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<title>ひみつきち</title>
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<description>たいやき、ばーど、めとのイラスト置き場です。昔3人で作っていた創作のキャラクターたちを中心に、のんびり描いています。</description>
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<title>EmbersFlare2  リボンの行方②</title>
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<![CDATA[ <p>それからしばらくして、エミは鞄を肩に掛け、一足先にエンバースを出ていった。<br>フィリスは窓越しに、夕暮れの通りを歩いていく三つ編みの後ろ姿を見送る。<br>ドアベルの余韻が消えたころ、まだ席に残っていたサクが立ち上がった。</p><p><br>「フィリス。これよかったら。」</p><p><br>少し照れくさそうに差し出したのは、上品な包装紙に包まれた紙袋だった。</p><p><br>「何よ、これ。」<br>「一昨日、助けてもらったお礼。家では、堤防で体調を崩したところをエンバースの人に助けてもらったって話したんだ。そしたら母ちゃんが、絶対持っていけって。」</p><p><br>フィリスは紙袋を受け取り、そこに印刷された店名を見た。<br>その瞬間、目を見開く。</p><p><br>「ちょっと待って。これ、駅前にあるお店の、一番高いお菓子じゃない……！？」<br>「えっ、そうなの？」<br>「サク。あんた、もしかしてお金持ちなの？」<br>「普通だよ。母ちゃんが選んだから、オレも知らないんだ。」</p><p><br>フィリスは紙袋を両手で抱え、疑わしそうにサクを見つめた。</p><p><br>「本当に、もらっていいの？」<br>「そのために持ってきたんだからな。」<br>「緋雀。今夜はお菓子祭りよ！」<br>「一度に全部、食べたらダメ。」<br>「まだ開けてもいないのに、どうして止めるのよ！」</p><p><br>そのやり取りを見て、サクが声を上げて笑った。<br>サクがエンバースを出たのは、それから少し経ってからだった。<br><br><br><br>◇</p><p><br>エンバースを出ると、空はすでに茜色へ染まり始めていた。<br>試験を終えた解放感からか、通学路を歩く学生たちの声はいつもより明るい。<br>街路樹の葉が秋風に揺れ、どこからか金木犀の甘い香りが流れてくる。<br>エミも鞄を抱え直し、家へ向かって歩き出した。<br>頭に浮かぶのは、先ほどエンバースで見た魔工具のことだった。</p><p><br>（光る石や、変わったアクセサリーの噂……。）</p><p><br>自分にも、フィリスを手伝えることがある。<br>そう思うと、自然と周囲の店先や、道行く人の装飾品へ目が向いた。<br>そのときだった。<br>向かいから歩いてきた男の胸元で、何かが夕陽を反射した。<br>濃い色のコートの襟元に、小さなブローチが留められている。中央には青緑色の石。</p><p>その周囲を囲む銀細工は、花と蔓を組み合わせた繊細な意匠だった。<br>エミは思わず足を止めた。</p><p><br>（あれ……？）</p><p><br>どこかで見た気がする。<br>男とすれ違ってから、エミはそっと振り返った。<br>風に揺れる、小さな銀色の飾り。<br>完全に同じものではない。それでも、先ほど見た簪に施されていた花の細工と、よく似ていた。<br>その瞬間、ブローチの中心にある石が、かすかに明滅した。<br>男も足を止め、自分の胸元へ目を落とす。<br>それから一度だけエミを振り返ると、何事もなかったように路地裏へ入っていった。</p><p><br>（もしかして、あれも魔工具……？）</p><p><br>胸が小さく高鳴った。<br>あのブローチをどこで手に入れたのか、聞ければ手掛かりになるかもしれない。<br>エミは男が消えた路地へ向かい、数歩進んだ。<br>しかし、入口から薄暗い奥を覗いたところで足を止めた。</p><p><br>『自分で危ない場所へ調べに行ったり、怪しい人についていったりするのは絶対に駄目だからね。』</p><p><br>エンバースで念を押したフィリスの顔が、脳裏に浮かぶ。</p><p><br>「……だめ。」</p><p><br>エミは小さく呟き、首を横に振った。<br>ブローチの形は覚えた。<br>青緑色の石と、銀色の花飾り。それをフィリスに伝えるだけでも、何かの役に立つかもしれない。<br>これ以上、自分一人で調べるべきではない。<br>そう判断して、エミは路地に背を向けた。</p><p><br>「何か、ご用ですか？」</p><p><br>背後から聞こえた穏やかな声に、肩が跳ねる。<br>振り返ると、先ほどの男が路地の入口に立っていた。<br>夕陽を背負っているせいで、その表情は影に隠れて見えない。</p><p><br>「い、いえ……。人違いでした。」</p><p><br>エミは鞄の持ち手を強く握り、男から距離を取ろうとした。<br>男は追ってこない。<br>けれど、その視線だけが、じっとエミへ向けられていた。<br>胸元のブローチが、再び青緑色に光る。<br>先ほどよりも、はっきりと。</p><p><br>「……やはり、反応している。」<br>「え？」</p><p><br>男がブローチへ指を添えた。<br>青緑色の光が大きく脈打つ。<br>次の瞬間、路地から吹き出した冷たい風が、エミの身体へ絡みついた。</p><p><br>「きゃっ……！」</p><p><br>後ずさろうとしても、足が動かない。<br>目には見えない何かが、足首をきつく縛りつけている。さらに風が腕へ巻きつき、鞄が手から滑り落ちた。</p><p><br>「だ、誰か………！」</p><p><br>助けを呼んだはずだった。<br>けれど、自分の声が聞こえない。<br>周囲の音まで、突然遠ざかっていた。学生たちの話し声も、車の走る音も、木々のざわめきも消えている。<br>風の膜が、エミの声ごと閉じ込めていた。</p><p><br>（魔工具……！？）</p><p><br>青緑色の光の縁に、墨を一滴垂らしたような黒い色が滲んだ。<br>ほんの一瞬だった。<br>黒い靄はすぐに風へ溶け込み、見えなくなる。</p><p><br>「一緒に来てもらう。」</p><p><br>男は穏やかな口調のまま、エミへ歩み寄った。</p><p><br>「素質のある人間は、貴重だからな。」<br>「何を……言って……。」</p><p><br>必死に身をよじるが、風の拘束は緩まない。<br>路地の奥から、もう一人の男が姿を現した。手には大きな布を持っている。</p><p><br>逃げられない。</p><p><br>そう悟った瞬間、恐怖で呼吸が浅くなった。<br>それでも、エミは震える指先を懸命に動かした。<br>男が腕を掴んだ隙に、指を三つ編みの先へ滑らせる。<br>結び目へ指をかけ、そっと引いた。<br>するりとほどけたリボンが、足元へ落ちる。</p><p><br>フィリスなら、きっと気づいてくれる。<br>サクも、このリボンが自分のものだと知っている。</p><p><br>エミは男たちに悟られないよう、落ちたリボンを足元の影へ押しやった。<br>直後、頭から布を被せられる。<br>視界が暗闇に閉ざされ、身体が持ち上げられた。</p><p><br>「フィリス……。」</p><p><br>声にならない声で、その名を呼ぶ。</p><p><br>やがて路地から人の気配が消え、封じられていた街の音がゆっくりと戻ってきた。<br>冷たい秋風が吹き抜ける。</p><p><br>薄暗い路地の入口には、ほどけた一本のリボンだけが、取り残されていた。<br><br>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/harunomarisa/entry-12978737227.html</link>
<pubDate>Wed, 16 Sep 2026 22:20:02 +0900</pubDate>
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<title>いにしえの初期設定</title>
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<![CDATA[ <p>データ整理しているときに出てきた画像の中に、</p><p>初描きしたものもあって、ひたすら笑ってたんですよね。</p><p>&nbsp;</p><p>↓フィリスの初期設定</p><p>&nbsp;</p><p><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20260915/22/harunomarisa/76/fb/p/o0722082715822407357.png"><img alt="" height="481" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20260915/22/harunomarisa/76/fb/p/o0722082715822407357.png" width="420"></a></p><p>&nbsp;</p><p>ちゃんとネクタイとか袖の紋様ちゃんと書いてたんだなぁとか</p><p>敵キャラだったんだよねそういえばとか</p><p>武器名空欄じゃないかとか</p><p>&nbsp;</p><p>そう思う反面、</p><p>謎のテストの点とぼけ。</p><p>&nbsp;</p><p>この頃のキャラの設定、なんかみんなテストの点書いてあるんですよね笑</p><p>まぁ高校生だったし重要だったのか、テストの点数の設定……笑</p><p>&nbsp;</p><p>あと、「ぼけ」っていうのも。</p><p>&nbsp;</p><p>「ボケ」なのか「ツッコミ」なのか。</p><p>これもみんな書いてあって腹筋死にそうになりました。</p><p>&nbsp;</p><p>カップリングなら受けとか攻めとかじゃなくて…</p><p>ボケなのかツッコミなのかがめちゃくちゃ重要視されていて笑う。</p><p>&nbsp;</p><p>しかも初期メンバーほぼ「ぼけ」って書いてあってそれも笑いが止まらなかった。</p><p>ツッコミ一人しかいない笑</p><p>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/harunomarisa/entry-12978833873.html</link>
<pubDate>Tue, 15 Sep 2026 23:00:55 +0900</pubDate>
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<title>EmbersFlare2  リボンの行方①</title>
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<![CDATA[ <p style="text-align: center;"><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20260906/22/harunomarisa/9e/01/p/o1073129315819670228.png"><img alt="" height="506" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20260906/22/harunomarisa/9e/01/p/o1073129315819670228.png" width="420"></a></p><p>秋の陽が傾きはじめ、カフェ・エンバースの窓から淡い橙色の光が差し込んでいた。<br>昼間の喧騒はすでに落ち着き、店内に残っている客もまばらになっている。</p><p>フィリスはカウンターの内側で今日の仕込みを終え、考え込みながらカップを磨いていた。</p><p><br>「やっと定期試験、終わったーっ！」</p><p><br>窓際の席で、サクが両腕を高く上げて思いきり伸びをする。</p><p>椅子の背もたれがぎしりと鳴り、その隣でエミがくすくすと笑った。</p><p><br>「二人とも、お疲れさま。」</p><p><br>緋雀が、二人の前へティーカップを置く。<br>エミにはいつものレモンティー。サクのグラスからは、メロンソーダの氷がからんと音を立てた。</p><p><br>「手応えはどう？」<br>「めちゃくちゃいい！今回はいけた気がする！」<br>「昨日まで、現代文が無理だって焦ってたのにね。」<br>「エミに教えてもらったところが出たんだよ。だから、たぶん大丈夫！」</p><p><br>胸を張るサクを見て、エミがまた小さく笑う。<br>それから、カウンターにいるフィリスへ視線を向けた。</p><p><br>「フィリスは、何か考え事？」<br>「うん。結局、コアって何なのかと思って。」</p><p><br>カップを置いたフィリスは、口元に手を当てた。<br>一昨日、サクの胸元から現れた、小さな結晶。<br>コアを回収したあとも、サクの体調に変化はなかった。</p><p>魔力を持たないサクから生まれたにもかかわらず、体力や気力を消耗した様子もない。</p><p><br>「一昨日はサクから出てきた。でも、出現条件が全然分からないのよね。」</p><p><br>フィリスはしばらく考えたあと、サクへ顔を向けた。</p><p><br>「サク。もう一個、コアを出してみて。」<br>「えっ！？そんな急に言われても……。」</p><p><br>サクは困ったように眉を下げながら、胸の前で両手を構えた。</p><p><br>「う、うーん……。コア、出てこーい……！」</p><p><br>力いっぱい唸ってみるものの、当然、何も起こらない。<br>その必死な姿を見て、エミが口元を押さえて笑う。</p><p>つられるように、緋雀も小さく肩を揺らした。</p><p><br>しかし、フィリスは一緒に笑っている場合ではなかった。<br>ようやく一個目を見つけたものの、残りは九個。次のコアが見つかる目処は、まるで立っていない。</p><p><br>「そうよね……。」</p><p><br>フィリスがため息をつくと、なぜかサクとエミも同じように肩を落とした。</p><p><br>「緋雀は、コアが出てきたときに何か感じなかった？」<br>「何も。魔力とは、違った。」</p><p><br>緋雀は静かに首を振る。</p><p><br>「じゃあ、サク。コアが出てきたときのことを、もっと詳しく教えて。」<br>「えっと……助けてもらえて、エミにハンカチを返せて、それで……。」</p><p><br>サクの視線が、隣に座るエミへちらりと向く。</p><p><br>「嬉しかった、かな。」<br>「嬉しいと出るのかしら。でも、それだけなら今までだって、誰かが喜んでいる場面くらい見ているはずよね……。」</p><p><br>再び考え込んだフィリスを、緋雀が心配そうに見つめる。<br>やがて何かを決めたように厨房へ引っ込み、湯気の立つ皿を三人分運んできた。</p><p><br>「おっ、美味しそう！」</p><p><br>皿に盛られたミートスパゲッティを見て、サクが目を輝かせる。<br>温かな湯気とともに、トマトソースとひき肉の香ばしい匂いが広がった。</p><p><br>「フィリスも、エミたちとご飯食べて、休憩して。」<br>「もう少しで閃きそうな気がするの。私はあとで――」<br>「朝、少ししか食べてない。それに、早く食べないと、冷める。」<br>「う……」</p><p><br>緋雀はフィリスの前へ、最後の一皿を置いた。</p><p><br>「フィリスの、大盛りにした。」</p><p><br>エミとサクの皿に比べて、倍近い量のパスタがこんもりと盛られている。<br>ソースの絡んだ麺の上で、粉チーズがゆっくりと溶けていく。</p><p><br>（美味しそう……！）</p><p><br>香りに刺激され、空っぽだった胃が急に存在を主張し始めた。</p><p>ついさっきまで考えていたことが、頭の隅へ追いやられていく。</p><p><br>「座って、一緒に食べよう？」</p><p><br>エミに手を引かれ、フィリスは観念して隣の席へ座った。<br>それを見ると、緋雀はそのまま厨房へ戻ろうとした。</p><p><br>「ちょっと。緋雀の分は？」<br>「お皿、洗ってからーー」<br>「早く食べないと冷めるって、今あんたが言ったんでしょ。自分にも同じこと言いなさい。」</p><p><br>緋雀は少しだけ目を丸くした。</p><p><br>「ほら。緋雀も座って、一緒に食べるわよ。」<br>「……うん。」</p><p><br>緋雀は困ったように、それでもどこか嬉しそうに頷くと、厨房からもう一皿を持ってきた。<br>フォークで巻いた熱々のパスタを頬張る。</p><p>トマトの酸味と肉の旨味が口いっぱいに広がり、冷えかけていた身体まで温まっていく。</p><p><br>「美味しい……！幸せ……！」<br>「フィリスの幸せって、安いな。」<br>「あんたに言われたくないわよ。」</p><p><br>サクに言い返しながらも、フォークを動かす手は止まらない。<br>その食べっぷりにエミとサクは目を丸くしていたが、緋雀だけは満足そうに微笑んでいた。<br>しばらくして、エミがふと思い出したように口を開いた。</p><p><br>「そういえば、あのシスカって子も魔術を使っていたみたいだけど、フィリスの知り合いではないんだよね？」<br>「知らないわ。正規の許可を受けて人間界に来ている魔術師なんて、実習中の学院生くらいしか知らないのよね。」</p><p><br>フィリスはフォークを置き、一昨日の出来事を思い返した。<br>黒いコートを着た少女。<br>手にしていた小さな宝箱と、青い魔石が光る細身の小さな杖。そして、途中で取り出した首飾り。<br>あれはどれも。</p><p><br>「……魔工具だったわ。」</p><p><br>呟きが、穏やかな店内へぽつりと落ちた。<br>そして、シスカは言っていた。<br>魔力さえ集めれば、“あの方”が願いを叶えてくれる、と。</p><p><br>（あの方って、誰なのかしら。）</p><p><br>シスカに魔工具を渡し、人間から魔力を集めさせていた者がいるのかもしれない。</p><p><br>「まだ仲間がいる可能性もあるわね。シスカは、あれからどこへ逃げたのかしら。」<br>「あれ？」</p><p><br>同じように考え込んでいたエミが、不意に首を傾げた。</p><p><br>「そういえば、あの宝箱って、そのあとどうなったの？」<br>「そういえば……。」</p><p><br>フィリスは腕を組み、記憶を辿った。<br>宝箱を開け、奪われた力を戻した。<br>サクが目を覚ました。<br>その直後、コアが現れてーー。</p><p><br>「初めてのコアに夢中で、すっかり忘れてたわ。」</p><p><br>（もしかしたらまだあの堤防に……。）</p><p><br>そこまで考えたところで、フィリスははっと顔を上げた。</p><p><br>堤防を離れたあと、緋雀は確かにこう言った。<br>“忘れ物”をした、と。</p><p><br>「ねぇ、緋雀。」</p><p><br>名前を呼ばれた緋雀の肩が、ぎくりと跳ねた。</p><p><br>「もしかして、忘れ物って……まさかとは思うけど。」<br>「……ごめん、なさい。」</p><p><br>緋雀は身体を小さくし、気まずそうに目を逸らした。</p><p><br>「何がよ。」<br>「でも、コアとは関係ない、から……。」<br>「やっぱり持ってるのね？」</p><p><br>フィリスが椅子から身を乗り出す。</p><p><br>「関係なくないわ。アストラシアの魔工具で、人間界の人が被害に遭ったのよ。</p><p>　魔術で対抗できる私たちが、どうにかしないと。」<br>「拾って、警察に届ける、つもりだった。」<br>「一昨日から？まだ届けてないの？」</p><p><br>フィリスが目を細めると、緋雀の視線が床を泳いだ。</p><p><br>「……アストラシアの警察に、届けないと意味ないと、思って。」<br>「それはそうだけど。いつ届けるつもりだったのよ。」<br>「機会、見て……。」<br>「ふーん？」</p><p><br>何かを隠しているような気がする。<br>けれど、人間界とアストラシアを軽々しく行き来できない以上、渡す時機を考えていたというのも、分からなくはない。<br>それより今は、魔工具を調べる方が先だ。</p><p><br>「早く出してちょうだい。」</p><p><br>緋雀はフィリスと床の間で何度も視線を往復させた。<br>やがて逃げ切れないと悟ったのか、おずおずと一昨日の宝箱と、細身の杖を取り出してテーブルへ置いた。</p><p><br>「触っても大丈夫なの？」</p><p><br>エミが心配そうに覗き込む。</p><p><br>「もう、魔力残ってない。発動しない。」</p><p><br>緋雀の言葉を聞き、フィリスは慎重に杖を持ち上げた。<br>夜の堤防では杖に見えたが、明るい店内で改めて見ると、ずいぶん細くて短い。<br>青い魔石の周囲には銀色の細工が施され、先端からは小さな飾りが垂れている。</p><p><br>「あれ？これ、杖じゃないわね。」</p><p><br>フィリスは道具をくるりと回した。</p><p><br>「簪だわ。」</p><p><br>シスカが杖のように振っていたため、すっかりそう思い込んでいた。けれど実際には、髪を飾るための簪だったらしい。</p><p><br>「さっきから言ってる“魔工具”って、どんなもの？」</p><p><br>サクがおそるおそる手を上げた。</p><p><br>「フィリスが持ってる杖とは違うの？」<br>「それ、私も気になってた。」</p><p><br>エミも真剣な顔で頷く。</p><p><br>「魔工具っていうのは、魔石を組み込んだ道具のことよ。魔石には魔力や魔術を込めておけるから、必要なときに取り出して使えるの。」</p><p><br>フィリスは指先で、テーブルに置かれた簪を示した。</p><p><br>「炎の魔術を込めて火を起こしたり、光の魔術を込めて夜道を照らしたり。日常生活で使う物が多いわ。」<br>「便利じゃん。オレも欲しいなぁ。」<br>「話は最後まで聞きなさい。人間界へ勝手に持ち込むのは禁止よ。」</p><p><br>サクが伸ばしかけた手を、慌てて引っ込める。</p><p><br>「私たちの世界でも、全員が魔術を使えるわけじゃないの。だから、起動させるだけなら魔力を持っていない人でも使えるように作られた物もある。」<br>「じゃあ、あのシスカって子も？」<br>「ええ。自分の魔術ではなく、魔工具に込められた魔術を使っていたんだと思うわ。」</p><p><br>フィリスが答えると、緋雀が小さく頷いた。</p><p><br>「シスカから、魔力は感じなかった。多分、人間界の人。」<br>「やっぱり……。」</p><p><br>人間界の少女が、アストラシアの魔工具をいくつも持っていた。<br>となれば、シスカへ魔工具を渡した者がいる。<br>おそらく、彼女が口にしていた“あの方”と無関係ではない。</p><p><br>「魔工具には、護身用や戦闘用の物もあるわよ。防護壁の魔術を込めたアクセサリーとか、魔力を通すことで強度を増す武器とかね。」</p><p><br>それまで黙って話を聞いていた緋雀が、袖から一本のナイフを取り出し、テーブルへそっと置いた。</p><p><br>「これも、魔工具。」</p><p><br>赤い魔石を削り出した刀身が、陽の光を受けて熾火のように輝いた。</p><p><br>「綺麗……。」</p><p><br>エミとサクが、揃って息を呑んだ。<br>フィリスはその反応に、なぜか少しだけ誇らしい気持ちになった。</p><p><br>「そうでしょ。これは魔石そのものを加工して作った武器よ。魔力を通せば、普通の刃物よりずっと強くなるの。」</p><p><br>フィリスの視線が、懐かしいナイフの上で止まる。</p><p><br>「警察官だった父が使っていたの。魔工具には、こういう武器もあるわ。」<br>「緋雀は持ち込んでも大丈夫なの？」</p><p><br>エミが尋ねると、緋雀は平然と頷いた。</p><p><br>「許可、もらってる。」<br>「人間界へ持ち込める魔工具は、事前に登録して、特別な許可をもらった物だけよ。」</p><p><br>緋雀は宝箱と簪へ目を向けた。</p><p><br>「これは、許可得てない魔工具。」<br>「誰かが許可を得ずに、持ち込んだということ？」</p><p><br>エミが顎に手を添えて考え込む。</p><p><br>「多分。でも許可なしで、持ち込むの、ほぼできない。入界規制、厳しいから。」</p><p><br>緋雀が首を横に振った。<br>フィリス自身も実習へ来る際、王国上層部から発行された許可証を学院から渡されている。申請すれば誰でも簡単に得られるようなものではない。</p><p><br>「そうね。シスカは人間界の人みたいだし、自分でアストラシアから持ち込んだとも考えにくい。」</p><p><br>やはり、誰かが彼女へ渡したのだ。<br>そこまで考えたところで、フィリスはふと眉を寄せた。</p><p><br>「そういえば、緋雀。」<br>「……何？」<br>「なんで、これが許可を得てない魔工具だって分かったの？」<br>「……へ？」</p><p><br>緋雀の目が一瞬だけ丸くなった。<br>すぐに視線が泳ぎ、テーブルの上の簪へ落ちる。</p><p><br>「許可得た魔工具、印がある。これには、ない。」</p><p><br>緋雀が自分のナイフに手を翳すと王国の紋章がふわっと浮かび上がった。<br>それから簪の方にも手を翳すが何も起こらない。<br>驚いて自分の杖も確かめる。確かに紋章が浮かんだ。</p><p><br>「そんなことまで知ってるの？」<br>「入界するとき、教えてもらったから……。」<br>「ふーん。私、聞き逃したのかしら。」<br>「たぶん……。」</p><p><br>緋雀は神妙に頷いた。<br>どうやら、うまく説明できたと思っているらしい。けれど、答えるまでに妙な間があったことを、フィリスは見逃さなかった。</p><p><br>（やっぱり、何か変ね。）</p><p><br>気にはなる。<br>けれど、フィリスの関心はすぐに、目の前の魔工具へ引き戻された。<br>簪を、宝箱の隣へ置く。</p><p><br>「宝箱に、首飾りに、簪……。」</p><p><br>シスカが使っていた物を、ひとつずつ思い返す。<br>宝箱には、草花を模した繊細な彫刻が刻まれている。簪にも、小さな花をかたどった銀細工が施されていた。あの夜に見た首飾りも、淡い色の石をあしらった美しいものだった。<br>どれも、人を傷つけるための道具には見えない。<br>むしろ、大切な誰かへ贈るために作られた品のようだった。</p><p><br>「変ね。あれだけ危険な魔術が入っていたのに、最初から武器として作られたような物が一つもないわ。」</p><p><br>フィリスの呟きに、エミも真剣な顔で魔工具を見つめた。</p><p><br>「アクセサリーとして持ち込んで武器として使っているのかな。」<br>「まだ分からない。でも、シスカ単独ってわけではなさそうね。」<br>「私にも、何か手伝えることある？」</p><p><br>エミが顔を上げる。</p><p><br>「手伝ってくれるの？」<br>「うん。フィリス、あと九個もコアを探さなきゃいけないんでしょう？この魔工具も手掛かりになるかもしれないなら、私も力になりたい。」<br>「オレも手伝うよ！」</p><p><br>その言葉は、素直に嬉しかった。<br>けれど、エミとサクを危険な事件に巻き込むことは、フィリスの望みではない。</p><p><br>「じゃあ、光る石や、変わったアクセサリーの噂を聞いたら教えて。それだけで十分よ。」<br>「うん、分かった。」<br>「ただし、自分で危ない場所へ調べに行ったり、怪しい人についていったりするのは絶対に駄目だからね。」</p><p><br>フィリスが念を押すと、エミとサクはもう一度、しっかりと頷いた。</p><p><br>窓から差し込む夕陽が、テーブルに並んだ簪と宝箱を照らす。<br>柔らかな光の中では、それらは一昨日、人を傷つけた道具だったとは思えないほど、美しく見えた。<br><br>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/harunomarisa/entry-12978736889.html</link>
<pubDate>Tue, 15 Sep 2026 22:22:24 +0900</pubDate>
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<title>EmbersFlare1  落第寸前の魔術師見習い⑦</title>
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<![CDATA[ <p style="text-align: left;">翌日の夕方。</p><p><br>エンバースの前を通る並木道に、柔らかな秋風が吹いていた。</p><p><br>色づき始めた葉が夕陽を受け、店内の床へまだらな影を落としている。</p><p><br>緋雀は窓際のテーブルを片づけながら、外を静かに見つめていた。</p><p><br>「緋雀。昨日の夜……。」</p><p><br>フィリスが何気なく声をかけた途端、その肩がびくりと跳ねた。</p><p><br>分かりやすい反応に、フィリスは目を細める。</p><p><br>「なかなか速く動けるんじゃない。」</p><p><br>「……え？」</p><p><br>「公務員って言ってたから、事務仕事ばっかりで、あんまり身体を動かさない仕事だと思ってたけど。」</p><p><br>昨夜の戦いを思い出す。</p><p><br>風刃が目の前まで迫った瞬間、緋雀はいつの間にかフィリスの前へ立っていた。</p><p><br>エミが狙われたときも、フィリスが声を上げるより早く、その身体を庇っていた。</p><p><br>「私、緋雀があんなに速く動けるなんて知らなかったわ。」</p><p><br>緋雀は手にしていたカップへ視線を落とす。</p><p><br>「そこそこ、なら……。少しは、鍛えてる……。」</p><p><br>「たまにいないの、もしかして筋トレしてるってこと？」</p><p><br>「そ、そう。よく走り込み、してる。」</p><p><br>言葉を区切りながら答え、何度も小さく頷く。</p><p><br>「ふーん。」</p><p><br>フィリスは腕を組み、緋雀の顔を覗き込んだ。</p><p><br>明らかに狼狽えている。</p><p><br>視線は合わないし、カップを拭く手もいつもよりぎこちない。</p><p><br>けれど、嘘を言っているようにも思えなかった。</p><p><br>実際、あれほど素早く動くには、普段から身体を鍛えていなければ無理だろう。</p><p><br>（何をそんなに筋トレでおろおろするんだろう。）</p><p><br>緋雀は昔から、褒められることに慣れていない。</p><p><br>隠れて鍛えているところを知られ、恥ずかしがっているのかもしれない。</p><p><br>そう考えていると、緋雀が急に店の奥へ顔を向けた。</p><p><br>「あ、店長、呼んでる。」</p><p><br>「え？何も聞こえなかったけど。」</p><p><br>「呼んでる。たぶん。」</p><p><br>緋雀は空になったカップを重ねると、そそくさと店の奥へ入っていった。</p><p><br>（逃げた。）</p><p><br>その背中を見送りながら、フィリスは首を傾げる。</p><p><br>最近、緋雀の様子がおかしい気がする。</p><p><br>外をじっと見ていたり、突然いなくなったり、聞いても「なんでもない」としか答えなかったり。</p><p><br>もう少し問い詰めようかと思った、そのときだった。</p><p><br>「注文お願いしまーす！」</p><p><br>店の奥から客の声が響く。</p><p><br>「はーい！」</p><p><br>フィリスの意識はすぐに仕事へ切り替わった。</p><p><br>伝票を受け取り、カウンターへ戻ってコーヒー豆を挽き始める。</p><p><br>やがて香ばしい匂いが広がり、店内の会話に耳慣れた機械音が重なった。</p><p><br>「昨日の事件、解決したんだって。」</p><p><br>近くのテーブルから聞こえた言葉に、フィリスの手がわずかに止まる。</p><p><br>「堤防で倒れてた人たち、みんな意識が戻ったらしいよ。」</p><p><br>「よかった。でも、結局原因は分からなかったみたいだね。」</p><p><br>「魂を抜かれたって噂、やっぱり嘘だったのかな。」</p><p><br>学生たちは安心したように話している。</p><p><br>フィリスは何も知らないふりをして、カップへゆっくりとコーヒーを注いだ。</p><p><br>（よかった……。みんな、無事だったんだ。）</p><p><br>昨夜、小箱を開けた瞬間に飛び出した無数の光。</p><p><br>街の方角へ消えていったあの光は、きちんと持ち主のもとへ帰れたらしい。</p><p><br>胸の奥が、じんわりと温かくなる。</p><p><br>フィリスは緩みそうになる口元を、きゅっと引き結んだ。</p><p><br>人前で得意げに笑うわけにはいかない。</p><p><br>魔術のことは秘密なのだから、「私が助けたのよ」と名乗ることもできない。</p><p><br>それでも。</p><p><br>（あの箱を開けて、みんなの力を戻したのは私だもの。）</p><p><br>少しくらい、心の中で胸を張ってもいいだろう。</p><p><br>昨日まで原因も分からず苦しんでいた人たちを、自分の手で助けられた。</p><p><br>その事実が、初めて手に入れたコアと同じくらいうれしかった。</p><p><br>フィリスは誰にも見られないよう、こっそりと口元を緩めた。</p><p><br>窓際の席では、エミとサクがいつものように教科書を広げていた。</p><p><br>「今日の試験、思ったより簡単だったね。」</p><p><br>「マジか！それはエミだけだって。でも、昨日教えてもらったところは、オレもできたよ！」</p><p><br>「本当？よかった。」</p><p><br>エミが嬉しそうに微笑む。</p><p><br>サクはすぐに頬を赤くし、誤魔化すように教科書へ顔を落とした。</p><p><br>昨夜あれほどのことがあったのに、二人の間にはもう穏やかな時間が戻っている。</p><p><br>フィリスはコーヒーを運びながら、二人へ笑いかけた。</p><p><br>「ずいぶん仲がいいのね、二人とも。」</p><p><br>「えっ！？」</p><p><br>サクが勢いよく顔を上げる。</p><p><br>「そ、そんなんじゃ――いや、仲はいいけど！よくなりたいけど！」</p><p><br>慌てるサクを見て、エミがくすくすと笑った。</p><p><br>その笑い声につられ、フィリスも頬を緩める。</p><p><br>夕陽がテーブルを照らし、カップから立ち上る湯気が、昨夜の残り火のように揺れていた。</p><p><br>フィリスは胸元へ手を添える。</p><p><br>ペンダントの中では、初めて回収した橙色のコアが静かに輝いている。</p><p><br>残り二か月、あと九個。</p><p><br>先はまだ長い。</p><p><br>それでも、昨日までのゼロとはまるで違って見えた。</p><p><br>「あと九個。なんだ、意外といけそうじゃない。」</p><p><br>フィリスの呟きを聞き、エミが教科書から顔を上げた。</p><p><br>「昨日、落第寸前だって聞いたばかりだけど。」</p><p><br>「緋雀は言わなくていいことまで言うんだから。」</p><p><br>フィリスは不満そうに唇を尖らせる。</p><p><br>「それに、昨日の私は昨日の私よ。」</p><p><br>「一個見つけただけで、そんなに変わるものなの？」</p><p><br>「最初の一個が一番難しいの。</p><p>　見つけ方はまだ分からないけど、一個あるなら、残りもどこかにあるってことでしょ？」</p><p><br>自信満々に胸を張るフィリスを見て、エミがくすくすと笑った。</p><p><br>「そうだね。フィリスなら、きっと見つけられるよ。」</p><p><br>冒頭で緋雀に言われた言葉が蘇る。</p><p><br>根拠のない自信だと思っていた。</p><p><br>けれど、今はエミの言葉を素直に受け取ることができた。</p><p><br>「当然よ。」</p><p><br>フィリスは腰へ手を当て、胸を張った。</p><p><br>「今日から巻き返すわよ！」</p><p><br>エミの楽しそうな笑い声が、夕暮れのエンバースに広がる。</p><p><br>昨日まで真っ白だった実習記録に、ようやく最初の一行を書き込める。</p><p><br>魔術師になるための一歩を、フィリスはようやく踏み出せた。<br><br>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/harunomarisa/entry-12977977725.html</link>
<pubDate>Mon, 14 Sep 2026 22:19:53 +0900</pubDate>
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<title>EmbersFlare1  落第寸前の魔術師見習い⑥</title>
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<![CDATA[ <p style="text-align: center;">&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>二人が笑い合うのを見ていたサクが、不意に声を上げた。</p><p><br>「あっ！そうだ！」</p><p><br>勢いよく制服のポケットを探り始める。</p><p><br>「どうしたの？」</p><p><br>エミが首を傾げる。</p><p><br>サクが取り出したのは、淡い花柄のハンカチだった。</p><p><br>洗って丁寧に畳んであったが、意識を失っている間も握っていたためか、端に少しシワがついている。</p><p><br>「これ、返しそびれてて……。」</p><p><br>エミもハンカチを見て目を瞬いた。</p><p><br>「本当は、最初に会ったときからずっと話しかけようと思ってたんだ。」</p><p><br>サクは照れくさそうに頭の後ろを掻く。</p><p><br>「エンバースにいるのを何度か見かけてたけど、なかなか勇気が出なくて。</p><p>　オレ、こんな感じだし、急に話しかけたら変に思われるかなって……。」</p><p><br>「こんな感じって、どんな感じよ。」</p><p><br>フィリスが口を挟むと、サクは困ったように笑った。</p><p><br>「話しかける前に自転車ごと植え込みに突っ込む感じ。」</p><p><br>「確かに格好はつかないわね。」</p><p><br>「自分でも分かってるから言わないで！」</p><p><br>エミが口元へ手を添え、くすくすと笑う。</p><p><br>その笑顔に勇気づけられたのか、サクは手の中のハンカチへ目を落とした。</p><p><br>「でも、これのおかげできっかけをもらえた。エミと話せたし、また明日も会えるようになったから。」</p><p><br>一度言葉を切り、エミをまっすぐ見る。</p><p><br>「ありがとう。」</p><p><br>そっと差し出されたハンカチを、エミが両手で受け取った。</p><p><br>「あげるつもりで渡したのに。」</p><p><br>「えっ？」</p><p><br>サクが目を丸くする。</p><p><br>「転び方がすごかったから、返しに来る余裕なんてないと思ってた。」</p><p><br>「オレ、そこまで心配されてたのか……。」</p><p><br>「でも、わざわざ洗って持ってきてくれたんだね。」</p><p><br>エミは大切そうにハンカチを胸元へ寄せた。</p><p><br>夜風に、ゆるく編まれた長い三つ編みが揺れる。</p><p><br>ほどけた細い髪が頬へかかり、エミはそれを耳へかけた。</p><p><br>街灯の淡い光が、長い睫毛と整った横顔を柔らかく縁取っている。</p><p><br>少しだけ頬を染め、いつもの落ち着いた表情を崩していた。</p><p><br>嬉しさを隠しきれないように目を細め、サクへ微笑みかける。</p><p><br>「ありがとう、サク。大事にするね。」</p><p><br>サクは返事を忘れた。</p><p><br>呆然とエミを見つめたまま、頬がみるみる赤くなっていく。</p><p><br>開きかけた口からは、声一つ出てこない。</p><p><br>（これはまた、完全に見惚れてるわね。）</p><p><br>フィリスが内心で微笑んだ、その時だった。</p><p><br>胸元のペンダントが、突然熱を帯びた。</p><p><br>「え……？」</p><p><br>先ほどまで消えかけていた紅い石が、目を開けていられないほど強く輝く。</p><p><br>同時に、サクの胸元から橙色の光がふわりと溢れ出した。</p><p><br>「な、なんだこれ！？」</p><p><br>サクが慌てて胸を押さえる。</p><p><br>橙色の光は二人の間をゆっくりと漂いながら、一つの場所へ集まっていく。</p><p><br>光が重なり、凝縮し、少しずつ形を変える。</p><p><br>やがて現れたのは、指先ほどの小さな結晶だった。</p><p><br>透明な宝石のような表面。</p><p><br>その内側では、温かな橙色の光が、灯火のように揺らめいている。</p><p><br>結晶は夜空から降りるように、サクの手のひらへ収まった。</p><p><br>四人はしばらく、誰も言葉を発せずにそれを見つめていた。</p><p><br>最初に我に返ったのは、フィリスだった。</p><p><br>「もしかして……コア？」</p><p><br>目を見開き、結晶とペンダントを交互に見る。</p><p><br>紅い石は間違いなく、サクの手の中にある結晶へ反応していた。</p><p><br>一ヶ月間待ち続けた、本物の反応だ。</p><p><br>「これが、フィリスの集めてるやつ？」</p><p><br>サクは何が起きたのか分からないまま、手のひらを差し出す。</p><p><br>「多分……。今、サクから出てこなかった？」</p><p><br>「うん。オレから出てきた。」</p><p><br>「えっ、サクの身体、大丈夫なの……？」</p><p><br>フィリスが呆然としたままサクに問うと、<br>サクは両腕や胸を慌てて触り、異常がないか確かめる。</p><p><br>「痛いところはある？」</p><p><br>「ない。むしろ、さっきより元気。」</p><p><br>「本当に、もらってもいいの？」</p><p><br>フィリスが念を押す。</p><p><br>「うん。何なのか分からないけど、フィリスが必要なものなら。」</p><p><br>サクは橙色の結晶を、フィリスへ差し出した。</p><p><br>「助けてもらったお礼。持っていってよ。」</p><p><br>フィリスは、壊れ物へ触れるように両手で受け取った。</p><p><br>ほんのりと温かい。</p><p><br>けれど、魔力とは違う、不思議な感触だった。</p><p><br>「本当に……コア、なのよね？」</p><p><br>恐る恐るペンダントへ近づける。</p><p><br>紅い石が強く輝いた。</p><p><br>それに応えるように、橙色の結晶も一度大きく明滅する。</p><p><br>次の瞬間、コアは光の粒へ変わり、ペンダントの中へ静かに吸い込まれていった。</p><p><br>紅い石の奥に、小さな橙色の光が灯る。</p><p><br>フィリスはしばらく、その光を見つめていた。</p><p><br>一ヶ月間、どれほど探しても見つからなかった。</p><p><br>実習記録へ書くこともできず、何度も落第を覚悟した。</p><p><br>それが今、確かに目の前にある。</p><p><br>「やっと……。」</p><p><br>喜びが、じわじわと胸の奥から込み上げてくる。</p><p><br>「やっと、一個目！」</p><p><br>フィリスは両手を上げ、その場で飛び跳ねた。</p><p><br>「やったー！」</p><p><br>勢いのまま緋雀へ両手を差し出す。</p><p><br>緋雀は一瞬目を瞬いたあと、静かに手を合わせた。</p><p><br>ぱちん、と乾いた音が夜の堤防に響く。</p><p><br>「見た！？本当に一個目よ！これであと九個だわ！」</p><p><br>「うん。よかった。」</p><p><br>「フィリスって大人っぽいと思ってたけど、意外と子どもっぽいんだね。」</p><p><br>エミが笑う。</p><p><br>フィリスのあまりの喜びように、サクも緋雀も笑っていた。<br><br><br>しばらくして、四人は堤防を下り、街灯の並ぶ夜道を歩いていた。</p><p><br>フィリスは何度も胸元のペンダントを持ち上げ、石の奥に宿った橙色の光を眺めている。</p><p><br>見間違いではないかと確かめるたび、頬が緩んだ。</p><p><br>その途中で、緋雀が不意に足を止めた。</p><p><br>「緋雀、どうしたの？」</p><p><br>フィリスが振り返る。</p><p><br>緋雀は来た道へ目を向けていた。</p><p><br>暗い堤防の先を、何かの痕跡を探すように見つめている。</p><p><br>「……忘れ物。」</p><p><br>「堤防に？」</p><p><br>「うん。すぐ戻る。」</p><p><br>「何を忘れたのよ。」</p><p><br>緋雀は少し考えたあと、視線を逸らした。</p><p><br>「……確認、してくる。」</p><p><br>よく分からない答えだった。</p><p><br>いつもならもう少し問い詰めるところだが、今のフィリスは初めてのコアで頭がいっぱいだった。</p><p><br>「じゃあ、私は先にエミとサクを送っていくわ。気をつけてね。」</p><p><br>「うん。」</p><p><br>緋雀は小さく頷くと、一人で来た道を引き返していった。</p><p><br>その背中を見送ったあと、フィリスは再びペンダントへ目を落とす。</p><p><br>「……やっと、一個目。」</p><p><br>何度口にしても、胸が高鳴る。</p><p><br>「ふふっ。」</p><p><br>「よかったね、フィリス。」</p><p><br>エミが隣から顔を覗き込み、柔らかく微笑んだ。</p><p><br>「本当によかった。これで落第しなくて済みそう。」</p><p><br>「まだ一個なんだろ？」</p><p><br>サクの指摘に、フィリスは顔を上げる。</p><p><br>「最初の一個が見つかったんだから、あとは勢いよ。残り九個くらい、すぐだわ。」</p><p><br>「急に強気になった……。」</p><p><br>サクは呆れたように笑ったあと、何かを思い出して足を止めた。</p><p><br>「そういえば、まだ試験期間終わってないんだった……。」</p><p><br>頭を抱え、その場にしゃがみ込みそうになる。</p><p><br>「逃げ出したい……！」</p><p><br>「あんた、エミに教えてもらってたじゃない。」</p><p><br>「数学は何とかなりそう。でも、その次は一番苦手な現代文なんだ。」</p><p><br>「じゃあ、明日はエンバースで現代文をみっちり勉強しようね。」</p><p><br>エミが楽しそうに言う。</p><p><br>サクは顔を上げた。</p><p><br>「みっちり勉強かぁ……。」</p><p><br>少しだけ苦い顔をしたあと、エミを見て頬を緩める。</p><p><br>「でも、また一緒にできるのはうれしい。」</p><p><br>口に出してから、自分が何を言ったのか気づいたらしい。</p><p><br>サクの顔が一気に赤くなる。</p><p><br>エミも少し頬を染め、手にした花柄のハンカチへ目を落とした。</p><p><br>フィリスはそんな二人を見比べ、声を上げて笑う。</p><p><br>三人の笑い声が、冷たい秋の夜道に明るく広がっていった。</p><p><br><br>◇</p><p><br>その頃。</p><p><br>街の裏路地を、一つの影がよろめきながら進んでいた。</p><p><br>表通りの明かりは、背の高い建物に遮られて届かない。</p><p><br>細い路地には冷たい風が吹き抜け、軒先に吊るされた古い看板が、きい、と不気味な音を立てている。</p><p><br>シスカは焼かれた肩を押さえ、壁に手をつきながら歩いていた。</p><p><br>「こんな……はずじゃ……！」</p><p><br>足を一歩進めるたび、肩の傷が熱を持って痛む。</p><p><br>それでも、ここで止まるわけにはいかなかった。</p><p><br>箱を失った。</p><p><br>集めた魔力も、すべて奪い返された。</p><p><br>せめて、この場から逃げなければならない。</p><p><br>シスカは荒い呼吸を繰り返しながら、暗い路地を進んだ。</p><p><br>もう少しで表通りへ出られる。</p><p><br>人混みに紛れれば、追ってくる者がいたとしても見失うはずだ。</p><p><br>そのとき、行く手に黒い影が落ちた。</p><p><br>シスカの足が止まる。</p><p><br>路地の出口に、一人の影が立っていた。</p><p><br>街灯を背にしているため、表情は見えない。</p><p><br>けれど、風に揺れる赤茶の髪には見覚えがあった。</p><p><br>「……さっきの。」</p><p><br>シスカの顔が引きつる。</p><p><br>緋雀は何も答えなかった。</p><p><br>路地の中央へ一歩踏み出す。</p><p><br>靴音が、静まり返った石畳に硬く響いた。</p><p><br>シスカは反射的に後ろを振り返る。</p><p><br>誰もいない。</p><p><br>逃げ道は残されているように見えた。</p><p><br>けれど、背を向けた瞬間に追いつかれる。</p><p><br>身体がそう告げていた。</p><p><br>「わざわざ追ってきたのか？」</p><p><br>驚きを隠すように、シスカは苦い笑みを浮かべる。</p><p><br>緋雀の表情は変わらない。</p><p><br>静かな声で、淡々と告げる。</p><p><br>「未登録魔工具の、持ち込み、および使用。」</p><p><br>シスカの笑みが消える。</p><p><br>「複数名に対する、傷害行為。」</p><p><br>青白い光が、緋雀の指先に灯った。</p><p><br>細い光が空中で弧を描き、小さな輪を形作っていく。</p><p><br>シスカは息を呑んだ。</p><p><br>「……何者なの、あんた。」</p><p><br>緋雀は答えない。</p><p><br>その沈黙が、何よりも不気味だった。</p><p><br>「捕まってたまるか……！」</p><p><br>シスカは首元のひび割れた魔石を握りしめた。</p><p><br>残された魔力を無理やり引き出す。</p><p><br>亀裂の間からいくつもの風刃となって緋雀へ放たれた。</p><p><br>狭い路地を、鋭い光が埋め尽くす。</p><p><br>緋雀は動かない。</p><p><br>一発目が眼前まで迫った瞬間、ようやくナイフを振り上げた。</p><p><br>バチンッ、と激しい音が響く。</p><p><br>風刃が弾かれ、路地の壁へぶつかった。</p><p><br>石片と火花が散り、シスカの視界を覆う。</p><p><br>「これでーー」</p><p><br>煙の向こうへ目を凝らす。</p><p><br>そこに、緋雀の姿はなかった。</p><p><br>「え……？」</p><p><br>残りの風刃が、誰もいない路地を通り過ぎていく。</p><p><br>次の瞬間、背後に気配が現れた。</p><p><br>振り向くより早く、魔工具を握っていた手首を掴まれる。</p><p><br>「いつの間に――！」</p><p><br>腕を捻り上げられ、足を払われた。</p><p><br>視界が大きく回転する。</p><p><br>背中から石畳へ叩きつけられ、肺から息が押し出された。</p><p><br>「かはっ……！」</p><p><br>痛みに身体を丸める間もない。</p><p><br>青白い光の輪が、シスカの両手首へ絡みつく。</p><p><br>輪は一瞬で縮まり、両手を背中側で固く拘束した。</p><p><br>ひび割れた首飾りが手から滑り落ちる。</p><p><br>緋雀はそれを拾い上げると、光を失った魔石を一度だけ確認した。</p><p><br>そのまま、倒れたシスカを無言で見下ろす。</p><p><br>緋雀の目が、わずかに細められる。</p><p><br>袖から小さな魔石を取り出した。</p><p><br>緋雀の手の中で、石が淡く光った。</p><p><br>「対象を確保。」</p><p><br>短い報告のあと、通信石の向こうから、誰かの声がかすかに返る。</p><p><br>何を告げられたのか、シスカには聞き取れなかった。</p><p><br>やがて石の光が消え、狭い路地に再び暗闇が戻る。</p><p><br>冷たい風だけが、何事もなかったかのように二人の間を吹き抜けていった。<br><br><br>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/harunomarisa/entry-12977977317.html</link>
<pubDate>Sun, 13 Sep 2026 22:24:21 +0900</pubDate>
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<title>EmbersFlare1  落第寸前の魔術師見習い⑤</title>
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<![CDATA[ <p style="text-align: center;">&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>戦いの音が途絶えた堤防には、冷たい川風と、サクを呼ぶエミの震える声だけが残った。</p><p><br>張りつめていた力が一気に抜け、フィリスはその場へ膝をついた。</p><p><br>視線の先に、シスカの姿はもうなかった。</p><p><br>「フィリス、怪我は？」</p><p><br>緋雀がすぐに傍へ来る。</p><p><br>「私は大丈夫。それより――」</p><p><br>フィリスは顔を上げた。</p><p><br>「サク！」</p><p><br>身体の疲れも忘れ、地面を蹴る。</p><p><br>立ち上がった拍子によろめいたが、緋雀が伸ばした手を振り切るようにして、サクのもとへ駆け寄った。</p><p><br>「サク、目を開けて！」</p><p><br>エミが地面へ膝をつき、サクの上半身を抱き起こしている。</p><p><br>&nbsp;何度名前を呼んでも、返事はなかった。</p><p><br>フィリスもその傍らへ座り込む。</p><p><br>「ちょっと代わって。治癒をかけるわ。」</p><p><br>震える手を、サクの胸元へかざす。</p><p><br>深く息を吸い、残っている魔力をかき集めた。</p><p><br>淡い炎に似た光が、フィリスの手のひらからサクの身体を包む。</p><p><br>「お願い……！」</p><p><br>けれど、光は傷口を見つけられないまま、表面を滑るように消えていった。</p><p><br>何の反応もない。</p><p><br>「どうして……？」</p><p><br>フィリスはもう一度、魔力を込める。</p><p><br>「フィリス。」</p><p><br>「まだよ。今度はもっと強く――」</p><p><br>「サク、怪我してない。」</p><p><br>緋雀の言葉に、フィリスの手が止まった。</p><p><br>改めてサクの身体を見る。</p><p><br>制服は汚れているが、血は出ていない。</p><p>&nbsp;</p><p>風の刃を受けた痕も、地面へ強く打ちつけたような傷も見当たらなかった。</p><p><br>それでも顔色は青ざめ、指先は冷たい。</p><p><br>呼吸はしているのに、身体から何か大切なものだけを抜き取られてしまったように、力がない。</p><p><br>（違うんだ。）</p><p><br>治癒が効かないのではない。</p><p><br>（これは、怪我じゃない。）</p><p><br>「サク……お願い、目を開けて……！」</p><p><br>エミが、縋るようにサクの手を握る。</p><p><br>焦りで、フィリスの胸が強く締めつけられる。</p><p><br>何か見落としている。</p><p><br>シスカは、サクへ刃を向けたわけではない。</p><p>&nbsp;</p><p>あの箱を使って、何かをしていた。</p><p><br>『この中にあるのは、集めた魔力だけ。』</p><p><br>シスカの声が、頭の中に蘇る。</p><p><br>「……そうだ。」</p><p><br>フィリスは勢いよく振り返った。</p><p><br>少し離れた石畳の上で、シスカが落とした小箱が淡い光を放っている。</p><p><br>「あの子は、箱に魔力を集めてるって言ってた。」</p><p><br>よろめきながら立ち上がり、小箱へ駆け寄る。</p><p><br>拾い上げると、冷たい金属でできているはずなのに、内側から微かな温もりが伝わってきた。</p><p><br>金属製の蓋には、複雑な装飾に紛れるように術式が刻まれている。</p><p><br>シスカが手にしていたときには青く光っていた模様は、今は沈黙していた。</p><p><br>緋雀もフィリスの傍らへ膝をつき、箱へ手をかざす。</p><p><br>「これ……魔力、たくさん入ってる。」</p><p><br>目を閉じ、気配を探る。</p><p><br>「サクのも、少し感じる。ほかの人のも。」</p><p><br>「やっぱり、この中に奪ったものがあるのね。」</p><p><br>フィリスは箱を抱え、サクのもとへ戻った。</p><p><br>吸収する術式は、もう動いていない。</p><p><br>今は蓋だけが、集められた力を中へ閉じ込めている。</p><p><br>なら、これを開けばーー。</p><p><br>指を留め金へかける。</p><p><br>もし間違っていたら。</p><p><br>別の術式が仕掛けられていたら。</p><p><br>不安が一瞬、胸をよぎった。</p><p><br>けれど、サクの顔からは刻一刻と血の気が失われている。</p><p><br>迷っている時間はなかった。</p><p><br>「絶対、戻すから。」</p><p><br>サクへ言い聞かせるように呟き、フィリスは留め金を外した。</p><p><br>小さな音を立てて、蓋が開く。</p><p><br>瞬間、箱の中から、柔らかな光が一斉に溢れ出した。<br><br>無数の光が、窮屈な場所から解き放たれたように夜空へ舞い上がる。</p><p><br>いくつかの光は堤防を越え、眠る街の方角へ流れていった。</p><p><br>これまでに力を奪われた人たちのもとへ、帰っていくようだった。</p><p><br>そのうちの一つが、エミの腕の中にいるサクへ近づく。</p><p><br>橙色の光が、胸元へ静かに吸い込まれた。</p><p><br>サクの身体が、ふっと震える。</p><p><br>「サク……？」</p><p><br>エミが息を呑む。</p><p><br>青ざめていた頬に、少しずつ血の気が戻っていく。</p><p><br>冷たかった指先が動き、握っていたエミの手を弱々しく握り返した。</p><p><br>ゆっくりと瞼が開く。</p><p><br>「……エミ？」</p><p><br>まだ焦点の定まらない目が、すぐ傍にあるエミの顔を捉えた。</p><p><br>「あれ……オレ、どうしてこんなところに……？」</p><p><br>混乱したように瞬いたあと、サクはいつものように少しだけ笑った。</p><p><br>「よかった……！」</p><p><br>エミが泣きそうな顔で、サクの手を強く握る。</p><p><br>フィリスもその場へ座り込み、胸を撫で下ろした。</p><p><br>&nbsp;今度こそ本当に身体から力が抜けていく。</p><p><br>「本当に、よかった……！」</p><p><br>夜空へ放たれた最後の光が、街の向こうへ溶けていった。</p><p><br><br>フィリスは、ようやく落ち着きを取り戻したサクの顔を見つめていた。</p><p><br>そこで、はっと胸元へ手を伸ばす。</p><p><br>「そうだ、コア……！」</p><p><br>ペンダントを握り、紅い石を確かめた。</p><p><br>堤防へ向かっていたときのような、強い明滅はもう収まっている。</p><p><br>石の奥には残り火のような光がかすかに揺れていたが、今にも消えてしまいそうなほど弱い。</p><p><br>フィリスは小箱へ近づけたり、辺りを見回したりした。</p><p><br>&nbsp;けれど、反応が強くなる様子はない。</p><p><br>「……ない。」</p><p><br>「何が？」</p><p><br>エミが尋ねる。</p><p><br>「コアよ。絶対ここにあると思ったのに……。」</p><p><br>シスカが持っていた箱に入っていたのは、集められた魔力だけだった。</p><p><br>先ほどの光と一緒に、どこかへ飛んでいってしまったのだろうか。</p><p><br>サクが無事だったことへの安堵とは別に、期待していた分だけ落胆が押し寄せてくる。</p><p><br>「サクが助かったのは本当によかったけど……コアはなかったみたい……。」</p><p><br>フィリスは大きく肩を落とした。</p><p><br>今度こそ一個目を見つけられると思ったのに、結局、実習記録は空欄のままだ。</p><p><br>その姿を見て、緋雀が小さく吹き出した。</p><p><br>「ふふっ。」</p><p><br>「ちょっと！何を笑ってるのよ！」</p><p><br>フィリスは勢いよく振り返る。</p><p><br>「こっちは笑い事じゃないの。コアを回収できなかったら落第なのよ！？」</p><p><br>「うん。」</p><p><br>「分かってて笑ったでしょ！」</p><p><br>「ごめん。」</p><p><br>緋雀はまだ少し口元を緩めている。</p><p><br>二人のやり取りを、サクとエミは呆然と見つめていた。</p><p><br>エミは話についていけず、フィリスと緋雀を何度も見比べる。</p><p><br>「えっと……コア？落第？」</p><p><br>「その前に、ここで何があったんだ？あの人は……？」</p><p><br>サクが辺りを見回す。</p><p><br>風の刃に抉られた地面。</p><p><br>黒く焦げた石畳。</p><p><br>フィリスの傍らに置かれた、見慣れない小箱。</p><p><br>意識を失う前にはなかった光景に、顔から笑みが消えていく。</p><p><br>「オレ、あの人に声をかけて……それから急に力が抜けて……。」</p><p><br>制服の胸元を押さえ、記憶をたどる。</p><p><br>「箱に光が吸い込まれて……。あれ、何だったんだ？」</p><p><br>「サクの力を、魔力に変えて集めてたみたい。」</p><p><br>フィリスが答えると、サクは目を見開いた。</p><p><br>「魔力……？」</p><p><br>その隣で、エミはもっと信じられないものを見るように、フィリスを凝視していた。</p><p><br>「さっきの炎も……フィリスが出したの？」</p><p><br>「ええ、まあ……。」</p><p><br>「何もないところから、急に……。あの人も、風を刃みたいにして……。」</p><p><br>エミの声が震えている。</p><p><br>サクを助けることに必死だったとはいえ、目の前で起きた光景はしっかり見ていたらしい。</p><p><br>「緋雀も、あんなに速く動いてた。ナイフで風を弾いて……。」</p><p><br>エミの視線を受けた緋雀が、気まずそうに顔を逸らした。</p><p><br>サクは冗談だと思ったのか、一度笑いかけた。</p><p><br>けれど、エミの真剣な顔と、戦いの痕が残る堤防を交互に見て、口を閉じる。</p><p><br>「私も、自分の目で見たのに、まだ信じられないけど……」</p><p><br>エミが胸元で両手を握る。</p><p><br>「フィリス、さっき“魔術師見習い”って言ってたよね？」</p><p><br>戦っている最中の言葉を聞かれていたらしい。</p><p><br>フィリスは、ペンダントを握ったまま固まった。</p><p><br>人間界では、自分が魔術師見習いであることを知られてはいけない。</p><p><br>けれど、これだけ魔術を見られてしまった以上、今さら誤魔化すのは無理だった。</p><p><br>フィリスは諦め、ペンダントを握っていた拳を開いた。</p><p><br>小さく息を吸い、二人をまっすぐ見つめる。</p><p><br>「……実はね。私、アストラシアの魔術学院に通ってる、魔術師見習いなの。」</p><p><br>「魔術師……？」</p><p><br>エミの唇から、確かめるように言葉が漏れる。</p><p><br>「そんなの、本当にいるの……？」</p><p><br>サクはフィリスの杖へ目を向け、それから焦げた地面を見る。</p><p><br>もう、疑う材料より信じる材料のほうが多かった。</p><p><br>「じゃあ、フィリスは人間じゃないの？」</p><p><br>「人間よ。住んでいた世界と、魔術を使えるかどうかが違うだけ。」</p><p><br>「違う世界……？」</p><p><br>二人の顔に、さらに新しい驚きが広がる。</p><p><br>このまま説明を続ければ、質問が朝まで終わらない気がした。</p><p><br>フィリスは腰へ片手を当て、もう一方の人差し指を二人へ突き出した。</p><p><br>「それより、このことは絶対に秘密よ！」</p><p><br>エミとサクが揃って背筋を伸ばす。</p><p><br>「誰にも言わないで。約束できる？」</p><p><br>二人はまだ戸惑いを残しながらも、真剣な顔で頷いた。</p><p><br>「うん。フィリスが隠していることなら、絶対に言わない。」</p><p><br>「オレも！助けてもらったのに、言いふらしたりしない！」</p><p><br>その答えに、フィリスはほっと息をついた。</p><p><br>隣にいた緋雀も、二人へ小さく頭を下げる。</p><p><br>「できれば、助けてあげて。フィリス、落第寸前だから。」</p><p><br>「最後のはバラさないでよ！」</p><p><br>フィリスの声が、夜の堤防に響き渡る。</p><p><br>エミとサクは一瞬顔を見合わせたあと、堪えきれないように笑った。</p><p><br>張りつめていた空気が、ようやく少しだけ緩んだ。<br><br><br>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/harunomarisa/entry-12977976617.html</link>
<pubDate>Sat, 12 Sep 2026 22:25:07 +0900</pubDate>
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<title>アシュリン</title>
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<![CDATA[ <p><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20260912/21/harunomarisa/1d/a2/p/o2315327415821426037.png"><img alt="" height="594" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20260912/21/harunomarisa/1d/a2/p/o2315327415821426037.png" width="420"></a></p><p>&nbsp;</p><p>ストーカーのシスターという設定だったので、光少なめでヤンデレ感を。</p><p>と思って描いてたはずなのにただ暗いだけになってしまった…。</p><p>ヤンデレ感難しい……。</p><p>&nbsp;</p><p>髪のふんわり感が上手く描けないんですよね。</p><p>ふんわりのお手本を横に置いて描いてるはずなのに。</p><p>左の毛束の力尽き感が半端ないorz</p><p>&nbsp;</p><p>でも髪のハイライトは少し上手く塗れるようになった気がします…！</p><p>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/harunomarisa/entry-12978538465.html</link>
<pubDate>Sat, 12 Sep 2026 22:03:39 +0900</pubDate>
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<title>EmbersFlare1  落第寸前の魔術師見習い④</title>
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<![CDATA[ <p style="text-align: center;">&nbsp;</p><p>店の裏口を開けると、冷たい夜風がフィリスの頬を撫でた。</p><p><br>店内にいたときよりも、外の空気は肌寒かった。　</p><p><br>けれど、そんなことを気にしている余裕はなかった。</p><p><br>（早く行かないと！）</p><p><br>フィリスは石畳を蹴り、街灯が等間隔に並ぶ坂道を駆け下りていく。</p><p><br>堤防の近くで倒れていた三人。</p><p><br>怪我はないのに立ち上がれず、呼びかけにもまともに答えられなかったという。</p><p><br>そして今、同じ方向から、緋雀が魔力を感じ取った。</p><p><br>（急がなきゃ……！）</p><p><br>もし魔術を知らない人間が襲われているのなら、何をされているのかさえ分からないはずだ。</p><p><br>助けを呼ぶことも、身を守ることもできないかもしれない。</p><p><br>舗装路を蹴るたび、長い髪とスカートの裾が風に煽られる。</p><p><br>息が上がり始めても、フィリスは速度を緩めなかった。</p><p><br>（間に合って……！）</p><p><br>胸元で、ペンダントが強く脈打つ。</p><p><br>坂を下るほど紅い光の明滅は速くなり、服越しにもその熱が伝わってきた。</p><p><br>フィリスは走りながら、片手でペンダントを握りしめる。</p><p><br>（この先に、コアもある。）</p><p><br>誰かが困っている。</p><p><br>それだけで、向かう理由は十分だった。</p><p><br>けれど、そのうえ一か月も探し続けたコアまであるかもしれない。</p><p><br>フィリスはさらに強く地面を蹴った。</p><p><br>路地を抜けると、視界の先に暗い川面が現れる。</p><p><br>夕陽はすでにほとんど沈み、堤防には人影も見当たらない。</p><p><br>昼間の賑わいが嘘のように、辺りは静まり返っていた。</p><p><br>けれど、ペンダントだけが迷いなく光り続けている。</p><p><br>その紅い光に導かれるように、フィリスは夜の堤防へ駆けていった。<br><br><br><br>堤防の上には、薄い霧のような靄が漂っていた。</p><p><br>夜風に乗り、どこからか金木犀の甘い香りが流れてくる。</p><p><br>その匂いをかき分けるように走っていたフィリスは、街灯の下に倒れている人影を見つけた。</p><p><br>「サク……！？」</p><p><br>見覚えのある制服だった。</p><p><br>フィリスはすぐに駆け寄ろうとした。</p><p><br>サクの頬は青ざめ、目を閉じたまま動かない。</p><p>&nbsp;</p><p>呼吸は弱々しいものの、かろうじて続いている。</p><p><br>その傍らで、黒い影がゆらりと揺れた。</p><p><br>長いコートをまとった少女が、サクを見下ろしている。</p><p><br>片手には、古びた金属製の小箱。もう一方の手には細身の杖を握っていた。</p><p><br>杖の先端に埋め込まれた青い魔石が、脈打つように光っている。</p><p><br>フィリスの胸元で、ペンダントが一際強く明滅した。</p><p><br>（あの箱……？）</p><p><br>ペンダントの反応は、少女の持つ箱へ近づくほど強くなっているように見えた。</p><p><br>（もしかして、あの中にコアがあるの？）</p><p><br>けれど、今は確かめている場合ではない。</p><p><br>まずはサクを助けなければならない。</p><p><br>フィリスが一歩踏み出した瞬間、少女が杖を振った。</p><p><br>空気を切り裂く鋭い音が響く。</p><p><br>「っ……！」</p><p><br>放たれた風の刃が、一直線にフィリスへ迫った。</p><p><br>咄嗟に杖を構え、炎を放つ。</p><p><br>だが、細く絞るはずだった炎は大きく膨れ上がり、風の刃と激しくぶつかった。</p><p><br>火の粉が弾け、堤防の草を焦がす。</p><p><br>フィリスは腕で顔を庇いながら、爆風に押されて数歩後退した。</p><p><br>（また広がりすぎた……！）</p><p><br>風の刃は打ち消せた。</p><p><br>けれど、炎を狙った形に保てていない。</p><p><br>唇を噛みながらも、フィリスはすぐにサクと少女の間へ回り込んだ。</p><p><br>背中に倒れているサクの気配を感じながら、杖を構える。</p><p><br>「あんた、誰よ。サクに何をしたの？」</p><p><br>少女は杖を向けたまま、ゆっくりと顔を上げた。</p><p><br>「……私は、シスカ。」</p><p><br>淡い灰色の瞳が、フィリスを静かに見つめる。</p><p><br>声には怒りも焦りもない。ただ、ひどく疲れたような響きだけがあった。</p><p><br>フィリスは、シスカの持つ箱を指差す。</p><p><br>「その箱の中にコアがあるんでしょ。返しなさい。サクから奪ったものも全部！」</p><p><br>「コア……？」</p><p><br>シスカの眉が、かすかに寄る。</p><p><br>「何の話？」</p><p><br>「とぼけても無駄よ。私のペンダントが反応してるんだから！」</p><p><br>フィリスが胸元の光を示しても、シスカの表情に理解した様子はない。</p><p><br>代わりに、手の中の小箱を抱え直した。</p><p><br>「この中にあるのは、集めた魔力だけ。」</p><p><br>「集めた……？」</p><p><br>フィリスは背後のサクを振り返った。</p><p><br>「まさか、そのためにサクを襲ったの？」</p><p><br>「これは必要な犠牲。」</p><p><br>静かな声だった。</p><p><br>その言葉に、フィリスの胸の奥で怒りが燃え上がる。</p><p><br>「どんな理由があっても、誰かを傷つけていい理由にはならないわ！」</p><p><br>杖を握る手に力を込める。</p><p><br>「事情があるなら話を聞く。だから、その箱を置いて、こんなことはもうやめなさい。」</p><p><br>シスカは、ほんの少しだけ寂しそうに笑った。</p><p><br>「……それはいらない。」</p><p><br>小箱の内側から、淡い光が漏れる。</p><p><br>同時に、周囲の空気が重く沈んだ。</p><p><br>風が止まり、秋の虫の声さえ遠のいていく。</p><p><br>「魔力さえ集めれば、あの方が願いを叶えてくれる。」</p><p><br>「あの方……？」</p><p><br>「ここで魔術を使える人なんて珍しい。」</p><p><br>シスカの灰色の瞳が、初めてフィリスをはっきりと捉えた。</p><p><br>「あなたからなら、魔力をたくさんもらえそう。」</p><p><br>「何を言ってーー」</p><p><br>問い返すより早く、シスカの杖へ青白い光が集まった。</p><p><br>光は鋭く伸び、風をまとった剣へ形を変える。</p><p><br>シスカが地面を蹴った。</p><p><br>振り下ろされた風の剣を、フィリスは炎の壁で受け止める。</p><p><br>光がぶつかり、火花が夜へ飛び散った。</p><p><br>「くっ……！」</p><p><br>壁が大きく揺らぐ。</p><p><br>魔力は足りている。</p><p><br>けれど、形を保てない。</p><p>&nbsp;</p><p>炎の壁は端から崩れ、数秒ともたず消え始めていた。</p><p><br>（持続できない……！）</p><p><br>ここで避ければ、後ろにいるサクへ攻撃が届く。</p><p><br>フィリスは足を踏ん張り、消えかけた炎へさらに魔力を注いだ。</p><p><br>暴れる熱が腕を伝い、杖先が震える。</p><p><br>細く絞ることも、長く保つこともできない。</p><p><br>それなら――。</p><p><br>（無理に制御しなくていい。）</p><p><br>フィリスは炎の壁を自ら消し、後ろへ跳んだ。</p><p><br>同時に杖先を地面へ滑らせ、小さな魔法陣を足元の影へ紛れ込ませる。</p><p><br>シスカからは見えない位置だ。</p><p><br>（当てる必要はない。逃げる方向さえ、選ばせられればいい。）</p><p><br>杖を構え直し、魔力を一気に解放する。</p><p><br>フィリスの前に、不安定に揺らめく巨大な火球が生まれた。</p><p><br>「いっけえ！」</p><p><br>火球が、夜の堤防を赤く照らしながらシスカへ迫る。</p><p><br>シスカは風の剣を突き立て、炎の軌道を左へ逸らした。</p><p><br>熱風にコートを煽られながら、空いた右側へ身をかわす。</p><p><br>そこは、フィリスが残しておいた唯一の逃げ道だった。</p><p><br>シスカの足が、地面に仕掛けた魔法陣の中央へ着く。</p><p><br>「そこよ！」</p><p><br>赤い光が足元から立ち上った。</p><p><br>魔法陣から放たれた一本の炎の矢が、シスカの手元を正確に射抜く。</p><p><br>衝撃でシスカの杖が弾き飛ばされ、石畳の上を転がった。</p><p><br>風の剣が、形を失って消えていく。</p><p><br>フィリスは荒い呼吸を整えながら、シスカへ杖を向けた。</p><p><br>「これで私の勝ちよ。大人しく、その箱を渡して。聞きたいこともあるわ。」</p><p><br>シスカは一瞬、弾き飛ばされた杖へ目を向けた。</p><p><br>&nbsp;けれど、すぐに何事もなかったように表情を戻す。</p><p><br>「なかなかやるんだね。」</p><p><br>「当然でしょ。」</p><p><br>「でも、まだ終わりじゃない。」</p><p><br>シスカがコートの襟元へ手を入れ、首飾りを引き出した。</p><p><br>一見すれば、青い石をあしらっただけの細い首飾りだ。</p><p><br>しかし中央の石には、杖と同じ術式が刻まれていた。</p><p><br>「それも魔工具……！？」</p><p><br>フィリスが気づいたときには、すでに魔石が光を放っていた。</p><p><br>風の刃が、至近距離から撃ち出される。</p><p><br>（防御が間に合わない……！）</p><p><br>火花が散った。</p><p><br>甲高い金属音とともに、風の刃がフィリスの目の前で軌道を変える。</p><p><br>逸らされた風が石畳を削り、黒い焦げ跡を残した。</p><p><br>「緋雀！」</p><p><br>目の前に、緋雀の背中があった。</p><p><br>その手には一本のナイフが握られている。<br><br>「もう閉店作業が終わったのね！ナイスタイミング！」</p><p><br>「フィリス……。」</p><p><br>振り返った緋雀の目が、わずかに細められる。<br><br>閉店作業を押しつけて、一人で飛び出したことを怒っているのだろうか。</p><p><br>何か言いたそうにしていたが、今はそれを聞いている場合ではなかった。</p><p><br>「緋雀。あの子、魔工具をいくつも持ってる。気をつけて。」</p><p><br>「分かった。」</p><p><br>短く答え、緋雀がシスカへ向き直る。</p><p><br>その立ち姿を見たシスカの表情に、初めて明らかな警戒が浮かんだ。</p><p><br>フィリスも杖を構え直す。</p><p><br>緋雀が前に立ってくれている今なら、魔術へ集中できる。</p><p><br>そのときだった。</p><p><br>「サク！？」</p><p><br>聞き慣れた声に、フィリスが振り向く。</p><p><br>堤防の階段を、エミが駆け上がってきていた。</p><p><br>「エミ？！なんでこんなところに？！」</p><p><br>思わず目を瞬く。</p><p><br>「サクが教科書を忘れてたから……！」</p><p><br>エミは胸に抱えていた教科書を見せた。</p><p><br>「追いかけてきたら、堤防の下に自転車が置いたままになってて。それで、何かあったのかと思って……。」<br><br>胸に抱えていた教科書を取り落とし、息を切らしながらサクのもとへ走る。</p><p><br>おそらく、堤防の下に置かれたままの自転車を見つけたのだろう。</p><p><br>「フィリス、何があったの？」</p><p><br>「とにかく、下がって！」</p><p><br>けれど、エミの目には倒れているサクしか映っていなかった。</p><p><br>その傍らへ膝をつき、必死に身体を抱き起こす。</p><p><br>「サク、しっかりして！」</p><p><br>シスカの首飾りが、再び青く輝いた。</p><p><br>「邪魔しないで。」</p><p><br>風の刃が、無防備なエミへ向かって放たれる。</p><p><br>「エミ！」</p><p><br>フィリスが手を伸ばすよりも速く、緋雀が地面を蹴った。</p><p><br>次の瞬間にはエミの前へ入り込み、ナイフで風の刃を受け流している。</p><p><br>魔力の閃光が弾け、逸れた刃が土手の地面を深く抉った。</p><p><br>「大丈夫？」</p><p><br>緋雀がエミへ静かに尋ねる。</p><p><br>「う、うん……。」</p><p><br>その一瞬の隙を、フィリスは逃さなかった。</p><p><br>足元に赤い魔法陣を展開する。</p><p><br>熱を帯びた風が巻き起こり、髪を大きく揺らした。</p><p><br>今度は大きく広げない。</p><p><br>&nbsp;一点だけを狙う。</p><p><br>（お願い……届いて！）</p><p><br>杖先から、一本の炎の矢が放たれた。</p><p><br>赤い光が夜を切り裂く。</p><p><br>シスカは咄嗟に身を翻したが、避けきれなかった。</p><p><br>炎が肩を掠め、その衝撃で身体が地面へ倒れ込む。</p><p><br>手から離れた小箱が石畳を転がり、フィリスの足元で止まった。</p><p><br>「……っ、こんなはずじゃ……！」</p><p><br>シスカは焼けた肩を押さえながら、フィリスと緋雀を見上げる。</p><p><br>灰色の瞳に浮かんでいるのは、怒りよりも焦りだった。</p><p><br>「……あなたたち、何者なの。」</p><p><br>フィリスは荒い息を整え、杖の先を向けた。</p><p><br>「私？」</p><p><br>一度はうまくいかなかった。</p><p><br>それでも、サクを守り、シスカの持つ箱を取り戻した。</p><p><br>フィリスは胸を張る。</p><p><br>「ただの魔術師見習いよ。」</p><p><br>緋雀が無言で一歩前へ出る。</p><p><br>シスカを逃がさないよう、退路を塞ぐ位置だった。</p><p><br>その瞳が、これ以上は許さないと告げている。</p><p><br>けれど、シスカは残った手で首飾りを強く握った。</p><p><br>魔石に亀裂が走る。</p><p><br>直後、首飾りから激しい風が弾けた。</p><p><br>砂と枯れ葉が一斉に巻き上げられ、視界を覆い隠す。</p><p><br>フィリスは足元の小箱を抱え、身体を低くした。</p><p><br>緋雀は追いかける代わりに、倒れているサクと、その傍らにいるエミを庇うように立つ。</p><p><br>やがて風が弱まり、舞い上がった砂が地面へ落ちていく。</p><p><br>フィリスが顔を上げたときには、シスカの姿は消えていた。</p><p><br>「……逃げられた。」</p><p><br>追いかけようと堤防の先を見る。</p><p><br>けれど、背後からエミがサクの名前を呼ぶ声が聞こえた。</p><p><br>今は、シスカよりもサクだ。</p><p><br>フィリスは杖を下ろし、足元の小箱を拾い上げる。</p><p><br>箱の内側では、奪われた光が今も淡く揺れていた。<br><br>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/harunomarisa/entry-12977976166.html</link>
<pubDate>Fri, 11 Sep 2026 22:24:16 +0900</pubDate>
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<title>EmbersFlare1  落第寸前の魔術師見習い③</title>
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<![CDATA[ <p style="text-align: center;">&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>◇</p><p><br>秋の風は、日が傾くにつれて少しずつ冷たさを増していた。</p><p><br>エンバースを出たサクは、堤防沿いの道を自転車を押しながら歩いていた。</p><p><br>&nbsp;川面には沈みかけた夕陽が反射し、きらきらと輝く金色の道を作っている。</p><p><br>「テスト期間なんて最悪だと思ってたけど、今回はなんだか順調な気がする！」</p><p><br>誰に聞かせるでもなく呟き、上機嫌に鼻歌を歌う。</p><p><br>頭の中に浮かんでいるのは、試験の問題ではない。</p><p><br>教科書を覗き込みながら、分からないところを一つずつ丁寧に教えてくれたエミの横顔だった。</p><p><br>『ここまでは分かる？』</p><p><br>そう言って顔を覗き込まれるたび、緊張して、分かっていないのに頷きそうになった。</p><p><br>それでもエミに褒めてもらいたくて、普段なら途中で投げ出す問題にも必死に食らいついた。</p><p><br>「明日の数学も、これなら何とかなりそうだな。」</p><p><br>自然と頬が緩む。</p><p><br>勉強が好きになったわけではない。</p><p><br>けれど、エミと一緒にする勉強なら、それほど嫌ではなかった。</p><p><br>明日もエンバースで会う約束をしている。</p><p><br>そう思うだけで、苦手な試験期間がもう少し続いてもいいような気さえした。</p><p><br>「……あ。」</p><p><br>制服のポケットへ手を入れたサクは、中に入っていた柔らかな布へ触れて足を止めた。</p><p><br>取り出したのは、淡い花柄のハンカチだった。</p><p><br>&nbsp;洗って、皺にならないよう丁寧に畳んである。</p><p><br>「また返すの忘れた……。」</p><p><br>そもそも今日は、このハンカチを返すためにエミへ会いに行ったはずだ。</p><p><br>それなのに、目の前で微笑まれた途端、頭からきれいに抜け落ちてしまった。</p><p><br>サクはがっくりと肩を落とす。</p><p><br>けれど、すぐに気を取り直してハンカチをポケットへ戻した。</p><p><br>「明日も会えるし。そのときに返せばいいか。」</p><p><br>口にすると、明日の約束が確かなものになった気がした。</p><p><br>再び自転車を押して歩き出す。</p><p><br>川辺のススキが風に揺れ、細い穂先を擦り合わせていた。</p><p><br>そのとき。少し先の堤防に、人影が見えた。</p><p><br>長い髪の少女が、草むらの中に一人で座り込んでいる。</p><p><br>風に流される髪が夕陽を受け、細い糸のように揺れていた。</p><p><br>サクは周囲を見回した。</p><p><br>近くに家族や友人らしい姿はない。</p><p><br>一瞬、あの噂が頭をよぎる。</p><p><br>それでも、具合が悪くて動けないのだとしたら、見なかったことにはできなかった。</p><p><br>サクは自転車を道の端へ止め、少女へ近づいた。</p><p><br>「……大丈夫ですか？」</p><p><br>声をかけると、少女はゆっくりと振り向いた。</p><p><br>年齢はサクより少し上に見える。</p><p><br>淡い灰色の瞳はどこか遠くを見ているようで、目の前にいるサクへ焦点が合っていなかった。</p><p><br>膝の上には、両手に収まるほどの小さな箱が置かれている。</p><p><br>古びた金属の表面に、見慣れない模様が細かく刻まれていた。</p><p><br>「大丈夫ですか？もう夜になりそうですよ。」</p><p><br>サクがもう一歩近づく。</p><p><br>「具合が悪いなら、誰か呼んできますけど……。」</p><p><br>少女は答えない。</p><p><br>しばらくサクの顔を見つめたあと、かすかに唇を緩めた。</p><p><br>「……あなた、きれいな目をしてる。」</p><p><br>「え？」</p><p><br>思いがけない言葉に、サクが瞬く。</p><p><br>少女の白い指が、膝の上の箱へ触れた。</p><p><br>かちり、と小さな音を立てて留め金が外れる。</p><p><br>「少し……力を分けて。」</p><p><br>「力……？」</p><p><br>ふと、風が止まった。</p><p><br>揺れていたススキも、川のせせらぎも、遠くを走る車の音も消える。</p><p><br>まるで、この場所だけが世界から切り離されたようだった。</p><p><br>少女が箱の蓋を開く。</p><p><br>次の瞬間、サクの頭の奥を、何かがざらりと擦るような痛みが走った。</p><p><br>「う、わっ……！」</p><p><br>視界が大きく揺れた。</p><p><br>足から急に力が抜け、自転車のハンドルへ縋ろうと伸ばした手が空を切る。</p><p><br>膝をつき、冷たい地面へ手をついた。</p><p><br>息を吸っているはずなのに、身体がひどく重い。</p><p><br>走り続けたあとのように胸が苦しく、指一本動かすことさえ億劫になっていく。</p><p><br>「なに……これ……。」</p><p><br>サクの身体から、淡い光の粒が浮かび上がっていた。</p><p><br>夕陽の残光にも似た光が、ひとつ、またひとつと少女の持つ箱へ吸い込まれていく。</p><p><br>箱の内側で、集められた光がゆっくりと渦を巻いていた。</p><p><br>少女はそれを、感情の見えない目で見つめている。</p><p><br>「まだ……足りない。」</p><p><br>遠くで声が聞こえた。</p><p><br>サクは地面へ倒れ込みながら、震える手を制服のポケットへ伸ばした。</p><p><br>指先が、畳まれたハンカチへ触れる。</p><p><br>薄れていく意識の中で、サクはポケットの中のハンカチを強く握りしめた。</p><p><br>――まだ、返していない。</p><p><br>もう一度、エミに会いたい。</p><p><br>握りしめた指の隙間で、まだ形を持たない橙色の光が、一度だけかすかに瞬く。</p><p><br>ハンカチを握りしめたまま、サクの意識は夕闇の中へ沈んでいった。</p><p><br>少女の膝の上では、小箱に集められた光だけが、脈打つように明滅していた。<br><br>♢<br><br><br>閉店準備も、あと少し。</p><p><br>最後の客を見送り、フィリスはカウンターの椅子へ腰を下ろした。</p><p><br>店内には洗い物の水音と、食器が触れ合う小さな音だけが響いている。</p><p><br>「よし。これなら早めに見に行けそうね。」</p><p><br>ひと息ついた、そのときだった。</p><p><br>流し台でカップを洗っていた緋雀が、弾かれたように顔を上げた。</p><p><br>濡れた手を止めたまま、窓の向こうへ鋭い視線を向けている。</p><p><br>緋雀の目が、驚いたように見開かれていた。</p><p><br>「え……？」</p><p><br>小さく漏れた声を、フィリスは聞き逃さなかった。</p><p><br>「緋雀？何か探知したの？」</p><p><br>緋雀の肩が、わずかに揺れる。</p><p><br>「な、なんでもな――」</p><p><br>「なんでもない顔じゃないでしょ。さっき聞いた、堤防で人が倒れてる事件と関係ある？」</p><p><br>フィリスは椅子から身を乗り出した。</p><p><br>「ねえ、答えて！」</p><p><br>緋雀はしばらく黙っていたが、フィリスが引き下がらないと分かったのか、窓の外を見つめたまま口を開いた。</p><p><br>「分からない。でも、魔力反応……。知らない人の。」</p><p><br>「どっちから？」</p><p><br>緋雀の視線の先を追う。</p><p><br>遠くに見えるのは、夕暮れに染まった堤防だった。</p><p><br>「やっぱりその事件、魔術が関係していそうね。」</p><p><br>フィリスは勢いよく椅子を引いた。</p><p><br>その脚が床を擦り、静かな店内に大きな音を立てる。</p><p><br>「また誰かが被害に遭ってるのかもしれない。早く行かないと！」</p><p><br>カウンターから飛び出そうとした拍子に、制服のポケットの中で何かが小さく震えた。</p><p><br>「……え？」</p><p><br>フィリスの動きが止まる。</p><p><br>今、確かに何かが触れた。</p><p><br>布越しに、規則正しい振動が指先へ伝わってくる。</p><p><br>恐る恐るポケットへ手を入れると、触れたペンダントがほのかに温かかった。</p><p><br>「まさか……。」</p><p><br>震える指で鎖を引き出す。</p><p><br>ペンダントの中心に埋め込まれた紅い石が、淡い光を放っていた。</p><p><br>一度、消える。</p><p><br>そしてすぐに、再び灯る。</p><p><br>まるで小さな心臓が脈打つように、紅い光が一定の間隔で明滅している。</p><p><br>フィリスは息をすることも忘れ、その光を見つめた。</p><p><br>この一か月、朝も夜も何度確かめたか分からない。</p><p><br>人の集まる場所へ行くたびに握りしめ、少しでも光ったように見えれば、期待に胸を弾ませた。</p><p><br>けれど、そのたびに見間違いだった。</p><p><br>壊れているのではないかと疑い、睨みつけても、振ってみても、ペンダントは沈黙したままだった。</p><p><br>それが今、本当に光っている。</p><p><br>「……光ってる。」</p><p><br>自分の声なのに、どこか遠くから聞こえた。</p><p><br>「緋雀。これ……光ってるわ。」</p><p><br>「うん。」</p><p><br>「本当に？」</p><p><br>フィリスはペンダントを両手で包み、目の高さまで持ち上げた。</p><p><br>指の隙間から、紅い光が漏れている。</p><p><br>「本当に光ってる……！」</p><p><br>喜びが一気に込み上げた。</p><p><br>「壊れてなかった！緋雀、壊れてなかったわ！」</p><p><br>「だから、壊れてないって――」</p><p><br>「一個目よ！やっと一個目が見つかるかもしれない！」</p><p><br>思わずその場で跳び上がりそうになって、はっと我に返る。</p><p><br>ペンダントが反応した方向と、緋雀が感じ取った魔力の方向は同じだ。</p><p><br>そして、その先では、人が次々と倒れる不可解な事件が起きている。</p><p><br>浮かれた気持ちが、一瞬で引き締まった。</p><p><br>「誰かを助けて、コアも回収できる。一石二鳥じゃない！」</p><p><br>フィリスはペンダントの鎖を急いで首へかけると、身につけていたエプロンを外した。</p><p><br>そのままカウンターへ放り投げる。</p><p><br>「行ってくる！」</p><p><br>飛んできたエプロンを、緋雀が慌てて受け止めた。</p><p><br>「待って。緋雀も行く。」</p><p><br>「まだ閉店作業が残ってるでしょ！私は先に行くから、終わったら来て！」</p><p><br>「でも――」</p><p><br>「大丈夫よ。コアがあるか確認するだけだから！」</p><p><br>「確認するだけの人、そんな勢いで走らない。」</p><p><br>緋雀がエプロンを置き、こちらへ来ようとする。</p><p><br>フィリスはすでに店の裏口へ手をかけていた。</p><p><br>胸元の石は、先ほどよりも速く明滅している。</p><p><br>呼ばれているような、急かされているような光だった。</p><p><br>「フィリス、待って――」</p><p><br>引き留める声を最後まで聞かず、フィリスは扉を開けた。</p><p><br>冷たい夜風が、一気に店内へ吹き込んでくる。</p><p><br>フィリスはその風へ飛び込むように、エンバースの外へ駆け出した。</p><p><br>一か月間沈黙していたペンダントが、胸元で強く脈打っていた。<br><br><br>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/harunomarisa/entry-12977975332.html</link>
<pubDate>Thu, 10 Sep 2026 22:14:05 +0900</pubDate>
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<title>誕生日</title>
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<![CDATA[ <p style="text-align: left;">今日はミースの誕生日だったなぁと。</p><p style="text-align: left;">ノートにミースとローレンざかざか書いたけど、線が汚すぎるのと、</p><p style="text-align: left;">PCに転送する元気まではなくて、清書できたらここに投稿したいです……。</p><p style="text-align: left;">&nbsp;</p><p style="text-align: left;">連日の多忙と生理で片頭痛地獄で、ダウンしておりまして</p><p style="text-align: left;">HPが底をつきています……。</p><p style="text-align: left;">&nbsp;</p><p style="text-align: left;">&nbsp;</p><p>そういえば、みんなの誕生日って……</p><p>と思って、今日は覚えている分と掘り起こしたPCデータから調べて書き出しました。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>1月8日　ヴァン</p><p>&nbsp;</p><p>2月3日　ウォルシャ</p><p>&nbsp;</p><p>2月16日　キア</p><p>&nbsp;</p><p>3月20日　サク</p><p>&nbsp;</p><p>3月31日　クラル</p><p>&nbsp;</p><p>4月15日　ジェヌイン</p><p>&nbsp;</p><p>4月28日　アシュリン</p><p>&nbsp;</p><p>5月3日　イクノ</p><p>&nbsp;</p><p>5月25日　エミ</p><p>&nbsp;</p><p>6月6日　ローレン</p><p>&nbsp;</p><p>6月19日　チェル</p><p>&nbsp;</p><p>7月8日　ユリア</p><p>&nbsp;</p><p>8月13日　ヒメナ</p><p>&nbsp;</p><p>8月31日　ユメ</p><p>&nbsp;</p><p>9月9日　ミース</p><p>&nbsp;</p><p>10月27日　フィリス</p><p>&nbsp;</p><p>11月11日　緋雀</p><p>&nbsp;</p><p>11月25日　ティズ</p><p>&nbsp;</p><p>12月12日　リア</p><p>&nbsp;</p><p>12月24日　ノエル</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>こうやって見ると結構みんな誕生日決めてあったんだなぁと。</p><p>&nbsp;</p><p>逆に設定ない（私が知らない）のは、</p><p>ブグ、ディアス、エレン、風蘭、オーリ、ソルツィ、ルシウム。７人かぁ。</p><p>&nbsp;</p><p>７人／２７人</p><p>&nbsp;</p><p>２７…！こうやって数字で見ると結構人数いるなぁ笑</p><p>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/harunomarisa/entry-12978266352.html</link>
<pubDate>Wed, 09 Sep 2026 22:52:39 +0900</pubDate>
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