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<title>近くて遠い貴女へ</title>
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<description>とある恋愛妄想日記</description>
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<title>3.</title>
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<![CDATA[ 半年が経った。今日も僕らは舞台に立つ。<div>エンディングを迎え暇を持て余してる間にこの半年に様々なことがあったなぁ、と振り返る。ウッドロボットで組んでいたいとーくんが解散し、割愛するが、何度か組み直し、今は銀河エクスタシーというコンビに落ち着いた。<div><br></div><div>僕らにも変化があった。</div><div>かなちゃんはあの後少しずつ僕らのファンになってくれて、今ではすっかり常連だ。思わぬところで願いは叶うものなのだと思いに耽ていたらライブが終わった。</div><div><br></div><div>実はかなちゃん以外も少しずつファンが増えてきている。嬉しいことだ。出待ちに向かい、何人かと対話をする。あと何人だろう、と目を向けると、かなちゃんと目が合った。ドキッと胸が鳴る。</div><div><br></div><div>そう。つまりのところ、1番の変化はこの気持ちがファンに対する気持ちでは無いことを認めざるをえなかったことだ。認めたくなかった。なにせ彼女は【ファン】なのだから。しかも、僕らだけのファンではない。<span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">かなちゃんは僕らといとーくんのコンビだけでなく、めるしーやシャレナランなど様々なライブに行っている。</span>だから僕は彼女の誰よりも近くにいたいと願い、誰より彼女からも憧れる演者であり続けようと必死だった。</div><div><br></div><div>夏が終わろうとしている。自分の気持ちに整理できないまま、これからどうして行けばいいのだろう。</div><div><br></div><div>冷たい風が頬を撫でた。</div></div>
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<pubDate>Sun, 29 Oct 2017 10:29:19 +0900</pubDate>
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<title>2.</title>
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<![CDATA[ ライブが始まった。<div>自分達ポントロールの番が終わり、共演者達と雑談に花を咲かせる。</div><div>「いとーくん、結局チケット何枚売れたの？」</div><div>「かなちゃんの1枚だけや！」</div><div>「うわ〜なんでこんな奴のこと好きなんだろ」</div><div>「俺、魅力的やからな」</div><div>「僕の方が魅力的だって気づいてファンになってくれないかな〜」</div><div>渾身のボケも虚しく、その後すぐいとーくんの番となりこの話は終わった。はずだった。</div><div><br></div><div>*☼*―――――*☼*―――――*☼*―――――*☼*</div><div><br></div><div>ライブが終わり、出待ちなどに縁がなかった僕は先輩方からのアドバイスを聞き終えた後、次はチケット何枚売れるかなぁ…とぼんやり考えながら階段を降りた。</div><div><br></div><div>「斎藤ちゃん！」といとーくんの声が聞こえた。声の元へと行くとそこには彼のファンの子がいた。「話したいって言ってた子だよ！」と。なんの話だろうと頭をフル回転させる。さっき話していた何気ない言葉を実現してくれたのだと気づき、律儀だなぁ…と思いつつ「あー！どーも！」と我ながら捻りのない挨拶をする。焦りと戸惑いできっと上手く笑えていないだろう。僕が戸惑っているのに気づいたのか彼女は口元を抑えながら楽しそうに「トークライブ見てましたよ」と声をかける。気を使ってくれたのだろう。ポツリポツリと会話を続けながら、聞いてた通りのいい子だな、と思わずにはいられなかった。</div><div><br></div><div>ひと通り話をしたあと、彼女は僕にスマホを手渡す。連絡先かなと考えるくらいには仲良くなれていたため、カメラモードの画面を見てほんの少しだけ肩を落とす。ハッと我に返り、誰も僕の恥ずかしい考えに気づかないでくれと祈りながら「これが出待ちか〜！」と口にする。ほんの少しの違和感はあったが、『普通』を演じられたのではないか。 カメラ越しに彼女と目が合った…気がした。見透かされてる？と思うのも束の間、深読みしすぎだ、と戒める。</div><div>スマホに指が触れ、楽しそうな2人が写っていた。</div><div><br></div><div>「ありがとうございました」と言って去っていく彼女を見送ったあと、隣にいた、いとーくんに「サンキューな」と伝える。「ファン出来たやん」と笑う彼に感謝を込めて「僕、魅力的だからさ」と返した。</div><div><br></div><div>これが僕＜斎藤和也＞と彼女＜中村佳奈＞の出会いだった。</div>
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<pubDate>Sat, 28 Oct 2017 16:52:43 +0900</pubDate>
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<title>1.</title>
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<![CDATA[ 「僕だけを見てほしい」そんなことを考えてしまうほど、僕は貴女を愛してしまったんだ。<div><br></div><div>*☼*―――――*☼*―――――*☼*―――――*☼*</div><div><br></div><div>2017.3.29.</div><div>はぁ、と息を吐く。声とともに白い呼吸は空に吸い込まれる。声を出すのも億劫な程の寒空の下、僕はいつものように目が回りそうな程の人をかきわけ、ポケットに手を入れ寒そうな彼の元へ歩いていく。</div><div><br></div><div>「いとーくん」と呼ぶと彼はこちらに気づき歩いてくる。彼は芸人仲間の伊藤リョウスケ、最近仲良くなり、よく一緒にライブの呼び込みをしている。</div><div><br></div><div>彼には熱狂的なファンがいるようで、呼び込みなどせずとも必ず1枚はチケットが売れるのだから羨ましい。しかも、話を聞く限りとてもいい子なのだと言う。駆け出しの芸人という事もあり僕にはファンがまだいない。何度も言おう、羨ましいのだ。チケットを売る気のない彼と少しだけ会話を交わしたあと、僕はモコモコマフラーにミニスカートなアンバランスな服装の女の子達に声をかけた。</div><div><br></div><div>「こんにちは、若手のお笑い芸人なんですけど、今少しお時間ありますか？」笑顔に、謙虚にと、慎重に言葉を選ぶ。しかし、ジョークを交えた数十分の説得もむなしく「また機会があれば」と女の子達は去っていってしまった。</div><div><br></div><div>僕が、かくかくしかじかと説得してる間にいとーくんはファンの子からチケットを買ってもらっていた。いとーくんと話すその子はとても幸せそうに笑っていて純粋にいとーくんの事が好きなのだと理解ができた。僕にもあんなに慕ってくれるファンが欲しいと願うまでにあまり時間はかからなかった。</div><div><br></div><div>「いいなぁ…」と思わず声に出ていたらしい。共演者の1人が「どーしたー？」と声をかけてくれる。「なんでもないですよ」と言いつつ場所を移動する。このままここにいても羨むだけだと判断したからだ。チケットを売らなければ主催者に怒られてしまう。「なんだよー」と文句たれている彼を巻き込みつつ僕はまた懲りもせずアンバランスな服装の女の子に声をかけた。</div>
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<pubDate>Sat, 28 Oct 2017 11:28:27 +0900</pubDate>
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