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<title>兎桜のブログ</title>
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<title>第九十一話『一日目午後です。返してきなさい』</title>
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<![CDATA[ 前書き<br><br>ん?<br><br>―――<br><br>午前中の部も終わり午後のヤツ等に交代となった。食事も終え屋上へと向かう。<br>いち早く向かわなきゃいけないのだが……まあ売り上げ貢献って事で自分のクラスで食べたのだ。<br><br>「軽い食事だけじゃあ持たないかも知れないが……後で大山の辺りに何か買ってきてもらうか」<br><br>大山だって俺の事情をわかっているはずだし承諾してくれるはず。<br>それにヤツは人気の無い場所の巡回という楽な仕事だ。人気の無い場所ってことはそこで休んでても気づかれないし。<br><br>屋上の扉を開き誰も居ないことを確認するとでかいスピーカーを確認する。<br>ここから音を出す……らしい。何処にコレを買う金があったか知らないがとりあえず頑張って今回はコイツに頑張ってもらおうじゃないか。<br><br>屋上からグラウンドを眺める。コレぐらいしか娯楽と言えば無いのだ。<br>見つからないようにゲームなど持ってきても良いんだが見つかったときが恐ろしいのでやめておく。見つからなきゃ良いとかそういう問題じゃないんだそこは。<br><br>グラウンドでは外でいつも部活をやっている運動部が何かしらやっていた。内容は少し聞いたような気がするが具体的なことは聞き流していたのでわからない。<br>時折聞こえてくるキーン、という音が何か心地良いような……でも眠ってはいけないのだ。<br><br>他にも運動部のヤツが出すでかい声が聞こえてくる。俺も何かしら部活に入っていれば楽しかったかも知れないな。<br>そんな事を思いつつ背後に視線を戻す。俺がやるのは運動部観察ではなく屋上に入って来るヤツを止めることなのだ。<br><br>「それはすでに失敗していた」<br>「ああ、そうだな。心臓に悪いから静かに近寄ってこないでくれ」<br><br>視界に入る神立の顔に驚きつつ屋上の隅から安全地帯の真ん中へと移動する。<br>いくら友達だからと言ってもやはりここは帰ってもらわなければならない。<br><br>「神立、ここは立ち入り禁止なんだぞ?」<br>「差し入れ」<br><br>差し入れ?　それよりオレの言葉が完全に無視されているんだけれども。<br>まあ神立の事だからしっかり聞いているだろうな。照れ隠しだと思えば良いんだ、うん。<br><br>「それで、差し入れって何だ?」<br>「これ」<br><br>神立の手に持っている物を注目する。<br>何ていうか目立つ物だ。それは俗に言う立て札という物だろう。何処から持ってきたんだおい。<br><br>「ちょいとお化け屋敷やってるところから」<br>「そうか。返してきなさい」<br>「こっちもある」<br><br>張り紙か。なるほど、それも返してきなさい。<br><br>「内容も読まずに……」<br><br>……内容ね。<br><br>『立ち入り禁止』<br><br>「……それじゃあ代わりにならないかな」<br>「そう……」<br><br>残念そうな顔。いや、騙されるなよオレ!<br>神立はイタズラ好きだからなぁ、何か裏があるに決まってる。<br><br>「ま、一応オレの仕事だからさ。ここで立ち去ったらこんな事もできないのか!　ってなるだろ?」<br>「…………」<br><br>ふてくされてますよこの子!!<br><br>まあしばらくならここで休んでて良いという約束を渋々してしまうオレ。話し相手がいなくてさびしいのだ。何でここは一人なんだろう。<br><br>「……そう言えば」<br>「ん?」<br>「なんでもない」<br><br>……物凄く気になる。<br>じぃー、と神立を見つめてみる。<br><br>「……聞きたい?」<br>「気になるのが普通だろう?」<br>「これ」<br><br>取り出されたのは高そうな指輪だ。具体的な値段はわからないが宝石が輝きで本物かどうかぐらいはわかる。<br>しかしこの指輪、神立の物ではないよな。<br><br>「校長室の前に落ちてた」<br>「返してこい」<br><br>本日三回目だぞ!!<br>この指輪完全に校長先生の物じゃねぇか!!<br><br>説教でもしてやろうか、と思ったところで校内放送が掛かる。<br>優しそうな声がオレの耳に入ってくる。<br><br>『えー、校長室の指輪が無くなりました。誰か心当たりのある人は校長室まで来てください。よろしくお願いします』<br><br>放送が終わる。<br><br>「……神立」<br>「一人では無理かも知れない」<br><br>……うん、オレも一人で行けといわれたら無理だと答えるね。<br>神立のそばに置いてある張り紙と立て札を見る。<br><br>「行くか」<br>「うん」<br><br>屋上から出て立て札を立てかけその隣に立ち入り禁止の張り紙を貼る。<br>これで防げるとは思えないが……一応。<br><br>「しっかり謝れよ」<br>「向こうが感謝するべき!」<br>「理屈は?」<br>「わたしが落ちてた指輪を拾って届けたから」<br>「その手柄、オマエ一人に譲ろう」<br><br>ぎゅっ、と服の袖がつかまれる。振り払う事はできるが……まあ良いか。<br><br>「校長室まで行ったらすぐに帰って来るからな?」<br>「中まで」<br>「それはもう帰れない状況じゃないか」<br>「校長室の前とは言ってない」<br><br>屁理屈を……言うのが神立だよな。<br>うん、もうしょうがないや。<br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br>どうやって完結させれば良いかわからないっ!<br>何とかしてみせるしかないのか!!　伏線残しまくってる気がするけど気にしない。
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<link>https://ameblo.jp/jan-akubi/entry-10633089052.html</link>
<pubDate>Sun, 29 Aug 2010 05:28:46 +0900</pubDate>
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<title>第九十話『一日目午前です。呼び込みよりも客寄せ』</title>
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<![CDATA[ 前書き<br><br>昨日も書いたけど……100話で終わらない……。終わるきっかけが作れない。<br><br>―――<br><br>騒ぎなどめったに起こるものでもない。<br>なので暇だった。呼び込みだってただ叫ぶだけだ。そのうちもっとも効率の良かったのが『ウェイトレスの愛情のこもった手料理ですよー。中魅と神立による手料理で――待て、そんなに入れない』ここら辺か。<br><br>それにオレ達の作業が客寄せから客払いに変わってしまっている。<br>なんと中魅と神立もウェイトレス係りだったらしくその姿を一秒でも長く見ようとするヤツが多く、食べ終わったヤツ、それに食べるのが妙にスローペースなヤツに忠告しているのだ。<br>その割合は男子が多いが女子も中にはいるから困りものだ。男子は言うことを聞いてくれるんだが女子ともなると屁理屈を言われる割合が多い。<br>そんなに繊細な心を持ってるなら邪魔になるような行為を普通しないだろ?　ってヤツも居る。<br>本当に困ったところだ。まあ二人のおかげでかなり売り上げが伸びていることは間違えが無いのだが……、注文さえ取れれば腹をすかしたヤツが何人いようと関係ない。<br>つまりたくさん二人を見ようよ不特定多数の男子(または女子)がたくさん一気に料理を注文するのだ。ただオレの立場からするとあまり良い事態とは言えない。<br><br>「コレでテーブル何個目だよ。教室に入るのか?」<br>「連結でもさせて相席させるんじゃないか?」<br><br>椅子はクラスのものを使えば良いとして、机の調達に忙しい。<br>固定客というのも扱いにくいものだ。<br><br>教室内に入り机を一旦置く。<br><br>「ご苦労」<br>「どうも、というか中魅。オマエは注文を取ってけよ」<br>「むぅ、少しぐらい良いではないか。と、まあ話があるから話しかけているわけだがな。その机はあの窓際の席とくっつけてくれ、でお前は午後から暇か?」<br>「暇じゃないな。屋上で寝るのに忙しい」<br>「疲れてるのか?」<br>「まだこれから疲れる予定だな。残り三つぐらいか」<br>「……それもそうだな」<br><br>それから顔をうつ伏せて次の言葉が中魅から出てこないので言葉通り窓際の机へと運んできた机をくっつける。<br>何だか狭くなってきたなこの教室も。やっぱり三つも入らないぞ。<br><br>「どうする?　もうやめとくか?」<br>「いや、お前の言うとおりあと三つは必須だな」<br>「どういう事だ?」<br>「客の出入りを活発化させるために残り三つの机は必須なんだよ黒斗」<br><br>どういう意味だ?　客の出入りを活発化させるね。<br>まあそれができるならそうした方が良い。休まった体を動かし立ち上がる。<br><br>「でかい机ばかり狙わなくても良いんじゃないか?」<br>「小さい机ばかりだと往復しないといけないだろ?」<br>「……それもそうだな。じゃあ次は体育館か?」<br>「時計を見ろ。公演中だ、今行くべきじゃあない」<br><br>邪魔になるだけか。<br>となると何処へ行こうか。<br><br>「最後だ。生徒会室に行くぞ」<br>「そこがあったか」<br><br>なるほど。あそこの机なら妙に綺麗だ。<br>まあテーブルクロスをかけたらわからなくなるがそのまま使っても良いぐらい綺麗なのだ。<br><br>人通りが多いってわけでもない廊下を歩きながら少し考える。<br>そういえば最近大山にいじられすぎているせいか生徒会長が怒り気味なんだよなぁ。これ以上刺激したら不味いんじゃないか?<br>……最初の標的にされるのは大山だろうし、良いか。<br><br>納得し終わると意識を前に戻す。<br><br>「……ん?　あの人は……」<br><br>黒いスーツ姿だ。明らかに怪しい。背丈から見ても高校生には思えない。教師でもないだろうな。<br>……絡むとろくなことにならないだろうから見なかったことにしよう。<br><br>そのまま生徒会室に向かいその扉を開ける。<br><br>「な、誰っ!!」<br>「って誰かいたぞ!!」<br><br>大山の方を見る。想定内だとでも言うような顔。<br>なるほど、対処方法があるわけか。<br><br>オレも声の主の顔を確認しようと前を向く。<br>……敵は生徒会長か。<br><br>「最近良く会うな」<br>「な、何でここに居るのよ!」<br>「ふっふっふ、決まっているだろう?　なあ黒斗」<br>「まあ、やることは一つだな」<br><br>机を盗む、っていう。<br><br>「な、犯罪よ!!」<br>「ちょっとぐらい良いだろ?」<br>「ダメに決まってるでしょう!!」<br><br>生徒会長という立場上注意しなきゃダメなんだろうな。<br>しょうが無い、ここは大山に任せよう。<br><br>「じゃあ机借りてきますね会長」<br>「つ、机?」<br>「はい」<br>「あ、ああ……うん」<br><br>おお、すごいなオマエ。<br><br>そのまま一つ目の机を持ち上げる。<br>机の上に乗った一枚の色紙(しきし)、それにオレの目線が向かう。少し気になるところのあるサインが書いてあった。<br><br>「……こんのサインか?」<br>「な、見るなっ!!」<br><br>バンッ!!　と手を机に突く会長。その机がオレ達の持っている机じゃなかったら良かったんだけどなぁ。<br><br>指が引きちぎられるような痛さに我慢できず手を離してしまう。それは大山も同じだったようでそのまま机が落下する。<br><br>「あうっ!!」<br>「いつぅ……」<br><br>オレと大山の足の指を見事に刺激してくれる机の足。<br>間抜けな叫び声もあげてしまった。<br><br>「感動的になりすぎですよ会長」<br>「誰のせいよ」<br>「自分自身の自制できてないと損しますよ」<br>「貴方達のせいでしょうが!!　ああ、もうっ!!」<br><br>色紙を持って生徒会室から出て行く会長。<br>完全に怒った様子だった。<br><br>「小指は危ないんだぞっ!!　つぅ」<br>「いや大山。そうじゃないだろ」<br><br>痛そうにしてた大山だったがある程度痛みが引いてきたのか机を再び持つジェスチャーをする。<br>もう良いらしい。<br><br>「よし、持ち上げるぞ」<br>「おう。そういやお前が気になってたさっきのスーツの奴は雪野こんのマネージャーだ――痛いっ!!」<br>「お、おおう。ごめん」<br><br>あの人がマネージャーなのか。<br>離してしまった机をもう一度持ち上げる。<br><br>今日はよく大山の指が犠牲になる日だな。オレまで一度巻き込まれたし。<br><br>その後の三回往復も終わり教室の前に三つの机が並ぶ。<br><br>「アレ?　これは中に運ぶんじゃないのか?」<br>「廊下の壁にくっつけろ」<br><br>大山の言うとおりに机を廊下の壁にくっつける。<br>何だか周りから視線を集めているような気がするな。<br><br>「さて、少し待ってろよ」<br>「何するんだ?」<br>「待てばわかる」<br><br>……待ちぼうけはイヤだぞ?<br><br>教室の中に入っていく大山。小さな機械音が何度か聞こえてくる。ああ、そういう事か。<br><br>「印刷してくるな」<br>「完璧な客寄せを期待してるぞ」<br><br>大山が持ってくる客寄せ道具(写真)に期待していよう。<br>三度の往復で疲れたので廊下の壁に背を下ろす。<br><br>「ほお、これは何かな?」<br>「え、あと……」<br><br>下げていた顔をあげる。<br>……見間違いじゃなければ海原先生だな。体育の授業中に一緒にトランプやった。<br><br>「あ、君のクラスなのか」<br>「はい。えと、まあ客寄せの一種です」<br>「……で、この机は?」<br>「先生、あなたは何も見ていない」<br>「会話は聞いていたよー、後で個別に頼んだよ」<br>「オレに言われても……。はあ、まあ良いですけど」<br><br>この人にウェイトレスの写真の需要なんて何処にあるんだ?<br>……えと、まさか……無いよな。うん、可能性は無くないけど無いに決まってるよ。<br><br>再び腰を下ろす。<br><br>「黒斗ー、印刷終わった……と、先生居たのか」<br>「買収済みなのでご安心を。他の先生はどうだかわかんないけどね。じゃ、期待してるよ」<br>「大山、今すぐあの人に写真を投げつけてやってくれ」<br>「データで良いか?　コピーもしてきたし」<br>「良いぞ」<br>「了解、買収内容がわかった気がするな。まあ俺の写真じゃないし良いか」<br><br>さて、と言ってクリップボードが無いので写真をそのまま机の上に置いていく大山。<br>ざわざわと見物人が増えていく。<br><br>「これはサンプル、と。買う人は中で注文してきてね」<br><br>教室の中にも聞こえる声で叫ぶ大山。<br>中に居る固定客もなんだ?　と顔を覗かせようとするが店員に止められている。<br><br>しょうがなく金を払い一旦外に出ている。<br><br>「……あくどいな」<br>「まだ写真の種類は増えていくぞ。また半分も出してない。それと家族が居て見つかりたくない人用にデータで渡すって事もできるぞー」<br><br><br>値段も高めなんだろうなぁ。<br><br>それとウェイトレス達は了承したのか?<br>立ち上がり店内に入る。さすがに見慣れた顔なのでオレに対しいらっしゃいませー、などと言うヤツは居ない。<br>しかしイヤそうな顔をするヤツは居た。<br><br>「これの全責任は大山にある。オレに写真を印刷するなんて技術があると思うか?」<br><br>あるけど。<br><br>何だか少し和んだ雰囲気になる。<br><br>『そうよね。黒斗君に機械が扱えるわけ無いわ』<br>『そうそう。良くわからないけれど』<br><br>うん、良くわからないのに罵られてます。<br><br><br><br>このまま数時間。売れ行き絶好調のまま午後へと突入することとなった。<br>勿論今日の分の宣伝係りもおしまいだ。中魅には屋上で寝る、と言ったが実際は屋上に入ってこないヤツを見張る、ってところか。<br>屋上には夜のキャンプファイヤーのときに流す音楽をだすでかいスピーカーみたいなものがあるらしい。音質が良いものに買い換えたらしいが……風があったらあまり変わらなくなると思う。<br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br>頭の中では暇だけど、小説が浮かんでこないから忙しい。<br>……どういう意味だろう。
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<link>https://ameblo.jp/jan-akubi/entry-10631195611.html</link>
<pubDate>Fri, 27 Aug 2010 03:05:09 +0900</pubDate>
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<title>第八十九話『学園祭一日目です。この顔合わせは必要ないんじゃないか?』</title>
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<![CDATA[ 前書き<br><br>ああ、もう次の話で九十話行くんだよな。<br>……終われないよ。どうすればいいんだ。<br><br>―――<br><br>早朝、学園祭の一日目の朝は比較的静かだった。ただオレ達は話があるということで体育館に呼ばれた。<br>呼ばれたのがオレと大山と、あと名前と顔をぼんやり知っているぐらいの女子二名と共に体育館に向かうわけだが用事というのも特に正式名も無い学園祭を守る警備員兼学園祭の主役への話のことだろう。<br>まあ実際には呼び込みという役割のため主役とは到底言えないのだが……自由度が高いって意味では主役かも知れない。<br><br>「ところで大山」<br><br>女子に聞こえないようにこそこそと呟きあいつつ大山のほうを目だけを動かして見る。<br>待ってましたとばかりに話を広げていく大山。<br><br>「何故中魅達が選ばれずこの二人が選ばれたか、だろ?　まず、中魅達が強いことを生徒会長は知っているか?」<br><br>知っているも何もあの強さだ。知らないわけ……待て。<br>生徒会長は知っているとして、この学校の生徒全員は知っているか?　たぶんオレのクラスのヤツ等の大体は知っているだろうがその他はわからない。<br>という事は例え中魅が強いと知っていても生徒を納得させられるだけの理由が無いので表向きは生徒会長は知らない、という事にしないといけないのだ。<br>ファンクラブまで出来る熱狂ぶりだ。この警備員みたいな団体に入れるということは危険が伴うことになる。反感を買うのは好きじゃあないんだろうあの生徒会長は。<br><br>「知らないんだろうな」<br>「だろ?　だから名実共に優秀なあの二人の出番だよ。片方は空手、片方は柔道で、中学生大会ですごかったらしいぞ」<br>「ほお、そうなのか」<br><br>知らなかった。オレ達のはるか前を歩く女子二人を見る。<br>華奢な体躯をしているが、一般的に見て強いんだろうな。視線を大山に戻す。<br><br>「毎年でるものなのか?　暴れる馬鹿は」<br>「酒の販売が良いって事になってるからなぁ。出るだろうな」<br><br>溜息を吐く大山。なるほど……そういえばオレのクラスの出し物は普通の喫茶店ということだが……まさか酒は出ないだろうな。<br>考えても無駄なので考えをやめる。大山に聞くこともできるがそろそろ体育館も近いし口を閉じねばならない。きっと体育館の中は静かだろうから。<br>喋り声は目立つだろう。<br><br><br>☆<br><br><br>静かな体育館の中で待つこと数分、生徒会長が壇上に立つ。<br><br>「おはようございます。えー、今から不審者への対処方法など、トラブルの詳しい対処方法を教えようと思います。一日目、この学校の生徒だけでやる祭りとなるわけですが……そうそう不審者は入ってきません。出るとしても日程を間違えた人への簡単な対処ですかねぇ。間違って校内に入って来ているのを見たら間違えを教えてあげてください」<br><br>間違える人もいるだろうな。まあ二、三人程度だとは思うが。<br>オレのクラスは玄関からは少し離れたところにあるし、その役割をすることはあまり無いだろう。一日目は生徒が客になるのだ。つまり校舎の外で呼び込みはしないわけだ。<br>クラスのまん前で『美少女達のウェイトレス姿が見られるよー』とか『美少女による手料理はいかがー?』とか言ってればいいだろう。まあ実際には料理グループの大半が男だったわけだが。<br>女の大半はウェイトレスに回ったようなので客寄せに使う叫びは前者を使うことが多いかも知れない。<br><br>「まあもう一つの売りは作りたてって事なんだけどね」<br><br>軽食ばかり作るわけであるからして少ない時間で済むのだ。つまり作りたてで提供することが出来る。<br>今更だがバイキング形式にしたらもっと楽なんじゃないか?　とか思い始めたがそういうの考えてたらきりが無いのでここで一旦打ち切りだ。<br>生徒会長の話をしっかり聞こう。<br><br>「で、二日目は一般解放されるわけです。つまりどんな人でも入れるのです。ここからが貴方達の出番となることでしょう。得に狙われるのが入学したての高校一年生っ!!　気を引き締めることね」<br><br>ね、狙われるのか!?<br><br>まあ段階的に上に行くごとに不良が多くなるのは感じられたが……やはりそういうのが少ない一年が狙われるのか。<br><br>気を引き締める。良く見れば悲惨そうな顔をした男子が隣でぽけー、としていた。<br>たぶん二日目のことを考えているんだろう。待て、狙われるとは言っていたが多いとはまだ言っていないぞ!!　気を保て!!<br><br>「ちなみに、言いたくないけど今年度の一年は美人が多いから、たぶんそういう人も多くなると予想できるわ」<br><br>涙を流すなんて青春だなぁ。<br><br>その後対処方法など聞いたことのあるような内容を長い時間を使い聞かせられる。<br>一つだけ注意すべきは『新聞部の部員はある程度までなら止めなくていい』って事か。まあ腕に新聞部って書いてあるヤツを付けているみたいだから間違えることは無いだろう。<br>けれども去年、いや一昨年かららしいがこの学校の制服、そして新聞部と書かれた目印を付けているらしい人物がうろちょろしているみたいだ。<br>何処から漏れているかは知らないが、やはり気をつけなければならないな。<br><br>「では以上」<br><br>あっさり解散していく学園祭警備員共。<br>さてオレも帰ろうかといったところで誰かに首を掴まれる。<br><br>「うぐっ、な、何すんだっ!」<br><br>後ろを向けば大山が嫌そうな表情をしながら体育館の角を指差していた。<br>そこにはうちのクラスから選ばれた警備員の女子が居る。<br><br>「……なるほど。逃げようか」<br>「おい、後で殺されるぞ」<br><br>クラスにオレの居場所が無くなりそうなので大人しく従うことにする。<br>あくまで普通に接すれば何も起こらないはずだ。そうだろう?<br><br>「えっと、こっちが白神で……こっちが大山。いや、呼びにくいから下の名前でいい?　教えて」<br>「黒斗」<br>「通」<br><br>顔を見合わせる。<br>確かに二人とも華奢な体で顔だって大人しいほうで綺麗には見える。ただ威圧感がすごい。<br>オレには劣るが二人合わせれば無敵だー、ってな感じだ。<br><br>「黒斗、と通ね。よろしく」<br>「よろしく、ってお前も名前を名乗れよ。それとそっちのも」<br><br>むっ、という表情になる二人だが完全に忘れていただけらしい。次の瞬間にはしまった!　といった顔をしていた。<br>当たり前だ。クラスの中でも女子はグループを作っているわけであるからして普段話しかけることなど無いのだ。<br><br>「アタシはあだ名でいい?　ルミってのが呼ばれなれててさ」<br>「そんな事言うから本名が気になってくるじゃないか」<br>「そうかぁ?　胡桃(くるみ)って言うんだ」<br><br>木の実かお前は……。まあルミってのも納得だな。<br>もう一人を見る。一向に喋る気配が無いぞコイツは……。<br><br>「川越(かわごえ)秋津(あきつ)、生年月日は――」<br>「な、何で知ってるのっ!?」<br>「おお、やっと一言目喋ったな。まあ自己紹介はこれで終わりでいいだろう黒斗?」<br>「オマエな……」<br><br>ちらりと驚いている二人のうち一方を見る。さっきのルミはというと『コイツストーカー?』的な視線を送っているが本当にストーカー行為と認められるようなことをしているので弁護しない。<br><br>「まあ言いや。秋津ね」<br>「勝手に仕切るなっ!!　で、役割分担したいわけよ」<br>「オレ達が教室から外!　オマエ等が教室内で終わりだな」<br>「そうだけど……休み時間とかあるわけよ」<br>「そこら辺もあの優秀生徒会長なら把握して組んでるはずだけどな」<br><br>オレの一日目は午後より休みとなっている。午後からが本当は良かったんだが二日目が逆になると聞いて急いで逆にした。<br>別に午後からじゃイヤなんて事は無いが散々遊んだ後に労働が来るのはイヤなだけだ。<br><br>「そ、そうなの?　アタシ良く知らないんだけど」<br>「なら傍若無人とだけ覚えておけばいいぞ。そしてあれの悲痛な声は聞いてて気分が良いって事も覚えておけ」<br><br>完全に大山の中でいじられキャラになってるな生徒会長。<br>まあ良い。<br><br>「もう話すことは無いだろ?」<br>「まあお互い頑張りましょ」<br>「だな」<br>「うん」<br><br>あれ?　大山?<br>一人だけ掛け声の中に入ってこなかった大山を見る。<br>絶望にゆがんだその顔……その視線の先を見る。<br><br>「……秋城先生を見てしまったか」<br><br>女子二人に苦笑いを見せつつオレは大山の担ぐ。<br><br>「さ、さて走って帰るぞ大山ー!!」<br>『おぅー』(オレの裏声)<br><br>ルミの呼び止める声が聞こえた気がしたが勿論そんなもので止まってられない。<br>こうしてオレの学園祭一日目が始まった。<br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br>とりあえず怪獣でも出して黒斗に戦わせ見事勝利ー、じゃあ意味不明ですよね。
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<link>https://ameblo.jp/jan-akubi/entry-10630223447.html</link>
<pubDate>Thu, 26 Aug 2010 02:07:31 +0900</pubDate>
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<title>第八十八話『指名です。謝罪しなさい?』</title>
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<![CDATA[ 前書き<br><br>昨日は……メンテナンスだっけ?　まあ更新できなかったおかげで今日は書かずにすんだっ!!<br>いやぁ、ありがたいありがたい。見直す時間ができたし。<br>……見直さなかったけれども。<br><br>―――<br><br>あれは……中魅なんだろうか?<br>見たことある背中を確認して少し疑問に思う。外見からすれば中魅だ、ただ一つだけ昨日と違う点があるのだ。<br>勿論それはオレが中魅かどうかそれを疑うほど禍々しいというか異様なオーラを放っていた。<br><br>「たぶん正解」<br>「たぶんって何だよ。その前に気づかないように近寄ってくるのはやめてくれ」<br><br>挨拶は面倒だし今更なのでやめ突っ込みを入れる。<br>勿論声の主は神立だ。<br><br>「趣味、人の趣味に口出しはいけない」<br>「オマエの趣味は心臓に悪い。いや、それを趣味にしているんだろうけども」<br>「……声かけるの?」<br><br>話を逸らしたよコイツ。<br>まあ声をかけてみようとはオレも思ったので中魅のほうに歩いていく。<br>その異様なものはやはり重量感ある音を出していた。周りの連中は学園祭に使うものだろうとでも思っているのか不気味がって見てない。<br>わかるのはオレのクラスの連中だけだろう。オレ達のクラスは日本刀なんてものは使わないのだ。<br><br>「中魅、おはよう」<br>「ん?　ああ、おはよう」<br><br>オレの後ろに居る神立にも挨拶をする中魅。<br>そのたびに音を鳴らす日本刀が目立つ。<br><br>……オレはこんな事のために日本刀渡したんじゃないんだが……物凄く気になる。<br><br>「いきなりだがその目立つものは何だ?」<br>「お前が昨日くれたものだ。大事に扱っているぞ」<br><br>それは良いけど出来るだけ目立たないように持ってくれ。<br>伝わらないだろうがぼかしつつそれを言いつつ学校の敷地内に入る。そこから話も途切れ下駄箱で靴を履き替えると教室へ向かう。<br><br>「中魅……それ何処かに置いておいたりしないのか?」<br>「盗まれたらダメだろう?」<br>「まあ、そうだけど……」<br><br>やはり目立つ日本刀。さすがにオレのクラスメイトの数も増えてきてソイツ等が驚いているのを見て周りも気づき始めた。<br>元々美人ってことで噂の中魅だし噂は拡大する一方だろう。<br><br>中魅もそれを覚悟してるだろう、ということも考慮しオレは特に騒がず教室に入る。<br>やはりというべきかここには大山が居るのだ。情報は素早く伝えられている。誰かが息を呑む音が聞こえてきた。<br>そこまで緊張するか?<br><br>オレはリラックスして席に座る。<br>周りがオレの分まで緊張してくれている感じだからオレまで一緒になる必要は無いだろう。オレもここで始めてみていたのなら緊張していたかも知れないが。<br>色々用具を仕舞っていると急に竹刀袋に入っている日本刀を取り出す中魅。今なら大山の気持ちがわかる。<br>中魅はコレを使って気に入らないヤツを殺し始めるんじゃないか?　という緊張。この近距離だ。オレだって案外一撃で死ぬかも知れない。<br><br>しかし中魅がやったのは鞘を抜き刀身を磨く行為。<br><br>ふぅ、と溜息が漏れる。<br><br>誰かさんと重なったのか大山は教室の隅で震えている……が、神立だけが平気そうな顔で本を手にとって読んでいた。<br>内容はある程度までなら認知できるものなので放置しておく。事実的に危ないのは日本刀なのだ。<br>まあ友達の一人が正常じゃないってのも事実的に危ないのだがまずは目の前の物から対処していこう。せっかく周りから助けてくれっ!!　といった感じの眼差しで見られていることだし。<br><br>「あー、中魅。オマエ日本刀なんて人の居るところで取り出したら危ないだろうが」<br>「……はぁ(息を刀身に吹きかける音)」<br><br>……自分の世界に入ってないか!?<br><br>どうやって連れ戻すか……。肩に手を乗せるという行為はかなりの確立で死亡フラグを立てそうなのでやめておくとして他に何があるだろうか?<br>先生が教室に入ってきて一声かける?　ダメだ、先生の声で戻るぐらいならオレの声で目覚めているはず。<br>となると放っておくという選択肢が浮かび上がってくるわけだがこのままの中魅でも十分危険だ。<br><br>「死ぬ覚悟でいけ、という事か」<br><br>オレの右手を中魅の肩に向かわせる。<br>勿論後ろから向かっている。そうじゃなければ危ない。真正面からズターとやられるのはイヤだ。<br><br>そしてオレの手が中魅の肩に触れる瞬間――何処からともなく飛んできた消しゴムが中魅の頭に直撃する。<br><br>「あたっ!!」<br>「って、危ないっ!!」<br><br>急いで身を引く。腕が切断されるぅ!!<br><br>後ろに倒れた中魅の顔を見る。<br>何やら憤った様子だ。<br><br>「黒斗……何も殴る事は無いんじゃないのか?」<br>「いや、殴ってないぞ。それよりもオマエ、自分の世界に浸るのは良いが人の居るところで日本刀は取り出すな。危ないだろうが」<br>「あ、それは……すまん。しかし殴ってないとなると誰が……」<br><br>何処からオレも飛んできたかわからないが自然と周りのクラスメイトが視線を向ける先をたどりその消しゴムを投げた人を見つける。<br>うん、神立だった。アイツならやりそうなことだな。<br><br>「神立、投げるなら投げると言えよ」<br>「それじゃあイタズラじゃない」<br>「うん、まあそうだな。黒斗落ち着け」<br>「落ち着くのはオマエだ!!　何で今の説明で納得した!?」<br><br>周り見る。<br>何故か納得した表情のクラスメイト達。アレ?　オレがおかしいのか?<br>いやいや、そんなことは無いと思うが不安なので話題を変えよう。<br><br>オレの席に戻り中魅の方を見る。足音が無かったから気づかなかったが神立も近くに来ていた。<br>大山も顔が青いが居る。<br><br>「そういえば騒ぎを止める団体の件どうなってるんだろうな」<br>「通称STDだな」<br><br>何でも略せば良いってものじゃないぞ大山。<br>しかしそう呼ばせてもらおう。<br><br>「大山何か知ってるか?」<br>「そういや学級委員から説明無かったな。アレは生徒会側から指名が来るようになってるんだぞ」<br>「ほお、なるほど。大山とか嫌味で入れられそうだな」<br>「お前も同じだろ?」<br><br>オレは生徒会長の秘密など握ってはいないぞ。<br>三桁の計算が出来ないって事以外は。アレ?　暗算だっけな?<br>まあどっちでも恥ずかしいから良いだろ。<br><br>ちょうど会話は生徒会の話に移ろうとしていた時校内放送の合図が鳴る。<br>何かイヤな予感がするぞ。コレで三度目だ。<br><br>『えー、説明が行き渡っていると思いますが先日集会で学園祭のことを話しました。それには一般人も来ます。お酒を出す店もあるでしょう。そこで風紀委員含め全クラスから強い人、話し合いがうまい人でも集めようと思います。この学校伝統なので覚えておくように』<br><br>いつに無く適当だな生徒会長。まあ緊張してないってところは素直に褒めれるところだが。<br>呆れつつ続きを聞くことにする。<br><br>『それで、今回より新制度が儲けられました。まあ各クラスで決まった持ち場とこの役割の両立ですね。一クラスの人数が多ければ良いんですけど。まあ四人も一気に抜けたら機能しなくなるところもあるでしょうし』<br><br>強制指名なのか!!<br>まあそれも伝統なのだろうな。だってクラスメイトとの思い出が一つ無くなることになるのだから。<br>でも今回は必要無い気がする。両立させるのだったら思い出も作れるし治安も守れるし。<br><br>ここでオレは校内が静かなことに気づく。おかげで放送が聞こえてくるスピーカーから紙をめくる音が聞こえてきたぐらいだ。<br><br>『では発表します』<br><br>三年から発表されていくようで知らない名前が続々出てくる。<br>ただ学校内で怖がられている不良共の名前は誰も出てこなかった。不用意に権限を渡さないためだろう。<br>しっかりしてるなぁ、とか思いつつ次はオレのクラスか、と気を引き締める。ここでイヤな予感を打ち消せれば良いんだが……やはりイヤな予感しかしない。<br>まあ最低限に抑えるため『もしかしてオレが選ばれることは無いよな?』というのは思わないで置く。<br><br>『次のクラスは。ああ、ココね。即決したところ』<br><br>オレのイヤな予感を増長させないでくれ!!<br>頼むからっ!!<br><br>手を合わせて祈る隣の友人に習いオレも手を合わせる。<br>きっと大山が二人分担ってくれるに決まっている!!　きっとそうさ。<br>大山は頼りがいがあるからな!<br><br>『大山通君、そして白神黒斗君。んじゃ女子行くよ』<br><br>……………………心の準備は出来ていたさ。<br><br>「大山、屋上に行って一緒にに叫ばないか?」<br>「おうよ。でも先に生徒会室に行こうぜ」<br><br>なるほど、抗議するだけしてみるってことか。意図的に相手の迷惑なことをやるなんてさすがだぜ。<br>という訳で生徒会室に向かう……途中で気づいたんだが生徒会長は放送室に今居るんじゃないか?<br><br>「大山、進路変更だ。放送室だ。放送室に向かうんだ」<br>「いや、それはトラップだぜ。生徒会室からでも校内全体に放送できるように配線されてるんだ。防音効果もバッチリらしい」<br><br>……ん?　待てよ。<br>それじゃあ常日ごろから廊下で遊戯格闘部と称して生徒会を音で悩ませている千里先輩はどれだけでかい音で殴りあい……じゃなくて戦闘してるんだ。<br>何かもう殴り合いでも戦闘でもどっちでも良いけど。<br><br>と、いうわけで生徒会室の前に着いた。<br>扉の前には誰も居なかった。まあ両立できるってのなら不満がある人はでないだろう。<br>明らかに嫌がらせな意図的で選ばれたオレ達以外は……だが。<br><br>「扉に鍵が掛かってるぞっ!!」<br>「殴れば良いだろ!」<br>「なるほど」<br><br>頭良いな。っていうか壊して良いのか?<br>始末書とか書かされない?　まあそれを書いてでもやるだけの価値はある!!<br><br>拳を硬く握り扉を見る。<br>防音効果の扉は度々殴ったことがあるが耐久度的に言えば少し破壊しにくいぐらいだ。<br>まあ本気で殴れば良いだろう。<br><br>勢いを付け扉に殴りかかる。<br><br>と、同時に扉が開き生徒会長を先頭に生徒会の役員が出てくる。<br><br>「あ、ぶ、なぁぁぁぁぁぁ」<br><br>拳を戻せなかったので体ごと体当たりすることにする。<br><br>「へ?　あ、うごっ!!」<br>『ちょ、かいちょー。やっぱり恨まれてたよー』<br>『この二人は危険、わかってたはずなのに、ね?』<br><br>他にも声は出ていたがもう聞こえなかった。生徒会長にすでにぶつかっていたから。<br>後ろの役員も巻き添えにして倒れこむ。<br><br>「こ、これぞ男の生き様っ!!　まあしょうがない。保険の先生を呼んで来てやろう」<br>「いつつ……。待て大山っ!!　カムバァァァァック!!」<br><br>オレの叫びは届かなかったようだ。<br>十分聞こえる距離だったろう?　なあ大山。<br><br>それぞれの役員達、ダメージの少ない者から立ち上がる。<br>最後に生徒会長も立ち上がり頬をさすりつつ立ち上がる。今日は珍しく眼鏡などしていた。<br><br>「まず、殴ったことを謝りなさい」<br>「ごめんなさい。じゃあ次は生徒会が謝る番だな」<br>「……毎年こうなんだって。まあ今回から無いと思われてたんだけどねぇ?　ね?」<br>『いや、かいちょー。完全に意図的に二人選んでましたし。謝った方が良いでしょ』<br>「バラしちゃダメでしょうがぁぁぁぁ!!」<br>「信頼できない部下だな。まあありがたい。謝れ」<br>「……イヤ」<br><br>チラリとさっきのオレを弁護してくれた男を見る。<br><br>「謝りましょうよー。この人秘密知ってる一人――」<br>「謝る。ごめんなさい。はいっ、この件おしまいっ!!」<br><br>そんなに秘密っての強力なのか……。でも、まあオレが知ってるのはダミーなんだが。<br>ちょっと変わった人達だなぁ、なんて思いつつオレもクラスに帰ろうと背を向ける。<br><br>『怪我人って何処かなぁー。あっはっは、エロちっくな保険医様が診断してやるにょーん』<br>「あの生徒会長です」<br>『了解ー!!』<br><br>その後の光景は……悲惨だった。<br>しかし大山。すごく良い笑顔だな、それ。<br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br>大山は生徒会長をいじるのが好き。豆知識ねー。
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<link>https://ameblo.jp/jan-akubi/entry-10629275006.html</link>
<pubDate>Wed, 25 Aug 2010 01:12:25 +0900</pubDate>
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<title>お休み</title>
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<![CDATA[ 睡魔が断続的に襲い掛かってくるのでおやすみです。<br>今日は色々忙しかった……いや、それをブログネタにすれば良いのか?<br><br>今日は寝るので無理でしょうけどねぇ。
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<link>https://ameblo.jp/jan-akubi/entry-10627306880.html</link>
<pubDate>Sun, 22 Aug 2010 23:09:50 +0900</pubDate>
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<title>第八十七話『柔軟です。一本の線で結んでだな』</title>
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<![CDATA[ 前書き<br><br>描写の難しさといったら……。<br>得意、とか言ってる人がいたら人体をさかさまにして攻撃している様を是非とも攻撃している人間視点で書いて欲しい。<br><br>―――<br><br>黄昏時。カッコよくそう呼んでみたが言ってみれば夕方だ。<br>部活も休みで確かこの時間は部活での出し物の作成だったと思う。勿論オレは何もやってないのでそのまま帰るか少しだけ作業をして帰るつもりだったのだが秋城先生に呼び止められてしまった。<br>本当に体育館には秋城先生とオレ以外の人間が……いるけども。神立のせいだろうけども暇人が何人か観戦に来ているけども占領して使っているヤツは居なかった。<br>もう来てしまったし断れない。秋城先生は一応怖い先生だからなぁ。まあ目立つことしなきゃ怒られないけれども。<br>その点で言えばオレは救われてるなぁ。大山なんてげっそりだが……それなら観戦に来るな。<br><br>「先生、防具は……」<br>「お前の武器は拳だろう?　ならばわたしの武器は刀、お互いに防具などいらない」<br><br>そう言って取り出したのは本物だ。<br>本気で戦おう、という意味だろう。一応病み上がりってことなので全力は避けたいところだが手加減したらしたで首が飛ぶ可能性もあるのでダメだ。<br>生徒相手にこんなことしているのが見つかったら秋城先生はクビ決定だが、まあその時にはオレが全力で手を回してやろう。<br><br>「一つ賭けをしないか」<br><br>秋城先生から提案があがる。男友達同士だったら気軽に乗ってやるところだが相手は秋城先生だ、何を要求されるのだろう。<br><br>「わたしが勝ったら……そうだな。中魅と付き合って――」<br><br>な、何を言ってるんだこの人は!!<br><br>「わたし一ヶ月わたし達と修行というのはどうだろう」<br><br>こけそうになる。オレの早とちりなんだが……どうも緊張してしまった。<br>しかし一ヶ月の修行。やってみたい気もするがヘンな噂でもたったらどうしよう……と考えるだけで何か普通じゃない気がする。<br>勿論今の状態ですでに普通じゃないがここで勝てば普通に戻れるのだ。<br><br>「お前は何を要求する?　何でも良いんだぞ?」<br><br>言葉の真偽はわからないが秋城先生のことだ、本当に何でも良いのだろう。<br>例えば成績を偽装してあげてほしい、とかの用件でも飲んでくれるに違いない。相手もそれは百も承知だろうから。<br>ならばそこはオレだ。一番利益になりそうな……待てよ。<br><br>「オレが勝ったらその日本刀。貰い受けますっ!」<br>「これか?　お前には不要な物だろう?」<br>「ちょびっと中魅の免許皆伝を早くしてやるんですよ」<br>「別にこれを持ったって実力があがるわけじゃない。それはお前もわかるだろう?」<br><br>わかってる。わかってるからこそなのだ。<br><br>「免許皆伝と共にその日本刀もらえばカッコいいだろうけどさ。未熟なヤツでも未熟なりに武器を扱えるんですよ?」<br><br>ちらりと中魅を見る。少し驚いているようだ。当たり前だろう、オレが他人のために戦うなど依頼じゃなければ始めて……じゃあ無いな。<br>利益を求めないとしたら始めてだ。<br><br>「まあ何よりの理由は秋城先生が大事にしているものを取り上げたい、っていう一つの理由なんですけどね」<br>「……簡単には取らせんぞ」<br><br>開始の合図もなしに秋城先生が突っ込んでくる。<br>間合いなど気にせず兎に角攻撃するらしい。前見た時にはこんな剣術ではなかったはずなのだが……。<br><br>周囲に気を使いつつ避けていく。目で終えないスピードではないし避けるのだってギリギリではない。むしろ普通より余裕がある。<br>リーチが長い分動作が長い。つまり力の向きを見るだけで避け方がわかるのだ。剣戟を寸前で変化させるってのは落ちるリンゴを浮遊させるにも等しいことだとオレは思う。<br>勿論ゆるやかな攻撃のときではない、実践で使える剣術の中の動きだ。<br>捕縛と殺傷を目的とした流派だ。戦い専門じゃない分それを求めるのは酷(こく)かも知れないが中魅は独自に変化させ戦場でも使える剣術に変えていたと思う。<br>完成されてないからこそ出来る進化だ。<br><br>「かなりのスピードで振っているはずなんだがな」<br><br>どうやら秋城先生も口ではそう言っているが喋れるだけの余裕があるらしい。<br>ここで反撃するのも良いが会話をしようと思う。<br><br>「軌道が読みやすいので助かります」<br>「言ってくれるな」<br><br>浅い笑みを浮かべる秋城先生と同じくオレも口だけで笑みを作る。目は真剣そのものだがこの戦いは楽しい。<br>ただまだ相手は使ってきていない術がある。捕縛のほうだ。秘密兵器にでもしたいのだろうか?　ならば先手を打って腕を封じさせてもらおう。<br><br>秋城先生の攻撃を避け手首を掴む。怪力で押し返されると思いきや思ったより弱い力だ。ただ一般的に見たら女性、男性含めても強いほうだとは思うがオレには劣る。<br>拳で戦うオレと武器を使って戦う秋城先生ではここでは力量の差がでて当然だ。<br><br>「この短い距離じゃあオレが有利だ!!」<br><br>秋城先生の手首を無理やり右に引っ張り自分との距離を調整すると左足でわき腹を狙って蹴る……が何かに阻まれる。<br>何かがある様子でもないのに……だ。<br><br>何かを本能的に感じて後ろに下がる。<br>そこから見たのだが秋城先生の手に持っていた日本刀が消えている。その日本刀はと言うとさっきまでオレの居た位置に浮かぶように止まっている。<br>設置、という言葉が似合いそうだが秋城先生がそれを手に取った時点で設置というのは間違った表現になる。<br><br>「どうなって……」<br>「足に仕掛けなくても……人は必ず身に着ける繊維でできたものがある」<br><br>服か?　なるほど少なくともこの学校の制服は繊維でできているな。<br>動きにくいので上着は脱いでいるが下まではやはり脱ぐことは出来ない。<br><br>「はぁ、羞恥心を捨てなければ秋城先生には勝てないのか……」<br><br>びくっ、と大山が痙攣起こしたような気がするが現在気絶中なのもうわからない。<br>最悪の思考になってきたんだが。<br><br>「そんなことは無い。お前は強いさ」<br>「相手が何をしているかわからない以上オレは技術面では秋城先生には劣っているんです」<br>「お互い褒め言葉として受け取ろうじゃないか」<br>「そうですね」<br><br>その言葉と同時にお互い再び相手に向かい走り出す。<br>日本刀を持ったその手を右に一閃させる秋城先生。それをしゃがんで避けると転ばせるために足を蹴る。オレの目論見通り転んだのは良いのだが悪あがきのつもりかオレが下敷きになるように倒れてくる。<br>厳しい状態だったが片手に無理やり力を入れて横へと飛ぶ。<br>なるほど、漫画とかで見たら簡単そうだったのだが重心を片手一つで支えて、そして不安定な重心を制御して横へ吹き飛ばすなんて夢に等しい確立じゃないか。<br>奇跡が起こったおかげ、とでも言いたい気分だ。ただまだ戦闘の最中、オレが避けたせいでそのまま倒れた秋城先生は起き上がってこない。<br><br>「……あ、あの……」<br>「ま、まだいけるぞ……」<br><br>ぐさりと剣先を体育館の床に刺し立ち上がる秋城先生。血さえ出てないものの有効なダメージになったのは間違えない。<br>しかしそれより気にするところは体育館に傷を作っちゃったけど良いんだろうか?　という点だ。周りは特に気にしてないように見えるが問題あるだろう。<br><br>「はあっ!!」<br><br>掛け声とともに降りかかる剣戟を避けバランスを素早く確保し蹴り技を放つ。<br>狙うは手首。日本刀を弾けば勝てる、とオレは確認じゃないにしてもかなりの確立で勝てるだろうと思っている。<br><br>「く、うぅ……」<br>「耐えただと!?」<br><br>秋城先生の手首を見る。少し赤くなっていた。<br>これが後から腫れると思うと少し後ろめたいが引き下がるわけには無い。<br>今のうちに追撃を放とうと蹴りが終わった足で床を踏みしめもう片方の足で膝に向かって追撃を放つ。あまり大きな動作で狙ったら隙ができると思ったのだが予想に反し小さな動きで放った攻撃に関わらず避けられてしまった。<br><br>「これじゃあ勝負がつきそうに無いですよ」<br>「しかしわたしはじわじわと痛みを受けていっているぞ?」<br>「オレだって大きな動きして体力使ってますから」<br><br>どっちが倒れるか、じゃない。どっちが最後に立っているかがこうなったら問題になってくる。<br>地味な戦いになると思うが冷静さを失った方が負ける戦いってのはこういうのなんだろう。<br><br>「考えていることはわかるぞ。しかしわたしにも時間の都合というものがあってな。こうしないか?」<br>「時間ですか。どういう方法に変えるんですか?」<br>「わたしが持てる力のすべてを使って渾身の一撃を放つ。それを防ぐでも避けるでも出来たら勝ちは譲る」<br><br>内容はわかった。<br>だがここまで言うのだ。相手に何か策があるのは見えている。けれども時間というのもオレ達の敵なのだ。<br><br>「じゃあ早くやりましょう」<br>「多少怪我をするかも知れないが我慢してくれ」<br>「死ぬ気で避けるから安心してください」<br><br>言葉を交わすのもこれで終わり。ここから始まるのは拳と刀の一騎打ちだ。<br>秋城先生の持てる力といいえば捕縛術も含まれている。つまりカードに例えるならばジョーカーとクイーンが手を組んだ状態でキング一枚で戦えと言っているようなものだ。<br>絶対に負ける。<br>ただオレの勝利条件は打ち勝つ事じゃあない。避けることだ。<br>絶対という言葉に綻びを生じさせる行動だ。<br><br>秋城先生は奇妙な構え、まるで長剣でも持っているかのように片手で日本刀を扱っている。<br>もう片方の手は何もしていないように見える。バランスを取っている様子にも見えないし何をやっているのだろうか。<br><br>オレの疑問など無視して両手を引きずるように走ってくる秋城先生。<br>まるでアニメや漫画の中の忍者のような走り方。<br>いや、待て。今の状態を見るに肩の力を使って刀を振るうのは明らか。今までは腕と肩で両立させていたのが一方になる。<br>くるり、と半回転し勢いをつけ刀の刃を向けオレに襲い掛かる。<br>なるほど、あの何も持っていないほうの腕は錘代わりか……って危ないぞ!!<br><br>本当に避けるか防御しなければ負ける、いやこの世からリタイアして死ぬ。<br>もっとも確実に防げるのは両腕を使いガードする。となると両腕二つが犠牲になるから無理。<br>避けるとしても何かワンクッション無いと思うようにスピードが出せない。重心移動なんて相手の攻撃方法がわからないうちからやらないし。<br><br>ええい、こうなったら今思いついた策を披露してやろう!!<br><br>今一番早くできる重心移動は上から下に移動することだ。と言っても前進を隠すことなど出来ない。<br>簡単に言えば蹴りの体勢になるのだ。<br><br>蹴りを自分の顔の高さまであげて頭を自分の足の位置まで下ろす。勿論柔軟じゃなければできないが武道家なら体が柔らかいのは当然。<br>この状態でどうやって剣戟を防ぐのかというと極簡単。<br><br>「うぐっ」<br><br>表現するとすれば天秤だ。一方が落ち、一方が上昇する。<br>オレの足と頭までを直線で結ぶとする。すると面白いことにオレが頭をしたにすれば足は上にあがるのだ。<br>そしてオレの背は秋城先生と同じぐらい。ギリギリ足が届き顎を蹴り上げたというわけだ。<br>こっちだって腕を使わずに反応してやったのだ。<br><br>「ま、まさか成功するとは……」<br><br>攻撃スピード的にはかなりギリギリだっただろう。ただこれでオレは新たな技を手に入れたというわけで、一件落着して欲しい。<br><br>「し、舌噛んだ……。酷いな……君は」<br>「勝負じゃなかったんですか?」<br>「……それもそうか。約束通り――」<br>「中魅に直接ってのはどうです?」<br>「まだあの子は免許皆伝じゃないんだぞ?」<br>「それもそうですね」<br><br>って言うか自分の師匠が敗れる姿を見て中魅はやっぱり怒ってるよなぁ。<br>一応謝っておこうか。<br><br>端で観戦していた中魅に近寄りまずは謝ることからだ、と頭を下げる。<br><br>「ごめんな。中魅」<br>「……ん?　何故謝る」<br>「だって、秋城先生倒しちゃったし」<br>「それで何故私に謝る。お前は誰にも謝る必要なんて無いんだぞ?」<br>「そ、そうか?　なら、コレ渡しとく」<br>「正直私も受け取りたくないんだが……。正攻法じゃない気がするし」<br>「良いんだよ。世の中強いヤツが勝つんだから、弱いヤツを強くする道具は絶対必要だ」<br>「む、失礼だな」<br><br>……失言だったか……。<br><br>「おお、こんなところにちょうど良い……あっ、待て!」<br><br>大山の気持ちがすごくわかる!!<br>それでも諦めないオマエはある意味凄いよ!<br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br>学園祭の準備中なのに何をやっているんだろうコイツ等は……。
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<link>https://ameblo.jp/jan-akubi/entry-10626512607.html</link>
<pubDate>Sun, 22 Aug 2010 02:14:04 +0900</pubDate>
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<title>第八十六話『辛いです。近くのファミレスへ』</title>
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<![CDATA[ 前書き<br><br>あれ?　ヒロインって誰だっけ?<br><br>―――<br><br>一週間の準備期間の半分が過ぎ、教室の装飾などを作る中オレに下された命が一つあった。<br><br>「近くのファミレスに衣装借りて来い?」<br>『話は通してあるから。勝手に持ってきて良いよ。働いてる子のはダメだけどね?』<br>「わかってますけど。オレだけで?」<br>『そうね。手が空いてる子適当に連れてって良いから。よろしく』<br><br>そう言って去っていくクラスメイトの女子。手の空いているヤツというと同じ宣伝係である大山か、あとは顔だけしっている田口君だけだ。<br>何故オレに頼まれたかはわからないが兎に角暇そうな友達を片っ端から誘っていこう。<br><br>まずは大山を探すことにする。机に顔を伏せ眠っていた。どうやら情報収集や料理の調味料などの口出しはしていない様子。<br>寝ているんだろうが叩き起こしてやろう。<br><br>大山の席に近づき肩を叩く。僅かに聞こえてきた寝息が止まる。しかし再び寝息が復活する。<br>コイツも疲れているんだろうけどファミレスに衣装を借りてくることを聞いたら付いて来るに決まっている。それにオレは耳が良いほうだ。<br><br>「起きてるのはわかってるぞ。動きたくない気持ちもわかるが頭を上げろ」<br>「……寝かせてくれ。昨日は死ぬほど忙しかった」<br><br>顔を伏せたまま大山が答える。勿論それで引き下がるオレではない。<br>首根っこを片手で掴み顔をコッチに向けさせる。<br><br>「ファミレスに衣装を借りに行くんだ。どうだ?」<br><br>少し思考した様子の大山。<br><br>「誰か絶世の美女が行くなら行くぞ」<br>「良かったな大山!　少し遠いから秋城先生が車を出してくれるってさ!」<br>「行かない!!　絶対に行かないっ!!」<br>「おいおい大山。大山が来ることを拒否したことを秋城先生に伝えたらどうなると思う?　オレがこのまま一人で行ったらどう思うかなぁ?　ねぇ大山君」<br>「……う、行こう」<br><br>秋城先生は優しい人だからな。オレがしょんぼりした顔で大山のことを語れば大山を襲撃しに行くだろう。<br>それを避けるためにも大山は絶対に来ないといけないわけだ。<br><br>さて後は中魅や神立を誘いたいところだが何やら急がしそうだった。<br>どうやら『お客にアレな行為をされたときの対処方法講座』を教えているらしい。なるほど、あの二人ならば最強タッグだ。<br>そこに桜が加わったら最強チームと化すだろう。情報面でも、精神面でも、武力面でも勝てる気がしない。<br>一つでも固められたら厄介だというのに。<br><br>「さて行くか」<br>「……そうだな」<br>「やる気出せよ。死ぬわけじゃ無いんだし」<br>「ははっ、頑張ってみるさ」<br><br>笑顔が……。それほど怖いのか。<br>見る人によれば素敵な笑みに見えるだろうそれを見て大山と距離を取りつつ廊下に出る。<br>各教室の偵察、では無いけれど少し覗いてみようか。隣の教室、同じ一年生が作るのはどうやら『高校生体験』らしい。<br>実物の高校生が初歩的な問題を出して集められた客が椅子と机に座りそれを解いていくというものらしい。出費は鉛筆と消しゴムとノートのみだ。<br>なるほど親御さんをターゲットに狙った作戦か。<br>隣のクラスには小中高と勉強ばかりしてきた天才君というあだ名の素晴らしい頭を持つ人が居るらしいのでそいつが先生役だろう。<br>ただこの学校は公立校だ。そこら辺を理解してやらねばならない。<br><br>靴に履き替えて校門のところで待つ。外でたまに車やら人やらが通り待つこと数分。<br>車種には詳しくないがこじんまりとした秋城先生らしい車が見える。<br>ただ隣でビクビクしている大山を見ると何故だかこじんまりとしたその車も人一人を畏怖させるカッコ良いものに見えるから不思議だ。<br><br>「乗ってくれ」<br>「よし、じゃあ大山には助手席を譲ろうじゃないか」<br>「い、嫌だ!　う、後ろな?　俺は後ろ。ほら、俺ってよく後ろっぽいって言われるだろ?」<br>「聞いたこと無いぞ。まあ良いか」<br><br>さすがにオレも秋城先生の隣だと緊張するし。<br>結果的に二人仲良く後ろに乗ることとなった。授業時間なのに外へ出る、ってのは少し興奮する。不良ってのはこういうのが楽しいんだろうか?<br><br>「そういえば場所は……」<br>「知ってる。先に教えてもらった」<br><br>用意周到だな。そして秋城先生に話しかけるなんて勇気あるな。<br>そんな事を考えていたが一番疑問なのは何故担任の先生じゃなく秋城先生が運転するか、なわけだがその時には沈黙の空間が出来ていて聞ける雰囲気ではなかった。<br><br>歩いて何分だか知らないが十分かそこらでその目的のファミレスに着くことが出来た。<br>綺麗なところに見えるし昼に近いこともあってか客も多いように見える。これは早く用件を済ませなければいけない。<br>男子だけじゃ言いづらいだろうという秋城先生の計らいで一緒に付いてきてもらうこととなった。その分大山には余計な恐怖となっただろうが。<br><br>「いらっしゃいま……学生さん、ということはー」<br>「あの件です。忙しい中すいませんけど……」<br>「ああ、良いよ。店長がサボって……じゃなくて奥で休んでるから店長に会ってよ」<br><br>そう言って奥に導かれるように入っていく。<br>バイトなんてしたこと無いので知らなかったが結構狭い部屋だ。厨房が大きく面積を取っているんだろうか?<br><br>「どうも。店長の溝端です」<br>「こちらこそどうも」<br><br>秋城先生が代表として話を通してくれる。用なしとみたかさっきの男の子は去って行ってしまった。<br>多忙なのだから仕方無いだろう。<br><br>「これで良いのか?」<br><br>そう言って目の前に衣装を持ってきてオレに見せる秋城先生。<br>おお、何か神々しいものを見ている気分だ。何故か大山が震えてるが。<br><br>「どうした?　従業員の衣装はこれで良いんだろう?」<br>「はい!　物凄く良いです!」<br>「物凄く?」<br><br>不思議そうな顔で見てくる秋城先生。<br>これが大人の魅力というヤツか!<br><br>「何でも無いです。それじゃあ学園祭が終わったら返しに来ますので」<br>「ああ、はいはい。私も暇が出来たら学園祭に行くからね。その時はよろしくね?」<br>「アイツもウェイトレスとしてやってるので。出来るだけ早く来てくださいね?」<br>「見慣れてるからなぁ」<br><br>優しそうな笑顔で笑う店長だが、サボってるって言ってたよなさっきの子。<br>その後も礼を言って後部座席に男子用と女子用の衣装を乗せ学校へと戻る。荷物があるせいでオレは前の席となってしまった。<br>大山が衣装に埋もれてるが気にしない。<br><br>「……あの子、どうだ?」<br>「え?　あ、中魅のことですか?」<br><br>小さく首を振る秋城先生。<br>なるほど中魅の強さのことを言っているわけか。<br><br>「アイツもすごい強くなりましたよね」<br>「わたし的には中魅には胸を小さくするかバランスを取るためにお尻をでかくしてもらいたいんだがな」<br><br>そんな肉体的な話をされても!!<br><br>愛想笑いで誤魔化しつつ中魅の話題から遠ざけようと必死に頭を動かす。<br><br>「まあそんな話は良いんだ」<br>「良いんですか……。他にも話が?」<br>「放課後、暇だろう?　練習試合をしないか?」<br>「な、でも演劇部が――」<br>「まだ衣装作りをしている最中だから安心しろ」<br><br>……避ける術をオレは持っていません。<br><br><br>☆<br><br><br>「おお、中々良いな。って黒斗?　どうした疲れたような顔をして」<br>「何でも無い。けどな中魅、オマエは胸がでかいらしいぞ」<br><br>秋城先生が遠まわしに言ってた。それに疲れたような顔をしているのはオレだけじゃない。大山もだ。<br><br>「そんなに大きいか?　ふむ」<br><br>恥ずかしがるでもなく自分の胸を見る中魅。<br>オレも自分の席に座るとしよう。会話を打ち切って自分の席に向かう。<br><br>オレも先ほどの大山みたいに肩を叩かれる。<br>ああこんな悲しいときになんだ?<br><br>「人生、頑張って生きてる人も居る」<br><br>神立、それは何か?<br>オレの不幸をオマエが楽しんでるって事か?<br><br>神立さんは笑ってました。<br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br>毎日毎日書いてると適当になってくるけど早く書き終わるコツが身についてくる。<br>後は見直すコツを身につけるのみ、となると良いな。
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<pubDate>Sat, 21 Aug 2010 02:07:59 +0900</pubDate>
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<title>第八十五話『生徒集会です。物凄く孤独を味わってる』</title>
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<![CDATA[ 前書き<br><br>構想考えずに暴走するとこうなるんだ、と理解しました。<br><br>―――<br><br>腹が減って動けない……、のを無理やり動かして生徒集会へと向かう。<br>何の話をされるかわからないが即急にその話は済ませて欲しい。餓死しそうだんだ。購買開いてるかな。<br><br>ざわざわとしている中何やら準備をしているらしい生徒会の役員達。そこに会長の姿が見えないのだが何が始まるんだろう。<br><br>時間になり次第に静かになり始める。<br><br>壇上に上がる生徒会長。何だかわからないが胸がざわつく。<br><br>「えー、暑いですけど一応毎年恒例ということで文化祭です。後々の学園祭?　まあどっちでも良いんですけど、注意事項を――」<br><br>何だ。そういう事か。<br>オレ達は一年で始めてだが学園祭。この学校の学園祭はここら一帯でいえば一番大きいものといえるので比較的入ってくる人数も多い。<br>そのおかげで学園祭中にある騒ぎも増えてしまうのだ。勿論止める役が必要だ。この学校には秋城先生という最強の先生が居るがそれも学校が出来た当時から居るわけじゃない。<br>創立したこの学校の職員が女性ばかりだった、という理由で生徒からも各クラス男女二名ずつ騒ぎへの対応をする組織を作るために集められるのだ。<br>勿論周りと一緒の思い出も作れないしダメなことばかりだが毎年不良達が大分名義を振りかざして殴りまくっているという……まあそういうこともあるのだ。<br><br>「注意事項はこれでおしまいです。各クラスの出し物は自分達で決めるとして、ああそうだ。今回は特別なお客様がくるようなので、先にそれを言っておきます」<br><br>ほお、芸能人でも呼ぶのだろうか?　母校に帰って来る、ってのは人気取りにもなるしファンも一時的だろうが増えるだろう。<br>オレも含めみんなの顔を見るとそんな期待のような顔をしていた。<br>まあ当たり前だろう。このオレもこの学校を卒業して出てきた有名人など一人も聞いたことが無い。それならば地元ではどうだ、となると一人居る。<br>こんの事だろう。あの声はオレにとって耳障りなので聞かないとして会って話すぐらいはできるだろうか?<br><br>頭の中で誘う人を数えつつ集会も終わったようなので教室に戻る。別に人数制限は無いが親とかそっち関係の人は呼びたくないのだ。<br>桜はギリギリいけるだろうか?　アイツは誘わなくても来るだろうし良いか。<br><br>教室に戻り席に座ると中魅が話しかけてきた。話題はやはり学園祭のことだ。<br><br>「なあ黒斗。出し物なにが良い?」<br>「別に何でも良いさ。恥ずかしいものじゃない限りはだけどな」<br>「そうか?　なら神立はどうだ?」<br><br>いつの間にやら中魅の隣に立っていた神立。まだごちゃごちゃしているし別に良いだろう。<br>今日から一週間の出し物作成準備がある。それにあわせて霧耶さんもオレを放してくれたのだろうか?<br><br>……だとしたら怪我はすでに治っていたんじゃないか?<br><br>考えるのをやめる。どっちにしたってオレには答えが出ないのだ。<br><br>「すっ」<br><br>差し出される一冊の本。ここに書かれているんじゃなくてこれがヒントなのだろう。<br><br>「効果音を……いや、それは無いと思う」<br>「反対票が一票だけなら……勝てる」<br><br>勝てないと思うが。<br>BLの本を神立に返し再び中魅のほうを見る。<br><br>「まあ軽い飲食店とか、その辺が良いな。屋台とかに決まったら決まったで外は暑いし大変だぞ」<br>「それは私もいやだな。なるほど神立の案を押せば良いのか」<br>「違う。物凄く違う」<br><br>男子達が阿鼻叫喚に陥るぞ。生き地獄とはこれまた然り。<br>中魅も冗談で言ったようですぐさま否定してくれる。万が一神立がその案を提案したとしても大丈夫、誰も賛成しないと思うから。<br><br>一時間目に出し物を決めることになる。学級委員先導の元すぐさま出し物が決まる。<br>勿論BLは含まれていないが神立とその周囲の人間がBLに汚染されつつあることが確認できた。心を掴みながら会話できる神立だからこそ出来る技だ。<br>ただこの汚染はオレへと来る前に防がないといけない。<br><br>「出し物は喫茶店ね。それじゃあ役割を決めようか。部活やってる人はそっちでも決めると思うしまずは部活やってない人から優先で」<br><br>となるとオレもその一人だ。勿論簡単そうな呼び込みの仕事をゲットだ。<br>大山もその一人らしいが……コイツはいつの間にか消えてそうだからあてにならない。<br><br>中魅達が何をやるかはよく見ていなかったのでわからないが『衣装が何かで決まる。何故なら学園祭だからなっ!』とか自分を勇気付けていた。<br>まあ頑張ってくれ。<br><br>部活やってる人も一応で決まる。時間帯はオレ達は一日目の午前中と二日目の午後。それに三日目の午前だ。<br>一日目は学生だけで楽しむことになっていて二日目から一般解放となり三日目は午前中だけとなって午後からは後夜祭になる。<br>体験してないのでわからないが日が暮れるまでは片付けとなるだろう。<br><br>オレもそっちのが効率的か、とか思いつつ衣装決めをしている人達を眺める。<br>勿論オレ達呼び込みは制服だ。そして地味だ!<br><br>「うう、こういうの普通じゃない気がする。楽ってだけで決めちゃダメだなやっぱり」<br>「安心しろ。俺が話題を提供してやろう」<br><br>顔をあげてみれば久方ぶりの大山だ。<br><br>「大山か。その話題とやらは何だ?」<br>「そうそう。うちの学校に来るゲストとやら――」<br>「それは楽しみに取っておかないか?」<br>「む、それもそうか。まあ良い、俺も確証があるわけじゃ無いしな」<br><br>コイツにしては珍しいな。確証が無いとは。<br>さては……。<br><br>「校内の隠しカメラが駆逐されたか?」<br>「お前休んでたのに良くわかったな……。これから学園祭もあるしいろんなところに行く人が増えるから当分張りなおしは無理だなぁ」<br>「自分の足で調べるのもまた良いもんだぞ。オレは知らないが」<br>「ある意味で危険なんだよそれ。まあ今はそれで我慢するしか無いんだがなぁ。前に一度秋城先生に見つかってな」<br>「そうか。一度死んできたのか」<br>「嫌な表現はよせって。真実に近いが」<br><br>美人って何しても許されるのか。社会ってすごいなー。<br><br>では無く。<br><br>「オレ学校休んでいる間のこと何にも知らないし。何かあったか?」<br>「ああ。クラス全体がどんよりしていたな」<br>「……何があった?」<br>「いや、二人が悲しそうな顔をしていたからだよ。神立の方は微妙すぎてわかりづらかったが」<br><br>中魅と神立の方を見ながら言う。<br>なるほど二人が悲しそうな顔をしていればさすがにこのクラスの雰囲気も落ちるだろう。<br><br>「原因は?」<br>「お前が休んだから。かな」<br>「おいおい、原因作ったのは神立……じゃないな。その母親か」<br><br>大山の方を見る。特に驚いていないところを見ると知っているらしい。底知れないヤツだ。<br>神立も心配していてくれたと聞いて少し神立を見直しつつ喫茶店の衣装はオレには関係ない事なのでメニューを決めているグループに行く。<br>勿論それは厨房グループだ。<br><br>「ほお。軽い飲食が出来るようになっててそれっぽいな」<br>『でしょ!　先生が手伝ってくれたんだよ。いやあ、さすが独身だね!』<br><br>やめてあげろ。先生に大ダメージだ。<br>まだ決まってはいないらしく宣伝係のオレにもしっかりと決まったらメニューを教えてくれるらしい。その方が宣伝がしやすいからだそうな。<br>まあ飲食店は多いだろうしそういう細かなことをしなければいけないな。<br><br>『そうだ、何か加えて欲しいものある?』<br>「カキ氷」<br>『……本気?』<br>「本気だ。暑いし」<br>『う、検討してみる』<br><br>マジメにやってないヤツも居るがそれなりに充実してきているし面白くなってきた。<br>なるほどこういうのが学園祭の準備での楽しみ方か。大山はというと衣装について専門家みたいな口出しをしている。<br>情報通のアイツだし中々良い衣装を作ってくれるんじゃないか?<br><br>一人ひとりの能力が生かせている気もするしコレはコレでありだ。<br>けれども一つ不安が残る。勿論神立の家に居るときに起きたイヤな予感だ。<br><br>「気のせいだと思い込みたい」<br><br>こんな学園祭なんて桜一人いれば一日で完成するんだろうが……わいわいやるのもそれはそれで楽しい。<br>ただ一つ、オレが会話の中に入れないこと以外でだが。<br><br>一人で考え込んでいて思い出した。<br>騒ぎを止める役が決められてないじゃないか。<br>これらはきっと部活をやっている人は出来ないと思うしいける気がする。<br><br>「いやしかし。そうなるとオレは手伝えなくなるな」<br><br>まあオレは立候補しないんだし言わなくても良いだろう。<br>それよりもこの孤独を問題にしようじゃないか。<br><br><br>この孤独は授業の終わりを告げる鐘が鳴るまで続いた。<br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br>いつの間にやら空腹が忘れ去られている!?<br>……未熟な腕で書くからですねぇ。まあ気にせず。
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<link>https://ameblo.jp/jan-akubi/entry-10624660217.html</link>
<pubDate>Fri, 20 Aug 2010 03:53:17 +0900</pubDate>
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<title>第八十四話『クロです。オレだって負けてられるか!!』</title>
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<![CDATA[ 前書き<br><br>パソコンの調子が悪いんですよー。<br><br>―――<br><br>うう……何でこんなことになったのか。<br>さっきから霧耶さんの声が無いからわからないが現在のクロのレベルは優に五十は超えているだろう。自動的にデータが更新されるようになっているらしい。<br>間隔的には一定なのでたぶんそうだろう。<br><br>この空間では死は無い、らしい。なので一定の苦しみが続く。<br>相手のデータ更新と共に傷も痛みもなくなるがそれのくり返しになるとさすがにイヤになってくる。もはや相手はオレの対抗できるレベルを超えているのだ。<br><br>今もクロの拳がオレのわき腹へと打ち込まれた。痛みにも慣れてしまったせいか顔を歪める程度で済んだ。<br>打たれ強さだけが鍛えられていっているような気がする。<br><br>オレも反撃しようと拳を振りかぶるが人間を超越した動きで残像を残しつつオレの拳を受け止めるとさっき殴られたわき腹へと蹴りを放ってくる。<br>イヤな戦い方をしてくるものだ。<br><br>今度こそ無理。立ち上がれない。<br><br>眠気、とは違うもやもやした間隔に思考が侵食されている気さえする。<br>どの道、今オレの体は眠っている状態なのだ。機械の中にでも入っていてそこでぐっすり眠っているんだろう。<br>完成したという事は眠っている状態でもこっちに飛んでも大丈夫、って事なのだ。たぶんオレは傷が治ると同時にそのぐっすり眠っている状態から叩き起こされるのだろう。<br>そうしないとゲーム機としての役割が果たせない。ゲームを終了しても夢の中、ってのは不便すぎる。<br><br>再び立ち上がった状態になるオレ。<br>データが更新されたのだ。まあ更新されたといっても頭の中のもやもやは消えない。<br>やはり外部の損傷だけを治しているのだ。ついでにスタミナも。<br><br>「……飽きてくるんだよなぁ。敗北にも」<br><br>オレは最初からわかっているのだ。まあ誰にでもわかるだろう、けど。<br>負け始めてから、オレはそこから一度も本気を出さずにここまで来た。飽きたってのはソレだ。<br><br>「いやぁ、オレにも人間性がまだ残ってるみたいだなぁ。良いね、本気出してみようか」<br><br>体中に力を満たしてみる。頭の中のもやもやは一気に晴れていく。<br>クロを見てみればオレの準備が出来るのを待っているのか生きているのかすらわからない、背景の一部を化していた。<br>まあオレがここから一歩でも動き出せば襲い掛かってくるのだけれども。そこら辺は配慮しなくても良いのに。<br><br>「うん、コイツが弱い時には気づかなかったけど。コレも修行になるじゃないか」<br><br>それと同時に走り出す。<br>傷は無い。そのおかげで出せる全力だ。全力疾走!<br><br>相手も同時に動く。動きは見えるがオレの体が付いてこない。<br>しかし簡単なこと。先読みしてオレが動けば良い。それにオレには先読みに適した能力も持っている事だし。<br><br>風を切る音を耳で聞きつつ相手との距離を数ミリ単位で把握し自分の動きを決めていく。<br>集中力を使う作業だが最後に一度だけ出す本気だ。後はだらぁん、と気の抜けた感じで立ってれば良いだろう。<br><br>この世界ではオレは成長しないが、強くなることは出来る。<br><br>「はっ!」<br><br>掛け声と共に拳を突き出す。それを相手は受け止めようとして……気づく。<br>同時に向かうオレの足。しなるように出されたそれは拳で殴られるより与えられるダメージが大きいだろう。相手は両手を使ってそれを受け止めようとする。完全に人間離れしている。<br>しかし遅い。遅すぎる。<br><br>相手に合わせるように殴る軌道、蹴る軌道を変える。無理やりやったので筋肉が軋むが問題ない。いつか治る。<br>クロはというと驚いた表情一つしないでそのまま殴られ、蹴られる。勿論背後に吹っ飛ぶ。<br><br>さあココからがオレのターンだ。<br><br>「らぁぁぁぁっ!!」<br><br>吹っ飛んで落ちた場所はわからないが方向はわかる。そちらへ向かってクロが吹っ飛ぶと同時に走り出す。<br>勿論先にクロが落ちオレの姿を探して立ち上がるがそのクロの顔面へとオレの膝が叩き込まれる。<br><br>再び吹っ飛ぶクロ。オレも無理な体勢の蹴りをしたので少しタイミングが遅れたが再びクロの居る方向へと走る。<br>その時にはクロはオレのほうに向かって走ってきていた。勿論あの数秒も無い間でここまでの動きをしたのだろう。<br><br>「しゃぁぁぁっ!!」<br><br>クロスカウンター。<br><br>音が耳に入ってこない。殴られたほうの耳だけじゃなく反対側の耳も。<br>体の感覚も痺れてきてやっと視線を足元に向け自分がへたり込んでいるのがわかった。相手はというとオレと同じように座っている。<br><br>「……まだ勝ってない。まだ引き分けだ。つまり足が動かなかろうが決着をつけてやる!!」<br><br>前転を変化させたかのように腕と腰周りの重心を移動させ前へと転がるその勢いを使い一気に立ち上がる。<br>足に痛みはこない。計算外の行動、ってわけだろう。<br>この一瞬を突いて痛みの消えたこの瞬間に重心を前に倒すと共に走りこむ。<br><br>座っている相手の頭。そこに蹴りをおみまいする。<br><br>………………ん?　あれぇ?<br><br>オレの足に異常はない。クロの頭を捕らえている。そしてしっかりと蹴っている。蹴ったところで止まっている。<br>当然止めたのはオレじゃない。たぶんクロでも無いだろう。だとしたら機械のせいだ。足が動かなくなったことにより蹴りという攻撃手段では相手に何のダメージも与えれないという結論に至ったのだろう。<br>だとしたら殴るまで、と思い意識をはっきりさせ拳を握る――と同時に視界が揺らぎ次のレベルへと入ってしまう。<br>エラーがでたのを感じで遅い対処をしたのだろう。データ更新でもう一度初期化されてしまった。<br><br>しかし初期化されてないのが二つほどある。<br>オレの記憶とオレのやる気だ。<br><br>「この野郎っ!!　今ここでずたずたにしてやるっ!!」<br><br>その言葉と共にオレは地面を蹴る。<br>勝負はこれか――<br><br><br>☆<br><br><br>ぷしゅぅ、という気の抜けるような音がオレの耳に入る。<br>何故だろう。何だか納得がいかない。さっきの音と共に開いた壁を睨みつつ思う。<br><br>「ああ、黒斗君。君の体、もう治ってるよ。良かったね」<br>「全然良くないです」<br><br>霧耶さんの方を見る。見た目はしっかりしているが残念ながら寝起きだということがわかる。<br>この研究所のような場所にはクーラーがありしっかりと部屋、というかこの機械を冷却しているのだ。そりゃあそうだ。オレの怪我が治るまでフルで活動するんだから暑さでやられる前に冷やさないといけない。普通のシステムだけじゃ熱は逃しきれない。<br>なのでクーラーがついているのだが霧耶さんはというと汗をかいている。たぶん寝汗だ。<br>という訳で寝惚けてオレの戦いを見ず適当にこの訓練を終了させたに決まっている。<br><br>長らく動かしていなかったせいかボキボキ鳴っている体を触りつつ霧耶さんを見る。視線が機械に向けられている。<br>ココにゲームのプログラムでも入れて世界観がまた増した仮想現実を多くの子供に楽しんでもらうこととなるのだろう。<br>そう思うと、先にやらせてもらっている分際で何を怒っているのか、という馬鹿らしさが増してきた。<br><br>「すいません霧耶さん。霧耶さんも疲れてたはずなのに……」<br>「疲れてるって言っても千穂と一緒に旅行に行ってただけ……ごほんっ。まあ良いよ、僕にも悪いところはあったし。けど良いのかい?　学校は今日もあるんだよ」<br><br>自然と目でカレンダーを探す、が見つからない。この部屋にはどうやらカレンダーが無いようだ。<br><br>「オレ何日寝てました?」<br>「三日かな。軽い怪我でよかったね」<br><br>腕が折れるかと思ったんだが……まあ治ったのならそれで良い。疑問に思うだけ無駄だ。<br>あの日から三日となると、金曜日でやはり学校はある。<br><br>「悪戯ちゃんから聞いたんだけど臨時の生徒集会があるんだってね。そのせいで早く起こしちゃったわけなんだけれども。早く着替えた方が良いよ」<br><br>生徒集会。何故だろう、今のオレには悪しき装飾に彩られオレを地獄に突き落とすかのような何か危険な言葉に見えてしまう。<br>生徒会が中心にやる集会となっているわけだが、なるほどオレは生徒会長と一応知り合いだ。名前は……忘れてしまった。ただ忘れやすい名前であることだけは覚えているのだが。<br><br>何故そんなところだけ覚えているのだろう、とか思いながら着替え始める。<br>そういえばオレは風呂に入っていない。当然少しキツい臭いになっているわけである。かといって時間もないし迷惑をかけるわけにはいかない。<br>こうなったら急いで自分の家に帰ってシャワーだけ浴びよう。たぶんオレは遅刻するが霧耶さんには迷惑をかけない。<br><br>「と、用具は家ですかね?」<br>「ああ、ここ……無いね」<br><br>自然と空っぽの霧耶さんの手に視線が集まる。といっても二人分だけだが。<br><br>「無いですね」<br><br>こんなことするヤツで心当たりは一つだけだ。<br>まあ問い詰めれば返してくれそうだが今回は比較的軽い手段でいこう。<br><br>霧耶さんに自分で探す旨を伝え研究所のようなこの場から去る。<br>早速リビングで神立を見つける。紅茶でも飲んでいるのだろう、物凄く優雅に見えた。神立の母親は見当たらない。<br><br>オレはノックもせず(扉が開いていたし)リビングに入る。<br>それにどの執事やメイドよりも早く気づく神立。オレが一歩踏み込んだ瞬間にコチラを向く。<br><br>「お母さんは……朝が苦手なの」<br>「ああ、そうか。で、オレに言いたいことは?」<br>「良い参考書が手に入った」<br><br>それはオレの教科書やノート達です。<br><br>「ほら今なら怒らないから返しなさい」<br>「ん」<br><br>あら、意外にも早く返すんだな。<br>なんだあの作戦はいらなかったじゃないか。そんな無意味な落胆をしつつ神立を見る。<br>何故だが無表情のくせに顔が引きつっているように見えた。<br><br>「……一つ話がある」<br><br>オレがカバンの中身を確認していると神立が言う。なるほどこのカバンはオレをココに呼び出すために使ったというわけか。<br>それにすぐ返したということは早く伝えることを優先している、と。<br><br>「とりあえず、あの人。単純な思考で天下取った気になってた人」<br>「……遠まわしすぎて逆にわからなくなってるぞ。前に倒したヤツか」<br><br>たぶんあの親玉のことだろう。神の能力がどうたらこうたら、とか桜が話していたが何か制限があるに違いない。<br>それを探すように桜に頼んでおいたのだが……その結果だろうか。<br><br>「面倒だから痴漢ってことで警察に突き出したらしい」<br>「おい、ちょっと待ってくれ。オレの理解が及ばない範囲だぞそれ」<br><br>どういう意味だ?<br>オレは桜にアイツの能力の制限について調べるように頼んだ。その後オレは強制的に眠らされ精神的な修行をしていた。<br>それでその間に桜は面倒だからアイツを痴漢の容疑で警察に突き出し逮捕させていた、という事か。<br><br>「何かおかしくないか?」<br>「こうして平和が戻ったのであった」<br>「待てまとめるな」<br><br>けれども警察に捕まったのなら……脱走することも無いだろう。<br>何かオレの予想の斜め上を行く感じで終わったが、神立の言うとおり平和は戻ったのだろう。<br><br>「まあ良いか。それじゃ、オレは先に行くな」<br>「シャワーも遅れないように時間を考えてやること」<br>「わかってるって」<br><br>オレの心の中は神立に筒抜けなのか。<br><br>「それとそのにおい。あまり嫌いじゃない」<br>「からかうな」<br><br>ただの汗臭い臭いだ。<br><br>そんなこと思いつつオレは神立宅から久々の外に出た。<br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br>何だか文章が成長したような感じが……気のせいかな。<br>
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<pubDate>Thu, 19 Aug 2010 01:38:21 +0900</pubDate>
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<title>第八十三話『トレーニングです。完成してたのか』</title>
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<![CDATA[ 前書き<br><br>更新できなかった。嘆き。<br><br>―――<br><br>おかしい。何かおかしい。<br>何故コイツはこんなに弱くなった。中魅の予想ではオレ達三人がかりでも倒せないはずなのだ。<br>オレも戦ったことがある。絶対的な力量差があったはずだ。なのにココに転がってる一人の男は何だ。弱い、弱すぎるっ!<br><br>「どういう……意味だ?」<br>「あの、お兄さん少し思ったんですけど」<br>「何だ?」<br>「あの強さが能力で偽造されたものならば何処かに制限があるはずです。えと、一人に対してしか能力は使えない、とか」<br>「けどアイツは自分の素早さまで上げていたからな。だとすると……時間制限か?」<br>「間隔をあけて能力を使っているようには見えなかったが」<br><br>だよな。だとしたら何だろう。<br><br>考えてみるが答えは見つからない。ただわかるのは、コイツと一対一で戦ったら負ける、という事だ。<br><br>「一応撤収するか。桜に拷問でもさせれば良いだろ」<br>「さらっと酷いこと言ってますけど、ボクも気になるので賛成です」<br>「おい……、まあ私も反対とは言わないが……人道的にだな……」<br>「中魅」<br>「な、何だ?」<br>「人道ってのはな。良いこと悪いこと全部含めて人道なんだよ。オレは狂った人間じゃない。だからこの行動は人道的なのだ!」<br>「無理がある気がするが、止めても無駄だろうから勝手にやってくれ」<br><br>急に投げやりだな。<br>まあ投げやりにやられた方がオレもやりやすい。<br><br>倒れている男の肩を掴み肩を組む。木古内に反対側を組ませそのまま下へと下りる階段へと向かうための妨げとなる扉を足であける。<br>人気(ひとけ)が無い。おかしい、まだ残っているヤツが居てもおかしくないのに。<br><br>「もう帰った、って事は無いよな。オレ達が残っているのは神立が伝えてるはずだ」<br>「ああ、だが……妙だな」<br>「歩こう。立ち止まってるよりは良いさ」<br><br>階段を一歩一歩下りていく。<br>むわぁぁぁん、という感じで血生臭い臭いに包まれたがそれにも気にせず下へと下りる。ようやく外に出ることが出来た。<br>玄関口らしいところから外に出ると清々しいまでの健康的な空気(?)が肺の中を満たしてくれる。<br><br>「う、うぅ……」<br>「起きそうだな。逃げられないように殴っとくか」<br>「中魅さんに腕と足を縛ってもらったらどうです?」<br>「……よし、それでいこう」<br><br>両腕、両足をくっつけ丈夫そうな縄で中魅が男の手足を縛っていく。<br>手際が良い、何度も練習した後が窺える。<br><br>……現代には必要ないはずなんだけどなぁ。<br><br>縛り終わると再び腕を組み歩く。<br>校門まで来ると桜と神立の母親が出迎えてくれる。<br><br>「んぁ、ご苦労様」<br>「ご苦労様、って言うか少しおかしいぞ。人気が――」<br>「ああ、あたしが下がらせたんだよ。黒斗、ここは学校だよ?　通報されたら一気にあたし達牢獄行きさ」<br>「別に良いさ。警察だって殴り倒せば良い」<br>「黒斗らしいけど関心はしないよ。付き合いってのもあるからねぇ」<br><br>しぶしぶ言っている桜だがオレにとっちゃ知ったことではない。と言うか警察なんてあてにする方が間違いの連中なので普通に銃を持っている相手でも勝てる。<br>国家権力だろうが拳一つの硬さでも対抗できるのだ。ただ国を敵にする、ってだけで。<br><br>「そういや神立は?」<br>「見当たらないな。校舎の中か?」<br>「いえ、桜ちゃんの車の中で寝かせてもらっています」<br>「疲れたんだろうね。黒斗も寝る?」<br>「ヘンなところに連れて行かれそうだからやめとく。それよりもコイツを引き取ってくれないか」<br>「親玉さんだね。何か不思議な能力を持ってるって話だけどあたしも具体的なの聞いたことが無いんだよね。これで調査ができるわ」<br>「私もその不思議な能力とやらを目撃したぞ。と言うか実際に戦った中だしな」<br>「ボクはあまりわかりませんでしたけどね」<br><br>木古内が言う。まあ最後に殴る蹴るの一方的な暴行に加わっただけで被害という被害を受けていないなコイツは。<br>何か得してるような……。<br><br>男を引き渡し口をガムテープで塞ぎ目隠しをさせ手首に手錠をはめ足には錘(おもり)を付ける桜。用意周到なのは良いことだがあまりにも警戒しすぎな気がする。<br>そんなに危険そうには見えないんだが……。確かにオレよりも強いが。<br><br>「別にそんなに厳重にしなくても……」<br>「知らないの?」<br>「え?」<br>「こいつが神にも似た能力を持ってる、って話。木古内くんに伝えといてって言ってたよね?」<br>「確かに……聞いたが。コイツなのか?」<br>「ボクも実物を見るのは初めてですから」<br><br>だよな。だとしたら伝えようが無いじゃないか。<br>顔写真も一緒によこせよ。<br><br>「ああ、そういや顔は最近わかったんだった。ごめんごめん。じゃあ一旦引き上げだね」<br>「一旦?」<br>「……気にしないこと!」<br><br>……イヤな予感しかしないんだが。<br><br>その後も桜にはぐらかされ一時帰宅しよう、ということになった。<br>この一時、というのが気に食わないが体もボロボロだし桜もそこら辺は考慮に入れるだろう。<br><br>そう、桜は考慮に入れるだろう。ただしあの場でただ微笑んでいた一人の人物は違ったみたいだった。<br><br><br>☆<br><br><br>現在オレはどうやら神立の家に居るらしい。らしいというのは神立の家に入ってきたところまでは覚えているのだがそこから記憶が無いのだ。<br>気づいたらここに立っていた。<br><br>「どうなってるんだ?」<br><br>体を叩いてみる。まるで痛みを感じない。さっきまでの疲労感さえない。<br>もっと言えば体が軽くさえ感じる。ここまで快調な状態今まであっただろうか?　人生の中で一度や二度ぐらいだったような気がする。<br><br>ただしオレにはそんな事を考えている余裕すらないようなのだが。<br><br>体の無事を確かめると同時にいきなり目の前に光沢のある黒い人間の形をした生物が現れる。<br>顔のパーツが一切無く、髪も無いし言葉も喋らないようだ。<br><br>「本当に意味がわかんねぇ」<br><br>溜息を吐く。特にどうってことは無い。<br>相手もやる気満々のようだし今ココで、殴り合いをすれば良いだけだ。<br><br>『じゃあ説明しよう!』<br><br>頭の中に直接響く声。<br>さっきのオレの言葉に反応してくれたようだがどうやらこの黒い生物から発せられる声では無いらしい。<br>だとすると他に音を発する音源など無いはずだが謎の声による二言目でそれは解決した。<br><br>『ここは仮想現実空間なんだ。つまり僕の開発した便利な空間だね』<br>「ってことは、この声の主は霧耶さんなんですか?」<br>『その通り。いきなりで悪いんだけど君にはここで修行して欲しいんだ、僕にとっての実験となるわけだけどもう一つ理由があってね……』<br><br>完成した仮想現実空間で完成度を確かめたかった、という事か。<br>となるとオレをここへ呼んだのは何処まで動きに空間が耐えられるか、と言うことなのだろう。<br>なるほど霧耶さんの考えそうなことだ。ターゲットとするのは流行に敏感そうな高校生や中学生、それで居て大人も虜にするようなゲーム。<br>それらはすべて一般人だ。ならば一般人以上の動きを普通にこなす人物がテストを行わなければならない。ゲームだと言うのならばなおさらだ。レベルアップと共に強さがあがっていくのだ、その強さが何処まで耐えられるか、それを見極めようということなのだろう。<br>それでオレの選ばれた理由とやらは何だろう。木古内の方が適任に思えるんだが。<br><br>『いやぁ、千穂に頼まれちゃってね』<br>「はぁ?」<br>『あ、僕のお嫁さんということになってるかな』<br><br>……つまり神立の母親の推薦、という事か。<br><br>『見たよ。黒斗君怪我してるね』<br>「あ、はぁ……」<br><br>確かに。でも病院に行くほどのことじゃあ無い。<br>包帯巻いてでも学校には行くつもりだし。<br><br>『だから治るまでここで修行、ってわけさ。治ったときには今の数倍の強さが手に入れられている。どう?　素晴らしいじゃないか』<br><br>何か画期的なアイディアに聞こえるけどその間学校を休め、と言うことだろう。<br>オレにとって今は強くなることは酷く無意味なことに感じられる。まだまだ自由のある高校生なのだから無理に強くならなくなって良いはずだ。<br>そう、ここで修行したって肉体が強くなるわけじゃない。脳内シュミレートみたいな感じで終わることになるだろう。<br>確かに多少は強くなれるだろうが、だからと言って劇的に変わるわけでもない。つまり無意味に終わる確立が大きいのだ。<br><br>「あのオレは――」<br>『ちなみに拒否は受け付けないからね』<br><br>オレの体が早く治ってくれるのを祈るばかりです。<br><br>『敵はあの黒いのだよ。どんどんレベル上げていくから覚悟しておいてね』<br><br>とたんにオレへと向かって走り出す黒い人型をした生物。長いのでクロと呼ぼう。<br>そのクロは自分の間合いを確保し終わると攻撃を開始する。そこまで一切の動きに無駄が無い。コレがレベル一だとしたらこれから先が思いやられる。<br>レベル百になったときには化け物レベルになっているんじゃないだろうか。<br><br>「くっ、やるしか無いっ!!」<br><br>相手の攻撃をしゃがんで避ける。足を払い転ばせると鳩尾めがけて蹴りを入れる。<br>ビクンッ、と一度体を揺らし動かなくなるクロ。どうやらレベル一クリアなのだろう。<br><br>何か人生って予測できないんだなぁ。退屈な日々が続こうとハチャメチャな日々が続こうと。<br>オレの場合は後者なんだろう。この話題で何度嘆いたか知らないがもう諦めることにしよう。吹っ切れるとも言う。<br>出来ることをやってきた。その結果がコレなんだ。誇れば良いんだ。<br><br>「それが不良相手の喧嘩だろうと、仮想現実でのトレーニングだろうと、だな」<br><br>いきなり足元がふらつく。どうやらクロが消えたらしい。<br>レベル二に移ったのだろう。再びさっきの位置にクロが現れる。相手も自分も疲れ知らずなのだ。死はありえない。思いっきり戦おう。<br><br>諦めたオレは中々しぶとく強かった。<br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br>黒斗が……。<br>もう百話まで早く行ってほしい。これは早く新しい物語に切り替えた方が良いと切実に思うから。
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<link>https://ameblo.jp/jan-akubi/entry-10621797902.html</link>
<pubDate>Tue, 17 Aug 2010 02:19:08 +0900</pubDate>
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