしようとせず、常に僕に対して質問を投げてくる。<br>ちなみに香奈は僕と同い年で、関西の大学に通っていた。</p><br><p>僕と香奈のチャットの内容は少しづつ、本当に少しづつ、<br>冗談でいう<font color="#0000ff">「好き」</font>から、本気の<font color="#ff0000"><strong>「好き」</strong></font>に変わっていった。<br></p><p>そしてチャットで話す日々も3ヶ月程経つと、<br>お互いに<font color="#ff00ff"><strong>「会いたいね」</strong></font>というようになった。</p><p><font color="#ff00ff"><strong>「最近、いっつも涼の事考えてる」</strong></font></p><p>なんていわれて調子に乗らない僕ではなかった。</p><br><p>そして、<strong><font color="#000000" size="3">インターネットを通した僕と香奈の恋愛がこの頃から始まっていた。</font></strong></p><br><p>いつの間にか、本当に自分でも気がつかないうちに<br>僕は香奈の事を冗談ではなく本気で好きになっていたのだ。</p><br><p><br><font color="#ff0000" size="3"><em>好きな人は液晶の中の、ゴシック文字。</em></font></p><br><p><br>人には言えなかった。</p><p><br>というより、学校の休み時間も六法を取り出し、昼休みも判例集を読みながら食べ、<br>授業が終わればバイトもせず家で一人勉強する僕には<br>この頃既に片手で数えられる程の友人しかいなくなっていた。</p><br><p>けどそれでもいいやと思った。<br>僕の目標は<font color="#000000"><strong>司法試験のみ</strong></font>に置かれていたし、<br>大学卒業は二の次だというのと同じように僕は大学での人間関係を疎かにしていたのだ。<br>今振り返れば反省すべき点は多々ある。<br>けれど僕は、勉強に抵触する全ての物事を一切排除しなければならないと考えていた。<br>学校の帰りに楽しそうに校内のカフェでくつろいでいる同級生が<br>なんだかとても羨ましくも思ったりしたが、<br>僕はその気持ちを勉強に向けた。</p><br><br><p>いつものように日付が変わる頃僕は一日の勉強を終わらせた。</p><br><br><p><br>電源を切っていた携帯を見ると、<strong>一通のメール</strong>がきていた。</p><br><p>リカコ<font color="#ff0000"><strong>「涼、週末何してるんだー？リカは暇だぞー」</strong></font></p><br><p>リカコさんは、僕の一つ上の先輩で地元から去年東京に出てきている人だ。<br>就職の為に上京した、いわば東京の先輩でもある。<br>じつは僕はリカコさんが地元に居た頃恋心を抱いていて、<br>告白しようかしまいか悩んでいた時期があった。</p><p><br>けれど向こうがあまりに僕をガキ扱いするものだから<br>こりゃ脈なしだと判断せざるを得なかった。<br>友人等に相談しても「そりゃ男として絶対みてない、やめとけ」と幾度となく言われた。</p><br><p>今も好きか？と言われれば、好きではないだろう。<br>今は液晶越しの香奈が好きだし･･･<br>上京してからリカコさんとは一度も会ってなかった。</p><br><br><p><em><font color="#ff00ff" size="4">ﾋﾟﾋﾟ･･･ﾋﾟﾋﾟﾋﾟ</font></em><br><font color="#ff0000">必殺両手打ち</font>でメールを返信した</p><br><br><p><font color="#0000ff"><strong>「週末はバイトがあります！」</strong></font></p><br><br><p>ポイっとソファーに携帯を投げやって、僕はパソコンをつけた。<br><strong><font color="#000000">そしてまたいつものように香奈とのチャットを楽しんだ。</font></strong></p>
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<link>https://ameblo.jp/doockielaw/entry-10029178688.html</link>
<pubDate>Wed, 28 Mar 2007 09:17:34 +0900</pubDate>
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<title>(plastics 5) チャットで出逢った香奈</title>
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<![CDATA[ <p><br><strong><font color="#000000">入学式まで数日時間があった。</font></strong></p><p><br>すぐにバイトを始めようという意気込みもなかった僕は<br>大学が始まるまでの間、とくに何をするでもなく法典や文献をヒラヒラめくったり<br>外をふらついてみたりしていた。</p><br><p>入学式も終わり、学校がスタートした時期に僕はインターネットを開通した。</p><br><p>プログラムを少し独学で学ぼうと思っていた僕は<br>不慣れな手つきでパソコンをパチパチしていた。<br>プログラムというのは、やる気があればできるものだろうとは思うのだけれど、<br>僕にはどうも合わないものだった･･･<br>見慣れない英単語や計算式が入り混じった文字列･･･<br>全く理解できない。<br>結局、僕は一ヶ月程でプログラムを投げ出してしまった。<br>3万程するソフトを買ってインストールしたのに･･･<br>全て無駄になった。</p><br><p>結局僕は、IT社長という暫定的夢を諦め<br>プログラム習得の為に独学で覚えた知識を使って情報処理活用能力検定準2級を取った。<br>これが･･･僕の学生時代のIT関連唯一の取得資格となった。(チーン)</p><br><br><br><p>さて、そんなこんなでネットニュースを見たりネットサーフィンしてみたりするようになった。</p><br><p><br><font color="#ff00ff" size="2"><strong>まさかこのインターネットが僕と香奈を結びつけてくれるものになろうだなんて<br>ノストラダムスですら予測不可能だったろう。</strong></font></p><br><p><br>僕はとあるチャットサイトに良く行くようになった。<br>そこで出逢った(?)のが<font color="#ff0000"><strong>香奈</strong></font>だった。</p><br><p>最初のうちは、香奈はチャットに行くとたまに見る存在。<br>2週間くらい経つと、チャットに行ったらHN(ID)を探す存在。<br>1ヶ月程すると、チャットに行く目的は香奈と話す事になっていた。</p><br><p>僕はチャットは遊びというか、息抜きで行っていた(普通そうだろう)もんだから<br><font color="#0000ff"><strong>「好きだよ～」</strong></font>だとか、<font color="#0000ff"><strong>「結婚したいわ」</strong></font>とか<br>オベンチャラを平気で並べていた。<br>香奈も僕が冗談で言っていた事は解かっていたし、<br>ノリ良く<font color="#ff0000"><strong>「私も」</strong></font>だとかそんなやりとりが多かった。</p><p><br>不思議なもんで、そういうやりとりをしてるのは客観的には馬鹿らしいのだけれど<br>やってる当事者は理由もなく楽しいものなのだ。</p><p><br>少なくとも、僕は･･･<em><font color="#000000">楽しかった･･･</font></em></p><br><p>そんな関係の日々が続いていくと、<br>僕はそのチャットサイトに彼女が来てないとすぐ落ちるようになった。</p><p><br><font color="#000000"><strong>IDを見つけるだけで凄く嬉しくて、</strong><br><strong>IDがないと凄くつまらなかった。</strong></font></p><br><p>恥ずかしい事だが、<br>僕がそのチャットサイトにいつも居ると思われたくなかったので<br>別のIDでログインして、彼女のIDがないか確認したりもしていた。<br>暇人だと思われたくなかったからだ。<br>彼女のIDがログインしてくると、僕は何食わぬ顔をして普段使っているIDでログインしたりした。<br>もちろん、適当に時間を空けて。</p><p>ほぼ毎日、夜11時～深夜1時くらいまで他愛も無い話を続けた。<br>そしてPCメールアドレスを交換したり写真を交換したりして<br>何となく少しづつ僕等は遠いながらも近づいていっていた。</p><br><p>彼女の写真を見た時は驚いた。</p><br><p><strong><font color="#ff0000">「こんな可愛い子見たことない」</font></strong></p><p>いやホントにそう思った。</p><p><br>僕は東京、彼女は大阪。</p><br><p><font color="#000000" size="2"><strong>まさか会う事なんて、絶対にないと僕はこの時まだ思っていた。</strong></font><br></p>
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<link>https://ameblo.jp/doockielaw/entry-10029159425.html</link>
<pubDate>Wed, 28 Mar 2007 00:31:48 +0900</pubDate>
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<title>(plastics 4) 父との最後の晩餐</title>
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<![CDATA[ <p><br><font color="#000000"><strong>僕のアパートの近くには数多くのコンビニ、飲食店があった。</strong></font></p><p><br>一番近かった中華料理店で僕と父は晩御飯を食べる事にした。</p><br><p>僕<font color="#0000ff"><strong>「じゃ、チャーシュー麺にしよっかな」<br></strong></font>父<font color="#ff0000"><strong>「そうか、じゃあ父さんもそれでいいわ」</strong></font></p><br><p>出てきたラーメンをすすっていると父が口を開いた。<br>それは、何気ない会話の一部としての発言ではなくて<br>なんといえばいいんだろう<br>僕のアパートへ訪れて一番僕に言いたかった事だったのではないかと思った。</p><br><p>父<font color="#ff0000"><strong>「大学も決まったけど、どうや。何かやりたいことはあるんか」<br></strong></font>僕は慎重になって答えた。<br>僕<font color="#0000ff"><strong>「あるよ。やっぱり検事か裁判官になりたい。」<br></strong></font>父<font color="#ff0000"><strong>「そうか。けど難しいぞ」<br></strong></font>父は笑っていた。</p><p><br>僕<font color="#0000ff"><strong>「解かってるよ。けど、やってみたいから。」<br></strong></font>父<font color="#ff0000"><strong>「そうか。じゃあ必死にやらんとあかんぞ」</strong></font><br>僕<font color="#0000ff"><strong>「やね、頑張る」</strong></font></p><p><br>父は昔からそうなのだけれど<br>僕が何かをやりたいとか何処に行きたいとか言うと、<br>理由や、根拠は一切聞かなかった。<br>人の行動にはそれぞれ理由や根拠が裏付けられているものなのだけれど、<br>父は僕のその時その時、一瞬一瞬の気持ちを最優先してくれていたのだろう。</p><br><p>友人たちに僕の夢である検事や裁判官の話をしても、<br>なんで？だとか、給料いいん？だとか、<br>そういった類の質問しか飛んでこなかった。</p><br><p>僕は自分の感覚として、金銭面の感覚が欠缺している事に昔から気づいていた。</p><p><br>稼げる仕事は魅力的なのはいうまでもないだろう。<br>誰だってお金に憂慮することなく生きていきたいし、<br>誰だって欲しいものは我慢せず欲しい。</p><br><p><font color="#000000">けれど僕はそれよりも偉くなりたかった。<br>偉いって何？愚問だろう。<br>僕はただ偉くなりたかったんだ。<br>中学１年の頃から、学校の授業をほったらかして読んでいた法典は<br>僕を栄光へと導いてくれるものだと信じてやまなかった。<br>法律というものが、現社会で占めるアベレージをみればそれは説明の余地もないだろう。<br>僕は誰よりも偉くなりたかった。<br>尊敬され、圧倒的な知識をもち、他を寄せ付けない存在になりたかった。</font></p><br><p>父は、僕とは正反対の人間であった。</p><p><br>名誉や栄光は欲しがらず、そういった事を口にすれば本気で叱られた。<br>だから僕は内に秘めた思いを父には言えずにいた。<br>けれど僕は父に従いながらも、野心をギラつかせていたんだろう。</p><p><br>ラーメンを食べ終えた僕等はボロいアパートに帰り、毛布一枚を使いあって２人眠った。</p><br><p>翌朝、</p><p>から接待があるという父親は午前の便で地元へと帰っていった。</p><br><br><p><strong><font color="#000000">僕にとっての、本当の意味での一人暮らしがスタートした瞬間でもあった。</font></strong></p>
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<pubDate>Tue, 27 Mar 2007 00:39:18 +0900</pubDate>
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<title>(plastics 3) 小さく見えた父の背中</title>
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<![CDATA[ <p><strong>連絡なしに急にやってきた父親。</strong></p><br><p>父<font color="#ff0000"><strong>「どうや、少しは片付いたか」<br></strong></font>僕<font color="#0000ff"><strong>「あ、え、あぁ　いやそれがまだ全然。。。」</strong></font></p><p>とりあえず部屋に父親を通した。</p><br><p>父<strong><font color="#ff0000">「ダンボールの中の物もまだ出してもないんか」</font></strong><br>僕<font color="#0000ff"><strong>「それが、どっから手つけていいか分からんくてさ・・・<br>　　家具も買いに行かんとあかんのやけど」<br></strong></font>父<font color="#ff0000"><strong>「ん・・・？もしかして電気まだきてないんか、暖房ついてないけど」<br></strong></font>僕<font color="#0000ff"><strong>「そうなんよ・・・何処電話すればいいんかなと思ってさ。。。」</strong></font></p><br><p>父親は僕に少し呆れたような顔で苦笑いしていた。</p><br><br><p>呆れるのも無理はない。<br>本当に何もこの部屋にはないのだ。<br>此処に来てまだ２日だから無理はないのだけれど・・・。<br>無駄に広いワンルームのスペースが余計に寂しさを増長させている。</p><br><p>この部屋を下見した時、何が気にいったかと言えばやたら広いという点だけだった。<br>とにかく広い部屋が僕はよかった。<br>学校へも電車を使わず行けて、８畳以上で、角部屋で、家賃10万以内。。。<br>その条件をクリアしてくれたのがこのオンボロアパートだったのだ。<br>広さ１２畳。しかし難はある・・・<br>２階立てのアパートで、一階部分は工場なのだ。<br>夜こそ静かなれ、昼間は慣れないうちは工場の作業音で起こされる事も多々あった。<br>しかし慣れというのは恐ろしいもので、<br>そんな作業音もいつからか気にならなくはなったのだけど。。。</p><br><br><p>部屋の説明はさておき、<br>父親は部屋を満遍なく見歩いたと思ったら携帯電話を取り出してどこかに電話し始めた。</p><br><p>父<font color="#ff0000"><strong>「はい、お願いします。あ、口座は○○の方から　えぇ、お願いします。」<br></strong></font>電話を切ったと思ったら即座にまた電話をかけた。<br>内容はまた同じような事を喋っていた。</p><br><p>電話を切った父が僕に言った。<br>父<font color="#ff0000"><strong>「早ければ明日には電気通るみたいや。水道もすぐ使えるようになる。」</strong></font></p><br><p>色々と面倒な契約手続きに辟易していた僕はこの時父がピカピカ輝く神様に見えた。<br>(亡き父親の名誉の為説明しておくと、ハゲ頭が光っていたのではない。念の為。)</p><br><p>僕<font color="#0000ff"><strong>「うおぉぉありがとう、あー良かった。。。俺暖房今年はなしでいこうか思ってたんよ」<br></strong></font>父<strong><font color="#ff0000">「アホ」</font></strong></p><br><br><p>それから父親が家具を買いに行こうと言い出したので、<br>タクシーで近くの大型デパートへと向かった。</p><p>机、テーブル、こたつ、マット、ふとん、調理具、ハンガー掛け･･･e.t.c.<br>会計は無論父親に任せる事となった。。。</p><p><br>随分と買い込んで部屋へと戻った僕と父。<br>時間は夕方を回っていた。<br>とりあえず買ってきた家具を適当に配置してみる。<br>生活感の無い部屋が少しだけ血を与えられたようだった。</p><br><br><p>僕<font color="#0000ff"><strong>「今日仕事大丈夫なん？」<br></strong></font>父<font color="#ff0000"><strong>「んーあぁ、大丈夫大丈夫。」<br></strong></font>僕<font color="#0000ff"><strong>「そっか。でも連絡してくれたら迎えぐらい行ったのに。」<br></strong></font>父<font color="#ff0000"><strong>「そうか。ハハハハ」</strong></font></p><br><p>僕の父親は、簡単にいってしまえば家庭を顧みないタイプの人だった。<br>僕が中学の頃に母親が亡くなった為、家にはいつも僕と姉２人しかいない事が多く<br>土日も父は接待ゴルフや仕事でほとんど家にはいなかった。<br>けれど仕事であるゆえ、そこらへんは仕方のない事だと子供ながらに<br>僕は感じていた。</p><br><p>上京したい事を父に告げたのは去年の夏。<br>東京に行きたい旨を、大学進学の為とも説明せずに切り出した僕に<br>父は二つ返事で<font color="#ff0000"><strong>「そうか、東京か。ええ事や」</strong></font>と言った。<br>これは随分後になって姉伝いに聞かされた事だが<br>父は姉に対して<br><font color="#ff0000"><strong>「涼は東京に行った方がええ。東京は物事の全てのスピードが早いから、<br>　絶対にええ経験になる。男は経験しとった方がええ」<br></strong></font>と、ちゃんと考えあって僕の上京を快諾してくれたのだと知った。</p><br><br><br><p><br>-----気がつくと僕は毛布に包まって、冷たいフローリングに横たわって眠っていた。<br>寝ぼけながら薄っすらと眼を開けると父親が部屋の掃除をしてくれている姿が見えた。<br>その姿を見ながら、ありがたい気持ちと手伝わなくてはという気持ちに駆られながら<br>僕は再びゆっくりと瞳を閉じて深い眠りについてしまった</p><br><br><p>２時間程経ったろうか。</p><br><p>眼を覚ますと窓の外はすっかり夜になっていた。</p><p><br>フローリングには、寒そうに手を両足に挟んで<br>横たわって眠っている父親の姿があった。</p><p><br>その時、僕はとても不思議な気持ちになったのを今も強い印象として覚えている。</p><br><br><p><strong><font color="#ff00ff" size="4">父の背中がとても小さく見えたのだ。</font></strong></p><br><br><p>慌てて僕の包まっていた毛布をかけると、父親は目を覚ましてしまった。</p><p>父「お、涼。起きとったか。あー寝てしもてたな。腹減ったろ、どっか外食べにいこか」<br>僕「あ･･･うん。空いたね、いこ」</p><br><p><strong><font color="#000000" size="2">僕の不思議な感覚は尚続いていた。</font></strong><br></p>
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<link>https://ameblo.jp/doockielaw/entry-10029058703.html</link>
<pubDate>Mon, 26 Mar 2007 23:20:12 +0900</pubDate>
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<title>(plastics 2) 東京初日</title>
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<![CDATA[ <p><br><strong>東京への出発当日、朝早くに仕事へ出かける父親に叩き起こされた。</strong></p><br><p>父<strong><font color="#ff0000">「おい涼(僕の名前)、飛行機の時間大丈夫か？遅刻するなよ」</font></strong></p><p>ゆらゆらと起きて僕は父親に返事をした。</p><p>僕<strong><font color="#0000ff">「大丈夫、昼過ぎやから」</font></strong></p><p><br>父<strong><font color="#ff0000">「まぁ一生懸命にやれ。それだけや」<br></font></strong>僕<strong><font color="#0000ff">「わかってるよ」</font></strong></p><br><p>僕は仕事に出る父親を見送った後、東京の電車路線地図をボーっと眺めたりニヤけたりしていた。</p><br><p>姉<strong><font color="#ff00ff">「何ニヤニヤしてるん」</font></strong><br>仕事に出かける姉が起きてきた。<br>僕<strong><font color="#0000ff">「いや別に」</font></strong><br>姉<strong><font color="#ff00ff">「そういえば今日やったね涼の出発」</font></strong><br>僕<strong><font color="#0000ff">「うん」</font></strong><br>姉<strong><font color="#ff00ff">「見送りいけんでゴメンね、休日やったら良かったんやけど」</font></strong><br>僕<strong><font color="#0000ff">「ええってそんなん」</font></strong></p><br><br><p>姉も見送った僕は部屋に戻って出発の最終チェック。</p><br><p><strong><font color="#0000ff">「よし」</font></strong></p><br><p>僕は呼んでいたタクシーに乗り込んで空港へと向かった。</p><p><br>特に見送りにきてくれていた人も居なかった僕は淡々と飛行機に乗り込んで<br>機内で眼を閉じた。</p><br><p>東京の事、学校の事、一人暮らしの事。</p><p><br>これからの事を考えると良い想像以外浮かんでこなかった。<br>ワクワクが止まらないと言えばいいだろうか。<br>期待で胸が張り裂けそうだった。<br>不安もそりゃ無かったとは言えないが、なんとかなるだろう。</p><p>僕はこれ以上なく楽観的だった。</p><br><br><br><p>東京に着き、先月下見に来て広さが気に入り決めた物件へと向かった。<br>ガラリとした部屋。<br>とりあえず電気がまだ通っていないらしい。</p><br><p>届いた毛布で初日やり過ごしたが、電気開通の申し込みをしなくては･･･<br>水道も契約しなければいけない。<br>それに加えて、家具を揃えなければ生活もできない。</p><p>不慣れな東京で疲れたのか、<br>土曜の真昼頃、まだ毛布にくるまって眠っていた。</p><br><br><p><font color="#ff00ff"><em><strong>「ピンポーン」</strong></em></font></p><br><br><p>初めて鳴ったチャイムの大きさに驚いて飛び起きた。</p><p><strong><font color="#000000">玄関を開けると父がそこには立っていた。<br></font></strong></p>
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<pubDate>Sun, 25 Mar 2007 06:39:59 +0900</pubDate>
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<title>(plastics 1) 卒業祝</title>
<description>
<![CDATA[ <p><strong>高校の卒業式も終わり、僕は家へと飛び帰った。</strong></p><br><p><br>夜は友人たちでお祝いしようと決めていたし、<br>東京への荷造りを僕は急いで済ませなければいけなかった。</p><br><p><br>大きなダンボール一つに詰めるもの置いていくもの選りすぐったつもりが<br>どうも収まりそうにない。</p><br><p><br>中学の時好きだった人と交わした交換日記･･･大事に実家に置いていこう<br>部活動で使ったボクシングのバンテージ･･･引退時に皆に書いてもらった文字が随分薄くなっている<br>父親にもらったサラの手帳･･･昨年度の物だから使い道がない</p><br><p><br>結局僕は法典や文献を主につめこみ、思い出の品は全て置いていくことにした。</p><br><br><p>夜、高校の友達宅で卒業祝い。<br>僕を入れて5人でお祝い。<br>皆は地元に残り、専門学校へ進学・大学へ進学・就職と各々進むべき道は決まっていた。</p><p><br>深夜12時も回った頃、狭い部屋で皆が寝入ってしまったので僕は外へ抜け出して<br>外の空気をグーっと吸い込みながら背伸びをした。<br>少し雲があったが、さすがに田舎。星が随分と見える。</p><br><br><p><font color="#000000"><strong>「ガチャ」</strong></font></p><br><br><p>玄関が開く音がして振り返ると、高校で一番仲の良かったヒロがニヤニヤしながら出てきた。<br>5分程歩いて僕等は砂浜に出た。</p><p>夜の海は不気味な波の音がしていた。</p><br><br><br><p>ヒロ<font color="#ff0000"><strong>「俺もいつか東京いくわ。その頃には社長やろ？雇ってくれよ」<br></strong></font>僕<font color="#0000ff"><strong>「ハハ、そうやな。時給500円で頼むわ」</strong></font></p><br><br><p><br>話しながらも僕は夜空ばっかり見ていた。</p><br><p>東京へ行くと決めたのは卒業から一年くらい前。<br>大学に進学する目的のほか、僕は東京にとても魅力を感じていた。<br>それは言ってしまえば”田舎ものが都会に憧れる”という解かりやすいお話なのだけれど、<br>僕は漠然と「成功」という文字が東京にあるような気がしていた。</p><br><br><p>ヒロは地元の美容院に就職する。<br>互いに良き大人になれるだろうと、<br><strong>僕は確信していた。</strong><br></p>
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<link>https://ameblo.jp/doockielaw/entry-10028892559.html</link>
<pubDate>Sun, 25 Mar 2007 05:44:50 +0900</pubDate>
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