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<title>マッチ箱</title>
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<title>中二病すぎるファンタジー設定</title>
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<![CDATA[ けっこう前から温めている中二病すぎる設定のファンタジー。<br>基本ファンタジー系ＲＰＧがすきなのでどうしてもそっち系になる。<br>私的メモなので箇条書き。<br><br><br><br><br><br>・主人公は不老不死（ありがち）<br>・見た目の年齢は１４。実年齢は１８<br>・「科学は古い」時代。最先端は魔術。<br>・主人公は神降ろしの禁忌に触れて不老不死に。ただし主人公の意志ではない。<br>・主人公はこれを「呪い」と呼ぶ。<br>・双子の妹がいる<br>・妹にも「呪い」がある<br>・というか主人公のいた集落の人間は全員何かしらの「呪い」持ち。<br>・集落の人間だけでなく、ある程度主人公と血のつながりがある人間はみんな「呪い」持ち<br>・けど大抵は「呪い」のせいで死去<br>・「呪い」を解くためと、双子の妹を探すために各地を転々として情報収集にいそしむ主人公のはなし<br><br><br><br><br><br><br><br>今のところはこんな。<br>またちょいちょい増やしてきます。<br>もっともっと細かく決めてかないとね。
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<link>https://ameblo.jp/fiammifero/entry-10518851884.html</link>
<pubDate>Mon, 26 Apr 2010 23:58:35 +0900</pubDate>
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<title>作品解説のような。</title>
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<![CDATA[ <p>小説ばかり書いて寂しいブログだなと改めて思ったので、すこし、今までに載せた作品について語ってみようかと思います。</p><p>小説家はあまり作品について主張するものではないというのが持論ですが、何も材料がないというのも面白くないものかと思いまして。</p><p>単なるたわごとですが、お暇な方はお付き合いください。</p><br><br><br><p>『嘘つきの懺悔』</p><br><p>これのテーマは、母の愛、でした。</p><p>子どもは結構親のことを理解しているといわれますけれど、やっぱり親も、子供のことはわかっているものだと思うのです。</p><p>まあ、まだ親になったことのない女の戯言ではありますが。</p><p>この娘は、言葉足らずです。</p><p>言葉面だけを追って見てみれば、娘のついた嘘は、「けいちゃんが盗んだものを、落ちていたと言って返した」ととれるように書いています。</p><p>が、娘がついた嘘は、「けいちゃんがシールを盗み、隠せと言われたが隠せず、ゆうちゃんに返した」というものです。実際に盗んだのは、娘であるからです。それは、母親の台詞からもご想像いただけるかと思います。</p><p>言葉の上澄みを掬い上げているだけでは、娘がついた嘘が何であるのか、おそらくわからないと思います。</p><p>母親に嘘をついているつもりは、娘には毛頭ありません。「ゆうちゃん」に言った嘘を、母親に教えているだけです。</p><p>しかし、母親は、娘の足りない言葉を聞いて、娘の嘘が何であるかをはっきりと見抜いたわけです。</p><p>はたから会話を見ていると矛盾に感じるものでも、当人たちにとっては何ら違和感のない会話。</p><p>それは、愛がなければなしえないものではないかと、そう思っています。</p><br><br><br><p>『メビウスを断ち切る』</p><br><p>とにかく哲学的な話を書きたい。と思って書いたものです。</p><p>この中で男女が語っている正義と悪の定義は、以前よりわたしが持っていた定義です。</p><p>この定義を語らせるためにはそれなりの立場にある人物ではないと無理だ、と判断して、選んだのが「正義の味方」と「悪の組織の幹部」でした。</p><p>他にも、警察と殺人犯や、教師と詐欺師、などというバージョンも考えてみたのですが、結局ストレートに、正義そのものと悪そのものに落ち着きました。</p><p>チャーリー･チャップリンの有名な言葉に、「人生はクローズアップで見れば悲劇　ロングショットで見れば喜劇」というものがあります。</p><p>わたしはこの言葉がとても好きで、この話を書く上でのヒントにさせていただきました。</p><p>クスリと笑える作品になっていれば嬉しいです。</p><br><br><br><br><p>『世界』</p><br><p>この作品については、あまり多くは語りません。語りたくないとも言えます。</p><p>優衣子はわたしです。彼女の価値観や世界観は、そのままわたしのものです。</p><p>けれど同時に、美咲、理香、奈美も、わたしです。わたしの一部です。</p><p>わたしは個人を大切にしたいと思いながら、組織から、社会から外れることもこわいのです。</p><p>麻友は、わたしの理性です。わたし自身に、わたしが何を大事にしているのかを教えてくれました。</p><p>本当ならば、載せるのも恥ずかしいくらいの作品です。</p><p>しかし、恥ずかしい作品であるからこそ、思い入れもあるのです。</p><p>こいつ恥ずかしいな、というくらいの、軽い気持ちで読んでいただけるのが理想であります。</p><br><br><br><br><p>『ペットの幸せ』</p><br><p>絵本のような世界を書きたいがために、このような文体になりました。</p><p>グルっぽでお題を見たときに、真っ先に思い浮かんだのが犬でした。</p><p>以前犬を飼っていたということもありますし、日本人に浸透しているぶん、書きやすい題材だということも理由のひとつです。</p><p>ただ、単純に犬の話を書くのはつまらないなと思い、あのような形にしました。</p><p>そのまま追っていくと、ばれるまではえげつない虐待の小説になりかねないので、比喩のかわりに、キーになる単語を入れたりして、悲惨な物語として読まれないように工夫してみました。</p><p>その代わり、ちょっと直接すぎて、奇もなにもないものになってしまったのですが。</p><p>生がないからこそ従順である、というのは、悲しいものです。</p><p>生がないものを、生があるとして見ることは出来ません。生き物以上の愛情を注ぐことは、決して出来ません。</p><p>しかしそれを差し引いたとて、現代の人間は、モノというものを粗末にしすぎているのではないかと思います。</p><p>そんな風刺も兼ねていたり。所詮、後付け程度ではあるのですが。</p><br><br><br><br><p>『それは切欠に過ぎない』</p><br><p>テーマは、少女マンガでした。</p><p>ただ好きという言葉を告げる告白もいいものですが、こういった告白の形もとても好きです。</p><p>お互いのことをよく知る両者でなければ、できないことですけれどね。</p><p>わたしには、小説は思想を埋めるものだけれど、それ以前にエンターテイメントでなければならないという考えがありまして。どうにも奇をてらう傾向があるのです。</p><p>涼の性別はなるべく伏せてあります。と言いますか、序盤では男に見えるようにしています。</p><p>こういう遊びは小説ならではのものだと思いますので、ついやってしまうんです。</p><p>涼は、言葉遣いこそ粗雑ですが、髪を長く伸ばし、パーカーもジーンズもスニーカーも女物で、おしゃれにも気を使っています。外見の見える漫画やアニメでは、涼が男性であるという勘違いは起きないでしょう。</p><p>女性らしさ、というものは、外見からにじみ出るものであると思います。</p><p>それは、うわべという意味の外見ではありません。立ち居振る舞いや言葉の端々、そういったものに現れる、という意味です。</p><p>内面、と言いますが、人は他人の内側を覗くことはできません。</p><p>内面というものは、外見に表れて初めて知覚されるものです。外側に発せられるものを汲み取って、内面を判断しているに過ぎないのです。</p><p>言葉が男っぽい、という先入観を抜いて涼の言動を追うと、涼はやはり女性であるということがお分かりいただけるかと思います。</p><br><br><br><br><p>とまあ好き勝手語りましたが。</p><p>わたしはこんな思いを込めましたよ、という。参考までに。</p><p>何だか支離滅裂な文章ですみません。ニュアンスで捉えていただければ幸いです。</p><br>
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<link>https://ameblo.jp/fiammifero/entry-10429940953.html</link>
<pubDate>Fri, 08 Jan 2010 23:42:50 +0900</pubDate>
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<title>それは切欠にすぎない　【グルっぽ文芸部企画】</title>
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<![CDATA[ <p>冬はつとめて。平安の女性はそう言ったけれど、夜も悪くないものではなかろうかと思う。</p><p>この時期特有の、キンと澄んだ空気。冷たい風が肌を刺す感覚。冬しか見ることの出来ない白い息も、夜はいっそうその存在を主張してくる。</p><p>歩きながらふと、天を仰ぎ見た。</p><p>色を濃くした夜空に瞬く、砂時計。オリオン座は、俺の好きな星座のひとつだ。</p><br><p>「事故るぞ」</p><br><p>言われて、顎を引く。２メートルほど先で足を止めていた涼が、気味の悪いものを見るような目を、俺に向けていた。</p><br><p>「平気だろ。めったに車なんか通らないし」</p><p>「車が通らなくても電信柱は立ってんだ。お前が前方不注意でぶつかったって、責任取れねーからな」</p><br><p>肩を竦めて見せる。俺がそんなへまをするような人間じゃないことは、こいつもわかっているはずなのだ。</p><p>その証拠に、我が幼馴染は、俺の目線の先でくつくつと笑っている。</p><p>まったく失礼なヤツだ。今に始まったことではないが。</p><br><p>「降らなかったなあ」</p><br><p>そう言って、先ほどの俺を真似するかのように、自らの頭上を仰ぐ。</p><p>お前のほうこそ事故るんじゃないか、と言えば、歩いてねーもん、と言ってまた笑った。</p><br><p>「雪か？」</p><p>「そー。今日は寒くなるって聞いたから、ちょっと期待してたんだけどなー」</p><p>「いくら寒くても、晴れていたら雪は降らないんじゃないか」</p><p>「夢ぶち壊すこと言うなよ、譲（ゆずる）」</p><br><p>涼が、少し眉をひそめ、唇を尖らせている。</p><p>こいつが変なところでロマンチストなのは、昔からだった。</p><p>大学に入学し、一人暮らしを始めた今でも、それはなんら変わっていない。本当に同い年かと疑うときもあるほど、子どもっぽい部分がある。</p><p>とはいえ、そういった点も含めて好ましく思っているからこそ、こうやって関係を続けているのだが。</p><br><p>「ホワイトクリスマスなんて、めったにないからありがたいんだろう」</p><p>「めったにないから見たかったんじゃねーか」</p><p>「運が悪いってことだな」</p><p>「そうか、譲の運が悪いから見れなかったんだ。納得」</p><p>「なんでそうなる」</p><br><p>涼に追いつき、再び隣を歩き始めた。</p><p>ふたりぶんのスニーカーが、アスファルトを擦る。</p><p>クリスマスイブから、クリスマスと呼ばれる日にちになって、２時間と少し。</p><p>こんな時間に外を歩いている人間など、そうはいない。</p><p>ここがイルミネーション輝く繁華街であれば、また違ったのだろう。が、あいにくここは、マンションやアパートの立ち並ぶベッドタウンだ。</p><p>コンビニに行くのにすら自転車を使うこのあたりで、夜中の通行人などいるはずもない。</p><p>俺たちも、友人の家で飲み会などしていなければ、こんな時間に外を歩いてはいなかったのだ。</p><p>それも、街灯と、まばらな窓の明かりくらいしか光源のないような、寂しい住宅街なんか。</p><br><p>「見たかったなー雪」</p><p>「来年にとっておけ」</p><p>「つったって、来年もひとり身だったら、また譲と一緒じゃねーか。見れねーじゃん」</p><p>「引っ張るなよ。なんで俺のせいになるんだ」</p><br><p>涼の後頭部を軽く叩く。</p><p>パーカーのポケットに突っ込んでいた手を引き抜き、頭をさすりながら、何するんだよ、と涼が俺を睨んだ。</p><p>だが、口元は笑っている。俺も釣られて笑みをこぼした。</p><br><p>「来年もこのメンバーで飲み会かなあ」</p><p>「どうだろうな。慎二あたりが彼女作っていそうだ」</p><p>「ああ、あるかも。ていうか、栄子、慎二狙ってんだぜ」</p><p>「そうなのか？それは知らなかった。慎二には嬉しい話だな」</p><p>「え、脈あんの？」</p><p>「大有りだろ」</p><p>「マジかよ！うっわー面白いことになってきた！」</p><br><p>大学の友人同士が付き合う、ということになれば、嬉しいのは仕方がない。</p><p>が、喜び方がまるで野次馬だ。</p><br><p>「でも、クリスマスってキリストの誕生日なのに、日本じゃすっかり恋人のイベントだよなあ」</p><br><p>鼻をすすって、涼が言う。</p><p>俺は白く息を吐きながら、点々と続く街灯を見つめ、肯定を示す声を上げた。</p><p>昨今では、自宅やベランダにカラフルな電飾を施す家も珍しくないのに、このあたりではそういったものも見当たらない。</p><p>そんな視覚の静寂こそが、今、俺が涼とふたりきりであることを、知らしめている。</p><br><p>「日本人って、なんでこんなイベント好きかな。クリスマスやらバレンタインやら、騒げるモンは全部取り入れてるってカンジ」</p><br><p>そのうちイースターまで取り入れてそうだ、と言って、涼は肩を竦める。</p><br><p>「日本人の根本は多神教だからなあ。宗教を交えるということ自体に抵抗が少ないんじゃないか。</p><p>日本にはもともと八百万（やおよろず）と言って、自然だけでなく、人や物質まで神とする文化がある。祭りの起源は神事だし、日本人が祭り好きなのは、そういうところにもあるのかもしれないな」</p><br><p>もちろん、これは俺の推測だけど。</p><p>そう言うと、涼が、きゅ、と眉根を寄せる。</p><br><p>「だからってクリスマスが恋人のイベントになる理由にはならねーよ」</p><p>「まあ･･･最近の日本人が信仰深いとは、とても言えないからな」</p><p><br>単に騒ぎたいだけ、という感も否めなくはない。<br>それ自体を否定するつもりは毛頭ないが、当のイエスが日本のクリスマスを見れば、呆れ返ってしまうのかもしれないと思う。<br>いや、博愛の宗教だから、意外と許してくれるだろうか。</p><p><br>「恋人といちゃついて、何が聖夜だ。神聖の聖を、性交の性と勘違いしてんじゃねーの」</p><p>「お前なあ。いくら夜中とはいえ、道のど真ん中で言う台詞じゃないぞ。それに、負け惜しみみたいで、みっともない」</p><p>「いいんだよ、負け惜しみなんだから」</p><br><p>そう言って涼は、合わせていた歩調を少し速め、俺の前に飛び出した。</p><p>白く濁った吐息が、寂しくなった俺の隣をふわりと掠めていく。</p><p>それを目の端で追い、俺は涼へと視線を流した。</p><p>相変わらず手のひらをポケットに突っ込み、顎を上げて真上に息を飛ばしながら、乾いた笑いを漏らしている。</p><br><p>「好きなヤツに告白も出来てない時点で、負け犬だっての」</p><br><p>振り返ることなく、涼が言う。思わず凝視した背中は、予想以上に小さく見えた。</p><p>驚かなかった、と言えば、嘘になる。</p><p>涼とは長い、本当に長い付き合いだが、本人の恋愛に関しては、ほとんど話してこなかった。</p><p>長い付き合いだからこそ、という理由もある。だが、それだけではない。</p><p>意識的にしろ無意識的にしろ、俺たちにとって、この手の話題はタブーなのだ。</p><p>根本的な理由など、今更思い起こす必要もない。</p><p>涼と俺の間で、これは、至極デリケートな問題であった。避けていたのも当然のことと言える。</p><p>思わず、口腔に溜まった唾液を飲み込んだ。</p><p>渇いた喉を潤そうという生理的行動だったが、実際は、気休めにもならない。</p><br><p>「しないのか？」</p><p>「しないよ」</p><p>「どうして」</p><p>「見込みねーもん。異性として見られてないっていうか」</p><p>「本人に、そう聞いたのか」</p><p>「聞けるわけねーだろ。聞けたら告白できてるっての」</p><p><br>それもそうだ。思わず、息を詰める。<br>だが、その言葉をみすみす流してしまうことなど、俺にはできようもなかった。</p><p>コートのポケットの中でこぶしを作る。刺さるような寒さのなか、手のひらがじんわりと汗ばんだ。</p><p>柄でもない、と、苦笑が漏れる。</p><p>深く、冷たい風を肺に溜め込んで、俺は唇を開いた。</p><br><p>「俺は、結構、待ってたんだけどな」</p><br><p>ばちん、と音が聞こえそうなほどの素早さで、涼が振り返る。</p><p>まぶたが、限界まで開ききっている。今にも眼球が落ちてきそうだ。</p><p>その顔がどうにもかわいく見えて、頬が緩むのを止められない。</p><p>おそらく、涼の目には、微笑んで見えただろう。実際は、単ににやけていただけなのだとしても。</p><p>その証拠に、涼が、笑っている。</p><p>微笑む、なんて、かわいい表現ではない。顔中にしわを作るような、くしゃりとした笑顔。</p><br><p>「なんだよ･･･気づいてたのか」</p><p>「悪い。実は、結構前から」</p><p>「うっそ。いつから？」</p><p>「お前が、髪を伸ばし始めたときくらいから」</p><br><p>そんなに前からか、なんて、吐息混じりに呟いている。</p><p>どうやら拗ねているようだ。もしかしたら、恥ずかしいのかもしれない。</p><p>何せ、涼が髪を伸ばし始めたのは、今から二年も前の話だ。</p><br><p>「譲さ」</p><p>「何？」</p><p>「変わってんな」</p><p>「そうか？」</p><p>「そうだよ。あたしみたいな男勝りでいいなんて、相当だろ」</p><br><p>思わず、笑みがこぼれた。一瞬の間をおいて、涼の満面の笑顔が、暗闇に明るく浮かび上がる。</p><p>男勝りだなんて、関係ない。</p><p>俺は、他の誰よりも、涼がかわいいことを知っている。</p><p>変なところで、ロマンチストなところとか。恋人のイベントなんて気にしないような振りをしながら、その実、かなり気にしているところとか。</p><p>俺の好みがロングヘアーだと知って、背中まで髪を伸ばしたところとか。</p><p>長い付き合いぶん、涼のいいところを、誰よりも知っている。</p><p>自惚れなどではない。彼女の長所なら、涼自身よりも熟知していると断言できる。</p><p>止まっていた足を踏み出し、涼の隣に並んだ。</p><p>瞬間、示し合わせたように、涼の歩が進む。</p><p>友人という関係だった月日の賜物だろう。口元が、ゆるゆるとほころぶ。</p><br><p>「涼は、いいのか？」</p><p>「何が？」</p><p>「この先ずっと、ホワイトクリスマスは拝めなくなるぞ」</p><br><p>俺がそう言うと、涼は目をしばたかせた。</p><p>そして、唇を震わせながら噴出したかと思うと、声を上げて笑いはじめた。</p><p>失礼なヤツだな、と拗ねれば、今更だろと言って、また笑う。</p><p>何だか悔しくなって、仕返しとばかりにパーカーのポケットに手を突っ込み、彼女の汗ばんだ手のひらを、強く握った。</p><br><p>「･･･湿ってる」</p><p>「俺が緊張しなかったと思うなら、まだまだだな」</p><br><p>涼が笑い声を上げる。そんな涼を、恨むように、軽く睨んだ。</p><p>手のひらと同様、湿りきった瞳には、お互いに気づかないふりをした。</p><br><br><br>
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<link>https://ameblo.jp/fiammifero/entry-10408738836.html</link>
<pubDate>Fri, 25 Dec 2009 01:24:25 +0900</pubDate>
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<title>ペットの幸せ　【グルっぽ文芸部企画】</title>
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<![CDATA[ <p>初めてあなたのところへやってきた日のことを、とてもよく覚えています。</p><p>わたしを抱き上げたとき、あなたはとても嬉しそうに、咲くかのごとく笑いましたね。</p><p>あの瞬間にわたしは、一生、あなたの笑顔を守ろうと決めたのです。</p><p>たかだかペットが大それたことをと、あなたは嗤うかもしれません。</p><p>けれどわたしは、自らがペットであるということなど、どうでもよかった。</p><p>そんなことを気にするという選択肢すら、わたしには存在しなかったのです。</p><p>ただ、あなたに笑ってほしい。</p><p>ただ、あなたを喜ばせたい。</p><p>ただ、あなたの傍に置いてほしい。</p><p>それだけがわたしの願いでした。</p><br><p>わたしは限られたキャパシティのなかで、あなたの笑顔を見ようと必死でした。</p><p>あなたのために、お手を覚えました。</p><p>あなたのために、おかわりを覚えました。</p><p>あなたのために、伏せを覚えました。</p><p>あなたのために、おすわりを覚えました。</p><p>あなたはそのたびに、その大きな瞳をこぼさんばかりに見開き驚いてくれました。</p><p>かと思えば、糸のように細め、手を叩いて喜んでくれました。</p><p>わたしはそれが、嬉しくてたまりませんでした。</p><p>あなたの期待に応えたくて、一生懸命に芸を覚えました。</p><br><p>あなたが学校に行っている間は、あなたのかわりに部屋を守りました。</p><p>あなたが帰ってくれば、一声鳴いて迎えました。</p><p>あなたが眠れないときは、共に布団の海へもぐりました。</p><p>あなたが寝坊しそうなときは、渋るあなたを起こして学校へ向かわせました。</p><p>あなたはそのたびに、とても幸せそうな笑顔をくれました。</p><p>その笑顔が、わたしのバッテリーとなっていたのです。</p><p>わたしは幸せでした。</p><p>あなたが笑ってくれるから、わたしは幸せでした。</p><p>あなたの幸せが、わたしの幸せでした。</p><br><p>けれど、別れの日は、突然やってきました。</p><p>ある日わたしは、ゴミ袋に詰められ、ごみ置き場に置き去りにされたのです。</p><p>理由は、とても簡単でした。</p><p>わたしの体は、がたが来ていたのです。</p><p>まず、左の前足が、思うように動かなくなりました。</p><p>次に、今度は後足が、いうことを聞かなくなりました。</p><p>わたしはうまく歩けなくなりました。</p><p>歩こうとすると、同じ場所をぐるぐると回ってしまうのです。</p><p>そんなわたしを見て、あなたは、ひどくつまらなそうな顔をしましたね。</p><p>あなたにそんな顔をさせるわたしは、なんてひどいペットなのだろうと、自分の体を恥じました。</p><p>けれど、こんなわたしでも、あなたの笑顔を見られる瞬間がありました。</p><p>それは、わたしを捨てる瞬間でした。</p><p>あなたは最後、わたしを捨てるとき、とても素敵な笑顔を見せてくれました。</p><p>それはわたしにとって、最高のプレゼントでした。</p><br><p>わたしは、知っていたのです。</p><p>あなたが、新しいペットを、ずっと欲しがっていたこと。</p><p>まだ小さかったあなたには世話が出来ないからと、代わりにわたしが、あなたのもとへやってきたこと。</p><p>あなたが成長して、わたしが動けなくなったことをきっかけに、あなたが本当に欲しがっていたものを、買ってもらえる約束をしていたこと。</p><p>すべて、知っていたのです。</p><p>だからわたしは、幸せです。</p><p>たとえ、ビニールから雨が染み出してこようとも。</p><p>たとえ、激しい風に飛ばされ、体をしたたかに打ちつけようとも。</p><p>今この瞬間に、あなたが欲しかったものを手にして、笑っていることを知っているから。</p><p>わたしに見せたものよりも、何倍も嬉しそうに、幸せそうに、笑っていることを知っているから。</p><p>あなたの欲しかったものが、わたしには到底与えられなかった、温度というものを、与えていることを知っているから。</p><p>だからわたしは、幸せなのです。</p><p>あなたが笑っていることこそが、わたしにとっての幸せなのです。</p><br><p>何故なら、主人を幸せにすることこそが、我々ペットロボットに課せられた、唯一の使命なのですから。</p><br><br>
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<link>https://ameblo.jp/fiammifero/entry-10399364519.html</link>
<pubDate>Sun, 29 Nov 2009 10:26:47 +0900</pubDate>
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<title>日常のこと３</title>
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<![CDATA[ <p>突然ですが、恋、という言葉が好きです。</p><br><p>恋と愛とではどちらの言葉が、恋愛感情として大きいことを指すのか。</p><p>日本語学としては、本来、恋のほうなのだそうです。</p><p>恋という単語には恋愛感情を指す以外の意味はありませんが、愛は友愛や親愛もひっくるめての単語であるから、というのが理由のようです。</p><p>感覚的には愛のほうが大きいように感じますが、それは恋と比べると新しい単語だからなのだそうな。</p><p>恋は日本の言葉なのですが、愛は中国から来た言葉だそうです。つまり外来語なのですね。</p><p>スパッツという単語があまり使われなくなり、レギンスという単語が蔓延しているのと同じ感覚なんでしょうか。</p><p>新しい言葉のほうがなんだかカッコイイですもんね。</p><p>でも、わたしは、「愛している」という台詞より、「恋している」という台詞のほうがぐっときます。</p><p>実際に言われるとこの上なく寒いだろうと思うのですが！</p><p>まあ、それはそれ、これはこれ。</p><br><p>日本語は比較的語彙の多い言語であるそうです。</p><p>聞いた話なので定かではないのですが、恋という単語に当てはまる英単語は存在しないそうです。</p><p>Loveは愛、Likeは好き。</p><p>けれどそれはどちらも、恋ではない。</p><p>こういった単語はいくつかあるようですね。</p><p>有名なのは「もったいない」。あと、実は「かわいい」という単語に当てはまるものも存在しないらしいですよ。</p><p>ソースを忘れてしまったので、間違っていたら申し訳ないのですが･･･。</p><br><p>けれど、それだけ語彙の豊富な日本語でも、恋心の繊細さって表現し切れません。</p><p>いや、もしかしたら、語彙が豊富であるからこそなのかもしれませんが。</p><p>身勝手なのが恋だ、という意見もあるでしょう。</p><p>けれど、身勝手でなければ恋ではないのかというと、そうではないと思うのです。</p><p>自分の思いを内に潜めて、ただひたすら恋うた相手の幸せを願うのも、また恋の形です。</p><p>そんないろんな形の感情、ぜんぶひっくるめて「恋」なのですよね。奥が深い。</p><p>とある説によれば、数学における最大の功績は「ゼロ」の発見であると言われています。</p><p>何もないものにあえて名称をつけたのですから、大きなことだったでしょう。</p><p>わたしは、恋という感情の発見は、ゼロに等しい発見だと思うのです。</p><p>家族や友人などとは一線を画した、けれどそれらとも似通う感情を恋と名づけた。</p><p>そんな日本人の感性は、とてもすばらしいものだと思います。</p><p>日本語って素敵だと思うのです。</p><br><p>それに気づかせてくれたのは、恋という言葉そのものでした。</p><p>だから、恋という単語が好きです。もちろん、言葉そのものの意味もとても好きなのですけれど。</p><p>恋をどう表現するかというのは、わたしが小説を書いてゆくにあたっての、ひとつの大きなテーマです。</p><p>いつか、いろいろな恋の形を描ければいいなあと思いながら、しかし思うにとどまっています。</p><p>･･･書いていかなきゃですね。</p><br><br><p>（ちなみに。</p><p>わかったように語っていますが、学生時代の授業の話や、テレビ、本などでかじった程度の知識ばかりなので、これらがすべて事実かどうかわたしにもわかっていません。</p><p>聞いた話と違う、というものがありましたら、ぜひとも教えて下さい。</p><p>そういった知識は、いずれ小説を書く上での肥やしになると思いますので。</p><p>一見関係なくとも、こんな話聞いたよ！というものでも大歓迎です＾＾）</p>
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<link>https://ameblo.jp/fiammifero/entry-10398460209.html</link>
<pubDate>Sat, 28 Nov 2009 01:35:48 +0900</pubDate>
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<title>世界</title>
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<![CDATA[ <p>最初に、美咲の目つきが変わった。</p><p>なんだか不穏だ、と感じていたのは、きっと私だけではない。</p><p>その証拠に、理香、次いで奈実の視線に、嫌悪が混じっていったのだから。そうしてその視線は次第に、私達の空気に毒をはらませてゆく。</p><p>けれど、どうとでもなる問題だろうと高をくくっていた。</p><p>その言葉を告げられるまでは。</p><br><p>「優衣子ってさ、自己中じゃない？」</p><br><p>ちょうど、優衣子がお手洗いに行くと言って、席を立ったときのことだった。</p><br><p>「わかる。自分のこと何様だと思ってるんだろうね。自分のことしか考えてないよね」</p><p>「ほんとだよ。すごい自分勝手。ちょっとは人のことも考えてほしい」</p><br><p>思わず目を剥く。まさか、こんなことを言い出すとは思っていなかった。</p><p>彼女たちの視線に、優衣子への苛立ちを読み取っていたのは事実だ。けれど、それを口に出すとは考えなかったのだ。</p><p>いや、考えなかった、と言うのには語弊がある。視線に紛れさせる程度では、いずれ溢れ出るだろうとはうすうす気づいていた。</p><p>でも、まさか、当人のいないところで噴火してしまうとは。こうやって、陰口のように話題になろうとは、夢にも思わなかったのだ。</p><p>何せ私を含むこの５人は、仲のいいグループなのだと自負していたから。</p><p>こうして、放課後の時間を、ファミレスで共に過ごそうという程度には。</p><br><p>「ねえ、あんたもそう思うでしょ？」</p><br><p>その声に、わたしは焦点を美咲に合わせた。理香と奈実の視線が美咲のそれに絡まり、私を刺す。</p><p>ああ、毒だ。それも、致死量の。</p><p>どうとでもなる問題だなんて、私が甘すぎたのだ。</p><p>そうして、その甘さが、私たちの関係を死に追いやる一端だったのだと、私はそのとき初めて気がついたのである。</p><br><br><br><p>「ごめんなさい」</p><br><p>淹れたての紅茶を受け取ってすぐ、私は頭を下げた。</p><p>しかし、いくら頭を下げていても、彼女から言葉が発せられない。</p><p>訝しく思っておずおずとこうべをもたげると、もとより大きな目を更に見開いた優衣子が、私を見ていた。</p><p>そしてすぐ、ふうわりと笑って見せられる。心臓が、いびつに跳ねた。</p><br><p>「なんで謝るの？」</p><p>「だって、私･･･止められなかった」</p><p>「ああ、そのこと」</p><br><p>優衣子が椅子を引き、私の目の前に座る。いつもと同じマグカップを口につけ、私の手の中にあるものと同じ紅茶を、口に含む。</p><p>そういえば、こうして彼女の家に来るときは、必ずこの紅茶が出る。お気に入り、なのかもしれない。そんなことすら、私は今まで知ろうとしなかったのだ。</p><p>手のひらで波打つ紅茶をじっと見ていた私に、優衣子が声をかける。</p><p>視線を上方へずらせば、やわらかな優衣子の笑顔があった。</p><br><p>「いいのよ。うすうす気づいていたし。麻友もそうでしょう？」</p><p>「そうだけど、でも、気づいていたのに何もしようとしなかった。それどころか、どうにかなるって思ってたわ。それに、私、ひどいことをしてしまった」</p><br><p>カップを握る指に、力がこもる。</p><p>もう数時間も前のことなのに、つい数分前のことのようにはっきりと思い出せる。</p><p>優衣子は、私達のグループを離れた。美咲達に縁を切られる、という形で。</p><p>にもかかわらず、私は、謝罪に来たのだ。断罪してもらうために。</p><p>私は美咲の問いに、否と答えることが出来なかった。</p><p>私の答えが、おそらく優衣子を孤独にするだろうとわかっていながら、それでも、否定の言葉を口にすることが出来なかったのだ。</p><p>それは、自分の身かわいさからではない。</p><p>少なからず、思っていたのだ。私も。美咲たちが思っていたようなことを、優衣子に対して。</p><p>それはたとえば、みんなでショッピングに行ったとき。</p><p>美咲や理香や奈実は、一緒に行動する。いい物を見つけたとき、それを見せ合って、互いに褒めあうために。</p><p>けれど、優衣子は違う。自分の見たいものを、見たいときに、見たいように見る。呼べば来るけれど、基本的には別行動だ。</p><p>それはあるいは、ファミレスで喋っているとき。</p><p>優衣子は、自分に関係ない、もしくは興味のない話題になると、とたんに聞き役に徹する傾向がある。いや、聞いてもいないときだってあるのだ。携帯をいじってみたり、ドリンクを取りに行ったり。</p><p>よく言えばマイペース、悪く言えば自己中心的な優衣子の行動は、トイレに行くにも一緒の美咲たちにとって、到底理解できないものだったろう。私にだって、よくわからない。</p><p>そのことに、一番腹を立てているのだ。わかっていなかったことに、美咲たちの発言でそれに気づかされたことに、私は憤慨している。</p><p>更には自分の浅はかさに。自分の愚かしさに。</p><p>言いながら、目頭が熱くなってきた。指先に力を入れて、表面張力に頼りながら、何とかあふれ出すものをこらえる。</p><p>そんな私に気づいているのかいないのか、優衣子は、そうねえ、と思案するような声を上げた。</p><br><p>「確かに、腹が立たないって言ったら嘘になるけど。でもそれは、そういう風に思われていたからじゃない」</p><br><p>私が眉をひそめて優衣子を見ると、冷めたらおいしくないわよ、と言って紅茶を指差した。</p><p>あわてて、紅茶を一口嚥下する。</p><p>だいぶぬるんでいたそれは、やたらと甘く感じて、私の喉にべっとりと張り付いた。</p><br><p>「なら、なんで？」</p><p>「もっと早く言ってほしかったってところが本音ね。わたしのこと嫌がっていたくせに、それを隠して接しようとするんだもの。とてもいい気分じゃなかったわ。こうなって、むしろすっきりしているくらいよ」</p><br><p>つん、と少し顎を突き出して見せる。少し大げさな仕草だが、もともと見目がよく、美人というカテゴリに分類される優衣子がすると、なんだか様になるのだから不思議だ。</p><br><p>「本当にそれだけ？」</p><p>「どうして？」</p><p>「だって･･･その、普通、自分勝手とか自己中とか言われたら、怒るもんじゃないかなって」</p><br><p>実際に言われたのが私だったら、すごく腹を立てていると思う。</p><p>いつ私が自分勝手な行動をしたのと、問い詰めたくなる。そして、それが理不尽なものであれば、撤回させるくらいのことはしそうだ。</p><p>まして、私達のグループの中で、優衣子の発言はそれなりに力を持っていた。自分の意に沿わない認識なら、改めさせることくらい、優衣子には出来たはずなのだ。</p><br><p>「ああ、だってわたし、自分が自己中だなんてわかってるもの」</p><br><p>あまりにもあっけらかんと言われて、開いた口が塞がらない。</p><p>目を瞬かせる私を見て、優衣子が控えめに笑った。</p><br><p>「なんでそんなに驚くの」</p><p>「え、だ、だって、気づいてるなんて思わなくて。普通、気づいたら直そうとしない？」</p><p>「･･･そうね、普通の人ならそうなのかもね。でもほら、わたし、自己中だから。自分の考えは曲げないの」</p><p>「自分の考え？」</p><br><p>そう鸚鵡返しに問うと、優衣子はこくりとうなずいた。</p><br><p>「わたしは、自分の世界の中心は自分だと思ってるわ。他人を中心に回る世界だなんておかしいでしょう？</p><p>主観は常に自分にある。なら、わたしを中心としてわたしの世界が回るのは当然だと思ってるのよ」</p><br><p>自己中心的でしょ、と言って笑う。あまりにも朗らかなそれに、少し面食らった。</p><br><p>「だから、好きなときに好きなことをするし、興味のないことには口を挟まない。わたしにとって意味のないこと、利益のないことはしない主義なの」</p><p>「･･･ほんと、自己中だね」</p><br><p>思わずそう口にしていた。あわてて取り繕っても、もう遅い。あまりの失言に、恥ずかしくて頬が紅潮してゆくのが、自分でもわかった。</p><p>しかし、それもつかの間だった。</p><p>優衣子は私の言葉を聞くなり、声を上げて笑ったのだ。</p><br><p>「うん、自分でもわかってるわ。でもね、誤解しないで」</p><p>「誤解？」</p><p>「そう。わたしはね。わたしの世界の中心がわたしだと思っていても、世界の中心がわたしである、なんておこがましいことを言うつもりは、これっぽっちもないのよ」</p><br><p>優衣子の言葉に、私は首を傾げざるを得なかった。</p><p>前者と後者の違いが、私にはわからないのだ。</p><br><p>「わたしにはわたしの世界がある。わたしはそれを大事にしたい。でも、他人には他人の世界があるってことも、理解しているつもり。</p><p>わたしはわたしの世界を大事にしたいから、他の人の世界も大事にしたいの。だから踏み込むことはしたくないし、他人を傷つけてまで自分の世界を守ろうとは思わない。そういう、自己中なの。たまに、それを忘れてしまうこともあるけどね」</p><br><p>そう言って、優衣子は美しく笑った。同性の笑みでありながら、私は見惚れてしまっていた。</p><p>優衣子の見目が美しいから、そう見えたのではないだろう。</p><p>どうあっても曲がらないその信念が、優衣子をこうも美しく見せるのだ。</p><br><p>「だからね、麻友。もし麻友が、わたしと一緒にいてもいいって言うなら、それで麻友がつらくないって言うなら、友達を続けさせてくれないかしら。わたし、麻友の正直なところ、すごく好きなのよ」</p><br><p>優衣子はそう言ったあと、自分のマグに紅茶が残っていないことに気づき、おかわりを淹れてくると言って席を立った。</p><p>優衣子が二杯目を飲み干す頃に、私もやっと冷め切った紅茶を飲み干した。</p><p>門限は刻々と近づいていた。優衣子は私の門限を覚えていたらしく、そろそろ帰る時間じゃないかと知らせてくれる。</p><p>そうして、私は、彼女の誘いに対してろくに返答もしないまま、優衣子の家を後にしたのだ。</p><br><p>「別に返事なんてしてくれなくていいのよ。口先では何とでもいえるけど、行動はそうもいかないでしょ。だから、麻友の思うとおりにしてくれれば、それでいいの」</p><br><p>優衣子はそう言ってくれた。そうして、理解する。</p><p>きっとこれが、彼女の言う、『自己中』なのだ。彼女は私といて楽しいと思ってくれているから、友達でいてくれないかと言っている。けれどそれは強制ではない。あくまで、私の気持ちを大事にした上でのことだ。</p><p>ふと、思う。</p><p>美咲が優衣子を自己中と言ったのは、自分達の行動から外れたことをしているからだ。</p><p>理香が優衣子を自分勝手と言ったのは、自分達の話題に賛同してくれないからだ。</p><p>奈実が人のことを考えて欲しいと言ったのは、美咲や理香や奈実のことを、考えていないと思っているからだ。</p><p>それは、ある意味で、強制なのではないだろうか。</p><p>協調性という皮をかぶった、行動の抑圧。</p><p>彼女の言葉を借りるなら、それは、他人の世界を踏み荒らしているという行為に他ならない。</p><br><p>それならば。</p><p>自己中心的、という言葉は、いったい、どういった人間の事を指すのだろうか。</p>
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<link>https://ameblo.jp/fiammifero/entry-10396972852.html</link>
<pubDate>Thu, 26 Nov 2009 04:50:59 +0900</pubDate>
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<title>日常のこと２</title>
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<![CDATA[ <p>ぼんやりと一日が過ぎていきます。</p><p>ぼんやりとしているからこそ思い浮かぶこともあるのですが、悲しいことにだいたいが今まで蓄積させていたネタなんですよね。</p><p>かといって無為に過ごしているわけでもないのですが･･･たぶんね。</p><p>小説のほかにイラストを描いたりもしていますので、テレビを見て、「ああ、ここに光源があるとこういう風に見えるのか」とか、「こういう色の組み合わせは面白いなあ」とか、少しでも何かを吸収しようとしています。</p><p>あとは、たとえばテレビに湖が出ると、「ここにはどんな生態系が広がっていて、どんな大きさの石があるんだろう」などと考えるのも楽しいです。</p><p>妄想癖、とよく言われますが、物語を作ろうという人間が妄想しないでどうする！と開き直っていたり。</p><p>こういう妄想って、キャラクターを作ったりするときに役に立つのではないかなあと思っています。</p><p>思っているだけですけどね。実際役に立つかどうかは知らない。</p><br><p>そういえばテレビ番組で、スポーツなどで上達するためには、うまい人の真似をしろと言っていました。</p><p>出演者の一人がそのとおりだと言って、「人の真似が出来ないやつはだめだ、でも、真似ばかりのやつはもっとだめだと言われてきた」とおっしゃっていましたが、ああそのとおりだなあと。</p><p>真似って重要だと思います。でも、パクリはいけません。</p><p>わたしは、小説を読んでいて、これいいなあと思う表現があると、メモをとるのが習慣です。</p><p>作品名と、作家名と、台詞なら発言した登場人物名。あと、必要だと思ったときはページ数も。</p><p>メモを取ったからといってそれを見ながら小説を書くわけではないのですが。</p><p>人の記憶に一番残りやすい覚え方って、書く事だそうです。</p><p>一度書いておくと、ふと表現に困ったときに思い出して、参考に出来るんじゃないかなあって。</p><p>ほとんどジンクスに近いですけどね。</p><p>無駄な一日などないのでしょうが、より糧になる日々を過ごしていきたいと思います。</p><br><br><br><p>私事になりますが、読者登録の申請をしてくださった方、ありがとうございました！</p><p>どうやってお返事するものなのかわからないので、この場を借りて、という形になってしまいますが、とても嬉しかったです。</p><p>あの嬉しさをどう表現すれば･･･！</p><p>とにもかくにもいいブログに出来るようがんばりますので、こいつしょうがねーなーくらいの気持ちで見守っていてください。</p><br>
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<link>https://ameblo.jp/fiammifero/entry-10393857076.html</link>
<pubDate>Sun, 22 Nov 2009 00:00:44 +0900</pubDate>
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<title>日常のこと１</title>
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<![CDATA[ <p>芥川の藪の中をモチーフにして何か書きたいと思って構想していたのですが、断念しました。</p><p>どうも脳味噌の皺が足りないようです。</p><p>いろいろな人が藪の中を参考として作品を作っていらっしゃいますが、わたしには真似をすることすら難しいです。</p><p>どうしてみんなそんなに頭いいの！</p><br><br><br><p>わからないことこそが美しいというのは、文学や芸術、果ては科学においても、共通の美意識だと思います。</p><p>ああではないか、こうではないか、と、考えをめぐらせている瞬間が楽しいのですよね。</p><p>藪の中、ピカソのゲルニカ、宇宙。</p><p>どれが本当だかわからないから面白いし、どのモチーフが何を表しているか推論するから楽しいし、どこまで広がっているかわからないから興味が湧く。</p><br><p>答えなんかなくていいんです。</p><p>作者の込めた意図なんて、読者の推論と同じ。</p><p>作者が完成させ、世に発表した時点で、作品はひとつの生き物となるのだと考えています。</p><p>もちろん、作者がどういう意図を込めたか、という答えを考察するのも、楽しみ方のひとつです。</p><p>けれど、それは、「正解」ではないと思うんです。</p><p>正解というのは、正しい答えのこと。自由であるがゆえに、不可解であるがゆえに美しいものを、正しいという名の真四角な型にはめようとするのは、あまりにももったいない。</p><p>せっかく、美しいのに。</p><br><p>最近は、ばっさりと明解な作品が好まれているように感じます。</p><p>作中で、作者が自らの意図を明確に表してしまうと、そこで正解が決まってしまう。</p><p>非常にもったいないなあと思うのですよ。作品にも依るところはあるのですが。</p><p>わたしは、蝋燭のような小説が書きたいです。</p><p>部屋を明るく照らしてしまうライトではなく、手元だけをぼんやり照らすような。</p><p>視覚だけでどんな部屋かを知るよりも、自ら動いて調べることによって、どんな部屋かを知るような。</p><p>そしてそこに、わたしなりのメッセージや思いを埋められたら。読んでくれた人がそれを少しでも拾って、その人なりの考察を広げてくれたら、とても嬉しいなあと思うのです。</p><br><p>簡単に書けるものではないと思いますし、世間ずれしているなあという自覚もありますけどね。</p><p>それが好きなんだから、仕方がない。</p><p>日々、修行です。</p>
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<link>https://ameblo.jp/fiammifero/entry-10390702313.html</link>
<pubDate>Tue, 17 Nov 2009 18:34:47 +0900</pubDate>
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<title>メビウスを断ち切る</title>
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<![CDATA[ <p>「正義と悪の境目はどこにあると思う？」</p><br><p>目の前でそう言った男が、口角を吊り上げる様子を想像した。</p><p>私は、彼の表情を知ることが出来ない。彼の目は黒のレンズに遮られ、口元はマスクで覆われてしまっているのだ。</p><p>だから私は、想像する。彼の口調、しぐさ。一挙一動、そのすべてから。</p><br><p>｢ずいぶんと抽象的なことを聞くのね」</p><p>「そうだな。けれどこれは、俺たちにとって、とても重要な問題だと思うんだが」</p><p>「さあ、どうかしら」</p><br><p>肩を竦めて見せる。彼の少し抑えた笑い声が、心地よく響いた。</p><br><p>「価値とは人が決めるものだ。たとえば、一般的に銀より金のほうが高値で取引されるだろう？銀はAg、金はAu、まったく違う物質なのだから、差が生まれるのは当然のことだ。</p><p>しかし、もし、金よりも銀の産量が少なければ、当然銀のほうが高値で取引されるだろう。けれど、銀がAuになったわけではない。銀はAg、金はAuのままだ。両者の差を決めたのは価値だ。そしてそれを定めたのは人だ」</p><br><p>彼は時折、こういった物言いをする。</p><p>ゆっくりと、言い聞かせるように。内容は淡々としているのに、まるで歌うかのように。</p><p>それは決まって、私と二人きりでいるときだ。</p><p>私と二人のときにだけ、普段の粗雑で感情的な彼の言動が、鳴りを潜める。</p><p>どちらが本性であるのか、私は知っている。おそらく、私しか知らない。</p><br><p>「正義も悪も、物質ではありえない。正義も悪も、ひどく曖昧な、価値という代物でしかない。</p><p>ならば、その境目はどこに定義する？」</p><br><p>レンズの向こう側から、見えない瞳が、じっと私を見据えた。</p><p>もちろん、それは想像でしかないのだが、限りなく事実に近い想像だろうと自負している。</p><p>でなければ、こんなに背筋が粟立つ理由が、見当たらない。</p><br><p>「正義か悪か、なんて、白か黒か、という問いとさほど変わらないわ。</p><p>境界を敷くことこそがそもそも間違っているのよ。正義と呼ぶから正義なのであって、悪と呼ぶから悪であるの。言葉が違うという時点で、ふたつは違う存在。いわばボールがふたつあるようなもの。</p><p>あえてそれを境界線と呼ぶならば、名称が違うことこそが境界だと言うことは出来ないかしら」</p><p>「それはどうだろう。たとえばプラチナ･･･白金の元素記号はPt。金という字が使われていながら、Auとはまったくの別物だ。</p><p>名称とはそういうもの。所詮、後付けだ。後付けが本質を端的に表している事例はごく少ない。残念ながら善悪の境界という問題に関しては、多数派だと考えるね。</p><p>では、正義と悪の境目とやらは、どこにある？」</p><br><p>眉が寄るのを抑えきれなかった。</p><p>彼が私の反応を待っているのはわかったが、私には何も言うことが出来なかった。</p><p>たまに、彼との会話についていけなくなるときがある。彼の脳味噌は、私の数倍、皺が寄っているに違いない。</p><p>私が黙りこくっていると、聡い彼は察してくれたのか、再び口を開いた。</p><br><p>「悪とは、常識に反する利己のこと。正義とは、常識に順ずる利己のこと。</p><p>常識を決めるのは、全だ。全を形成するのは個。個とは人。人とは己。</p><p>しかし、己が正義か悪かを決めるのは常識だ。そして、常識は全。全は個、個は己。</p><p>さあ、正義と悪はどこで隔たれている？」</p><br><p>意地の悪い男だ。</p><p>彼の中でもう答えは出ているのだ。答えなどないという、おそらく正解に一番近いであろう回答が。</p><p>そうと知っていて尚、私に解を求める。自らと同じ回答に誘導している自覚がありながら、いいや、もとより同じ回答に誘導するつもりで。</p><p>おそらく、最初に問いかけてきたその瞬間から。</p><br><p>「･･･それで？結局、何が言いたいの？」</p><p>「こっちに来る気はないか」</p><p>「無理ね」</p><br><p>男が、目に見えて落胆する。</p><p>少し、気分がよくなった。</p><br><p>「また空振りか。いい加減なびいてくれてもいいと思うんだけどな」</p><p>「嫌よ。それに、あなたのお仲間が許さないでしょう」</p><p>「いざとなればリストラも辞さないつもりだが」</p><p>「私にその悪趣味な全身タイツを着ろというの？馬鹿言わないで」</p><p>「何も赤を着ろとは言っていない。ピンクでも黄色でも、好きなものを選べばいい」</p><p>「何色だって関係ないわ。その全身タイツと、硬そうなマスク。どっちも願い下げよ」</p><br><p>彼のため息が、ここまで聞こえてくる。</p><p>なんとも情けない姿だ。正義の味方、そのリーダーともあろう人間が。</p><p>彼の纏う赤いスーツが、場違いなほどにまぶしい。</p><br><p>「君は、俺のことを好いてくれてると思っているのだけど」</p><p>「ええ、好きよ。けれどそれとこれとは別なの。あなた、犬に恋したからと言って、その犬に人間になれと言える？」</p><p>「それこそ話が別だろう」</p><p>「私にとっては同じことよ」</p><br><p>そう言って、一歩下がって見せた。彼が距離を縮める様子はない。</p><p>つくづく聡明な男だ、と思う。そういうところが気に入っているのだけれど。</p><br><p>「あなたは正義の味方のリーダー、私は悪の組織の幹部。境目を定義することは出来なくても、論議を突き詰めて行き着く先がループだとしても、あなたと私の立場は変わらない。</p><p>残念だわ。・・・とてもね」</p><br><p>そう告げて、私は彼から目を逸らした。</p><p>私が去ったあと、彼がどうしたのかはわからない。十中八九、お仲間のところに戻ったのだろうと推測は出来るけれども。</p><br><p>きっとこの問にも、答えなど存在しないのだろう。私たちが本当はどうするのが正解なのかなんて、誰にもわかりはしない。</p><p>だから私は、無理やりにでも解を出すのだ。</p><p>私が私でいられるように。彼が、彼でいられるように。</p><p>なぜならば私たちは、正義と悪、相反するふたつのボールでしかないのだから。</p><br>
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<link>https://ameblo.jp/fiammifero/entry-10389527878.html</link>
<pubDate>Mon, 16 Nov 2009 06:27:40 +0900</pubDate>
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<title>嘘つきの懺悔</title>
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<![CDATA[ <br><p>「うそつきはどろぼうの始まりって、ほんと？」</p><br><p>十になった娘が、学校から帰ってくるなりポツリとつぶやくように聞いてきた。</p><p>流しの水を止め、泡だらけの食器を置き、タオルで手を拭きながら娘に近寄る。</p><p>まだ眼孔が小さく、黒が目立つ小さな瞳は、表面張力のおかげで何とか決壊を免れている状態だ。</p><br><p>「どうしたの？学校で何かあったの」</p><br><p>膝を折り、娘に目線を合わせてやる。噛み締めていたのだろう。唇が赤い。</p><p>娘は何も言おうとしなかった。ただ、その赤い唇を震わせ、涙をこらえるばかりである。</p><p>いったい、どうしたものか。しばし逡巡した。</p><br><p>「つらいことなら、我慢しちゃだめ。言いたいことがあるなら言えばいいし、泣きたいなら泣けばいいの」</p><br><p>ね、と言って頭を撫でてやる。</p><p>娘の瞳が揺らいだ。眉根が上がり、逆に眉尻は下がってゆく。</p><p>とうとうあふれ出した水滴が、フローリングを叩いた。それに比例するように、娘の顔がくしゃくしゃにゆがむ。</p><p>目をこすらないように両の手のひらを包み込むと、拙いながらも娘は話しはじめた。</p><br><p>「ゆうちゃんが、学校に、シールを持ってきたの。きらきらで、ハートとか星とかがあって、きれいなやつ」</p><p>「そう」</p><p>「お母さんに買ってもらったんだって、自慢するの。いいでしょって。わたし、きれいだねって言ったの。よかったねって言ったの」</p><p>「うん」</p><p>「でもね、けいちゃんが、いじわるしよう、って。シール、隠そうって。だめだよ、ゆうちゃんが泣いちゃうって、言ったの。でも、けいちゃん、ゆうちゃんがトイレに行ってるあいだに、とって、きちゃって」</p><p>「そうなの」</p><p>「けいちゃんが、わたしに、隠してきてって、言うの。でも、わたし、かくせなくて、学校おわって、ゆうちゃんに返しちゃったの。落ちてたってことに、したの」</p><br><p>嗚咽に邪魔をされながらも、娘は必死に話していた。</p><p>先ほど手を拭くのに使ったタオルで、娘の涙を拭ってやる。</p><p>反射的に擦ろうと動いた娘の手を、残った手でぎゅうと握り、制す。</p><br><p>「嘘を、ついてしまったのね」</p><p>「･･･うん」</p><p>「どんな理由があっても、嘘はいけないことよ」</p><p>「うん、わかってる」</p><p>「そうね、わかってるわよね。だから泣いているんだものね」</p><br><p>そういえば、娘の嗚咽はますますひどくなった。</p><p>涙を拭う手を止めて、頭を撫でてやる。</p><br><p>「明日、謝れる？」</p><p>「うん」</p><p>「ほんとのこと言って、ごめんねって言えるわね？」</p><p>「うん」</p><p>「けいちゃんは悪くない、本当はわたしが盗んだのって、正直に話してきなさいね」</p><p>「うん。ちゃんと、言うよ」</p><p>「えらいわ」</p><br><p>小さな娘の体を抱きしめてやると、娘は声を上げて泣いた。</p><br>
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<link>https://ameblo.jp/fiammifero/entry-10387191140.html</link>
<pubDate>Fri, 13 Nov 2009 04:03:34 +0900</pubDate>
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