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<title>どぅばの倉庫</title>
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<description>煩悩廃棄物倉庫</description>
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<title>紅茶</title>
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<![CDATA[ 「何をしているの、早くお茶を入れてちょうだい」<br><br>　突然の声に驚いて顔を上げると、僕の知らない、いかにも上流階級といった女性がテープルについてこちらをにらんでいた。「知らない」人だとは思うが、なんとなく見覚えがある。はて、どこで会ったんだか・・・<br><br>「言葉も分からないの？」<br>「いや、分かりますが・・・」<br>「なら、早くして。あなただって、時間がないのでしょう？」<br><br>　確かに、そろそろ原隊に復帰しないといけないはずだ。でも、そもそもここはどこで、僕はどうしてこんなところにいるのだろう？それに彼女は誰だ？随分と綺麗な人だが、僕の記憶にはない。でも、不思議と初めて会ったという気もしない。ということはずっと、昔の知り合いか？<br>　とりあえず時間もないし、紅茶を入れることにしよう。<br><br>　そういえば、紅茶を入れるのは久し振りだ。自分で入れて飲む習慣なんてないから、親父の連れてきたあの子に入れて以来か。<br><br><br><br><br>「ジーク、この婚約はどうあっても受けてもらうぞ」<br>「やれやれ、親父殿も頑固ですね」<br>「私はお前が軍に入るのも反対だったんだ。この婚約だけは受けてもらう。レーヴェレンツ家の嫡男の務めを果たせ」<br><br>　思えばあの頃は若かった。商売のことと自分の家の繁栄しか考えていない父へ常日頃から反発を繰り返していた。<br><br>「家のための閨閥作りですか。もっと進歩的に生きることはできないんですか？」<br>「お前は何も分かっていない。フロイント家は最近金回りは良くないとはいえ、現国王陛下の親戚にあたる。リーザ嬢は三女だ。こんなにいい話は他にない」<br>「親戚といっても、かなり遠かったかと思いますが。それに、リーザ嬢はまだ子供だって聞きましたよ。相手が９歳じゃ婚約も何もないでしょう」<br>「綺麗事だけでは生きていけんのだ。なぜ、それが分からん・・・とにかく、先方は明日こちらにいらっしゃる」<br><br>　思えば軍への志願も、家業を継いで親父のような人間になりたくないの一心だった。口では国のためと言っていたが、実態はそんな情けないものだったのだ。どんなに親父から逃げようと思っても、結局はたまの休暇に呼び出され、そして、言いなりになるしかない。そうして僕は、９歳の婚約者と会うことになった。<br><br><br><br>　リーザ嬢は本当に子供だった。僕が２９歳だから、彼女が結婚できる頃には僕は４０歳近くになっている。親父は正気なのか？僕はいつ死ぬか分からない軍属なんだが。<br><br>「つまらなそうね」<br>「うん？」<br>「つまらなそうねって言ったの。殿方がレディに大してそんな態度をとるなんて、無礼にも程があると思わない？レディを楽しませるのが紳士というものでしょう？」<br><br>　子供とはいえ、身分は彼女の方が上だ。僕と彼女が結婚することで、我がレーヴェンツ家がフロイント家と同格、国王陛下の親戚となり、貴族の仲間入りするわけだ。くそ食らえ。<br><br>「え、あ、いや・・・これは失礼しました。鬼ごっこでもします？」<br>「ふざけないでっ！子供だと思って馬鹿にしているの？あなたはそんなに立派な大人なの？」<br>「た、大変、失礼しましたお嬢様・・・」<br>「ふんっ、まぁいいわ。お茶を用意して」<br><br>　なんですと？上流階級では、未来の旦那様に茶を入れてもらうのが流行りなのか？<br><br>「聞こえなかったのっ！？お茶を入れなさいと言ったの！！」<br><br>　何故か９歳の少女のいいなりになって、紅茶を準備することになった。もちろん紅茶の知識なんかないし、普段も自分で飲まない。試行錯誤の結果、とりあえず紅茶のような液体をカップに注いでお出しした。<br><br>「お味はいかがですか、お嬢様」<br>「最低ね。温いし、お茶の味が出てないわ」<br><br>　ああそうですか。<br><br>「でも、あなたの心遣いはしっかり味に出てるわ。優しい味ね」<br><br>　確かに、熱すぎて火傷でもされたら困るし、待たせすぎてもいけないとも思った。そもそも僕自身、あまり物事をいい加減に済ますことが好きじゃない性分だったのもある。でも、そうとられるとは思わなかった。<br><br>「いい？あなたはリーザの婚約者なんだから、それに恥じないように生きなくてはいけないの。その代わり、私も<br>あなたに恥じないように生きるわ」<br><br>　紅茶を入れたことは、僕から見ればおままごとのようなものだった。けれども、そのおままごとによって彼女が示したのは真摯な好意の吐露であり、そして、金と欲にまみれた政略結婚を神聖なものとして受け止めていることの表明だった。親が決めた結婚の中でも、幸せを見出す努力をしていた。僕には、こんなにも真剣に何かに向き合ったことがあっただろうか？<br>　僕は、この馬鹿げた婚約が実らないことを半ば確信していたし、それこそが正しいことであるとすら思っていた。でも、この子のこの想いだけは裏切る訳にはいかないと思った。なぜなら、その真っ直ぐな言葉が、瞳が、感情が、これ以上、僕に逃げることを許してはくれなかったからだ。<br>　誰かに恥じないというのは己に恥じないということだ。逃げてばかりの僕に、それはなんと難しいことだろうか。それでも、せめて彼女が思うような人間であろうと努めよう。それが少女の真摯な想いに自分ができる唯一の、大人としての矜恃の守り方だ。だから、誰にも恥じることのないように、今度こそまっすぐに胸を張って生きようと、その時心に決めた。<br><br>　僕と彼女が会ったのは、その後ほんの数回だけのことだ。そして僕は戦地に赴き、戦争に明け暮れた。銃火をかいくぐり、敵陣を突破し、塹壕の中で味方と生死を共にした。軍人として、この国の人間として、恥ずべきことがないように、務めを果たすべく懸命に生きた。果たせたのかどうかは正直言ってよく分からない。そして、今日まで彼女と会うことはなかった。そうだ。この人はリーザだ。<br><br>　<br><br><br>「さて、お味はいかがですか、お嬢様」<br>「・・・三十点」<br>「おや、手厳しい」<br>「・・・思い出したのね」<br>「ええ、すっかり綺麗になりましたね、リーザお嬢様。もうどこに出しても恥ずかしくないレディだ」<br>「ありがとう、嬉しいわ。どこかの誰かに釣り合おうと必死に努力したの」<br>「僕が釣り合えているのかが心配になるぐらいですよ」<br>「それこそ、無用の心配ね。あなたの活躍は今や、全ての国民が知るところよ。でも、レディを待たせる癖だけはいただけないわ」<br>「それは失礼。でも、そればっかりは中々ね。さて、そろそろ、いかないと」<br>「また逢える？」<br>「そうですね、いつか、また・・・そうだ、その時にはあなたのお子さんにもお会いしたいな。きっと、昔のあなたに似て美しいお子さんになるでしょうね」<br>「・・・勝手な人ね」<br>「ええ、知らなかったんですか？」<br>「知らない訳がないじゃない。こうやって何年も待ちぼうけにした癖に」<br>「それに関しては申し訳ないと思っていますよ。心の底からね。だから、こうして会いに来たじゃないですか」<br>「でも、ゆくのでしょう？」<br>「ええ・・・それが決まりですから。さようなら、リーザお嬢様」<br>「またね、中佐殿・・・いいえ、二階級特進したのだから准将殿かしら？」<br><br><br><br><br>「お嬢様、遅くなってしまって申し訳ございません。ただいま、お茶をお入れしますね」<br><br>　専属のメイドが、あわてた様子で部屋に入ってきた。少々そそっかしいところがあるけど、私はこの子を気に入っている。何事にも一生懸命に取り組んでくれるのだ。あの人のように。<br><br>「大丈夫よ。客人に入れていただいたわ」<br><br>　いつしか少女の頃は遠くなり、私だけが歳をとる。<br><br>「お客様がいらしたんですか？申し訳ありません。何のおもてなしもできずに・・・」<br>「親しい方だったから、気にしなくてもいいのよ。それに、もう帰られたわ」<br>「はぁ・・・えっと、どうやって？ここまで誰にもお会いしませんでしたが・・・あら？これ茶葉の分量がデタラメじゃないですか？」<br>「・・・そうよ、来た頃のあなたと同じ。まったく、いつまで経ってもお茶を入れるのが下手な男ね」<br><br>　待ちくたびれども、待ち人は来るはずもなく、時だけが彼の人を超えてゆく。<br><br>「でもね、優しい味なのよ・・・」<br>
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<link>https://ameblo.jp/headlongcross/entry-11546334172.html</link>
<pubDate>Thu, 06 Jun 2013 21:02:12 +0900</pubDate>
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<title>魔法の館</title>
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<![CDATA[ 　町から離れた森の近くの小屋に一人で住んでいるトミは、ごく普通の一般的な男性である。<br>　起床した彼はいつもの様に顔を洗い、朝食のパンケーキとミルクを完食するとすぐにカバンと地図を用意した。無論、出かける準備である。<br>　しかし地図とカバンを持って外に出るのは日課ではない。ましてや散歩でも無く、ただ単に今日は友人のでアーロンと約束しているだけである。アーロンはトミの唯一の親友であり、もちろんアーロンにとってもトミは親友だった。<br><br>　トミとアーロンは先日こんな話をしていた。<br>「なぁ、アーロン。どうしたらお前の様に沢山の友達や親友ができるんだ？俺は昔はともかく、今交友関係があるのはお前だけだ」<br>　丁度今コーヒーを飲み干した直後のアーロンは困った顔で、<br>「そんな事聞かれてもね・・・学校の旧友などとはたまに遊んだりしないのかい？」<br>と、逆に質問を投げかけた。<br>　その質問にトミはこう答えた。<br>「愚問だな、旧友との交友関係が今でも無いから俺の友達はお前だけなんだ。友達が二人以上いたらこんな質問はしないだろう」<br>　アーロンは更に困った顔で、<br>「二人以上って・・・一人増えるだけでもいいのかい？一人だけの親友が僕じゃ不満？」<br>と、渋々答えた。<br>　トミは質問合戦の会話を終わらせる様に答える。<br>「そういう訳では無いさ。問題はそこじゃ無い。まぁ、いいよ。お前だけでも不満はない」<br>最後に『少しだけ寂しいがな』と付け加え、トミは諦めた表情で口を閉じた。<br>　しばらくアーロンも空になったコップの中を見つめていたが、やがてトミの方を向き、<br>「分かった、じゃあ僕の友達を紹介してあげるよ。一人でいいのかい？」<br>　トミは少しだけ嬉しそうな顔をする。割とポーカーフェイスなトミだが、アーロンには嬉しそうなのが分かっただろう。<br>「そいつぁ有り難いな。あぁ、一人で十分だ。感謝するよ」<br>と言ってコーヒーを飲み干した。<br><br>　そして昨日、アーロンから明日に紹介してあげるよ――つまり今日に――と手紙が来た。という訳でトミはせっせとアーロンの家に足を運んでいる訳だ。<br>　アーロンの家へは森を迂回した道を行かねばならない。が、トミは森の中を歩いていた。整備もされていないが、トミ曰く『この道が一番近いから』ここを通っているらしい。だが・・・<br>「参った・・・地図を持ってきたにも関わらず道に迷ってしまった」<br>　森で道に迷ってしまうとは絶望的である。地図に書いてある目印も見当たら無いし、家に帰れるかも分からない。こうなっては仕方がない、当てもなく歩くだけだ。<br>　幾ら歩いてもあるのは木、木、木。この森はかなり広いのだ。無事に帰れる保証は無い。だが、かなりの時間歩くと、遂に一筋の光が見えた。<br>　それは普通の小屋だったが、今のトミにとっては神々しい光を放つ教会に見えた事だろう。ただ、この小屋は何となく山小屋では無く、人の気配がした。とりあえず、トミはノックをした。<br>「どうぞ」<br>返事はすぐに返ってきた。トミはゆっくりと、扉を開けた。<br>　扉を開けた先に見たのは、熱心に何かを書く２０歳前後程の青年の姿だった。少し目をトミにも向けたが、引き続き何かを書いていた。<br>「それは何を書いているんだい？」<br>トミが質問した。<br>「小説だよ、僕は小説家なんだ」<br>　青年はペンを止め、黒くしっかりとした眼差しがトミを見つめた。<br>「何か用かな？」<br>青年が質問する。トミは少し苦笑し、<br>「友人の家に行く途中、迷ってしまったんだ」<br>その後に『この森から出る方法を教えてくれ』とも付け加えた。<br>　青年は少し笑いを浮かべた、トミはその表情に少し怒りを感じたが、眩しい笑顔に何かを感じる所もあった。<br>「あぁ、そういう人も多いね」<br>青年の言葉にトミは思わず首をかしげる。青年は笑って、<br>「迷ってこの家に来る人が何人もいるんだ、そういう意味」<br>そう言ってトミの傾いた首を直すのだった。<br>　すると同時に、トミの腹の虫が鳴った。トミは頬を掻きながら、<br>「かなり歩き回ったからな・・・参ったよ」<br>と言った。すると青年もまた笑顔の眩しさを明るくする。<br>「なら、僕の昼食のシチューを分けてあげるよ」<br>と言った。よく見れば青年の書きかけの小説の隣には、シチューが置いてあった。<br>　トミは少し困った顔をしたが、彼に分かっただろうか。<br>「お気持ちは嬉しいが、君の昼食を奪うわけにはいかない」<br>諦めた口調でそう言った。それよりも地図が欲しいとも言った。<br>「たくさんあるから大丈夫」<br>と言い、青年はキッチンに行った。<br>　彼がキッチンに行く間、トミにとって目を引く物があった。小説である。題名は「肉料理と香辛料」という題名だ。トミはその料理のレシピ本と間違える様な題名を見た瞬間、思わず笑ってしまった。だが、ざっと見たところ内容は調理方法が書いてある訳でもなく、普通にシェフを目指す少年と少女の話のようだ。<br>　青年はキッチンからシチューを持ってくると、机に置いた後に『感想は？』と聞いた。トミは少し笑いながら<br>「素人の俺に言える事はあまり無いかもしれんが・・・中々斬新なタイトルだね」<br>と、微妙に賞賛した。<br>　青年は少し驚いた顔をしたが、すぐに笑って、<br>「ありがとう、みんなその作品を見るといつも、題名が変じゃないか？とか言ってくるんだ。君は初めて題名を褒めてくれた。ぜひ名前を聞かせてもらえないかな？」<br>と、トミに聞いた。<br>「トミだ」<br>と、席に座りシチューを食べ始めた。　<br>「僕はエンシオ」<br>青年は名乗った。<br>「そんな題名にしたのは・・・そうだな、斬新な物に人は目が行くでしょ？だから、多くの人の目に止まる様に・・・と思ったんだ」<br>少し誇らしげだった。<br>「それは良いアイデアだな」<br>と、トミは答えた。<br> 相当腹が減っていたらしく、シチューはすぐに完食された。<br>「ごちそうさま、ありがとう。飯まで食わせて貰ったのに悪いが・・・地図をくれないか？」<br>と地図を求めた。<br>「それなら、今書くから待ってて」<br>　エンシオは新しい紙を使って地図を書き始めた。森の地図、というとおかしいかもしれないが、エンシオは迷って来る人の為に木の形状や道を詳しく覚えていた。地図を書きながらエンシオはこう言った。<br>「ここに居ると、色々な人と出会えるんだ。森の中に住んでるけど、寂しく無いよ。そして、出会った人とたまに街で会ったりするから、人が来る度に友達が増えた気がするんだ」<br>と、嬉しそうに言った。<br>　その言葉に、トミは少し何とも言えない感覚に襲われた。似た様な話の件で友人の所に行くつもりだったからである。<br>「さっきも言ったが、俺は友人の家に行くつもりなんだ。何故なら、先日・・・こんな話をしたんだ」<br>トミはあらすじをエンシオに話した。エンシオも、途中で地図を書き終えたが、真剣に聞いていた。そして、その話を聞き終わったエンシオは大笑いし、トミがそろそろ怒ってやろうかと思った頃に<br>「そうか・・・成る程・・・分かったよ、そういうことか」<br>と、一人でブツブツ言っていた。<br>「どうしたんだ？」<br>少し怒りを含んでいる声を発するトミ。<br>「何でも無いよ・・・じきに分かるさ。それより、地図を書き終わったから、行くといい」<br>と、地図を差し出した。何となくその言葉が癪に触ったが、トミは無言で地図を受け取った。<br>「ありがとよ、飯もうまかったぜ」<br>とだけ言い、去っていった。<br><br>　地図に従い歩いている途中、トミは考えた。エンシオの言葉・・・一度出会った人はもう友達・・・。その魔法の館に住むエンシオはとても幸せなのだろう。人に恵まれるのは素敵な事は分かるが、自分には遠い話に思えた。<br>　「また会ったらもっと話ができるだろうか」<br>　「そうだ、俺はエンシオと友達になったのだ」<br>　「俺は、魔法の館とその主に魔法をかけられたのだ」<br>　しばらくそんなことを考えているうちに、森を抜け、知っている道を歩き、アーロンの家に着いた。ノックの音に気づいたアーロンは<br>「遅かったね？トミかい？」<br>と返事をした。<br>「あぁ、森で迷ってしまった」<br>と、トミは言った。エンシオの事は言わなかった、特に言う必要も無いと思ったからだ。それよりもトミには気になる事があった。<br>「紹介してくれるのは誰だ？」<br>　アーロンは少し笑って<br>「あぁ、ごめん、今はいないよ。これから僕達がその人の家に行く予定なんだけど。あ、名前はエンシオって言うんだ。」<br>「エンシオ・・・」<br>　まるで小説みたいな展開だ。残念なのは異性ではない――運命の人にはなれない――事である位だろう。トミは大笑いして、こう言った。<br><br>「そいつなら、さっき友達になったぜ」<br>
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<link>https://ameblo.jp/headlongcross/entry-11542461548.html</link>
<pubDate>Sat, 01 Jun 2013 14:35:56 +0900</pubDate>
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<title>ぶどう</title>
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<![CDATA[ ああ、おなかすいたわ。<br>私ったら、何でこんなとこ歩いてるのかしら？それに、何だか鳥たちが騒いでる。<br><br>「カーラ　ガ　キタゾ」<br>「ハラペコ　カーラ」<br>「アレデ　レディ　ダッテ」<br><br>ちょっと、何よっ！<br>かってにさえずっときなさい！私がここでおなかをすかしてるのは、予定通りなんだから。<br><br>「カーラ　ガ　マタ　イイワケシテル」<br>「レディ　ナノニ　ミットモナーイ」<br>「ハラペコ　カーラ　ミットモナーイ」<br><br>いいわけじゃないわよ。だって、この道をまーっすぐいけば、とーってもあまーいぶどうがすずなりになってる、ぶどうの木あるんだから！<br>そう、私はそこに向かって歩いていたのよ。<br><br>「サッキマデ　ココ　ドコ　シラナカッター」<br>「ウソツキ　カーラ」<br>「ハラペコ　カーラ」<br><br>うるさいっ！もう、あっちへいって！でないと石をぶつけるわよっ！<br><br>「レディ　ナノニ　ミットモナーイ」<br>「ミットモナーイ」<br>　パタパタパタ・・・<br><br>なんなのかしら、あのバカ鳥たちは。私はぶどうの木に急いでるんだから・・・<br>あ、見えてきた。あまくてずっしりおもたい実が、ふさふさいーっぱい実る、私のとっておきのぶどうの木。ペコペコのおなかを、あま～いぶどうでいっぱいにできるなんて、なんて私はしあわせものなんでしょう。<br>・・・あら？ひ、ひとふさものこってない！？なんてことなの！きのうまではたしかに、もうちょっとで食べごろのぶどうが、いっぱいいーっぱい、すずなりになっていたのに！！<br><br>「ブドウ　オイシカッタネー」<br>「オナカ　イッパイ　ダネー」<br>「カーラ　ハ　タベレナイネー」<br><br>あの子たち・・・そ、そんな・・・せめて、一個だけでもどこかに・・・<br>あっあんな、ところに！でも・・・あそこはいくらなんでも、高すぎるわ・・・<br>で、でも・・・がんばって、登って・・・登って・・・<br>きゃああああー？！<br><br>「カーラ　ガ　オチター」<br>「レディ　ナノニ　キ　カラ　オチター」<br>　パタパタパタ・・・<br><br>ふ、ふんっ！なによっ！私は木に登れないんじゃなくて、レディだから登るのをやめただけよ。それに、あのぶどうは「すっぱいぶどう」に違いないんだから。あんなぶどうなんか、惜しくもなんともないわ。<br>お、おなかなんて減ってないんだから・・・ぐ、ぐずっ・・・<br>泣いてだって、いないんだから・・・えぐっ・・・<br><br>「あ、あの・・・」<br><br>きゃあっ！だ、だれ！？<br><br>「これ・・・」<br><br>あら、あなた、イヴォン？い、いったい何の用？<br><br>「・・・木の上に、あったやつ」<br><br>これって・・・あなたが？<br><br>「こいつがほしかったんじゃないのか？」<br><br>え、そんな、私はべつに・・・<br><br>「物欲しそうに上を眺めて、腹を鳴らしてればまるわかりさ」<br>「・・・な、なによっ！私にほどこしをしようっていうの？私はそんなすっぱいぶどうなんかいらないわよ！」<br>「食べてもないくせに、なんでそう言い切れるんだよ？」<br>「食べなくったって、わかるわよ！そんなぶどう、腐ってるか熟れてないに決まってるんだから」<br>「心配無用さ。ちゃんと味見はしておいたよ」<br><br>このっ・・・なによっ！バカにしてっ！！<br>いつ私が、そんなことしてほしいって言ったの？そんな・・・そんなぶどうなんか・・・<br><br>「あなたの食べかけの、汚いぶどうなんかいらないわよっ！！」<br>「そう・・・」<br>「わかったら、とっとと私の前から消えて！二度と、あなたの顔なんか見たくない！！」<br>「そうするよ・・・」<br>「ばかにしてっ！　みんな、私のことをバカにしてっ！！みんなみんな、だいっ嫌い！！」<br>「余計なことして、悪かった・・・」<br><br><br><br>・・・・・・<br>私ったら、また・・・<br>また、やっちゃったのね・・・<br>そう・・・こんなことも、あったかしらね・・・<br>・・・ずっと、ずぅっと、むかしのこと・・・<br>あんな・・・ことも・・・<br><br><br><br><br>コンコンコン・・・・・・<br><br>う、うん・・・夢だったのね・・・あまり思い出したくないのに・・・<br><br>コンコンコン・・・・・・<br><br>イヴォンには謝れないままだったなぁ・・・あ、はいはい。もう、こんな時間に誰かしら？まったく、ひとの寝入りばなに・・・あっ！<br><br>「寝入りばなって・・・まだ宵の口だよ。こんな夜にもうひとりで寝るのかい？」<br>「あ～らイヴォン、ずいぶんおひさしぶりね。一言多いのもあいかわらずで、何よりよ」<br>「ひさしぶりなのに、そんなにとんがるなよ・・・いや、先によけいなことを言ったのは僕だけどさ」<br><br>あら？イヴォンにしては、めずらしく素直ね。何か企んでるのかしら？<br><br>「で、こんな夜とやらになんの御用？」<br>「・・・たいした用事じゃないんだけどさ。届け物をしにきたんだ。クリスマスプレゼント」<br><br>あっ！そういえば今日は・・・なんてことかしら。クリスマスイヴに仕事に疲れてひとりで寝てるなんて！それに・・・イヴォンが私にプレゼント？どういうことなの！？<br><br>「こ、これなんだけど・・・」<br>「お酒？ワインかしら？」<br>「おぼえているかい？あのときの、ぶどうだよ」<br><br>え・・・？そ、それって？<br><br>「すっぱかった、あのぶどうだよ」<br>「す、すっぱかっただなんて、あれは、私が・・・」<br>「いや、確かにあのぶどうは、すっぱかったんだ。青臭くて、熟してなかったんだ。けれどあれから、何度も踏みつけられて、しっかりつぶされて、そして長い間、樽詰めになって、じっくり寝かされて。ようやく、少しは飲める味になったと思うんだ。だから、その、味見だけでもしてもらえると嬉しいんだけど・・・」<br><br>そ、そんな、イヴォン、私はあの時・・・<br><br>「あの時は、憎まれ口をたたいてごめん」<br><br>だって、それは私が・・・<br><br>「カーラが、手の届かないぶどうをずっと見上げてたのを見てるとね、無性に腹がたったんだ」<br>「・・・どういうこと？」<br>「僕もね、ずっと、傷つくのが怖くて、手の届きそうに無い高嶺の花を、眺めてるばかりだったから」<br><br>えっ？それって・・・<br><br>「邪魔したね。それは置いていくから、捨てるなりなんなり好きにして。それじゃ」<br><br>ちょっと待ってよっ！<br><br>「まったく、もう。イヴォンはやっぱり相変わらずね」<br>「なんだよ」<br>「クリスマスイヴに、レディにひとりで、ワインを飲めとおっしゃるのかしら？そんなだから恋人もできないのよ」<br>「今から寝るつもりだったカーラに言われたくないよ・・・」<br><br>ほんっっっとうに一言多いわね。まあ、お互い様だからいいわ。<br><br>「せっかく来たんだから、ゆっくりしていって。とびっきりのフリカッセをご馳走するわよ」<br>「・・・いいのかい？」<br><br>もちろん。そのかわり、二人の再会に乾杯したあとは「高嶺の花」とやらの話をじっくり聞かせてもらうわよ。
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<link>https://ameblo.jp/headlongcross/entry-11427798668.html</link>
<pubDate>Sat, 15 Dec 2012 21:10:10 +0900</pubDate>
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<title>魔王１０</title>
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<![CDATA[ 　勇者と剣を交えながら、魔王はおかしな感覚にとらわれていた。胸の奥が痛む。その度に、目の前の勇者が、別の生き物の形をした何かに見えた。<br>　しかし、いくら成長したとはいえ、魔王に比べれば勇者はまだまだ弱い。溢れ出る魔力で強化した魔王の肉体は、スタミナが切れることもない。強さの次元が全然違うのだ。<br><br>「例えお前が俺を殺しても、人間界は平和になどならない。世界最強のお前が人間界に戻れば、今度はお前自身が人間達の畏怖の対象だ」<br>「…殺す…殺してやる……俺は勇者だ…勇者だ……」<br><br>　これはいけない、と魔王は思った。確かに彼は、今までにないほどの高揚を感じていた。この時間がいつまでも続けばいいと思っていた。しかし、もはや勇者は殺戮人形と化している。<br><br>「勇者よ…」<br>「死ね！死ねえ！！！勇者の俺が…お前さえ殺せば…お前さえいなければ……」<br>「……俺と友にならぬか？」<br><br>　勇者の動きがピタリと止まった。それに併せてか、魔王も動きを止めてしまった。特に考えて発した言葉ではなかったが、それは、全世界の時を止めてしまったかのように感じた。<br><br>「ふざけるなああああああっ！！！！！！」<br><br>　再び動き出した時の中で、魔王は自分の腕が切り飛ばされるのを感じた。その瞬間、何もかもわかってしまった。何から勇者に話すべきか、そう考えている間に、金属がゆっくりと体の中に分け入ってくるのが見えた。勇者の剣が魔王の胸を貫いた。<br><br>「話さなければならないことがあるのだが…それほど時間はなさそうだな」<br>「お前の話なんか…」<br>「聞け。友となりたい、と言ったのは…本心だった……」<br>「…………」<br>「もし、お前が俺の言葉に…何かを感じたのなら、そうだな…そこに転がっている腕をもって…いけ…必ず必要に…なるだろう……」<br>「…何を企んでいる？」<br>「何も企んでなど…おらんよ……我が、友よ……調べ…ればわかる…魔力…何も…ただの…だ……だが、必ずひつ……」<br><br>　最後の言葉を待たずに、魔王は突然青い炎に包まれ、そして消滅した。<br><br>「くそっ！！！」<br><br>　勇者は転がっていた魔王の腕をとり………道具袋に入れた。<br><br><br>―――　５年後<br><br><br>「お、俺は…勇者だ……勇者なのに…」<br><br>「なぜ…こんなことなら…ちくしょう、ちくしょう……」<br><br>「…これじゃあ、もう…剣も………あ…あの時……」<br><br><br>―――　６年後<br><br><br>「魔王様、以上で精霊界の報告を終わります」<br><br>「続きまして、人間界ですが………<br><br><br>
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<link>https://ameblo.jp/headlongcross/entry-11360437124.html</link>
<pubDate>Fri, 21 Sep 2012 17:27:43 +0900</pubDate>
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<title>魔王９</title>
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<![CDATA[ 　ついにその時がやってきた。鬼神のごとく魔王軍と戦った勇者は現在、魔界の中心にある山の麓にいた。<br><br>「魔王様。勇者がやってきました。兵士達が応戦していますが……」<br>「応戦しなくていい。全て下がらせろ。ここまで通せ。お前も事が終わるまで隠れていろ」<br>「了解しました。では、お任せいたします」<br><br>　嬉しいのか、それとも楽しいのか。魔王の心臓が早鐘を打つ。やっと勇者に会えるのだ。<br>　カツーン、カツーンと、勇者の足音がだんだん大きくなり、そしてついに、謁見の広間の扉が開かれた。<br><br>「…お前が…魔王か？」<br><br>　魔王の目の前に現れた男は報告どおり、鍛え抜かれた体に光り輝く武具をまとい、そして、酷く荒んだ目をしていた。<br><br>「よく来たな、我が同胞よ」<br>「ふざけるな！俺は勇者だ！魔王であるお前の同胞？冗談じゃない！」<br>「ふむ…必死に自分を「勇者だ」と納得させることで、心の痛みを押し殺してきたか」<br><br>　キンッ！と空間が割れる音と同時に、魔王に雷撃が襲い掛かる。問答無用、ということなのだろうが、魔王はまだ語り足りなかった。<br><br>「お疲れのようだな。少し休まんか？」<br>「うるさいっ！」<br><br>　魔王は本心からそう言ったのだが、今度は激しい炎の塊が魔王に向かう。その炎を払ったかと思ったら、炎の中から勇者が現れ切り付ける。魔王は軽くいなすが、それでも、何度も何度も切り付けてきた。<br><br>「お前のせいで、俺の故郷や、友達の村、兜を守っていた国、ほかにもいろいろ…お前が殺したんだ！！！お前が、何千、何万人と殺したんだ！！」 <br>「俺が「滅ぼせ」と命令したのは、兜を守っていた国だけだな」<br>「…は！？嘘吐けっ！！！」<br>「お前が兜を取れそうに無いから手伝ってやっただけだが…あの国が兜の魔力で守られているなんてウソだ、と証明してやるためにもな」<br>「助かりたいからって適当な事を……！！」<br><br>　勇者が剣を振りかぶったところで、魔王は大きく離れた。<br><br>「くっ…ちょこまかと……」<br>「俺が命令したのは「面倒事を持ってくるな」「お前を殺すな」「兜の国を破壊しろ」これだけだ。お前はなぜ俺を恨む？」<br>「う…ウソだ…みんな、みんな言ってた…！！みんな、魔王が悪いって…家がなくなったり、家族が殺されたり、全部魔王の仕業だって……！！」<br>「お前の村は、人間の戦争で山が焼けたために、そこから逃げ出した魔物の群れに襲われたわけだが、それも俺が悪いのか？」<br>「だ、黙れっ！俺はお前を倒して、みんなと平和な世界を取り戻すんだ！！」<br><br>　魔法を連発するも、着弾した場所に魔王はいない。勇者は魔法での攻撃をあきらめ、また剣を振り回し始めた。魔王もそれに併せ、自分の魔力を物質化した剣で応戦する。　<br><br>「みんなとは誰の事だ？自分の国から犠牲を出すのが嫌で、報酬でお前を釣った国か？お前が買った食糧を奪い合って殺し合う難民か？世界の命運より、自分可愛さで兜を渡さない国の連中か？馬鹿な女王の言葉を疑いもせず、無実のお前を投獄した人間達か？お前が俺を殺そうと躍起になっているうちに、自分たちが正しいとお互いを殺しあう国家か？」<br>「そ、それはお前が……」<br>「もう一つ教えてやろう。お前が心臓をえぐり出したユニコーンはここ数十年、精霊界でのんびり暮らしていた老人だ。まんまと精霊王に使われたな」<br>「もうしゃべるなぁああああああああああ！！！！！！」<br><br>　勇者の叫びが山頂から魔界中に響いた。<br><br>
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<link>https://ameblo.jp/headlongcross/entry-11359359899.html</link>
<pubDate>Thu, 20 Sep 2012 08:15:10 +0900</pubDate>
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<title>魔王８</title>
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<![CDATA[ ―――　２年後<br><br><br>「勇者はついに、精霊王の城までたどり着いたようです。ですが……」<br><br>　精霊王の人間嫌いは、魔界では有名な話だった。しかし、人間は自分達に精霊の加護があると信じている。滑稽な話だった。<br><br>「で、どんな無理難題を吹っかけてきた？」<br>「やはり、わかりますか。魔王様はルフェウス将軍を覚えておいででしょうか？」<br>「確か、ユニコーンの……」<br><br>　彼が魔王になってしばらくした頃、引退した将軍だった。現在は精霊界で隠居している。<br><br>「内々に、彼を討伐しその心臓を持ってこい、との要求が出たそうです。その見返りとして、勇者の持つオリハルコン製のただ頑丈なだけの剣と月鏡の盾に精霊の加護を付与し、さらには魔界への門の通行も許可すると」<br>「精霊王がユニコーンを殺すよう命じたのか？」<br>「はい。魔物のユニコーンなら問題ないのでしょうが、魔王軍の将軍職を務めた者となると、精霊界でもいろいろあるのでしょう」<br><br>　ユニコーンは確かに魔物だが、その気性はおとなしく、精霊族にも騎乗等の活用で人気があり、精霊界で生まれるものも多い。稀に精霊界でも、知性を持つ魔族として生まれることもあるが、精霊族との関係は概ね良好だった。ルフェウス将軍も精霊界生まれで「故郷で静かに暮らしたい」というのが、引退前の彼の口癖だった。<br><br>「我が軍の功労者をむざむざ殺させるのも忍びないが…何ともならんのか？」<br>「難しいですね。精霊王は彼の心臓を所望していますから」<br>「何故、心臓を必要とするのだ？」<br>「…わかりません」<br>「関係のない者まで巻き込むのは、人間も精霊も変わらんな……」<br><br>　魔王は随分変わった。勇者の動向に一喜一憂するようになったばかりでなく、魔界や魔族のことにも目を向けるようになった。人間のことを知れば知るほど残念な気持ちになったのだが、それは精霊についても同じなのかもしれない。<br>　勇者はきっと、精霊王の言うとおりルフェウスのもとに行くのだろう。そして、魔物だから、と何の疑いもなく、彼の心臓をえぐり出すのだ。<br>　魔王はだんだん、勇者が哀れになってきた。彼はいつ、どこで、誰から勇者と呼ばれるようになったのだろう？自分の意思すら持たず、人に言われるがままに勇者の役割を演じ、自分で善悪の判断すらつけられなくなっているように思えた。<br><br><br><br><br><br>　勇者は、精霊界で罪のないユニコーンをこれ以上ない方法で虐殺したとして、精霊王から魔界へ追放された。<br>
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<link>https://ameblo.jp/headlongcross/entry-11358556146.html</link>
<pubDate>Wed, 19 Sep 2012 08:18:43 +0900</pubDate>
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<title>魔王７</title>
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<![CDATA[ ―――　１年８ヵ月後<br><br><br>　魔族達の報告を通して魔王は、勇者がどういう人物か理解を深めていった。同時に、人間がどういう生き物なのかも分かってきた。卑怯で、愚かで、臆病で、利己的で、非合理的で、他人を信用せず、愛などというものは幻想に過ぎない。人間がが勇者にしてきた事を見ればよく分かった。<br>　なぜ、勇者はこんな人間を救おうとしているのだろう？仮に自分を倒したとしても、人間が平和に暮らせるわけが無い。魔王はそう、確信していた。<br><br>「勇者が精霊界の門へ向かう途中、軍事国家のビザン帝国軍から攻撃を受けたようです」<br>「人間が勇者を襲ったのか？」<br>「はい…どうやらビザン帝国でも勇者が現れたらしく、他にも、敵対している宗教国家のマハル共和国でも勇者が現れており、お互い、どちらの勇者が正統かを争っているとの事です」<br><br>　人間にとって、基本的に魔界の生き物とは、単なる畏怖の対象だった。天災のようなものだった。積極的に人間を襲う種族も稀にはいたが、それ以外は「見付けたら喰う」程度で、野生の魔物も危険な野生動物と大差ない。力ある人間は戦い、力ない人間は逃げ、運のない人間は喰われた。<br>　先代魔王の時代は、明らかに敵だった。人間界を滅ぼそうというのであれば、人間も自分を守るために戦うしかない。世界で連合し、軍を整え、策を練って魔族を追い払った。そして、刺客として勇者を魔界に送り込み、魔王を殺すことに成功した。<br>　では、現在はどうか。毒沼採掘の問題があり、先代程ではないが、やはり敵対している。魔界の王たる魔王は人間界共通の敵なのだ。それなのに、人間同士が争い、さらには魔王を殺すための刺客たる勇者を襲う。魔王は勇者が気の毒になってきた。<br><br>「勇者は無事なのか？」<br>「無傷ではありませんが、わりとすぐに決着が付いたようです」<br>「勝ったか？」<br>「はい。話になりません。勇者は先発の一個師団を壊滅したあと、そのまま軍本部に強襲、偽勇者とその仲間３人を叩き切ってその場を離れたとのことです」<br>「ほほう、そうかっ！」<br><br>　その報告を聞いて、珍しく魔王は感情を表に出して喜んだ。魔王軍でも、それほどのことが出来るのは数名だろう。着実に成長しているのだ。あの時、気まぐれで出した命令が、今や魔王にとって最重要事項となっていた。<br><br>「もう、人間の枠を超えているな」<br>「ビザン帝国はこの事実を隠蔽しようとしているようですが、偽勇者自身がかなり大規模に軍を動かしたようですので、世界中に知れ渡るのは時間の問題かと」<br>「人間を殺したのは初めてではないか？」<br>「そのようですね」<br>「勇者が魔界に着いたら、軍単位で対応せねばなるまいな」<br>「魔王様…楽しそうですね？」<br><br>　魔王になって５０数年、彼はこんなに楽しい気持ちになったのは初めてだった。<br><br><br>
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<link>https://ameblo.jp/headlongcross/entry-11357992542.html</link>
<pubDate>Tue, 18 Sep 2012 17:21:04 +0900</pubDate>
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<title>魔王６</title>
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<![CDATA[ ―――　１年５ヵ月後<br><br><br>「して、勇者は今、どうしている？」<br><br>　最近、魔王は自分から勇者のことを聞くようになった。魔王は毎日、魔界・精霊界・人間界の報告を受けることになっている。その報告の時間のほとんどが人間界、特に勇者についての報告に割かれるようになった。<br><br>「現在は、その…ユグリス国王暗殺の疑いで牢に入れられたようです」<br>「ほう、勇者もついに人間を見限ったか」<br>「いえ、濡れ衣です。真犯人は女王派のようです。国王の次男の母親にあたります」<br><br>　人間界でよくある、後継者問題だった。たまたまその日、勇者が王と謁見し、国宝である大地の鎧を譲ってもらえないか願い出ていた。さすがに国宝をその場ではいどうぞと渡すわけにはいかないと、ユグリス国王は大臣達と話し合うため、後日の回答を約束した。暗殺騒ぎが起きたのはその夜の出来事だった。実行犯達は、処刑される際、首謀者は勇者だと言った。<br><br>「勇者なら暗殺などせずとも、その場で皆殺しに出来るのだがな…」<br>「それもあって、怒らせたくないようです。誰も手を出せないらしく、処刑は保留となっています」<br>「濡れ衣は晴れそうにないのか？」<br>「難しいですね。どうされますか？」<br>「しばらく様子を見よう」<br><br>　数日後、勇者は国外追放となった。その際、大地の鎧は、麻袋いっぱいの宝石と交換ということになった。<br><br><br>―――　１年７ヵ月後<br><br><br>　勇者はかなり強くなっていた。魔物どころか、魔族ですら歯が立たなくなってきている。１対１なら将軍クラスにも引けをとらないであろう。魔族達は、適当に痛めつけたら逃げるように心がけていた。<br>　魔物もあまり襲い掛からなくなったため、旅は少し楽になったようだが、最近の勇者はあまり、人間の住む場所に行かなくなっていた。<br><br>「勇者はマーゴニア大陸の三日月の塔にて、月鏡の盾を手に入れたようです」<br>「何だそれは？」<br>「強度はそれなりにあるようですが、精霊の加護は受けていません。なんでも、太陽の冠・大地の鎧・月鏡の盾を揃えると、精霊界に行けるようになるとか」<br>「精霊の玉では駄目だったのか？」<br><br>　精霊界へ行くには鍵が必要で、確かに勇者はそれを持っていた。使い方がわからなかったのだろうか？誰かに教えに行かすべきだったかと、魔王はそう思ったのだが、どうやら違うらしい。<br><br>「精霊の玉を取ってすぐ、精霊界の門まで行ったようですが、そこの門番に、門を開けるにはそれらの装備も必要だと言われたようです」<br><br>　精霊王の人間嫌いも筋金入りだった。<br><br><br><br>
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<link>https://ameblo.jp/headlongcross/entry-11357021833.html</link>
<pubDate>Mon, 17 Sep 2012 14:49:44 +0900</pubDate>
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<title>魔王５</title>
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<![CDATA[ ―――　１年３ヶ月後<br><br><br>「現在は砂漠の大陸、オルグニアのファリス王国にいるようです」<br><br>　おおよそ人が住めるところではないが、大陸全土で宝石が取れるため、国は潤っていた。魔族たちは宝石のことを「色付きの石」と呼んでおり、ただそれだけで特に価値のないものとみていた。<br><br>「石が必要なのか？」<br>「いえ、太陽の冠と呼ばれる、精霊の加護を受けた兜があるようです」<br>「…今度は本物か？」<br>「はい、報告によれば。ですが、現地の人間が、これがないと魔物の侵略を許す、とかで渡す気がないようです」<br>「精霊の加護にそんな力があったか？」<br>「多少はあるかもしれませんが…身に着けた者を守る程度でしょう。あの大陸は暑いので魔物が住みたがらないだけです。まぁ、動物もほとんどいませんが。唯一あるオアシスは、人間が高い城壁で囲っていますし」<br><br>　人間達はいったい、何を考えているのだろう？本当に自分を殺す気があるのだろうか？本当に勇者は期待されているのだろうか？ここのとこ魔王は、そんなことばかり考えていた。<br><br>「勇者はそれを奪い取る気はないのだな……」<br>「ファリスの王は、兜は渡せないが旅の路銀になるならと、麻袋いっぱいの色付きの石を餞別に渡したとか。人間にとっては、かなり価値のあるものです。勇者はそれを受け取って、近々国を出る気でいるようです」<br><br>　魔王は少し感心した。一応、協力するふりはするのだ。わが身可愛さに本当に必要な協力は拒み、どうでもいい協力は惜しまない。そして、自分達は勇者に協力した、と胸を張るのだろう。間違った情報をもとに、自分達は安全だと信じているから始末に終えない。<br><br>「ふむ、勇者も苦労しているようだ。たまには俺も手助けしてやろう」<br>「どうされますか？」<br><br>　魔王はおもむろに立ち上がると、あたりを見渡した。側近が３名、その後ろに将軍職が１０数名。その内のほとんどは今回の報告に帰って来た人間界の採掘所担当だが、まぁ十分だろう。<br><br>「人間界の任務がある者は戻れ。バンツァー、ユグリナンド、クミヌは、それぞれの軍を率いてファリス王国を攻めよ。勇者は適度に痛めつけるだけで絶対に殺すな。それ以外は皆殺しでいい。城壁や建物も徹底的に破壊せよ。太陽の冠とやらは、壊さない程度にな」<br>「少々過剰なのでは……？」<br>「かまわん。そのかわりすぐに終わらせろ。周辺に魔物がいないのなら魔界から連れて行け」<br><br>　珍しく破壊的な命令に、３将軍は早速準備に取り掛かった。魔王は、自分自身が早く勇者に会いたがっていることを自覚した。そう、勇者の、人間界のペースに合わせていたら、いつまでたっても自分の下にたどり着かない、そう思ったのだ。<br><br>　こうして、ファリス王国は一夜のうちに滅んだ。光り輝く太陽の冠以外、何も残らなかったという。<br><br><br>
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<link>https://ameblo.jp/headlongcross/entry-11355063991.html</link>
<pubDate>Sat, 15 Sep 2012 08:21:15 +0900</pubDate>
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<title>魔王４</title>
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<![CDATA[ ―――　１年後<br><br><br>「勇者は「破邪の剣」を手に入れるために、サイラント大陸北のカノープ島へ向かうようです」<br>「なんだ、その剣は？強いのか？」<br><br>　精霊の加護を受けた武具というのは確かにある。しかしそれらは、過去数千年の歴史の中で、精霊王が人間のために作らせた武具で、全世界でも幾つかしかない。魔王は何故か、そのすべてを知識として知っている。が、「破邪の剣」に心当たりはなかった。<br><br>「わかりません。何でも、邪悪なものを切り裂く剣であると」<br>「聞いたことがないな。そもそも「ジャアクナモノ」とは何だ」<br>「それもよくわかりません。北サイラント地方では有名な話のようで、勇者はその情報と渡し船を得るために、金貨１０万枚分の食料を自費で買い付けたようです」<br>「…食料だと？」<br><br>　魔王が人間について最も理解できないのは、人間同士で戦争をすることだった。魔族に争いがないわけではない。しかし、それらは個人間の問題で、種族間や地域間での戦争はない。<br>　それでも「自分の領地が狭くなったから広げるために」とか、「人口が増えて食料が足りなくなったから」といった理由ならまだいい。彼らは「信じている神様が違う」などという、わけのわからない理由で戦争をするのだ。北サイラント地方は戦乱続きで、難民同士ですら、食料を奪い合っていた。<br><br>「人間には「アイ」があると聞いたが、お互いをアイで助け合わないのか？」<br>「その「アイ」というものは、私は初耳ですが…勇者は買い付けた食料と引き換えに、カノープ島にある「勇者の墓」に「破邪の剣」がある、という情報を得たようです」<br>「ん？そんなところに勇者の墓はないが…」<br>「ご存知なのですか？」<br><br>　魔王も言ってから首をかしげた。魔王は城から出ることはできない。それは間違いない。ならば城の外、ましてや人間界の小さな島のことなど知る由もない。だが、なぜかそこに勇者の墓がないことだけは断言できた。<br><br>「まぁ、いい。で、その剣はあるのか？」<br>「ヤミール兵士長の隊に偵察に向かわせたところ、墓らしき岩に、ボロボロの錆びた剣が刺さっていたようです」<br>「それが破邪の剣か？」<br>「おそらく。しかしながら、錆を少しだけ採取して分析したところ、人間界で一般的な兵士が持つ、鋼で出来た剣であることがわかりました」<br><br>　勇者はどうやら騙されたらしい。そして、ここ数ヶ月、全く無意味な行動をとることとなったのだ。損害もかなり大きい。<br>　魔王の知っているアイとは、お互いに助け合うというような意味だった。実際は自分の欲しいものを手に入れる行為なのだろうか。<br>　人間は、同じ人間を騙してでも生き延びようとするらしい。魔族や魔物は、最悪食料を食べなくても、魔王さえ健在なら死ぬことはない。しかし、人間は違う。食べなければ生きていけないのだ。その生命力のなさが、かえって怖いところなのかもしれない。<br><br>　魔王はこの勇者のことが気になって仕方がなくなっていた。なぜ？どうして？非合理的だ、無意味だ、それでも勇者はやるのだ。それが「アイ」というものなら、いったい勇者は何を手に入れようとしているのだろう。<br><br>　<br><br><br><br>
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<link>https://ameblo.jp/headlongcross/entry-11354393512.html</link>
<pubDate>Fri, 14 Sep 2012 12:55:36 +0900</pubDate>
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