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<title>hamabaka3のブログ</title>
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<title>再戦の誓い</title>
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<![CDATA[ <p>その再挑戦も接戦ながら広翔は負けた。このときは他からの不意討ちはなかったが、広翔はそれに備えて桐生への注意が散漫になったのはたしかだ。だが、それを負けの理由にするつもりはない。広翔がしょぼくれていると、桐生が声をかけてきた。</p><p>「どうだ、もう一回やらないか」</p><p>「ん？」</p><p>「今度は敵機の戦闘機とファイルの戦闘だ」</p><p>「Ｆ９戦闘機なんかの一般兵器のこと？　いいね、より実戦に近い」</p><p>「そういうことだ。フェニックス同士の戦闘なんて実際にはないからな。そこでだ、次は当然お前が敵機の役だ。わかったか」</p><p>広翔は一瞬不満の表情を見せかけたが、すぐ真顔になって言った。</p><p>「当たり前だ、負けたんだからな。その代わりその次はおれがタゲリに乗るぞ、いいな。勝っても、負けてもだ」</p><p>「ま、いいだろ。敵機に乗るのも、相手の戦力を知るいい機会だ」</p><p>「敵を知るいい機会か。お前らしくもない、いいことを言うじゃないか。だから、今日は烈国の砂漠を選んだのか」</p><p>「いや、おれが選んだんじゃない」</p><p>「え、ということは、シミュレータが勝手に選んだってこと？」</p><p>「かもな。自分で選ばないと、シミュレータが不作為に選ぶのかもしれん」</p><p>「軍もいろんな仮想徹国を想定して、訓練してたのかもしれないな、昔から」</p><p>「ま、そんなとこだろ。だから、お前、敵機の勉強をしっかりして来いよ。すぐにへたらけても、つまらんからな。想定敵国は麦国。ここを叩かないと出日国に未来はないぞ」</p><p>「麦国か、相手にとって不足はない」</p><p>「まるでお前がフェニックスに乗るような口ぶりじゃないか。ま、いい、そんなんだから、次の対戦は一週間後だ、いいな」</p><p>「ああ、わかったよ。しっかり勉強しとく。おれレベルでな」</p><p>そう言って広翔はわらったが、桐生は口元ひとつ動かさなかった。こんなとき、竜崎だったら調子を合わせてわらってくれただろうにな、と広翔はふと地下研究所へ潜って行った竜崎のことを思った。</p>
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<link>https://ameblo.jp/hamabaka3/entry-12360393731.html</link>
<pubDate>Thu, 15 Mar 2018 09:03:04 +0900</pubDate>
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<title>悔しい負け</title>
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<![CDATA[ <p>「やるじゃないか」</p><p>思わず口に出して、広翔は意味のない苦笑を浮かべた。その心理の隙間にまたしてもどこからか水素砲が撃ち込まれ、広翔のタゲリは左翼のかなりの部分を失った。</p><p>「いったいだれが？」</p><p>一対一の戦いにどうやって他のフェニックスが参戦できるのか、広翔にはわからなかった。今度も石胞がトランフォームして再起してくれるだろうと期待したが、赤いランプが点滅し、けたたましい警戒音が鳴り響いた。</p><p>「やられたか……」</p><p>こうなってはもう覚悟を決めるしかないのか。実戦なら死か脱出を意味する絶望が目の前に垂れこめている状況だ。しかし、シミュレータがはじき出さない限り可能性はゼロではない。</p><p>広翔は諦めなかった。地底では否応なくはじき出されたが、まだ負けが決まったわけではない。なにかやれることはないのか……、思い巡らして出した結論は……。</p><p>片翼しかない機体で飛翔を続けながら広翔は桐生のタゲリにロックオンし、水素砲を照射した。だが、ロックオンはかすかにずれていて、桐生のタゲリを撃ち抜くことはできなかった。石胞をかなり失ってしまった広翔のタゲリは急速に失速した。</p><p>すると、桐生は急展開して向き直り、水素砲を撃ち込んできた。広翔にもうこれを回避する余力は残っていなかった。頑強に造られている頭部を撃ち抜かれ、なす術なく樹林の只中に墜落していった。</p><p>広翔は操縦シミュレータから弾き出された。桐生もシミュレータから出てきて、広翔の前に立ちはだかった。</p><p>「そんなんでどうする。すぐにも実習が始まるぞ」</p><p>「ああ、今日はちょっと気を抜いた。次は負けないさ」</p><p>「口だけは相変わらずだな。あんな無様な負け方をしといて」</p><p>「そう無様でもないさ。おれは複数の敵と一人で戦ったわけだからな」</p><p>「なんだ、それ。負け惜しみもいいところだな」</p><p>そのとき、広翔が金魚のフンと揶揄する三枝と間宮が斜め前に姿を現した。その目は皮肉な笑みを浮かべ、口元は苦々しく歪んでいた。</p><p>「おまえら」と広翔は桐生の後ろに控える二人に呼びかけた。「仕留める時は一発で仕留めろ。撃ち損じたら、とんでもない反撃を喰らうぞ」</p><p>「なんのことだ」</p><p>「自分の負けをおれたちのせいにするのか」</p><p>「いや、おれの負けをとやかく言う気はない。ただ、次もおまえらついて来いよ」</p><p>そう言うと、広翔は二人にわざとらしい媚びるような視線を投げかけた。三枝は煮え切らないような憤懣顔で広翔を睨み返したが、間宮はなぜかわらっていた。</p><p>「というわけで、次はおれからの挑戦状だ。もちろん受けて立つよな、桐生」</p><p>「ふん」</p><p>桐生は鼻でわらうと、侮蔑的な眼差しを広翔に向けたが、挑戦状は受けて立ち、二日後に対戦が決まった。</p>
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<link>https://ameblo.jp/hamabaka3/entry-12357705546.html</link>
<pubDate>Mon, 05 Mar 2018 08:33:07 +0900</pubDate>
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<title>シベリア湿原での戦闘</title>
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<![CDATA[ <p>戦場は桐生が選んだシベリア湿原だった。実戦の可能性がないとはいえないけれど、めずらしい場所を選ぶものだと広翔は思った。しかし、よく考えてみれば、数ヶ月前に始まった凍国と雅国の戦争は訓練生にも濃い影を落としていたのだった。</p><p>まず攻撃してきたのは桐生の硫黄砲だった。広翔はこれを難なくやり過ごし、急上昇した。桐生もこれを予期していたようにすぐさま急上昇をはじめた。どっちが先にあたまを押さえるかの勝負になった。酸欠と寒さに耐える我慢比べだ。もちろん実際に酸欠になるわけではなく、操縦シミュレータが搭乗者の身体情報から耐久力を計算し、戦闘能力を計測するのである。</p><p>先に上昇をやめたのは桐生の方だった。広翔は勝ったと思ったが、基礎体力は大きく減少していった。広翔の視界から消えた桐生はエネルギー消費の高い水素砲に換えて撃ってきた。広翔は不意を突かれて一発被弾したが、致命傷にならずにすんだ。タゲリはすぐさま傷口を修復してトランスフォームし、反転して攻撃に転じた。</p><p>眼下に広大な緑の湿原が広がっていた。苔や地衣類や灌木が息づく、どうやら季節は夏のようだった。戦いには似つかわしくない、まったく美しい景色だった。タゲリのタカの眼は地上で闊歩するトナカイの群れもとらえていたが、広翔にそれに気づく余裕はなかった。目の前の敵だけを追っていた。</p><p>桐生は劣勢を挽回すべく斜め下方に進路を変えた。しかし、それはパイロットとして誤った判断だった。広翔は我が目を疑ったが、またとない好機にニヤリとした。</p><p>ところが、彼はその直後、思いもかけない衝撃を受けた。どこからか水素砲と思われる攻撃を受けたのである。それにより尾翼が破壊され、タゲリは墜落する危機に陥りかけたが、またしてもトランスフォームによって窮地を脱した。</p><p>「今の攻撃はなんなんだ」</p><p>広翔は想定外の事態に動揺を隠せなかった。遠方を見渡せるタカの眼を最大限に使って周囲を偵察しはじめたその直後、またしても水素砲を撃ち込まれた。が、これは寸でのところで回避した。この時になっても広翔は水素砲の出どころを把握できていなかった。</p><p>「どこに隠れてるんだ」</p><p>見えない敵の存在は彼を動揺させた。</p>
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<link>https://ameblo.jp/hamabaka3/entry-12356626563.html</link>
<pubDate>Thu, 01 Mar 2018 08:38:30 +0900</pubDate>
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<title>桐生との一騎討ち</title>
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<![CDATA[ <p>次の課程に上る段階で、すでに六名が脱落した。座学で落ちた者もいれば、適性で勧告を受けた者もいる。勧告を受けた者は必ずしも除隊しなくていいが、多くの者がその将来性を案じて隊を去って行った。その中には同室だった岩田もまじっていた。彼の場合はその高身長が最大のネツクと思われたが、どうやらその気弱なやさしさが勧告の理由らしかった。無口な岩田がそれらしい愚痴を口にしたのを一度だけ聞いたことがある。</p><p>翻って、広翔は自分の攻撃的な性格が不適性の烙印を押されるのではないかと危惧することもあったが、さいわい勧告されることはなかった。</p><p>「おまえが除隊勧告を受けないとは、この軍隊も終わりだな」</p><p>そんな口をきくのは一人しかいない。</p><p>「ああ。おれも不思議におもってるよ。さらに不思議なのは、なんでおまえらが全員残ってるかだ」</p><p>「そう不思議でもないさ。おれたちは教官に気に入られているからな」</p><p>「それは知ってる。巧妙なずるさがどんなに教官に有効かってことをおまえらは教えてくれてるけど、おれはそんな手は使わずに正々堂々とやる。それがおれの流儀だ」</p><p>「正々堂々か、それがどんなものか、一度見せてくれないか」</p><p>ああ、見せてやるとも。広翔は桐生の喧嘩を受けて立った。桐生の後ろに控えていた三枝と間宮が不敵な笑みをうかべるなか、桐生の顔は心なしかこわばってみえた。</p><p>二人が対決に選んだのは操縦シミュレータによるタゲリの空中戦だった。体育館の横の倉庫には古いタイプの操縦シミュレータが雑然と放置されており、訓練生は自由に使うことができた。最新のものと違う地下で広翔が体験した激痛型の旧タイプだが、実際の訓練でも一度はこの古い道具を使う決まりになっている。</p><p>それにどんな意味があるのか、訓練生の広翔に真の理由がわかるはずもない。ただ、身に刻まれた痛みは苦境に陥った際にいつか役立つような気がした。こうした訓練の経験が実戦で身を助けるだろうという信頼は、広翔だけでなく訓練生全般の潜在意識に深く根ざしていたものかもしれない。</p><p>広翔はここで一対一で戦うつもりだったが、三枝と間宮がついて来た。どこまでも金魚のフンのように付き纏う奴らだと広翔はあきれた。しかし、これが軍で生き残るための「きさま組」の流儀なのだろう。</p><p>「ズルするなよ」</p><p>「は？」</p><p>桐生の思いがけない声掛けに広翔はおもわず吹き出した。</p><p>「それ、そっくりそのままおまえに返すよ。ズルはおまえらの専売特許だろ」</p><p>「ふん、言わせておけば。無駄口たたいてないでとっととやるぞ」</p><p>そう言い残して操縦シミュレータに乗り込む桐生の後から広翔も自分のシミュレータに嵌入していった。</p><p>戦場は桐生が選んだシベリア湿原だった。</p>
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<link>https://ameblo.jp/hamabaka3/entry-12356367452.html</link>
<pubDate>Wed, 28 Feb 2018 09:21:30 +0900</pubDate>
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<title>それぞれの道</title>
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<![CDATA[ <p>サンカ族遠征隊が帰還してしばらくすると一年間の訓練が終り、訓練生は兵卒コースと技術者コースにわかれていく。</p><p>これで竜崎とも会えなくなると思うと、広翔はさすがに心もとなさを感じもするが、そんな態度はおくびにも出さず、級友と握手をして、別れを告げた。</p><p>「これでおさらばだな」</p><p>「うん。立派なフェニックス乗りになれよ」</p><p>「ああ。おまえもいい研究者になってくれ。放射能除去装置を改良して、地上を元のように人間が暮らせる楽園にできるといいな」</p><p>「そうなれるよう頑張るよ。軍に入って、平和のありがたさをつくづく感じられるようになったよ」</p><p>「おれもだ。地中居住区にいるころは、平和がタダで手に入る地下水のようなものだと思っていたからな」</p><p>「軍の多大なる犠牲のうえに成り立っていることを国民が知らされることはないからね。けれど、それでいいと思う。ぼくらは自分の責務を全うするだけだ」</p><p>「おまえ変わったな。軍人らしくなってきた」</p><p>「やめろよ、恥ずかしい。きみはもっと軍人らしくなったよ。けど、命は粗末にするな。国を背負うのはきみ一人じゃないからな」</p><p>「ああ。胆に銘じるよ。じゃあ、本当にこれでおさらばだ」</p><p>小学校からこのときまで、なにかと広翔のブレーキを踏んでくれる存在だっただけに、竜崎との別れは肉体の一部を削ぎ落されたかのような痛みと寂しさを伴った。</p><p>「あ、それから……」</p><p>広翔は一瞬ことばを溜めた。「例のフェニックス獣は何かわかったか」</p><p>「フェニックス獣？　ああ、いま読んでいるんだけど、トヨクニ語に苦戦しているよ。わかったら連絡する」</p><p>「頼むよ。おれも楽しみにしてるんだ。いったい何ものなんだ、あれは」</p><p>「敵か、味方か、単なる巨大獣か。巨大獣に過ぎなかったとしてもすごいことだけどな。まったく興味は尽きないよ。もし味方にできたら……」</p><p>「味方か……、サンカもどうだかな。大和連合とはいうものの、本当に味方なのか」</p><p>「不思議な民族だな、たしかに。あ、もう時間のようだ。ほんとうにこれでしばしの別れだな。次は地上で会おう」</p><p>「ああ、元気でな」</p><p>「きみも」</p><p>竜崎を載せた装甲車が地下深く沈んで行くのを見送ると、</p><p>「蚊帳野、早く」</p><p>と辻本に促されて、広翔は地上へ向かう装甲車に乗り込んだ。</p><p>これからは、訓練の半分を地上で行うことになる。より実戦を意識した、防護服を着用した訓練が果てしなく続くことになる。</p>
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<link>https://ameblo.jp/hamabaka3/entry-12355830833.html</link>
<pubDate>Mon, 26 Feb 2018 07:35:21 +0900</pubDate>
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<title>異国の古文書</title>
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<![CDATA[ <p>辻本がぼやくようにぽつりと言った。それは広翔にではなく自分に向けたものだった。あの夜、怪鳥は彼らの野営を襲って来たのかもしれない。それに対して鉄砲で応じたが傷一つ負わせられなかった。運よく追い払えただけだったのかもしれないのだ。</p><p>そこへ物言いたげだった豊国の加藤主任が話しかけてきた。</p><p>「何か気になることでもありましたか」</p><p>「いえ、レーザー砲の威力には驚嘆するばかりです。こんな兵器を二百年以上も前から豊国は保有していたのですか」</p><p>竜崎がさり気なくかわした。加藤主任はかわされた鉾先の納めどころに戸惑った表情をみせたが、訊かれた問いの回答に徹した。</p><p>「文献にはそうありますが、長らく行方不明でしてね。古文書を研究していた学者が数十年前に発見したばかりで、その後改良を重ねたのが今のです」</p><p>「古文書ですか……。それはどこへ行けば見られるのですか」</p><p>厚かましいと思ったが、竜崎は訊かずにはいられなかった。もしかすれば、そういった古文書の中に、さっきまで広翔たちと話していた謎の野獣のことが書かれているのではないかと期待してのことだった。</p><p>「国家機密ですから、その文献をお見せすることはでき兼ねますが、古文書ならまだ解読できていないものが他にもたくさんあるようですよ。わが国の古文書にご興味でも？」</p><p>「はい。貴国にはわが国にないものがたくさんあります。テクノロジー以外にも、ぼくは美しい自然や古い風俗などに興味があります。それらに関する古文書もあるのですか。それらは見ることができるのですか」</p><p>「あるにはありますが……」</p><p>加藤主任は竜崎の意図が理解できない渋い表情をみせた。彼は出日国の関心がレーザー砲にないことが不思議そうだった。しかし、それ以上の深い思惑があるとは思っていないようにもみえた。</p><p>「街の古本屋にもたくさんあると聞いています。トヨクニ語で書かれたものですけれど」</p><p>竜崎は加藤主任の情報をもとに街の古書店を訪ねた。古生物学者の子安と地質学者の宮城もいっしょだった。だれもトヨクニ語を読める者はいなかったが、訝る店主の視線をよそに、挿絵などを参考に関連する書籍を数冊購入した。彼らの興味はもちろん広翔と辻本が声を聞いたという獣の謎だった。</p><p>&nbsp;</p><p>遠征隊が無事に帰還して数カ月後、出日国から調印のための正式な訪問団が送られ、両国間で誓約書が取り交わされた。</p>
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<link>https://ameblo.jp/hamabaka3/entry-12355067735.html</link>
<pubDate>Fri, 23 Feb 2018 07:55:20 +0900</pubDate>
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<title>野獣か恐竜か</title>
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<![CDATA[ <p>いつもの調子でふざけあっているようにみえる二人に、遠巻きに見ていた竜崎が声をかけてきた。</p><p>「恐竜の声って、レーザー砲の爆音がした直後の？」</p><p>「えっ、おまも聞こえたの」</p><p>「いや、はっきり聞こえたわけじゃないけれど、なんか違和感があったんだ」</p><p>「違和感って？」</p><p>「うまく言えないけど、耳の底に爆音とはちがう何かが残った気がした」</p><p>「それが勘違いでなかったら、おまえもおれらの仲間入り決定だな」</p><p>「やめてくれよ」</p><p>言葉とは裏腹に竜崎もまんざらでもなさそうに頭を掻いてわらった。が、その顔はすぐに引き締まった表情に変わった。</p><p>「その声というのは、どんな感じなの？」</p><p>「一番近いのは獣だな。しかも相当でかいやつだ」</p><p>「うん。クジラぐらいはありそうだと二人で話してたんだ」</p><p>「クジラか……。もし、そのぐらいあったら、厄介だな」</p><p>「何が厄介なんだよ」</p><p>「そうだよ、何が問題なの」</p><p>広翔と辻本が疑問におもうのも無理なかった。そんな巨大な生き物がいたとしても、人類の脅威になるとは思えなかったのである。</p><p>「ぼくの思い過ごしだといいんだけど、もし、そいつが豊国の新兵器だとしたら、その存在を隠し切れていないことになるし、万一それが野生動物だとしたら、当然その挙動を管理できてはいないただろう。どっちにしても、豊国はきみらが聞いたその声の主をコントロールできていないことになる」</p><p>「それがなんで厄介なんだ」</p><p>「考えてもみろよ。コントロールできない巨大なものがうろちょろしてるかもしれないんだよ。いつ襲って来るともしれない。谷底に消えた怪鳥のように」</p><p>「ああ、やつのことか。あれは鳥の声だったけど、今度のは獣だからな。しかも、とてつもなくでかそうだし、これが暴れるとたしかに厄介だな」</p><p>「鉄砲で撃たれても死ななかったんだよね」</p><p>「マタギの阿部さんはそう言ってたね。まるでフェニックスだよ」</p><p>「それの野獣型か」</p><p>「恐竜型かもね」</p><p>「見てみたいけど、出会いたくない相手だね。どんな兵器も通用しないかもしれない」<br>「敵と決まったわけじゃない。手懐ければ、すごい戦力になるかもしれんぞ。フェニックス以上にな」</p><p>「手懐けるって、どうやって。まだ見たこともないのに」</p><p>辻本がぼやくようにぽつりと言った。</p>
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<link>https://ameblo.jp/hamabaka3/entry-12354811516.html</link>
<pubDate>Thu, 22 Feb 2018 08:19:59 +0900</pubDate>
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<title>知的生命体による飛行物体</title>
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<![CDATA[ <p>広翔にほめられて照れる辻本を見ながら、竜崎は不思議な石の存在をどう捉えるべきか悩んだ。石胞がジャイアント・インパクトによって生じ、隕石の衝突によって覚醒したとする仮説を読んだときは、それなりに理解の範囲内で納まった。しかし、レーザー砲となると、サンカ族の単独の技術力とは考えにくかった。</p><p>かつて日本と呼ばれていた倭国中を漂泊していた彼らは、山の民とも呼ばれるほど山に精通していた。全国に山岳ネットワークを張り巡らせていたともいわれている。奇しき石が山の拾いものであったように、レーザー砲もまたそういった類の拾いものだったのではないか。その仮説はかれの理解にすんなり落ちて来るようでいながら、さらに立ちはだかる謎を前に途端に空想めいて色をうしなうのだった。</p><p>磐梯山に落ちたのが宇宙から来た知的生命体による飛行物体だったとすれば、オーパーツのようなテクノロジーも証明できるけれど、少なからず科学の世界に身を置いてきた者が軽々に口にすべきことではない。その誘惑に駆られはするが、そこは強く自戒し、まともな思考を取り戻そうと気持ちを落ち着けた。</p><p>そう自省してもなお竜崎のあたまから離れようとしないその仮説は、たとえ面白半分だとしても彼の口をついて出ることはないが、自分の理解を超えたものへの畏敬を忘れ去るほど傲慢にもなれなかった。</p><p>ここではっきりわかっていることは、サンカ族が世界に類をみない近代兵器を保有し、その技術を出日国に提供すると約束したことである。</p><p>「皆さんがお持ちの原子砲には遠く及びませんが、これが豊国のレーザー砲です。貴国はこれを水中用に発展させるとお聞きしています。海洋国である貴国にとって、きわめて有意義なものとなるでしょう」</p><p>この言葉に海洋国家である出日国と、その同盟国である豊国の命運が託されていることは明らかだった。遠征隊の拍手を浴びる加藤主任もどこか誇らしげだった。</p><p>そのとき、広翔は「ん？」と首を傾げた。そして、そばにいた辻本の耳元でつぶやいた。</p><p>「さっき、なんか聞こえなかったか」</p><p>「レーザー砲の後だろ」</p><p>「やっぱりそうか」</p><p>「例の恐竜の声だろうね」</p><p>広翔は鼻でフンとわらって辻本を見た。辻本もわらって見返したが、その目はふざけた感じがまったくなかった。</p><p>「恐竜と決まったわけじゃないけどな。けど、ここには、おれらの知らない何かが絶対いるぞ」</p><p>「うん。サンカは何かを隠してるね」</p><p>「隠してる？　なんのために？」</p><p>「おれにわかるわけないだろ」</p><p>「だな」</p><p>いつもの調子でふざけあっているようにみえる二人に、遠巻きに見ていた竜崎が声をかけてきた。</p>
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<link>https://ameblo.jp/hamabaka3/entry-12354557535.html</link>
<pubDate>Wed, 21 Feb 2018 08:40:22 +0900</pubDate>
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<title>レーザー砲の放射</title>
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<![CDATA[ <p>あまりにさりげない物言いに、遠征隊の面々はおどろきの声を置き忘れたようにしんとした。加藤主任が研究所に案内すると言ったとき、だれがレーザー砲の実射を予想しただろう。レーザー砲の砲台を直に見られるだけで満足したにちがいない。</p><p>ところが、予想もしていなかった主任からの申し出に、じわじわと現実味が追いかけてきた。</p><p>「すげえぞ。レーザー砲を見られるってさ」</p><p>「ああ。けど、何を狙うんだろう。空にでも撃つつもりか」</p><p>「違うんじゃない。あれだと思うけどな」</p><p>そう言う辻本の目線の先を追うと、樹林のはるか遠方に模型のような戦車が見えた。目がいいと公言していただけのことはあると、広翔はその並はずれた視力におどろいた。</p><p>「エッ、何が見えるの？」</p><p>二人の話を聞いていた春日が割りこんで来た。ふつうの視力ではおそらくゴミか、なにかの見まちがえとしか映らない小さなものだった。</p><p>「まあ、見といてよ。あの小高い丘の中腹で破裂するから」</p><p>そう口にするときの辻本の顔は自信にあふれていた。</p><p>部屋の中にいたいかにも軍人らしい体躯の男が窓の近くに進むと、床から演説台のようなものがせり上がってきた。そこには双眼鏡が付いていて、男はそれを覗きこむと、発射桿に手を添えた。</p><p>「照射準備完了。秒読み開始、三、二、一、照射！」</p><p>掛け声とともに赤い閃光が走り、向かいの丘の中腹が破裂した。その後、ちらちらと白い煙が立ちのぼった。</p><p>あまりのできごとに称賛の声がわずかにあがるばかりだったが、その衝撃は遠征隊の度肝をぬいた。</p><p>「これがレーザー砲か。明治政府も兜を脱ぐわけだ」</p><p>「当時はここまで威力があったわけじゃないと思うけど、それでもすごかったんだと思うよ。明治政府が交戦後すぐに和平を持ちかけたわけだしな」</p><p>広翔と竜崎の話を唖然とした表情で聞いていた辻本が口をはさんだ。</p><p>「明治政府がどうのこうのって、どういうこと？」</p><p>「やっぱり辻本は知らなかったか。サンカ族は明治時代に、倭国と戦争して勝ったことがあるんだ。その主力兵器がレーザー砲だったといううわさがあるんだよ」</p><p>「ほんと？　倭国に勝つなんてすごいな」</p><p>「そこ？　愕くのはレーザー砲だろ。あんなのが何百年も昔からあったんだぞ」</p><p>「ほんと、そこなんだよね。レーザー砲が兵器として本格的に実用化されたのは、二十一世紀になってからだからね。その二百年以上も前に実用化していたというのは、どう考えても不思議なんだよ」</p><p>「石胞と同じように不思議な石でもあるんじゃない？」</p><p>「お、ほんとだな。辻本、おまえすげえな」</p>
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<link>https://ameblo.jp/hamabaka3/entry-12354294402.html</link>
<pubDate>Tue, 20 Feb 2018 08:16:52 +0900</pubDate>
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<title>孤島のゾウ</title>
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<![CDATA[ <p>「おれの父ちゃんが言ってた。おれたちが山里に住んでるのは、競争に負けた敗者だからではないって。争いごとを避けるために里を離れたんだって。少ない食糧を分け合えばそうそう体も大きくならない。それが道理だって」</p><p>「おまえの父ちゃん、意外と賢いな。それ合ってるよな。うん、ここの人たちもそうなのかもしれないな」</p><p>広翔は昔なにかの本で読んだ孤島のゾウの話を思い出した。同じ遺伝子を持ちながら、小さな島に渡ったゾウは体がどんどん小さくなっていったそうだ。限りある資源を分け合えば一人だけ大きくなるのはむずかしい。逆に強い者だけが生き残る世界では、勝者が資源を独占でき、栄養もたりて体を大きくできるのも道理だ。</p><p>そんなことを考えながら歩いていると、どこか身体がホコホコして感じられる。見ると、建物と道のあいだには青苔の生えた幅五十センチほどの水路が張り巡らされており、ぼんやりと湯気立った澄んだ水が流れていた。</p><p>「これは街全体の気温を調節する水路です。あなたがたの国と違い、ここは外気に左右される寒暖の激しい山中です。地下深くからくみ上げた冷水と温泉水を季節によって使い分けています」</p><p>街全体にセントラルヒーティングが行き渡っているようなものである。防人の松島に代わってそう説明したのは豊国工学研究所の加藤主任だった。</p><p>街のはずれには、幅が十メートルほどの水路が横切っていて、朱の塗りの剥げかけた木の橋が一本掛かっているばかりだった。橋はゆるやかな太鼓橋で、欄干には古めかしい装飾が施されていた。</p><p>道もそこを境に、石畳から小石の交じる土の路に変わっている。農耕機が二台やっとすれ違える狭さで、雨が降ったまだ暗い朝あけには沢蟹が這い出し、暮れなずむ宵口には蛙がうたいはじめるさまを彷彿とさせるのどかな路だ。</p><p>その横を街から流れ下ってきた水路が通っていて、サラサラと清らかな音をたてている。水路がどこかしこに張り巡らされているのは出日国と同じだが、その目的はまったく別なのだと広翔はある種のわびしさを覚えた。</p><p>遠くでモウモウと長閑に鳴く牛の声も聞こえていた。そんな牧歌的な田園風景の中を迷彩色の装甲車がのろのろと動いているが、この道はあくまでも農事用の小路なのであろう。</p><p>農耕地を過ぎて柱状節理の小高い丘が波打つ丘陵地に到着すると、車を降りた加藤主任の歩度が速くなった。</p><p>加藤主任がひらく岩の空洞を遠征隊がくぐりぬけると、そこは眼下に樹林がひろがる断崖絶壁に建つ部屋の中で、ガラスがぼんやり霞んでいるように見えるのはミラーガラスのせいだった。</p><p>「それでは、所長のあいさつにありましたレーザー砲の実射をお見せしましょう」</p>
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<link>https://ameblo.jp/hamabaka3/entry-12354029132.html</link>
<pubDate>Mon, 19 Feb 2018 07:59:21 +0900</pubDate>
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