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<title>小さき歌うたうものの穴蔵</title>
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<title>春</title>
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<![CDATA[ <p>春の通過を、昔は体をひくくしてやりすごした。</p><p>小さきものは、だいたい春が嫌いな人間としてこれまでやってきている。それまで毎朝襟をかきよせるようにして寒さの侵入を防いできたのに、ある日ドアを開けた瞬間に、自分の着ているコートがおおげさでやぼったくて分厚いことに気づく。日差しが暖かい。先週のことは都合よく忘れた人の笑顔のように。散歩に出ると洪水のような花や芽のほころびがびしびしと顔や背中に当たるので、落ち着かない。すぐにうっすらと汗ばむ。足元はぬかるみ、空気はもうもうとして何かの粒子がいっぱい混ざっている感じがする。</p><p>不快である。</p><br><p>春は混乱の季節、不審の季節、嵐のような粗暴さに満ちている。もっと幼いころの小さきものにとっては、まったく誰もかれもが少しどうかしてしまうように見える恐ろしい時期だった。多くの人が春を迎え、暖かくなってきたことを喜び、花を見てうきうきとした気分になったり、突然旅行に行きたくなったりする。そして、そうした自分をおおむね肯定的にとらえる。</p><p>気温や日照や風向きによって、</p><p>このときとばかりに全方位から放出される生気で、</p><p>たったそれだけのことで</p><p>そこまで人が変わってしまうなんて、おかしくないのだろうか？</p><br><p>いまの小さきものは年齢経ることの恩恵に浴し、鈍感になった自分を喜んでいる。</p><p>コート掛けには一年中いつでも「寒い日に着る」長い厚手のコートと、「その他の日」に着る薄い上着が二つ並んで掛かっていて、出かける前にキッチンの窓から外をうかがえばどちらにすべきか、或いは上着はいらないかが決められる。</p><br><p>そして春は、川に散歩に行くのが好きだと、最近気がついた。</p><br><p>子どものころ、小さきものは川の氷が溶けて、水が温み、一気に春めいていく風景に焦るような気持ちになったことがあった。それを振り切りたくて川原を全速力で走り、伸びてきた植物に滑って転んで痛い目に遭いながらもなお走り、いつもより遠くまで来たところ、</p><p>砂州の端にカラスやトビが群れているのを見た。</p><p>荒くなった息のまま、近寄ると、鳥たちは迷惑そうに飛び立った。</p><p>そこには北の国の川に春上ってくる魚がたくさん溜まっていた。尾を力なくばたりばたり動かしているのや、はんぶん干からびたのや、いま食い散らかされているのやらが。腹から卵のこぼれている魚もいた。</p><br><p>小さきものはそれを見て、深く安心した。</p><br><p>いま住む土地の川には、あの大きな魚たちは遡上してこないけれども、川への散歩はあのときのことを思い出させるから、それで行くのかもしれない。</p><br><p>春だろうと、</p><p>誰も見ていなかろうと、</p><p>構わず生まれた生き物は死んでいるのだ。いまもどこかで、心地よい春の日の真ん中で、誰かが、何かが、死んでいる。それを忘れるのも、或いは無視するのも、知らないのも、いい。</p><p>事実は変わらないから。</p><br><p>そのことをかみしめると、小さきものはとても安らぐ。</p><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br>
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<link>https://ameblo.jp/hekikagenkun/entry-10087719177.html</link>
<pubDate>Sat, 12 Apr 2008 18:24:23 +0900</pubDate>
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<title>訪れる新しい年のたびの</title>
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<![CDATA[ <p>小さきものは街を歩いている。寒さに肩をすくめ、心なしか早足になりながら、用を済ませて家に帰るために。</p><br><p>小さきものが思い出す教師は一人しかいない。</p><p>初めてならった先生は誰だったか、次の年に誰に変わったか、そうして記憶をたどればすべての先生の名前や、顔や、声や、言っていたことをぼんやりとよみがえらせることは、できる。</p><p>しかし、夢から覚めた朝や、街で見かけたもの、人から聞いた話に連なる想念のなかに、ぽっかりと浮かび上がってくる人々として、小さきもののなかに今もいるのは、彼女だけである。</p><br><p>よく考えてみれば、芝居がかった女性だった。</p><br><p>ふるまいといい、しぐさといい、田舎の町にはそぐわないほど、己を演出していた人。</p><p>それまで誰も着ていなかった服を着ていた。誰も読んでいなかった本を子どもたちに薦めた。誰も聞いていなかった音楽を持ち込み、誰も見せなかったものを見せた。</p><p>髪を束ねもせず背中に落として時折ゆすり、美しい角度で椅子に体を預け、放り出すように足を組んだ。それまで聞いたことのない何かのセリフじみた言葉づかい、口調と声音をびっくりするほど大胆に変えて、次々に見せる感情を切り替え相手を引っぱり回した。</p><br><p>「良いもの、素敵なものをあなたがたに手渡したい」</p><br><p>子どもの頃のなんと無防備なことか。今だったら、そんな言葉を額面通り受け取れるわけがない。</p><p>子どもの頃のなんと寛大な心。小さきものは彼女を信じたし、ほかの子どもたちも信じた。</p><p>刷り込まれた意識のせいなのだろうか、と小さきものは考える。</p><p>初めて評価してもらったことへの恩を、自分が無意識のうちに後生大事に抱えているからだろうか？</p><p>いま、当時の彼女の年齢を追い越して、彼女の欲望、彼女の願望、彼女の理想の幼さと俗っぽさが白日のもとにさらされ、考えるほどに許容できないことをたくさん押しつけられたと思うのだが、</p><br><p>小さきものは彼女を思い出すし、それは愚か者としてではない。</p><br><p>家がまばらになってきた。</p><p>吐く息の白さを確かめたくて、何度も深呼吸してみる子どもを見ると、胸を冷やすのに、と思う。喉を冷やし、胸を冷やして風邪をひいたら、苦しい思いをするのに。</p><p>小さきものは自分の家に早く帰りたい、と思う。家に入って暖かくしたい。</p><br><p>寒さが布団の間に滑り込んでくる朝、電話のベルのけたたましい響き。</p><p>報せを聞いた時に何故か思い浮かんだのは、彼女の大きな笑顔だったこと。</p><p>新しい年が始まってしばらく経ち、人々の活気やにぎわいが少し落ち着いて来る頃。あのときの生徒のどれだけが、覚えているのだろうか。</p><br><p>失恋した彼女が町外れで凍死しているのを、</p><p>郵便配達人が見つけたのは、こんな日の午後だった。</p>
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<link>https://ameblo.jp/hekikagenkun/entry-10063963730.html</link>
<pubDate>Sat, 05 Jan 2008 03:48:26 +0900</pubDate>
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<title>かみさま</title>
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<![CDATA[ <p>何もかものいっとう最初に、神様がひとりでおられました。</p><br><p>この神様は幼くていらっしゃいましたが、たいへんに賢く力もおありでした。何もないところから世界を造るという難しい難しいことに手をつけられたのも、決して、無謀な挑戦ではなかったのです。</p><br><p>頭の中に引いた広大な世界の設計図をもとに</p><p>途方もない熱と力をあつめて芯をこしらえました。</p><p>大地を均して、そこに海を切りました。場所によってふかくあさくし、水をはったときに澱まないように工夫をこらしました。土を寄せて盛り上げ、天辺をつまんでひゅうと伸ばし、空の星から下げた線にとめて高い高い山が落ちてこないようにしました。生きるものの種をうんと増やしたかったので、冷たいところも温かいところもできるようになさいました。</p><br><p>世界は、いずれ造り主の手を離れ、造られたものどうしの調和によって成り立っていくことが望まれていました。それゆえに、ものごとはすべて美しく、きびしく、同時に醜く、退屈であるようにされました。相反するものや少しずつ異なるもの、鋭いものと鈍いもの、速いものと遅いものが巧みに組み合わされ、常に変化し、生まれては消えながらも先へ先へと進んでいくように、おそろしく細やかだけれども大胆な筆づかいで地のおもてと海のなかへ書き込まれたのです。</p><br><p>そうして出来上がった世界の素地へ、神様はいつくしみをこめて一つ一つ生き物を造り、そっとおろしてやりました。その健やかなこと、無駄のないことといったら、どうでしょう。恩寵を受けたものたちはやがて少しずつ数を増やし、複雑に入り組んで影響しあいながら、大地と海のすみずみまでひろがりました。</p><br><p>神様は頃合いを見計らって、みずからお造りになった世界から、慎重に、息をつめるようにしてお手を離されました。緊張の一瞬ののち、世界は独りで浮かび、神様の思い描かれていたとおりに動き出しました。幾千億もの大小の歯車がかりかりと正しく咬み合って力を伝えています。目を近付ければそれはそれは小さな機構が見え、遠ざかれば全体がうなりをあげてたくましく回転しています。御自分の成し遂げた仕事を眺めた神様は、満足げにため息をつかれました。なんとも素晴らしい出来栄えでした。</p><br><p>ある日は誇らしい気持ちで、またある日は弾む気持ちで。</p><p>造り主としての喜びに満ち満ちて、飽くことなく世界を見守る日々が過ぎてゆきました。</p><p>世界は期待を裏切らず成長します。その細部は意外性にあふれ、ときに神様にさえ驚きを与えるのでした。</p><br><p>そのときは、突然やってきました。</p><p>神様は南の大陸の片隅で胎動する生き物にふと目をとめられました。同じようなかたちのものが幾度かあらわれて消えたのち、いきなり爆発的な変化を始めたのです。それらは瞬く間に増え、長い距離をよく移動しました。地の上には木の根がはるように次々と町と道とが描かれ、海の上には小さな葉のような船が浮かび、沈んだり流されたりするのにも関わらず、どんどん増えていくのです。</p><p>どきどきしながら一心に彼らを見つめておられた神様の耳に、届く微かな声がありました。</p><p>夜の闇のなかで、火を焚きながら。</p><p>朝日を浴びて。</p><p>食物を得て。</p><p>新たな子が生まれたとき。</p><p>生きていたものが死んだとき。</p><p>彼らはまだ非常に素朴な存在でしかありませんでしたが、彼らに出来る精一杯のかたちで、神様に感謝をささげていたのでした。</p><br><p>そうと知れた瞬間、神様の胸に、それまで感じたことのない熱が湧きあがりました。</p><p>思わず叫び声を上げておしまいになるほど、神様は感動なさったのです。荒々しく激しい歓喜がお体を満たし、涙がこぼれました。全く予期せぬ応酬によって、仕事がむくわれた瞬間でした。</p><br><p>なんという嬉しさだろう、と神様は思われました。</p><p>世界を抱きしめたい、愛おしくてたまらない。このような気持ちを「幸せ」と呼ぶことにして、あの生き物にも分けてあげよう。そして、そのとおりになさいました。</p><br><p>この世界をお造りになった神様、初めからいらっしゃったその方は、正真正銘の神様であらせられましたから、それはそれは賢く気高く、比類なき能力の持ち主でございました。しかし、かの御方はたったひとりの神様で、とてもお若い、幼いといってもよいほどだったのです。</p><p>御自分の「幸せ」を神様はすべてあの生き物、ヒトに分けてお与えになりました。</p><p>しかし、ヒトがさらに増えていて、とても全員にはいきわたらないことには気づかず、</p><p>いきわたらない「幸せ」がヒトをどのようにするかということについてはほんとうに全く想像できない、そのくらい、幼くていらっしゃったのです。</p><br><p>はたしてヒトのうち僅かな者だけが「幸せ」を知りました。</p><p>「幸せ」を知らないヒトは、とても素晴らしいらしいものが自分の手からはすべりおちたことを惜しみ、やがて憤りを覚え始めました。得た者たちは羨まれ、いつしか密かに妬まれ、さらには公然と憎まれるようになりました。</p><p>「幸せ」を得た者と得られなかった者との差について険のある議論が交わされ、「幸せ」でないことはただの普通の状態よりも悪い「不幸せ」であるという考えが俄かに広まり、猜疑や焦りなどの感情が急激に発達しました。同胞から身を守る必要が生まれ、ヒトの知恵は研ぎ澄まされ、素朴さはかき消えました。ヒトの存在ははるかに重大なものとなりましたが、みすぼらしく惨めな一面を切り離すことは出来なくなりました。</p><p>神様への祈りから純粋さは失われ、幸せを際限なく求める取引に類するような、厳格で熱心で声高なものになりました。</p><br><p>このような変化は滝を水が落ちるのにも似た圧倒的な勢いで起こり、進み、済んでしまいました。</p><p>幼い神様にはどうすることもできず、結果は実に耐えがたいものでした。「祈り」が次第に大きくなり、狼狽した神様は目をかたく瞑りました。次いで、手で耳を塞ぎました。頭が痛くなっても、ぎゅうぎゅうと手を押しつけ続け、何も聞こえないようにして、いっそのこと自分など見えなくなってしまえばいい、いや、いないことになってしまえばいい、とつよく思いました。そして、そのとおりになりました。</p><br><p>そうして、ヒトは今も、神様に祈っていますが、</p><p>それを聞くべき神様がどこにいるのかは、もはや神様自身もご存じないのです。</p>
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<link>https://ameblo.jp/hekikagenkun/entry-10051909547.html</link>
<pubDate>Sun, 21 Oct 2007 01:33:58 +0900</pubDate>
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<title>とまと売り・三</title>
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<![CDATA[ <p>お茶を飲み終えたとまと売りが戸口へ向かう。</p><p>小さきものは急いで代金を数え、追いついて支払をした。まるで金は、受け取れなければそれはそれでいいというくらいの、あっさりした様子だった。かれらはほんとうは実ったとまとを配り歩きたいだけのかもしれない、と埒もなく思った。</p><p>外へ出て、とまと売りはちょっと逡巡した。</p><p>まさか帰り道がわからないとか、と小さきものは一瞬動揺したが、すぐにとんでもない勘違いだったと知れた。</p><br><p>「あの…もしかして、姉がこちらへ参りませんでしたか？」</p><br><p>いや、来ていませんと答えてから、</p><p>姉上とは、どんな方ですか、やはりとまと売りなのか、と訊く。明らかに混乱しているものだから、順序がぐちゃぐちゃだ。どんな人かも知らないのに来ていないと最初に断言してしまっている。どのみち誰も訪ねてきていないにしても、もっと言い方があるだろうに。</p><p>けれども、とまと売りはやはり気に掛けなかった。</p><br><p>「姉はたまご売りです。一族でもっとも悪路につよい御者だったので、たまご売りになりました。」</p><br><p>ふつう、人は道にある障害をみとめたとき、それを飛び越えたり、無造作に踏んだりしてしまう。結果が重大でないくらい小さな「無理」ならば、するのをいとわないからだ。</p><br><p>「でもたまご売りはそういうわけにいきません。自分自身にはたいしたことに感じられない衝撃でも、荷の殻は割れてしまうことがあるからです。自分でないもののために、疲れていても、眠くても、注意をおこたらず、障害をゆっくりゆっくりなでるようにして乗り越える。どれだけ時間がかかってもいらいらしない。そういう、精神的な資質のある者だけが、たまご売りになります。」</p><br><p>姉の馬車はマホガニー色をしています、ととまと売りは言った。</p><p>見かけたら買ってほしいというのではなくて、ただ姉のことを話したいだけのようだった。誇らしさに頬が紅潮している。</p><br><p>「僕はずっと大雑把だからたまご売りにはなれないけれど、いつか自分のほろ馬車を持ちたいです。」</p><br><p>お辞儀して、来た道を帰っていくとまと売りを、小さきものはしばらく眺めて、それから戸を閉めた。</p><p>馬車の荷台で大きく繁ったとまとの木を、かれの後を追いかけて、見せてもらいたかった。聞かせてもらうたまご売りの姉の話は、まだまだありそうだった。かれらと旅に出てもよいのかもしれなかった。</p><p>それらすべての思いを、否定するでもなく、抱えたまま、小さきものは戸を閉めた。</p><br><p>これからは、たびたび僕のようなものが伺うかもしれません、と</p><p>最後にとまと売りは言っていた。小さきものの家に物売りの「道」がついたからだという。</p><p>そんなことがあるのかどうか分からなかったが、いつかたまご売りの姉にも会うかもしれないと思った。</p><br><p>小さきものはもう一杯お茶を飲んでから、眠った。</p>
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<link>https://ameblo.jp/hekikagenkun/entry-10042992235.html</link>
<pubDate>Sat, 11 Aug 2007 15:14:02 +0900</pubDate>
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<title>とまと売り・二</title>
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<![CDATA[ <p>春の終わるころ、里では馬車をならべて行商の準備をはじめる。</p><p>蔵から引き出して組み上げられた大ほろ馬車、中馬車、小馬車が広場にずらりと連なる。ほこりをはらわれ風にあてられ、徐々に強くなっていく日差しの下、あたりは革と布と木のにおいに満ちる。</p><br><p>旅支度のととのった大ほろ馬車の荷台に、大人三人がかりでやっと持てるほどの巨大な鉢がすえつけられる。そこへ、谷の水でしとらせた用土をしき、小雨がちな夜半をえらんで苗を植え込むのである。</p><p>最初はいかにも小さく頼りないが、谷で芽生えるこのとまとの苗は、長年の改良と変異の結果すっかり旅好きになっているらしく、半月ばかり馬車に揺られている間に立派な木に育つ。幹はかたく、葉の大きさは手のひらほどもあり、花は小ぶりだけれども太陽のような黄色。</p><p>御者と売り子たちは鉢の周りに眠り、晴れた日はほろをとりのけて光を吸わせ、ほどよく水をあたえ、虫をつまみわくら葉をとりと細やかに世話する。</p><br><p>盛りには、実はいちどに三十から四十も熟れ、</p><p>御者は実り具合に合わせて人の多い土地にも少ない土地にもくつわを向ける。</p><br><p>「僕の馬車の木もおかげさまをもってたいへんによく育ちました。今では、ほろの丸みいっぱいに繁った枝葉のなかをかきわけて、赤い実をさがすほどです」</p>
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<link>https://ameblo.jp/hekikagenkun/entry-10042694879.html</link>
<pubDate>Thu, 09 Aug 2007 00:27:56 +0900</pubDate>
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<title>とまと売り・一</title>
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<![CDATA[ <p>小さきものの住まいは野のはずれ、どの道からも少し遠いところにある。</p><p>だから滅多に訪れる人はない。</p><p>今日、扉がとんたんとんと叩かれて、お茶を淹れようとしていたかれがぱっと顔をあげ、一瞬確かめるような間をおいたのはそういうわけで、である。</p><p>妙に緊張して待っていると扉はまた鳴った。とんたんとん。</p><p>どうやら本当に誰かが来ているようだ。</p><p>大きくもなく小さくもない声になってしまいながら、返事をし誰何を問い返す。</p><br><p>「とまと売りです」</p><br><p>はてな、が部屋を飛びまわる。とまと売りなんてこの家に来たことはないし、だいたい聞いたこともない。</p><p>どう対処すべきなのかよく分からなくなって、またしばしの沈黙。</p><p>だが結局、小さきものはそろりと扉を開けてみた。好奇心というよりも、人を待たせている罪悪感に礼儀作法にうるさい生家で培われたかれの三つ子の魂が耐えられなくなったからであったが。</p><br><p>人の年齢を見た目から推し量るのは苦手だが、</p><p>目の前にいるのはどう見ても子ども。栗色の断髪、着なれた野良仕事着で腕まくり、よく日焼けしている。ふかくかぶった青い帽子だけが真新しく、ちょっと浮いていた。そのつばを軽くつまんで頭を下げる。ばねがはいっているみたいな元気のよさ。</p><p>おじゃましてすみません、と「とまと売り」は言った。</p><br><p>これでいいのかな？</p><p>半信半疑で小さきものはお茶を注ぎ分ける。自分のカップと、来客用のカップに。</p><p>台所にはじょうぶな厚紙の箱に並べられた、すばらしいとまとが２ダース置いてある。その横に、「とまと売り」も座っている。枝に来てとまった小鳥のように。</p><p>持ってきた品物は完璧だった、濃い緑のへたはまだみずみずしく、ぱっちりふくらんだ実は見るからに新鮮で、よどみのない真っ赤。つんととがった角にもしわや傷は全くない。</p><p>値段を聞く前にもう買いたいと思っていた。</p><p>お茶を手渡すと、「とまと売り」はまたぺこりと礼をした。</p><br><p>「いつもこういうふうに…商売をしているのですか？つまり、こんな…この家はずいぶん、ほかからも遠くて…とまとはみんなとても新しいし」</p><p>まとまりのない切り出しに小さきものは自分の顔が赤くなるのを感じた。が、相手は気にしなかったようで、この先の街道に大ほろ馬車がとめてあるのです、と答えた。そこから四方八方に僕のような者が箱に詰めたとまとを持ってちらばります。</p><p>「馬車で、とまとを運んでも、揺れで傷まないものでしょうか」</p><p>ああ、と「とまと売り」は顔をほころばせた。</p><p>「このあたりにはあまりないから、ご覧になったことがないんですね。僕らの里は谷の奥にあるのですけれども、そこから大ほろ馬車で運んでくるのは、収穫したとまとの実ではなくて、とまとの木そのものなんです」</p><p>小さきものは、ぽかんと口を開けてしまった。</p>
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<link>https://ameblo.jp/hekikagenkun/entry-10042261224.html</link>
<pubDate>Sun, 05 Aug 2007 12:24:10 +0900</pubDate>
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<title>朝の時間</title>
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<![CDATA[ <p>読み始めた本を閉じるきりのよいところが見つからなくて、結局最後まで読んでしまったら、</p><p>もう朝といったほうがいい時刻になっていた。</p><p>眠るのが面倒くさくなった。</p><p>起きていると決めたら、動いたほうが目が覚めると思い、家を掃除した。</p><p>念を入れて二回床を拭いたら、二度目はほとんど埃がとれなかった。</p><p>それでもまだ空は、真っ青というよりも明け方の白に近い色。</p><br><p>簡単な食事をつくって食べた。</p><p>満腹になっては、と少なめにして、意識してゆっくり噛んだ。</p><p>皿が空になり、それを洗い、布巾で拭いて棚に戻す。</p><p>すべてを丁寧におこなって、期待をこめて</p><p>時計を見る。</p><br><p>まだ朝。</p><br><p>ぼんやりとながら、心がくじける。</p><br><p>仕事はないだろうか。</p><p>やらなくてはならないこと。有意義なこと。</p><p>時間が飛ぶように感じられるほどの重大事。</p><p>いま片づけておくと後でほっとできるような些細だけれども肝心な何か。</p><p>何か。</p><br><p>小さきものは家の中心に立ってぐるりと見回した。</p><p>そんなものは何もない。</p><br><p>本を読むには目が疲れすぎている。</p><p>パンを焼くのは、どうだろう。</p><p>粉を計り、水を計り、とくに精密にイーストと糖みつを計る。腕まくりしてすべてを混ぜ合わせ、一心不乱にこねていれば、あっという間に…</p><p>一瞬とてもいい考えとみえたが、昨日の午後早くに焼いたものがまだ残っているのを思い出した。</p><p>新しいパンがいつもの倍あったとして、小さきものの胃ぶくろが倍になりはしない。</p><p>食べきるまえにカビがはえてしまうだろう。</p><p>明けやらぬ空気はまだ涼しさが残っているが、今日もきっと暑くなるのだろうから、</p><p>昼や夜に食べるぶんをいま料理してしまうのも、なんとなく心配だ。</p><p>こんな、</p><p>朝たまたま時間があるからといって無駄なことをして、無駄を出すなんて</p><p>馬鹿だもの。</p><br><p>ほんとうにすることがないのか、</p><p>小さきものは物足りなさに焦るような、ちょっと心外なような、落ち着かない気持ちになる。</p><br><p>椅子に座って、また立ってみる。</p><p>時間はなかなか過ぎていかない。</p><br><p>外へ出て散歩をしようか。</p><p>しかし、昨日の夕方もずいぶん湿気が濃いと思ったっけ。ということは、歩きたいような野原や川原や林の縁は、いま朝霧でたっぷり潤されているに違いない。</p><p>足を濡らして風邪をひいたら。</p><p>この酷暑の時季に、熱を出して寝込むのがどんなにつらいか。</p><br><p>とりあえず淹れたお茶をすすり、小さきものはあくびをかみころした。</p><p>あたためたチーズみたいに、時間がどこまでもどこまでも長く伸びるような気がする。</p><p>時計をもう何度みただろう。</p><p>長い針はじりじりと慎重。短い針は、ぴくりともしていないのではないか。</p><p>以前、きまった場所へきまった時刻までに移動する生活をしていたころは、出かけるために急いでいた毎朝の時間が湯に入れた上等の砂糖よりも速く、溶けていくと思われたのに。</p><p>そこで小さきものはつと立ち上がり、</p><p>寝台の下から櫃のひとつを引き出して蓋をあける。</p><p>中身をとりだして食堂にもどった。</p><br><p>鳥の声が聞こえ始めた。</p><p>テーブルに出してきて広げた昔のスケッチブックや、新聞の切り抜き、カード、おぼえておきたかった言葉や歌詞のメモ、備忘録、スケジュールやお金の出入りを記録した手帳、勉強につかっていた冊子やノート…</p><p>小さきものは、しばし眺めてふりかえっていた、以前の自分が過ごしていたあわただしい時間を思い出させる、そういったものたちのその上に頭をのせて、</p><br><p>いまや静かな寝息をたてている。</p><br><p>なにものにも邪魔されることなく。</p>
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<link>https://ameblo.jp/hekikagenkun/entry-10040653654.html</link>
<pubDate>Sun, 22 Jul 2007 05:27:56 +0900</pubDate>
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<title>手紙</title>
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<![CDATA[ <p>すべて戸棚をひっかきまわすところから始まる。</p><p>テーブルに広げられた候補のなかから、季節や目的にあった色と、絵と、模様のものを選ぶ。</p><p>いつだってぴったりだこれで決まり、というものは見つからなくて、これか、こっちか、またはこれか。</p><p>ペンの色は黒か青か濃紺か薄青か。書ける線の細さ太さはどうする。メッセージの性質によってかえなければならない。涼しげで繊細なのか、大きくて絵画的なのか。</p><p>封をするにはシール、それとも封緘紙、糊とばってんで済ませることもある。</p><br><p>材料が決まったら、今回は選に漏れた封筒や便せんやカードやらをまとめて端に重ねる。</p><p>場所をあけて、汚れが付着しないよう気をつけながら、</p><p>慎重に紙を置く。</p><p>キャップをはずすときから少し手が震える。</p><p>目をつぶって、</p><p>書き出しを思い浮かべる。</p><br><p>最初に、名前を。</p><p>礼儀正しくよそよそしい呼び方でその名を書く。</p><br><p>時候のこと。</p><br><p>健康状態をたずねる。</p><br><p>お祝いの言葉。</p><br><p>締めくくりは途方に暮れる。</p><p>再会があると思っているような言葉にしていいのか。それを読んで眉をひそめる受け取り手の顔が目に浮かぶ。未練がましい態度。疎ましい。</p><p>これで最後にでもなるような、断ち切れる言葉で結ぶのがいいのか。</p><p>それで、読んだ人はすっきりするのだろうか。少し戸惑うのだろうか。</p><p>ならばよしと思うのだろうか。</p><p>あるいは、何もないのか。</p><br><p>出来上がった手紙を読み返すと、</p><p>あまりにも短くて、簡潔で、字の連なりからは何も伝わってこないくらいかちかちである。</p><p>小さきものは自分の手蹟を何度もなぞって、うんざりする。</p><br><p>近くに行きたい。でも行けない。</p><br><p>これ以上遠くへ去られたくない。とうに去っているべきなのに。</p><br><p>気持ちが字のあいだにわだかまっている。</p><p>しかし、その気持ちはひとかけらも相手には伝わらないだろう。読んでも、何もわからないに決まっている。そういうふうに書いたのだから。伝わっていいものではないのだ。</p><p>送りたいのは、</p><p>ただの言葉、何も読み取れない言葉。</p><p>自分の愚かに続く愛情から、守られてあるべき人に、ほかの何ともとりようのない、ただの祝福を。</p><br><p>小さきものは足を引きずるようにして、道の交わるところにあるポストに向かった。</p><p>封につかったウミガメのシールを親指でもう一度押す。</p><p>これを受け取る人は、小さきものと居た頃ウミガメが好きだった。ウミガメの泳いでいる白いシャツを着ていた。笑って。</p><p>いまもウミガメが好きだろうか？</p><p>これを見て、ちょっと嬉しく思うだろうか？</p><br><br><p>どうか、笑顔でありますように。</p><br><br><p>ウミガメはあっけないほど軽やかに、手をはなれ、ポストにすべりこんでいった。ほかの手紙の上に着地した音は、耳を澄ましていたけれど、聞こえなかった。</p><p>小さきものは家に帰った。</p>
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<link>https://ameblo.jp/hekikagenkun/entry-10039955459.html</link>
<pubDate>Sun, 15 Jul 2007 21:32:48 +0900</pubDate>
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<title>ウェット</title>
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<![CDATA[ <p>吐く息が熱い。</p><p>肌の上に、もやりと熱が積もっている。</p><p>寝ても、起きても、椅子に座っても、</p><p>自分の体が触れたところに熱の溜まりができる。</p><p>髪の下で襟足が茹だる。</p><p>汗が、しずくになって滑り落ちるのを、茫然と追うだけの時間。</p><br><p>小さきものは夏が嫌いではない。太陽も嫌いではない。</p><p>湿気さえも、嫌っているというほどではない。</p><br><p>ただ、三日、四日とつづけて一緒に居られるものではないと思うのだ。</p><br><p>もう一週間ちかくである。</p><br><p>日にあててよく乾かした寝具はそのまま乾いている。</p><p>あまりの暑さに寝床で横になる気がせず、台所の椅子にかけたまま机につっぷしてうとうとし、朝を迎えるような日がつづいているからだ。</p><p>体のなかに侵入した熱が、芯のあたりにとぐろをまいて、出て行かない。ぐったりしてしまう。</p><br><p>胸元がかゆくて、鏡を見ると</p><p>あせもができていた。</p><p>赤く盛り上った小さな丘。</p><br><p>腕も脚も重たく、極力控え目なのにもかかわらず、すべての小さな動きから熱が生まれていく。自分を構成している水が、いまや危険なほどの高温を保っているのではないだろうか。</p><br><p>皿を洗って戸棚にしまう。</p><p>本を開く。</p><p>買い物を書きとめておく。</p><p>歩く。</p><p>ぼんやりとする。</p><br><p>ふとした合間にも気がつくと、あせもに指先がとまっている。子どもではないから、引っ掻かないけれども。</p><br><br><br><p>いま泣いたら涙もさぞ熱いだろう。</p><p>拭う指と頬の間にも熱が溜まるだろう。</p><p>考え事が方向性をなくすほど暑いこの季節、とくに体が慣れるまでの半月ほど。小さきものは自分が蒸発していく姿をいつも想像する。音もなく、一時間もかからないで、背中をまるめてむせび泣いているうちにかたちのなくなるさまを。</p><br><p>蒸し暑い、本格的な夏の始まりに、体が得る感覚は、</p><p>とてもよく似ているのだ。</p><br><p>防ぎようもなく侵入してくる。</p><p>体の中心で凝る。逃がせない。逃げられない。何をしても。</p><p>茫然として、重たくて、何もできない。何をしても。</p><p>消耗しきって短く眠る。</p><br><p>最初の「喪失」の始まりに得たそれと。</p>
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<link>https://ameblo.jp/hekikagenkun/entry-10038311466.html</link>
<pubDate>Sat, 30 Jun 2007 16:35:11 +0900</pubDate>
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<title>ドライ</title>
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<![CDATA[ <p>湿気の多くなる時期をまえに、まだ寒い日のために出してあった厚い生地の服や寝具を、風にあててからしまい込む日。朝起きたらすかんと晴れていたので、そう決めた。</p><br><p>自分も入れるくらい大きな籐のかごで外に運び出し、</p><p>ひとつひとつふるって埃を落す。小さきものしか暮らしていない家のどこにこれほど埃がうまれるのか、いつも不思議に思うけれど、飛ばした埃がたちまちどこかにまぎれてしまうのも不思議だ。家の中以外には何故たまらないんだろう？</p><br><p>一息ついて、オレンジとヨーグルトの香りがするお茶を淹れた。</p><p>熱い飲み物が汗を誘う。</p><p>窓のむこうで毛布がはためいている。少し、はためきすぎるくらい。</p><p>布が、風に吹かれてできるドレープは</p><p>小さきものがわけもなく心から愛しているもののひとつだが、そのためだけに物干し台がたおれても、今日のはたらきを無にしてもいいかと言われると、さすがにためらう。どうしよう。日差しの具合は良いのに。</p><br><p>ものを干すとはらはらしどおしだ。</p><br><p>小さきものの祖母にそう言ったら、笑われただろう。祖母はお天気と付き合うのが上手な、昔のひとだった。おてんとうさまのいちばん良い光線を使い、無理を決してせず、なんでもぱっきりと干し上げてしまった。そして、干している間も別の仕事をかたづけていて、ちょくちょく様子を見ずにいられないなんてことはなかった。</p><br><p>気持ち次第で、極端に小心か大雑把かになりがちなかれを、祖母は心配していたものだ。</p><p>もっと、丁度良く相手に任せて、丁度良く自分で引き受けるってことをおぼえなさい、と。</p><p>洗ったものを干すんでもいっしょ、食べ物を干すのもいっしょ、きのこでも、果実でも、海のものでも山のものでも。おじいさんの本の頁を虫干しするのだって変わらない。準備を前々からしているとおりにして、あとはお任せすればいいの。ずっと簡単にすすむんだから、と。</p><p>あんたが全部ぜんぶ自分の頭で考えることなんてないのよ。</p><br><p>ひとりで暮すようになってから、ずいぶん経つ。</p><p>たいていのことは、かなりうまくできるようになった。</p><p>けれども、一生かかっても、自分では祖母のように丁度良い塩梅で生きる人にはなれない、と思う。</p><br><p>そう思うと少し泣きたくなる。</p>
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<link>https://ameblo.jp/hekikagenkun/entry-10036865727.html</link>
<pubDate>Sat, 16 Jun 2007 14:39:02 +0900</pubDate>
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