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<title>短編小説</title>
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<description>ホラー、ギャグ、エロなどの短編を書いております暇つぶしにどうぞ</description>
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<title>エルーダーの日記</title>
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<![CDATA[ 僕は生まれて初めて自分の心境を文章にします。<br>今思うと何かがおかしくなったのはあの日記を書き始めてからだと思う。<br>僕は中学二年生で双子の弟がいます。一卵性なので見た目はそっくりです。しかし出来が違います。勉強の事です。小学生の頃はほとんど同じぐらいの学力でした。中学になってから聡太はとてもよく出きるようになりました。僕はそんなに出来ません。来年は高校受験です。親の態度もこの頃から変わり始めました。出来のいい聡太の方ばかりに期待をよせ僕には<br>康太も頑張ってね<br>こんな具合です。何もかも同じだった聡太と僕に差が出来たのだ。性格もほぼ同じ。なのにどうしてだろう？僕が変わったからなのか、聡太が変わったからなのか。<br>日記を書き始めたのはこの頃です。日記といってもただの日記ではありません。これは物語なのです。創作です。<br>内容はこんな感じです。<br>例えば今日実際に起こった事、学校で誰々と喧嘩をしてはらいせいに野良猫をいじめた、という事があったとする。僕は家に帰ってこの出来事を未来系に変える、<br>明日僕は学校で誰々と喧嘩をして野良猫をいじめる。という具合に。とくに何の意味もなくやり始めた。<br>本は良く読んでいたし自分でも書いてみようと心みた事は何度もあった。けどどうも面白くないし、書いてる途中で訳がわからなくなって途中でやめてしまう。<br>だったら実際に起こった事を小説風にすればいい。こんな具合で書き始めた。<br>すると小さい事だが面白い偶然が起こる事もある。明日起こりそうな事を過去形で書く。<br>体育祭で転んで僕は恥をかいた。<br>すると実際次の日の体育祭で転んで恥をかいた。<br>実際に誰でも起こりそうな事なので単なる偶然なのだがこうゆう事があると面白かった。<br>そんな風に僕は実際に起こった事をフィクションにしたかったんだ。そうゆう遊びをし始めた。<br>するとさらに面白い偶然が起こり始めた。僕はこれをスリーセブンと名ずけてかなりレアな偶然とした。<br>実際に起こった事、日記に書いた事、夢で見る事、この三つが全部一緒になるのだ。<br>細かくいうと違う部分もあるのだが大体一緒だ。このスリーセブンが揃った時はなにより面白かった。<br> <br>中三年生になり本格的に受験モードになってきた。聡太はますます勉強ができるようになり、僕は創作日記の方に力を入れるようになった。この辺りからそっくりな見た目も若干違いが出てきた。聡太の身長が僕より伸び始め顔も僕より精悍になっていった。身長の差は五センチになり、僕の顔は締まりがなく垂れ目で輪郭が丸くボヤッとして、髪の毛も何故か縮れてきた。一卵性の双子というよりただの兄弟、そのぐらいまで見た目に違いがでてきた。<br><br>中三の半ば辺りから僕は良く学校を休むようになって秋辺りから全く無登校になった。先生達は受験で忙しく僕に心配してる暇はない。親も最初の方は相当な心配をしていたが、聡太の事で頭がいっぱいで僕は事実上ほったらかし状態になった。<br>困ったのは日記だ。ずっと家にいるもんだから書こうにも書くことがない。そこで僕は夢と日記、この二つに絞った。見た夢を実際に起こった事のように書く、日記に書いた事が夢になって表れる。二つに絞ってから完全にこれが一致し始めた。家ではほとんど寝ていたので起こるといっちゃ起こりそうだった。<br><br>そしてここらが本題に入ります。<br>高校受験の日、聡太は朝早くに両親に見送られ受験会場に向かって行きました。僕はいつものように家で寝てました。高校受験は既に諦めて、将来に対するとてつもない不安に耐えきれずに睡眠時間は前よりずっと増えお風呂とご飯の時間以外は完全に寝てたのです。<br><br>その日の夢は妙だった。<br>内容がほとんどないのだ。どうゆう事かというと机に座って日記を書いてる僕を僕が見てる。<br>これでは実際に書く日記をどう書いていいかわからない。<br>この日は日記を書くのをやめた。<br>聡太が受験から帰ってきて両親と何か話していた。<br>出来はどうだったとかそんな感じの話しだ。<br>僕はなるだけ足音を立てないようにお風呂場に向かいお風呂に入った。頭がぼんやりする。<br>お風呂から上がり髪を拭きながら鏡をみた。<br><br><br>そこには幼稚園児のような顔の僕が写っていた。<br><br><br>目の周りをこすりながら勇気をだしてもう一度鏡を見た。<br>丸い輪郭クリクリの目、あどけない口元の僕が写っていた。<br>服を無茶苦茶に着て両親と聡太のいる居間に駆け込んだ。<br>おおおかあさん・・<br>ぼくのカオ・カオ・なんかへん <br>だよ・・<br>お父さんが僕の方を睨んでいた。<br>お母さんは下を向いてゆっくり首を左右にふって溜息をついた。<br>聡太は無言で紅茶をすすっていた。<br>口を開いたのはお父さんだった。<br>お前な、学校にも行かず受験も諦めて一日中寝てたんじゃおかしくなるぞ？<br>いいか聡太はな・・<br>お父さん！<br>お母さんが口を挟んだ。<br>康太、ちょっとウメちゃんの散歩に行ってきて。気分転換して帰ってきたらお話しましょ。<br>ウメちゃんというのは家で飼っている柴犬だ。もう一年近く僕はウメちゃんの散歩には行っていない。<br>激しい動悸がお母さんの言葉を聞いてちょっと落ち着いた。<br>僕はかなり遠くまで散歩に出かけた。気づいたらドンドン歩いてた。心臓も落ち着いてきた。<br>立ち止まって深呼吸してウメちゃんの顔を見た。息を荒げ屈託のない顔で僕を見てる。抱きしめたくなった。<br> 今からでも遅くない。聡太は聡太で僕は僕。来年、高校受験をしよう。帰ったらお父さんとお母さん、そうて聡太にもそう伝えよう。ウメちゃんを抱きしめようと顔を近づけた時ウメちゃんの目に写った僕の顔を見て心臓が跳ね上がった。<br><br><br>まるで赤ちゃんだった。一瞬写った僕の手も赤ちゃんそのものだった。<br><br><br>そこからの記憶はあまりない。<br>僕はウメちゃんをその場において全力で家まで走った。足がガクガクして力が入らなかったのだけは覚えてる。<br>僕は家でかなり暴れたらしい。<br>お父さんが車で僕を病院に連れていってくれて、それから四年たった今でも僕は病院に入院しています。あの日から僕は鏡はもちろん自分の姿を写すものは一度も見てない。<br>志望校に受かり今では大学生の聡太が昨日見舞いにきて<br> 大分老けたね。双子どころかもう兄弟にも見えないよ。<br>そういってお菓子と漫画を置いてった。聡太が一人で見舞いにきたのは初めてだった。両親も今では一ヶ月に一度ぐらいしか来てくれなくなった。<br>聡太がくれた漫画を読んだ。エルーダーのドアというタイトルだった。<br>奇妙な話の漫画だった。内容はこうだ。<br><br><br>殺人犯が警察に追われて民家に逃げ込む。しかしその民家にいたのは子供の頃の自分で、その子供が警察を呼ぼうとしたところをうっかり殺してしまう。<br><br><br>何か不思議な感覚に陥ったがそれが何かわからなかった。<br>柴犬のウメちゃんは僕が走っていくのを追いかけて車に轢かれて死んでしまった。僕のせいだ。<br>日記は今はかいていない。<br>書く気などまったくない。<br>ただ夢は何かがおかしいんだ。<br>以前とはまた違う。内容は普通なのだがどう見ても僕が二人いるんだ。僕が僕をみてる。顔も身体もハッキリ見えないのだがその人を僕は僕と思い込んでる。<br>今もう僕は全てがどうでもよくなった。逆にすがすがしいもんだ。<br>ずっとこの病院で暮らし親が死んだら自殺する。そう決めてる。<br>けど死ぬ前にもう一度僕は僕の<br>顔をみてみたいんだ。それだけだ。けど鏡を見る勇気はない。だからこうして書いてみた。<br><br><br>ＥＮＤ<br>
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<link>https://ameblo.jp/gudkit/entry-11891131539.html</link>
<pubDate>Tue, 08 Jul 2014 23:48:46 +0900</pubDate>
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<title>ココ</title>
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<![CDATA[ きゃっ・・なにこれ？また？<br>掃除をしていた幸恵が一瞬飛び上がった。カマキリの死骸がテーブルの下にあったからだ。<br>幸恵は一つため息をつくとティッシュで死骸をくるんでトイレに流した。<br>掃除を中断してコーヒーを入れリビングの椅子に腰をかけテーブルの上にある離婚届けを眺めた。<br>哀しくはなかった。もともと合わなかったのだろう。拓也と知り合った時は幸恵は３５だった。それまでも何人の男と付き合ったが全て上手くいかなかった。別れを切り出すのはいつも幸恵だった。今回にしても。<br>sexは全く好きじゃなかったし、どうしようもなく寂しくなり男に甘えたいなどという衝動も幸恵にはなかった。理由はわからない。<br>直そうと努力した事もあったがバカらしくなり直ぐ止めた。<br>しかし子供は好きだった。３５になった時は焦った。子供は絶対欲しいと思っていたからだ。そんな時、会社の同僚から拓也を紹介され、二人で食事を重ねるうちに出会って三ヶ月後に籍を入れた。<br>その三ヶ月後に妊娠が発覚した。<br>玄関の開く音がしたので離婚届けを食器棚の引き出しに隠した。<br>ただいまー<br>カノン、テーブルの下にカマキリが死んでたわよ。どうしてこんな事するの？可哀想でしょ？<br>カノンじゃないよ<br>じゃあ誰がやったの？<br>ココだよ<br>またかと思った。ココというのはカノンのお気に入りのパンダのぬいぐるみだ。<br>六歳のカノンには離婚という言葉は言ってない。これからはパパとは別々に暮らすとだけ伝えた。<br>毎日のように拓也と口論していた頃、元々大人しいカノンはほとんど家で喋らなくなっていた。<br>それを見兼ねて上野動物園に連れてった時、カノンはパンダを見て大はしゃぎをし、幸恵にパンダのぬいぐるみが欲しいとしがみつきながらおねだりした。<br>幸恵はホッとした。<br>仔犬ほどの大きさのやつを買って上げた。カノンはそれをココと呼び始めた。<br>カノンはココとよくお喋りをする遊びなどをしていた。<br>幸恵はそれを見てカノンに兄妹がいない事を可哀想に思ったし、産んであげられなかった自分を攻めたりした。<br>カノンがココと遊んでいる姿をみるのは微笑ましい反面、不安もあった。カノンはよく自分の悪戯をココのせいにした。それだけならまだ可愛いが困った事が起こるようになった。<br>一年ほど前だろうか、幸恵と拓也は激しい口論をした。その最中、自分の部屋で寝ていたカノンがやってきて<br>ママ、喉が渇いた<br>と言って倒れた。熱が３９度あった。医者に連れてったが風邪とだけ言われた。<br>熱は直ぐさがり、カノンはいつも通り幼稚園に通い始めた。<br>カノンが幼稚園にいる間に幸恵はカノンのおもちゃを片づけていた。その時、死んだカナブンがおもちゃに紛れていた。<br>どっかから紛れこんでこの部屋で息絶えたかと思ったがよく見ると六本の足が切断されていた。微妙ではあるがまだ動いていた。<br>幸恵は無理矢理忘れようとした。<br>その翌日、掃除を終え何か飲み物を飲もうと冷蔵庫を開けたとき、バターの蓋の上に何か乗っているのに気がついた。<br>首だけが90度にねじられたトカゲの死骸だった。幸恵はカノンに問い詰める事を決めた。<br>カノンの返事はこうだった<br>カノンじゃない。ココがやったんだよ<br>幸恵は心底不安になった。やはり親の離婚が子供の精神に与えるダメージは大人が考える以上に深刻なのでは？<br>しかし幼稚園でのカノンの振る舞いや、家での態度は悪くない。<br>幼稚園で飼っているウサギの世話を一番積極的にやってくれるのはカノンちゃんなんですよ、と先生は言っていた。<br>深刻に考え過ぎずにゆっくりとカノンの心の傷を癒してあげていった方がいい。幸恵はそうゆう結論に至った。<br>幸恵はカノンを連れて実家に帰りしばらくそこで暮らす事に決めた。拓也も納得した。<br>ジジとババと一緒に住むんだよと言うと、カノンも喜んだ。実家で飼っている柴犬のマーちゃんが大好きなのだ。引っ越しは明日だ。<br>時計は１０時をちょっと過ぎた頃だ。カノンを寝かしつけ幸恵は最後の細々したものをダンボールに詰めていた。肩が凝ったので軽く背伸びをした。<br>この家も最後か・・そう思うと拓也との生活も悪くはなかったとちょっとだけ思えてきた。<br>互いに分かり合えた時間があった。本当に心の底から一緒に笑った時間もあった。<br>カノンが産まれた時は拓也は泣きながら幸恵を抱きしめた・・<br>もう終わった事だ。<br>最後の仕事に取り掛かるか、そう思ってダンボールに視線を移そうとした時ふとリビングの窓に目がいった。<br>あれ？ここの窓、こんなにちいさかったっけ？<br>突然時間が止まったように感じられた。<br>なんの変わりもないいつもの窓。<br>しかしなにかがおかしい。小さいのだ。<br>その時、このマンションにまだ住み続ける拓也のためにそのままにしてあるカーペットが波打つように歪んで見えた。歪むというより何かがカーペットの下を通ったという感じだ。<br>強烈な不安に包まれた。と同時にこの光景がどこか懐かしいといった不思議な感覚が幸恵を、支配した。<br>幸恵は立ち上がりカーペットをめくろうとした。身体は何故か自分とは別の生き物のように感じた。<br>カーペットをめくった。<br>それが何か認識するのにしばらく時間がかかった。<br>そこにはおびただしい数のゴキブリの死骸が並べてあった。<br>おびただしいなんてもんじゃない。完全に現実離れしていた。しかもすべてのゴキブリの足がなかった。<br>カノン・・<br>積み上げてあるダンボールに激しく身体をぶつけながらカノンの部屋に走り電気をつけ、カノン！と叫びながら布団をもぎ取った。<br>幸恵の視界から色が消えモヤのかかった白一色に統一された。<br>布団の中にあったのは仰向けになったパンダのぬいぐるみ、ココだけだった。<br><br>ＥＮＤ<br>
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<link>https://ameblo.jp/gudkit/entry-11889314233.html</link>
<pubDate>Sat, 05 Jul 2014 18:30:49 +0900</pubDate>
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<title>ハニワ</title>
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<![CDATA[ くそっ、こんな大事になるとはっ・・おれ達のせいってわけじゃないだろ・・<br>最終電車のつり革になんとか捕まりながら口に出さずに叫んだ<br>仕事仲間三人とおれでさっきまで自分達の正当性を確立するまで相当の量の酒を飲んだ<br>結局、あのオヤジが自殺したのは自分達のせいではなくあいつが度々の災難に見舞われ自分自身で人生を終わらせた<br>俺たちはそうゆう結論に至った<br>しかし<br>今こうして一人で電車に揺られてるとあいつの顔が鮮明に蘇ってくる<br>なにも職場であんな・・<br>手で口を抑えたが無理だった<br>俺はほぼ満員の電車の中でさっき飲んだ酒、食いもんを全部足元にぶちまけた<br>これでもかという険悪な表情を表し無理やりおれの周りから離れる人達<br>おれはそいつらの目も見れずひたすら謝り続けた<br>何人かの人達の靴におれの汚物がかかっていた<br>最悪の状況に耐えきれずにおれは最寄りの駅の二つ手前の駅を降り歩いて帰る事にした<br>相当の量を飲んだ、酔い覚ましには丁度いいのかもしれない<br>途中、見ず知らずの家の壁に嘔吐しながらも半分以上の距離を歩いた<br>都心から電車で四十分のこの辺りはまだ緑が豊富で時には狸やコジュケイの親子などにも遭遇する事がある<br>酔いも大分覚め缶コーヒーを飲みながら大きな敷地の脇を通り少し歩みを止めた<br>この場所は何年か前に大きなマンションを立てる予定だったが、地ならしの途中に大変珍しい遺跡が発見された<br>以来マンションの建設は中断され遺跡発掘のバイトの連中が押し寄せ地元の新聞なんかも取り上げ、地元をアピールするネタがほとんど皆無のこの街は一時期ハニワでこの街を盛り上げようとした<br>片腕のないハニワを<br>最初の一体が発見された時はたまたま片腕が壊れていたんだろうという話しになったらしい<br>しかしその場所からは一体どころか合計三十体以上の片腕のハニワが発掘された<br>こうなるとこれはなにか特別なもので大変貴重なものとして取り上げられた<br>しかし何年前だろうか、あれだけ大勢いた発掘のバイト達も徐々に減っていき現在は単なる空き地になったこの場所はもう話題になる事も全くない 一体何故？<br>と考えるまでもなくどうでもいい事だった<br>しかし今でも敷地には誰でも乗り越えられるような柵が掛かっているし、安っぽいプレートには片腕のハニワについての憶測やこの土地についての歴史が記されている<br>しかし何故おれはこんな場所で立ち止まったのだろうか？<br> 翌日職場にいくと緊急の朝礼が開かれた もちろんあのオヤジの件だ おれたちのイジメがエスカレートしていたのは職長も知っていた<br>しかし職長は止めるどころかおれたちの行為を眺めて楽しんでいた <br>それほどまでにおれたちは病んでいた １２時間も同じ流れ作業を繰り返すこの工場を好きな人間なんて一人もいやしない <br>かつてない程の不景気でそれを覆す新しいものなんてこの国では到底生まれそうもない<br>誰一人未来に希望なんてもってない しかし生きためには当然、金を手に入れなければならない <br>希望のない現状でさらに奴隷のような作業を毎日こなさなければならない、最悪とはこういう事なのではないか？<br>そんな中あのオヤジだけは愚痴一つこぼさず働いた <br>職長の話しではあのオヤジは大手の広告屋だったそうだ<br>しかしリストラされたわけでもなく自主退社してこの地獄にわざわざ自分からきたのだ<br>理由は知らない<br>以前は妻子があったが今は独身<br>理由はおそらくそれだろうと、職長は以前、大勢の人間がいる休憩室で大きな声で喋った<br>オヤジはすぐにおれたちの的に、なった<br>最初は可愛いものだった <br>無理やり仕事の粗を見つけては難癖をつける その程度のものだったが息子ほどの年の差のあるおれたちにあからさまな嫌がらせを受けても謙虚な態度を崩さないオヤジをみておれたちは一線を超えていった<br>職長から履歴書の住所を聞き出し<br>玄関の前に猫の死体を放置したり<br>オヤジが便所で小便をしている背後に立ち、背中めがけて小便を引っ掛けたり 昼休み無理やり野球をしようと外に連れ出し顔面めがけて石を思いっきり投げつけたりした<br>それでも笑っているオヤジをみておれたちはバリカンで無理やりオヤジの頭をモヒカン刈りにした<br>職長は元より事務のおばちゃんまでもが<br>かっこよくなったわねー<br>と声をかけた<br>オヤジへの暴力がエスカレートしていくごとにおれは股間の力が抜けていくような奇妙な快感と、モラルがおれから抜けてなにか全能なものになったかのような錯覚に酔いながらおれは時には職場の便所でマスターベーションに耽ることもあった<br>そんな中オヤジは工場の門で喉元を包丁でえぐり命を絶った<br>出勤してきた従業員たちがオヤジを中心に輪になっていった<br>誰も言葉を発さなかった<br>職長がタバコに火をつけ一息吐き出すとポケットから電話をだし警察に事情を説明しだした<br>おれたちは検察らしき人物に事情聴取されたが<br>知らないとだけ伝えた<br>職長も事務のおばちゃんも大学生のバイトでさえ<br>検察はあっさり引き上げた<br>今朝の朝礼も形だけのものだ<br>職長がかったるそうにこうゆう悲しいことがありました<br>みなさんもどうか気をおとさずにして下さい<br>朝礼は１５分で終わった<br>おれたちは無言でオヤジについての記憶を無理やり封印した<br>しかし忘れられるはずはない<br>おれは出来るだけ沈黙の時間を作るまいとほぼ毎日へべれけになるまで酒をのんだ<br>二週間ほどたった<br>おれはいつものように酔って帰ってきた アパートの階段をあがりきったところでおれの玄関の前に白く鈍い光を反射しているものが落ちていた<br>ん？<br>丸まった下着のようにも見えるしただのゴミにもみえた<br>隣の住民が落としたんだろうか<br>近くまでよってみる<br>ん？なんだこれ？<br>手にとって見てみる<br>補聴器？<br>なにか機械のようなものであるというのはたしかなのだが何なのかがわからない<br>近いのは補聴器だ<br>しかし不思議な事に素材がよくわからない<br>大きさの割りには軽すぎる<br>さらに不思議なのはデザインがどの時代にも当てはまらない<br>今のものでもないし昔のものでもない<br>しばらく見つめていたら眠気が襲ってきた<br>おれはそれをチラシ用に設置されたゴミ箱に捨てすぐさま寝床についた<br>すごく楽しい夢を見て目が覚めたが内容が曖昧にしか思い出せない<br>懐かしいけど全く知らない誰かと話している<br>その話がとにかく気持ちよかった<br>何についての話しかはこれも思い出せない<br>しかし俺たちが話している遥か前方にあの補聴器のようなものがあって<br>俺たちは話しながらそれを眺めていた、という事だけがやたらハッキリしていた<br>飯を軽く済ませ着替えて外にでる<br>気持ちのいい静かな朝だった<br>あの事が実はただの夢でおれは何も変わらず仕事に向かう<br>そんな気さえした<br>駅に行くには新興の建売住宅地を通らなければならない<br>歩いてる途中でふと気になった<br>静かすぎねえか<br>何の声もしない<br>声どころか気配を感じない<br>たまたまか？<br>その時雀の鳴き声が聞こえた<br>ホッとした気分になりタバコに火をつけて一服してから鳴き声の方に顔を向けた<br>すると一軒の家のベランダに目がいった<br>ベランダになにかいる<br>ん？<br>それは真っ白で人にしては大き過ぎる<br>ベランダの天井にもう少しで頭がぶつかるほど不自然に大きい<br>その大きい人らしきものが真っ白な布団のシーツのようなものを頭からかぶっている<br>よく見ると動いている <br>ピョンピョンと小刻みにジャンプしながら両腕を直角に曲げている<br>あれほど動いているならばベランダがきしむ音がするはずなのになんの音もしない<br>おれは何故かそれから目が話せなくなった<br>すると周りの視界がぼやけ、よりハッキリとそれがまるで３Ｄの映画のように飛び出してきた<br>動機がして意識が白くなっていく<br>足に力が入らなくなってきた<br>おれは屈み込み腹を叩き、立ち上がって一目散に駅に向かって走った<br>駅までの記憶か曖昧だ<br>覚えているのは途中、人間を見なかった<br>泣いているのか？涙で視界が潤んで見える<br>あっ・<br>人がいる<br>まばらだが確かに駅前には何人かの人達が歩いていたり携帯をいじったりしていた<br>嬉しくてさらに泣いた<br>あぁみんな・・職場の仲間達・・<br>みんなそろって駅にいるのか<br>そこには職長からパートの大学生までが揃っていて、俺に気付くとわずかに微笑んだ<br>あぁ・・どうしたんだみんな・・<br>腕が一つないじゃないか・・<br>あっ・・おれのも一つないや・・まあいいさ・今みんなと会えて・・・<br>突然腕に激痛が走った・・痛いなんてもんじゃない 異常な痛みに同調するかのように顔面が変形していくのがわかった<br>その時視界の上に誰かいるのがわかった いや、見なくてもわかっていた<br>悪気はなかったんです・・<br>お願いです・・許して下さい<br>オヤジの顔は何の感情も表してはいなかった<br>怒っているわけでも哀しんでいるわけでもない<br>よく見るとそれはオヤジそっくりに造られた人形で次の瞬間オヤジに関する記憶が全て消えた<br>腕の痛みが消えた<br>意識が遠のく<br>なんだろう<br>俺の身体が離れていく<br>俺が今、俺自身の身体を見ていて<br>それがどんどん離れていく<br>俺は悟った<br>俺の意識は今片腕にある<br>俺は片腕だけの存在になったのだ<br>気分は驚くほど気持ちいい<br>何かに吸い寄せられて流れていく<br>職場の連中の腕と一緒に<br>近づいてきた<br>大きさすらも測れないあの巨大な補聴器に<br>そこにはまばらだが大勢の片腕のないハニワ達が植物のように立っていた<br><br><br>END
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<pubDate>Sat, 05 Jul 2014 18:29:05 +0900</pubDate>
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<title>クライアント</title>
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<![CDATA[ 童子はいつものように８時過ぎにスーパーに行き、値下げされた弁当とキャットフードを買ってアパートに向かった。<br>ＳＥという仕事は自分にあっていると思う。集中してシステムを組んでいる時は、４０で独身という事も忘れられるし、同業者の女の中には童子と似たような境遇の人もいて、その人達と仕事をしていると何か自分達はこのまま男に媚びないで生きていくとゆう同盟のような友情のような奇妙な繋がりが芽生える。もちろんそれを確認しあってるわけではないが。<br>陽介から今日だけで着信が二回あった。返信はする気はない。<br>終わった事だ。<br>一ヶ月前陽介にプロポーズをしたとき童子は結婚とそのあと産まれるであろう子供との生活に将来の理想を託していた。<br>しかしそれはあっけなく崩れた。<br>童子のプロポーズを陽介はその時は断った。それは単純にすれ違いだった。<br>陽介は、子供を直ぐに産む気はない。けど童子と結婚はしたい。<br>単純にそのことだけを伝えた。<br>しかし童子は陽介の言う、子供はまだ産めないという返答が童子のプロポーズに対する答えと極端に捉えた。童子はその時すでに４０になろうかという時期だった。子供はどうしても欲しかった。今思えばかなり身勝手なプロポーズだったのだろう。実際、童子と陽介が交際してた期間は一年とちょっと。そこで子供の話となると陽介が面食らうのも正常な反応だったのだが童子は陽介に裏切られたような失望感を感じ、子供はまだ産みたくないという陽介の言葉を聞いた時に、別れようとその場で陽介に告げた。<br>陽介にしてみれば完全に誤解だった。陽介は時期を見て子供を産もうという意味だったのだが。その日以来、陽介の電話、メールは童子は全て無視している。<br>童子はそれほどまでに自分の子供が欲しかった。相手が陽介でなくても・・<br>その日以来童子は吹っ切れた。<br>色んな事を考えた気がする。結婚の理由、自分の理想・・<br>最終的には何かそれらが下らない事のような自分のエゴのようにも感じられた。<br>童子は生粋の猫好きだった。子供の頃からだ。童子が幼少時代を過ごした北海道の実家では母親の猫好きが生じ常に二匹以上の猫がいたし、猫の媚びない態度は童子の女としての理想象に無意識に影響を与えていたのかもしれない。<br>童子の住んでいるアパートはペットは厳禁だった。それはよく言われている俗説の、独身女がペットを飼ったら一生独身という言葉を信じていないわけではなかったからだ。しかし今は違う。振り切れた。陽介の事があってからしばらくの間童子は鬱気味だった。心療内科で勧められた薬を毎日飲んでいた。<br>ある日空っぽの心で仕事から帰ってくると玄関の前にキジトラの猫が座っていた。童子の住んでいる辺りは野良猫が多かった。食べ物をあげてはいけないと思ってはいたが、童子の寂しい心に猫の愛らしい姿は効き過ぎた。自分のために買っておいた惣菜をそのままあげた。キジトラの猫はそれを全部平らげた。<br>そうなるともう一匹ではすまなくなった。どこからともなく仲間がわんさかやってきて童子の仕事帰りを待つようになっていた。常に四匹はいただろう。童子は自分のオカズを上げるのではなく大きい袋に入ったキャットフードを買ってきて、たまには牛乳なんかをかけて与えた。すると一ヶ月も立たないうちに子猫が産まれた。<br>童子は子猫が自分の与えた牛乳を美味しそうに飲むのを見ながら猫の雌の幸せは子供を産み育てる事でそれは人間にももちろんあてはまる。ではその幸せを逃したら一体何のために生きるのだろう。そう思うと哀しみを通り越して病んでくる。感情が病気に変わっていくのだ。そんな日々が続いた。<br>直ぐに苦情が入った。当然だろう。大家が童子の出勤前の朝７時にやってきて、事情を告げた。<br>話しは上の空で、大家に告げ口をしたのは同じアパートに住む谷口だ、間違いない。童子はそう確信した。<br>谷口というのは五十代なかばの独身女だ。生命保険の外交で童子がアパートに引っ越してきてすぐに大きな黒い鞄を持ってやってきた。内容は既婚者向けの保険商品の勧誘でそのパンフレットには夫婦子供三人で仲良く食事をしている姿が写っていた。<br>このCM見たことあるでしょう？<br>子供や旦那様やお子様がもし病気や怪我になれば加入して次の日でも保険がおりる事だってあるのよ？<br>童子はその家族円満の写真をボーっと眺めていた。ふと我に帰り<br>子供どころかまだ結婚もしてない。そう告げても谷口は引き下がらなかった。童子は面倒臭くなり、今忙しいんでお引き取り下さいとやや冷たく告げると、谷口は聞こえるか聞こえないかの小さい舌打ちをして話しを放り投げてとっとと帰ってしまった。<br>それ以来童子が谷口を見かけ挨拶をしても谷口は完全に無視をした。大家に告げ口をしたのはこの女だ、間違いない。<br>童子は猫に餌を与えたのは事実だが、猫が増えたのは自分とは関係ない。そしてもう猫に餌付けをするのはやめます、そう大家に伝えるとあっさり大家は帰って行った。玄関をしめ大家が離れていくのを確認すると童子は谷口の部屋に向かった。<br>ドアにチャイムはついていたがそれは鳴らさずに殴りつけるようにドアを叩いた。スウェットですっぴんの谷口が眉間に皺を寄せ直ぐにドアチェーンを外さずに顔を覗かせた。その姿は童子には醜悪そのものに見えた。<br>あんた何なの？<br>はっ？<br>あんた何なのよ！！文句があるなら私に直接言えばいいじゃない！保険に入らなかった事がそんなに嫌だったの！！<br>童子が大声を出すとアパートの向かいの一戸建てに住む中年の女が窓からこちらをうかがった。<br>谷口は何も言わずドアを閉めた。<br>ふざけんじゃないわよこのババア！あんたみたいな人間は直ぐに死ぬべきなのよ！！<br>そう怒鳴って少し間を置くと童子は自分の部屋に戻って行った。童子は自分でもこの言動にびっくりした。生まれてこの方友達や親、陽介にさえこんな事は言った事はなかった。<br>顔を洗おうと洗面台に行き自分の顔を鏡で見て心臓が跳ね上がった。<br>いつもと顔が違う、何か黒いモヤのようなものが顔にかかっている。くま？いや、違う。<br>しばらく凝視していると何か不安になってきたので、直ぐに心療内科でもらった抗鬱剤を飲んだ。<br>そんな状態でも仕事にだけは行った。職場だけが唯一変わらない現実だったからだ。しかし谷口の件以来なにか職場仲間の態度が違う気がする。職場の人間が吐くため息、休憩中に交わしている会話、パソコンを睨んでいる眉間に皺の寄った同僚の顔、それら全てが童子に向けられている。童子はそう思い込んでとうとう体調不全という理由で長期休暇をとった。<br>スーパーと家の往復という生活がしばらく続いた。<br>その日童子がスーパーから帰ってくると玄関の前で子猫が二匹地面に顔をくっつけて何か食べていた。それをみて顔の力が抜けていくのがわかった。<br>何て可愛らしいのだろう<br>頭を撫でてやろうとそっと近づくと子猫達が振り向いた。<br>子猫達が食べていたのはおそらく兄弟であろう他の子猫の頭を二匹で競争し合うように食べていた。<br>何か夢から覚めていくのがわかった。<br>童子は思い切り子猫達の頭をかかとで踏み潰した。耳からは脳みそのようなものがでていた。その二匹を素手で抱えると谷口の部屋の玄関に叩きつけ、自分の部屋に戻った。<br>冬に買った灯油がまだ残っていた。童子はそれを頭からかぶった。マッチをつけようとした時携帯が鳴った。着信の相手は陽介だった。童子は携帯の通話ボタンを押した。<br>もしもし、童子？まだ怒ってるのか？おれは誤解を解こうとずっと電話をしてたんだ、おれが言いたかったのは・・<br>もういいのよ。<br>えっ？<br>私が間違ってた。私、騙されていたのかもしれない。何か得体の知れないものに幻想をみさせられていたのかも・・<br>そう言ってマッチに火をつけると童子の身体が燃え出した。<br>もしもし？童子？どうしたんだ？<br>ああっ！痛い！熱い！<br>ははっ・・間違ってたいたのは私なんだから・・<br>おいっ！どうしたんだ！？何か変な音がするぞっ！<br>火だるまの童子が部屋中をのたうちまわった。過去の記憶が全て燃えていく。親の笑顔、小学校の思いで、陽介と過ごした日々、全てがまるで紙に描かれたものだったかのように燃えていった。<br>意識がなくなる寸前、真っ黒な視界に一つだけ光を放つものがあった。童子はそれにしがみついた。<br>それは、谷口が童子の部屋に勧誘にきた時にもってきたあのパンフレット、家族円満の写真が載ったあのパンフレットだった。<br>そしてそれも燃えた。しばらく闇が続いた。すると闇の中から巨大な何かが浮かび上がった。童子はそこで悟った。あれこそが依頼者・・あのパンフレットの・・<br><br>ＥＮＤ<br>
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<link>https://ameblo.jp/gudkit/entry-11889312857.html</link>
<pubDate>Sat, 05 Jul 2014 18:26:55 +0900</pubDate>
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