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<title>mistletoe</title>
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<description>笹：俺らにぴったりな感じじゃね？屍/藍：まぁいいんじゃね？</description>
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<title>このブログについて</title>
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<![CDATA[ 色々イジりなおしました。詳細はプロフィールをご覧ください。<br><br><br>一応このグループの参加・脱退は認証式ですが自由です。興味のある方は私に一言お申し付けください。<br><br><br><br><br>笹原 諒悟
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<pubDate>Tue, 19 Feb 2013 23:28:16 +0900</pubDate>
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<title>えんきのおしらせ</title>
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<![CDATA[ 早速で申し訳ないですが、藍フクロウはリアルが多忙のため二週間じゃ書き切れませんでした。<br>という事で、まあ、延期のお知らせです。<br>それと、藍フクロウとは誰も連絡が取れていませんので、更新がいつになるかもわかっていません。<br>まあ、藍フクロウの次の更新にご期待ください。<br><br>しかばね
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<link>https://ameblo.jp/freyja2010/entry-10612291840.html</link>
<pubDate>Sat, 07 Aug 2010 01:11:08 +0900</pubDate>
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<title>始動、だじぇ</title>
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<![CDATA[ <font size="2">という訳で、3人目の<font size="3"><span style="font-weight: bold; color: rgb(0, 0, 153);">藍フクロウ</span></font>ですｗ<br>中には<span style="font-weight: bold;">「お久しぶり！」</span>な方もおられるかも知れないですね（汗<br><br>とにかく、<font size="3" style="color: rgb(255, 0, 0); font-weight: bold;">3人1チームでリレー小説</font>をやることとなりました。<br>何故か<font size="3"><span style="font-weight: bold; color: rgb(255, 0, 0);">オカルト方面に手が出てしまう困った野郎</span></font>ですが、よろしゅうです＾＾<br><br>ではでは</font><br><br><br><br>　バンッ<br>　扉が乱暴に開かれ、中から少女が飛び出してきた。その勢いのままドタッとその場に倒れこむ。どうやら、追い出されたようだ。<br>「ちゃ、ちゃんと話を聞いてください！　確かに父は――」<br>「あぁ、だから言っているだろう、お譲さん。そんなやつ、ここには来ていない」<br>　女の子の前には、一人の男が立っている。その身体は遠い昔によく見た黒のスーツに包まれている上にサングラスまでかけているので、どこのエージェントかと思うような風貌だ。<br>「そんな！　私の父は、確かに六日前に村を出発したんです！　政府に依頼を持って！」<br>「クラーケン退治、だったかな？　……そんな依頼を持ってきたやつは、ここには来ていない。帰れ」<br>　そういって、男は少女に背を向けて、建物の中へ入っていった。<br>「待ってください！　じゃあ、お父さんは――」<br>　バタン<br>　少女の声も空しく、扉は音を立てて閉まった。<br>「そんな……　じゃ、じゃあ、お父さんは本当に……」<br>　段々と顔が青ざめていく少女。目は見開かれ、愕然とした表情が浮かんでいる。<br>　そして、そのままその場にバタッと倒れて気絶してしまった。<br><br>　　　　　　　　　　　　　　　　　☆　☆　☆<br><br>　次に少女が目覚めたのは、布団の中だった。身体を起こして辺りを見回すと、どうやらここはどこかの部屋の中らしい。<br>　薄暗い部屋の中、様々な家具が見える。座卓、座布団、本棚、畳……とりあえず、和室のようだ。本棚には大量の古書が入っていて、独特の匂いがそこから漂ってきていた。<br>　ふと、少女は「何故、こんなところにいるのだろう」と考える。<br>　――もしかして、誘拐された？<br>　少女の歳は、見たところ年頃十五、六といったところだろうか。そういう少女が道端に倒れていて、よからぬことを考えた輩がそのまま部屋に連れ込むという状況は、決してありえない話ではない。<br>　そう考えると居ても立ってもいられなくなったのか、少女は立ち上がり、出口らしき襖まで慌てて駆け出し、ぱっと開けた。<br>　しかし、少女は逃げ出すことができなかった。<br>　襖の向こうには、真っ黒な毛に身を包んだ大きな狼が立っていたからである。<br>「――？！」<br>　一瞬、何が何だか分からなくなる少女。驚きのあまり腰が抜けてしまったのか、狼に背を向け四つん這いで元の部屋に戻ろうとする。<br>　そのとき、狼の口がパックリと裂けた。<br>「目が覚めたのか。何があったかは知らんが、ご苦労なこった」<br>　――狼が、しゃべった。<br>　予想もしていないことが起こり、ますます訳が分からなくなる少女。後ろを振り返っても、少女に話しかけたと思われる人物はいない。そこには、一匹の狼が立っているだけだった。<br>　立っている？　そう、狼は人間であるかのように二本足で立っていた。犬がよたよたと立つような立ち方ではなく、しっかりと足を踏みしめた立ち方である。<br>「あぁ、驚かせちまったな。悪い。こんな格好だが、一応人間なんだ。――見てろよ？」<br>　そういって、目を閉じる狼。すると、全身を包んでいた真っ黒な毛は見る見るうちに見えなくなり、だんだん褐色の肌が見えてきた。<br>　まもなくして、元々狼が立っていた場所に、上半身裸のガッシリとした体格の男が現れた。<br>「――俺は、人狼のアルフィってんだ。アルって呼んでくれ」<br><br>　パクパク<br>　凄まじい勢いで、座卓の上に置かれた大量の白くて丸い食べ物が、少女の口の中へと消えていく。一体、どれほどの間食事を取っていなかったのだろうか。<br>「うまいか？」<br>　口をモグモグとせわしなく動かして、アルフィの問いかけにコクコクと頷く少女。どうやら、その食べ物はお気に召したようだ。<br>　座卓の上に白い皿だけが残った頃、少女は湯飲みに注がれた緑茶をゴクゴクと飲んで、ふぅ、と一息ついてようやく話し出した。<br>「……こんなに甘くておいしいものを食べたのは久しぶりです。ありがとうございます」<br>「礼を言うなら、アズミに言うんだな。……政府のビルの前で倒れていたお前を拾ったやつだ」<br>「あなたが助けてくれたのではないのですか？」<br>「違う。俺はお前を運んだだけだ」<br>　そういってアルフィは顔を背けた。<br>「では、そのアズミさんは今どこに？」<br>　キョロキョロと辺りを見回す少女。しかし、アルフィ以外に人の気配はない。<br>「今は出かけている。政府の緊急招集だ」<br>　その言葉に、はっと息を呑む少女。数時間前の出来事が頭をよぎる。酷く冷たい声で「帰れ」と告げた黒スーツの男、行方不明の父、消えた大金――<br>「そういえば、何でお前、あんなところに倒れていたんだ？」<br>　そう尋ねるのも最もである。政府の人間でもない余所者が、政府の建物の前に倒れていたのだ。当然、疑問にも思うだろう。<br>　しかし、少女は迷った。<br>　――この人に話してもいいのだろうか。確かに、命の恩人ではあるけれど、この人は政府の人。こんな話をすべきではない。<br>　そのまま少女は口をつぐんでしまった。二人の間に沈黙が流れる。<br>　その沈黙を破ったのは、アルフィのため息だった。<br>「ま、いいさ。話せない事情ってのは、誰にだってあることだ。ただ、困っているなら、手伝ってやりたかっただけだ」<br>　その言葉を聞き、少女はちらりとアルフィの顔を見た。……とても真摯な顔をしている。<br>　そんなアルフィを見て、少女はようやく決心をした。<br>「いえ、話します。愉快な話ではありませんが……」<br>　そうして、少女は語り始めた。<br><br><br>　六日前、父は、村の代表として政府に依頼を持っていく役目を負ったそうです。それを聞いて、私は父を誇りに思いました。だって、村の代表だなんて、凄いじゃないですか。<br>『三日で戻るよ。頼もしい人々を連れてな』<br>　そうして、政府に渡す依頼料の金貨銀貨を持って村を出発しました。村人達は、父の道中の安全を願い、最後まで見送っていました。<br>　ところが、ある疑惑が浮上しました。<br>　父が出発した次の日、政府がある町へ商売に行っていた村の商人が、馬車に乗って帰ってきたんです。村人達は、『あいつとすれ違ったんなら、その自慢の馬車で送ってやればよかったのに』と言って笑いあいました。<br>　しかし、商人の言葉は思いもよらないものだったのです。<br>『本当にあいつは政府に行ったのか？　俺は誰とも道をすれ違ったりしていない』<br>　それを聞いて、村人達は大慌て。なぜなら、依頼料の金貨銀貨は、村人全員から集めたものだったからです。<br>　村人達は、すぐに村長に報告しに行きました。しかし、村長は『商人が気付かなかっただけに違いない。それに、他の道を行ったのかも知れん』と言うだけで、全く疑うことはありませんでした。<br>　でも、村人達は冷たかった！<br>『他の道って、政府へ安全に行く道はあの一本しかないよな』<br>『他の道には野獣がいっぱい潜んでいる。もしかして、そっちを通って襲われたのかも』<br>『バ～カ、あいつがそんなヘマをする訳がない。あいつは、逃げたんだよ』<br>『そうだ！　きっとあいつは大金を持って逃げたに違いない！　あいつは泥棒だ！』<br>『返してよ、私達の大事なお金！　あの大泥棒の代わりに、あなた達が払いなさいよ！』<br>　村人達はこぞって父を泥棒扱いして、家族である私達から、金目のものはもちろん、何もかもを奪っていったわ！　私が『もしかしたら、本当に商人が気付かなかったのかも』と言っても、聞かなかったの！<br>　父が帰ってくると言った三日後。私は、からっぽの家の中で家族と一緒に父の帰りを待っていたわ。でも、父は帰ってこなかった。<br>　お母さんは嘆き悲しんだ。『何であんな男と結婚なんかしたんだろう』って。私は、もういても立ってもいられなくなって、家を飛び出したの！<br>　大人の足なら、政府までの道のりを往復するのに、ちょうど三日かかるわ。でも、私のような子供の足なら、片道で二日。それでも、私は父を探しにここにやってきた。<br>　でも、実際に政府にやってきて父のことを聞くと、政府の人達は皆驚いたような顔になって『そんな男はここには来ていない』の一点張りで、私が反論をしても『帰れ』というだけだった！　じゃあ、本当に父は泥棒だったっていうの？！<br>　私は、そんなこと信じない！　父は盗みを働くような人じゃない！　あの時の政府の対応は明らかに変だったわ。きっと政府は、何かを隠しているのよ！　父は政府に消されたに違いない！　だから私は――<br><br><br>　ハッと気がつき、少女はアルフィを見た。アルフィは目を丸くして、少女をぽかんと見ている。<br>「ご、ごめんなさい！　やっぱり、政府であるあなたにこんなことを言うなんて……」<br>　その言葉で、我に返ったような顔つきになるアルフィ。そして、そのままうつむいてしまった。<br>　二人の間に、気まずい沈黙が流れる。<br>　ふいに、アルフィの手がスッと少女に伸ばされた。少女はビクッとして体を縮こませる。<br>　しかし、その手は優しく少女の頭に乗せられ、そのまま撫でていた。<br>「悪かったな、そんなことがあったなんて。……うちも、政府とかいっといて、たいしたことをやってねーんだなぁ、本当に。……すまない」<br>　そういって、頭を垂れるアルフィ。その姿に、少女は驚きを隠せなかった。政府の人間は、例の黒スーツの男のように、冷たい人間しかいないと思っていたからだ。<br>「あ、あなたのせいではないです！　だから、顔を上げてください。むしろ、こちらこそすみません、声を荒げてあんなことを……」<br>「いや、これは俺達政府の問題だ。だから謝る。すまない」<br>「いえいえ、元はと言えばうちの父が……」<br>「いや、政府が……」<br>「いえ、」<br>「いや、」<br>　第一次謝罪対戦、勃発。両者間で繰り返される謝罪の応酬。そしてついに――<br>「あっはっはっはっはっは！」<br>「あはははははは！」<br>　二人は耐え切れなくなって笑い出した。<br>「お前、結構強情なやつだなぁ！」<br>　ヒイヒイ言って、畳に仰向けになりながらアルフィは言った。<br>「あなたもね、変な狼さん！」<br>「おっ、言うようになったじゃねえか、えーっと……名前、なんつったっけ？」<br>「そういえば、教えていませんでしたね。私の名前はサラと言います」<br>「そうか、サラか。ところで、サラ」<br>「はい、何ですか？」<br>「その……父親探すの、手伝ってもいいか？」<br>　頬をかきながら恥ずかしそうに言うアルフィ。それを聞いて、サラは顔をパッと輝かせた。<br>「今、俺達は休暇期間に入っているんだ。だから、それを手伝うことぐらい容易い」<br>「い、いいんですか？　……ありがとうございます！」<br>「ただし、アズミがどういうかは分からねぇ。だから、アズミに聞いてからだ」<br>「そういえば、そのアズミさんって――」<br>　ガラッ<br>　その時引き戸が開き、やや小柄の女性が静かに入ってきた。<br>「おぉ、帰ったか、アズミ。何だったんだ結局」<br>「最初はテロリストの鎮圧だけだったんだけど、それが終わってから指令が下されたわ。まぁ、たいしたことじゃないから大丈夫よ。それより、あの子は……」<br>「おぉ、この通りピンピンしてるぜ。お前のお手製の大福もたっぷり食べたしな」<br>「そう。……あなた、名前は？」<br>　突然話を振られて目を白黒させるサラ。それでもきちんとアズミに向き直り、問いに答える。<br>「え、えぇと、サラと言います。あ、あの、道端に倒れていたところを助けていただき、ありがとうございました！」<br>　勢いよく頭を下げるサラ。勢い余って畳にでこをぶつけてしまうほどであった。<br>「いいのよ、別に。……私はアズミ。本名は、大滝雅澄よ。よろしくね。ところで、サラ。何であんなところに倒れていたの？」<br>「おっと、それについては俺が説明しよう」<br>　サラが口を開こうとしたとたん、アルフィが割り込んできた。きっと、さっきの取り乱したサラの姿を考えたに違いない。サラはアルフィに任せることにした。<br><br>　数分後。<br>「そう……つまり、あなたはその行方不明のお父さんを探してここに来たのね？」<br>「はい」<br>　アルフィの話はうまい具合に要点がまとめられており、とても分かりやすくなっていた。もちろん、サラが取り乱した部分は除かれていた。……見た目に合わず、賢いのかもしれない。<br>「なぁ、アズミ。その……サラの父親探しさ、手伝ってやらねぇか？　今は休暇期間だし、問題ないだろ？　だから……」<br>　それを聞いてため息をつく雅澄。もの凄く何か言いたげな顔だ。<br>「あのねぇ……さっき聞いたでしょ？　指令が入ったのよ。いつの間にあなたは馬になったのかしら？」<br>「何ぃ？！　ちょっと忘れてただけにもかかわらず酷い言い様だな！」<br>　けんか腰で噛み付くアルフィ。しかし雅澄はそっぽを向いて再びため息をつく。かまう気は全く無いようである。<br>「お前、ちゃんと人の話を――」<br>「いいわよ、別に」<br>「……は？」<br>　一瞬何を言われたのか分からず、目が点になるアルフィ。そんなアルフィにかまわず、雅澄はサラに話を振った。<br>「一応、仕事は入っているわ。でも大した事じゃないから、後回しにしても問題が無いの。だから、アルの言うとおり、あなたのお父さん探しを手伝うことにするわ。という訳で、よろしくね、サラ」<br>　サラは話しがまとまったという事をやっと理解し、次の瞬間、笑顔をパッと咲かせた。<br>「ありがとうございます、アズミさん！　こちらこそよろしくお願いします」<br>「ふふっ、いいわよそれくらい。容易い事だし。そうねぇ、明日の朝、早速出発してもいいかしら？　――あなたのお父さんがいる場所へ」<br>　まるで必ずそこにサラの父親がいるとでも言うような口ぶりである。<br>「そ、そんなことが本当に分かるんですか？」<br>　驚いているものの、やや疑いの気持ちを含んだ声を出すサラ。しかし、雅澄は微笑してサラリと答えた。<br>「分かるわよ？　だって、私のは〝千里眼〟の魔法が使えるもの」<br>　それを聞いて、サラは今度こそ純粋に驚いた表情を見せた。しかし、アルフィの顔つきはギョッとしたものに変わった。<br>「おい、アズミ。お前は魔法使いじゃモガァッ！」<br>　言葉が途切れ、宙を舞うアルフィ。そのまま仰向けに畳の上に倒れこむ。まるで、透明人間に突然アッパーを喰らわされたかのような動きであった。<br>　しかし、そんなアルフィには見向きもせず、彼女達は話し続ける。<br>「とにかく、明日は早いし、ゆっくり休んでね」<br>「はい。本当に、ありがとうございます」<br>　最後にサラが深々と雅澄に礼をし、話は終わった。<br>　もうすぐ夕暮れに差し掛かろうとしていた。<br><br>　　　　　　　　　　　　　　　　　☆　☆　☆<br><br>　その夜。<br>　サラが最初に寝かされていた部屋に戻り、早々に眠りについた頃、雅澄とアルフィは座卓を挟んで向かい合って座っていた。しかし、お互いに話しかけようともせず、黙りこくったままである。二人を沈黙が包んでいた。<br>　その沈黙を破ったのは、アルフィの方だった。<br>「どういうことだ」<br>　その言葉はナイフのように冷たく鋭く尖っている。その調子で、アルフィは淡々と話を続ける。<br>「お前は、異能者ではあるが、魔法使いではない。お前が間違ってサラに言ったものかと思って正そうとしたら、お前は〝力〟を使って俺を黙らせたな？　……何故だ？　何故、サラを騙してまであいつの父親を探そうとする？　千里眼なんぞ持っていないのに」<br><br>　異能者とは、魔力とは異なる力を操る者のことだ。例えば、この人狼のアルフィもその一人である。自在に人間の姿と狼の姿とを変化し分けるというのが、アルフィの〝力〟である。もちろん、これは狼男とは違う。狼男は〝満月の夜にしか完全な変化が出来ない〟ので、野獣に分類されるが、アルフィはそんなことに関係なく完全な変化が出来るので、異能者に分類される。もし、そのような条件があったとすれば、人語がしゃべれる野獣ということにされ、政府の研究所へ送られ、研究対象として毎日を過ごすことになっていただろう。<br><br>　魔法使いではないし、千里眼も持っていない――確かにアルフィはそう言った。もしそれが本当であるなら、雅澄はサラを騙しているということになる。<br>　しかし、雅澄の口から否定の言葉が飛び出ることは無かった。<br>　長い沈黙の後、雅澄はようやく口を開いた。<br>「政府の人間しか知りえない情報が漏れたわ。『クラーケン排除及び周辺湖の凍結処理』という計画よ」<br>「クラーケン？　どこかで聞いた話だな」<br>　少し考えるアルフィ。確かにそういう話をつい最近聞いたはずだ。しかし、いつ、どこで、誰から聞いたんだ？<br>　雅澄は話を続ける。<br>「それが分かったのは今日よ。……おそらく、漏れていたのは一週間以前のはずだわ。彼女の証言が正しいのならだけど」<br>「彼女？」<br>「そう。……ある少女が、今日政府にやって来て、こう尋ねたんだって。『父が六日前にクラーケン退治の依頼を持ってやって来たはずだ』ってね。それを聞いた職員は皆慌てたそうよ。一般人には知らせずに極秘でやってきたものを、民間の少女が知っていたのだから、当然よね。上は、スパイがいると考えたわ」<br>「おい、待てよ。もしかして、その少女って……」<br>　心当たりにようやく見当がつき、アルフィの背中に冷たい汗が流れる。<br>　そんな、いや、まさか――<br>「少女の名前は、サラっていうの」<br>「――――！」<br>　アルフィは血の気が引いていく音を聞いたような気がした。道端に倒れていて助けた少女の父親が、自分達政府のスパイ――敵である可能性がある……すぐには信じられない話だ。<br>　しかし、それを知っていても、アズミはサラに協力すると言った。と言う事は――<br>「政府の上層部は、私達に指令を下したわ。明日クラーケンがいる湖に派遣するグループに同行して、スパイ、もしくはその関係者を探し出せ、ということよ」<br>　それを聞いて、アルフィの考えは確信に至った。<br>「つまり、アズミ。お前は、サラを利用してスパイを捕まえるつもり、なんだな？」<br>「ええ、そうよ」<br>　ガキィンッ！<br>　アズミの言葉を最後まで聞くこと無く、アルフィは立ち上がり、狼へと変化して殴りにかかった。変化した時の力は、普通の人間の約七十倍……まともに喰らえば即死である。<br>　しかし、そんなアルフィの渾身の一撃も、雅澄には効かなかった。――雅澄の〝力〟に阻まれ、アルフィの拳は雅澄の顔の十センチ前のところで止まっている。<br>「――お前は、あいつの、サラの父親を思う気持ちを、そんな風に利用しちまうような奴だったんだな！」<br>　鬼のような形相で、怒り狂った声で吠えるアルフィ。しかし、そんなアルフィとは対照的に、雅澄は冷ややかな目で暴れ狼を見ていた。<br>「落ち着きなさい、アル。大丈夫、彼女のお父さんは、スパイではないわ。本職のスパイなら、娘に極秘の情報を漏らすなんていうヘマはやらないし、ましてや家族から逃げ出す必要も無いもの」<br>　それを聞いて、アルフィは残った理性で考える。<br>　確かに、アズミの言う事はもっともだ。もし本当にスパイであるなら、そんなヘマをおかすはずが無い。少なくとも、そんな奴は、政府にはいない。<br>　さらに雅澄は話を続ける。<br>「おそらく、サラの父親は、政府ではなくギルドに依頼に行ったのよ。本来なら、一端政府に依頼が来てからギルドに回すという方法をとっているのだけれど、最近、政府の信用も落ちてきているから、直接ギルドに向かったんだわ。でも、これは本当はやってはいけないことだから、娘や家族には嘘をついた。それが、今回の事の発端なのよ」<br>「…………」<br>「サラの話を思い返してみなさい。私達は極秘にやってきたから、『村人はクラーケンの存在に気づいていない』と思っていたけれど、サラの話では、村人は皆クラーケンの存在を知っているということになるわ」<br>　確かにその通りだ。もし村人がクラーケンの存在を知らないのであれば、訳も分からずに金貨銀貨を集められたということになる。それはおそらくないだろう。つまり、村人はクラーケンの存在には気づいていたのだ。<br>「でも、おかしいわね……どうやって気づいたのかしら。まぁ、それは置いといて。とにかく、サラのお父さんはスパイでは無いわ。私がサラに協力すると言ったのは、サラのお父さんへの疑いを晴らすためよ。……政府の命令には反するけどね」<br>　悪びれた様子も無く、アッサリと言い切る雅澄。そこには、人の気持ちを利用するような悪党はいない。いつも通りの雅澄が座っているだけだった。<br>　高ぶった気持ちを静め、変化を解くアルフィ。その顔は申し訳ないという気持ちでいっぱいである。そして、<br>「……すまなかった」<br>　そのまま深々と座卓にでこがつくぐらいまで頭を下げた。<br>「はぁ……いいわよ、別に。こっちも言い方が悪かったわ。……ごめんなさい」<br>　そして雅澄も軽く頭を下げてアルフィに謝罪の言葉を述べる。<br>　どうやら、無事和解したようだった。<br><br><br>「それにしても、酷いじゃない、アル。うちの子達こんなことをして……おいで」<br>　雅澄がそう言った途端、アルフィの拳が止まったところ辺りから、わらわらと黄色いウナギの様なものが湧いて出てきて、雅澄の体にまとわりつく。<br>　よく見ると、頭と思われる部分から、獣のような三角の耳が二つ、にょっきりと生えているのが分かる。――管狐だ。<br>　管狐とは、遠い昔〝ニホン〟という国に存在したといわれる神獣の一種だ。体がウナギの様に細いので、笹の筒の中など、細いものの中に入れて持ち運ぶことが出来る。また、周囲の環境によって、様々な異なった能力を備えた子狐――亜種が生まれることもある。<br>　そう。雅澄は、管狐つかい、通称「くだもち」なのである。<br>「全く……とっさにこの子達を硬質化させたから、私もこの子達も無事だけど……やめてくれない？　本当に」<br>「……すまなかった」<br>　主人に怒られた犬のような顔をして謝るアルフィ。しかし、雅澄の姿があったところには、黄色のモコモコが出来ているだけで、本人の姿は見えない。……苦しくないのだろうか？<br>「まぁ、いいわよ。この子達も大して怒っていないようだし」<br>　雅澄の言葉で一斉にざわめくモコモコ。どうやら頷いている様だ。<br>「あぁ、本当に可愛いわ、この子達」<br>　モコモコの中から幸せそうな声が漏れてくる。機嫌がかなりよさそうである。<br>　――今なら、もう一つ気になっていたことも聞けるかもしれない。<br>　そう思い、アルフィは雅澄に話しかけた。<br>「なぁ、アズミ。最後に一つ聞いていいか？」<br>「……一つだけよ？　ウフフフ……」<br>　モコモコの中から、雅澄の顔がにょきっと生えた。その顔は少し赤くなっていて、にやけている。大好きな狐達に囲まれて、機嫌は最高潮のようだ。<br>「何で政府は、そこまでクラーケンの排除に慎重に動いているんだ？　ただの少し危険な大イカじゃねえか」<br>　クラーケンは『外海の王』と呼ばれ、危険度がやや高めの野獣だ。ギルドに任せるには少々荷が重いと聞く。排除する程度なら、政府の人間一人二人に任せれば、一日で終わることであるはずだ。しかし、今回の作戦では、注意深く『周辺湖の凍結処理』まで入っている。……ただ事ではない。<br>「アズミは、政府の中ではやや上の人間だから、何か知ってんだろ？」<br>　雅澄は口をつぐんだ。答えにあまり応じたくない――そう言いたげである。<br>　しかし、すぐに諦めたような顔になって、口を開く。<br>「……一つだけ答えるって言ったものね。いいわよ、答えても。……今回のターゲットのクラーケンは、民間にばれるとちょっと厄介な子なのよ。簡単に言えば、失敗作かしら」<br>「失敗作？　おい、それはどういう――」<br>「さてと、〝一つだけ〟答えたし、もう寝るわ。明日も早いし。そうそう、同行するって言ったけど、具体的には、一足早く先に湖に着いて、待ち伏せるっていうことだから。じゃあ、お休み、アル」<br>　そういって、またモコモコの中に潜っていく雅澄。というか、あの中で寝るつもりなのだろうか？<br>　こうなってしまうと、雅澄は朝まで起きない。アルフィはすることが無くなり、自分の部屋に戻って布団に潜り込んだ。<br>「やっぱり、アズミはそんな卑劣な奴じゃないよな」<br>　そうしてアルフィは安堵したような声を呟き、眠りについたのだった。<br><br>　　　　　　　　　　　　　　　　　☆　☆　☆<br><br>翌朝。雅澄達一行は村に向けて〝飛んでいた。〟<br>　彼女らが乗っているのは、大人五人ほどが余裕で乗れるほど大きな管狐である。これは運送に適した管狐で、普段はこのように乗り物として雅澄などを乗せて飛び回っている。<br>「うわぁ！　すごいですね、この子！　アズミさんが操っているんですよね？」<br>「えぇ、そうよ。私のもう一つの能力なの」<br>「へぇ～、野獣を操るなんて、凄いです！」<br>「いや、この子は神獣なんだけどね……」<br>　やれやれ、朝から元気なこった、あとアルフィは欠伸を漏らしながら思う。<br>　湖まであと小一時間。<br><br>ザザン……<br>湖は、本当に野獣が潜んでいるのかを疑うほど静かだった。普段は活気があるのだろうと思われる村も、ひっそりと静まり返っている。人々は家の中へ引き篭もっているようだ。<br>「ここに、私のお父さんが……？」<br>「え、えぇ、そうよ。きっとここに現れるわ」<br>「でも、ここは私の村ですよ？」<br>「だ、大丈夫よ！　信じなさい！」<br>　若干無理やり気味に答える雅澄。もしこれで現れなかったら、どう言い訳をするつもりなのだろう？<br>　アルフィはサラを見た。その顔は若干曇っている。……村人達に酷い目にあわされたことを思い返しているのだろうか。<br>「……大丈夫だ、サラ。今は俺たちがいる。だから、安心しろ」<br>　一瞬何を言われたのか分からず、キョトンとするサラ。しかし、すぐに納得したような表情になって頷く。<br>「……ありがとう、アル」<br>　その時、雅澄がいきなり二人の手を取って、岩陰の方へ走り出した。<br>「おい、アズミ、いったいどうした――」<br>「誰かがこっちに来る。魔法使いのようだけど……政府が来るには早すぎる」<br>　冷たい声で雅澄は答えた。こうなった雅澄は仕事モードに完全に切り替わり、うかうかと私語もできない。<br>　ザッ――<br>　砂が舞う音がして、雅澄達が元々いた場所に三人の人間が現れた。<br>「！　お、お父さ――」<br>ガバッ<br>素早くサラの口を塞ぐ雅澄。サラはびっくりして体を縮こませる。<br>（静かに！　今すぐ出ていくわけにはいかないわ）<br>（で、でも……）<br>（安心して、ちゃんと会わせてあげるから）<br>　そうして、岩陰から三人を覗き込む雅澄。まるでこちら側がスパイのようである。<br>　見たところ、サラの父親と一緒にいる男女の二人組みは、ギルドのようである。<br>　――アズミの予感、的中じゃねえか。<br>　アルフィは感嘆の声を漏らす。<br>突然、ギルドの男性の方が、サラの父親を抱えて湖と反対方向へ走り出した。<br>　ん？　一体何が――<br><br>　バチバチバチバチッ！！<br><br>　湖に電撃が走った。<br>（あっ、あいつ、何てことを！）<br>　雅澄は苦虫を噛み潰したような顔になって女のギルドを睨みつけていた。<br>　そんな雅澄の気も知らず、湖の前でガッツポーズを決める女のギルド。そして、湖から慟哭が響き、例のクラーケンが姿を現した。<br>　雅澄が二人の方を見て、口早にそれぞれに指示を出す。<br>「サラっ、ここを動かないで！　アル、行くわよ！」<br>「何ぃ？！　作戦が違――」<br>「かまわないわ！　あのクラーケンがギルドに倒されることの方が政府にとってはマズいことなの！」<br>　そういって、雅澄は岩陰から飛び出していった。<br>「……やれやれだな、本当によぉ！！」<br>　続けて岩陰から飛び出していくアルフィ。<br>　――戦闘が始まった。<br>
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<pubDate>Thu, 22 Jul 2010 20:39:05 +0900</pubDate>
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<title>一周目だそうで。</title>
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<![CDATA[ どうもしかばねです。<br>稚拙な文章から稚拙な文章まで、幅狭い分野で頑張ってます。<br>ギャグはいれてるつもりあんまりないんだけどねえ。<br>では、まあ、序章だし分かりにくいところもあるかと思いますが、よろしければお楽しみ下さい。<br>よろしければ、ってのはおかしいか。<br><br><br><br><br><br><br>　フレイヤがある地区から北に3キロ程離れた"政府の誓い"という名の像が建つ行政広場で、高官による演説が行われていた。<br>　それほどすばらしいというわけでもない演説に聞き入る聴衆は、総勢五百人に及ぶ。広場の周辺の国民ほとんど全員がここに来ていることになる。<br>　別に強制参加というわけではない。ただ、政府の大規模な魔法による効果によって、演説による聴衆への「洗脳」が進んでいるのである。政府が開発した"潜在意識への干渉"による洗脳がなければ、今頃政府に町を統制する力は無かっただろう。<br>　演説者の周りには一見誰も護衛がいないように見える。しかし、聴衆の中、演説者に近づくほどに私服警備員が多く潜んでいた。<br>　そんな中、演説に聞き入る様子もなく、言い争う二人がいた。<br>「任務中なんだから離れろってっ」<br>　その声に顔を向ける者は誰もいない。それほどまでに洗脳は進んでいるようだ。近くにいる警備員は、「ハァ……」と、小さくため息をつく。<br>「やーだー、私いっつも君と一緒にいるって決めたんだもん」<br>　抑揚のない声で話す少女の声。それは聴衆の最後列から聞こえてくる。<br>　彼ら二人は、聴衆ではなく政府の警備員だ。しかし、今の状態では、遠くから見るとただ場所をわきまえないバカップルにしか見えない。しかし、周りにいる警備員はいつものこと、と諦め顔である。<br>「お前なあ……」<br>「あ」<br>「は？」<br>　少年が若干切れかかっていた時、唐突に少女がその後ろの民家に目を向ける。<br>「民家が爆発するよ。備えてー」<br>「は？」<br>「３、２、１」<br>　空間が一瞬歪んだ。次の瞬間、すさまじい爆風が民衆を襲う。<br>「やっぱり来たか……くそっ！」<br>　少年は右手を爆風の方へ向け、意識を集中させる。<br>　彼の周りの空気が乾燥し始めた。<br>　それは、彼の魔法の効果である。周りの水素を収束、増大させ、魔力を行使して、半ば無理矢理氷を作り出す。今回の場合は、彼はかなりの無理をして氷の壁を作り出したのだ。<br>「っ……」<br>「大丈夫？」<br>　彼にしがみつくようにしている彼女は、間延びしたあまり深刻そうではない声を出しながらわずかに神経を集中させ、彼に魔力を送り込む。<br>　彼は生まれつき魔法を使える体質である。それ故に、魔力が一定量無い空間では生きることができない。さっき一人で魔力を大量消費した彼の周りの空間には魔力がほとんど無い状態だ。つまり、彼は少しまずい状況にあったわけである。<br>「ああ、サンキュな、キユ」<br>「問題ないよー、いつものことだしー」<br>　洗脳の効果が切れてしまったのか、徐々に民衆が危険だと自覚しだす。とたんにパニック状態に陥った民衆は四方八方へ我先にと走り出す。<br>「まずっ」<br>　彼は氷の壁を四方に作り、自分たちの周りを囲む。<br>「はぁ……」<br>　彼は自分が作った氷の壁にもたれ掛かる。<br>「で、外はどうなってる？」<br>　外から悲鳴や怒声が聞こえてくる中、だいたいの状況を把握しながらも彼はキユに問いかける。<br>「マルチなタスクはむいてないのー」<br>　そういいながら、彼女はこめかみに右手の人差し指を当てて、<br>「周りの警備員は押されたりしてあんまりうまく動けてないみたい。防御魔法で演説者は無事。爆破テロはやっぱりギルドねー。あの過激さは多分、バレットさんとこねー」<br>　バレット、というのは数ある中で最も過激で残酷な仕事を引き受けるギルドである。最近のリーダーの交代で、ギルドとはもはや名ばかりのテロ集団と成り果てていた。<br>「またかよ……」<br>　彼は舌打ちをして、続きを促す。<br>「それでそれでー、えとー、そーだね。ここら一帯はパニック状態。それによるけが人たーくさん。それで最も旬なのがー……」<br>「旬なのが、なんだよ？」<br>　彼の眉間に皺が寄る。彼女の言う旬、というのはあまりいい意味で使われることはないらしい。<br>「この氷をぐるりと一周分、テロりんがいっぱいいるーってことね」<br>「はぁっ！？先言えよっ」<br>「そろそろ衝撃来るよー」<br>「ちょっと待っ」<br>　と、キユの体が光を放つ。<br>　彼女の持つ属性は光である。<br>「目を一生使えなくする程度には光っちゃうからー、目、つむった上に腕をぴったりくっつけといてねー」<br>　さりげなく恐ろしいことを言う彼女に従いながら、もう片方の手で、政府支給の拳銃に手をやる。<br>「さーん、にーい、いーち」<br>　氷の割れる音と同時に、腕で目を塞いでいてもわかるほどの光が放出される。<br>　目くらましというには残酷すぎる一撃だった。一瞬にして囲んでいたバレットのギルド員たちの目は使いものにならなくなる。<br>　気を失った者もいるようだ。<br>　周りにはさっきまでいた聴衆は一人もいなかった。当然ながら演説者ももういない。彼女が周りを考慮してから放ったのかどうかは微妙だが、とりあえずはギルド員以外に光による被害者はいないらしい。<br>　が、しかし、異常な発光に気づいた別のギルド員たちが駆け寄ってくる。<br>「やばっ逃げるぞっ」<br>「もう一回光ろうか？」<br>「無用な傷害は避けるのが信条だっ」<br>　叫びながら彼は政府の基地へと急ぐ。<br>　彼女はその後ろについて、相変わらずのんきな表情で走っていく。<br>　二人の手は、自然につながれていた。<br><br><br><br>「ぜぇ……ぜぇ……」<br>　彼は追っ手がいないか確認すると、壁にもたれ掛かる。<br>「しつけぇな、あいつらも」<br>「だねー。あ、追っ手はもう諦めたみたいだよー。遠ざかって行ってる」<br>　彼女は空を見上げてそんなことを言う。<br>　彼は最初は「適当なこと言いやがって……」と信じていなかったのだが、回数を重ねてもそれがはずれることはなかった。<br>　彼女が未来予知のようなことをできるのは、主に魔力の変容が関係している。<br>　彼女の周りには常に"彼女の性質となった"魔力が散布される。その魔力が何者かの力の行使によって変容すると、彼女が"感覚として"理解する。それを彼女が"考える"ことにより、脳が理解する。さらに"彼女のやる気"によって言葉として発せられると、ようやくレーダーのような機能を発揮する。<br>　彼女曰く、"人間が"覚悟を決めたり、気合いを入れる瞬間だったり、とにかく力を使う行為をしたときは自然と魔力が放出される、ということだが、"人間側"の研究では、今のところその事実は確認されていない。そのため研究者は、彼女の言う魔力はこちらの定義とは別、という見解が進んでいる。<br>「さってと……本部へ戻るか」<br>　想像以上にギルド員がしつこかったのか、彼らは本部への道とは大幅に逸れていた。彼は嘆息しながら、元の道に戻ろうと歩き出す。<br>「ねえいっくん」<br>　キユが彼に呼びかける。いっくんというのは彼女が彼を呼ぶときのニックネームだ。本名は一ノ瀬　秋（いちのせ　しゅう）という。<br>「なんだよ」<br>　彼は面倒そうに立ち止まり、ゆったりと振り返る。<br>「手ー、つなごーよ」<br>「嫌だ」<br>　彼はそのまま正面に向き直り、歩きだそうとする。<br>「さっきはつないでくれたのにー？」<br>「さっきは非常事態だ。今はそうじゃないだろ？」<br>　彼はそれだけ言うと、そのまま歩きだしてしまった。<br>「冷たいなー。いつもどーりだけど」<br>　彼女は小走りで彼の横につく。<br>「暑苦しいぞ」<br>　彼は一歩分離れる。<br>「だいじょーぶ、私魔力の固まりだもん」<br>　彼女はそれを追いつめるように一歩近づく。<br>「気持ちの問題でアウトだ」<br>　彼は腕をブンブン振って振り払う。<br>「あら、それ程までに私は魅力的ー？」<br>　彼女はそれでも、離れない。<br>「残念ながら逆だ」<br>　彼はそういいながらも諦めたのか、空を見上げて嘆息する。<br>「えー」<br>　彼女は嬉しそうに、腕を絡める。<br>「後三十秒な」<br>「やだ」<br>「即答かよ……」<br>　結局本部に戻っても彼の腕から彼女が離れることはなかったのだった。<br><br><br>「おまえも大変だな……」<br>　本部に戻ってくるなり、いきなり秋に声をかけてきたのは秋の数少ない友人である荒井　亮平（あらい　りょうへい）だ。<br>「わかってくれるか、亮平……」<br>「ああ、今すぐ殴りとばしたい気持ちでいっぱいだ」<br>「魔物に懐かれてるののどこがいいんだよ畜生っ」<br>「魔物でもかわいい女の子だ畜生がっ、俺にもその幸せが訪れてほしいっ、しかし訪れないっ！    これ鉄則！」<br>　秋は早々に諦めたのか、自虐ネタを披露して密かに俺独り身ですよアピールをする亮平を無視して、政府本部の休憩室に入る。<br>「何か指令入ってないのー？」<br>　魔物と言われてあまり気にすることは無いようだ。それは、実際彼女が"魔物"であることを自覚した上で、そんなことはどうでもいいと思っているからこそなのだろうか。<br>　はっきりと言うと、彼女は魔物だ。魔物の定義は、まず大まかに分けると、魔力によって生成されてしまった体であること、または魔力が原生生物を媒体として凶暴、巨大化してしまうことの二つだ。彼女の場合は前者で(政府の推測ではそうなっている)、なおかつ魔物としては特異な言語能力まで備えている。この時点でもうすでに政府の研究対象となり得るのだが、それだけでなく、彼女は人型で、その上恋愛感情まで備わっている。なのになぜ研究ばっかりの毎日じゃないのかというと、その恋愛感情が問題だった。その恋愛感情は、秋に向けられている。そして、彼女の覚悟はすさまじかった。つけねらう政府に向かって一言「私といっくんを離ればなれにしちゃったら自ら魔力全部放出しちゃって自滅するよー？もっちろん、いっくんと一緒に」と、言い放ったのである。その言葉にいっくんこと秋はいつも以上にげんなりとしていたそうだ。<br>それはともかく、上記の理由で彼女は悠々と生存している。<br>「（あー、めんどくせえな……）」<br>　彼は無言で休憩室の指令板を操作する。指令板というのは自分の指令番号とアルファベットランダム十五文字のパスワードを入力することによって指令があるかを確認できる端末である。政府本部の地下に蓄積している魔力を使用しているため、できるだけ短時間での使用を心がけるようにとの注意書きが毎回表示される。<br>「ん……？」<br>　一つ、指令が入っている。<br>「なんだ？『クラーケン排除及び周辺湖の凍結処理』……？」<br>「（政府が無償でこんなことをするとは思えない……だとしたら、阻止するべきか……？）」<br>　秋は考えを巡らせる。<br>「（あの湖を凍結処理って、なにするつもりなんだよ……。えーっと、凍結処理したら……魚がとれなくなる。俺、魚食う機会減る。それは、ダメ。よし、おっけー、阻止だ）」<br>　秋はさらに考えを巡らせる。<br>「（阻止するためにはどうする？政府が大義名分としているのはクラーケンの駆除だ。とすれば先に誰かがクラーケンを殺してくれりゃいい。ってことでそこの村人からギルドに依頼を出してもらうしかねえ……かな？）」<br>　秋は静かに立ち上がり、休憩室を出る。<br>「（決行日は八日後。なら今日のうちにここを出て頼み込めばまあ……なんとかなるか）」<br>「ちょっとー、いっくん？」<br>「後で話す」<br>　秋がそれだけ話すと、それっきりキユは何も言わなくなった。<br><br><br><br>「たのむっ。このままじゃ湖の魚ががとれなくなっちまうんだってっ」<br>　秋はここの村長と顔なじみだった。一度任務で来たときに、できるだけ親しくしておいたのである。<br>「んー、まあ、この前の依頼でたすけてもらったし……まあ、いいだろ、明日にでも若いのギルドに送るよ。んで、そのクラーケンってのはうまいのかい？」<br>「ん？ああ……元々がタコだかイカだかそんなのだし、焼けばおいしいんじゃねーの？」<br>　実は、村人でさえ「最近魚の量ちょっと少ないなー」くらいにしか感じず、クラーケンのクの字すら知らなかったらしい。<br>「それと……一芝居打つように頼んでくれたら嬉しいんだけど……」<br>　村長はため息をひとつついて、<br>「注文が多いね……なんだい？」<br>「依頼しに行く奴には『政府にお願いしても動いてくれなかった』っていう旨を伝えておいてもらう。そんでもって、この騒動が収まるまでの間は、村の誰も外出しないようにしてほしい」<br>「っ、そんな、漁はどうするんだっ！？」<br>「大丈夫だって。クラーケン、焼けばおいしくいただけるだろ？」<br><br><br><br>　秋が外にでるなり、キユはため息をついた。<br>「あんな嘘ついてよかったのー？」<br>「んあ？」<br>「クラーケン、魔力ででかくなったんだからー、せいぜい元の大きさのめっちゃめちゃなのが残るだけだよ？」<br>　避難するような目で見るキユに、秋は悪びれた様子もなく言う。<br>「これからずっと漁ができなくなるよりかはマシだろ」<br>「そーだけどー」<br>「ま、そうじゃなけりゃ、俺の首が吹っ飛ぶかなんかするだけだよ」<br>　秋が冗談混じりに放った言葉に、キユは敏感に反応した。<br>「冗談でもそんなこと言うなっこのバカ」<br>　キユが秋の頬をつねる。<br>　秋はそれを強引に振り払い、歩き出す。<br>「本気で怒ってるんだからー」<br>　キユは秋の腕をつかんで、歩みを止めさせる。<br>「わ、悪かったよ」<br>　いつもには見られない剣幕に少し引き気味な秋。<br>「ほーらー、手つなぐよ」<br>「は、はい……ってそれとこれとは別だ」<br>　秋は差し出しかけた手をあわてて引っ込めるとそのまま再び歩き出す。<br>「かしこまったいっくん、かっわいー」<br>　秋は、その言葉にため息だけで返した。<br>「あ、怒らせちゃったー？」<br>　それを境に、秋はしばらく口を利かなかったようだ。<br><br><br><br>　指令決行日。氷属性の魔法が使える者を主として編成された少数精鋭の政府軍は村へ向かって歩いていた。<br>　その政府軍の中に、秋達はいる。<br>「あつーい……いっくん、氷出してー」<br>「おまえ魔力の固まりだから大丈夫だろ、おとなしくしとけよ」<br>「とけちゃうー」<br>「おまえは氷じゃねーだろ……」<br>　非常に切れの無いつっこみで会話が途切れる。<br>　それは"政府にとっての"緊急事態が唐突に訪れたからだ。<br>「おい、クラーケンがもう殺りあってるぞ！」<br>　その報告と同時、思わず秋達の顔がにやけたことを知る者は、誰もいない。
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<link>https://ameblo.jp/freyja2010/entry-10598029662.html</link>
<pubDate>Thu, 22 Jul 2010 20:00:06 +0900</pubDate>
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<title>だーいいっかーい</title>
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<![CDATA[ <p>どうも、色々あって出張ってまいりました、笹原です。</p><br><p>別でブログやっているけれどこの話を書き始めるにあたって不都合（働かない）が発生したため、全員の戒めのためにブログを作ることと相成りました。</p><br><p>別に堅苦しい文章が好きとか、そういうわけではないんですが、どうにも堅くなります。</p><br><p>……別に引っ張っても特に何もないのでササッと本編入ります。</p><p>一応第一話ですが、取っつきにくいところは勘弁してください。</p><br><p>ちなみに、私自身はあまりシリアス書くのは得意ではなかったり。</p><br><br><br><p><br>　カランカラン<br>　出入り口の扉につけられたベルが鳴り、酒場の中へ人の入場を知らせる。<br>　カードゲームをしていた数人が、フードをかぶった入場者を向く。<br>「こんちわー。おっちゃんたち、元気ー？」<br>　入ってきた人物はフードを取り、周囲を見回しながら声をかけた。途端、中の空気が柔らかくなった。<br>「よぉ、イナミか。今回は無事だったのか」<br>「マルガスのおっちゃん、帰ってきたばっかの女の子に、それはないんじゃないかなぁ」<br>　真っ先に話しかけてきたオヤジに、イナミと呼ばれた少女は苦笑いを浮かべる。<br>　そこへもう一人、少女よりいくらか大人びた少年が寄ってきた。<br>「やあ、カヤちゃん。今日も一段とカワイイね。今回の依頼は大丈夫だったかい？」<br>「あぁ、ハイアの兄ちゃん。相変わらず言動一つ一つがキモいね。私は全く問題ないよ」<br>「そ、そうか。それは良かった。ところで、次に予定は入っているのかな？　もし良かったら、僕と――」<br>「え？　あー……イヤ。なんか変な事されそうだし」<br>　少年を一蹴して、少女は酒場の奥へ入っていく。<br>　カウンターを抜け、通路を通り、割り振られた自分の部屋へ入ろうと鍵を取り出そうとしたとき、聞きなれない声に気付いた。<br>「んー？　そこ、誰か居るの？」<br>　接客室と書かれたプレートの下がる、実質的には仮眠室としてしか機能していない部屋の扉を、少女は無断で無遠慮に開ける。<br>「だから、そういう類の依頼は政府に当たってくれ。ギルドだけでは動きかねる」<br>「政府にはもう見捨てられたんです！　頼みの綱はココだけなんです、お願いします！」<br>　そこには、頭を下げて懇願する男性と、それを冷徹に追い返そうとする、少女にとっては見知った顔が居た。<br>「あれ、チーフ？　何やってんの？」<br>「ん……ああ、伊波か。どうした、もう依頼から帰ったのか」<br>「まぁね。あ、はい、報奨金。約束どおり、半分は私の里に送ってよ」<br>「ああ、分かっている」<br>　頭を下げる男性をそっちのけで行われる会話に、男性は戸惑いを見せるしかない。<br>「あの……そちらの女性は？　ひょっとして娘さんですか？」<br>「違う。俺が子持ちに見えるか？」<br>「い、いえ……」<br>　何の気なしに口から出た男性の言葉は、手加減無く両断された。<br>「そんで、チーフ。何の話してたの？」<br>「こいつが依頼申請に来たんだが、ギルドの管轄外でな。引き取り願ってるところだ」<br>「へー。依頼ってどんな？」<br>「こいつの住んでいる地域に、野獣が出現したらしい」<br>「何だ、そのくらい引き受けてあげれば良いじゃん」<br>　少女の一言に、チーフは面倒くさそうに溜息をついた。<br>「出てきたのが、クラーケンなんだとよ」<br>「え…………」<br>　クラーケンといえば、『外海の王』とも呼ばれる化けイカだ。その大きさは、小さいものでも優に七十メートルを超えるといわれている。<br>「な？　俺達ギルドの管轄外だろ？」<br>　このように、非常に危険度の高い野獣の駆除等の大きな仕事は基本的に、政府がその被害を受けている地域から依頼を受けて駆除することになっている。ギルドというものは、本来はもっと小さな野獣や遺跡探索を主とする集団だ。クラーケン退治なんてやっていられない。<br>「そこを何とか！　報酬は弾みますから！」<br>「そんな危険な仕事に、ギルドメンバーを向かわせることはできない。政府が動かないなら、何か理由もあるんだろう。諦めるか、他を当たってくれ」<br>「ねえ、報酬ってどれぐらい？」<br>　チーフが無情な言葉を投げかけたと同時に、少女が呟いた。チーフが少女を「お前まさか……」といでも言いたげな目で見ている。<br>「村人全員から寄付で集めました。私たちが出せるのはコレだけです」<br>　ゴトリ、と音を立てて男性が置いたのは、パンパンに膨れた金貨袋だった。中身は想像を絶するほどの金貨銀貨。<br>「チーフ！」<br>「ダメだ」<br>　口を開いた少女の言葉を最後まで聞ききることなく、チーフは打ち切った。<br>「えー！　いいじゃん、私個人で引き受けるんだもん！」<br>「そう言うと思ったからこそ、ダメだ。いくらお前と相性がいいとはいえ、相手はあのクラーケンだ。最悪、命を落とすこともある」<br>「大丈夫だって。私、そんなに頼りない？」<br>「ああ、頼りない」<br>　バッサリ。<br>「チーフ酷いー！　私だってもう子供じゃないんだよ？」<br>「いくら法で成人扱いになっているといえ、お前はまだ十五だ。ギルド・フレイヤの中で一番幼い。無茶をしたいのは分かるが、自粛しろ」<br>「むっ！　無茶じゃないもん！　見てなさいよ。私、意地でもこれを一人で解決してやるんだから！　来て、おじさん」<br>　逆上して、少女は男性の手を引いて部屋から出て行ってしまった。唯一接客室に残されたチーフは、溜息をつく。<br>「……全く。どうしてこう、言うことを聞かないんだろうな」<br>『聖の言い方が悪いんじゃないかしら？』<br>「俺は何か間違ったことを言ったか？」<br>『年頃の女の子は、難しいものなのよ』<br>「そんなものか……」<br>　どこからか響く声と会話するチーフ・笹川　聖は、いつも不思議で溢れていると、ギルドメンバーは語る。</p><p><br>「それで、その依頼の報酬は本当にそれだけ貰えるんだよね？」<br>　机の対面に座る男性へ、少女は詰め寄る。<br>「は、はい。一応、これの半分を手付金としてお渡ししようと思っているのですが……」<br>「うん！　いいわよ、いいわよ。ばっちこーい！」<br>「は、はぁ……」<br>　目の前の少女の小ささと言動の幼さに、男性は若干、本当に依頼してよかったのだろうかと思い始めていた。しかし、せっかく引き受けてもらえたのを無下にするワケにもいかず、茅の気が変わらないように応対する。<br>「あ、そうそう。言い忘れてたけど、私の名前は伊波　茅ね。好きに呼んでくれていいよ」<br>「あ、ご丁寧にどうも。私は……」<br>「ああ、別に言わなくてもいいよ。私は『依頼主さん』って呼ぶから。名前を教えてもらっても」<br>「はぁ……そうですか」<br>　やはり、本当にこの茅と言うらしい少女に依頼してよかったのか、男性は疑問が拭いきれない。<br>「それで、いつ行ったらいいのかな？」<br>「できたら早い内がいいのですが」<br>「分かった。それじゃあ、明日にしよう。依頼主さんは……ハイアの兄ちゃんの所に泊めてもらおうか」<br>　あまりにも軽く言う茅の言葉とトントン拍子で進む事態に、男性は戸惑いを禁じえない。<br>「え、そんな簡単に決めてしまってもいいんですか？」<br>「まあ、大丈夫だよ。なんでか、ハイアの兄ちゃんは、私の頼みだけは無駄に良く聞くから」<br>「はぁ……」<br>　それは何か違うのではないかと、少しだけ男性は思ったが、本人が気付いてないことを無理に教えることもないかとも思った。<br>「それじゃあ、ハイアの兄ちゃんには今から話しに行くから、依頼主さんはちょっと待ってて」<br>　それだけ言い残して、茅は部屋から出て、ハイアのいる酒場へ戻っていく。<br>「ハイアの兄ちゃん、いるー？」<br>　適当に声をかけると、瞬間移動でもしたのではないかと思うほどの速度で現れた。<br>「やあ。呼んだかい、茅ちゃん？」<br>「うん。ちょっと頼みがあるんだけど、いいかな？」<br>「ああ、いいよ。茅ちゃんの頼みなら何でも聞こう！」<br>「相変わらずなんかキモいけど、ありがと。それじゃ今晩、一人だけ泊めてもらってもいいかな？」<br>「お安い御用さ。茅ちゃんのためなら、たとえ火の中水の中！」<br>「うん。とってもキモいけど、ありがと。それじゃあ、明日は暇？」<br>「ああ、もちろんだよ」<br>「それじゃあ、私の依頼に少し付き合ってくれない？」<br>「もちろんさ。僕が断るはず無いだろう？」<br>「凄くキモいけど、ありがと。それじゃあ、今晩と明日、よろしくね」<br>「ああ、任せてくれたまえ」<br>　あっという間に約束を取り付け、茅は意気揚々と自室へ戻って行った。</p><p><br>　午後十時。<br>「……」<br>「……あ、その、お邪魔します……」<br>「なんでだぁっ！　茅ちゃぁぁん！」<br>　ギルド・フレイヤに、ハイアの魂の叫びが轟いた。</p><p><br>　翌朝。ギルド・フレイヤの集会所であり本拠地でもある酒場の前に、ハイアはいた。<br>　昨夜、茅に頼まれて依頼の手伝いを引き受けたのはいいが、依頼主を部屋に押し付けられたりもした。それはまあ、朝に茅から貰った労いの言葉で帳消しにしようとしても、お釣りはザラザラ出てくる。<br>　しかし、たった一人で酒場の前に待たされるのは少々癪だった。<br>　ギルド・フレイヤは、もともとは過去に起こった、当時の文明を滅ばしてしまうまでの大異変の際に、一般人達を異変と野獣から助けるために設立した組織だと聞く。<br>　その『フレイヤ』という名の通り、『最前線で、どこへでも助けを求める者のために』が信条だった。<br>　ところが、政府の成立と共に様々のギルドへの依頼内容は縮小の一途を辿り、ギルド・フレイヤも例外ではなかった。<br>　依頼数が激減し、依頼内容も段々と薄いものとなっていく。当時のあらゆるギルドのチーフは、その時の民が本当に必要とするもの、ギルドの存在意義と価値について思いを巡らせたという。<br>　しかし、いかに政府が成立しようとも、一部の者は己の利益のみを考え、今回のように大きな依頼を聞きもせずに門前払いするという話も聞く。<br>　やはり、政府も人間が生み出したもの。天才の集まりが、凡人の集まりを理解できないことと同じなのだろう。井の中の蛙、大会を知らずというやつだ。<br>　徐々に己の利益を考える者しか集まらなくなりゆく政府と、最初こそは慈善事業だったが、今では依頼料をとるようになってしまったギルド。今を生きる者は、統治国家と便利屋のどちらを必要としているのだろうか。<br>　ただ、ギルド・フレイヤが金を取るのは依頼の手付金のためではない。改装費を集めるためだ。<br>　ギルド・フレイヤは、人里を少しそれた位置にある砂漠に存在する。かつてはそこも緑も多かったのだが、大異変の影響で他の地と同じように気候が変わり、砂漠化したらしい。<br>　だが、ギルド・フレイヤには最初は慈善事業だったせいで、改装や移転をするような金が無かった。仕方なく依頼を受けて金を貰うことにしているのだが、立地条件が悪くて依頼者があまり来ない。おかげで、茅のように少々、金に貪欲になってしまう者も居るが、ハイアやチーフは本来のギルド・フレイヤを誇りに思っている。<br>「それにしても、遅いなぁ……茅ちゃん」<br>　建物の影に居るために砂嵐の心配の無いハイアは、羽織っていたマントのフードを外した。いくら日陰とはいえ、砂漠で羽織、おまけにフードまでかぶると暑い。<br>　外で待たされて、もう二十分ほど経とうとしていた。流石に、中に入って呼びに行こうかと思った矢先に、扉が開いく。<br>「ゴメン、ハイアの兄ちゃん。ちょっと遅れた」<br>　中から出てきたのは、地面に擦りそうなほどの丈のローブを着た茅と、粗末な布を巻かれた依頼主の男性だった。<br>「茅ちゃん……まだそのローブ使ってるんだ」<br>「いいじゃない、別に。新しく買うのが面倒なんだし」<br>　茅が今着ているローブは、ハイアが幼い頃に着ていたものだ。<br>　自分の使っていたものを、自分が気に入っている人物に大切にしてもらえるのは嬉しい。それと同時に、渡した二年前と比べてほとんど変わらないローブの擦り具合を見ると、どこか切ないものを感じる。<br>「まあ、そんなことはどうでもいいんだよ。依頼主さん、村はどこ？」<br>「あ、あちらの方です」<br>　男性は、ギルドから北東の方を指差す。<br>　かつての大異変のせいで、気候をはじめ、様々な自然環境が変わってしまったため、現在では地図はほぼ無意味に等しい。現在の詳細な地形を知っているのは政府くらいのものだろう。<br>「おっけー。急ぐ？」<br>「そうですね、できれば早い方がいいです」<br>「よしきた。ハイアの兄ちゃん、依頼主さんをよろしくね」<br>　意気込んだ茅は、ローブの下に隠された二振りの小太刀を少し抜く。すると、茅の足元に雷が集まり始めた。<br>「それじゃ、お先に！」<br>　駆ける。<br>　雷のように走り出した茅の姿は、瞬く間に見えなくなった。<br>「……凄いですね、伊波さんの魔法」<br>「ん？　ああ、あれのことか。茅ちゃんは、魔法使いじゃないよ」<br>「え？」<br>　さも当然のように語ったハイアの言葉に、男性は聞き返すしかできなかった。<br>「で、でも、さっき足元に電気が……」<br>「あれは茅ちゃんが持ってる刀の力だよ。魔力鉱石って知ってるでしょ？」<br>「あぁ……」<br>　その言葉に、男性も納得したようだ。<br>　基本的に、魔法使いは大気中に漂う魔力を、呼吸と共に体内へ取り込むことで蓄積した魔力を用いて魔法を使う。それと同じような性質を持った石や木ができることも、ごく稀にある。それらは魔力鉱石や魔法樹と呼ばれ、その希少価値から高値で取引される。<br>　茅の持つ二振りの刀はこの魔力鉱石で打たれたものだ。そのおかげで、本来は魔法を使えない茅も魔法を使うことができる。<br>「茅ちゃんの持つ刀は雷の魔法が使えるから、茅ちゃんは高速移動とか雷撃が使えたりするワケ」<br>「でも、魔法は刀のものなんですよね？　それじゃあ、もし刀を落としたりしたら伊波さんが危ないんじゃ……」<br>「そうならないように、茅ちゃんは布で巻いて落とさないようにしてるんだよ」<br>「そうなんですか……」<br>「それでも、茅ちゃんが危険なのには変わりないからね。僕たちも急ぐよ。しっかりつかまって」<br>「え？」<br>　男性を背中に背負うと、ハイアは先程の茅と同じように、高速でギルドを後にした。<br>　そして二十分後。男性が来るために費やした時間の半分以下の速さで、茅とハイアは男性の示した村に着いた。<br>「へぇ。中々いいところじゃない」<br>「そうだね」<br>　そこは、中心に存在する大きな湖を囲うように家が乱立する、小さな集落だった。元は活気があったのだろう。出店のあとが残っているが、クラーケン騒動で村人たちは家へ引きこもってしまっているのだろう。<br>「それにしてもさぁ、ハイアの兄ちゃん」<br>「ん？　なんだい、茅ちゃん？」<br>「クラーケンって『外海の王』でしょ？　こんな湖に居るものなの？」<br>　確かに、茅の持った疑問はもっともなものだ。外海にしかいないはずの化けイカが、こんな湖に居るとはどうも思えない。<br>　そんな疑問に、あまりの速度に酔った男性が答えた。<br>「ああ……その湖は、海底洞窟で外海で繋がっているんですよ。そのため、海の魚が取れたりもしますが、基本的に湖の水は飲めません。ですから、厳密には塩湖です」<br>「ふーん……。ねぇ、ハイアの兄ちゃん」<br>　男性の言葉に、腕を組んで考え込んでいた茅は、右の小太刀を抜いた。<br>「この湖にさ、私の刀投げ込んだら、クラーケン出てくるかな？」<br>「え……」<br>　ヒュンヒュンと柄尻から垂れる布を掴んで小太刀を振り回す茅に、ハイアはイヤな予感から冷や汗をたらす。<br>「そ、それはまずいんじゃ…………」<br>「うん、大丈夫だよね」<br>　全く話を聞いていない茅を見て、ハイアは男性を抱えてできる限り後ろへ下がった。<br>「きっと出てくるよね。うん。出てくるだけだよ。……よし。そぉい！」<br>　何が『よし』なのかは誰にも分からないが、茅は右手で弄ぶ刀を、そのまま勢いよく湖に投げ入れた。<br>　トプン……バチッ<br>　沈んだかと思うと、一瞬で高圧電流を小太刀は湖に流し込んだ。その雷撃は近くに水のあった場所全てに通電し、先程男性が垂らした汗も一瞬で蒸発した。<br>「……よしっ」<br>「――――――――――！」<br>　小さく茅がガッツポーズをした瞬間、湖から慟哭が響き、巨大なイカが姿を現した。</p>
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<pubDate>Thu, 22 Jul 2010 19:06:04 +0900</pubDate>
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