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<title>くるみのブログ</title>
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<title>祭りのあと</title>
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<![CDATA[ <p>休みの日。ずいぶん遠くから聞こえる、地鳴りのような音で目が覚めた。</p><p>どぉん、どぉん、と音は鳴り、遠く、近く、波のようにこだまする。</p><p>目を閉じて、じっとその音に耳を傾けていると、ついには心臓を射抜かれているような心持ちがして、</p><p>あわてて深呼吸をした。</p><br><p>いったい、なんの音だろう。</p><br><p>ほんのすこしだけ考えてすぐに、数日前、近所で見かけた夏祭りのチラシを思い出す。</p><p>家から徒歩10分ほどの、ずいぶん大きな神社の祭りである。</p><br><p>響いてくる音は、きっと太鼓の音に違いない。</p><br><p>どぉん、どぉん。</p><br><p>口のなかで、小さく口ずさみながら、</p><p>昼ごはんを食べ、食器を洗い、ベッドの上で本を読む。</p><br><p>夕暮れ、近所の公園へ散歩へ。</p><p>この公園には、なぜか池がふたつある。</p><br><p>家から近い、「下の池」に沿って歩き、目指すは「上の池」の弁財天さま。</p><p>残念ながら、熱心に拝む先客あり。</p><p>遠目に一礼、お祈りをして、「上」と「下」の分岐点に戻る。</p><br><p>ふと、耳をすますと、またもや、太鼓の音。</p><p>どぉん、どぉん、と胸を打つ。</p><br><p>なんだか、ひどく恋しい気持ちになって、神社を目指すことに決めた。</p><br><br><br><br><p>神社の表参道につくと、夜はひどくにぎわっていた。</p><p>参道の両側に並ぶ、屋台の群れがざあざあと、光る、おどる、動き出す。</p><p>人の波にもまれながら、神社のなかに吸い込まれてゆく。</p><br><p>射的、わたあめ、たこ焼き、チョコバナナ、あんず飴、焼き鳥、焼きそば、かき氷……。</p><p>いろんな音とにおいにごちゃまぜにされながら、人ごみのなか、歩く。</p><br><p>右から左へ視線を移すあいだに、とてもたくさんのお店が視界のなかに、洪水のように、あるいは流れ星のようにあふれてきて、わたしは、軽い眩暈をおこす。</p><br><p>ほんの一瞬、ざわめきのすべてがわたしから遠のいて、またすぐに深く飲み込んだ。</p><br><p>おそらく、本殿のある、きゅうに場が開けたところに出ると、</p><p>戦利品を持った人々が、あちこちに腰かけて、くつろいでいた。</p><br><p>高校生らしき男女の群れ、浴衣姿の小さなおんなのこと連れた父親、仲睦まじげに手をつないで歩く老夫婦。</p><br><p>さきほどまで地鳴りのように轟いていた大きな和太鼓は、半纏姿の若者たちにちょうど片づけられるところで、かがり火がごおごおと燃えていた。</p><br><p>祭りの景色がそこらじゅうに広がるなか、風だけが場違いに冷たい。</p><p>ああ、夏が逝くのだ。</p><br><p>帰り道、後ろ髪をひかれる思いで、屋台の群れから遠ざかる。</p><br><p>祭りのあとは、いつも寂しい。</p><p>夏が終わって、大きな和太鼓が、屋台の幌が、子どもたちの持つ水風船が用済みになっても、</p><p>今日のことを、わたしは覚えている。</p><br><p>夏の終わり、祭りの帰り道。</p><p>いつもより、ほんのすこしだけ、泣きたい気持ち。<br></p>
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<link>https://ameblo.jp/komomoon/entry-11625973010.html</link>
<pubDate>Wed, 02 Oct 2013 01:00:17 +0900</pubDate>
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<title>真夜中のジャム</title>
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<![CDATA[ <p>冷蔵庫の桃が傷みはじめていたので、ジャムを作ることにした。</p><p>せっかく買った果物をおいそれと捨ててしまうのは忍びない。</p><p>なので、生食するのにためらう傷み具合の食べ物は、ジャムにすることにしている。</p><br><p>夏の、真夜中である。</p><br><p>茶色く、やわらかくなった桃の皮と実を、包丁で厚めにむく。</p><p>ちょうど一週間ほど前に、まな板を使わず、手のひらの上でグレープフルーツを切るという不精をしたせいで、</p><p>思わぬ深手を負った。</p><br><p>だから、今度は慎重に。</p><p>切らないように、切れないようにと、心のなかで唱えながら、</p><p>緊張でぶるぶる震える手で、ゆっくり桃の衣をはがしてゆく。</p><br><p>けれど、慎重になりすぎるのもよろしくない。</p><p>「●●してはいけない」という思いがあまりに強いと、それが現実となってしまうことが多々ある。</p><p>言霊の怖いところ。</p><br><p>だから、切らないように、と思いながらも、ほんのすこしだけ、意識を外に放り出す。</p><br><p>テレビが終わったあとのモザイクのような画面の上の点に焦点を合わせ、じょじょに焦点を外してゆくと、これまで見えなかったイラストが浮き上がって見える、という遊びがずいぶん昔に流行った。</p><p>意識としては、あんなかんじ。</p><br><p>「切らないように」と「知らないふり」のせめぎ合い。</p><p>ようやく地味な戦いに決着がついて、手元にははだかんぼの真っ白な桃がごろり。</p><p>この柔肌に刃を入れるのはすこしかわいそうな気がするけれど、我慢。</p><p>薄くスライスして、深手のフライパンに山のような砂糖と一緒にどっさり盛る。</p><br><p>ついでに、りんご、グレープフルーツ、梅酒に使ったキウイなんかも、えいやっとまとめて。</p><p>桃ジャムというよりは、ミックスフルーツジャムといったところ。</p><br><p>あとは、煮る。ひたすら煮詰める。</p><p>暑い夜中の、台所で、ぐつぐつと果物を煮詰めてゆく。</p><br><p>真夜中の台所はなんだか危険。</p><p>秘密のにおいが、ぷんぷんする。</p><br><p>料理法のなかでも、とくに「煮詰める」という行為はなんだか怖い。</p><p>女と鍋と真夜中の台所というと、つい連想するのは魔女である。</p><br><p>たとえば、ヘンゼルとグレーテル。</p><br><p>でっぷり太らせてから子どもたちを食べるために、料理の腕を振るう魔女。</p><p>美味しい料理をたてた鍋のほかに、なんだか怪しげな材料でいっぱいの鍋があり、</p><p>ぐつぐつと不穏な音を立てている。</p><p>得体のしれない、さまざまな材料を入れて煮込んだ鍋からは、何が生まれるのだろう。</p><br><p>惚れ薬、若返りの薬、毒薬、あるいは、美貌が失われる薬。</p><br><p>魔女の鍋には、女の欲望と醜さが詰まっている。</p><br><p>そういえば、子供のころに、真夜中の台所に立つ母親の後ろ姿を見たことがある。</p><p>それは、ものすごく何かを思いつめたような姿で、とても声を掛けられる雰囲気ではなかった。</p><p>あれは、「母」ではなく「女」で、だから、「子ども」の私には、知らない「女」だったのだ。</p><p>見知らぬ女の作った料理を、翌朝、笑顔で食べる父をつい、じっと観察してしまった。</p><p>それが、どうやって作られたか知ってるの？</p><br><br><br><p>１時間ほど火を入れ続け、できあがったジャムの味見をしてみたら、</p><p>なんだか不思議な味がした。</p><p>混沌としていて、なにのジャムなのか、よくわからない。</p><p>教訓：ジャムは果物単品で作るべし。</p><p>もう一度、味見をして、真夜中の台所のイスに座って考える。</p><p>これが、わたしの欲望の味なのだろうか。</p><br><br><br><p>明日の朝は、バターたっぷりのトーストにジャムを塗って食べられる。</p><p>そう考えると、生きる元気が湧いてくるから不思議なもの。</p><p>近所の友人におすそ分けするのもいい。</p><br><p>わたしの、真夜中の、夏の、台所の、欲望の結晶。</p><p>それが、何も知らぬ人々の口に放り込まれるのは、なんとも愉快なことである。</p><br><p>今夜のわたしは、あの夜の母とおなじような姿をしていたのだろうか。</p><br><p>夜中の台所で料理をする。つかの間、女が魔女になるとき。</p><br><br>
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<link>https://ameblo.jp/komomoon/entry-11595344798.html</link>
<pubDate>Mon, 19 Aug 2013 03:04:41 +0900</pubDate>
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<title>真紅のバラのひと</title>
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<![CDATA[ <p>雨上がりの夕方、近所の喫茶店に出かけた。</p><p>店のそばの道路沿いに自転車をとめる。</p><p>昼食兼おやつのカレーパンとホイップメロンパンを食べ、ほんのすこし本を読み、小一時間ほどして店を出た。とめていた自転車をふと見ると、かごにバラの花が一輪。</p><br><p>あ、あかいバラのひと…！！</p><br><p>ちょうどリアルタイムで「ガラスの仮面」を読んでいるところだったので、異様なほどの胸の高鳴り覚える。</p><br><p>どこだろう。</p><p>わたしの速水真澄は、いったいどこに行った。</p><p>しばらく周りを見渡すけれど、それらしき人影はどこにも見当たらない。</p><p>ああ、紫のバラのひともけっして姿を見せようとしないもんな。</p><p>仕方ないのしれかもしれない。</p><p>ひとりごちて、ちいさくため息をつく。</p><br><p>しかし、近所の喫茶店で茶をすすっているという日常すぎる日常のまんなかで、まさか北島マヤの気分を味わえるとは思わなかった。</p><br><p>だって、ここは東京の西のいなか街。</p><p>日比谷の大都劇場（仮）とかじゃないんだぜ。</p><p>新宿、渋谷、銀座とかのオシャンティーな場所での出来事じゃないんだぜ</p><p>かろうじて23区の、飲み屋と地元商店街、やおやのおいちゃんの怒鳴り声と魚屋のなまぐさいにおい、夕飯時のおばちゃんの群れが交錯するこの街で、</p><p>まさかのときめき非日常をひとつ。</p><br><p>ずいぶん、心が軽くなった。</p><br><p>たぶん、誰かが大切な誰かに渡すためのの忘れ物。</p><p>バラの花には、同じように真っ赤で小さなリボンが結ばれていた。</p><br><p>そんな現実は、しばし忘れたい。</p><br><p>わたしの紫のバラのひと。</p><p>いや、まっかなバラのひと。</p><p>だとちょっとダサいから、真紅のバラのひと。</p><br><p>今度の舞台、一生懸命がんばります。</p><p>じゃなくて、明日のバイト、いつも通りがんばります。</p><br><p>見ててくださいね。真紅のバラのひと。</p><br><p>というわけで、今宵我が家の台所には、速水真澄（偽）の情熱がひとつ、花開いたのでした。</p><br><br><br><br><br><br><br><br><br>
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<link>https://ameblo.jp/komomoon/entry-11555538630.html</link>
<pubDate>Wed, 19 Jun 2013 01:39:29 +0900</pubDate>
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<title>いいまつがい</title>
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<![CDATA[ <p>アルバイト先の本屋に来たお客さま（男性壮年）に、</p><p>「村上春樹の『アイキュー８４』ってある？」</p><p>と聞かれる。</p><br><p>IQ84…。おそらく、あまり賢くはない。</p><br><p>いとしさとせつなさと圧倒的な笑いの狭間で揺れまどうも、</p><p>それらすべてを押し殺して笑顔で売り場にご案内すると、</p><p>「おお、これだ、これだ」</p><p>笑顔で駆け寄った彼は、</p><p>「あったよ、アイキュー84の2巻！」</p><p>まるで勝利を宣言するかのごとく、手にした本ごと右手を天高くつきあげた。</p><br><p>周りにいたお客の驚きに満ちた顔。そして彼が手にした本とわたしの顔を交互に見つめて、まるですべてを悟ったかのような、間違って足元のナマコを踏んでしまい、ひどくバツがわるいような、そんな表情をする。</p><p>「ぶほっ」と遠くで誰かが噴き出す声が聞こえた。</p><br><p>うん、そうなの。</p><p>この生ぬるい視線の中心で、誰よりも羞恥心を感じているのは、きっとわたし。</p><p>間違っている彼ではなく、間違いを知っていながら、正せないこのわたし。</p><br><p>いそいそとレジに向かう男性客の後ろを、わたしはしずしずとついてゆく。</p><p>そして、ばらけてゆく、ぬるついた視線の数々。</p><br><p>本屋でよくある日常のひとコマ。</p><br><br>
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<link>https://ameblo.jp/komomoon/entry-11546524157.html</link>
<pubDate>Fri, 07 Jun 2013 01:15:45 +0900</pubDate>
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<title>丑三つ575</title>
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<![CDATA[ <p>午前二時</p><br><p>家の目の前駐車場</p><br><p>誰かが励む掃き掃除</p><br><p>ほうきがシュッシュッ</p><br><p>いといとこわし</p>
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<link>https://ameblo.jp/komomoon/entry-11540132962.html</link>
<pubDate>Wed, 29 May 2013 03:24:57 +0900</pubDate>
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<title>真夜中のお茶</title>
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<![CDATA[ <p>丑三つ時。</p><br><p>お腹がすいて、こころなしかさみしい気持ちになったので、お茶を入れることにする。</p><p>ほうじ茶とアールグレイのミルクティ。</p><p>前者は湯呑みに、後者はカフェオレボウル替わりに使っている大きめのお茶碗へ。大輪の椿が咲く、まあるい、ほどよく手になじむ、お気に入りの茶椀である。</p><br><p>猫舌にはややつらい、淹れたてのお茶を、ふうふうと冷ましながらすする。ほんの一瞬、喉もとがぼわりと熱くなり、またすぐに大人しくなる。</p><p>椀を包み込む手のひらは、ぼんやりと熱い。子どもの頃、長いこと雪玉をつかんでいたあとの、手のひらがじんじんと痛む感触を思い出す。あのかんじに、ほんのすこし、似ているのだ。</p><br><p>ほうじ茶とミルクティを交互に飲む。</p><p>そういえば、以前、近所の喫茶店でほうじ茶ミルクティなるものをいただいた。</p><p>意外な組み合わせに驚いたが、おどろくほどに美味しい。</p><p>和柄のきれいなお茶碗に、なみなみと注がれたお茶。かぼちゃとアールグレイのスコーン。ミルクジャム、ブルーベリージャム。スコーン用と、お茶用、それぞれにクロテッドクリームがたっぷり。</p><p>目の前には、気の置けない友人がいる。</p><p>大切な人とともにするおいしいお茶の時間は、たいへんに楽しい。</p><br><p>夜中にひとりでするお茶は、すこしさみしいけど、なんだか秘密めている。</p><br><p>ぴしり。</p><p>たまに家鳴りがする。</p><p>音のしたほうをしばらくじっと眺めてみるけれど、だれもいない。なにもない。</p><br><p>ぴしり。</p><p>ぴしり。</p><br><p>けれど、音は続いている。</p><br><p>本当はだれかいるのかな。いったい、どこにいるのだろう。</p><br><p>暑いので、開け離していた窓から風が入り、カーテンがふわりとひるがえる。続いて、網戸がカタカタ鳴る。</p><p>すこしだけ、なまあたたかい気配。</p><br><p>目の前には、ふたつの茶碗。ほうじ茶とミルクティ。もう、あらかた飲み干してしまった。</p><br><p>ぴしり、とまた家が鳴る。急かすようだな、と思う。</p><p>重い腰を上げ、台所へ。</p><p>椿のほうの茶碗を軽く洗って、お湯を沸かす。</p><br><p>お気に入りの茶椀だけど、仕様がない。貸してあげよう。</p><br><p>ぴしり、カタカタと歓声のように音が鳴る。</p><br><p>ひとりでするお茶も悪くないけれど、誰かと楽しむお茶の時間にはかなわない。</p><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br>
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<link>https://ameblo.jp/komomoon/entry-11540130968.html</link>
<pubDate>Wed, 29 May 2013 02:47:44 +0900</pubDate>
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<title>汚れちまった悲しみに</title>
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<![CDATA[ <p>アルバイト先の本屋にて、平積みの新刊コミックを発見。その名も「ワカメ酒」。</p><p>ずいぶんきわどいタイトルだなと、ギョッとしつつも、なんだかふわっとした絵柄だし、固定ファンがいるのかな、と遠巻きに眺める。しかし、新刊台に平積みにするのはいかがなものかと思われるタイトルである。</p><br><p>やがて、販促材料を持ってやってきた社員さん（人妻）が、「この本、おもしろいんですよ」と満面の笑みで、例のワカメ本をオススメしてくださる。</p><p>……あんた、そんな天使のような顔で何をおっしゃるのだ！と、めちゃくちゃ動揺しつつも、</p><p>「あ、そうなんですねー」と平気なふりを装う。</p><br><p>販促材料のとっくり（らしきもの。酒だから？どこまで卑猥なのだ！）を何処に置こうかと、うんうん悩む社員さんを尻目に、黙々と新刊コミックをビニールに入れる作業に没頭するわたくし。</p><p>やがて例のワカメ本に差し掛かり、まじまじとカバーイラストを見る段になって、ふと気がついた。</p><p>「ワカコ酒」。</p><p>内容は、おひとりさまOLのワカコが、単身居酒屋を放浪し、酒と食を楽しむという、なんとも健全かつ、</p><p>おいしそうなお話でした。</p><br><br><p>あああ。</p><br><p>汚れちまった悲しみになすところもなく日は暮れる。</p><br>
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<pubDate>Mon, 27 May 2013 01:21:24 +0900</pubDate>
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<title>アウトプットよ</title>
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<![CDATA[ <p>5日ぶりにお風呂に入る。</p><p>湯船につかって5分と経たぬうちに皮ふがふやけてきたので、ためしにこすってみると、ぼろぼろ崩れ落ちてくるものが。にわかにテンションが上がり、しばし無心で体中をこすりまくるオレ。</p><p>そうか。人の体はたった数日間の無風呂（造語）でこんなにもアカを製造できるものなのだなあ（詠嘆）</p><br><br><p>お風呂に入らずにいると、自分が日一日と汚れてゆくことに、なんだかほの暗い喜びを感じるようになってくる。</p><p>1日2日ときて、カギをにぎるのは3日めである。3日かめの罪悪感に耐えられたら、あとはいくところまでいけるのだ。今回は外出の用事があるため、やむなく入浴した。</p><p>髪なんて油でぺたぺたである。だが、そんな自分にやや興奮する。困ったものである。</p><p>2年前は1週間、無風呂でも髪はさらさらだったのにな。思わぬところで、年齢を感じた本日の晩の出来事。</p><br><br><p>髪を3回（シャンプー3回、リンス1回）、体を2回、顔を1回洗った。</p><p>半身浴しながら、「アルケミスト」（パウロ コエーリョ ／角川文庫）を読む。</p><p>ひじょうに面白かった。</p><br><br><p>「何かを強く望めば宇宙のすべてが協力して実現するように助けてくれる」</p><br><br><p>ものすごく都合のいい考え方だが、じつはこの手の自己啓発がけっこう好きである。</p><p>ホオポノポノとか、「ずっとやりたかったことをやりなさい」とか。</p><p>ただし、毎日読むとありがたみが薄れてしまうので、たまに読むのがいい。</p><p>その瞬間、はっと胸に突き刺さる何かが訪れる。</p><br><br><br><p>「アルケミスト」はずっと欲しくて探していたところ、近所の古本屋で100円で見事発掘！即購入である。</p><p>バイト先の本屋で、やたらパウロ コエーリョ さんが売れてたのから気になってたの。</p><p>しばらく寝かせていたが（うそ。積ん読ってやつだね）、本日、風呂用の本を探して本棚を眺めていたところ、なんとなく目が合った気がしたので、お風呂場へと無理やり連れ込むことにした。</p><br><br><p>うすい文庫本だから、半分も読み進めたころには湯気でヘロヘロに。</p><p>ほうら、もうこんなになってるぜ、もう勘弁してほしいんだろう？げへへ、と思いつつ、内容が面白いので容赦してあげない。そのまま読了。</p><br><p>ふう。見事に本はうねっておる。かわいがりすぎた結果である。</p><br><br><br><br><p>恐れに飲み込まれると、心の声が聞こえなくなるんだって。</p><p>いままさに未知の世界におののいている私には、天啓ともいうべき内容でした。</p><br><br><p>人は、迷ったとき、誰かに肯定したり、叱ったり、共感したり、道筋をしめすことをしてほしいがために、本を読むのだということをしばし、忘れていた気がする。</p><p>本来の本の役目とは。</p><p>それを忘れて、ただただ惰性のように毎日本に触れ、本を読んでいた。</p><p>たまにこうして、思い出せる瞬間があること、それを一冊の本がもたしてくれるのだということ、をとても幸福に思う。</p><br><br><br><p>一瞬一瞬の積み重ねが人生をつくる。</p><p>私には「いま」しかない。過去も未来もなく、ただ「いま」生きているということが、私にとっての人生なのだ。</p><br><br><p>本日何冊か読んだ本のなかで、印象に残ったセンテンス。</p><p>まったく違った趣旨の本あのに、どちらも同じようなこと言ってるのがひじょうに不思議である。</p><br><p>人生をきちんと生きていきたいなら、「いま」を生きることかたはじめなくてはいけないのかもしれない。</p><br><br><p>数日分のアカを落としたおかげで、いいかんじにインスピレーションが降ってきた気がする。</p><p>アウトプットの素晴らしさを垣間見た（アカによって）。</p><br><br><br>
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<link>https://ameblo.jp/komomoon/entry-11475087809.html</link>
<pubDate>Thu, 21 Feb 2013 05:25:28 +0900</pubDate>
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<title>初雪</title>
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<![CDATA[ <p>東京に雪が積もって、もうじき１週間になる。<br>あの日は、ちょうどアルバイトの日で、朝から重々しい雨が降っていた。<br></p><p>雨降りの日は、外を見ずとも目が覚めた瞬間にすぐわかる。<br>窓際にあるベッドからは、雨水を派手に散らす車の走行音が聞こえる。</p><br><p>自転車で出勤するのは無理だと判断し、バスに乗ることにした。<br>玄関を出て傘を広げる。手袋をしていないので、柄を持つ手が寒くてたまらない。ふいに、雨粒が手の甲を刺す。いやに冷たい雨だった。</p><br><p>祝日の早朝だというのに、バスは混んでいた。人々のあいだに押し込められ、ゆらりゆられて目的地を待つ。人の波にたゆたいながら、ここはまるで小さな海のようだと思った。</p><br><p>最寄の駅でバスを下り構内を通って南口の地上に出る。ざんざぶりの雨のなか、てくてくと歩く。早朝の商店街は閑散としていた。バスのなかの混雑ぶりとはとえらい違いだ。</p><br><p>まもなくアルバイト先の本屋に着いた。<br>すでに誰かが来ているらしく、店内の電気はほんの２つ、３つ、申し訳程度に点いている。</p><br><p>開店前の店というのは、博物館にある動物の剥製に似ていると思う。クジラや恐竜やホッキョクグマなんかの、とびきり大きいやつだ。ひなびた温泉宿の廊下に突然現れる、巨大な鷹の置物にも同じにおいを感じる。<br>しんとした暗い店のなかに、なにか巨大で生々しいものがひっそりと横たわる気配がする。朝の苦手な私が早番のシフトに入るの、この感覚を味わいたいからだ。</p><br><br><p>たぶん今日はお客さんがほとんどこないだろうな、と思っていたら、案の定、午前中は暇で仕様がなかった。あまりに手持無沙汰なので、新刊の棚に面出しになっていた『なんらかの事情』（岸本佐知子／筑摩書房）を手に取る。</p><p><br>これがめっぽう面白かった。</p><p>初めて作品を手に取って、しかもその１冊をまだ読み終えてもいないというのに、すっかりこの人が好きになってしまった。うむむ。これが恋というものだろうか。</p><br><p>ふいに気配を感じて顔をあげると、いつしか雨は雪に変わっていた。<br>思わず感嘆の声が漏れる。おそらく今年の初雪である。</p><br><p>牡丹雪とまではいかないけれど、雨粒の大きさに比べ、なぜか雪片はいやに大きい。<br>人々はみな一様に空を見上げ、危なっかしい足取りで歩いていた。ガラス越しに、浮足立つ気配が伝わってくる。</p><br><p>雪国出身の身としては見慣れた景色のはずだけれど、それでもやはり心が踊る。<br>上京して８年。東京で雪を見たのは、これで２度めだ。</p><br><p>空は容赦なく雪片を吐き出しつづける。まるで壊れて調節がきかなくなった電化製品みたいに。あるいは誰かを罰しているかのようだ。</p><br><p>やがて小一時間も経たぬうちに、地面は白く染まった。<br>家に帰るころには一面の銀世界である。</p><br><p>ざくざくと足元の雪を踏み鳴らして歩く。たった数時間しか経っていないというのに、朝とはまるで違う景色である。</p><p>バス乗り場には行列ができていた。最後尾がいったいどこにあるのか見当もつかない列の途切れる先を懸命に探す。わずかな差で私の後ろに並んだ中年男性が、小さく舌打ちする。<br>その瞬間、思わず私は駆け出していた。</p><br><p>ぬかるみに足をとられながらも、どんどんスピードを上げてゆく。<br>どうしてか楽しくてたまらなかった。<br>跳ねるように、飛ぶように、ひたすら雪の上を駆ける。</p><br><p>途中、同じように駆けてゆく子どもと目が合った。小さく目配せをしてみる。まるでふたりだけの秘密を分かち合うように。</p><br><p>横断歩道には警察官が立ち並び、歩行者の誘導に忙しい。<br>道路にすし詰めになった車は、いつまでたっても動く気配がない。<br>あちこちであがる、感嘆とも悲鳴ともつかぬ大人たちの叫び声。</p><br><p>たかが雪が降っただけだというのに、この街はまるでテロでも起こったかのようなざわめきにみちている。</p><br><p>ようやく家にたどり着いた。濡れそぼって重たくなったブーツを脱ぎ、コートを脱ぎ、マフラー、靴下、タイツ、ワンピース、それらすべてを脱ぎ捨てて、思い切りベッドに飛び込む。</p><br><p>家の向いの駐車場の車が、どうやら雪で動かなくなったらしい。途方にくれた大人たちの怒号が聞こえる。やがて、それが諦めになり、車を動かすための掛け声に変わってしばらく続いたかと思うと、辺りはようやく静けさを取り戻した。<br></p><p>遠く、どこかで救急車のサイレンの音が聞こえた。</p><br><br><p>帝都はいま、かつてない混乱に満ちみちている。<br></p>
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<link>https://ameblo.jp/komomoon/entry-11452827897.html</link>
<pubDate>Sun, 20 Jan 2013 06:37:34 +0900</pubDate>
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