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<title>☆フローラ☆のブログ</title>
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<description>久美沙織さんの『小説ドラゴンクエストⅥ』を元に、自分で所々変更して書いてます。よかったら来て下さった方は感想など、お願いします☆</description>
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<title>ドラゴンクエストⅥ　（小説版）　ひとの生きる道⑳</title>
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<![CDATA[ <p>「お城から知らせをもらってな」村長はレックスの盃に飲み物を注いだ。</p><p>「無事、つとめを果たしたことは聞いておった。いやはや、山の精霊さまの予言は確かだ」<br>　ほれ、と盃を渡してくれながら、村長は、まぶしそうにレックスを見た。<br>「いやはや、立派になったのう。おまえは、ライフコッドの誇りだ。</p><p>……でな……コホン。ひょっとしてなおまえ、次の村長になる気はないか？」<br>「ありがとうございます」レックスは答え、一口すすった。</p><p>王の蔵の酒に比べれば、素朴で酸っぱかったが、度数だけは強そうだった。</p><p>「そんなふうに思ってもらえて、俺、嬉しいです。俺のいない間じゅう、</p><p>ターニアによくして下さったことにも感謝しています。……でも」<br>「待て！　誤解してくれるなよ！」村長は両手をあげた。</p><p>「これはうちのはねっかえりをもらってくれという意味ではなくてだな、</p><p>わしもそろそろ年だから後継者がほしいという……</p><p>いや。まぁ、正直なところ、ジュディの婿になってくれれば、こんな安心なことはないんだが」<br>「……俺は」<br>　レックスがまっすぐ目を見ると、村長は戸惑ったように笑顔を消した。<br>「俺は……また行かなければならないんです」<br>「なぜ？」村長はすっとんきょうな声をあげた。</p><p>「魔王は倒したんだろう？」<br>「ええ」レックスは口ごもった。ムドーのほかにも、恐ろしい敵がいるらしいなど白状すれば、この、見かけによらず責任感のある人のせっかくのこころの平和を、だいなしにしてしまうことになる。<br>「そうか、わかるよ。無理もない」村長は酒をあおると、自分でまた注ぎたした。</p><p>「あのランドでさえ、こんなへんぴな山奥の村で一生を終える気になれないらしい。</p><p>魔王を倒すほどの若者なら、どこにでも行ける。なんにでもなれる。</p><p>レイドック王も、お前のことをさぞかし高く買っておられるに違いないしな」<br>　そんなことじゃないんだ……！<br>　レックスは盃を握りしめた。<br>　ライフコッドを嫌ってなんかいない。山の暮らしをつまらながっているわけじゃない。</p><p>だけど……だけど。<br>　俺は変わった。俺はもう、ここのみんなの知っている、陽気で働き者のレックスじゃない。</p><p>村で一番大きなカボチャを作って見せようをがんばったり、</p><p>野牛を追って崖から落ちそうになったり、ジュディの流し目にどぎまぎして眠れない夜を過ごした、</p><p>俺はもういない。<br>　そして、俺には……しなければならないことがある。<br>「すみません」盃にへばりついてしまった指をやっとの思いで引きはがし、</p><p>レックスは両手を膝に置いて、深々と頭を下げた。</p><br><br><p>「ターニアを……どうか、頼みます」</p>
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<link>https://ameblo.jp/kuririn506/entry-11269963346.html</link>
<pubDate>Tue, 05 Jun 2012 22:03:46 +0900</pubDate>
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<title>ドラゴンクエストⅥ　（小説版）　ひとの生きる道⑲</title>
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<![CDATA[ <p>　おずおず馬に話しかける妹に優しい目をして応えてくれているファルシオンに感謝しながら、</p><p>レックスは脇に置いてあった袋の中から、緑色の毛玉を取りだした。<br>　ファーラットは、いじけて拗ねた様子で丸まっていたが、</p><p>レックスの手の匂いを嗅ぐと、逃がすもんかと言わんばかりに爪を立てて飛びついてきた。</p><p>みゅー、みゅー！　と、さかんに抗議の声をあげる。<br>「悪かった」レックスはむくむくの毛皮を抱きしめた。</p><p>「もうこんなことしないから」<br>「まだ何かいるの？」ターニアが腕の中を覗き込む。</p><p>「猫ちゃん？　……あっ」<br>　ふぁああああっ！<br>　気を逆立て、ちいさな牙を剥きだしにして唸るファーラット。</p><p>真っ黒な円盤のようになってギラギラ光る目、威嚇するように跳ね上がった尻尾。</p><p>だが、レックスの胸にしがみついた爪は、怯えにぶるぶる震えている。<br>「そうだ。魔物だよ」しゃがれた声でレックスは言った。</p><p>「でも、こいつは、俺をとても慕ってくれているんだ」<br>　魔物使いとしての道を行くがよい―――</p><p>ダーマの預かり手の言葉が胸に蘇った。敵であったものたちをも、仲間として迎え入れよ―――。<br>　ターニアはじっとレックスの目を覗き込んでいたかと思うと、</p><p>真剣な顔つきのまま、魔物に向き直り、そっと指を近づけた。</p><p>ファーラットは大慌てでレックスの胸にくっつき、ますます毛を立て、しゅうしゅう息を荒げた。</p><p>シャアッ！　と牙を見せられて、とうとうターニアが手を引っ込める。<br>「大丈夫だよ」レックスは魔物の背中を掌で撫でながら顔を寄せ、そっと優しく言い聞かせた。</p><p>「俺の妹だ。怖くない」<br>　ファーラットの唸りが低まり、ヤマアラシのようにとがっていた毛並みがぺしゃんこになる。</p><p>みゅう……自分でも当惑したように、ファーラットが鳴いた。<br>　レックスは妹にうなずいて見せた。<br>　ターニアがもう一度、おずおず指を差し出した。</p><p>魔物は横目でちらちらレックスを見てから、ちょっと顔を伸ばし、</p><p>指の匂いを嗅ぎ、それから、そっとそこを舐めた。<br>「……うふっ、くすぐったぁい！」ターニアは嬉しそうに首をすくめた。</p><p>「おりこうちゃんね。モコモコしててかわいいわ。この子なんて言うの？」<br>「ファーラット」<br>「おにいちゃんたら。それは種類の名前でしょ。名前、つけてないんなら、あたしが決めてもいい？」<br>「ああ」<br>「じゃあね……モコモン。この子は、モコモンよ」<br>　みゃった。了解した、といわんばかりにファーラットが答え、もぞもぞした。</p><p>出してくれ、あっちにいかせてくれ、というように。<br>　小さな魔物を受け取ると、ターニアはその緑色の毛に頬を埋めてにっこりした。<br>「さあ、言ってらっしゃい、おにいちゃん。</p><p>おにいちゃんが帰ってきたことは、きっと誰かが知らせているわ。</p><p>村長さん、きっと、待ちくたびれているわ」<br></p>
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<link>https://ameblo.jp/kuririn506/entry-11253471849.html</link>
<pubDate>Thu, 17 May 2012 23:37:33 +0900</pubDate>
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<title>ドラゴンクエストⅥ　（小説版）　ひとの生きる道⑱</title>
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<![CDATA[ <p>「……おにいちゃん！」</p><p>ターニアは、レックスの顔を見るなり、首っ玉にかじりついてきた。</p><p>「ああ、うそ！　ほんとのほんとに、ほんもののおにいちゃんなの？」<br>「俺だよ」<br>　レックスは早くも泣きべそをかきだした妹の頬から、髪を払ってやった。<br>「元気そうで良かった」レックスは言った。</p><p>「ずっとひとりぼっちにさせてごめんな」<br>「ううん、そんなこといいの」</p><p>涙だらけの顔に気丈な笑顔を作ると、妹は、改めて腕に力をこめた。</p><p>「ああ、おかえりなさい！　嬉しい！」<br>　心づくしの夕食は、暗くなりかけていたレックスの気持ちを優しく満たしてくれた。</p><p>狭いながらも居心地のいい我が家の特別の匂い。</p><p>すすけた梁も、曲がった柱も、昔自分で作ったガタつく椅子も、なにもかもが懐かしい。<br>　素朴に分厚いテーブルの向こうから、</p><p>祈るように組んだ両手に身を乗り出すようにして、</p><p>ひたすらに自分を見つめ続ける妹の黒い瞳は、暖炉に燃える炎を映して温かく輝いている。<br>「ねぇ、みんなが言っていたことはほんとうなの？」<br>　食事が一段落すると、ターニアは訊ねた。</p><p>「おにいちゃんたちが、魔王を倒したって。だから世界は平和になったんだって」<br>「うん」レックスはうなずいた。</p><p>「最初のほうはほんとうだ。でも、後のほうは、まだはっきりしない」<br>「すっごーい！」感激に上気した頬を両手で押さえたターニアの耳は、</p><p>不吉なほうは、どうやらすり抜けさせてしまったらしい。</p><p>「うちのおにいちゃんはすごいんだって、あたしはずっと前から知ってたけど、そんなにすごいなんて、すごいわ！」<br>「いい仲間がいたからだよ」くすぐったさに、レックスは目を伏せた。「今度紹介するよ」<br>「ジュデイなんかもう大変よ。あたしの『彼』は伝説の英雄だから、</p><p>なんて、まるで自分が偉いみたいに得意がってるの。</p><p>ランドにプロポーズされても、近頃じゃ、聞こえないふりしてるみたい……</p><p>あっ、そうだ！　そういえば、村長さん家に行かなくていいの？」<br>「ああ」レックスはナプキンで口を拭き、椅子を引いて立ち上がった。</p><p>「行って来なきゃと思ってたんだ」<br>「片付けておくわ」ターニアも立ち上がった。<br>「ありがとう。あと、もし平気だったら、世話してやってほしいやつがいるんだけど」<br>「あの馬ね、わかったわ」ターニアは笑顔でうなずいた。</p>
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<link>https://ameblo.jp/kuririn506/entry-11250899183.html</link>
<pubDate>Mon, 14 May 2012 23:13:14 +0900</pubDate>
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<title>ドラゴンクエストⅥ　（小説版）　ひとの生きる道⑰</title>
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<![CDATA[ <p>　洞窟を抜けると、霧だった。たいして濃くはなかったし、</p><p>よく知った道だったから迷う心配はなかったが、ひんやりと湿った大気の中、</p><p>胸に抱いた小さな魔物のぬくもりが、いやにはっきりと感じられた。<br>　いのちだ。会ったばかりの俺を頼ってスウスウ寝息を立てている、いじらしい生き物。</p><p>こいつはこいつでこいつなりに、一生懸命に生きているんだ……。<br>　やがて、渦巻き流れる霧の向こうに、赤い石の壁が見えた。ランドの親父の酒場だ。</p><p>戻ってきた……帰ってきたんだ、故郷の村に。<br>　レックスが感慨に胸を浸していると、蹄の音を聞きつけたのだろうか、</p><p>男たちがふたり、おっかなびっくり姿を見せた。伸び上がり、</p><p>遠くを透かし見るようにして、レックスに―――というより、</p><p>ファルシオンに―――気づき、うわっ、とのけぞった。<br>「まっ、魔物だっ！　バカでかい馬みたいなやつだっ」<br>　てんでに槍を構え、石斧を振りあげる。<br>「待ってくれ！」レックスはあわてて声を張り上げた。</p><p>「俺だよ、レックスだよ！　帰ってきたんだ」<br>　えっ、と男たちが驚いたところに、ちょうど風が流れて、霧が払われた。<br>　レックスは言葉を失った。巨大な白馬の背から見る故郷の村は、</p><p>どこか以前と違って見えた。どこもかしこと、ちゃちで、古めかしくて、みすぼらしく見えてしまったのだ。<br>「……レックス……」<br>「ほんとだ。レックスだぜ……驚いた。ずいぶん立派になったなぁ……」<br>　鍛冶屋のステファンが、織屋の親方が、</p><p>ぽかんとあっけにとられたような顔で自分を見上げているのに気づいて、レックスはどきっとした。</p><p>村には、ファルシオンのように美しく見事な馬はいなかった。</p><p>ここの人々は、馬といえば、山の精霊さまの祠を守る祭祀さまの持っている</p><p>荷運び用の年老いた雌馬ぐらいしか見たことがないのだ。<br>「みんな、元気？」急いで鞍から降りながら、レックスは笑顔で男たちに近づいた。</p><p>「今年のカボチャの作柄はどぉ？」<br>「いや、仕事どころじゃないよ」織屋の親方がぎこちなく笑い返した。</p><p>「魔王が滅んだって聞いてな、みんな稼業ほったらかして山を降りてったさ。ランドのやつが、案内を買って出た」<br>「ランドが？」幼なじみの名前を聞いて、レックスはやっと落ち着きを取り戻した。</p><p>「しょうがないなぁ、あいつ、どうしても家の仕事を継ぐのがイヤなんだな」<br>「よく帰ってきたなぁ」鍛冶屋のステファンが、ばしんとレックスの肩を叩いた。</p><p>「さ、行ってやれ。ターニアちゃんが待ち焦がれてるぞ」<br>「村長も家にいる。きっと、おまえの話を聞きたがると思う」<br>　レックスは男たちと別れると、自分の髪のひと房をつかもうとしてもがき、</p><p>ガシガシ爪を立てているファーラットの爪攻撃を無意識にあしらいながら不意に思った。<br>そういえば、さっきのステファンたちは、このファーラットに気づいてなかったみたいだけど、</p><p>仮に村長さんが気づいたらどうしよう。魔物が人間になつくかもしれないなんて、</p><p>きっと、これまで一度も考えたことがないだろう、と。<br>　はしゃぐファーラットを無理やり袋に押し込むと、レックスは、手綱をとって歩き出した。</p>
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<link>https://ameblo.jp/kuririn506/entry-11249100164.html</link>
<pubDate>Sun, 13 May 2012 00:48:52 +0900</pubDate>
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<title>ドラゴンクエストⅥ　（小説版）　ひとの生きる道⑯</title>
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<![CDATA[ <p>　あんなに険しく思えていた山が、箱庭めいてたわいない。</p><p>恐ろしくてたまらなかった迷宮洞窟は、妙にしみじみ懐かしい。</p><p>旅立ちのころ、生命からがら切り抜けるのがやっとだった魔物たちは、</p><p>いまや相手をするのもかわいそうなほど弱々しい。<br>　例によって一列になって道を塞ぎ、ころりんころりんと</p><p>激突攻撃を仕掛けてくるばかりのファーラットなど、愛くるしさに胸が詰まった。</p><p>脅かして蹴ちらそうとファルシオンを後肢立たせていななかせると、敵は蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。が、ふと見ると、一匹だけ残っている。丸い目を見開いたまま、地面に倒れて動かない。<br>「おいおい」レックスはあわてて馬を降りた。「おまえ、だいじょうぶか？」<br>　薬草の絞り汁をぱっかり開きっぱなしの口に垂らしてやると、</p><p>ファーラットは、ぴやっと鳴いて飛び起きた。</p><p>ぶるんとひとつ大きく震え、あわててもがいて逃げ出して、</p><p>二、三歩向こうで転んだついでに振り返る。二本のおしべのような触覚をビリビリふるわせ、</p><p>まんまるな鼻をヒクつかせて、なにか、訴えるような瞳をする。<br>「怪我はないか？」レックスは優しく訊ねた。「気をつけて行けよ」<br>　立ち上がり、手綱を握り、鞍を置いていない背中に乗ろうとして、戸惑った。</p><p>何か重いと思ったら、いまのファーラットが足首にさかんにじゃれついているのである。<br>「頼むよ」レックスは地面にしゃがみこんで、魔物をひきはがした。</p><p>「俺、急いでるんだ。おまえと遊んでるヒマはないんだ」<br>　みゅうみゅうみゅう！　ファーラットは仔猫そっくりの甘え声を出した。</p><p>抱いてみると、若草色のその毛並みは見事にツヤツヤで、</p><p>信じられないほど手触りがいい。もこもこ動く尻尾がかわいらしい。</p><p>思わず両手で胸に抱えると、よく伸びるピンク色の舌でレックスの頬をザラリと撫でた。<br>　こころが鷲づかみにされるような感触だった。<br>「……一緒に行くか？」レックスはとうとう言ってしまっていた。<br>　レックスの両手の中に落ち着き場所を見つけるやいなや、</p><p>ファーラットは、にゅー、と満足そうな息を長々と吐いて、すやすや眠りだしてしまった。</p><p>思わずレックスが馬を見ると、ファルシオンはあきれたように唇をめくりあげて笑ってみせた。</p>
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<link>https://ameblo.jp/kuririn506/entry-11247336505.html</link>
<pubDate>Thu, 10 May 2012 23:56:38 +0900</pubDate>
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<title>ドラゴンクエストⅥ　（小説版）　ひとの生きる道⑮</title>
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<![CDATA[ <p>　世界平和記念バザーににぎわうマルシェの町に、宿をとった。<br>「ここにはいま、各国からおおぜいの旅人や商人や泥棒がなだれ込んできているわ」</p><p>宿の一室で、薬草を鉢で擦りつぶしながら、ミレーユが言った。</p><p>「一、二泊して、ムドー以外の魔王の情報、あるいは、</p><p>何かわたしたちの進むべき道に役立ちそうな情報が集められないかどうか、手分けして探りましょう」<br>「そうね」<br>「あ～～～～～～～～」<br>　バーバラの声に、虚ろな顔のハッサンの呻き声がかぶさる。<br>「この次は、前もってこれを飲んでおいたほうが良いですよ」</p><p>煎じたゲントの茶に、擦りつぶしたばかりの薬草を入れて配りながら、チャモロが言った。</p><p>「そうすれば、絶対に酔ったりしませんから」<br>「バカ言え。酔わないんだったら、何のために飲むかわかんねぇじゃねぇか」<br>「……はあ」<br>「ちょっといいかな」レックスは片手をあげて注意を引いた。</p><p>「俺、出かけて行きたいところがあるんだ。もし、みんなが、</p><p>ここからあんまり動かないつもりなのなら、ファルシオンを借りて行きたいんだけど」<br>　四人にいっせいに見つめられて、レックスはなんとなく赤くなってしまった。<br>「ライフコッドね」と、ミレーユ。「かまわないわ、いってらっしゃいな」<br>「えっ、それ、どこなの？」<br>「レックスさんに関わりのある場所なのですか？」<br>　バーバラとチャモロは首をかしげた。<br>「レックスの故郷さ」と、片目をつぶるハッサン。「美人の妹さんが待ってるんだ」<br>「ターニアが心配なのも、もちろんだけど」</p><p>レックスはまだ熱い耳をひっぱりながら、言い訳した。</p><p>「村長さんに挨拶してきたいんだ。なにしろ、</p><p>レイドック王に会って来いって言われて以来、一度も戻っていないから」<br>「ひとりで大丈夫ですか？」と、チャモロ。「山のほうはまだけっこう魔物が出るようですよ」<br>「こいつがあるし」と、破邪の剣の柄をたたくレックス。</p><p>「ファルシオンの足なら、半日もあれば行って来れると思うんだ」<br>「そんなに慌てることないんじゃない？　久しぶりなんでしょ、妹さんに会うの」<br>「そうよ。一晩くらい家に泊まって、妹さんと、ゆっくり話をしていらっしゃい。</p><p>いつまた、会えるかわからないんだから」<br>　バーバラとミレーユは、薬草を片付けながら言った。<br>「まぁそうだな」と、ハッサン。</p><p>「別の魔王の気配でも見つけたら、またどこまで旅をしなきゃならなくなるか、わかったもんじゃねぇ」</p>
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<link>https://ameblo.jp/kuririn506/entry-11245589399.html</link>
<pubDate>Tue, 08 May 2012 23:48:44 +0900</pubDate>
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<title>ドラゴンクエストⅥ　（小説版）　ひとの生きる道⑭</title>
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<![CDATA[ <p>　<font color="#ffff66">すっかり更新が滞ってしまいました（汗</font></p><p><font color="#ffff66">待っていて下さった皆様、申し訳ないです( ﾉω-、)</font></p><p><font color="#ffff66"><br></font></p><p><font color="#ffff66">　ようやく大学にも慣れてきたので……</font></p><p><font color="#ffff66">ブログ更新を再開したいと思います!!☆</font></p><p><font color="#ffff66">これからもどうぞよろしくお願いいたします(*´ω`)</font></p><p><font color="#ffff66"><br></font></p><p><font color="#ffff66">****************************************************</font></p><br><p>「えっ、ソルディ兵士長が？」<br>「行方不明？」<br>　レックスとハッサンが驚きの声をあげると、</p><p>レイドック王軍『黒の隊』隊長の野牛ネルソンは、ポッチャリと人の良さそうな顔に苦渋を滲ませた。<br>「そうなのだ。陛下がお戻りになってやっとひと安心という夜、</p><p>おひとりでどこかに行ってしまわれた。後のことは頼むとわたしに書き置きを残されてな……</p><p>どうやら、ゲバンとかいう大商人を追っていったらしいのだが……</p><p>やれやれ、なぜまた、そんな者のことをお気に留められたのか、我らには皆目見当もつかん」<br>　レックスとハッサンは顔を見合わせたが、どちらも何も言わなかった。<br>　ネルソンの案内で王宮の奥に通された。レックスは当惑した。</p><p>質素というより殺風景だった城内が、いつの間にか、すっかり華やかににぎわっている。</p><p>壁もピカピカに塗り替えられているし、オンボロの絨毯は取り替えられ、</p><p>ところどころにはいかにも王宮らしい金の縁取りを施した</p><p>真紅の天鵞絨(ビロード)の幕さえ、かけめぐらしてある。<br>アーチ型の窓からは、噴水が上がり花が咲き乱れ、</p><p>コマドリが飛ぶ内庭の遊歩道を、若く美しい娘たちがいかにも楽しそうに歌いながら歩いていくのが見えた。<br>「おお、そなたらか！　もう来るころだと思っておったぞ」</p><p>謁見のまで彼らを迎えた王の姿には依然変わりはなかったが、</p><p>その口調と態度はまるっきり別人である。</p><p>「どうした？　なにを驚いておる？　……あ、そうか。</p><p>ハッハハは、わしがわからんか。わしじゃよ、わし。</p><p>シェーラではない。レイドックじゃ。たまには若返ってみるのも良いものだな」<br>「王さまったら！」バーバラは両手を腰にあてた。</p><p>「ひどい！　目が醒めたとたん、王妃さまを追い出しちゃったんですか？」<br>「違う、違う」金髪美貌の元不眠王は、シーッ、とひとさし指を立ててみせた。</p><p>「そりゃ、反対じゃ。シェーラのほうが、本来おるべきわしの代理をしてくれておったんじゃ。</p><p>本物が戻ってきたから、ホッとして隠退した。</p><p>ちなみに、この見てくれは、わしの若いころそのもの。</p><p>たぶん、愛妻の目には、わしはいまでもこう見えておるんじゃろう」<br>「あ、そうだったんですか。……愛、ですねっ」バーバラが言った。<br>「陛下」<br>　黄色い衣のチャモロが進み出て、堅苦しい挨拶の仕草をすると、</p><p>浮かれて見えたレイドック王も急にまじめな顔になった。<br>「おお。そなたはゲントの若者じゃな！　同行してくれておったのか、</p><p>いや、大事な船をありがとう。長どのはお元気か？」<br>「おかげさまで。あと百五十年は生きると思います」<br>「それは羨ましい。あやかりたいものだのう……</p><p>いや、なにはともあれ、両方の世界に平和が来たのはめでたいことじゃ。</p><p>そなたらの働き、まことに素晴らしかった」</p><p>王は玉座のそばに下がった紐を引いて、小姓を呼んだ。</p><p>「乾杯じゃ。酒を持て。蔵じゅうで一番良い酒をな」</p>
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<link>https://ameblo.jp/kuririn506/entry-11244747486.html</link>
<pubDate>Mon, 07 May 2012 23:58:38 +0900</pubDate>
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<title>ドラゴンクエストⅥ（小説版）　ひとの生きる道⑬</title>
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<![CDATA[ <p>　レックスはひざまずき、目を閉じた。</p><p>不意に頭の中に、どこからともなく、</p><p>なにかキラキラと輝くものが入ってきて、ぱあっと拡散した。</p><p>胸がドキドキし、少しめまいがした。だがやがて、</p><p>レックスは、自分が満たされ、癒され、潤されるのを感じた。</p><p>ごちゃごちゃと入り組んだ迷路のようだった心の中に、</p><p>たどるべき道すじが、柔らかく輝く一本の光の軌跡となってはっきり示されたように感じた。<br>　おそるおそるまぶたを開くと、ダーマの預かり手が、</p><p>がんばれよ、と厳しい顔をうなずかせるのが見えた。<br>「願うものは多く、かなえられるものは少ない。</p><p>だが、みよ、ダーマはこのとおり不滅である。</p><p>魔王の名を持つものが我らを封印したということは、</p><p>すなわち、ダーマは、邪悪なものたちにとって、</p><p>それほどまでに脅威だったということにほかならぬ。このことをよく考えてほしい」<br>　五人はみな、無言のまま、しっかりとうなずいた。<br>「夢見の力を信じるがいい。願いを抱き、望みを見つめ、</p><p>勇気を持って進み続ける者にのみ、喜びと栄光はあるのだから……さぁ、行け！」</p>
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<link>https://ameblo.jp/kuririn506/entry-11215833349.html</link>
<pubDate>Fri, 06 Apr 2012 23:20:09 +0900</pubDate>
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<title>ドラゴンクエストⅥ（小説版）　ひとの生きる道⑫</title>
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<![CDATA[ <p>「むう」預かり手は驚愕をしたように目を開き、</p><p>無言のままレックスの顔を見つめていたが、</p><p>やがてゆっくりとからだを起こし、レックスの肩に分厚い掌をのせた。<br>「若者よ」預かり手は言った。「そなたはひどく険しい道を進まなければならない」<br>「……はい……」<br>「臆することはない。とまどうことはない。</p><p>そなたはおのれの安泰や栄達でなく、既に大切に思っている人々、</p><p>まだ見ぬ友、そして、一生直接には出会うこともないであろうすべてのひとびとについても、</p><p>その幸福であることを願っている。世のため人のために己を捧げる者……</p><p>そなたの選ぶべき道は、勇者、ではないか」<br>「ゆ、勇者……」レックスはぽかんと口を開けた。</p><p>「俺はそんなにすごいことを望んでいたんですか……？」<br>「望んでいたぞ」預かり手はにっこりと笑った。<br>「自分でも気づかなかった」<br>　レックスは真っ赤になったが、不思議と不安や後悔は感じなかった。</p><p>ひそかに抱いていた願望が明らかになったことに、晴れ晴れとさわやかな開放感を覚えていた。<br>　そうか……俺は、勇者なんてすごいものに憧れていたのか……！<br>「そなた自身もわかっているとおり」と預かり手は言った。</p><p>「ただし、いまのそなたには、まだまだじゃ。おのれ自身をすらわかっておらぬ。</p><p>まず星の数ほどさまざまな、自分ではないものたちのことを理解することが必要だ。</p><p>魔物使いとしての道を行くがよい。ほんのいままで敵であったものたちを</p><p>仲間として迎え入れることに、そなたが完璧に習熟したとき、また新たな道が拓けよう」<br>「わかりました」</p>
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<link>https://ameblo.jp/kuririn506/entry-11211695577.html</link>
<pubDate>Mon, 02 Apr 2012 23:31:00 +0900</pubDate>
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<title>ドラゴンクエストⅥ（小説版）　ひとの生きる道⑪</title>
<description>
<![CDATA[ <p>　チャモロは、僧侶と武闘家のふたつの道を究極までたどりたいと願い、許された。<br>　ミレーユは、戦うことを忌まわしく思う自分から解放されたいと、</p><p>戦士と魔法使いの道を順に探ることになった。<br>　バーバラはきっと、仲間をいつでも元気付けられる様な道を歩むことを望むのだろうと、</p><p>レックスはぼんやり思っていたのだが、もっと多くの呪文を勉強してみたいと意外な告白をした。</p><p>「ふむ……そなたには無限の魔力を感じるのう……？」</p><p>預かり手はバーバラを見て不思議そうにつぶやいた。</p><p>「……では、ひとまず、魔法使いとなってみるがよい」預かり手は言った。</p><p>「選択はただ一度に限るわけではない。</p><p>賢者としての己を完全にしたと信じられる時がきたならば、</p><p>新たにまた別の道を求むこともできよう」<br>「ありがとうございます」<br>　頬を少し紅潮させてバーバラが退くと、いよいよ、レックスの順番になった。<br>　預かり手の前に進みながら、レックスはなお、考えをまとめられないでいた。<br>　自分の心を見つめようとすればするほど、</p><p>シェーラ王妃の顔が、ターニアの顔が、これまでに出会ってきた多くの人々の顔が……</p><p>そして魔王ムドーのあの恐ろしい顔までが、ぐるぐる回って混乱するのである。<br>「俺は」レックスは深呼吸し、預かり手の顔をまっすぐに見上げた。</p><p>「すみません、俺、自分で自分がまだよくわからなくて……</p><p>何を選んでいいのかわかりません。……俺はほんと、みんなが大好きです……</p><p>仲間も、家族も、あちこちで出会ったひとたちも。</p><p>みんなのために、この俺にできることが何かあるのなら、なんだってします。</p><p>ほんとうです！　……どうか俺の心をのぞいてください。</p><p>そして、教えてください。いったい、どうすればいいのかを」</p>
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<pubDate>Sun, 01 Apr 2012 11:07:04 +0900</pubDate>
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