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<title>ｱﾏﾁｭｱ作家狛江大和の事件簿</title>
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<description>わたくしアマチュア作家狛江大和のショート☆ショートミステリを掲載しております</description>
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<title>桜色のインタルード１１</title>
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<![CDATA[ <div align="center"><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/3f/b2/10019522851.jpg" target="_blank"><img alt="070409_1738~0001.jpg" src="https://stat.ameba.jp/user_images/3f/b2/10019522851_s.jpg" border="0"></a></div>タチバナの死体が発見されたのは、よりにもよってさくらが入院している病院の屋上だった<br><br>偶然とは思えないタイミングとシチュエーションで、タチバナは殺害されたんだ<br><br>発見したのは女性の看護士<br>夕方、洗濯したものを取り込む為に屋上に上がり、そこで死体を見つけてしまったらしい<br><br>いつもならカギをかけないはずの屋上のドアが施錠されていたために、訝しく感じながらも開けてみたところ、すぐそこにタチバナがうつ伏せになって倒れていたのだと言う<br><br>死因は出血多量による失血死<br>鋭利な刃物で、背中と胸と腹部を数回にわたって刺されていたそうだ<br><br>ドア付近には血溜まりが出来ていたと言うから、その出血量が尋常ではなかった事が窺える<br><br>殺害された場所もさる事ながら、この事件はある種の特異性を帯びていたため、翌日のニュースでも新聞でも、大々的に取り上げられる事となった<br><br>それは、被害者であるタチバナが現場に残したと思われる、あるメッセージのせいだった<br><br>ミステリ小説や、テレビの２時間枠のサスペンスドラマではお馴染みのアレ<br>死に際の伝言<br>俗に言うダイイングメッセージと言うやつだ<br><br>その内容を知らされた時、僕の、いや、僕たちの胸にどれほどの衝撃がはしった事だろう<br><br>意識を回復してからさくら自身に起きた、あるショッキングな出来事と相まって、僕はただただ困惑するばかりだったんだ<br><br>それは事件の発覚する数時間前ーー<br><br>すでに深夜になろうと言う時間<br>僕たちはさくらの眠る病室に集まっていた<br>お母さんの希望により、さくらには個室があてがわれていた<br><br>２度目の自殺未遂<br>１度目は名前こそ出ていないものの、世間に知られてしまっているわけだし、さくらの心情を考えれば、賢明な判断だと思えた<br><br>消灯時間はとっくに過ぎていた<br>病室は闇に包まれているが、清潔そうなクリーム色のカーテンを開けた為、やわらかな月の光が窓から差し込み、室内をぼんやりと照らし出していた<br><br>見上げれば満月<br><br>しかしその下に佇む僕たちには、ロマンティックなカケラなどどこにも見当たりはしない<br>それでもレモン色の月光が、悲壮感漂う空気をある程度浄化してくれていたのは間違いない<br><br>さくらのお母さんと、つい先ほど駆けつけた妹のもみじは、ソファに並んで腰掛け、その向かい側では、泣きつかれたんだろう、ハルナがかえでの肩に寄りかかりながら静かな寝息をたてていた<br>僕はさくらの眠るベッドの横で、ぼんやり窓の外を眺めている<br><br>さくらの出血量は思っていたよりも少なく、彼女が意識を失ったのは、自分の血を見てショックを受けたためではないかと医者は説明していた<br><br>通常なら女性は月経があるため、男よりも血に慣れているものだと聞いたけど、やはり自分の腕からとめどなく溢れ出す血は、受ける衝撃が大きすぎたのかもしれない<br><br>しかし…と僕はさくらへと視線を移した<br><br>血の気の失せた青白い顔は、安堵などと言ったものとはまるで無縁であるかのような険しい表情を浮かべている<br><br>そんな彼女をみる度に胸が痛み、タチバナを憎む感情が増していった<br><br>彼女はこれからどうなってしまうんだろう<br>このままずっと暗闇の中から抜け出せずに、何度も何度もこうして自殺を繰り返すんだろうか<br><br>今までは運良く死神の手から逃れる事が出来た<br>でも、そんな幸運がこの先もずっと続くとは限らない<br>手のひらに汲んだ水のように、さくらの命もいつかこぼれ落ちる日がやってくるはずだ<br><br>ダメだ<br>僕は内心かぶりを振った<br><br>そんな事は絶対にダメだ<br><br>悲しむ人間がいる以上、そしてさくら自身のためにも、こんな事は繰り返させちゃダメなんだ<br><br>そんな事を考えているうちに、ついにかえでまでが船をこぎ始めた<br><br>大学のレッスンだけじゃなく、かえでもハルナも、そして僕だって、自宅に帰ってから数時間の練習は怠らない<br>ほぼ毎日が睡眠と練習を天秤にかけているような状態で、疲れないわけがないんだ<br><br>最近はさくらの事で精神的にも疲弊しているわけだから、この時間に眠くなるのは当然の事かもしれなかった<br><br>「かえで」<br><br>と、彼女の肩を軽く揺すってやる<br>かえでは一瞬だけはっと身を堅くしたものの、僕に気づいてすぐに表情を緩めた<br><br>「ごめんなさい、寝てたみたい」<br>「謝らなくていいよ。それより、かえではハルナ連れて一旦家に戻った方がいいと思うな」<br><br>かえではチラッとさくらを一瞥してから、<br><br>「そんな事出来るわけないでしょ。親友の一大事なのよ」<br>「わかってる。でも、君やハルナがもし体を壊してしまったら、さくらは喜ばないと思うんだ」<br>「そう君が体壊しても喜ばないと思うけど。まさか男だから大丈夫、なんて事は言わないわよね」<br><br>僕は苦笑しながら首を振ってみせた<br><br>「かえではそう言うの嫌いだからね。分かってるよ」<br>「それならーー」<br>「違うんだ。やっぱり友達として、僕もしばらくはさくらのそばにいてあげたい。かえでだって、きっと同じ想いだと思う。だからさ、交代でさくらのそばにいてあげればいいのかなって。それなら彼女が目覚めた時、僕たちの中の誰かが必ずそばにいるわけだから、さくらも安心するんじゃないかな」<br><br>かえでは少し考えたようだった<br>それからさくらとハルナ、そして僕とを順に見やってから、諦めたように小さく息を吐いた<br><br>「いいわ、そうしましょ。明日のーーああ、もう今日なのねーー昼までには戻るようにするから。それでいい？」<br><br>かえでが寝ぼけまなこのハルナを連れて病室から出ていった後、さくらのお母さんがすまなそうに頭を下げてきた<br><br>「ごめんね、そういちろう君。さくらの事で迷惑をかけて。わたしたちがそばについているから、あなたも帰っていいのよ」<br>「やめて下さいおばさん。迷惑だなんて考えた事もないです。さくらとは長い付き合いですからね」<br><br>さくらのお母さんは涙をこぼしながら、無言のままもう一度小さく頭を下げた<br><br>結局さくらが目を覚ましたのは、明け方だった<br><br>その時は僕もいつの間にかソファでうとうとしていたようで、窓から差し込んでくる朝焼けのオレンジで目が覚めたんだ<br><br>見ると、どうやらさくらのお母さんも妹のもみじも、疲れきって眠ってしまったらしく、ソファの中で窮屈そうに目を閉じていた<br><br>さくらが起きている事に気がついたのは、もう一度窓の外に目を向けた時だった<br><br>思わずあっと声をあげていた<br><br>上半身を起こしたさくらが、不思議そうにこちらを見ていたからだ<br><br>「あ、おはよう」<br><br>間抜けにも、最初に出た言葉がそれだった<br><br>ところがさくらはクスッと笑い、おはようと言ってから首を斜めに傾けてみせたんだ<br><br>「ねえそういち、ここどこ？　なんでみんないるわけ？」<br><br>さくらが記憶の一部を失っている事に気づいたのは、この少し後の事だった
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<link>https://ameblo.jp/dream4694/entry-10030709980.html</link>
<pubDate>Fri, 13 Apr 2007 21:31:13 +0900</pubDate>
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<title>桜色のインタルード１０</title>
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<![CDATA[ <div align="center"><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/f0/76/10019409251.jpg" target="_blank"><img alt="070313_1754~0001.jpg" src="https://stat.ameba.jp/user_images/f0/76/10019409251_s.jpg" border="0"></a></div>さくらの家に駆けつけた時、彼女のお母さんは涙を流しながらお風呂場の前に崩れ落ちていた<br><br>「おばさん、さくらは!?」<br>「ああ…そういちろう君」<br><br>さくらのお母さんは、不安と困惑を貼り付けた顔をこちらに向け、おずおずとお風呂場の奥を指差してみせた<br><br>残念ながら脱衣場の入り口に立っている僕の位置からでは、中がどんな状態になっているのかは、まるで分からない<br><br>さくらは無事なんだろうか?<br><br>「中にさくらがいるんですね!?」<br><br>返事も待たず、力なく頷くお母さんの横を、僕は一足飛びに飛び越えた<br>そしてそのままお風呂場へと入る<br><br>途端にもわっとした、鉄を溶かしたような匂いの湯気が鼻を刺激した<br>と同時に、浴槽の隣で横向に倒れている全裸のさくらが目に飛び込んできた<br><br>白い肌<br>胸から腰までの、なめらかな曲線を描くシルエット<br><br>こんな時でなければ見とれていたであろうその肢体に、僕は脱いだ上着をそっとかけた<br><br>浴槽にたっぷり張られたお湯は、おそらくさくらの血が流れ出た為だろう、薄い赤で染まっている<br><br>さっきから鼻についている鉄のような匂いは、どうやらさくらの血の匂いのようだ<br><br>落ちていたカミソリが目について、拾い上げた<br>しっとりと血に濡れたカミソリの刃<br>多分これで手首を切ったのだろう<br>眺めているとさくらの心の悲鳴が聞こえてきそうだった<br>僕はたまらずそれを洗面台に置くと、再び視線をさくらへと戻した<br><br>彼女の左手首からは、今も一定のリズムを刻みながら少しずつ血が流れ出ていた<br><br>と言う事は…まだ心臓は動いているって事じゃないか？<br>つまり、さくらは生きている！<br><br>「さくら！」<br><br>肩を揺すってみたものの反応はなかった<br>意識を失っているようだ<br><br>「おばさん、救急車は!?」<br><br>振り返って訊く<br>さくらのお母さんは手に持ったコードレス電話を掲げてみせ、さっき呼んだんだけどと心細そうに答えた<br><br>気が動転していたんだろう、どうやらずっと電話機を握ったままだったらしい<br><br>そんなさくらのお母さんを励ましながら、僕はさくらの腕に応急処置を施し、救急車の到着を待った<br><br>後で知った事だけど、さくらの父親は仕事の出張で、妹は友人と出かけていて留守にしていたらしい<br><br>だからこそ、僕に電話してきたんだろうけど<br><br>救急車に揺られて病院に着いた時には、すでに連絡をいれておいたかえでとハルナが待っていた<br><br>２人とも顔が青ざめていた<br>ハルナの目元は涙でうっすら濡れてさえいる<br><br>「さくらはどうなの、ヒイラギ君！」<br><br>ハルナにそう問われたものの、こちらが逆に訊きたい気分だった<br>僕が見た時には確かにさくらは生きていた<br>でもだからと言って、それがイコール彼女の現状とはならないだろう<br><br>僕はわからないよとかぶりを振ってみせた<br><br>ハルナは泣きながらかえでの肩にもたれかかる<br>それを受け止めながら、かえではハルナの頭を優しく撫でた<br><br>「大丈夫よ。さくらは死んだりしない。ね、ハルナ、絶対に大丈夫だから」<br><br>自分自身に言い聞かせるようにハルナをいたわるかえで<br><br>まるでデジャヴを見ているようだった<br>またあの時と同じじゃないか…<br><br>２度目の自殺未遂<br><br>やはりさくらの心は、僕たちが窺いしれないほど深い漆黒の闇に閉ざされていたんだ<br><br>どうすればいい？<br>僕は、僕たちは、さくらに対して一体何が出来るんだろうか…<br><br>結果を言ってしまえば、さくらはまたしても一命を取り留めた<br><br>手首の傷が思ったよりも深くなかったのが幸いしたそうだ<br>発見が早かったのも要因の１つらしい<br><br>僕たちはとりあえずほっとしたものの、今度こそ安心は出来なかった<br>２度目があった事で、さくらが次も自殺をしないと言う確信が持てなくなったからだ<br><br>でもだからと言って、僕たちに何が出来るんだろう？<br>心配すればするほど、具体的に何もしてあげられない自分に苛立った<br><br>家に帰ってから、僕は再び例のホームページーー『桜色』にアクセスしてみた<br>特に考えがあったわけじゃない<br>ただなんとなくだったんだけど…でも、そのおかげで僕はそれに気がつけたんだ<br>メニューの中に新たな項目が１つ増えている事に<br><br>ーー『シークレット』<br><br>それが新たに加わった項目だった<br><br>なんだこれは？<br>さくらのセックスシーンまで公開しておきながら、これ以上何がシークレットだって言うんだ？<br><br>とりあえずクリックしてみる<br>すぐに真っ白な画面へと移行した<br>その中央に、黒字で何か表示してあった<br><br>０から始まるたった11個の数字ーー<br><br>指が止まった<br>なんて事だ…<br>呼吸をする事さえ忘れそうになった<br><br>それは、さくらの携帯電話の番号だった<br><br>タチバナ<br><br>やはりタチバナか<br>やつがホームページを更新したのは間違いない<br><br>しかし、何故こんな事をする？<br>僕が殴った腹いせか？<br>それとも、さくらを徹底的にいたぶるつもりなのか？<br><br>いずれにせよ、やつの存在が未だにさくらを苦しめている事は明白だ<br><br>ひょっとして、さくらが２度目の自殺をした理由は、これを見てしまったからじゃないのか？<br><br>だとしたら…<br>だとしたら、僕はやはりタチバナを許せない！<br><br>さくらの問題を解決するには、最早やつの存在をさくらの視界から隔離してしまう事が一番じゃないだろうか<br><br>ならば、どうすればいい？<br><br>決まっている<br>タチバナをこの世界から抹殺してしまうんだ<br><br>そうだ、タチバナは許すべきじゃない<br>生きている価値のない人間なんていないと思っていたけど、それは間違いだった<br>やつは死ぬべきなんだ<br><br>僕はこの時初めて、２度もさくらを自殺へと追い込んだタチバナに対し、本当の殺意を覚えたんだ<br><br>そしてこの殺意は、意外な形で昇華される事になる<br><br>何故なら次の日、タチバナが死体となって発見されたからだ
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<link>https://ameblo.jp/dream4694/entry-10030544830.html</link>
<pubDate>Wed, 11 Apr 2007 23:09:14 +0900</pubDate>
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<title>桜色のインタルード９</title>
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<![CDATA[ <div align="center"><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/56/3b/10019356060.jpg" target="_blank"><img alt="070313_1754~0001.jpg" src="https://stat.ameba.jp/user_images/56/3b/10019356060_s.jpg" border="0"></a></div>さくらと顔を合わせるのが辛かった<br><br>『桜色』のホームページを訪れたのが一昨日の夜で、喫茶店でタチバナを殴ったのが昨日<br><br>昨日はさくらとほとんど会話を交わしていない<br>普通に会話する自信がなかったからだ<br><br>２日経って幾分気持ちが落ち着いてきたけど、それでもさくらが笑顔で言うジョークに、心から笑えていたかどうかも怪しいと自覚している<br><br>おそらく、彼女が抱えている問題の重要性とその大きさは、僕が想像しているよりも深刻なレベルにあるはずだ<br><br>そう感じていたからこそ、僕はよけいさくらに対して過敏になっていたんだと思う<br>自分に何が出来るのか、さくらの心を救う為には何をすれば良いのか、そればかり考えていて…<br><br>だから以前からかえでと約束していた、次の休みに行くはずたったクラシックのコンサートの事など、すっかり頭から抜け落ちてしまっていたんだ<br><br>「あのさ、今度の休み、久しぶりに４人で出かけてみない？」<br><br>さくらの気分転換にでもなればと思っての発言だった<br>大学の食堂では定番のカレーライスを食べながら、僕は３人に同意を求めてみる<br><br>ハルナはもろ手をあげて賛成してくれた<br><br>「じゃあさヒイラギ君、お花見でも行こうよ。昼間っからお酒飲んでぱぁっとやろう！　あ、でも夜桜も捨てがたいよねぇ」<br><br>すでに花見に決定したかのように、うっとりとした表情で視線を斜めに滑らせるハルナ<br>彼女は４人の中で一番お酒が強い<br>燃え上がりそうなくらい血中アルコール濃度を高めても、平然と早口言葉を言えるほどに<br><br>ーー『生麦、生米、生ナマコーー』<br><br>早口言葉を間違って覚えていたのがハルナらしいと言えばハルナらしいけれど<br><br>そんな彼女だから、今まで酔わせて口説こうとした男たちは、ことごとくアルコールの海に撃沈している<br><br>まあそれはともかく、即断で賛成してくれたハルナに対し、かえではちょっとだけ訝しそうに首を傾けていた<br><br>「そう君、その日は用事があるとか言ってなかったかしら」<br><br>もちろんこの時の僕は、コンサートの事など綺麗さっぱり忘れているわけで、あれ、そうだったかなぁ、なんてのんびりとカレーをパクついていた次第だ<br><br>かえではそんな僕とさくらを交互に見てから、わたしは構わないわ、特別用事もないし、と微笑んだ<br><br>「さくらも来れるでしょう？」<br><br>しかし、かえでの問いかけには答えず、さくらはぼんやりと窓の外を眺めているだけだった<br><br>「…さくら？」<br>「あ、ごめんごめん。うん、いいよあたしは。お花見でしょ？」<br><br>さくらは一体何を見ていたんだ？<br><br>何気なく彼女の見ていた視線を辿るーーそこには大分小さくなってしまったが、タチバナらしき男の後ろ姿があったんだ<br><br>この日の夜、かえでから電話がきた<br>いつもなら片道切符で事足りる内容だと言うのに、今日は何故か彼女の無駄口が多かった<br><br>ーーさくら、早く元気になるといいわね<br><br>ーー今度のお花見は、わたしがみんなの分のお弁当作ってきてあげるわ<br><br>ーーそう君、ゼリーが好きだったわよね<br>デザートにゼリー作ってみようかしら<br><br>お酒飲むのに？<br>と僕が苦笑すると、かえでは、それならワインのゼリーを作ってくるわ、と意気込んでいた<br><br>「でもさ、なんか珍しいよね、こうして電話で長い時間話すのは。…かえで…何かあった？」<br><br>いつもなら３０秒以内に終わる電話が、この日は１０分弱<br>丘を越える程度が関の山だった人間が、いきなり富士山に挑戦するようなもんだ<br>だから自然とそんな言葉がでたのかもしれない<br><br>しかしかえでは、ただの気まぐれよと鼻で笑い飛ばしていた<br><br>コンサートの事を思い出したのは、電話を切ってからの事だった<br><br>ひょっとしてこれのせいだったのか、かえでの様子が普段と違っていたのは…<br>思わず舌打ちをする<br><br>そしてすぐに携帯電話を手に取った<br>一言謝っておかなければ<br><br>いくらなんでもこれはまずい<br><br>リダイヤルを表示させ、ボタンを押すーーいや、押すより早く着信があった<br><br>かえでか？<br><br>とっさにそう思ったけど、携帯のスピーカから聞こえてきたのは、さくらの母親の声だった<br><br>「どうしたんです、おばさん」<br><br>正直驚いた<br>何故、さくらの母親が僕に電話をしてくるんだろう？<br>用事があるなら、さくらが自分で電話をしてくるはずだ<br><br>しかし僕のそんな疑問はすぐに解消された<br>何故なら、彼女がひどく慌てた様子でこう言ったからだ<br><br>「そういち君、大変なのよ。さくらが…さくらが…手首を切って…！」<br><br>なんだって!?<br><br>僕の頭の中から、かえでの存在が一瞬だけ消えた
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<link>https://ameblo.jp/dream4694/entry-10030464269.html</link>
<pubDate>Wed, 11 Apr 2007 00:21:19 +0900</pubDate>
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<title>狛江大和の誕生日</title>
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<![CDATA[ <div align="center"><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/db/c6/10019270530.jpg" target="_blank"><img alt="070409_1813~0001.jpg" src="https://stat.ameba.jp/user_images/db/c6/10019270530_s.jpg" border="0"></a></div>狛江です<br>こんにちは<br><br><br>今日は狛江の誕生日とゆー事で、桜色のインタルードは休載します（ゴメソ）<br>m(_ _)m<br><br><br>写真は、ある方から誕生日プレゼントと一緒にいただいた、桜のバームクーヘンです<br><br><br>桜の香りがほのかに匂って、とっても美味しかった！<br>(^▽^)<br><br><br>今回の小説と桜つながりとゆー事で…えへ(キモい)<br><br><br>でわでわ<br>また明日、小説でお会いしましょう<br>('-^*)/
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<pubDate>Mon, 09 Apr 2007 20:07:07 +0900</pubDate>
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<title>桜色のインタルード８</title>
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<![CDATA[ <div align="center"><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/07/60/10019177617.jpg" target="_blank"><img alt="070313_1751~0001.jpg" src="https://stat.ameba.jp/user_images/07/60/10019177617_s.jpg" border="0"></a></div>あの夜、サクライさくらで検索し、導かれた先は１つのホームページだった<br><br>そのタイトルは、<br><br>『桜色』ーー<br><br>何故そんなタイトルがつけられたのか、僕はすぐにそれを悟った<br>このホームページの主役が、さくらなのだ<br><br>インターネットの世界には、通称ネトアと呼ばれる、主にネットの中で活躍するアイドルたちが無数に存在している<br><br>そのネトアにも様々なタイプがあり、テレビを賑わすアイドルたちを目標にする者、あくまでもネットの中での活躍に主眼をおく者、自己満足のためにやっている者、そして見られる事に意義を見いだす者など、実に多彩なタイプのネトアが存在していて、中には自分の裸体を披露する者さえいるのが実情だ<br><br>そして、この『桜色』の中で主役を担うネトアこそ、さくら本人だったんだ<br><br>おそらくは桜をイメージしたものだろう、ホームページは薄いピンクの色調で統一され、その上部には、全裸で照れたように微笑むさくらの上半身が、大きなフレームの中に収まっていた<br><br>その一番上に、可愛らしい丸文字で『桜色』の２文字<br><br>ホームページの中段から下段にかけては、別サイトのバナーが所々に置かれ、それに挟まれるようにして、いくつかのメニューが存在した<br><br>それを見た時の僕のショックを、どう表現したら良いだろうか<br><br>この年で女性の裸を見た事がない男はまずいないだろう<br>ただでさえ様々なメディアーー特に今はネットの普及により、四六時中女性のヌード写真を手に入れる事が可能となっているんだから<br><br>もちろん僕だってその例には漏れない<br>だから正直に言って、このネットの世界で女性の裸を見たところで、特別なんの感情も抱きはしない<br>おそらくは神経が麻痺しているんだろう、普段なら普通の景色を見るような感じで流してしまうのが常だ<br><br>でもそれは、裸の女性が見ず知らずの相手だからであって、それが見知った女性、しかも友達であったなら話は別となる<br>マウスの動きが止まってしまうのは、仕方のない事だと思う<br><br>そして、今回僕が見てしまったのが、まさにそれだった<br><br>最も長い時間友達として付き合ってきた異性ーー<br><br>その女性のヌード写真が目の前にある現実<br><br>誰が見ているわけでもないのに、僕はこの時、すぐに写真から目をそらしていた<br><br>心にぽっかりと大きな穴が開いたような気分だった<br>見てしまった事に、何か罪悪感めいたものすら感じていた<br><br>僕は高鳴る鼓動を感じながら、再びモニタに視線を戻した<br><br>もしかしたら、さくらによく似た女性なんじゃないのか…？<br><br>しかし、やはりその女性はさくら本人に間違いはなかったんだ<br><br>さくらの身体的特徴<br><br>右目の泣きぼくろと、鎖骨の辺りにうっすらと浮かぶ蝶を思わせるあざ<br><br>見まがうはずもない<br>もうかれこれ１０年以上の付き合いなんだから<br><br>ああ、さくら…<br><br>僕はため息をつきながら写真を眺めていた<br>不思議な感覚だった<br><br>さくらの写真はギリギリ腰の辺りでカットされている<br>その胸には豊かで形の良い乳房<br>ウエストのくびれは見事な曲線を描いている<br><br>ふと、病室で抱きしめたさくらの体の感触が両手に蘇り、思わず吐息が漏れた<br><br>はっと気づいて目を伏せる<br><br>やれやれ、何を考えているんだ僕は…<br><br>僕は首を振って無理やり気持ちを切り替えた<br><br>しかし、それにしても…このホームページはさくらが作ったのだろうか？<br><br>ようやく冷静になれた頃、そんな疑問が浮かんできた<br>とても信じられる事じゃなかった<br>さくらの笑顔が脳裏をよぎる<br><br>あのさくらがネトアを？<br>しかも、よりによって裸のネトアなんて…<br><br>でも僕の疑念はすぐに晴れたんだ<br>１度呼吸を落ち着けてから、メニューのプロフィールをクリックする<br>ネトアのホームページなら、このプロフィールは必須だ<br><br>クリックした先には、彼女の誕生日やら星座やら血液型などの基本的な項目がずらりと並べられていた<br>それは僕でも知っているもので、特に目新しい内容じゃない<br>興味をひかれたのは、名前だ<br><br>ーー『桜井さくら』<br><br>本名だった<br>これを見た時、僕はこのホームページがさくら本人が作ったものではない事を知ったんだ<br><br>基本的にネトアは本名を明かさない<br>特にヌード写真を掲載しているならなおさらだ<br>『桜井さくら』が紛れもなく本名である事も僕は知っている<br>ならば、このホームページを作ったのは別人である<br>簡単な三段論法だ<br><br>じゃあ、一体誰がこのホームページを作った？<br>誰がこんな嫌がらせを？<br><br>その疑問もほどなくして解決される事になる<br><br>僕はトップページに戻り、今度はメニューにあるアルバムを選択してみた<br>そこのページにあったのは、いくつかのファイルだった<br><br>画像と映像<br>つまりは写真と動画のファイルだ<br><br>それを１つずつクリックしていく<br>写真は普段着のさくらや下着姿のものだけだった<br><br>ほっとしながら動画のファイルを開け、再生するーー<br><br>それを見た瞬間、僕の思考は停止した<br>何も考えられなかった<br><br>ばかな、何故こんなものが…？<br><br>たった１５秒のムービー映像<br>主演はもちろんさくら<br><br>僕は絶句したままマウスから手を離し、天井を見上げた<br><br>他にもファイルはあったけど、そんなものは見るまでもなかったし、見る気にもなれなかった<br>おそらくはどれも同じような内容だろう<br><br>映されていたのは、<br><br>『桜井さくら』のセックスシーン<br><br>そこに収められていたものは、それがすべてだった<br><br>なんて事だ…<br>一体誰がこれを撮った？<br>そんな事は決まっている<br>さくらでなければ、もう１人しかいない<br>セックスの相手だ<br>つまり、さくらが付き合っていた彼氏ーー<br><br>タチバナけいご！<br><br>この時僕は知ったんだ<br>このホームページを作ったのがタチバナであった事を<br><br>そして、さくらが自殺を選ばなければならなかった理由を<br><br>おそらく、さくらは僕と同じように偶然このホームページを見つけてしまったんだろう<br>そして、タチバナの裏切りを知ってしまった…<br><br>さくら、君が受けた衝撃は一体どれほどのものだっただろうか<br><br>きっと君は、１人でずっと悩んでいたんだろうね<br><br>誰にも相談できず、彼氏の裏切りに絶望しながらも、僕たちにはいつもの笑顔を見せてくれていたさくらーー<br><br>僕は目を閉じた<br>瞼の裏側に、さくらの肢体が、笑顔がちらつく<br>耳の奥では、ムービーの中でリフレインしていた彼女の歓喜の声<br><br>怒りと悲しみと、どうしようもないくらいの絶望の波が唐突に胸に押し寄せ、<br>この夜、<br>僕は１人で泣いたんだーー<br><br><br>　†　†　†<br><br><br>さくら<br>ねえ、さくら<br><br>君は偶然あのホームページを見つけた時、僕と同じような気持ちを抱いたんだろうか<br><br>タチバナを許せなくなっていたんだろうか<br><br>公園の桜を見上げながら、僕はさくらの事を、あのあとに起きた事件を思い返していた<br><br>携帯電話を開き、時間を確認する<br>待ち合わせの時間まではまだだいぶあるようだ<br><br>待ち人はーー彼女はまだ来ない<br><br>僕は目を閉じて再び夢想する<br>もう２度と会うことの叶わぬ君の事を<br><br>さくら<br>ねえ、さくら<br><br>君はあの時、予想していたんだろうか<br><br>タチバナけいごを、その手で殺めてしまう事をーー<br><br>ねえ、さくら？<br><br><br>　†　†　†　
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<link>https://ameblo.jp/dream4694/entry-10030217947.html</link>
<pubDate>Sun, 08 Apr 2007 13:43:45 +0900</pubDate>
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<title>桜色のインタルード７</title>
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<![CDATA[ <div align="center"><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/e1/9d/10019102367.jpg" target="_blank"><img alt="070313_1747~0001.jpg" src="https://stat.ameba.jp/user_images/e1/9d/10019102367_s.jpg" border="0"></a></div>タチバナ<br><br>タチバナけんご<br><br>容姿端麗、頭脳明晰、おまけに音楽的才能にも恵まれていると言う、世の中の男たちーーとりわけ桜ヶ丘音大の男性陣からは妬まれているであろう、三拍子の揃った男<br><br>指揮科ではナンバー２と言われ、最近までさくらの彼氏だった男でもある<br><br>そいつがーー<br><br>そいつが今、僕の目の前にいる<br>僕とタチバナは今、大学近くにある行きつけの喫茶店でこうして向かい合っているんだ<br><br>タチバナは鬱陶しそうな顔で僕を一瞥したあと、まずそうにコーヒーをすすった<br>僕もタチバナを睨みつけながらコーヒーに口をつける<br><br>味なんてわかるはずもない<br>いつものコーヒーだから、きっとまずいんだろう<br><br>大学生にはありがたい、その安さだけが取り柄のコーヒーだ<br>でも今は何も感じない<br><br>感じるのはチープなコーヒーの香りではなく、例えようもない悲しみと怒り<br><br>そう、怒りだ<br><br>我慢の限界なんてものは、昨夜あのサイトを見た時にどこかに飛んでいってしまってる<br>炭酸の泡みたいに次々とわいてくるこの怒りは、憎しみの気体となって僕の周りを取り巻いていた<br><br>運ばれてきたコーヒーのまずさにイライラしたのか、それとも僕に話があると言われ、無理やり連れてこられたのが気に入らなかったのかーーおそらくはそのどちらもだろうけどーータチバナは面倒くさそうにそれでと言った<br><br>「話って何ですかね」<br><br>僕はつばをひとつ飲み込んでから、タチバナの目を見据えた<br>気がつけば、両の拳を握りしめていた<br><br>「さくらの事です。サクライさくらーーご存知でしょう、つい最近まであなたが付き合っていた女性ですよ」<br>「ああ…、さくらね」<br><br>タチバナは視線を斜めにし、ちょっとだけ考えるような素振りをしてから、嘲笑するように口の端を持ち上げてみせた<br><br>「あいつが何か？」<br><br>まるで最初から自分には無関係であるかのような、そんな口のきき方だった<br>それで僕の怒りはついに臨界点を突破してしまったんだ<br><br>年代を感じさせる木目のテーブルに、僕の両手がハンマーのごとくふりおろされる<br>自分でも驚くほど、重々しい音が響き渡った<br><br>数組しかいない客たちがこちらを振り向いたようだったけど、僕の顔を見た途端にすぐさま視線を外してしまった<br>よほど恐ろしい形相だったに違いない<br><br>でも、僕には怒りと憎しみを解き放つ理由があった<br>この男をーータチバナを、決して許せない理由があった<br><br>さくらの友達として<br>彼女の一番長い親友として<br>この男は絶対に許してはならないんだ！<br><br>「お、おいおい。何やってんだよあんた。ちょっとシャレになってないぜ」<br><br>タチバナがひきつった笑みを見せながら、腰を引かせる<br>おそらく椅子の背もたれがなかったら、そのまま床に転がっていたに違いない<br>それほど、タチバナは僕の豹変ぶりに意表を突かれたようだった<br><br>ええ、と僕は言う<br><br>「もちろんシャレでこんな事はしませんよ」<br>「しゃ、じゃあ何だって言うんだよ。俺があんたに何かしたのか？」<br>「何かだって？　だからさっきから、さくらの話だって言ってるじゃないですか！」<br><br>荒げた声に、今度は周囲の反応はなかった<br>店内は静寂に包まれ、ただジャズピアノのＢＧＭだけが控えめに流れ続けるだけだ<br><br>タチバナは落ち着こうとしたのか、煙草に火をつけ、<br><br>「さくらね…。」<br><br>と呟いた<br><br>「ちょっと待ってくれよ。そもそもあんた、さくらの何なんだ？　俺とあいつの問題にどうして他人のーーええと、ヒイラギさんだっけか、あんたが介入してくるわけ」<br>「他人じゃない。友達です」<br>「はっ。何言ってるんだあんた。友達なら他人じゃないか。いっとくが、あいつから別れようって言ってきたんだぜ？　しかも、その数日後には自殺未遂ときた。…ちょっと待てよ、あんた、それが俺のせいだなんて言わないだろうな」<br>「まさか身に覚えがないなんて事は言わないでしょうね」<br>「知らないね。さくらは勝手に俺から離れてーー」<br><br>おそらくは「いったんだ」と言おうとしたのだろうけど、それは僕が言わさなかった<br>僕がテーブル越しにタチバナの胸ぐらを掴んで、無理やり立ち上がらせたからだ<br><br>「なっ、あんた何するんだ！　手を離せって！」<br><br>タチバナを掴んだまま、僕はやつの顔めがけ無言で右拳を放った<br><br>鈍い音と拳にかかる重い衝撃<br>次の瞬間には、タチバナはテーブルの横に倒れていた<br>やつは何が起きたのか分からない様子で僕を見上げる<br><br>「勝手に離れていっただって!?　ふざけるなよ、それならどうして、さくらはあんなに泣いていたんだ！」<br><br>そうだ、僕はさくらの涙を２度も見ているんだ<br>そして今、僕はその涙の理由を知っている<br>すべてはこの男のーーこんなやつの為に！<br>さくらは…！<br><br>「タチバナさん、僕は昨日あなたが作ったサイトを見た」<br><br>その言葉で、タチバナの表情が凍り付いた<br><br>そう、昨夜僕が訪れたサイトの中で見たものーー<br>それこそがさくらの自殺未遂と、これから起こる事件の引き金となった事は疑いようがない<br><br>「僕の言っている意味、分かりますよね。あれのせいで、あなたが作ったあんなもののせいで、さくらは自殺なんてバカな真似をしたんですよ！」<br><br>努めて冷静に言ったつもりだった<br>でも本当の怒りをこらえるなんてのは到底できないって事を、僕は身を持って知ったんだ<br><br>体が勝手に動いているような感覚のまま、僕はタチバナを立ち上がらせると、再び拳をふるった<br>２度３度、いやそれ以上に僕は何度も殴りつけただろう<br>タチバナの鼻からは血が流れ、僕自身の手も血に染まった<br><br>タチバナはすでに意識が朦朧としているようで、まるで風に舞う紙切れのように、くるくると僕の眼前でダンスを踊っていた<br>僕は乱れた呼吸を整え、そして再び、拳をふりあげるーー<br>しかし、その拳が放たれる事はなかった<br>誰かに腕を掴まれたからだ<br>振り返ると、顎髭を生やした喫茶店のマスタが立っていた<br>彼は優しく微笑みながら首をふる<br><br>「ヒイラギ君。普段から温厚な君が怒るくらいだから、何かしら事情はあるんだろうけど、やめておきなさい」<br><br>僕よりもひとまわり年上の人生の先輩<br>その言葉で諭されたのか、はたまた水を差された事で温度が下げられたのか、それでも納得などいくはずもなかったけど、僕は頷いて握りしめた拳を下ろした<br><br>この時止められていなかったら、僕はタチバナを殺していたかもしれない<br><br>いや、きっとそうしていただろう<br><br>もしそうなっていたとしたら、さくらは悲しんだだろうか？<br><br>「さあヒイラギ君、この男の事はわたしに任せて、今日のところは帰りなさい」<br><br>この男を殴ってもなんの解決にもならない<br>そんな事はわかっていた<br><br>でも、それではあまりにも不公平じゃないか<br>あまりにも可哀想じゃないか<br>死を選ぼうとするほど、あんなにも心を傷つけられてしまったさくらが<br><br>せめて、その痛みの１００分の１でも、タチバナに味あわせてやりたかったんだ<br><br>でも、僕の心に澱のように残されたのは、虚しさとどうにもやりきれない思いだけだった<br><br>ダメなんだ、こんな事じゃさくらを救えるはずもない<br>じゃあ一体どうしたらいい？<br>僕は何をすればいい？<br><br>愛する者に裏切られた彼女を救うにはーー<br><br>僕はマスタに頭を下げ、呆然と立ち尽くすタチバナを残したまま、喫茶店を後にした<br><br>ーー僕が昨夜モニタの中に見たもの<br><br>それは、さくらの裸体だった
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<pubDate>Sat, 07 Apr 2007 10:11:19 +0900</pubDate>
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<title>桜色のインタルード６</title>
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<![CDATA[ <div align="center"><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/4c/bd/10018813283.jpg" target="_blank"><img alt="070313_1757~0001-0001.jpg" src="https://stat.ameba.jp/user_images/4c/bd/10018813283_s.jpg" border="0"></a></div>結局さくらが退院したのは、それからさらに３日後の事だった<br><br>彼女は普段通り大学に来て、普段と変わらない日程をこなし、そしていつも通りの表情を見せつけ、周囲を驚かせた<br><br>そうやって僕たちと接するさくらはいつものさくらだったし、もちろん僕たちにも何か特別な変化があったわけではなかった<br><br>さくらの交際相手であった指揮科の男ーータチバナにしてもそれは同様だった事だろう<br><br>しかし、この時すでに、僕たちの中の何かは確実に壊れ始めていたんだ<br><br>それはさくら自身の問題にはとどまらす、周囲をも巻き込んで、やがては悲しい結末を導く結果となってしまう<br>無論僕もその運命の輪から逃れる事はかなわなかった<br><br>僕がそれを発見したのは、さくらが退院したその翌日の事だ<br><br>帰宅後、自宅のパソコンで眺めていたインターネット<br>適当にネットサーフィンをしていた時にふと、思いついた事があった<br>何か深い考えがあったわけじゃない<br>それは本当に何気ない行動だった<br><br>事件の起きた日、さくらの自殺未遂は、地元の新聞やテレビで取り上げられていた<br>とは言っても元々重大な事件ではなかったため、当日の夕刊と夕方からのニュースでほんの少し話題にのぼった程度だ<br><br>じゃあ、ネットではどうだろうか<br>ネットの中で、さくらの自殺未遂について興味を持った者がいるだろうか<br><br>僕はふとそう考え、さくらの姓名ーーサクライさくらで検索してみたんだ<br><br>結果、予想以上の件数がヒットした<br><br>その数８３<br><br>正直なところ、こんなにもヒットするとは思っていなかったので、しばらくの間僕はパソコンのモニタを食い入るように見つめてしまった<br><br>こんなにもあるのか…<br><br>しかし、同姓同名の人間に関する何かがヒットした可能性もある<br><br>とりあえず、全部調べてみようーー<br><br>キーボードを叩く単調なリズムを味わいながら、僕はそれらのサイトを１つずつ訪問していった<br><br>最初のサイトはさくらと同姓同名の人間が、そのサイトの掲示板に書き込みをしていたものだった<br><br>一瞬さくら本人かと思ったが、内容から判断するに、この人物が彼女でない事はほぼ確実のように思えた<br><br>ここに書き込みをした人物は、どうやら子供のいる主婦らしい<br>さくらはそのどちらでもないのだから、書き込みをしてはいないだろう<br>いやそもそも、このネットの世界で本名を明かして書き込みをする人間がいるとは思えなかった<br><br>第一、例えさくら本人が書き込みをしていたとしても、それは今回の件とは無関係ではないだろうか<br><br>２番目に訪れたサイトも、さくらとはまったく繋がりがなかった<br>僕は再び検索画面へと戻り、残りのサイトを調べていく<br><br>根気よくマウスをクリックし、１１番目のサイトに辿り着いた時、ついにそれは見つかった<br><br>そこは自殺や殺人などを扱ったアンダーグラウンドなサイトで、そこの掲示板に、さくらの自殺未遂についてコメントされた書き込みが多数あったんだ<br><br>その書き込みと言うのがこれだ<br><br><br>×××××××<br><br>白虎　04/xx 22:18<br><br>今日の昼頃、桜ヶ丘音大で投身自殺発生っす！<br>自殺者は女性で音大の生徒<br>助かった模様<br>詳しい情報求むう！<br><br><br>ライト　04/xx 22:48<br><br>彼女が音大の子なんで、聞いてみますよ<br><br><br>ライト　04/xx 23:15<br><br>報告<br>名前は桜井さくら<br>年齢は２１歳<br>弦楽科の生徒<br><br><br>白虎　04/xx 23:36<br><br>ライトさんサンクス<br>桜井さくら…って、なんか見た事ある名前だなぁ<br><br>どっかのサイトで見た気がします<br>ちょっと探してみますわ<br>明日報告しまっす<br><br><br>白虎　04/xx 21:07<br><br>ライトさんへ報告でっす<br>昨日の子<br>やっぱり他のサイトで見てました<br>詳しくは、自分の目でごらんになってくださいな<br>URLのせときます<br>これ、今回の自殺と関係ありなら面白いけどね<br><br><br>×××××××<br><br><br>今回の自殺と関係ありなら？<br><br>マウスを持つ手がその書き込みを見た瞬間、動きを止めた<br><br>どういう事なんだ？<br><br>この白虎ってやつが見たサイトには一体何があるんだろう<br>何故白虎は今回の件と関係があるかもしれないと考えたのか<br>もし関係があるのだとしたら、さくらが自殺した動機はこのサイトに隠されているのだろうかーー<br><br>様々な疑問がわきあがるなか、僕はそのＵＲＬをクリックした
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<pubDate>Mon, 02 Apr 2007 21:21:22 +0900</pubDate>
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<title>桜色のインタルード５</title>
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<![CDATA[ <div align="center"><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/8e/44/10018661574.jpg" target="_blank"><img alt="070313_1755~0002-0001.jpg" src="https://stat.ameba.jp/user_images/8e/44/10018661574_s.jpg" border="0"></a></div>病室に入った僕たち３人を、さくらは笑顔で迎えてくれた<br>入れ替わるように、彼女のお母さんが病室を出ていく<br>一旦家に戻ったのかもしれない<br><br>僕を見るなりさくらは、<br><br>「ねえそういち、おみやげは？」<br><br>そんな軽口をたたいて、ころころと笑ってみせた<br><br>それを見る限り、彼女の態度は一見普段と変わらないように思えた<br>しかし、さくらの頬や手の甲に残るすり傷が、彼女の選択した過去を、いやでも僕たちの脳裏に蘇らせてしまう<br><br>「おみやげなら僕たち３人の笑顔で十分じゃないのかな」<br><br>僕が苦笑するとさくらは、<br><br>「かえでとハルナならともかく、そういちの笑顔もらうくらいなら、プリン食べてた方がよっぽど幸せよ」<br>「あそう、僕はプリン以下なわけだ」<br>「あんたにカラメルかけても食べられないでしょ」<br>「あのね」<br><br>憮然とする僕を押しのけるように、かえでが僕たちの間にすっと体を滑り込ませる<br><br>「はいはい、２人ともそこまでにして。はいこれ、おみやげ」<br><br>かえでが差し出したのは、スイートピーのアレンジメント<br>小ぶりの鉢に、ピンクとイエローの可憐なスイートピーがバランス良く生けられている<br><br>スイートピーの花言葉は『門出』、『思い出』、そしてーー『別離』<br><br>もちろん、僕たちがその花に込めた想いは『門出』だ<br><br>さくらの目がアレンジメントを見て、ぱっと明るく輝く<br>それこそ花のように<br><br>「ありがとうかえで！　すごく綺麗ね！」<br>「そうでしょうとも。３人で買ったのよそれ」<br><br>アレンジメントを前に喜ぶさくらに、今度はハルナが紙製の小さな箱を掲げて見せる<br>可愛らしいケーキ用の箱だ<br><br>「じゃーん。これなーんだ」<br><br>さくらの目がさらに輝きを増す<br><br>「アンリじゃない！」<br><br>彼女は箱に鼻を近づけ、<br><br>「あ、ハルナこれプリンでしょう！」<br>「当たりぃ。これはわたしとかえでで買ったのよ」<br><br>かえでが頷きながら、僕を見て口の端を上げた<br><br>「そう、だからそうクンの分はないの」<br>「ちょ」<br><br>ちょっと待って、と僕はかえでの腕を掴む<br><br>「それはないだろう。だって、あのアレンジメントの代金はほとんど僕が出したんだからさ。おかげで僕の財布の中身は小銭だけだよ」<br>「その小銭は貯金しておいて、あたしたちの未来のために」<br>「僕は未来より今のプリンがいい」<br><br>さくらがそれを見てまた笑う<br>この場面だけを見たなら、さくらが自殺未遂を犯したなどとは誰も思わないだろう<br><br>僕だって信じられなかった<br>今でもこれは現実ではないんじゃないかと思う時がある<br>でも、さくらは…<br>さくらは確かに自ら死を選ぼうとしたんだ<br><br>結局、みんなでプリンを食べながら談笑した後、病室を辞するまで、僕たちのうちの誰もが、さくらに自殺未遂の事を聞かなかった<br>いや聞けなかったと言うのが正しいのかもしれない<br><br>一体、気丈にも明るく振る舞おうとしているさくらに、どんな言葉をかければいいと言うんだろう？<br><br>『生きていてくれて本当に良かった』<br><br>僕だって本当ならそう声をかけたかった<br>かえでもハルナも同じ想いだったはずだ<br>でもさくらの笑顔がそれをさせてはくれなかったんだ<br><br>さくら<br>今、君の心には光が差しているだろうか…<br><br>病室をでた後、そんな事を考えながら廊下を歩いていると、ふと忘れ物をした事に気がついた<br><br>久しぶりに寒かったためにひっかけてきた上着<br><br>室内が暖かかったので脱いだんだけど、どうやら病室に忘れてきたらしい<br><br>僕は２人に断り、さくらの病室へととって引き返した<br><br>その時はまさか、さくらがあんな状態にあるとは思わなかったんだ<br><br>病室に戻った僕が見たのは、さくらの泣き顔だった<br>彼女はベッドの上で俯き、ただ静かに泣いていたんだ<br><br>僕はつかの間、息をする事さえ忘れていたかもしれない<br><br>声をかけようかどうか迷っているうちに、気づいたのだろう、さくらが下を向いたまま小さな声を発した<br><br>「…なに？」<br><br>その涙を含んだ声で、僕はさらに動揺してしまった<br><br>普段から僕は割と冷静な方で、めったな事では動揺なんてしない<br>しかしこの時は、さくらが先ほどまで見せていた笑顔とのギャップによって、僕の心はかき乱されてしまったんだ<br>だからーー<br><br>「あ、さくら、あのさ」<br><br>さくらはやはり俯いたままベッドの傍に置いてある椅子に指をさす<br><br>「…忘れたパーカーなら椅子の上だよ…」<br><br>だから、<br>だから僕は、パーカーを振り払って椅子に腰掛けると、胸の内にあった言葉を紡ぎ出してしまったんだ<br><br>「さくら、生きていてくれて本当に良かった」<br><br>言った後で後悔した<br>言うべきではなかったんだろうか？<br><br>さくらは精一杯強がってみせていた<br>だからあえて言わなかったんだ<br>だから聞かなかったんだ<br>でもダメだったよ<br><br>君が心配だったから<br>君が生きていてくれて本当に安心したから<br><br>だから僕に、いや僕たちに、何か出来る事があるならば喜んで手を差しだそうじゃないか<br><br>ねえさくら、君はもっと寄りかかっていいんだよ<br><br>僕たちはそれぞれが別々の道を歩んでいるだろう<br><br>目を向けている先もそれぞれ違うかもしれない<br><br>でも、例えお互いに背中を向けているのだとしても、僕たちの背中はいつだって触れ合っているんだ<br><br>いつだって傍にいるんだよ<br><br>だから、<br>ねえさくら、<br>つらい時は寄りかかってほしい<br><br>例え僕たちの背中が頼りないものだとしても<br><br>君は１人じゃないんだからーー<br><br>それが伝えたかった僕の言葉のすべてだった<br>でも出てきたのは、生きていてくれて本当に良かった、なんてどこにでもあるような言葉だったんだ<br><br>さくらは顔をあげると、涙に濡れた瞳を僕に向けて微笑んだ<br><br>「そういち…、あたし死ぬの失敗しちゃったよ…」<br><br>その切ない笑顔のせいで、いつの間にか僕の目にも涙があふれだしていた<br><br>さくらは顔をくしゃくしゃにしながら大粒の涙を流す<br>そして、あっと思った時には、彼女の体は僕の胸の中にあった<br><br>思考が停止したかもしれない<br><br>僕の間近で聞こえるさくらの泣き声<br>胸に感じる彼女の体温<br><br>自然と僕の手が彼女の肩にそっと伸びるーー<br><br>「そういち、あたし、あたし…」<br>「大丈夫、もう何も言わなくていいから」<br>「あたしは…死のうとして…！」<br>「さくら、もう大丈夫なんだ。僕たちはいつも君の傍にいるから」<br><br>僕の声はさくらに届いただろうか<br>僕たちの想いは、彼女の心を少しでも救えただろうか<br><br>さくらはほんの微かに、だが確実に、こくりと頷いてみせた<br><br>この時初めて、僕はさくらの体がこんなにも華奢だった事を知ったんだ
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<pubDate>Sat, 31 Mar 2007 19:31:12 +0900</pubDate>
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<title>桜色のインタルード４</title>
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<![CDATA[ <div align="center"><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/10/7b/10018546837.jpg" target="_blank"><img alt="070313_1753~0002.jpg" src="https://stat.ameba.jp/user_images/10/7b/10018546837_s.jpg" border="0"></a></div>さくらは案の定、この救急病院に運ばれていた<br>受付で聞いたところ、今は検査中だと言う<br><br>それを聞いて、とりあえずほっと胸をなで下ろした<br>かえでもハルナも、一様に安堵の表情を浮かべている<br><br>検査をしているなら、死んでしまったと言う事はないだろう<br>良かった…僕はロビーのソファに寄りかかって、深く息を吐き出した<br><br>知らぬうちに力が入っていたのか、いつの間にか握られていた拳を開くと、汗でうっすらと湿っていた<br><br>生きているんだね、さくら…<br><br>しかし状況が分からないだけに、予断は許されない<br><br>そんな不安のかたまりを飲み込んだまま、僕たちはロビーでひたすら待ち続けた<br><br>結局さくらの容体が知らされたのは、その１時間後だった<br><br>それによれば、奇跡的にも生死に関わる重大な怪我はまったくないとの事<br><br>骨折なし<br>内臓にも損傷なし<br>あるのは両手両足への打撲のみ<br><br>それを聞かされた時、僕の心にようやく光が差した気がした<br>お互いに見合わせた僕たち３人の顔には、うっすらと笑みがこぼれていた<br><br>４階建ての教室棟から落ち、それで済んだと言うのは実に奇跡的な事だが、後で警察に聞いた話によると、落下する際に桜の木がクッションとなり、さらには落ちた場所がやわらかい土の上だったために、その程度の軽傷で済んだのではないか、と言う事だった<br><br>言わば桜がさくらを救ったと言うわけだ<br><br>なんとも奇妙な偶然の一致だが、ひょっとするとあそこに植えられた桜の木は、こうしてさくらを助けるために存在していたのではないか、とさえ思えてきてしまう<br><br>やはり桜には愛があふれているのだろうか<br><br>ただ…心配だったのは、さくらがまだ意識を取り戻していないと言う事と、彼女がまた自殺を(これも後から知った事だが、やはり自殺するつもりで飛び下りたらしい)繰り返すのではないか、と言う事だ<br><br>僕たちの誰かが病院に残っても良かったのだけど、とりあえず駆けつけた警察官と、僕が呼んでおいたさくらの両親が話し合い、結局今日はさくらのお母さんが病院に残る事となった<br><br>「そう言えば昨日、さくら泣いてたよ」<br><br>帰りのタクシーの中、僕は２人に昨夜のさくらがどんな状態だったのかを話して聞かせた<br>かえでは割と冷静に聞いてくれたが、ハルナは珍しく声を荒げ、<br><br>「死んでしまえばいいなんて…！　ヒイラギくん、さくらは本当にそんな事言ったの!?」<br>「うん」<br><br>僕は頷きながら、さくらの泣き顔を思い出す<br><br>「確かに言ってたよ。あんなさくらを見るのは初めてだね僕も」<br><br>ハルナはかなりショックを受けた様子だった<br>かえでは表情をほとんど崩さないが、やはり動揺を隠しているであろう事が見て取れる<br>だてに２年も付き合ってるわけじゃない…と思う<br><br>ハルナは憂うように息を１つ吐いた<br><br>「彼氏と別れたからって、なにも死のうとしなくてもいいじゃない。そんなに辛かったなら、わたしたちに相談してくれても良かったのに…」<br>「でも、ちょっと待ってハルナ」<br><br>かえでが目を細めながら首を傾けた<br><br>「さくらは彼氏に振られたのかしら」<br>「そうじゃないの？」<br>「それで自暴自棄になって自殺を？」<br><br>それしか考えられない、と言ったハルナのそのセリフを噛みしめながら、僕は首をひねってしまった<br><br>本当にそうだろうか？<br>いや違うはずだ<br>だってさくらは…<br><br>見ると、かえでも同じ事を考えたようだった<br>彼女は首を左右に小さく振って、<br><br>「あたしは違うと思うな。だって、さくらは別れた彼氏の事を死んでしまえばいいって言ったのよ？　振られて、それでも好きならそんな言葉はでてこないと思うな。もちろん好きじゃなくてもでてこないだろうけど。だいたい、好きじゃなかったら自分から振ってるだろうしね」<br>「じゃあ、どうして？　どうしてさくらは死のうとしたのよ！」<br><br>分からないわ、とかえでは遠い目をしながら言った<br><br>「分からない。分からないけど…でも、よほど酷い事をされたんだと思う」<br>「何それ、酷い事って何!?」<br><br>ハルナは言いながら、涙をこぼし始めた<br><br>「可哀想…。さくら、可哀想すぎるよ…」<br><br>むせび泣くその背中にそっと手を回しながら、かえでは微笑んでみせた<br><br>「大丈夫、さくらにはあたしたちがついているもの」<br><br>ハルナは泣きながら、こくんと頷く<br><br>そうだ、僕たちはいつだって傍にいる<br>君の傍にいるんだ<br><br>そうだろう？<br>さくら…<br><br>ーー彼女が死のうとした理由…<br><br>それも確かに気にはなっている<br>しかし、今の僕たちが一番に思っている事はたった１つだ<br>それは、さくらが一刻も早く目を覚ましてくれる事ーー<br><br>僕たちの願いが通じたのか、さくらはこの翌日に目を覚ました
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<link>https://ameblo.jp/dream4694/entry-10029340606.html</link>
<pubDate>Fri, 30 Mar 2007 00:11:53 +0900</pubDate>
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<title>桜色のインタルード３</title>
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<![CDATA[ <div align="center"><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/44/fe/10018461249.jpg" target="_blank"><img alt="070313_1750~0002.jpg" src="https://stat.ameba.jp/user_images/44/fe/10018461249_s.jpg" border="0"></a></div>僕がその報せを聞いたのは、ピアノのレッスンを終えて部屋を出た時だった<br><br>食堂に行こうと廊下を歩きながら、ふとポケットの携帯電話に手を伸ばす<br><br>開いてみると、かえでからの着信だ<br>しかも、１分おきに３回も<br>その時はもちろん、さくらの身に起きた事など何ひとつ知らなかった僕は、ただ彼女にしては珍しいな、としか思わなかった<br><br>付き合っているとは言っても、かえでとの関係はドライだ<br>電話がかかってくるのは用件がある時だけ<br>しかも要点を押さえ簡潔に、なんてテストの小論文みたいな電話の内容だから、愛を語り合う暇などクロールの息継ぎほどもない<br>僕がせいぜい言える言葉は、『わかった』か『無理かな』の２種類くらいのもんだ<br><br>かえでによれば、話したい事があるなら会いにくればいいじゃない、と言う理屈なのだけど、自分の方から、じゃあ会いに行くわと言わないのが実に彼女らしい<br><br>ところが、緊急で詳しい説明を要する場合にはメールがくる<br>長い話は文章にした方が分かりやすいと言うのだ<br><br>内容を何回でも確認できるから、相手に聞き返される面倒もなくていいらしい<br><br>一般的に言ったら逆なんじゃないかと思うんだけど、彼女には彼女のポリシーがあるのだから僕は何も言わない<br>付き合っていくうえで特に不自由もないしね<br><br>まあとにかく、自分と言うものをしっかり持ち、男に媚びたりは決してしない、かえではそう言う女性だ<br><br>そんな彼女から続けて３回の着信ーー<br><br>これは異例の事と言えた<br><br>とは言え、特にいぶかる事もせずに、僕は廊下を歩きながら発信ボタンを押し、携帯電話を耳にあてる<br><br>電話を待っていたのだろう、かえでは１回目のコールが鳴りやむやいなや電話に出ると、すぐに「今どこ」と聞いてきた<br>心なしかいつもより早口だ<br>僕が１号棟のピアノルームと答えると、<br><br>「１号棟ね…」<br><br>と、２秒ほどのブランクをあけ、<br><br>「それじゃ図書館の前で待ち合わせがいいわね。急いできて」<br><br>そう言った<br><br>ランチとるなら食堂でいいんじゃないかな、と思ったけど、とりあえず分かったと答え電話を切るーーいや、切ろうとしたんだ<br><br>でもかえでは電話を切らなかった<br>いつもならこれで、僕たちのトランシーバ風通信は終わると言うのにね<br><br>やはり今日は変だ<br><br>何かあった、とこちらが聞く前に、かえでが先に口を開いていた<br><br>「今から病院行くから」<br>「え、病院て…、どこか悪いの？」<br>「ううん、あたしじゃなくて、さくらよ」<br><br>さくら!?<br>途端に嫌な予感が胸を駆け巡った<br>昨夜見たさくらの後ろ姿が、その涙が脳裏に浮かんでは消えていった<br><br>「さくらに…何かあった？」<br><br>声が震えていたかもしれない<br>予感はすでに昨日からあったはずだ<br>それなのに、声をかける事すら出来ずに…<br><br>かえでは小さく息を吐き出し、言った<br><br>「そうクン、落ち着いて聞いて。さくらが２号棟の屋上から落ちたの」<br><br>硬直した僕の足元に、携帯電話が音を立てて落ちた<br><br><br><br><br>外に出てみれば、キャンパスは大変な騒ぎとなっていた<br>特に２号棟の周囲は人と喧騒で包まれ、近づく事さえためらわれるほどたった<br>その中に混じって警官たちの姿もちらほら見える<br><br>図書館の前でかえでとハルナ、２人と合流した僕は、何よりもまずさくらの事を尋ねた<br><br>何故さくらが２号棟の屋上から落ちなければならなかったのか、さくらはどうなってしまったのか、事件なのか事故なのか、それともーー<br><br>しかし、矢継ぎ早に吐き出した僕の質問に、２人は困惑した表情で首を振るばかりだった<br><br>「詳しい事はあたしたちも知らないの。噂だと３０分くらい前に救急車で運ばれていったって…」<br><br>かえでが眉間にしわを寄せて答える<br>いつもは星のように輝くハルナのつぶらな瞳も、今は曇りがちだ<br><br>「とりあえずタクシーを捕まえましょ。さくらが運ばれた病院に行ってみないと」<br><br>かえでの言葉に、僕たちは早速行動を開始した<br><br>早足でキャンパス内を横切っていく<br><br>正門を通り抜けたとき、ちらっと声楽科の教師の姿が見えた<br><br>正門にはすでにマスコミの面々がいる<br>万が一にも彼らが中に入らないよう、教師が説明しているのかもしれない<br><br>通りでタクシーを捕まえ、運転手に行き先を告げた<br>さくらがどこの病院に運ばれたのか分からなかったため、ひとまず最寄りの救急病院を指定する<br><br>運転手によれば、この時間なら１５分もあれば着くらしい<br><br>運転手は初め饒舌に話しかけてきたが、僕たちが無言のままだったためか、やがて車内にはラジオから流れる女性歌手の歌声だけが取り残された<br><br>僕たちはみな前を向いたまま、貝のように口を閉ざしていた<br><br>みんなの胸にあるのはおそらく１つだけだろう<br>それは無論さくらの安否<br><br>しかし、僕の脳裏に浮かんだのは、やはり昨夜見たさくらの表情と、彼女の放った言葉だった<br><br>失恋<br><br>もし、さくらが自ら命を絶とうとして屋上から飛び下りたのなら、原因はおそらくそこにある<br><br>昨日の彼女の態度がそれを物語っている<br><br>しかし…、と僕は目を閉じた<br>はたして本当にただの失恋だったんだろうか<br>一体どんな事があれば、死んでしまえばいい、なんて叫ぶのだろう<br><br>そしてあの涙はーー<br><br>いや、今はそれよりもさくらの安否だ<br>とにかく、彼女が無事でいてくれればそれでいい<br><br>僕は思い直して目を開けた<br><br>３人分の不安を乗せた車は、ちょうど病院の駐車場へと入っていくところだった
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<link>https://ameblo.jp/dream4694/entry-10029213108.html</link>
<pubDate>Wed, 28 Mar 2007 18:30:01 +0900</pubDate>
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