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<title>オリジ小説書き溜め場。</title>
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<description>オリジナル小説男×男を書いています。</description>
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<title>桜</title>
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<![CDATA[ 桜を撮ったら自分の指も入っちゃいましたの図。<br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20100414/17/himajin1925/76/41/j/o0480085410496258075.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20100414/17/himajin1925/76/41/j/t02200391_0480085410496258075.jpg" alt="オリジ小説書き溜め場。-2010041016200000.jpg"></a>
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<pubDate>Wed, 14 Apr 2010 17:49:29 +0900</pubDate>
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<title>91</title>
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<![CDATA[ <p>　その後、智久と誠は口論になって、結局距離を置くことになる。</p><p>　もどかしかった。智久は、もやもやとしたその期間を振り返る。</p><p>　会えない時間はもどかしくて、苦しかったのだ。どうしてこんなに苦しかったのだろう。</p><p>　そしたら、義明から誠が困っていると話があった。いてもたってもいられず、智久は誠の元に走り出した。</p><p>　誠を誰にも奪われたくなかった。</p><p>　困ってるのならなおさらのこと、救い出してやりたかった。</p><p>　そこで、男と口論になり、男から誠を引き剥がした。</p><p>　それから、放心状態の誠に告白をされた。</p><p>　義明に状況を説明したら、そこに居合わせた菊乃にまで、愛しているのね、と言われる。</p><p>　愛している。そのことに気付くのが遅すぎただろうか。</p><p>　そうか。俺は誠を愛している。</p><p>「俺も、愛してるよ」</p><p>「うそ」</p><p>　智久が言う台詞に、苦笑して言葉を放つ誠。</p><p>「昨夜は、ああ言ったけど、俺はお前を愛してるんだと思う」</p><p>　ああ、そうだ、と、思った。なんだか、胸につかえていたものが、すーっと、とれていくような、清清しいような気持ちになった。</p><p>　俺は、好きだったんだ。誠のこと。</p><p>　その気持ちに気付かなかっただけで、きちんと、愛していたのか、と。</p><p>　ただ、大切なおもちゃを取られたくない子供のように駄々をこねているだけだと、自分の行動を見て思っていた。だが、そうじゃなかったんだ。</p><p>　笑顔を見て、気恥ずかしいと思ったのも、もっと見ていたいと思ったのも、好きだったからなんだ。</p><p>「あいしてる、か。恥ずかしいな」</p><p>「…」</p><p>「好きだ、の方が性に合うわ」</p><p>「…うそ」</p><p>「好きだよ、誠」</p><p>「…まさか」</p><p>「本当だよ」</p><p>「…」</p><p>「だから、あのおっさんの所には行くな」</p><p>「…」</p><p>「俺がお前を守るから」</p><p>「…」</p><p>「好きだって言って貰えないとうなずけない憶病なお前も、いつも笑顔をふりまくお前も、ひどく後ろ向きなお前も、全部ひっくるめて、好きだから」</p><p>　智久は一気に言葉にした。これが全てだった。</p><p>　誠は短く返事をした。</p><p>「…はい」</p><p>　やっと、想いが伝わった。</p><p>　二人は晴れて恋人同士になれたわけだ。</p><p>　ここまで長かった。</p><p>　二人はもっと長い時間を共有するのだろう。</p><p>　二人はお互いの顔を見合わせて、もう一度、触れるだけのキスをした。</p><br><br><br><p>end</p><br>
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<pubDate>Tue, 12 Jan 2010 21:52:49 +0900</pubDate>
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<title>90</title>
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<![CDATA[ <p>「けど、智久さんは俺のこと、まだすきかどうか解らないんでしょう？」</p><p>　手に力がこもる。</p><p>　とたんに色々なことを思い出してきた。微笑む誠に目を見張った出会いは、かわいいなどと言われ、その日からモヤモヤとした日々を送り始めた。何度目かに訪れた新年会での事件。誠に助けられ、ゲイだと言う事実を知る。</p><p>　義明に相談して訪れた親睦会と言う名の飲み会で、誠と一緒に遊ぶことになった智久は、映画やビリヤードに付き合ってもらう。その頃から、誠の笑顔に胸が疼いていた。展望台では顔の近さに驚いたり、偶然出会った街角では変な呼び名で呼ばれたり。その時に、本命の存在を知った。</p><p>　その本命が自分だったなんて、予想もしていなかったことだった。けれど、当時は相手の解らないその本命の存在が明らかになって、智久は嫉妬したのだった。</p><p>　誠が喫煙者と知った後日、アビッソで早番の誠を待ち伏せしたりもした。智久が酔い潰れ嘔吐した時に、誠が傍にいてくれたこともあった。そのときは、その優しさに勘違いするなんて、言ったっけ、と。</p><p>　勘違い、してもいいんです―――</p><p>　誠の台詞に驚いたりもした。本当、いまとなれば、だ。</p><p>　歌う誠に魅せられもした。あの時の歌をもう一度聞かせて欲しい。</p><p>　その時も思っていた。誠に愛されてみたい、と。胸が痛み、まさか俺は。そんなまさかだ、と思っていた。</p><p>　認めたくなかった。触れたいと思うこの気持ちを。</p><p>　やられてる、とそう思った。</p><p>　ライブに買い物。そう、ここでは誠の友人たちに偶然会ったものだった。そんな彼らにも嫉妬していた智久。嫉妬…。誠がゲイだとばれたかと思った、あの時は焦った。</p><p>　誠を独り占めしたいと考え、付き合えたらと思った夜。</p><p>　確実に期待していたんだ。誠に。</p><p>　なのに、俺を抱いてなどと軽率な言葉を口にもした。あの夜は、単純な興味だけだった。誠は智久を愛すことが出来るのか。なのに、誠が本気になって拒絶するから、意地になって、抱いてくれと繰り返した。</p><p>　あいつ見てると、あくせくしたり、ムラムラしたり、胸がおかしくなったり―――</p><p>　そんなことも叫んだ。</p><p>　義明からの電話の返答は、</p><p>　それが好きだって気持ちに気付かないわけ？</p><p>　智久はこのとき既に、誠のことが好きだったのだ。当時、智久にその自覚はなかった。</p><p>　けど、今は違う。このモヤモヤとした気持ちが嘘じゃないなら、智久は思う。これが好きだという気持ちなんだと。</p>
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<link>https://ameblo.jp/himajin1925/entry-10432091852.html</link>
<pubDate>Mon, 11 Jan 2010 20:25:19 +0900</pubDate>
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<title>89</title>
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<![CDATA[ <p>　所詮、すきかわからない、幼稚な俺じゃ、認めてもらえないのだ。</p><p>　ここでこうしている間に、誠は何を考えているのだろう。</p><p>　まさか、もう、やめようなんて思ってないだろうな。</p><p>　まさか、俺から離れようなんて思ってないだろうな。</p><p>　まさか、あの男のところに行ってしまう気なんじゃないだろうな。</p><p>　それだけは、それだけは許せない。</p><p>　智久は突然、むくっと起き上がって、ベッドから降りた。</p><p>　そして、智久は突発的に座っていた誠をなぎ倒して、上に乗っかる。</p><p>「うわっ」と誠は悲鳴を上げたが、馬乗りになって見下ろしている智久の顔を見て、「な、なんです…？」</p><p>と聞いた。</p><p>「サイテーだよな」</p><p>と、智久は言う。視線をそらして、</p><p>「本当は、付き合ってからしたかった」</p><p>と、そう言って、そのまま誠に覆い被さった。</p><p>　突然のことに、誠は目を見開いたまま、智久の唇を受け取った。それは、唇どうしが触れるだけの拙いキスで。</p><p>　顔を起こす智久。それを凝視している誠。</p><p>　顔が赤い智久と、間近で視線がぶつかった。</p><p>　誠は智久の肩に首に腕を回した。そして、もう一度、智久の顔が下りてきて、ふと目を閉じた誠。</p><p>　深い、深くて長いキスをした。舌を絡め、歯列をなぞり、貪るような。</p><p>　それからしばらく、二人は身体を抱き合わせたままだった。</p><p>　全身に熱を帯びている。熱い。けれど、何もしちゃいない。</p><p>　このまま、俺たちは離れるのか。</p><p>　突発的に動いて、誠の願いを叶えたものの、本当に誠は俺を試していたのか、解らなくなってしまった。と、智久は、誠の温もりを感じながら思うのだ。</p><p>　俺たちは付き合ってはいない。その事実は変わらない。</p><p>　だから、もう一度声をかけてみたのだ。</p><p>「誠」</p><p>「はい」</p><p>「俺たち、付き合おう」</p><p>　答えはイエスかノーか。</p><p>　結局話し合いにはなってないが、想いをすべて伝えたというわけでもないが、言いたいことはこれに限った。</p><p>「俺は、智久さんのこと愛してますよ」</p><p>「…うん」</p>
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<link>https://ameblo.jp/himajin1925/entry-10431342666.html</link>
<pubDate>Sun, 10 Jan 2010 21:43:47 +0900</pubDate>
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<title>88</title>
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<![CDATA[ <p>「キスしてください」</p><p>と、唐突に言う誠。</p><p>　その言葉に仰天したのは言うまでもない。</p><p>「き、きききききす？！」</p><p>　話し合いをするはずだった。</p><p>　義明が帰り、コンビニに行って帰ってきても、二人、話を始めるきっかけがつかめず、とりあえず、シャワーを、と、二人各々が浴びて出てきた。</p><p>　部屋。</p><p>　誠はベッドを背にして座っていた。体育座りしていた。</p><p>　智久はベッドの上にいた。壁を背にして足を投げ出し座っていた。</p><p>「お、おま、お前、それで俺を試そうってのか？！」</p><p>　智久は思わずそう叫んだ。</p><p>　明らかに狼狽していた。</p><p>　その姿を振り向いて見ていた誠は、やっぱり、と溜め息をついた。</p><p>　付き合う覚悟があると言った、智久を試したことになる。誠は後悔した。</p><p>　ベッドの上でわたわたしている智久だったが、しばらく経つと冷静になって、ああ、これは誠が試したことことで正しいんだな、と理解した。</p><p>　俺は付き合う覚悟があると言った。その付き合う覚悟って何だろう？</p><p>　たぶん、付き合う覚悟ってやつを問われたんだろう、そう思った。</p><p>　沈黙が二人の間を阻む。</p><p>　考える時間が惜しかった。</p><p>「俺は、お前の出す課題に合格したくて、お前に付き合ってくれって言ったんじゃねぇよ」</p><p>と智久は言った。</p><p>「お前に俺のこと認めて欲しいから言ったんだ」</p><p>　誠はそのままの姿勢でその言葉を聞いている。</p><p>　考えずにはいられない。</p><p>　本当は、冷静に考える時間が俺には必要だった。と思う智久。</p><p>　たぶん、今、何を言っても、伝わらないと思うのだ。付き合うことの意味も、これからのことももっと考えたかった。</p><p>　煮え切らないまま、話し合いになることを恐れ、とりあえず、時間を稼いでいたのだった。そんな俺の気持ちを察したのか、誠は突然、変化球を打ってきた。</p><p>　黙ったままの誠に何を言っても伝わらない。</p><p>　ここからだと、誠の後頭部と肩口しか見えない。</p>
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<link>https://ameblo.jp/himajin1925/entry-10430691721.html</link>
<pubDate>Sat, 09 Jan 2010 23:37:29 +0900</pubDate>
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<title>87</title>
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<![CDATA[ <p>　これで、智久には外の会話が聞こえない。</p><p>　手持ち無沙汰になった智久は、使ったテーブルを拭き、その後は、二人の後ろ姿を眺めていた。あ、本当に煙草を吸っている。そんな誠を見たのは初めてだ。</p><p>　しばらくして、部屋に二人が笑いながら戻ってくる。</p><p>「ありがとな、智久。一服できたわ」</p><p>と、義明が言う。</p><p>「何話したんだ？」</p><p>「ま、ちょっとな」</p><p>「ちょっとって」</p><p>「気にすんな。大したことじゃねぇよ」</p><p>　義明はけんもほろろ。</p><p>　智久は、妙にさっぱりした表情の誠の方が気になった。が、</p><p>「誠、今夜も泊まるんだろ？」と言う義明の質問に、</p><p>「あ、はい。智久さんがよければ泊まろうかな、と思ってます」</p><p>と言う誠。</p><p>「いいですよね？」</p><p>と、誠に聞かれると、</p><p>「おう。構わんよ」</p><p>と、躊躇なく答えた。</p><p>「コンビニで下着買ってくる？今のままだと不快じゃね？」</p><p>「あ、そうですね。そしたらワックスも買ってきたいです」</p><p>と言って、智久と一緒にコンビニに行くことになった。一緒に義明も来ると思ったが、</p><p>「じゃあ、俺はこれで」</p><p>と、簡易コンロを持って義明自身の部屋に戻ってしまった。</p><p>「なんだよ。あいつも泊まっていいのにな」</p><p>と、智久は笑いながら言うが、誠は「えっ」とむしろ、不思議そうに智久を見ている。</p><p>「義明さんがいたら、話し合えませんよ」</p><p>「あ、そうか。それもそうだな」</p><p>　気を使ってくれたんだな、と義明に感謝するや否や、「えっ」と驚いたのは、智久だ。</p><p>「話し合い、すんの？」</p><p>「智久さんが言ったんですよ」</p><p>　そうだけど、と智久は戸惑う。</p><p>　そうだけど、今夜話し合うのか。どうしよう。自分で言いながら、整理のつかない頭をもたげて、困っている。こっけいだ。そう思った。</p>
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<link>https://ameblo.jp/himajin1925/entry-10429831911.html</link>
<pubDate>Fri, 08 Jan 2010 21:27:53 +0900</pubDate>
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<title>86</title>
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<![CDATA[ <p>　遠慮がちに誠が、「顔洗っていいですか？」と聞くので、「いいよ」と軽く承諾する智久。</p><p>　すると、コンコンと扉をノックする音が。</p><p>「おーい。頼まれたコンロ、持ってきたぞ」</p><p>　義明の声だ。</p><p>「さんきゅー」</p><p>　扉を開く智久。洗面台から戻る誠を見。</p><p>「さー、鍋しようぜ」</p><p>　三人で鍋を囲む。</p><p>　そして、鍋を三人で堪能した。</p><p>「あー、腹いっぱい。もう食えねぇ」</p><p>と、義明が腹を叩く。</p><p>「久しぶりにこんなに食べました。ありがとうございました」</p><p>と、誠も満足そうだ。</p><p>「よかったよ。二人とも満足してくれたみたいで」</p><p>　片付けるか、と誰ともなく口にして、片付けを始めると、誠が率先して皿洗いなどをしてくれた。</p><p>「窓開けるぞー？」</p><p>　義明の声で、窓が全開に。冷たい外気が部屋の中を巡ったようだ。</p><p>「さびっ」</p><p>　智久が悲鳴を上げる。</p><p>「誠ー、皿洗いが終わったら煙草でも吸おうぜ」</p><p>「えっ、いいんですか？」</p><p>「いいよ。ここベランダあるし」</p><p>　義明が応じる。</p><p>　ガシャガシャと皿洗いを終わらせると、</p><p>「智久さん、いいんですか？煙草、吸っても…」</p><p>と、誠は恐る恐る聞いたのだ。</p><p>「えっ、いいよ。構わんさ」</p><p>と、智久は快く許した。</p><p>「空き缶、あるか？智久」</p><p>「空き缶？」</p><p>「灰皿代わりに使うんだよ」</p><p>「あぁ、それなら。ほい、これ」</p><p>と、コーヒーの空き缶を渡す。と、あー寒いなぁ、と言いながら、誠の手をとって、二人でベランダに出てしまい、ついでに窓を閉められた。</p>
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<link>https://ameblo.jp/himajin1925/entry-10429091471.html</link>
<pubDate>Thu, 07 Jan 2010 21:29:45 +0900</pubDate>
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<title>85</title>
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<![CDATA[ <p>　鍵は、開いてる…！</p><p>　ドアノブに手をかけて智久は思った。</p><p>「ただいまー」</p><p>と、声をかける。</p><p>　開けた扉、扉の奥は、真っ暗だ。</p><p>「誠？」</p><p>と、もう一度、智久は声をかけた。一瞬、いないのかと思った。まさか…</p><p>　暗い部屋の中で何かが動く、それは包まった毛布から顔を出した誠の姿だった。</p><p>「ともひささん…」と、言い、目を擦ると、はっとして、飛び起きた。何時間寝ていたんだ？！</p><p>「すみません、俺、今まで、寝てたなんて…！」</p><p>と、部屋の奥から叫ぶ誠に、</p><p>「あーあーいいよいいよ、そのままで。電気俺がつけるから」</p><p>と、言うか言わないか、電気をつけた。</p><p>　明るい中に映る、智久の両手には買い物袋がぶら下がっている。</p><p>　重そうに鞄と買い物袋を置くと、</p><p>「約束してただろ、鍋」と言い、智久は扉を閉めた。「すぐに簡易コンロ持ってきてもらえるからさ」</p><p>「持ってきてもらえる？どなたかいらっしゃるんですか？」</p><p>と、誠は眉を顰めた。</p><p>「義明だよ。心配すんなー？」</p><p>「義明さん？」</p><p>「そう。言い忘れてたけど、ここ、社宅なんだよ。だから、義明もここに住んでてさ」</p><p>「そうだったんですか…」</p><p>「ごめんな。今夜義明も居ていいか？」</p><p>「ええ、構いません」</p><p>　構いませんと言いながらも、毛布から出てくる誠。</p><p>「朝から寝てたの？」</p><p>「そうみたいです」</p><p>と、赤面する誠。恥ずかしい。せめて帰ってくる頃には起きておけばよかった。</p><p>「随分寝れたんだな。よかった」</p><p>　誠の心配をよそに、智久は満足気だ。</p><p>「毛布をベッドの上に乗せて、テーブルをもうちょっと手前に引き寄せてくれよ」</p><p>　智久は誠に指示を出す。</p><p>「はい」</p><p>と、誠は従順だ。</p><p>　毛布をたたんで、ベッドの上に乗せると、小さな折り畳み式のテーブル誠が寝ていたあたりに持ってくる。</p>
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<link>https://ameblo.jp/himajin1925/entry-10427720371.html</link>
<pubDate>Wed, 06 Jan 2010 00:21:57 +0900</pubDate>
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<title>84</title>
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<![CDATA[ <p>　昨夜は、智久の毛布を借りたが、眠れず。智久の香りに包まれて、幸せな心地がしたといえば、嘘はない。幸せだったが、眠れなかった。</p><p>　朝になれば、夢は覚める。</p><p>　そう、付き合う覚悟があると言った智久の台詞も、全部遠い夢になる。そう思っていた。</p><p>　それが、どうだ。今日は仕事を休んで、ここにいろと言う。</p><p>　智久はどんな話がしたいというのだろう。</p><p>　昨夜話した言葉で十分ではないか。</p><p>　もう、何を話せばいいというのか。</p><p>　とりあえず、仕事を休むよう、シフトの代わりは頼んだ。それから？</p><p>　これからどうしよう。智久が帰るまでの時間だ。一体、何時に帰ってくるのか。それすらも解らない。</p><p>　鍋を食べよう、と言っていたか。それまでは、とりあえず、惰眠を貪るか。</p><p>　ベッドを使ってもいいと言っていた。そんな、申し訳がない。昨夜借りた毛布を、床から拾い上げた。そして、周囲を見回す。</p><p>　きれいな部屋だと思う。部屋に入って右手には、ベッドと、勉強机のような机の上にテレビとノートパソコンが載っていた。左手には小さな本棚と、背の低いテーブルが置いてある。左手手前には携帯の充電器が無造作に置いてあり、テーブル手前で昨夜は寝たのだった。</p><p>　昨夜寝ていた床にごろん、と横になった。毛布に包まれて。</p><p>　智久の匂いがすると思ったのは、今も同じ。</p><p>　本当にこんなことしていていいのか。解らない。解らないが、言われた通り、睡眠をとることにする。</p><p>　そういえば、シャワーを浴びた後に、ぺったんこになった髪の毛を見て、智久が言っていた。</p><p>「あ、普通になったな」</p><p>　普通。いつもの髪型は普通じゃないのか。自分なりに自然にセットしているつもりだったが、智久には不評だったのか。</p><p>　それは哀しいな、と思う。</p><p>　智久に気にいって貰えるような自分にならないと、好きになってもらえないと思う。</p><p>　誠は目を閉じた。</p><p>　脳裏に浮かぶのは、智久の顔だ。いつも、むくれたような、仏頂面で対応する彼。その表情も意地を張っているのだと思っていた。真剣な表情を見た昨夜。抱き込まれた頭。</p><p>　嬉しかった。</p><p>　だから、もっと夢を見たいと思った。</p><p>　誠は、それこそ沈み込むように眠りへと落ちていったのだった。</p>
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<link>https://ameblo.jp/himajin1925/entry-10427648510.html</link>
<pubDate>Tue, 05 Jan 2010 23:00:54 +0900</pubDate>
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<title>83</title>
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<![CDATA[ <p>　一方、誠はと言えば、智久の部屋で途方に暮れていた。</p><p>　今夜は昨夜と同様、仕事があった。その仕事を休んで、ここにいろと言う智久。その言葉は正直嬉しかった。戸惑ったが、嬉しかったのだ。</p><p>　付き合う覚悟はあると言った昨夜の告白、とても嬉しかった。けれど、すきかどうかは解らないと言った。それは、この関係が成立しないことを意味していた。</p><p>　別に、すきか解らなくたって、これから好きになってもらえればそれでいいとも思える。けれど、不安だった。付き合っていくうちに、自分のすきだという気持ちが重くなりすぎて、相手に負担になるのではないか。ましてや、智久は男と付き合うのは初めてだろう。男同士と言う現実を突きつけられた時に、その戸惑いや、不安に対応しきれるだろうか。</p><p>　勇政に電話をした。</p><p>　何度目かのコール音。勇政が電話に出た。</p><p>「なんだよ、こんな朝早くに…」</p><p>「すまん、今夜のシフト、代わってもらえない？」</p><p>「なんだ、お前、初めてじゃないか？シフト代わってくれなんて」</p><p>「たぶん。お願いできるかな？」</p><p>「あぁ、構わないぞ。何曜日とかわってくれるんだ？」</p><p>「月曜日が俺休みになってるんだけど、月曜出勤だろ？」</p><p>「ああ。じゃ、月曜と交代な。いいぜ」</p><p>「ありがとう」</p><p>「ちなみに、何時だ？」</p><p>「遅番。9時からなんだけど…」</p><p>「あぁ。いいぜ。まぁ、なんだ。理由は聞かないでおくよ」</p><p>「そうして欲しい」</p><p>「随分しおらしいな。お前らしくもない」</p><p>「そうかな？なんか悪いな。無理言って」</p><p>「そうでもないさ。まぁ、仕事が出来る範囲で壊れてくれ」</p><p>「壊れる…そうだな、そうするよ」</p><p>「じゃあな。無理すんなよ」</p><p>「そうする。じゃあ」</p><p>　電話を切る。</p><p>　仕事が出来る範囲で壊れる、なんて、初めて言われたことだ。</p><p>　迂闊にも昨夜は泣いてしまったし、不眠で目は充血し、ウサギの目みたいになっている。こんな状況でさすがに仕事には出られなかった。</p>
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<link>https://ameblo.jp/himajin1925/entry-10426795409.html</link>
<pubDate>Mon, 04 Jan 2010 21:17:00 +0900</pubDate>
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