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<title>自作ゲーム制作拠点</title>
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<description>現在作っているゲームの設定、進行状況などをずらずらとただ書き連ねているブログです。</description>
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<title>「風船」</title>
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<![CDATA[ <p>　夏が終わる。そう錯覚させるような涼風が、私の横を通り抜けてゆく。日は既にその姿を地平に呑まれ、辺りには哀愁を感じさせる蝉の声が反響していた。昔、蝉の羽化を見たのはいつの日だったか。そのときも、私は夕闇に立ち尽くしていたような記憶がある。段々と暗くなってゆく大気の中で、その存在だけは翡翠の体に光を湛えていた。私はそれに、生命と死の狭間を垣間見た気がしていた。あの蝉は、無事子孫を残せたのだろうか――もう、何年も昔のことだ。</p><p>　私は一人、ぽつねんと車止めの上に腰掛けていた。眼下に広がるビルや高速道路を見下ろし、その営みに溜め息をつく。人類の英知と愚行の象徴たちは私を知覚することだになく、せかせかと世界を創り上げている。ああ、愚盲は人の性なりや。「世界を創り上げた」という妄想に囚われ、そしてそれに気付かない。まったく、まったく嘆かわしいことだ、などと大仰な事を考える。その一部に属しているのが自らであるというのに、殊更それを意識していないのは、私も同じだった。</p><p>　車止めの上で足を揺らす。ギシギシと金属の軋む音がして、車止めは共振した。慌てて足を止めると、揺れは止まった。さすがにここから落ちれば助からないだろう。首の辺りを嫌な汗が流れてゆく。私は鳥ではないし、ましてや哺乳類と鳥類の中間にいるどっちつかずの生き物でもない。うっかり車止めから足を滑らせれば数瞬後には美味しい生肉の完成である。縁起でもない。同じ生肉でも、私は食べる方がいい。食べられるのはゴメンだ。</p><p>　カラスが私の真下を飛び抜けてゆく。その背は私の影に濡れ、黒く染まっていた。地方に行けばカラス以外も見えようが、生憎ここは帝のおわす都、東京だ。雁だの鷲だのがいるはずもない。さりとてスズメやハトは、私の影で塗るには少々小さすぎだ。故に、今の私と接点があるのはカラスぐらいなものだった。カラスに挨拶をすると、彼らは悠然と去ってゆく。不思議に感じてよく見れば、いつの間にかカラスの背は元の色に戻っている。ああなるほどね、と呟いた声も、彼らには届かないようだった。</p><p>　私は今に至って、全ての焦燥から解放された気分になっていた。特に何がある訳でもなく、至極穏やかな気持ちだった。一刻前まではこの世の全ての絶望と、千辛万苦を抱えた代表選手であるかのような幻想に満ちていたのだが。これも全て、今私が座しているこの車止めのおかげであり、せいでもある。黄色のペンキが殆ど剥げ、鈍い錆が全体に浮かんだ、金属の集合体。公園の入口にある、アーチタイプの車止め。それは今、私を乗せて上空を浮いていた。なんてことはない、ただの車止めのくせに。</p><p>　そもそも、私はビルの屋上にいたのだ。それがこうして今、車止めと共に雲のすれすれを飛んでいる。理由は単純にして理解不能、車止めが上空から私に飛びかかり、羽交い絞めにして空高く舞い上がったのだ。有体に言えば拉致というやつだろう。当然私は抵抗した訳だが、コレは一動の気配も見せず、悠々と東京タワーの遥か上まで私を連れ去った。さすがにそうなると、私も抵抗する気を失い、なすがまま、されるがまま、無為に時を過ごすしかなかった。</p><p>　車止めは私が抵抗しないと見るや、拘束を解き、自らの背に私を乗せた。そしてそのまま、プカプカと浮いていた。私にはコレの考えが理解できなかったが、別段理解したくもなかった。往々にして、人生などそんなものだ。そう考えれば、理解せずとも諦念はついた。</p><p>　紫紺の色の空が、その色を濃くしてゆく。いつの間にやら現界していた月が、黙して私を見つめている。私はその中に、確かに夕焼けの残滓を見た。雲が頬を撫ぜ、身震いするような風が私の呼吸となる。すっかり一人ぼっちになってしまった。最早これからどうしようもあるまい。私は背を宙に預ける。すると器用にも、車止めは身体の一部を曲げ、簡易的なベッドにしてくれた。親切心に感謝しつつ、これではまるでゼピュロスとクローリスの関係だな、と嗤った。私に帰るすべがない以上、コレに従うしかないのだ。これからどうなるなど、私は気にも留めなかった。ここまで人智を超えた出来事が起きたのだから、この先など分かるべくもないだろう。軋む音を立てる割に硬いベッドの中、私は昏々としていた。</p><p>&nbsp;</p><p>　次に目覚めたとき、私は月の中にいた。やはり考えるだけ無駄だったなと息を吐いた。そして当然のごとく、車止めは私の傍にいた。月の中は意外と広く、ともすれば車一台は余裕で入れそうである。壁は藍に薄く輝き、明かりがなくとも全容を見渡すには十分であった。いくつか外に張り出したところがあり、そこから遠く地上にあるビル群を確かめることができた。そして、人類の営みを眺めている私の中を、白い雲が通り抜けてゆく。存外低いところに月はあるものだ、とも思った。</p><p>　私は、西洋科学にかぶれてしまった私に、世界の真実が優しく語りかけているのだと理解した。我々が、いかに矮小で物質的な存在であるかを、月は黙然に示していた。私はその訓戒を素直に受け止めることにした。</p><p>　ふと、誰かの声がしたと思った。周囲を見回すが、人が存在している空間はどこにもなかった。かといって、車止めが言語を解している訳でもなさそうだった。車止めは、私が歩き回る後ろを、ペタペタと付き従うだけだった。</p><p>　まあた、声がした。今度はどこから聞こえてきたのか、はっきりと知ることができた。その声は、内なる私の声であった。</p><p>「私に何の用だ」</p><p>「私が生まれるわ」</p><p>　彼女は両肩をさすった。</p><p>「私は私だ、お前も私だ。生まれるも何も、もうここにいるじゃないか」</p><p>「私がいないから、あなたがいるわ」</p><p>「私とお前に境界があるのか」</p><p>「ないからいないのよ」</p><p>　彼女は消えていた。</p><p>　私は一人その場に茫然としていた。いつの間にか、私の背には車止めがいた。</p><p>「お前もいたな」</p><p>　私が車止めをさすると、彼女も私の中へ融けていった。そっと私は目を閉じた。そして開くと、私は翡翠に輝いていた。</p><p>「私はお前だものな」</p><p>　優しく体を抱くと、柔らかな感触が返ってきた。もう私に中身は存在していなかった。脆弱な外殻と、波打つ液体だけが、私の個であった。次第に、私が曖昧になってゆく。その中に、微かな産声を聞いた気がした。</p><p>&nbsp;</p><p>　月が破れると、そこには一人の女性がいた。彼女はその場に佇むと、身を一度限界まで伸ばした。その指先から、エメラルドの雫が地へ滴り落ちた。それから、彼女は空の彼方へ消えていった。</p>
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<link>https://ameblo.jp/goru000/entry-12272653080.html</link>
<pubDate>Sun, 07 May 2017 23:56:49 +0900</pubDate>
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<title>今度のTRPG参加予定者用ルールブック</title>
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アメンバー限定公開記事です。
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<link>https://ameblo.jp/goru000/amemberentry-11843354761.html</link>
<pubDate>Tue, 06 May 2014 22:43:06 +0900</pubDate>
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<title>短編集</title>
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<![CDATA[ <font size="2">　　1,伝説の英雄<br>「なあ、知ってるか」<br>「なんだ」<br>「昔、宇宙人の侵略からたった一人で地球を救ったやつがいたらしい」<br>「その話、最近じゃあ聞きすぎて飽きちまったよ」<br>「だがな、この話には続きがあるんだよ」<br>「嘘はよく大きくなるもんな」<br>「それがよ、その地球を救った英雄は生き延びていて、しかもこの戦いにも参加しているんだとよ」<br>「そんな訳無いだろ」<br>「いいや、確かにいるんだと。大規模な作戦に参加した偵察のやつが鼻息荒く言ってたんだ。『ストーム1だ！ストーム1が戦っている！俺は見たぞ！』ってな」<br>「あいつ、英雄に憧れてたもんな、どうせ見間違いだろう」<br>「その可能性もあるけどよ、でも、あいつが言っていたその『ストーム1』ってやつの特徴がまさしく伝説の英雄なんだよ」<br>「そんなもの、でっち上げに決まってるさ」<br>「見た目こそ普通の隊員と同じだが、ライサンダーＺという四挺しか作られなかったスナイパーライフルを持ち、なんでもマザーシップのジェノサイド砲を研究して造られたジェノサイドガンとかいうロケットランチャーを背負って戦場を駆け回っていたらしい」<br>「まさしくエースってやつだな」<br>「それでよ、偵察のやつがそれを使って敵を一方的にやっつけた隊員を見たらしい」<br>「まさかな」<br>「でもよ、不思議なのはその作戦に参加した前線の奴ら、皆生きて帰ってきてないんだ」<br>「あの作戦は地獄絵図でも生ぬるいなんて別の偵察のが言ってたからな、生きて帰ってくる方が不思議だ」<br>「偵察のやつ曰く、敵の数が減って、作戦が終了する直前、爆発音が聞こえたそうだ。そいつは負傷して後方にいたから無事だったらしいが」<br>「プラズマ砲持ちのロボットでも出たんだろ」<br>「そうだろうな、ん、お話の時間は終わりみたいだな」<br>「前方に敵の反応あり、そりゃあ地下の、それも敵巨大生物の本拠地に行けば敵の一つや二つ、生えてくるさ」<br>「そういえば俺たちの作戦ってなんだったか、忘れちまったよ」<br>「何言ってんだ……俺たちは今回巣穴に先行し敵と交戦、主力部隊の到着を待つ……俺たちは捨て駒ってことさ」<br>「そんな暗いこと言うなよ、それに主力部隊だって俺たちと距離はそう離れちゃいないんだ」<br>「実際そうなんだから仕方ないだろ」<br>「まあいいさ、主力部隊が来るまで、敵さんにちょっかいかけますかい」<br>「死ぬなら外が良かった」<br>「まったくだ」<br>≪こちら先行したレンジャー8、戦闘を開始する≫<br>≪了解、一分後に主力部隊が到着する。それまで持ちこたえろ≫<br>「蟻さん、こちら、火の出る方へ！」<br>「敵一、撃破」<br>「うぉぉぉぉおおおおお！！！！！！」<br>「被弾した！」<br>「ぐぅ！」<br>「アーマー破損、もう持たない！」<br>「大丈夫か！？」<br>「クソ、こんな所で……なんだ、足音が聞こえる」<br>「主力部隊か！よし！後退するぞ！」<br>「いや待て……主力部隊にしては足音が少ない――一人。一人しかいないぞ！？」<br>「そんな馬鹿な！敵はいなかったはずだぞ！？ぐぁっ！」<br>「まさか奇襲に遭ったのか……」<br>≪こちらレンジャー8、主力部隊、何があった！？≫<br>≪……≫<br>≪こちらレンジャー8！主力部隊、応答してくれ！一体何があったんだ！？≫<br>≪……≫<br>「クソッ！」<br>「足音が近い……もうすぐ一人来る、そいつに話を聞こう」<br>「ああ、そうしよう――生き残るぞ！」<br>「あいよ！」<br>タッタッタッタッ……<br>「来たか！おい、何が起きたんだ！通信に何故返答しなかった！」<br>「……」<br>「おい、返事をしないか！」<br>「……」<br>「おい！」<br>「まさか、こいつ……いや、間違いない……」<br>「……」<br>「おい！聞こえないのか！」<br>「こいつは……『ストーム1』だ」<br>「なんと！？」<br>「間違いない、あのスナイパーライフル、あれこそライサンダーＺだ……しかも、かなり使いこまれている、しかも、背中にあるのは……」<br>「――ジェノサイドガン――、か　　はは、ははは、奇跡だな」<br>「助かった、ストーム1。これより私たちはあなたの指揮下に入ります」<br>「……」<br>「ストーム1がいれば百人力だ！よし、生き残れるぞ！」<br>「……」<br>「なんだ、さっきから、ストーム1が不動直立だぞ」<br>「……」<br>「しっかりしてくれ！ストーム1！」<br>「まさか、な。ははははは、あはははははははは」<br>「……」<br>「何をしているんだ、ストーム1、何故後退しているんだ、何故ライサンダーを背中に戻すんだ、何をしようっていうんだ！！！」<br>「ははははははははははははははははは、もう駄目だ、お終いだぁ、はははははは、あははははははははははははは」<br>「やめろ、ジェノサイドガンを握るな、やめろ、ジェノサイドガンを向けるな、やめろ、やめてくれ、しにたくない、しにたくない、やめてくれ、やめてくれ、やめｔ」<br><br>≪レンジャー8！何があった！報告しろ！レンジャー8！レンジャー8！！！≫<br><br><br><br>　　2,根本的誤解<br>「じゃんけんしようぜ」<br>「いいよ」<br>「よし、せーの、最初は」<br>「グー」<br>バキョァ　ボキボキィ<br>「……なんで……殴った……」<br>「そういうゲームでしょ、これ」<br>「我が生涯に、たくさんの悔いあり……」<br>「またつまらぬものを、殴ってしまった」<br>「あんたら何やってんの」<br><br><br><br>　　3,助手くんの苦悩<br>「先生、どうされましたか」<br>「先日の奇妙な事件についてまとめていてね、現場の感想を聞きたいのだよ」<br>「患者さんの意識が消えた事件ですね、結局原因は悟君のようでしたが」<br>「まったく、彼はエスパーか何かなのかい？夢の世界に患者全員を幽閉するなんて」<br>「私に聞かれても困ります」<br>「それもそうだ」<br>「私たち看護師は大変でしたね。なんと言っても皆突然脳死になってしまいましたから。一人一人確認して、それで……」<br>「起きたときはどうだったんだい」<br>「もうびっくりなんてもんではないです。脳死判定をしていたらいきなり目がカッって開きましたし、驚きで壁に頭をぶつけてしまって、逆に私が夢の世界へ」<br>「なんというか、気の毒だな、患者さんも、君も」<br>「起きたらベッドに寝ていて、しかも時間は十時間経っていて……」<br>「十時間？だとしたら君は何故私に連絡を……」<br>「え？なんですそれ」<br>「君が私の部屋に来て、「先生！大変です！患者が――患者さんが！」と。」<br>「知りませんよ、そんなこと」<br>「だとしたら君は……」<br>「なんですか先生」<br>「興味深い、一回頭を壁にぶつけて、気を失ってくれないかな」<br>「はい！？」<br>「学会モノだぞ、これは……！」<br>「先生、一体何を……」<br>「ああ、ああ、なんと素晴らしきかな、この世界は！」<br>「先生！？ちょっと、怖いです、私、仕事が残ってますので、それでは、失礼します！」<br>「行こうじゃないか、奇跡を見るために！」<br>「ヒィィィイ！」<br><br><br><br>　　4,友好的生物<br>　涙が止まっていると気づくには、かなりの時間がかかった。心の中で渦巻く感情が、ついに一応の決着をつけた。<br>「もう、大丈夫だ」<br>誰に確認するわけでもなく、一人呟く。もう、大丈夫だ……俺は今に戻ってくることができた……あいつの、健二のおかげで。いつもヘラヘラ笑っているのに、心の奥では俺よりも苦しんでいた。自分のためではなく、俺のために。そう思うとまた涙が出てきたが、それを拭って空を見上げる。ちっぽけな俺が、愛していた空。大きな、大きな空を。どこまでも受け入れてくれる深い深い黒。そこには、かつて俺が嫌っていた“黒”は無かった。そこにあったのは、ただの、黒だった。<br>　気がつけば、健二が行ってしまってから大分時間が経った。もう健二は熟睡している頃だろう……。俺もなんだか眠くなってきた。仕方ない、寝よう。そう思って、ドアの方を振り向く。眠気眼を擦って、ドアまでやっとの思いで歩く。そして、ドアノブを引けば、<br>「ハロー！“黒”ちゃんだよ！」<br>俺はドアを閉めた。<br><br><br><br></font>
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<link>https://ameblo.jp/goru000/entry-11811039856.html</link>
<pubDate>Wed, 02 Apr 2014 00:02:10 +0900</pubDate>
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<title>小説「新生人間の翼(カッコカリ)」の設定集※ネタバレ含む</title>
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<![CDATA[ <font size="3"><font color="#FF0000"><br>※※※気が向いたときに設定の追加・変更が行われています。また、現時点で肝心のアルバトロスは資料を貸出しているため書くことができません。※※※<br>※※※この記事にはストーリー中に出てくる機体の設定がネタバレしております。どうしても読みたい方のみ反転してお読みください。※※※<br></font></font><br><br><font size="3">　　　　　　　フソウ型超弩級航空戦艦「フソウ」</font><br><font size="2">全長　275m　全幅　213m<br>武装　200口径400mmレールガン　1基 3門<br>　　　デコイ砲　　　　　　　　1基 6門<br>　　　85mm三連装機関砲　　　28基84門<br>　　　五連装対艦船用ミサイル　2基10門<br>　　　艦載可能数　　　　　　　　 30機<br><br>　この艦は、地球保護軍による地球統一計画完了後に地球保護軍が各地域に一隻戦艦を造らせるという計画によりエリアF(エリアFは日本を指す)で造られた航空戦艦である。そのフォルムは旧式の戦艦の両脇に航空母艦の格納庫を取り付けたような形をしており、艦橋の後ろには着艦用の滑走路が艦の艦首に対し垂直に取り付けられている。しかしなんといってもフソウの特徴はさまざまな部分から飛び出したレーダー装置である。かつて機関砲を多数設置しハリネズミとも言われた「ヤマト」とはまた別ベクトルの姿でこそあれど、艦のあちこちから伸びるレーダー装置は、やはりハリネズミと呼ぶに相応しい姿である。戦闘時はこのレーダー装置を活用し、敵を超長距離から発見し、この艦はジャミングにより姿を隠し、レールガンにより敵を一方的に射撃する……まさしく悪魔のような艦である。レーダーで敵機を確認できる距離は最大5000km、ジャミングもおよそ最大4000kmであり、普段は消費電力の都合上そこまで巨大な範囲をサーチすることはないが、それでも1000kmもの距離をレーダーでサーチしている。そのため、指令室には広域レーダーマップと狭域レーダーマップの二種類が設置されている。<br>　その他にもはっきり言ってこんなゲテモノを航空戦艦と呼んでいいのか微妙な部分がある。それはデコイ砲である。デコイ砲はこの艦を守る第二の防壁と言ってもいい物で、これにより近距離戦闘での旗艦損傷率は大幅に減少するとされている。その仕組みは、砲台から高エネルギーを濃縮させたバルーン弾を発射。内部に搭載された簡易CPUによってバルーンを展開、それ以降は砲台から指令や重力制御による移動などが行われ、必要があれば爆破される。これを周囲に何個も配置することによって、旗艦への攻撃の集中を阻止し、また艦隊と思わせることで戦闘を躊躇させる効果がある。ここまで聞けばいいこと尽くめだが、そのデコイ砲が配置されている位置が問題なのである。それは、艦の中心から伸びる艦橋の中心部である。確かに、一番カバーできる範囲が広いのは艦橋の付近だ。しかし、何故艦橋という艦の外見的な要につけてしまったのか……。元々地球保護軍の計画では造らせた艦はどちらかというと戦闘ではなく象徴としての役割が強く、デザインが最も大切な部分であった。各エリアはそれに沿った戦艦を造っていたが、エリアFのみ実戦を意識したデザインとなってしまった。しかし、皮肉にもこの象徴としての「フソウ」は地球保護軍に刃向かう人類抵抗軍の象徴となってしまった。<br>　飛行にはメインエンジンで推力を得るほかに中心部にある重力制御装置による重力制御が使われている。これにより不可能と思われていた戦艦の飛行を地球で初めて成功させた。地球保護軍の支配下に置かれてもなお、このようなことが可能なエリアFに、改めて恐怖と希望を感じる。この重力制御は艦載機の発艦・着艦にも使われており、これによって短い距離での発艦・着艦を可能としている。<br>　この艦は「ゼータ」と「フソウ」、どちらかが名前になる予定だった。本来は「ゼータ」となる予定だったが、現場及び一部の将兵が名前を「フソウ」にしろ、とボイコットを決行。一か月に渡り艦の製造、そして軍の支配が停滞し、やむを得ず「フソウ」に決定した。このボイコットに参加した将兵が後の人類抵抗軍を設立し、地球保護軍と戦争を起こした。そもそも、何故「フソウ」なのかと言えば、地球保護軍の支配下に置かれる前のエリアFは「ニホン」と呼ばれていたが、地球憲法によって支配直前の国名は使用禁止となった。よって、かつての「ニホン」とされた「フソウ」という名が付けられたのだった。奇妙なことだが、かつての「ニホン」の戦艦、「扶桑」とは、航空戦艦、艦橋の形が独特であることが共通しており、更には航空戦艦にはせずレールガンを4基増設する予定もあったという。</font>
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<pubDate>Thu, 06 Mar 2014 19:59:21 +0900</pubDate>
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<title>shining ray</title>
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<![CDATA[ <font size="2"> 「なんだ、こんな所に居たのか。もう一時過ぎだ。もう冬なんだし、さっさと布団に入って寝といたほうが身体のためだぜ？今日は新月なんだし、さあさあ寝た寝た！」<br>　俺が家のバルコニーで考え事をしている時に、健二が声をかけてきた。話を聞く限り、時間はすでに一時を回っているらしい。確かこのバルコニーに出てきたのはまだ9時頃だった筈だ。考え事をしていているとどうしても時間を忘れてしまうな……。とにかく、健二のことを無視するわけにもいかないし、他愛のない会話を済ませ、さっさと考え事に戻るとする。<br>「もうそんな時間か」<br>「ああ、そうさ。しかし寒いなあ。お前、明日風邪ひくんじゃないのか？絶対ひくな、この俺が言うんだから間違いないね」<br>「そんな寒いんなら勝手に自分の部屋で寝てろ。俺はまだ寝るつもりはない」<br>「寂しいこと言うなよー一緒に寝ようよー！」<br>面倒くさいな、まったく。こんなことになるなら無視した方が良かったか？<br>「ほら、無視しとけばよかったとか考えるな！俺はこれでもお前の身体のこと心配し――」<br>ああもう、無視だ無視。考え事に戻ろう……。<br>「ちょっと、聞いてｒ」<br>テーブルの上のハリセンを健二に叩きつけた。<br><br>　俺は新月が嫌いだ。正確に言うと、新月の日の黒くベタ塗りされた空が嫌いだ。どこまでも沈んでいくような深い深い黒。あの黒を見ていると、三ヶ月前の事を思い出してしまう。忘れたくても忘れられない――俺から全てを奪って、跡形もなく消えた“黒”と、あの空白の一時間を。<br>　あの時は確か――午前二時ぐらいだったか、そのぐらいの時間帯だった。三か月前のその日も新月で、空はやはり黒一色でベタ塗りされていた。当時はマンションに住んでいて、俺の部屋はベランダと繋がっていたから、空がよく見えた。ベランダと俺の部屋を隔てる窓ガラスの向こうには、周りにあるアパートやら、一軒家やらが見えたが、それよりも目につくのは空。まるでこの世界の代表であるかのように堂々としていたものだ。そして、俺はそれを眺めることがとても好きだった。それはもう時間なんて忘れてしまうほどに。一回ずっと空を眺めていて休日を潰し、挙句ぶっ倒れて病院で点滴を受けたこともあった――朝起きて空が綺麗だな、なんて思っていたらいつの間にか月が綺麗だな、に変わっていたような記憶がある。……おっと、話が逸れた。<br>　とにかく、あの日も自分の部屋から空を眺めていたが、時間はもう二時過ぎ、丑三つ時だ。さすがに朝には学校がある訳だし、寝なくてはいかんと思って、胡坐を解いて立とうとしたときに、“黒”はいた。<br>　“黒”は……なんて言えばいいのだろうか。とにかく、黒いんだ。純粋な――黒。黒一色である空の中でも、特にその“黒”は目立っていた。白い紙に赤い丸が描いてあるかのような違和感。例えるならば、ウサギの中に一匹ライオンが混じっているような違和感。実際、空にぽっかりと丸い穴が空いていたようだった。違和感を隠そうともしない“黒”に、目が離せなくなってしまった俺は、じっと“黒”を眺めていた。だけど、一分ぐらいたってからだ、違和感の塊である“黒”から、どす黒い、殺気立ったような――いや、あれは明確な殺気だった。“黒”は、殺気のこもった明確な違和感を発した。そして“黒”はどんどん大きく、どんどんこっちへ――こっちへと近づいてきたんだ……。<br>　俺は最初見間違いかと思った。時間を見るために一瞬目を離した後、もう一回窓の外を見れば、“黒”がさっきよりもはるかに大きくなっていた。もう、窓から見える空の黒より、“黒”の比率のほうが高くなっていたほどだった。めちゃくちゃな大きさまで成長した“黒”は、まだまだ大きくなっていく。ぼぅっと眺めていても、すぐにわかるぐらいの勢いで“黒”が成長を続けていったあの光景を忘れられる人なんて、とてもいるとは思えない。<br>　“黒”に魅了されたのか、それとも殺気にやられてしまったのか、俺はぼぅっと“黒”を眺めていた。だが、妙なガリガリという音がして、現実に戻されてしまった。マンションなのにネズミが出たのか？なんて悠長な気持ちで考えていたが、上、しかも今自分が見ている空の方向からしたんだ。ずっと鳴っているもんだから、なんだなんだと思って音のする場所を見たら、マンションの屋根が、「喰われて」いた。しかも、“黒”に。そして“黒”も目の前……窓ガラスとベランダを挟んだすぐ傍にいた。試しに窓を開けて手頃な物を投げてみたが――それも喰われていた。そしてとうとう、窓ガラスがパリンという音を出し、“黒”に吸い込まれていった。本能が今更になって“黒”は危険だ、逃げるべきだとアラートを鳴らす。だが、遅すぎた、何もかも。<br>　リビングで寝ている親が気になって、俺はドアを殴る勢いで開き、廊下を隔てたリビングに向かった。<br>「父さん！母さん！起きて！“黒”が来る！逃げよう！早く！」<br>返事はない。目を凝らしてみても、夜目が利かないせいか、リビングがよく見えない。もう一度声をかける。<br>「父さん！母さん！まだ起きないの！？返事して！」<br>返事はない。気持ちが焦る。ガリガリという音がすぐそばから聞こえる。時間がない！そう思って、大声で叫んだ。<br>「父さん！母さ、ッ――――――――！！！！！！」<br>すぐ傍にあった机がガリガリと音を立てて喰われた。……違う、夜目が利かないんじゃない。夜目が利かないなんてそんな生ぬるいものじゃない……“黒”だ――目の前にいるのは“黒”だ――！<br>「うわああああああああああ！！！！！！！！！！！！！」<br>　夢中になって駆けだしたらしい。あの時、気がつけばマンションの外にいた。どうして“黒”の違和感だとか、殺意に気付かなかったのだろう。分かるはずなのに、俺は親が心配で何も見えていなかった。どうしてこうなってしまったのか……後悔だけは今もなお積もっていく。“黒”に対して、俺はあまりにも無知で、愚かで、無力だった……。救いを求めて空を見上げたが、月はない。新月。その空の黒でさえ“黒”に見えて、慌てて目を逸らした。そして俺がついさっきまで住んでいたマンションは、半分以上を“黒”に喰われ、バリバリと大きな音を響かせている。俺はその光景をただ、見ていることしかできなかった。<br>　その後、“黒”はマンションと、その下の土を喰らい尽くしてそのままどんどん収縮して消えた。今もマンションがあった所には大きな穴があいている。深夜だったこともあって、マンションに住んでいた8割の人たちが“黒”に喰われた。俺は親戚もいなかったから、孤児院に送られるはずだったが、健二の家には何度も行ったし、健二の両親とも面識があったので、健二の親が快く俺を引き取ってくれた。健二の親は成功した実業家で、俺を引き取るぐらい何ともないそうだ。今でも感謝してもし尽くせない。<br><br> 「ぐぅ……勝一、いきなりハリセン叩きつけてくるんじゃないよ、痛かったじゃないか！」<br>「空気を読まないお前が悪い」<br>「そんなこと言わないでくれよぉ。俺だってお前のためを思って言ってやったんｄ」<br>今度はハリセンを横からくれてやった。脇腹にめり込んで、健二は倒れた。さすがにこれで懲りただろう。<br>「俺は何度でも蘇ってやるぞ……お前を倒して世界を救うｍ」<br>少し可哀そうだったが健二の左肘と胸元を握って背負い投げをした。木でできたバルコニーにバンッという音が響く。<br>「……大丈夫か？」<br>少し待ってみたが、ピクリともしない。畳でやらなかったのがマズかったか？<br>「おーい、おーい」<br>揺さぶっても反応がない。これは本格的にマズいんじゃないのか……。とりあえず心臓の音を聞くために健二の胸元に頭を近付ける。<br>「ああ、もう、畜生。おーい、返事しろー、健二ー」<br>バチン、と心地よい音が身体に響く。そして背中からヒリヒリとした痛みが発生する。それに、背中に何かが乗っている……健二の顔を見れば、ニヤリと笑っている。やられたか……。<br>「この野郎、やりやがったな？」<br>「背負い投げのお返しだぜ、勝一ぃぃぃいいい！！！」<br>うるさいんだなぁ、こいつ。それはそれでこいつのいいところなんだが、時間と場所をわきまえないのがな。もう真夜中だってのに。<br>「はいはい、俺がやりすぎましたよ、スミマセンスミマセン」<br>「はい、は一回って習わなかったのかい？後平謝りだけじゃ許さんぞー絶対に許さんぞー」<br>「謝っただけでも十分だと思うが……これでお互い様だろ？」<br>「俺なんかしたー？お前が落ち込んでたから元気を出してあげようと思っただけなんだけどー」<br>「それがいけないんだ。後、俺は別に落ち込んではいないからな、考え事をしていただけだ」<br>「嘘つけーどう見ても落ち込んでたよー！」<br>……深夜までこんな調子が持つ健二はすごいと思う。夜って気分が落ち込むものじゃないのか？<br>まあいいさ、今日はこいつの意見に乗ってあげよう。さっき思いっきり背負い投げしちまったからな。<br>　そう思ってバルコニーから室内へ入ろうと歩き始めたとき、腕をグッと掴まれた。少し力を入れて強引に歩こうとしたが、どうにも力が強くて抜けだせない。<br>「……なんだよ、寝ようと思ってたのに」<br>「まだ、あのときの事、考えてるんだな」<br>「悪いか？」<br>「悪い。そりゃーもうご飯がお預けになった人の前でおいしそうにご飯を食べるぐらい悪い」<br>意味がわからん。健二の例えは長年一緒にいる俺でさえまったく理解できない。しかし悪いと言いたいことは解ったので気にせず話を続ける。<br>「で、それと今お前が腕を掴んでいることに一体何の関係があるんだよ」<br>「……いや、話を聞いてほしくてな」<br>振り返れば、真剣な顔をした健二がジッと俺を見ている。こんな顔をするなんてそうそうないから、真面目な話をしようとしているのだろう。<br>「話ってなんだよ」<br>「過去はもう振り返るなって話だよ」<br>……過去を振り返って何が悪いんだ。俺のせいで起きた惨劇を、悔んで何が悪いんだ。そう言いたかったが、黙って話を聞く。<br>「家も、親も、何もかも失って辛いかもしれない。だけど、過去に囚われてたってなんもいいことはないぜ。実際、あの日以来、お前は変わっちまった」<br>健二がバルコニーの柵に寄りかかる。てっきり話が続くもんだと思っていたが、健二はそれっきり黙ってしまった。俺も何か言えと言いたいのだろう。<br>「変わるのが人ってもんだろ」<br>「変わっちゃいけないこともあるんだよ、お前は純粋な水から泥の混じった水溶液に変わっちまった」<br>「周りの環境が変われば、誰だって変わるさ」<br>「だからっていつまでも一人で考え続けるのは良くないと思うんだよ」<br>「あんなこと、考える以外に何ができるってんだ」<br>「まあ、そうだな……」<br>健二は、俯いたまま何も言えなくなってしまった。話がしたいって自分で言っておきながら、黙っちまうのはどうなんだ。とにかく、話を続けてみる。<br>「過去に囚われてる、とお前は言うがそんなことはない。現に俺は今も変わらず学校へ行き友達と遊び日々を楽しみながら生きている。それのどこが囚われているんだ？」<br>「……」<br>「二ヶ月前の俺に言うならまだわかる。だが、何故今それを言う？もう俺は今を生きてる」<br>「……」<br>「何か言ったらどうなんだ」<br>「……」<br>相変わらず、健二は俯いたままだ。このままここにいても何も進展がない。俺は改めて室内に戻ろうと、健二に背を向け、歩き出そうとする。そのとき、健二が一言呟いた。<br>「悲しいな」<br>「もう悲しみは消え去ったさ」<br>「違う、お前がそうやって虚勢を張っているのが悲しいんだよ」<br>「虚勢だと？」<br>「そうやって、自分に嘘をついてるんだ、いつまでも、いつまでも、いつまでも」<br>「嘘はついてない、いつも、俺は正直に生きてる」<br>「それが、それが嘘なんだよ、勝一」<br>「――！」<br>心にナイフが突き立てられた。俺自身さえ意識していなかった自己防衛の盾が、音もなく崩れ去っていく。<br>「俺はもう過去は過去だ、今を生きてるんだって言っていても、周りから見ればバレバレなんだよ。自分はもう大丈夫だって言い張って、裏じゃあいつまでも一人ウジウジやってる。それじゃあいつまでも変わらないんだよ」<br>健二が一歩、一歩こっちへ近づいてくる。俺は木偶の坊のように動けない。そのまま、健二に胸倉を掴まれた。<br>「……いい加減、いい加減一人で悩んでんじゃねぇよ！」<br>「……なんでだよ」<br>「根本的な解決にはならねぇんだよ！そんな風に生きてちゃ！」<br>「お前にこの苦しみが！悲しみが！解るって言うのかよ！！！」<br>俺は思いのままに叫んだ。叫び声は周りの空気を伝わり、空気にかき消されていった。無言のベールが、辺りを包んでゆく。やがて、健二は手を離し、俺に顔を近づけて一言零した。<br>「解るよ」<br>「解る訳がないんだよ！お前には！こんな家に生まれたお前には！」<br>「解るんだよッ！俺だって！ヤツに！“黒”に！全部奪われたからな！！！」<br>「え」<br>嘘だ……健二はこの家の生まれだった筈だ……じゃあこの家は……あいつの両親は一体誰なんだ……？<br>「俺だって！悔しかったんだよ！悲しかったんだよ！でも！乗り越えてきたんだ！だというのに！お前はいつまでもそうやって！」<br>「健二……？」<br>殺気立った健二の眼に、思わず俺はすくんでしまう。いつもしょうもない冗談を言って場を和ます健二とはとても思えない姿は、まるで復讐をせんとす鬼神のようにも見えた。<br>「とにかく！とにかくだ！一人で苦しんでんじゃねぇよ！苦しんだったら、俺に、言ってくれよ、なあ、勝一……？」<br>　それから、ずっと無言の間が続いた。<br><br> 「さっきはわりーな、勝一。感情的になっちまったぜ」<br>「いや、お前の気に触るような事を言って悪かった。謝るのは俺の方だ」<br>「ホーントよ、あーだこーだ説教しときながら結局俺も同じようなもんなんだよなー同じ穴のメジナってか？」<br>「狢だろ」<br>「そうだな！ハハハハハ！」<br>健二はさっきまでの姿が嘘のように無邪気に笑う。どうしてもさっき言っていたことが気になってしまうが、口には出さず、健二の方から話し始めるのを待つことにした。<br>「なあ、今何時だろうな」<br>「さあ？分かったらそいつはエスパーに違いないな！」<br>「「ハハハハハハ！」」<br>「エスパーって便利だろうな」<br>「だよねー未来予知とか出来て便利だろうね」<br>「未来予知かぁ」<br>未来予知ができたら……あんな事は起きなかったのかもしれない。エスパーなんているわけがないが、もし俺にその力があったのなら、そう考えてしまう。<br>「未来予知……あったらいいねぇ……」<br>健二が一人呟く。その声は微かに震えていた。<br>「……今まで黙ってて悪かったけど、俺も、“黒”に襲われたことがあるんだ」<br>“黒”、その単語を聞くだけでも身震いしてしまいそうだったが、グッと堪えて話を聞いた。<br>「俺、じいちゃんと隣町の教会で暮らしてたんだ。両親はもういなかったし、神父だったじいちゃんの所で毎日平和に暮らしてた。だけど……」<br>「“黒”が来たんだな」<br>「ああ。“黒”は教会とそのそばにあったじいちゃん家を飲み込んだ。まだそのときは小さかったけれど、あのときの恐怖はよく覚えてて……そしてこの憎しみも……」<br>静かに、しかし怒りの籠った声で健二はそう言った。俯いている顔から何かが落ちているのが見えて、よく見てみれば、大玉の涙が鉄球のように落ちていっている。<br>「だけど、じいちゃんは言ったんだ、Shining ray、決して神は人を見捨てないからと。だから、俺はその言葉を胸に、今こうやって生きているんだ。神が人を見捨てないなら、自分が自分を見捨てちゃ駄目だって」<br>Shining ray。意味として言えば「光り輝く」とか「輝く光」とかそういう意味だけれど、その奥に秘められた、「希望」。その希望という言葉は、今の俺にも深く染み込んでいくような気がした。<br>「……お前が俺と同じ目に合ったとき、俺はお前を助けなきゃ、救わなきゃって思ったんだ。俺にもその経験があるからって。だけど、お前と、俺じゃあ細かい一片一片が違って。……力になれなくってごめんな」<br>「いいんだ、いいんだ……ありがとう、健二」<br>なんだろう、この目から頬を伝ってゆく涙は。何故だろう、この止まることを知らない涙は。どこまでも、どこまでも、どこまでも……涙が零れていく。<br>「おいおい、泣かれちゃあ困るぜ……俺は元気出してもらいたいだけなんだけどなぁ」<br>頭をポリポリと掻く健二の姿が滲んで見えない。<br>「元気は、出たから、俺も、頑張るから、だから、だから、ありがとう、本当に、ありがとう、健二……」<br>「苦手だよこーいうの……まあ、落ち着いたら寝るんだよ？風邪ひかれたら困るからな」<br>そういうと、スタスタとドアを向かっていく。俺は振り返らずに、涙が止まるまでひたすら待った。<br><br>　涙が止まっていると気づくには、かなりの時間がかかった。心の中で渦巻く感情が、ついに一応の決着をつけた。<br>「もう、大丈夫だ」<br>誰に確認するわけでもなく、一人呟く。もう、大丈夫だ……俺は今に戻ってくることができた……あいつの、健二のおかげで。いつもヘラヘラ笑っているのに、心の奥では俺よりも苦しんでいた。自分のためではなく、俺のために。そう思うとまた涙が出てきたが、それを拭って空を見上げる。ちっぽけな俺が、愛していた空。大きな、大きな空を。どこまでも受け入れてくれる深い深い黒。そこには、かつて俺が嫌っていた“黒”は無かった。そこにあったのは、ただの、黒だった。<br>　気がつけば、健二が行ってしまってから大分時間が経った。もう健二は熟睡している頃だろう……。俺もなんだか眠くなってきた。仕方ない、寝よう。そう思って、ドアの方を振り向く。眠気眼を擦って、ドアまでやっとの思いで歩く。そして、ドアノブを引けば、そこに“黒”がいた。<br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br>end<br></font>
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<link>https://ameblo.jp/goru000/entry-11687642305.html</link>
<pubDate>Tue, 12 Nov 2013 21:45:18 +0900</pubDate>
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<title>誰が為の世界</title>
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<![CDATA[ <p><font size="2">　少女は、自分が輪郭のない白い空間にいることに気がついた。空も、大地も、すべて白一色に染まった奇妙なそこに、少女はいたのである。</font></p><p><font size="2">「ここは？」</font></p><p><font size="2">ポツリと呟いた一言も、その空間の中で掻き消えていく。地平線もないこの空間では、声さえその役目を果たさないのであった。彼女の他は何もない、平坦な空間。別次元に迷い込んでしまったのだろうか？そう少女は悩みこんだが、そうではなかった。ここは確かに、彼女のよく知る世界なのだ。ただ、何もないというだけで……。</font></p><p><font size="2">　ただ考えるだけではらちが明かないと考えた少女は仕方なく、一つの方向へ歩いてみることにしたが、行けども行けども何もないのだ。白と、白と、白。白としか言いようのないこの空間。白しかないこの異様な空間。それは確かに一つの空間であったが……空間として成り立っていないのではないかという、不安定さを持っているのだった。</font></p><p><font size="2">　だがしかし、少女はこの空間に存在する唯一の物であろう一つのドアを見つけた。白い空間に、大穴を空けたような赤いドア。確かに、ここに存在する、赤いドア。少女は一瞬、何かを思い出しかけたが、すぐにそんなことは忘れて、迷わずそのドアを開けた……。</font><br><br></p><p><font size="2">「先生、重体患者が一人運ばれてきました。」</font></p><p><font size="2">「うむ。それで容体は？」</font></p><p><font size="2">「意識こそ戻らないものの、安定してきましたので、集中看護室に移しました。」</font></p><p><font size="2">「そうか。ところで、あの少年はどうなった？」</font></p><p><font size="2">「あの少年というと……意識はないのに、絵を描き続ける少年のことでしょうか。」</font></p><p><font size="2">「そうだ。今も彼は、その――絵を、描いているのか？」</font></p><p><font size="2">「ええ。……今日は、何か町のようなものを描いていました。」</font></p><p><font size="2">「奇妙、実に奇妙なことだな。一体どうなっているのだ……。」</font></p><p><font size="2"><br></font></p><p><font size="2">　ドアの先には、実に奇妙な空間が広がっていた。淡い色彩で描かれた桜色の屋根。森永商店と大きく書かれたお店の看板。ガラス一つ一つが光を放つビル。町の中心にある白群色をした電波塔。輪郭があるはずなのにどこかぼやけた、幻想的な世界。町だ。町なのだ。確かに町のはずなのだ。だが、誰も。誰もいないのだ。町だけがそこにある。そんな奇妙な空間がそこにあったのだ。</font><font size="2">家も、お店も、ビルも、電波塔も……。人の気配一つしないのに、あるのだ。これほど奇妙な空間があるだろうか？</font></p><p><font size="2">　少女は、人を探すべく、さまざまな場所を探した。しかし、誰もいない。人の生活した跡さえないのだ――少女は、自分が気が狂ってしまったのかと思ったが、その建物たちに質感があることで、何とか気を保った。だが、少女は突然とても強い倦怠感に襲われ、地面に仰向けに倒れ、一言呟くと、そのまま意識を失った。</font></p><p><font size="2">「寂しいよ」</font></p><p><font size="2">そう、呟いて。</font></p><br><p></p><p><font size="2">「先生！大変です！患者が――患者さんが！」</font></p><p><font size="2">「どうしたんだいきなり。まずは落ち着きなさい。なにが、どうなった？」</font></p><p><font size="2">「患者さんが……みんな意識が無くて、誰も……誰も目を覚まさないんです！」</font></p><p><font size="2">「待て。意識が無い……？どういうことだ？」</font></p><p><font size="2">「今は人工呼吸器で呼吸をさせていますが……、その、なんといいますか、まるで脳死状態みたいなんです、一人残らず。」</font></p><p><font size="2">「それはつまり……患者が、全員自発的な呼吸ができていない上、瞳孔が広がっているということか？」</font></p><p><font size="2">「はい。……ただ、みんなまるであの少年のように腕や足が動くんです。」</font></p><p><font size="2">「こんな……こんなことは聞いたことが無いぞ！一体どうなっているのだ！」</font></p><p><font size="2"><br></font></p><p>　<font size="2">少女が目を覚ましたとき、町は今までとは何かが違っていた。人だ、人がいるのだ。少女が意識を失う前には、寂れた町だったそこは、今ではたくさんの――とはいっても視界に入るだけでも100人ほど、町全体でみれば500人程度ではあるが、まさしく活気の溢れた町になっていたのだ。少女はその事実に驚きつつも、ではいったいこの町はなんなのだ、それを知るために散策を始めた。家からは明るい会話が聞こえ、商店街からはさかんに値切り交渉をするおばさんの姿が見える。ビルからは明りが洩れ、電波塔からも電波がビリビリと出ている。確かにそこには町が――つの町があるのだ。どこにでもあるような、そんな町が。<br>　だが、一つ、たった一つだけ、少女は何かが違うことに気がついた。人々がどこか違うのだ。他の町なら一人くらい無表情だったり、暗い顔をしているものだが、そんな人はどこにもいない。皆、明るい顔をして、楽しそうに生活している。それが本来町にあるべき姿なのだろうが、少女は恐怖を覚えた。皆心の底から笑っている。皆心の底から喜んでいる。それが当たり前のように、なんの疑問も持たず生活しているように見えたからだ。彼女の本能が、ここは危険だと激しい警告音を鳴らした。今まで幻想的に見えていた空間が、町が、世界が、とても恐ろしい何かに見えてしまって、少女は目をしっかりと閉じた。だが、視界が閉じられたことによって、それ以外の感覚はより強まってしまう。聴覚が、嗅覚が、触覚が――感覚の全てに、この世界が染み込んでくる。耳を塞いでも、息を止めても、それでもなおあの電波がバリバリと皮膚を刺す。<br>　堪らなくなって、少女は駆けだした。何処かこことは違う、何処かへ行きたくて、辛くて、泣きたくて、感情が溢れだしそうで……、無我夢中に少女は逃げ出した。</font><br><br><font size="2">「どうだ、第一回脳死検査の結果は。」<br>「駄目です、誰も反応がありません。」<br>「なら、例の少年はどうした？彼もなのか？」<br>「ええ、反応はありませんが。」<br>「なら、絵は何か変わっていないか？」<br>「絵……町の絵に、人がいたようですが……。」<br>「そうか、人がいたか……。」<br>「奇妙ですね、先生。彼のような状態に皆陥るなんてことがあるのでしょうか？」</font><br><br>　<font size="2">彼女が電波さえ感じなくなって、ようやく目を開けたのは、町から何kmも離れた頃であった。何も感じなくなって、安心したと言えるかは微妙であるが、彼女にとってはあの状況より遙かにマシであった。</font><br>　<font size="2">何もない、白い空間――また元の空間に戻ってきてしまったのかと一瞬少女は焦ったが、そうではなく、少し歩いた先に小さな診療所があった。白い空間に白い診療所。いささか奇妙な光景だったが、少女はホッとした。さっきまでいた町とは違い、そういった恐ろしさはなかったから、今まで見てきた建物とは違い輪郭がはっきりしているから、理由は分からないが、とにかく、少女はホッとして、白いドアを開けた。</font><br>　<font size="2">ドアを開けた先には、やはり、白い壁に白いベッドがある。ここがとても小さな診療所であることを実感して、少女は溜めていた息をフーっと吐く。そして、物音一つしない空間に少女はこう声をかけてみて、反応を待つ。<br>「誰かいますか……？」<br>しばらく待っても誰も来ないため、半ば諦めていたとき、ベッドの中から白い服を着た少年がモゾモゾと起きてくる。少年は肌も白く、病気でもしているかのような様子だった。　<br>「君は……？」</font></p><p><font size="2">少女がそう問うと、少年は起き上がり、診療所に唯一ある小さな窓を見ながら突然こう言った。</font></p><p><font size="2">「僕には名前はないよ。この世界では。僕も。他の人たちも。そして君も。皆、名前なんてものはないんだ。あるのは抽象的な――少年、少女。男性、女性。そんな、ぼんやりとした名前しかないんだ。」</font></p><p><font size="2">少女には、少年の言っている意味がわからなかった。解ろうとしても答えはスルスルと捕まえようとした手から逃げて行く。そんな少女を気にも留めずに、少年はこう続けた。</font></p><p><font size="2">「この世界では、皆、幸せなんだ。不幸なんて一つもない。この世界にいれば、皆幸せなんだ。自分の夢が叶う。平和な家庭、お店を開く、汗水流して働く――。そんな夢が、誰でも平等に叶うんだ。町にいた人々の顔を見たかい？皆キラキラと顔を輝かせているだろう。あれは、皆自分の夢が叶っているからなんだよ。だからさ、君も……ね？」</font></p><p><font size="2">　そう彼が呟くと、ベッドの横にあったコンロで、やかんを温め始めた。やかんを包む炎はとても綺麗で……とても赤くて……炎……燃えて……！！！</font></p><p><font size="2">　少女は……瞬間のうちにすべてを思い出した。自分のことも。直前までのことも。そして、一つのビジョンを浮かび上がらせた。</font></p><p><font size="2">　あそこは……家だ。家が……燃えているのだ。少女の家は――燃えてしまったのだ。そしてその中に、彼女は……優衣はいたのだ！！！</font></p><p><font size="2">「ああああああ！！！あ……あ……あ……。」</font></p><p><font size="2">「どうしたの！？」</font></p><p><font size="2">「私の家が……私の……私の……」</font></p><p><font size="2">そうなのだ。優衣の家は、燃えてしまったのだ。誰かが……優衣の家に、火をつけた。個人的な怨恨か、はたまた、悪戯でやったのかはわからないのだが、誰かがやったのである。両親は家におらず、優衣ただ一人のときに、炎は燃え上がった。そして優衣は煙で気を失い……病院に運ばれたのだった。</font></p><p><font size="2">「……そうか。優衣。全部思い出してしまったんだね。こことは違う……。現実世界の記憶を。」</font></p><p><font size="2">少年はそう言うと、優衣が落ち着くのを待ってから、こう語り始めた。</font></p><p><font size="2">「実はね、僕は君がここに来るよりずっと前から病院にいたんだ。意識はなくて、白い空間をただ漂っていたんだ……。だけどある時、僕は右手だけは現実世界で動かせることに気がついたんだ。僕の右手は、キャンパスを求めた。この何もない空間に何かを置きたかった。白を、いろんな色でごちゃ混ぜにしたかったんだ。病院の人たちは、僕の仕草を見て、キャンパスをくれたよ。そしてこの空間、死に一番近いこの“夢”という空間に町を創りあげたんだ。」</font></p><p><font size="2">「死に……一番近い……“夢”？」</font></p><p><font size="2">「多分、君は最初にその空間を見たんじゃないかな。そしてたまたま僕の世界に通じるドアを見つけた。一歩間違えれば……花畑に囲まれて、川を渡っていたと思うんだ。」</font><font size="2"></font></p><font size="2">優衣は彼の言おうとしていることがなんとなく分かった。あの最初にいた空間は、所謂三途の川だとか、綺麗なお花畑と同系列にある空間だったのだろう。<br>「僕はね、君のことをよく覚えているんだよ。君はもう覚えていないかな？昔近所に住んでいた病弱な男の子を……？」<br>優衣は記憶のバケツから、スコップを使ってその記憶を掘り出した。多分、いた。いや、絶対いた。あの男の子の名前は――<br>「まさか、さとる君！？」<br>「よかった、覚えていてくれたんだね。そうさ。僕はさとる。悟さ……。」<br>優衣の記憶から、彼の記憶が溢れだしてきた。幼稚園から、小学校まで一緒にいたさとる君。ある日いきなりいなくなって、それから学校にも、家にも来てくれなくなったさとる君……！<br>「悟君……ずっと、悟君は病院にいたの？」<br>「うん。とても、とても長い間。時間の概念なんてとっくのとうに忘れてしまったよ。」<br>優衣は、ここは死に一番近い場所なのだと思いだして、悟は、つまりずっとこの空間にいたのだと理解した。――そしてなんだか、とても彼が愛しくなった。<br>「悟君、……悟君！」<br>「君がそうやって呼んでくれたのはいつぶりだい？ああ、懐かしいね、何もかも。」<br>彼は背も、声も、何もかも変わっていたが、眼は、その優しげな眼だけは少しも変わっていなかった。優衣はその、悟の眼を見て、とうとうワッと泣きだしてしまった。<br>「まったく。君は泣き虫だなぁ。でもね、ここにいれば、そんな辛い感情すぐになくなるさ。だって、ここは“夢”の世界なんだから、ね？」<br>そうやって、悟はニコッと笑いかけたが、優衣には逆効果だった。彼が、遠い、遠い何処かへと行ってしまった気がして、そして恐怖を感じた。何も感じない、幸せしか感じない、死に一番近い世界でずっと過ごすと思うと、さっきまでとは違う涙が溢れてくる。<br>「……ねぇ。」<br>「どうしたんだい？優衣。」<br>悟は笑みを少しも崩さなかったことが、余計に怖くて、鼻声になりながらも、彼女はこう尋ねた。<br>「もう……こんなとこ、出ようよ……。」<br>その一言を聞いた悟は、先ほどまでの笑顔と打って変わって、鬼のような形相でこう怒鳴った。<br>「何を言っているんだ！ここを！出たって！いいことなんて！何も！何も無いんだ！！！君はそれがどうして分からない！？」<br>「私、嫌なの……幸せしか感じない、ここが、嫌なの……。だから――現実に帰ろう？」<br>「現実なんて！嫌なことしかない！いいことなんて何も無いんだ！！だから！！！だから！！！ここに皆で一緒に暮らすんだよ！！！君が望むことなら何だってする！現に君のためにこの町に人々を集めた！僕らはここで過ごす限り悩み事もないんだ！嫌なこともないんだ！」<br>「私と出会ったことも……嫌なことなの？」<br>「ッ！？」<br>「ねぇ、私のこと、嫌いなの？私と出会ったことも、私とお話したことも、私と遊んだことも、全部、全部嫌なことだって言うの？」<br>「そ、それは……。」<br>「現実には嫌なことしかないなんて嘘。いいことも、あるの。嫌なことがあっても、いいことが打ち消して――ううん、落ち込んだ分それが倍になって気分を明るくしてくれる。幸せだけじゃ、駄目なの。辛いことも、幸せなことも、両方あるからこそ“生きている”ことになるの。……ここから、出よう？」<br>優衣は涙で滲んでしまった視界越しに、悟を見た。涙でぼやけていても、彼の輪郭ははっきりと分かる。そして、彼のために、こう言った。<br>「好きだよ……悟君。」<br><br>「先生！大変です！患者が――患者さんが！」<br>「……どうした。」<br>「患者さんが……全員意識が回復しました！！！」<br>「なんと……信じられん。これは本当に現実なのか？」<br>「私もそう思って、点滴を自分に打ってみたのですが――嬉しいことに、現実だったようです。」<br>「ああ、ああ、なんと素晴らしきかな、この世界は！」<br>「先生！患者さんの様子を見に行きましょう！今すぐに！」<br>「行こうじゃないか、奇跡を見るために！」<br><br>優衣は、自分が輪郭のある白い部屋にいることに気がついた。天井も、床も、すべて白一色に染まったここに、病室に、優衣はいるのだ。<br>「優衣……！」<br>ふと横を見れば、両親が目を大きく見開いているのが見えた。目から、涙がこぼれるのも気にせず、両親は何度も優衣の名を呼び続けた。<br>「どうだね、体調は。」<br>そこへ、医師と思わしき一人の老人が病室に入ってきた。あまり髭を伸ばしていない医師は、顔のしわも薄く、とても若く見える。<br>「おかげさまで……先生、ありがとうございます！」<br>「礼なら、彼女自身にしてやってくれ。私たちはできることをやった。彼女はそれに答えてくれた。ただそれだけのことだ。」<br>そう言うと、医師は隣のベッドをチラッと見た。隣のベッドにも、中学生ぐらいだろうか、男の子が眠っている。彼の右手には鉛筆が握られ、その先にはキャンパスが立てかけてある。そのキャンパスには町と、人の絵が描かれていたが、全て黒く塗りつぶされていて、美しかったであろうその絵は役目を終えていた。<br>「大丈夫かね、少年。」<br>医師がそう尋ねると、少年は医師の方に顔を向けた。その顔に見覚えがあって、優衣は思わず声が出そうになる。少年は、――悟であった。<br>「はい。なんだか……長い夢を見ていた気がします。」<br>「君はもうここで、何年も。何年も眠っていたのだよ。何年も、絵を描き続けて。」<br>「そう……ですか……。」<br>悟は驚いた顔をして医師の顔を見たが、視界の端に映った優衣の顔を見て、さらに驚きの声をあげた。<br>「優衣……優衣じゃないか！」<br>「悟君！」<br>二人はしばらく見つめあっていたが、やがて悟のほうがクスクスと笑いながら、こう言った。<br>「そうだね、――あれは、夢だったんだね。」<br>悟の一言を聞いて、優衣はクスリと笑って、こう答えた。<br>「そうだよ、全部、夢だったんだよ。」<br><br><br><br><br>end</font>
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<link>https://ameblo.jp/goru000/entry-11625747020.html</link>
<pubDate>Tue, 01 Oct 2013 17:23:32 +0900</pubDate>
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<title>設定集</title>
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<![CDATA[ <p><font size="3">えー、今回はですね、今描いている小説の設定についてだらだらとゆるーい感じで語っていこうと思います。まだ本編も始まっていない上、おそらくほかのサイトに移転するとは思いますが、軽く書いていこうかな、と。</font></p><p><font size="3"><br></font></p><p><font size="3">まず主人公のソラ・タカザキ君ですが、正直あんまよく考えてないです。さすがにサブキャラよりは考えてますけど、ほとんど蚊帳の外です、ストーリーより優先度低いです。そんな彼、ソラ君は冷静、というかあまり喋らないタイプの人です。周りの人にとっては。本編でも序章の「攻撃」まで一言も喋ってませんしね。でも、その分心の中は結構喋ってます。俺と真逆ですね、ハイ。それでいて、弟が好きです。ブラコンじゃないです。純粋に家族として愛しているいい子です。後、容姿については決めていません。それはほかのキャラクターもだいたい同じです。ただし艦長を除く。これ以上書くことないんで、彼の解説終わり。</font></p><p><font size="3"><br></font></p><p><font size="3">次に弟のリュウ・タカザキ君。名前は当時あんまよく考えていないせいでこんな名前です。鳥とか翼へのこだわりは序章からスタートです。んで、リュウ君は、ひ弱といいますか病弱で、肌白いです。外出れません。でも、頭脳に関して言えば並外れています。兄貴とは大違いです。もちろん、兄も頭は軍隊は入れるぐらいに良いわけですが、リュウ君が頭一つ抜けてます。一言でいえば天才です。生きていれば、将来は世界を揺るがす大発見をしていた可能性が高いです。生きていれば。</font></p><p><font size="3"><br></font></p><p><font size="3">とりあえずキャラの解説終わり。次世界観。</font></p><p><font size="3"><br></font></p><p><font size="3">この小説の世界ですが、年代的には今から100～200年後ぐらいです。食料問題とか燃料問題、原料問題は解決してます。じゃなきゃストーリーが進みませんから。んで、地球保護軍と呼ばれる国連軍の進化形みたいのがいます。この地球保護軍はどこの国にも属さない独立軍です。主に内戦の鎮圧、さまざまな研究を行っています。ソラ君の愛機アルバトロスも、もちろん軍の開発です。ただこの地球保護軍、力を持ちすぎたため事実上の世界の支配者になってます。黒幕です。悪役です。ゲス野郎です。だからこいつらを倒すのが今回の目的です。彼らが作った人道的にアレな兵器たちをなんとかするのも目的です。</font></p><p><font size="3"><br></font></p><p><font size="3">人類抵抗軍ですが、彼らは元々はただのビラ配り集団でした。しかし、本編にあったような経緯で、最終的には一つの国を造るまでに至りました。基本的には軍人たちは地球保護軍に反旗を翻した軍人たちです。けっこー強いです。国民たちも人類抵抗軍に共感してついてきた人がメインです。</font></p><p><font size="3"><br></font></p><p><font size="3">以上で世界観とか終わりだと思います。最後に兵器たちその他。</font></p><p><font size="3"><br></font></p><p><font size="3">まずメイン機のアルバトロスちゃんです。この戦闘機は全体的に白を基調としてところどころ水色やら黄緑色やらが入ってます。ボディはざっくり言えば中心に食べ物が詰まった食道みたいな感じです。食べ物が詰まったところにつららが二つくっついてます。原画もあったはずですが多分なくしました。すまない。あ、あった。記憶と形違う。まあ、記憶の方が正しいんです。第一原画なので仕方ないです。キャノピーはR-TYPEっていうゲームの自機のキャノピーパクリました。だいたいそんな感じです。設定としては、アルバトロスは本編にもあったようにボディをパージすることによってダメージをパーにすることができます。しかも新しいボディを送れば戦闘続行可能です。アンパンマンみたいですね。その分重要な機器類はヘッドのキャノピーに密集してます。それでもあんまり大したもの入っていないうえ、世界は今より確実に進化しているのでだいぶ安いです。キャノピーが一億、ボディは1000万ぐらいでしょうか。あの世界でも戦闘機は十億弱するのでかなり破格の価格ですね。攻撃方法はつららの先から出るレーザーだけです。弾薬とかはボディをパージするときに爆発してキャノピーごと塵になるのを防ぐため入っていません。せっかくのパイロットが消滅しちゃうでしょ。レーザーはボディの膨らみ部分にあるレーザー照射装置から照射され、つららの中で何回も反射してエネルギーが溜まっていき、つららの先を開けることで敵へと向かっていきます。車のライトに近い感じです。ただ、ある程度チャージするとレーザーのエネルギーが高まり、高温になります。そのためある程度エネルギーが高まると自動的にレーザー照射が終わります。発射するまでレーザー照射はできません。しかし高温なので安物のボディは融けちゃいます。だから本編でレーザーを撃った後ボディをパージしたんです。多分あれ以上チャージしたら、キャノピーごと融けちゃいますね。で、そのレーザーのための電力はどこから来るのかといいますと、以外にも風力です。ボディの前方に空気を取り込むところがあって、風を取り込むと中の発電機が回って発電します。クリーンエネルギーです。そしてその風は方向転換にも使います。風の出口は後方にあって、そこの出口を片方塞いで方向転換します。クリーンですね。エンジンは普通に燃料使いますが。後はつららの部分は普段は前方を向いていますが、後ろに向けることができます。後ろの敵も倒せます。そしてボディ自体も回転します。キャノピーの中は回りませんが、それ以外の部分はグルグル回すことができるので回避に使えます。基本的にボディは縦の状態で、正面から見ると魚みたいに薄っぺらいです。しかし回転させることで今の戦闘機のような状態にできます。収納時、横だと艦載可能な数が減ってしまうという理由から、ハンガーをかけるみたいな感じで戦艦に乗ってます。ボディたちもそんな感じで乗っていて、その風景はさながらクローゼットに並べられたスーツみたいです。しかし、被弾してもまたボディをつけて戦えるというのは、パイロットを殺さずにすむ素晴らしい機能であると同時に、裏を返せばパイロットを再利用できるということです。さすが地球保護軍。ゲスいですね。</font></p><p><font size="3"><br></font></p><p><font size="3"><br></font></p><p><font size="3">長くなってしまいましたが、以上で軽くゆるーい解説を終わりにします。本編とテンション大分と違いますが、それは御愛嬌ということで。</font></p><p><font size="3"><br></font></p>
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<link>https://ameblo.jp/goru000/entry-11603166143.html</link>
<pubDate>Fri, 30 Aug 2013 18:54:26 +0900</pubDate>
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<title>序章「惨劇」</title>
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<![CDATA[ <p><font size="3">この翼は、囚われている。</font></p><p><font size="3">争いという鎖に、強く繋がれている。</font></p><p><font size="3">その鎖から解き放つには、この争いを終わらせるか、それとも……。</font></p><p><font size="3"><br></font></p><p><font size="3">「こちら地球保護軍所属、形式番号MW</font><font size="3">-1 アルバトロス。着艦許可を願う。」</font></p><p><font size="3">「了解。ただししばしそこで待機せよ。こちらから人を送る。」</font></p><p><font size="3">ふと気がつけば、俺の目の前には巨大な戦艦・・・いや、空母があった。</font></p><p><font size="3">この空母は軍のデータによると、「AS-7 ゼータ」というらしい。</font></p><p><font size="3">遠くからでは戦艦と見間違えるほどの巨大な主砲、そして隠密性に優れるスカイブルーのボディ。この船は人類抵抗軍の旗艦とあって、軍のシミュレーションでは大型艦のシミュレーションに使われている。シミュレーションで何度も落とした相手だが、実物を見ると、その巨大さに主砲が加わって威圧感を常に放っている。</font></p><p><font size="3">「おいそこの鳥さん。こちらゼータから派遣されたLH-9 ホークアイだ。貴機の武装解除を確認しに来た。」</font></p><p><font size="3">「こちらアルバトロス。武装はすでに解除している。早くゼータに入れてもらいたい。」</font></p><p><font size="3">「よーし、こっちからも武装解除が確認できた。もう着艦していいぞ。おーい、司令部！着艦用ハッチを開けてやれ！久々のお客さんだぞー！」</font></p><p><font size="3">「了解、アルバトロス、貴機の着艦を許可する、貴機から見て右側のハッチを開ける。着艦せよ。」</font></p><p><font size="3"><br></font></p><p><font size="3">着艦し、エンジンを切る。そしてコックピットから降りると、すぐに銃を持った連中が俺を取り囲んだ。敵軍から来たんだから当然と言えば当然の対応だが、さっきお客さんと言われた身にしてみればなんだか納得がいかない。</font></p><p><font size="3">すると奥のドアが開き、人が出てきた。</font></p><p><font size="3">「全員、銃をかまえるのをやめ。やあ、ソラ・タカザキ。あんたのことはもう調べてあるよ、とりあえずこっちへ来な。」</font></p><p><font size="3">「あ、はい・・・。」</font></p><p><font size="3">そういうと彼はすぐドアの向こうへ戻ってしまった。仕方がないので急いでドアへ向かう。</font></p><p><font size="3">しかし、何故彼は俺の名前を知っていたのだろうか。まさか、俺の乗っていた船にスパイでもいたのだろうか？それはない。じゃあ、いったいどうして・・・？</font></p><p><font size="3">そう考えながら歩いていると、思いっきりドアに頭をぶつけた。どうやらここの船はオートドアじゃないみたいだ。</font></p><p><font size="3"><br></font></p><p><font size="3">「おう、こっちだ。」</font></p><p><font size="3">そう言われ彼が指さした先には、一つの部屋があった。ドアには「艦長室」の札が付いている。</font></p><p><font size="3">「ちょっと歴史のお勉強の時間だ。少し長いが我慢して聞けよ？」</font></p><p><font size="3">「あの・・・あなたはいったい」</font></p><p><font size="3">そういうと俺の話も聞かず彼は通路の奥へと消えていった。</font></p><p><font size="3">仕方がないので、コンコンとドアをノックし、艦長室に入る。</font></p><p><font size="3">「失礼します・・・。」</font></p><p><font size="3">そこには黒いゆったりとした椅子に座った30代ぐらいの男性がいた。</font></p><p><font size="3">「おお、君がソラ・タカザキ君か。君の情報は既に収集済みだ。経歴、性格、戦果・・・。ありとあらゆることについてな。」</font></p><p><font size="3">そう言いながら立ち上がった彼は、強い眼光を放つ瞳をゆっくりとこちらに向ける。</font></p><p><font size="3">「あなたが艦長ですか？」</font></p><p><font size="3">「ああ、いかにも。私はオ・ストリッチだ。」</font></p><p><font size="3">正直、彼のような威圧感を放つ人間は苦手だ。どう話せばいいかわからない。</font></p><p><font size="3">「ところで・・・その、・・・先ほど通信で言っていた・・・徴兵、人体実験、軍・・・。いったい何のことでしょうか？」</font></p><p><font size="3">「よし、それじゃちょっと話をしよう。あれは20年ほど前だったかね。当時、軍の兵器開発研究部は地球上の生物を研究し尽くし、飽和状態に陥っていた・・・。しかし、彼らは気がついてしまった。たった一種、一種類だけ研究していない禁断の生物がいた事に・・・。」</font></p><p><font size="3">「・・・禁断の生物？」</font></p><p><font size="3">「そう。それは・・・人。人間だった。彼らは徴兵という名目で実験体を集め、様々な方法で人間を研究していった。そして、人体を利用した兵器の開発を進め、通称“デッドウェポンズ”を生み出してしまったのだ。」</font></p><p><font size="3">デッドウェポンズ。昔街頭演説でその名を聞いたことがある。人が多すぎてよく聞き取れなかったが・・・。人間の肉体をそのまま兵器に転用するとかなんとか言っていた気がするが、あれは本当の話だったのか・・・。</font></p><p><font size="3">「その事に気付いた私達は、人類抵抗団を作り、民衆に訴えた。しかし、明確な証拠に欠け、どうしても民衆の信頼を得ることはできなかった・・・。だが、その状況も、“彼”が私達の元に現れたことで一変した。」</font></p><p><font size="3">「“彼”とは・・・？いったい誰の事なんです？」</font></p><p><font size="3">「残念だが、それは教えられない。この軍に今も在籍こそしているが、それが誰かまでは本人と一部の人間しかいない。おっと、話がそれたな。“彼”が持ってきた情報は、民衆に衝撃を与えた。徴兵、そして名誉の事故死の真実。名誉の事故死とは、つまりは実験体になって殺されたということだったのだ。」</font></p><p><font size="3">「え・・・、じゃあ・・・俺の弟は・・・？」</font></p><p><font size="3">「・・・。そういうことになる。」</font></p><p><font size="3">嘘だ。ありえない。あいつが、あいつがそんなあっさり殺されるなんて！確かにあいつは体は弱かったが、誰よりも秀才だった。誰にも尊敬される人間だった。そんなあいつが、たかが軍の実験ごときで！</font></p><p><font size="3">「なんで！なんでだよ！なんで殺されなきゃいけなかったんだよ！？あいつが！リュウが！」</font></p><p><font size="3">「黙らんかッ！」</font></p><p><font size="3">「なんで・・・なんでなんだよ・・・ッ！」</font></p><p><font size="3">「まあいい、実の家族を奪われたんだ。そうなっても仕方がない。だが・・・憎しみだけならその身を滅ぼす。冷静に、奴らの事を知らなくてはならない。」</font></p><p><font size="3">「・・・。」</font></p><p><font size="3">「話を続けるぞ。その話を聞いた民衆は激怒した。それも、とても強く！民衆は私達に協力を申し出た。武装、食糧、情報・・・。ありとあらゆる物を民衆たちは提供してくれた・・・。そして、私達は人類抵抗軍を結成するに至ったのだ。」</font></p><p><font size="3">「そう・・・ですか・・・。」</font></p><p><font size="3">「話は以上だ。では、この艦の中の地図を渡す。お前の部屋はエリアBの2-5室だ。まずはそこへ行ってゆっくりするんだな。」</font></p><p><font size="3">そう言い終わると、艦長は部屋を出ていった。</font></p><p><font size="3">何故。何故弟は人体実験に使われたんだ？運が悪かった？違う。あいつは・・・頭が良かった。それも、ずば抜けて。もしかしたら、本当にただ徴兵されただけで、今は研究員として働いているのかもしれない。表向きは死んだ事にして、まだ狭い研究室の中で働いているんだ。ああ、きっとそうだ。そうに違いない。</font></p><p><font size="3">だが、現実はあまりにも重かった。</font></p>
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<link>https://ameblo.jp/goru000/entry-11579895267.html</link>
<pubDate>Thu, 25 Jul 2013 18:23:39 +0900</pubDate>
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<title>序章「攻撃」</title>
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<![CDATA[ <p><font size="3">ああ、空は青く美しい。どこまでも澄みわたり、太陽から降り注ぐ光は明るく大地を照らす。白い翼は、俺というブレインを乗せ、どこまでも飛んでいく……。</font></p><p><font size="3"><br></font></p><p><font size="3">「こちらアルバトロス。索敵に移る。」</font></p><p><font size="3">とはいえ、索敵をするもなにも、目の前には巨大な戦艦が多数浮遊している。そしてそこからは多くの戦闘機が飛び立っていく。その数、およそ2万といったところであろうか。</font></p><p><font size="3">対して、軍艦側に飛ぶ戦闘機は、アルバトロスただ一つだ。他の戦闘機は今全て地上の基地で修理を受けている。軍艦もたった一隻だけだ。正直、無駄な犠牲を払うよりかは、さっさと降伏した方がいい印象さえ受ける。</font></p><br><p><font size="3">「こちらWorld。アルバトロス、念のため言っておくが、降伏は許可できない。生き残りたいのなら全て沈めろ。それだけの力をアルバトロスは持っている。」</font></p><p><font size="3">「……分かりました。ボディをしっかりと用意していて下さい。この数では無被弾はほぼ不可能です。」</font></p><p><font size="3">「了解した。今この船にある全てのボディを発進体勢にしておく。ボディを破棄次第、ボディを送る。」</font></p><p><font size="3">これでボディの心配はいらないだろう。しかし、まずはあの戦艦たちを沈めなければならない。戦艦は、1.2.3.4.5...7隻のようだ。レーザー増幅装置の出力をフルパワーにし、来るべき時に備える。</font></p><p><font size="3"><br></font></p><p><font size="3">話によれば、アルバトロスのレーザーの最大出力は核に匹敵するらしい。戦艦を沈めることなど、朝飯前だろう。</font></p><p><font size="3">そうこう考えているうちに、レーザーの最大出力に到達した。俺は戦艦と戦闘機が一番密集している所に機首を向け、狙いを定める。そして……</font></p><p><font size="3"><br></font></p><p><font size="3">アルバトロスによって圧縮されたレーザーはボディを熔かしてしまうほどの強力な熱を放ち、戦艦の元へ飛んでいく。その力は空気を裂き、獲物を狙う狼のように一直線に飛んでいく。そして戦艦の元に到達すると、戦艦は当たった所かo音もなく消し飛び、最終的には旗艦と思われる一隻とわずかな飛行機が残っていただけであった。</font></p><p><font size="3"><br></font></p><p><font size="3">「よし、上出来だ！こちらWorld、これよりボディを送る。残りわずかとはいえ連中も強敵だ、気をつけろよ。」</font></p><p><font size="3">「了解しました。一応食堂のおばさんに頼んで焼き鳥を作ってもらっておいて下さい。」</font></p><p><font size="3">「わかったわかった。ちゃんと食堂のおばさんには頼んでおくから、その分きっちり戦火をあげて帰ってくるように。」</font></p><p><font size="3">安心して通信回線を切ると、新しいボディが送られてきた。残ったコックピットとボディは、まるで元からそうだったかのように一つにくっつき、新たな翼となった。</font></p><p><font size="3"><br></font></p><p><font size="3">そのとき、突然通信が入ってきた。</font></p><p><font size="3">「こち・・・抵抗軍・・・戦闘機・・・貴様・・・保護軍に・・・本当に良いのか？」</font></p><p><font size="3">「この周波数は……人類抵抗軍！いったい俺に何の用だ！」</font></p><p><font size="3">「お前・・・周りで・・・徴兵・・・いるか・・・それは・・・軍・・・人体実験・・・」</font></p><p><font size="3">「何を言っている？徴兵だとか人体実験だとか、いったいどういう意味だ！？」</font></p><p><font size="3">「知りたければ・・・我々の・・・来い・・・全てを・・・そう・・・さあ・・・来い・・・」</font></p><p><font size="3">「アルバトロス！それは罠だ！そんな誘いに乗るんじゃない！」</font></p><p><font size="3">徴兵……人体実験……軍……ああ、それは本当だったのだろうか。俺には分からない。ただ一つ、たった一つだけ言えるのは……俺は地球保護軍にいるべきではない。彼ら……人類抵抗軍に付くべきだと。</font></p><p><font size="3"><br></font></p><p><font size="3">エンジンの出力を高め、俺は、彼らの旗艦へと羽ばたいていった。</font></p><p><font size="3"><br></font></p>
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<link>https://ameblo.jp/goru000/entry-11570335740.html</link>
<pubDate>Thu, 11 Jul 2013 00:41:14 +0900</pubDate>
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<title>序章「出撃」</title>
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<![CDATA[ <p><font size="3">あれから、もう10年は経っただろうか。気がつけば、俺は大人になっていた。</font></p><p><font size="3">両親は今もあの家に暮らしている。あいつ―――リュウのいたあの家に。</font></p><p><font size="3">手紙には「名誉の事故死」と書かれていたが、そもそも事故死に名誉なんてあるのかは分からない。地球保護軍の連中は、極悪非道な実験をしているだとか、実は徴兵された人のうち三分の一ぐらいは脳味噌だけになって実験されているだとか、根も葉もないうわさ話が飛び交っている。もしかしたらあいつもそういった徴兵の一人なのかもしれない。</font></p><p><font size="3"><br></font></p><p><font size="3">そして俺は、その忌まわしき地球保護軍に所属している。俺達からリュウを奪ったあの軍に。</font></p><p><font size="3">今は、軍の開発した最新鋭の軍艦「World」の中で、試作機のMW-1 アルバトロスのテストパイロットをしている。このアルバトロスという機体は、それまで戦闘機の宿命であった「被弾をした場合、ほぼ間違いなくその機体はパイロットも含め使い物にならなくなる」という欠点を低コストのボディを被弾の度に破棄、新しいボディを補給する事によって解決したのだという。そして、テストをしていてまず驚かされたのが、レーザー発射装置が前後に回転するという事だ。これにより、前後の敵に対応する事ができ、ドッグファイトで後ろを取られたとしても大丈夫であるらしい。</font></p><p><font size="3"><br></font></p><p><font size="3">今日はテストもないようで、軍艦の中はとても和やかなムードに包まれている。俺はこういった日には愛機のアルバトロスのボディを清掃している。所詮使い捨てのボディに清掃など無駄だ、そんなことを言われたら何も言い返せない。それでも、なんとなく常に綺麗にしておきたかった。アルバトロスの優雅な翼を穢さないために。</font></p><p><font size="3"><br></font></p><p><font size="3">その時、突然サイレンが響いた。どうやら最近軍に盾つく「人類抵抗軍」の艦隊がこの軍艦を落とすためにやってきたらしい。緊急発進せよ、とのことで、俺はアルバトロスに乗り込む。コックピットの中に入り、エンジンを始動させる。そして同時にレーザー増幅装置のスイッチを入れ、アルバトロスがいつでも攻撃できるようにレーザー口の安全装置を解除する。これで準備は万全だ。</font></p><p><font size="3">アルバトロス特有の高いエンジン音が響き、機体を留めていた拘束装置が外れる。俺は加速レバーを押しこみ、軍艦の発進許可を確認して、軍艦から空へと飛び出す。</font></p><p><font size="3"><br></font></p><p><font size="3">俺は今、この広い空で自由に羽ばたく鳥になった。空は青く美しい。その青に向かって、俺は突き進む。この、アルバトロスの翼を借りて。</font></p>
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<pubDate>Thu, 11 Jul 2013 00:05:24 +0900</pubDate>
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