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<title>妻への手紙</title>
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<description>僕は、妻を傷つけ、そして失いました。もう、ここにはいない妻へ心からの懺悔を込めて。</description>
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<title>けれど。結局、僕はそのイチゴを受け取らなかった。</title>
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<![CDATA[ けれど僕は<br>加奈の「看護婦になるための試験」が終わると同時に<br>加奈に別れを告げた。<br><br>優柔不断が自分が、<br>人に別れを告げることができるなんて<br>自分ですら、驚いた。<br><br>その時の僕は、<br>一日も早く加奈に別れを告げ、謝り、<br>そして、<br>一日も早く雪乃に思いを伝えたたかった。<br><br>僕にはもう、<br>雪乃しか見えなくなっていた。<br><br>………<br><br>その日、加奈は、いつものフェスティバに乗って<br>僕のマンションにやってきた。<br>「うえすぎくーん！　迎えに来たよー」<br>と<br>満面の笑みを湛えて。<br><br>僕は、フェスティバに乗り、加奈をドライブに誘った。<br>海岸近くの駐車場に着き、<br>加奈に、別れの言葉をどう切り出そうかと迷っていると、<br>加奈が、後ろの座席から<br>ガサガサと音がするビニール袋を取り出した。<br><br>“ちっ、なんだよ、こんな時に”<br><br>そんな事を思っている僕に、加奈は言う。<br><br>「上杉くんに持って行ってあげなさいって、コレ。<br>　うちのお母さんが。<br>　上杉くん、イチゴ、キライじゃなぁい？」<br><br>僕は、涙が出そうになった。<br>僕は今、加奈を傷つけようとしているのに。<br>加奈に、そして加奈の大切なお母さんに、僕は何をしてしまうのだろうと。<br><br><br>………<br><br>けれど。<br>結局、僕はそのイチゴを受け取らなかった。<br>そんな加奈を傷つけてでも、雪乃を手に入れたかったから。<br>生まれて初めて<br>人を傷つけた。<br><br>加奈のあのイチゴは、どうなったのだろう。
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<link>https://ameblo.jp/gomen/entry-10000240436.html</link>
<pubDate>Wed, 30 Mar 2005 19:58:47 +0900</pubDate>
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<title>心にはもう、とっくに雪乃が巣食っていたのだが</title>
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<![CDATA[ 大学は、冬休みに入り、<br>僕は、夏休みと同じようにほとんど誰もいない大学へ、毎日、サッカーの練習だけをしに出かけ、相変わらず、高橋や三本木とくだらないことを話して、<br>飯を食い、夜になったら眠る。<br>―そんな日々を送っていた。<br><br>けれど僕は<br>それまでの僕とは明らかに違っていた。<br>認めたくはなかったけれど、僕は遊園地へ出かけた日を堺に、<br>はっきりと、雪乃に恋をしたのだ。<br><br>四六時中、いつも、雪乃のことばかり考え、<br>高橋の口から雪乃の名前が出るたびに、なぜか緊張さえしていた。<br><br><br>そしてそれと同時に、<br>僕は加奈に対して自分がとんでもないことをしているのではないかと、<br>罪悪感を抱くようになっていた。<br><br>もちろん、僕は雪乃とどうこうあったわけではない。<br><br>それでも、加奈と上手くいっているふりをしながら、心の中で雪乃を想う。<br>それが、どうしようもなく、汚い気がして、それでいて、加奈に自分の気持ちを伝えることで、加奈を傷つけてしまうことが、怖かった。<br><br>いや、正確に言えば、加奈を傷つけるのが怖いのではなく、傷ついた加奈を見ることで、自分自身が傷つくことを恐れていたのだ。<br><br><br>おまけに、加奈には「看護婦になるための試験」が近づいていた。<br>それをいいことに僕は、<br>“勉強の邪魔になるといけないから”<br>と言って加奈と会う事を避け、<br>そのくせ、加奈にとって大切な時期に動揺を与えてはいけない、<br>などと自分の心に言い訳をして、<br>ずるずると加奈との関係を続けていた。<br><br><br>挙句に、そんな自分の行動を、加奈に対する優しさとさえ、思っていたのだ。<br>今考えれば、勘違いも甚だしいのだが。<br><br>そして、<br>心にはもう、とっくに雪乃が巣食っていたのだが。<br>
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<link>https://ameblo.jp/gomen/entry-10001361644.html</link>
<pubDate>Mon, 28 Mar 2005 18:17:59 +0900</pubDate>
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<title>眩しくて　目の奥が痛いくらいだった</title>
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<![CDATA[ 12月の遊園地は、とても寒かった。<br><br>雪乃のはく息が<br>一息ごとに白く　大気へと溶け込んでいた。<br><br>メンバーは男が3人。<br>僕と高橋と三本木、<br>いつものメンバーだ。<br>そして、女の子は2人だった。<br>雪乃ともう一人。そして後からマキが来る。<br><br>僕らは、不公平にならないようにと<br>乗り物の席順をじゃんけんで決めた。<br><br>「グーチョキパーッ！」<br><br>僕は、エリという子と<br>グルグルと大きく回転をするジェットコースターに乗る事になった。<br><br>三本木と雪乃がもう一組のペアで<br>高橋は一人で乗った。<br><br>次に、地下にある　お化け屋敷に入った。<br><br>席順のじゃんけんは、<br>三本木とエリがグーを出し、<br>高橋と雪乃がチョキ<br>そして僕が一人になった。<br><br>お化け屋敷から出ると<br>出口近くのコーヒーカウンターでマキが待っていた。<br><br>「あらっ。　マキちゃんじゃない。<br>　待ってたわよ～。<br>　さぁさっ、ジェットコースター乗りましょ。<br>　マキちゃんが来るまで乗らずに待っていたんだからっ」<br><br>高橋がまた、おかしなオカマ言葉で調子のいい事を言い、<br>僕らは、ジェットコースターに乗る事になった。<br><br><br>ジェットコースターは、<br>高橋とエリ<br>三本木と雪乃<br>僕とマキの組み合わせになった。<br><br>僕は、じゃんけんの度に<br>ただひたすら雪乃の手元を見つめ、<br>雪乃が最初にチョキを出せば、<br>次の乗り物の最初には僕もチョキを出していたのに<br>なかなか雪乃とおなじものを出すことができずにいた。<br><br>少しずつ日が暮れ<br>辺りがすっかり寒くなった頃、<br><br>「夜景がきれいだろうねー」<br><br>雪乃が上を見上げながら言った。<br>見ると、そこには大きな観覧車がそびえていた。<br><br><br>「グーチョキパーッ！」<br><br><br>雪乃がグー<br>そして僕もグーだった。<br><br>慌てて周りを見渡した。他にグーを出した奴はいなかった。<br><br><br><br>観覧車から見る東京の夜景は<br>眩しかった。<br><br>“何を話そう”<br>そんな事を考えているうちに<br>僕ら二人を乗せたボックスは、もう真上近くまで来ていた。<br><br>まだ半分あるはずなのに<br>僕は、もう焦り始めていた。<br><br>雪乃との時間が終わる―<br><br>そして、ちょうど真上に差し掛かった時、<br>雪乃が窓の外を見ながら言った。<br><br>「ね。上杉くん、真上だよ。<br>　ここで止まっちゃったら、どうしようか？<br>　怖いけど、楽しそうだね。<br>　そう　思わない？」<br><br>雪乃の横顔に<br>東京のキラキラとした明かりが反射して<br>眩しくて<br>目の奥が痛いくらいだった。<br>
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<link>https://ameblo.jp/gomen/entry-10000192573.html</link>
<pubDate>Sat, 20 Nov 2004 23:51:26 +0900</pubDate>
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<title>冬の遊園地</title>
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<![CDATA[ 誰が言い出したことだったのだろう。<br>今となってはもう　詳しい経緯を思い出すことができないのだけれど、<br>あの年の12月の半ばに<br>誰かが<br><br>“女の子も誘って、みんなでゆーえんちにでもいこーや”<br><br>そんなことを言ったのだと思う。<br>いや、“誰か”といっても、<br>そんな事を言い出すのは、おそらく高橋に違いないのだが。<br><br>誰が言ったかはともかく、<br>酒が入っていた僕らは<br><br>“いいねー。遊園地ってのがいいねー。<br>　うまくいけば、クリスマスには、オマエも彼女持ちになれんじゃねーの？”<br><br>などと言って盛り上がり、<br>大学生にもなって、後楽園遊園地でグループデートをすることになってしまった。<br><br>僕は、<br>加奈に対して若干の後ろめたさを感じながらも、<br>“ま、ただの遊園地だし、みんなで行くんだから別にいいよな”と<br>自分に言い訳をして、<br>そのくせ、当日は自分が一番気にっている服を来て出かけた。<br>前の日に洗濯までして。<br><br><br>そう。<br>高橋が誘った子たちの中には<br>冴木雪乃がいたのだ。<br><br><br>当日、僕たちは9時に大学近くの駅の西口に待ち合わせた。<br><br>僕は、8時50分に駅に着き、<br>高橋は9時ぴったりに現われ、<br>そして冴木雪乃は、10分遅れの9時10分に到着した。<br><br>僕は、時間の守れない奴は嫌いだ。<br>だから、正直、この時 雪乃に軽い失望さえも覚えてもいた。<br><br><br><br>しかし、僕はすぐにその失望が間違いだったことに気が付く。<br><br>電車に乗るとすぐに<br>高橋が雪乃に言ったのだった。<br><br><br>「雪乃が約束の時間に遅れるなんて珍しいねー？<br>　どーしたの？　雪乃、具合でもわりーの？<br>　アタマが痛いのかな？　それとも、おなかかな？<br>　ほれ、ぼくに見せてごら～ん」<br><br>雪乃は、こう答えた。<br><br>「あははっ。ごめんね高橋くん。遅れちゃって。<br>　あのね。せっかくだから、やっぱりマキも来れるといいなと思って、<br>　体育館に寄ってマキに声かけて来たよ。<br>　遅れるなら、連絡すれば良かったね。ごめんね」<br><br>そうだった。<br>この日のメンバーには、この間、学食で会ったマキも誘っていたのだが、<br>マキが、所属するサークルの練習がどうしても休めないというので<br>仕方なくマキ抜きで出かけることにしたのだった。<br><br>そんなこと<br>僕はすっかり忘れていた。<br><br><br>雪乃は、余程　そのことが気になっていたのだろう。<br>わざわざ遠回りをして大学の体育館に寄り、マキに声をかけてきたのだった。<br><br><br><br>僕は<br>雪乃のそのやさしさと<br>そして<br>遅れたことに言い訳をしなかった潔さに<br>すっかり心を奪われていた。<br><br><br>遊園地までは、まだ2度も地下鉄を乗り換えなければならない時に。<br><br><br>僕は、すでに雪乃から目が離せなくなっていた。<br><br><br><br>
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<pubDate>Wed, 17 Nov 2004 23:47:05 +0900</pubDate>
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<title>僕は、加奈のことが好きだった。</title>
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<![CDATA[ 僕は、加奈のことが好きだった。<br><br>いつも優しく、笑顔を絶やさず、<br>決して、ワガママを言うわけでもない。<br>前向きで、夢を持ち、<br>そしてなにより、僕を好きでいてくれた。<br><br>そんな加奈の事を<br>僕は、好きだった。<br><br><br>なのに。<br>どうしてだろう。<br><br>いつの頃からか<br>僕は、気が付けば<br>キャンパスの中で、高橋の姿ばかりを探すようになった。<br><br>正確には<br>高橋ではなく、高橋の近くにいるかもしれない雪乃の姿を。<br><br>ほんの15分ばかり話しただけの女の子の事を<br>僕は、どうしてこんなにも気になってしまうのだろう。<br><br>高橋が“惚れた”だの何だのと、おかしな事を言ったせいだろうか。<br><br><br>そして　次第に、加奈と会うことさえも<br>面倒になり始めた。<br><br>加奈と会っていても、<br>以前のように、明るい気持ちになる事はなく、<br>何を話していいのかも分からなかった。<br>そして、<br>加奈との待ち合わせの場所に出かけることさえ<br>億劫になった。<br>授業だの、バイトだのと言い訳をして<br>加奈との約束をキャンセルしたりもした。<br><br>加奈とのキスやＳＥＸは、<br>ただ、惰性ばかりで、<br>“しなければならない状況だから”と自分に言い訳をして<br>ただ欲求を満たすためだけの物へと変化した。<br><br><br>しばらくすると、<br>“もしかすると<br>　このままでは<br>　加奈に悪いのかもしれない”<br><br>僕は、そんな事さえ、思うようになっていった。<br><br><br>暦は、12月も半ばになっていた。<br><br>僕は、瞳の端で<br>いつも雪乃を探していた。
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<link>https://ameblo.jp/gomen/entry-10000093462.html</link>
<pubDate>Wed, 27 Oct 2004 22:22:19 +0900</pubDate>
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<title>さてはアナタ、惚れたわね？</title>
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<![CDATA[ そんな風に、しばらく５人で話していたが、<br>冴木雪乃とマキが、５時限目の授業に出るというので<br>僕と高橋も練習に向かうことにした。 <br><br><br>グランドへ向かう途中、<br>僕は、今、会ったばかりの冴木雪乃のことを考えていた。<br>そして、気が付いた時には、こう口にしていた。 <br><br>「な、高橋。冴木雪乃って、どんな子？」 <br><br>シマッタ。と、思った時には遅く、<br>高橋は、ニタニタと笑いながら言った。<br> <br>「あ。上杉ちゃ～ん。さてはアナタ、惚れたわね？」<br>「バカじゃねーの、ちげぇよ。ただ、聞いただけだろっ」<br><br>「ふぅ～ん。ま、いっけどね。<br>　でも、雪乃に惚れちゃうのは、わかるよ。<br>　かわいいし、いい子だろ？<br><br>　それに、<br>　なんていうのかな、今までに会った事のないタイプっていうかさ。<br>　こぅ、話していると、スーっ風が通ってく感じがするっていうかさ。<br>　自由なんだよな。たぶん。<br>　考え方とか、大袈裟に言っちまえば“生き方”とかがさ。<br><br>　あんな子が、彼女だったらなって<br>　思うよな。フツウ。<br><br>　ま、だけどさ…」<br><br>「『だけど』なんだよ」<br>「うん。まぁ。<br>　友達として言わせてもらえば、雪乃はやめたほうがいいよ。<br>　いや。お前に取られんのが悔しいとかじゃなくてよ。<br>　ま、それもあるけど。<br><br>　とにかく、やめたほうがいい。<br>　なんつーか、グーっと持ってかれちまうんだよ。<br>　気持ちの全部とか、自分の理性とか、これまでの考え方とか<br>　そういう色々を。<br>　雪乃には、そういうチカラがあんだよ。マジで。<br>　<br>　アイツにハマっちまったら、なんか、大変なことになっちまう気がするんだよ」 <br><br>「なんだよ。それ。よく分かんねぇな。<br>　でも、あれだろ？<br>　なんだ、地元の男とはうまくいってんだろ？<br>　そいつは、どうなのよ？　普通に付き合ってんだろ？<br>　そいつにできて、俺にできねーこともねーだろ？」 <br>「なんだよ。やっぱり、上杉、惚れてんじゃん。」<br><br>「惚れてねぇよ、たとえばの話だよ」<br>「『たとえば』ね…。まぁ、いいや。<br>　オレ、宗佑ちゃんのこと好きだから、そういうことにしてア・ゲ・ル」<br><br>「マジで、気持ちわりぃな、お前」<br>「うん、もう。宗佑ちゃんのイジワルっ」<br><br>「いい加減やめろよ」<br>「ちっ。キレんなよ。<br>　ノリが悪ぃんだよ。上杉はよ。<br><br>　そうそう、でな、名古屋の男とは、別れちまったみたいだせ。<br>　ハッキリとした理由は聞いてねぇけど、<br>　でもまぁ、オレの推測では、そいつも飲まれちまったんだよ。雪乃に。ゴクンと。<br><br>　かわいい、いい子なんだけどな、雪乃。<br>　雪女みたいなんだよ。<br><br>　宗佑ちゃんも、気をつけないと　魂を持っていかれちゃうわよ～」 <br><br>「うっせーな。バカじゃねーの。<br>　なんでオレが、あんな女にハマるんだよ。<br>　<br>　ありえねーよ。　絶対に。<br>　第一、オレには加奈がいる」<br><br>「そりゃ、失礼いたしました。<br>　そういえば、加奈ちゃん元気？<br>　また、合コンしよーよ　って伝えてよ。<br>　あ、でも、あれか。<br>　加奈ちゃんたち、そろそろ、看護婦さんの試験なんだよな。<br>　早ぇーな。もう、社会に出ちまうんだな」<br><br><br>そんな高橋の言葉を聞きながら<br><br>“僕には加奈がいる。<br>　雪乃を好きになってしまうなんて<br>　ありえねーよ。絶対に”<br><br>僕は<br>なぜか自分に<br>こう言い聞かせていた。
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<pubDate>Tue, 26 Oct 2004 11:22:12 +0900</pubDate>
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<title>ね。Jリーガー。　どうしてカレーにお味噌汁なの？</title>
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<![CDATA[ こんにちは。　－僕は、そんな間の抜けた挨拶をしたと思う。<br>すると、冴木雪乃は目だけで微笑んだ。<br><br>“真夏の横断歩道で会った時と同じだ”<br><br>僕がそんなことを心の中で呟いていると、雪乃でない、もう一人の子が言った。<br><br>「あ。上杉君でしょう？　私、知ってる」<br>「どうも。けど、知ってるって、どうして…？」<br><br>「だって、高橋君からいつも聞いているもん。未来のJリーガーだって。<br>　それに、高橋君に聞かなくても、ガッコの中で有名だよ」<br><br>そんな事を、マキと名乗ったその子が言った。<br><br>「そうなんだ」<br>マキの言葉に反応したのは、僕ではなく、雪乃だった。<br><br>「『そうなんだ』って、雪乃。あんた、ついこの間、その話したばっかじゃん」<br>「あ。うそ。あんまり聞いてなかったかも　ごめん、マキ」<br><br>“素直なんだな”<br><br>僕は、雪乃に対し、そんな印象を持った。<br><br>僕が見ていたせいか、雪乃と目が合った。<br>すると、雪乃が口を開いた。<br><br>「ね。Jリーガー。<br>　どうでもいいけど、どうしてカレーにお味噌汁なの？」<br><br>これが、雪乃が僕に話しかけた最初の言葉だった。<br>この先、何億語と言葉を交わすことになる、僕と雪乃の。<br><br><br>僕は、その質問に答えながら、<br>カレーの横の味噌汁に興味を持った雪乃を<br>とても新鮮に感じていた。<br><br>「…ふぅん。辛いカレーにはお味噌汁が合うんだ。今度やってみよっかな」<br>雪乃は、そんなことを言いながら、とてもかわいらしい笑顔を見せてくれた。<br><br><br>僕は、雪乃に恋をした高橋の気持ちが分かるような気がしていた。
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<pubDate>Mon, 18 Oct 2004 17:13:09 +0900</pubDate>
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<title>学食のプラスチックのトレイに カレーと味噌汁を載せて</title>
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<![CDATA[ 以来、高橋は真由ちゃんに夢中だった。<br>やれ、真由ちゃんと昼メシを食っただの、<br>クラスの連中と真由ちゃんのアパートで鍋パーティをするだの、<br>そんなことばかり言っては、浮かれていた。<br><br>ただし、雪乃の時と同様、<br>真由ちゃんに告白することはできていなかったのだけれど。<br>それでも、高橋は、今の状況に満足しているように見えた。<br><br>そして、<br>僕はと言えば、<br>相変わらず、授業と、練習と、そして加奈とのデートに明け暮れていた。<br>それなりに楽しく、満ち足りた日々だった。<br><br><br><br>そんなある日。<br>そう、あれは11月の末頃だったと思う。<br>その日の3時からの授業に提出しなければならない課題を忘れていた僕は、<br>昼メシも食わずに課題に取り組み、<br>3時ギリギリにようやく仕上げて、授業に出席した。<br><br>だから、授業を終えた頃には<br>すっかり腹が減っていて、<br>こりゃ、練習に行く前にメシでも食わなきゃ死ぬな、とか言いながら<br>学食へ立ち寄った。<br><br><br><br>　―　もしも、この時、学食に立ち寄らなければ<br>僕のこの後の人生は、今とは全く別の物になっていただろう。<br>だが、“もしも、立ち寄っていなければ…”などと考えるのは<br>無意味だ。<br>なぜなら、僕が、この時、学食に立ち寄ったことは事実であるし、<br>立ち寄らなかった場合の「今」は、どこにも存在しないのだから　―<br><br><br>僕は、学食のさえない色のプラスティックのトレイに<br>カレーと味噌汁を載せ、会計を済ますと<br>座る場所を探して、学食内を見渡した。<br><br>すると、日当たりのいい窓際の席に<br>サッカー部のウインドブレーカーを来た奴がいた。<br>逆光に目を凝らすと、背中には「ＴＡＫＡＨＡＳＨＩ」の文字が見えた。<br><br>高橋の席には、高橋の他に<br>男が一人と女の子が二人、居るようだった。<br><br>僕は、そこに真由ちゃんがいるのなら<br>高橋を冷やかしてやろうと思い、高橋の席に近寄り、言った。<br><br>「おう、高橋、オレもココで一緒にメシ食っていい？」<br>「おっ！上杉。ま、座れよ」<br><br><br>そう言われ、高橋の隣に座り、<br>対面に座る女の子の顔を見ると、それは<br>真由ちゃんでも誰でもなく、<br><br><br>冴木雪乃だった。
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<pubDate>Sun, 17 Oct 2004 23:06:27 +0900</pubDate>
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<title>高橋の悲しい失恋</title>
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<![CDATA[ そうしているうちに、秋が深まり、風が少し肌寒い季節になった。<br><br> いつものように、授業の後でグランドに出て、<br>サッカー場を２週走り、丁寧に柔軟をしていると、<br>となりに高橋がやってきた。 <br><br>「おう、高橋。今日、さみぃな」<br>「な。さみぃ。」 <br><br>「…。」<br>「…。」 <br><br>「イテテテッ。さみぃと伸びねー」<br>「…。なぁ、上杉。オレさ、だめだわ」 <br><br>「まじで？　後ろから押してやろっか？」<br>「いや、柔軟じゃなくて。」 <br><br>「えっ？　なによ？」<br>「うん…。　雪乃チャンのこと、諦めっかな、もう。」 <br><br>「なんだよ。急に」<br>「いや、今日さ、雪乃チャン、広島帰ってんだ。<br>　朝、授業の前に、ガッコ来てさ、うれしそーに、言いやがんの。　<br>　『急だけど、今日、新幹線で広島帰って、彼氏に会ってくるー。<br>　　高橋クン、ごめんっ。出席表、マルつけておいて。<br>　　戻ったら、おひるごちそうするから。ごめんねっ。おねがいっ～』ってさ。<br>　思いっきり嬉しそうな笑顔でさー。<br>　バイト代が入ったから、新幹線のカネができたんだってさ。<br>　欲しい鞄があるとかいってたのによ、それ諦めて、新幹線代にしてやがんの。<br>　ちっきちょー。<br>　うまくいっちゃてんだよな。遠距離の彼氏と。<br>　オレなんて、出席表のマル付け係だもんなー。<br>　なにやってんのかな、オレ」<br><br><br>そう。 高橋の想いとは裏腹に、雪乃は、地元の彼氏とうまくいっている様だった。<br><br>高橋は、この件を機にすっかり意気消沈し、<br>次第に、雪乃の話をすることは少なくなり、<br>練習にもろくに顔を出さなくなっていった。 <br><br>僕と三本木は、そんな高橋にかける言葉もなく、<br>まして、からかうことなどできもせずに、<br>そっと、高橋の失恋とも呼べぬ失恋を見守っていた。<br><br><br><br>そんな状態が２ヶ月ばかり続いた頃、<br>珍しく早めに練習に現われた高橋が言った。<br><br>「おう！　上杉、三本木！　元気にしているかなー？」<br>「なんだよ、高橋、オマエ、落ち込んでたんじゃねーのかよ。」<br><br>「何を言っているのだ君たち。僕は、いつだって、元気さ。<br>　いや、じつは、今日は、他でもない、君たちに話しておきたいことがある。<br>　なんていおうか。あはっ」<br>「“あはっ”って、おめー、気持ちわりいな、なんだよ、早く言えよ」<br> <br>「いや～。それがさー。できちゃった」<br>「何がよ。禿げか？　痔か？」<br><br>「いや～。言いにくいな～」<br>「面倒くせぇな、いいよもう、じゃぁ、聞かねーよ」<br><br>「あ。うそ。聞いて。頼む。<br>　じつはさ、オレ、好きな子できちゃった。<br>　真由ちゃんって言うの。同じ学科の子。<br>　ちっちゃくて、しっかりしてて、笑うとかわいい子なんだよねー。<br>　ま、今度、君たちにも紹介するよ」<br>「いや、おまえ。<br>　紹介はいいんだけどさ、<br>　その…　もう、いいのか？<br>　なんだ、その、雪乃ちゃんは？」<br><br>「あ。雪乃はね、いいの、友達だから。<br>　僕はね、雪乃の親友になると、決めたのだよ。<br>　雪乃の男にはなれなかったけど、僕は、雪乃の友達として<br>　永遠に雪乃を支え続けるのだよ。<br>　それより今は、真由ちゃんよ。真由ちゃん。<br>　かわいいんだよねー。」<br><br><br>なんというか、高橋は僕や三本木が思っているよりもずっと<br>タフで、図太くて、単純で、<br><br>正直、僕は安心した。 
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<pubDate>Sat, 16 Oct 2004 22:57:16 +0900</pubDate>
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<title>少なくとも、僕と加奈は順調だった。</title>
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<![CDATA[ その後、僕と加奈との付き合いは順調だった。<br>週に２回程度　会っては<br>食事をしたり、映画を観たり　と<br>ごく普通の大学生らしいデートを重ねた。<br><br>加奈は、とてもいい子だった。<br>何に対しても少し控えめで、<br>僕の話をよく聞いてくれ、<br>そして、誰に対しても優しい心を持っていた。<br><br>僕と加奈は、たくさんの話をした。<br>学校のこと、将来のこと、好きな映画や、サッカーについて<br>そして互いの生い立ちや家族の話も。<br><br>ある日、<br>加奈は、「自分には父親がいない」と言った。<br>その理由が、両親の離婚だったか、家出だったか、<br>それとも亡くなってしまったのか、<br><br>今となっては、それをどうしても思い出すことができない。<br>確かに聞いたはずなのだけれど。<br><br>覚えてもいないくせに、<br>僕は、ただ加奈に父親がいないというだけで、加奈を可哀想だと思っていた。<br>「守ってやりたい」<br>安易にそんな風に思っていたのだ。<br>非力な大学生の分際で。<br><br><br>そういえば、加奈は、母親に買ってもらったという<br>中古の水色のフェスティバに乗っていた。<br><br>加奈はよく、その水色のフェスティバに乗っては<br>僕が一人暮らしをするマンションにやってきた。<br>そして、僕たちは、公園や映画館へと出かけていたのだった。<br><br><br>加奈が何度目に家に遊びに来た時だろう、<br>いつものように水色のフェスティバに乗って。<br><br>僕と加奈はセックスをした。<br><br>加奈はどうだったのか、今では分からないけれど、<br>少なくとも、僕にとってははじめてのセックスだった。<br>僕は、その時、19歳になったばかりだった。<br>それが遅いのか早いのかは わからないけれど、<br>僕自身は“もう、大学生になったのだから、いいだろう”と考えていた。<br><br><br><br>そうやって<br>僕と加奈は、ごく普通にうまくやっていた。<br>大学生として、健全に明るく。<br><br>僕は加奈のことが好きだったし、きっと加奈もそう思っていてくれたと思う。<br><br><br>僕の前に雪乃が現われるまでは。<br><br>
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<link>https://ameblo.jp/gomen/entry-10000055320.html</link>
<pubDate>Fri, 15 Oct 2004 17:58:46 +0900</pubDate>
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