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<title>山雲人(やまぐものひと)のブログ【雲】</title>
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<description>読書(特に時代小説や歴史小説)が趣味です。過去に読んだ小説や、今現在読んでいる小説をもとに日記を書いています。</description>
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<title>『ふるさと銀河線　軌道春秋』が雲にのる。</title>
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<![CDATA[ 　闇が透けて、薄紫色の空が顔を覗かせる。<br>間もなく、峰々の残雪が蜜柑色に染まり、わたしを乗せた一番列車が、ことりと、レール上を滑り始めた。<br><br>　流れゆく車窓からの景色。<br>仕事とは言え、たまの電車移動に胸が高鳴る。<br>座席は半分が埋まっている程度か。<br>なのに、座ろうともせず、制服姿の女子生徒が、昨夜見たドラマの話題に夢中になっている。<br>その様子を、まるで、我が孫かのように優しく見つめ、微笑む老夫婦。<br><br>一方、わたしも含め、年齢的中間層は、些か疲れが見える。<br>殆どが、ときを惜しむかのように、目を閉じて、足りない睡眠時間を補っていた。<br><br>前の座席では、大学生かと思われる恋人同士が、雛鳥のように肩を寄せ合っている。<br>けれども、銘々に自分のスマートフォンを覗き込み、せわしなく画面をスクロールをしている姿には、どこか矛盾を感じてしまう。<br><br>　学生時分のわたしを振り返ると、翌日のデートに備え、デートで交わされるであろう会話のシュミレーションを、前夜から、幾度となく繰り返していたものだ。<br>まあ、本番ではあまりの緊張に、惨憺たる結果であったのだが。<br><br>ともあれ、コミュニケーションツールは様変わりしているのだから、わたしの感傷など、どうでも良い。<br><br>ときおり、暖色系の日差しが車内に注がれ、人々の表情を消した。<br>さてと、人間観察はこのくらいにして、わたしは鞄から一冊の小説を取り出した。<br>高田郁の『ふるさと銀河線　軌道春秋』を。<br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20150428/23/johan14criff/42/1f/p/o0800040913290187958.png"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20150428/23/johan14criff/42/1f/p/o0800040913290187958.png" width="100%"></a><br><span style="font-size: 8px; ">高田郁『ふるさと銀河線　軌道春秋』（双葉文庫、2013年11月17日）</span><br><br><span style="font-size: 8px; ">　　</span>高田郁は以前、川富士立夏というペンネームで漫画の原作を書いていたという。<br>本作は、その頃の作品群を、小説に書き改めたものだ。<br>設定が現代といったこともあり、わたしは、さほど期待をしていなかった。<br>『みをつくし料理帖』に代表される時代物とは違うのだろうと。<br>しかし、読み進めていくにつれ、電車の揺れさえも、気にならなくなるくらい、次第に物語へと引き込まれてゆく。<br><br>「お弁当ふたつ」<br>「車窓家族」<br>「ムシヤシナイ」<br>「ふるさと銀河線」<br>「返信」<br>「雨を聴く午後」<br>「あなたへの伝言」<br>「晩夏光」<br>「幸福が遠すぎたら」<br><br>　いずれの作品も、電車や、電車に関わる事柄を題材に、家族の絆と愛情、人間の再生と出立、または郷愁や追憶などが、情感たっぷりに描かれていた。<br><br>（後の世にヒット作を送り出すも当然だよな・・・）<br>そんな事を思いながら、後書きに目を配ろうとしたとき、「クスクス」っと、前の座席から小さな笑い声が聞こえてきた。<br><br>　見ると、恋人同士が互いに目配せをし、わたしから少し離れた左横のほうに目を留めている。<br>そこには、まだ生後間もない赤ちゃんが、母親の腕のなかで、すやすやと天使のような寝顔で眠っていた。<br><br>液晶画面をタッチしながら、赤ちゃんを見ては、何度も顔を見合わせ、微笑む二人。<br>ーーー眠りを妨げないように、恋人同士はスマートフォンで会話をしていたのだろう。<br><br>　車内アナウンスが流れる。<br>安眠を妨害された赤ちゃんが、不機嫌そうにぐずり始めた。<br>降車しようと歩みを進める女子生徒達は、通りすがりに、そんな赤ちゃんをあやしている。<br>老夫婦は降りる間際、母親に、苺の入ったパックを差し出した。<br>遠慮する母親に「この子にだから」と、言い残して。<br><br>　恋人同士は、赤ちゃんの前の座席へと移動し、何やら優しく声をかけている。<br>すると、それまでの泣き声が、きゃっきゃっと、無邪気な笑い声に変わった。<br><br>乗客を入れ替えた列車が再び滑り出す。<br>スーツ姿の中間的年齢層だけは、車内の様子を気にも止めず、睡眠を貪っている。<br><br>車窓から差し込む木漏れ日が、母と子、そして、そんな親子の姿に、自分自身の未来を重ねようとする男女を、優しく包み込んでいた。<br><br><br><br>　雲
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<link>https://ameblo.jp/johan14criff/entry-12020137190.html</link>
<pubDate>Tue, 28 Apr 2015 23:42:44 +0900</pubDate>
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<title>『花火』が雲にのる。</title>
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<![CDATA[ 　お笑いコンビ・ピースの又吉直樹のデビュー小説『火花』が、35万部の大ヒットとなっている。<br><br>　又吉と言えば、作家・太宰治を敬愛することでも知られ、不肖ながら、このわたしも多感な頃に、太宰の影響を受けたひとりとして、彼、又吉には親近感どころか、敬慕すら抱いていたわけである。<br><br>　そんな、わたくし事であるが、『火花』をずっと、花火と間違えて覚え、知人との会話のなかで、それを指摘され、些か赤面したのが、つい先日のことである。<br><br>　言い訳のようだが、これには理由があるのだ。<br>太宰の短編小説に『花火』といった作品があり、きっと太宰愛のあまり、同じ題名をつけたのだと、一方的に解釈をしていたからなのである。<br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20150410/20/johan14criff/25/14/p/o0800040913272262083.png"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20150410/20/johan14criff/25/14/p/o0800040913272262083.png" width="100%"></a><br><span style="font-size: 8px; ">太宰治『花火』</span><br><br>　この作品は、実際に起きた事件をもとに、昭和十七年『花火』といった題名で発表された。<br>しかし、当時は戦時下であり、時代にそぐわないといった理由で、全文削除を命じられ、戦後になってから『日の出前』に改題し、再度発表されたいう、曰く付きの作品である。<br><br>　高名な画家を父にもち、何不自由なく育てられてきた勝治。<br>しかし、父とのあいだに生じた溝が深まるとともに、勝治は、良くない友人達と連むようになっていく。<br>やがてそれは、勝治、そして家族をも、崩壊の一途を辿らせることになるのだが。<br>末文で結ばれる、妹・節子の台詞から、物語のあらすじの大凡を察して頂きたい。　<br><br>「兄さんが死んだので、私たちは幸福になりました。」<br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20150410/20/johan14criff/09/3f/p/o0800040913272262111.png"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20150410/20/johan14criff/09/3f/p/o0800040913272262111.png" width="100%"></a><br><span style="font-size: 8px; ">太宰治生家『斜陽館』</span><br><br>　少し横道にそれたが、又吉のデビュー作、花火……ではなく『火花』が、芥川賞かと、まことしやかに囁かれているらしい。<br>と、なれば、わたしの心境もことのほか複雑なのである。<br><br>　太宰が、恥も外聞もかなぐり捨て、欲したにもかかわらず、願いも虚しく、結局は手の届かなかった芥川賞だからだ。<br>ーーーやめてくれ！<br>これは、わたしの心の声だ。<br><br>　第3回芥川賞の選考のとき、太宰が川端康成に送ったとされる、手紙の一部を抜粋しておく。<br><br>　～ 何卒私に与へて下さい。一点の駆引ございませぬ。深き敬意と秘めに秘めたる血族感とが、右の懇願の言葉を発せしむる様でございます ～　<br><br>　見る人によっては、滑稽に映るのかも知れない。<br>けれども、律儀なまで欲望に従順な太宰を、わたしは大好きなのである。<br><br><br>ーーーふと、ひとりの男を思い出した。<br><br>「こんなメッセージがくるの……」<br><br>　ことの発端は、同窓会の席で、とある女性から一通のメールを見せつけられたことに始まる。<br><br>『俺は○○のことを絶対に諦めない。それで俺のことが嫌いになるのなら、なっても良い。でも、必ず○○が俺のことを好きになると信じている。○○を幸せにできるのは俺しかいないから。』<br><br>ーーー吐き気がした<br>　こんなメールを送りつける男とは、どんな男なのだろう。<br>と、思いながらも、詳しく事情を聞いていくと、その送り主はなんと、わたしが親しくしている友人だったのだ。<br><br>　つまりは、メールを止めるよう、わたしから友人に、それとなく言って欲しいという訳だ。<br>その頃は、ストーカーなどといった言葉も一般化されていなかった。<br><br>　もはや、友人を弁護する手段などもなく、ただ黙っているだけのわたしに、女性は言葉を続けた。<br><br>「あっ、これは一年前のメールね。最近のやつはこれ……」<br><br>『四六時中○○のことが頭から離れません。自分勝手なのも分かっています。ただ、どうしようもないんです。苦しくて、苦しくて・・・夜も眠れません。○○は俺にとって全てです。お願いです。どうか一度だけでも食事に付き合って下さい。そして、俺に○○のことを諦めるきっかけを下さい。』<br><br>　このときも、友人が一瞬で好きになった。<br>どうやら、自分の欲望に真っ正直な人間に、好感を持ってしまう傾向が、わたしにはあるようだ。<br><br>　勿論、芥川賞と、わたしの好き嫌いは関係ない。<br>けれども、小説を通し、長年に渡る交友を結んできた太宰なのだ。<br>わたしからすれば、友人も同然である。<br>付き合いの浅い又吉よりも、太宰寄りになるのは、自然なことだろう。<br><br>　結局、わたしは、友人と一度会うよう、女性を説得した。<br><br>　ことの顛末だが、現在もその女性とは度々顔を合わせたりする。<br>そして、何らかの拍子で、わたしにこう告げるのだ。<br><br><br>「あのとき会うように勧めてくれたから、私たちは幸福になりました。」<br><br><br><br>　雲
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<link>https://ameblo.jp/johan14criff/entry-12012682921.html</link>
<pubDate>Fri, 10 Apr 2015 20:20:54 +0900</pubDate>
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<title>『月神』が雲にのる。</title>
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<![CDATA[ ーーーみず雪の降る夜<br>　田舎料理と地酒が売りの小さな一杯飲屋で、わたしと友人、たった二人だけの遅すぎる新年会が開かれていた。<br><br>「ところで、『花燃ゆ』を見て、お前はどのように思う。俺は正直頂けないな……」<br><br>それまで、下世話な噂話ばかりを口にしていた友人が、おもむろに、話題を切り変えた。<br><br>「だってそうだろ。いつもいつも、同じような人間ばかりが脚光を浴びて……」<br><br>　常日頃、意見の食い違うことが多い友人の言葉だが、このときばかりは同調せざるを得なかった。<br>葉室麟の『月神』という小説を、読み終えたばかりだったからなのかも知れないが。<br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20150403/17/johan14criff/be/cc/p/o0800040913265193008.png"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20150403/17/johan14criff/be/cc/p/o0800040913265193008.png" width="100%"></a><br><span style="font-size: 8px; ">葉室麟『月神』（角川事務所、2013年）</span><br><br>西郷隆盛が<br>「志気英果なる、筑前においては無双というべし」<br>と称えた、福岡藩の尊攘（そんじょう）派志士、月形洗蔵と、その従兄弟、月形潔を主人公として描いた作品である。<br><br>　福岡藩を、一藩を挙げての尊攘派にしようと奔走する洗蔵。<br>しかし、藩主の黒田長溥は、そんな洗蔵や、尊攘派の台頭を快く思ってはいなかった。<br>やがて、佐幕派が復権すると、尊攘派に鉄槌が下される。<br>同士13名とともに、洗蔵は斬首されてしまうのだ。<br>ときは流れ、明治13年。<br>月形潔は明治政府の役人として、樺戸集治監（監獄）を作る為に、汽船で北海道の地へと向かっていた・・・<br><br>坂本龍馬と中岡慎太郎。<br>この二人に功を奪われた形だが、薩長和解の道を切り拓いたのは、紛れもなく月形洗蔵である。<br>しかしながら、その名を知る人は少ない。<br><br><br>などと、物語に思いを馳せ、わたしは次の言葉を待っていた。　<br>おばちゃん、もう一杯。と、熱燗のお代わりを注文しながら、友人は淡々と語り始める。<br><br>「松下村塾の面々はずるい。とにかくずるい。いいか、これは妬み嫉みで言ってる訳じゃない。平等に扱えってことを言ってるんだ……」<br><br>声高になっていく友人の声に、燗をつけていたおばちゃんが、眉をひそめた。<br><br>「なんだよ、あの久坂玄瑞。身長が189もありやがって。しかも“杏”まで、ものにするという。世の中は平等じゃないよ……」<br><br>こいつ、何が言いたいのだろう。<br>と、当然ながらわたしも思っていた。<br><br>「伊勢谷友介に大沢たかおだと。ふざけるんじゃないよ。美男子ばかりが脚光を浴びやがって……」<br><br>やっとのことで腑に落ちた。<br>ーーー国を想い、志半ばで散った人間は他にも沢山いるだろ。<br>と、友人が憂いていたのでは、なかったのだと。<br><br>「何度も言うが、 妬み嫉みで言ってるんじゃないからな……」<br><br>酔いつぶれた友人をタクシーで送る途中、何やらモソモソとした譫言が聞こえてきた。<br><br>「なんで俺じゃなくて、あの男なんだよ。そんなにイケメンが良いのかよ。あぁ俺は身長が低いさ。悪かったな。でもさ、でも俺のほうがあいつの100倍も君を想っていた。くそっ、ほんとに世の中ってやつは平等じゃないよ。でも、まだ君のこと忘れられない。今でも好きなんだ……。」<br><br>ーーーみず雪が雨へと変わる。<br>ここにもひとり、志半ばで散った、ひとりの男がいた。<br><br><br><br>　雲
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<link>https://ameblo.jp/johan14criff/entry-12009781011.html</link>
<pubDate>Fri, 03 Apr 2015 17:35:14 +0900</pubDate>
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<title>『山桜』が雲にのる。</title>
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<![CDATA[ 　桜の開花の便りが、列島各地から続々と寄せられている。<br>ラジオのリクエスト曲も“桜ソング”一色だ。<br>舞いに舞うわ、散りに散るわで、よもや葉桜である。<br>とはいえ、<br>わたしの暮らす北国では、便りが届くのも、まだ少し先のことになりそうだ。<br><br>　偏に桜と言っても、600種を越えるとされ、一般的に開花宣言に用いられるサクラとは、ソメイヨシノを意味する。<br>ひとは、その艶やかさに魅了され、心を躍らされる。<br>けれどもわたしは、<br>ーーー山桜を好むようになった。<br>藤沢周平の短編集『時雨みち』の中に収録された【 山桜 】という作品に出逢ってしまったからなのだ。<br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20150328/19/johan14criff/66/27/p/o0800040913258458361.png"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20150328/19/johan14criff/66/27/p/o0800040913258458361.png" width="100%"></a><br><span style="font-size: 8px; ">藤沢周平『時雨みち』（青樹社、1981年　のち新潮文庫）　</span><br><br><span style="font-size: 8px; ">［収録作品： 帰還せず・飛べ、左五郎・山桜・盗み喰い・滴る汗・幼い声・夜の道・おばさん・亭主の仲間・おさんが呼ぶ・時雨みち］</span><br><br>　舞台はおなじみ海坂藩である。<br>再嫁先の家風に馴染めず、つらい毎日を過ごす野江。<br>そんな野江がある日、道すがら、山桜が咲いているのを見かける。<br>ーーー薄紅色の桜<br>その美しさに心を奪われる野江。<br>野江は、桜の花にそっと手を伸ばす。<br>けれども、届かない。<br>そのとき「手折ってしんぜよう」との声が。<br>声の主は、野江にかつて縁談を申し込んだことのある、手塚弥一郎という武士であった・・・<br><br>　人生における岐路と、そのときの選択を題材とした作品である。<br>誰もが、「もしもあの時に……」と、過去を悔やんだり、嘆いたりした経験があるのでは無かろうか。<br><br>無論わたしもである。<br><br><br>　ちょうどあの日も<br>ーーー桜が咲き乱れていた。<br><br>　全国でも屈指の桜の名所とされる、とある城下町。<br>わたしの運転する車は、友人数名を乗せ、お花見会場を目指していた。<br>けれども、渋滞の渦に巻き込まれ、一向に先へと進めない。<br>苛々が募り、誰もが無口になっていく。<br>そんなとき、助手席に座るA君が、<br><br>「誰も通らない違う道を知ってるから、Uターンしようぜ？」<br>と、提案してきた。<br><br>　なぜか言い知れぬ胸騒ぎに襲われた。<br>躊躇するわたしにA君は「任せなさい」と、胸を叩き、さも自信ありげな表情を見せる。<br><br>ーーー二時間後<br>　わたしは、警察の事情聴取を受けていた。<br>A君の指示した道は、数年前から一方通行となっていて、すなわちわたしは、知らずに逆走をし、挙げ句の果てに、対向車と接触をするといった失態を犯してしまったのだ。<br><br>　その日のお花見見物は中止となった。<br>幸い、慣れぬ街ということもあり、一方通行の減点のほうは見逃して貰えた。<br>が、わたしはショックを隠せないでいた。<br><br>そんなわたしにA君は、いけしゃあしゃあと、言い放った。<br>「黙って真っ直ぐ進めば良かったのに……」<br><br><br><br>いつかその首を手折ってしんぜよう。。<br><br><br>　<br>　雲
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<link>https://ameblo.jp/johan14criff/entry-12007263198.html</link>
<pubDate>Sat, 28 Mar 2015 19:49:28 +0900</pubDate>
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<title>『みをつくし料理帖』八朔（はっさく）の雪が雲にのる。</title>
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<![CDATA[ いつからか、ランチミーティングといったシステムが定着した。<br>得てして、仕事で関わる人間との食事は苦痛を伴うものである。<br>その日は、まだ開店して間もない、オーガニックレストランとやらで、ミーティングをすることになった。<br><br>昨今の健康食ブームとは程遠く、不摂生この上ない日常生活を送るわたしにとって、これまた苦痛の連鎖である。<br>ともすれば、したり顔で野菜のうんちくを並べ、カロリーどうのこうのと講釈しまくる人間まで出てくる始末だ。<br><br>オーガニックとはつまり、有機栽培を意味する。<br>化学合成農薬や化学肥料に頼らず、有機肥料等で栽培する農法なのだが、一昔前までは、寧ろそれが一般的であった。<br><br>わたしの生家にも、自給するに足る、ちっぽけな畑があって、祖父母が土づくりに勤しんでいたことを思い出す。<br>そして、採れたての野菜を、醤油、味噌などで簡単に味付けをし、食卓にのぼらせていたものだった。<br>ーーー講釈は長々と続いた。<br>そんななか、わたしは、高田郁の大人気小説『みをつくし料理帖』を、思い出していた。<br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20150322/20/johan14criff/75/9c/p/o0800040913252591762.png"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20150322/20/johan14criff/75/9c/p/o0800040913252591762.png" width="100%"></a><br><span style="font-size: 8px; ">高田郁『みをつくし料理帖』&nbsp;八朔（はっさく）の雪（角川文庫、2009年5月）</span><br><br>～八朔（はっさく）の雪～<br>人気シリーズの第一作目である。<br><br>澪（みお）は以前、大阪の料理店「天満一兆庵」の女料理人として働いていた。<br>しかし、その店は貰い火によって消失してしまう。<br>店主の嘉兵衛は、妻の芳、そして天災で孤児となり、我が子同然のように育てた澪を連れ、江戸を目指す。<br>江戸には、嘉兵衛の息子・佐兵衛が店主として、 「天満一兆庵」の江戸店を、切り盛りしている筈であった。<br>が、すでに店は人の手に渡り、佐兵衛が失踪していることを知る。<br>嘉兵衛は、失意の中死亡し、澪は、未亡人となった芳と二人で、やもなく長屋の貧乏暮らしに身を置かざるを得なくなる。<br>そんなとき、澪は、「つる家」の主人・種市に出逢い、再び料理人としての道を歩み出すのであった。<br><br>『狐のご祝儀ーぴりから鰹田麩（かつおでんぶ）』<br>『八朔の雪ーひんやり心太（ところてん）』<br>『初星ーとろとろ茶碗蒸し』<br>『夜中の梅ーほっこり酒粕汁』<br><br>物語は短編連載になっている。<br>料理へ注ぐ澪の思い、そんな澪を囲む人々の情、とにかく、喉ごしならぬ、読みごしの良い作品である。<br><br><br>オーダーしたパスタがテーブルに置かれてもなお、<br>ーーー講釈は続けられた。<br>その人間を識者と呼ぼう。<br>識者はパスタの具材のひとつ、ある野菜に注目し、蘊蓄を垂れ流していた。<br><br>「この、カリフラワーって野菜には、キャベツの約二倍ものビタミンCが含まれてるんだ。それで驚くのが、この茎の部分。茎には何と蕾の数倍のビタミンCが含まれていると言う。このパスタにはしっかりと茎が使われてるじゃないか。この店に決めて正解だったな、わははは……」<br><br>そんな得意満面な識者に向け、わたしは心の中で叫んだ！<br><br><br><br><br><font color="#000000">「その野菜はロマネスコだぁ～～～!!」</font><br><br><br><br>　雲
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<link>https://ameblo.jp/johan14criff/entry-12004819433.html</link>
<pubDate>Sun, 22 Mar 2015 20:36:49 +0900</pubDate>
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<title>『樅ノ木は残った』が雲にのる。</title>
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<![CDATA[ 　某老舗家具店のお家騒動が、世間の関心事になっている。<br>何せ、一方は、才色兼備を備えた、女社長である。<br>メディアが煽るのも、当然であろう。<br><br>　この一連の流れを見て、歴史好きのせいか、どうしても、江戸時代におけるお家騒動を連想してしまう。<br>そして、山本周五郎の小説『樅ノ木は残った』に、思いを馳せるわたしである。<br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20150320/03/johan14criff/f8/61/p/o0800040913249972684.png"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20150320/03/johan14criff/f8/61/p/o0800040913249972684.png" width="100%"></a><br><span style="font-size: 8px; ">山本周五郎『樅ノ木は残った』(1958年、講談社、のち新潮文庫1～3巻）</span><br><br>　いわゆる“伊達騒動”を題材とし、通説では悪役とされてきた宿老の原田甲斐を、忠臣として作者は描いている。<br>仙台藩主・伊達綱宗が、幕府から突如の隠居を命じられた。<br>新しい藩主は、まだ二歳の嫡子亀千代（後の伊達綱村）である。<br>しかし、この事件の背後には、幕府と、綱宗の叔父にあたる一関藩主・伊達宗勝の、ある思惑が潜んでいた。<br>それを知った原田甲斐は、身を捨てる覚悟で、この難事に挑もうとするのだった・・・<br><br>　感想を敢えて言う必要もなかろう。<br>ともかく、お家騒動とは、わたし達のすぐ身近に、潜んでいるものだ。<br><br><br><br>昔話をしよう。<br><br>　しずしずと降る小雨を、闇が覆い尽くしていた、そんなある日。<br>友人からの電話が、夢路の中にいたわたしを掴み、現実へと連れ戻した。<br><br>「悪いな、こんな深夜に呼び出して」<br><br>　芋焼酎の香りが充満した、ちっぽけな居酒屋の片隅で、友人はぽつりと、思いつめたような表情をして、わたしを迎えた。<br><br>　友人は、家業であるタクシー会社に勤め、長男ということもあり、周りの誰からも、次期後継者ともくされていた。<br>ーーーしかし、妹の結婚によって、立場が一変した。<br><br>　娘を溺愛する父親、つまり社長が、娘婿を後継者に据える。と、決したらしいのだ。<br>　この一件は、昔から兄を疎ましく思っていた妹が、画策したことだった。<br>「信じられないよ……」<br>江戸切子のグラスに注がれた、芋焼酎の湯気も、友人の言葉のように、弱々しく、揺らめいていた。<br>「家族ってなんだろ……」<br><br>ーーー結局友人は家を出た。<br>数年がたち……<br>　少し離れた街で工場勤めをしていた友人が、ふらりと、わたしの部屋を訪ねてきた。<br>「大変だったみたいだな……」<br>　この頃、わたしは離婚をしたばかりだった。<br>誰からか、その噂を聞きつけ、励まそうと、駆けつけてくれたのだ。<br>「あのときのお返しだよ……」<br>そして、同じ居酒屋で芋焼酎を酌み交わした。<br>できあがった頃合い。<br>　ふたりは、陶酔といった夢現（ゆめうつつ）の狭間で、幾度も同じような言葉を、念仏のように呟いていた。<br><br>「家族ってなんだろ……」<br>「なんだろな……」<br>「家族とは……」<br>「なにかな……」<br><br>　赤提灯を叩く、雨垂れの音を、節奏としながら、ふたりの念仏は、明け方まで続いていた。<br><br><br>さてさて、<br>某老舗家具店のお家騒動は、27日の定時株主総会が山場となる。<br>けれども、同日に船出する、バヒド・ハリルホジッチ新体制の、サッカー日本代表のほうが、わたしにとって最大の関心事である。<br><br><br><br>　雲
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<link>https://ameblo.jp/johan14criff/entry-12003735765.html</link>
<pubDate>Fri, 20 Mar 2015 03:36:49 +0900</pubDate>
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<title>『菜の花の沖』が雲にのる。</title>
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<![CDATA[ 　昨日、北陸新幹線が開業した。<br>関連する地域では、様々な記念式典が催され、まだ雪深き北陸の地に、少し早い春の日差しが、注いでいるかのようである。<br>しかしながら、日差しは影をつくる。<br><br>　在来線の経営は第三セクターに引き継がれ、また、既存の特急が廃止になるなど、影となった地域住民の思いは、ことのほか複雑なものであろう。<br>時代と共に交通の要所は変化を遂げる。<br><br>ーーー北陸新幹線の終着駅・古都金沢。<br>　この地はかつて、いにしえよりの交通の要所であった。<br>船が交通と物流の主役であった時代の話だ。<br>三津七湊（さんしんしちそう）のうち二湊（本吉湊・手取川河口輪島湊）を抱え、多くの北前船で賑わいを見せていた。<br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20150315/20/johan14criff/3c/34/p/o0800040913245743806.png"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20150315/20/johan14criff/3c/34/p/o0800040913245743806.png" width="100%"></a><br><span style="font-size: 8px; ">司馬遼太郎『菜の花の沖』(1982年、文藝春秋　のち文庫1～6巻)</span><br><br>　そんな物思いにふけりながら、わたしは、司馬遼太郎の『菜の花と沖』という、昔読んだ小説を思い出している。<br><br>　あまりにも有名過ぎる作品なので、大筋だけ記すが、淡路島の極貧農家に生まれた菊弥（後の高田屋嘉兵衛）が、一介の船乗りから、様々な苦難を乗り越え、やがて、廻船商人として北方交易に乗り出し、蝦夷地・箱館開発の礎を築くといった物語である。<br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20150315/20/johan14criff/7a/18/p/o0800040113245744246.png"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20150315/20/johan14criff/7a/18/p/o0800040113245744246.png" width="100%"></a><br>　<span style="font-size: 8px; ">函館・金森倉庫</span><br><br>　時代は移ろい、主役は船から鉄道へと変わり、それまで日差しを浴び続けてきた、北前船の寄港地も影となった。<br>そして、鉄道の停車していた街も、自動車や飛行機、高速鉄道の普及に伴い、暗い影を落とそうとしている。<br><br>またひとつ、<br>「トワイライトエクスプレス」「北斗星」といった、長きに渡り人々に慣れ親しまれてきた、寝台特急の歴史にも終止符が打たれた。<br><br>　嘉兵衛は晩年、故郷の淡路島で余生を送り、菜の花の向こうに広がる沖を、眺め続けていたと言う。<br>荒波と波乱に満ちた自分の生涯を顧み、遠い蝦夷地、またはロシアの地に、思いを馳せていたのであろう。<br><br>ともかく、<br>陰日向なく、菜の花の咲き誇る景色に、心を奪われたいものである。<br><br><br>　雲
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<pubDate>Sun, 15 Mar 2015 19:24:57 +0900</pubDate>
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<title>『霖雨（りんう）』が雲にのる。</title>
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<![CDATA[ <a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20150312/20/johan14criff/6e/cd/p/o0800040113242846535.png"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20150312/20/johan14criff/6e/cd/p/o0800040113242846535.png" width="100%"></a><br><span style="font-size: 8px; ">　</span><span style="font-size: 8px; ">葉室麟『霖雨』（PHP研究所 2012）</span><br>　<br>　物語の舞台、天領の豊後日田（大分県日田市）は、降雨量の多い地域であるらしい。<br>そして、霧の立つ町としても知られる。<br>この地の霧は底霧と呼ばれ、盆地独特の風物詩として、多くの者を惹きつけてやまない。<br><br>　江戸時代後期、この地には、日本最大の私塾、『咸宜園（かんぎえん）』があった。<br>高野長英や大村益次郎など、優れた多くの人物を排出したことでも有名である。<br>　物語の主人公は、この塾を主宰する儒学者・広瀬淡窓（ひらせ・たんそう）だ。<br><br>&nbsp;　日田の代官・塩谷大四郎は、全国的にも名の知れた咸宜園を、幕府の支配下に置こうと考えていた。<br>それは、自分の名誉と出世欲を満たすためであった。<br>　咸宜園の教育は、「三奪法（さんだつほう）」という、学歴・年齢・身分を問わぬ、すべての門下生を平等に扱うといったものだ。<br>淡窓は、塩谷の度重なる干渉や圧力にも屈せず、この教育信念を貫き通そうと、我が胸に強く決心するのであった・・・<br><br>　本作は、『底霧 ・ 雨、䔥々(しょうしょう) ・ 銀の雨 ・ 小夜時雨(さよしぐれ) ・ 春驟雨(はるしゅうう) ・ 降りしきる ・ 朝霧 ・ 恵み雨 ・ 雨、上がる ・ 天が泣く』と、雨に喩え題し、進行していく。<br>これが物語に、絶妙に彩りを添えている。<br><br><br><br>　読み終えたとき、ふと、中学の頃の、S教師の姿が、わたしの脳裏を過ぎった・・・<br><br>　放課後の美術準備室に、わたしと友人ふたりが、並んで立たされている。<br>S教師は椅子に座り、眉間に皺を寄せていた。<br>机のうえには、二冊のエロ本が置かれいる。<br><br>「学校にこんな本持ち込むなよ……」<br><br>S教師はそう一言漏らすと、没収な。と、なぜか、悲しそうに呟いた。<br>そして、机のうえのエロ本を一冊丸めて、わたしたちの頭を、ぽかりぽかりぽかりと、みっつ叩いた。<br><br>　そんなでき事から数ヶ月が過ぎ、季節は春になろうとしていた。<br>S教師は中学を異動することになった。<br><br>終業式の日、わたしたち三人は再び、美術準備室にいた。<br><br>「一応これでも先生なんだから、あの場は、ああでも言わないと駄目だろ……」<br><br>S教師はそう言ったあと、「もう見つかるなよ」と、言葉を繋いで、小さな紙袋を、わたしたちに手渡した。<br><br>その紙袋には見覚えのある本二冊と、画用紙のうえにクレパスで描かれたヌードデッサンが三枚入っていた。<br>ーーーS教師が描いたものだった。<br><br>「君たちの年頃で、女性の裸体に興味持つのは、ごく自然のことなんだ。好奇心や冒険心は大事なんだよ。それが探究心に繋がるからね……」<br><br>そして少し間をあけ、<br>「君たちは恋をしていますか？」<br>と、尋ねてきた。<br><br>わたしたち三人が、返事に困っていると、S教師は、まあまあ。と、おどけた表情をしながら、囁くように言った。<br><br>「ここだけの話ですが、先生は優等生と呼ばれる生徒よりも、君たちのような、馬鹿な生徒のほうが好きです。……それと、君たち三人の好きな女性を、先生は知っています。」<br><br>デッサンに描かれていた女性は、エロ本のなかのどんな美女よりも、思春期に蓄積された、わたしの性的な欲求を満たしてくれた。<br><br>わたしとS教師の接点は、この一件だけである。<br>けれども、接してきた教師の中で、ただひとり、信じることのできる大人だった。<br><br>高校生になってから、RCサクセションの『ぼくの好きな先生』という曲を知り、その曲を聴く度に、S教師を思い出した。<br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20150312/20/johan14criff/9a/a3/p/o0800040113242846553.png"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20150312/20/johan14criff/9a/a3/p/o0800040113242846553.png" width="100%"></a><br><br>ぼくの好きな先生<br>ぼくの好きなおじさん<br><br><br><br>あっ、ひとつ言い忘れたが、<br>ーーー霖雨とは、幾日も降り続く雨のことである。。<br><br><br>　雲
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<link>https://ameblo.jp/johan14criff/entry-12000737016.html</link>
<pubDate>Thu, 12 Mar 2015 20:47:28 +0900</pubDate>
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<title>『まとい大名』 が雲にのる。</title>
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<![CDATA[ <a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20150316/02/johan14criff/8b/b7/p/o0800040913246129121.png"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20150316/02/johan14criff/8b/b7/p/o0800040913246129121.png" width="100%"></a><br><span style="font-size: 8px; ">山本一力『まとい大名』(毎日新聞社 2006.12　のち文春文庫)</span><br><br>　第八代将軍徳川吉宗の時代、江戸に町火消（まちびけし）と呼ばれる、町人による火消制度が設けられた。<br>組織化に尽力したのが、あの南町奉行・大岡忠相である。<br>これにより、隅田川から西を担当する、いろは組47組（後に48組）が組織された。<br>　この物語は、東の本所深川を担当する16組の町火消のなかで、佐賀町周辺の火消しを担当する頭・徳太郎と、その息子・銑太郎を中心にして繰り広げられる。<br><br>　ある日、検校（盲人の最高位の役職）の多くが暮らす平野町を、火災が襲った。<br>検校の大半は、高利の金貸しを副業としており、庶民からは蛇蝎のように嫌われている。<br>中には「ざまぁみやがれ！」などの、罵詈雑言を浴びせる人々も。<br>しかし、徳太郎ら火消しは力の限りをつくし、猛火に立ち向かう。<br>　そんな消火活動の最中である。<br>徳太郎は、あることから検校と諍いを起こし、それを理由に、命を投げ出してしまう。<br>徳太郎の息子・銑太郎は、父の背中を追いかけ、町火消の道を歩み出していくのだった・・・<br><br>　粋でいなせな、江戸本所深川の町火消しと、市井に暮らす人々との、心温まる人情噺である。<br>火消しという職業は、役者・力士と並び、江戸時代のモテモテ三大職業と言われた。<br>大柄な人間が火消しに選ばれる。<br>身にまとう半纏は、リバーシブルになっていて、裏地には華やかな模様が描かれていた。<br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20150310/17/johan14criff/c6/3b/p/o0800040113240858594.png"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20150310/17/johan14criff/c6/3b/p/o0800040113240858594.png" width="100%"></a><br>　<br>萌え♡……じゃなくて。<br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20150310/17/johan14criff/60/d2/p/o0800040113240858609.png"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20150310/17/johan14criff/60/d2/p/o0800040113240858609.png" width="100%"></a><br>　火が消えた後は，半纏を裏がえして、颯爽と肩で風を切り、凱旋する。<br><br>「いよっ、日本一！」<br><br>と、やんやの喝采を浴びながら。<br><br>　<br>　東日本大震災からあすで4年になる。<br>死者・行方不明者は1万8千人を超え、そのうち、消防団員254人が犠牲となった。<br>しかしその一方で、“火消しの心意気”に多くの人命が守られた。<br><br>あらためて、震災で亡くなられた方々のご冥福をお祈るとともに、身を犠牲にし、未曽有の災害に立ち向かった人々の勇気に、尊敬の念を抱きたいと思う。<br><br><br>　雲
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<link>https://ameblo.jp/johan14criff/entry-11999818489.html</link>
<pubDate>Tue, 10 Mar 2015 16:56:46 +0900</pubDate>
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<title>『天の光』が雲にのる。</title>
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<![CDATA[ <a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20150310/12/johan14criff/8b/f4/p/o0800040113240647560.png"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20150310/12/johan14criff/8b/f4/p/o0800040113240647560.png" width="100%"></a><br><span style="font-size: 8px; ">葉室麟『天の光』(2014年・徳間書店)</span><br><br>数年前に、空前の仏像ブームが沸き起こり、シニア層のみならず、若年層、それも若い女性までもが、<br><br>“国宝阿修羅像”<br><br>を、一目見ようとして、展覧会場に長蛇の列をなしたものだ。<br>そのムーブメントは、仏女(ぶつじょ)といった呼称までも造り出した。<br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20150308/20/johan14criff/0a/be/p/o0800040113239038546.png"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20150308/20/johan14criff/0a/be/p/o0800040113239038546.png" width="100%"></a><br><br>つい先ほど、わたしは葉室麟の小説『天の光』を、読み終えた。<br>本書は、ひとりの仏師の物語である。<br><br>主人公の名を、柊(ひいらぎ)清三郎という。<br>清三郎は、武士の三男として生まれたのだが、仏師の道を志し、博多の慶派の仏師、高坂浄雲のところに入門をした。<br>師・浄雲は、清三郎の才能を見抜き、ひとり娘のおゆきを嫁がせる。<br>しかし、それを快く思わない兄弟子の玄達は、同門の三人を伴い出奔する。&nbsp;<br><br>それから一年後、清三郎は己の彫る仏像に満足できず、師匠の静止を聞かずして、京仏師の元へ修行に出る。<br>新妻のおゆきには三年との約束で。<br>ところが、清三郎の居ぬ間に、思いも寄らぬ事態が、おゆきに襲いかかっているのだった……。<br><br><br>一度だけ、実際に仏師が仏像を掘る姿を拝見したことがある。<br>工房は緊張感に包まれ、シュルシュルと彫刻刀で木を削る音は、まるで仏師が、自らの生命を削る、執念の音のように、わたしの耳には聞こえたものだ。<br><br>物語の主人公、清三郎も、仏像を通し己の心と向き合い、葛藤を繰り返す。<br>伐られることで失った木の生命を、もう一度宿そうとするかのように。<br><br><br>話を戻すが、仏像ブームの仕掛け人は、サブカルの帝王・みうらじゅんだ。<br>マイブームや、ゆるキャラの言葉を編み出したのも彼である。<br>その、みうらじゅんが、仏像ブームの頃に、こう予言していた。<br><br><font color="#000000">ーーー次は円空仏ブームだ！</font><br><br>わたしも折に触れ、円空仏を目にすることがあるのだが、その仏の顔は何とも言えぬ表情をしている。<br>ショーケースに入れられ、厳重な警備のもとに展示をされる仏像とは違い、触れることも厭わない、言わば庶民にとって、身近な仏像と言えるだろう。<br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20150308/20/johan14criff/40/97/p/o0800040113239038571.png"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20150308/20/johan14criff/40/97/p/o0800040113239038571.png" width="100%"></a><br><span style="font-size: 8px; ">　　</span><span style="font-size: 8px; ">青森県下北郡佐井村長福寺『木彫十一面観音立像』</span><br><br>本書を読み、わたしはもう一度、みうらじゅん氏の予言を信じようと、曖昧な記憶のままでは心許ないので、彼の過去の記事を探す作業に取りかかった。<br><br>そして、ついに見つけた！<br>確かに彼は予言をしていたのだ。<br><br>「2013年は円空ブームが来る！」<br><br>今年は早、2015年である。。<br><br><br>　雲
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<link>https://ameblo.jp/johan14criff/entry-11999025780.html</link>
<pubDate>Sun, 08 Mar 2015 19:32:15 +0900</pubDate>
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