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<title>ユウタの小説ブログ</title>
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<description>小説を書いています。コメント等頂ければ幸いです。</description>
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<title>影9</title>
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<![CDATA[ 目を覚ますと大助が菓子を食べていた。何があったのかよくわからなかったが、だんだんと記憶が甦る。<br>駐輪場に行き、誰かに殴られた所まで思い出して肌が粟立った。<br>そうだ。俺は襲われたのだ。<br>後頭部に手をやる。腫れてはいないようだ。だが、鈍い痛みが残っている。<br>身体を起こすと、テレビを見ていた大助が目を覚ましたことに気付いた。<br>「よー。大丈夫か？」<br>間延びした声で話し掛けてくる。さっきのことは夢だったのかと思うが、頭痛の説明がつかない。<br>「たぶん大丈夫だけど、今の状況を説明して欲しいな。」<br>わかったという調子で菓子から手を離し、向き直る。<br>「悪かった大和。こんなことになるとは思わなかった。」<br>申し訳なさそうな顔でこんな台詞を言う大助が不自然で、如何に自分達が異常な事態に陥っているかを肌で感じた。<br>「俺は殴られたんだよな？」<br>「よくわからない。大和が気を失ったのは俺より前なんだな？」<br>質問を質問で返されて嫌になるが、大助が言ってる意味がわからない。<br>「何言ってるんだ？お前が俺を助けたんじゃないのか？」<br>俺は殴られて気を失った。大助が俺を守って部屋まで運んでくれたと想像していた。<br>「いーから気を失ったとき俺は起きてたのか教えてくれ。それから話す。」<br>大助の真剣な表情に気圧される。<br>「俺が殴られたとき、お前はまだ前で歩いてた筈だ。」<br>大助の顔が強張る。<br>「そーか。最悪だな。」<br>状況が把握できない。ただ最悪だという言葉だけが耳に残る。<br>「説明しろよ。」<br>大助がわかったと頷く。<br>「まず、俺も気を失ってた。大和が殴られたのには気付かなかった。」<br>「気付かなかった？じゃそのままお前も殴られたのか？」<br>「俺は殴られてない。後ろから首を絞められた。たぶんそのまま落ちた。」<br>大助が言い終わった後に「死ぬかと思った」と呟いた。<br>その言葉を聞いてこれがいつもの冗談では無いと悟った。<br>「犯人は見たのか？」<br>ダメ元で聞いてみた。<br>「後ろからいきなりだったからよくわからなかった。」<br>「だろうな。じゃあ駐輪場にいた奴は関係無かったんだな。」<br>俺達が張り込んでいた人物は前にいたし、駐輪場から去っていったのを追いかけている最中に襲われたのを思い出した。<br>「確信はねーけど、無関係じゃないと思うぜ。」<br>「なんでだよ？」<br>「俺が最初にどっちが先に意識を失ったか聞いただろ？」<br>そういえば中々の剣幕で聞いてきたな。<br>「最初、お前が俺を介抱してくれたのかと思ったんだ。」<br>「もっとちゃんと説明してくれよ。」<br>何が言いたいのかわからない。<br>「一応確認するけど、大和は気を失ってから今まで意識は無かったんだよな？」<br>「ああ。それがなんか関係あるのか？」<br>「落ち着いて聞いてくれよ。」<br>大助が一拍置いて続ける。<br>「俺が意識を取り戻したとき、大和の部屋にいた。もちろん大和も。」<br>嫌な予感がした。確かに最悪だ。<br>「じゃあ、二人とも気を失って先に回復したお前が俺を部屋まで運んでくれたんじゃないってことか？」<br>頷く大助を見て、全身に悪寒が走る。さっきまでの恐怖とは別物だ。<br>「俺達を襲った犯人がここまで運んだ？」<br>大助の話を聞いて出た結論を大助に言う。自分で話している最中も肌が粟立っている。<br>「駐輪場に俺達以外は犯人しかいない。」<br>大助が言う。<br>その通りだ。仮に第三者が意識を失った俺達を介抱してくれたとして、何も言わずに立ち去るのは考えにくい。<br>つまり、犯人が俺達二人を抱えて自分の部屋に足を踏み入れたのだ。<br>俺の顔を見て、部屋がわかったとなるとこのマンションの住人だろう。<br>部屋を見回す。まだこの部屋に犯人が潜んでいるかもしれない。<br>「部屋の中は確認して、戸締まりもしてるから安心してくれ。」<br>大助が申し訳なさそうに言う。俺の忠告を無視して招いた事態に、罪悪感を感じているのだろう。<br>一通り盗られたものが無いかを確認した。特に無くなったものは無いようだ。<br>「お菓子を盗られなくて良かったな。」<br>無理をして冗談を言ってみた。大助と二人で少し笑ったが、表情は強張っていた。<br>バラエティ番組を写しているテレビの笑い声が虚しかった。<br><br>「さっきの話だけど、俺達二人を運ぶのに一人では荷が重いってことか？」<br>駐輪場にいた人物もグルだと主張した大助の話を思い出して問う。<br>「それもあるし、自分の仲間がつけられてるでも無い限り、いきなり人を襲うとは思えないだろ？」<br>確かに、駐輪場にいるだけの人間をいきなり襲う奴はいないだろう。何かを見られたと勘違いしたのだろうか。<br>それにしたって、自転車への悪戯程度の事で暴力行為を働くだろうか。<br>頭のおかしい奴の考えることはわからない。<br>「それからこれが机の上に置いてあった。」<br>大助がA4サイズの紙を取り出す。真剣な顔でこちらを見ている。<br>「犯人自ら複数いると言ってるわけか」<br>大助の取り出した紙を見て、軽口を叩いてみたが悪寒は消えることは無かった。<br><br><br>「俺達に関わるな」<br>A4用紙にこう書かれた文字は、エレベーターに書かれた文字とよく似ていた。<br><br><br><br><br><br><br>Android携帯からの投稿
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<link>https://ameblo.jp/j236/entry-11514920442.html</link>
<pubDate>Tue, 16 Apr 2013 20:26:00 +0900</pubDate>
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<title>影8</title>
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<![CDATA[ 自分が先導して下に降りた。このまま邪魔になる状態で自転車を停めていれば、犯人を逆上させてしまう気がしたからだ。これでも駄目か、なら次はこうだという発想が生まれる可能性もある。<br>エレベーターで降っている最中、大助が例の文字を真剣に見つめていた。こいつなりの正義感なのかもしれないが、巻き込まれるのはごめんだ。頼むから何も起こらないでくれよ。<br>一階に着き、駐輪場に向かう。後ろから大助が付いてくる。駐輪場に付くと人目であれが大助の自転車だとわかった。<br>「やりすぎだ。」<br>邪魔というか、通り道をほとんど塞いでしまっている。<br>「アピールは大きくないと。」<br>いつもの調子で大助が言う。無視して自転車を正しい位置に停める。<br>「大和ちゃん何やってんだよー。」<br>「直してんだよ。見てわかれ。」<br>流石に今日は苛ついてしまう。いつにも増して悪ふざけが過ぎている。<br>「待った待った。このまま少し様子みよーぜ。」<br>大助が自転車のサドルを掴んで制す。負けじとサドルを握りしめる。<br>「いい加減にしろよ。」<br>真剣な顔で大助に警告する。流石に大助も悪いと感じたのか顔が少しひきつった。<br>「気になるだろー。30分だけ様子みよーぜ。」<br>本当に子供だ。自分の興味のみで動いている。流石に付き合いきれないな。<br>「なら一人でやれよ。」<br>本当は止めてほしいが、こいつを止めるのは骨が折れそうだ。それに大助はここに住んでいる訳ではないから、目をつけられても大丈夫だろう。もちろん俺が巻き込まれる可能性はあるが、昨日の今日で再犯するとも思えないし、俺自身は部屋にいれば大丈夫だろう。<br>「いやいや。大助がいないと意味ないじゃん。犯人来てもここの住人かすらわかんねぇんだから。」<br>「確かにそうだが、頭のおかしい奴に付け狙われたくないんだよ。大体どこで見張っとくつもりなんだお前は？」<br>「お任せあれ。すでに下見しております隊長。」<br>ふざけた口調で、駐輪場の隅にある物置を指差す。<br>恐らく、大家が使用している物置だろう。二人くらいなら入れるだろうが、鍵が閉まってるに決まっている。<br>「あの中に入るつもりか？」<br>「違う違う。とりあえず行って見よーぜ。そしたらわかるから。」<br>大助が物置目指して悠然と歩き始める。溜め息を漏らしながらあとに続く。こいつには押し売りだとかそういう類いの商売の才能があるに違いない。<br>「ほら。どう？このベストプレイス。」<br>物置の前まで来た大助が、物置と塀の隙間を指して言う。<br>「小学生のかくれんぼでも使わないな。」<br>大人１人が入れるような隙間だ。縦に並べば何とか二人入れなくもないが、後ろになれば仮に犯人が来たとしても何も見えないだろう。<br>「侮るなかれ。この隙間には驚きのシステムがあるのだ。」<br>下らないことを言う大助を見ながら、そうですか。頼むから早く帰りましょうよ大助さんと思う。<br>「大和の顔が割れないように、俺が前になって、監視する。怪しい奴が来たら、大和が顔を確認するという二段構えなのだ。」<br>「絶対に後付けだ。」<br>こいつはただ隙間に挟まりたいのだ。<br>その時、駐輪場の方から足音が聞こえた。<br>「もしかして？」<br>大助が駐輪場の方を見ながらにやける。ただ出かけるだけのここの住人に決まっていると思うが、やはり少し気になってしまう。心臓が高鳴っているのを感じる。<br>駐輪場の方を見てると、前から強い衝撃を受けた。二発、三発と大助が俺の胸を両手で強く押しているのだ。抵抗虚しく、例の隙間に押し込められてしまった。続けて大助が隙間に入り込んでくる。<br>人差し指を口元に当てて、静かにというジェスチャーをする。これでこいつの思い通りになってしまった。<br>駐輪場に誰かが現れたという緊張よりも隙間に押し込められた憤りが上回ってしまった。<br><br>自転車の鍵を開けるような音が聞こえてくる。<br>大助が顔を出して様子を見てる。次の瞬間、大助が隙間から飛び出した。何かが起こったのか全くわからなかったが、飛び出すだけの理由があったのだろうか。<br>勇気を出して顔を出して確認する。<br>誰かが駐輪場にいるのはわかるが、顔は暗くてわからない。それで大助は移動したのか。大助は駐輪場の柱の裏側にいる。距離は近づけるがこっちに来られれば、たちまち見付けられてしまうだろう。<br>ただ、自転車の鍵がなかなか開かないだとか、誰かを待っているだけの人物だろう。だから、大助が見付かっても特に危険は無いはずだ。<br>大助の方を見ると、こっちに来いというジェスチャーをしている。駐輪場の人物に特に動きは無い。ただ、普通に自分の自転車を取りに来たわけではなさそうだ。<br>辺りが暗くてこっちを向いてるのかもわからない。一か八かで、大助の後ろまで小走りで向かった。<br>ここまで来ても顔は良く見えなかった。体格からして男性であることしかわからない。<br>「何してんだろな？」<br>大助が小声で話す。<br>「誰か待ってるだけじゃないか？」<br>相変わらず動きは無く、ただ立っている。その姿が少し不気味だった。<br>それから10分ほどそのままだったが、様子を伺っていた大助が俺の体を叩く。<br>「動いた。」<br>大助が柱から飛び出し、音を立てないように駐輪場へ進む。<br>後を着けるつもりだろう。結局待ち人がいるわけではなかったのか。<br>いじっていた携帯電話をポケットに仕舞い、大助に続いて音を立てないように歩く。しかし、あの人物の行動には疑問が残る。何のためにここにいたのだろうか。<br>大助に続いて歩く。音をたてない様に歩く大助が可笑しかった。<br><br>次の瞬間、頭に激痛が走った。<br>誰かに殴られた。視界が黒くなる。何も見えない。薄れゆく意識の中で、大助に逃げろと伝えようとしたが、間もなく意識は消えた。<br><br><br><br><br><br>Android携帯からの投稿
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<link>https://ameblo.jp/j236/entry-11499297316.html</link>
<pubDate>Wed, 27 Mar 2013 19:28:00 +0900</pubDate>
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<title>影 7</title>
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<![CDATA[ 結局泊めることになってしまったか。どのお菓子から食べようかと、子供のような顔で、スナック菓子と睨めっこしている大助を見て、残念に思う。<br>「これだ！」<br>大きな声を出して、コンソメ味のスナック菓子を取り出し、天にかざすように持ち上げている。さながら、敵の大将を討ち取った武士だ。<br>「大和も好きなの食って飲めよ。」<br>お菓子とジュースの詰まったビニール袋をこちらに差し出してくる。遠慮なくピザ味のスナック菓子を貰うことにした。<br>「よし。これで家賃は払ったな。」<br>そういうことか。スナック菓子を投げつけてやろうかと思ったが、あいつは喜色満面で投げ返してくるはずなので止めた。散らかるのは俺の家だ。<br><br>何をするでもなくテレビを二人で見ていた。時間は午後８時を回っている。かれこれ一時間ほど何をするでもなく、菓子を摘まんでいる。<br>時々、大助がテレビに向かって下らないことを言うだけだ。<br>「そいえば、エレベーターの文字消えてたな。うっすら残ってたけど。」<br>大助が思い出したかのように言った。恐らく大家が応急処置で消そうとしたのだろう。<br>「そのうち業者が来て、ちゃんと消してくれるだろ。」<br>「てか実力行使してきたんだよな？」<br>やばくね？という面持ちで、確認してきた。<br>「そーなんだよ。すぐ近くに投げ棄てられてた。たぶんな。」<br>エスカレートしなければいいがと思いながら話す。どちらにせよ刺激しないように行動しなければ。そのうちこんなこと無くなるに違いない。<br>「なぁ、大和。」<br>気にくわない笑顔で話かけてくる。人の笑顔が気に入らないのでは決して無い。ただこいつが微笑むとろくなことを言わない。<br>「俺らで犯人見つけよーぜ。」<br>子供が鬼ごっこをしようよ。というトーンで言って来るので、思わずいいよと言ってしまいそうになる。まさかこんなことを言い出すとは思わなかった。<br>「ふざけんな。刺激してとんでもないことになったらどうすんだよ。俺はここに、住んでんだぞ。」<br>つい語気が強くなった。自分でも気付かないところでストレスを感じていたのかもしれない。<br>大助が驚いたのか、じっとこちらを見てくる。<br>「だからこそだよ大和ちゃん。実際誰なのか気になるだろ？」<br>少し反省するのかと思ったが、まったく諦めていないようだ。確かに気にはなる。ここの住民は大体顔は知っているし、やりそうな人からこの人は無いだろうなという人間を思い浮かべる。ただ知ったところでどうにもならないではないか。<br>「知ってどうすんだよ？」<br>こいつなりの考えを聞かせてもらおう。なにを言われようが協力する気は無いが。<br>「んーと、抑止力？」<br>言い終わって、ヘラヘラと笑う。確実に取って付けた理由だな。これで心おきなく却下できる。<br>「そもそも抑止力ってことは、勘繰ってるのが向こうにバレてるじゃないか。」<br>「存在だけちらつかせて、正体は見せないんだよ。任せろ、すでに手は打ってある。」<br>嘘だろ。嫌な予感がした。こいつは考えるより先に行動する習性がある。<br>「何したんだ？」<br>「俺の自転車を邪魔になるように停めてみました。」<br>怒るより呆れてしまった。こいつは悪い意味で、いつも予想を裏切ってくれる。<br><br><br><br><br><br>Android携帯からの投稿
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<link>https://ameblo.jp/j236/entry-11480643227.html</link>
<pubDate>Thu, 28 Feb 2013 18:37:00 +0900</pubDate>
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<title>影 6</title>
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<![CDATA[ ゼミの教室で、パソコンの画面を見ながら大和は、昨日の事を思い出していた。<br>まさか、本当に自転車に制裁を加えるとは思わなかったな。今頃は持ち主達が大騒ぎしているのではなかろうか。<br>あの後、夕飯の買い出しに向かい、帰りに大家に知らせた方が良いだろうかと迷ったが、結局無視してしまった。<br>これ以上エスカレートして、持ち主に危害を加えるようになったら他人事では無くなる。大家は迅速な対応を見せてくれるだろうか。<br>「どうしたの？恐い顔して。」<br>横にいた和美が、心配そうに聞いてくる。和美とは同じゼミで、卒論のテーマを各々考えていた。<br>「なんでもないよ。」<br>相談しようかと思ったが、余計な心配は掛けたくない。どうせ、事態はそう深刻な展開は見せないだろう。<br>世の中には、たまたまというものがある。考え過ぎなだけで、なんだそうだったのか。と思えるような理由があって、あの自転車は投棄されたのかもしれない。<br>もっとも、たまたま邪魔であろう自転車が揃って、またあんなところに投棄される理由は思い付かなかった。<br>考えても仕方がないので、卒論のテーマそっちのけで、和美と下らない話をして盛り上がった。<br>気付くと、午後７時を回っていた。飯でも食べて帰ろうかと、二人で下に降りると大助とばったり出くわした。<br>何というタイミングの悪さだと思った。そして案の定三人で食事をすることになった。<br><br>大学の近くのお好み焼き屋に入った。和美と俺が並んで座り、正面に大助がヘラを構えて座っている。<br>「ひっくり返すのは俺の使命なのだ。」<br>と言って、いつもヘラを１人占めする。いつもの事なので、和美も俺もどうぞといった態度だ。<br>「はい。お待ちどお様。」<br>お好み焼き屋のおばちゃんが、注文したお好み焼きを鉄板に乗せる。慣れた手つきで綺麗な丸を作った。鉄板から鳴る香ばしい音と匂いに、食欲がそそられる。<br>僕らの役目は、お好み焼きをひっくり返し、ソースや鰹節等をかけるだけだが、何故か大助がやりたがるので、俺と和美は鉄板を眺めているだけでいい。<br>「ねぇ、大助君。大和が元気無いんだけど何か知ってる？」<br>唐突に和美が切り出す。<br>「んー、知らないな。」<br>チラッとこちらを見て大助が言う。<br>知らなくは無いだろと思うが、大助はそんな話は興味がないという態度で、お好み焼きに夢中である。余程、お好み焼きをひっくり返すにあたり、自分のタイミングというものがあるのだろうな。<br>和美に余計な心配を掛けたくはないので大助にしては上出来だ。自転車が投棄されているのを見たとき、大助に「またもや山が外れました。おめでとうございます。」というメールを送っていたので、てっきりその話をし出すかと思ったが、大して興味は無さそうだ。<br>こいつなりの気遣いかとも思った。万に１つも無いだろうが。<br>この後、お好み焼きをひっくり返すまで、和美に俺は元気だよとか卒論のテーマについて話していた。<br>大助はお好み焼きの時だけは、珍しく無言になる。<br>そして遂に、大助の手が動き始めた。両手のヘラをお好み焼きの下に滑り込ませ、ダイナミックにひっくり返した。お好み焼きが豪快に宙を舞い、中の具材や揚げ玉が四方八方に飛び散り、無様な音を立てて着地した。<br>「これは俺のだから安心しろ。」<br>無惨な姿のお好み焼きをよそに、今のはデモンストレーションだと言わんばかりに、次のお好み焼きに手を伸ばす。この後、二回お好み焼きは豪快に宙を舞い、無様に着地し、無惨な形になった。<br>あれだけ綺麗な円形が跡形もなくなったお好み焼きにソースを掛ける。<br>「相変わらず下手くそねぇ。」<br>お好み焼き屋のおばちゃんが笑う。<br>「また駄目だったか。」<br>大助が肩を落とす。いつになったら上手くなるのやら。<br>「大丈夫。次は上手くいくよ。」<br>和美が慰める。<br>「優しいなー和美ちゃんは。」<br>「絶対に上手くいかないと思うぞ。」<br>「冷たいねー大和ちゃんは。」<br>ねーと息を合わせる和美と大助は放って、お好み焼きに箸を伸ばす。<br>見た目は大助のせいで良くないが、味は美味しい。綺麗に焼けたらもっと美味しいだろうに。<br>三人でお好み焼きをたいらげ、店を後にする。去り際に大助が「次こそは。Coming soon.」と叫んでいた。お好み焼き屋の人達は大いに笑っていたが、本当に次こそは頼むぞと思った。<br><br>自転車の鍵を開ける。明日は授業も無いし大学は休むかと考えていた。<br>「今日泊めてくれよ。」<br>帰り際に大助が唐突に言い放った。<br>「また親父さんと喧嘩か？」<br>「そーなんだよ。気に入らないことがあると俺に当たるんだよ。」<br>お前の苦悩もわかってやりたいが、面倒だ。この後、和美の家にでも行こうかと思っていたのに。<br>「嫌そうなのが顔に出てるぞ。」<br>良くわかったもんだ。嫌で仕方がない。<br>「さっきは黙っててやったのに。」<br>耳元で大助が言う。何の事か良くわからないという顔をしていると「自転車邪魔野郎だよ」と大助が言う。<br>「和美ちゃんに知られたく無いんだろ？」<br>珍しくマトモなことを言う大助に驚いた。万に一つが出たのだ。<br>「それとこれとは別だ。」<br>喧嘩する度に泊めていてはきりが無い。<br>「二人で何話してるの？」<br>横から和美が言う。<br>「いや、大したことじゃないよ。」<br>嫌な展開に向かう気がしたので、はぐらかした。<br>「それがさー。家に誰もいないから大和の家に泊めてって頼んでたんだよ。」<br>哀しそうな顔で大助が話す。演技だ。間違いなく演技だ。理由も違う。<br>「泊めてあげなよ。一日くらい。」<br>無垢な顔で和美が言う。横を見ると、大助がニヤリと笑っていた。こうなることを読んでいたな。和美がいるからと甘い顔をしてはいけない。今日は絶対に泊めないと大和は決意した。<br><br><br>和美を家まで送り、家に帰る。部屋に入り、電気を点ける。<br>「お邪魔しまーす。」<br>お菓子とジュースが詰まったビニール袋を片手に大助が、靴を脱ぎながら言う。<br><br>人は決意しても、実行出来るとは限らない。<br><br><br>Android携帯からの投稿
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<link>https://ameblo.jp/j236/entry-11479329128.html</link>
<pubDate>Wed, 20 Feb 2013 19:21:00 +0900</pubDate>
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<title>影 5</title>
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<![CDATA[ 皿の上に盛り付けられたハンバーグ定食と見つめ合う。見た目は普通だ。<br>味噌汁と御飯、簡単なサラダがハンバーグと一緒に盛られている。<br>ハンバーグの香りと共に、食欲が目を覚ました。<br>「いただきます。」<br>お金を出してもらっているので、大助に向けていったつもりだが、ハンバーグに御飯に味噌汁と、慌ただしく箸が動いている。<br>邪魔するのも悪いと、ハンバーグを口に放り込む。<br>絶品とまではいかないが、案外全部食べれそうだ。<br>「そういえば、なんで父親と仲が悪いんだ？」<br>聞くのも悪いと思ったが、何故か気になった。自分には父親がいないせいかもしれない。どこかで父親に対する憧れでもあるのだろうか。<br>大助が味噌汁をぐいっと飲み干し、こちらに目をやる。<br>一拍おいてから大助が言う。<br>「自分が医者だからって、医者になるのを強要するんだよ。しかも外科医限定だぜ？」<br>親が医者というのは本当だったのか。<br>人にやれと言われてやる奴ではない。さぞ反発したのだろう。<br>「ガキの頃は医者になる気満々だったけど、大人になると現実が見えてきてなー。」<br>大助が続ける。<br>俺から見れば学力は問題無さそうだが、やはり敷居は高いのだろうか。<br>「医学部ってお前でも入れなかったのか？」<br>少し遠慮がちに聞いてみる。<br>「多分入れるよ。」<br>すんなりと答えられる。やはりこいつとは相容れないな。<br>「じゃあなんで医者が嫌になったんだ？」<br>恐らく俺では理解できないような、独特な理由なのだろう。<br>「だって、手術ってグロくね？<br>あの後に飯とか食えねーよ。絶対。」<br>だろ？という顔でこちらを見てくる。<br>確かに理解は出来るが、子供のような理屈にも聞こえる。<br>俺を唸らせてくれるような理由を期待した俺が馬鹿だった。<br>その他にも聞きたいことはあったが、呆れるような返答が返ってきそうなので聞かないことにした。<br>結局、ハンバーグ定食を完食して、この後試験も無いので、各々帰ることにした。<br>「殺すぞって落書きの話だけどさ。」<br>駐輪場に向かいながら、大助が唐突に例の話題に触れてきた。<br>「実際に行動に移してきたらやべーよな。」<br>意外にも真顔で話す大助に少し驚く。<br>「心配してくれてるのか？」<br>茶化しながら聞く。なんだか少し調子が狂うな。いつもなら立場は逆だ。<br>「当たり前だろ。なんてったって大和ちゃんだからなー。」<br>そうそう。それでこそお前だ。だがふざけているとはいえ、素直に嬉しかった自分が恥ずかしい。<br>「まぁ、落書きなんてする奴は気弱な奴だ。行動に移すことはねーだろ。」<br>自身に満ち溢れた様子で語る大助をよそに、お前の山は外れるんだから不吉な事は言わないでくれと思った。<br>「そいえば昼飯ごちそうさま。」<br>伝わっていない礼しかしていなかったので、ちゃんと礼をする。<br>「律儀な奴。何回も言わなくてもいーんだよ。」<br>なんだ伝わってたのか。<br>ならばこれ以上お前といても、意味はない。自転車に跨がり帰る素振りをする。もたもたしているとカラオケやらボーリングに連れていかれそうだ。<br>じゃあな。と軽く挨拶をして、見慣れた道を通って帰る。<br>20分ほどで自宅に着き、駐輪場に自転車を止める。ふと例の落書きを思い出して、いつもより邪魔にならないように止めた。これで手を出されたら、悪いのは向こうだ。流石に考えすぎか。<br>駐輪場を出るまでに、紫色の自転車がはみ出して止めているのを見つけた。<br>駐輪場の通路は狭いので邪魔で仕方がない。あの自転車が狙われているのではないかと推理してみるが、雑に止めてある自転車はいくつもあって、紫色の自転車だけが悪いとは言い切れない。<br>頼むから、俺の自転車だけは巻き添えにしないでくれよ。<br>エレベーターで三階まで上がり、ワンルームの部屋に入る。広いとは言えないが、一人暮らしなら問題は無い。<br>腹が満たされたせいか、少し眠い。<br>特に予定もないし夕方まで寝るか。<br>敷きっぱなしの布団に入り込み、瞼を閉じる。<br><br>目を覚ますと、夕方の五時だった。晩飯でも買いに行くかと、軽く身支度をして家をでる。<br>駐輪場に来たときに違和感を覚えた。さっきまで通り難かった通路がすっきりしているのだ。<br>持ち主が乗っていったのだろうか。<br>自分の自転車に跨がり、最寄りのスーパーに向かう。<br>アパートを出てすぐに嫌な物を目にした。<br>駐輪場を出て、右に曲がると電信柱がある。そこはよくゴミが放置されていて、雑誌や生活ゴミ等が積み上げられている。<br>なぜちゃんとゴミを処理出来ないのかといつもなら精々そう思うだけだが、今は違うものに目を奪われている。<br>ゴミの横に、紫色の自転車の他に合計三台の自転車が投げ捨てられていたのだ。<br>狂気とも呼べる不気味な行動に、悪寒を覚えつつこう思った。<br><br><br>おめでとう。大助君。<br>またもや、君の山が外れたみたいだ。<br><br><br>Android携帯からの投稿
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<link>https://ameblo.jp/j236/entry-11474391375.html</link>
<pubDate>Tue, 19 Feb 2013 08:37:00 +0900</pubDate>
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<title>影 4</title>
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<![CDATA[ 「マジかよ、おい。」<br>大助が上体をのけ反らして、口を大きく開けて驚く。<br>明らかにふざけている。こんな驚き方はコント番組でしか見たことがない。<br>「馬鹿にしてる。」<br>ぎゃははと笑いながら大助は言う。<br>「だって、二回目じゃんか。また自転車が邪魔だってやつか？」<br>「そうそう。」<br>実は依然にも同じことがあったのだ。殺すぞというメッセージの上に、自転車邪魔というメッセージも書かれていた。先週に続いて二回目だ。<br>一度目の時にも大助に相談したが、そんな臆病者はほっとけと一蹴された。本当に恐ろしい奴は、行動に移してくるという考えらしい。<br>俺から言わせれば、今は物騒な言葉をエレベーターに殴り書いているだけだが、そのうち行動に移す可能性はある。そうなった場合、最悪俺か俺の自転車が無惨な最後を迎えることになる。<br>そうなる可能性は想定していないのかと大助の方を見てみるが、学食の日替わりランチのハンバーグに目を奪われている。<br>「大和ちゃん。昼飯にしよーぜ。」<br>やはり心配はしていない。それにまだ11時前だ。時間帯は気にせずに、腹が減ったら食うんだなこいつは。<br>「悪いけど、まだ腹は減ってない。」<br>大助に対しては、微妙な態度を取ると無理矢理にも連れていかれる。最初から自分の意思を告げるのが攻略だ。<br>大助がじっとこちらを見てくる。<br>これは何かを言ってくる前兆だな。<br>「大和。」<br>大助が神妙な顔で語り始める。<br>「お前は食わなくてもいいじゃないか。」<br>大助は不思議そうな顔でこちらをみてくる。確かにそうだ。腹が減っているのはお前だ。俺は食わなくていいというのは、もっともだ。<br>もっともだが、何か釈然としない。普通の友人ならこうはならない気がするのは、俺だけじゃ無い筈だ。<br>「よし、行くぞ。」<br>大助がずんずんと食堂に入って行く。仕方ない。不本意だが軽食を取るか。遅い朝飯だと思えばいい。<br>「おばちゃん。ハンバーグ定食２つ。」<br>２つも食うのか。大助は食いしん坊だなと思う。いやそう思いたい。食べなくてもいいといったからには、俺の分を頼む筈がない。<br>そう願いながら、注文口の上にあるお品書きを見る。<br>「大和ちゃーん。２つも食うの？」<br>長方形の古びたテーブルに陣取りながら、大助が大きな声を出す。<br>やはり、あのハンバーグ定食は俺のだったのねと肩を落とす。<br>渋々席に着く。<br>「俺の奢りだよ。大和ちゃん。」<br>にっこりと笑う顔が腹立たしい。<br>「流石です。坊っちゃん。」<br>やられっぱなしでは癪なので反撃する。バイトもしていないのに、金回りがいいので親が医者というのは本当かもしれないな。<br>「誰が坊っちゃんだ。」<br>笑いながら大和が反論する。<br>家のことを聞くと嫌がるので、普段は聞かないが、今日は聞いてやろうか。<br>こっちも、食いたくないハンバーグをこれから胃に押し込むことになるのだ。<br>ただ、父親と仲が悪いというのは酔った時に聞いたことがある。<br>そのことについて、言及するのはどうかと思ったが、聞いてみることにした。<br>「父親とは上手くいってるのか？」<br>珍しく大助が黙った。流石に意地が悪過ぎただろうか。<br>「大和が俺のこと気にしてくれているなんて。感激です。」<br>相変わらずの馬鹿な返事だが、どこかいつもと違う調子だった。<br>「別に普通だよ。普通に仲が悪い。」<br>普通に仲が悪いとはどういうことだろうと思うが、深く考えないことにした。大助の言葉をいちいち突っ込んでいたらきりがない。<br>そもそも、父親のいない俺には良くわからないものなのかもしれない。<br>五歳の頃に事故で死んだのだ。物心は合った筈だが、記憶はほとんどない。<br>この話を大助にしたときは、流石に、そーか。と神妙な顔を作っていたので、驚いたのを覚えている。<br>もしかしたら、その話が家族の話をしにくくしているのかもしれないな。<br>「お待ちどう様。」<br>食堂のおばちゃんが、受け取り台にハンバーグ定食２つを乗せた。<br>二人でハンバーグ定食を取りに行く、もちろん俺は乗り気ではない。<br>席に着くと、大助が待ちきれないとばかりに、箸を割りハンバーグを頬張る。<br>「んー旨い。大和も速く食えよ。」<br>満面の笑みが何とも憎めないが、やはりこいつには、ついさっき思ったような気遣いがある筈はないなと思った。<br><br><br>何故なら俺はまだ腹が減っていないということをすっかり忘れているのだ。こいつは。<br><br><br><br>Android携帯からの投稿
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<link>https://ameblo.jp/j236/entry-11473639029.html</link>
<pubDate>Mon, 18 Feb 2013 00:48:00 +0900</pubDate>
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<title>影 3</title>
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<![CDATA[ 「おいおい、そんなに怒るなよ。山は見事に外れたけどよ。」<br>ぎゃははと笑いながら大助がついてくる。<br>「お前が邪魔しなきゃもう少しマシだったろうな。」<br>「他人のせいにする子は、伸びませんよ。」<br>皮肉を言ったが全く応えた様子はない。<br>「そっちはどうなんだよ。」<br>「イマイチだな。一問よくわかんなかったし。」<br>一問だけか。そうか皮肉とはこう言えばいいんだな。<br>「そいえば、和美ちゃんと帰んないのか？」<br>唐突に、大助が言う。友達と予定があるらしいとの旨を伝える。<br>「なんだよー。久しぶりに三人で飯でも行きたかったのに。」<br>「一昨日いったけどな。」<br>そうだっけ？という表情を見せる。<br>「カップルに割り込んで飯食って楽しいのか？」<br>「楽しいね。それに元を正せば和美ちゃんは俺のものになる予定だったのに。」<br>芝居掛かった様子で、上を向いて話す大助をよそに、三人が初めて会った日を思い出す。<br>あの日は例のテニスサークルの飲み会で、三人共初めての参加だった。<br>俺と和美は隣で、一つ離れた席に大助がいた。<br>みんなで騒ぐという場が得意でない俺と和美は、二人で静かに言葉を交わしていた。内容は当たり障りのない会話で盛り上がり等は皆無だった。<br>人見知りの俺には、初対面の女性を楽しませるのは至難の業だ。<br>大助は隣の席で中心となって、その場を盛り上げていた。<br>こいつは、慣れているなと思ったのを覚えている。<br>「ねー。なんでそんなにシラケてんの？」<br>前に座っていた三人組に突然話しかけられた。<br>明らかに敵意のあるにやけ面でこちらを見ている。<br>「こーゆう雰囲気苦手で。」<br>恐らく上級生だ。下手に出てやり過ごして帰ろう。横で話を聞いていれば、テニスをする気もなさそうだ。<br>「じゃ、帰れば。」<br>真ん中にいる髪をツンツンに立たせた男が言う。それに合わせて、横にいる二人が笑う。<br>正直、帰ってしまいたかったがこのまま帰ると、和美が少し心配だった。そして、何より癪に触る。<br>とりあえずこの三人は無視して見ることにきめた。<br>「横にいる子が、可哀想じゃん。そんな奴より俺らと話そーよ。」<br>無視するや否や本題に入ってきた。はなから和美が狙いなのだ。<br>和美はどのような反応を示すのだろう。こういう集まりに来るということは、コイツらみたいなのがタイプなのたろうか。<br>そんな不安を抱いている自分に驚いた。<br>今にしてみれば、このとき既に和美に気があったのかもしれない。<br>和美はというと、困った様子で俯いている。<br>「私もあまり得意じゃないんです。」<br>なんとか聞き取れる声で和美が応えた。<br>ざまあみろ。自信満々のくせに軽く流されているではないか。<br>「このあと、一緒に遊んで得意にさせてやるよ。」<br>ツンツン頭が得意気に言う。厭らしい奴らめ。下心が見え見えだ。さすがに割って入らないとまずい展開になってきた。それにしても、こいつらの積極性と自信には感心する。<br>「ほら、もっとお酒飲んじゃえ」<br>ツンツン頭が自分のビールジョッキを和美の前に置く。<br>「いい加減にしろよ。俺達まだ19だけど」<br>勇気を出して言ってみたが、三人は全く気にしておらず、笑うだけだった。<br>「俺達とか言ってんじゃねーよ。気持ち悪い」<br>ここからは地獄だった、攻撃の矛先が俺に向き、やれ地味だの、オタクだのと三人で囃し立てられた。<br>和美は俯いたままだが、時々申し訳なさそうにこちらに目をやる。<br>自分は身代わり人形だと言い聞かせる。<br>反抗しない俺に上級生三人が、煙草の煙を吐きつける。そろそろ限界だ。三人に勝てるわけないが、男らしく玉砕してみよう。<br>話し合いの通じる相手ならここまでしない。<br>「うるせーぞコラ」<br>勇ましく声を上げたのは、俺ではなく隣の席の中心となっていた大助だった。<br>「お前ら三人のせいで、楽しい気分がぶち壊しだ。」<br><br>このときの大助への気持ちは、頼もしいと、お前も同類じゃないの？という二つで複雑だった。<br><br>この後の展開は、大助が上級生三人相手と口論になり、殴り合いが始まる直前に店員に注意を受けた。<br>「出よーぜ。お前ら」<br>と何故か俺達も一緒に追い出される形で店を後にした。<br>俺達に気を使ったのか、一人で店を出るのが惨めだったのかは本人にもわからない。なぜなら酔った大助の記憶が曖昧だったからだ。<br>大助の提案で三人で連絡先を交換した。一応お礼の連絡をすれば、誰だっけ？(笑)とメールが帰ってきたのは新鮮だった。<br>なんなんだあいつは。という共通意識が和美との距離が縮まった切っ掛けでもあった。<br>大助からしてみれば、女子のついでに助けた野郎にチャンスを与え、そのまま旨味をすべて持っていかれたということらしい。<br>「真面目な風にして、抜け目がないんだこの男は。」<br>記憶も曖昧な癖によく言うな。<br>この調子だと延々に和美を奪ったという旨の言葉を浴びせ続けるだろう。<br>話題を変える必要があるな。<br>「そいえばさ。」<br>わざと暗い表情で話始める。<br>なんだなんだという顔で大助がこちらを見る。大方、この話題にも飽きていたのだろう。<br>「俺の家のエレベーターに、殺すぞって書かれてたんだよ。」<br>大助の歩みが止まる。<br><br><br><br><br><br><br>Android携帯からの投稿
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<link>https://ameblo.jp/j236/entry-11472720348.html</link>
<pubDate>Sat, 16 Feb 2013 00:25:00 +0900</pubDate>
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<title>影 2</title>
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<![CDATA[ 教室に着くと、既に席は大方埋まっていた。５分前到着のデメリットの一つだなと思う。<br>和美の姿を探すが、なかなか見当たらない。席を取ってくれているとしたら和美かあいつだけだ。<br>あいつに先に見つかると面倒だ、テスト前くらいはゆっくりしたい。<br>和美の姿を探す。視点を右へ左へとやっているうちに、手を降っているんだなと思われる人間が視界の左端に映った。<br>恐らくあいつだ。左は見ずに和美を探そう。ああ、悪い全く気付かなかったよ。ごめんね。と言える自分を作るのだ。<br>次第に、手を降る動作が大きくなっていっているように感じる。立ち上がって、両手を振り回しているのでは無いだろうな。<br>左に目をやりそうになるが、堪える。実に巧妙な手口だ。嫌でも隣に座らせる気だな。<br>そのとき、前の方の席で和美が振り返ったのが見えた。<br>なんとか助かった。<br>「大和ちゃーん」<br>愛しい彼女に呼ばれた俺の顔は幸せに満ちた表情になる筈だったが、その声は、後ろから聞こえた。不自然に甲高い悪意に満ちた声だ。<br>振り返ると、多部大助が笑顔で立っていた。<br>「坊っちゃん。到着が遅いので、心配しましたよ。」<br>「坊っちゃんはお前だろ。」<br>大助は両親が医者で、裕福な環境で育ったそうだ。ただ、父親に反発してこんな大学で燻っているらしい。壮大な夢を追いかけて、エリート街道は弟に譲った。<br>というのは、本人談で真実かどうかは定かではないし、興味もない。<br>ただ、俺よりは遥かに頭が良くて、金を持っているのは、認めたくないが事実だ。<br>「大和の為に、席を用意してるぜ。」<br>「あぁ、ありがとう。」<br>和美の様子をみると、大助君と座るのね。わかったわ。という感じで席に着いた。<br>「もっと喜べよ。」<br>人の気も知らずにと思ったが、この男には何を言っても無駄だ。<br>この後、テストが始まるまで、直前にテキストを見ても無駄だ。とか、そんなとこ出るわけない。だのと言われ続けた。<br>結果としてゆうと、自称山を張る天才が出ないといったところが、これでもかというくらいに出て、結果は散々だった。<br>もちろん他人のせいにしたいわけではないが、直前に大助による精神的攻撃が少なからず影響しているのは言うまでもない。<br><br><br><br><br><br><br>Android携帯からの投稿
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<link>https://ameblo.jp/j236/entry-11471483342.html</link>
<pubDate>Fri, 15 Feb 2013 21:08:00 +0900</pubDate>
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<title>影  1</title>
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<![CDATA[ けたたましい目覚ましの音にうんざりしながら大西大和が目を覚ます。<br>これで何度目だろうかと寝ぼけた頭を働かせる。確か、三度目の目覚ましだったはずだ。起きなければ五分後に再び目覚ましが鳴るように設定しているので、予定より15分遅い起床だ。<br>今日は試験なので無意識に緊張していたのかもしれない。普段なら五度寝、もしくは起きないことだって多々ある。<br>今年で大学三回生になる大和は、だらだらと身支度を始める。<br>一回生のときは、30分前には教室にいないと落ち着かなかったが、今では5分前にいれば十分だ。顔を洗って、携帯を見ると不在着信が３件入っていた。彼女の山田和美だ。<br>ということは、目覚ましと合わせて６回分寝過ごしたわけか。我ながら呆れる。<br>どうでもいいことを考えながら、リダイアルする。<br>「もしもし。」<br>不機嫌そうな声で和美が電話にでた。<br>「ごめん。今起きました。」<br>怒られる前に敬語を使って誤魔化してみようとした。<br>「30分前だよ。サボる気？」<br>「この単位落としたらやばいって。５分前には着くよ。」<br>まったく通用しないな。和美とは、一回生のとき入ったテニスサークルで知り合った。テニスとは名ばかりのサークルで、毎晩合コンを開いてる集団だった。最初の集まりで先輩に睨まれて、すぐにやめることになった。<br>その時の唯一の収穫が和美だった。<br>唯一では無いかと、あいつを思い出したが、今は考えるのをやめた。<br>和美は俺の初めての彼女で、よく気の利く女性だ。周りの評判も良く、俺には過ぎた彼女だ。最初で最後の彼女でもいいくらいだ。もちろん愛想を尽かされなければだが。<br>「真面目そうなのに、時間にはルーズだよね。悪いギャップだよそれ。」<br>真面目なトーンで言い放たれ、愛想が尽きるのは、案外早いのかもしれないと危機感を抱いた。<br>「これから気を付けるよ。それじゃ教室で。」<br>不機嫌そうな返事が聞こえ、電話が切れた。<br>急いでスウェットを脱ぎ捨て、着替える。荷物を確認して、家を出る。<br>エレベーターに乗り込んで、一階のボタンを押す。<br>そのとき、エレベーターのドアに文字が書いてあるのが目に入った。<br>マジックで書かれたであろうその文字にはこうあった。<br><br>殺すぞ<br><br><br><br><br><br>Android携帯からの投稿
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<link>https://ameblo.jp/j236/entry-11470844299.html</link>
<pubDate>Thu, 14 Feb 2013 22:31:00 +0900</pubDate>
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