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<title>hinkakiのブログ</title>
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<title>平敷屋朝敏の貧家記：前文</title>
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<![CDATA[ <p>平敷屋朝敏についてはWikipediaをご覧になってください。琉球の歌人であり文学者です。組踊の「手水の縁」は彼の作品です。文章力においては玉城朝薫を超えています。たくさんの琉歌も残しました。興味のあるかたはアメブロの「琉歌集」をご覧になってください。貧家記は和文で書かれています。彼は和文学に造詣がありました。「かれこれさけ」という表現が見えます。これは「土佐日記」に出てくる独特な表現です。在原業平という実名が出てきます。「伊勢物語」第九段のエピソードが登場します。彼は革命家でした。時の権力者に抗議して琉球王国を実質的に支配していた薩摩藩の在番所に３度投げ文をして結局磔（はりつけ）の刑となりました。この「貧家記」は首里を追われ勝連の平敷屋に都落ちしていくところから始まっています。平敷屋での生活の様子もえがかれています。とても貴重な本です。当時の沖縄の風俗・習慣がよくわかります。彼は当時の士族としてはめずらしい考えを持っていました。封建制度に疑問をもっていたのです。その反面士族としてのプライドは捨てきれませんでした。私の推測ですが彼は現在でいえばHSPであったようです。ものの見方が繊細です。身分の低い人たちに対するやさしさがにじみでています。子供たちに対してもそうです。現代語訳を読めばそれがよくわかります。だからこそ当時の琉球王国の現状に危機感を持っていたのです。彼は沖縄の吉田松陰であり三島由紀夫でした。われわれはこのような人物が沖縄にいたことを誇りに思うべきです。この本はそのすばらしさにもかかわらず図書館・古本屋・デジタルアーカイブスに埋もれた状態です。もったいないかぎりですので現代語になおしてアメブロで公開することにしました。出来るだけ多くのかたに読んでいただければと心から思います。ちなみに彼はイケメンでプレイボーイだったようです。後半にそれが書かれています。「貧家記」は琉球文学大系に収録されています。興味のわいたかたはこちらもご覧になってください。原文は玉栄清良氏の「平敷屋朝敏の文学」からそのまま転写しました。現代語訳はデータが破損したため最初から書き直しました。以上です。</p><p>&nbsp;</p><p>追記　うるま市勝連平敷屋の人たちが平敷屋朝敏を見直すきっかけになれば幸いです。</p><p>&nbsp;</p><p>追追記　「世界の文学：琉球語訳」アメブロにしました。「琉球語訳」で検索できます。よろしければ。</p><p>&nbsp;</p><p>追追追記　「琉球語の詩」アメブロにしました。よろしければ読んでみてください。</p><p>&nbsp;</p><p>なお追記　「英語の詩集」アメブロにしました。よろしければ読んでみてください。日本語訳だけでも充分詩的です。</p>
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<link>https://ameblo.jp/hinkaki/entry-12967610781.html</link>
<pubDate>Thu, 28 May 2026 23:31:42 +0900</pubDate>
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<title>平敷屋朝敏の貧家記：原文</title>
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<![CDATA[ <p>貧家記：原文</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　１</p><p>&nbsp;</p><p>　まづしうなりきて調度（てうど）やうのものさへ人の物となさしめ、今はゐなかへこそとそのいそぎをするにもあはれなることおほかり。しはすそれの日のあけぼのに都を出（い）で、小那覇（おなは）といふ所よりふなです。道すがら景気（けいき）おほかれどめもつかず。たゞかへる浪のみうち眺められてうらやましくもとよみ給ひけん業平（なりひら）の君（きみ）のむかしぞおぼゆる。船子（ふなこ）ども、おもふことなげに物（もの）いひわらひ歌などうたふもあり。白き鳥の波に遊ぶ。かれはなにぞとへば鴎（かもめ）とこたふ。都鳥（みやこどり）とこたへざらめやとなまごころつきなし。</p><p>　かかるほどに俄（にはか）に浪のあれて船もくつがへらんとす。人々あきれて舟子（ふなこ）どもあわてまどへり。きよめしてちぶりの神にねんずるに、しばらく有りてしづまりぬ。人々よろこぶ事ふたつなし。舟子ども又ほこりつゝこぎゆくにとりのとき、おもふ浦につきにけり。</p><p>　兼ねてことどもたのめおきし人むかへにとて舟まで酒などもてきたる。残らず見ゆる海のあれてあやふがりしことなどかたれば手を打ちてこれたゞ神佛（かみほとけ）のたすけ給へるなりけりとよろこびて、いはひの盃（さかづき）くみかはす。かくてさとへあがりてすむべき所にいたりぬ。</p><p>　かこひもなき所に、ちいさき庵（いほり）のあやしげなるひとつむすべり。なにのしつらひもなくあか棚（だな）とかまどとのみし置きたり。すだれなどはさすがにあれどあらあらしうゐなかびたり。</p><p>　かゝるひとつ屋につま子などあまたつどひてひざをだにのべんかたなく、わびしけれど、すまばすまれざらめやとよろづをしのびつゝあるに、猶（なほ）家のせばきはたへがたくて火たき屋（や）をべちに作りてかまどなどうつしたればすこしくつろぐやににぞなりにける。よろこびてよめる</p><p>&nbsp;</p><p>けふよりはひざのべやすくいねつべしまたこの外になにをもとめん</p><p>&nbsp;</p><p>おもへば玉（たま）の屋（や）も膝（ひざ）をいるるばかりなん。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２</p><p>&nbsp;</p><p>としあらたまりて元日（ぐわんじつ）まづ都ぞ思ひやらるる。いろいろのがくの声（こゑ）雲井（くもゐ）をひゞかすもきくやうなるに上（うへ）のあかきみけし奉りて高（たか）みくらにつとめなきさまにおはしますをみ子上達部（かんだちめ）殿上（てんじょう）地下人（ぢげにん）まできざみきざみのよそほひにて拝賀（はいが）し奉るも見るここちす。</p><p>　三日、けふは三（み）ケ寺（でら）の行幸（みゆき）上達部（かんだちめ）の馬（うま）くらのかざりをはじめ、うへはじめの御（おん）よそほひかどの長（をさ）のもたるあかきしもとまで俤（おもかげ）にみゆ。池上院（ちじやうゐん）の松原（まつばら）などにみゆき拝（をが）むとてあつまり居（ゐ）たらんも見るこゝちす。</p><p>　七日にもおもひやることおほかり。十五日にもおなじくおほかり。</p><p>　すべて折（をり）にふれ事（こと）にしたがひて都のみ恋（こひ）しく、ひなは物（もの）うくわびしければ、いかで此の物うさしばしわすれんと野辺（のべ）にいでて遊ぶ。草わかやかに萌えいでてかすみのたてるなどそこはかとなくものをかしげにしづの女（め）どもうちむれてすみれつくしやうのものつみぬるもをかしくて、われもつむとて</p><p>&nbsp;</p><p>春はたゞつむやすみれの花がたみめ馴（な）れぬひともそでをまじへて</p><p>&nbsp;</p><p>うみのかたをみやればうらうらとなぎて釣船（つりぶね）おほくうかべり。</p><p>&nbsp;</p><p>春の来てなみしづかなる海辺（うみべ）には一葉（ひとは）のうへもあやふきはなし</p><p>　</p><p>かくもわびしき折には野辺にいで、うみに遊びてなむ心やりける。あすなといふ所にて</p><p>&nbsp;</p><p>入日（いりひ）さすまつばらちかくみつしほのあすながさきのあすもきてみむ</p><p>&nbsp;</p><p>はま崎（さき）といふところにて</p><p>&nbsp;</p><p>　浜崎（はまさき）やむれゐてあそぶ白鷺（しらさぎ）のいろもひとつに清き真砂地（ま　　</p><p>　すなぢ）</p><p>&nbsp;</p><p>そのころあけぼのゝ空ながめて</p><p>&nbsp;</p><p>このころの朧月夜（おぼろづきよ）のあけぼのにいづこのたれかこころなからん</p><p>&nbsp;</p><p>家（いへ）とうじども野辺（のべ）にいでゝ、わらびなどをとりてかへりければ、あつものにしてよからむなどたはぶれて</p><p>&nbsp;</p><p>かざしくる花にもまさるつとやこのうらめづらしくをれる早蕨（さわらび）</p><p>&nbsp;</p><p>つま木（ぎ）とるかた山ざとの賤（しづ）の女（め）もはるはさくらの花かづらして</p><p>　</p><p>薪（たきぎ）まではとらぬをおもなくもいひくたし給（たま）ふかなと笑（わら）ふもあり。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　３</p><p>&nbsp;</p><p>其のころよるの雨のものしづかに打ちふるに、人は寝たるにひとり枕（まくら）をそば立（だ）てて閑（しづ）かにきくに感情（かんじやう）かぎりなし</p><p>&nbsp;</p><p>糸竹（いとたけ）も軒（のき）の雫（しづく）にきゝこめてこころすむ夜（よ）の雨</p><p>の手枕（たまくら）</p><p>&nbsp;</p><p>墓（はか）に埋（うも）れぬる心にだにかやうなれば、ましてろざんのいにしへにいかにきゝけんかし。</p><p>おなじころひとのもとより春の鳥といふことをよみておこせとありければ、よみてやりける。</p><p>&nbsp;</p><p>かしこしな都の春になどきては身しりぞきぬる谷のうぐひす</p><p>　</p><p>四月八日にもなりぬ。都には灌仏（くわんぶつ）拝（をが）むとて円覚禅寺（ゑんかくぜんじ）・四天王寺（してんわうじ）などは人さはがしからむなどいひ居たるに十計（とをばか）りなる女のわらはのからいもといふ物にてちいさき仏をけづりて是（これ）釈迦（しゃか）ほとけぞをがみたまへ、そゝぎ奉れとて水をかけけるをたはぶれながらおもしろくおぼえて見ゐたるに、こゝのつばかりなるをのこわらはのそれはしやかにはあらず赤子（あかご）にこそといひければ、をかしくなりて人々わらひぬ。ある人たはぶれて</p><p>&nbsp;</p><p>法（のり）のしのとをつ親（おや）ともおもほへでたゞいはけなきみどり子（ご）な</p><p>れば</p><p>　</p><p>其のころ人のもとにて、是（これ）かれさけなどたうべてあそぶに、めでたきいちごのいとあかうきよらなるをいだしければ、是に歌をよめ、さてなんくふべきなど人々いひければ此のわび人よめる</p><p>&nbsp;</p><p>紅（くれなゐ）のこぞめのむめの花とみてさながらたゞやもてあそばまし</p><p>&nbsp;</p><p>此の人きたなげにやせしなびたれど都にありしものとて、人はたゞあなづらず。さてなんかゝるえせ歌（うた）をもはゞからず読めりける。</p><p>　五月四日になりぬ。さて都には舟（ふな）くらべ見むとてたかきもいやしきも那覇（なは）へくだらんかし。都ならばまろらもみてまし物（もの）をとわらはどもくちをしければ、げにをさなきもののみものには此の舟（ふな）くらべにしくはあらじと心ぐるしければ絵（ゑ）などあたへてなぐさめつ。秋の山田（やまだ）に雁（かり）のあさるをかいたる所にかいつけける。</p><p>&nbsp;</p><p>数（かず）ならぬわれをたのむのかりの子のよをわびしらになくぞかなしき</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　４</p><p>&nbsp;</p><p>五日、けふはあやめのせちなれどあやめもなし。</p><p>&nbsp;</p><p>けふといへどあやめなければ玉（たま）の緒（を）のながきねがひをなににかけまし</p><p>&nbsp;</p><p>猶（なほ）求めさせければ真菰（まこも）といふものをぞもてきたる。</p><p>&nbsp;</p><p>もとめたるあやめの草はさもあらであらぬまこもぞ引かれきにける</p><p>&nbsp;</p><p>其のころほたるを見て</p><p>&nbsp;</p><p>数（かず）ならぬ身（み）をもいとはで袖（そで）ちかくなれくるほたるあはれなる</p><p>ぞや</p><p>　</p><p>水無月（みなづき）のころいみじうあつきに農夫（のうふ）のわざをみて</p><p>　　</p><p>　　あはれそのはたうちかへすせなかより流るゝあせや滝（たき）つしら波（なみ）</p><p>&nbsp;</p><p>ただいまかれの身にならばいかばかりかはくるしかるらん。まづしけれど我（われ）は安楽（あんらく）の人なりけり。さて手（て）づから植（う）ゑし夕がほのさけるをみて</p><p>&nbsp;</p><p>　わが人（びと）のうゑても花はよろこびのまゆをひらくる軒（のき）の夕（ゆふ）がほ</p><p>&nbsp;</p><p>とながむる折（をり）しもある人とぶらひきていひけらく、是はさせることなき花なれど歌人（うたびと）のもてなさるるとや、そはいつのころよりもてあそびそめけんといひける返事（かへし）に</p><p>&nbsp;</p><p>　玉ほこにほのみしよりや夕がほの花に数（かず）そう露（つゆ）のことの葉（は）</p><p>&nbsp;</p><p>其のころせみの終日（ひねもす）なくをききて</p><p>&nbsp;</p><p>　むなしきを心ともせぬおろかさのたぐひによをやうつせみにこゑ</p><p>&nbsp;</p><p>秋のはじめつかた</p><p>&nbsp;</p><p>　おとかはる萩（はぎ）のはかぜにおどろきぬことしも半ば夢（ゆめ）にすごして</p><p>&nbsp;</p><p>たなばたに</p><p>&nbsp;</p><p>　としごとにあひみてもなほかささぎのわたす一夜（ひとよ）や夢（ゆめ）のうきはし</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　５</p><p>&nbsp;</p><p>盆（ぼん）に亡父（ばうふ）のたままつる。なにかのこといとなむにも都ならばと思ふ事おほかり。まして八月十五夜（じふごや）おもひやることおほかり。</p><p>　</p><p>　あたらよの月を袖（そで）にぞくもらするみやこしのばぬこころともがな</p><p>&nbsp;</p><p>十七日、月おもしろきにさそはれて勝連（かつれん）の古城（こじゃう）までいたりぬ。あさぢがはらとあれはてて、虫の音（ね）繁（しげ）く、露寒（つゆさむ）し。そのかみは金玉（きんぎょく）の殿閣（でんかく）つらなりて糸竹（いとたけ）をしらべ、いかにおもしろかりけんと思ふに、このよは夢の心地（ここち）してあはれなるをりから松風（まつかぜ）物（もの）すごく音（おと）するをききて</p><p>&nbsp;</p><p>　いにしへをしのぶることの音にたてて哀（あはれ）もふかきよるの松風（まつかぜ）</p><p>&nbsp;</p><p>かへりくる道にて</p><p>&nbsp;</p><p>　ふくる夜の月の萩原（はぎはら）そよさらにさびしくすめる秋風（あきかぜ）のこゑ</p><p>&nbsp;</p><p>西原（にしはら）の里（さと）をくるに人はみなしづまりぬ。</p><p>&nbsp;</p><p>　月（つき）更（ふ）くる里（さと）をわたれば竹の葉にかぜのものいふこゑばかりして</p><p>&nbsp;</p><p>その頃問（と）ひける人たえて淋しきに、ひとのもとよりいかがして物する、訪（と）ひまゐる人の侍（はべ）るやと問（と）ひける返事（かへし）に</p><p>&nbsp;</p><p>　柴（しば）の戸（と）や軒（のき）ばになびく萩（はぎ）のはに風の情（なさ）けをき　　</p><p>　くばかりにて</p><p>&nbsp;</p><p>ものさびしき夕つがた人の許（もと）へ</p><p>&nbsp;</p><p>　思ひやれうき身のきけばいつとても秋のひびきのあきの夕風（ゆふかぜ）</p><p>&nbsp;</p><p>九月九日都なる人の許へ便（たより）につけてやりける。</p><p>&nbsp;</p><p>　あまざかるひなのまがきに独（ひとり）摘む菊はいろかもなき心地（ここち）して</p><p>&nbsp;</p><p>　けふとぞとて菊をうかぶるさかづきも友なき人はくまぬまされる</p><p>&nbsp;</p><p>其の頃うちまといふ里（さと）をわたるに、野原（のはら）となれる庵（いほり）あり。誰（た）がすみてしあとならんと哀（あはれ）にみる。一本（ひともと）のまつのこだかくしげれるに見し心ちする所よと思ひめぐらせば早うみし人の屋どなりけり。むかし廿日ばかり今すむさとに旅（たび）ゐして侍（はべ）りし時しのびしのび物いひける女（をんな）のうせたるが住（す）みし所なり。其の折（をり）のことどもおもひいでられて哀（あはれ）なれば、しばらくながめて</p><p>&nbsp;</p><p>　ふるさとや一本（ひともと）のまつのそれひとつむかしながらのおもかげにして</p><p>&nbsp;</p><p>尾花（をばな）のなびくも哀におぼえて</p><p>&nbsp;</p><p>　むかしみしいもの垣ねをすぎゆけばまねく尾ばなのそでもなつかし</p><p>&nbsp;</p><p>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　</p><p>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　６</p><p>&nbsp;</p><p>おなじころつる君とて其の里（さと）に旅（たび）ゐするうかれ女（め）となにのかたらふこともなきにとりどり人のいひなすことあるを心うしとてわぶるよし人のかたるをききて、その遊女のもとへ</p><p>&nbsp;</p><p>　なつかしき君ゆゑきたるぬれ衣（ぎぬ）はなかなかほさんことぞをしけき</p><p>&nbsp;</p><p>ふるさとにかへるとききて</p><p>&nbsp;</p><p>　行く人の袖（そで）の上にもわけてみよとまるなみだのつゆのあはれを</p><p>&nbsp;</p><p>そののちたよりにつけてやりける</p><p>&nbsp;</p><p>　いかなれや夢ばかりなる手枕（たまくら）もかはさぬ中（なか）のわすれがたきは</p><p>&nbsp;</p><p>神無月（かんなづき）の初（はじ）めつかた雨風（あまかぜ）寒（さむ）き夕暮（ゆふぐれ）に</p><p>&nbsp;</p><p>　今よりのよさむをいかがしのぐべき破れしふすまのうらめしのみや</p><p>&nbsp;</p><p>其の頃海辺（かいへん）時雨（しぐれ）を</p><p>&nbsp;</p><p>　風（かぜ）をあらみ舟（ふね）の往来（ゆきき）はたゆる日に時雨（しぐれ）ぞ渡（わ</p><p>　た）るおきつ島山</p><p>&nbsp;</p><p>つきまさの旅亭（りょてい）にて霰（あられ）を</p><p>&nbsp;</p><p>　久方（ひさかた）の天津乙女（あまつをとめ）のかざしよりみだれておつる玉霰（たま</p><p>　あられ）かも</p><p>&nbsp;</p><p>おなじとき想露雪（そうろせつ）</p><p>&nbsp;</p><p>　にほひなき花を薪（たきぎ）に折（を）りそへてかげ見ぬ月にかへる山人（やまびと）</p><p>&nbsp;</p><p>師走（しはす）なかの三日おほやけの御（おん）かへりみをかうむり、物（もの）の司（つかさ）になりて都（みやこ）へのぼるとてものいひける女のもとへ道よりいひやりける</p><p>&nbsp;</p><p>　時を得てかへるにしきの袖（そで）なればうれしさのみをつつむとや思ふ</p><p>&nbsp;</p><p>　　　　　　　　終わり</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/hinkaki/entry-12967601777.html</link>
<pubDate>Thu, 28 May 2026 21:57:30 +0900</pubDate>
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<title>平敷屋朝敏の貧家記：現代語訳</title>
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<![CDATA[ <p>貧家記：現代語訳　　</p><p>&nbsp;</p><p>和歌は原文を掲載して、その下に現代語訳をつけました。</p><p>　　　　　　　</p><p>　　　　　　　　　　　　　１</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>貧しく成ってきて調度のようなものも人のものにさせて、今は田舎へと急いでいるのはいろいろと込み上げてくることが多い。十二月のその日の明け方に首里を出発して小那覇（おなは）というところから船出をする。途中いい景色が多いけれど目に入らない。打ち返す波だけが見えて、うらやましいと思いつつ読んでいる在原業平（ありわらのなりひら）の昔の物語がよみがえってくる。船手たちは思うこともないように話をして歌など歌う人もいる。白い鳥が波で遊んでいる。あれは何かと聞くと鴎（かもめ）だと答える。都鳥（みやこどり）と答えてくれないか期待してしまうのだった。</p><p>こうしているうちに急に波が荒れて船がひっくり返りそうになる。人々はあきれて船手達はあわててしまう。お清めをして海の神様にお願いするとしばらくして静まった。人々はこの上なく喜んだ。船手たちが自慢げにこいでいると午後六時ごろに予定していた港に着いた。</p><p>前々から手配を頼んでおいた人が迎えにと船まで酒などを持って来た。はるかかなたまで見える海が荒れて危ない目にあったことなどを話すと、手を打ってこれはただ神様仏様が助けてくださったのだと喜んで、お祝いの盃をくみかわす。こうして村にたどり着いて住もうとしているところに来たのである。</p><p>囲いもない所に小さい庵（いおり）がもの珍しそうにひとつあった。何の調度品もなく仏壇とかまどだけがあった。すだれなどはさすがにあったが荒れ果てて田舎くさかった。</p><p>このような一軒家に妻と子がたくさん集まって膝さえも伸ばすことが出来ずに、わびしいけれども住もうと思えば住めるものだとすべてを耐えていると、それでも家の狭いのは耐えがたく、火をたく場所を別に作ってかまどなどを移したので少しくつろげるようになった。喜んで詠んだ歌は　</p><p>&nbsp;</p><p>　けふよりはひざのべやすくいねつべしまたこの外になにをもとめん&nbsp;</p><p>　〇今日からは膝をのばして寝ることができる。このほかに何を願うことがあろうか。</p><p>&nbsp;</p><p>思うに宝石のような家も膝を伸ばすことができる。　</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>年があらたまった元日にまず思うことは首里のことである。いろいろな楽器の音が雲を響かすのを聞くようで、国王が赤い衣装を着て玉座にさっそうとしていらっしゃるのを王子や三司官・表十五人やその他の人々が位階に合わせた衣装を着て、国王に拝謁するさまを見るような心もちである。</p><p>　三日、今日は三ケ寺に国王が御幸である。三司管・十五人の衆の馬の鞍（くら）の飾りをはじめ、正月初めの衣装、すみの者が持っている赤い鞭（むち）までも面影に見えてくる。池上院（ちじょういん）の松原などに行く御幸を拝顔しようとしている人たちが集まっているのが見えるようである。</p><p>　七日のことも思い出すことが多い。十五日のこともまたそうである。</p><p>すべて折にふれ事にしたがって首里のことだけが恋しく、田舎はけだるくわびしいので、どうにかしてこのけだるさを少しのあいだ忘れようとして野原に出て遊ぶ。草々がわかわかしく萌えいでて霞が立ち込めているのが何ともいえず興味ぶかく、身分の低い女の人達が集まって菫（すみれ）や土筆（つくし）のようなものを摘んでいるのも楽しそうで、私も摘もうと思って</p><p>　</p><p>　春はたゞつむやすみれの花がたみめ馴（な）れぬひともそでをまじへて</p><p>　〇春はひたすらすみれを摘む花籠（はなかご）、見なれないひとも袖をまじえて</p><p>　</p><p>海のほうを見るとうらうらと風もなく、釣り船がたくさん浮かんでいる。</p><p>&nbsp;</p><p>　春の来てなみしづかなる海辺（うみべ）には一葉（ひとは）のうへもあやふきはなし</p><p>　〇春が来て波が静かな海辺には、一つの葉っぱでさえも浮いたままである</p><p>&nbsp;</p><p>このようにわびしい時には野原に出て、海で遊んでこそ心が静まる。あすなという所で</p><p>　</p><p>　入日（いりひ）さすまつばらちかくみつしほのあすながさきのあすもきてみむ　</p><p>　〇入日がさす松原の近く、満ちる潮が浅くなるながさきに明日もきてみよう</p><p>&nbsp;</p><p>浜崎（はまさき）というところで</p><p>&nbsp;</p><p>　浜崎（はまさき）やむれゐてあそぶ白鷺（しらさぎ）のいろもひとつに清き真砂地（ま　　</p><p>　すなぢ）</p><p>　〇浜崎に群れて遊ぶ白鷺（しらさぎ）の色はきれいな砂地と同じ白さ</p><p>　</p><p>そのころ明け方の空をながめて</p><p>　</p><p>　このころの朧月夜（おぼろづきよ）のあけぼのにいづこのたれかこころなからん</p><p>　〇このころ朧月夜（おぼろづきよ）の明け方にどこのだれも心をひかれる</p><p>&nbsp;</p><p>家族と妻が野原に出て、わらびなどを取って帰ると、汁にするといいなどと冗談などを言って</p><p>&nbsp;</p><p>　かざしくる花にもまさるつとやこのうらめづらしくをれる早蕨（さわらび）　</p><p>　〇頭にかざしてくる花よりもまさるのは親子が摘んだ早蕨（さわらび）である</p><p>&nbsp;</p><p>　つま木（ぎ）とるかた山ざとの賤（しづ）の女（め）もはるはさくらの花かづらして</p><p>　〇枝をとる田舎のいやしげな女の人も春には桜の花を頭にさして</p><p>&nbsp;</p><p>薪（たきぎ）まではとらないのに恥ずかしげもなくけなすのですねと笑う人もいた。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　３</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>そのころ夜の雨がもの静かに降っている。人は寝ているのでひとり枕をそばだててしずかに聞いていると込み上げてくるものがかぎりない。</p><p>&nbsp;</p><p>　糸竹（いとたけ）も軒（のき）の雫（しづく）にきゝこめてこころすむ夜（よ）の雨</p><p>　の手枕（たまくら）</p><p>　〇管楽器が軒の雫（しずく）と一緒になって聞こえ、こころが澄んでくる夜の雨の手枕（たまくら）</p><p>&nbsp;</p><p>　墓に埋もれてしまったような心さえこうなのに、まして風光明媚な中国の昔ならどのように聞こえたであろうか。</p><p>&nbsp;</p><p>　同じころある人のもとから春の鳥のことを読んでよこしたので、私も読んでみた。</p><p>&nbsp;</p><p>　かしこしな都の春になどきては身しりぞきぬる谷のうぐひす</p><p>　〇ありがたいことに春の首里からどうして来たのだろう、私の友だち谷のうぐいすは</p><p>&nbsp;</p><p>　四月八日になった。首里では灌仏会（かんぶつえ）を観ようと円覚禅寺（えんかくぜんじ）や四天王寺（してんおうじ）などは人がさわがしいだろうと言っていると、十歳ほどになる女の子がカライモというもので小さい仏をけずり、「これは釈迦仏です拝んでください。そそいでください。」と水をかけながら遊んでいるのがおもしろいと思って見ていた。九歳ほどになる男の子が「それは釈迦ではない。赤ちゃんだ。」と言ったので、おかしくなって人々は笑ってしまった。ある人が冗談で</p><p>&nbsp;</p><p>　法（のり）のしのとをつ親（おや）ともおもほへでたゞいはけなきみどり子（ご）な</p><p>　れば</p><p>　〇法師よ、遠い先祖のような人であるとは知らないのです、ただあどけない子供なのです</p><p>&nbsp;</p><p>そのころある人のところで、あの人この人と酒を飲んで遊ぶと、かわいらしい苺（いちご）</p><p>で赤くてきれいなものを出してきた。「歌を詠んだ人が食べてください」と人々が言ったので、世捨て人の私が詠んだ</p><p>&nbsp;</p><p>　紅（くれなゐ）のこぞめのむめの花とみてさながらたゞやもてあそばまし</p><p>　〇紅（くれない）の小染めの梅の花だと思って、ただ手に持っていじっていたいものだ</p><p>&nbsp;</p><p>　この人はみすぼらしくてやせ衰えてしまったが首里にいた人であると、人々はあなどってはいない。さてこのようなつまらない歌でもはばからずに詠んだのである。</p><p>　五月四日になった。さて首里では船くらべ（ハーリー）を見ようと上下の身分を問わず那覇へとくだる。首里にいたなら私も見たかったと子供たちも残念がっている。ほんとうに幼い子供にとってはこの船くらべにまさるものはないと心ぐるしいので絵などをあたえてなぐさめた。秋の山のたんぼで雁（かり）がえさをあさっている絵にかきつけた。</p><p>&nbsp;</p><p>　数（かず）ならぬわれをたのむのかりの子のよをわびしらになくぞかなしき　</p><p>　〇取るにたりない私をたよりにしている子供たちが世を捨てるということを知らずに</p><p>　泣いているのがかなしい</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　４</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>五月五日、今日は菖蒲（あやめ）の節句だけどあやめがない。</p><p>　</p><p>　けふといへどあやめなければ玉（たま）の緒（を）のながきねがひをなににかけまし</p><p>　〇今日だけどあやめがないのに、長い願いを何にかけたらよいのだろう</p><p>&nbsp;</p><p>それども求めさせたら真菰（まこも）というものを持って来た。</p><p>&nbsp;</p><p>　もとめたるあやめの草はさもあらであらぬまこもぞ引かれきにける</p><p>　〇求めていたあやめの草ではなくて、違った真菰（まこも）を引いて来た</p><p>&nbsp;</p><p>　そのころ蛍（ほたる）を見て</p><p>&nbsp;</p><p>　数（かず）ならぬ身（み）をもいとはで袖（そで）ちかくなれくるほたるあはれなる</p><p>　ぞや</p><p>&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;〇取るに足りない身をかまわずに袖の近くに寄って来る蛍（ほたる）がいとしい</p><p>&nbsp;</p><p>　六月のころ、とても暑いので農夫の仕事を見て</p><p>&nbsp;</p><p>　あはれそのはたうちかへすせなかより流るゝあせや滝（たき）つしら波（なみ）</p><p>　〇かわいそうに、畑を耕すその背中から流れる汗は滝の白波のようである</p><p>　　</p><p>　今はかれの代わりになったほうがよほど楽である。貧しいけれど私は安楽の身分なのだ。さて自分で植えた夕顔が咲いているの　　を見て</p><p>&nbsp;</p><p>　わが人（びと）のうゑても花はよろこびのまゆをひらくる軒（のき）の夕（ゆふ）がほ</p><p>　〇私のような人が植えても花は喜んで、はれやかな表情の軒の下の夕顔である</p><p>&nbsp;</p><p>ながめている折にある人が訪ねて来て言った。これはそのような花ではないが歌人がとり上げるのか、それはいつごろから歌の題材になったのかと言って返す歌</p><p>&nbsp;</p><p>　玉ほこにほのみしよりや夕がほの花に数（かず）そう露（つゆ）のことの葉（は）</p><p>　〇ほのかに見える夕顔の花、露のように数を添える言葉である。</p><p>&nbsp;</p><p>　そのころ、蝉（せみ）が一日中鳴いているのを聞いて</p><p>&nbsp;</p><p>　むなしきを心ともせぬおろかさのたぐひによをやうつせみにこゑ</p><p>　〇むなしい世の中である、蝉（せみ）の鳴き声のように世の中を打つことができたらなあ</p><p>　</p><p>　秋のはじめごろである</p><p>&nbsp;</p><p>　おとかはる萩（はぎ）のはかぜにおどろきぬことしも半ば夢（ゆめ）にすごして</p><p>　〇音の変わった萩を吹く風に驚かされる、ことしもほとんど夢のようであった</p><p>　</p><p>　七夕（たなばた）に</p><p>&nbsp;</p><p>　としごとにあひみてもなほかささぎのわたす一夜（ひとよ）や夢（ゆめ）のうきはし</p><p>　〇としごとに見てもなお鵲（かささぎ）が渡すという一夜の夢の浮橋（うきはし）</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　５</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>　お盆に亡き父の霊をまつる。なにをするにも首里であったならばと思うことが多い。まして八月の十五夜は思うことが多い。</p><p>&nbsp;</p><p>　あたらよの月を袖（そで）にぞくもらするみやこしのばぬこころともがな</p><p>　〇もったいない夜の月を袖でおおって首里をしのぶこころなのである。</p><p>　</p><p>　八月十七日、月がすばらしいのにさそわれて勝連の古城まで来てしまった。浅茅が原のように荒れ果てて、虫の音がたくさんであり、季節はずれの寒さである。この上には金色に輝く建物がつらなり管弦のしらべがとてもすばらしいだろうと期待すると、それは夢であったようで松風がものすごい音をたてるのを聞いて</p><p>&nbsp;</p><p>　いにしへをしのぶることの音にたてて哀（あはれ）もふかきよるの松風（まつかぜ）</p><p>　〇昔をしのんでいると音をたてて寂しさがつのる夜の松風である　</p><p>&nbsp;</p><p>　帰りの道で</p><p>&nbsp;</p><p>　ふくる夜の月の萩原（はぎはら）そよさらにさびしくすめる秋風（あきかぜ）のこゑ</p><p>　〇ふける夜の月の萩原、さらに寂しく澄んでいる秋風の声</p><p>　</p><p>　西原の里に来ると人はみな寝静まっていた。</p><p>&nbsp;</p><p>　月（つき）更（ふ）くる里（さと）をわたれば竹の葉にかぜのものいふこゑばかりして</p><p>　〇月が更ける里を通ると、竹の葉に風が吹く音ばかりがする</p><p>　</p><p>　そのころ訪ねて来る人がいなくなって寂しいので、ある人から、どうしているか訪ねて来る人がいるかと尋ねられた返事に</p><p>&nbsp;</p><p>　柴（しば）の戸（と）や軒（のき）ばになびく萩（はぎ）のはに風の情（なさ）けをき　　</p><p>　くばかりにて</p><p>　〇粗末な戸よ、軒端になびく萩の葉に風の情けを聞くばかりである</p><p>　</p><p>　ものさびしい夕方、人のところへ</p><p>&nbsp;</p><p>　思ひやれうき身のきけばいつとても秋のひびきのあきの夕風（ゆふかぜ）</p><p>　〇思い出してくれ、むなしい私が聞けばいつであってもさびしい秋の夕風である</p><p>　</p><p>　九月九日、首里の人への便りにつける。</p><p>&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;</p><p>　あまざかるひなのまがきに独（ひとり）摘む菊はいろかもなき心地（ここち）して</p><p>　〇田舎の真垣にひとりで摘む菊は色もかおりもしないような気がする</p><p>　</p><p>　けふとぞとて菊をうかぶるさかづきも友なき人はくまぬまされる</p><p>　〇今日だと思って菊を浮かべる盃は友のいない私には飲まないほうがましだ</p><p>　</p><p>　そのころ、内間（うちま）という里を通ると、野原となった庵（いおり）がある。誰が住んだあとなのだろうとかわいそうに見る。一本の松が小高く茂っているので見たような気がする。思い出してみると以前にあきてしまった女の家であった。昔二十日ばかり今住んでいるところに旅をした時にしのんでいって口説いた女である。その女はなくなってしまった。その時のことが思い出されてかわいそうなことをしたとしばらくながめて</p><p>&nbsp;</p><p>　ふるさとや一本（ひともと）のまつのそれひとつむかしながらのおもかげにして</p><p>　〇ふるさとの一本の松、ただそれだけが昔を思いださせてくれる</p><p>&nbsp;</p><p>　薄（すすき）の穂がなびくのが寂しくて</p><p>&nbsp;</p><p>　むかしみしいもの垣ねをすぎゆけばまねく尾ばなのそでもなつかし</p><p>　〇昔見た葛（かずら）の垣根を過ぎて行くと萩の葉が袖にふれてなつかしい</p><p>　</p><p>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　</p><p>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　６</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>　同じころツルといってその里に旅をしている遊女を口説いたことはないのに、なんやかやと人が話題にする。それがかなしくてつらいという人がいるので、その遊女のところに</p><p>&nbsp;</p><p>　なつかしき君ゆゑきたるぬれ衣（ぎぬ）はなかなかほさんことぞをしけき</p><p>　〇君をなつかしく思って着ている衣はなかなか乾くことができずにいる、君のために私は濡れ衣をきているのだ</p><p>　</p><p>　ふるさとに帰ると聞いて</p><p>&nbsp;</p><p>　行く人の袖（そで）の上にもわけてみよとまるなみだのつゆのあはれを</p><p>　〇旅立つ人の袖にも分けてあげたい、とどまる私の露の涙を</p><p>&nbsp;</p><p>　そののち便りといっしょに</p><p>&nbsp;</p><p>　いかなれや夢ばかりなる手枕（たまくら）もかはさぬ中（なか）のわすれがたきは</p><p>　〇どうしてだろう、ただの夢の手枕（たまくら）なのに、いっしょに寝たわけではないのにわすれがたいのである</p><p>　</p><p>　十月のはじめのとき、雨風の寒い夕暮れに</p><p>&nbsp;</p><p>　今よりのよさむをいかがしのぐべき破れしふすまのうらめしのみや</p><p>　〇今からの夜の寒さをどのように耐えようか、破れた夜具をうらむばかりである</p><p>&nbsp;</p><p>　そのころ、海辺の時雨（しぐれ）を</p><p>&nbsp;</p><p>　風（かぜ）をあらみ舟（ふね）の往来（ゆきき）はたゆる日に時雨（しぐれ）ぞ渡（わ</p><p>　た）るおきつ島山</p><p>　〇風が荒くて船の往来の絶えた日に、時雨だけが渡って行く沖の島山</p><p>　</p><p>　月がうつくしい旅亭にて霰（あられ）を</p><p>&nbsp;</p><p>　久方（ひさかた）の天津乙女（あまつをとめ）のかざしよりみだれておつる玉霰（たま</p><p>　あられ）かも</p><p>　〇天女の頭の飾りから乱れ落ちた宝石のような霰（あられ）かもしれない</p><p>　</p><p>　同じときに、露と雪を思って　</p><p>&nbsp;</p><p>　にほひなき花を薪（たきぎ）に折（を）りそへてかげ見ぬ月にかへる山人（やまびと）</p><p>　〇匂いのない花を薪（たきぎ）につけて曇って見えない月のかわりにする山人</p><p>　</p><p>　十二月の中の三日間、国王の御恩にあずかり、ある役職について首里にのぼるという女の人に道端でことづけた</p><p>　</p><p>　時を得てかへるにしきの袖（そで）なればうれしさのみをつつむとや思ふ</p><p>　〇時期を得て錦を飾る袖なのでうれしさのみを包もうと思う</p><p>&nbsp;</p><p>　　　　　　　　終わり</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/hinkaki/entry-12967601067.html</link>
<pubDate>Thu, 28 May 2026 21:50:16 +0900</pubDate>
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