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<title>High and Dry</title>
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<description>日々の徒然や読書・音楽鑑賞などについて書いてゆきます。</description>
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<title>HIP HOP LOVE/ZEEBRA</title>
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<![CDATA[ <p>ご存じHIP HOP界の大御所、ZEEBRA　tha Daddyの自伝。</p><p>彼自身の生い立ち、生きざま、思想などが赤裸々につづられてゆく。以下感想。</p><br><p>・ZEEBRAという名前の由来に、陰＆陽まで含まれていたとは……想定外。</p><p>・サラリーマンの経験……「なんとなく9to5みたいな普通の生活にあこがれもあった」と。分かります。</p><p>　でもやはり「これじゃない」みたいなものを感じたんでしょうね、その「普通の生活」を通して。だから「俺にはこれ　　　　　　しかねえ(feat. Maccho)」みたいな歌詞が出てくるんだろうし、リアリティが出るんだろうなあ。</p><p>・ｋｊについての部分。よくあのDISはZEEBRAの嫉妬とか某掲示板に書かれているが、それは全くないでしょう。HIP HOPというもの、その精神、についてだれよりも模索し、忠実であろうとしてきたZEEBRAだからこそ、ｋｊの姿勢、行動、諸々に対して許せなかったんでしょう、まさにHIP HOPという名の宗教において。世間一般的に捉えられているHIP　HOPというものと本質的なそれとは大きく違うと思う。ちょっと前までならば、HIP HOP=「YO YO CHECK　IT OUT」あるいは「ダボダボファッション」、そんで「悪い人たち」みたいな。今もそんな大差ない認識だろうけど、それって結局みための第一印象の話であって。ｋｊも結局、その「みため」のHIP HOPから入ってしまって、本質捉えないままに「I LOVE HIP HOP」とか言ってしまったから、ZEEBRAも怒ってしまったんでしょう。というより、ZEEBRAのDISとはZEEBRAだけのものではなく、特にオールドカルチャーから、底辺から、真摯に本物のHIPHOPを根付かせようと奮闘してきた人たちの怒りの代弁だったんじゃないかな、なんて。そんでもって、その本質的なHIPHOPとは何かというと、この本の中でもZEEBRAが述べている通り、「ストリート(実際の通りとかいう概念を超えて、仲間とのつながりというのが本質的な意味)、オリジナル(自分にしかないものを生み出そうとする姿勢)、カルチャー(本物志向の者たちが自然発生的に作り出す渦、エナジー、パワー)」なんでしょうね。そういうオリジネイターたろうたる精神は、僕みたいな一般人たろうとも絶対に持ってるべきだし、そうじゃない人が多いのも事実ですよね。何よりも「みため」じゃなく「本質」みぬく第三の目が必要ということでしょうな。悪そうに見えて実はいいやつとか実際たくさんいるし、その逆もしかり(←こういう奴最悪)ですしね。</p><p>・フリースタイルオンリーのライブ、見たかったな(涙)。</p>
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<pubDate>Mon, 30 Aug 2010 02:03:45 +0900</pubDate>
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<title>Tokyo Tower</title>
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<![CDATA[ <p><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20100211/16/k-z1984/60/a7/j/o0500033310409962673.jpg"><img height="147" alt="High and Dry" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20100211/16/k-z1984/60/a7/j/t02200147_0500033310409962673.jpg" width="220" border="0"></a><br></p><br><br><p>From this site, my eyes are covered with million of lights.<br>So many cars are running with emitting their flash lights.<br>It's like a spider's web……<br><br>A lot of town's dazzling lights surround me from every side.<br>I'm standing alone with receiving innumerable solitary hearts.<br><br>Oh……Tokyo Tower……<br>Oh……Tokyo Tower……<br><br>From outside, I would be shining with fascinating red.<br>In spite of, my inner sides are sinking down all day long.<br>It's like a false star……<br><br>A lot of town's dazzling lights surround me from every side.<br>I'm standing alone with receiving innumerable solitary hearts.<br><br>Oh……Tokyo Tower……<br>Oh……Tokyo Tower……<br><br>Whenever I climb up there, I see actual myself.<br><br>He is in a deep forest, where is no lights.<br>He is in a darkness sea, where is no words.</p>
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<link>https://ameblo.jp/k-z1984/entry-10456236911.html</link>
<pubDate>Thu, 11 Feb 2010 16:05:14 +0900</pubDate>
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<title>男とマスター</title>
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<![CDATA[ <div class="entryBody"><table width="564"><tbody><tr><td class="entryTd"><p><font size="2">「また戦争だね」<br>古びたジャズ喫茶店のマスターは、半分壊れかけのぼろ臭いテレビを横目で観ながら言った。<br>「よくあることさ」<br>カウンターに座った男は、ジンを静かに舐めながら言った。<br>「まあ、いつでもどこでもやってるけどね」<br>「平和な日常の中の見えない戦争。これこそが一番えげつないと思うな。遠回しすぎて。<br>　平和という表皮を一枚捲ったら、その裏にあるのは血みどろの生存競争さ」<br>「否定はしないよ」<br>「そりゃそうさ」<br><br>ゆっくりとしたジャズの4ビートのリズムが、背景に虚ろに漂い揺れる。<br>テレビの中の慌ただしい殺戮の狂乱映像とは、一見すると対を為すけれど、<br>実際上はジャズの演奏も各々の楽器が互いに静かに鬩ぎ合っている。<br><br>「みんなギリギリのところで立っているんだよ。仮初の平和の中でかろうじで爪先立ちさ」<br>「私もそうさ。君もそうだろ。いつも笑っているけれど……」<br>マスターは笑いながら珈琲を舐めた。<br>「笑っている人ほど辛いのかもしれないね。たまにいるじゃないか。<br>　昨日まで元気な顔でテレビに映っていたアナウンサーが、翌日急に自殺していたりとか」<br>「気持ちは解かるってかい」<br>「少しだけね」<br><br>その後、言葉が途切れた。あるのは限りなく深い闇と、ぼんやりと頭上に垂れ下がっている、</font></p><p><font size="2">淡い</font><font size="2">光を放つ電球だけだ。</font><font size="2">ジャズは、恰も死者を弔うレクイエムであるかのように、</font></p><p><font size="2">哀しく響いた。<br><br>「泣きたくなってきたよ」<br>数分後、男はようやく口を開いた。<br>「そうか。実は、私も急に……」<br>マスターは微笑に涙が浮かんでいる。<br><br>「取り敢えず、生きていることに乾杯しようか」<br>「そうしよう」<br><br>二人は軽くコップの先をチーン、チン、と合わせた。<br>「あなたに光がありますように」<br>「君に幸せが降りますように」<br><br>二人はカウンター越しにそれぞれ両手を固く握り合い、頭上の虚ろな光を見上げ、</font></p><p><font size="2">祈りを捧げた。<br><br>「主よ、争い堪えぬ此の世に、たとい僅かながらであろうとも、真なる光を与えたまえ……」<br><br>二人は眉間に皺が凝縮するほど深く眼を瞑り、救いを求めた。<br><br>「それじゃあ、そろそろ帰るよ」<br>「ああ、今日はありがとう。また来るんだろう？」<br>「ああ、もちろん。その時は、光を連れてくるよ。本当の光を……」<br>「私もそうなれるように願っている」<br>「じゃあ、また」<br>「さようなら、お疲れ様」<br>男は店を去った。<br><br>マスターは煙草を一服すると、白濁色の副琉円を両の鼻から頭上に吹き出し、</font></p><p><font size="2">深い溜め息をついて、店仕舞いを始めた。<br><br>「光、光……」<br><br>心の中でそう思うと、何故か不意にマスターの眼から涙が溢れ上がり、</font></p><p><font size="2">仕舞には滝のように零れ堕ち、風景が有象無象にぼやけ、</font></p><p><font size="2">マスターは自分が、背景に流れる幻色的なジャズの中に紛れ込んで、</font></p><p><font size="2">このまま永遠に放浪してしまうような心地にさえなった。<br><br>「ちょっと混乱しているな。今夜は薬を飲もう」<br><br>そう思ってマスターは、店を閉めて奥の自室へ戻った。<br>眠れない夜をどう乗り越えるかが、最近のマスターの悩みの種だった。</font></p></td></tr></tbody></table></div>
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<pubDate>Thu, 11 Feb 2010 15:47:59 +0900</pubDate>
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<title>この記事は表示できません</title>
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<link>https://ameblo.jp/k-z1984/entry-10456217781.html</link>
<pubDate>Thu, 11 Feb 2010 15:39:14 +0900</pubDate>
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<title>WAVE/Antonio Carlos Jobim</title>
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<![CDATA[ <p><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20100211/15/k-z1984/47/85/j/o0240024010409915829.jpg"><img height="220" alt="High and Dry" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20100211/15/k-z1984/47/85/j/t02200220_0240024010409915829.jpg" width="220" border="0"></a> <br>静かな海辺を漂いゆくさざ波。</p><p>軽やかでありながら、どこか哀愁も帯びている。</p><p>ただ、大げさではなく、日常、その営み、そのもの。</p><br><p>そんなイメージ。</p><br><p>集中して聴くのではなく、PC作業用として最適なグッドミュージック。</p>
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<pubDate>Thu, 11 Feb 2010 15:16:12 +0900</pubDate>
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<title>OK computer/ Radiohead</title>
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<![CDATA[ <p><br>                                     <a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20100126/06/k-z1984/f3/b6/j/o0240024010389257248.jpg"><img height="220" alt="High and Dry" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20100126/06/k-z1984/f3/b6/j/t02200220_0240024010389257248.jpg" width="220" border="0"></a><br></p><br><p>世紀末。出口のない不安・恐怖・混沌、そして虚無……。その総てを音に変えて代弁したRadioheadそしてトム・ヨーク。幕開けから異様なノイズとぶつ切りのブレイク・ビーツで世界を切り開き、続く曲群でも狂った世相を異様な展開で映し出し、漸く辿り着いたと思った静寂はまたしてもカルマの支配下だった。とうとう行き場を無くした人間は、とうとう此の世とお別れをし、争いも警戒もない理想郷へと旅立とうとする。しかし現実へ帰ると我々はやはり生きねばならぬ。例えそれが崖の上に立つ綱渡りのようなものであっても。いつの時代も、程度の差こそあれ、人はこのような混乱の最中を、生き抜く度に旅をし続ける。安堵の出発も束の間、気付けばまたエアーバッグを携えて無我夢中で生を追う。</p>
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<pubDate>Tue, 26 Jan 2010 06:36:38 +0900</pubDate>
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<title>Sixteenth Moon/宮沢和史</title>
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<![CDATA[ <font color="#666666"><p><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20100211/15/k-z1984/44/24/j/o0160016010409924019.jpg"><img height="160" alt="High and Dry" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20100211/15/k-z1984/44/24/j/t01600160_0160016010409924019.jpg" width="160" border="0"></a><br></p><br><p>全曲凄く良い音で録られてているし、なにより宮沢氏の<font color="#ff0000">静謐でありながらもパッショナブルな独自の世界観</font>が大好きです。何か素晴らしい邦画を観ているような、落ち着いた居心地の良い気持ちにさせてくれます。<br><br>ボサノバ、ジャズ、ソウルと色々な要素が見られる作品で、本当に全曲好きなのですが、中でも私が好きな曲は、「雲の形が変わる前に」と「十六月に照らされて」です。なにか懐かしい風景や深い情念を上質に感じさせてくれるこれらの曲はもう涙が出そうになります。</p></font>
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<pubDate>Tue, 26 Jan 2010 06:32:41 +0900</pubDate>
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<title>罪と罰（新潮文庫）/ドストエフスキー</title>
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<![CDATA[ <font color="#000000"><font color="#ff0000">選ばれた人間は、自らが正しいと信ずるならば、法律（殺人）を犯す権利がある</font>という自らの思想を実行に移すため、ラスコリーニコフは金貸しの老婆を殺害し、彼女の金を有益に奉仕しようと決意する。しかし同時に彼は老婆のみならずリザヴェータまでも殺害してしまった。犯行後、様々な人物が登場し、様々な思考がラスコーリニコフを過るが、ソーニャの勧めもあり、遂にラスコーリニコフは自白してしまった。シベリヤの流刑地にて八年間の懲役に服されるが、そこでも彼を見捨てずにいてくれたのが、ソーニャであった……。 <br><br>本書の粗筋は多くの人が前提として知っていることでしょうが、実際に通読するとその濃度は計り知れません。日数にしても場所にしても短く狭い話なのですが、その分、ラスコーリニコフと登場人物達の密室空間での対話（特にスヴィドリガイロフ、ポリフィーリイ、ソーニャなど）がそれぞれ色濃く、紙数の大半を占め、そのグルーヴに読者は呑まれるばかりの勢いで読み耽ることとなります。例えばスヴィドリガイロフとの対話では、その妖艶さに身震いする思いでしたが、ソーニャが福音書を読む場面では、反動的に救いを感じたり、キャラクターごとの特質をドストエフスキーは巧く描き分けています。しかし、本当に色々な人物（ラスコーリニコフ、ラズミーヒン、スヴィドリガイロフ、ドゥーニャ、ソーニャ、マルメラードフ、カテリーナ、ルージン、レベジャートニコフ、ポルフィーリイ、などなど）が出て来る為、珠に頭が混乱してしまうので、</font><a href="http://www013.upp.so-net.ne.jp/hongirai-san/kids/t-soukanzu.html" target="_blank"><font color="#000000">http://www013.upp.so-net.ne.jp/hongirai-san/kids/t-soukanzu.html</font></a><font color="#000000">のサイトで人物相関図を参照させてもらいながら読むと、より良く理解できると思います。「現代の予言書」とも言われる本作ですが、例えば進歩主義者のレベジャートニコフが、「ぼくはいま未来社会では他人の部屋へ自由に出入りできるという問題を、……」とルージンに言いますが、これはもしかして現代のネット社会の暗示ではないでしょうか。スヴィドリガイロフの自決の際も、アメリカを嘲笑しているように感じられますが、これは『カラマーゾフ』のミーチャの発言とも被るところがあり、意味深な予言として私には映ります。その他にも、様々な暗示が仕掛けられているようにも思えます。さらに、ラストの、流刑地でのラスコーリニコフの枕元にあるソーニャの福音書という結びですが、「彼は今もそれを開きはしなかったが……」、という、キリスト教による救済を描きつつも、それを絶対視させないで曖昧にさせ、読者に委ねる表現に、絶妙さを感じました。トルストイとドストエフスキーの違いは、こういったキリスト教信仰の差異でしょう。トルストイはキリスト教絶対主義のように思えますが、ドストエフスキーは何やら半信半疑のように思えます。いずれにせよ、内容が青黒いカオスで満ち溢れている本作の尾鰭に、この救いがあるのと無いのとでは、大きな違いでしょう。 <br><br>『源泉の感情』という三島由紀夫の対談集の中で、小林秀雄は、「『金閣寺』は燃やすまでの動機小説で、『罪と罰』は殺してからの小説」と両者を峻別していますが、それでも両者に共通するのは、<font color="#ff0000">読者を乗せて運んでゆく魔的なものが乗り移った筆力</font>であろうと個人的には思います。グングンと吸い込まれてゆく力に漲っているのです。それと、この『罪と罰』は、構成がとても素晴らしいです。全部で六章ですが、各章どれも凡そ百五十ページほどで、その中に1、2、3……と、大体二、三十ページごとに府割りされています。これが凄く読者にとっては読み易い構成なのです。兎にも角にも、<font color="#ff0000">推理小説として、思想小説として、恋愛小説として、老若男女問わず満足出来る、エンターテイメント性に富んだ純文学の傑作</font>であることは断言し切れます。</font>
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<pubDate>Tue, 26 Jan 2010 06:28:50 +0900</pubDate>
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<title>異邦人（新潮文庫）/カミュ</title>
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<![CDATA[ 世に知られる不条理文学の傑作である。本書における主人公ムルソーを通して、筆者は<font color="#ff0000">キリスト教の形式主義的な欺瞞</font>を暴き立てている。 <br><br>ムルソーはあまりに正直な青年だ。母親の死において涙を流さず、棺桶を開けて母親の顔を見ようともせず、コーヒーを飲んでいる。埋葬の次の日にはマリイと海水浴をする。裁判では起きたことを総て正直に答え、アラビア人をレエモンの拳銃で撃った理由を、「太陽が眩しかったから」と答える。 <br><br>つまりムルソーは、<font color="#ff0000">しなければならないと暗黙的に決められた社会的約束事などには関与せず、自らの感性ないし感情にあまりに素直</font>なのである。したいことを素直にして、したくないこと（例えそれがしなければならないことだとしても）は素直にやらない。想い起すのはやはりメルヴィルの「バートルビー」という人物や、ガーンディーの「サッティーヤグラハ」という思想だ。話がムルソーに関することなのに、彼が意識しないところで話が自然と進められていってしまう。淡々と冷徹な文章は恰もシークエンスミュージックのようだ。<font color="#ff0000">ところが最後の最後で強烈なディストーションが起こり、ノイズが沸き立つ</font>。そう、ムルソーと偽善的な牧師との対話の場面だ。そこでカタルシスが生れ、初めてムルソーが一見すると冷徹な中に熱き感情を保持した人物であるということが明らかにされる。 <br><br>本書において、読者は<font color="#ff0000">人間が如何に形式的に善とされる常識の中で生かされ、それを順守することが「人間的」であるとされているか</font>、ということについて深く自問することを余儀なくされる。ディケンズの『クリスマス・カロル』のように、キリスト教的「人間性」を最終的に信ずる生温かいものを真実と捉えるか、それともこの『異邦人』のように、そんなものは最後まで虚偽であるとして全的に否定する荒涼と冷徹なものを真実と捉えるか、それは読者の見解に係っている。私はといえば、この「人間性」すなわちヒューマニズムに対する問いは、生涯付きまとう自問であると感じている。
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<pubDate>Tue, 26 Jan 2010 06:27:16 +0900</pubDate>
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<title>アンナ・カレーニナ (新潮文庫)/トルストイ</title>
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<![CDATA[ <font color="#000000">十九世紀のロシアの風土がありのままに感じられ、そしてそこに生きる人々の繊細な人間模様が、トルストイの透明さの奥から迸る情熱を込めた筆致を通して、作品全体から伝わってきました。 <br><br>やはりトルストイの人物描写、特に女性描写は、抜群の感性を誇っています。特にアンナの最後の混乱した感情描写や、キチイの出産時の描写などが強く印象的です。 <br><br>女性の方であれば、アンナ、ドリイ、キチイ、ワーレンカなど、男性の方であれば、リョーヴィン、カレーニン、ヴロンスキー、オブロンスキー、ニコライなど、どの登場人物に感情移入するかは、人それぞれの性格や思想によりけりですが、トルストイの、それぞれの登場人物に対する、繊細で肌理細やか過ぎる描き分けの凄さには、只々、脱帽するのみです。 <br><br>因みに私は、男性として、リョーヴィンに感情移入しました。リョーヴィンが出てくる場面が常に楽しみでした。リョーヴィンを通して、特に農業学的見地からロシア社会の欺瞞を摘出しつつ、キリスト教の欺瞞に疑問を抱きながらも、その上で<font color="#ff0000">理性や哲学では計り知れない「己の精神の聖なるもの」を信じて生きていこうという、宇宙的想念の最後の悟り</font> は、鳥肌ものであり、最後までこの長編を読んできた人にだけ味わえる、素晴らしき体験です。農場の経営者であるリョーヴィンは、経営者も自ら労働者と共に働くべきであるとして、汗を流し働きます。トルストイが具現化したのが正にリョーヴィンなのでしょう。その他、競馬の場面の臨場感や、結婚式に遅刻する滑稽さも良かったなあ。それ以外の場面にも、トルストイの霊的な力が、作品の端々から、滲み出てきています。 <br><br>ドストエフスキーの長編作品と比較するなら、ドストエフスキー作品が小説特有の虚構を用いて、限定された人数の登場人物同士の、饒舌な対話を通じ濃厚なカオス的グルーヴを生むとしたら、トルストイ作品は複数の人物を用いて、常に現実の諸問題を考慮に入れた上で、客観的にバランスよく全体を描写をするというところに違いが見られるでしょう。それは決してトルストイが冷めているという訳では無く、寧ろ、<font color="#ff0000">現実を度外視して小説を書くようなことはしないぞ、というリアリストのしての情熱の顕れ</font>であるように思います。どちらが好みかというよりも、どちらも非常に大切なものを読者に投げ与えてくれるので、一方に偏るよりは双方共に読んでゆくのが最適でしょう。<br><br>いずれにせよ、生涯付き合っていける素晴らしき作品に出会えたことが、何より嬉しいです。何故ならこの作品には、<font color="#ff0000">恋愛、宗教、哲学、政治、農業など、国や時代の違いに拘わらない、人間と社会の普遍的なる問題</font>が、そのままに描かれており、全世界的な問題を包括した総合小説となっているからです。トーマス・マンも言うように、「非の打ち所の無い完璧な作品」とは、正にこの作品であり、寧ろ人類の遺産とまで言い切れると思います。</font>
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<link>https://ameblo.jp/k-z1984/entry-10442995141.html</link>
<pubDate>Tue, 26 Jan 2010 06:20:47 +0900</pubDate>
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