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<title>ko-ji-52のブログ</title>
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<description>こうじ、52歳。会社員をやめてから、なんとなく生き延びています。年の差なんて気にしないふりをしてるけれど、誰かに話を聞いてもらえると、ちょっとだけうれしい。そんな日々を綴りたくて始めてみました。言葉の届き方を、もう一度ちゃんと考えてみたいと思っています。</description>
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<title>2.知らない名前で呼ばれた日</title>
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<![CDATA[ <p id="97bcc808-bfb9-4bef-8b83-a764278a0d13" name="97bcc808-bfb9-4bef-8b83-a764278a0d13">喫茶店で誰かを待つなんて、何年ぶりだったでしょうか。<br>それも、名前も顔も知らない相手を。<br>自分が座るべき席なのかどうかもよくわからず、店員さんに促されるまま一番奥の席に座りました。</p><p id="1264cdf2-67f3-4cfa-9131-5a34fe2dae28" name="1264cdf2-67f3-4cfa-9131-5a34fe2dae28">&nbsp;</p><p id="1264cdf2-67f3-4cfa-9131-5a34fe2dae28" name="1264cdf2-67f3-4cfa-9131-5a34fe2dae28">緊張していたんでしょう。<br>「水、お下げしますね」と言われて、「あ、はい。お願いします。あ、すみません、はい…」と、<br>なんとも要領の悪い返事をしてしまいました。<br>水を下げられるだけなのに、なぜか頭を下げてしまった自分がいて、少し恥ずかしくなりました。</p><p id="fd8ee7a0-6efc-42ba-b901-545d40d253a0" name="fd8ee7a0-6efc-42ba-b901-545d40d253a0">&nbsp;</p><p id="fd8ee7a0-6efc-42ba-b901-545d40d253a0" name="fd8ee7a0-6efc-42ba-b901-545d40d253a0">その日、私は時計をいつもより念入りに磨いて出かけました。<br>昔エジプトに行ったときに買った銀箔のやつです。<br>家を出る前に一度、鏡の前で腕を曲げて、袖の隙間から時計がどう見えるかまで確認しました。<br>……誰がそんなところを見るのか、今思えば滑稽です。</p><p id="26821fe4-357d-48da-bcf4-9d053ff0aeb8" name="26821fe4-357d-48da-bcf4-9d053ff0aeb8">&nbsp;</p><p id="26821fe4-357d-48da-bcf4-9d053ff0aeb8" name="26821fe4-357d-48da-bcf4-9d053ff0aeb8">待ち合わせの時間よりも20分早く着いて、空いていた窓際の席に座りました。<br>人の出入りが見える場所のほうが、安心だったのかもしれません。</p><p id="9881e47c-141c-44d6-8bfb-5713e2b99d5a" name="9881e47c-141c-44d6-8bfb-5713e2b99d5a">&nbsp;</p><p id="9881e47c-141c-44d6-8bfb-5713e2b99d5a" name="9881e47c-141c-44d6-8bfb-5713e2b99d5a">外を行き交う人たちをぼんやり見ながら、<br>「やめておけばよかったかな」「でも今さらドタキャンも…」と、<br>同じようなことをぐるぐると考えていました。<br><br>スマホの画面には、彼女からの「○○駅の出口、もうすぐです」とだけ書かれたメッセージ。<br>その通知を見たとき、私は無意識に背筋を伸ばしました。<br>なぜか、胸ポケットに手をやって、ペンが入っていることを確認してしまいました。<br>会話にメモを取るつもりだったのでしょうか。今となっては自分でもよくわかりません。<br><br>&nbsp;</p><p id="9881e47c-141c-44d6-8bfb-5713e2b99d5a" name="9881e47c-141c-44d6-8bfb-5713e2b99d5a">彼女が店に入ってきたのは、約束の5分前。<br>目立つ服でもなく、媚びるような雰囲気もなく、<br>髪を無造作にまとめて、こちらを見つけると小さくうなずいてまっすぐ近づいてきました。<br><br>「あの、こうじさんですか？」</p><p id="9881e47c-141c-44d6-8bfb-5713e2b99d5a" name="9881e47c-141c-44d6-8bfb-5713e2b99d5a">&nbsp;</p><p id="8f92bcbe-4c90-4f60-bea3-688bc9ad5e05" name="8f92bcbe-4c90-4f60-bea3-688bc9ad5e05">“こうじ”と呼ばれるのは、アプリの中だけのことでした。<br>友人にも家族にも、そう呼ばれたことはありません。<br>でも彼女の口からその名前が出たとき、不思議と落ち着いた気持ちになりました。<br>本名じゃないのに、自分が「見つけられた」ような気がしました。</p><p id="7cfcce5a-a9df-4a8d-827b-8a20a66caf03" name="7cfcce5a-a9df-4a8d-827b-8a20a66caf03">&nbsp;</p><p id="7cfcce5a-a9df-4a8d-827b-8a20a66caf03" name="7cfcce5a-a9df-4a8d-827b-8a20a66caf03">彼女はよく話す人でした。<br>学校の話、バイト先の話、趣味や推しの話まで。<br>私はというと、うまく言葉が出てこなくて、<br>「へえ」「そうなんですね」「それは大変ですね」と、どこかマニュアルみたいな返事ばかりしていました。</p><p id="e363c4b9-6871-4446-817a-fff9f7daa043" name="e363c4b9-6871-4446-817a-fff9f7daa043">&nbsp;</p><p id="e363c4b9-6871-4446-817a-fff9f7daa043" name="e363c4b9-6871-4446-817a-fff9f7daa043">&nbsp;</p><p id="e363c4b9-6871-4446-817a-fff9f7daa043" name="e363c4b9-6871-4446-817a-fff9f7daa043">途中で、彼女が少し笑いながら言いました。<br>「大人の人って、話を聞いてるようで聞いてないんですよね」<br>「ギクッ」と音がした気がしました。<br>胸の奥、何かを突かれたような感覚でした。<br>返す言葉が出てきませんでした。<br>彼女が悪いわけではありません。むしろ、本当にそうなのだと思いました。<br>会社員をしていたころ、私は部下の話をよく“聞いているふり”をしていました。</p><p id="dfb02089-801b-4d43-9caa-d9a29604ad6e" name="dfb02089-801b-4d43-9caa-d9a29604ad6e">&nbsp;</p><p id="dfb02089-801b-4d43-9caa-d9a29604ad6e" name="dfb02089-801b-4d43-9caa-d9a29604ad6e">「なるほどね」とか、「それで？」とか、相手が話しやすいように言葉を挟んで、表面上は「話を受け止める上司」の顔をしていたつもりでした。</p><p id="cebe7bba-d4b2-4504-94a6-06cc393a0055" name="cebe7bba-d4b2-4504-94a6-06cc393a0055">&nbsp;</p><p id="cebe7bba-d4b2-4504-94a6-06cc393a0055" name="cebe7bba-d4b2-4504-94a6-06cc393a0055">でも実際は、結論を急いでいたのです。</p><p id="65aa61b0-9c39-43d8-8082-c9993faa6b4a" name="65aa61b0-9c39-43d8-8082-c9993faa6b4a">&nbsp;</p><p id="65aa61b0-9c39-43d8-8082-c9993faa6b4a" name="65aa61b0-9c39-43d8-8082-c9993faa6b4a">部下の言葉の裏にある本音や、感情の揺れに触れるよりも、<br>「この件、どう処理するか」ばかりを考えていた気がします。</p><p id="5e8b7b83-9da3-42ac-8f52-b4f60e1ce545" name="5e8b7b83-9da3-42ac-8f52-b4f60e1ce545">&nbsp;</p><p id="5e8b7b83-9da3-42ac-8f52-b4f60e1ce545" name="5e8b7b83-9da3-42ac-8f52-b4f60e1ce545">彼女の一言を聞いたとき、あの頃の自分の顔が、ふいに浮かびました。<br>情けないことに、私はずっと、誰かの“話す力”ばかりを見ていたのかもしれません。</p><p id="106e7c83-1134-49cc-9110-1eded2e177b5" name="106e7c83-1134-49cc-9110-1eded2e177b5">&nbsp;</p><p id="106e7c83-1134-49cc-9110-1eded2e177b5" name="106e7c83-1134-49cc-9110-1eded2e177b5">“聞く力”を、どこかに置き忘れたままにして。</p><p id="59f87d55-c7f8-4427-b552-acc2ae6a5152" name="59f87d55-c7f8-4427-b552-acc2ae6a5152">&nbsp;</p><p id="59f87d55-c7f8-4427-b552-acc2ae6a5152" name="59f87d55-c7f8-4427-b552-acc2ae6a5152">私はただ、黙って彼女の目を見て、ゆっくりとうなずきました。<br>それが、あのときの私にできる唯一の返事でした。</p><p id="37940d62-bf4b-434b-8ac6-4d4c1da1db5f" name="37940d62-bf4b-434b-8ac6-4d4c1da1db5f"><br>&nbsp;</p><p id="37940d62-bf4b-434b-8ac6-4d4c1da1db5f" name="37940d62-bf4b-434b-8ac6-4d4c1da1db5f">帰り道、私は駅のベンチにしばらく座っていました。<br>歩く気が起きなかったのではなく、なんとなく、あの会話の余韻が残っていたのです。<br><br>ポケットから銀の時計を取り出して、何度も布でなぞりました。<br>あの日と時間が違うのは、当たり前のことかもしれませんが、<br>ほんの少しだけ、自分の時間も進んだように感じたのです。</p><p id="3b65dd45-c883-408c-8597-0d5979db8d37" name="3b65dd45-c883-408c-8597-0d5979db8d37">&nbsp;</p><p id="3b65dd45-c883-408c-8597-0d5979db8d37" name="3b65dd45-c883-408c-8597-0d5979db8d37">&nbsp;</p><p id="3b65dd45-c883-408c-8597-0d5979db8d37" name="3b65dd45-c883-408c-8597-0d5979db8d37">次回「もう一度会いたいと言ってしまった」</p>
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<link>https://ameblo.jp/ko-ji-52/entry-12920296223.html</link>
<pubDate>Sat, 02 Aug 2025 15:00:00 +0900</pubDate>
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<title>45歳、誰にも話を聞かれなくなった男が</title>
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<![CDATA[ <p>&nbsp;</p><p dir="ltr"><b id="docs-internal-guid-e1525acc-7fff-401a-a0fb-c1cfa33a3b4b">女子大生に“信じ直した”と言われた日</b></p><p dir="ltr">&nbsp;</p><p dir="ltr">&nbsp;</p><p dir="ltr"><b id="docs-internal-guid-e1525acc-7fff-401a-a0fb-c1cfa33a3b4b">この文章を読んでいるあなたが、もしも30代か40代、あるいは50代に近い男性なら。<br>最近、誰かと心から話した記憶がありますか？</b></p><p dir="ltr">&nbsp;</p><p dir="ltr"><b id="docs-internal-guid-e1525acc-7fff-401a-a0fb-c1cfa33a3b4b">私はありませんでした。<br>それに気づいたのは、45歳のとき。会社を辞めた年です。</b></p><p dir="ltr">&nbsp;</p><p dir="ltr"><b id="docs-internal-guid-e1525acc-7fff-401a-a0fb-c1cfa33a3b4b">理由はいろいろあります。<br>部下との関係、家庭の空気、身体の疲れ。<br>そのあたりのことは、またいつか。</b></p><p dir="ltr">&nbsp;</p><p dir="ltr"><b id="docs-internal-guid-e1525acc-7fff-401a-a0fb-c1cfa33a3b4b">夜はスマホばかり見ていました。<br>SNSで誰かの失敗を眺めて、ニュースにひと言、芸能人にひと言。<br>誰かを叩くでも、褒めるでもなく、「ああ、今日も終わったな」と思う日々。<br>そしてふと、気づくのです。今日は誰とも会話をしていない、と。</b></p><p dir="ltr">&nbsp;</p><p dir="ltr"><b id="docs-internal-guid-e1525acc-7fff-401a-a0fb-c1cfa33a3b4b">その夜、出会い系アプリを開いてみました。<br>45歳の男が、です。<br>我ながら身の程知らずだったと思います。<br>プロフィールを書いて、読み返して、ちょっと気持ち悪くなりました。</b></p><p dir="ltr">&nbsp;</p><p dir="ltr"><b id="docs-internal-guid-e1525acc-7fff-401a-a0fb-c1cfa33a3b4b">でも、メッセージが来たんです。<br>最初に会ったのは、19歳の大学生でした。</b></p><p dir="ltr"><b id="docs-internal-guid-e1525acc-7fff-401a-a0fb-c1cfa33a3b4b">思いがけない若い出会いに戸惑いつつも集合場所へ向かいました。</b></p><p dir="ltr">&nbsp;</p><p dir="ltr"><b id="docs-internal-guid-e1525acc-7fff-401a-a0fb-c1cfa33a3b4b">待っていたのは、驚くほど落ち着いた子でした。<br>会話の途中で、彼女はこう言いました。</b></p><p dir="ltr">&nbsp;</p><p dir="ltr"><b id="docs-internal-guid-e1525acc-7fff-401a-a0fb-c1cfa33a3b4b">「こうじさんみたいな人が、社会にもいたんですね」</b></p><p dir="ltr">&nbsp;</p><p dir="ltr"><b id="docs-internal-guid-e1525acc-7fff-401a-a0fb-c1cfa33a3b4b">何か特別なことをしたわけではありません。<br>ただ、彼女の話をさえぎらずに、ちゃんと聞いただけでした。</b></p><p dir="ltr"><b id="docs-internal-guid-e1525acc-7fff-401a-a0fb-c1cfa33a3b4b">それが、思ったよりも響いたらしいのです。</b></p><p dir="ltr">&nbsp;</p><p dir="ltr"><b id="docs-internal-guid-e1525acc-7fff-401a-a0fb-c1cfa33a3b4b">あれから、何人かの子と会ってきました。<br>モテているなんて思っていません。<br>でも、話しているうちに、表情が和らいでいく。<br>その瞬間だけは、妙に静かな嬉しさがありました。</b></p><p dir="ltr"><b id="docs-internal-guid-e1525acc-7fff-401a-a0fb-c1cfa33a3b4b">最近、ある子がこう言いました。</b></p><p dir="ltr">&nbsp;</p><p dir="ltr"><b id="docs-internal-guid-e1525acc-7fff-401a-a0fb-c1cfa33a3b4b">「こうじさんのこと、就活の自己PRに書いちゃいました」</b></p><p dir="ltr">&nbsp;</p><p dir="ltr"><b id="docs-internal-guid-e1525acc-7fff-401a-a0fb-c1cfa33a3b4b">思わず笑って、「なんでそんなことを」と聞いたら、<br>彼女は静かに笑って言いました。</b></p><p dir="ltr">&nbsp;</p><p dir="ltr"><b id="docs-internal-guid-e1525acc-7fff-401a-a0fb-c1cfa33a3b4b">「社会のこと、全部嫌だったけど…こうじさんが、信じ直すきっかけになりました」</b></p><p dir="ltr">&nbsp;</p><p dir="ltr"><b id="docs-internal-guid-e1525acc-7fff-401a-a0fb-c1cfa33a3b4b">何かを教えたつもりなんて、なかったんです。<br>それでも、自分という存在が、誰かの“何か”になった。<br>そう思ったら、不思議と落ち着かなくなってしまって――</b><br>&nbsp;</p><p dir="ltr"><b>今、こうして書いています。</b></p><p dir="ltr"><b id="docs-internal-guid-e1525acc-7fff-401a-a0fb-c1cfa33a3b4b">自慢ではありません。<br>ただ、こういうこともある、という話です。</b></p><p dir="ltr">&nbsp;</p><p dir="ltr"><b id="docs-internal-guid-e1525acc-7fff-401a-a0fb-c1cfa33a3b4b">次はもう少し具体的なことを書こうと思っています。<br>初対面の女の子と何を話したか、距離をどう詰めてきたのか。<br>年齢や見た目に関係なく、人とつながる方法について。</b></p><p dir="ltr">&nbsp;</p><p dir="ltr"><b id="docs-internal-guid-e1525acc-7fff-401a-a0fb-c1cfa33a3b4b">うまくいったことも、うまくいかなかったことも、正直に。</b></p><p dir="ltr"><b id="docs-internal-guid-e1525acc-7fff-401a-a0fb-c1cfa33a3b4b">また、読みに来てくれたら嬉しいです。</b></p><p dir="ltr">&nbsp;</p><p dir="ltr">&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/ko-ji-52/entry-12920124219.html</link>
<pubDate>Fri, 01 Aug 2025 15:00:00 +0900</pubDate>
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