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<title>文学少女東京浪漫譚</title>
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<description>上京してきたばかりの文学少女の日々の端書。</description>
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<title>心を、分け与えるように</title>
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<![CDATA[ <br><p>さて、私のそちら側の日常についてはもうこれぐらいで良いとして、こちら側の生活について語りましょうか。</p><br><p>ええ、お気づきの方もいらっしゃるようにわたくしは月湖です。</p><p>主に物語の紡ぎ手の方であります。</p><p>咲夜が日常の苦しみに嘆く傍らで、わたくしは新しい創作について考えあぐねいていました。</p><p>それは中学も一年の折、私はまだ幼き（といっても私服のときにＯＬに間違われる）黒髪ストレートの女子中学生だであった頃。初めて書きあげた中編小説（原稿用紙100～200前後？）を生まれて初めて小説賞に投稿した時のことでした。結局受賞にはかすりもしなかったのですが、編集さんからお電話を頂きそのときに云われた台詞は今でも忘れません</p><br><p>「君は、最年少の投稿者で　そして君の作品のテーマが一番、重い」</p><br><p>わたくしが投稿したのはライトノベル小説賞でした。</p><p>わたくしはライトノベルに人一倍熱いものを感じる性分で、あのお高くとまらず、けれど一突きにこちらの胸を打つ作品達のように書店から、その書籍という長い歴史のなかで、一瞬で消えてしまうような物語でも、今を生きる人たちに届いたら、そんな生きた言葉で、物語であったらなと思いました。</p><p>しかし、それとわたくしの作品がライトノベルに向いているかというのは、また別問題なのです。</p><br><p>この前のサイトで書き散らした、わたくしの言葉遊びのショートショート達を連ねた作品群があります。</p><p>某一般文芸の出版社で出版できるレベルだと云われた後に丁重にお断りし眠らせていた、風変わりで型破り、そして不思議で短い物語を今年、とうとうライトノベル賞に応募することにしました。</p><br><p>そしてこれがわたしのライトノベル書きとしての、最後の投稿になるのかも知れません。</p><p>今新しく書き始めた小説は、きっと一般文芸と呼ばれるものなのでしょう。</p><p>可能性を追求するために。</p><br><p>けれど変わり続けながら、変わらずにあるもの。</p><p>それを忘れてはいけないのだと思います。</p><br><br><p>そしてなにより、日々の生活がどんなに忙しくても。</p><p>他人がどんなに自堕落であっても。</p><p>それに囚われず流されず、物語を紡ぎ続けなければ。</p><br><p>わたしたちはそうしなければ、己のかたちを保ち続けられないのだから。</p>
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<link>https://ameblo.jp/goth91/entry-10577768946.html</link>
<pubDate>Wed, 30 Jun 2010 18:03:40 +0900</pubDate>
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<title>混沌と邂逅の一月</title>
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<![CDATA[ <br><p>うっかり一カ月近くも放置である。なにをしているのか。</p><br><p>しかしもちろん、なにもしていなかった分けではない。</p><p>新しいサークル、ではなく学内文科系サークルで一、二を争う程の硬派な放送研究部なる部活に入り、偉い先生を招いてのアナウンサー講習を行い未知の世界との邂逅を果たしたり社会で女性にとって必要なマナー等を学んだりした。寿司屋と騙されてただの居酒屋でバイトをしたりもした。酒の名も未だ良く知らない女学生が酒を作りの割合や分量、果ては使用するグラスにまで翻弄された。店の厨房は店長以外が皆中国人で、おまけに四階建ての店内を各フロアでは一人ずつ切り盛りしなければならなかった。驚くことに研修期間はなかった。オーダーをとり、ドリンクを作り、料理を上の厨房に頼む。料理用エスカレーターを使いこなし、料理を運ぶ。またオーダーを受け、皿を下げ、その皿を洗う。またオーダーを受けながら上から下りてきた皿も洗い上に送り返す。また酒を作る。材料が足りず走って三階先まで取りに行く。その間空になった自分のフロアでオーダーがあったら終わりである。学校帰りに七時間程こんなことをしていた。途中休憩を十五分貰えるのだが、時間内で１５０円の賄いを食す。かりにも海鮮居酒屋の賄いはカレーだったりする。毎回私だけは量を半分だけにして貰ったが、完食できたことはない。三分の一食べれれば良い方であろう。帰りは終電に間に合う為無駄に広い東京の駅構内を走った。私はバイトに出る度に一キロずつ体重が落ちて行った。しかし私を本当の意味で困らせたのは人間関係だった。そのバイト先では三人の男女がいたのだが私はフリーターの男女二名と一緒になることが多かった。これには困った。彼らには彼らの職務への美学があった。言ってしまえば『自分ルール』である。各フロアに行く事に決まりが違う。私は各階に行く度にそのルールに合わせた。しかし、彼らはまず自分の仕事を奪われることをなにより恐れた。それはこのバイト先には早上がりなる制度があり客が入らないと規定時間よりも何時間も早く上げてしまうことも原因だった。しかしなによりは、もう自分がした仕事にしか完璧とはいえまいというなにか良く分からない、仕事への尋常でない熱意があった。もっと正しく云うならば、自分のルールを守ることへの熱意が。また、店には唯一アルバイトとは称するよりはパートと呼ぶべき婦人がいた。店長よりも高齢というその婦人はバイトメンバーを越え、厨房の中国人にも評判は最悪だった。私も初日からの余りの彼女の態度や言動に閉口してしまったが、それは仕方がないことのようにも思えた。相手は自分よりもずっと年上の年配の女性である。幾ら子供っぽく、また性根が曲がりきっていようとも、その歳までそう生きてきた人間がそんなに簡単には変わることなどできない。故にこれに耐えるのは若い者の義務のような気がした。出来るだけ距離を置きつつ、どうしても避けれない時間は相手の神経を逆なでぬよう気を使うのだ。そうしているうちに、彼女はなにかと私を気にかけるようになってくれた。正直、その気にかけ方はお節介を超越した有難迷惑ではあったが、それに耐えるのもまた仕事の一貫である。しかし、周りのフリーター達はそうではなかった。職場で口汚く罵ったりするのを何度も聞いた。私を挟んで口喧嘩になってしまったこともあった。けれど一番閉口したのが店長だった。彼はバイト面接時に他のバイト生については頼んでいなにのに各人について語ったが、彼女については『居る』という一言で尽きた。嫌な予感はしたが、店長も彼女を良くは思っていなかった。それどころか嫌っていた。どんなに内心良く思っていなくとも、職場で。あわば彼女がいない朝礼で、年上である彼女をババアと言ってねめつけるのにははたはた困り果てた。それはどんなことがあっても自分が雇い続けている目上の女性に対しての言葉ではなかった。不満があるのならば解雇してからにして欲しかった。そして、彼女を解雇しても変わりのあてが直ぐにあるようではない職場を作っているのは彼自身である。私はその日バイトを辞める決心をした。</p><p>でも色々勉強になりました。将来のこととか、ちゃんと考える一つの機会になったのでとてもよかったです。<br>今は次のバイトの面接待ちであったりします。</p><p><br></p>
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<link>https://ameblo.jp/goth91/entry-10574860204.html</link>
<pubDate>Sun, 27 Jun 2010 14:45:35 +0900</pubDate>
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<title>あの日、落ちて行く君の腕を掴めなかった</title>
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<![CDATA[ <br><br><p>ありがとうございました。ショートショートの方公開終了させて頂きました。</p><br><p>本当はもっとはやく下げるつもりだったのですが、ここ最近ばたばたしていました。</p><br><p>主に新しい職場を探したり、レポートを作ったり、うどんをつゆからつくったり、小テストをこなしたり、洗濯の洗剤を変えてみたり、レポートを３０分で作成したり、掃除をしたり、小テストをこなしたり、新しいサークルを見学したり、パンケーキを焼いてみたり。今は静かに来週のバーゲンを待っています……心を鎮めながら。</p><br><p>ショートショートの方、どうでしたでしょうか？</p><p>文字数の関係で途中二枚にしたのが悔やまれます……</p><br><p>あれは高一の頃に携帯で書いたものでした。</p><p>懐かしい、あれから三年程経つのですね。</p><br><p>もし感想等ございましたらメッセ等にお願いたします。</p><p>好評でしたらこれからもたまに公開させて頂こうとおもいます。どうぞよろしく。</p><br><p>さて、明日もテストです。</p><br>
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<link>https://ameblo.jp/goth91/entry-10549586955.html</link>
<pubDate>Mon, 31 May 2010 00:18:47 +0900</pubDate>
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<title>電脳徒然帳上犯物語行予告</title>
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<![CDATA[ <br><p>毎日の生活に追われながらも作品作りは続く。</p><p>長編制作は七月までに２００枚が見込みである。</p><p>その間休まず毎日学校に通い家事をこなしサークルという寄り合い場所を決め、新たな賃仕事先を見つけねばならない。</p><p>当たり前と言えば当たり前。しかし日々とは、修行である。</p><br><p>それにしても、このようなブログと呼んで良いのかも微妙な記事を御覧の皆々様には感謝せねばならない。</p><p>その意を表して、旧サイトにて公開していたショートショートを明日一日程公開しようと思う。そして後悔しようとも思う。さて、どんな話が良いか。</p><br><br><p>淡い話が良いのか、不気味な話が良いのか、切ない話が良いのか……</p><p>てんで思いつかぬ。</p><br><p>はて。</p><br><br><br><p>どうぞ、立ち寄られた方の数分の暇潰しにでもなれれば、僥倖。</p>
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<link>https://ameblo.jp/goth91/entry-10545464274.html</link>
<pubDate>Wed, 26 May 2010 16:25:14 +0900</pubDate>
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<title>さあ、風よ吹け。嵐が来るぞ。</title>
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<![CDATA[ <br><p><br></p><p>月湖がまた新しい物語を書き始めた。</p><p>それは、突然のこと。</p><br><p>その日、彼女は寝付けず寝たり起き上がったりをベッドの上で延々と同居人のクマと繰り返していた。</p><p>それはちょっとした鬱と言ってもいいのかも知れない。一種の感情の濁流に彼女は呑まれていた。</p><p>時刻は午前二時。</p><p>そして突然彼女はベッドから起き上がると、ワードソフトを起動させて言葉を綴っていく。</p><p>明日は一限からある。</p><p>けれど彼女にサボるという概念は基本的に無い。</p><p>月湖は、身体が弱い。</p><p>徹夜しただけで、次の日心臓や体中が痛む</p><p>それでも、彼女は止まらない。</p><br><p>物語の始まり、冒頭の一文が書かれた。</p><p>世界の、始まり。</p><br><p>僕は、この瞬間を見るのが大好きだ。</p><br><br><p>以下、その数日間のサイトのメモ似て、月湖の言葉。</p><br><br><div class="subject">『脆弱な身体など知るものか、この魂の嵐こそがすべてだ』</div><br><p>明日一限からあるっていうのに、分かってるのに。嗚呼この湧き上がる物語を止められない。<br>熱もあって、弱ってる。弱ってるけど、この言葉を紡がなかったら私のなかの魂に傷がつく。<br><br>これ以上起きてたら身体に障る。今日は心臓も痛む。けれど、<br>もっと大切なものが傷つくくらいなら。<br>大切なものの為なら身体など削れても構いはしない。<br><br>短くても良い、短くても良いから、<br>どうか私を生かしてください。<br><br>私が生を感じられる仕事を。<br>私の生を感じられる仕事を。<br><br><br><br>私の物語を。</p><br><p><br><font size="2">　</font></p><div class="date"><font size="2">2010/05/21 (Fri) 2:12</font></div><div class="date"><font size="2"><br></font></div><div class="date"><font size="2"><br></font></div><div class="date"><font size="2"><br></font></div><div class="date"><font size="2"><br></font></div><div class="date"><font size="2">『此処は、寂しい。寂しい場所だ。寂しい場所で、見渡す限りなにもない荒野で立ち竦む。指を、伸ばす。嗚呼、その先は何処。』</font></div><div class="date"><font size="2"><br></font></div><div class="date"><font size="2"><br></font></div><div class="date"><div class="text"><font size="2">風が吹く。<br><br>すべて亡んで仕舞えという滅びの風。<br><br>生々しい傷跡と、静かな涙の匂いの風。<br><br><br>同じ色をしてるのに、まったく正反対の匂い。<br><br>死と、生の匂いの風。<br><br><br><br>この物語をどちらに運ぶ。</font></div><div class="text"><font size="2"><br></font></div><div class="text"><font size="2"><br></font></div><div class="text"><font size="2"><br></font></div><div class="text"><div class="date"><font size="2">2010/05/21 (Fri) 20:53</font></div><div class="date"><font size="2"><br></font></div><div class="date"><font size="2"><br></font></div></div><font size="2"><br></font><div class="text"><font size="2">『消えてなくなるまで』</font></div><div class="text"><font size="2"><br></font></div><div class="text"><font size="2">もっと、強く。息が出来ないほど。<br>濁流のなかで、喪失を味わうように。<br><br><br>そう、これが物語。<br>エンターティメントを剥ぎ落した。<br>剥き出しの物語。<br><br>野獣のように、茨のように、嵐のように。</font></div><div class="text"><div class="subject"><font size="2"><br></font></div><div class="date"><font size="2"><br></font></div><div class="date"><font size="2"><br></font></div><div class="date"><div class="date"><font size="2">2010/05/21 (Fri) 21:40</font></div><div class="date"><font size="2"><br></font></div><font size="2"><br></font></div><font size="2"><br></font></div><font size="2"><br></font></div><p><font size="2"><br></font></p><p><font size="2"></font></p><div class="date"><font size="2">書いてる彼女は、楽しいと言いながらも辛そうだ。</font></div><div class="date"><font size="2">けれど、彼女はやめようとしない。<br>何故なら、彼女は『生きたい』のだ。</font></div><div class="date"><font size="2"><br></font></div><div class="date"><font size="2">彼女が創造者なら、僕は観察者だ。</font></div><div class="date"><font size="2">僕はただ、彼女の生を見つめ続ける。</font></div><div class="date"><font size="2">観察者のまなこが曇らぬ限り。</font></div><p></p><div class="date"><br></div>
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<pubDate>Sat, 22 May 2010 22:19:16 +0900</pubDate>
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<title>文学少女ノ勧メ</title>
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<![CDATA[ <br><p>文学少女とは、なにより書に親しまねばならぬ。</p><p>活字を読むことは水を飲むことと同質でなければならぬ。</p><br><p>文学少女とは、ある程度美しくならねばならぬ。</p><p>本の虫として、本を読む者たちが腫れ物として扱われぬよう、</p><p>同胞たちのために、日々身嗜みに気を使い、月に数度は殿方に食事に誘われるくらいでなければならぬ。</p><p>しかし、好きでもない者に誘われても読書の時間を削るのは惜しい。</p><p>つれないそぶりで程良く断らなければならぬ。</p><br><p>文学少女とは、探究心をなくしてはならぬ。</p><p>好奇心は猫を殺す、好奇心は乙女を誘なう。</p><p>他者が首を捻ろうとも、心に引っ掛かりし疑問を何処までも追及しにいかねばならぬ。</p><p>乙女に解き明かされるその瞬間の為、謎は永遠という時をただ只管待ちわびている。</p><br><p>文学少女とは、心意気を持たねばならぬ。</p><p>物語を嗜むだけではなく、そこからまた自分の考えを強く持たねばならぬ。</p><p>活字に言うまま踊らされては真の読書家とは程遠い。</p><p>偉人の意見に対して自分の意見を持たねばならぬ。</p><p>己の道を歩くには、心意気がなければ足元覚束ぬ。</p><br><p>文学少女とは、不思議であらねばならぬ。</p><p>童女のようでもあり、老女のようでもあり、少年のようでもあり、</p><p>それでも人を魅惑する蠱惑的な微笑を嗜ねばならぬ。</p><br><p>文学少女とは、秘密を持たねばならぬ。</p><p>その身に内包する海、すなわち物語。</p><p>文学少女とは、その生き様が既に物語でなくてはならない。</p><br><br><p>文学少女とは、</p><br><p>　</p><br><p>文学少女とは、</p><br><br><br><br><p>文学少女とは、</p><br>
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<link>https://ameblo.jp/goth91/entry-10540214549.html</link>
<pubDate>Thu, 20 May 2010 20:37:48 +0900</pubDate>
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<title>私信です</title>
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<![CDATA[ <br><p>こちらのブログの方に、なんらかの（メッセ？コメ？にて）アプローチを下さった方。</p><br><p>大変申し訳ありませんが、メッセージの方、当方が読む前に月湖が消すという失態を繰り広げてくれました。</p><p>もしよろしければ再度送って頂けると幸いです。</p><br><br><p>そうとうな機械音痴です。</p><p>というか機械と著しく相性が悪い時があり、触れていないのに近くにあったＰＣを破壊したこともございました。</p><p>自動ドアにはよく察知されません。</p><br><p>この記事は数日後に削除致します。</p>
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<link>https://ameblo.jp/goth91/entry-10539516608.html</link>
<pubDate>Thu, 20 May 2010 00:18:09 +0900</pubDate>
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<title>暑い日には、すっとした風が背を通る話が読みたい</title>
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<![CDATA[ <br><p>どうして、こんなにいきなり暑いのか。</p><p>なので月湖が昨年の秋、ふと思い立って書いた端書を載せてみる。</p><p>故に季節感ガン無視。</p><br><br><br><br><br><div class="text"><br>　ひらり、陰が落ちる。<br></div><div class="text"><br></div><div class="text">　つと、書物から視線をやれば紅に衣を変えた落葉が何時の間に高くなった空からはらはらと降っている。<br>　古書の柔い白と滲む黒の優美な羅列に、それは実に艶やかであった。</div><div class="text"><br>「紅葉が降る衣を錦に喩えたのは誰であったか」<br>「藤原公任であろう」<br></div><div class="text"><br></div><div class="text">　ふと手元から今度は庭へと視線をやると、何時の間にやって来たのか学生帽を傍らに持った少年が庭に佇んでいた。<br></div><div class="text"><br></div><div class="text">「調子はどうだい」<br>「まあまあといった処だ」<br>「そいつは結構」<br></div><div class="text"><br></div><div class="text"> 彼は微笑むと黒い学生服を脱いで傍らに放った。<br> そうして静かに庭に歩を踏み始めた。<br> その横顔を眺めながら、ふと向かいの家が眼に入った。向かいといってもこの屋敷からは大分離れているのだ が、そういえば其処の住人のことを自分はなにも知らない。そう思い窓に視線をやった途端、さっと陰が揺れた。<br>窓を覆う白い布が締められ、なかの暗闇が遮られたのだと直ぐに気が付いた。残ったのはそこに佇む、白い壁。<br> 古びた洋館だけであった。　偶々であろうがその一連の出来事に些か私はどきりとした。<br> そうしてなんとも云い表せない、引っ掛かるような不快さと、僅かに背を掬う冷たさが残る。<br> 私は歩を踏む少年に尋ねた。<br></div><div class="text"><br></div><div class="text">「あの家には誰が住んでいる？」<br></div><div class="text"><br></div><div class="text"> 少年は私の問いに、その動きを一度、僅かに止めた。<br> 横顔の侭であったが僅かに瞳を瞬かせた気がしたが、またすぐに歩を進めた。<br></div><div class="text"><br></div><div class="text">「君の方が詳しかろう」<br></div><div class="text"><br></div><div class="text"> その声は僅かに笑みさえ乗せた明朗としたものではあったが、不思議と何処か謎めいて見えた。別段少年が面白がっていないことは判じられた。<br></div><div class="text"><br></div><div class="text">「私はなにも知らない」<br></div><div class="text"><br></div><div class="text"> お前の方が、私よりもよっぽど物を知っているではないかと言外に滲ませると、少年は今度は楽しそうにくつくつ喉を鳴らした。</div><div class="text"><br></div><div class="text">「そういうな」<br></div><div class="text"><br></div><div class="text"> 彼の靴が庭の土を踏む音が響く。<br></div><div class="text"><br></div><div class="text">「この家は君が継ぐのだ」</div><div class="text"><br></div><div class="text"> 秋の空から、紅の錦がひとひら、ひとひら、落ちてくる。<br> それを純白のカッターシャツに纏い彼は、肌寒くなった空気のなか、静かな庭で歩を踏み続ける。<br></div><div class="text"><br></div><div class="text">「それはなんだ？」<br>「それ？」<br></div><div class="text"><br></div><div class="text"> あまりにもそれが自然であったため、彼が踏むその不思議な歩みについて訊くのが遅れた。<br></div><div class="text"><br></div><div class="text">「ああ」<br></div><div class="text"><br></div><div class="text"> 意図を察したらしい少年は笑った。<br> そのすらりとした身体で、姿勢を傾けることなく、足を高くあげては交互に地を踏み。独特の歩数を繰り返し、また戻る。<br></div><div class="text"><br></div><div class="text">「これは兎歩だ」<br>「兎歩？」<br></div><div class="text">少年は頷く。<br>彼がたん、と靴底で踏む地面の音がなんだか心地よい。<br></div><div class="text"><br></div><div class="text">「久しぶりに練習して置こうと思ったのだ」<br></div><div class="text"><br></div><div class="text"> 右足から始まり、左、そして右、足を休め、今度は左から。ただ歩くだけの規則的な一連のその動きが、存外静謐かつ優美であり、神聖なものにみえた。寂れたこの広いだけが自慢の庭と、降る紅葉と、彼の切りそろえた黒き髪が揺れる。私は暫し黙ってその景を縁側の薄暗い処から眺めた。<br> 少年が、歩を踏みながら呟くのが聞こえた。<br><br>「今晩、これが必要になる」<br>「今晩？」<br><br> なにがあるのだ、と尋ねようとしたそのとき、僅かに強い風が吹いた。<br> 紅の錦達が踊り、ざっとこちらにやって来ては秋風と共に頬を撫でる。<br> ひらりと、その秋の錦は私の鼻を掠め、そうして風の誘う侭に通りすぎていった。<br> ふと後ろを見ると、ああと溜め息がでた。<br> 開け放した障子のなかも、紅錦が遊んでいた。<br> 其処は私の部屋である。<br> もう一度かたちだけの溜め息を尽いた。<br> しかしそんな仕草とは裏腹にそれは別段、其処まで厭うほどのことではないような気がした。<br><br>「寒いのか？」<br><br> 今度は先程よりも随分近い場所で声が落ちてきた。<br> 縁側に陰が落ち見上げれば、はらりと学生服が肩に掛けられた。<br><br>「そろそろ日が落ちる、なかに入れ」<br><br> 寄せた学生服から、僅かに甘い芳香がした。<br> 女にでも会っていたのか、と意地悪く揶揄してやる。<br> だがその眼を見ることは出来ず、私は縁側の檜の木目を眺める降りをして瞼を伏せた。<br> しかし彼はなんのことだと瞬いた後に、嗚呼と庭に引き返し、学生帽を掴んで戻ってきた。<br><br>「咲き初めだったから、貰ってきたのだ」<br><br> 帽のなかには鮮やかな青々とした茎に、可憐な白い花弁と芳しい清潔なる香りがした。<br> まだ若い寒水仙を帽子から出すと少年は差し出した。<br><br>「見舞いだよ」<br><br> 私はそれを受け取ると、小さく水仙の香り吸った。<br> それは肺を満たして、秋の空気にささやかな彩りを添える。<br> だがより切なく寂しくなるのは、やはり秋のせいか。<br> それとも夕暮れが悪いのか。<br><br>「やあ」<br><br> 少年は朗々として笑った。<br> 縁側に白い寝着の侭、書を読んでいた私の姿に咎めるでもなく彼は眼を細めて微笑する。<br><br>「随分、紅の錦を着込んだものだ」<br><br><br><br>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　一、紅葉<br></div>
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<link>https://ameblo.jp/goth91/entry-10537691972.html</link>
<pubDate>Mon, 17 May 2010 22:59:33 +0900</pubDate>
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<title>これがぼくの愛、これがぼくの心臓の音　きみにはわかっているはず</title>
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<![CDATA[ <p><br>昨日の夜、急に漫画が読みたくなった。</p><p>それも、とても深いテーマのもの。一筋縄ではいかない、人が誰しも生涯のうちに触れながらそれでも、目を逸らしてしまうようなテーマに、直向きに、ただ一生懸命に向き合う作品が読みたくなった。</p><br><p>そこで私は以前から気になっていた『トーマの心臓』を読むことにした。</p><p>私が詳しく語るべくもなく、不朽の名作と謳われる作品である。</p><br><p>私はフランス語の授業の後、友人と別れ学校の図書館で少しだけ新刊雑誌を物色した後、本屋街へとくりだした。下調べは、昨日のうちに終えてある。</p><p>向かったのは神保町の書泉グランデという本屋だ。初めて訪れたときは存外小さな本屋かと思ったが、ビルになっており建物そのものがすべて本屋なのだ。</p><p>これには東京に来たばかりの頃はとても驚いたものだ。</p><p>私の生まれ育った街で建物すべてが本屋だという店は一つしか知らない。後はどんなに皆広くとも古本屋以外は皆平屋の建物である。</p><p>今日は、グランデの地下に降りた。漫画本はどうやら地下にあるらしい、そこは池袋のジュンク堂と同じである。だが驚いたのは、どうやら地下には妖しげな本やＤＶＤが売られているスペースが隣接しているらしい。</p><p>地下に降りる階段の途中、最初は漫画のポスターが貼られているのに、次第に妖しげなポスターが増えてくる．何処かに迷い込んでしまったかのような、錯覚。これから買う本が、まるで有害図書であるかのようで、くすりと笑ってしまった。有害であるもの程、人は魅かれてしまう。</p><p>だが東京の書店、そして名作。お目当ての本は直ぐに見つけることができた。</p><p>グランデ特有の洒落たブックカバーをかけて貰い、地下鉄のホームに降り電車を待ちながらさっそく読み始めた。</p><br><p>さて、完全なる読書には、いくつか作法がある。それは、読書家の拘りを何処まで追求するかだ。</p><p>あるものは物語に登場する音楽をかけながら読むし、あるものは上等な紅茶を入れてからページをめくる。</p><p>私が今回の読書にあたり拘ったのが、『トーマの心臓』が限りない名作故である。</p><p>漫画の名作は普通の単行本として出版された後、文庫化や愛蔵版、果ては完全版と形をかえ生まれ変わる。</p><p>出版される度に、本は様式を変え、荘重を変え、ページ数を変え、果ては収録する物語の量や話数さえも変わり往く。下調べとは、このことである。</p><p>現在市場に出版されている『トーマの心臓』は文庫版と完全版がある。</p><p>完全版の方は様々なイラストのカットが収録されているし、文庫本未収録の番外編的なストーリーも付いている。</p><p>これだけ云えば、大抵はならば完全版の方を購入すれば良いと思うであろう。</p><p>しかし、些かそうとも言えないのが読書の面白いところである。</p><br><p>これは私の個人的な意見であるし、一部の読者の考えなのだが、『トーマの心臓』を未読の方は、もしかしたら文庫版で先に読んだ方が良いのかも知れない。</p><p>というのも、完全版はたくさんのカットを網羅し収録する手前、どうしても物語の途中、途中でストーリーの流れを遮ってしまうのだそうだ。</p><p>このカットがストーリーの要所要所に挟まれることにより、物語から受けるイメージも色々と変化してしまう。</p><p>つまり、既に『トーマの心臓』を熟読している読者には、メインストーリー以外のショートストーリーも魅力的であれば、カットの一つ一つもゆっくり拝見したい。つまり完全版は大変魅力的なのである。</p><p>しかし、では未読の読者は？物語にまだ触れ合っていない読者は？となると、これはまた違った問題なのかもしれない。</p><br><p>なので、今回私は迷わず文庫本の方を購入した。<br></p><p>しかし、本来の原稿のサイズに近い形で出版される完全版は、やはり魅力的である。</p><p>私は絵を少し描くのだが、生原稿を見たことのある方なら分かるだろう、あの一コマに込められたニュアンスを、言葉を、意味を、登場人物の表情から伝わる、物語の流れを。</p><br><p>これこそが、私の読書の拘りである。</p><p>素晴らしい名作の為ならば、多少の出費は惜しめない。</p><p>まずは文庫本、そして完全版を。</p><p>私は、カットを作中に散りばめた出版社の意図も其処にあるのではないかと思う。</p><p>同じ物語を、今度は違ったニュアンスで。</p><br><p>きっと完全版にだけ収録されたショートストーリーは真に物語を愛する労を惜しまぬ者への御褒美なのであろう。</p><br><br><p>それにしても、金銭的に余裕のない学生であっても、それでもどうにか収集させようとさせる、素晴らしい物語だった。</p><p>願わくば、もっと若く、幼く、本当に生きることに苦しんだ、故郷に居た自分自身に読ましてやりたい作品だった。それだけを、残念に思う。</p><br><dl><dt><a href="http://click.affiliate.ameba.jp/affiliate.do?affiliateId=9880707" target="_blank" rel="nofollow" alt0="BlogAffiliate">トーマの心臓 (小学館文庫)/萩尾 望都<br><img width="97" height="140" src="https://img-proxy.blog-video.jp/images?url=http%3A%2F%2Fecx.images-amazon.com%2Fimages%2FI%2F217BW468NTL._SL160_.jpg" border="0" complete="true"></a> </dt><dd style="MARGIN: 0px">￥710 </dd><dd style="MARGIN: 0px">Amazon.co.jp </dd></dl><br><p>作品については、完全版もすべて熟読したうえでもう少し間を開けて語りたいと思う。</p><p>数十分前に読み終わったこの美しくも、各も『少年という人間性』を描きとったこの作品の余韻に、もう暫く浸っていたい。</p><p><br></p><br>
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<link>https://ameblo.jp/goth91/entry-10534699166.html</link>
<pubDate>Fri, 14 May 2010 18:00:53 +0900</pubDate>
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<title>老女のなかに眠る少女性</title>
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<![CDATA[ <br><p>さて、その嵐の日々のなか、常に不安であったことが、小説を書く時間がないということ。</p><p>そして、好きな本を思い切り読めないということだ。</p><br><p>さりとて、嵐を過ぎた今であっても学校に通い、課題をこなし、そして家事に励む日々の中、十二分に本を読む時間などないのだが、それでも今は一様、週に二、三冊は本を読める。</p><br><p>やはり、本を読むこと。そして、読み終わった物語へ想いを馳せること。</p><p>これぞ、文学少女の文学少女たる由縁であろう。</p><br><p>不思議なことに、一カ月の間新しい物語を与えられなかった身体は、活字に直ぐに馴染めない。</p><p>水の中を泳ぐときの、水が身体に乗る感覚。</p><p>水に乗るのではなく、水が乗る、あの滑るようになめらかに泳ぎ渡る感覚まで遠いのだ。</p><br><p>そんなとき、手に取る物語は、やはり堅実な作家のものがいい。</p><p>大好きだ、と云える作品が既にある作家。</p><br><p>そして、そのとき文章の美しい作品が読みたいと思った心から思った。</p><p>直ぐに頭に思い浮かんだのが、『家守綺譚』。</p><p>梨木香歩の作品にすることにした。</p><br><br><br><p>『エンジェル・エンジェル・エンジェル』</p><br><br><p>良い子であろうとする現代の少女（高校生ぐらい）の主人公が、痴呆の始まった祖母と同居する物語。</p><p>一方で戦前であろう時代の少女の視点で祖母との交流や女学校での生活が描写される物語。</p><p>この後者の戦前を生きる少女が、前者の現代に生きる少女の祖母であることが次第に分かって行く。</p><p>現代は黒のインク、過去は少し薄いインクで交互に物語は進み、次第に二人の少女はひとつの時代で交流していく。</p><br><p>これといって、あっ！という事件が起きるわけではない。</p><p>ただ日常を生きていくには少し心を嫌な感情に覆う出来事が両方の時代で起きて行く。</p><p>なんてことはない、けれど少女の感受性や若い精神はそんな出来事にも大きく苛まれる。</p><p>理屈ではない、陰り。心を覆う曇天のような蟠り。それらを、二人の少女は交流することで紐解いていく。</p><p>どちらの時代も、どちらの時代だけでは解決できない。</p><p>二つの時代が交わらなければ、癒されない傷。</p><p>奇想天外な出来事が起きるわけではない、実際に起こりそうな話であるに、それでも何処か幻想的。</p><p>なにより、梨木香歩の香り高い文章が彷徨う。そう、まるで少女の足取りで歩くように。</p><p>著者ならではの安定感が最後まで物語を誘う。</p><br><p>詩集のような独特なサイズ、美しい装丁。</p><p>時代が変わる事に代わる活字のインク。</p><p><font color="#000000">箱入りなところも、素敵である。</font></p><p>文庫本でも出ているのだが、敢えて単行本で買って欲しい一冊だ。</p><br><dl><dt><a href="http://click.affiliate.ameba.jp/affiliate.do?affiliateId=9862983" target="_blank" rel="nofollow" alt0="BlogAffiliate">エンジェル エンジェル エンジェル/梨木 香歩<br><img width="108" height="160" src="https://img-proxy.blog-video.jp/images?url=http%3A%2F%2Fecx.images-amazon.com%2Fimages%2FI%2F51r16todAUL._SL160_.jpg" border="0" complete="true"></a> </dt><dd style="MARGIN: 0px">￥1,470 </dd><dd style="MARGIN: 0px">Amazon.co.jp </dd></dl><br>
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<link>https://ameblo.jp/goth91/entry-10533670593.html</link>
<pubDate>Thu, 13 May 2010 14:11:08 +0900</pubDate>
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