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<title>【横浜、藤沢、逗子で相続遺言】ほむにこ相談室の少しだけ読みたくなるブログ</title>
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<description>ほむにこ相談員の日々の出来事を、おっきな声でひとり言～♪司法書士法人市川事務所運営</description>
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<title>第９回　二匹の駱駝</title>
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砂漠の乾いた砂は足の裏からでも体内の水分を絞りとろうとする。風にさえ慈悲はなく、熱気のうねりが体にまとわりつくだけだ。東の絹と西の物資を運ぶ大陸を貫く交易路。この公路の最難所と呼ばれた道をもう幾度となく往復している年老いた駱駝は、３つの大きな砂漠を超えようやくたどり着いた隊商都市で、膝を折り地面に腹をつけた。頭を垂れた姿は拝んでいるようにも見える。幾度も砂漠を越え人間に使役してきた。この旅で最後にしてほしい―しかし駱駝の願いが人間の耳に届くことは決してない。アラム人の男は倒れこんだ駱駝をみるや、
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<dc:date>2011-08-12T21:44:01+09:00</dc:date>
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<title>第８回　余命宣告・後</title>
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手術室の前では夏子がひとり立ちつくしていた。薄暗い廊下に沈む彼女の白衣は輪郭をなくして背景に溶け込み、幽遠とした雰囲気を漂わせていた。僕らの足音に顔をあげはしたが、表情と呼べそうなものが一切そぎ落とされ、見たこともない形相に、僕は思わず肩を揺さぶった。するとようやく「先生を呼んでくる」といって手術室の扉を開けた。出てきた執刀医は坂本という名で、初めて見る顔だった。幾分白髪の混じった風貌は経験を物語っており、それ自体には安心をおぼえたが、顔に疲労の色が見られないことに恨めしささえ感じた。「腹膜への
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<dc:date>2011-06-14T16:20:10+09:00</dc:date>
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<title>第７回　余命宣告・前</title>
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忌引き休暇の最終日は入院費の支払いに病院まで行った。横浜駅までのＪＲも乗り換えた私鉄も、通勤ラッシュを超えた時間帯でとても快適な車内であったが、駅に降り立つと、朝日とよべる状態から脱しつつある太陽が徐々に真夏の強烈さを増していった。国道をはしる乗用車やバスの排気音にすら熱気を孕んでいる気がする。焦げ付くような足取りで勾配の急な坂道を１５分かけてのぼり、ようやく病院の敷地へたどり着いた。駐車場には真っ赤なベンツが停めてあり、病院の白い壁面を背景に一層暑さをたぎらせて、僕の体中の水分を絞りだすようで
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<dc:date>2011-06-14T16:17:56+09:00</dc:date>
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<title>第６回　８月の蚯蚓</title>
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葬儀が終わった。幾度となく『千の風になって』を聞かされた３日間だった。遺骨と仮位牌を届いたばかりの仏壇に置き、線香の煙の立ち昇る姿を見ると、とりあえずひと段落という気がした。何もかもが新しい。鈴を鳴らす力の加減が分からないのも。白檀の香りが場違いに思えたのも。仏壇も。骨も。そして手続きのことを考えた。そうだ、これから事務手続きをしなければならない。単純に考えて、父名義のものを家族名義に変更する必要があるはずだ。父という人間が存在しないのに、名義だけそのままでいいはずがない。不自然というものだ。脳
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<dc:date>2011-06-05T09:53:45+09:00</dc:date>
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<title>第５回　遺言</title>
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実家に帰り着くと母はすでに眠っていた。僕は部屋の電気はつけず、冷蔵庫の明かりをたよりにミネラルウォーターをひっぱり出した。病院から数時間なにも口につけておらずそのままらっぱ飲みをすると、食道から胃袋へかけて清涼感が這うように染みわたり、足の先まで蘇るようだった。父の書斎の扉をあけると湿気に蒸されたスーツのにおいがした。この部屋はなにも変わっていない。子供の頃から一向に変わる気がしない。いつみてもおんなじだ。その矢先、僕は唯一の変化を認めた。文庫本やら雑誌やらが乱雑に積み上げられた机の片隅、とても
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<title>第４回　言葉</title>
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病院はすでに照明が落とされ静まり返っていた。暗い廊下、硬いソファ、緑色の不気味な非常口灯。父は無言で霊柩車を待つ。眠りにつく病人たちは毎日こんな夜を過ごすのだろうか。隣にすわった看護婦さんとなんとなく話しを始めた。会話とよべるほどのものはない。すぐに消え失せてしまう言葉自体が二人をそこに留まらせていた。彼女は辛抱強くその場にいた。遺族は話を聞いてもらいたいわけではないことを知っていたのだろう。　霊柩車が到着すると看護婦さんから死亡診断書を渡された。「葬儀場の人にわたして。それまでは棺の上に置いて
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<title>第３回　予約</title>
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葬儀場は父が亡くなる数日前に見つけていた。家から近いところ、綺麗なところ、それから比較的予約日程に幅をもたせてくれるところが条件だった。葬儀と言うのは僧侶の都合に左右される。葬儀場がいくつもあるのに対し、坊主は選べない。それで医者に「いつ亡くなってもおかしくない」と言われたときに探しはじめていた。僕は特定の信仰があるわけではなく、仏教だってひとつの宗教だとの認識がある。正直お経なんてなくたっていい。しかし葬儀は家族の問題といえた。全てを考慮し、ここなら父のことを任せられるところに「予約」した。ま
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<title>第２回　雨はいつ止む</title>
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病気は６月のはじめに発覚した。胆のうガンである。すぐに二俣川にある国立ガンセンターに入院し、僕も毎週病室にかよった。 そこでの父は元気に見えた。入院という非日常に辟易しているようではあったが、死との距離はかたくなに保っている。一日中ベッドに横たわっていても、趣味である日本刀関連の本を読んでいる姿はいつもとかわらない。元気になって会社に行く姿を、家族みんなが思いえがくことができた。  霊安室に入ったとき、今まで父の担当だった看護婦さんが手を合わせてくれているところだった。父に対しても僕たち家族にた
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<title>第１回　夕立</title>
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雨粒が地面にぶつかり花が咲くように飛沫する。横殴りの風はビルの外壁を濡らした。運河に落ちたものは、川面の水と弾け合った。ひとつ、またひとつ。次第に激しさを増す雨粒は、そんな具合にいたるところを染めていった。２００７年７月２８日。日中、容赦なく熱を発した太陽は、薄い雨雲にさえぎられながらも、街路樹の影をいっそう長くして、今ようやく沈もうとしていた。そしてこの日最後の陽光が、地面に、運河に、また人々の傘の上に打ちつけられて砕かれた雨しぶきを反射させ、関内の町を白く浮かび上がらせた。 人々は、天候の急
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<title>第０回　序</title>
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僕は父をなくしています。それから４年たちました。残された人間がどういう気持ちになり、そんな中で何をしなければならないのか、今振り返り書き残そうと思います。相続を間近に控えている方、悲しくも迎えてしまった方にとって、何かのプラスになればいいと思います。
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