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<title>上杉隼人　GetUpEnglish</title>
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<description>日常よく使われる英語表現を毎日紹介します。毎日日本時間の午前9時までに更新します。英文執筆・翻訳・構成・管理：上杉隼人毎日更新！ GetUpEnglish Updates Every Day! Since April 1, 2006 (c) 2006-2025 Uesugi Hayato（上杉隼人）</description>
<language>ja</language>
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<title>さくらももこさんが描いた「いさお君」のニュートラルな感性</title>
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<![CDATA[ <p>先日、2026年7月28日の朝日新聞「天声人語」で、さくらももこさんのエッセイ集『さるのこしかけ』に収められた「いさお君がいた日々」のエピソードが取り上げられた。<br><br>いさお君は、今の言葉で言えば特別支援学級に通う少年だった。周囲の子供たちから笑われたり、からかわれたりすることがあっても、彼は決して怒らず、泣きもせず、ただ静かにそこにいた。小学生だったさくらさんは、そんないさお君の揺るぎない「存在感」に強く惹きつけられていたという。<br><br>私は、ヴィクトリア・ロイド＝バーロウの小説『すべての小さな鳥の心』（<i style="font-style:italic;">All the Little Bird-Hearts</i>）の翻訳を通じて、自閉スペクトラム症の主人公サンデーの、この世界に対する極めて明晰で独特な捉え方に深く向き合ってきた。翻訳者、編集者として仕事をしながら、自閉スペクトラム症の人たちと接する中で、いさお君のような「偏りのない、ありのままのまなざし」が持つ途方もない価値を痛感する。<br><br>さくらももこさんが、いさお君の卒業文集を読み、彼の「ニュートラルな感性」に気づいて心を打たれるクライマックスの場面を、英語にしてみた。<br><br><b style="font-weight:bold;">　私は最後まで彼のゆるぎない存在感が気になっていた。明らかに自分に無い何かを彼は持っている。そしてそれは途方もなく大きな何かだ。<br>　私は家に帰り、学校でもらった卒業文集を開いた。自分の書いたものより先に、いさお君の書いたものが見たかった。<br>　ーあった。<br>　いさお君の書いた絵と文字があった。<br>&nbsp;「たこあげ大会」　いさお<br>　そのあとには、たこあげ大会でたのしかった思い出が描かれている。浜でねころんで見た自分のたことみんなのたこの事が描かれている。<br>　その絵は、自分と、水筒と、上がっているたこと、浜辺の石。彼の書いたものの中に、私の失いかけていたもの全てがあった。彼の眼は全て映している。浜辺の石も水筒もそのまま映している。選んでいない。ニュートラルな感性で物事を映す心がいかに得がたいものか。彼はいつも全てに対してニュートラルなのだ。そこに彼の絶対的な存在感がある。<br>　私は卒業文集を開いたまま泣いた。わんわん泣いた。心の底からいさお君を尊いと思った。そしてその時、いさお君のエネルギーは私の中のどこかのチャンネルを回してくれたと確信している。</b></p><p><br><b style="font-weight:bold;">　Right until the very end, I couldn't stop thinking about his unwavering presence.<br>　It was clear that he possessed something I did not—something immeasurably great.<br>　When I got home, I opened the graduation anthology we had received at school.　&nbsp;Before reading my own piece, I wanted to see what Isao had written.<br>&nbsp;—There it was.<br>　Isao's drawing and his words.<br>　"The Kite-Flying Contest" — Isao<br>　What followed was a description of the happy memories he had from the kite-flying contest. He wrote about lying on the beach, looking up at his own kite and everyone else's.<br>　In his picture were himself, a water canteen, the kites floating in the sky, and the stones scattered along the beach. Everything I was beginning to lose was there in what he had written and drawn.&nbsp;He saw everything.&nbsp;He saw the stones on the beach and the water canteen exactly as they were.&nbsp;He didn't choose.&nbsp;How extraordinarily rare it is to have a mind that sees the world with such a neutral sensibility.&nbsp;He was always neutral toward everything.&nbsp;That was the source of his extraordinary presence.<br>&nbsp; I cried with the graduation anthology still open before me. I cried and cried.&nbsp;From the bottom of my heart, I realized how precious Isao was.&nbsp;And at that moment, I knew that Isao's energy had turned a dial somewhere deep inside me.</b></p><p>&nbsp;</p><p><b style="font-weight:bold;"><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20260804/10/getupenglish/f0/5f/j/o0828120015808952954.jpg"><img alt="" height="609" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20260804/10/getupenglish/f0/5f/j/o0828120015808952954.jpg" width="420"></a></b></p><p>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/getupenglish/entry-12974713465.html</link>
<pubDate>Tue, 04 Aug 2026 10:03:51 +0900</pubDate>
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<title>ブラック先生の原稿もゲラも、誰もチェックしなかったのではないかと思う瞬間</title>
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<![CDATA[ <p>Jeremy Black,<i style="font-style:italic;"> A Short History of War</i>はすでに８月１日に若い編集者のYさんに提出した。この記事はその前に書いたものである。</p><p>------------------------------------</p><p>&nbsp;</p><p>ジェレミー・ブラックの<i style="font-style:italic;">A Short History of War</i>も、いよいよ終盤に入ってきた。<br><br>ここまで訳してきて、改めて強く感じることがある。<br><br>この本は、原稿の段階でも、ゲラの段階でも、十分なチェックを受けていないのではないか。<br><br>もちろん、内容そのものは非常に刺激的である。世界史全体を俯瞰し、ヨーロッパ中心史観を相対化しようとする視点には学ぶところが多い。<br><br>しかし、その一方で、文章には推敲不足と思われる箇所があまりにも多い。<br><br>たとえば、同じ抽象語がすぐ近くで何の説明もなく繰り返される。主語や修飾関係が曖昧なまま文が続く。途中で概念の意味が広がっているのに、その説明が省略される。結果として、英語を母語とする読者であっても、一度では意味を取りにくい文章が少なくない。<br><br>今回もこんな一文に出会った。<br><br><b style="font-weight:bold;">As more generally, morale, experience, surprise, terrain and numbers were crucial in battle, while strategy, morale and generalship were shot through with political considerations.</b><br><br>ここでは<b style="font-weight:bold;"> morale（士気） が二度現れる。</b><br><br>最初は「戦闘で勝敗を左右する要素」の一つとして、二度目は「政治的要素が深く入り込む対象」の一つとして使われている。しかし、その違いについて著者は何も説明していない。<br><br><b style="font-weight:bold;">深い意味があるのかと考えたが、これまで本書全体を読み続けてきた経験からすると、そうではない可能性が高い。推敲の段階で重複が残ってしまったのだろう。</b><br><br>翻訳者としては、英語をそのまま日本語へ写すわけにはいかない。<br><br>日本語で「士気」を二度並べれば、読者は「何が違うのだろう」と立ち止まってしまう。そこで私は、前半の「戦闘で重要な要素としての士気」を受けながら、<br><br><b style="font-weight:bold;">こうした軍の士気をはじめ、戦略や将軍たちの指揮能力には、当然ながら政治的要素が深く入り込んでいた。</b><br><br>という形で整理した。</p><p>&nbsp;</p><p>すなわち、</p><p>&nbsp;</p><p><b style="font-weight:bold;">さらにほかの時代に見られる戦争と同様に、戦闘では士気、経験、奇襲、地形、兵力数が重要であり、こうした軍の士気のほか、戦略や将軍たちの指揮能力には当然、政治的要素が深く入り込むことになった。</b><br><br>という訳文にした。</p><p>&nbsp;</p><p>翻訳とは、単に英語を日本語へ置き換える作業ではない。<br><br>原文の論理を読み解き、ときには著者自身も整理しきれていない文章を、読者に伝わる形へ組み直す仕事でもある。<br><br>ブラック先生の文章と格闘していると、そのことを毎日のように実感する。</p><p>&nbsp;</p><p><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20260727/22/getupenglish/c0/e5/p/o1536102415806710113.png"><img alt="" height="280" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20260727/22/getupenglish/c0/e5/p/o1536102415806710113.png" width="420"></a></p>
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<link>https://ameblo.jp/getupenglish/entry-12973977184.html</link>
<pubDate>Tue, 04 Aug 2026 00:14:34 +0900</pubDate>
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<title>英語を母語とする読者でも一度読んだだけでは理解するのがむずかしい</title>
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<![CDATA[ <p>ブラック先生の本の訳稿はすでに提出済みだが、もう何度か気になったことを書いておく。</p><p id="link-ac3b9400-5761-47aa-aaae-7e329e7f93b9"><a href="https://ameblo.jp/getupenglish/entry-12974535671.html" target="_blank">https://ameblo.jp/getupenglish/entry-12974535671.html</a></p><p>&nbsp;</p><p>シャーマン将軍の焦土作戦を論じたこの段落は、本書の中でも屈指の悪文である。</p><p><br><b style="font-weight:bold;">The previous year, General William T. Sherman, to whose army the song referred, having captured Atlanta, had the civilian population moved out and destroyed much of the city. Rather like Allied bombing of Germany and Japan in World War Two, his devastation of the Confederate hinterland in Georgia and South Carolina in 1864–5 increased the resolve of some Southern soldiers, but helped destroy Southern civilian faith in the war, and made the penalty for, and limitation of, guerrilla warfare apparent. By making territory his objective, Sherman moved beyond the unproductive nature that that goal and method frequently entailed, instead using its occupation to fulfil his aim of psychological mastery.</b></p><p><br>前半はまだ何とか意味を追える。しかし、最後の一文になると、英語を母語とする読者でも一度読んだだけでは理解するのがむずかしい。<br><br><b style="font-weight:bold;">By making territory his objective, Sherman moved beyond the unproductive nature that that goal and method frequently entailed, instead using its occupation to fulfil his aim of psychological mastery.</b><br><br>問題は、that が何を指すのかが曖昧なうえ、goal, method, occupation, psychological mastery といった抽象語が説明もなく次々に現れることである。文法的には読めても、結局何が言いたいのかが頭に入ってこない。<br><br>ブラックが伝えたかったのは、<b style="font-weight:bold;">シャーマンは敵軍を撃破することだけを目指したのではなく、領土を占領すること自体を戦略の中心に据え、その占領を通じて南部住民の戦意をくじき、心理的に屈服させようとした</b>という点である。<br><br>そこで訳文では、抽象的な英語をそのまま追いかけるのではなく、著者の意図を明確にして、<br><br><b style="font-weight:bold;">シャーマンは領土そのものの占領を目標に据えることで、南部住民の抵抗意思をくじき、心理的に屈服させようとした。</b><br><br>と訳した。<br><br>原文の語句をひとつつ一つなぞることよりも、文脈全体から論理を読み解き、日本語で自然に再構成することのほうが、翻訳でははるかに重要なのである。少なくとも本書の翻訳においては間違いなくそうだった。</p><p>&nbsp;</p><p><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20260727/17/getupenglish/4d/78/p/o1024153615806620941.png"><img alt="" height="630" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20260727/17/getupenglish/4d/78/p/o1024153615806620941.png" width="420"></a></p>
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<link>https://ameblo.jp/getupenglish/entry-12973952109.html</link>
<pubDate>Mon, 03 Aug 2026 00:36:39 +0900</pubDate>
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<title>ブラック先生との6か月――『人類と戦争の歴史』を脱稿して</title>
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<![CDATA[ <p>ようやく、Jeremy Black,&nbsp;<i style="font-style:italic;"> A Short History of War</i> の訳稿を出版社に提出した。<br><br>昨年8月29日に翻訳のお話をいただいたものの、すぐに取りかかることはできなかった。<br><br>すでに、ロブ・シェフィールド『テイラー・スウィフト　なぜ彼女は、全世界を魅了し続けるのか？』（作品社）、ジョディ・レベンソン『映画「ハリー・ポッター」シリーズ 公式ストーリーボード・アート集』、リズ・マーチャム ほか『MARVEL STUDIOS CROSS-SECTIONS マーベル・シネマティック・ユニバースの内部に潜入! 断面図から仕組みまでを徹底解析』、ロバート・コープラン『最先端の科学が教える　ひとり時間のすごい力』、そしてジュリアン・バーンズ『（さまざまな）旅立ち』など、いくつもの仕事が動いていたからだ。<br><br>そのため、本格的にブラックの本と向き合えたのは、今年2月9日になってからだった。<br><br>しかも、その間には自著の執筆に加え、立教大学、自由学園明日館、青山ブックセンターでの講義も続いていた。研究社ほかから請け負った編集、音声録音・編集、執筆の仕事もあった。角川武蔵野ミュージアムの「銀河鉄道999 THE GALAXY EXPERIENCE あの旅は」の会場展示とパンフレットの英訳の仕事も突然飛び込んできた。横尾忠則先生の大きなプロジェクトも動き出していた。さらに、カール・ベネディクト・フレイ、<i style="font-style:italic;">How Progress Ends</i>やケザ・マクドナルド、<i style="font-style:italic;">Super Nintendo</i>など、別の翻訳も並行して進めていた。<br><br>どう考えても無理ではないかと思った。<br><br>それでも、どうにか約6か月で訳稿を完成させることができた。<br><br>もちろん、本当はもっと早く終えなければならなかった。その遅れによって、ほかの仕事に大きなしわ寄せが来てしまったことも事実である。<br><br>2026年後半は、もう少し計画的に仕事を進めたいと思っている。すでに決定して進行している翻訳書だけでも6冊ある。横尾忠則先生のプロジェクトも形になりつつある。10月には大事な著者が来日し、一緒に各所で講演を行う予定だ。</p><p>&nbsp;</p><p>さらに仕事をいただければ、スケジュールを調整して対応するつもりだ。わたしは仕事を断れるほど偉い翻訳者、著者ではない。<br><br>しかし、このジェレミー・ブラックの本は、とにかく大変だった。<br><br>これまでむずかしい本は数多く訳してきた。<br><br>それでも、この本ほど論理構成が読み取りにくく、英文をそのまま日本語に置き換えることが不可能な本には、ほとんど出会ったことがない。<br><br>英語を読むだけでは意味が通らない。<br><br>何度も立ち止まり、文全体の論理を組み立て直し、歴史的背景を確認し、ようやく日本語として自然な文章になる。<br><br>その作業の繰り返しだった。<br><br>しかも、日本に関する記述をはじめ、事実関係の確認が必要な箇所も少なくなかった。読者が誤解しそうな部分には、できる限り訳注を付けて補った。<br><br>つまり、この本でやった仕事は、「英文を日本語に置き換える」ことではない。この本ではそれでは翻訳が成り立たない。<br><br>ブラックが書こうとした内容を理解し、それを日本語で論理的に再構成することだった。<br><br>途中では、「どうしてこんな文章を書くのだろう」と何度思ったかわからない。<br><br>それでも、不思議なことに、最後まで訳え終えた今は、不満よりも感謝の気持ちのほうが大きい。<br><br>これほど英語を読み込み、これほど英語と日本語について考え続けた6か月はなかった。<br><br>英語力も、翻訳力も、この本によって確実に鍛えられた。<br><br>今後、これ以上むずかしい本に出会うことは、おそらくないだろう。<br><br>だからこそ、この本を担当できたことをうれしく思っている。<br><br>日本語版のタイトルは、<br><br>『人類と戦争の歴史――欧米中心の戦争史を読み直す』<br><br>という案を出版社にお送りした。<br><br>原題の直訳ではない。<br><br>だが、この本が本当に伝えようとしているのは、戦争を年代順に並べた通史ではなく、欧米だけを中心に戦争を語る見方を問い直し、アフリカやアジア、ステップ世界を含めた「人類全体の戦争史」を描こうとする試みだからである。<br><br>この本が、日本でどれほど読まれるかはわからない。<br><br>それでも、これだけ時間をかけ、ここまで読み込みながら訳した本は、私の翻訳人生でも特別な1冊になった。</p><p>&nbsp;</p><p><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20260802/15/getupenglish/d4/9b/p/o1536102415808392136.png"><img alt="" height="280" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20260802/15/getupenglish/d4/9b/p/o1536102415808392136.png" width="420"></a></p><p>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/getupenglish/entry-12974535671.html</link>
<pubDate>Sun, 02 Aug 2026 15:20:17 +0900</pubDate>
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<title>THIS IS IT</title>
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<![CDATA[ <p>本日は、非常にシンプルながら、決定的な瞬間やクライマックスで使われる力強い口語表現 <b style="font-weight:bold;">"This is it" </b>を取り上げる。<br><br>直訳すれば「これがそれだ」となるが、文脈によって「いよいよだ」「ここが正念場だ」「これで決まりだ」「まさにこれだ」といった、運命的な瞬間や後戻りできない最終局面に直面した際の決まり文句として頻繁に使われる。<br><br>このフレーズと聞いて、多くの方が思い浮かべるのは、マイケル・ジャクソン（Michael Jackson）のThis Is Itではないだろうか。<br><br>2009年に公開されたリハーサル・ドキュメンタリー映画のタイトルであり、また幻となってしまったロンドンでのロンドンの最終公演のタイトルでもある。マイケルはこの公演を発表する記者会見で、ファンに向けてこう語りかける。<br><br><b style="font-weight:bold;">"This is it. This is really it. This is the final curtain call."<br>これで最後だ。本当にこれで最後。これが最後の幕引きになる。</b><br><br>ここでの "This is it" には、「これが私の人生における究極の（最後の）パフォーマンスだ」「さあ、いよいよ始まるぞ」という、並々ならぬ決意とクライマックス感が込められていた。<br><br>日常会話でも、以下のように様々なシチュエーションで使われる。<br><br><b style="font-weight:bold;">○Practical Example</b><br>1. 長い準備を経て、いよいよ本番を迎えるとき<br><br><b style="font-weight:bold;">A: "Are you ready for the presentation?"<br>「プレゼンの準備はできてる？」&nbsp;<br>B: "Yeah. This is it. Wish me luck."<br>「ああ。いよいよだ。幸運を祈っててくれ」</b><br><br>2. 探し求めていたものをついに見つけたとき<br><br><b style="font-weight:bold;">"I've been looking for this rare vinyl record for years... This is it!"<br>「このレアなアナログ盤を何年も探してたんだ……まさにこれだよ！」&nbsp;</b><br><br>3. これ以上は我慢できない、と見切りをつけるとき（否定的なニュアンス）<br><br><b style="font-weight:bold;">"This is it. I'm quitting this job tomorrow."<br>「もう限界だ。明日この仕事は辞める」</b><br><br>非常に短く簡単な単語の組み合わせですが、そこに込められる感情の熱量は計り知れないん。翻訳する際にも、その瞬間の緊迫感や決意の重さを汲み取り、「いよいよだ」「ここだ」「限界だ」など、文脈に合わせて最適な日本語を当てはめることが腕の見せ所となる。</p><p>&nbsp;</p><p><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20260727/10/getupenglish/a9/8a/j/o0559080015806502000.jpg"><img alt="" height="601" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20260727/10/getupenglish/a9/8a/j/o0559080015806502000.jpg" width="420"></a><br>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/getupenglish/entry-12973917425.html</link>
<pubDate>Sun, 02 Aug 2026 00:30:32 +0900</pubDate>
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<title>DON’T (YOU) START! / DON’T START NOW</title>
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<![CDATA[ <p>本日は、ネイティブの日常会話や小説、映画などで頻繁に登場するものの、日本の英語学習者には少し馴染みの薄い口語表現 <span style="color:#ff0000;"><b style="font-weight:bold;">"Don't (you) start!" </b></span>を取り上げる。<br><br>直訳すると「始めるな」となるが、相手が小言や文句、お説教などを「言い始めよう」とした時に、「その話はよせ」「ぐちゃぐちゃ言うな」と制止する際によく使われる決まり文句。<br><br>『リーダーズ英和辞典』には、以下のように的確な定義が記載されている。<br><br><b style="font-weight:bold;">Don't (you) start!<br>《口》 文句を言うな、(ぐちゃぐちゃ言うのは)やめなさい。</b><br><br>例えば、期待外れのスポーツの試合結果に対して、思わず不満を漏らそうとした子どもに対する父親のセリフとして、以下のように使われる。<br><br>Don’t you start now.<br>おまえまで（文句を）言うな、よせよ。<br><br>ここには、単に「やめろ」と言うだけでなく、試合結果に対する父親自身の苛立ちや、「いまその話は聞きたくない」といううんざりした感情が込められており、非常にこなれた口語表現と言えます。<br><br>いくつか実践的な例文を挙げる。<br><br><b style="font-weight:bold;">○Practical Example<br>相手の小言を遮る時に使われる。<br>A: "I can't believe we missed the train because of you."<br>「お前のせいで電車に乗り遅れたじゃないか」<br>B: "<span style="color:#ff0000;">Don't you start</span>. You were the one who took forever to get ready."<br>「文句言うなよ。準備にいつまでも時間かけてたのはそっちだろ」</b><br><br>その場にそぐわない不平不満をたしなめる時にも使われる。<br><br><b style="font-weight:bold;">A: "The food here is terrible..."<br>　「ここの料理、ひどいな……」<br>B: "Please, <span style="color:#ff0000;">don't start</span>. We're guests here."<br>「お願いだから、ぐちゃぐちゃ言うのはやめて。私たちはお客として呼ばれてるんだから」</b><br><br><b style="font-weight:bold;">●Extra Point</b><br>さらに２例。<br><br><b style="font-weight:bold;">◎Extra Example</b><br>"with me" を伴って「私に文句を言わないで」と強調することもある<br><br><b style="font-weight:bold;">A: "Why is the house still a mess?"<br>「なんでまだ部屋が散らかってるの？<br>B: "<span style="color:#ff0000;">Don't start with me</span>, I've been working all day!"<br>「私に文句言わないでよ、こっちは一日中働いてたんだから！」</b><br><br>過去の失敗を蒸し返された時に使う。<br><br><b style="font-weight:bold;">A: "If only you had listened to my advice..."<br>「私の忠告を聞いておけばよかったのに……」<br>B: "<span style="color:#ff0000;">Don't you start now</span>. It's too late for that."<br>「いまさらお説教はやめてくれ。もう手遅れなんだ」</b><br><br>この表現は音楽の歌詞にもよく登場するす。世界的ヒットとなったイギリスのシンガー、デュア・リパ（Dua Lipa）の楽曲に “Don't Start Now”がある。<br><br>自分を振った元恋人が、自分が立ち直って新しく輝き始めた途端にすり寄ってきたことに対して、「いまさら構わないで」「（私の心をかき乱すようなことを）いまさらしないで」と突っぱねる、まさにこのフレーズのニュアンスが存分に活かされたクールな１曲だ。<br><br><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20260726/16/getupenglish/b0/af/p/o1240124015806266711.png"><img alt="" height="420" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20260726/16/getupenglish/b0/af/p/o1240124015806266711.png" width="420"></a><br><br>翻訳では文脈に合わせて「よせよ」「文句を言うな」「いまさらやめて」などと柔軟に訳し分けることがポイントになる。<br>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/getupenglish/entry-12973849263.html</link>
<pubDate>Sat, 01 Aug 2026 00:48:49 +0900</pubDate>
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<title>SUCK THE AIR [ALL THE OXYGEN] OUT OF THE ROOM</title>
<description>
<![CDATA[ <p><span style="color:#ff0000;"><b style="font-weight:bold;">suck the air out of the roomあるいはsuck all the oxygen out of the room</b></span>を直訳すると、<span style="color:#ff0000;">「部屋の空気（酸素）をすべて吸い出す」</span>となるが、これはどういう意味だろうか。<br>&nbsp;</p><p>AIに聞けばそれらしき意味を教えてくれるが、信頼できる辞書で「裏」を取りたい。どこにもないと思っていたところで、研究社オンライン・ディクショナリー(KDO)のEV（追加語彙）にこのすばらしい定義があった。</p><p id="link-19ea0f36-d6d7-4ff2-bf12-19eea30deb4e"><a href="https://kod.kenkyusha.co.jp/service/" target="_blank">https://kod.kenkyusha.co.jp/service/</a></p><p><br><b style="font-weight:bold;">suck the air [all the oxygen] out of the room 《口》 《関係者･周囲の人たちなどの》盛り上がりに水を差す, 気勢をそぐ; 会話を独占する, 一人でしゃべりまくる[まくし立てる].</b><br><br>風船から空気が抜けるように、その場にあったポジティブな熱気や興奮が一瞬にして奪い去られ、重苦しい静寂が訪れるような状況を想像してみてほしい。<br><br>用例をいくつか挙げる。<br><br><b style="font-weight:bold;">○Practical Example<br>His constant complaining <span style="color:#ff0000;">sucked the air out of the room</span>.<br>「彼の絶え間ない愚痴が、その場の盛り上がりに完全に水を差した」<br><br>When the CEO walked in, his intense presence <span style="color:#ff0000;">sucked all the oxygen out of the room</span>.<br>「CEOが入ってくると、その強烈な存在感で場の空気が一変した（彼が場の空気を完全に支配した）」<br><br>●Extra Point</b><br>次のようにも使われる。<br><br><b style="font-weight:bold;">◎Extra Example<br>The scandalous news <span style="color:#ff0000;">sucked the air out of the room</span> at the party.<br>「そのスキャンダラスなニュースは、パーティーの楽しい気勢をすっかり削いでしまった」<br><br>☆Extra Extra Example</b><br>この表現は "room" 以外の場所に応用されたり、受動態で使われたりすることもよくある。<br><br><b style="font-weight:bold;">★Extra Extra Example<br>When the opposing team scored,<span style="color:#ff0000;"> all the air was sucked out of the stadium</span>.<br>「相手チームが得点すると、スタジアム中が静まり返った」</b></p><p><br><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20260725/21/getupenglish/fd/d0/p/o1402112215806015766.png"><img alt="" height="336" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20260725/21/getupenglish/fd/d0/p/o1402112215806015766.png" width="420"></a><br>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/getupenglish/entry-12973777708.html</link>
<pubDate>Fri, 31 Jul 2026 00:39:37 +0900</pubDate>
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<title>83語の迷宮をほどく――悪文と向き合う翻訳者の仕事</title>
<description>
<![CDATA[ <p>来た。ジェレミー・ブラック先生、フルスロットルである。<br><br><b style="font-weight:bold;">British capability rested more deeply on the unique Western experience of creating a global network of empire and trade, which was based on a distinctive type of interaction between economy, technology and state formation, and on the specific strength of the liberal political systems, pre-eminently that of Britain which, like the Netherlands, could elicit the co-operation of capitalists (who benefited from naval commerce-projection), producing a symbiosis of government and the private sector that proved both effective and especially valuable for developing naval strength.</b><br><br>この一文は83語もあり、関係代名詞や接続表現を幾重にも連ねながら、次のような抽象概念をすべて詰め込んでいる。<br><br><b style="font-weight:bold;">capability<br>unique Western experience<br>global network<br>empire and trade<br>economy<br>technology<br>state formation<br>liberal political systems<br>Britain<br>Netherlands<br>capitalists<br>naval commerce-projection<br>symbiosis<br>government<br>private sector<br>naval strength</b><br><br>一文のなかに、これだけ性質の異なる概念を投入しているのである。それぞれが単独で一つの論点になり得るほど重い言葉であり、世界史の概説書であれば、本来は段階を追って説明すべき内容である。<br><br>この文の問題は、文法的に成立していないことではない。主節そのものは、冒頭の<br><br><b style="font-weight:bold;">British capability rested more deeply on ...</b><br><br>によってすでに提示されている。しかし、そのあとに修飾と補足が際限なく積み重なり、何が何を支え、どの要素がどの結果を生んだのかが見えにくくなっている。<br><br>まず、<br><br><b style="font-weight:bold;">the unique Western experience of creating a global network of empire and trade</b><br><br>によって、西欧が世界規模の帝国・交易ネットワークを築いた経験が提示される。<br><br>ところが、すぐに<br><br><b style="font-weight:bold;">which was based on a distinctive type of interaction between economy, technology and state formation</b><br><br>が続き、そのネットワークは経済・技術・国家形成の独特な相互作用に基づいていたと説明される。<br><br>さらに、<br><br><b style="font-weight:bold;">and on the specific strength of the liberal political systems</b><br><br>によって、もう一つの基盤として自由主義的政治体制の強さが付け加えられる。<br><br>そのあとには、<br><br><b style="font-weight:bold;">pre-eminently that of Britain</b><br><br>とあり、自由主義的政治体制のなかでも、とりわけイギリスの体制が重要であったことが示される。<br><br>しかし、そこで文を切ることなく、<br><br><b style="font-weight:bold;">which, like the Netherlands, could elicit the co-operation of capitalists</b><br><br>と続き、イギリスがオランダと同様に資本家の協力を引き出せたという、新しい論点が持ち込まれる。<br><br>しかも、その資本家について、<br><br><b style="font-weight:bold;">who benefited from naval commerce-projection</b><br><br>という括弧内の説明が入り、資本家は海上交易の拡大によって利益を得ていたと補足される。<br><br>さらにその結果として、<br><br><b style="font-weight:bold;">producing a symbiosis of government and the private sector</b><br><br>と、政府と民間部門の共生関係が生まれたことが示される。<br><br>そして最後に、<br><br>that proved both effective and especially valuable for developing naval strength<br><br>と続き、その共生関係が効果的であり、とりわけ海軍力の発展に大きく役立ったという結論に至るのである。<br><br>つまり、この一文はおおよそ次のような構造になっている。<br><br><b style="font-weight:bold;">イギリスの能力<br>→ 西欧特有の歴史的経験<br>→ 帝国と交易の世界的ネットワーク<br>→ 経済・技術・国家形成の相互作用<br>→ 自由主義的政治体制<br>→ イギリスとオランダ<br>→ 資本家の協力<br>→ 海上交易による利益<br>→ 政府と民間部門の共生<br>→ 海軍力の発展</b><br><br>一つの原因を述べている途中で、その原因の背景が説明され、さらにその背景を支える制度が示され、その制度の具体例が挙げられ、その具体例の内部にいる資本家の利益が補足され、最後に政府と民間の関係へ話が移る。<br><br>論理は存在する。しかし、その論理が一文のなかに折り畳まれすぎているのである。<br><br>一般的な説明文では、<br><br><b style="font-weight:bold;">主張<br>→ 理由<br>→ 具体例<br>→ 結論</b><br><br>という順序で情報を提示する。<br><br>ところが、この文は、<br><br><b style="font-weight:bold;">主張<br>→ 背景<br>→ 背景を支える別の背景<br>→ 制度<br>→ 国の具体例<br>→ 資本家<br>→ 資本家の利益<br>→ 官民関係<br>→ 海軍力への効果</b><br><br>という構造になっている。<br><br><b style="font-weight:bold;">読者は、新しい概念が現れるたびに、それが前のどの語句にかかり、議論全体のなかでどの位置を占めるのかを判断しなければならない。しかも、関係代名詞の which や who、分詞構文の producing、さらに that が連続するため、文の階層構造を頭のなかで保持し続ける必要がある。</b><br><br>これは世界史の概説書に適した文章とは言い難い。<br><br>小説であれば、長く複雑な一文が人物の意識や時間の流れを表現することもある。しかし、世界史の概説書の目的は、複雑な歴史現象を読者にわかりやすく伝えることである。内容そのものが複雑であるからこそ、文章の構造は明快でなければならない。<br><br>この文では、内容の複雑さを整理するどころか、文章そのものが新たな複雑さを生み出している。読者は歴史を理解する前に、まず英文の構造を解読しなければならないのである。<br><br>そこで訳文では、原文の語順を再現するのではなく、原文に埋め込まれている論理の順序を取り出し、複数の文に分けて提示することにした。<br><br>まず、この段落の中心となる結論を示した。<br><br><b style="font-weight:bold;">イギリスの海軍力を根本的に支えていたのは、西欧諸国が築き上げた帝国支配と交易からなる世界規模のネットワークだった。</b><br><br>原文の British capability は、直前まで論じられていたイギリスの海軍力および海上での活動能力を指している。そのため、曖昧な「イギリスの能力」とはせず、「イギリスの海軍力」と具体化した。<br><br>また、<br><br><b style="font-weight:bold;">the unique Western experience of creating a global network of empire and trade</b><br><br>については、「帝国と交易の世界的ネットワークを築いた西欧特有の経験」と逐語的に訳すこともできる。しかし、そのままでは抽象名詞が重なり、日本語でも原文と同じ読みにくさが残る。<br><br>そこで、「西欧諸国が築き上げた帝国支配と交易からなる世界規模のネットワーク」とし、何がイギリスの海軍力を支えたのかを具体的に示した。<br><br>次に、そのネットワークを可能にした条件を説明した。<br><br><b style="font-weight:bold;">このネットワークは、経済・技術・国家形成が独特の形で結びつくことで成り立ち、自由主義的政治体制の強さにも支えられていた。</b><br><br>ここでは、<br><br>a distinctive type of interaction between economy, technology and state formation<br><br>を、「経済・技術・国家形成の独特な相互作用」と名詞のまま置くのではなく、「経済・技術・国家形成が独特の形で結びつく」と動詞を用いて訳した。<br><br>日本語では、抽象名詞を重ねるよりも、何がどのような関係にあったのかを動詞で示したほうが理解しやすいからである。<br><br>続いて、イギリスを具体例として独立させた。<br><br><b style="font-weight:bold;">とりわけイギリスは、オランダと同様に、海上交易の拡大によって利益を得る資本家たちの協力を引き出すことができた。</b><br><br>原文では、<br><br><b style="font-weight:bold;">pre-eminently that of Britain which, like the Netherlands, could elicit the co-operation of capitalists</b><br><br>が、自由主義的政治体制の説明に埋め込まれている。<br><br>しかし、日本語で同じ構造を再現すると、「とりわけオランダと同様に資本家の協力を引き出すことのできたイギリスの自由主義的政治体制の強さ」といった、救いようのない文章になる。<br><br>そのため、イギリスを主語とする独立した文に組み替えた。<br><br>また、<br><br><b style="font-weight:bold;">naval commerce-projection</b><br><br>はブラック独特のわかりにくい表現である。power projection を連想させる造語的な言い回しであり、ここでは海軍力を背景に海上交易を拡大していくことを意味すると考えられる。<br><br>そこで、無理に「海軍による交易投射」などとはせず、「海上交易の拡大」とした。<br><br>最後に、この官民協力が海軍力の発展につながったことを示した。<br><br>その結果、政府と民間部門は互いに利益をもたらす関係を築き、それが海軍力の発展に大きく寄与した。<br><br>原文の<br><br><b style="font-weight:bold;">a symbiosis of government and the private sector</b><br><br>は、直訳すれば「政府と民間部門の共生」である。<br><br>しかし、「共生関係」という語だけでは、具体的にどのような関係なのかがやや見えにくい。そのため、「互いに利益をもたらす関係」として、意味を明らかにした。<br><br>また、<br><br><b style="font-weight:bold;">proved both effective and especially valuable for developing naval strength</b><br><br>は、「効果的であり、海軍力を発展させるうえでとりわけ価値があることが明らかになった」と直訳できる。<br><br>しかし、日本語としては回りくどいため、「海軍力の発展に大きく寄与した」とまとめた。<br><br>こうして訳文は、<br><br><b style="font-weight:bold;">結論<br>→ その歴史的・制度的背景<br>→ イギリスとオランダの具体例<br>→ 政府と民間部門の協力<br>→ 海軍力の発展</b><br><br>という順序に組み直した。<br><br>訳文は次のようになる。<br><br><b style="font-weight:bold;">イギリスの海軍力を根本的に支えていたのは、西欧諸国が築き上げた帝国支配と交易からなる世界規模のネットワークだった。このネットワークは、経済・技術・国家形成が独特の形で結びつくことで成り立ち、自由主義的政治体制の強さにも支えられていた。とりわけイギリスは、オランダと同様に、海上交易の拡大によって利益を得る資本家たちの協力を引き出すことができた。その結果、政府と民間部門は互いに利益をもたらす関係を築き、それが海軍力の発展に大きく寄与した。</b><br><br>これは原文の情報を削った訳ではない。<br><br>原文の一文に押し込まれていた論点を取り出し、その因果関係が読者に見えるよう、四つの文に分けて並べ直したのである。<br><br>歴史書やノンフィクションの翻訳では、原文の表面上の構造をなぞることが忠実さなのではない。著者が伝えようとしている論理を正確につかみ、それを読者が理解できる形で提示することこそが、より本質的な忠実さなのである。</p><p>&nbsp;</p><p><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20260725/10/getupenglish/0d/f4/p/o1536102415805830062.png"><img alt="" height="280" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20260725/10/getupenglish/0d/f4/p/o1536102415805830062.png" width="420"></a></p>
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<link>https://ameblo.jp/getupenglish/entry-12973724961.html</link>
<pubDate>Thu, 30 Jul 2026 00:36:00 +0900</pubDate>
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<title>簡単なことを、驚くほど難しく書いている</title>
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<![CDATA[ <p>ジェレミー・ブラックを訳していると、しばしば考え込んでしまう。<br><br>今回の段落も、その典型だった。<br><br><b style="font-weight:bold;">These and other factors help provide a geographical context for fighting, but the military (as well as irregular forces) are no passive recipient of influence. Instead, there is also an impact on, and from, geography, one reflecting the needs, means and attitudes of the military, whether driven by the pressure of immediacy, or a consequence of doctrine and/or experience, or a mixture of all of these.</b><br><br>最初に読んだとき、「これは本当に歴史学者が読者に伝えるために書いた文章なのだろうか」と思った。<br><br>まず、言いたいことを整理してみよう。<br><br>ブラックが本当に言いたいのは、結局のところ、次の四点だけである。<br><br>地理は戦い方に影響を与える。<br>しかし軍隊も地形や環境を変える。<br>そのあり方は、軍隊の目的や能力、教義、経験によって異なる。<br>こうした知識は、昔は主として実戦を通して身につけられた。<br><br>これだけである。<br><br>決して難しい内容ではない。<br><br>ところがブラックは、これを素直には書かない。<br><br>there is also an impact on, and from, geography<br><br>one reflecting the needs, means and attitudes of the military<br><br>The processes by which...<br><br>と、<b style="font-weight:bold;">抽象名詞を重ね、受け身を重ね、関係詞節を重ね、さらにその上へ修飾句を積み重ねていく</b>。<br><br>その結果、読者は「結局、何が言いたいのだろう」と文章の中で迷子になる。<br><br>英語が難しいのではない。<br><br><b style="font-weight:bold;">文章の構造が、自ら論理を見えなくしている</b>のである。<br><br>もし私が英語で書くなら、こう書く。<br><br>Geography influences armies, but armies also change geography. How they do so depends on their needs, capabilities, doctrine and experience.<br><br>これなら二、三行で終わる。<br><br>内容はまったく同じだ。<br><br>しかし<b style="font-weight:bold;">ブラックは、その何倍もの長さを費やしながら、かえって論理をわかりにくくしてしまっている</b>。<br><br>翻訳では、このまま日本語へ置き換えることはできない。<br><br>私なら、こう訳す。<br><br><b style="font-weight:bold;">こうした諸要因によって、戦闘がどのような地理的条件のもとで行われるかが決まる。しかし、軍隊や非正規部隊は、地形や環境から一方的に影響を受けるわけではない。一方で、軍隊は地形や環境から影響を受けるだけでなく、それらにも働きかける。その相互作用のあり方には、その軍隊の必要性や能力、さらにはものの考え方が反映されている。それは、目の前の状況への対応に迫られた結果である場合もあれば、軍事ドクトリンや過去の経験に基づく場合もあり、あるいはその両方が作用することもある。<br><br>環境についての知識や、それにどう対応するのが最善かという経験を、どのように身につけ、理解し、他者へ伝えてきたのかについては、歴史上、その過程を示す資料はほとんど残されていない。<br><br>そのため、兵士たちは環境への対応を基本的に実戦を通して学んだ。もっとも、戦術の基本原則そのものは、それほど複雑なものではなかった。</b><br><br>もちろん、日本語の文章は原文の構文とは一致していない。<br><br>しかし、ブラックが読者に伝えようとした内容には、はるかに忠実である。<br><br>翻訳者の仕事は、英単語を辞書どおり日本語へ置き換えることではない。<br><br>著者の頭の中にある論理をいったん解体し、その論理を読者が一本道で追えるように再構築することである。<br><br>この段落を読んで改めて感じた。<br><br><b style="font-weight:bold;">ブラック先生は、難しいことを書いているのではない。<br><br>簡単なことを、驚くほど難しく書いている。</b><br><br>それこそが、この人の文章の最大の特徴であり、最大の欠点なのだ。</p><p>&nbsp;</p><p><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20260724/10/getupenglish/d4/f8/p/o1536102415805525547.png"><img alt="" height="280" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20260724/10/getupenglish/d4/f8/p/o1536102415805525547.png" width="420"></a></p>
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<link>https://ameblo.jp/getupenglish/entry-12973627977.html</link>
<pubDate>Wed, 29 Jul 2026 00:57:57 +0900</pubDate>
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<title>「戦う側は思い出す」？――ブラック先生、今日も絶好調</title>
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<![CDATA[ <p>ジェレミー・ブラックを読んでいると、「これは本当にネイティブが書いた英語なのか」と首をかしげることがある。<br><br>今日出会ったのは、この一文だ。</p><p><br><b style="font-weight:bold;">Terrain features, such as hills, valleys and slope profiles, survive most clearly from past physical geography, but combatants also recall other aspects of geography, both physical and human.&nbsp;</b></p><p><br>このbut combatants also recall other aspects of geography, both physical and humanで思考が止まった。<br><br>recall である。<br><br>普通なら「思い出す」だ。しかし、この文脈では「戦う側は自然地理や人文地理を思い出す」と訳しても、まったく意味にならない。<br><br>前後を見てみよう。<br><br>まずブラックは、<br><br>Terrain features, such as hills, valleys and slope profiles...<br><br>と書き、丘や谷や斜面などの地形について説明している。<br><br>ところが、その直後に突然、<br><br>but combatants also recall...<br><br>と、「戦う側」が主語として現れる。<br><br>さらに、その次の文では、<br><br>The former...<br><br>The human aspects...<br><br>と続き、自然環境と人間がつくり出した環境の具体例を延々と列挙し始める。<br><br>つまり、ブラックが本当に言いたいことは単純だ。<br><br>戦う側は、丘や谷だけでなく、植生や河川、天候、農地、道路、森林、住民など、さまざまな地理的条件も考慮する。<br><br>それだけである。<br><br>だったら、<br><br>consider<br><br>あるいは<br><br>take account of<br><br>と書けば済む話ではないか。<br><br>ところがブラックは、そこでなぜか recall を選ぶ。<br><br>しかも、実はもう一つ気になる点がある。<br><br>私は combatants also recall よりも、その直前の survive most clearly とのつながりのほうが気になった。<br><br>前半では、<br><br>「丘や谷、斜面といった地形は、過去の自然地形の特徴を現在までよく残している」<br><br>という話をしている。<br><br>つまり、主語は「地形」である。<br><br>ところが、<b style="font-weight:bold;">その次の瞬間には、<br><br>「しかし戦う側は……」<br><br>と、何の前触れもなく主語が「戦う側」に切り替わる。</b><br><br>地形から戦闘員へ。<br><br>この論理の飛躍には橋渡しがない。<br><br>もちろん、ブラックの頭の中では話がつながっているのだろう。しかし、その論理が文章の表面に現れていないため、読者は「えっ、今どこで話が切り替わったのだろう」と立ち止まってしまう。<br><br><b style="font-weight:bold;">ブラックには、このように主語や視点が何の説明もなく切り替わる悪癖がある。<br><br>だから読みにくい</b>のである。<br><br><b style="font-weight:bold;">これは小説なら表現として成立することもある。しかし、本書は歴史書である。目的は読者に知識を伝えることであり、文章が理解の妨げになってしまっては本末転倒だ。</b><br><br>翻訳では、このような箇所をそのまま日本語に置き換えるわけにはいかない。<br><br>私なら、<br><br>「丘や谷、斜面といった地形は、自然地形の特徴として現在までよく残っている。しかし、戦場ではそれだけでなく、自然環境や人間がつくり出した環境を含むさまざまな地理的条件を考慮する必要がある。」<br><br>と訳す。<br><br>原文の語句には忠実ではない。しかし、ブラックが本当に伝えたかった内容には、はるかに忠実である。<br><br>ブラックの文章を読んでいると、こうした箇所が何度も現れる。英語そのものが難しいというより、論理のつながりや主語・視点の切り替えが読者から見えなくなっているのである。<br><br>翻訳者の仕事は、単語を日本語に置き換えることではない。<br><br>著者の頭の中で飛び交っている論理を一度分解し、それを読者が迷わず理解できる形へ組み直すことだ。<br><br>だから私は今日も、ブラック先生の文章を前に、一度立ち止まって考えるのである。</p><p>&nbsp;</p><p>私はこの「地形 → 戦闘員」という飛躍こそが、この一文の最大の問題だと思う。recall が変なのは確かだが、それ以上に、主語と視点が何の橋渡しもなく切り替わるため、読者は論理を見失う。これが<b style="font-weight:bold;">偉大なる悪文製造機</b>ブラック先生の文章が「読みにくい」と感じられる大きな理由の一つだ。</p><p>&nbsp;</p><p><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20260724/09/getupenglish/0a/ed/p/o1536102415805523563.png"><img alt="" height="280" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20260724/09/getupenglish/0a/ed/p/o1536102415805523563.png" width="420"></a></p>
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<link>https://ameblo.jp/getupenglish/entry-12973627332.html</link>
<pubDate>Tue, 28 Jul 2026 00:35:24 +0900</pubDate>
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